2019年度入試結果速報...kawaijuku guideline 2019.4・5 3 特集 2019年度入試結果速報...

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Kawaijuku Guideline 2019.45 2 Part 1 大学入試センター試験概況 <図表1> センター試験 志願者・受験者数推移 少数が大きい。これらの科目数の受験者の多くは私立大 専願の受験生である。近年、私立大人気の上昇や大学の 2019年度入試結果速報 年度 志願者数(前年比) 受験者数(前年比) 受験率 2010 553,368 (101.7%) 520,600 (102.6%) 94.1% 2011 558,984 (101.0%) 527,793 (101.4%) 94.4% 2012 555,537 (99.4%) 526,311 (99.7%) 94.7% 2013 573,344 (103.2%) 543,271 (103.2%) 94.8% 2014 560,672 (97.8%) 532,350 (98.0%) 94.9% 2015 559,132 (99.7%) 530,537 (99.7%) 94.9% 2016 563,768 (100.8%) 536,828 (101.2%) 95.2% 2017 575,967 (102.2%) 547,892 (102.1%) 95.1% 2018 582,671 (101.2%) 554,212 (101.2%) 95.1% 2019 576,830 (99.0%) 546,198 (98.6%) 94.7% ※大学入試センター資料より ※受験率は受験者数/志願者数 2019 年度入試の志願状況は、国公立大で前年並 み、私立大で増加した。 今春は前年入試の影響が色濃く出た入試となった。 2018 年度入試では定員管理厳格化に対応するため、 私立大一般入試の合格者数が大きく減少、文系学部 を中心に難化した。2019 年度入試では、さらなる合 格者数の絞り込みを警戒して難関私立大の文系学部 で志願者が減少したほか、大学入試センター試験の平 均点上昇にも関わらず、国公立大でも難関大で志願者 が減少するなど国私を問わず安全志向が顕著だった。 安全志向は学部系統人気にも影響し、一部で模試時 とは異なる動向がみられた。 以下、今春のセンター試験の概況と3月8日時点で 判明している大学の志願状況をレポートする。 志願者数・受験者数ともに微減 2019 年度大学入試センター試験(以降、センター試験) は 1 月 19・20 日の2日間にわたり、全国 693 の試験 会場で実施された。 今年度の志願者数は 576,830 人(前年比 99.0%)、 受験者数は 546,198 人(前年比 98.6%)といずれも前 年から若干の減少となり、受験率も前年の 95.1%から 94.7%とダウンした<図表1>。18 歳人口の減少に加 え、2018 年度一般入試で大学入学定員管理の適正化を 背景に都市部の私立大が総じて難化した影響から、推薦・ AO入試を選んだ受験生が例年より多かったことが要因 と考えられる。 受験科目数別受験者の割合 <図表2>は受験科目数別の受験者数である。昨年か らの変化をみると、4~6科目、3科目での受験者の減 2019 年度入試の概観 大学志願者数は前年並み 大学入試センター試験の平均点は上昇 国公立大の状況 志願者数は前年並み 安全志向から難関国立大で志願者がやや減少 私立大の状況 全体の志願者数は増加 難化を警戒し、難関大の文系学部で志願者が減少 理・工学系では志願者が大きく増加 特集

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Page 1: 2019年度入試結果速報...Kawaijuku Guideline 2019.4・5 3 特集 2019年度入試結果速報 センター利用方式の拡大によりこれら少数 科目の受験者が増加していたが、久しぶり

Kawaijuku Guideline 2019.4・52

Part1 大学入試センター試験概況<図表1> センター試験 志願者・受験者数推移

少数が大きい。これらの科目数の受験者の多くは私立大

専願の受験生である。近年、私立大人気の上昇や大学の

2019年度入試結果速報

年度 志願者数(前年比) 受験者数(前年比) 受験率

2010 553,368 (101.7%) 520,600 (102.6%) 94.1%

2011 558,984 (101.0%) 527,793 (101.4%) 94.4%

2012 555,537 (99.4%) 526,311 (99.7%) 94.7%

2013 573,344 (103.2%) 543,271 (103.2%) 94.8%

2014 560,672 (97.8%) 532,350 (98.0%) 94.9%

2015 559,132 (99.7%) 530,537 (99.7%) 94.9%

2016 563,768 (100.8%) 536,828 (101.2%) 95.2%

2017 575,967 (102.2%) 547,892 (102.1%) 95.1%

2018 582,671 (101.2%) 554,212 (101.2%) 95.1%

2019 576,830 (99.0%) 546,198 (98.6%) 94.7%

※大学入試センター資料より※受験率は受験者数/志願者数

 2019年度入試の志願状況は、国公立大で前年並み、私立大で増加した。 今春は前年入試の影響が色濃く出た入試となった。2018年度入試では定員管理厳格化に対応するため、私立大一般入試の合格者数が大きく減少、文系学部を中心に難化した。2019年度入試では、さらなる合格者数の絞り込みを警戒して難関私立大の文系学部で志願者が減少したほか、大学入試センター試験の平均点上昇にも関わらず、国公立大でも難関大で志願者が減少するなど国私を問わず安全志向が顕著だった。安全志向は学部系統人気にも影響し、一部で模試時とは異なる動向がみられた。 以下、今春のセンター試験の概況と3月8日時点で判明している大学の志願状況をレポートする。

志願者数・受験者数ともに微減

 2019年度大学入試センター試験(以降、センター試験)

は 1月 19・20 日の2日間にわたり、全国 693 の試験

会場で実施された。

 今年度の志願者数は 576,830 人(前年比 99.0%)、

受験者数は 546,198 人(前年比 98.6%)といずれも前

年から若干の減少となり、受験率も前年の 95.1%から

94.7%とダウンした<図表1>。18 歳人口の減少に加え、2018 年度一般入試で大学入学定員管理の適正化を

背景に都市部の私立大が総じて難化した影響から、推薦・

AO入試を選んだ受験生が例年より多かったことが要因

と考えられる。

受験科目数別受験者の割合

 <図表2>は受験科目数別の受験者数である。昨年からの変化をみると、4~6科目、3科目での受験者の減

2019年度入試の概観

◉大学志願者数は前年並み

◉大学入試センター試験の平均点は上昇

◉国公立大の状況◆志願者数は前年並み

◆安全志向から難関国立大で志願者がやや減少

◉私立大の状況◆全体の志願者数は増加

◆難化を警戒し、難関大の文系学部で志願者が減少

◆理・工学系では志願者が大きく増加

特集

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Kawaijuku Guideline 2019.4・5 3

2019年度入試結果速報特集

センター利用方式の拡大によりこれら少数

科目の受験者が増加していたが、久しぶり

に減少に転じた。この減少も推薦・AO入

試合格者がセンター試験の受験をとり止め

ていることをうかがわせるものだ。

科目別平均点の変化

 <図表3>は大学入試センターが公表した主な科目の平均点と受験者数の一覧であ

<図表2>センター試験 受験科目数別の受験者数

<図表3>センター試験 主要教科・科目平均点・受験者数(本試験)

※大学入試センター資料より

受験科目数受験者数 前年差

(19‒18)17年度 18年度 19年度

8科目 10,174 9,812 8,952 ‒860

7科目 297,009 296,661 295,090 ‒1,571

4~6科目 99,892 102,748 98,967 ‒3,781

3科目 121,383 126,012 123,605 ‒2,407

1・2科目 19,434 18,979 19,584 +605

合計 547,892 554,212 546,198 ‒8,014

教科・科目名平均点 受験者数

18年度 19年度 前年差 18年度 19年度 前年差

外国語英語 123.75 123.30 ‒0.5 546,712 537,663 ‒9,049

リスニング 22.67 31.42 +8.8 540,388 531,245 ‒9,143

数学①数学Ⅰ 33.82 36.71 +2.9 5,877 5,362 ‒515

数学Ⅰ・数学A 61.91 59.68 ‒2.2 396,479 392,486 ‒3,993

数学②数学Ⅱ 25.97 30.00 +4.0 5,764 5,378 ‒386

数学Ⅱ・数学B 51.07 53.21 +2.1 353,423 349,405 ‒4,018

国語 104.68 121.55 +16.9 524,724 516,858 ‒7,866

理科①

物理基礎 31.32 30.58 ‒0.7 20,941 20,179 ‒762

化学基礎 30.42 31.22 +0.8 114,863 113,801 ‒1,062

生物基礎 35.62 30.99 ‒4.6 140,620 141,242 +622

地学基礎 34.13 29.62 ‒4.5 48,336 49,745 +1,409

理科②

物理 62.42 56.94 ‒5.5 157,196 156,568 ‒628

化学 60.57 54.67 ‒5.9 204,543 201,332 ‒3,211

生物 61.36 62.89 +1.5 71,567 67,614 ‒3,953

地学 48.58 46.34 ‒2.2 2,011 1,936 ‒75

地理歴史

世界史A 39.58 47.57 +8.0 1,186 1,346 +160

世界史B 67.97 65.36 ‒2.6 92,753 93,230 +477

日本史A 46.19 50.60 +4.4 2,746 2,359 ‒387

日本史B 62.19 63.54 +1.4 170,673 169,613 ‒1,060

地理A 50.03 57.11 +7.1 2,315 2,100 ‒215

地理B 67.99 62.03 ‒6.0 147,026 146,229 ‒797

公民

現代社会 58.22 56.76 ‒1.5 80,407 75,824 ‒4,583

倫理 67.78 62.25 ‒5.5 20,429 21,585 +1,156

政治・経済 56.39 56.24 ‒0.1 57,253 52,977 ‒4,276

倫理 ,政治・経済 73.08 64.22 ‒8.9 49,709 50,886 +1,177

※大学入試センター資料より

る。

 主要教科をみていくと、「英

語」では筆記の平均点は前年

並みだったものの、前年過去

最低の平均点となったリスニ

ングが易化した影響で、全体

の平均点はアップした。数学

では「数学Ⅰ・数学A」の平

均点が 2.2 点ダウンしたもの

の、「数学Ⅱ・数学B」の平

均点が 2.1 点アップした。注

目は「国語」の平均点で、前

年から 16.9 点と大幅にアッ

プした。

 理科①では、最も選択者の

多い「生物基礎」の平均点

が前年から 4.6 点ダウンした。

ただし、科目間の平均点差は

ほとんどなく、選択科目によ

る不公平感は感じられなかっ

た。理科②では、受験者の多

い「物理」「化学」の平均点

がダウンした。

 地歴・公民では、前年平均

点が高かった「地理B」で

6.0 点ダウン、「倫理 , 政治・

経済」で 8.9 点ダウンとなっ

た。4単位科目の平均点はい

ずれも6割を超えており、そ

の差も小さくなっている。

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Kawaijuku Guideline 2019.4・54

 理科②、地歴B・公民2単位科目の科目

間の平均点差が大きい場合に実施される得

点調整は、実施されなかった。

7科目型平均点-文系・理系とも8割以上得点者が増加

 <図表4>は河合塾が推定するセンター試験の7科目型の平均点推移である。今年

度の平均点は7科目文系型(900 点満点)

が 569 点(前年差+ 17 点)、7科目理系

型(900 点満点)が 571 点(前年差+ 11点)

とした。

 文系・理系ともに受験する「英語(リス

ニング)」「国語」の平均点アップが、総合

の平均点の上昇につながった。

 なお、理系型では、多くの理系型生が受

験する「物理」「化学」や選択者の多い「地

理B」での平均点ダウンが影響し、文系型

よりもアップ幅が小さくなった。

 <図表5>は河合塾が実施した自己採点集計「センター ・リサーチ」参加者の成績

分布である。

 7科目型では、文系・理系型とも 720

点(得点率8割)以上の高得点層が増加し

た。前年に比べて高得点が取りやすい状況

だったことがうかがえる。

 3教科型の得点分布をみると、文系型で

は7科目型と同様に平均点はアップしてお

り、400 点(得点率8割)以上の高得点層

は、前年から大幅に増加し、グラフも大き

く右側にシフトした。一方で理系型の平均

点はダウンしており、7科目型とは状況が

異なった。「国語」の平均点アップが加味

されないことと、「物理」「化学」の平均点

ダウンの影響が大きいためである。得点率

5~8割の得点層の減少が目立っているた

め、前年に比べ中央部分が低い山型のグラ

フとなった。

※7科目型平均点は河合塾推定 7科目文系型:英・数(2)・国・理(1)・地公(2)(900点満点) 7科目理系型:英・数(2)・国・理(2)・地公(1)(900点満点) *英語は筆記+リスニングの 250点を 200 点に換算して集計 *理科①は2科目で1科目とする

<図表4>センター試験 7科目型平均点推移

545562

572

530534

543548

555 552

542

568

586

550

566 567562 559 560

495

540

585

630

2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19

569

571

(年度)

(点)7科目文系型 7科目理系型

<図表5>「センター・リサーチ」 7科目型、3教科型受験者の成績分布

3教科文系型(英・国・数or地公) 3教科理系型(英・数・理)

(得点(900点満点))

(千人) (千人)

2018 年度

2019 年度

2018 年度

2019 年度

2018 年度

2019 年度

2018 年度

2019 年度

360 540 720 900 360 540 720 900(得点(900点満点))

(得点(500点満点))200 300 400 500 200 300 400 500

(得点(500点満点))

16

2018

14121086420

7科目文系型 7科目理系型(千人)16

14

12

10

8

6

4

2

0

(千人)16

14

12

10

8

6

4

2

0

0

5

10

15

20

25

※3教科文系型:英・国・数(1)または地公(1)3教科理系型:英・数(2)・理(1)

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Kawaijuku Guideline 2019.4・5 5

2019年度入試結果速報特集

Part2 国公立大学の志願状況

<図表7>公立大(中期日程) 新規実施大学・学部の志願状況

国公立大志願者数は前年並み

 国公立大入試の中心である前期日

程の志願者数は 258,535 人(前年比

100.3%)と前年並みとなった<図表6>。センター試験の受験者数が前年比 98.6%と減少したことを鑑みると、

国公立大の人気は堅調といえる。

 後期日程の志願者も、179,614人(前

年比 100.8%)と前年並みとなった。

ただし、今春も後期日程を廃止・縮小

する動きがみられたため、志願倍率は

上昇した。

 一方で、公立大で実施された中期日

程の志願者は約2千人増加した。今春

は、公立小松大、公立諏訪東京理科

大、兵庫県立大(社会情報科学)、新

<図表6>国公立大志願状況

区分 日程募集人員 志願者数 志願倍率

18年度 19年度 18年度 19年度 前年差 前年比 18年度 19年度

国立

前期 64,344 64,031 195,255 194,525 ‒730 99.6% 3.03 3.04

後期 14,654 14,335 134,950 135,628 +678 100.5% 9.21 9.46

計 78,998 78,366 330,205 330,153 ‒52 100.0% 4.18 4.21

公立

前期 15,650 16,102 62,607 64,010 +1,403 102.2% 4.00 3.98

後期 3,706 3,648 43,292 43,986 +694 101.6% 11.68 12.06

中期 2,193 2,310 29,604 31,687 +2,083 107.0% 13.50 13.72

計 21,549 22,060 135,503 139,683 +4,180 103.1% 6.29 6.33

国公立 計

前期 79,994 80,133 257,862 258,535 +673 100.3% 3.22 3.23

後期 18,360 17,983 178,242 179,614 +1,372 100.8% 9.71 9.99

中期 2,193 2,310 29,604 31,687 +2,083 107.0% 13.50 13.72

計 100,547 100,426 465,708 469,836 +4,128 100.9% 4.63 4.68

※文部科学省資料より  ※志願倍率は志願者数/募集人員※分離・分割方式ではなく独自日程で実施する大学は上表には含まれていない

大学名 学部 募集人員 志願者数 志願倍率

公立小松

国際文化交流 30 432 14.40

生産システム科学 20 303 15.15

保健医療 13 395 30.38

公立諏訪東京理科 工 48 923 19.23

兵庫県立 社会情報科学 20 674 33.70

新見公立 健康科学 5 163 32.60

上記を含む中期日程計 2,310 31,687 13.72

※文部科学省資料より

見公立大(健康科学-地域福祉)で中期日程を新

規実施した。出願先の選択肢が増えたことが、志

願者数増加につながった。<図表7>は、今春中期日程を新規実施した大学・学部の志願状況であ

る。中期日程全体の志願倍率と比べてもいずれの

大学・学部も高倍率となっており、志願者が集ま

った様子がわかる。

 <図表8>は、大学所在地区別の志願状況をまとめたものである。東北、北関東、東海、近畿、

四国地区では前年並み、甲信越、九州地区では増

加した。甲信越地区では、昨春公立大学法人化した公立諏訪東京理科大が今年から国公立大の日程で入試

を実施するのに加え、既存の公立大を中心に志願者が増

加した。九州地区でも、公立大全体では前年比 110.3%

と高い増加率となっており、地区の志願者増を牽引した。

 一方、北陸地区では志願者が前年比 96.4%と、全地

区で最も高い減少率となった。看護学部を新設する富山

県立大を除き志願者が軒並み減少した。富山大(人文)、

富山県立大(工)などで志願者が大幅に減少したが、い

ずれも前年入試で志願者が大きく増加しており、反動も

大きくなった。また、石川県立看護大(前年比 51.8%)、

敦賀市立看護大(同 31.0%)でも志願者は大幅に減少。

<図表8>国公立大(前期日程)地区別志願状況

※文部科学省資料より※北関東:茨城・栃木・群馬 南関東:埼玉・千葉・東京・神奈川

地区 18年度 19年度 前年差 前年比

北海道 12,679 12,297 ‒382 97.0%

東北 20,761 20,776 +15 100.1%

北関東 14,189 14,249 +60 100.4%

南関東 52,610 51,502 ‒1,108 97.9%

甲信越 11,683 12,827 +1,144 109.8%

北陸 11,699 11,283 ‒416 96.4%

東海 22,830 22,619 ‒211 99.1%

近畿 43,057 43,531 +474 101.1%

中国 24,262 23,862 ‒400 98.4%

四国 10,728 10,723 ‒5 100.0%

九州 33,364 34,866 +1,502 104.5%

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Kawaijuku Guideline 2019.4・56

並みだった一方、公立大では前年比 94.3%と減少した。

横浜市立大(国際商)は、学部再編前の国際総合科学部

経営科学系と比べて前年比 82.1%と志願者が減少した。

自然科学系(理、工、農)  志願者数は、「理」「農」で増加し、「工」で減少した。

 「理」では、愛媛大(理)、佐賀大(理工)の改組の影

響で募集人員が増加したが、それを上回る志願者数が集

まった。また、東北大、京都大、大阪大などの難関大で

志願者が増加した。

 「工」では、河合塾実施の全統模試で年間を通して人

気だった情報系分野をみると、首都大学東京(システム

デザイン-電子情報システム工)、名古屋工業大(工-

情報工)、九州工業大(情報工)などでは志願者が大幅

に増加した。一方で、名古屋大(工-電気電子情報工)、

京都大(工-情報)、大阪大(工-電子情報工)といっ

た難関大では減少が目立った。従前から人気高騰が伝え

られていたことから、出願時には警戒されたようだ。

 「農」では、福島大(農学群)が新設されたほか、前

年志願者が大幅に減少した新潟大(農)、鳥取大(農)

などで増加した。出願要件に英語外部試験を課す東京海

洋大(海洋生命科学、海洋資源環境)は、志願者が減少

した。前年入試までの英語外部試験の成績を提出できな

い場合にセンター試験英語の得点で代替可とする経過措

置が無くなったことが要因だろう。

医療系(医・歯・薬・保健)  医療系全体の志願者数は前年比 98.2%と減少した。

分野別にみると、「医」では前年比 96.1%となり、前期

日程では5年連続の志願者減となった。私立大を含めて

医学科の人気は低調である。とりわけ前年が高倍率入試

となった大学では、その反動から志願者数が大幅に減少

したケースが目立った。なかでも、名古屋市立大は、前

年が高倍率入試だったことに加え、今春より新たに2段

階選抜実施を予告していたこともあり、志願者数は前年

比 31.1%と減少、志願倍率は 8.56 倍から 2.66 倍へと

大幅にダウンした。「薬」は、東北大、京都大、九州大

といった難関大で志願者減少が目立った。一方、2019

年度より4年制課程を廃止し6年制課程のみの募集とな

った大阪大では、志願者数は前年から1割増加した。「看

護」の志願者数は前年並みとなったが、前述の公立小松

大、富山県立大の影響で募集人員が増加したため、志願

北陸地区では、前述の富山県立大のほか、公立小松大が

別日程から前・中期日程での実施となるため、看護系の

志願者が分散したようだ。

学部系統別の志願状況「文・人文」「理」「農」などで増加医学科は5年連続減少

 <図表9>は国公立大の前期日程の志願状況を、学部系統別に集計したものである。

 今春は、近年続いていた「文高理低」の基調に変化が

みられた。文系では「文・人文」「法・政治」、理系では

「理」「農」で志願者が増加した。このほか、医療系では

前年比 98.2%と志願者が減少した。

 以下に、主な系統について確認していく。なお、文中

の志願者数・前年比は特に記載がない場合、前期日程を

表す。

文・人文学系  系統全体の志願者数は前年比 109.3%と約2千人増加

した。北海道大(文、教育)、名古屋大(教育)、九州大(教

育)などの難関大での志願者増が、系統全体の志願者数

を押し上げた。そのほか、今春コースの改組をおこなっ

た福島大人文社会学群では志願者が大幅に増加した。ま

た、公立大全体でも大幅な志願者増となったが、前年志

願者減で低倍率入試となったところを中心に、志願者の

増加が目立った。

社会科学系(社会・国際、法・政治、経済・経営・商)  志願者数は、「法・政治」で増加した一方、「経済・経

営・商」では減少した。

 「法・政治」では、首都大学東京(法)の志願者増(前

年比 137.2%)の影響が大きい。前年入試でも志願者数

が増加していたが、平均点がダウンしたセンター理科を

課さないため志願者が集中した。

 「社会・国際」では、一橋大(社会)、首都大学東京(人

文社会-人間社会)などで志願者の減少が目立った。英

語スピーキング試験を課すことで注目を集めた新設の東

京外国語大(国際日本)の志願者数は 114 人(志願倍

率 3.26 倍)となった。

 前年の人気系統だった「経済・経営・商」では、敬遠

された様子がみられた。国立大は前年比 100.9%と前年

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Kawaijuku Guideline 2019.4・5 7

2019年度入試結果速報特集

<図表9>国公立大(前期日程)学部系統別志願状況

※河合塾調べ(大学発表の数値と文部科学省資料の数値が異なるところは大学発表値を優先)※系統の分類は河合塾による

系統募集人員 志願者数 志願倍率

18年度 19年度 18年度 19年度 前年差 前年比 18年度 19年度

文・人文 7,056 7,154 22,058 24,102 +2,044 109.3% 3.13 3.37

社会・国際 3,941 3,862 13,957 13,899 ‒58 99.6% 3.54 3.60

法・政治 4,218 4,163 13,655 13,995 +340 102.5% 3.24 3.36

経済・経営・商 8,184 8,146 28,933 28,438 ‒495 98.3% 3.54 3.49

教育-教員養成課程 7,280 7,317 19,345 19,181 ‒164 99.2% 2.66 2.62

教育-総合科学課程 841 830 2,298 2,486 +188 108.2% 2.73 3.00

理 5,088 5,240 14,614 15,433 +819 105.6% 2.87 2.95

工 22,691 22,543 69,788 68,188 ‒1,600 97.7% 3.08 3.02

農 5,485 5,551 15,939 16,357 +418 102.6% 2.91 2.95

医・歯・薬・保健 10,498 10,586 38,534 37,851 ‒683 98.2% 3.67 3.58

医 3,668 3,643 17,064 16,390 ‒674 96.1% 4.65 4.50

歯 447 447 1,836 1,824 ‒12 99.3% 4.11 4.08

薬 748 756 2,948 2,859 ‒89 97.0% 3.94 3.78

看護 3,835 3,936 11,260 11,256 ‒4 100.0% 2.94 2.86

医療技術・他 1,800 1,804 5,426 5,522 +96 101.8% 3.01 3.06

生活科学 796 818 2,793 2,711 ‒82 97.1% 3.51 3.31

芸術・スポーツ科学 1,571 1,582 7,526 7,495 ‒31 99.6% 4.79 4.74

総合・環境・人間・情報 2,345 2,397 8,423 8,399 ‒24 99.7% 3.59 3.50

国公立 計 79,994 80,189 257,863 258,535 +672 100.3% 3.22 3.22

倍率はダウンした。

その他  「総合・環境・人間・情報」の志願者は前年並みとな

った。情報分野では、前年比 101.5%と微増だが、新設

の兵庫県立大(社会情報科学)を除くと志願者数は減少

した。なかでも、新設2年目の横浜市立大(データサイ

エンス)では、前年が高倍率入試だったため警戒された

のか、志願者数が前年比 56.3%と大幅に減少、志願倍

率は 7.38 倍から 4.15 倍へとダウンした。

難関国立大の志願状況難関大の志願者は4年ぶりの減少

 <図表10>は旧帝大を中心とした難関 10 大学の志願状況をまとめたものである。

 難関 10 大学全体では、前期日程の志願者数は

58,003 人(前年比 97.9%)と、やや減少した。大学別

にみても、神戸大を除き前年並みまたは減少となった。

難関 10 大学全体で志願者が減少したのは現行の教育課

程になった 2015 年度入試以来、4年ぶりである。

 今春のセンター試験では、英語(リスニング)、国語

などの主要科目で平均点が上昇し、高得点層は増加した。

それにも関わらず、難関大で志願者数が減少した。その

背景として、難関大と比べてその他の大学ではセンター

試験の配点比率が高い大学が多いこと、さらに公立大で

はセンター試験の科目数が少ない大学が多いことが挙げ

られる。センター試験の平均点が上昇すれば、思い通り

に得点できた受験生が増え、強気の出願動向になること

が多い。しかし、今年はセンター試験のアドバンテージ

をいかし、合格の可能性が高い大学を選ぶ「守り」に入

る傾向がうかがえた。

 以下、難関 10大学の個別の状況をみていく。

北海道大学  前期日程の志願者数は前年並みとなった。文系では文、

教育学部など前年入試で志願者が減少した学部で増加が

目立った。なかでも文学部は前年比 144.2%と大幅に増

加した。理系では前年入試の反動で志願者が減少した学

部が目立つなか、水産、獣医学部では前年入試に引き続

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Kawaijuku Guideline 2019.4・58

<図表10>国立難関10大学の志願状況

大学名前期日程 後期日程

18年度 19年度 前年差 前年比 18年度 19年度 前年差 前年比

北海道 5,833 5,843 +10 100.2% 4,016 4,498 +482 112.0%

東北 5,242 4,813 ‒429 91.8% 1,398 1,439 +41 102.9%

東京 9,675 9,483 ‒192 98.0% ‒ ‒ ‒ ‒

東京工業 4,229 4,222 ‒7 99.8% 469 497 +28 106.0%

一橋 2,935 2,687 ‒248 91.6% 1,201 1,123 ‒78 93.5%

名古屋 4,752 4,736 ‒16 99.7% 53 67 +14 126.4%

京都 7,861 7,511 ‒350 95.5% 372 514 +142 138.2%

大阪 7,867 7,536 ‒331 95.8% ‒ ‒ ‒ ‒

神戸 5,634 5,933 +299 105.3% 4,346 4,026 ‒320 92.6%

九州 5,246 5,239 ‒7 99.9% 2,479 2,309 ‒170 93.1%

難関 10大学計 59,274 58,003 ‒1,271 97.9% 14,334 14,473 +139 101.0%

その他大学計 198,588 200,532 +1,944 101.0% 163,908 165,141 +1,233 100.8%

※文部科学省資料より ※「その他大学計」は難関10大学を除いた国公立大計

き志願者が増加した。医学科は、河合塾が実施した全統

模試では高い人気を示していたが、志願者の集中を警戒

した動きからか、前年から1割減少した。

 後期日程は、理学部を除き志願者が増加した。理学部

では、化学科の志願者が2割以上減少した影響が大きい。

東北大学  前期日程の志願者数は前年比 91.8%と減少した。文

系学部では、教育学部を除き志願者が減少した。文、法

学部では募集人員が各 20 名AO入試へシフトしたこと

で警戒された様子がうかがえる。法学部では、志願者数

は減少したものの、志願倍率は上昇した。理系学部では、

理、歯学部で志願者がやや増加した。理学部は3年連続

で志願者が減少していたため、狙い目に感じた受験生が

集まったようだ。

 後期日程では、経済学部が前年入試の反動からか前年

比 84.8%と大幅に減少した。一方、理学部は前期日程

同様に志願者が増加した。

東京大学  大学全体の志願者数は 98.0%と減少し、科類別にみ

ても文科一類を除き減少した。文科類では、文科一類で

前年比 106.3%と志願者が大幅に増加した。志願者増は

3年連続である。センター・リサーチ時点でも、平均点

上昇に伴う高得点層の増加で高い人気を示していたが、

そのまま出願した受験生が多かったようだ。一方、文科

二類は前年比 98.5%、文科三類は同 97.2%と減少した。

 理科類では、理科三類が志願者大幅減となった前年か

らさらに1割減少した。医学科は全国的に志願者が減少

しているが、東京大も例外ではないようだ。また、理科

三類では、面接実施に時間を要するためとして今春から

第1段階選抜の実施倍率を4倍から 3.5 倍に引き下げた

ことも志願者減の要因のひとつだろう。

東京工業大学  東京工業大は、今春より類別募集から学院別募集へと

変更になった。前期日程は6つの学院から希望する順に

3学院を選択して出願し、全学一括で選抜が行われる。

 大学全体の前期日程の志願者数は前年比 99.8%と前

年並みであった。学院別の志願状況をみると、最も志願

者を集めたのは工学院(1,520 人)で、次いで情報理工

学院(843 人)となった。情報理工学院では、志願倍率

が 9.80 倍と他学院と比較しても群を抜いて高く、高い

人気を示した。一方、志願倍率が最も低かったのは生命

理工学院(志願倍率 2.49 倍)である。

 生命理工学院のみで実施する後期日程では、志願者数

は前年比 106.0%と増加した。

一橋大学  前期日程の志願者数は前年比 91.6%と難関 10大学の

なかでは最も高い減少率となった。学部別にみると、商

学部を除き志願者が減少した。近年、隔年現象により志

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Kawaijuku Guideline 2019.4・5 9

2019年度入試結果速報特集

願者数の増減を繰り返しており、経済、社会学部は減少

年にあたる。なかでも、社会学部の志願者は前年から2

割以上減少した。平均点がダウンしたセンター理科の配

点比率が高い(センター試験 180 点中 100 点)ことも

志願者減の要因だろう。

 経済学部のみで実施する後期日程は、前年入試で難化

した反動からか、志願者数が前年比 93.5%と減少した。

名古屋大学  前期日程の志願者数は前年並みであった。学部別にみ

ると、志願者減の学部が目立つなか、教育、法、工学部

では増加した。なかでも、教育学部は前年比 190.1%と

倍増した。2年連続志願者が減少していたことに加え、

入試科目変更により理系型生が受験しやすくなったこと

が志願者増の要因と考えられる。そのほか、理、農、医

学部といった理系学部では前年入試で志願者が増加した

反動から敬遠された様子がみられた。

 医学部医学科のみで実施される後期日程は、前年比

126.4%と増加した。前年入試では出願要件が愛知県内

出身者に変更されたため志願者が減少したが、今春は志

願者数が増加に転じ、一昨年を上回った。

京都大学  前期日程の志願者数は、前年比 95.5%と減少した。

文系学部では、法、経済学部で志願者が減少した一方、文、

教育学部では増加した。文学部は3年連続で増加してお

り、高い人気を示した。理系学部では、理、農学部で志

願者が増加した。理学部では3年ぶりに志願者が8百人

を上回った。総合人間学部では、文系、理系ともに志願

者は減少した。とくに理系は前年比 88.5%と減少率が

高い。理系は、総合評価に利用するセンター教科が地公

のみであり、地理Bをはじめ平均点の下がった科目が多

いことが要因だろう。なお、理系では2段階選抜は実施

されなかった。

 後期日程で実施される法学部特色入試では、特色入試

が始まって以来最多となる 514 人の志願者が集まった。

大阪大学  前期日程の志願者数は前年比 95.8%と減少した。文

系学部では、文、外国語学部で志願者が減少した。外国

語学部は前年入試で大幅に志願者が増加し、一部の言語

では2段階選抜が実施されたため、受験生が敬遠したよ

うだ。一方、前年が低倍率入試となった法学部では、そ

の反動からか志願者が増加し、志願倍率は 1.98 倍から

2.54 倍へとアップした。

 理系学部では、理、基礎工、薬学部で前年に引き続き

志願者が増加した。一方、工学部では前年から 4百人

以上減少した。配点比率の高いセンター国語の平均点の

上昇に加え、前年入試で志願者が減少するなど増加要因

を抱えていたが、推薦入試の拡大に伴い募集人員が 30

名減少したことで警戒されたのか、志願者増には至らな

かった。

神戸大学  前期日程の志願者数は 105.3%と、難関 10 大学のグ

ループ内では唯一増加した。他の難関大と比べてセンタ

ー試験の配点比率が高い学部・学科が多く、センター試

験の平均点が上昇した今春入試では、積極的に出願でき

た受験生が多かったと考えられる。文系学部では、経済

学部で前年から3割以上増加し、4年連続の志願者増と

なった。理系学部では、全ての学部で志願者が増加した。

医学部では、医学科ではやや減少し、保健学科で増加した。

 後期日程の志願者数は 92.6%と減少した。学部別に

みると、文、法学部を除き軒並み減少し、前期日程とは

対照的な動向であった。

九州大学  前期日程の志願者数は前年並みとなった。学部別にみ

ると、教育、理、農、医、歯学部などでは志願者が増加

した一方、前年入試の反動により法、薬学部では志願者

が減少した。新設2年目となる共創学部では、前年比

103.0%と若干ではあるが前年を上回る志願者が集まっ

た。医学科の志願者数は前年比 109.2%と、3年続いた

志願者減から増加に転じた。医学科では、今春よりセン

ター理科の指定科目を変更した。センター生物が必須か

ら物理、化学との選択になり受験しやすくなったことで

志願者が集まった。

 後期日程では、志願者が減少した学部が目立った。な

かでも、農学部の志願者は前年入試の反動により前年比

45.5%と大幅に減少、一昨年の志願者数を下回った。

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Kawaijuku Guideline 2019.4・510

Part3 私立大学の志願状況大学グループ以外の大学の集計である「上記以外の大学」

では、前年比 110.7%と大きく増加した。とくにセンタ

ー方式では前年比 116.7%と高い伸びを示した。難関大

を避けてその他の大学の出願数を増やし、なおかつ個別

試験の受験が必要でないセンター方式を増やす、という

安全志向が明瞭な年となった。

 合格者数の状況についても軽く触れておきたい。現

時点(3月8日)で合格者数が判明しているのは一部

の大学に限られるが、その数は前年比 99.5%となって

いる。個別の大学では、前年から大きく合格者数を増

やしたところもみられた。各大学とも3月下旬まで追

加の合格者が出ることから、私立大全体では前年並み

もしくは前年以上の合格者数となることも考えられる。

2017・18 年度と続いていた合格者数の減少も、2019

年度はストップしそうだ。詳細は本誌6月号でご報告

したい。

今年も6大学で志願者が10万人を超える

 志願状況に話を戻そう。今春も現時点で志願者数が

10 万人を超えた大学が6大学ある。東洋大、日本大、

法政大、明治大、早稲田大、近畿大で、このうち東洋大

では志願者が増加した。残りの5大学では志願者増にブ

レーキがかかったものの、近畿大の志願者数は今年も

15万人を超えた。

私立大志願者数は引き続き増加ただし安全志向が鮮明

 私立大入試については、現時点で志願者数が判明して

いる全国 190 大学の集計(3月8日現在)から検証す

る。なお、この 190 大学の 2018 年度の志願者数合計は、

全私立大志願者総数の8割を超えており、今春入試の概

観は現段階でも十分に掴めるものと考える。

 190 大学の一般入試の志願者数は、全体で前年比

104.7%と増加した<図表 11>。私立大一般入試の志願者数は 2007 年度から 13 年連続の増加となる見込み

だ。

 方式別にみると、センター方式で前年比 110.3%と大

きく増加した。センター試験の受験者数は減少したにも

関わらず、私立大のセンター方式の延べ志願者数は増加

したことになる。その要因として、国公立大の志望者も

含めて私立大センター方式のより積極的な活用を考える

受験生が増えた結果、一人あたりのセンター方式への出

願数が増加したためと推測する。センター試験の平均点

上昇もセンター方式の出願を促したのだろう。

 全体の志願者数は増加したものの、今年の受験生には

強い安全志向が感じられた。前年倍率が上昇した都市部

の文系学部を中心に、極端な志願者減少が目立った。<図表11>にあるように「早慶上理」「MARCH」「関関同立」といった難関大グループで志願者が減少した一方、主要

※数値は 3/8 現在、河合塾集計(19年度の志願者数が未公表・確定前の方式は集計対象外)※大学グループ早慶上理:早稲田・慶應義塾・上智・東京理科  MARCH:明治・青山学院・立教・中央・法政  日東駒専:日本・東洋・駒澤・専修関関同立:関西・関西学院・同志社・立命館   産近甲龍:京都産業・近畿・甲南・龍谷

<図表11>私立大 大学グループ別志願状況

一般方式 センター方式 合計

17年度 18年度 19年度 19/18 17年度 18年度 19年度 19/18 17年度 18年度 19年度 19/18

私立190大学計 2,029,027 2,151,754 2,196,057 102.1% 902,180 999,043 1,101,933 110.3% 2,931,207 3,150,797 3,297,990 104.7%

大学グループ

早慶上理 208,974 212,915 200,291 94.1% 33,646 35,342 41,431 117.2% 242,620 248,257 241,722 97.4%

MARCH 292,159 308,375 292,974 95.0% 136,366 156,020 154,442 99.0% 428,525 464,395 447,416 96.3%

日東駒専 183,064 196,512 202,072 102.8% 112,286 122,515 122,691 100.1% 295,350 319,027 324,763 101.8%

関関同立 196,067 206,395 194,256 94.1% 81,996 83,753 84,692 101.1% 278,063 290,148 278,948 96.1%

産近甲龍 202,293 210,389 212,103 100.8% 54,696 67,498 75,593 112.0% 256,989 277,887 287,696 103.5%

上記以外の大学 946,470 1,017,168 1,094,361 107.6% 483,190 533,915 623,084 116.7% 1,429,660 1,551,083 1,717,445 110.7%

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Kawaijuku Guideline 2019.4・5 11

2019年度入試結果速報特集

除く志願者数は3大学計で前年比 109.8%と大きく増加

した。「MARCH」以上の難関大に挑戦しなかった層

を取り込んだ様子がうかがえる。

 西に目を向けると、「関関同立」は前年比 96.1%とな

った。関西大を除く3大学で志願者が減少、関西学院大

(前年比 91.4%)、同志社大(同 91.7%)で大きく減っ

た。一方、「産近甲龍」は前年比 103.5%と志願者が増

加した。近畿大の志願者数は前年並みにとどまったもの

の、京都産業大(前年比 109.5%)、龍谷大(同 106.8%)、

甲南大(同 115.7%)では増加、首都圏同様、「関関同立」

からこれらの大学に出願をシフトした受験生が多かった

様子が見て取れる。

学部系統別の状況文系学部一般方式の志願者数は前年並み理工系で志願者増加が目立つ

 <図表12>は学部系統別の志願動向である。私立大全体の前年比 104.7%を基準に各系統の動向を確認する

 大学グループ別の志願状況では、「早慶上理」は前年

比 97.4%となった。東京理科大で志願者が増加したも

のの、他の3大学では減少した。とりわけ上智大の志願

者数は前年比 89.5%と大きく落ち込んだ。一方でセン

ター方式では、早稲田大、東京理科大ともに志願者数は

大きく増加した。

 「MARCH」は前年比 96.3%とこちらも志願者が減

少した。国際系の2学部を新設した中央大を除く4大学

で志願者が減少、なかでも 10 万人を超える志願者を集

める法政大、明治大で減少率が高くなった。また、青山

学院大ではコミュニティ人間科学部を新設したが、志願

者増にはつながらなかった。このほか国際基督教大(前

年比 86.7%)、学習院大(同 93.6%)など、難関大で

は志願者が減少したところが目立った。

 「日東駒専」では前年比 101.8%であった。2018 年度

は志願者数が 11 万人を超えていた日本大が、2019 年

度は現時点で約 10万人(前年比 87.5%)と大きく落ち

込んでいる。昨年、大学スポーツ活動を巡る問題の対応

で世間から批判を浴びた影響も大きいだろう。日本大を

※数値は3/8現在、河合塾集計(19年度の志願者数が未公表・確定前の方式は集計対象外)

<図表12>私立大 学部系統別志願状況

系統一般方式 センター方式 合計

17年度 18年度 19年度 19/18 17年度 18年度 19年度 19/18 17年度 18年度 19年度 19/18

文・人文 377,586 412,675 415,973 100.8% 163,073 181,532 197,618 108.9% 540,659 594,207 613,591 103.3%

社会・国際 222,402 243,943 254,549 104.3% 100,478 114,300 127,751 111.8% 322,880 358,243 382,300 106.7%

法・政治 171,177 180,873 181,652 100.4% 81,198 85,339 94,345 110.6% 252,375 266,212 275,997 103.7%

経済・経営・商 450,905 494,830 497,912 100.6% 184,553 212,506 229,061 107.8% 635,458 707,336 726,973 102.8%

理 75,936 76,082 83,967 110.4% 39,646 42,396 47,255 111.5% 115,582 118,478 131,222 110.8%

工 359,350 368,947 389,689 105.6% 185,168 205,825 232,713 113.1% 544,518 574,772 622,402 108.3%

農 66,814 64,445 61,288 95.1% 25,905 26,836 27,043 100.8% 92,719 91,281 88,331 96.8%

医・歯・薬・保健 135,818 134,843 127,418 94.5% 44,293 45,807 48,545 106.0% 180,111 180,650 175,963 97.4%

医 45,311 43,797 42,563 97.2% 9,641 10,544 10,989 104.2% 54,952 54,341 53,552 98.5%

歯 1,809 1,876 2,146 114.4% 776 775 887 114.5% 2,585 2,651 3,033 114.4%

薬 35,834 32,727 29,276 89.5% 13,986 13,151 13,128 99.8% 49,820 45,878 42,404 92.4%

看護 27,371 29,931 28,308 94.6% 9,877 11,458 12,396 108.2% 37,248 41,389 40,704 98.3%

医療技術・他 25,493 26,512 25,125 94.8% 10,013 9,879 11,145 112.8% 35,506 36,391 36,270 99.7%

生活科学 37,494 37,412 35,973 96.2% 16,201 16,542 17,575 106.2% 53,695 53,954 53,548 99.2%

芸術・スポーツ科学 50,714 51,456 50,610 98.4% 24,416 25,921 27,223 105.0% 75,130 77,377 77,833 100.6%

総合・環境・人間・情報 80,479 86,248 97,026 112.5% 37,249 42,039 52,804 125.6% 117,728 128,287 149,830 116.8%

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Kawaijuku Guideline 2019.4・512

と、2018 年度までの「文高理低」はみられない。文系

各系統の志願者数は増加はしているものの、増加率は私

立大全体には及ばず、おしなべて人気は低調である。早

慶大をはじめとした都市部難関大の文系学部は志願者が

減少した学部が目立ち、これが系統全体の志願者数の伸

びに影響した。

 一方、「理」、「工」、「総合・環境・人間・情報」の志

願者は高い増加率を示した。理、工学系では、千葉工業大、

工学院大、芝浦工業大、東京電機大、東京都市大などで

志願者が大きく増加したほか、地方大の理工系学部でも

増加が目立った。なお、慶應義塾大、早稲田大の理工系

学部では志願者は減少したものの、文系学部ほど減少率

は高くなかった。「工」「総合・環境・人間・情報」では

情報分野の志願者増が目立った。国公立大では、難化を

警戒して志願者が減少した大学もみられたが、私立大で

はそのまま出願した受験生が多かったようである。

 医療系は不人気が目立つ。医学科では、日本大(前年

比 88.2%)、聖マリアンナ医科大(同55.5%)、北里大(同

71.9%)、藤田医科大(同 89.1%)、近畿大(同 86.2%)

などで志願者が大きく減少した。医学科人気はひと頃に

比べ落ち着きを取り戻し、医学科の志望者は以前より減

っているものとみる。

主要大学の志願状況

 <図表13>は首都圏・近畿圏の主要大の志願状況である。いずれも3月8日までに判明した入試の集計であ

る。以下、主な大学について状況を確認する。

青山学院大学  大学全体の志願者数は前年比 96.0%、5年ぶりの志

願者減となった。今春はコミュニティ人間科学部を新設、

約1千4百人の志願者が集まったが、大学全体の志願者

の減少はそれを上回った。

 学部別にみると前年の反動が出たのが特徴である。と

くにセンター方式では、2018 年度と今年の前年比を比

較すると、文(149.9%→ 78.1%)、地球社会共生(42.4

%→ 311.0%)、経済(57.2%→ 233.4%)など、著し

い隔年現象が出た。2019 年度は入試変更の少ない年で

あったが、そのなかで経済学部個別学部B方式は英語外

部試験が必須ではなくなった。この変更で志願者は前年

の6倍近く集まった。英語外部試験はTEAPのみが指

定されていたことも志願者が少なかった理由であろう。

慶應義塾大学  大学全体の志願者数は前年比 96.7%、2年連続の減

少となった。学部別にみても、医学部で前年並み、環境

情報学部で増加したほかは、いずれの学部も志願者は減

少した。

 とくに志願者数の減少率が高いのは、法(前年比

93.1%)、薬(同 91.2%)、看護医療(同 94.4%)など

の学部で、薬学部は5年連続、看護医療学部は3年連続

の志願者減となった。同じ医療系でも医学部では前年比

100.2%、2018 年度まで4年連続の志願者減となって

いたが、ようやく下げ止まった。

 理工学部では学部全体の志願者は前年比 95.5%と減

少率が高くなっているが、物理情報工、管理工などの学

門1・2で志願者増、学門3~5で減と動向が分かれた。

機械工、応用化学などの学門3・4はここ3年ほど志願

者の減少が続く。

上智大学  志願者数は前年比 89.5%と大きく減少した。2018

年度入試では大学全体で合格者数を約1千人(前年比

84.0%)減らしており、受験生に警戒されたようだ。

 方式別の志願者数は、学科別で前年比 90.4%、TE

AP利用型で同 86.3%とTEAP利用型で減少率が高

かった。TEAP利用型は 2018 年度入試で志願者増に

より多くの学科で難化しており、学科別以上に敬遠され

た形だ。

 学部別にみると、神、法学部を除き、志願者は減少し

た。なかでも総合グローバル、文、理工、外国語、総合

人間科学の5学部では、1割以上減少した。

中央大学  志願者数は大学全体で前年比 104.6%と増加した。志

願者増加の要因は国際情報、国際経営の2学部の新設に

ある。両学部とも6千人を超える志願者を集めた。一方、

既存の学部では、経済学部で前年比 107.5%と志願者が

増加したほかは、いずれの学部も志願者が減少した。と

くに、文(前年比 74.7%)、商(同 82.7%)で減少率

が高い。

 なお、方式別にみると、英語外部検定試験利用入試の

志願者が前年比 254.7%と大きく増加した。新設2学部

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Kawaijuku Guideline 2019.4・5 13

2019年度入試結果速報特集

※数値は 3/8 現在、河合塾集計(19年度の志願者数が未公表・確定前の方式は集計対象外)

<図表13>主要私立大 志願状況

大学名一般方式 センター方式 合計

17年度 18年度 19年度 19/18 17 年度 18年度 19年度 19/18 17 年度 18年度 19年度 19/18

北星学園 1,918 1,989 2,010 101.1% 834 769 1,112 144.6% 2,752 2,758 3,122 113.2%

北海学園 4,109 4,154 4,306 103.7% 1,817 1,873 2,433 129.9% 5,926 6,027 6,739 111.8%

東北学院 6,707 6,561 6,609 100.7% 3,834 3,620 4,119 113.8% 10,541 10,181 10,728 105.4%

獨協 10,719 12,463 12,211 98.0% 7,927 10,652 12,300 115.5% 18,646 23,115 24,511 106.0%

千葉工業 47,865 48,069 53,298 110.9% 26,601 30,836 37,578 121.9% 74,466 78,905 90,876 115.2%

青山学院 47,751 49,855 46,287 92.8% 13,215 13,050 14,117 108.2% 60,966 62,905 60,404 96.0%

学習院 18,828 20,447 19,143 93.6% - - - - 18,828 20,447 19,143 93.6%

北里 12,854 12,115 10,703 88.3% 4,358 4,584 4,313 94.1% 17,212 16,699 15,016 89.9%

慶應義塾 44,845 43,301 41,875 96.7% - - - - 44,845 43,301 41,875 96.7%

工学院 13,251 11,908 13,706 115.1% 6,530 6,409 7,357 114.8% 19,781 18,317 21,063 115.0%

國學院 16,854 16,766 17,017 101.5% 8,164 7,991 12,454 155.9% 25,018 24,757 29,471 119.0%

国際基督教 1,570 1,448 1,255 86.7% - - - - 1,570 1,448 1,255 86.7%

国士舘 13,795 14,127 14,239 100.8% 8,049 10,446 7,066 67.6% 21,844 24,573 21,305 86.7%

駒澤 24,502 25,095 26,517 105.7% 17,164 19,720 22,198 112.6% 41,666 44,815 48,715 108.7%

芝浦工業 24,131 25,193 25,410 100.9% 14,467 16,541 21,095 127.5% 38,598 41,734 46,505 111.4%

上智 29,277 31,181 27,916 89.5% - - - - 29,277 31,181 27,916 89.5%

成蹊 14,081 13,075 14,430 110.4% 9,400 8,087 10,604 131.1% 23,481 21,162 25,034 118.3%

成城 9,776 11,569 11,257 97.3% 6,923 9,565 8,059 84.3% 16,699 21,134 19,316 91.4%

専修 26,175 27,618 33,246 120.4% 17,271 16,771 21,133 126.0% 43,446 44,389 54,379 122.5%

大東文化 11,363 14,698 13,499 91.8% 9,959 11,106 10,529 94.8% 21,322 25,804 24,028 93.1%

中央 41,414 47,593 49,378 103.8% 31,377 39,820 42,087 105.7% 72,791 87,413 91,465 104.6%

津田塾 2,230 2,112 2,258 106.9% 3,486 3,407 3,655 107.3% 5,716 5,519 5,913 107.1%

東海 30,268 30,534 35,576 116.5% 16,403 19,154 22,419 117.0% 46,671 49,688 57,995 116.7%

東京女子 4,313 5,663 5,282 93.3% 4,881 5,132 5,142 100.2% 9,194 10,795 10,424 96.6%

東京電機 15,333 14,603 18,425 126.2% 7,921 8,157 9,503 116.5% 23,254 22,760 27,928 122.7%

東京都市 7,002 9,464 13,549 143.2% 8,007 14,264 16,553 116.0% 15,009 23,728 30,102 126.9%

東京農業 24,724 22,635 20,843 92.1% 9,389 9,096 8,947 98.4% 34,113 31,731 29,790 93.9%

東京理科 36,687 37,678 37,713 100.1% 16,828 18,888 22,880 121.1% 53,515 56,566 60,593 107.1%

東洋 54,204 60,922 68,618 112.6% 46,714 54,222 52,674 97.1% 100,918 115,144 121,292 105.3%

日本 78,183 82,877 73,691 88.9% 31,137 31,802 26,686 83.9% 109,320 114,679 100,377 87.5%

日本女子 6,519 6,047 7,068 116.9% 5,194 4,904 6,544 133.4% 11,713 10,951 13,612 124.3%

法政 80,701 81,758 75,199 92.0% 38,505 40,741 40,248 98.8% 119,206 122,499 115,447 94.2%

武蔵 10,665 12,245 13,195 107.8% 6,559 5,835 5,675 97.3% 17,224 18,080 18,870 104.4%

明治 80,441 85,038 80,033 94.1% 32,466 34,747 31,271 90.0% 112,907 119,785 111,304 92.9%

明治学院 15,554 18,033 16,804 93.2% 9,718 11,681 9,670 82.8% 25,272 29,714 26,474 89.1%

立教 41,852 44,131 42,077 95.3% 20,803 27,662 26,719 96.6% 62,655 71,793 68,796 95.8%

早稲田 98,165 100,755 92,787 92.1% 16,818 16,454 18,551 112.7% 114,983 117,209 111,338 95.0%

愛知 14,453 15,593 14,901 95.6% 6,494 6,561 8,337 127.1% 20,947 22,154 23,238 104.9%

中京 20,594 23,515 21,789 92.7% 13,565 13,433 13,743 102.3% 34,159 36,948 35,532 96.2%

南山 16,432 16,803 16,964 101.0% 9,658 8,537 7,838 91.8% 26,090 25,340 24,802 97.9%

名城 21,971 21,473 21,476 100.0% 15,805 16,231 16,513 101.7% 37,776 37,704 37,989 100.8%

京都産業 30,156 34,206 36,324 106.2% 12,999 16,356 19,026 116.3% 43,155 50,562 55,350 109.5%

同志社 45,395 48,367 42,571 88.0% 10,757 10,229 11,180 109.3% 56,152 58,596 53,751 91.7%

立命館 56,562 59,111 57,209 96.8% 39,564 39,151 36,989 94.5% 96,126 98,262 94,198 95.9%

龍谷 40,664 42,499 44,479 104.7% 7,820 8,956 10,469 116.9% 48,484 51,455 54,948 106.8%

関西 65,790 70,639 68,985 97.7% 18,796 21,577 24,467 113.4% 84,586 92,216 93,452 101.3%

近畿 118,874 120,775 117,604 97.4% 28,022 35,450 37,068 104.6% 146,896 156,225 154,672 99.0%

関西学院 28,320 28,278 25,491 90.1% 12,879 12,796 12,056 94.2% 41,199 41,074 37,547 91.4%

甲南 12,599 12,909 13,696 106.1% 5,855 6,736 9,030 134.1% 18,454 19,645 22,726 115.7%

広島修道 6,580 5,837 6,530 111.9% 3,965 3,822 4,150 108.6% 10,545 9,659 10,680 110.6%

松山 5,422 5,778 5,749 99.5% 2,140 1,662 1,566 94.2% 7,562 7,440 7,315 98.3%

西南学院 13,651 13,205 12,826 97.1% 7,920 8,268 9,463 114.5% 21,571 21,473 22,289 103.8%

福岡 34,535 33,589 32,937 98.1% 14,520 15,393 17,350 112.7% 49,055 48,982 50,287 102.7%

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Kawaijuku Guideline 2019.4・514

明治大学  大学全体の志願者数は前年比 92.9%と、「MARCH」

グループで最も減少率が高い。方式別でも一般方式で前

年比 94.1%、センター方式で同 90.0%といずれも減少

した。

 学部別にみても、商、総合数理学部を除く全ての学部

で志願者が減少した。総合数理学部では 2018 年度は志

願者が減少していたこと、2019 年度から全学部統一入

試(英語4技能4科目方式)を新規実施することなどか

ら志願者が増加した。明治大ではこのほかにも英語外部

試験に関わる入試変更が目立つ。2019 年度入試から国

際日本、経営、農学部の全学部統一入試で英語外部試験

の利用が可能になったが、英検2級合格で個別試験の英

語の得点が8割に換算されるため、志願者増の一因とな

った。

立教大学  大学全体の志願者数は前年比 95.8%と減少した。セ

ンター方式では 2019 年度から理学部を除く全学部(文

-ドイツ文学を除く)で4教科型を廃止し、新たに6科

目型を実施した。前年の4教科型に比べ、6科目型の志

願者は1割ほど減少しており、科目負担増の影響が感じ

られた。一方、従来からの3科目型(理学部は4科目型)

では志願者数は前年比 97.8%であった。ただし、3科

目型では学部・学科により志願者の増減に差があり、文

-フランス文学(前年比 22.7%)、観光-交流文化(同

33.7%)で大きく志願者数を減らした一方、経済-会

計ファイナンス(同 628.3%)、コミュニティ福祉-福

祉(同 213.4%)では大きく増えたなど、極端な動きが

みられた。

 一般方式では全学部日程グローバル方式で前年比

77.0%と志願者が大きく減少した。グローバル方式は

実施4年目となるが、志願者数が初めて前年を下回った。

入試難易度が全学部日程3教科方式とほとんど変わらな

くなったことも減少の要因だろう。

早稲田大学  大学全体の志願者数は前年比 95.0%、4年ぶりの減

少となった。ただし、志願者数は 2019 年度も 11 万

人を超えた。方式別にみると一般方式で前年比 92.1%、

センター方式で同 112.7%と、対照的な結果となった。

早稲田大では 2018 年度の合格者数を前年から約1割減

の新規実施のほか、経済学部の志願者が前年の 436 人

から 1,400 人に増加したためである。経済学部では対

象となる外部試験のうち、実用英語技能検定(以下、英検)

の基準が前年までの準1級合格から英検CSE2.0 スコア

1,980 以上(英検2級合格レベル)に引き下げられてお

り、これが志願者増加の要因となった。

東京理科大学  大学全体の志願者数は前年比 107.1%。前年から約

4千人増となった。方式別では一般方式の志願者数が前

年比 100.1%、センター方式で同 121.1%と、センター

方式で大きく増加した。

 一般方式では、グローバル方式で前年比 129.7%と

志願者を集めた一方、B方式では同 98.9%と減少した。

センター方式ではA方式で前年比 114.4%、C方式で同

157.3%といずれも志願者が増加した。C方式ではセン

ター試験は英語・国語の2教科を利用する。今年は両教

科とも平均点が上昇、出願締切日もセンター試験後であ

ったことから、多くの志願者が集まった。

 学部別では、経営、理、理工学部で志願者が増加した。

なかでも経営学部では前年比 133.9%と大きく増加した。

学科別にみるとビジネスエコノミクス学科では志願者が

減少したものの、経営学科で増加した。とくにA方式で

志願者が倍増した。

法政大学  大学全体の志願者は前年比 94.2%と減少した。4年

ぶりの志願者減となったものの、依然として志願者数は

11 万5千人を超えている。方式別にみると一般方式で

前年比 92.0%、センター方式で同 98.8%となった。

 学部別にみても志願者が減少した学部が目立った。と

くに減少率が高かったのは、経営(前年比 72.3%)、社

会(同 81.4%)、グローバル教養(同 86.9%)の各学

部である。いずれも 2018 年度は志願者が大きく増加し

ており、受験生に警戒された形だ。一方、志願者が増加

した学部は国際文化、人間環境、理工、生命科学部など

である。国際文化、生命科学、人間環境学部は前年入試

で減少しており、その反動とみられる。また理工系では

デザイン工学部も前年並みの志願者数となっており、上

記2学部に加え、理工系3学部では志願者が集まった状

況だ。

Page 14: 2019年度入試結果速報...Kawaijuku Guideline 2019.4・5 3 特集 2019年度入試結果速報 センター利用方式の拡大によりこれら少数 科目の受験者が増加していたが、久しぶり

Kawaijuku Guideline 2019.4・5 15

2019年度入試結果速報特集

らしており、警戒されたものとみる。一方、センター方

式は難関国公立大の併願先として出願者が増加した。出

願締切がセンター試験後だったことも増加要因となった

とみる。

 学部別の状況をみると、文系学部では国際教養、法学

部を除き志願者が減少したが、なかでも教育(前年比

84.1%)、社会科学(同 85.9%)で減少率が高い。教育

学部では推薦入試の導入により一般入試の募集人員が

700 → 560 名(前年比 80.0%)に減少しており、志願

倍率は上昇した。一般方式では志願者減が目立つなか、

文、文化構想学部で実施する英語4技能テスト利用型で

は増加、志願倍率は一般方式より高くなった。

 理工3学部はいずれも志願者が減少、3学部合計の志

願者数はこの 10 年で最少となった。なかでも先進理工

学部では減少数は少ないものの4年連続の志願者減とな

った。

同志社大学   大学全体の志願者数は前年比 91.7%、4年ぶりの

志願者減となった。方式別でみると一般方式で前年比

88.0%、センター方式で同 109.3%と、対照的な動向と

なった。センター方式では 2018 年度に志願者が減少し

た反動で増加した学部が目につく。とりわけ、理工(前

年比 116.0%)、生命医科学(同 121.6%)と理系学部

で志願者が大きく増加した。

 学部別にみると、とくに減少率が高かったのはグロー

バル・コミュニケーション、政策、経済学部である。グ

ローバル・コミュニケーション学部は近年隔年現象を起

こしており、今年は減少の年に当たった。政策、経済学

部は 2018 年度入試でいずれも約2割志願者が増加して

おり、敬遠されたようである。

 反対に志願者が増加したのは、法、生命医科学、スポ

ーツ健康科学部などである。いずれも一般方式でも志願

者が増加した。法学部の学部全体の志願者数は前年比

107.6%、過去 10 年で最多となった。生命医科学部も

4年連続の志願者増となった。

立命館大学  大学全体の志願者数は前年比 95.9%となった。方式

別にみると、一般方式で前年比 96.8%、センター方式

で同 94.5%となった。今春はグローバル教養学部が新

設されたが、志願者数は現時点では公表されておらず、

大学全体の数値には反映されていない。

 学部別の状況をみると、2018 年度新設の食マネジメ

ント学部では前年比 112.6%と志願者が大きく増加した。

経済、経営学部では2年連続の志願者減となった一方、

法学部では2年連続の増加となった。政策科学部は隔年

現象がみられる学部だが、近年はとくに顕著で、今春の

志願者は前年比 86.1%と大きく減少した。

 理工系3学部では、生命科学部で志願者増、理工、情

報理工学部で減少した。理工学部は2年連続の志願者減

となった。情報理工学部は 2018 年度の志願者が大きく

増加、難化したため敬遠された。

関西大学  大学全体の志願者数は前年比 101.3%となった。「関

関同立」グループの中で志願者が減らなかったのは関

西大のみであった。方式別にみると一般方式で前年比

97.7%、センター方式で同 113.4%と、センター方式で

増加した。

 学部別の状況は、総合情報学部で前年比 121.5%と志

願者が大きく増加した。そのほか、文、外国語学部でも

志願者は増加した。一方で、社会科学系の学部では志願

者の減少が目立ち、法(前年比 95.1%)、経済(同 95.2%)、

社会安全(同 96.9%)などとなった。

 理工系の3学部ではシステム理工学部で志願者数の増

加が目立った。システム理工学部のセンター前期、セン

ター中期数理重視方式では今春からセンター理科の必要

科目数が2→1科目となった。このため、両方式の志願

者数は前年から1割以上増加した。

関西学院大学  大学全体の志願者数は前年比 91.4%と大きく減少し

た。方式別でも一般方式で前年比 90.1%、センター方

式で同 94.2%と、いずれも減少した。

 学部別には社会科学系の学部で志願者が減少した学部

が目立ち、なかでも経済(前年比 67.5%)、商(同 80.3%)

で大きく減少した。国際学部の志願者数も前年比 79.2

%と減少が顕著で、今春の志願者数は1千5百人余りと

2010 年度の学部新設以来最少となった。

 一方、志願者が増加したのは総合政策、理工学部など

で、総合政策学部は4年連続の志願者増となった。理工

学部は近年隔年現象がみられる。今春は増加の年に当た

っており、志願者数は前年から7百人ほど増加した。