pride指標2017 レポート · 4 work with prideとは...

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レポート

PRIDE指標運営委員会

PRIDE指標2017

はじめに………3

work with Prideについて………4

内外の企業のLGBT施策について………6

「PRIDE指標」について………8

総評………9

受賞企業・団体一覧………12

ベストプラクティス P [Policy=行動宣言]評価指標………15

ベストプラクティス R[Representation=当事者コミュニティ]評価指標………16

ベストプラクティス I [Inspiration=啓発活動]評価指標………17

ベストプラクティス D [Development=人事制度・プログラム]評価指標………18

ベストプラクティス E [Engagement/Empowerment=社会貢献・渉外活動]評価指標………19

巻末資料1 PRIDE指標 全文………20

巻末資料2  PRIDE指標 募集要項………25

PRIDE指標2017レポート 目次

3

はじめに

 今年も多くの皆様にPRIDE指標の表彰制度にご応募いただき、誠にありがとうございました。昨年に日本初となる企業等のLGBTに関する取組みを測るための指標を策定し、それ以来、多くの企業・団体の方々にLGBT関連施策に取り組んでいただけるようになってきています。その意味では、日本企業の背中を後押しすることができたのではないかと思っています。 今年の表彰制度への応募企業・団体数は、昨年の82社から大きく伸び110社となりました。LGBT関連施策に取り組む企業・団体が増えているということを運営者一同大変嬉しく思っています。昨年は第1回目ということもあり、「はい」か「いいえ」で答えられる簡素な指標としていました。 今年からは、昨年に多くの企業等がゴールドを受賞したことに鑑み、指標の中でチェックリスト状の評価項目を設定し、2項目以上チェックが入れば1点獲得という仕組みに変更しました。チェック項目化したことで、LGBTのインクルージョンを進める上で、何が必要で今自社に何が足りていないかが一目でわかるようになった、という声を複数いただきました。 本指標を通じて、先進企業と全く手を付けていない企業とのギャップに対して全体を底上げしていくという点も我々の目標としてきたことでしたので、2年目にしてやっと、今後長く使える指標の基礎ができたのではないかと感じています。今後も本指標をガイドラインとしてお使いいただき、継続的にイン

クルーシブな職場づくりを推進していただければ幸いです。 一方で、日本においては他のG7参加国等と比べても、まだ同性婚や同性間のパートナーシップが法律上認められていない、包括的な差別禁止法がない、同性間の婚姻および同性カップルが築く家族が社会制度として想定されていないため婚姻に限らず様々なところで権利が保障されない場面が生じるなど、法律による権利保障がないために、企業単体の努力だけでは従業員間の平等を成し遂げるところが難しい分野がいくつか存在しています。 このような難しいハードルを乗り越え、様々に工夫を凝らして取組みを行ってこられた企業・団体が多くあり、運営者一同嬉しく思うと共に、今年もベストプラクティスの選定には大変頭を悩まされました。 昨年と同様、特に優れた取組みをベストプラクティスとして本レポート内でご紹介しています。こういった他社事例をもとに、自社でも同様の取組みを実施してみることで、社内でインクルージョンが進み、インクルーシブな企業・団体が増えることで更にベストプラクティスが充実していくといった良い循環が今後も続いていくことを願ってやみません。

wwP指標運営委員会グッド・エイジング・エールズ 理事 

川村安紗子

PRIDE指標2017レポート

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work with Prideとは

 まず、「PRIDE指標」を策定した任意団体 work with Pride(以下wwP)について、ご紹介します。 wwPは、企業などの団体におけるLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーなどの性

的マイノリティ)に関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体です。 wwPは、2012年に日本アイ・ビー・エム株式会社が国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチと共同で、日本のLGBT従業者の支援を目的としたセミナーを企画したことから始まりました。のちに、LGBT当事者が中心になって活動している認定特定非営利活動法人であるグッド・エイジング・エールズと特定非営利活動法人虹色ダイバーシティが加わりました。

●公式サイトhttp://www.workwithpride.jp/●Facebookhttps://www.facebook.com/workwithprideinjapan

work with Pride の目的

 wwPの活動目的は、日本の企業内でLGBTの人々が自分らしく働ける職場づくりを進めるための情報を提供し、各企業が積極的に取り組むきっかけを提供することです。 この目的を達成するために、年に1回、協力企業

に場所をお借りし、企業の人事・人権・ダイバーシティ担当者を主な対象に、LGBTに関するセミナー

「work with Pride」を開催しています。

セミナー開催実績

 記念すべき第1回「work with Pride」は2012年、日本アイ・ビー・エム株式会社本社にて開催。テーマは「LGBTと職 場: 課 題と今 後 」。日 本 アイ・ビー・エム株式会社におけるLGBTのための取組み

(LGBT当事者間の事実婚にも結婚祝い金を支給するなど)

をご紹介いただきました。 また、電通ダイバーシティラボが、日本のLGBTを取り巻く現状を紹介。5.2%という日本におけるLGBTの割合が報告され、会場は驚きに包まれました。最後は、ヒューマン・ライツ・ウォッチによる

「LGBTと日本の職場」をテーマとしたグループディスカッションが行われ、議論が白熱しました。

 第2回は2013年、ソニー株式会社に会場(ソニーシ

ティ大崎)をご提供いただき、開催できました。第1回開催時の参加者数を上回る約100名が来場され、職場におけるLGBTの理解と施策に向けた活動が注目を集めていることを実感できる会場となっていました。 また、企業におけるさまざまな取組みをご紹介することができ、参加した方々にご好評をいただけました。

 第3回は2014年、パナソニック株式会社の会場で

work with Pride について

PRIDE指標2017レポート

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開催。前回をさらに上回る約200名にご参加いただきました。テーマは「変わりつつある日本の職場―LGBTの視点から」。国際的なLGBTの潮流から企業における現在の取組みを各企業の人事担当者へ紹介することができました。企業で働くLGBT自らが登壇し、当事者の声を人事担当の方々へお届けできたことがとても印象的だった、との意見をたくさん頂戴しました。

 第4回は2015年、株式会社リクルート住まいカンパニーに会場をご提供いただき、過去3回で取り組んできた「LGBTを知る」という段階から一歩進め、当事者が自分らしく働ける職場を目指して「カミングアウトと日本の職場」というテーマで開催。初めて基礎編と本編の2部構成としました。 基調講演では、2015年11月5日に日本で初めて同性パートナーシップ証明書の発行をスタートした東

京都渋谷区より、区長の長谷部健氏にご登壇いただいたほか、大学生LGBTの意識調査や、社内研修の取組み、上司がアライになったことで部下がカミングアウトした事例などをご紹介しました。

 第5回は2016年、第一生命保険ホールで開催し、600名もの参加者で会場が埋め尽くされました。前年に続き、オプションとしてLGBT基礎編をご提供、その後に本編が続くという内容で実施しました。 オープニングで会場をご提供くださった第一生命保険の取締役常務執行役員・武富正夫様よりご挨拶いただき、基調講演として国立社会保障・人口問題研究所室長の釜野さおり様に「LGBT施策の背景と効果」についてお話いただき、続いて企業で働くLGBTおよび企業の経営層という2つのパネルセッションを実施しました。また、「PRIDE指標」の記念すべき第1回の結果発表も行いました。

写真は第5回の様子

PRIDE指標2017レポート

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海外におけるスタンダード

 企業がLGBTを差別せず、理解して受け容れ、包摂(インクルージョン)を志向するようになる、その歴史の大きな転換は、サンフランシスコで起こりました。 映画『ミルク』にも描かれていますが、1973年、クアーズの社長が同性婚を禁止する法律に賛成したことから、サンフランシスコのハーヴェイ・ミルク市議(初めてゲイであることをオープンにして議員になった

偉人)が、サンフランシスコのゲイバーからクアーズを一掃するボイコット運動を起こしました。 ハーヴェイ・ミルクの死後(同じ市議だった人物に暗

殺されたのです)、1980年代からサンフランシスコなどいくつかの市で「ドメスティック・パートナー法」

(同性カップルにも結婚した夫婦が得る権利の一部を認める

もの)が制定されはじめました。 そして1992年、サンフランシスコを本拠地とするリーバイス社が、社員の同性パートナーへの福利厚生(保険など)を認める「ドメスティック・パートナー制度」をスタートさせました。以降、多くの企業がこれにならうようになりました。現在では

「フォーチュン500」に入る企業の半数以上が「ドメスティック・パートナー制度」を採用しています。

 欧米の主要な企業は今や、コンプライアンス(法

令遵守)やCSR(企業の社会的責任)を無視しては立ち行かなくなっていますが、CSRは環境問題だけでなくダイバーシティ施策も重要な柱の一つで、その中にLGBTのことも含まれると考えるのが一般的です。企業はCSRの一環としてLGBTイシューにも取

り組むことが当然だと見なされるようになっているのです。  CSRからさらに一歩進んで、欧米では主要な企業のLGBT包摂度を採点した指標がよく参照されています。アメリカでは人権団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)」が毎年「フォーチュン1000」に該当する企業に対して一斉調査を実施し、

「CORPORATE EQUALITY INDEX(CEI)」 と し て発表しています。この指標には「性的指向で差別しないという社内規定がある」「性自認で差別しないという規定がある」「同性パートナーへの福利厚生がある」「トランスジェンダーの医療保険がある」

「社内にLGBTの従業員のグループがある」「地域のLGBTコミュニティをサポートしている」「同性婚などに反対する団体をサポートしない」といった項目が設けられています。CEIで100点満点をとった企業は(100点をとる日系企業も少なくありません)、自社の広告にHRCが認定した「BEST PLACES TO WORK」のマークを掲載し、LGBTの顧客や取引先へのアピールに活用したりしています。

日本における近年の動き

 日本でいち早くLGBT包摂の施策を行った企業は、今はなきリーマン・ブラザーズ証券でした。2004年に入社したオープンリー・ゲイのオーストラリア人の方が社内で当事者ネットワークを立ち上げ、講演会などを主催するようになり、2006年にはLGBTの学生に向けた就職説明会を開催し、エポックを画しました(2008年以降、同社の取組みは野村證券へ

内外の企業のLGBT施策について

PRIDE指標2017レポート

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と受け継がれていきます)

 2007年4月、『日経ビジネス』誌に「LGBT 眠れる市場を掘り起こせ」という特集が掲載されました。これはLGBTコミュニティでも反響を呼び、「新しい時代の訪れ」を予感させるものとなりました。2008年には『ゲイ・マネーが英国経済を支える!?』(入

江敦彦:著、洋泉社新書)が発刊され、2010年代には『GQ』『東洋経済』『週刊ダイヤモンド』誌などが相次いでLGBT市場を特集し、ビジネス界でもLGBTが認知されるようになってきました。

 2012年、日本IBMが国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチと共同で「work with Pride」を初開催。日本の企業でLGBTの人々が自分らしく働ける職場づくりを進めるための情報を提供し、各企業が積極的に取り組むきっかけを生み出す場となりました。

 2013年末、男女雇用機会均等法のいわゆるセクハラ指針が改正され(2014年7月に施行)、「職場におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれる」と明示されました。同時に、セクハラについての政府の会議において、厚労省が「性的マイノリティに対する差別もセクハラとみなす」と明言しました。このことによって、LGBT差別が横行する企業はコンプライアンスのレベルで問題があると言えるようになりました。

 2014年、東洋経済新報社が上場企業を中心とする約1100社のCSRの取り組みをまとめた「CSR企業総

覧」およびそのデジタル版「CSRデータ」に「LGBTに対する基本方針の有無」と「LGBTに関する何らかの取り組みの実績」という項目が盛り込まれるようになりました。結果、114社がLGBTに対する基本方針があると、80社がLGBTに関する何らかの取組みを行っていると回答しました。最新の2017年版では「基本方針あり」が207社まで増えています。

 2015年には、渋谷区で同性パートナーシップを婚姻関係と同等に認める画期的な条例が施行され、区内の企業もLGBTを平等に扱う努力を迫られるようになったことを受け、様々な企業で同性パートナーを家族とみなすような画期的な取組みが実施されるようになりました。(なお、同性パートナーシップ証明制度は、世田谷区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、那覇市、札

幌市でも実施され、全国に広がりを見せつつあります)

 2017年4月、性的指向・性自認に関する差別の禁止が盛り込まれた「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した調達コード」が発表され、東京五輪に関わる企業はすべてLGBT施策の実施を求められることになりました。同年5月には、経団連が会員企業に対してLGBTについてのダイバーシティ&インクルージョン施策を実施するよう提言しました。

 このように、欧米に比べるとスタートは遅めですが、日本でも近年、急速にLGBT施策に取り組む企業が増えてきており、LGBTフレンドリー化(アライ

化)が進んでいます。

PRIDE指標2017レポート

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「PRIDE指標」とは

 日本で初めてとなる、LGBTに関する企業等の取組みの評価指標です。LGBTが誇りを持って働ける職場の実現を目指し、名称を「PRIDE指標」といたしました。

●「PRIDE指標」公開場所http://www.workwithpride.jp/pride.html

「PRIDE指標」の内容

 先行する海外のLGBT施策指標を参考にしながら、企業等の団体がLGBTに関して共通して実施できるような取組みを行動宣言(差別禁止規定等)、当事者コミュニティ、社内啓発活動(研修等)、人事制度・プログラム(福利厚生等)、社会貢献・渉外活動と大まかに5つに分類しました。さらに、5つの評価指標の名称をPRIDEの各文字に合わせて、1.Policy

(行動宣言)、2.Representation(当事者コミュニティ)、3.Inspiration(啓発活動)、4.Development(人事制度・

プ ログ ラ ム )、5.Engagement/Empowerment( 社 会 貢

献・渉外活動)といたしました。巻末に今年の「PRIDE指標」の全文と募集要項を掲載しておりますので、あわせてご覧ください。 指標内容は、日本企業の取組み状況に応じて、年単位で適宜、見直しを行う予定です。

「PRIDE指標」の目的

 wwPは「企業等の枠組みを超えてLGBTが働きやすい職場づくりを日本で実現する」ために活動して

きましたが、その一環として「PRIDE指標」を以下の目的で活用することを考えています。

① 企業等に、LGBTが働きやすい職場の要件を認識してもらい、社内施策を推進するためのガイドラインとしてご活用いただくこと。

② 毎年、本指標に対する企業等の取組み状況や取組み事例を募集し、優れた企業を表彰することで、LGBTが働きやすい職場づくりを応援すること。

③ 募集した取組み事例の中からベストプラクティスを可能な範囲で公開し、LGBTが働きやすい職場づくりの定着状況や具体的な方法を、広く社会に認識していただくこと。

「PRIDE指標」策定の経緯

 wwPは、2012年よりLGBTに関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着の支援を目的としたセミナー「work with Pride」を開催してまいりましたが、2015年のセミナーにおいて、問題のさらなる認知と制度の定着を目指し、海外でもすでに実施されている企業等のLGBT施策を評価する指標を日本でも実施したらどうかという企画を発表したところ、多くの方にご賛同いただけました。 そこで、2015年12月に24の企業・団体有志にご参加いただいてワーキンググループを立ち上げ、数ヶ月かけて検討を行い、2016年春に指標の内容や運営方法をまとめ、6月に募集要項をリリースいたしました。

「PRIDE指標」について

PRIDE指標2017レポート

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総評

図1●ゴールド/シルバー/ブロンズ内訳

図2●応募企業・団体の内訳[企業・団体規模] 図3●応募企業・団体の内訳[業界別]

2016年

2016年 2017年 2017年

2017年

 本年で2回目となるPRIDE指標の表彰制度ですが、ここ数年の社会におけるLGBTに対する認知度および受容度の高まりから、最終的に110社もの企業・団体の皆様からご応募いただきました。 PRIDE指標2017は、初年度と大枠は変更せずに、1.Policy(行動宣言)、2.Representation(当事者コミュニ

ティ)、3.Inspiration(啓発活動)、4.Development(人

事 制 度・ プ ロ グ ラ ム )、5.Engagement/Empowerment(社会貢献・渉外活動)、それぞれの指標について2016年10月1日~ 2017年9月30日の間に実施した応募企

業・団体の取組みが各指標における各項目を2つ以上満たしていれば1点として、5点満点はゴールド、4点はシルバー、3点はブロンズという3段階で表彰いたしました。 応募いただいた110社のうち、ゴールドを受賞したのが87社で一番多く、次いでシルバーが15社、ブロンズが8社という結果です。昨年度は全体におけるゴールド受賞社の占める割合が65%であったのに対し、今年は79%と大幅に増えており、ゴールド受賞社数も2016年の53社から今年は87社と昨年の約1.6倍となっています。(図1)多くの企業等において5点満点獲得に向けて社内施策を進めてこられた様子が見てとれ、新たに取組みを始めた企業の姿も少なくないことが見てとれます。 また、昨年はブロンズの受賞だった企業が今年はシルバーやゴールドを受賞したり、昨年度シルバー受賞だった企業の多くがゴールドを受賞していることを見ても、継続的にLGBT関連施策に取り組んでいる企業が多いことがうかがえます。 企業規模としては、全110社のうち、大企業が88社、中小企業が22社となっています。この大企業:

ゴールド65%[53社]

大企業79.3%

大企業80%

中小企業20.7%

中小企業20%

ゴールド79%[87社]

シルバー24%[20社]

シルバー14%[15社]

ブロンズ7%[6社]

ブロンズ7%[8社]

26

2120

12

76 6

42 2 2 1 1

情報通信

金融/保険

製造

サービス業

(他に分類されないもの)

卸売/小売

運輸/郵便

学術研究/専門・技術サービス

宿泊/飲食サービス 建

不動産/物品賃貸

教育/学習支援

電気/ガス/熱供給/水道

生活関連サービス/娯楽

その他 4%

PRIDE指標2017レポート

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図4●各指標における得点企業の割合

図5●ベンチマーク

2016年 2017年

中小企業=8:2という割合に、昨年からほぼ変化がありません。大企業の方が中小企業に比べて人事施策を整備する人的および金銭的資源に余裕があることと、従業員数を見た際に、大企業の方が圧倒的に多くの従業員を有しておりLGBT社員の数もその分多いであろうと推測されることから、LGBT関連施策を喫緊の課題と考えていることが想定されます。(図2)

 応募企業等の業界ごとの数では、上位3つは、情報通信業、金融・保険業、製造業となりました。昨年度は製造業の占める割合が全体の14%だったものの、今年は18%と若干増えており、日本の伝統的な企業等においてもLGBT関連施策の重要性について意識が高まっていることが考えられます。(図3)

 5つの指標それぞれで得点した企業の割合は、指標Pが99.1%、指標Rが92.7%、指標Iが100%、指標Dが95.5%、指標Eが84.5%となりました。指標Pはほぼ100%、指標Iは100%であり、行動宣言や啓発活動

(研修等)については初めの一歩として取り組みやす

いものとなっていることがわかります。指標Rの当事者コミュニティについては、昨年は相談窓口が設けてあれば1点獲得だったところ、今年はチェック項目2つ以上で1点となったため、相談窓口開設に比べて、社内コミュニティの設立やアライの活動推進は少し難易度が高くなっていると考えられます。一方で、指標Dの人事制度・プログラムと指標Eの社会貢献・渉外活動については、昨年と比べて得点した企業の割合は増えています。(図4)

 今年、各指標内の評価項目をチェックリスト化したことで、必要な取組みにおける不足部分が明確に見えるようになりました。来年以降、ベンチマークとして上記の表も役立てていただければ幸いです。

(図5)

 さらに、お送りいただいた取組みの内容から、PRIDE指標運営委員会が特筆すべき(特に優れてい

る、あるいはユニークである)と判断した事柄について、指標ごとに「ベストプラクティス」として掲載させていただいております。ここでご紹介した内容

  評価項目数 最大値 最小値 平均値 中央値指標P 行動宣言 8 8 0 5.2 5指標R 当事者コミュニティ 4 4 0 2.5 2.5指標 I 啓発活動 14 14 2 9.2 9指標D 人事制度・プログラム 18 18 0 7.7 7指標E 社会貢献・渉外活動 5 5 0 2.8 3

①Policy 行動宣言� 91.4% ①Policy 行動宣言� 99.1%

②Representation 当事者コミュニティ� 97.5% ②Representation 当事者コミュニティ� 92.7%

③Inspiration 啓発活動� 98.8% ③Inspiration 啓発活動� 100.0%

④Development 人事制度・プログラム� 88.9% ④Development 人事制度・プログラム� 95.5%⑤Engagement/Empowerment 社会貢献・社外活動� 77.8% ⑤Engagement/Empowerment

 社会貢献・社外活動� 84.5%

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が各企業等の取組みのすべてというわけではなく、誌面の都合から、上記の特筆すべき事項のみを掲載しております。多くの企業等の皆様から詳細に取組みの内容をお寄せいただいたものの、ご紹介しきれなかったものもたくさんあります。今後の取組みのご参考になればと願うものです。 昨年は、各指標全体を通してのベストプラクティスとして、ライフネット生命保険の指標E: Engagement / Empowermentの取組みを選定しました。今年は、より多くの企業・団体等からご応募いただき、ベストプラクティスを絞り込むのも困難を極めたことから、5つの指標それぞれのベストプラクティスから、1つずつ特に優れた取組みを選定し、各ページにて★マークを付しています。 指標P(Policy: 行動宣言)は、国立大学法人筑波大学の取組みです。大学の方針を明文化しインターネットで公開していること、方針の対象者は学生教職員を問わず全構成員としていて、大学から見た顧客である学生に対する方針も明示されていることを評価しました。 指標R(Representation: 当事者コミュニティ)は、日本たばこ産業株式会社の取組みです。全役員がレインボーフラッグを机上に設置しています。全役員の共感を得ることは未だに大変ハードルが高いと考えられるなか、この取組みは評価に値します。インクルージョンを進めるにはボトムアップとトップダウン双方からのアプローチが有効です。 指標I(Inspiration: 啓発活動)は、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループの取組みです。スピリット・デイ(LGBTの若者がいじめを受けない社会を

つくろうという意思表示のため紫を身に着ける日)を全社員に向けてアナウンスし、その中で、性的指向・性自認に関する不適切な発言がハラスメントになりうることも伝えています。IDAHOT(International Day

Against Homophobia, Transphobia and Biphobia)は知られてきていますが、スピリット・デイをいち早く会社

として取り入れて実践していることを評価しました。 指標D(Development: 人事制度、プログラム)は、スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社の取組みで、「性別適合手術のための特別休暇」制度を導入している点です。トランスジェンダー社員への施策は、個別対応または申請があったら適宜対応という企業・団体が少なくない中、プライバシーにも配慮した制度として導入した点を評価しています。日本企業では数年単位で担当者が変わることも少なくないですが、制度として明示的に導入されていれば、運用が恣意的かつ属人的になるのを防ぐ効果が期待できます。 指標E(Engagement / Empowerment: 社会貢献・渉外活

動)は、株式会社NTTドコモの取組みで、CSR広告「For One’s」を展開していることです。CSR活動としてLGBTへの言及等をしている企業・団体は多いものの、Web上のみならずテレビCMとして放映したことによる影響力・波及効果を評価しました。

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受賞企業・団体一覧

ゴールド[5点満点獲得]

製造

オムロン株式会社キリン株式会社*

サントリーホールディングス株式会社株式会社資生堂ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループソニー株式会社*

株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社日産自動車株式会社日本たばこ産業株式会社パナソニック株式会社富士通株式会社ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社*

株式会社LIXIL

電気・ガス・熱供給・水道

関西電力株式会社

情報通信

アクセンチュア株式会社NTTアドバンステクノロジ株式会社NTTコミュニケーションズ株式会社株式会社NTTデータ株式会社NTTデータ関西株式会社NTTドコモNTT西日本グループ*

株式会社NTTファシリティーズKDDI株式会社ソフトバンク株式会社日本アイ・ビー・エム株式会社日本オラクル株式会社日本電信電話株式会社東日本電信電話株式会社(NTT

東日本グループ)*

freee株式会社株式会社ペンシル株式会社ミクシィ楽天株式会社

運輸・郵便

株式会社NTTロジスコ*

全日本空輸株式会社東京急行電鉄株式会社日本航空株式会社日本トランスオーシャン航空株式会社東日本旅客鉄道株式会社

卸売・小売

株式会社ストライプインターナショナルソニーコンスーマーセールス株式会社ソニーマーケティング株式会社ソニーリージョナルセールス株式会社株式会社丸井グループ株式会社ラッシュジャパン

金融・保険

アフラックNTTファイナンス株式会社株式会社かんぽ生命保険ゴールドマン・サックスシティ

全110社(うち社名非公開企業2社)

PRIDE指標2017レポート

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第一生命保険株式会社ドイツ証券株式会社日本生命保険相互会社日本におけるAIGグループ*

野村ホールディングス株式会社株式会社みずほフィナンシャルグループ*

株式会社三井住友銀行三井住友信託銀行株式会社明治安田生命保険相互会社モルガン・スタンレーUBSグループライフネット生命保険株式会社株式会社りそなホールディングス

不動産・物品賃貸

NTT都市開発株式会社株式会社三好不動産

学術研究・専門・技術サービス

EY Japan*

外国法共同事業法律事務所 リンクレーターズスピリタスグループハーバート・スミス・フリーヒルズ外国法事務弁護士事務所株式会社プラップジャパンFreshfields Bruckhaus Deringer

宿泊・飲食

K a f u u R e s o r t F u c h a k u CONDO・HOTELスターバックス コーヒー ジャパン 株式会社株式会社ニューキャンバス株式会社パームロイヤル

生活関連サービス・娯楽

株式会社遊楽

教育学習支援

NTTラーニングシステムズ株式会社国立大学法人筑波大学

サービス(他に分類されないもの)

株式会社アウト・ジャパン株式会社エフネス證大寺株式会社トロワ・クルール株式会社Nijiリクルーティングフェリカネットワークス株式会社株式会社ミライロ株式会社リクルートスタッフィング株式会社リクルート住まいカンパニー

*はグループ会社での応募。キリン株式会社=キリン株式会社、キリンビール株式会社、キリンビバレッジ株式会社、メルシャン株式会社ソニー株式会社=ソニー株式会社、ソニービジュアルプロダクツ株式会社、ソニービデオ&サウンドプロダクツ株式会社、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社、ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社、ソニーストレージメディアソリューションズ株式会社株式会社みずほフィナンシャルグループ=株式会社みずほフィナンシャルグループ、株式会社みずほ銀行、みずほ信託銀行株式会社、みずほ証券株式会社、みずほ情報総研株式会社ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社=ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社、ユニリーバ・ジャパン・サービス株式会社、ユニリーバ・ジャパン株式会社、ユニリーバ・ジャパン・ビバレッジ株式会社株式会社NTTロジスコ=株式会社NTTロジスコ、株式会社NTT・ロジスコサービス、株式会社NTT・ロジスコインフォメーションサービス日本におけるAIGグループ=AIGジャパン・ホールディングス株式会社、AIGビジネス・パートナーズ株式会社、AIU損害保険株式会社、富士火災海上保険株式会社、アメリカンホーム医療・損害保険株式会社、AIGアセット・マネジメント株式会社、AIG富士インシュアランスサービス株式会社、テックマークジャパン株式会社、AIGテクノロジーズ株式会社EY Japan=新日本有限責任監査法人、EY税理士法人、EYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社NTT西日本グループ=西日本電信電話株式会社、NTTビジネスソリューションズ株式会社、株式会社NTT マーケティングアクト、株式会社NTTフィールドテクノ、株式会社NTT ネオメイト、株式会社NTT・ビジネスアソシエ西日本、NTT西日本ビジネスフロント株式会社、NTT・メディアサプライ株式会社、NTT・スマートコネクト株式会社、NTT・ソルマーレ株式会社、株式会社NTTスマイルエナジー、株式会社NTT西日本アセット・プランニング、テルウェル西日本株式会社、株式会社NTT西日本ルセントNTT東日本グループ=NTT東日本-南関東、NTT東日本-関信越、NTT東日本-東北、NTT東日本-北海道、NTT-ME、NTT東日本サービス

PRIDE指標2017レポート

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シルバー[4点獲得]

ブロンズ[3点獲得]

製造

武田薬品工業株式会社

建設

株式会社クボタソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社

情報通信

NTTクラルティ株式会社

建設

清水建設株式会社

製造

ソニーエナジー・デバイス株式会社ソニーストレージメディアマニュファクチャリング株式会社株式会社ビクセン

情報通信

ソニーグローバルソリューションズ株式会社株式会社富士通エフサス

複合サービス

ソニーピーシーエル株式会社

サービス(他に分類されないもの)

株式会社セプテーニ・ホールディングス    

NTTコムウェア株式会社キャスレーコンサルティング株式会社コネクシオ株式会社ネットイヤーグループ株式会社

金融・保険

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

三井住友海上あいおい生命保険株式会社三井住友海上火災保険株式会社

サービス(他に分類されないもの)

NTTビジネスアソシエ株式会社株式会社リクルートマーケティングパートナーズ

PRIDE指標2017レポート

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Pベストプラクティス[Policy=行動宣言]評価指標

指標Pでは、差別禁止は多くの企業・団体で定められていることから、競争力の向上や社員の活躍等どのような観点で方針を設けているのかを明示して定めている、経営者がコミットを示している、全社員または求職者に方針を周知している、といった観点で選定。

★国立大学法人筑波大学は、「筑波大学におけるLGBT等の性自認及び性的指向を理由とした差別の禁止及び解消に関する基本理念」として大学の方針を明文化の上インターネット等で公開し、対象を「学生、教職員を問わず全構成員」とし大学における顧客である学生に対する方針を明示しています。

株式会社ミクシィは、社内規程・規則等において、性的指向や性自認に関連した差別やハラスメント行為の禁止と並んで、社員が性的指向や性自認を理由とする差別やハラスメント行為を受けたことを会社に申し出たことを理由とした不利益な取扱いの禁止を定めています。

株式会社みずほフィナンシャルグループは、「ダイバーシティ&インクルージョンステートメント」の中で「LGBTなどの性的少数者の社員が、不利益を感じることなく、当たり前に存在する一つの個性として他の社員と同等に働き、活躍し続けることができるよう、人事制度や福利厚生、相談窓口設置などの環境整備を行うとともに、研修などでLGBTに関する理解浸透を図り、全ての役員・社員の意識改革を進めること」を経営トップがコミットし、社内外に公表しています。

アフラックは、全役職員が携行する「アフラック日本社 行動倫理憲章」の中で、多様性の確保及び「性的指向」

「性同一性」による差別は行わないことを明記しています。社内に対しては、全役員・管理職が集まる全社会議でLGBTに関する対応方針を人事担当役員より説明し、全社員にも周知しています。社外に対しては、「お客様向け対応法方針」「社内向け対応方針」に関してニュースリリースを行っています。また、会社の事業活動や業績を記載した「ディスクロージャー誌」にも対応方針を明記しています。

EY Japanは、IDAHOTには経営トップらが紫色のアイテムを身に着け、メッセージを写真付きでイントラに掲載しています。また自社制作ビデオ

「Be Yourself ~自分らしくいよう」ではLGBTの若者を励ますメッセージを述べるなど、経営トップ5名が自らLGBTを全力で支援することを明言しています。

株式会社かんぽ生命保険は、企業HP上の「ダイバーシティの推進」で「性的指向、性自認に捉われず、多様な人材が働きやすい職場をつくることで社員一人ひとりが明るく生き生きと活躍できるよう、継続的に取り組んでいきます」と明記しました。また、「人事管理手続」等において、性的指向や性自認に関わらずハラスメント排除や相談対応を行うことを規定しており、全社員に対する唱和用カードの配付、全拠点におけるポスターの掲出などを通じて社内に周知しています。

日本アイ・ビー・エム株式会社は、全世界共通のIBM社員が遵守すべき行動基準「IBM ビジネス・コンダクト・ガイドライン」で、「性別、性同一性、被服や容貌その他によって示される性別表現、性的指向、その他IBMの正当なビジネス上の利益とは関係のない要因に基づく差別や嫌がらせ」を禁止する

ことを明文化し、全社員が毎年この規範について研修を受講し、同意するようにしています。また、ビジネス・コンダクト・ガイドラインではお客様や取引先に対する方針についても明文化し、社外にも公開しています。

清水建設株式会社は、企業HPにも掲載されているシミズコーポレートレポート2017において、経営トップが「性自認や性的指向(LGBT)にかかわらず、すべての人が活き活きと働き、楽しむことのできるインクルーシブな社会の実現を目指して、ダイバーシティ経営を推進して参ります」とのメッセージを発しています。

NTT東日本 グ ループは、採用HP内にダイバーシティ推進室長からのメッセージを次のとおり掲載しています。

「性別や年齢、人種、国籍、障がいの有無、性的指向、性自認を問わず、様々な社員が自らの能力・個性を最大限発揮し、絶えず変化する市場に柔軟に対応していくことが、NTT東日本の競争力の向上につながっていくと考えています。」

株式会社丸井グループは、労働協約「差別待遇の禁止」に「性自認、性的指向を理由に差別的取扱いをしない」という文言を追加しました。

富士通株式会社は、富士通の価値観や行動の原理原則を示した「FUJITSU Way」において、性的指向などによる不当な差別やセクシュアルハラスメントなどの人権侵害行為の禁止を示し、社内外に広く公開し、全世界の社員が法令と「FUJITSU Way」を遵守するための手引き「Global Business Standards」も20ヶ国語で展開し、グループで統一的に運用しています。

PRIDE指標2017レポート

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Rベストプラクティス[Representation=当事者コミュニティ]評価指標

指標Rでは、従業員ネットワークがイベント開催のみならず継続的に活動を続けている、具体的にアライを増やす取組みを戦略的に実施している、社内および社外双方に当事者のみならず同僚や上司も相談できる窓口があり、相談者や被害者の権利が守られている、といった観点で選定。

ジョンソン・エンド・ジョンソン日本 法 人 グ ル ープは、有 志の当事者及びアライの社員によるグループ

「Open&Out(O&O)」を結成し、LGBTの社員に対し社内コミュニティを提供するほか、LGBTに関する問題と知識に関しての意識醸成や啓発活動などを行っています。この取組みは社長会でも大きくサポートされており予算をもって活動を行っています。

株式会社丸井グループは、LGBT関連を含む仕事や自分、家族についての悩みなど幅広い相談ができる社外相談窓口や、LGBTに関する仕事上の悩み相談(当事者のみならず同僚からも受付)ができる社内相談窓口を設けています。

株式会社NTTドコモは、ドコモグループ全社員に向けてLGBTを理解するためのeラーニングを実施すると同時に無記名の意識調査も実施しています。

ドイツ証券株式会社は、LGBTとアライの社内ネットワーク「DB Pride」では女性・ファミリー等ほかのネットワークとの連携も積極的に行っています。

モルガン・スタンレーは、アライカードを希望者に配布し、各自のデスク等

にカードを置くことでアライ顕在化を図っています。 毎 年IDAHOTには、CEOがメールで全社員にアライとしてできること(紫の物を身に付ける、アライカードをディスプレイする、ネットワークのメールグループに参加する)を具体的に伝えています。

パナソニック株式会社は、社内イントラネット上に「アライになろう」サイトを開設し、アライ講座や社内の取組み・イベントの情報発信等を通じてアライを増やす取組みを実施したり、アライシールを制作して希望者に配布しています。

株式会社ミクシィは、社外の弁護士・労務担当が窓口として機能している相談窓口において、相談を受けた者は、本人の許可なく第三者に公表してはならないとも規程・規則で定めています。

株式会社みずほフィナンシャルグループは、社内窓口では人事制度や職場での配慮等を中心とした相談を受け付け、社外窓口では外部専門家に委託し、セクシュアリティ、生活、医療・健康、法律相談など幅広い相談を電話で受け付けています。

全日本空輸株式会社は、キャリアカウンセリング資格者によるLGBT専用相談窓口を設けており、相談員は社内LGBT当事者もおり、相談員の選択が可能(対面、メール、電話、匿名での対応も可能)です。年一回、個人的事情を会社に伝える面談の場を設定しており、上司を経由せず人事部のみに相談することも可能です。(本人の自由意思によるものでカミングアウトを促進するものではありません。)

株式会社LIXILは、LGBTについて正しく理解した上でサポートしたいという意思のある人がアライとして登録でき、LGBT勉強会に参加した従業員(経営幹部含む)の約55%がアライ登録。登録者にはバッジやシールを配布してストラップやPC、ノートに貼ってもらうようにしています。

富士通株式会社は、「性的指向、性自認等に関して、職場環境に配慮・調整を求める場合等も、広く相談を受け付けます」と明記した「人権に関する相談窓口」を本社だけでなく各地区事業所にも設置しています。そのほか、無記名の従業員意識調査では、性的マイノリティに関するものも含め職場で感じた違和感や問題点等を聞いています。

株式会社NTTデータは、社内に「LGBT等相談窓口」を設け、決められた担当者のみが閲覧できるようにしているほか、社内で相談することに抵抗がある場合を考慮し、社外のカウンセリングサービスも用意しています。

★日本たばこ産業株式会社は、アライの顕在化を目的に、LGBTのeラーニング受講後、理解度テスト合格者に対してレインボーシール等を配付しているほか、全役員がレインボーフラッグを机上に設置しています。

NTT東日本グループは、全従業員に対してeラーニングでの研修を実施し、併せて意識調査や意見集約を目的としたアンケートも実施しています。また、社内外に相談窓口を設けています。

PRIDE指標2017レポート

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Iベストプラクティス[Inspiration=啓発活動]評価指標

指標Iでは、必須の研修に組み込んで継続的に実施している、全社員を対象としている、従業員が参照できる素材が配布されているまたはアクセスしやすいところに設置されている、といった観点で選定。

株式会社丸井グループは、基礎知識だけでなく、各事業所での具体的アクションに応じて、当事者による接客ロールプレイングやデプスインタビューも盛り込んだLGBT研修を実施しています。 

日本たばこ産業株式会社は、全グループ従業員、人事担当者、管理職、役員を対象にLGBTを講師としたセミナーを開催し、カミングアウトを受けた場合などを想定したロールプレイを通じて、配慮すべきポイントを伝えています。採用活動従事社員向けには対応マニュアルを配付しています。

オムロン株式会社は、毎年12月の人権週間に行う全従業員に対する人権研修の中で、LGBT研修を継続して実施し、毎年の学習コンテンツは社内の理解浸透度を確認しながらプログラムを進化させています。

★ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループは、毎年10月に「Spirit�Day」(若年のLGBTがいじめを受けない社会を作ろうという意思表示のため、パープルのリボンを身に着ける)を設け、LGBTに対する不適切な発言がハラスメントとなりうることを全社員に伝えています。

富士通株式会社は、様々な人権課題やダイバーシティの考え方とともに、

性の多様性について取り上げたリーフレットを作成し、グループ全社員に配付しています。

日本航空株式会社は、全社員に対するeラーニング研修等のほか、評価者研修、新入社員や中途雇用社員の雇用時の研修にもLGBTのことを盛り込んでいます。また、機内や空港窓口でお客様と接する機会が多い社員や教官を対象に、複数の当事者を講師に招いた研修を実施し、グループワークや演習を行うとともに、カミングアウトされた場合の対応、不適切な発言がセクハラに該当すること等も教育しています。また、社内報において定期的に社内で開催したLGBTイベント等について共有し、社内での啓発を行っています。

パナソニック株式会社は、人事(基礎編、実践編)、管理職(ダイバーシティマネジメント研修の一つの項目として)、全社員(動画教材)、新入社員

(基礎知識および自社の対応)、家電コンシューマ事業部門(お客様としてのLGBT)など階層別、職種別にLGBT研修を実施しています。

日本アイ・ビー・エム株式会社は、従業員へのLGBT研修だけでなく、カミングアウトを考えている当事者に向けた研修ツールも公開しています。

キリン株式会社は、人事部門に対しては着任時にダイバーシティ担当等からLGBTについての研修を行っています。

全日本空輸株式会社は、グループの全社員がeラーニング等のLGBT研修を受けており、研修内容は受講者アンケー

ト結果を参考に毎年見直しを実施しています。またグループ各社社長を対象としたLGBTセミナーも開催しています。 

アフラックは、全管理職が集う全社会議の場で外部講師を招聘し、基礎知識や他企業事例等を学んでいます。また、LGBTについてのeラーニングを全社員受講必須としており、全問正解するまでコースが修了できない確認テストも併せて実施し、社員の理解を促進しています。

EY Japanは、社内各オフィスにLGBTAネットワーク「Unity�Japan」のポスターを掲示しているほか、Unityが季刊配信するニューズレターではカミングアウトしている役員やアライのインタビュー、イベント周知や参加報告、国内外のLGBT関連のニュースなどを提供しています。

東日本旅客鉄道株式会社は、グループの社員・家族が購読する社内広報誌において、LGBTに関する情報を継続発信しているほか、イントラネット上の双方向コミュニケーションツールである

「ダイバーシティ・コミュ」において、支社や職場単位のLGBTに関する取組みの好事例を共有しています。

国立大学法人筑波大学は、ダイバーシティ部門のHPや教職員専用サイト等で、セミナー・研修会等に関する情報を発信するとともに、各部局、教育組織等でのポスターやチラシの掲示、年間報告書等での活動の報告等も行い、学内外への啓発に取り組んでいます。

PRIDE指標2017レポート

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Dベストプラクティス[Development=人事制度・プログラム]評価指標

指標Dでは、評価項目として定めた事柄よりも進んで、企業・団体独自に同性パートナーシップ証明書を発行している、トランスジェンダー社員の性別移行に対して個別対応する旨を規程等で定めている、性別適合手術のための休暇制度がある等の独自の取組みを実施している企業・団体を選定。

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社は、社宅、単身赴任、あいムーブ(地域限定型社員が配偶者の転勤等により転居せざるをえないケースにおいて、転居先での継続勤務を申請できる制度)、海外駐在等の結婚関連諸制度を、同性パートナーについても適用しています。

ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループは、同性パートナーを持つ社員に対し、申請に応じて「同性パートナーシップ証明書」を発行し、この証明書を取得した社員は、配偶者を持つ社員が受けられる各種福利厚生を同様に受けられるようにしています。トランスジェンダー社員については、必要に応じて戸籍上の性別と社内での性別の2種類を人事情報として登録できます。

株式会社リクルート住まいカンパニーは、同性パートナーを配偶者として認めている旨の証明書を発行しています。

Freshfields Bruckhaus Deringerは、異性カップルが支給を受けられる福利厚生はすべて、同性カップルも支給が受けられるようにしています。

モルガン・スタンレーは、従業員のパートナーが異性か同性かに関わらず、同等に福利厚生を提供しています。

★スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社は、性別適合手術を受けるために連続して5労働日以上にわたって就業が困難であると会社が認めたとき、勤続年数に応じた日数の休暇(有給)を取得できる「性別適合手術のための特別休暇」制度を導入しています。

株式会社ニューキャンバスは、全従業員があらゆる場面で自身の望む性別で過ごせるようにしています。健康診断等、別の機関とのやりとりが発生する場合も、望む性別で受診できるよう手配するほか、性別適合手術を受ける際には他の従業員全員が協力して休みを取りやすいようサポートしています。

楽天株式会社は、トランスジェンダーの従業員に対し、服装や社内通称名等について本人が希望する性別を尊重しており、上司を経由せず、限られた人事部等のメンバーだけに申請できるようにしているほか、希望があれば、人事部およびLGBTネットワーク担当者が、本人にガイダンスやディスカッションを設定します。また、ジェンダーに関わらず利用できる多目的トイレを全フロアに設置しているほか、健康診断に関する個人対応も可能です。

株式会社みずほフィナンシャルグループは、同性パートナー登録の届出があった場合、同性パートナーを配偶者と読み替え、各種人事制度、福利厚生(遺族年金の受取人指定等を含む)を受けられるようにしています。 

野村ホールディングス株式会社は、グループ保険で同性パートナーを死亡保険金受取人として指定できるようにしました。また、トランスジェンダー社員への対応(性別適合手術を受ける際の対応、通称名、休暇制度、寮、更衣

室、服装、トイレ、上司や同僚への理解促進、支援体制等)に関する会社の方針と制度を明確に説明したガイドラインを策定したほか、当事者と人事もしくは上司が面談する際のシートを作成し、情報の公開範囲を当事者が選択できるようにしています。 

日本アイ・ビー・エム株式会社は、トランスジェンダーへの配慮として、誰でも使用できるトイレを本社事業所の全フロアに設置し、服装、通称名、健康診断についても本人の望む性別を尊重しています。内定者からトランスジェンダーであると申告があった際にはダイバーシティ部門、産業医、労務、研修、健保組合、関連会社人事等と連携し、入社時健康診断等に対応しました。

株式会社資生堂は、男性・女性どちらからでもアクセス可能な共用のトイレのサイネージを、性別・障がいの有無などにこだわらない表示に変更し、本社機能を持つオフィス(汐留)の全フロアに展開しています。

キリン株式会社は、トランスジェンダー従業員が希望すれば、居室その他の環境面での配慮を、人事総務部のアドバイスを受けながら個別に実施するよう、公式文書で明確にしています。

東日本旅客鉄道株式会社は、トランスジェンダーの社員に対し、本人の希望する性別の制服を貸与しています。 

日本オラクル株式会社は、社内規程で、社員が死亡したときの生命保険金の受給者を、社員本人からの書面による申出により会社が承認した場合のみ、配偶者またはその他親族以外にも変更できるようにしました。

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Eベストプラクティス[Engagement/Empowerment=社会貢献・渉外活動]評価指標

指標Eでは、各地のプライドパレードや映画祭への協賛やLGBT関連団体への支援は多く見られたため、自業界全体への働きかけや他企業の巻き込み、地域や次世代への支援を実施している、といった観点で選定。

ソニー株式会社は、東京レインボープライド2017に協賛し、ソニービジョン渋谷スクリーンに「Proud�LGBT�Ally」のメッセージを掲載しました。また、全社員にイベントへの参加を呼びかけました。また、経団連「女性の活躍推進委員会」企画部会でグループの取組み事例を紹介し、「経団連タイムス」で記事になったほか、社外団体の啓発活動にも積極的に参画しています。

日本アイ・ビー・エム株式会社は、複数の大学からの要請に応じてダイバーシティの出前授業を行っており、その中で必ずLGBTについて時間を割いています。また、2017年は新たな試みとして、積極的にアライ活動を展開している6つの企業・団体とともにアライフォーラムを公に開催し、各社・団体の事例紹介やテーブルディスカッション等を行いました。

株式会社パームロイヤルは、総支配人が一般財団法人沖縄県コンベンションビューローでのLGBT等に配慮するための提言を行うワーキング委員会の発足に寄与し、委員長に就任しました。県内の各種協会や組合、委員会等の活動においてLGBTについての講演を多数行っています。

★株式会社NTTドコモは、CSR広告としてLGBTにも言及した「For�One's」を製作し、WebやテレビCMでの放映を実施しています。また、NPO法人ReBitの「LGBT(性的マイノリティ)の子ども/若者のための自立就労支援」に対し、助成を実施しました。

キリン株式会社は、飲料業界大手4社で構成する「ビール4社会」において、幹事会社として、LGBTのインクルージョンにかかわる意義や取組みについて説明・共有し、各社の取組みや業界としての情報連携等について働きかけを行いました。

オムロン株式会社は、関西圏12大学からLGBTサークル等に所属する学生を集めた情報交換会を社外団体と共催し、関西企業8社の人事・採用担当者出席への働きかけ等も行いました。

株式会社資生堂は、経団連で約100名の人事/労務担当者に対し、資生堂におけるLGBT支援活動について講演を行ったほか、経団連の「女性活躍推進委員会」でも同様の講演を行いました。

ライフネット生命保険株式会社は、「LGBT当事者の意識調査~いじめ問題と職場環境等の課題~」を委託し、調査結果を対外発信しました。

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社は、Ben&Jerry'sブランドで毎年バレンタイン&ホワイトデーに「アイをフェアに伝えよう」というキャ

ンペーンを実施し、店舗でもフェアラブを謳った商品を出品しています。また、毎年全国のLGBT成人式に協賛し、Ben&Jerry'sブランドのアイスクリーム等を配布しています。 

株式会社リクルート住まいカンパニーは、全国賃貸住宅フェアでLGBTフレンドリー検索フラグの推進パンフレットを配布しています。

株式会社LIXILは、トイレの様々な課題の解決に貢献するため、金沢大学、コマニーと共同で「オフィストイレのオールジェンダー利用に関する研究会」を発足させ、活動を行っています。

富士通株式会社は、取引先を対象とした研修会や汐留地区周辺企業の交流会において、LGBTを含む自社のダイバーシティの取組みを紹介しました。また国連グローバル・コンパクト分科会活動としてLGBT研修資料を作成し、所属業界を越えて会員企業と共有しています。

スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社は、東京レインボープライド2017の開催日に近隣の店舗でオリジナルレインボーステッカーを掲示し、支援を表明しました。また、シンポジウム等で他企業に積極的に自社の制度を紹介し、影響力を発揮しました。

PRIDE指標2017レポート

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巻末資料1 

PRIDE指標 全文

2017 年 6 月 9 日 任意団体 work with Pride

v1.1

1

PRIDE 指標

1.<Policy: 行動宣言>評価指標 会社として LGBT 注 1 等の性的マイノリティに関する方針を明文化し、インターネット等で

社内・社外に広く公開していますか。 • 方針には以下の内容を含むものとする:性的指向注 2、性自認注 3(または、同等の意味を

持つ別の言葉)に基づく差別をしない(または、尊重する)。 • 単独の方針でも、行動規範や人権方針、ダイバーシティ宣言等の一部に含まれていても

よい。 評価項目(以下 1~8 の間で 2 つ以上) □ (1) 会社として LGBT 等の性的マイノリティに関する方針を明文化し、インターネッ

ト等で社内外に広く公開している。 □ (2) 方針に性的指向という言葉が含まれている。 □ (3) 方針に性自認という言葉が含まれている。 □ (4) 会社の従業員に対する姿勢として定めている。 □ (5) 従業員の行動規範として定めている。 □ (6) 採用方針として学生等に伝えている。 □ (7) 経営トップが社内外に対し方針に言及している。 □ (8) お客様・取引先に対する方針を明文化し公開している。 2.<Representation: 当事者コミュニティ>評価指標 LGBT 当事者・アライ(Ally、支援者)注 4 に限らず、従業員が性的マイノリティに関する

意見を言える機会を提供していますか。(社内のコミュニティ注 5、社内・社外の相談窓口、

無記名の意識調査、等) また、アライを増やす、顕在化するための取組みがありますか。 評価項目(以下 1~4 の間で 2 つ以上) □ (1) 社内のコミュニティ(LGBTA ネットワーク等)がある。 □ (2) アライを増やす、もしくは顕在化するための取組みを実施している、またはアライ

の活動を会社がサポートしている(アライであることを表明することの推奨等)。 □ (3) 社内外を問わず、当事者が性的指向または性自認に関連した相談をすることができ

る窓口を設けている。 □ (4) 無記名の意識調査(従業員意識調査やエンゲージメント調査等)で性的マイノリテ

ィの意見も統計的に把握できるようにしている。

PRIDE指標2017レポート

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2017 年 6 月 9 日

任意団体 work with Pride v1.1

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取組みのポイント ・コミュニティを立ち上げる際は、当事者をあぶりだすことにならないよう、無理に当事

者であるか/アライであるかの確認を行わないことが大切である。 ・当事者コミュニティの立ち上げが難しい場合、相談窓口の設置や会社として社外のコミ

ュニティに参加することから始めてもよい。 3.<Inspiration:啓発活動>評価指標 過去2年以内に、従業員に対して、性的マイノリティへの理解を促進するための取組み(研

修、啓発用メディア・ツールの提供、イントラ等での社内発信、啓発期間の設定、等)を

行っていますか。 評価項目(以下 1~14 のうち 2 つ以上) ●研修 □ (1) 採用担当者を含む人事部門への研修。 □ (2) 管理職への研修。 □ (3) 全従業員への研修。 □ (4) 新入社員や中途雇用社員への雇用時の研修。 □ (5) 性的指向または性自認についてカミングアウトを受けた際の対応についての教育。 □ (6) 研修には性的指向および性自認の両方に関する内容が含まれている。 □ (7) 研修には読む・聞くだけでなく、グループワーク等の演習が含まれている。 □ (8) 1回限りでなく継続して実施している。 □ (9) 社内の理解浸透度を確認しながら研修を進めている。 ●その他啓発活動 □ (10) イントラ、ニュースレター、ポスター等の各種コミュニケーション手段を利用し

て実施する社内啓発活動。 □ (11) 性的マイノリティへの理解を促進する啓発期間の設定。 □ (12) 性的指向または性自認に関する不適切な発言がセクハラに該当することの周知。 □ (13) 本社・本店および本社機能のない事業所(支店、支社等)での取組み。 □ (14) グループ会社での取組み。 取組みのポイント ・管理職への研修は、必須とすることが望ましい。ある企業で、まず管理職に研修を行い、

管理職がアライとして様々な活動に参加することになったことから、部下が安心してカミ

ングアウトできたという事例がある。

巻末資料1 PRIDE指標 全文

PRIDE指標2017レポート

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2017 年 6 月 9 日

任意団体 work with Pride v1.1

3

4.<Development:人事制度、プログラム>評価指標 以下のような人事制度・プログラムがある場合、婚姻関係の同性パートナーがいることを

会社に申請した従業員およびその家族にも適用していますか(申告があれば適用しますか)。

なお、LGBT のための人事制度・プログラムは、以下の項目に限定されるものではありま

せん。 A. 休暇・休職(結婚、出産、育児、養子縁組、家族の看護、介護等) B. 支給金(慶事祝い金、弔事見舞金、出産祝い金、家族手当、家賃補助等) C. 赴任(赴任手当、移転費、赴任休暇、語学学習補助等) D. その他福利厚生(社宅、ファミリーデー、家族割、保養所等)

トランスジェンダーの従業員に以下のような施策を行っていますか(申告があれば適用し

ますか)。 A. 性別の扱いを本人が希望する性にしているか(健康診断、服装、通称等) B. 性別適合手術・ホルモン治療時の就業継続サポート(休職、勤務形態への配慮等) C. ジェンダーに関わらず利用できるトイレ・更衣室等のインフラ整備

評価項目(以下 1~18 の間で 2 つ以上) ●同性パートナーがいる従業員向け □ (1) 休暇・休職(結婚、出産、育児(パートナーの子も含む)、家族の看護、介護(パ

ートナーおよびパートナーの家族も含む)等)。 □ (2) 支給金(慶事祝い金、弔事見舞金、出産祝い金、家族手当、家賃補助等)。 □ (3) 赴任(赴任手当、移転費、赴任休暇、語学学習補助等)。 □ (4) その他福利厚生(社宅、ファミリーデー、家族割、保養所等)。 □ (5) 会社独自の遺族年金、団体生命保険の受け取り人に同性パートナーを指定できる。 ●トランスジェンダーの従業員向け □ (6) 性別の扱いを本人が希望する性にしている(健康診断、更衣室、服装、社員証等)。 □ (7) 自認する性に基づく通称名の使用を認めている。 □ (8) 戸籍変更の際の社内手続きのガイドがある。 □ (9) 就職時のエントリーシートで本人の希望する性別を記入できる、性別欄に「その他」

「記載しない」等男女以外の回答項目を設けている、または性別記載を求めていない。 □ (10) 性別適合手術・ホルモン治療時の就業継続サポート(休暇、休職、勤務形態への

配慮等)。 □ (11) 性別適合手術・ホルモン治療時の費用補助。 □ (12)ジェンダーに関わらず利用できるトイレ・更衣室等のインフラ整備。

巻末資料1 PRIDE指標 全文

PRIDE指標2017レポート

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2017 年 6 月 9 日

任意団体 work with Pride v1.1

4

●制度全般 □ (13) 制度の存在や利用方法を従業員に周知している。 □ (14) 制度を利用する際に、通常の申請手続き以外に、周囲の人に知られずに申請でき

る等、本人の希望する範囲の公開度を選択できる柔軟な申請方法となっている。 □ (15) 当事者が自身の性的指向や性自認についてカミングアウトした結果、職場の上司

や同僚等からの不適切な言動等の問題が発生した場合を想定したガイドラインがある。 □ (16) 希望があれば、出張や社員旅行等で宿泊時の居室、社宅や寮に配慮する。 □ (17) 同性愛や異性装が犯罪となる国等への赴任・出張時のリスク対応を行っている。 □ (18) トランスジェンダーの従業員が望む性別で働くことを希望した場合、人事部門、

所属部署、関連部署等で連携して対応を検討している。

取組みのポイント 赴任時に同行する同性パートナーへの配慮を行うことが望ましい。 トランスジェンダーの従業員には、制服の男女共用化(または本人の希望する性別の制

服)にも配慮することが望ましい。 トランスジェンダーが使用を希望するトイレは、個人の状況、職場の設備や雰囲気によ

って変わること、また、すべてのトランスジェンダーが共用トイレの使用を望む訳では

ないことに十分な注意が必要。共用トイレの設置や案内板への表記等のハード面だけの

対応では不十分である場合もあります。 5.<Engagement/Empowerment:社会貢献・渉外活動>評価指標 LGBT への社会の理解を促進するための社会貢献活動や渉外活動を行いましたか。 例)LGBT イベントへの社員参加の呼びかけ、協賛、出展、主催、寄付、業界団体への働

きかけ、LGBT をテーマとした次世代教育支援 評価項目(以下 1~5 の間で 2 つ以上) □ (1) LGBT への社会の理解を促進するための活動・イベントの主催、協賛、出展。 □ (2) LGBT 学生向けの就職説明会、セミナー、イベント等の主催、協賛、寄付等。 □ (3) LGBT 関連イベントへの社員参加の呼びかけおよびイベントの周知。 □ (4) LGBT のインクルージョンに関する自社所属の業界への働きかけ、業界団体での活

動。 □ (5) LGBT への理解促進のための次世代教育支援(出前授業、教材提供等)。 取組みのポイント イベントの協賛や出展は、社会の理解促進に貢献するとともに、企業の姿勢を社内に伝え

るメッセージともなり得る。イベントへの社員参加を呼びかけることで、社員の啓発にも

巻末資料1 PRIDE指標 全文

PRIDE指標2017レポート

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※ PRIDE指標運営委員会は、諸般の事情により国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチが外れ、認定特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズおよび特定非営利活動法人虹色ダイバーシティの2者で構成されます。

2017 年 6 月 9 日

任意団体 work with Pride v1.1

5

つながる。(社内の取組みを始めるのが難しい場合、まず社会貢献活動から始めるのも選択

肢の1つと言える。) 注釈: 1. LGBT:レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジ

ェンダー(Transgender)の頭文字。性的マイノリティには LGBT 以外の多様なアイデン

ティティを持つ方もおられますが、本指標では便宜的に性的マイノリティ(性的指向、

性自認に関するマイノリティ)の総称として使用しています。 2. 性的指向:同性愛、両性愛、異性愛等、好きになる相手の性別に関する概念。特定の人

を好きにならない(無性愛)等も含む。 3. 性自認:自分で自分の性別をどう考えるか、という概念。身体上または社会上の性別と

は必ずしも一致しない。また、必ずしも男女のどちらかとは限らない。 4. アライ:LGBT を積極的に支援し、行動する人のこと。 5. コミュニティ:目的を共有している人の集まり。ここでは LGBT の働きやすい職場を

めざす人の集まりを指します。リアルな集まり、メーリングリストや SNS 等でのネッ

トワークのいずれでも結構です。 6. セクシュアリティ:性のあり方。性的指向や性自認を含む概念。

以上

巻末資料1 PRIDE指標 全文

PRIDE指標2017レポート

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巻末資料2 

PRIDE指標 募集要項

2017 年 6 月 1 日 任意団体 work with Pride

v1.0

1

指標への表彰制度に対する募集

wwP では 2017 年 7 月 3 日(月)から 9 月 15 日(金)まで、本指標に対する企業・団体等の取

組み内容を募集いたします。取組みの優れた企業やベストプラクティスについては、今秋

に開催予定の「work with Pride 2017」セミナーで発表する予定です。 1.PRIDE 指標への取組み内容募集および表彰スケジュール(予定)

2017 年 6 月 1 日(火) PRIDE 指標 2017 発表 2017 年 6 月 9 日(金) PRIDE 指標 2017 説明会 2017 年 7 月 3 日(月) 募集開始 2017 年 9 月 15 日(金) 募集締切 2017 年 9 月 16 日(土) 採点開始(指標運営委員会) 2017 年 9 月 30 日(土) 採点終了、表彰企業決定および通知開始 2017 年 秋 wwP2017 セミナーにて、結果およびベストプラクティス発表

※説明会は、以下の予定です。説明会の参加は表彰制度の応募にかかわらず任意です。

日時: 2017 年 6 月 9 日(金)16:30~17:30(16 時開場) 場所: 日本アイ・ビー・エム株式会社

(東京都中央区日本橋箱崎町 19-21) 申込方法: wwP ウェブサイトより、必要事項記入の上、申し込み。

www.workwithpride.jp/prideindex/infosession2017 2.応募資格

日本法に定めのある法人格を有する法人が、応募できます。(例:民法上の組合、社団 法人および財団法人ならびに会社法上の各種会社、各種特別法に定められる各種法人、 地方公共団体等) 日本法人と資本関係のあるなしにかかわらず、外国法に定めのあるいわゆる外国会社

は応募主体とはなりえず、その取組みは採点対象に含みません。(例:国外の親会社、子

会社等) ただし、いわゆる反社会的勢力でなく、反社会的勢力との関係等がない企業および団

体に限ります。 なお、自社の子会社またはグループ会社を含めた「○○グループ」としてのグループ

会社連名での応募は、当該各会社において、各指標への回答が全く同様となる場合のみ、

可能とします。 3.応募方法

PRIDE指標2017レポート

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巻末資料2 PRIDE指標 募集要項

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任意団体 work with Pride v1.0

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wwP のウェブサイトより、所定の応募用紙(電子ファイル)をダウンロードし、必要

事項を記入の上、エクセルファイルまたは PDF ファイルの形式で、wwP PRIDE 指標運

営委員会まで、E メールにてお送りください。評価は従業員 301 人以上と、従業員 300人以下の会社に分けて実施しますので、応募用紙の従業員数の項目にも必ずご回答くだ

さい。 応募用紙の記入方法については、当該電子ファイル内に掲載された記入例をご参照く

ださい。指標内に特別の記載がない限り、原則 2016年 10月 1日~2017年 9月 30日の1年間における取組みまたは状況についてのみ記載可能とします。

応募期限は、2017 年 9 月 15 日(金)17:00 とし、応募 E メールのタイムスタンプに

より、日時を確認します。 応募企業が多数となった場合は、採点企業数を先着順で限定させていただく場合がご

ざいます。何卒ご了承ください。 wwP ウェブサイト:www.workwithpride.jp/prideindex/download2017 提出先 E メールアドレス:apply@workwithpride.jp ※会社のセキュリティ上、上記ウェブサイトにアクセスできない、または所定の応募用

紙のダウンロードができない、といった場合には、wwP PRIDE 指標運営事務局までお

問い合わせください。contact@workwithpride.jp 4.採点および集計

採点は、応募いただいた回答をもとに、wwP PRIDE 指標運営委員会において公正か

つ公平に行われます。5 つの指標について、各指標内で 2 項目以上の要件を満たしてい

れば 1 点が付与されます。要件を満たしているか否かは、理由記載欄に記載された内容

をもって判断します。すべての指標を満たせば 5 点満点となります。なお、取組みの実

態が申請内容と合致しているか否かにつき、確認のために、PRIDE 指標運営委員会より応募

者に対して連絡を差し上げる場合があります。 wwP PRIDE 指標運営委員会は、任意団体 wwP の構成団体のうち、非営利組織であ

る、認定特定非営利活動法人法人グッド・エイジング・エールズ、特定非営利活動法人

虹色ダイバーシティの 2 者で構成されます。指標運営委員会は非公開です。 集計も指標運営員会で行い、結果を分析しレポート冊子にまとめる予定です。記入い

ただいた取組み内容は、事前に承諾をいただいた上で、wwP ウェブサイトおよび当該レ

ポート冊子上でご紹介する場合がございます。 5.結果通知および発表

採点の結果は、結果が出次第、順次各企業・団体等にお知らせします。 work with Pride 2017 セミナー会場において、5 点獲得企業・団体はゴールド、4 点

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指標への表彰制度に対する募集

wwP では 2017 年 7 月 3 日(月)から 9 月 15 日(金)まで、本指標に対する企業・団体等の取

組み内容を募集いたします。取組みの優れた企業やベストプラクティスについては、今秋

に開催予定の「work with Pride 2017」セミナーで発表する予定です。 1.PRIDE 指標への取組み内容募集および表彰スケジュール(予定)

2017 年 6 月 1 日(火) PRIDE 指標 2017 発表 2017 年 6 月 9 日(金) PRIDE 指標 2017 説明会 2017 年 7 月 3 日(月) 募集開始 2017 年 9 月 15 日(金) 募集締切 2017 年 9 月 16 日(土) 採点開始(指標運営委員会) 2017 年 9 月 30 日(土) 採点終了、表彰企業決定および通知開始 2017 年 秋 wwP2017 セミナーにて、結果およびベストプラクティス発表

※説明会は、以下の予定です。説明会の参加は表彰制度の応募にかかわらず任意です。

日時: 2017 年 6 月 9 日(金)16:30~17:30(16 時開場) 場所: 日本アイ・ビー・エム株式会社

(東京都中央区日本橋箱崎町 19-21) 申込方法: wwP ウェブサイトより、必要事項記入の上、申し込み。

www.workwithpride.jp/prideindex/infosession2017 2.応募資格

日本法に定めのある法人格を有する法人が、応募できます。(例:民法上の組合、社団 法人および財団法人ならびに会社法上の各種会社、各種特別法に定められる各種法人、 地方公共団体等) 日本法人と資本関係のあるなしにかかわらず、外国法に定めのあるいわゆる外国会社

は応募主体とはなりえず、その取組みは採点対象に含みません。(例:国外の親会社、子

会社等) ただし、いわゆる反社会的勢力でなく、反社会的勢力との関係等がない企業および団

体に限ります。 なお、自社の子会社またはグループ会社を含めた「○○グループ」としてのグループ

会社連名での応募は、当該各会社において、各指標への回答が全く同様となる場合のみ、

可能とします。 3.応募方法

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巻末資料2 PRIDE指標 募集要項

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獲得企業・団体はシルバー、3 点獲得企業・団体はブロンズとして、表彰します。 表彰の様子、表彰結果については、後日、wwP ウェブサイトにおいて公開されます。

6.応募に際する留意事項

応募にあたって、以下の留意事項をよく読み、同意いただいたうえで、応募ください。

応募いただいた時点で、以下(1)および(2)に同意いただいたものとみなします。 (1)情報の取り扱いについて a.本応募用紙に記載の情報は、指標運営委員会による採点および集計にのみ利用し

ます。当該情報が、指標運営委員会以外に開示されることはありません。 b.お送りいただいたエクセルファイルまたは PDF ファイルは、返却いたしません。 (2)ベストプラクティスについて

記入いただいた取組み内容の中から、指標運営委員会が特に優れていると判断した

事項につき、ベストプラクティスとして wwP ウェブサイトおよび上記レポート冊子に

掲載、または毎年秋に開催している wwP セミナーにて紹介させていただきます。ただ

し、その際には、事前に掲載または紹介について承諾をいただきます。 (3)採点について

指標運営委員会による採点は、あくまで応募内容が指標に合致しているかという観

点でのみ行われます。取組みの実態が申請内容と合致しているか否かにつき、確認の

ために、指標運営委員会より応募者に対して連絡を差し上げる場合がございます。万

が一、採点結果公表後、応募内容と取組みの実態が異なることが判明した場合は、応

募を取り消させていただく場合がございます。 以上

PRIDE指標2017レポート

PRIDE指標レポート20172017年10月23日 第三版発行 2017年10月13日 第二版発行 2017年10月11日 初版発行 

編・著 :川村安紗子(認定特定非営利活動法人 グッド・エイジング・エールズ)、 後藤純一デザイン:スタジオ・ポット発行者 :PRIDE指標運営委員会 (認定特定非営利活動法人 グッド・エイジング・エールズ、 特定非営利活動法人虹色ダイバーシティ)

1,000部/ b7トラネクスト79kg

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