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1 物理学序論2 (電磁気学入門) 第11講 151211 まず前回 電磁誘導 の続き

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物理学序論2 (電磁気学入門)

第11講 151211

まず前回 電磁誘導 の続き

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ベクトルで書けば F= qv x B F = L i x B

磁場の単位はテスラ (T),次元は [T]= [N/C・(m/s)], (1T=104 ガウス)

磁場は運動する電荷に力を及ぼす(ローレンツ力)

電流に働く力 サイクロトロン運動

荷電粒子: 一様な磁場では円運動

磁場は仕事をしない。

直線電流の作る磁場

2本の直線電流: 同符号は引力、異符号は斥力:

MKSA 単位の1アンペアこの式で決める。

F=1N/m, r=1m, m0 = 2 x 10-7, i1=i2 の時の電流の強さ

磁性を学ぶ前に少し静磁場の復習: 磁場の及ぼす力、電流の作る磁場

ビオ・サバールの法則

アンペール (Ampere) の法則

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閉ループ電流は面積が同じであれば

遠方では形を問わず磁気能率 m=iA

を持つ磁気双極子となる。

重要な性質: 一様な磁場では回転のトルクが働く

ポテンシャルエネルギー

非一様な磁場では(トルク以外の) 力が働く。

磁気能率 m の次元

m = i A からは、[m] = [Am2]

ポテンシャルエネルギーからは

[m] = [J/T]

場合により使い分ける

棒磁石の本体は

微小電流ループ

の集合体

磁気双極子はリング電流

円リングの作る磁力線 電荷の作る電気力線

遠方では同じ形

磁化電流 or 分子電流

が流れていると考える。

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物質は磁気的には磁気双極子の集合体とみなせる。

原子分子レベルでは、電子の環電流、電子の固有磁気能率のほかに

原子核の固有磁気能率の3種が寄与する。

原子核の寄与は最大限、電子の1/2000以下なので無視する。

円電流の作る磁気モーメント m = iA:

一個の荷電粒子が作る円電流を、粒子の持つ軌道角運動量Lで考える。

質量を me , 電荷を q, 1秒間の周回回転数を n, 円の半径を r とすると

電子は、質量 me と負電荷 (q= - e) を持つから

電子の軌道磁気双極子能率は

電子は固有角運動量 (スピン角運動量 S)を持つの、

それも加える。

電子の軌道磁気能率

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量子力学では、角運動量は連続でなく飛び飛びの値をとる

h: プランク定数、 l は整数、 s は半整数

スピンは古典的に考えれば自転による角運動量であるが、

電子は大きさを持たない質点粒子なので、

自転という古典的解釈は間違い。 量子力学で解明。

原子分子レベルでは、電子の持つ軌道角運動量 L、 スピン角運動量 S と

原子核の持つスピン角運動量が寄与する。全角運動量は J=L+S であるが

磁気能率は

原子核は質量が2000倍以上大きいので、磁気能率への寄与はほぼ無視できる。

電子の軌道角運動量は分子電流を作る。

スピン角運動量は分子電流を作るわけではないが、便宜的にまとめて分子流

が磁化を作ると考える。

異常磁気能率

量子力学の不思議

量子力学では、スピン角運動量は測定はできない。

しかし、任意の軸(たとえば磁場の向き)に沿った成分 (Sz) は測定できる。

量子力学では、軸をどんな角度に傾けても、成分は

Sz= +1/2 × (h/2p) (z 軸に平行)、 Sz = -1/2 x (h/2p) (z 軸に反平行)

の値になることである

(常識的に考えれば連続値になるはず)。

従って、電子のスピン磁気能率もまた, それ自身を測定することはできず、

磁場の方向に沿った mz = ± mB の2種類の値しか観測できない

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反磁性:全ての物質が持つ。ただし相対的に小さく、常磁性体、強磁性体では隠れてしまう。

反磁性のみを持つ物質を反磁性体という。 水、炭素、無極性分子など

物質中には分子電流があるが、様々な方向を向いていれば総和はゼロ。磁気能率もない。

磁場をオンすればレンツの法則により、逆方向の磁場が生じる。

(実は古典論では正確には説明できない。量子力学。ただし、多少の定性的説明は可能)

常磁性:原子レベルで磁気能率(角運動量)を持つ物質。

外部磁場がかかることにより、磁気モーメントが整列する。

磁気モーメントによる誘導磁場が加わって磁場は強くなる。

(常磁性体の誘導磁場は外部磁場と同じ方向。 注:静電場の誘導電場は外部電場と逆方向であった。)

透磁率、磁化率

ソレノイドコイル(巻き線密度 n )の中に

磁性体を入れると磁場の強さが、

mr 倍となる。

B = m0 ni → m0 mr ni

mr を比透磁率、c m = mr - 1 を磁化率

m = m0 mr を透磁率という。

物質の磁性には、反磁性、常磁性、強磁性がある。

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反磁性の定性的説明: 厳密な説明には量子力学が必要。

電子の軌道半径が原子半径より遙かに大きいと仮定する。

軌道電子がペアになっていると、スピンが反平行、軌道も逆回り

で、両電子の磁気能率が互いに相殺し、ゼロ磁気能率となる。

余分な電子があると磁気能率を持ち、常磁性体となる。

鉄やニッケルなどの強磁性体は、多数の電子が整列している。

反磁性が生じる理由: 1) 非一様な磁場が電子軌道リングに垂直にかけられているとする(図a)。

これは磁石のN極を下から近づける時の現象で、ファラデーの電磁誘導、

レンツの法則により、下向きの磁場を作る電流が余分に誘導される (図b)。

この余分な電流は元の電流がどちらを向いていても同じ方向に生じる。

2) この余分な電流が磁場内にあることにより受ける力は、電流と磁場

双方に垂直であり、方向はループ平面横から見た場合、右手則により、

内側上方向を向く(図c).

ループ平面方向の力はループ全体で相殺するが、

上向きの力は足し合わさり、外の磁場に反発する方向に動く。

3) 上の議論は、磁石のS 極を下から近づけても同じ。

外部磁束は減る方向であるから、誘導電流は磁束を増やす方向

すなわち図dの向きに回るが、今度は外部磁場の方向も逆なので

発生する力は図c と同じである。

反磁性 (diamagnetism)

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反磁性 (diamagnetism) による磁気浮上

鉛直に置いたソレノイド磁石に強い電流を流し、

16Tの磁場が広がる上端部に蛙* を置く。

アンドレ・ガイムとマイケル・ベリーは、この業績で

2000年イグ・ノーベル賞受賞。

なお、ベリーはベリー位相で有名。

ガイムは2010年、グラフェンの発見で

ノーベル賞受賞

グラフェンとは: 1原子厚の炭素原子シート。

鋼鉄の200倍の強度、シリコンの100倍の

電気伝導度を持つ新素材で、

広い工業用途が見込まれる。

---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

* 動物(通常の物質・水・炭素など)は反磁性体

である。

グラフェン

蛙 (反磁性体) の磁気浮上

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物質の原子レベルでペアにならない半端な電子があり、

スピン磁気モーメントと軌道磁気モーメントが打ち消されず残り、個々の原子は永久

磁気モーメント m を持つ。通常はばらばらの方向を向いているので、物質全体では

磁気モーメントを持たない。しかし、外部磁場 Bext が掛けられると、磁気モーメントは整列し

試料に正味の磁気双極子モーメントが生じる。これは外部磁場と同じ方向である。

外部磁場が非一様であれば、常磁性物質は磁場の弱い領域から強い領域へ

引きつけられる。

外部磁化による磁気双極子モーメント

(大きさ m )の整列度は、単位体積あたりの

磁気双極子モーメント、別名磁化(M と記す) の大きさで表される。最大磁化は原子の

双極子が完全に整列した状態で

M = Mmax = Nm /V (V=体積)で表される。

どれだけ整列するかは、熱による擾乱と

外部磁場による強制整列力のせめぎ合い

である。

熱エネルギー: ~K = (3/2)kT * = (3/2)(1.38×10 -23J/K)(300K)=6.2×10 -21J=0.039 eV**

[運動エネルギーの1自由度ごとに (1/2) kT]

整列力( = スピン反転)のエネルギー : DUB = 2mBext ~2(9.27×10 -24J/T)(1.5T)= 2.8×10 -28J

通常は K >> DUB なので, M << Mmax = 0.00017 eV

低温では M ∝ Bext / T : キュリーの法則 (実験則) ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

* k = ボルツマン定数 (= 1.38×10 -23 J/K).

** 1 eV = 1電子ボルト =1.60 ×10 -19 CV = 1.60 ×10 -19 J

硫酸クロムカリウムの磁化曲線

常磁性 (paramagnetism)

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強磁性:

ある種の金属は、常温で大きな永久磁化を持つ。

家庭でよく使う磁石は、冷蔵庫に貼り付ける磁石など、たいてい強磁性体である。

交換力(量子力学)という特殊な力が外部磁場による力より強い。

磁気能率(電子のスピン)同士の方向をそろえるような力が働く。

臨界 (キュリー) 温度 ( TC )以上では熱運動でばらばら。臨界温度以下で磁気能率がそろう。

強磁性体とはキューリー温度が常温より高い物質のこと

強磁性体は磁区構造を持つ。磁区内では向きがそろう。

磁区構造により永久磁石になる場合とならない場合がある。

強磁性 (ferromagnetism)

磁区構造の視覚化 鉄酸化物のコロイド

を振りまいてとった写真

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強磁性体のヒステリシス(履歴現象)

飽和磁化 。 残留磁化 。

保磁力 。

交流消磁

強磁性体の応用: 永久磁石、オーディオ、

ビデオ、コンピューター記憶装置など

多種の応用例あり.

コンピューター記憶装置として使うときは

M= ±Mr が0 もしくは 1のビットとなる。

材料 比透磁率

通常の鉄 ~5000

純鉄 200000

パーマロイ 10000

ニッケル ~500

フェライト ~500

比透磁率はヒステリシス曲線の勾配

強磁性体の磁化は

磁区毎に行われるので、

磁化曲線は滑らかではない

(バルクハウゼンジャンプ)

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地球は磁石

磁場で放射線を遮蔽し生命体を守る

外核は~4000K、鉄の融点~700K

外核での対流が磁石を作る原因

詳細は不明。

固体 液体 成分は鉄・ニッケル

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海嶺の両側に広がる海洋底の磁気構造。海嶺から

湧き出たプレート運動で広がる。第三紀以降の

火山岩のなかに現在の地球磁場方位と逆向きの

残留磁化を持つものがある

磁北は自転軸よりずれている。

100万年に一回位の割合で逆転する マグマが冷えるときの地磁気が残る

黒:現在と同じ極性。

白:現在と逆の極性

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Bc2<B<Bc1

超伝導(超電導):ある種の金属では、臨界温度以下で

電気抵抗がゼロになる。

超伝導は臨界温度以下、臨界磁場以下で実現。

マイスナー効果 (完全反磁性) 磁力線が磁性体の中に入り込めない。

マイスナー効果とは超伝導電流による強力なレンツ効果。

第1種超伝導体 第2種超伝導体

< Bc

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通常の超伝導は液体ヘリウム温度。 Tc < ~10K

高温超伝導は液体窒素温度。 Tc ~80K

常温超伝導は可能か? Tc ~300K?.

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リニアモーターカー

Maglev Train

磁気浮上

Magnetic levitation

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変動する磁場は誘導電場を引き起こす(ファラデーの法則) では、変動する電場は誘導磁場を作るか? 答えはイエス

変動する電場と誘導磁場の関係を積分型で書くと

これは電場が変化すると円形磁場を発生する

という式であり、マクスウェルの誘導法則

と呼ばれる。ファラデーの法則

と対をなす。しかしマクスウェルの誘導法則は

二つの点でファラデーの法則と異なる。

1)m0e0 が係数としてかかる。ただしこれはMKSA

単位を採用したことによる形式的なもの (B と E の次元を合わせるための補正因子)。

(電場と磁場を同じ次元にする単位系もあり、そのときは係数は同一となる。)

2) マイナス符号がない。

変動電場はたとえばキャパシター極板の電荷を変動させることで作れる。

つまり電流が平板を広がり(収縮)つつあるとき変動電場が作られる。

軸対称性のある変動電場は、円形の磁場を作る。円柱電流が作る磁場と同じか?

誘導磁場

E =

I

C

E ¢ ds = ¡d©Bdt

I

C

B ¢ ds = ¹0²0d©E

dt´ ¹0²0

d

dt

Z

A

E ¢ dA変動する電場 dE/dt がある。

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ファラデーの誘導法則により変動磁場が作る電場の向き

(ファラデーの誘導法則)

(マクスウェルの誘導法則)

マクスウェルの誘導法則により変動電場が作る磁場の向き

I

C

E ¢ ds = ¡d©Bdt

= ¡ @

@t

Z

A

B ¢ dAI

C

B ¢ ds = ¹0²0d©E

dt= ¹0²0

@

@t

Z

A

E ¢ dA

軸対称性のある電場や磁場が変動するとき

誘導される磁場や電場は円の接線に沿って分布する。

ただし、方向は逆

磁場は紙面向こう向き

電場は紙面向こう向き

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電流は磁場を発生する。同様に 時間変化する電場は磁場を発生する。

アンペールの法則:

電流を囲んで磁場がある。途中にコンデンサーがある場合、

間隙では i = 0。 そこだけ磁場が途切れるか? No!

コンデンサーに出入りする電流は

微分型は

(積分型)

(微分型)

電極板の間隙には、

変位電流が流れている。

変動電場は変位電流という (命名は歴史的)

アンペール・マクスウェルの法則。

変位電流

4

r£B = ¹0²0@E

@t´ ¹0Jd

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極板間に実電流はない。磁場は変位電流のみにより形成される

軸対称性があるので、B は円周上で一定かつ接線方向を向く。

左辺は (2)

右辺は、 (3)

A = pr2 を入れると、式 (1) の両辺は

(4)

r > R には、電場はないから、式 (4) の面積は A = pR2 = 定数となる。 したがって、

s は電荷密度である。最後の式は、 r > R では、

変位電流の総和はキャパシターに出入りする実電流に等しく、

極板外では変位電流による磁場と実電流による磁場は等しいことが判る。

5

教科書p227例題32-3: 半径 R の平行極板キャパシターに

電荷が充電されるとき、極板間に形成される磁場

I

C

B ¢ ds =

I

C

Bsds = ¹0²0d©E

dt(1)

I

C

Bsds = B

I

C

ds = 2¼rB

¹0²0d©E

dt= ¹0²0

d

dt

Z

A

E ¢ dA = ¹0²0d(EA)

dt= ¹0²0A

dE

dt

(B)(2¼r) = ¹0²0(¼r2)dE

dt! B =

¹0²0r

2

dE

dt(r < R)

B =¹0

2¼r(¼R2)²0

dE

dt=¹0

i

r(r > R)

µ*

dE

dt=

d

dt

µ¾

²0

¶=dQ=dt

²0A=

i

²0(¼R2)

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マクスウェルの方程式 (8組の連立偏微分方程式): これまでの学習過程

ステップ1:静電場,静磁場に限定する 電場と磁場は分離

ステップ2

ステップ3: 時間変動を入れると,電場と磁場は互いに変換・混合する

(2)の右辺に追加 ファラデーの法則: 磁気誘導の導入

(4)の右辺に追加 アンペールマクスウェルの法則: 変位電流の導入

ステップ4: (1)~(4)を総合すると波動方程式が出現する(電磁波の予言:光の本性)

電磁波方程式はニュートン力学と矛盾.

矛盾点:ニュートン力学では波の速度は力学変数。しかし,電磁波の速度 = c = 定数

特殊相対論の発見につながった。

¡@B@t

¡¹0²0@E

@t

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マクスウェルの方程式

積分型

微分型

Z

A

E ¢ dA =X qi

²0=

1

²0

Z

V

½dV

I

C

E ¢ ds = ¡d©Bdt

= ¡ @

@t

Z

A

B ¢ dAZ

A

B ¢ dA = 0

I

C

B ¢ ds = ¡¹0Z

A

µJ + ²0

@E

@t

¶¢ dA

ガウスの法則

ファラデーの法則

磁場のガウスの法則

アンペール・マクスウェルの法則

ガウスの法則

ファラデーの法則

磁場のガウスの法則

アンペール・マクスウェルの法則

物質中のマクスウェルの方程式は、 e0 e, m0 m とするだけでよい