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畿/響.実用器 那須氏作6CK4PPアンプ のシミュレーション 今回は,那須好男氏が1999年8 月号に発表されました6CK4PP パワー・アンプ(第1図)をシミュ レーションさせていただきます. (1)キー・デバイス 球アンプのキー・デバイスは出力 トランスと出力管です.第1図のア ンプの出力トランスは定評あるタン ゴのCRDも力演用されています. 出力管は6CK4です.真空管の入 12AX7(ll 2) 22K 手状況はよく知りませんが6CK4 はなかなか人気力清いようです. 古い話で恐縮ですが, 40数年前に 始めて作ったアンプは6GA4シン グルでした. 3極管特有の柔らかい 音色をいまも思い出します. 6CK4 はプレート常陸(第2図)が6GA4 と似ています. (2)回路方式 第1図のアンプはPK分割位相 反転を用いたシンプルこのうえない 構成で,再現隆が滴そうです.調整 個所がないのも彊しいかぎりです. 1 2AX7(ll 2) eCK4 (3) 6CK4のデバイス・モデル さて,シミュレーションには6 cK4のデバイス・モデルが必要で すが, Koren氏のライブラリにも, MicroCap評価版やCir Mater評価版のライブラリにも6 CK 4のモデルが見あたりません. インターネットで探したところ,中 林歩氏のホーム・ページ(http: // wwwOO2.upp.so-ne aymin/)で6 CK 4のデバイス デルが公開されていることがわかり ました.モデルの引用許可をお願い したところ快諾を賜ったの?,これ を使わせていただきます. (4)モデルの組み込み 146 上記のホーム・ページ にアクセスし, pctube_ 0.97_Win.zipをダウ ロードします.解凍する ど, 50種類あまりの真空 管モデルを含む130個 ほどのファイルが生成さ れます.その中の6CK 4.1ibというファイル(第 1表参照)を, 2003年12 月早p. 152-153に記述 く第1図〉 那須氏制作の6CK4PP アンプの掴幅部回路. 1999 年8月号より オ技術

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Page 1: 畿/響.実用器10...畿/響.実用器 那須氏作6CK4PPアンプ のシミュレーション 今回は,那須好男氏が1999年8 月号に発表されました6CK4PP パワー・アンプ(第1図)をシミュ

畿/響.実用器 那須氏作6CK4PPアンプのシミュレーション

今回は,那須好男氏が1999年8

月号に発表されました6CK4PP

パワー・アンプ(第1図)をシミュ

レーションさせていただきます.

(1)キー・デバイス

球アンプのキー・デバイスは出力

トランスと出力管です.第1図のア

ンプの出力トランスは定評あるタン

ゴのCRDも力演用されています.

出力管は6CK4です.真空管の入

12AX7(ll 2)

22K

手状況はよく知りませんが6CK4

はなかなか人気力清いようです.

古い話で恐縮ですが, 40数年前に

始めて作ったアンプは6GA4シン

グルでした. 3極管特有の柔らかい

音色をいまも思い出します. 6CK4

はプレート常陸(第2図)が6GA4

と似ています.

(2)回路方式

第1図のアンプはPK分割位相

反転を用いたシンプルこのうえない

構成で,再現隆が滴そうです.調整

個所がないのも彊しいかぎりです.

1 2AX7(ll 2)      eCK4

(3) 6CK4のデバイス・モデル

さて,シミュレーションには6

cK4のデバイス・モデルが必要で

すが, Koren氏のライブラリにも,

MicroCap評価版やCircuit

Mater評価版のライブラリにも6

CK 4のモデルが見あたりません.

インターネットで探したところ,中

林歩氏のホーム・ページ(http: //

wwwOO2.upp.so-net・ne・jp/

aymin/)で6 CK 4のデバイス・モ

デルが公開されていることがわかり

ました.モデルの引用許可をお願い

したところ快諾を賜ったの?,これ

を使わせていただきます.

(4)モデルの組み込み

146

上記のホーム・ページ

にアクセスし, pctube_

0.97_Win.zipをダウン

ロードします.解凍する

ど, 50種類あまりの真空

管モデルを含む130個

ほどのファイルが生成さ

れます.その中の6CK

4.1ibというファイル(第

1表参照)を, 2003年12

月早p. 152-153に記述

く第1図〉

那須氏制作の6CK4PPアンプの掴幅部回路. 1999

年8月号より

ラ ジ オ技術

Page 2: 畿/響.実用器10...畿/響.実用器 那須氏作6CK4PPアンプ のシミュレーション 今回は,那須好男氏が1999年8 月号に発表されました6CK4PP パワー・アンプ(第1図)をシミュ

(第5図〉グラフのスケールを設定するダイア

ログボックス

〈第6図) Y軸のスケールをDefinedに設定

する

node34.html

で詳細に解説されています.

トランスのシミュレーション

(1)周波数特性

CRD-5はプッシュプル用トラン

スですが,漏れインタクタンスや巻

線容量は, 2月号のシングル用トラ

ンスと同様の方法で推定できます.

第8図にメーカー発表のゲイン位

本棚波数常陸とインピーダンス対

周波数特性を示します.これらは第

9図の回路で測定されたものです.

曲線①は,トランスのPl-P2間を

rp Pl      160

8 2::≡55okkan)第8図参照

(第9図〉周波数特注の測定回路

148

350V`9 痴��テV��-5 -10 辻迭�

3 �� 蔦#��モ#R�

25 �� 蔦3��-SS

20 �� ��一一0 -45

15 �� ��-P 十二

lO �� ��-60

50 0 �� ��

100        200        300        仙0        500

PLAT∈ VqTA旺tY〕

(第7図) 6CK4のE。-I。特性(中村氏のモデルによるシミュレーション)

㊤ �� �� �� �� �Hヒ��i 10V �� �� �� �� �� �R�� ��

111-l園音 �� �� �� �� �� �� ��88

㊨) �� �� �� �� ��ウ����棹��� �� �� �� �� �� �� ��

め �� �� �� ��① � ��2) ��

811--88 �� �� �� �� �� �� ��8m 811118音 �� �� �� �� �� �� ��88

Zp 茶�鴿?ノ|モ���Ⅴ) �� �� �� �5�� �� �� 塔��

81iIiSS �� �� �� �� �� �� ��葛漢

SIlii園漢 �� �� �� �� �� �� ��

81111臆漢 �� �� �� �� �� ��\ ��

81111■ �� �� �� �� �� �� ��

8111188 �� �� �� �� �� �� ��ii 4 6 8100 2  4 681k  2  4 6 8mk 2  4 6 8mOk 2

周波数(Hz)

(第8図〉 CRD-5の周波数,位相,インピーダンス特性

内部抵抗-5 kQの信号源でドライ

ブしたときの特性です.曲線②は,

50kQの信号源で駆動したときの

特性です. 6CK4は3極管ですか

ら,曲線主力ゞ該当します.

(2)等価回路

第9図の接続すなわちP l~P2

を1次巻線, 0-1抗う端子を2次巻

線とするトランスの1次偵噸填等価

回路を第10図に示します.この等

価回路は2次巻線容量と鉄損

を無視しています.

(3)励磁インダクタンスLp

データ・シートによれば

16Jl Pl~P2問のイシダクタン

スLlは60H@5V/50

Hz,最大130 Hです.そこで

I,-100Hとします.励磁イ

ンタクタンスLpは, 2004年

2月号の(10-40)式から,

Lp-KLl ・・・-既出(10-40)

(K :結合係数)

ですが, Kの値はきわめて1に近い

ので,実質脚に,

Lp-し,-100H・・-・ (10-47)

となります.

(4)変成此れ

●公称1次インピーダンス-5kQ

●公称2次インピーダンス-1鎚)

から,

n-J16/5000-0. 0566

・-・・ (10-48)

(5) l次漏れインタクタンスIpと

1次巻線容量Cl

lpとClは2004年2月号p.159

-160に記した方法で算出できま

す.まず第8図から高域カットオフ

周波数とQを推定します.

第8図の周波数特性は250-300

kHzあたりで乱れますが,凸凹をな

ラ ジオ技術

平衡電圧源

0

5

1

0

1

5

 

 

6

5

4

3

2

-

0

(8P),会,yi (昌。ZyJ・6・a'・r

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らすと,曲線①の高域カットオフ周

波数(位相が90度遅れる周波数)は

300kHzと推定されます.一方, Q

は曲線①の高域カットオフ周波数に

おけるゲインに等しいので, Q-

0.38と推定されます.

これらの値を2004年2月号p.

159(第2表〉のプログラムに代入し

実行すると, 1次漏れイシダクタン

スlpと1次巻線容量Clがつぎのよ

うに求まります.

lp-547llH ・・ ・・・・(10-49)

C1-515pF --・・・(10-50)

(6)結合係数K

2004年2月号の(10-41)式に,上

で算出したLl, lpの値を代入し,

K-1-÷-,一理迎ニー100

-0.999995 ・・ ・・(10七1)

(7) 1次巻線抵抗Rlと2次巻

線抵抗R2

1999年8月号p.38の第4図か

ら,

R1-224(一・・・・ ・・・(10-52)

R2-0.388×1.414-0.549m

・-・・ (10七3)

2次巻線抵抗R2の1次側換算値

R2Pは,

R2P-普-o ・ 549 × 500016

-1720 -・・・-(10-54)

く第12図〉 PP用トランスの巻線構造

(第13図)トランスの設定

APR 2004

(第10図〉 CRD-5出力トランスの等価回路

-00

-80

-一oo

leo

ゲイン �� �� ��

位一合 �� �� ��

p  200    500   TL   かく    5k   叩く  ?Ok SO

用渡叡〔)せ]

〈第11図)第10回の等価回路のAC解析結果

(8)等価回路の周波数特性

念のため第10図の等価回路の周

波数常陸をシミュレーションしまし

ょう. SIMetrixのAC解析結果を

第11図に示します.

200 kHzのゲイン低下は,データ

シート(第8図)が-5.2dE シミ

ュレーション(第11図)が-5.5dB

です. 200kHzの位相は,データ・

シートが-80度,シミュレーション

が-72度です. 10Hz~200kHz

までデータ・シートとシミュレーシ

ョンのゲイン偏差はldB以内,位

相偏差は10度以内です.

PP用トランスとしての設定

本来のトランス接続のインタクタ

ンス,変成上巳結合係数を設足しま

しょう. CRD-5の1次巻線のUL

接続用タップは無視します. 2次巻

線の40タップも無視します.した

がって,第12図の巻線構造のトラ

ンスとみなします.

SIMetrixの回路図ウインドウに

おいて, Ⅹキーを押してください.

現れたダイアログボックスを第13

回のように編集します.第13図の#

Primariesは, 1次コイルの数を指

します.第12図から,

# Primaries- 2

第13図の# Secondariesは2次

コイルの数で第12図から,

# Secondaries- 2

第13図のDe缶ne Turns Ratio

で,第12図のPl-Blコイルと残

りの3個の各巻線比を定めます.

第13図のSelect Windingで

Pl-Blコイルと比較するコイルを

選びます.いまの場合,候補はつぎ

の3種類です.

①Prim2: 1次側P2-B2コイル

@Secl:2次側0-80コイル

③Sec2: 2次側8-160コイル

第13図のRatio to Primary

は, Select Windingで選択したコ

イルとPl-Blコイルの巻数比を

設定します.第13図ではデフォル

トのPrim2が選択されているの

149

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cpp TANGO CRD-5

1112388m RIR16 TX1 -12ー61m 815R17 ���

辛?.822.22n乳 8 RL

600品払XCR7%84,.U..3n Rc4ce

Rl +240k150k R2"k7"672Rg

R58470u322 �

2.7k470u150470kRc5Vl

二二↑霊clR822:1133:K7.4E1'%; 270k C3

二,ou増R7V2 -二二一283 c8ET2k土

(α)シンボル (b)C,Rを追加する

Pl

(第14図〉トランスのシンボルと通力暖i子

で,巻数比を1に設定します.

Seclコイル対Pl-Blコイルの

巻数比およびSec2コイル対Pl-

B lコイルの巻数比も設定しなけれ

ばなりません.

(1) See lコイルの巻数比の設定

2次0-80コイル対PLBlコ

イルの巻数比nlを次式で算出しま

す.

n1-2/而7云∴・・・・・ (10-55)

(Zp:公称1次インピーダンス)

すなわちn1-2価-0.08.

つぎにSelect Windingドロップ

ダウン・ボックス右横の▼ボタンを

押し,表示リストの中からSecl: 1

を選択し,それからRatio to Pri一

maryの入力ボックスに0.08と善

150

(第15図〉第1回のシミュレーション回路

き込みます. Select Windingの表

示が〔Secl:0.08〕となります.

(2) See 2コイルの巻数比の設定

2次8-16【一コイル対Pl-Bl

コイルの巻数比n2を次式で算出し

ます.

n2-nl X (イセ~- 1) ・・・ (10-56)

-0.08×0.4142

-0. 03314

つぎに, Select Windingドロッ

プダウン・ボックス右横の▼ボタン

を押し,表示リストの中から

Sec2 : 1を選択し,それからRatio

to Primaryの入力ボックスに

0.03314と書き込みます. Select

Windingの表示が〔Sec2:

0.03314〕となります.

(3)インタクタンスの設定

第13図のPrimary I Inductan-

ceには, Pl-Blコイルのインタク

タンスを入力します.これは, Pl-

P2間イシダクタンス〔-100H, (10-

47)式参照〕の1/4です.すなわち,

Primary 1 lnductanceボックスに

25と書き込みます.

(4)結合係数Kの設定

● InterPrimary Coupling

Pl-BlコイルとP2-B2コイル

の結合係数を入力します.これは

実測しないと不明なので, 1とし

ます.

● InterSecondar Coupling

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〈第16図〉第15図の回路のAC解析結果

ラ ジオ 技術