物価水準の国際比較: non homotheticな需要の ケースのリ...

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物価水準の国際比較: NON HOMOTHETICな需要の ケースのリカードモデル* 1 2 問題 2国・2貿易財・非貿易財モデル 2-1 基本モデル 2-2 均衡解の特性 2-3 変動方程式 3 要素交易条件の変動 4 比較静学 5 要約 1 自国物価水準をp,外国のそれをP*,eを名目為替レートとし,その 比較をR=P/(eP*)と表現する. 尺≠1の可能性(内外価格差)の要因と 本稿作成に際し,佐竹正夫教授(東北大学)には国際経済学会全国大会 (1995年10月7日)での予定討論者として貴重なコメントを戴き,また池間 誠教授(一橋大学),大山道広教授(慶庖義塾大学)からも有益なコメントを 戴いたことに合わせて謝意を表します.なお本稿にあり得る不備な点はすべ て私のものであります. 76

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物価水準の国際比較:

NON HOMOTHETICな需要の

 ケースのリカードモデル*

1

2

問題

2国・2貿易財・非貿易財モデル

2-1 基本モデル

2-2 均衡解の特性

2-3 変動方程式

3 要素交易条件の変動

4 比較静学

5 要約

1

林 原 正 之

 自国物価水準をp,外国のそれをP*,eを名目為替レートとし,その

比較をR=P/(eP*)と表現する. 尺≠1の可能性(内外価格差)の要因と

* 本稿作成に際し,佐竹正夫教授(東北大学)には国際経済学会全国大会

 (1995年10月7日)での予定討論者として貴重なコメントを戴き,また池間

 誠教授(一橋大学),大山道広教授(慶庖義塾大学)からも有益なコメントを

 戴いたことに合わせて謝意を表します.なお本稿にあり得る不備な点はすべ

 て私のものであります.

76

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物価水準の国際比較:NONHOMOTHETICな需要のケースのリカードモデル

して,①為替レート変動に比して価格の硬直性, ②貿易財における差別価

格,③非貿易財における市場支配力・規制,などが分析されてぃこ本稿

はこれらの要因を捨象した「長期・構造的」分析に属する.それは, 1人

当たり実質所得と非貿易財(サービス)の相対価格との相関関係を説明す

る理論を提供する意図を有するが,背景には繰り返し観察され「定型化さ

れた事実関係」と称される以下のものが存在している.

(1)l人当たり実質所得と(財に対する)サービスの相対価格間の正の

相関

(2)1人当たり実質所得と物価水準間の正の相関

 この事実関係を国際貿易の理論でいかに説明するかが,理論的な課題と

  2)された. Balassa (1964), Samuelson (1964)はリカードモデルを利用し,

またヘクシャー・オリーンモデルの説明はBhagwati (1984)などで与え

られている.

 本稿では内外価格差(同一商品群の価格水準の国際間相違)をもたらす構造

的な要因を古典的リカードモデルを利用し,産業間の生産性格差と需要構

造に基づいて考察・展開する.「長期・構造的」分析のリカードモデルを

利用した分析を分類し,第一にいわゆる「Balassa-Samuelsonモデル」

                3)(以下貿易財・非貿易財モデルとも呼ぶ)は,1貿易財・非貿易財モデルにて

産業間の生産性格差に基づき考察する.この場合要素交易条件・非貿易財

相対価格は専ら技術により決定されて,得られる結果は以下の通りである.

ただしar,flwは貿易財,非貿易財労働投入係数. *印は外国の変数を示

1)Clague (1988), Dornbusch (1987), Kravis and Lipsey (1983)などを

 参照.

幻 Kravis and Lipsey(1983),Clague (1988),Froot and Rogoff (1994)sec-

 tion 3などを参照.

3)本文での文献に加え,動学・国際資本移動分析を含むFroot and Rogoff

 (1994)などを参照.

                -77-

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物価水準の国際比較:NON HOMOTHETICな需要のケースのリカードモデル

[1]伽ノ(蹟>αが酎すなわち肘/伽<畔/αTならば自国の物価は高水準

である。    十

[2]貿易財産業の技術進歩は,要素交易条件を改善し物価水準を上昇さ

せる。

[3]非貿易財産業の技術進歩は,要素交易条件に影響しないが物価水準

を低下させる。

このように1貿易財の想定により,明快な結論を得るのに成功している.

                               4) 第二にもとのBalassa (1964卜論文の分析はより一般的である.その主

要な前提は, ①2貿易財・各国1非貿易財モデルで. ②自国は全産業生産

に絶対優位を有し,さらに非貿易財労働投入係数比昴/伽と貿易財(第一

財,第二財)労働投入係数比の*/α.に関しa */a1>好彦z >酎/伽>1と想

                    5)定する. ③需要条件に明示的な言及はない.このとき以下の命題が成立す

る.

[命題1]

[命題2]

せる.

非貿易財価格は自国で高水準で,自国物価水準は高くなる.

貿易財での(一様な)技術進歩が当該国の物価水準を上昇さ

[命題3] 非貿易財の技術進歩は物価水準を低下させる.

以上より,労働投入係数に関する想定のみで,明快な結論を得るのに成功

している.明らかに先の貿易財・非貿易財モデルはBalassaの特殊な

4)

5)

Samuelson (1964)をも参照。

部分的には中立的消費パターンを想定しているp. 594を参照。

              -78-

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ヶ-スである.

         6) 第三に複数貿易財の場合, (要素)交易条件の決定のために需要条件の

明示が必要で, 2貿易財の場合に自国第一財,外国第二財輸出として, z

ニぐ£ソ(Cユ)と決まる.ここでCi, C/はプ財への支出性向, L, L*は

両国の労働量である.前稿(1994)では投入係数比の順序をヶ-ス分けし

て,一定の消費性向のヶ-スを分析した.

 本稿では生産性格差によるBalassa論文の2国・2貿易財・非貿易財

リカードモデルに,一般的な需要条件を明示的に導入する.その結果c,/

C2は相対価格および所得水準にも依存し,需要サイドを経由して要素交

易条件は貿易財のみでなく非貿易財の技術水準の影響をも受けZ z(ai,

On, ai. a灸)で,偏導関数の符号は自国(外国)労働投入係数の場合負

(正)である.このようにしてBalassaが分類したヶ-スに近く,「投入係

数→価格→実質為替レート(物価比率)R」,の経路に追加して,「投入係

数→要素交易条件→実質為替レート」の「間接的」経路を導入したことと

なる.これらを総合しR=召(z(.), 叫,On, ai, fl灸)とすることにより,

技術進歩にともなう実質為替レートへの総効果を考察するための枠組みを

明示する.そして貿易財・非貿易財モデル,一定の消費性向の場合,およ

びBalassaの分析を総合し,それらの結果が成立する可能性を拡張する.

分析の結果は

条件(*)z=ctLソfeL)>昴/伽

とすると

① 条件(*)は自国物価が高水準であることと同値で,[命題1]が成

6)De Gregorio and Wolf (July 1994)は小国で複数の貿易財を想定し,生

 産性格差に加えて交易条件の外生的変化の効果を分析する.

                -79-

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 立するための必要・十分条件であり, Balassaの想定のもとではこの条

 件が成立する.

② dR/da I = 瓦(dz/dai)十Ri, Rz>0から,自国第一財産業にて技術

 進歩が生じたとき自国要素交易条件が上昇し(dz/da Iく0),物価水準

 を引き上げる. PJ.下7?への添字は偏微分係数を示す.さらに略くz伽

 ならば(当初ゆぷ<PnよりeP*くP), i?i<0でこの側面でも自国物価水準

 はさらに上昇する.これは上記①と同一の条件である.逆に好>Z伽

 ならばR,>0となり,この側面では自国物価水準は低下し結果は不確

 定となるが上昇の可能性は存在する.以上より条件(*)は[命題2]

 が成立する十分条件となる.

③ dRノd切=凡(臨/ど伽)十Rn, Rn>0であり,非貿易財産業にて技術

 進歩が生じたときにも自国要素交易条件が上昇し(dz

 水準を引き上げるが,第2項は逆に自国物価水準を低下させるように作

 用するのである.ここで物価水準が低下するのは上記①と同一の条件の

 ときで,条件(*)は[命題3]が成立する十分条件でもある. 以上の

 関連を要約すると

貿易財・非貿易財モデル⇒Balassa (1964)⇒条件(*)⇒3[命題]

となる.

 本稿の構成は以下のとおりである.第2節では2国・2貿易財・非貿易

財モデルを利用し物価水準の国際比較を検討するためのモデルを表示し,

その均衡解の特性が示され,さらに変動方程式を導出する.第3節では技

術進歩にともなう要素交易条件の変動を示し,第4節では貿易財および非

貿易財での技術進歩による物価水準への比較静学分析を実行する.そして

第5節では得られた結論が要約される.

-80-

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2 2国・2貿易財・非貿易財モデル

 2-1 基本モデル

 考察する対象は2国(自国,外国)・ 2貿易財・各国に1非貿易財を含む

リカードモデルである.各財の第ブ財の固定労働投入係数を両,外国のそ

れらには*をつけて示す.労働は各国内では産業間を自由に移動し賃金率

w, w*を受け取るが,国際間は不移動である.貿易財投入係数に関して

αxルi<酎/酎と仮定する.すなわち主な仮定は,

① 自由競争のもとでの長期均衡(貿易収支均衡,貿易財の一物一価を含む)

 での分析

② 固定労働投入係数

③ 労働の国内産業間移動は自由で同一の賃金率を得るが,国際間は移動

 不可能

④ 非貿易財市場の均衡

⑤ 自国は第一財生産,外国は第二財の生産に比較優位を有し輸出財と非

 貿易財に特化

⑥ 消費者は2種類の貿易財と非貿易財を消費し効用を最大化する,

などである.

 先ず自国について企業の生産に関する側面を考察する. X戸Ljノau,Lj

を第丿財生産における労働投入量, 蜀を第丿財の生産量とする.さらに,

自国通貨表示の第ブ財の価格をわとし,利潤最大化に関し.

    動≦扨aj,χj≧0, i=h,2, N        (2-1-1)

の制約のもとで, Xj>0のとき拓=切aj,拘<wajのときχy=0である.

所与の労働賦存量£のもとで資源制約条件は

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ΣjajXj≦£ (2-1-2)

である.また国民所得水準Yは総労働所得で純生産総額にも一致する,

すなわち

Y=wL =Σ謳篤

である.

 代表的消費者(家計)の効用関数を

(2-1-3)

    U(D)=U(Dχ, D2,Dχ)                (2-1-4)

とし,A-は1人当たり(家計当たり)第丿財の需要量を表す.予算制約式

    ♪i皿十凱Di+)nDχ=w                 (2-1-5)

の下で,効用最大化により需要関数

    Dj(p2/P\,Pn/Pu,叫/P)          (2-1-6)

は財価格, 1人当たり所得w = Y/Lのゼロ次同次関数である性質から導

かれている.また消費性向らは

    ら=ぢ柄(拓ノ飢,Pn/Pu,切/))/w Σ冷=\,0<ら(2-1-7)

となる.さらに各財の総需要量はLDjで,非貿易財市場均衡条件は

LDn―XⅣ (2-1-8)

で非貿易財価格は釦=w心である.最後に物価水準は各財価格の加重平

均として

p=ΣjVjPi Σj駒=l,0<駒

-82-

(2-1-9)

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で示されるものとする.                犬

 外国に関しても類似の関係式が成立して,以下の各式で示される.

    ぢ≦≫本犀,x*≧0, i=l, 2, N      (2-1-10)

    Σj好Xj*=£*

    Y*=w*L*=Σi封X*

    D*(pi/Pt,Pn/P',切ノPご)

    ら*=が易*(討ノ忖,峠ノ討,wかn/ui*,Σc;=i

    £*£fi=X声

    鋸=扨*略

さらに物価水準は

    p*=Σi肘球 Σi砂=i 巧=ぢ         (2-1-11)

と定義可能である.本稿では内外価格差(物価水準の比較)検討のため,同

一の商品群購入のために要する支出額比率を考察する.よって(2-1-

9),(2-1-11)によって与えられる両国物価は効用関数(消費性向)と

は一応分離し,架空の物価を考察しり=ぢとする.またウェイトも巧>

0,ΣjVj=1 ,り=瞑以外の制約は設けていない.さらにこれは結論に

影響しない.

 世界市場での貿易財市場の均衡条件は,比較優位と完全特化に関する仮

定より,

    LD,十£*A*=Xi                    (2-1-12)

    LD,十L 木£ぶ―Xi

となる.名目為替レートをeとし,貿易財に関する一物一価の関係は

    拓=呻i                    (2-1-13)

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であり,比較優位に関する想定より,相対価格は投人係数と要素交易条件

により

P2/Pl=p2/P卜酎/(za), Pn/P 1=aw/al. Pn/Pi =昴八[za)

                (2-1-14)

である。さらに,実質為替レートは

    R=P/(eP*)

と定義される。

 ここで非貿易財の労働投入係数比に関して

(ケース1)

(ケース2)

(ケース3)

a*/ai >河川t >昴/αN

a rμ1 >酎/伽>河/αi

昴/心>河川i >吋/α2

(2-1-15)

(2-1-16)

と分類可能である(表1参照). Balassa (1964, p.585)による分析はこの

(ケース1)に含まれる。また, Dornbusch, Fischer and Samuelson

(1977)では2国・連続無限多数財モデルにて非貿易財の範囲を内生的に

決定するメカニズムをも分析している。その場合貿易障壁を想定して,非

貿易財は貿易財相対投入係数の範囲内に決定され, (ケース2)に対応す

る。本稿では非貿易財の相対的位置を外生的に分類し,その影響を分析す

るのである。

 2一2 均衡解の特徴

 自国の第二財需要(輸入)量は要素交易条件に依存して

     £炳=£zc2/αi

であり,また外国の第一財需要(輸入)量は

-84-

(2-2-1)

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£*A゛= (£*c,μ,)μ(2-2-2)

となる.

 他方生産量は,非貿易財市場の均衡条件と資源制約条件を連立して

X^=ら£/伽

Xi = (Cr十C2)£瀕i

となる.同様にして外国における生産量は

Aヌ ―収£ソ昴

xi =(ぐ十司)£瀕i

を満たす.これらを貿易財市場の均衡条件に代入して,

(2-2-3)

(2-2-4)

   (2-2-5)

   (2-2-6)

均衡要素交易条律

    z=w/(ew ・)=(CΓμz)エ*/L        (2-2-7)

を満たす.消費性向が一定なら,要素交易条件は労働投入係数から独立で

ある.

 本稿の目的は消費性向比率C*/C2が相対価格および所得水準に依存する

ことを経由して労働投入係数に依存し,貿易財・非貿易財モデル,共通財

モデルとは異なったルートでの「労働投入係数→要素交易条件」の経路を

導入し実質為替レートの変動の分析を行うことである. non homothetic

な需要の効果はこの側面にて作用している.

 なお比較優位と貿易収支均衡条件より要素交易条件の値は

    好瀕zくz<酎/αi               (2-2-8)

7)(2-1-12)の2均衡条件から均衡要素交易条件の同一値を得ることがで

 きる.以下では単に要素交易条件と呼ぶ.

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となる必要がある.この要素交易条件より実質為替レーの均衡値が得られ

    R=P/(eP*)=毘言古諾ム   (2-2-9)

となり,一般的に,ウェイト,労働投入係数,およびzを経由して消費性

向と労働量比率にも依存する.ここで実質為替レートの概念を差で考察し

    P/(eP*)il ぐ=⇒ P-eP*壹           (2-2-10)

             9)の関係を利用するのである.以下両国同一のウェイトで評価し

    輿=(ぬの十聊伽非十―ギ=R(z,at, a*)   (2-2-11)    eP゛ 戮zai十ぴ2αi十VnCI良

    P-eP* =-(昴-αμ)りNe双*             (2-2-12)

となり,右辺は両国の非貿易財価格の相違による物価水準の相違を表して

いる.この式の意味は簡単である,貿易財の一物一価,および同一ウェイ

トの想定から,物価水準の相違は同一通貨に換算された非貿易財価格の相

 8)なお貿易財部門の一様な技術進歩を想定してαlと同時に生産されていない

   財でのα%も大幅に低下すると,zは吋加z=z<吋/αxとなる可能性が生じる.

   この場合,より一層の第二財での技術進歩は要素交易条件zを比例的に上昇

   させることになる.何故ならこのとき第二財は共通財となっているためであ

   る.以下ではこの可能性を除き技術進歩にも拘わらず(2-2-8)が成立す

   るものと想定する.なおBalassa p.593では貿易財産業での一様な技術進歩

   とより低い率での非貿易財産業でのそれの結果貿易財間の相対価格一定と想

   定しているが, (賃金上昇を通じて)非貿易財相対価格は上昇する.

 9)これは

P-eP*={αi(痢一叶z十(f2一河)好一{収録一伽z伽知w*}

右辺{‥.}内の(第1項十第2項)は両国の貿易財のウェイトの相違から

生じる実質為替レートの相違を表し,第3項は非貿易財価格の相違とウェイ

トの相違から生じる実質為替レートの相違を表している.

■ 86・

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違に帰着し,後者はさらに要素交易条件と非貿易財労働投入係数比の相逍

に帰着する.

 (ケ―スI)のときz>吋/恥であるから直ちに,♪y>ゆ応が成立してf

>汐*となる,これはBaIaSSa(1964)が想定した場合を含んでいる.遠

(2-2-13)

となる.以上より(ケース1),(ケース3)をも含めて(2-2-13)よ

り,外国の輸入需要の自国輸入需要に対する比が,外国の非貿易財労働投

入係数の自国でのそれの比率に比較して大のとき自国物価水準は外国のそ

れを上回り,逆のときは下回る.ちょうど両者の値が等しいとき両国物価

水準は同一となる(表1のの).

 以上のように自国の物価が外国のそれに比較して高水準か否かは,一般

的には①貿易財労働投入係数に比較した非貿易財労働投入係数,②両国の

各財への消費性向,③両国労働賦存量比率,に依存している.したがって

自国物価が高水準となる必要・十分条件は

    z=(ctLり/fe£)>昴ノ恥          (2-2-14)

10)ちなみにBalassa (1964)では特に需要条件への言及はない.

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である.これは(ヶ-ス1)したがってBalassa (1964)の場合を含む形

        11)での一般化である.この内容そのものはいたって簡単であるが,以下の比

較静学分析において重要である.すなわち後述の技術進歩の物価への影響

を確定するための十分条件である.

 2-3 変動方程式

 (2-2-11)のように実質為替レートを直接的には両国労働投入係数と

要素交易条件の関数として, P/(eP*)=R(z, at. On, 耐, 昴)と表現可

能である.偏微分係数を尺への添字で示しaxで微分した結果

dR/dai=瓦(z/da)十凡

であり,要素交易条件による偏微分係数は

R-

-

(viαi昴十りzaiaN十伽昴伽)砂

  {vizαi十Via?十喊向)2

(2-3-1)

>0 (2-3-2)

となり正である,すなわち仮に労働投入投入係数が一定としたとき,要素

       12)交易条件の上昇は自国物価水準を上昇させる.自国輸出財(第一財)労働

投入係数の偏微分係数は

(2

にて

D幻

II

沢i =  (αN一ぶat)ノi伽Z

(vizα.十ノ2酎十抑a乱)(2-3-3)

3-3)の全体の符号は分子のsign這-αt^z)に等しい.同様にし

dR/dan=瓦(dz/dan)十Rn

拙稿(1994)を参照.

これは例えば選好のシフト,外国相対労働人口L*/Lの増加により生じる.

             -88-

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£yニフノlZαI+ 乱7j十囁a乱>0 (2-3べ)

である.

 消費性向が一定のとき, dz/dai=0であるから, dRノdai =Ri,dR/

心N=RN>0となり,前稿(1994)の分析に一致し,結果は表1の①,②,

③行に対応する.すなわち,要素交易条件が一定のもとで,技術進歩以前

に自国の物価が相対的に高水準の場合,自国の貿易財産業の技術進歩はよ

                     13)り一層自国の物価水準を引き上げる(逆は逆).次の作業は一般的な需要条

件のもとで, dzノdaiを導出することである.

3 要素交易条件の変動

 貿易財市場の均衡条件から導出された要素交易条件はZ=(好μ2)(£ソ

£)である.変数Xの百分比変化率をg(x)=dx/xとし,自国の消費性向

は費用・価格関係式を利用して

    ら=鳥跡(αシ(おi),α/αi,l/a)/w        (3-1)

となる.同様に外国のそれらは

    ら*=鳶柄*(酎/知i),aが(za), l/(za))/犯*      (3-2)

である.各財の費用・価格関係を利用し, (1人当たり)自国丿財需要量の

変動は

g(Dj)=71j2[g(瓦)-g(夕)]+7加[g(ル)-g(飢)]

    十ら[g(uノ)-g(p)]

13)さらにBalassa (1964), p.593をも参照.

                 -89-

(3-3)

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 物価水準の国際比較:NON HOMOTHETICな需要のケースのリカードモデル

となる,ここでVji, らはそれぞれ第プ財需要量の第f相対価格(Pi/p)

に関する全弾力性,第丿財の所得叫/p)弾力性を表している.また以下

両国の労働量L, L*は一定とする.費用・価格関係(2-1-14)を利用

して相対価格の変動は

    g(pi/pl]=g[φ2/P?]=g(α2)-g(z)-g-(αi)    (3-4)

    g[Pn/Pi]=g(伽)-g(αi)

    だ(■bN/)*]=s(肘) -」)一s(a,)

であるから,これらを利用して変形すると,労働投入係数の変化で表現さ

れて

    g(扁)=伽[g(an-g(z)]+V}Ng(伽)-(Vj2 +VjN十り)g(ai)(3-5)

さらにg(Cy)=g(£)十g(Pi)-g(㈲であるから, C2の変動は

    g(Ci)=g(ai)十g仙)-g(z)               (3-6)

となる.また予算制約式より,所得弾力性に関して

    C\Si十C2ε2十Cm巳n― 1                   (3-7)

相対価格弾力性に関して

    Cl77i2十Cz(l+V22)十CA'刀皿=0,Ci77iⅣ十Cl�N十ら(1十??A'iv)=O

                                 (3-8)

が成立する.

 同様に外国に関して,需要量の変動は

    g(仙*=悩g(酎)十脇g(昴)-(屈+Vik十寸)[g(α)十g(z)]

                               (3-9)

-90 -

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であり,消費性向ぐの変動に関しては

    g(ぐ=g(α)十g(z)十g(ヱぐ (3-10)

が成立する.

 労働量を一定として要素交易条件式を全微分してg(z)=g(が-g(c2)

十g(L/£), gCLソ£)=0であり,以上の変動式を代入して,

    △=(臨+l)-(屁+心十が)

と定義して要素交易条件の変動g-(z)=dz/zに関して解くと,

    dz/z=g(z)

-△lg(α)十

(3-11)

)十(V22-屁+l)g(吋)-Vふg(昴)-

-

となる.ただし

(3-12)

    △1=7?22十VlN十£2+l-(??i*2+7?iV十en        (3-13)

である.ここで, dz/z \こおける係数(弾力性)を評価・確定するため,

[仮定] 伽>0(プ≠昿 £,>o,ぢ>o(ブ≠以 ら*>0

とすると,この仮定の下では分母の△は負である.すなわち相対価格Pi/

Piに関する弾力性の制約より,

    C2(l+?722)=-(Cl肋十CNVm)<0            (3-14)

                                  14)であるから△<Oが成立する.他方で△1も負と想定することが可能で,

全体としてー△l/△<Oと符号は負である,すなわち自国第一財産業およ

14)自国輸入財が必需品ε,<1ならこの傾向は強められる.

                -91-

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び非貿易財産業での技術進歩は要素交易条件を改善する.同様に外国での

技術進歩は自国要素交易条件を悪化させることとなる. 以上を要約すると

  (-)(-)(十)(十)

z=z(ai, an, 吋,αぷ) (3-15)

である,ただし変数の上の符号は偏導関数の符号を表す.よって自国(外

国)のいずれの産業の技術進歩も要素交易条件を上昇(低下)させる(表1

の⑤行を参照).ちなみに,貿易財・非貿易財モデルの場合臨/加N=0,

Balassaの分析の場合賃金率が一定の場合と上昇する場合を分類している

が明示的な理由が無く,また一定の消費性向の場合はdz/dai=0である.

本稿の場合にはすべての投入係数につき成立する.

4 比 較 静 学

 以上の結果,「労働投入係数→価格→実質為替レート」,の直接的経路に

追加して,「労働投入係数→要素交易条件→実質為替レート」の「間接的」

経路を導入したこととなる.ただしここでの「労働投入係数→要素交易条

件」の関連は貿易財・非貿易財モデルのケースと異なり,貿易財市場での

需要・供給の均衡条件を経由したものである.これらを総合し,労働投入

係数の変化の実質為替レートへの総効果を考察するのである.

 すなわち,第一財労働投入係数の場合

ここで,

dRノdax={(aN一αμ)αiむi△

     -(αα知i十河αパi十好恥伽)△}QAi

Q=(十αy九万

心伽)2△<0

        -92-

(4-1)

(ト2)

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と定義している.これより, Q/ai<0であり, (4-1)の分子{ }の

第二項は正で第一項は不定である.もし第一財産業にて技術進歩が生じた

なら,自国相対賃金(要素交易条件)が上昇し物価水準を引き上げる,さ

らに第一項にて昴<z伽ならば,この側面でも自国物価水準はさらに上

昇することになる.逆に第一項が略>z伽ならばこの側面では自国物価

水準は低下し結果は不確定となる.

 同様に非貿易財労働投入係数の場合

dRノd恥=恒心T凶μ灸一flivZ)十伽(α知z十α知パαi叩)△l}Q/αN

                     (4-3)

である.非貿易財産業にて技術進歩が生じたとき好くZ伽ならば(当初

eP'<P),自国賃金(要素交易条件)が上昇し自国物価を上昇させる影響が

それを低下させる直接的な影響よりも小さ<物価は低下する.逆に好>

z伽ならば物価水準の変化の方向は不確定となる.

 ちなみに,貿易財・非貿易財モデルおよび2貿易財・非貿易財モデルで

一定の消費性向の場合には非貿易財産業での技術進歩は要素交易条件に影

響を与えない.また2貿易財で完全特化・一定の消費性向の場合貿易財産

業での技術進歩も要素交易条件に影響を与えない.貿易財産業での技術進

歩が要素交易条件に影響するのは貿易財・非貿易財モデルである.

 よって次のように要約可能である.

条件(*)z=ぐ£ソfoユ)>吋/ら

を想定する,この場合以下の結果が成立する.

① 当初の状態でゆぶ<pNすなわちeP*<Pであり自国物価は高水準であ

 る,(*)は[命題1]成立の必要・十分条件である((2-2-13)式を

 参照),

                -93-

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② 第一財産業での技術進歩により自国物価水準は上昇する,(*)は

 [命題2]成立の十分条件である,

③ 非貿易財産業にて技術進歩が生じたとき自国物価は低下する,(*)

 は[命題3]成立の十分条件である.

 以上の結果の意味を考察しよう.非貿易財の労働投入係数比昴/伽に

関して(ケース1)酎/αi>吋/α2>麟/αN,(ケース2 )μ/αi>昴ノ伽>

吋/ai,(ケース3 )昴ノ恥>吋力i>吋μz,と分類した.特に(ケース

1)の場合には労働投入係数の比較のみで先の条件(*)が成立するから,

直ちに当初自国物価は高水準であり,第一財産業での技術進歩により自国

物価水準は上昇し,非貿易財産業にて技術進歩が生じたときには物価は低

下する.貿易財・非貿易財のケースあるいはBalassa (1964, p.585)によ

る生産性格差による説明はこの(ケース1)に含まれる.また(ケース

2)まで領域を拡大すると,先の十分条件は3命題の成立する可能性を拡

張したことになる.またたとえ(ケース2)にて条件(*)が成立しない

場合においても,賃金上昇の効果が存在しており命題成立の可能性は残さ

表1

昴/伽の領域       αi/αz z=c'L*/CzL 酎加i

(ヶ-ス1)

 Balassa

(ヶ-ス2) (ヶ-ス3) 対応式

① ?>1 R>1 R<1 ?<1 (2-2-13)

② 瓦 - - + + (2-3-3)

③ Rn + + + + (2-3-4)

④ 応 + + + + (2-3-2)

⑤dz/dai - - - - (3-18)

⑥ 応dz/da) - - - -

⑦取/必i - - 不確定 不確定 (4-1)

⑧ dRダd恥 + + 不確定 不確定 (4-3)

注)ここで⑥=④×⑤,⑦=②十⑥,⑧=③十⑥であり,またBalassaは(ヶ-ス1)に

  含まれる。消費性向一定のとき⑤=0,したがって⑥=Oで,⑦=②,⑧=③である。

-94 -

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れている. 以上の関連を要約すると

貿易財・非貿易財モデル⇒Balassa (1964)⇒条件(*)⇒3[命題]

となる.

 物価水準,貿易財および非貿易財産業での技術進歩の要素交易条件およ

び実質為替レートへの影響を,非貿易財労働投入係数比の相対的位置に関

して分類しその相違を要約すると前頁の表1のようになる.

5 要 約

 本稿では内外価格差をもたらす構造的分析を, Balassa(1964)の命題

を中心に検討しそれらの成立する(必要・)十分条件を考察した.特に一

般的な需要条件を導入した結果,「投入係数→価格→実質為替レート」,の

経路に追加して,「投入係数→要素交易条件→実質為替レート」の「間接

的」経路を導入した.これより,技術進歩の実質為替レートへの総効果を

考察するための枠組みを提供し,同時に貿易財・非貿易財モデル,消費性

向一定の場合およびBalassaの分析の結論が成立する領域可能性を拡張

を行った.以上の結果は

① 自国物価が高水準で,[命題1]が成立するための必要・十分条件は

 条件(*)z=c↑Lソ(c2£)>昴/心であり, Balassaの想定のもとでは

 この条件が成立する.

② 第一財産業にて技術進歩が生じたとき要素交易条件が上昇し物価水準

 を引き上げる,さらにさらに略<z伽ならばこの側面でも自国物価水

 準はさらに上昇する.これは上記①と同一の条件である.逆に昴>z伽

 ならばこの側面では自国物価水準は低下し不確定となるが上昇の可能性

 は存在する. 以上より(*)は[命題2]が成立する十分条件となる.

               -95-

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③ 非貿易財産業にて技術進歩が生じたときにも自国賃金(要素交易条件)

 が上昇し物価水準を引き上げるが,直接効果は自国物価水準を低下させ

 るように作用する.ここで物価水準が低下するのは上記①と同一の条件

 のときである.よって(*)は[命題3]が成立する十分条件でもある.

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