diaプロテオーム解析...e. coli digest standard 100 ng(waters社)にhela protein digest...

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CERIのDIA(データ非依存性解析)法を用いたプロテオ-ム解析は、5年間に渡って同一の装置、測定条件で DDA(データ依存性解析)法で蓄積した500万を超えるスペクトル及びクロマトグラムの内部データベースを参 照することで、信頼性の高いDIA法による定量比較解析が可能です。 DIAプロテオーム解析 2020.05 長所︓ピーク強度に依存せず(データ非依存的)にMS1で検出された全てのピークのMS/MSデータ がサイクルタイム(2秒)毎に取得可能 これまでのDIAプロテオーム解析 分画を駆使し同一装置、条件を用いてDDA法で取得した500万を超える内部スペクトル及びクロマトグラ ムデータベースを参照します。サンプル量が少なくプールサンプルを用いたデータベースを構築出来ない 場合に、定量比較解析の精度を向上させるための有力なツールになります。 使用装置: QExactive Plus (Thermo Scientific社) 使用カラム: L-column2 micro (CERI) 東京事業所 / 環境技術部 〒345-0043 埼玉県北葛飾郡杉戸町下高野1600番地 tel: 0480(37)2601 fax: 0480(37)2521 CERIのDIAプロテオーム解析 短所︓MS/MSデータが極めて複雑になるので、正確な解析を行うためには、事前にプールサンプルで のデータベースを構築する必要有り。データベースを作成しない場合には同定数や精度が低下 解析例︓ DDA法で作成したデータベース例︓ 転写因子384種を含む16,698種のタンパク質を同定 HeLa Protein Digest Standard (Thermo社) 100 µg を強カ チオン交換(SCX)+ High pH RPLCによる分画で作成した32画 分の各々の画分を6時間グラジェントで計192時間測定 E. coli Digest Standard 100 ng(Waters社)にHeLa Protein Digest Standardを1、5、10 ngスパイクしたサンプルを調製しDIA法(サイ クルタイム: 2s、Q1Window: 20Da、Overlapping: 0.5Da)で測定を実施。DDA法で作成した内部データベースを参照して解析。 図1 DIA法で取得したS/MSスペクトルの解析例 ヒトアネキシンA1 由来のペプチド断片“SEDFGVNEDLADSDAR” A: HeLa Protein Digest Standard 1 ng添加 B: HeLa Protein Digest Standard 5 ng添加 C: HeLa Protein Digest Standard 10 ng添加 A B C A vs. B r 2 = 0.993 A vs. C r 2 = 0.991 B vs. C r 2 = 0.994 A B C 図2 アネキシンA1 由来のペプチド断 片のフラグメントイオン面積値の総計 図4 E-Coli由来のタンパク質の各測定間の Scatter Plot 図3 HeLa由来のタンパク質のサンプルBを 基準にした量比のクラスタリング結果 結果︓HeLa由来のタンパク質の例として、アネキシンA1のDIA法による解析結果を図1及び2に示した。アネキシンA1をはじめHeLa由来として検出さ れた373種のタンパク質の殆どで理論値と一致する量比が得られることが確認された(図3)。また、検出された3613種のE. coli由来タンパク 質について、定量値の相関係数は各測定間で全て0.99以上であった(図4)。 結論︓プールサンプルを用いたデータベースを作成しない場合でも、DDA法で作成したクロマトグラムデータベースを参照することで正確なDIA解析が可 能であることが確認された。 A B C

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Page 1: DIAプロテオーム解析...E. coli Digest Standard 100 ng(Waters社)にHeLa Protein Digest Standardを1、5、10 ngスパイクしたサンプルを調製しDIA法(サイ

CERIのDIA(データ非依存性解析)法を用いたプロテオ-ム解析は、5年間に渡って同一の装置、測定条件でDDA(データ依存性解析)法で蓄積した500万を超えるスペクトル及びクロマトグラムの内部データベースを参照することで、信頼性の高いDIA法による定量比較解析が可能です。

DIAプロテオーム解析

2020.05

長所︓ピーク強度に依存せず(データ非依存的)にMS1で検出された全てのピークのMS/MSデータ がサイクルタイム(2秒)毎に取得可能

これまでのDIAプロテオーム解析

分画を駆使し同一装置、条件を用いてDDA法で取得した500万を超える内部スペクトル及びクロマトグラムデータベースを参照します。サンプル量が少なくプールサンプルを用いたデータベースを構築出来ない場合に、定量比較解析の精度を向上させるための有力なツールになります。

使用装置: QExactive Plus (Thermo Scientific社) 使用カラム: L-column2 micro (CERI)

東京事業所 / 環境技術部〒345-0043 埼玉県北葛飾郡杉戸町下高野1600番地tel: 0480(37)2601 fax: 0480(37)2521

CERIのDIAプロテオーム解析

短所︓MS/MSデータが極めて複雑になるので、正確な解析を行うためには、事前にプールサンプルで     のデータベースを構築する必要有り。データベースを作成しない場合には同定数や精度が低下

解析例︓

DDA法で作成したデータベース例︓

転写因子384種を含む16,698種のタンパク質を同定

HeLa Protein Digest Standard (Thermo社) 100 µg を強カチオン交換(SCX)+ High pH RPLCによる分画で作成した32画分の各々の画分を6時間グラジェントで計192時間測定

E. coli Digest Standard 100 ng(Waters社)にHeLa Protein Digest Standardを1、5、10 ngスパイクしたサンプルを調製しDIA法(サイクルタイム: 2s、Q1Window: 20Da、Overlapping: 0.5Da)で測定を実施。DDA法で作成した内部データベースを参照して解析。

図1 DIA法で取得したMS/MSスペクトルの解析例  ヒトアネキシンA1 由来のペプチド断片“SEDFGVNEDLADSDAR”  A: HeLa Protein Digest Standard 1 ng添加  B: HeLa Protein Digest Standard 5 ng添加  C: HeLa Protein Digest Standard 10 ng添加

A B C A vs. Br2 = 0.993

A vs. Cr2 = 0.991

B vs. Cr2 = 0.994

A B C

図2 アネキシンA1 由来のペプチド断片のフラグメントイオン面積値の総計

図4 E-Coli由来のタンパク質の各測定間のScatter Plot 

図3 HeLa由来のタンパク質のサンプルBを基準にした量比のクラスタリング結果

結果︓HeLa由来のタンパク質の例として、アネキシンA1のDIA法による解析結果を図1及び2に示した。アネキシンA1をはじめHeLa由来として検出さ     れた373種のタンパク質の殆どで理論値と一致する量比が得られることが確認された(図3)。また、検出された3613種のE. coli由来タンパク 質について、定量値の相関係数は各測定間で全て0.99以上であった(図4)。

結論︓プールサンプルを用いたデータベースを作成しない場合でも、DDA法で作成したクロマトグラムデータベースを参照することで正確なDIA解析が可 能であることが確認された。

A B C