臨床麻酔 (2010.08) 34巻8号:1331~1335.
TCIを利用した迅速導入法―Stocking MethodとExternal Method―
国沢卓之
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アイデアコーナー●
TCIを利用した迅速導入法
一StockingMethodとExtemalMethod-
国沢卓之*
旭川医科大学病院手術部
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TakayukiKUNISAWA
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Threemethodsofrapidsequenceinductionwith
TCIwereevaluatedusingpharmacokineticsimula‐
tionSincethestockingmethodhasasmalldiffer‐
enceintheeffect-siteconcentration,smalltotal
amountofpropofol,shortrequiredtime(RT)tolossofconsciousnessandshortRTtoemergence,it
maybebetterthanthenormalandexternalmeth‐ods.
(ノα/"A"gsr〃の'2ノ2010;34:1331-5)
Keywords:TCI,Rapidsequenceinduction,
PropofOl
迅速導入においてプロポフオールは一般的に使
用される薬物である')が,target-controlledinfu‐
sion(TCI)を利用する方法は一般的ではない.
これはTCIシステムを内蔵したシリンジポンプ
の投与速度に上限があることに起因すると考えら
れる.本邦で利用されているDiprifusor⑧(Astra‐
ZenecaPharmaceuticals,CheShire,UK)内蔵
シリンジポンプTE-371(テルモ(株),東京),
Graseby3500TCI(GresebyMedicalLtd.,Wat‐
for。,UK)の最大投与速度はいずれも50mLシリ
ンジまたはprefilledsyringe2)を使用した場合,
1,200mL/hrである.50kgの成人に2mg/kgの
キーワード:TCI,迅速導入,プロポフォール
*TakayukiKUNISAWA
〒078-8510旭川市緑が丘東2条l-1-1
旭川医科大学病院手術部;講師
プロポフォールの投与を行う場合,30秒の時間
が必要となり,添付文書に記載された投与速度2)
に一致するため通常の導入では適切と考えられる
が,従来から推奨されている迅速導入法3-5)と比較
して要する時間が多くなる.そこで通常の単回投
与を併用した迅速導入後にTCIによる維持を行
う状況が想定されるが,その際はシリンジポンプ
に表示される効果部位濃度(effect-siteconcentra‐
tiondisplayedonthepump:ESC-Pu)は,患者
に投与された薬物から計算される効果部位濃度
(effect-siteconcentrationinapatient:ESC-Pa)
との間に解離が生じ結果として覚醒するESC
まで濃度が低下するのに必要とされる時間が延長
する.そこで通常のTCIに加え2種類の迅速導入
後にTCIで維持した場合のESC-Paを算出し,
功罪を検討した.
方法
身長165cm,体重50k9.50歳の男性を患者
として想定した.導入は,①通常のTCI(normal
method:NM),後述の②stockingmethod(SM),
③externalmethod(EM)を用いた迅速導入と
し,維持はDiprifusor⑧内蔵シリンジポンプの
目標血中濃度を3雌/mLと設定して1時間の
麻酔管理を行うこととした.入眠時(lossofcon‐
sciousness:LOS)ESC,覚醒時(emergence:
Emer)ESCをそれぞれ2.35,1.8岨/mLと仮
定6,7)して,導入,終了からのそれぞれのESCに
到達するまでの所要時間(requiredtime:RT)を
プロポフォールの総投与量と共に算出した.薬物
動態シミュレーション(PK)は,Marshモデル8)
臨床麻酔V01.34/No.8(2010-8) 1331