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現代天文学物理部門 羽部朝男
宇宙物理学入門
内容
• 宇宙について,現代の理解を紹介する• 前半:理論 宇宙物理学の概要• 後半:観測 どうやってわかるのか
前半の内容• 宇宙物理学の概観
• 宇宙の膨張
• 宇宙の進化
• 星の形成と進化
• ブラックホール
• 重力波
• 銀河の形成と進化
• ビックバンのころ
評価ー前半• 毎回の質問と感想• コピーはすぐわかるのでしないこと• [email protected]
• 講義と関係するテーマのレポート
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•講義資料は http://astro3.sci.hokudai.ac.jp/~habe/modern-astronomy/
•毎回感想を次のアドレスに送ること• [email protected] (1は数字)•必ず,タイトルは現代天文学とする•氏名と学生番号を本文に書くこと
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授業の前提
• 物理学I,IIを履修して理解していること• 方程式を扱うので微分積分ができること
参考文献
• 宇宙物理学 高原文郎 朝倉• 宇宙物理学 二間瀬史 朝倉
宇宙物理学とは• 宇宙(天文学的知識)を物理学の立場から研究する学問
• 対象:太陽,星,銀河,宇宙全体• 扱う物理現象:素粒子,原子核,原子分子の素過程から,プラズマ,流体,相対論のマクロな物理学まで
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宇宙物理学の歴史• 1930年代の原子核物理学による星のエネルギー源の解明に始まる
• 星の進化と元素の起源の分野の確立• 星の内部構造とエネルギー源の解明• 直接見えない星の内部構造を物理学に基づいて解明し,星の進化を予言する
1960年代の発見• クェーサー 宇宙論的な距離にあり,膨大なエネルギーを放出する天体,電波銀河やセイファート銀河など活動的銀河中心核の発見,巨大ブラックホールを示唆する
• 宇宙背景放射の発見,ビックバン理論の観測的証拠
1960年代の進展• 電波天文学 => 電波銀河,宇宙背景放射 • X線天文学 => 中性子星やブラックホール
• 赤外線天文学 => 活動的銀河核や爆発的星形成銀河
観測の進展にともなう宇宙物理学の進展
• ブラックホールや中性子星を扱う相対論的宇宙物理学
• X線γ線天文学を扱う高エネルギー宇宙物理学
• 宇宙論的天体の観測と宇宙の誕生から現在までの観測的宇宙論,宇宙の構造形成論
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理論面での進展• 実験できない天体現象をスーパーコンピュータでシミュレーション研究する宇宙物理学(銀河形成,超新星爆発)
• 素粒子物理学の進展と宇宙物理学,素粒子の統一理論とインフレーション,
• 素粒子実験場としての宇宙物理学
宇宙の概観• 天は落ちてこないのか(杞憂)• MITAKAによる宇宙旅行• 宇宙の大きさと質量• 天体までの距離• 宇宙は膨張している
杞憂• 中国の杞という国の人が天は落ちてこないのかと心配して夜も眠られなかったという故事
• 心配してもしょうがない事に悩む事• 天は落ちてこないのか
Mitaka
• 国立天文台 4D2Uプロジェクト
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天体の大きさと質量
• 惑星 6500 km = 6.5x10^8 cm• 太陽(恒星) 7x10^10 cm� • 太陽系 10^13-15 cm• 銀河 10^23 cm 10^11 Mo• 銀河団 10^25 cm 10^15 Mo• 大規模構造 10^26 cm
1光年=10^18cm
=3
1M� = 2� 1033g
天体の大きさと質量の決定
• 天体までの距離rと大きさRと角度θの関係
• 質量の決定
=3
R = r�
=3
�
=3
R
=3
r=3
GM
R2=
v2
R
=3
M =Rv2
G
=3
r =R
�
RMv
1pc
• θ=1秒角のときのrを1pc(パーセック)という
地球太陽
=3
�
1億5千万km
=3
r
レポート 1pcの値を求めなさい
=3
1pc = 3� 1018cm
太陽の質量• 地球と太陽の距離は1億5千万km,地球の公転速度は30km/sとして太陽の質量を求めなさい
• 太陽と天の川銀河の中心との距離は8500pc,太陽は天野我が銀河の中心のまわりを220km/sで円運動しているとして天の川銀河の質量を求めなさい
=3
M = 1M�
レポートとして提出
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銀河
銀河:多数の星の集団(10億から1000億個の恒星)
30kpc
右図は円盤銀河:中心の周りを円盤状に分布したガスと星が回転
レポート:図の円盤銀河の回転速度を計算せよ
=3
1011M�
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銀河団
大きさ: 1Mpc質量: =3M = 1015M�
23
•銀河分布の大規模構造
40億光年
宇宙の概観(1)•天体は、様々なサイズと質量•惑星や太陽、星は球•惑星系や円盤銀河は円盤•銀河団はもやもや•大規模構造はむらむら•宇宙全体は?
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天体までの距離はどれくらいか?•太陽: 1億5千万km•火星:太陽から地球までの1.38から1.67倍•となりの星:プロキシマ・ケンタウリ, 4.2光年=1億秒
•我々の銀河の中心: 2万4千光年=7千億秒•となりの銀河;マゼラン星雲、15.7万光年
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光で500秒
天体までの距離はどれくらいか?
•アンドロメダ銀河: 239万光年•乙女座銀河団: 6520万光年•かみのけ座銀河団: 3.2億光年•もっとも遠くの銀河: 130億年前の光•宇宙背景放射: 138億年前の光
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銀河の平均間隔
• 600万光年立方に我々の銀河程度の銀河1個
•宇宙の物質密度: 1立方mに2.4 x 10^-24 g–ここで物質とは元素とダークマターの和
•水の密度:1立方mに1000kg•水素原子: 1.67 x 10^-24 g
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宇宙の膨張•銀河の後退速度と距離の比例関係
•距離が2倍になると速度も2倍•宇宙が 一様に膨張していると、一様な銀河の密度を保てる
•この比例関係は,宇宙が一様に膨張している証拠
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=3
v = Hd H = 70km/s/Mpc
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各点の間隔は同じようにひろがる その結果、各点の速度は互いの距離に比例する
1ー22ー43ー6
v:速度、d:距離
現在ハッブルの関係は6000万光年まで測定
一様なゴムを伸すと
ゴムに等間隔に印をつける
=3
v = Hd
一様膨張宇宙• 宇宙が一様膨張しているとき,i番目の銀河の位置diはつぎのように変化すると表せる
• j番目の銀河からのi番目の銀河の距離d’iは
=3
di = a(t)ri
=3
d�i = a(t)ri � a(t)rj = a(t)(ri � rj)
どの銀河から見ても周りの銀河の位置は同じ割合で膨張している
aは時間に依存し,rは依存しない
• これはハッブルの関係とおなじ
• 宇宙が一様に膨張しているとハッブルの関係が得られる
=3
ḋ�i = ȧ(t)(ri � rj) =ȧ(t)a(t)
a(t)(ri � rj) =ȧ(t)a(t)
d�i
=3
v = Hd
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この関係の比例係数の最近の測定値3百万光年はなれると70km毎秒の速度�v=Hd
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次回•膨張宇宙モデルについて
–講義資料は http://astro3.sci.hokudai.ac.jp/~habe/modern-astronomy/
•毎回感想を次のアドレスに送ること• [email protected] (1は数字)•かならず,タイトルは現代天文学とする•氏名と学生番号を本文に書くこと
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