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教育開発センター長就任にあたり-令和時代における本学の教育について- 井手本 康

教育開発センター長/副学長(教育副担当)

●出典:「数学マネジメント指針」(文部科学省) https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1411360_00001.html ❶

AIやIoT等に代表されるテクノロジーの急速かつ継続的な変化、グローバル化の一層の進展等、令和を迎えた社会構造は、これまでにないスピードで変化しており、これらの変化に対応し、社会で活躍し続ける人材の育成が大学に求められています。この実現に向け、大学では知識や技能を教授するのみではなく、学生がこれらを活用できるよう、「何を目的として、どのような内容を、どこまで学ぶか」を主体的に考え、実践する力を身に着けさせることが重要となります。『教学マネジメント指針(2020年1月22日公開):「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン答申(2018年11月26日公開)」中の「Ⅲ.教育の質の保証と情報公表」における【全学的な教学マネジメントの確立】に基づき、大学教育の質の保証の観点より、確実に実施することが必要と考えられる取組みや留意点等が示された指針』においても、「予測困難な時代を生き抜く自律的な学修者を育成するためには、学修者本位の教育への転換が必要であり、そのためには、教育組織としての大学が教学マネジメントという考え方を重視していくことが必要」であり、「その確立に当たっては、学修者本位の教育の実現のためには大学の時間構造を「供給者目線」から「学修者目線」へ転換するという視点が特に重視される」旨の見解が示されており、本学ではこの具現化に向けた教育活動の一端を、本センターが担っていることとなります。本センターは、全学的な教育のさらなる改善・充実、FD活動の推進を図

ることも目的に、2007年度に設置され、これまで、シラバス整備、授業改善のアンケート、卒業予定者対象アンケート、GPAを用いた入学後の学力追跡調査、アセスメントテスト、三つの方針の見直し・検証等、各種答申における提言等をふまえた教育改革を実施してきており、これにより、学生の学修成果を大学が把握できるようになった(「大学による教育のPDCAサイクル」実現の一端)と考えています。その一方、本学には学生側の視点としての「学生の主体的な学び」をより促すための、「学生自身による学修のPDCAサイクル」を機能させるための環境やシステムの整備が不足していると認識しておりましたが、これを実現させるため、2014年度採択の文部科学省大学改革推進等補助金(大学改革推進事業)における「大学教育再生加速プログラム(以下「AP事業」という。)」の取組み(「学修ポートフォリオシステムによる学修成果の可視化」及び「授業収録配信システムによるアクティブ・ラーニングの促進」)を導入し、皆様のご協力のもとこれまで運用してきました。これらの活動により、「学修者本位の教育」を具現化し、「学生の主体的な学び」を促すための、「学生自身による学修のP(Plan:開講科目全体を見通し、年度の履修計画を立てる)→D (Do:履修申告した内容に基づき授業科目を受講する)→C(Check:「学修ポートフォリオシステム」を使い自ら学修した内容や成果を確認し振り返る)→A (Act:振り返りや確認をもとに次の授業・履修計画につなげる)サイクル」という学生の効果的な学びに向けての一連の流れ、いわゆる「学生自身による学修のPDCAサイク

ル」が、本学内においても確立されつつあると考えております。しかしながら、今年度は、件の新型コロナウイルス感染症の拡大状況等により、様々な「想定外」が起きておりますが、人材育成を担う大学に対しては、留学生・社会人等も含む多くの学生への教育にとどまらず、多様な研究分野の編成や、他の研究機関・産業界との連携、国際化に向けた動き等、多くの事が求められており、特に教育における授業の実施という観点においては、一挙にオンライン化が進み教職員の皆さまに大きな影響があったと思われます。本件については、次号で特集を組むことを予定しておりますが、まずは、渡辺副学長と共に策定した本学の授業方針の下、困難な状況にありながらも、皆さまの多大なるご協力、ご尽力により、本学の教育(学生の学び)を止めることなく、前期を無事に終え、後期を迎えられる事に対し、心より御礼申し上げます。このような状況下、本年4月1日付で教育開発センター長を拝命しました。みなさまのご協力のもと実施してきたこれまでの教育開発センターにおける活動をふまえつつ、コロナ禍にあっても、「教学マネジメントの確立」と「学修者本位の教育」を、これまで以上に具現化・実質化することを目指し、学長のリーダーシップの下で、策定した三つの方針にもとづく教育の取組みを実効性あるものにするため、アセスメントポリシー(統一的尺度)にもとづく評価・点検、内部質保証のPDCAサイクル等を推進することで、大学全体の教育改善・改革に邁進していく所存ですので、引続き、ご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。さて、今号ではボトムアップ型のFD推進を目的とする教育改革助成金

(教育改善・改革に関する特色ある取組を財政的に支援する仕組み)の成果報告を掲載しています。昨年度は、本助成金の募集に8件の申請があり、3件の取組が採択されました。それぞれの申請(代表)者である3名の先生から成果報告をしていただきます。今号は令和時代における本学の教育に対する教育開発センターの取組

みの一端を知っていただく記事となっておりますので、教職員の皆様に是非ご一読いただければ幸いです。

C O N T E N T S◆教育開発センター長就任にあたり  -令和時代における本学の教育について-…❶◆分析化学学生実験に基づく統計学・データの電子教材作成…❷◆多面的視点を持つ人財育成のための分野横断型「総合工学演習」の導入…❷◆ものづくり実習における動画教材を利用した 双方向型e-learningシステムの開発…❸◆学外FDセミナー参加報告…❸◆学習・教育支援小委員会の主な活動内容…❹◆ICT 活用教育推進小委員会の主な活動内容について…❹

東京理科大学 教育開発センター

Vol.622020.9

通信

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分析化学学生実験に基づく統計学・データの電子教材作成

秋津 貴城

理学部第二部化学科

教授

近年の社会的要請を鑑みて、データサイエンス対応への橋渡しを目的に、非数理系学生(理学部第二部化学科2年生)をターゲットとして、専門分野で用いる数学・統計学を学べる電子教材を作成しました。まず、前期の一般化学実験で、数値や統計に関するアンケー

ト調査を実施しました。すると、科学実験向け数値統計の参考書にある検定公式等の認知度が、意外にもかなり低いことが判明しました。そこで、データサイエンス以前の問題として、高校数学の確率や統計を出発点とすることとし、後期の無機分析化学実験に必要なレベルの数学を視覚的に理解する本とする方針を、出版社とともに立案しました。協力して頂いた先生方からは、数値データの扱いを初期に扱う助言を受け、分子量と発火点の相関に関する機械学習の研究例や、化学文献データベースの現状等、後にも使えそうな内容も若干盛り込みました。無機分析化学実験では、毎回下書き原稿を学生に配布して、

レポート作成の参考資料として利用してもらい、初歩的な数学や統計学の各項目の必要性や、説明の分かりやすさや深さといった意見や感想を募りました。学生のフィードバックに感謝します。過去の学生実験のデータ集計が、威力(抑止力?)を発揮しました(実は過去に、約5年間分のレポートから生データを集計して、全ての数値の平均と標準偏差を求めてあります。根拠のない「精度が良かった」との考察に対抗するためです!)。素晴らしいことに、多くの学生はエクセルの操作にかなり習熟しており、パソコン操作等の説明は簡潔にできました。学生実験が終わると、出版社にとっても経験の少ない新挑戦

となる電子教材としての形式や内容を再検討して、全体を修正しました。分かりやすい図を中心に変更したことで、出版社による体裁の編集や、専門業者による作図や電子版の作成が、時間をかけながら現在も鋭意進行中で、上梓までにはもう少し時間が必要です。

多面的視点を持つ人財育成のための分野横断型「総合工学演習」の導入

元祐 昌廣

工学部機械工学科准教授

工学部および工学研究科では、在籍学生は自身の所属分野内のカリキュラムに従って学習を進めています。近年、分野の枠を超えた知識や技術に対するニーズが高まっており、自身の専門分野に加えて他分野の考え方を柔軟に取り入れることができる学生は、学術界・産業界から望まれています。今回、新たな試みとして、学科横断型の実習ベースの学際的教育プログラム「総合工学演習」の導入を企画しました。ある程度自学科の内容を学習した学生が、他分野について実習を通じた学びにより、多面的・多角的視野を持ち、先進的に活躍できる人材の輩出を目指すことが目標です。演習では、工学部を構成する建築、工業化学、電気工学、情報工学、機械工学の5分野において、実習に必要となる基礎知識を講義形式で学び、その後に実験・実習を行う形式としました。各学科で講義と実習を組み合わせた演習内容を立案・計画

し、実施するタイミングとして後期授業と入試などが落ち着い

た3月上旬を企画していました。しかしながら、新型コロナウイルスの影響を受け、実施できたのは電気工学科のみとなり他4学科は直前で中止となりました。電気工学科の演習では、まず、再生可能エネルギーに関する現状と太陽電池の発電原理、電気回路の特性についての講義を行い、続いて太陽電池に関する実験を行いました。この実験テーマは学科カリキュラム内の実験科目の内容をベースとしたものです。受講学生のアンケートでは、全員から「有効であった」「やや有効であった」の回答を得ることができ、演習形式を通じて他学科の内容を学ぶことの意義を感じてもらうことができたと考えています。2020年度も「総合工学演習」の実施を予定しており、非対面

でも受講できるような形式を計画しています。全学科で演習を実施し、フィードバックを経てより良い分野横断型の演習科目を確立させたいです。

2019年度 教育改革助成金成果報告

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通信 F a c u l t y D e v e l o p m e n t N e w s

ものづくり実習における動画教材を利用した双方向型e-learningシステムの開発 石垣 綾

理工学部経営工学科

教授

理工学部経営工学科では、2017年度より教育版レゴ・マインドストームを用いたロボット組立実習を行っています。マインドストームは部品数が100近くあり、組立工数も多いことから、チームで相談しながら作業を改善していく過程を実践するにはちょうど良い課題となっています。一方で、ものの反転や言語化の難しい操作が含まれていることから、初めての人が作業に慣れるまでに時間がかかり、授業時間内に改善活動までたどり着かないチームが発生していました。そこで、熟練者が本体に添付されている紙マニュアルに従っ

て作業を行う様子を撮影し、動画によるe-learningシステムを設計しました。このシステムでは、受講者が疑問に思った動画部分をタッチすることにより、関連情報が表示されます。その結果、教員はログを解析することによって受講者が疑問に思う点を把握することが可能になり、さらにアクセスの多い部分に情報を付加していくことで教材の質を高めていくことができます。一方、受講者はそれぞれの習熟度に応じて必要な情報を取

り出すことが可能になり、過剰な情報提示により混乱することなく作業に集中できます。紙マニュアル、動画マニュアルそれぞれのチームに分かれて作業改善実習を行った結果、紙マニュアルのチームはマニュアル通りの作業をマスターするのは早いものの、その後の測定ではほとんど作業時間が改善しませんでした。一方で、動画マニュアルのチームは、マニュアルをマスターするまでに時間がかかりましたが、熟練者の手の動きや部品の持ち方など、動画からの気づきによって自発的なディスカッションが生まれ、最終測定では大幅に作業時間が改善されました。今回の取組みはロボット組立実習を例に行われましたが、教員・学生間でのインタラクティブなe-learningシステム設計という点で講義科目にも生かせる内容が多く含まれています。今後は授業内にてさらにシステムの効果を検証しつつ、講義動画とLETUS内の資料をリンクさせるなど、講義科目においても実践していく予定です。

学外FDセミナー参加報告今村 武

理工学部教養 教授

遠隔授業の準備を中心に多くの作業に振り回され、一時はどうなることかと思いましたが、Zoomを用いた同時遠隔も数回こなせば多少は慣れてきました。そこで5月後半からFD啓発を旨とする小委員会の一員として遅ればせながら情報収拾に乗り出しました。しかし本当に遅かった。より明確に言えば遅すぎたのです。いくつか参加したウェブセミナー(5月27日「WEBによるインタラクティブな授業配信のポイント」、5月31日「2020年度対話の広場第1回」、6月13日「第23回開催大学FDフォーラム」、6月20日「eラーニングとICEルーブリック」)の内容を踏まえつつ、何が何故遅かったのかを一部ご説明します。報告者が最初に参加した5月27日開催Benesse第2回WEBセミナーでは、配信によるライブ授業の特徴、種類を分類した上で、遠隔授業を行う上での基本のきの字を非常に理解容易に講演してくれました。5月後半の時点で自らの遠隔配信授業を振り返り、改善点を見つけ出すヒントを得たという意味では

満点と言えました。しかし、同様のテーマでのセミナーはこれが第2回目であり、主催者も他大学もすでにコロナ終息後を見据えた遠隔授業の方法・目的を模索、あるいはすでに試行しているとセミナー最後に聞き及び、ウェブセミナー初回にして焦燥感にかられてしまいました。紙幅の都合であと一つのトピックのみになりますが、関西大学をはじめいくつかの大学では、正規の授業が(遅れて)開始される前に、初年次教育のための講座を配信し、新入生用のウェブチャンネルを開設していました。あるいはZoomによる学生相談も早々に開始していました。教育開発センター委員として初動の遅れとそれにもまして対策の少なさを反省しています。危難の時に何をなすべきか。大学人だけでは解決できない問題も多いようにも思えます。しかし不断の努力を重ねた先に新しい高等教育機関のあり方が姿を現すのでありましょう。

FD出張参加報告

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[お問合せ先]東京理科大学 教育開発センター/FD啓発・広報小委員会(事務局:学務部学務課)〒162-8601 東京都新宿区神楽坂1-3 TEL.03-5228-8119 FAX.03-5228-8123 E-mail. [email protected] URL.https://www.tus.ac.jp/fd/

編集後記

学習・教育支援小委員会の主な活動内容

通信 F a c u l t y D e v e l o p m e n t N e w s

学習・教育支援小委員会には、委員長を含めた4名の教育開発センター委員会委員が所属しており、学生の学習効果を高めるための学習支援策の企画・立案等を行っています。主な活動内容としては、①学習相談室の運営、②「入学前学習支援講座」及び「学習課題」の実施、③アセスメントテスト(新入生対象)及びTOEIC-IPテスト(新入生・学部3年生対象)の実施等が挙げられます。ここでは、現在進行中も含めた、近年における新たな取り組みを2つ紹介いたします。1つ目は、オンラインによる学習相談室の開室です。新型コロナウ

イルス感染症拡大防止に伴う本学の対応方針に基づき、2020年度前期授業の多くが遠隔で開講されました。このことに伴う全学的な学習サポート体制として、7月10日~ 8月7日まで、以下のとおり学習相談室をオンライン(Zoom)で開室しました。 キャンパス:神楽坂、野田、葛飾 開室日時:月、火、木、金曜日の14時~17時 科目:数学、物理、化学開室にあたっては、ESを対象に事前研修を行ったほか、相談者に

は、相談内容を記載した申込フォームと、相談内容に関連する教材の

写真等を事前にBOXから提出してもらうことにより、円滑な相談ができる実施運営体制の整備に努めました。前期の利用実績を調べたところ、通学の対面実施と同程度であることが判明し、オンライン開室の滑り出しとしては順調と言えそうです。しかし、アンケート結果から学生への周知不足が課題として挙げられたため、この課題を改善しつつ、後期の開室(前期同様、オンラインで開室)に向けた学生の学習サポートを行います。2つ目は、TOEIC-IPテストのスコアを利用した、学生の英語能力の伸長度測定です。教育開発センターでは、学生の英語能力の把握や学生自身の英語学習の意識づけ等を目的に、全学的なTOEIC-IPテストを実施しています。当初は入学時のみの実施でしたが、2018年度からは英語の学習到達度や伸長度の測定、大学院進学や就職活動等に役立てる目的から、全学部・全学科の学部3年生を対象としたTOEIC-IPテストも実施することとしました。今後も継続して実施し、教養教育センターをはじめとした他の部局と連携することにより、本学における英語教育の改善等に活用していきたいと考えています。

理科大「FD通信」第62号は、かつてない異常な状況下での発行となりました。しかし皆さまにお届けするのは、本学における教育改革活動や教育開発センター小委員会からの報告を中心とする「通常」号です。世界的な規模で新型コロナウィルス感染症が拡大し、世界中の大学が規模の大小こそあれ、ほぼ一律に遠隔授業に突入した2020年となりました。中学や高校は再開しているのに、なぜ大学はダメなのか、と学生から詰問されたご経験をなされた方も大勢いらっしゃると思われます。あるいは反対に、なぜ登校するのかという疑問をぶつけられたご経験もあるでしょう。

日本の大学を見渡しても、感染者数の多い地域と、ほとんど一桁で推移している地域にある大学とでは対応にかなりの差があるようです。しかし非常に多くの大学関係者が、このリモート化の進行で有りとある大学が同じ土俵に乗ってしまったことに対して危機感を抱いています。FDの原点である「より良い授業の実践」がこれほど厳しく問われたことがあったでしょうか。東京理科大学が、その強みを活かし新しい取り組みを進めて一層の飛躍を遂げる大学の一つになるために、FDを通じて何を私たちは獲得できるのか今一度考えてみたいと思っております。(今)

庄野 厚

学習・教育支援小委員会委員長工学部工業化学科

教授

ICT活用教育推進小委員会の主な活動内容について本小委員会には、10名の教育開発センター委員会委員が属して

おり、ICT活用教育の推進に向けた各種方策の企画・立案等を行っています。本小委員会は、2014年度の大学教育再生加速プログラム(AP事業)の採択を契機として設置した小委員会であり、AP事業により導入した「①学修ポートフォリオシステムによる学修成果の可視化」、「②授業収録配信システム等によるアクティブ・ラーニングの推進」を主な活動としています。①の学修ポートフォリオシステムは、「学生の主体的な学びのサイ

クルの確立」、「学修成果の把握・可視化」を目的としたシステムです。具体的には、LETUSにおいて半期に一度、自身の成績評価を踏ま

えて自己評価を行うとともに、半期の振り返りや次期の目標を文章等で蓄積することで、学生の主体的な学びのサイクルの確立に寄与しています。また、自己評価の際に使用するTUSルーブリックは、各学科の卒業認定・学位授与の方針(DP)を分解する形で策定しており、学生が入力する自己評価と、学生が取得した単位・成績等から自動算出する客観評価の2つの形式で把握し、レーダーチャートにより可視化することで、DPに基づく学修成果の把握・可視化に寄与しています。現状では、教職員・学生

が同システムの意義を十分に理解し、主体的に取り組む方策を検討しており、「客観評価レーダーチャート推移の可視化を踏まえたカリキュラム改善への

活用」、「学修成果の可視化結果を対外的に活用する方策」等の検討を進めています。②のアクティブ・ラーニングの推進について、従来から各学部・研究科では、授業形態、教育内容等に適した形で、学生に能動的・主体的に学ぶ姿勢を促す「アクティブ・ラーニング」を導入していましたが、AP事業では、授業収録配信システムによるアクティブ・ラーニングを全学的に推進してきました。同システムは、専用の機器により収録した授業内容を映像コンテ

ンツ化し、LETUSを通じて配信できるシステムでしたが、2019年度までのAP事業補助期間後も継続的かつ、発展的に事業を推進するため、現在は動画編集ソフト(Camtasia)搭載のPCを用いた教員自身による授業コンテンツ作成に徐々にシフトしています。今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、本学においても遠隔授業への移行が余儀なくされましたが、その際にも本施策によるノウハウを全学的な方策の検討に活用することができたと考えており、今後もICTの活用教育推進を通じて、本学における教育の質向上に寄与する所存です。

佐伯 昌之

ICT活用教育推進小委員会委員長理工学部土木工学科

教授

主体的な学びのサイクル 評価レーダーチャート


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