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Page 1: ICT - Maebashi · 2 ictを活用した学習指導の工夫 ・生徒が学習の見通しをもち、主体的・協働的に課題発見・解 決に取り組み、知識の習得のみならず、思考力・判断力・表

2 ICTを活用した学習指導の工夫・生徒が学習の見通しをもち、主体的・協働的に課題発見・解決に取り組み、知識の習得のみならず、思考力・判断力・表現力を身に付けられるようにアクティブ・ラーニングの視点を取り入れる

・アクティブ・ラーニングの視点として、ICTを活用した学習指導を工夫するために、Learning Pyramidを参考にする

概要版

生徒の豊かな学びを育むためのICTを活用した学習指導の工夫― ICT活用の環境整備とタブレットPCの活用を取り入れた授業改善を通して ―

研究の概要

主題設定の理由 研究構想図

研究のねらい

基本的な考え方

平成28年度 前橋長期研修研究員 髙橋 睦聖

1 生徒の豊かな学びとして現れる姿・主体的・協働的に学ぶ姿・より良く考え、判断し、表現している姿

3 研究の見通し(1)ICT活用の環境整備(2)学習指導におけるICT活用の研修(3)タブレットPCの活用を取り入れた授業改善

・ICT活用シートを作成して授業を構想する

生徒の豊かな学びを育むために、ICT活用の環境整備を行うとともに、タブレットPCの活用についての研修を行い、授業の中でタブレットPC

を活用して、学習指導の工夫を図ることが有効であることを、実践を通して明らかにする。

・確かな学力をより効果的に育成するため、グループ学習や、ICTの

活用等による協働型・双方向型の授業の推進

・可動式コンピュータ40台の整備

・生徒は、一人一人の学習意欲は高く、自分の考えをもつことができ

る一方で、その考えを交流したり共有したりして高め合えるような

豊かに学びに課題がみられる

生徒の豊かな学びを育むために、学習活動において、タブレットPCを活用し、互いの考えを話し合ったり教え合ったりできるようにするとともに、主体的・協働的に学ぶことができるようにしたい。(教師の願い)

学習指導にICTを活用することを学校教育でも充実させるとともに、教師のICT活用指導力を向上させ、子供たちに慣れ親しませる必要がある。

協力校の生徒の実態

第2期教育振興基本計画

・情報を収集・整理したり考えをまとめて表現したりする活動等で

ICT機器の積極的な活用を推進

・生徒用タブレットPC40台・書画カメラを整備・無線LAN環境の構築

・学級数の教師用タブレットPCと大型テレビ・デジタル教科書を整備

前橋市の平成28年度教育行政方針・ICT環境

・膨大な情報から何が重要かを主体的に判断し、課題を見いだし、解

決に向けて、他者と協働しながら新たな価値を見いだす学習活動

中教審教育課程企画特別部会論点整理

Learning Pyramid(National Training Laboratories)

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実践の概要

見通し1 ICT活用の環境整備(6月~8月)

ア ICTが有する拡大、動画配信、音声朗読等の機能を教師が活用することで、学習内容を分かりやすく説明できる

イ 子供たちの学習への興味関心を高めることに有効であるウ 子供たち一人一人の能力や特性に応じた学び(個別学習)を行う場合に有効である

エ教員と子供たちが相互に情報伝達を図ったり、子供たち同士が教え合い学び合ったりなどの協働学習を行う場合も有効である

教育の情報化の推進に関連する資料 (2014 文部科学省) ア~エはI CTを効果的に活用した授業の実現につなげるための視点

ア、イを実現させるために、教師用タブレットPCが活用できる環境を整備するイ、ウ、エを実現させるために、生徒用タブレットPCを学習指導において使うことできる環境を整備する

教師用タブレットPC 生徒用タブレットPC

・教師用タブレットPCを学年別クラス数で割り当てる・学年ごとに充電できる保管庫を職員室に用意する

・職員室に隣接する印刷室で施錠・管理する・40台の充電ができるように電源を確保する・8台を1グループとして色分けしてナンバーリングする・貸し出し簿を作成し、運用状況を管理する

・デジタル教科書を大型テレビに提示する・指導者が作成した自作の教材を提示する・撮影した資料を提示する

教師用タブレットPCが活用できる環境を整備したことは、主にア、イの実現につながっている。生徒用タブレットPCが活用できる環境を整備したことは、主にイ、ウ、エの実現につながっている。

・調べ学習 ・動画撮影 ・写真撮影・授業支援システムを利用して意見の比較・交流

見通し2 学習指導におけるICT活用の研修(8月~9月)

研修1 教師用タブレットPCの使い方授業支援システムの使い方

研修2 デジタル教科書の活用タブレットPCの活用

【目的】・ICT機器の活用の方法を知るとともに、学習指導にタブレットPCを活用できるようにする

【研修内容】・ネットワークログインの仕方について・無線画面転送装置を使っての大型テレビとの接続方法について

・授業支援システムの使い方について

【目的】・デジタル教科書の使い方を理解するとともに、デジタル教科書の効果的な活用の仕方を考える

【研修内容】・デジタル教科書の起動の仕方と主な機能について・授業支援システムを使った授業の紹介・授業におけるデジタル教科書やタブレットPCの活用などの「ICT機器を活用する視点」について、教科部会ごとに協議し、ICT活用シートに反映

整備

活用

成果

整備

活用

ICTを活用して学ぶ場面を円滑に授業に取り入れ、ICTを効果的に活用した授業の実現につなげるために、タブレットPCを中心に環境を整備する

学習指導においてタブレットPCが活用できるような教師のICT活用指導力の向上につなげるために、教師用タブレットPCの使い方の研修やデジタル教科書の使い方の研修、授業支援システムの研修を行う

成果

デジタル教科書を使って資料を拡大して提示し、分かりやすく説明して指導する

自分たちの活動の様子が撮影されたものを大型テレビに映して、体験したことを想起できるよう指導する

自分の演技を動画に記録してもらい確認し、課題や技のポイントを明確にできるよう指導する

個々で考えたあと、グループの考えをまとめ、授業支援システムの発表ノートに記入できるよう指導する

授業支援システムの画面比較を使って、クラス全体で考えを比較・交流できるよう指導する

学習指導においてタブレットPCを活用するための「ICT機器を活用する視点」を明確にしたことで、タブレットPCを活用する意識が高まり、教師のICT活用指導力の向上につながった。

ICT機器を活用する視点の例

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見通し3 タブレットPCの活用を取り入れた授業改善(9月~)

授業後の生徒のアンケート結果

93%の生徒が分かった

100%の生徒が積極的にできた

97%の生徒が理解が深まった

生徒の豊かな学びを育むために、学習活動の中にタブレットPCの活用を取り入れ、継続的に授業改善を行う

【導入 一斉学習】①指導者によるシミュレーションの提示

③シミュレーション

【展開 協働学習(ペア学習)】③シミュレーション④生徒同士の学び合い

【展開 協働学習(グループ学習)】③シミュレーション ④生徒同士の学び合い⑤グループの考えをまとめる

【展開 一斉学習】④生徒同士の学び合い ⑥他者との考えの比較・交流

【まとめ 一斉学習】②自分の考えをワークシートにまとめる

・シミュレーションを使って、 aの値について、いろいろな条件でグラフの特徴を調べられました。・タブレットで、aの値を変えながらグラフを比べることで、y=ax2のグラフの特徴をつかむことができました。

・みんなでタブレットのグラフを利用して、グラフの特徴について話合いをすることで意見が豊富に出ました。

・他の班の意見も見られるので、自分と違った意見を知ることができ、よく分かるようになりました。・タブレットを使ったことで、他の班の意見も知ることができたので良かった。2乗に比例するグラフの特徴について知ることができました。

・ y=ax2のグラフの特徴を自分でまとめることが

できて良かったです。

・グラフの特徴を、タブレットを使うことで、

よく理解することができました。

成果

シミュレーションや授業支援システムを活用することにより、主体的・協働的に学ぶ姿が見られた。グループの考えをまとめるためにタブレットPCを活用することで、積極的な話合いにつながった。画面比較を活用すること

で複数の考えをリアルタイムに見て比較・交流することができ、自ら考え、判断し表現することにつながった。

授業実践 3年数学「関数」(全12時間の5時間目)

授業改善のための「ICT活用シート」について学習のねらいを達成するために、教科の特性に応じて「 ICT機器

を活用する視点」を明らかにし、生徒の豊かな学びにつながる具体の「授業場面」に「だれ」がどのような「学習形態」で、どのような「ICT機器」や「学習コンテンツ」を取り入れるか、授業を構想するために作成する。作成作業を簡略化するために、実際の「ICT

活用シート」はチェックシート形式とした。

シミュレーションを使った授業は分かりやすかったですか

タブレットPCを使ってグループの考えをまとめることに積極的にできましたか

大型テレビやタブレットPCを使って意見交流したことで、理解が深まりましたか

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見通し3 タブレットPCの活用を取り入れた授業改善(9月~)

研究のまとめ

成果

課題自ら考え、判断し表現

できる生徒を育成するた

【導入 一斉学習】①指導者による資料の提示

【展開 協働学習(グループ学習)】⑤グループの考えをまとめる

【展開 一斉学習】⑥他者との考えの比較・交流

【展開 協働学習(グループ学習)】③シミュレーション④生徒同士の学び合い

【展開 協働学習(グループ学習)】③シミュレーション⑦繰り返しによる定着

授業支援システムの画面比較を活用し、グループでまとめた意見をクラス全体で比較したことで、生徒が、共通点と相違点を整理しながら、より良く考えまとめることができた。(授業者より)

y=ax+bのグラフはy=axのグラフをy軸の正の方向にb

だけ平行移動させたものであることを理解できていた。シミュレーションを操作し、切片の数値を入力することで描かれた1次関数のグラフと、もとの比例のグラフを比較でき、主体的に活動できたからであると思われる。また、グループでシミュレーションを操作したことは、グラフを観察しながらの対話が活発になったことから、ねらいに迫ることができたと思われる。(授業者より)

(B)分かりやすく説明したり、生徒の思考や理解を深めたりするために、コンピュータや提示装置などを活用して資料などを効果的に提示すること

(A)学習に対する生徒の興味・関心を高めるために、コンピュータや提示装置などを活用して資料などを効果的に提示すること

実践授業や授業支援、タブレットPCを活用した授業をすることができるようになり、授業でICT

を円滑に活用できる環境を整備することができた。また、タブレットPCを活用する先生方も増え、

成果

教師のICT活用指導力の向上につな

がったと考えられる((A)(B))。これらの複数の実践から、タブレットPCを活用して授業を行った結果、生徒の主体的・協働的に学ぶ姿や、より良く考え、判断し、表現している姿が見られ、生徒の豊かな学びを育むことにつながったと考えられる。

めに、継続的に学習活動を工夫し、効果的なタブレットPCの活用について考えていきたい。組織的なより良いICTの環境づくり、デジタル教材の共有・蓄積も考えていきたい。

授業支援 1年国語「話題や方向をとらえて話し合おう」

授業支援 2年数学「1次関数」

6月

12月

6月

12月

成果


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