授業評価の意義 - toyo university · 2018-12-10 ·...
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38 TOYO UNIVERSITY
授業評価の意義
学生による授業評価アンケートは、現在多くの大学で実施されている※。東洋大学でも、全学部がそれぞれ何らかの方法で学生による授業評価を実施している。 このような授業評価に対して、「授業内容は教員が責任をもって決めるもので、学生の意見を聞く必要はない」「学生におもねるだけ」といった否定的意見が聞かれることもある。しかし、もはや学生の存在を無視して一方的に授業を進めることが許される時代ではない。学生の学び・成長を中心に据えた教育体制の構築は、これからの大学にとって急務である。 授業評価アンケートはそのための有効な手立てになると考えられる。
【授業改善のための貴重な情報】
※平成 18 年度、国公私立大学全体で約 74%の大学が、学生による授業評価を全学的に行っている。
(文部科学省「大学における教育内容等の改革状況について」
2008 年 6 月 3 日)
○授業の「振り返り」
○学生との「対話」の促進
教員による授業の「振り返り」とは、自分の授業を客観的に見つめ、不十分な点を反省・改善していく契機とすることである。「振り返り」の方法としては、学生による評価以外にも、ビデオ録画による自己分析や同僚教員による授業参観等がある。しかし、継続して授業に参加している学生の意見を吸い上げることは、授業全体を振り返るためにも、学生自身の視点・感じ方をつかむ上でも、かなり有効な方法である。 実際に、学生の授業評価の結果から意外な発見をすることは珍しくない。板書が読みにくい、授業のペースが一定でない、脱線が多すぎる、等々…。特に、授業のテクニックにかかわる部分については、かなり的を射た指摘が多く、例年の調査によってテクニックが向上しているか否かも確かめることが出来る。
学生による授業評価は、学生と教員との間の「対話」あるいは学生の授業への参加を促す意義もある。授業評価の結果がその授業の改善に生かされれば、学生は授業改善に参加した、という実感を持つことができるだろう。また、教員にとってアンケートの結果が腑に落ちない場合、学生の真意を聞くこともできる。このような対話により、学生自身が不合理な要望を出しているのに気づき、受講態度を変えた事例も報告されている。