中国語語法学の現状と問題点 - osaka city...

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- 1- 中国語語法学の現状と問題点 望月 士口 o ,:三吋は中国語学会第30 k 会語法シンポジウムに提出する座長レポー ト である。 1 伝統文法とは何か? 呂叔湘氏は〈漢語語法分析問題> (1979 年,商務印書館) (以下く訟 法 分 析〉と略称〉は次のように述べている。(向者, 9 頁〉 現在国外的語法研究可以大致分為三大派 :伝統語法,結構主義語法, 転換語法,我国語法学界比以熟悉的是伝統語法。結構主義訟法和転換語法 各有一套理論,往往是引九個例子談一個問題,的確能説得頭頭是心,因此 我何応対立門進行研究,弄明白究寛是忽駆回事。可是到現在為止,還没有 看到過応用結構主義語法理論或転換語法理論全面地、詳細地叙述一種発達 的、有文学歴史的語言的語法的著作,可以余来的 jh i 用伝統ノ J 法写出来的ー些 有 名 的 著 作 相 比 較 , 這 就 未 免 有 官 ・ 声 大,雨 点 小' 的欲人 11 。這是偶然抑或 不是偶然,現在還彼難説。下回談問題,基本上還是在伝統訟法的問架之内 談,月 I J 的学派有可取之処也不排斥。 呂氏は「変換論による全面的な文法哲:が出ていない J と言っているが,それ は一口に “変形生成文法" と言づても ,その分岐は甚だしく ,ある f(815J Ij的事 象は a 分岐によって研究され,ある個別的事象は b 分岐によって研究される といった具合 n:: ,両者聞に理論的統一を保ち 13 ない乙と,それにある分岐に よってある個別的事訟の研究か終ったときには,その研究の依拠した分岐を 乗り越えた新たな分 i 伎が生れていたというような乙とが, しばしばあるから であると思われる。乙れは「工学部の博士論文は 1 年経つと役に立たなく な J と言われているのに似ている と思う。ちなみに変形生成文法の現状につ いては〈言語 >C 大修館〉今年11 月号が付従をしている ので役に立つ。 さて呂氏は何の説明もなしに “伝統文法"という術語を使っているが,そ の実体は如何なるものであろ うか。〈認言学訳叢〉第 1 j (1979 作, 会科学出版社〉に':1='訳されている DwightBolinger:AspectofLanguage (221 )

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- 1-

中国語語法学の現状と問題点

望 月 士口十

o ,:三吋は中国語学会第30回 k会語法シンポジウムに提出する座長レポー ト

である。

1 伝統文法とは何か?

呂叔湘氏は〈漢語語法分析問題> (1979年,商務印書館) (以下く訟法分

析〉と略称〉は次のように述べている。(向者, 9頁〉

現在国外的語法研究可以大致分為三大派 :伝統語法,結構主義語法,

転換語法,我国語法学界比以熟悉的是伝統語法。結構主義訟法和転換語法

各有一套理論,往往是引九個例子談一個問題,的確能説得頭頭是心,因此

我何応対立門進行研究,弄明白究寛是忽駆回事。可是到現在為止,還没有

看到過応用結構主義語法理論或転換語法理論全面地、詳細地叙述一種発達

的、有文学歴史的語言的語法的著作,可以余来的jhi用伝統ノJ法写出来的ー些

有名的著作相比較,這就未免有官・声大,雨点小'的欲人11。這是偶然抑或

不是偶然,現在還彼難説。下回談問題,基本上還是在伝統訟法的問架之内

談,月IJ的学派有可取之処也不排斥。

呂氏は「変換論による全面的な文法哲:が出ていないJと言っているが,それ

は一口に “変形生成文法" と言づても,その分岐は甚だしく ,あるf(815JIj的事

象は a分岐によって研究され,ある個別的事象は b分岐によって研究される

といった具合n::,両者聞に理論的統一を保ち13ない乙と,それにある分岐に

よってある個別的事訟の研究か終ったときには,その研究の依拠した分岐を

乗り越えた新たな分i伎が生れていたというような 乙とが, しばしばあるから

であると思われる。乙れは「工学部の博士論文は 1年経つと役に立たなく な

るJと言われているのに似ている と思う。ちなみに変形生成文法の現状につ

いては〈言語>C大修館〉今年11月号が付従をしている ので役に立つ。

さて呂氏は何の説明もなしに “伝統文法"という術語を使 っているが,そ

の実体は如何なるものであろ うか。〈認言学訳叢〉第 1j降 (1979作, r~l:t医!社会科学出版社〉に':1='訳されている Dwight Bolinger: Aspect of Language

(221 )

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(1975年,第 2版)によれば次のようになる。(中訳書221""'223頁〉

伝統語法学家是折衷主義者。如果説他門理論上有所偏愛的話,那大概

也是不自覚的。他何適子作語言的狂熱愛好者,而不適子作職業的研究者,

昼然這二者之間的差別有時与其説表現在歓乏献身精神方面,莫如説表現在

態度方面。他門傾向子把他門対話言的措写看作是都助人何理解文章、学習

外語、更好地掌握本族語的方法,而不是目的。(其中第二項和第三項決定

了大部分伝統語法著作傾向子作出種種符合語言純正癖的要求的規定。) 他

何的著作並不要求進行“全面的描写";:如果只倣部分描写就可以遠到実用

的目的,那他門就心満意足了。他門対描写是否符合内部始終一致的原則也

没有任何強烈的興趣。伝統語法材料的安排従方便出発,因此必然有一些重

複的地方,而旦由子借助子内容的互相関聯和不言自織的方法,往往忽略了

許多内容。但是如果他門的語法是綜合性的語法,其中所包括的題目的範囲,

比之那些不論従邸種観点出発,預先決定什仏是属子語言的一部分,什仏却

不是,然后再編出的語法,要更為広闘。……・……・・最新的伝統語法己経作

到排除了老的語法著作僅僅確定規則的作法,官十分重視実際的用法。但不

管是規範性的還是描写性的,伝統語法都不担負間述理論的重担。

なお念のためく新言語学辞典>(研究社〉の説明は次のようになっている。

(198頁)

便宜上,伝統文法の中にいわゆる学校文法 (school grammar) も,

Jespersenなどの科学文法 (scientificgrammar)も含める乙とにするな

ら,伝統文法の意図したと乙ろは,母国語話者の母国語使用能力とはどう

いうものであり,どのようにして得られるか,というような ζ とに関連づ

けられる乙とであったとする乙とができる。母国語を正しく話し,また書

くための方式というような定義にも,それは見られる。しかし,方法論的

には,勘に頼ったり,単なる規範主義に陥ったり,あるいは歴史的な研究

のみを科学的な研究であると見誤る風潮を生んだ乙ともあった。

呂氏も附注の中で,非常に簡単ではあるが同趣旨の乙とを述べている。 (104

頁)

伝統学派的語法学家不忽仏在方法論上尋根究底。,這里有一個匂子,

日自門来分析。暗/這是主語,這是謂語,等等,等等,完了。

総じて,伝統文法というのは科学的文法とは言えないようだ。我々はまず,

中国語の文法に“主語"なる文成分が有るのか(必要なのか), 有るとすれ

ばその根拠は何か,の検討から始めなければならないのである。 “主語・賓

(222)

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中国語語法学の現状と問題点 - 3一

語論争"以前の問題である。乙の “主語"に関する問題意識は,<語法分析

、には欠落している。文法の組織自体も論者の文法観によって変ってくるの

は当然であり ,またそれが多様であるのも当然であるが,筆者の観点から見

れば,音韻iζ関する事柄や,語集(項目)に関する事柄を文法から外して,

(伝統文法家の言う狭義の〉文法を説明できるのかどうか疑問に思っている。

乙乙でついでに,<新言語学辞典〉の構造主義の文法,変形生成文法の説

明を引用しておく。(同書,198頁)

構造主義の文法においては,与えられた言語資料の,できるだけ首尾一

貫した,あますと乙ろのない, しかも簡潔な記述を行なう乙とが意図され

ていたといってよい。乙の意図を実現するために用意された操作手順は,

きわめて厳正なものであったけれども,乙の手順によって達成された結果

には,なっとくのゆかない点が,いくつか仇見られるに至ったと考えられ

る。

変形生成文法が意図しているのは,母国語話者がもっている母国語の知

識,あるいは言語使用能力の解明という乙とであり ,乙れを厳密な方法論

に基づいて行なおうとしているのである。方法論の厳正である点は,構造

主義の文法~r.,また,その君、図においては,伝統文法に,一脈通ずると 乙

ろがあるといってよい。

なお最近入手した〈語言研究論叢>(1980年,天津人民出版社)も次のよ う

に伝統文法を批判jしている。(同書86""87頁)

伝統語法生搬硬套位丁語法体系,削現代語言之足,以適性丁語法之履。

…・・・伝統語法在分析和描写語言現象時,往往出現濯輯素乱、前后矛盾或戸

見樹木不見森林等欽点。 .

2 中国における中国語語法研究

陳章太氏は中華人民共和国成立後の言語研究を概括 して次のように述べて

いる。(~語文研究~1980年第 1 輯, 山西省語言学会, 19頁)

……建国三十年来我国語言研究経歴三個階段。即比較繁栄階段,選受

浩劫階段和恢復発展階段……我国語言研究目前存在的問題 :研究内容的深

度和広度都似不移, 方法比較陳旧, 成果不彼多, 水平不太高,隊伍不旬多

大。

また次のように也べている。(向上,20貞)

;2種状況如泉不尽快改変,I泊治時間的推移,問題就会越来越厳重。

(223 )

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以上は言語学全体の概観であるが,語法研究については次のように概括して

いる。(向上,21頁〉

現代漢語語法研究方面,過去曽対主語賓語問題、詞類問題、結構問題、

形式与意義結合的問題,乃至建立漢語語法体系等一系列問題展開過討論。

漢語語法問題本来是彼複雑的問題,市我何過去的討論有時停留在名詞術語

之争或局限在一些比較次要的問題上,対一些比較重大的問題却較少進行深

入的探討,加以彼好地解決。因此也就不可能建立一個更加完備更加管用的

現代漢語語法体系,編写出一部多巻本的可供各方面使用的語法専著,対子

語法教学上使用了二十年的 “暫擬漢語教学語法体系", 也没有倣必要的修

訂。要使漢語語法研究有較大的突破, 就必須占有更多的語言材料, 進行

守更深入,更細致的分析研究〈特別是専題研究), 並且在研究方法上有所改

進才有可能。

なお言語研究、言語改革、言語教育その他言語問題全般にわたる倉伯慧氏の

<三十年来中国語言工作的ー些情況>と題する詳細な紹介がく中国語学〉第

227号に掲載されるので是非参照されたい。 また蘇徳昌氏の<中国言語学界

の新しい動き>と題する要を得た紹介が〈言語〉今年10月号に掲載されてい

るので,乙れも是非参照されたい。なお上記の紹介に言及されていないもの

として,次のような状況もあるようだ。

1. 某氏の言によれば,辞典編纂,教材編集に多くの時間を取られ,本来

的意味における理論的研究に当てる時間が少ない。(乙れは後え13の台湾

における状況に似ている〉それに今年の夏休みに行なわれた “暑期漢語

短司11班"に,一部の大学の中文系の教員が講師として参加したので,そ

れらの教員はせっかくの夏休みを研究に使う乙とができなかった。辞典

の編纂については,中国国内でも,同様な目的を持った辞典が各地で別

個に編纂されている ことに批判の声が上がっている。

2. 著名な研究者が 「外賓」の接待に動員され,研究のH寺問を奪われてい

る。また50才、 60才代の有能な研究者が,学校の行政面の責任者,例え

ば系主任に選挙され,ほとんど研究する ことが不可能になっている場合

がある。

3. 歯に衣を着せずに言えば,未だ文革の余燈が消えず,老齢者は「無所

畏』陸,有所顧慮」く自分はかまわないが,家族に影響が及んではかわい

そうだ>,そして「所余時間不多」という気持ちであり,'*1年者は 「余

惇猶在,顧慮復多」という状態である。

( 224)

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中国語語法学の現状と問題点 -5-

3について言えば,<江漢論壇>1980年第 1期〈湖北省社会科学院主ban) に,

徐策強氏のく語言研究必須解放思想>と題する論文が掲載されていたので読

んでみたが,我々の考える「思想解放Jとは大分意味が違うようだ。例えば

次のような箇所がある。 (86頁)

当然,我何在語言研究中必須自覚地遵循鶏証唯物主義的基本原理,以

馬克恩主義的矛盾分析法作為語言学的方法論的基礎,来推動語言学的発

展。

乙の程度の「思想解放」では「理性主義」と熔印を押されている “変形生成

文法"の手法による中国語の分析は行なわれにくいであろう。蘇氏の上記紹

介も次のように述べている。

最近,構造言語学だけでなく ,変形生成文法の紹介もぽつぽつされるよ

うになった。やはり一般的な言語学の見地から,中国語を見るとその特色

がよく 見えるという乙とが分かつて来たようであるが,あくまでも,中国

の言語学研究はいろんな学説 ・仮説にとらわれず,中国独特の研究を進め

るべきであるという見方が有力なようである。

乙乙で筆者が気になるのは, i中国独特の研究Jという表現の巾味であって,

もしそれが「中国語だけに適用される理論を使つての研究」という窓味なら

ば,果してそのような理論が有り得るのかどうか,甚だ疑問に思う。蘇氏自

身は恐らく ,乙ういう意味での主張には賛成ではないと思われるが,郭紹虞

氏は盛んに「洋権推J i洋格局」の打破を叫んでいる。郭氏はどうやら上記

の意味で使っているようであるが,筆者は郭氏の主張には反対である。もし

「中国独特の研究」というのが,プラーグ学派,アメリカ構造主義学派,生

成意味論者,解釈意味論者といったものと平行する「中国学派Jを構成せよ

と言うのなら話しはまた別で,筆者も賛成である。しかしその巾国学派がま

だ形成されていない段階では,外来の理論を借用するのも決して悪い乙とで

はない。現に “漢語折汁方案"は,切 らかに構造主義言語学の理論に基づ、い

て作成されたものである。

3 <漢語語法分析問題>C1979年,商務印書館〉

呂叔湘氏の乙の本について,銭兆明氏は次のように紹介している。(く“漢

語語法分析問題"評介>C<中学語文教学>1980年第 9期))

西ノj語言学不断発展,漢語語言現状也在変化,而漢語語法制域却多年

傘不出一部能対豊富複雑的現代漢語作出科学全面描ili的語法全書。呂叔湘

( 225)

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先生去年発表的〈漢語語法分析問題〉一方面堅持我国侍統的語法理論為指

導,男一方面又広泥吸取当代各主要語法流派描述方法上的仇点,対基本的

理論和実際問題,尤其是語法体系問題進行了系統的探討。官継往関来,及

時適応了語法学習和研究的需要,在一定意義上堪称是我国語法研究的経験

総結和理論概括。 (36頁〉

呂叔湘氏と言えば,世界的に名の知れた学者であり,その灘蓄は我々の遠

く及ばぬと乙ろであるが,一応討議の対象として取りあげた。同書の出版予

告は次のようになっている。

此書主要説明漢語語法体系問題産生的来龍去詠,指出体系問題的未能

甚至不可能定子一,不能完全帰答子語法学者的固執或無能。其次,告訴読

者,個別詞語、個別格式的研究和語法体系的研究是相互支持, 相 互 促 進

的。有了這種配合,語法研究才能順利地進行。

筆者の伝統文法K対する否定的評価からすれば,同書には問題が多々ある

が,一応次の項目を討論の対象としたい。

1 文成分分析と直接構成素分析

2 i主語+述語jか, i主語+動詞+目的語」か

3 主語を設ける必要性

4 呂氏の発想がかなり変形文法的である乙と

同書は伝統文法の立場に立っているから当然の乙ととして

1 topic comment

2 前提一一焦点

という問題について触れていないが,乙れは無いものねだりと言うべきか。

上記 1~4 以外でも適当な提議はとりあげて討論したい。なお第 4 項目につ

いては,かなり論議を呼びそうなので,討論の資料として以下の乙とを記し

ておく。

呂氏は文の複雑化の例として次の例を挙げている。(~語法分析>89頁)

(1) 閏土的心里有某些事

1 (2) 這些事是希奇的

(3) 閏土的心里有些希奇事

1 (4) 這些事是無窮無尽的

(5) 閏土的心里有無窮無尽的希奇的事

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中国語語法学の現状と問題点 - 7-

(6) 我的朋友不知道某些事

1 (7) 這些朋友是往常〔結交〕的

(8) 我往常的朋友不知道某些事

そして次の例は「句子格式J(文型,sentence patternの意か?)の例だと

している。 c同上,89""'90頁〉

(8) 我往常的朋友不知道某些事

(9) 某些事是我往常的朋友所不知道的

また同様の例として次の例を挙げている。(向上,90""'91頁,便宜上順序を

逆にする)

ω 他 〔在〕晩上看書 ;他〔在〕晩上写文章(原警の例文番号は(1))

イ也看書在晩上,写文章也在晩上

他看書写文章都在晩上

看書写文章,他都在晩上

以上引用 した例文中,(1)から(3)への変化, (3)から(5)への変化そして(6)から(8)

への変化は,変形文法の所謂 “関係節化変形"であり ,(8)から(9)への変化は

所謂 “分裂文化変形"であり,ωの変化は,複文を縮約した後に “動詞句提

前変形"とでも言うべき変形を加えたもの と言う乙とができるであろう。呂

氏自身,附注の中で次のように述べている。(同上,112頁)

這里所講的把若干最簡単的句子綜合成比較複雑的句子的例子,大体上

就是転換語法的析句造句法的内容,其実也就是伝統語法講造句的通俗化形• • • • • • • • • • • • • • • •

式。 c・は引用者〉

乙乙で、湯廷池氏の言葉を引用 しておく。 C<国語変形語法研究第一集 :移位

変形>1977年,台湾学生書局,22""'23頁〉過去的語法研究有一個共同的飲点,那就是不但所叙述的内容僅止子定

義、分類、例句与簡単的説明,而且其叙述的方式也非常的抽象、寵統、与

含糊。 研究語言的目的既在悶明人類的語言本領,而語言学又是一門注重精

確与求証的経験科学,那腰語言学家的工作不僅是要従錯綜複雑的語言現象

中探索出ー些一般性的原則来,而旦還要把這些結論規律化、 公式化,象数

(227 )

. .

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~8-:-

学一様,用ー套大家所共同約定的符号与公式,清清楚楚地交代出来。唯有

這様,其他的語言学家才能検査這些結論,証明官何是対或是錯。

しかし巴氏は上記 1]2頁の引用文の後にすぐ続いて次のように述べている。

所不同的(這可是個彼大的不同.')是,転換語法要把所有的歩駿都化成厳

格的 4規則', 並且把這些規則按厳絡的先后次序排列成套。要求一切厳格化,

形式化,必然帯来困難。例如排列規則的先后,往.往是一種次序適宜子対付

一種句式変化,男一種次序適宜子晃一種句式変化,可是一種規則系統不能

容許有両種次序。摘這種規則系統,可以訓練人的選輯思維,限計算機打交

道更非如此不可。可是如果対方是人而不是機器,也許采取随機指点的方式

更容易収効。

規則の適用順序の問題は変形文法家が苦心していると乙ろであり ,4循還前/

後規則P を認めたり,s意味解釈規則'によって解釈して変形を行なわない方

法で解決をはかつているように思われる。なお変形文法家と言っても現在で

はその主張の分岐は甚だしいのである。巴氏のく語法分析〉は教育面を配慮、

して,いまだ体系化されていない変形文法を排して,伝統文法には種々の矛

盾は有るものの,なるべくそれを少くして利用しようという意図があるよう

に思われる。同氏の変形文法に対する態度は,その欠点を指摘する反面その

成果は受容しよ うと考えているように恩われる。そして同書本文の締めくく

りとして次のように述べている。 c同書, 91頁)

研究句子的複雑化和多様化,可以説是在静態研究的基礎上進行動態的

研究,是不僅僅満足子技出一些静止的格式,而是要進一歩観察這些絡式結

合和変化的規律。 忽様用有限的格式去説明繁簡多方、変化無尽的語句,這

応該是語法分析的最終目的,也応該是対子学習的人更為有用的工作。 c・は引用者〉

乙の呂氏の文中の 「有限的格式Jを「有限の規則」に替え, 1"繁簡多方、変

化無尽的語句」を 「無限の文J~ζ替えるならば,それは変形文法の発想その

ものである。

張志公氏も現行の語法体系の抜本的改造を唱え,次のように述べている。

C<語文研究>1980年第 1輯,山西省語言学会, 18瓦〉

倣語法研究工作要参考外国経験。現在有人橋結構主義以至転換生成語

法。我聴見了一些非議之辞。我個人覚得,会来参考参考,倣ー些試験,未

.嘗不可,未嘗不好。 ・・・…………対子現在的語法体系修修補補,理理改改,

我覚得是需要的,但是要花太大的力気,在現在体系的基礎上摘出点大名堂

( 228)

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中国語語法学の現状と問題点 -9-

来,恐伯会是事倍功半,結果無非是在体系分岐之中再多生出九個新的分岐

而巳。総之,母寧在現有体系的基礎上修理修理,先在教学中使布苧 甲時

ム橋基本建設,指比較深入一歩、提高一歩的研究,真正建立平手町甲号的

既有理論根拠又切合実用的語法系統。(・は引用者〉

4 ~漢語語法修辞新探> (上 ・下 2冊, 1979年,商務印書館)

+i;;:の著者郭紹虞氏は隻旦大学中文系の中国文学批評史を専門とする研究

者で,本警は丈革中筆禍を避けるために執筆したといわれている大著であ

る。

本書の内容を同氏の言葉を借りて示すならば次のようになる。 (岡高,5

81頁)

如果就漢語的語法観点諮, 那~我何在総論部分諦到漢語的語法有三種特性 :一、簡易性 ;二、霊活性 ;三、複雑性。偲使説〈量詞篇〉是議漢語

語法的複雑性,那腹〈虚詞篇〉的重点就在説明漢語語法的霊活性,従市説

明所以会有可用可不用的現象。市〈詞組篇〉又是従漢語語法的簡易方面来

論述的'0 当然,我何不能這様孤立地分別談這些問題, 所以在r~/I)説的時候,又総是結合着漢語的音楽性和}I原序性来一並論述的。這松説明,可能対子漢

語的特徴容易看得清楚ー些。這又足所調不同重点的晃一種桜準。

中国文法は修辞との境界がはっきりしない面があるのは紋だと思う。し

たがって中国語としては「丈法性J i容認可能性」という概念以外に「修辞

性j という概念を設定すべきではあるまいか。本書に対する批評はほとんど

見かけないが,張芝公氏は中国語には “強制的要ぷ"と “Ji.='強制j的要索"が

混在している乙とを主張し,玖のように郭氏の意見広賛ぷをぶしている。

(~語文研究〉第 1 輯 , 14頁〉最近,郭紹虞先生的新著〈漢詩語法修辞新探〉出版了。旦辺説,漢語

語法的簡易1性和;複雑性是結合在一起が~,既有簡易性的--Tu.i,又有複雑性的

一面。我完全同意這個宕ι認九足彼有見地的。下地刻複雑性這一面,我

不認為都是語法問題, 毘辺包合者不少~t:語法的閃系。

5 台湾におけるヰ1国語文法研究

台湾では台湾師範大学の湯延j也氏が孤軍側しているよう同える。同氏

は台湾の〈中国語文>(仁|咽語文月刊社)時号似を述持している。く中

文的関係、子ゅの制~tJ)終った後, く「来」与「去J (ω義'j打j法>を述誠,

(229 )

. .

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-10 -

現在<国語的「分裂句J与「準分裂句J.>を連載している。乙れは同氏のく

国語分裂句、 分裂袋句、 準分裂句的限制之研究>(~教学与研究〉第 2 期,

台湾師範大学文学院, 1980年〉および<国語分裂句,分裂変句,準分裂句的

結構与限制之研究>(台湾師範大学学報第25期, 1980年)が基礎になってい

るものと恩われる。同氏は,中国語を対象にした,そして中国語で書かれた

最初の変形生成文法書〈国語変形語法研究一一 第1集 :移位変形〉の著者と

して有名であり,松村文芳氏によって日本語訳が出されている。(~鹿児島

経大論集〉第19巻第4号~第20巻第 3号, 1978年3月""']0月〉日本語訳には

原若にはないく中 ・英 ・日対照術語表>が付いていて便利である。湯氏lζは

乙の外 “ACace Grammar of Spoken Chinese" (1972年,海国書局), “A

Case Grammar Classification of Chinese Verbs" (] 975年,海国書局),

〈国語語法研究論集>(1979年,台湾学生書局)などがある。

台湾の中国語語法研究は,アメリカに留学して言語学の学位をとった人が

帰って来はじめた1970年どろから盛んになった。それ以前は,大陸から来た

古いタイプの学者が,大陸で研究した乙とを繰り返し書いていたと言えるよ

うである。そして台湾の大学の中文系は現代語を軽視し,古文を重視する傾

向がまだ残っている。その古文も音韻、訪11詰に重点があり,文法研究は現代

語はおろか古文についても重んじられなかった。それに大学の教員も,専門

書でない本を書いたり,辞典の編纂に参加しなければ,一応の生活を保つ乙

とが難しいような状況があり,それだけ研究時間が少なくなっているよう

だ。

師範大学英語研究所(乙乙で言う「研究所」は日本の「大学院」に当たる

ようだ),輔仁大学語言研究所で 20名位の若い人たちが中国語文法の修士論

文を書いており,アメリカ留学の第二世代が帰国しつつあるとの乙とであ

る。そして特記すべき乙とはく語文周刊〉第1621期の湯廷池氏の紹介によれ

ば,もともと理科系の大学であった清華大学に「中国語文学系」が新設され,

今年は40名〈内女子37名)が入学した乙とである。乙乙では中国語語法の研

究にも大きな比illがおかれ,カリキュラムの中に,最近の言語学の細分化に

応じた科目が多いのが特徴である。乙れで乙れまで大学院レベソレでのみ行な

われていた中国語語法の研究が学部レベノレまで下がったことになり,乙れか

らは乙乙が中心になって中国語語法の研究が盛んになるであろうと大きな期

待が寄せられている。同系の主任として,乙れまで台湾大学にいた梅広氏が

就任している。同氏はこの数年の聞に,く国語語法司:J的動詞補語>(~屈万

( 230)

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中国語語法学の現状と問題点 - 11-

里先生七秩栄慶論文集〉聯経出版事業公司), く把字句>(~台湾大学文史哲学報〉第二十七期,1977年),'ls modern Chinese really a SOV language?'

(“Asie Orientale" No. 7, Mars 1980)などの論文を執筆している。主と

して乙の清華大学の中国語文学系で使用されるものと思われるが,湯氏を主

編者とするく中国語言学大学叢書〉の発行が企画されており,その内容とし

て〈語言学概論>~語法学導論>~数理語言学入門>~音韻学者(.論〉などが予定されており,言語学の中国化(術語を全部中国語で表わす乙と〉も意図

されてい る。

台湾で現在,中国語語法研究の面で活躍している研究者の名前を,筆者の

知り得た限りにおいて記せば,上記二氏以外に,黄宣範、曹逢甫、施玉恵、、

莫建清、董昭輝の諸氏がいる。また筆者の手元にある台湾出版の中国語語法

に関係のある言語学書には,上記のもの以外に次のものがある。

1. 屈承烹 : ~語言学論集一一理論、 応用及漢語法> (1979年,文鶴出版

有限公司)

2. 黄宣範 : ~語言学研究論叢> (1974年,禁明文化事業股め有限公司〉

3. 幼獅月子tJ社編 : ~中国語言学論集>1977年, 幼獅文化事業公司)4. 郡守信 : ~漢語主賓位的語意研究> (英文,1977年,台湾学生蓄局〉

5. 湯廷池等編 : ~中国語言学会議論集> (英文,1978年,向上)

6. 曹逢甫〈主題在国語中的功能研究>(英文,1979年,向上〉

なお次のものが近く出版されるようである。

1. 湯廷池等編 : ~漢語語法論集〉第一集(英文, 一部中文, 向上〉2. 湯廷池等編 :“Proceedingof MLA-CL T A" (Panel of Chinese

Syntax and Semanticsの記録)

現在,台湾の中国語語法界で活躍している研究者は,梅広氏を除けばほと

んど英語畑の人である。 乙のような状況は, 日本における日本語語法学研究

の状況に似ている。

台湾ではまだ言語学あるいは中国語学の機関誌がないが,いずれ発行され

るものと思われる。郭紹虞氏から見れば「洋権椎」日縛された研究とど?

乙とになるだろうが,台湾での中国語語法研究は,総じて水準が高いと冨え

るであろう。

8 アメリカにおける中国語語法研究

アメリカにおける研究について常宝儒氏は次のように述べている。C<美国

(231 )

. .

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-12 -

漢語教学和漢語研究概況><語言教学輿研究>1979年第 1期,156頁)

美国対漢語語法的研究 :1968年出版了越元任編著的〈中国話的文法〉

(A Grammar of Spoken Chinese)。 這是一部全面描写普通話語法体

系,影響較大的有学術価値的著作。 此外, 還有利用転換生成語法理論,

研究漢語語法的論文〈普通話句法結構>(MandarinSyntactic Structure,

余霧芹著) ; 用格的語法理論研究漢語的〈漢語語法格的研究~(An Inves-

tigation of Case in .Chinese Grammar,李英哲著) ;綜合葬爾墨、恰利

迫、切夫等各派語義学理論,提出自己見解而写出的〈渋語中及物関係的語

義学研究>CA Semantic Study of Transitivity Relations in Chinese,

郵守信著) ;従功能語法学観点出発, 写出的〈漢語句法的交際功能〉

: (Communicative Function in Chinese Syntax, Frances C. Li) ; <漢

語普通話中地点状語的両個功能~ COn Two Functions of Place

Adverbials in Mandarin Chinese,戴浩一著),其他還有不少語法方面的

文章,研究了 “了"、“着"、“過"、“得"、“把"、“否定結構"、“表趨向"、

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“表結果"等問題。

越元任氏の著書に対して金風氏は次のように述べている。 C<語言教学与研

究>1980年第 3期,86頁)

在方法上〈漢語口語語法>C昨年中国で中訳出版された時の書名

引用者)主要是采用本世紀五十年代盛行子美国的描写語言学的方法。可以

説該書是用美国結構主義方法系統地全面地描写漢語語法的唯一著作。官不

僅対漢語語法研究有貢献,対結構主義方法也有貢献。

ただし王士元氏の批判は厳しい。 (15年位前に台湾の省立師範大学語言研究

社で行なった講演の記録を台湾のく中国語文〉が掲載したもの)

我何研究中国話句法的任務包括収集大量的句型材料,弁旦有系統地把

'8整理出来。在這方面目前最大的成就就是越元任先生九十年心血的結品

「中国話的文法JA Grammar of Spoken Chinese (University of

California Press)。 像這様豊富的材料,篠分綾析地排列出来,彼少別的

語言有這様宝貴的参考書。 可是這些材料是我何研究句法的出発点,而不是

終点。従語言学的立場来看,更重要的是要把材料中的基底結構探求出来,

再創作一套変換律,厳密地把基底結構変成表面結構。要作這様的研究工作,

篠件可不少。除了熟悉中国話的材料,還需要基本的科学訓練(尤其是語言

学的訓練) ;最主要的也許是要具備充分的想像力, 因為分析句子的時候常

常是要我何作大胆的創造限仮設的。

( 232)

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中国語語法学の現状と問題点 - 13ー

そして王氏は次のようにも述べている。

中国語法里的包接結構, 最近有一位向学, 橋本余霧芹 (Anne Y-Hashimoto)作了彼仔細的分析。 uEmbeddingStructures in Mandarin"

是地在 OhioState University 的博士論文的題目,今年剛写完。這是目

前一本利用新的語法理論研究中国話最深入的著作。

もう一つ橋本万太郎氏の批評を紹介してお乙う。(<中国語学の流れ>~中国語>1779年 3月号,10頁)

もうひとつ,同じ位中国本国の文法学者に影響を与えた著作に,越元任

の『官話入門書~ (昭和23年)がある。との著書そのものは,中国語の入

門教科書であるが,その概論篇は著者名なしのまま中国語iζ訳され, w北

京口語語法~ (昭和28年)として広くお乙なわれた。乙乙に示された越元

任の記述言語学的な方法による中国語文法の詳細な研究は,同氏のラ イフ

・ ワ ー ク『中国話的文法~ (昭和42年千iJ, 43年普及版刊) に結実してい

る。読者はそ乙~c.,中国語表層構造の観察と記述の極限に近いものを見出

すであろう。

アメリカにおける中国語語法研究は,昭和30年代に始まった言語研究にお

ける理性主義の復活,つまりチョムスキーによる変換論によって大きな転換

期を迎えたといえる。上記の橋本氏の紹介が挙げている主要論文を次に列挙

しておく。(ただし筆者はそのすべてがアメ リカ在住の中国人あるいは米国

籍中国人で、あるかどうかを知らない)

1 王土元 : ~若干の官話統辞規則> (1962年〉

2 余五芹 : ~官話埋蔵構造論> (1966年) (上記王士元氏の引用文の論

文と同じもの)

3 鄭良偉 : ~官話統辞法の諸相> (1967年〉

4 洪越碧 : ~官話統辞法の断章> (1967年〉

5 ランド:<中国語の疑問構造>(1967年,1969年公千iJ)

6 シャファ ー:<現代官話の双辿句>(1967年〉

7 ロパー ツ : ~官話中国語のグl詞句代主主とゼ ロ首句反復> (1967年)

8 沈思曽 : ~現代中国語の修飾構造> (1967ff.)

9 朱正恵 : ~官話中国語の “是"と“有" の構造> (1970年〉

10 李英哲 :〈中国語文法における絡の研究>(1970年) (上記常氏の紹

介が挙げているもの と同 じ〉

11 泰守字 : ~等位省略> (1970年〉

(233 )

. .

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~ 14-

12 王錦堂 : ~中国語の “把"と“被" の変換論的アプロ ーチ>(1970年)

13 郵守信 : ~中国語における他動関係の意味論的研究> (1971年)

14 陸孝棟 : ~官話中国語-の動詞+動詞の構造> (1972年) 務c

以上の筆者および論文名から見て,アメ リカ における中国語-語法研究は,台

湾におけるそれとほぼ同様である と考えてよいのではないか。常宝儒氏も上

記紹介の中で次のよう に述べている。

総的看来,美国的漢語教学和研究在発展着,対中美文化交流将起更加

良好的紐帯作用。在美国従事漢語教学和研究工作的大部分是美籍華人,他

何中多数人不僅有較高的漢語水平,而且普通話説得都好,所以在漢語教学 回宮川

和研究方面是骨干力量。

アメリカには現在次の二つの機関誌がある。

1 ~中国語言学報> (J ournal of Chinese Linguistics,略称 JC L) :

カリフォ ノレニア大学 Projecton Linguistic Analysis発行,半年刊,

主編者は王士元氏〉

2 ~中国語教師連合会会報>(J ournal of Chinese Language Teachers

Association) :同連合会発行, 年三回発行。同連合会は会員600余名,

年 1回大会を開いているとの乙と)

某氏の言によれば, 1は原稿が溜っていて, 投稿後 2年してやっ と陽の目を

見 るとのことである。

なお日本言語学会の機関紙〈言語研究〉に1970年以降,在米研究者の次の

三編の論文が掲載されている。

1 橋本霧子 :The Imperative in Chinese (56号,1970年 1月)

2 鄭良偉 :Second-Language Learner's Classification of Chinese

Dialect and Related Languages (63号,1973年 3月)

3 郵守信 :On Location and Movement in Chinese (67号,1975年 3

月〉

なおハワイ大学の鄭良偉氏は今年 “FocusDevices in Chinese" (タイプ印

刷)という論文を出している。

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7 日本における中国語語法研究

乙乙でまた常宝儒氏の紹介を次に引用 してお く。(く 日本漢語教学与研究

之一瞥>~語言教学与研究>1980年第 2 期)

通観 日本漢語教育和研究凡十年来的情況,有以下九点認識 :

( 234)

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中国語語法学の現状と問題点 -15 -

1 重視引進。把中国有代表性的主要著作都訳成日語或者作認真細致

評介。中国所編教外国人学漢語的課本尽可能地采用,或者改編以適応其本

国需要。

2 学習渠道多。近年来広関学習漢語的門路,学校、業余学校、各種

講座、広播、電視、甚至還有自学用謀本和磁帯。

3 学術団体堅持開展活動,重視ban好各種刊物。

4 有待加強的地方。対漢語語法的研究還不修深入 ;詞葉材料錐積累

相当多,但理論研究尚待開展 ;還需要開展伝統教学法以外的多種途径的探

案。

某氏の言によれば,常氏はいくつもの言語に通じた視野の広い人で,昨年は

〈語言学動態〉に<国際補助語類型研究的九個問題>なる論文を発表,今夏

は北京で開かれた “中美漢語作為外語教学学術討論会"にも参加している人

である。

常氏の上記結論は大体において当っていると恩われる。 3については我々

はもっと努力しなければならないと思うし, 1については,日本で日本人向

きの独自のものをもっと多く作る必要があるように思う。 2は確かにそうで

あり,我々にとっては大変嬉ばしい現象で, 20年前を考えれば隔世の感があ

る。 4は我々にとってま乙とに耳の痛い話しで,アメリカなどにおける中国

語語法研究に通じている同氏から見れば,日本における中国語語法研究はこ

のように映るのであろう。 4の中で「詞紫材料難積累相当多,但理論研究尚

待開展」という部分は, i辞書(語の意味の個別的研究を含む),語葉集,語

会索引などの所謂“工具書"は沢山作られているが,それらを活用しての理

論的研究はあまり行なわれていない」乙とを意味しているものと思われる。

乙乙でさきに引用した越元任氏の著書に対する王士元氏の言葉を思い出して

もらいたい。某氏の次の言葉はユーモアに富んでいて面白い。

会説北京話的人彼多,比陸志章先生説得好的人多着腿,但能移写出〈

北京話単音詞架〉的却是陸志主主先生,這是因為陸先生理論上高明,勝人一

祭。研究「的J字的人多極了,但是大都比不上朱徳照先生,這並不是因為

朱先生関子「的」字的一転片比別人多,而是囚為他的方法比別人管用。

また〈語文現代化~1980年第 1 輯(知識出版社) i発刊詞」は次のように述

べている。

科学理論対科学研究有決定作用。専題是樹木,理論是森林。只見樹木,

不凡森林,就要迷失方向。語文;現代化不能只依第感性知識,必須重視理性

( 235)

'

. .

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司司園『

-16 -

知識。

総じて言えば, 日本の中国語語法研究は中国追従型と言う乙とができるであろ

• •

1"

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(1980. 10. 30)

付記

本来乙の付記には, シンポジウムにおける討論の内容を記す予定であっ

たが,会-長の定;向によって学会機関誌〈中国語学〉がメンバー各氏の発言内

容を掲載するかも知れず, またシンポジウムで得た現状に係わるニュース

は , ~中国語> (大修館発行) 1981年 3月号の特集“中国乙の一年"の一編

<中!習における語学研究>の中で紹介するつもりなので,予定を変更して,

本文中の説明不足の部分の補足,および本文中に提起しである問題点に対す

る筆者-の芯-見を記す乙とにする。ゴジの数字は本文の節を示す0 .

本文に引用文が多いのは,筆者と同じ見解〈あるいはほぼ同じ見解)を持

っている者が,筆者以外にもいる乙とを示すためである。

"

• 、.

1 奔流のように流れている言語学の流れが静止するのを待って,それから

個別言語~ (例えば中国語〉の研究をしようという “待ちの構え"が, 日本の

l:t:1閃語学界では強いように思われる。 しかし久野崎氏も言っているように

(柴田武編〈言語の構造>1980年, 大fl.~館 ; 180頁),静止を望むのは無理と

いうものであろう。そして主要な ζ とは,急激lζ変化している中のある理論

によって発見された事実や言語法則は,その理論が消え去った後も残るであ

ろう ,という乙とであ る。

f' :s. ~ .. t

1・ょ

l・

3 本文11:1で提起された問題の第一羽「文成分分析と直接構成系分析J~ζ対

する筆者の見解は次の通りである。

所詞“伝統文法-"の夫態が明確でないので画一的には論ぜられないが,も

し「一つの文成分は一つの巾語からなる」というように規定すれば, く語法

分析>63]試に挙げられている例文は次のような文成分の結合したものになる。

①各級王空部坐竺墾盟笠生生霊堂型疋 語主語状語状語調語定語定語賓語

(236 )

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このような文成分分析では階府関係が明確でないから, 直接的成業分析>t

叫入しようとしているのが,現在,中国で行なわれている文法主;:の一般的傾

向jであると思われる。 乙乙で説明の使日上, 呂氏の21EをU1 J'Hしておく

(怨J?JA分析>63瓦〉伝統15法以iZi為句法m位,凶此才不fU不把日

成分。 {旦必ー倒句子成分?iM3jム結五可以説j止]疋

投法児:r~~'而不凡。結泉北一租 “双11丸山1f t 。比如「

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“完全" 説行的iiE,質 、布IJ、定、状也部り以辺機分, 例如上1ft!‘

乱。:li~~子巡弘元}! ,(主 J~i 次的原則p 只ギ1・那 “完全" 的才t7

iU削分次一級的成分。

乙の引JH文のr:jJで沼氏がなっている『介乎 “fITjJ11"和 “完全"之ftU的「

勺助」政悠j艶悦'7~が, 文成分分析と杭按構成索分析とをHf:J刊しようと

ときにJBLわれる矛Jff.Iなのである。|司氏の主張iζ従って同氏の例を分析しザ

ょう。

u附=了さ;UbI

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-圃・・・・・・回・園園・・・・

一 ・・・E園田園圃圃圃園面・田園.一•

千部.圃圃----圃圃園・・

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231 )

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- 1:8 ,-

以上の②,...._"③ ~ζ ?l~ '? 。 が現われているが, ζれを文成分としてどう呼べ,(

よいのか。 呂l氏は「生産労助J(:= ?'5)だけを問阻としているが, ?1~!.

全部が問題lになるのである。 r文成分分析と直按附j

て提起したのは9ζの矛盾は解決できるか,解決できると一

決したらよいかを吋論の対象 lとしようとしたのであ lる。

いと13うのならl' “名問"“助問u という

のは|i日間 1の一極で{あって文成分の一穂ではないか弘文成分分析の趣11.]'1に

す tる。仮りに “名詞"“励間"とn予ぷのを可としても, ?2・?包・'?'5を何とUr

リ),自営の1i~~よ iJ c関係tõ0~0でがうか。

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叩=主因"という観点11こ占ザ I~‘ で

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中国語語法学の現状と問題点 - 19-

あるが), I予j者のノjがよさそうだ。 しかし問題提起の第三項「主誌を設ける

必要性Jと関係するのであるが,所前 “_l語"をそのように霊視する必要が

あるのであろうか。

主語と~誌を同列のものと巧え件る宛ILlとしては , 主語:も ff訟も介討を用

いる乙とができない ζ と,そして次のように関係節化に叶たって,関係節rl:t

k同一指示的名詞を代名詞として践す乙とができない乙となどを挙げること

ができる(例は湯廷池氏のもの)。

③ 那一位(吋山〉昨天来訪問めく的先生

⑮ 那一位似昨天訪問(*仙)的先生

しかしさ在名-の現在の初少的~・え)Jからすれば, I日j者のノjがよさそうに忠われ

る。その理山は次の二つである。

一,Jミ語と賓訟になる深屈の絡にkがある。例えば

⑪ 対jMj得了感冒。(経験首絡〉

⑫ 父親的死改変了張三的命運。(理山路)

における経験者格,理由絡は賓語になる乙とがないと思われる。また

⑬ 象鼻子彼長。

における 「象」を所有絡の1:.語と~.えるならば, 所有絡のぞ1 討は主語に

はなれるが賓語にはなれないという乙とになる。(乙の深j門の絡の問題

については , 拙論く漢語的絡的次序>(~中国語学~ 226号,1979 1.~)

を参照されたい)

ニ, i足」の添加を観察してみると次のようになる。

⑬ 我吃飯。

⑮ 是我吃飯。

⑮ 戎是吃飯。

⑫ *我吃是飯。

つまり主語を強調するためには「是Jを主語の前に置けばよいし,謂語

を強調するためには主語と謂語との問に置けばよい。しかし賓語の直前

に「是Jを締入 して賓語を強調する言い方はなく ,次のように疑似分裂

文化によ って強調するより方法がない (⑬の「飯jにス トレスを置く方

法もある〉。

⑬ 我吃的是飯。

( 239)

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中国語語法学の現状と問題点 - 21-

る。容認可能性の度合ならば,例えば想起および認知の速度,正確度,一様

性などの操作的テス トが考えられるが,修辞性については,今のととろその

ような操作的テス トは考えられない。修辞は 「対不対」ではなく「好不好J

の問題だとよく言われるが, 1"好」の認定は人によって異なる面のある乙と

を認めないわけにはいかない。

郭氏は,語の構造,連語の構造それに文の構造が同一であることを以て,

中国語の “簡易性"を説明しているが, 語と連語は文とレベソレを異にしてい

る。呂氏の言葉を借りれば C<語法分析>31節), 語と連語は “静態単位

(=備用単位)"であり ,文は “動態単位(=使用単位)"である。 1"好.1J

のような一語文のある乙とを考えれば,乙 の乙とは明らかである。

7 一般言語理論はある特定の言語だけを対象としたものではないから,そ

の言語理論を用いて中国語を分析できる者は,当然,自己の最も習熟してい

る日本語をも分析できるはずである。現に日本の英語学者が盛んに日本語の

分析を試みている。日本の中国語学者も少しは日本語の分析を試みてもよい

のではないか。 ただ日本語の研究がどの程度まで進んでいるか,中国語学者

はその情報に疎い というハンディがある。もしチョムスキーが中国人だった

ら, 日本の中国語学者も日本の英語学者が今そうであるように,盛んに日本

語の分析を試みているに違いない。

上記の 乙とと関係があるが,日中両国語の対照研究の必要性を強調してお

きたい。 乙れは教育面に好影響を及ぼすという理由からだけでなく ,日本語

という中国語とは異質の言語を通して中国語を見た場合,巾国人には気のつ

かない点を多々発見できるというメ リットがあるからでもある。例えば

⑫ 他知道誰去。

⑫ 他知道綜去。

@ 他希望誰去?

⑮ イ也希望的ミ去。

@ 他恕誰去?

@ 他想侭去。

などの日本語訳を通して, いろいろな興味ある事実が発見されるであろ う

(乙の点については〈日語学習与研究>1980年第4期〈北京対外貿易学院内向

誌編集委員会〉の拙論を参照されたい)。英文法書の最も有名な三冊がいずれ

(241 )

. .

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も非英語圏の人によって書かれたということは,対照研究の必要性を哀告:き

する傍証となるであろう。

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