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2018 F a c u l t y o f E n g i n e e r i n g , K a g o s h i m a U n i v e r s i t y 工学部 案内・要覧

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Page 1: 工学部 案内・要覧 - Kagoshima U › wp-content › ... · の将来を担う使命があります。そのためにも、専門技 術力を高め、また人間としての資質を磨いていくこと

2018

F a c u l t y o f E n g i n e e r i n g , K a g o s h i m a U n i v e r s i t y

工学部 案内・要覧

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「ものづくり」の夢を懐に世界に羽ばたこう!

鹿児島大学工学部長 渡邊 睦 藩学造士館(1773 年設立)を起源とし長い歴史と伝統を持つ鹿児島大学に存する工学部は、鹿児島県

立大学の国立移管により1955 年に設置されました。

 現在の工学部は、機械工学科、電気電子工学科、建築学科、環境化学プロセス工学科、海洋土木工学科、

情報生体システム工学科、化学生命工学科の7つの学科を有し、学生数は 2000 名を超え、鹿児島大学

の9 学部の中でも最大規模の組織になっています。

 工学部では、鹿児島大学の基本理念である「進取の精神」に則り、人間力を涵養しつつ、「ものづくり」

の楽しさを体得できます。「ものづくり」というと難しく思えるかもしれませんが、皆さんが幼少時に経験し

たレゴブロック、プラモデル、ビーズ作りが原点です。苦労し工夫しながら取組み、完成した時の大きな喜び・

達成感を、もう一度思い出してみてください。

 7つの学科において、建築物、環境構造物などの巨大物からマイクロカプセル、バイオマテリアルなどの

極小物まで、自動車やロボットなどの目に見えるものから電気・エネルギー・情報など目に見えないものまで、

様々な「もの」に関する基礎的知識や応用技術を教授し、グローバルに活躍できる技術者・研究者を育成し

ています。

 工学部の特長として、非常に高い進路決定率が挙げられます。就職者と大学院進学者を合わせた比率は

実質的に100%、一方、不安定雇用率(一時雇用や未就労)は 3%未満と非常に低く、ほとんど全ての卒

業生が定職に就いている状況です。学部卒業者の鹿児島県内の就職率は20%前後ですが、九州内でみる

と就職者全体のほぼ半数となり、専門を活かしながら地元に貢献しています。また、約半数の学生が大学

院に進学し、専門性を向上させて全国の一流企業に就職し活躍しています。

 2015 年 3月に、文部科学省から「理工系人材育成戦略」が発表されて以来、イノベーションを創造でき

る工学系人材への期待が大きく高まっています。この状況を踏まえて2017年より、「工学部改革」を開始し

ました。この骨子は、少子高齢化、第4次産業革命による産業構造変化などに柔軟に対処できる人材を育

成するため、専門分野の体系的修得に加えて、工学分野全体を把握することによる大局的問題解決能力の

付与、将来の超スマート社会を支える基盤となる人工知能・データサイエンス基礎力の修得、実社会で生き

抜くために不可欠なコミュニケーション力、倫理観、法知識などの体得を目的とした教育研究プログラムの

抜本的な改正で、どの大学にもない鹿児島大学工学部独自の取組です。

 2020年には工学部創立75周年を迎えます。新しい技術やこれまで世の中に無かったものを創出する夢、

多くの人々に使われ喜んでもらう夢を叶えるため、一丸となって取り組んでいきましょう。

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MUTSUMI WATANABE

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INAMORIAUDITORIUM

工学部の先輩からのメッセージ

稲盛会館稲盛会館は、1994年、鹿児島大学工学部を卒業した現京セラ(株)名誉会長 稲盛和夫氏から寄贈されました。この会館は、日本を代表する著名な建築家 安藤忠雄氏の設計によるものです。

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Contents学部長挨拶工学部の先輩からのメッセージ

機械工学科電気電子工学科建築学科

環境化学プロセス工学科海洋土木工学科情報生体システム工学科化学生命工学科沿革組織図工学部の教育目標と3 つの方針

学生数経済的な支援卒業者数卒業後の進路学部卒業者の動態及び産業分類都道府県別就職先取得できる免許と資格役職員、JABEEについて年間行事行事と連絡先鹿児島大学所在地略図工学部建物配置図

0104050913

17212529333435

37383940

414243444546

京セラ株式会社名誉会長 稲盛 和夫

 私は昭和30年(1955年)に鹿児島大学工学部を卒業し、昭和34年(1959年)に京セラを創業させていただきました。50年を経た今では、ファインセラミックスの特性を活かした各種部品から、太陽電池や医療材料、さらには携帯電話、プリンタ・複写機などの完成品までをも製造する日本を代表するエレクトロニクス・メーカーの1つに成長しています。また、昭和59年(1984年)に電気通信事業の自由化に伴い創業した第二電電(現KDDI)も、現在日本第2位の通信事業者に発展しています。 この京セラとKDDIを成功に導くことができたのも、母校で受けた素晴らしい薫陶があったからです。思い返せば、ものづくりに従事する技術屋としてのあり方も、大学時代の恩師からの教えや、友人との切磋琢磨の中から身につけていったような気がいたします。この大学で学べたことに、改めて深く感謝しています。 資源を持たない日本の立国の原点は「ものづくり」であり、工学部で学びを深められる皆さんには日本の将来を担う使命があります。そのためにも、専門技術力を高め、また人間としての資質を磨いていくことが大切です。鹿児島大学工学部の学生諸君が21世紀の日本の繁栄に貢献するのみならず、世界に羽ばたき、人類の進歩と発展に寄与することを心から願っています。

Faculty of Engineering,Kagoshima University

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http://www.mech.kagoshima-u.ac.jp/学科WEBサイト

機械工学科クルマから宇宙まで 機械は暮らしに生きています!

 機械工学を学んだ人が作り出す物には、私達の身近な環境にある自転車、飛行機、船などから超高圧を受ける深海で作業する海中探査船や超真空と強力な宇宙線に曝される宇宙で活躍する宇宙ステーションやスペースシャトル、またミクロな人体内で使用される人工心臓、人工骨、人工血管など宇宙構造物からマイクロマシンまで多方面にわたります。これらの物はいずれも高性能で、しかも信頼性に優れていなければならないのに加えて、そのもの自身がシステムとして働かなければなりません。そのため、最近ではロボットに代表されるように、自ら計測、判断、制御する知能機械が求められつつあり、電気、電子、情報といった他分野との関わりも深くなっています。 機械工学科では「生産工学」、「エネルギー工学」、「機械システム工学」の3つの分野で教育及び研究を行っています。◎生産工学 �界面の力学と電子デバイスの信頼性評価、高温材料の損傷評価と寿命予測、金属、セラミックス及び複合材料の開発、電子実装された電子部品の機械的・電気的信頼性の評価技術開発、金属材料の照射効果、計算力学と塑性加工、結晶材料の力学的性質発現メカニズムの解明などに関する教育研究を行っています。

◎エネルギー工学 �流体力を利用した環境保全機器の開発、バイオ燃料のディーゼル燃焼特性、超音速流れの解析とハイブリッドロケットの開発、マイクロチャンネルを用いた電子機器の冷却、自励振動の発生メカニズム解明と防止・利用、燃焼流・火災・安全・水素等の数値シミュレーション、気化冷却によるヒートアイランド緩和などに関する教育研究を行っています。

◎機械システム工学 �知能生産加工システム、金属成形加工のトライボロジー、知能ロボティクスとリハビリロボティクス、プロセス制御、システム制御理論、マイクロ・ナノバイオメカニクス、積層材料の変形と破壊、流体の計測・数値計算とそれらの融合、金属の切削加工、炭素繊維強化プラスチックを用いた複合高圧容器の製造プロセスなどに関する教育研究を行っています。

>> 学科紹介

>> カリキュラム

 機械工学科の卒業生の約 40%が就職していますが、残りは大学院に進学し、より専門的な知識と研究能力を身につけるための研究を行っています。就職は、景気の動向に左右されますが、機械工学科の求人件数は就職希望者の8~ 10倍程度となっています。 本学科の卒業生は、自動車、鉄鋼、機械、化学、電気・電子機器、繊維、電力、建設、プラント、商社、銀行、官公庁など広範な産業界で活躍しています。

>> 卒業後の進路

>> 主な就職先など(博士前期課程修了者を含む)IHI、川崎重工業、三菱重工業、アイシン精機、アイシン、エイ、ダブリュ、いすゞ自動車、スズキ、ダイハツ工業、トヨタ自動車九州、トヨタ車体研究所、日産自動車、富士重工業、本田技研工業、マツダ、三菱自動車、ヤマハ発動機、クボタ、ヤンマー、シャープ、東芝、パナソニック、日立製作所、富士電機ホールディングス、三菱電機、ダイキン工業、ダイフク、大気社、新日鐵住金、神戸製鋼、村田製作所、安川電機、キャノン、大分キヤノン、京セラ、第一精工、NOK、東京エレクトロン九州�など

 製品を構成する材料から機械の仕組みを理解する理論まで幅広い知識を得ることが出来ます。私は、結晶性材料の力学的性質予測のため、結晶塑性理論を取り入れた変形シミュレーションに関する研究を行いました。機械工学科では様々な分野で世界最先端の研究が行われていると感じました。鹿児島から世界を先導していくエンジニアをあなたも目指してみませんか?

アイシン・エィ・ダブリュ株式会社�勤務

2017年3月�大学院機械工学専攻修了鹿児島県立出水高等学校出身

邉志切 淳

卒業生 interview

Department of Mechanical Engineering 次世代を担う技術者・研究者を育成するため、機械工学の基礎となる材料・流体・熱・構造・設計・加工・制御などに関する科目と、問題解決に活用できる演習科目をもうけます。また、基礎学力を応用して自主的に問題に取り組み、「ものづくり」できる創造力とデザイン能力、課題の発見・分析・解決の能力及びコミュニケーション能力を養成します。そして、計画的に調査、取りまとめを行い、自主的に解を導き出す能力を養成するために以下のような科目を配置します。

創造機械設計での制作物(ミニチュアクレーンと搬送マシン) 卒研ゼミの様子

科目 1 年次 2 年次 3 年次 4 年次 趣 旨

基礎科目群

初年次セミナーⅠ,�ⅡフレッシュマンセミナーⅠ,�Ⅱ線形代数学Ⅰ,�Ⅱ微分積分学AⅠ,�AⅡ情報活用基礎物理学実験物理学基礎AⅠ,�AⅡ英語ⅠA,�ⅠB,�ⅡA,�ⅡB

基礎統計学入門英語Ⅲ,��Ⅳ

工学英語機械英語Ⅰ 機械英語Ⅱ

機械工学の基礎となる数学、物理、英語などの知識を幅広く修得する。

専門科目群

工業力学Ⅰ及び演習A&B

機械製図機械工作実習応用数学Ⅰ,�Ⅱ及び演習A&B工業力学Ⅱ及び演習A&B材料力学基礎及び演習A&B機械力学基礎及び演習A&B工業熱力学基礎及び演習A&B流体力学基礎及び演習A&B機械材料学基礎材料力学機構学計測工学工業熱力学電気電子工学基礎

機械工学実験機械工学セミナー3次元CAD基礎機械設計工学A&B応用機械設計機械制御工学基礎及び演習A&B生産工学Ⅰ,�Ⅱ機械力学機械材料学弾性力学熱機関流体力学ロポット工学メカトロニクス�など

卒業論文創造機械設計技術者倫理�など

機械工学の分野で取得しておくべき専門知識を幅広く修得する。

特徴・方針

初年次の導入科目に加えて、機械工学に必要な数学や物理、英語などの基礎知識を修得する。

専門的な基礎知識や技術を修得する。

より専門的な知識や技術を修得する。また、実験やセミナーにより理解を深め、分析・発表等の能力を修得する。

専門知識を生かした問題解決、分析、文書表現、計画、コミュニケーション、発表能力等を修得する。

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①クリープ、余寿命診断②�発電プラントやロケット、燃料電池など極限環境下で使用される材料の劣化・損傷度を正確に評価するための新技術を開発しています。

  駒﨑研究室【専門分野:環境強度学】

①知的操作、センサ、機構、制御②�医療・福祉や生産現場の機械の知能化・自動化のために、新原理に基づく知能ロボット技術を研究・開発しています。

  余研究室【専門分野:ロボット工学】

①内燃機関、バイオ燃料②�環境にやさしい再生可能なバイオ燃料の開発と利用方法について教育・研究を行っています。

  木下研究室【専門分野:熱機関工学】

①マイクロスケールの流れと熱移動②�マイクロチャンネルガス流の流動および熱伝達特性,マイクロチューブ出口における超音速噴流の特性,気泡微細化による沸騰冷却について研究を行っています。

  洪研究室【専門分野:熱工学、伝熱工学】

①燃焼、火災、シミュレーション②�数値シミュレーションによる燃焼流の研究を行っています。エンジン内部の乱流予混合燃焼や、最近では火災の研究も行っています。

  錦研究室【専門分野:数値熱流体 ( 燃焼 ) 工学】

①電子実装の信頼性、デバイスシミュレーション②�電子実装された電子部品(半導体素子等)の機械的・電気的信頼性の評価技術開発を実験及びシミュレーションにより行っています。

  小金丸研究室【専門分野:電子実装工学】

①自励振動、非線形振動、振動制御②�機械に発生する振動現象の防止対策、振動の有効利用および運動と振動の制御に関する研究を行っています。

  松﨑研究室【専門分野:機械力学】

①有限要素法�、メッシュレス法②�計算力学方法を用い、計算機内で塑性加工等におけるワークピースと工具の変形を再現し、設計と加工の最適化をはかります。

  郭研究室【専門分野:計算力学】

①知能ロボット、自律システム②�ロボットの知的制御をベースに実世界モデリング、複数ロボットの協調制御の研究を行っています。

  高橋研究室【専門分野:ロボット工学】

①現代制御、非線形システム②�非線形制御の理論と応用を中心に、超音波モータのサーボ制御や振動抑制制御などを行っております。

  西村研究室【専門分野:非線形制御】

①結晶材料の力学的性質、電子顕微鏡②�材料の力学的性質発現のメカニズムと組織との相関に関する基礎的研究を行なっています。

  定松研究室【専門分野:結晶塑性学】

①積層材料の剥がれ、応力波②�剥離を含む積層材料の破壊条件に関して、理論を展開し実験を行っています。

  小田研究室【専門分野:材料力学】

①破壊力学、電子実装部の強度評価②�異種材料の界面破壊評価や電子実装部の強度信頼性評価などの研究を行なっています。

  池田研究室【専門分野:材料力学・計算力学】

①加工計測制御、応用振動工学②�切削加工の高能率化、高精度化を目的とした生産加工システムの研究を行っています。

  近藤研究室【専門分野:生産加工学】

①環境保全機器、可視化、混相流②�エネルギーの有効利用と資源循環型社会を目指し、流体力を利用した環境保全機器の開発とその基礎研究に重点を置いています。

  福原研究室【専門分野:流体機械、流体工学】

①超音速流れ、衝撃波②�衝撃波を伴う気体の超音速流れ、および小型ハイブリッドロケットに関する研究を行っています。

  片野田研究室【専門分野:圧縮性流体力学】

①流体の計測・制御・数値計算②�「なんとかする」の精神の下に、数値計算と計測の融合、流量計測、空気圧系の制御などを研究しています。

  中尾研究室【専門分野:流体工学】

①気化冷却・ヒートアイランド緩和技術②環境改善技術や計測に関する新しい技術開発を行っています。

  大高研究室【専門分野:流体工学】

①金属、セラミックの強度・破壊②�機械の設計や信頼性において重要な材料の強さや破壊に関する教育と研究を行っています。

  中村研究室【専門分野:材料工学・強度】

①塑性加工、潤滑、機能性表面②�工業製品の生産性と製品品質に寄与する塑性加工・トライボロジーの研究を行っています。

  上谷研究室【専門分野:トライボロジー】

①照射損傷、格子欠陥②�金属材料の照射損傷における格子欠陥の成長・蓄積過程に関する研究を実験と計算の両面から進めています。

  佐藤研究室【専門分野:高エネルギー材料工学】

①制御、計測、信号処理②�新しい制御理論の開発を目指すと共に、先端制御理論をロボット等に組み込む研究をしています。

  熊澤研究室【専門分野:制御工学】

①ミクロ組織、力学的性質②�材料のミクロ組織と力学的性質について教育・研究を行っている研究室です。

  西田研究室【専門分野:工業材料】

①聴覚、タンパク質モーター、診断装置、バイオメカニクス②�音受容メカニズムの解明に向けた基礎研究を行うと共に、聴覚疾患診断装置やバイオマイクロマシンの開発等の応用研究を進めています。

  村越研究室【専門分野:生体機械工学】

①複合容器,機械加工② �CFRP と呼ばれる材料を用いた製品の製造に関する研究や,切削加工に�関する研究を行っています。

  田淵研究室【専門分野:複合材料工学、加工学】

>> 研究室紹介 研究室数:25 室 ①研究キーワード ②教員から一言研究TOPIX 機械工学科 〉〉

>> Q&A

Q:�推薦入試はどのように行われるのでしょうか。

A:大学入試センター試験を課さない推薦入試Ⅰと大学入試センター試験を課す推薦入試Ⅱがあり、ともに高等学校の全学科を対象にしています。推薦入試Ⅰでは、論理的思考力や科学的発想の豊かさ等を問う小論文、面接及び調査書に基づいて選抜が行われます。推薦入試Ⅱでは、センター試験(数学、物理の 2 教科)、面接及び調査書等に基づいて選抜が行われます。詳細は、推薦入試Ⅰ及び推薦入試Ⅱの募集要項をご覧下さい。

Q:�大学入学後に必要となる主要な科目はなんでしょうか。

A:機械工学科の専門を勉強していく上で、理科や数学など基礎科目は重要です。そのため、これらについては高校で学んだことの復習を含め、基礎から大学の講義に必要な専門性の高い内容にまで段階ごとにていねいに講義しています。

Q:�女性でも機械工学の分野で活躍できますか。

A:現在、学部 10 名以上の女子学生が機械工学科に在籍し、優秀な成績を修めています。最近では、女性の感性が工学にも求められ、本学科の女子卒業生も企業で活躍しています。

Q:�専門に関連した課外活動はありますか。A:機械工学科の学生を中心に、ロボット研究会とエコラン研究会の二つの研究会が活動しています。ロボット研究会は、NHK 主催のアイデア対決・ロボットコンテスト大学世界大会に出場することを目的として活動しています。これまで、優勝一回、準優勝一回など輝かしい成績を残しています。エコラン研究会は低燃費を目的としたマシンの製作に取り組んでおり、九州大会では、一リットル当り 406 ㎞、全国大会では 609㎞と好成績を収めています。機械工学科は教職員と学生が連帯して、このような取り組みが盛んな学科の1つです。なお、機械工学科の紹介、その他の情報を下記に示すホームページ上にも公開していますので、ご覧下さい。(http://www.mech.kagoshima-u.ac.jp)

生産工学コース

エネルギー工学コース

機械システム工学コース

振動を抑制して、機械をより安全に、より快適に

自動車用ATの振動現象と防止対策

 自動車用トランスミッションとは、エンジンで発生した動力を自動車の速度や道路

状況に応じて適切に減速し、車輪に伝達するための装置です。トランスミッションの

主な種類としてマニュアルトランスミッション(MT)とオートマチックトランスミッショ

ン(AT)がありますが、日本で販売される自動車のほとんどが現在では ATとなって

います。ATとは自動で減速比をコントロールするトランスミッションであり、代表的

な ATはトルクコンバータと遊星ギヤを用いた歯車列から構成されます。トルクコン

バータはエンジンからの動力を歯車列に伝達する役割を、歯車列は変速の役割を持

ちます。今の自動車には乗り心地と燃費性能の向上が強く求められていて、ATの構

造や変速の制御はより複雑になっています。

 それに伴って、ATの振動特性はより複雑になり、様々な振動問題が発生しています。

私たちの研究室では、ATに発生する振動現象の発生メカニズム解明や抜本的な防止・

低減対策について検討を行っています。

時間遅れによる自励振動現象と防止対策

 自動車のタイヤや製鉄機械のロールなど、何かに接触しながら回転する円筒

形状の表面が、偏摩耗などによって多角形状に変形することがあります。また、

穴あけや切削などの機械加工において、加工穴がきれいな円形にならずに多角

形状になったり、工作物の表面に「びびりマーク」と呼ばれる縞模様が発生し

たりすることがあります。これらの現象は、円筒や工作物の表面に残された振

動の履歴が時間をおいて系に影響を及ぼすことによって引き起こされる振動現

象であり、ちょっと難しい言葉ですが、「時間遅れによる自励振動現象」と呼ば

れ、問題となっています。私たちの研究室では、これらの現象の発生メカニズ

ムを明らかにし、それに基づいた抜本的な防止対策を検討しています。

 機械工学では「ものづくり」を支える広い分野を学びます。ものを作ったり動かしたりすることに興味がある人

は、ぜひ機械工学について調べてみてください。機械工学では様々な分野を学びますから、きっとみなさんが興味

を持てる分野が見つかると思います。

 私が機械力学という分野の研究を始めたのは、大学での卒業研究からです。振動を抑制することを主な目的とす

る機械力学の分野はちょっと地味ですが、機械を動かす上で必ず必要とされる分野であり、物事を根本的に捉えよ

うとするところが魅力的だと思っています。

トルクコンバーター(分解写真)

加工穴に形成されたスパイラルマーク

機械工学専攻(工学部�機械工学科)

九州大学工学研究科機械工学専攻博士課程修了。博士(工学)。九州大学講師、九州大学助教授、九州大学准教授を経て、2012 年 10 月より鹿児島大学教授。専門は機械力学、機械振動学、趣味はバイク、モータースポーツ観戦など。

教授

松﨑 健一郎�Matsuzaki�Kenichirou

Profile

学生(受験生)へのメッセージ

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http://www.eee.kagoshima-u.ac.jp/学科WEBサイト

電気電子工学科21 世紀のエネルギーと高度情報通信社会を拓く

 電気電子工学科では、電気電子工学に関する基礎知識の修得と、論理的思考力、応用力、問題発見・解決能力、創造力の養成を通じて、科学技術の発展と人類の幸福に貢献できる技術者及び研究者を育成することを教育目的としています。そのために、学習・教育到達目標として「技術者倫理」「多面的な思考」「コミュニケーション能力」「基礎学力」「専門基礎」「専門学力」「デザイン・課題解決能力」「継続的な学習」を掲げ、それを達成するためのカリキュラムを構成しています。

 電気電子工学科を卒業する学生の約 60%が大学院へ進学し、さらに専門的な知識を身につけるために研究を行います。また、残り約 40%の学生は企業や官公庁に就職し、在学中に培った力を実社会で試します。就職先は下記のように、電力、電気・電子機器メーカだけでなく幅広い業種にまたがっています。

「電気、電子」 ―この言葉からあなたは何を連想しますか。コンピュータ ?テレビ ?それとも発電所や雷でしょうか。私達の身の回りには多くの電気製品があります。例えばテレビに映像が映るのは、約 100万個の半導体の小さな目(CCD)でできたテレビカメラ、光信号を送受信する大規模集積回路(LSI)、信号を伝える通信技術、映像を表示するディスプレイ、さらにそれら全てを支える電気エネルギーのおかげです。これら全てが電気電子工学科の成果です。電気電子工学科では、電子という極微の世界から、宇宙という非常に大きなスケールまでが教育研究の対象になっています。そう、あなたの想像以上に電気電子工学の世界は広いのです。

「未来」 ―私達の目はどこを見ているのでしょう。まず、電気電子工学は物質のミクロの世界に眼を向けています。物質の性質を解き明かし、意のままにコントロールする技術が次の電子工学を担う新しいデバイスを作り出します。そして宇宙、そこは空虚な世界ではなく電磁波に満ちあふれた世界で、私達の重要な研究フィールドの1つです。また、豊かな生活を支えるためには、環境にやさしい電気エネルギーの発生・利用が今後ますます重要になるでしょう。電気電子工学科は、人間の脳に匹敵するコンピュータや新しい機能を持つ電子機器の開発などもビジョンに捉えています。これらは、未来といっても SFの世界ではありません。既に電気電子工学科で研究されていることなのです。

>> 学科紹介

>> カリキュラム

>> 卒業後の進路

>> 主な就職先など

電気回路学Ⅰ 電気電子工学実験Ⅱ電気電子工学実験ⅠA

科目 1 年次 2 年次 3 年次 4 年次 趣 旨

基礎科目群

微分積分学AⅠ,�AⅡ線形代数学Ⅰ,�Ⅱ物理学基礎AⅠ,�AⅡ

応用数学Ⅰ,�Ⅱ及び演習電気磁気学Ⅰ,�Ⅱ及び演習コンピュータ工学

工学基礎英語電気電子英語工学倫理

専門分野を学ぶための基礎学力を養う

専門科目群

フレッシュマン・セミナー電気回路学Ⅰ,�Ⅱ及び演習など

量子力学アナログ電子回路電子物性基礎電気機器学Ⅰ通信工学電気電子工学実験ⅠA,�ⅠBなど

半導体工学電気エネルギー工学Ⅰ制御工学電気電子工学実験Ⅱ,�Ⅲエンジニアリング・デザイン実習など

卒業論文など

電気電子工学分野で修得しておくべき必修科目

学生の興味と将来の進路に対応した選択科目も配置

特徴・方針

数学や物理学の基礎知識と応用能力を修得

専門各論を学ぶための基盤形成

専門的な技術や知識を修得

実験により理解を深め、計画・分析・発表能力を養う

「電子デバイス」「電気エネルギー」「通信システム」の3コースで、より詳細な技術や知識を修得

問題解決能力、技術的文章表現能力、コミュニケーション能力を修得

電気電子工学に関する基礎知識の修得と、論理的思考力、応用力、問題発見・解決能力、創造力の養成

(大学院修了者を含む)【電気機器】 日立製作所、東芝、三菱電機、パナソニック、日本電気、富士通、キヤノン、京セラ、ソニー、シャープ、富士電機、セイコーエプソン、安川電機、ルネサスエレクトロニクス【電力・通信】九州電力、中部電力、東京電力、関西電力、NTT、NTTドコモ、KDDI、NTTファシリティーズ、九電工、明電舎、ダイヘン、日立システムズ、日本電気通信システム【輸送機器など】本田技研工業、マツダ、スズキ、デンソー、トヨタ車体研究所、ダイハツ工業、JR九州、ヤマハ発動機、三菱重工業、川崎重工業、IHI、新日鐵住金、きんでん、ダイキン工業【放送局・公務員など】NHK、南日本放送、鹿児島テレビ放送、宮崎放送、�鹿児島市役所、地方公務員、国家公務員、大学、高専教員

 私は昔から、身の回りに溢れている電気製品の仕組み等について深く勉強したいと思っていたので本学科へ入学しました。入学後は、講義や実験を通して半導体などの電子材料や、電力送受電、情報通信など電気電子に関わる幅広い分野の勉強をしました。このように幅広い分野の勉強をするのでその点大変な面もありましたが、幅広い知識が得られ興味の幅も広がりました。そして現在、私は電気電子工学科を卒業して大学院に進学し、人工知能を実現する技術の1つである機械学習に関する研究を行っています。将来はこの研究を通して学んだことを活かせる企業に就職し、社会貢献していきたいと考えています。 鹿児島大学はサークル活動も盛んで、活動を通してより有意義な学生生活を送ることができました。こうしたことも含めて鹿児島大学に進学してよかったと私は感じています。具体的に学びたいことが決まってなくても、本学科に入学すれば自然と興味の幅は広がっていくので、電気電子分野に少しでも興味のある方はぜひ本学科へ!

鹿児島大学院 理工学研究科電気電子工学専攻 進学�( 大学院生 )

2018年3月�電気電子工学科卒業長崎県立佐世保西高等学校出身

岩永 英俊

卒業生 interview

Department of Electrical and Electronics Engineering

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「光発電と蓄電が同時にできる光蓄電池」や「軽く柔らかい高効率太陽電池」などの新しい電池を作り出すために,セラミックス多孔体・ナノファイバと高分子などをナノスケールで融合した材料を研究しています。

  堀江・野見山研究室

>> 研究室紹介 研究室数:15 室研究TOPIX 電気電子工学科 〉〉

>> Q&A

物質の電子的性質 我々の生活を支える電子機器は、様々な種類の電子デバイス、エネルギーデバイスで構成さ

れています。実は、これらのデバイスは、物質の電子的性質をたくみに利用することで機能を実

現しています。物質の電子的性質は、構成する原子の種類や配列(物質構造)など様々な要因

で決まります。その電子的性質の元となる物質中の電子は、物質を構成する非常に多くの原子

が持つ電子の一部です。原子の組み合わせや物質構造は無限に考えられるために、まだ知られ

ていない未知の物質の電子的性質があるかもしれません。電子は、電流の源となる「電荷」や

磁気の源となる「スピン」といった内部自由度を持っています。物質中では、さらに、原子中の電

子がとる「軌道」や電子の置かれる「結晶格子」といった自由度があります。本研究室では、この

ような電子の持つ内部自由度に着目し、様々な方法(図1)を用いることにより、優れた熱電材

料、新たな超伝導体、巨大な磁気抵抗効果を示す物質など、未来の電子・エネルギー技術をも

たらす新たな物質の探索を行っています。

優れた熱電材料の探索 物質の熱電特性とは、物質において観測されるゼーベック効果やペルチェ効果

などの物理現象のことで、優れた熱電特性を示す物質(熱電材料)は、熱エネル

ギーと電気エネルギーを直接相互変換する熱電変換技術に用いられています。図

2に代表的な熱電変換素子の構造図を示します。その形がギリシャ文字の「π」の

形に似ていることから、「π型熱電素子」と呼ばれています。このπ型素子を用いた

熱電発電では、人体から発電所にわたる様々な種類の排熱を電力に直接変えるこ

とができます。例えば、太陽光の弱い深宇宙を探索する宇宙船の電源には、プルト

ニウム238の放射線を熱源とする熱電素子が用いられています。この可動部を必

要とせず静かで長寿命な熱電発電が世に広く普及しない大きな理由の一つが最

良の素子でも5% 程度に留まる低い変換効率にあります。この低い変換効率は、素

子を構成する熱電材料の熱電特性がまだ不十分であることが主な原因です。本研

究室では、新物質探索の一つとして、工学的特性に優れる遷移金属酸化物に着目

した優れた熱電材料の探索を行っています。

 大学では、自由な時間がたくさんあると思います。ただし、大学生になってからは、その自由の責任は自分にあります。受験

生の皆様には、大学時代は、できるだけ有意義な時間を過ごして欲しく思います。勉学をはじめとして部活、サークル、アルバ

イトなど色々な学生活動がありますが、上手に選択し有意義な経験をできるだけ多くしてください。そして、それらを通じて、

より進んだ学問を修得したり、生涯の友達に出会ったり、様々な技能を身につけたりして、豊かな人生への糧としてください。

Q:�電気電子工学科は、どういう学生を求めていますか ?

A:一般入試、推薦入試、編入学試験で少し異なっていますが、例えば一般入試では、次のようなアドミッションポリシー(入学者受入方針)を定めています。 電気電子工学科は、電気・電子・情報通信の最先端分野における調和の取れた発展を通じて人類の幸福と福祉に貢献することを基本視点としており、課題を多面的に考え、解決策をデザイン・実践する能力を備えた技術者・研究者を育成することを目標としています。電気電子工学科では、次のような向学・研究心あふれる人を求めています。1. 電気電子工学科の教育目標に共感し、

それを実現できる基礎学力・意欲をもつ人

2. 研究・応用分野での最先端の知識・実践力を身につけ、社会で活躍したい人

3. 国際的コミュニケーション能力を身につけ、国際的に活躍したい人

Q:�電気電子工学科では何を学ぶことができますか ?

A:一口に「電気電子工学」といっても領域が非常に広いので、「電子物性デバイス工学」「電気エネルギー工学」「通信システム工学」という3つの分野を設定し、教育と研究を行っています。まず電気電子工学の基礎となる電気磁気学と電気回路学などを修得し、その後、各分野の基礎と応用を学びます。また実験を通じて、「電気」と「電子」の世界に足を踏み入れることになります。卒業研究は、電気電子工学の研究や技術開発を行う研究者や技術者としてのスタートラインと言えるでしょう。電気電子工学科は、電気電子工学の最先端分野を開拓し発展させる力をもった人材の育成を目的としています。

Q:�電気電子工学科から大学院に進学したいのですが ?

A:例年、卒業生の約半数が2年間の博士前期課程へ進学しています。大学院では研究室に所属し、研究を中心により専門的な授業を履修します。さらに、他の技術者や研究者との交流を深め、学会などに参加して活躍の場を与えられます。さらに深く研究したい人には、3年間の博士後期課程へ進学する道もあります。研究者としての成果をあげれば、「博士(工学)」の学位を取得することができます。

Q:�もっと詳しく電気電子工学科を知るための方法は ?

A:方法はいくつかあります。(1)直接訪れる !   2 ページ前の写真の建物を探して

下さい。きっと、優しい先輩や先生が色々な設備や装置を見せてくれます。

(2)インターネットで訪れる !   学科のホームページにアクセスし

て見て下さい。研究のページ、趣味のページ、いろいろな電気電子工学科の顔をみることができます。

  http://www.eee.kagoshima-u.ac.jp(3)イベントに参加する !   電気電子工学科では、もっと電気

電子工学科を知ってもらうために、この冊子だけでなくオープンキャンパスで実施する体験講義などいろいろなイベントを行っています。ぜひ参加してみて下さい。

新たな電子・エネルギー物質の探索

図 1�浮遊帯域溶融法 (Floating�Zone 法 ) による遷移金属酸化物の単結晶育成

図 2 π型熱電変換素子

学生(受験生)へのメッセージ

電気電子工学専攻(工学部�電気電子工学科)

1997 年東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了、現在の産業技術総合研究所(つくば)内アトムテクノロジー研究体(JRCAT)博士研究員(JRCAT フェロー、NEDOフェロー)を経て、2002 年鹿児島大学大学院理工学研究科着任、2006 年~ 2010 年科学技術振興機構(JST)さきがけ研究員、2015年 JST-CREST 主たる共同研究者、至現在。博士(工学)。専門は物性物理学、物質科学、電子デバイス工学、担当授業は量子力学、光エレクトロニクスなど。

准教授

奥田 哲治 Okuda Tetsuji

Profile

クリーンエネルギー源である太陽電池の世界トップレベルの高効率化技術の開発や、飛躍的な省エネルギーにつながる超伝導材料・超高速超伝導デバイスの開発を最先端の分析・合成システムを駆使して進めています。

  寺田研究室

分析合成システム外観 電気を通すセラミックスナノファイバの布

通信技術の革新を目指して、マイクロ波から光まで、デバイスからシステムまで、基礎から応用までの研究を推進しています。特に、メタマテリアル(図)、光信号処理の研究に注力しています。

  福島・永山研究室

自然の材料にない性質を示すメタマテリアルの設計・解析

情報通信の飛躍的な発展を目指して、新たな光ファイバーを用いた高速・大容量・長距離の光信号伝送、光信号を効率的に処理する中継システム、光信号の経路を切り替える光スイッチデバイスなどの研究を行なっています。

  渡邉研究室

光回路の設計・解析

センサネットワーク、IoT、Webなどの情報を取り込む技術とニューラルネットワーク、ファジィ推論、強化学習、群知能などの人工知能技術を活用し、安全、安心、快適、便利な社会づくりにつながる応用や基礎技術の開発に取り組んでいます。

  重井研究室

センサノードの作成と深層学習を用いた実験

スマートフォンなどの情報通信機器には,無線通信が採用されていますが、データ処理用のアナログ/ディジタル信号変換回路や、マイクロ波帯の周波数を用いるアンテナなどをテーマとして取り扱っています。また、通信に使われる電波を、電力伝送にも用いるマイクロ波電力伝送の研究も行っています。

  西川・大畠・吉田研究室

LSI 実装用のワイヤボンダと研究トピック

本研究室では、遷移金属酸化物や有機半導体などの機能性物質に着目し、優れた熱電特性、磁気抵抗効果、新たな超伝導など未来の電子・エネルギー技術につながる新物性の探索と、それらの機能を生かした電子デバイス開発を行っています。

  奥田研究室

物性評価用超電導磁石

当研究室では、半導体を中心する新材料の開発と、その電子デバイスへの応用を研究しています。具体的にはバンドギャップが大きい酸化亜鉛及びそれに関連する材料の作製を行い、透明導電膜や発光素子などへの応用を目指しています。

  前島研究室

半導体薄膜作製装置

電波~可視光線~ X線までの様々な波長を持つ光(=電磁波)を利用して、デバイス材料の特性を評価する方法の開発を行っています。さらにその評価結果にもとづいて、特性向上を目指した材料開発も行っています。

  真中研究室

複屈折イメージング装置 研究室の学生の様子

対象システムを望みどおりに運用させることを目的に、システム制御やモデリング手法の研究・開発を行っています。また、システム論的立場から、電力需要や電力系統台風被害の予測システム構築にも取り組んでいます。

  八野研究室銅線よりも遥かに大きな電流を抵抗ゼロで流すことのできる超伝導線材を、電力・産業・運輸などの分野で応用するための研究を行っています。エネルギー問題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献できると考えています。

  川越研究室

非線形システムの同定シミュレーション実験

高温超伝導線材・導体・コイルの電磁特性評価装置

電子機器に電気エネルギーを供給する電源回路の研究をしています。スマートフォンで経験するように、電源が途絶えると電子機器は全く動かなくなるので、電源の研究は重要です。より小型で省エネの電源を目指しています。

  田中研究室

電源回路の実験波形と同回路のシミュレーション

昨今の省エネルギー化の促進に鑑み、パワーエレクトロニクスとモータ駆動を基礎とした電気エネルギーの発生・伝送・変換・制御の技術(モータ制御、発電機制御、電力制御等)に関する研究を行なっています。

  山本・篠原研究室

交流モータのセンサレスベクトル制御

エネルギー問題や地球温暖化などの環境問題を解決するために、電力システムの高効率化や省エネ化の実現を目指した超伝導技術の電力応用やリニアモータの産業機器応用、太陽光発電の発電量最大化などに関する研究に取り組んでいます。

  川畑・平山研究室

リニアモータの実験装置左 :リニアモータの実験機、右 : インバータ

近年,環境問題の改善へ向けて環境規制強化が進み、産業機器や電気自動車用モータの高効率・低損失化が求められています。本研究室では、モータや使用材料の電磁気的現象の解明と損失低減技術に関する研究に取り組んでいます。

  甲斐研究室

モータコアと材料評価装置

 電子物性デバイスコース

 電気エネルギーコース

 通信システムコース

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http://www.aae.kagoshima-u.ac.jp/学科WEBサイト

建築学科建築空間と生活環境の創造に貢献していく人事の育成

 建築とは人間が活動するすべての空間を秩序付けて創り出す総合的な技術を意味します。文明の発祥以来、美しく快適で安全な建物を造る技術が開発されて来ていますが、社会、生活、文化の変遷と共に建築に求められるものは絶えず変化しています。近年では、地球の生態系の中で建築を位置付ける新しい技術の開発が必要となっています。 本学科は、人類の建築文化の遺産を継承し、地球環境の保全に配慮しながら現代の科学技術を総合的に利用して、建築空間と生活環境の創造に貢献できる人材を育成します。                                 

 1年生では主に一般教育科目を受講します。そこでは、数学、物理、化学、語学などの基礎科目とともに、社会学、哲学、心理学、文学、生命科学などの教養科目が開講されています。建築を設計する際には、人間や都市のあり方を考え、それらをもとに建築空間を創造するため、基礎科目とともに人文系の教養科目の修得も重要です。学年の進行に伴って、建物を支える構造の仕組みや快適に住むための環境のあり方、建築や都市に関する理論など広範囲の専門教育を受講します。これらの講義で学んだことをもとにして、建築設計の演習では具体的な製図課題に取り組みます。4年生になると、それらの総まとめとして卒業設計と卒業研究に取り組みます。このほか、2年生には、京都、奈良などで学外実習があり、建築の解説と評価を学生自ら行います。また 3年生では、学生の企画運営による建築展が開催され、市民に対して建築や都市に関する様々な提言を行っています。

 卒業生は、以下の分野をはじめとして多方面で活躍しています。

・建築設計(建築設計事務所、建設会社の設計部など)・施工管理(大手建設会社、住宅会社など)・建築行政(県庁、市役所など)・専門技術(建築設備、材料関連会社など)・企画、開発(コンサルタント)

 また、卒業生の約半数が、より高度な専門知識と研究能力を身につけるため、大学院に進学しています。

>> 学科紹介

>> カリキュラム

>> 卒業後の進路

>> 主な就職先など大林組、鹿島建設、清水建設、竹中工務店、大成建設、戸田建設、奥村組、錢高組、鉄建建設�、東急建設、西松建設、東レ建設、前田建設工業、谷川建設、徳栄建設、三井住友建設、日建設計、梓設計、NTT ファシリティーズ、東条設計、安井建築設計事務所、プラナス株式会社、JEF 設計、RIA、NAP 建築設計事務所、プラナス株式会社、UID一級建築士事務所、武田建築事務所、YKK�AP、LIXIL、サンゲツ、ベガハウス、一条工務店、MBC開発、大和ハウス工業、旭化成ホームズ、積水ハウス、パナホーム、三洋ハウス、丹青社、高砂熱学工業、新菱冷熱工業、ダイキン工業、九電工、大東建託、官公庁、大学院進学

 建築設計には意匠設計・構造設計・設備設計の 3 つの分野がありますが、私はその中でも、建物の要求性能(安全性・経済性・施工要求など)を満たすように柱・梁などの設計を行い、構造図を作成する構造設計をしています。 私はインテリアに興味を持って建築学科に入学しましたが、授業を受けているうちに構造の道に進むことを決めました。鹿児島大学は幅広い分野の授業が受けられるため、興味が変わっても自分のやりたいことが見つけられます。少しでも建築に興味があるならば本学科をおすすめします。 学生生活で印象に残っているのは学部 4 年から院 2 年までの研究室生活です。研究室生活は辛いこともありましたが困難なことにも挑戦し最後までやり遂げる力が身に付きました。この経験は社会人生活に活かしていけるものだと思います。

株式会社日立建設設計勤務

村嶋 野乃香

卒業生 interview

Department of Architecture and Architectural Engineering

2018年3月�大学院建築学専攻修了山口県立小野田高等学校出身

即日設計 トラスコンテスト 建築見学

構造実験に取り組む 全北大学校工科大学(韓国)との合同学外実習設計演習に取り組む

科目 1 年次 2 年次 3 年次 4 年次

共通教育科目

(選択必修科目省略)

初年次セミナーⅠ大学と地域情報活用英語ⅠA英語ⅠB

初年次セミナーⅡ体育理論体育実習英語ⅡA英語ⅡB

英語Ⅲ異文化理解入門 英語Ⅳ

専門教育科目

必須科目

微分積分学AⅠ線型代数学Ⅰ物理学基礎学AⅠフレッシュマンセミナー建築計画基礎演習設計基礎Ⅰ

微分積分学AⅡ線型代数学Ⅱ物理学基礎学AⅡ建築構造のしくみ設計基礎Ⅱ

建築の数学建築計画環境計画Ⅰ構造力学Ⅰ建築構法建築設計Ⅰ

建築史環境工学Ⅰ構造力学Ⅱ建築材料建築設計Ⅱ

英語Ⅴ設備計画Ⅰ建築施工Ⅰ建築設計Ⅲ建築振動

英語Ⅵ都市計画建築未来学概論鉄筋コンクリート構造鉄骨構造建築設計Ⅳ

建築と倫理建築法規卒業論文(通年)卒業設計(通年)

選択科目

地域施設計画学外実習(休暇中)環境計画Ⅱ�など

地域環境史環境工学Ⅱなど

設備計画Ⅱ設備計画演習など

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 建物は形(デザイン)と構造(力学)の調和から構成されています。感銘を受ける建物は形もよいのですが、必ず構造的な特性も優れています。この [ 形 ]+[ 構造 ] を考慮した建物を総称して構造形態と呼んでいます。私たちの研究室では、コンピュータの利用を通して、建築形態の創生を行っています。最近では、生物の情報伝達機構あるいは生命維持機構を模倣した生物的アプローチの利用による構造形態の創生とサスペンション膜構造や空気膜構造に代表される張力構造の形態形成、さらにはそれらの解析方法の研究を進めています。

  本間研究室〔建築計算工学〕 研究室は、次世代の鉄筋コンクリート構造の耐震構造と次世代の木質構造の開発を行っています。 6年前から木質構造の研究に着手しています。我が国では木造と言えば、木造住宅が殆どを占めてきました。関東大震災と戦時中の空襲による戦災を理由に、木造で大型の建築が建設されてきませんでした。しかし、戦後、大量に植林された杉や檜が伐採期に入り、二酸化炭素削減の追い風もあり、木材を使って、木質構造により大規模の建築を建設する黎明期が到来してきています。 木質材料の弱点である硬不足と強度不足と補うために、リサイクルの安価な鉄筋をスギ集成材に繊維のように挿入・接着して、硬さを 6~ 8倍に、強さを 3倍に増加させる鉄筋集成材構法と設計方法を開発して、第 1号の建物を建設しています。現在は、鉄筋集成材構法と、新たな直交スギ集成板(CLT)を組み合わせた耐震壁の開発も開始し、来年の第 2号棟の建設を目指して設計を開始しています。

  塩屋研究室〔建築構造学〕

 絵に描いた餅が食べられないように、絵に描いた家に住むことはできません。設計を現実のものとするのが、建築材料と生産工学の役割です。特に、自在に形を変えることができる鉄筋とコンクリートや自然材料である木材は、主要な建築構造材料であるばかりでなく、生産工場や建築現場においても綿密な管理が必要な材料です。また、これらの材料は維持管理により建物全体の寿命を左右する存在です。私たちの研究室では、固まる前のコンクリートの流動性の評価方法や鉄筋コンクリート構造物を壊さずに検査する方法について研究しています。

  黒川研究室〔建築材料・生産工学〕 日本で消費されるエネルギーの約 1/4 は建物内での利用によるものです。またその半分は住宅で消費されています。私たちは暑くなったら冷房し、汗をかいたらシャワーを浴びるような生活を当たり前のように享受していますが、これらは大量のエネルギーを消費することで成り立っています。私たちの研究室では、少ないエネルギーで快適な居住環境を創造するにはどうしたらよいか、気象の地域性、建物の熱性能、自然エネルギーの利用などについて研究しています。

  二宮研究室〔建築設備〕

 近年、温暖化が顕在化し、熱波や豪雨など極端化する気候変動の影響は様々な地域に及んでいます。本研究室は、将来予測される気候変動の脅威による被害を回避し、かつ気候変動の原因となる温室効果ガス排出の少ない建築物を実現する方法を研究しています。気候変動に適応可能な建築物の計画には、過去から現在、そして将来に至るまで、建物や都市を取り巻く環境を客観的に表現した気候変動に関する観測・予測情報が必要です。私たちの研究室では、このような科学的な情報を利用して、建築、設備システムの気候変動への適応策や緩和策を具体化することを目指しています。

  曽我研究室〔環境工学〕 “ 環境 ” を切り口に、より良い建物のデザインや造り方を考える研究室です。我々はさまざまな環境の中で生活をしています。近年、その環境を考える上で “ サステイナビリティ(持続可能性)” という概念が謳われますが、それは裏を返せば “サバイバビリティ(生存可能性)”と同義です。とりわけ、地球環境と建物との関係は重要なテーマです。そのような背景の中、本研究室では建物に関する環境的課題について、材料や資源の視点を含め横断的に取り組みます。多様な解答を導く為の基礎的な知見を集積し、設計や建設の実務に活かせる研究活動を目指します。

  鷹野研究室〔建築設計、環境評価〕

 建築は社会の大切な資本の一つです。建築により街がつくられ、人々の記憶となり、地域の大切な文化となっています。研究室では、できるだけ建築設計実務に基づいたデザインの研究と教育を実践し、社会に貢献できる学生を育ててゆきたいと考えます。また、新築の施設計画だけでなく、モダニズム建築や麓集落の民家の再生をはじめとするストックの活用についても研究し、地域再生について取り組みます。フィールド調査や建築探訪により、楽しく建築を学びます。

  鯵坂研究室〔建築設計〕 建築や都市は一握りの専門家や一時代の技術によって造られるものではなく、多くの人々の知恵と努力の積み重ねによって成り立っています。その集積を活かし、不備を補いながら、より良い環境を築く事が私達には求められています。私達の研究室ではまず、建築や都市に関する図面や資料に基づき、先人達の計画の狙いを明らかにする研究や、調査に基づいて住み手の創意工夫や利用の実態を把握する研究を行っています。そこから建築や都市に何が求められているかを考え、計画・デザインへと結びつけていきます。

  木方研究室〔建築理論〕

 美しい街並みや建築、ワクワクする空間はどの様に生まれるのでしょうか。私達の研究室では、建築・インテリア・家具などの分野において「デザインを通して豊かで新しい空間を創出する」ことを目標として、デザイン論理の研究と実践的なデザイン活動の二本柱で研究に取り組んでいます。デザイン論理の研究では、既存の都市や建築の調査・分析を行い、その空間構成を把握すると共に形態との関係性を考察し、デザイン論理の基盤となるデータを蒐集しています。また設計コンペへの参加や実施設計を通して、論理だけではなく、その実践も行っています。

  柴田研究室〔建築設計〕 建築は、社会のしくみと深く結びつき、時とともに変化します。私たちの生活空間は近い将来どのように変化するでしょうか。その変化を見すえつつ、私たちはどのような未来を描けるでしょうか。小山研究室では、〈いま・ここ〉の問題意識や関心を原点として、生活空間の未来を構想する計画論を探求します。街なかから郊外、中山間・島嶼地域にいたる具体的な居住の現場にそくして、社会と空間との関係を読み解きます。また、異なる時代や社会にも目をむけて〈いま・ここ〉を相対化する理論的なものの見かたを検討し、建築や都市にかかわる新たな価値観や方法論の創出を目指します。

  小山研究室〔建築理論〕

>> 研究室紹介 研究室数:10 室研究TOPIX 建築学科 〉〉

>> Q&A

古くて新しい“木”の最適な使い方を研究! 木は我々人類にとって最も古い材料であると同時に、最先端の材料でもあ

ります。そんな木材に着目し、森に立つ資源の状態から、加工されて材料に

なり、その材を組み合わせて建物を作り、使用してから解体し、廃棄するまで

の流れをしっかり考慮し、人にも自然にも最適な木の使い方について研究を

行っています。特に、建物が地球環境や我々の生活環境に及ぼす悪い影響を

最小限に抑えるため、新しい木造建築の作り方について様々な角度から考え

ています。木は我が国が有する貴重な資源です。その有意義な使い方につい

て、建物の視点から研究を行っています。

ではなく、自分の手で触れながら建築について学んで欲しいと考えています

ので、地域の工務店などに協力を頂きながら、自分たちで建物を考え、実

際に建設する機会を積極的に設けています。建築を学ぶ大学生と言っても、

ノコギリや金槌をちゃんと使ったことがない学生が殆どです。しかし、実際

に作業をすると、みるみると上達し、建築に対する視点も変わっていきます。

実践に勝る学びはありません。私も学生と一緒に体を動かし、手で考える

機会を大切にしています。

研究成果を実際の建物に! 建築は実学ですので、やはり実際の建物として出来上がると一番わかり

やすいものです。研究で得られた知見を論文として社会に発信すると同時

に、建物の設計や建設に活かし、目に見えて触れられるものとして発信す

る活動も行っています。特に、学生には机の上でパソコン相手に考えるだけ

大学の4年間は大変重要な時期です。過ごし方によって、その後の人生に大きな影響を与えます。何事にも能動的かつ主

体的に取り組むことが鍵になると思います。勉強する分野や大学の選択から、大学での学生生活、その後の進む道まで、

自ら目標を定め、それに向かって行動をするということです。それができれば、何も心配することはありません。

Q:�建築学科ではどのような学生を求めていますか。A:A:建築の役割は、個々の建物から都市までを対象として、学術と技術と芸術の3つの面を融合して、人々に快適な空間を創造することです。建築学科では、数学、理科、語学、社会学に関する基礎学力を有し、科学と芸術と社会の広い分野に関心を持つ次のような学生を求めています。1. 建築を造りたいという情熱を持っている人2. 建築と人間や社会や環境との関係に興味がある人3. 建築デザインの分野で能力を活かしたいと考えている人4. 安全で美しい建築を造る技術に関心のある人

Q:�建築学科の行事など、学科についてもっと  詳しく知りたいのですが。

A:鹿児島大学工学部建築学科のホームページ(http://www.aae.kagoshima-u.ac.jp)を是非ご覧ください。建築学科のニュースや教員と学生の活躍をご覧になれます。また、建築学科の様々な行事(合同講評会など)に関する情報はツイッター(鹿児島大学建築学科 @AAE_KADAI)にもリアルタイムでアップロードされます。是非フォローしてみてください!

"木"や"木材"や"木造建築"に関する研究と実践

実験やシミュレーションをベースとした研究活動

研究成果をベースにした建物の設計活動

建築学専攻(工学部�建築工学科)

日本で建築の勉強をし、実務経験を積んだ後、フィンランドの大学(アアルト大学)で新たに木質材料や木造建築について学び、研究を行ってきました。その経験をもとに、現在は木質材料や地球環境の視点から建築のデザインを考えています。「半士半農」を理想に掲げ、研究と実践をバランス良く行うよう心がけています。

准教授

鷹野 敦�Takano�Atsushi

学生(受験生)へのメッセージ

Profile

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新入生オリエンテーション 授業風景研究の様子

環境化学プロセス工学科

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http://ecp.cen.kagoshima-u.ac.jp/学科WEBサイト

環境化学プロセス工学科「化学」の知識で社会に貢献する「工学」

環境化学プロセス工学科の特長 ~研究・就職・社会貢献に強い!~ 本学科では「化学工学」について学ぶためのカリキュラムが用意されており、「ケミカルエンジニア」を育成することを目的とした学科です。化学製品は試験管ではなく、多くの装置からなる化学プラントで生産されており、また、ナノスケールの固体触媒の内部では、化学現象と物理現象が同時に起こっています。このように、化学プラントや材料を設計するには、「化学」と「工学」が必要であることから、「化学工学」を操る「ケミカルエンジニア」の出番となります。 つまり、化学工学では、「総合化学」の知識を応用して、世の中の問題を解決するために役立つ「工学」を学ぶため、社会的ニーズが高く、卒業生は広い分野で活躍しています。

 本学科では、有機化学、無機化学、物理化学を基礎とする点では化学系学科ですが、専門科目では「化学、物理、数学」の知識をベースにし、化工熱力学(エネルギー保存、エネルギーの変換)、移動現象論(流体の運動やエネルギーの伝達)、分離工学(蒸留・膜による分離や精製技術)、反応工学(触媒や反応装置の設計)、プロセス設計(化学プロセスの設計)などの科目を勉強します。

 卒業生は非常に広い分野で活躍しており、就職状況は極めて良いことが本学科の特長です。 就職先は、「化学」「プラントエンジニアリング」「医療・食品」「エネルギー」「素材・材料」「電気・電子材料」「機械・化学機械」「環境・水・空気」「印刷・情報」など、広範囲な分野から引く手あまたです。

>> 学科紹介

>> カリキュラム

>> 卒業後の進路

旭化成、宇部興産、トクヤマ、三井化学、三菱ケミカル、三菱ガス化学、旭化成エンジニアリング、三菱日立パワーシステムズ、三井造船、三菱ケミカルエンジニアリング、IHI プラントエンジニアリング、日鉄住金 P&E、IHI、トヨタテクニカルディベロップメント、日本化学機械製造、矢崎総業、京セラ、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング、新日鐵住金、三菱マテリアル、三井金属鉱業、エスビー食品、大塚製薬、テルモ、ユニ・チャーム、田辺三菱製薬工場、オルガノ、日鉄住金環境プラントソリューションズ、神鋼環境ソリューション、新日本空調、タクマ、メタウォータ、太陽石油、日本ガス、富士石油、JX喜入石油基地、DIC、大日本印刷、凸版印刷など

 鹿児島は自然豊かで食べ物も美味しく、勉強するにも遊ぶにも最高の環境が整っています。大学では、先生方の熱心な指導のもと、仲間と切磋琢磨しながら「学ぶ楽しさ」・「化学工学の奥深さ」を知りました。研究生活は、苦労や挫折も含めて私の貴重な財産となっています。 私の勤める会社は、産油国からの原油受入、国内精製拠点への積込み等を行う原油中継・備蓄基地としての役割を担う企業です。その中で、特に設備の効率化検討や省エネ活動などに関する業務に携わってきました。今後は、大学で学んだ知識を現場で使えるスキルとして活かしていけるよう励んでいきたいです。

JX 喜入石油基地株式会社�勤務

2016年3月�大学院化学生命・化学工学専攻修了熊本県立玉名高等学校出身

卒業生 interview

Department of Chemical Engineering

磯田 悠美

>> 主な就職先など

科目 1 年次 2 年次 3 年次 4 年次

基礎教育科目

微分積分学AⅠ,�AⅡ

物理学基礎AⅠ,�AⅡ

線形代数学Ⅰ,�Ⅱ

専門科目

フレッシュマンセミナー

物理化学基礎

有機化学基礎

無機化学基礎

化学工学量論

化工熱力学

化学工学実習

化学工学プログラミング

反応速度論

無機化学

移動現象Ⅰ,�Ⅱ

工学倫理

応用数学Ⅰ

学外実習 など

化学プロセス工学

化学工学セミナー

化学工学総論Ⅰ,�Ⅱ,�Ⅲ

化学工学実験

反応工学

分離工学

無機材料化学Ⅰ

粉体工学

分析化学

機器分析基礎

技術英語Ⅰ,�Ⅱ

環化工演習 など

化学工学特別研究Ⅰ,�Ⅱ

卒業論文

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環境化学プロセス工学科

2019

環境、エネルギー、資源、材料をキーワードとして、反応工学、触媒工学、粉体工学をツールに問題解決をはかる研究を主として行っています。石油資源を有効に利用するために、新しい触媒材料の研究やさまざまな反応装置の研究を行っています。さらに、再生可能エネルギーとしてバイオディーゼル燃料などのバイオマスの研究も行っています。研究室のモットーは「一生懸命考える」です。新しい問題にぶつかった時、今まで手に入れた知識を総動員して、自分で解決ができるようになることを目指しています。

【主な研究テーマ】

 ・次世代合成燃料製造のための触媒反応装置の開発 ・�アモルファス金属を前駆体とした燃料電池用水素製造  触媒 ・環境浄化のための光触媒の活性向上処理に関する研究 ・各種機能性粉体の合成と超微粉ハンドリング技術の確立

  環境バイオテクノロジー・先端複合材料プロセシング研究室

  環境反応工学研究室

  環境化学プロセス研究室

  機能性セラミック材料研究室

>> 研究室紹介 研究室数:4 室研究TOPIX 環境化学プロセス工学科 〉〉

>> Q&A

私の研究室が掲げる目標は「社会に役立つ新技術を生み出すこと」にあり、中でも環境バイオテクノロジー・先端複合材料プロセシングをテーマにしています。①新しい機能性を有した高分子材料プロセシング(マイクロカプセルや機能性ゲルなど)、②微生物の機能を環境浄化に利用する研究、③電子材料の説着ガラスや機能性ガラスの開発、④医療用材料プロセシングや再生医療工学に関する研究を大きな柱に研究をしています。これらの研究は、様々な企業とマイクロカプセルをはじめ、バイオテクノロジーの開発を行っています。研究室所属の職員、4年生、大学院生は、なおいっそう社会のニーズに応えるべく研究を続けています。

Q:�環境化学プロセス工学科では何を学ぶの?

A:本学科では「化学」の知識を実社会に役立てるための「工学」、つまり、「化学工学」を中心に学びます。化学工学は、化学系のエンジニアが企業で仕事をするうえで必要な考え方を体系化した学問であり、非常に実践的な内容となっています。 そのため、大学での勉強は、そのまま将来の自分への投資となります。

Q:�学科の特長は?A:一学年 35 人という少人数制で教育を行います。そのため、教員からのきめ細やかなフォローが可能となり、各段階で着実な成長を実現する様、指導を行っています。 さらに、同級生、先輩、そして、教員との間にも密なネットワークが形成され、このネットワークは、社会に出てからも大きな力となります。 これらは、少人数制の大きなメリットです。

Q:�なぜ就職状況がいいの?A:化学産業は日本の基幹産業であり、スマートフォンや電気自動車に欠かせない製品を世界に供給しています。 化学産業において、工学的着想・解決策を与える「化学工学」は不可欠であり、「化学工学」を勉強した学生は、産業界から非常に高い需要があります。その一方、化学工学を専攻する学科は少なく、九州では鹿児島大学と九州大学にあるのみです。 このような背景から、本学科卒業生は、産業界から引く手あまたとなっています。

Q:�先輩はどのような会社に就職しているの?

A:本学科の卒業生は幅広い分野の会社に就職します。本学科で学ぶ「化学工学」は、産業界で必要とされている着想・解決策を与える学問であるため、「医療・食品」などの分野から「エネルギー」「機械」など、一見すると関連が無いように思われるような分野においても、「化学工学」の知識が活用されています。 このため、本学科卒業生たちは、様々なフィールドで活躍し、社会へ貢献しています。

マイクロカプセルや機能性ゲルの開発、微生物機能の応用、機能性ガラスの開発、医用工学

吉田�昌弘�教授

甲斐�敬美�教授

二井�晋�教授武井�孝行�准教授

中里�勉�准教授

水田�敬�助教 五島�崇�助教

平田�好洋�教授 鮫島�宗一郎�准教授 下之薗�太郎�助教

私たちの研究室では、豊かな地球環境を将来にわたって先進セラミック材料を用いて、環境にやさしい新エネルギー開発を目指した研究を進めています。①焼酎粕のメタン発酵で生成するバイオガス(60%メタン、40%二酸化炭素)から、水素を瞬時に大量に合成する装置を開発しています。その水素を燃料電池に供給して電気エネルギーに変換しています。循環型エネルギーシステムの構築が可能です。②�10�–�100�nmのファインセラミックスナノ粒子のサスペンションを任意の形状に成形し、低温焼成により緻密化させます。強度が従来品より 2倍高い機能性セラミックスが合成できます。スペースシャトルの耐熱材料、人工衛星に搭載する光学望遠鏡の鏡などへも応用可能です。また、構造が制御された高強度多孔体を合成し、ガス透過性を調べています。触媒担体、電極材料、高温ガス分離膜へ応用されます。

【主な研究テーマ】

 ・セラミックナノ粒子の精密湿式成型と焼結 ・バイオガスの改質による水素合成 ・固体電解質を用いたエネルギー変換デバイスの開発

新しい機能性を有した高分子材料(ドラッグデリバリー、分離材料、CO2削減、将来に向けて新技術を提供するマイクロカプセル)、新しい電子材料の接着剤(人体に有害な鉛を含まない接着ガラス)、医療工学(癌発現の異常タンパク質の検出、再生医療用の新材料)、自然界に存在する微生物の機能を生かした土壌や水環境の汚染修復技術などの研究開発に取り組んでいます。研究は、プロジェクト研究や民間企業との共同研究という形で推進されています。新しい材料プロセシングやバイオテクノロジー技術を通して、社会の役に立つ新技術の創出を目指しています。

【主な研究テーマ】

 ・新しい機能を有したマイクロカプセル化技術開発 ・環境にやさしい電子材料の接着剤の開発 ・癌発現異常タンパク質の検出技術の開発 ・疾患治療に役立つ医療用ゲルの開発 ・再生医療のための生体組織の開発

私たちの研究室では、豊かな地球環境を将来にわたって持続可能にするための技術開発を目指し、革新的な化学プロセスを創出するチャレンジを進めています。レアメタルや環境汚染物質などを対象として優れた分離技術、バイオマスや廃棄物など再生可能な資源を化学原料やエネルギーに変換する技術、さらに、コンパクトで高い効率を実現する化学プラントや機能性デバイスの開発を行っています。そのためには、超音波、ミリからマイクロメートルスケールの気泡や機能性界面活性剤をツールとして研究を進めています。これらの研究を通じて、未来を切り開く若人が、柔軟な発想でアイディアを出して問題を解決する力をつけるとともに、地域・社会と人々の幸せを大きくすることを願っています。

【主な研究テーマ】

 ・�超音波を応用した分離技術の開発 ・�気泡を用いるレアメタルの分離回収技術の開発 ・�バイオマスを資源とする化学原料の製造 ・�マイクロ化学プロセスにおける物質移動特性の解明

私たちの身の回りには多くの化学製品があふれています。これらは、「化学」の知識だけでなく「化学」の知識を駆使し、

「ものづくり」を総合プロデュースする「化学工学」の知識が必要となります。本学科は社会に役立つ「化学工学」を学

べる学科です。この学問を通じ、新しい材料や技術を生み出すことにチャレンジしてみませんか?

学生(受験生)へのメッセージ

環境化学プロセス工学科(化学生命・化学工学専攻)

化学工学的アプローチを駆使し、新しい機能性材料プロセシング、微生物機能の応用、医工連携に関する研究に従事しています。国のプロジェクト研究や民間企業との共同研究を通じ、新規産業の創出につながる独創的な研究開発の推進し、これらに関する研究開発を通じ、主体性に富んだ人材の育成を行っています。学問の面白さ、研究の面白さを伝え、学生の興味を引き出したいと常に考えています。

教授

吉田 昌弘 Yoshida Masahiro

Profile

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21 22

http://oce.oce.kagoshima-u.ac.jp/学科WEBサイト

海洋土木工学科美しい海洋環境と快適で安心・安全な社会の創造に貢献していく人材の育成

 本学科は、海洋に関する深い理解とそれに関連した土木工学の知識と判断力および高い倫理観を有する技術者を育成することを目的とします。1~2年次では、自然科学と工学基礎の科目を配置し土木工学の基礎知識の養成を図り、3年次では、この基礎力を柔軟に適用できる応用力とデザイン能力を養成するための科目を配置します。さらに4年次では討論や発表などを通じて,自ら課題を発見しそれを解決できる能力を養成するための科目を配置し、卒業後も主体的に学習を継続できる能力の養成を目指しています。

 本学科は土木工学に海洋学を加えた学際分野を取り扱うユニークな学科です。土木工学は英語で “�シビルエンジニアリング (市民のための工学 )”�と呼ばれ、自然環境と社会環境との調和をデザインし社会インフラの整備だけでなく、みなさんが快適で安全な生活を送れることに貢献する学問です。さらには顕著化する地球規模の環境問題を解決するため土木工学のフィールドは陸上のみではなく海洋環境を含む広大な領域を扱っています。本学科は、広大な陸上・海洋環境を対象に、これらの開発と持続的発展の両立に貢献する研究・教育を行っています。

>> 学科紹介

>> カリキュラム

 卒業生は以下の分野をはじめとして多方面で活躍しています。

・環境影響予測・評価(コンサルタント)・道路や橋梁、ブレイクウォーター、トンネルなどの設計(コンサルタント)・道路や港湾、空港、鉄道、電力施設などの建設と管理(建設会社など)・安心・安全で持続可能な国土・地域づくり(中央官庁、県庁、市役所)・再生可能エネルギーの開発(中央官庁、建設会社)・高性能材料や新構造技術などの研究開発(建設会社、メーカーなど)

 また、高度な専門知識と研究能力を身につけるため、卒業生の約3割が大学院に進学します。

>> 卒業後の進路

都市計画道路高麗線 藺牟田瀬戸大橋(架橋)鶴田ダム

科目 1 年次 2 年次 3 年次 4 年次 趣 旨

工学基礎

微分積分学             線形代数学              物理学基礎

統計学ベクトル解析複素関数常 · 偏微分方程式           

土木技術者倫理海洋土木専門英語

海洋土木専門英語� 工学の基礎となる数学、物理学に関する知識とこれらに関連する知識を幅広く修得する。

専門科目

海洋学総論               材料力学基礎フレッシュマンセミナー

構造力学水理学土質力学               建設材料学海洋コンクリート工学測量学・測量実習

構造解析学コンクリート構造設計学沿岸環境学海岸環境工学海洋物理環境学材料・土質実験

海洋土木デザイン工学卒業論文水理実験

海洋土木工学の主要分野に関する基礎的な知識とこれらを実践に応用する能力を修得する。

特徴・方針

数学や物理学および海洋土木工学の導入科目を修得する。また、現場見学等を通じて、土木構造物の強さや機能美に接する。

実践で役立つ工業数学と土木工学を学ぶ上で重要な基礎科目を修得する。また、測量実習等を通じて、空間地理情報デザインやチームワークの大切さを理解する。

海洋開発、利用と海洋環境の保全との調和を総合的に判断できる能力を修得する。またインターシップを通じて、実務的課題を理解、解決する能力を修得する。

卒業論文や海洋土木デザイン工学を通じて、問題発見・解決能力やプレゼンテーションのスキルを修得する。また海洋土木専門英語を通じて、グローバル人材の育成も目指す。

建 設:清水建設、大林組、大成建設、戸田建設、五洋建設、前田建設工業、    三井住友建設、安藤ハザマ、東電設計、NIPPO、横河ブリッジホールディングス、    パシフィックコンサルタンツ、オリエンタルコンサルタンツ、建設技術研究所運 輸:JR九州、JR西日本、JR東日本、NEXCO西日本機械・金属:�JFE エンジニアリング、日立造船、JX金属官公庁:国土交通省、農林水産省、鹿児島県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、    宮崎県、沖縄県、鹿児島市、福岡市、北九州市、熊本市、大分市、宮崎市、横浜市大学院:鹿児島大学、九州大学、東京工業大学

 私は海洋土木工学科にて、材料、水理、構造、土質について学びました。その中でも、材料(特にコンクリート)に興味を持ち、大学院まで進学しました。当時はコンクリートの耐久性に関する研究に没頭し、先輩・後輩と協力しながら、楽しい日々を過ごすことができたと記憶しています。現在は、研究開発を行いながら、当社現場におけるコンクリート構造物の施工や維持管理に関する技術指導を行っています。日々の業務において、研究開発に取り組む姿勢やコミュニケーション能力など、大学時代に学んだことが十分に活かされていると感じています。今後は、建設業界に携わる人材の減少に対応するための技術開発を行う所存です。

大成建設株式会社技術センター社会基盤技術研究部�勤務

2004年3月�海洋土木工学科卒業鹿児島県立甲南高等学校出身

松元 淳一

卒業生 interview

Department of Ocean Civil Engineering

>> 主な就職先など

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高潮や津波は、時として甚大な被害を人間にもたらしてきました。また、海の中では、水面の波よりもずっと遅い速度で、内部波が伝わります。こうした様々な波や流れに関して、数値解析、水理実験や、現地調査によって研究しています。

  柿沼研究室【専門分野:海岸工学・海洋物理学】埋立地盤などの沈下予測に関する研究を行っています。この研究では、土のせん断試験を行って、地盤の変形解析に必要な各種の土質パラメータを決定しています。最近は、土粒子・水・空気からなる不飽和土の研究を試みています。

  三隅 研究室【専門分野:土質力学・地盤工学】

津波防災や水難事故防止の観点に立ち、沿岸域に遡上する波の運動を解明することを目的とし、大型平面水槽を使った津波模型実験と 3次元数値波動水槽の開発や数値ソルバの開発を行っています。

  長山 研究室【専門分野:海岸工学】集中豪雨や地震などによる地盤の崩壊によって、多くの人命が失われたり、生活に必要な道路や鉄道などの社会インフラが寸断されたりするなどの被害(地盤災害)が発生しています。そこで、地盤災害の発生メカニズムの研究や防災システムの開発に取り組んでいます。

  酒匂 研究室【専門分野:地盤工学・地盤防災】

九州周辺海域の豊富な海洋エネルギーの開発と利用に関する研究を行っています。現地観測と数値シミュレーションを用いて、潮流や海流、海洋温度差発電などの可能性とその環境影響を明らかにしています。

  山城研究室【専門分野:海洋物理学】大雨が降った際の山崩れの発生を予測するための研究を行っています。土の中の水分量を計測して、蓄積されたデータとコンピュータによる計算を繋ぎ合わせて、数時間後の山の状態を予測することを目指しています。

  伊藤研究室【専門分野:地盤工学・地盤防災】

人工衛星データの解析や海洋循環 / 領域大気モデルを用いた数値実験等を通して、縁辺海における大気海洋相互作用を研究しています。また、ドローン観測と機械学習を組み合わせするなどして、漂着ゴミ問題にも取り組んでいます。

  加古研究室【専門分野:海洋物理学】構造物を壊さずにその健全度を診断あるいは監視する最新技術、シミュレーションによる予測手法、さらに状況に応じた補修や補強工法などについて研究しています。

  山口 研究室【専門分野:構造物ライフサイクルマネジメント・コンクリート構造・劣化診断】

閉鎖性海域において生じる貧酸素水塊や有害赤潮の発生要因を解明する研究、�ダム湖でのアオコの発生要因を解明する研究、�三陸リアス式海岸における二枚貝養殖の復興のための研究、�河川周辺地域での水害発生リスクを評価する研究等を行っています。

  安達研究室【専門分野:沿岸環境学・水工学】構造物の崩壊を防ぐために本研究室では数値シミュレーションを用いて、地震を受けた構造物の挙動や損傷、また損傷を受けた構造物に対する余震の影響を把握し、構造物の耐震性を向上させるための研究を行っています。�

  木村研究室【専門分野:耐震工学・構造工学】

河川流域~沿岸域における土砂動態の把握は、環境と防災の両面において重要です。研究室では、現地観測、室内実験、数値計算といった様々な手法によって、土砂動態の解明や土砂にまつわる諸問題の解決を目指しています。

  齋田 研究室【専門分野:環境水理学】鉄筋コンクリート構造物の塩害劣化について「コンクリート中での塩化物イオンの浸透」や「劣化に伴う構造物の力学的性能の低下」等、�材料工学・構造工学の双方の視点に基づいて研究を行っています。

  小池研究室【専門分野:コンクリート工学】

水域の流れや水質、底質、植物プランクトンなどを調査・分析し、数値シミュレーションによって水環境を評価する研究を行っています。このような取り組みにより、アオコや有害赤潮の発生を予測する手法の確立を目指しています。

  小橋 研究室【専門分野:沿岸環境学・水工学】苛酷な環境または海洋環境下でのコンクリート構造物の劣化現象メカニズムを理論と実験により解明し、その劣化の進行を低減あるいは防止するための新しい材料や技術の開発を行っています。�

  武若研究室【専門分野:コンクリート工学・土木材料学・防食工学】

腐食問題を中心に、コンクリートおよび鋼構造物の劣化進行メカニズムの解明および劣化予測手法の構築や点検診断、補修補強技術の高度化を目指した研究を行っています。

  審良 研究室【専門分野:コンクリート工学・土木材料学・維持管理工学・腐食防食工学】

>> 研究室紹介 研究室数:15 室研究TOPIX 海洋土木工学科 〉〉

>> Q&A

海が大気を変える。そして、大気も海を変える。 海洋と大気は直接触れ合っていますから、両者は海面過程を経て密接に関係しています。

ですから、大気と海洋の状態を広い範囲で連続的に知ることは、地球の気候システムを解

明する上で非常に重要です。しかし、対象は広大な海洋。それは容易ではありません。そ

こで本研究室では、観測船を用いた現場観測はもちろん、人工衛星によるリモートセンシ

ングや数値シミュレーションを駆使して、海洋と大気の相互作用を調べています。

低高度リモートセンシングと画像解析を組み合わせて、環境問題にもアプローチ

 我々は、海岸漂着ごみ問題の解決にも取り組んでいます。本問題は、国連のSDGsで言及されるなど、早急に対策が必要な地球環境問題の一つです。しかし、

各海岸におけるごみ量を観測・推計する統一的な手法が確立されていないため、その現存量を知ることすらできないのが現状です。我々は、この問題を

解決するためのキーワードが、広範な海岸をカバーする機動性、海ごみ判定の客観性、そして誰でも利用できる汎用性にあると考えています。そこで、ドロー

ンによる海岸のリモートセンシングと、機械学習/ディープラーニングを基盤とした画像解析手法を複合させ、海岸漂着ごみ量を定量化する手法を確立し

ようと試みています。この手法が完成すれば、誰でも簡単に海岸漂着ごみ量を定量化することができる様になりますし、そのデータを元に海洋中のプラスチッ

ク現存量の推定および将来予測も可能になるとも考えています。

 海洋学には、数学、物理、化学、生物、プログラミングなど幅広い知識が必要ですが、全部できなくても心配することは

ありません。大学入学後に勉強を始めても十分に間に合います。一緒に、海の不思議を解明しましょう。

Q:�海洋土木工学科では何が学べますか?

A:本学科は、一般的な土木工学(構造力学、水理学、土質力学、土木材料学など)に加えて、海洋の物理特性に関する基礎や、海岸防災のような海岸工学、さらには干潟問題などの沿岸環境学を学ぶことができます。これらの基礎知識をもとに、卒業論文では、海洋エネルギー、津波防災、河川防災、水害対策、土木材料開発、公共構造物の維持管理、土砂災害対策などについて分野横断的な研究を行います。

Q:�卒業生はどのような場で活躍していますか?

A:建設会社や各種コンサルタントなどに就職し、土木事業の調査、設計、施工、維持管理に関わる技術者として、広い範囲で活躍しています。他には、安全で快適な国土づくりに関わる技術者として、国や地方自治体などで活躍しています。また、鉄道、道路、電力会社などに就職して、社会インフラを整備する仕事に従事する卒業生もいます。これらの職種では性別に関係なく多くの技術者がそれぞれの得意分野で活躍しています。もちろん、大学院に進学し、海洋土木工学をさらに追求する学生も多くいます。

Q:�大学院に進むメリットとは何ですか?

A:近年の土木技術の高度化に伴い、より高度な専門知識を有する技術者が必要とされています。大学院では、学部で身につけた能力をベースに、より深く研究活動に取り組むことで、幅広い視野と判断能力を養うことができます。また、学会発表や海外研修などを通して、コミュニケーション能力、プレゼンテーション力や語学力など、リーダーとして必要とされる資質を育むこともできます。また卒業後は入社した会社において希望部署に優先的に配属されることが多いため、大学院への進学率が高くなりつつあります。

Q:�物理を履修していませんが授業についていけますか?

A:本学科は物理・化学・地学に関する幅広い教育・研究活動を行っています。もちろん数学、物理、英語など高校で学んだ基礎的な知識は必要となりますが、本科では、教育カリキュラムと教員のサポートが充実しているため、補習などを通して自分の不足している部分を補うことができます。

誰も知らない海を知る

ラジオゾンデを用いた船上での大気観測の準備風景

専攻 :�海洋土木工学学科

専門は海洋物理。長江からの淡水流入が励起する東シナ海の海洋循環や大気応答を主に研究中。海洋物理の側面から、水産業の発展にも寄与したいと考えている。海岸漂着ごみ問題に取り組むうちに、画像解析も得意に。また、人工衛星データセットの開発チームにも所属し、そのデータを全世界に配信中。J-OFURO3で検索!

担当授業名 :�プログラミング演習、海洋物理環境学演習など

加古 真一郎 Kako�Shinichiro

学生(受験生)へのメッセージ

Profile

左の画像に機械学習を適用することで、右の画像の様にごみ部分のみを検出可能。

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情報生体システム工学科

http://www.ibe.kagoshima-u.ac.jp/学科WEBサイト

情報生体システム工学科ヒトとコンピュータを繋ぐ!~未来を一緒に創造しよう~

 情報生体システム工学科では、情報通信技術や生体計測工学、さらに、人工知能や人間の認知の仕組みについて学ぶことができる学科です。机の上で使うコンピュータからはじまり、持ち運ぶノートパソコン、スマートフォン、スマートウオッチと進化してきたように、コンピュータの発達につれて、人間とコンピュータの距離はどんどん 0に近づいています。このような時代の流れから、コンピュータと生体の双方について知る人材の重要性が高まっています。本学科では主に、ロボットの制御技術、生体認証、コンピュータグラフィックス、人間や生物の視覚のメカニズム、ブレインマシンインタフェース、人工知能、などについて、先進的な研究をおこなっています。

 卒業生は、以下の分野をはじめとして多方面で活躍しています。

・情報処理(IT 関連、システムエンジニアなど)・情報通信(携帯電話キャリアなど)・システム開発(電機メーカー、自動車関連など)・システム行政(県庁、市役所など)

 また、卒業生の約半数が、本学の大学院理工学研究科博士前期課程へと進学しています。

>> 学科紹介

>> カリキュラム

>> 卒業後の進路

>> 主な就職先など

科目 1 年次 2 年次 3 年次 4 年次 趣 旨

基礎科目

微分積分学AⅠ,�AⅡ線形代数学Ⅰ,�Ⅱ物理学基礎AⅠ,�AⅡ情報生体システム工学基礎応用数学Ⅰ,�応用数学演習Ⅰ

応用数学Ⅱ,�演習Ⅱ科学技術を支える基盤となる数学、自然科学の習得

専門科目

プログラミング序論演習Ⅰ,�Ⅱ

計算機ネットワーク情報生体システム工学実験Ⅰ,�Ⅱプログラミング言語Ⅰ,�演習Ⅱ電気回路学及び演習数値解析情報論理回路アルゴリズムとデータ構造など

ソフトウェア工学オペレーティングシステム論計測工学人工知能情報通信工学マルチメディア生体情報工学オートマトンと言語理論画像情報工学ヒューマンインターフェイス�など

卒業研究データベース

情報生体システム工学の基盤分野を系統的に習得するための専門科目群

特徴・方針

・�工学に必要な数学、物理学の基礎

・プログラミングの基礎 

・専門科目の開始・�プログラミングの基礎、 アルゴリズムについて学ぶ・�情報生体システム工学の基礎的な実験

・高度に専門的な科目・最先端の知識の習得・�卒業研究へと発展するための科目

卒業研究を通して、最先端の分野における課題探索能力、問題解決能力を身に着ける

グローバル社会の発展に寄与する先端技術の研究開発ができる人材の育成

NTT ドコモ、オムロン、キヤノン、QTnet、京セラ、ソニーLSI デザイン、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング、凸版印刷、パナソニック、日立メディコ、ファナック、富士通、富士通鹿児島インフォネット、富士電機、本田技研工業、南日本情報処理センター、三菱電機、ヤフー、リコー IT ソリューションズ、ルネサスエレクトロニクス、鹿児島県庁、鹿児島市役所

 私が入学した旧情報工学科は、現在の情報生体システム工学科の前身となる学科です。この学科では情報工学の歴史からシステム作成に必要な基礎的な考え方、また電子工学の一部など、幅広く学ぶことが出来ました。入学当初は ICT に関する知識があまり無く不安でいっぱいだった私ですが、講師や教授の皆様の丁寧なご指導の下、仲間と助け合いながら楽しく学ぶことが出来ました。卒業研究で画像分析と描画システムを関連付けて「現在ゴッホが生きていたらどのような絵を描くか」というような研究に没頭した日々は今も貴重な財産になっています。2013 年に富士通鹿児島インフォネットに入社してからの 3 年間は、ビッグデータ関連の SE を経験しました。入社後初のプログラミングも、本学科を卒業していたからこそ抵抗なく取り組めたと思います。現在は SE から一転して同会社の営業担当となり、鹿児島のお客様へのシステム、クラウドサービスのご提案をしています。鹿児島という土地で学生時代を過ごした楽しい思い出や郷土愛を糧に、ICT 技術を通して地元の発展への貢献を目指しています。

株式会社富士通鹿児島インフォネット�勤務

2013年3月�旧情報工学科�卒業学校法人池田学園�池田高等学校出身

小平田 直也

卒業生 interview

Department of Information Science and Biomedical Engineering 情報生体システム工学科の目的は、ソフトウェア工学、情報システム工学、脳認知工学、ならびに、生体計測工学に関連する知識を総合的に理解し、また、これらの知識を生かして創造力を発揮し、将来のグローバル社会の発展に寄与する先端技術の研究開発に対応できる人材を育成することです。そのため本学科では、科学技術者として分野を問わず要求される資質である「技術者の使命と倫理」に始まり、専門分野についての基礎から応用発展に至る以下の7項目を具体的な目標として掲げています。A. 技術者の使命と倫理B. 基礎学力C. ソフトウェアの知識と応用力D. 情報システムの知識と応用力E. 情報生体システム工学の専門知識と応用力F. コミュニケーション能力G. デザイン能力本学科では、この 7項目を効率的に達成するためのカリキュラムを組んでいます。

アクティブラーニング用着脱式ホワイトボード グループ学習の様子 ポスター発表ツアーの様子

マイコンを使った実験の様子 電算機演習室での授業の様子

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情報生体システム工学科

>> 研究室紹介 研究室数:16 室研究TOPIX 情報生体システム工学科 〉〉

>> Q&A

生物が進化する過程を真似することで、最適化と呼ばれる問題を解こう 生物は世代を重ねて緩やかに進化することで、環境に適応した形質を獲得します。この進化の

過程を模倣した技術が進化計算と呼ばれる問題解決アルゴリズムです。通常は問題に対する解の

候補を1つ作成し、徐々にそれを改良することでよい解をつくりあげていきます。これに対して進

化計算は、100個や1000個など、大量の解の候補を作成し、それらの解候補を仮想的な生

物とみなします。そして、それらの生物が子を生成することで次の解の候補を作り出します。この

とき、よい形質をもった親同士が子をつくる際に、それぞれの親のよい形質を継承したよい解候

補がうまれるかもしれません。このような偶然の積み重ねに期待することで問題を解きます。右の

図は、進化計算を用いて、規格を遵守しつつ装飾性を持たせたQRコードを生成した例です。Q

Rコードに絵を重ねると、汚損等が生じたときに読み取りが難しくなります。これに対して進化計

算を利用した装飾QRコード生成方法は、QRコードとしての規格を完全に満たしつつ、人間にとっ

て意味のある絵のように見えるパターンを作り出すことができます。

絵のように見えるQRコードを作る技術を実現 進化計算は最適化と呼ばれる問題を解くことを得意としており、設計、製造、流通、金融等様々な分野に応用が可能です。ここでは、本研究室における

3次元計測への応用例を紹介します。一般的に3次元スキャナを用いて物体を計測する際、視点を変えながら何度か計測を行い、計測された部分形状を

合成する必要があります。計測された3次元形状を合成する処理を3次元位置合わせ問題と呼びます。一般的な位置合わせ技術を利用する場合、物体全

体の形状を復元するためには数回から10回程度計測を行う必要があります。本研究室では、進化計算を3次元位置合わせに応用した新しいアルゴリズム

を開発しました。このアルゴリズムは、進化計算が持つ特性、すなわち、多数の解が同時に改善されていく性質を活かすことで、局所解に陥ることを避け

て最適な解を発見することができます。進化計算の利用を前提とした新しい評価関数と組み合わせることで、2回または3回という極めて少ない回数(私

達が調べた限りでは世界でもっとも少ない回数)の計測結果から物体全体の形状を復元できるアルゴリズムを実現することができました。

ソフトウエアの研究開発は他のものづくりとは異なり、生産というプロセスがありません。あなたが書いたプログラム

が瞬く間に全世界で使われるようになる可能性もあります。ぜひ鹿児島大学で一緒に人工知能や進化計算の研究に取

り組んでみませんか?

Q:�情報生体システム工学科や研究室の見学はできますか?

A:できます。ただし、授業や実験などで対応できない場合がありますので、まずは事前にメールや電話などで確認をとってください。教員のメールのアドレスは https://www.ibe.kagoshima-u.ac.jp/staff/index.html で公開されています。

Q:�アクティブラーニングでの授業はありますか?

A:情報生体システム工学科では、応用数学やプログラミングの科目で、オンラインビデオを用いた反転学習や課題解決型学習など取り入れた、アクティブラーニングに対応した授業を行っています。

Q:�プログラミングが苦手ですが、情報生体システム工学科へ進学できるでしょうか?

A:大丈夫です。プログラミングに関する授業は 1 年次から開講されており、アクティブラーニングも積極的に取り入れて、効率よく学べるようになっています。入学時はプログラミングが全く出来なくても、カリキュラム通りに学んでいけば、卒業研究や卒業後の仕事でも問題なく使えるように習得出来ます。

Q:�卒業研究のテーマはどのように決めるのでしょうか?

A:情報生体システム工学科では、3 年後期から研究室への配属を行い、卒業研究の指導教員が決まります。卒業研究のテーマは、指導教員の専門分野の中から、指導教員と相談して決めることになります。

生物の進化過程を模倣した問題解決アルゴリズム

情報生体システム工学科専攻(工学部�情報生体システム工学科)

最適化や機械学習など、人工知能分野の研究を行っています。いろいろな分野の研究者や企業と連携して研究を行っています。企業や学生と一緒に特許を出願することも多いです。皆さんと一緒に研究できるのを楽しみにしています。

准教授

小野 智司 Ono Satoshi

Profile

学生(受験生)へのメッセージ

生体の神経系の情報処理機構、主として視覚情報の処理様式を中心に研究を進めています。特に向網膜系(網膜への遠心性投射系)が視覚的な注意と深い繋がりがあると考えて、向網膜系の発達した鳥類を用いて研究を行っています。この他、ヒトの空間認知に関する研究やヒューマンインタフェースに関する研究も行っています。

  【神経情報学研究グループ】3次元画像認識、動画像処理、ロボットビジョン、人工知能に関する基盤研究、および医用画像処理、画像監視、知能ロボット、無人自動車、福祉システムなどの応用研究を行っています。また、人間志向型の高度なコミュニケーション実現を目的とし、居住環境および所在者の状態認識に基づき" 気づき "・" 気遣い " を自動的に呈示・発現する『親和的情報空間』の構築に取り組んでいます。

  【画像情報研究グループ】

音響情報の認識メカニズムについて調べています。「聴覚コンピューティング」の研究は、音響情報の抽出、可視化、モデリング、合成、および合成音の主観評価と客観評価(脳波等の計測)から構成されています。音声信号だけでなく、物音、楽器音、鳴き声と云った広範囲な信号を対象にします。ヒトの認識過程をなるべくうまく模倣して、聴覚機能を実現する人工知能を開発していきます。得られた知見は、医用福祉向けに逐次、実用化を進めていきます。研究室のシンボルマークは、音をピンセットでつまんで音色を作り変える実験をイメージしたものです。

  【聴覚コンピューティング研究グループ】人にやさしいコンピュータ環境を実現するために、人間の視覚や認知特性を科学し、その知見をディスプレイやヒューマンインタフェース(HI)などの工学分野に生かす研究を行っています。例えば、錯視と人間の視覚情報処理メカニズムとの関係を心理学的に調べ、その知見を新方式のディスプレイに応用したり、直感的に操作しやすいHI の研究に取り組んだりしています。また、ノートを速記録として活用し、それを視覚的に振り返ることで論理的な思考力を強化するための研究も行っています。

  【視覚情報工学研究グループ】

個人の持つ身体的特徴または行動的特徴を個人認証に用いるバイオメトリクス個人認証 (biometrics� identification)、および動画像処理、画像計測などの研究を行っています。個人認証では、空中 3次元軌跡によるパターン認証や視線の動きを利用した認証システムに関する研究、また、仮想タッチパネルを用いた PINコード入力システムに関する研究などを行っています。動画像処理では、ディープラーニングを用いた映像解析や劣化映像の自動修復に関する研究などを行っています。

  【画像認識研究グループ】認識、学習、意志決定などの高次脳機能に関わる脳内情報処理について研究しています。脳のさまざまな認知機能の中でも、特に視覚に注目して、視知覚の形成を追求しています。具体的には、新しい行動パラダイムを開発し、神経活動の時空間パターンを測定する脳活動イメージング法などの最先端の手法を駆使して侵襲及び無侵襲な実験的研究を行い、高次脳機能の神経基盤を同定します。また、被験者が「思う」だけでコンピュータが操作できるような BMI(ブレイン・マシン・インタフェース)システムや脳の状態を推定するシステムを開発しています。

  【認知脳科学研究グループ】

当研究Gでは、光及び熱により可逆的に物性を変化させる応答性分子と光学系などを組み合わせた演算システムの開発とそのシステムを用いて通常のコンピュータが苦手とする経路探索などの諸問題を解くための演算アルゴリズムの作成をコンピュータシミュレーションにより進めています。しかも、量子演算素子開発への試みとして、量子効果が期待できるナノ構造の選択反応を可能にする表面化学反応の探索及び反応機構の解明を分子動力学計算により進めています。

  【分子情報工学研究グループ】当研究Gでは、離散ボロノイ図、連続状態空間における強化学習、直感的 3次元形状変形手法などについて研究を行っています。強化学習とは、試行錯誤的な繰り返しのみによって、与えられた目的に合った行動を自動的に取得する学習の総称であり、自律的に動くロボットなど学習法として注目を集めています。右の図は、エサが置かれた空間を動き回り、最終的にエサを取得するように学習するマウスのシミュレーションの様子を示しています。

  【数理情報研究グループ】

当研究Gでは、生体計測及び生体信号解析の研究を行っています。特に、脳神経や筋肉の働きを電気や運動などの生体信号を用いて理解し、新しい生体計測技術などの開発を目指します。さらに、医学と工学を融合・発展させることにより、社会福祉への貢献を進めています。

  【生体計測工学研究グループ】超伝導は巨視的なスケールで量子効果が現れる面白い現象で、量子効果を工学的に応用できる可能性からも注目されます。この超伝導状態のさまざまな形状の薄膜について量子化磁束の運動を数値シミュレーションするシステムの研究を行っています。オブジェクト指向による柔軟なシステムの開発が行えること、さまざまな環境で動かせることを重視して java 言語を用い、多くの人に使ってもらえるものにしたいと思います。

  【数値シミュレーション研究グループ】

物理学の立場から生体現象を解明する研究を行っています。具体的には、カオスやフラクタルといった概念により生体におけるリズム現象、分岐現象、パターン形成のメカニズムの解明を実験、理論、コンピュータシミュレーションによって行っています。また、生体の状態を計測する必要性から、水晶振動子を用いたセンサの開発を企業や国立の研究所と共同研究し、実用化に向けた研究を行っています。

  【非線形生物学研究グループ】「計算物理学」とは、数式による理論計算や測定装置による実験に代わり,主にコンピュータを利用する物理学の総称であり、近年、「理論物理学」、「実験物理学」と並び第3の物理学と呼ばれている。物理学におけるコンピュータの応用は多くの分野にわたるが、主に、3次元有限要素法及び境界要素法による磁場解析やAIDSなどの免疫応答に関する数理モデルによる解析を行っています。

  【計算物理学研究グループ】

ヒトはどのように物を見て色や形を知覚するのか。どうして夜に眠くなって朝になると目が覚めるのか...私が行っている研究分野は、心理物理学と呼ばれる、「こころ」から人間を理解しようという学問を基礎としています。研究室では、常日頃からマスプロダクトではできない手作りの実験装置をつくるように心がけています。世界でたった一つの実験装置です。いろいろな装置を手づくりしてきましたが、手づくりだからこそ最近のめざましい科学の進歩にも柔軟に対応できると考えています。

  【視覚情報処理研究グループ】近年、映画などでコンピュータグラフィクス (CG) を使って作られた、本物と区別がつかないような映像を見る機会が多くなっています。当研究グループでは、そのようなリアルな映像表現作成技術の研究開発を行っております。リアルな映像を作るには、光学シミュレーションと視覚シミュレーションの二つが重要です。光学シミュレーションでは、物体表面を撮影し、そのデータを利用した表面反射特性再現手法、また、視覚シミュレーションでは、人間が光を知覚するまでの処理を利用した映像表示方法を研究しています。

  【コンピュータビジョン・グラフィクス研究グループ】

コンピュータにより知的な仕事をしてもらえるよう、人工知能の研究を行っています。生物の進化過程を模倣した最適化技術である進化計算アルゴリズムや、生物の神経回路を模倣して機械学習を行うニューラルネットワークを中心とし、要素技術の開発や、画像や自然言語などの各種メディアへの応用について研究を行っています。右の図は進化計算によりデザインされたインテリアの例を表しています。

パタン認識、機械学習、確率モデル、統計的な多変量解析などの技術を活かして、手書き文字認識、話者音声認識、会議音声データの解析、知能的な会話システムに関する研究を深め、それらの技術の融合による人と自然に会話できる対話ロボットシステムの実現をめざしています、

  【メディア情報工学研究グループ】   【パタン認識・知能システム研究グループ】

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科http://www.cb.kagoshima-u.ac.jp/学科WEBサイト

化学生命工学科地球環境や生命との調和を図りつつ人類社会の持続的発展に寄与できる人材の育成

 水などの物質、燃焼などの現象と、私たちが生活する中で、もっとも身近な学問が化学です。私たち自身の生命活動も化学が重要な役割を果たしています。では、『化学』とはなんでしょうか。 化学とは、物質がどのような構造で出来ていて、どのような特徴や性質を持っているか、そして化学反応によってどのように別なものに変化するかを研究する学問です。化学は、何かを測定すること、作り出すことを得意とし、日常を支えるすべての製品が化学の発達によって生み出されたと言っても過言ではありません。食料品や医薬品はもちろんのこと、家電製品ですら、化学がなくては生産できません。現代の化学者には環境を保全しつつ人類社会に役立つ知識と技術、そして素材を生み出すことが求められており、基礎化学だけではなく、環境化学や生化学などの幅広い知識を持った人材が求められています。化学生命工学科では、幅広い知識に加え、日本の化学をリードできる深い専門知識をもった化学者の育成を目指します。

 本学科は、化学・生物学分野の幅広い知識を身につけることを目的として、基礎科目から専門科目まで段階的に学べるカリキュラムが組まれています(下図参照)。1年次では、数学・物理・語学・人文社会等の共通教育科目および基礎的な化学科目を学びます。2年次には、専門的な化学および生物学の講義が始まり、3年次になると、卒業研究に向けて、より専門性の高い講義が開始されます。また、2、3年次には、自ら考え、解決する能力を習得できるような実験・演習科目も開講されます。3年前期終了時に「物質環境化学コース」と「生体化学コース」に分かれ、コースに特化した専門分野の教育を受けます。4年次には、卒業研究を行い、高度な専門知識・技術を身につけて技術者・研究者としての基礎的素養を習得します。多くの学生は大学院に進学し、さらに専門的な能力を磨きます。

 卒業生の約半数が本学大学院理工学研究科化学生命・化学工学専攻(2年間)に進学し、残り半数が就職します。就職先は、化学・製薬関連企業や食品・バイオ・環境・エネルギー関連産業ばかりでなく、金属・各種材料、電気電子、機械・機器、情報産業、公務員と多岐にわたっており、基礎研究、開発研究、応用研究もしくは製造現場を受け持つことが多いです。主な就職先は以下のようになります。

>> 学科紹介

>> カリキュラム

>> 卒業後の進路

>> 主な就職先など

コンピュータ演習 化学系の実験演習ゼミでの発表

科目 1 年次 2 年次 3 年次 4 年次

基礎科目

英語ⅠA,�ⅠB,�ⅡA,�ⅡB情報活用共通教育科目初年次セミナーⅠ,�Ⅱ

英語Ⅲ,�Ⅳ基礎化学実験基礎統計学入門

専門科目

基礎化学有機化学基礎物理化学基礎生物学概論

有機化学Ⅰ,�Ⅱ物理化学Ⅰ,�Ⅱ生物化学Ⅰ,�Ⅱ化学生命プログラミング

化学情報分析実習分析化学環境化学工学機能材料化学

卒業論文化学生命工学特別研究工学倫理

特徴・方針

高度な専門知識を学ぶ準備として基礎的な化学を学ぶとともに、数学・物理・一般教養等の鹿児島大学学生として必要な基礎知識を身につける。

有機系、物理系、生物系の専門的な化学の講義が始まる。これらは学科教員によって開講されており、幅広い専門知識を習得できる。

卒業研究に向けて、より専門性の高い講義が開始される。3年前期終了時から研究室に配属される。卒業研究の準備として演習科目が開講される。

所属研究室で専門分野の卒業研究を行い、高度な専門知識・技術を身につけて技術者・研究者として人生を歩むための基礎的素養を習得する。

【化学・繊維】旭化成、川澄化学工業、京セラ、興人フィルム&ケミカルズ、日産化学工業、日油、日本触媒、三菱ケミカル など【製薬・医療】栄研化学、大塚製薬、鹿児島県薬剤師会、化学及血清療法研究所、小林製薬、新日本科学、新日本科学 PPD、大正富山医薬品、ニプロ、日本新薬、日本ヒューマンメディック、ビオフェルミン製薬 など【食品・バイオ】池田糖化工業、えがお、熊本乳業、ジャパンファーム、テクノプロ R&D、日本食研ホールディングス、明治ホールディングス など【金属・材料・環境・エネルギー】アキレス、岡野バルブ製造、オカモト、星光 PMC、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング など【機械・機器・計測技術】アルバック九州、KYB-YS、三井ハイテック、ダイキン工業、トヨタ車体研究所、濱田重工 など

 私は鹿児島大学大学院理工学研究科化学生命・化学工学専攻を修了し、生化学工業株式会社で働いています。現在の主な仕事は、有機合成化学を基盤とした創薬研究です。新薬を開発する上での「種」となる化合物をデザインして具現化し、その化合物のポテンシャルを評価しながら目指す新薬の開発に向けて日々研究しています。研究職を含め、社会に出ると色々な専門を背景に持つ人と協力して業務を推進していきます。特に「ものづくり」をしていく上では、その分野の専門知識に限らない多角的な視点が必須です。化学生命工学科では、化学・物理・生物等の幅広い専門知識を身に付けることが出来、これが仕事を進める上での自分の強みになると思います。また、色々なことに挑戦できる環境が整っており、学生生活中の遊びを含めた出会いを通じて生涯の友人を見つけることも、思いのほか自分に向いていると思える物事に巡り合う機会もあるかと思います。沢山のチャンスに恵まれた化学生命工学科で、充実した学生生活を送ってみてはいかがですか?

生化学工業株式会社 研究開発本部中央研究所�勤務

2015年3月�大学院化学生命・化学工学専攻修了大分県立大分豊府高等学校出身

荒巻 力也

卒業生 interview

Department of Chemistry and Biotechnology

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 身の回りのプラスチック製品は、化石資源(原油)から作られています。化石資源は、一度使用すると実質上再生不可能であり、限りあるこれらの資源を使用しない新しい材料合成プロセスの開拓が強く望まれています。また化石資源の使用は、地球上の二酸化炭素(CO2)濃度を上昇させ、地球温暖化の主な原因とされています。 そこで、我々の研究室では、地球上に豊富に存在する有機資源である「バイオマス」を有効に利用して、有用な材料の合成を行っています。特に、これまでに利用方法が限られていたセルロース、でんぷん、キチンなどの “多糖 ”に着目して、高機能な材料を合成しています。

  門川研究室【専門分野:機能高分子化学】

 私たちの細胞の表面は、糖分子が繋がって出来ている糖鎖で覆われていると言っても過言ではありません。これらの糖鎖は、細胞同士の認識や情報伝達など生体を維持するために必須の役割を演じていますが、一方でウイルスやバクテリアの感染にも深く関係しています。また、病気になると、これらの糖鎖の構造が変化することも知られており、糖鎖をターゲットとした診断法や創薬研究が注目されています。 私たちは、有機化学と生化学に基づき、糖鎖の機能を分子レベルで解析し、薬となる候補分子を探索するとともに、さらにナノバイオテクノロジーを組み合わせて新しい検査・診断法を創製する研究を行っています。

  隅田研究室【専門分野:生体分子コンジュゲート】

 生物は、単独ではなく、他の生物と相互作用することで生存しています。特に微生物は、ほとんど全ての生物と相互作用することで、共生、寄生等の複雑な関係を築いています。この相互作用は特定の生物機能を担う分子によって仲介されており、その分子機構の解明は新たな機能性分子開発の基礎となります。 当研究室では、細菌、ウイルス、バクテリオファージ等を対象にして、微生物学、免疫学、分子生物学、生物化学、有機化学等の幅広い知識を駆使することで、生物機能を制御する分子を探索、創製し、医療材料、医薬品、機能性食品等として応用するための研究を行っています。

  橋本研究室【専門分野:生体機能分子化学】

 「表面情報化学」とは、『光学顕微鏡では見ることができないナノメートル(10億分の 1メートル、金属原子 10個程度)レベルの表面やそこで起こる現象について、化学や物理をフル活用してその情報を集め、化学に活かす』という意味の造語です。 本研究室では、ナノテクノロジーの最先端を開拓するために、ナノメートルレベルの金属の微粒子と薄膜表面に関する研究や、分析機器の開発、計測理論の構築を行っています。これらの研究・教育を通じて分析化学のスペシャリストを育成します。

  肥後研究室【専門分野:表面情報化学】

 ハイブリッドという言葉が意味することとは、本来異質なものを巧みに組み合わせることで、新しい機能を、特にその素材がひとつひとつの単独では発揮できないような新しい機能を持つことができるような組み合わせのことです。 上田研究グループでは、生きた細胞と高分子、無機、または有機材料を組み合わせて、細胞が持つ機能と材料が持つ機能が互いに助け合いながら一緒に機能する素材を設計・開発する研究を行っています。代替臓器の造形や、微生物が乗って移動する乗り物、そして細胞が、移動しながら働くマイクロリアクタの研究等が主な開発課題です。 一方、金子研究グループでは、有機物質(プラスチックなど)と無機物質(セラミックやシリカなど)がナノメートルレベルで混合されたハイブリッド材料や、さらに小さいレベル(元素レベル)で有機成分と無機成分が組み合わさったハイブリッド材料の新規合成法の開拓、構造制御、機能材料への展開などを目的に、研究を行っています。

  上田・金子研究グループ【専門分野:ハイブリッド材料】

 災害発生時に痛感することの一つに、きれいな水の大切さを挙げることができるのではないでしょうか。このように、きれいな水は、私たちの生活に欠かせない大切な資源です。また、食料生産、工業生産、生態系保全にも不可欠です。環境化学研究室では、無機化学、有機化学、分析化学、質量分析学に基づき、環境中の微量の化学物質を分析する技術を開発し、開発した技術を用いて環境中の汚染物質を実際に測定して環境を保全する研究を行っています。とくに、無機汚染物質の高感度分析技術の開発や、構造が未知で微量な有機汚染物質の同定研究に注力しています。

  高梨・中島グループ【専門分野:環境化学】

>> 研究室紹介 研究室数:6 室研究TOPIX 化学生命工学科 〉〉

>> Q&A

石油などの化石資源代替資源としてのバイオマス多糖とは? 我々は、化石資源から変換生産されるプラスチック等の有機材料を使って豊かな生活を営んで

います。しかし、有機(高炭素)資源としての化石資源は有限であり、代替資源の活用による材料

の構築は次世代に向けて成し遂げなければならない重要な課題です。植物繊維中に含まれるセ

ルロースやカニの甲殻に含まれるキチンなどの多糖(糖がつながった高分子化合物)は地球上に

最も豊富に存在するバイオマス高分子であり、最も有力な石油代替資源です。当研究室では、多

糖高分子の新規なナノ集合体構造を構築することで高度な機能を発現し、新しい材料としての利

用形態のための基礎研究を展開しています。

地球上に最も豊富に存在するバイオマス多糖からの新しい機能性材料とは? 例えば、キチン分子を様々な手法によりナノスケールで規則的に集合化させてナノファイバーを構築しています(図1)。ナノファイバー化することで、通常、水

中で凝集するキチンを効率よく分散させることができ、生体材料などの新しい利用形態へとつながります。また、繊維状高分子であるセルロースをイオン液体

と呼ばれる媒体と複合化させることにより、結晶性(硬さ)を軽減させて、ゴムのような柔軟性を付与することができます(図2)。この技術を利用して成型加工

のできるセルロースプラスチックの開発を目指しています。

 私は、もともと石油などの化石資源を原料とした合成高分子の研究からスタートしました。しかし、偶然につぐ偶然が

重なって天然高分子である多糖を扱った環境低負荷材料の開発に関する研究に携わるようになりました。特に、私はこ

れまで4人の先生の下で研究を行ってきて、それぞれの先生に出会うたびに新しいことを学び、今の研究テーマにつな

がっています。このようなことから、人との出会いをいつも大切にしています。また、数年で忘れ去られて浮草のように流

れていく研究ではなく、世界を相手に歴史に残る基礎研究を行うことを心がけています。成果を出すことは容易ではあ

りませんが、チャレンジング精神と好奇心を持って研究をエンジョイすれば、必ず面白い結果が得られると信じています。

Q:�化学生命工学科は、どういう学生を求めていますか?

A:特に化学・生物・物理についての十分な学力を有し、勉学意欲があり、広範な視野と柔軟性を備え、積極性に富む次のような学生の入学を希望します。1.新物質や機能材料の創製に意欲のある人2.バイオテクノロジーに興味をもち、医薬や医用材料の創製に意欲のある人3.分析や化学計測に関心をもつ人4.環境保全やエネルギーなどに興味をもつ人

Q:�特徴のある講義科目はありますか?

A:3 年次に開講される「化学生命工学キャリアデザイン」では、卒業後、産業社会で必要とされる能力を養成するために、外部講師による実践的な講義と演習・グループワークが行われます。そのため、自らのキャリアを構築するうえで参考になる講義です。

Q:�2 つのコースでそれぞれどのようなことを学びますか?

A:「物質環境化学コース」では、化学の知識を社会の福利と持続可能性の向上に資することを目的に、有用物質・材料の生産、計測・分析や環境保全の技術開発に携わる人材を輩出すべく教育を行います。

「生体化学コース」では、生体分子や細胞の高度な機能を学び、生体を生物化学的に評価し、保護していく立場から、バイオテクノロジーや医薬・医療材料などに携わる人材を輩出すべく教育を行います。

Q:�化学生命工学科で取得可能な資格には何がありますか?

A:取得可能な主な資格は以下の通りです。高等学校教諭一種免許状(理科,工業)、技術士補(要登録)、第一種、第二種衛生管理者(受験資格)、衛生工学衛生管理者(受験資格)、第一種、第二種作業環境測定士(受験資格)、安全管理者(期間短縮)、廃棄物処理施設技術管理者(期間短縮)、管工事施工管理技士(受験資格)、造園施工管理技士(受験資格)、危険物取扱者(甲種)(受験資格)、毒劇物取扱責任者(試験免除) など

バイオマス多糖を使って新しい機能性環境低負荷材料を創る

図 1 キチンナノファイバーの電子顕微鏡写真

図 2 セルロース柔軟材料

化学生命・化学工学専攻(工学部�化学生命工学科)

1964年生まれ。東北大学工学研究科博士後期課程修了、博士(工学)。山形大学助手、助教授、東北大学助教授をへて 2014 年より現職。1996~ 1997年マックスプランク高分子研究所客員研究員。授業は有機化学などを担当。専門は高分子材料、多糖化学など。原著論文 200 報以上。高分子研究奨励賞、セルロース学会賞、Royalty�Award,�Malaysia,� IAAM�Medal�を受賞。趣味は街探索、醸造酒を嗜むこと。

教授

門川 淳一 Kadokawa��Junichi

学生(受験生)へのメッセージ

Profile

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History Organizational chart

組 織 図沿 革 法 文 学 部(昭40.4)

人文社会科学研究科(平10.4)

臨床心理学研究科(平19.4)

共 同 獣 医 学 部(平24.4)

教 育 学 部(昭24.5)

教 育 学 研 究 科(平6.4)

理 学 部(昭40.4)

工 学 部(昭30.7)

理 工 学 研 究 科(平6.4)

医 学 部(昭30.7)

保 健 学 研 究 科(平15.4)

医歯学総合研究科(平15.4)

歯 学 部(昭52.10)

農 学 部(昭24.5)

農 学 研 究 科(昭41.4)

連 合 農 学 研 究 科(昭63.4)

水 産 学 部(昭24.5)

水 産 学 研 究 科(昭44.4)

県立鹿児島医科大学(昭22.6)

・地域コトづくりセンター

第七高等学校造士館(明34.3)

・機械工学専攻 ・電気電子工学専攻・建築学専攻 ・化学生命・化学工学専攻・海洋土木工学専攻・情報生体システム工学専攻・数理情報科学専攻 ・物理・宇宙専攻・生命化学専攻 ・地球環境科学専攻

博 士 前 期 課 程

・総合理工学専攻博 士 後 期 課 程

・第一技術班 ・第二技術班・第三技術班 ・第四技術班

技 術 部

鹿 児 島 師 範 学 校(明9.9)

鹿児島青年師範学校(昭19.4)

鹿児島高等農林学校(明41.3)

鹿児島水産専門学校(昭21.4)

鹿 児 島 大 学(昭24.5)

県 立 鹿 児 島 大 学(昭24.2)

医 学 部(昭27.2)

工 学 部(昭24.2)

鹿児島県立工業専門学校(昭20.4)

・総務係 ・会計係

研 究 科・ 工 学 系 総 務 課

・大学院係 ・学生係

研 究 科・ 工 学 系 学 務 課

・総務係 ・会計係 ・学生係

理 学 系 事 務 課

理 工 学 研 究 科 等 事 務 部

機 械 工 学 科

電 気 電 子 工 学 科

建 築 学 科

環境化学プロセス工学科

海 洋 土 木 工 学 科

情報生体システム工学科

化 学 生 命 工 学 科

工 学 部

大学院 理工学研究科

理 学 部

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 鹿児島大学工学部は、全学の学位授与の方針及び工学部の教育目標に鑑み、以下の能力を身につけ、所定の単位を修得した者に学位を授与します。

1.�教養教育関連科目の履修により、主体的に倫理観、価値観に対する理解を深め、多様な文化・社会・自然の係わりを総合的に把握し、専門領域を超える諸課題に挑戦・探究することができる能力

2.�各専門分野における体系的学修、分野を横断する学際的学修及び卒業研究等の学修により、知識活用力、論理的思考力、課題探究力、問題解決力、情報発信力、コミュニケーション力、生涯学習力、創造的思考力等を、地域社会及び国際社会において発揮できる能力

 鹿児島大学工学部は、「自主自律と進取の精神を有する学士(工学)」を育成するため、教育内容の順次性・系統性に配慮した体系的編成の学位プログラムを構成する教育課程 ( 教養教育及び専門教育 ) において、以下のような方針による質の高い教育を、高等教育における単位制度の仕組みに基づき実践します。

1.�幅広い視野と多様な価値観を育み、進取の精神を有する技術者・研究者としての豊かな人間性と倫理観を得させる教養教育を実施します。

2.�高等学校教育からの連続性に留意しつつ、その上に各専門分野の基礎から応用までの理論・技能を習得させる基礎教育を実施します。

3.�工学知識・技術を発展させる汎用的な専門能力を得させるため、技術者・研究者として必須の専門教育を実施します。4.�学修した知識・技能・学習方法等を総合的に活用し、諸課題の解決に応用する能力を育成するため、研究活動を礎とす

る教育を展開します。5.�地域社会及び国際社会において進取の気風をもって活躍できるよう、その基盤となるコミュニケーションの能力を向上

させる語学教育を推進します。6.�生涯にわたって、自らが主体的に対応する自己管理力を育むため、対話を根幹とした自主学習を支援する個別指導に基

づく教育を行います。

>> 工学部の学位授与の方針(ディプロマポリシー)

>> 工学部の教育課程編成・実施の方針(カリキュラムポリシー)

工学部の教育目標 知識基盤社会を先導する工学部は、高度な専門職業人の養成教育において、ひとりひと

りの学生が自ら向上心をもって主体的に学修し、困難に立ち向かう「自主自律と進取の精

神を有する学士(工学)」の育成を目指します。そのため、次の教育の目標を掲げます。

3 つの方針

� 「ものづくり」において地域社会及び国際社会で活躍できる技術者・研究者を目指す学生に、幅広い教養と高度な専門能力を

育みます。

� 獲得した知識や技術等を統合的に活用することにより、

人類社会や文化と自然との調和ある発展に貢献する能力を

養います。

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1.求める人材像  �工学部は、本学部の教育目標に共感できる次のような人を、国内外から広く求めています。  ・工学部の学位授与の方針を達成できる基礎学力ないしは素養のある人  ・工学の面白さを学びたい、ものづくりに取り組んでみたい、技術開発に挑戦したい等の夢をもつ人  �・自ら考え、主体的に学修する目的意識が明確で、そのための学修意欲が高い人

2.入学前に身につけて欲しいこと  �高等学校レベルの国語、地歴、公民、数学、理科、外国語などの基礎学力のほか、特に各学科での専門教育に対応でき

る数学、理科の知識と能力が必要となります。   高等専門学校等から編入学する場合、高等専門学校レベルの一般教養、数学、英語などの基礎学力のほか、各学科での

専門教育に対応できる専門教育科目の基礎的な知識と能力が必要となります。

3.入学者選抜の基本方針  �工学部では、一般入試(前期日程・後期日程)、推薦入試Ⅰ、推薦入試Ⅱ、私費外国人学部留学生入試、国際バカロレ

ア入試により入学者を選抜します。  また、高等専門学校等からの編入学では、「推薦による選抜」と「学力検査による選抜」により編入学者を選抜します。  ・ 一般入試(前期日程)では、大学入試センター試験で5教科7科目、個別学力検査で数学、理科及び外国語を課し、

基礎学力・思考力などを評価し、全学科間で第2・第3志望を認めて選抜します。  ・ 一般入試(後期日程)では、大学入試センター試験で3教科5科目、個別学力検査で小論文を課し、基礎学力・論理

的思考力などを評価し、全学科間で第2・第3志望を認めて選抜します。  ・ 推薦入試Ⅰでは、大学入試センター試験を免除し、個別学力検査で面接などを課し、高校の調査書を含め、基礎学力、

学習意欲、目的意識などを評価し選抜します。  ・ 推薦入試Ⅱでは、大学入試センター試験に加え、個別学力検査で面接などを課し、高校の調査書を含め、基礎学力、

学習意欲、目的意識などを評価し選抜します。  ・ 私費外国人学部留学生入試では、個別学力検査で面接を課し、基礎学力、日本語能力、学習意欲、目的意識などを総

合的に評価し選抜します。  ・ 国際バカロレア入試では、IB最終試験6科目の成績、志望理由書などの書類審査により、基礎学力・論理的思考力・

表現力などの能力、学習意欲、目的意識などを評価し選抜します。  ・ 編入学の「推薦による選抜」では、面接などを課し、高等専門学校長の推薦書・調査書、成績証明書を含め、基礎学力、

学習意欲、目的意識などを評価し選抜します。  ・ 編入学の「学力検査による選抜」では、専門教育科目などの学力検査、面接などを課し、基礎学力、学習意欲、目的

意識などを評価し選抜します。

>> 工学部の入学者受入れの方針(アドミッションポリシー)

高度な工学技術や知識を、実社会における課題解決のために応用できる創成能力を

養います。

豊かな人間性と普遍的な倫理観に基づき、自ら向上心をもって次代を切り拓く力を

養います。

社会的な責任を担いつつ、グローバルな教養人として

生涯にわたって自己研鑽に取り組む力を

養います。

Objectives of education & Policy

5

21

43

工学部の教育目標と3つの方針

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群馬1

鳥取1

福島2

宮城1

岩手1

滋賀4

奈良3 神奈川

5

石川1

富山1

島根3

北海道2

三重2

千葉2

栃木3

岐阜3

香川3徳島1

埼玉6

和歌山4

沖縄5

京都9

静岡7愛知

8

東京11

岡山12 大阪

12広島17

愛媛9

兵庫16

山口31

佐賀43

大分83

長崎134

宮崎194

福岡260

熊本254

鹿児島764

3837

Number of students

>> 定員および在籍者数

学  科 入学定員 総定員学 生 数

計男 女

機 械 工 学 科 94 376 395 24 419 〔7〕電 気 電 子 工 学 科 78 312 367 8 375 〔5〕建 築 学 科 55 220 191 72 263 〔7〕環境化学プロセス工学科 35 140 125 30 155 〔4〕海 洋 土 木 工 学 科 48 192 193 16 209 〔2〕情報生体システム工学科 80 320 306 65 371 〔6〕化 学 生 命 工 学 科 50 200 148 68 216 〔4〕

計 440 1,760 1,725 283 2,008 〔35〕〔 〕内は外国人留学生の内数を示す。

平成30年5月1日現在

>> 出身国別外国人留学生数

国  名学部生数

大学院生 研究生等 合 計4 年次 3 年次 2 年次 1 年次

イ ン ド ネ シ ア 2 (1) 1 3 (1)ベ ト ナ ム 1 2 (1) 1 (1) 1 5 (2)マ レ ー シ ア 1 2 1 1 5 (0)韓 国 1 3 (1) 2 1 7 (1)中 国 3 (2) 4 (1) 1 9 6 (2) 1 (1) 24 (6)タ イ 1 (1) 1 (1)エ ジ プ ト 1 1 (0)ブ ラ ジ ル 1 1 (0)

計 5 (2) 9 (2) 7 (2) 14 (1) 9 (3) 3 (1) 47 (10)

平成30年5月1日現在

>> 出身高校所在地都道府県別在籍者数工学部在籍者数うち外国の学校等からの受験者うち大検による受験者うち高専からの編入生※平成30年 5月 1日現在

2008 名34名5名

47名

>> 日本学生支援機構奨学生状況

>> 工学部表彰

>> 奨学金・入学料・授業料の額

>> 平成29年度 授業料免除

Economical support

経済的な支援

日本学生支援機構入学料 授業料

(年間)第一種(無利子) 第二種(有利子)自宅通学 自宅外通学者 −

工学部 30,000円、45,000円から選択

30,000円、45,000円51,000円から選択

20,000円〜120,000円の間で10,000円刻みで選択可

282,000円 535,800円理工学研究科(前期課程) 50,000円、88,000円から選択 50,000円、80,000円100,000円、130,000円150,000円から選択理工学研究科(後期課程) 80,000円、122,000円から選択

申請区分 全学免除 半額免除

工学部

一般枠 237 307熊本震災枠 30 12留学生枠 30

理工学研究科

一般枠 176 189熊本震災枠 19 5留学生枠 7 13

在学者数 日本学生支援機構 各種団体育英会 計

給 付 第一種 第二種

工学部 2,008 10 452 348 25 835理工学研究科(前期課程) 594 159 7 3 169理工学研究科(後期課程) 58 7 1 0 8

工学部稲盛学生賞 本学の卒業生であり、京セラ株式会社の創業者である稲盛和夫氏(現名誉会長)が、「母校において、人生に限りない夢と希望を抱く若い皆さんに、少しでも貢献できれば」との思いから、前身となる「稲盛奨学生制度」が昭和 44年に創設されました。その後、京セラ創立満10周年を記念して、「稲盛学生賞」が平成 14年度に創設されました。成績優秀で品行方正な工学部 4年生(飛び級により本学理工学研究科1年次在籍となった者も含む)14名に毎年授与されます。

学部長賞 学期ごとに卒業要件科目を18単位以上修得し、かつ学期GPAが 3.50 以上の者及び卒業時に 4年間で卒業要件を充足し、累積GPAが 3.25 以上の学業優秀者に授与されます。

成績優秀賞 学期ごとに卒業要件科目を18単位以上修得し、かつ学期GPAが 3.25 以上の者及び卒業時に 4年間で卒業要件を充足し、累積GPAが 3.00 以上の学業優秀者に授与されます。

平成30年5月1日現在

表彰式の様子

( )内は女子の内数を示す。

学 生 数

3837

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4039

>> 年度別卒業者数

工専卒業

県立大学卒業 国立大学卒業

合計S23年3月

〜S26年3月

S28年3月〜

S33年3月

S34年3月〜

H21年3月

平成22年3月

平成23年3月

平成24年3月

平成25年3月

平成26年3月

平成27年3月

平成28年3月

平成29年3月

平成30年3月 計

機 械 科 166 166 電 気 科 182 182 建 築 科 192 192 化 学 工 業 科 162 162 機 械 工 業 科 154 2,646 80 109 98 90 89 92 84 114 90 3,492 3,646機械工学第二学科 1,107 1,107 1,107 電 気 電 子 工 学 科 1,185 84 82 82 75 76 89 78 64 86 1,901 1,901 電 気 工 学 科 146 1,326 1,326 1,472 建 築 学 科 106 2,250 54 49 63 39 55 60 57 57 45 2,729 2,835 応 用 化 学 科 86 1,100 1,100 1,186 化 学 工 学 科 886 886 886 応 用 化 学 工 学 科 1,026 69 62 62 2 1 1,222 1,222 電 子 工 学 科 919 919 919 海洋土木開発工学科 820 820 820 海 洋 土 木 工 学 科 663 47 40 54 48 45 45 37 43 50 1,072 1,072 情 報 工 学 科 782 51 53 56 16 5 4 967 967 生 体 工 学 科 504 59 65 65 9 1 703 703 環境化学プロセス工学科 27 34 35 44 35 35 210 210 情報生体システム工学科 56 75 78 76 76 86 447 447 化 学 生 命 工 学 科 35 54 51 46 50 47 283 283

計 702 492 15,214 444 460 480 397 433 455 423 439 439 19,184 20,378

平成30年5月1日現在

各年の3月の卒業者数には前年9月卒業者を含む

>> 「卒業したらどんな進路に進むの?」 >> 「どんな地域に就職しているの?」

※( )内は女子の内数を示す。

※( )内は女子の内数を示す。

産 業 別 就 職 者 数農

鉱業・採石業・砂利採取業

製 造 業 電気・ガス・水道業

運輸業・郵便業

卸売業・小売業

金融業・保険業

不動産業・物品賃貸業

学術研究・専門、技術サービス業

宿泊業・飲食サービス業

生活関連サービス業・娯楽業

教育・学習支援業

複合サービス事業

その他のサービス業

公 務 左

食料品・飲料等

印刷・同関連業

化学工業石油等

鉄鋼非鉄金属等

はん用・生産用・業務用機械器具

電子部品・デバイス・電子回路

電気情報通信等

輸送用機械器具

機 械 工 学 科 90(4)

46 5 4 1 2(1)

7 6(1)

6 1 1(1)

1 5(1)

2 1 2 39(4)

電 気 電 子工学 科 86(4)

58(1)

1 2 1 3 4(1)

3 2 1 1 7(2)

2 1 27(3)

建 築 学 科 45(14)

23(6)

15(3)

1(1)

1(1)

1 1(1)

1(1)

1(1)

1 22(8)

環境化学プロセス工学科 35(11)

20(3)

5(2)

2(1)

1(1)

1(1)

1(1)

1 1(1)

2(1)

1 15(8)

海洋土 木 工学 科 51(8)

13(1)

4 11(2)

1(1)

1(1)

5(1) 1 2

(1)1 12

(1)34(7)

情報生体システム工学科 86(10)

45(3)

6(2)

2 1(1)

1(1)

21(2)

1 1 1 1 2(1)

1 3 35(5)

化 学 生命工学 科 47(10)

33(3)

1(1)

3 3(2)

1(1)

1 1(1)

1 1 2(2)

13(6)

計 440(61)

238(17)

17(3)

0(0)

0(0)

0(0)

39(7)

0(0)

0(0)

0(0)

4(1)

3(2)

15(2)

6(3)

12(3)

8(0)

5(3)

1(0)

30(6)

3(1)

5(2)

1(0)

1(0)

17(4)

0(0)

3(1)

0(0)

0(0)

0(0)

8(2)

4(1)

20(3)

0(0)

185(41)

東京都

神奈川県

静岡県

愛知県

岐阜県

京都府

滋賀県

大阪府

兵庫県

広島県

愛媛県

香川県

山口県

福岡県

長崎県

熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

機 械 工 学 科 13(2) 2 2 1 3 1 2 1 5 1 2 3(1) 1(1) 2 39(4)

電 気 電 子工学 科 6(1) 5 1 5(1) 1 1 1(1) 3 4 27(3)

建 築 学 科 12(3) 1 1(1) 3(1) 1 2(2) 1 1(1) 22(8)

環境化学プロセス工学科 2 5(2) 2(1) 2(2) 1 2(2) 1(1) 15(8)

海洋土 木 工学 科 9(4) 1 2 1(1) 3 4 1 1 2(1) 10(1) 34(7)

情報生体システム工学科 10(2) 1 1 1(1) 6 1 3(1) 1 11(1) 35(5)

化 学 生命工学 科 2(1) 1(1) 1 1(1) 2(1) 1 1(1) 1 2(1) 1 13(6)

計 54(13) 8(2) 3(0) 3(1) 2(0) 5(1) 1(0) 15(4) 2(1) 3(0) 1(0) 1(0) 2(2) 25(4) 6(0) 10(4) 5(2) 9(3) 30(4) 185(41)

工学部卒業生は、広範囲な産業界で活躍している。また、大学を卒業してさらに学問・研究を重ね、高度専門技術や研究者を志す大学院進学者も増えてきている。

約4~5割が鹿児島・九州地域に就職し、残りのほとんどが関東・近畿地方に就職している。

区 分

学 科

府県別

学 科

平成30年5月1日現在

平成30年5月1日現在

建設業:39

製造業:53

情報通信業:30

卸売業・小売業:5学術研究:17サービス :11

電気・ガス・水道:1公務:24 その他:22

進学者:238

単位:人

その他:17%

大阪府:8%

東京都:29% その他の九州:16%

鹿児島県:16%

福岡県:14%

卒業年月

学 科

Number of graduates Course after it graduates

Faculty graduate,s movement and industrial nomenclature

Finding employment according to administrative divisions ahead

卒業後の進路

学部卒業者の動態及び産業分類

都道府県別就職先

卒業者数

4039

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4241

License and qualification that can be acquired

取得できる免許と資格

※学科により条件が異なる場合には、◎と○で表します。詳細は、試験を実施する団体のHPや受験案内等を参照してください。

機械工学科

電気電子工学科

環境化学プロセス工学科

海洋土木工学科

情報生体システム工学科

化学生命工学科

備   考

免許の種類 高等学校教諭一種免許状(理科) ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

教員の免許状授与の所要資格を取得しようとする学生は、教育職員免許法及び教育職員免許法施行規則に定める所定の単位を修得しなければならない。

高等学校教諭一種免許状(工業) ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

高等学校教諭一種免許状(情報) ◎

取得できる主な資格

技 術 士 補・ 技 術 士試験免除もしくは

一部試験科目の免除受験資格の取得

◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ◎◎の学科の卒業生は修習技術者となり、技術士会に登録すれば技術士補となる。その後、4 年を超える期間、技術士を補助することで、技術士の受験資格を得る。○の学科の卒業生は修習技術者になるための試験において、共通科目の試験が免除される。

第一種、第二 種 衛 生管 理者 実務従事期間の短縮 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 卒業後、1年以上労働衛生の実務に従事した後に受験資格を得る。

衛 生 工 学 衛 生 管 理 者 受講資格の取得 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 卒業生は資格認定講習の受講資格を得る。

第一種、第二種作業環境測定士 実務従事期間の短縮 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 卒業後、1年以上労働衛生の実務に従事した後に受験資格を得る。

安 全 管 理 者 実務経験期間の短縮 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 卒業後、所定の研修を修了し、2 年以上産業安全の実務を経験することによって取得できる。

廃 棄 物 処 理 施 設 技 術 管 理 者 実務従事期間の短縮 ○ ○ ○ ◎ ○ ○ ○卒業生は廃棄物処理に関する技術上の実務に従事した後、資格認定講習の受講資格を得る。実務への従事は◎の学科は2年、○の学科は3年である。

建 設 機 械 施 工 技 士 受験資格の取得 ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ○

一級の受験に必要な実務経験年数は、指定学科(◎)は卒業後3年以上、指定学科以外の学科(○)は卒業後4年 6月以上であるが、いずれも指導監督的実務経験年数1年以上含むこと。二級の受験に必要な実務経験年数は、指定学科(◎)卒業後1年以上、指定学科以外の学科(○)は卒業後1年 6月以上。

土 木 施 工 管 理 技 士 受験資格の取得 ○ ○ ◎ ○ ◎ ○ ○

建 築 施 工 管 理 技 士 受験資格の取得 ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ○

電 気 工 事 施 工 管 理 技 士 受験資格の取得 ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ○

管 工 事 施 工 管 理 技 士 受験資格の取得 ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ○

造 園 施 工 管 理 技 士 受験資格の取得 ○ ○ ◎ ○ ◎ ○ ○

第 二 種 電 気 工 事 士 筆記試験免除 ◎ 所定の単位を修めた卒業生は、筆記試験が免除され、技能試験のみとなる。

電 気 主 任 技 術 者 試験免除 ◎ 所定の単位を修めた卒業生は、実務経験 5 年を経て、第一種電気主任技術者の免状交付の申請ができる。

電 気 通 信 主 任 技 術 者 一部試験科目免除 ◎ 所定の単位を修めた者は、「電気通信システム」の試験が免除される。

第 一 級 陸 上 無 線 技 術 士 一部試験科目免除 ◎ 所定の単位を修めた卒業生は、卒業の日から3 年以内に限り、第一級陸上無線技術士の「無線工学の基礎」が免除される。

第 一 級 陸 上 特 殊 無 線 技 士 試験免除 ◎所定の単位を修めた卒業生は、申請により取得できる。

第 二 級 海 上 特 殊 無 線 技 士 試験免除 ◎

建 築 士 受験資格の取得 ◎

卒業生は二級建築士受験資格を得る。2年の実務経験後、一級建築士受験資格を得る。なお、一級建築士として5年以上構造設計/設備設計に従事した後、講習(構造設計/設備設計や法適合確認に関する講義・修了考査)を修了することで、構造設計一級建築士/設備設計一級建築士の資格を得る。

危 険 物 取 扱 者( 甲 種 ) 受験資格の取得 ◎ ◎ 卒業生は受験資格を得る。

毒 物 劇 物 取 扱 責 任 者 試験免除 ◎ ◎ 卒業生はこの責任者になる資格を得る。

化 学 工 学 修 習 士 試験免除 ◎ 卒業生で化学工学会会員となり登録申請すると資格を得る。

化 学 工 学 技 士( 基 礎 ) ◎ 卒業生・在学生問わず誰でも受験できる。

測 量 士 補・ 測 量 士 試験免除 ◎卒業生は国土地理院へ登録することにより測量士補になる。1年以上の測量に関する実務経験後、国土地理院へ登録することにより測量士となることができる。

基 本 情 報 技 術 者 試 験 ◎ 卒業生・在学生問わず誰でも受験できます。

応 用 情 報 技 術 者 試 験 ◎ 卒業生・在学生問わず誰でも受験できます。

平成30年度

※学科により条件が異なる場合には、◎と○で表します。詳細は、試験を実施する団体のHPや受験案内等を参照して下さい。

Executives and regular employees

役職員

工 学 部 長 教授 渡 邊 � � 睦

副 工 学 部 長  教授 甲 斐 敬 美 

副工学部長・教務委員長 教授 川 畑 秋 馬 

副 工 学 部 長 教授 木 下 英 二

学 部 長 補 佐 教授 武 若 耕 司 

学 部 長 補 佐 教授 橋 本 雅 仁

学 生 生 活 委 員 会 委 員 教授 上 谷 俊 平

就 職 委 員 会 委 員 教授 山 本 吉 朗

入学試験実施委員会委員 教授 木 下 英 二

〃 教授 堀 江 雄 二

学 科 長機 械 工 学 科 教授 片野田    洋

電 気 電 子 工 学 科 教授 寺 田 教 男

建 築 学 科 教授 木 方 十 根

環境化学プロセス工学科 教授 吉 田 昌 弘

海 洋 土 木 工 学 科 教授 安 達 貴 浩

情報生体システム工学科 教授 王     鋼

化 学 生 命 工 学 科 教授 橋 本 雅 仁

JABEEをご存知ですか? 世界中で技術者が活躍できる時代を迎え、世界に通用する技術者資格として加盟国が相互に認定する制度が急

速に広がりつつあります。日本では、平成 12 年度から日本技術者教育認定機構(Japan Accreditation Board for

Engineering Education)が設立され、国内の4年制工学系大学、専攻科を有する短期大学及び工業高等専門学校の技

術者教育プログラムの認定業務を開始しました。

 鹿児島大学工学部では当初から JABEE に注目し、機械工学科が日本で最初の試行審査を受けるなど、工学部全体で

積極的に取り組んできました。

 JABEE の認定を受けるために、多くの教育改革に取り組み、GPA 制度の導入、履修単位の上限設定、進級基準の見

直しなどとともに、カリキュラムの中身も大きく変えて、プログラムの学習・教育目標の設定や教育内容・方法の改

善など、大幅な教育改革を進めてきました。

 JABEE プログラムを修了した卒業生は修習技術者となり、技術士などの指導による4年間の実務経験の後には、技

術士の受験資格が得られます。技術士とは、技術士法に規定されている大変権威のある重要な技術者資格です。

 技術者のプロとなり、ものづくり日本を担うだけでなく、世界に羽ばたく技術者を養成しています。

4241

免許・資格

学科

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43 44

ご質問・ご相談・お気づきの点などがありましたら下記へご連絡ください。

>>

>>

>>

4 月●上旬 入学式●新入生 オリエンテーション

5 月●下旬 編入学試験

6 月

入学式 新入生オリエンテーション

>>>>>> >>

1 月●中旬 大学入試センター試験

12 月 2 月●上旬 後期授業終了●上旬 後期期末試験●上旬 推薦入試Ⅱ試験●25日 一般入試(前期日程)工学部体育祭

>> >>

7 月●下旬 前期授業終了

8 月●上旬 前期期末試験●上旬 オープンキャンパス

オープンキャンパス

>>>>>> >>

9 月 11 月●中旬 大学祭●中旬 工学部体育祭●15日 鹿児島大学記念日●下旬 推薦入試 I 試験

10 月●初旬 後期授業開始●下旬 稲盛学生賞授与式

稲盛学生賞授与式

>>

大学祭大学祭 大学祭

>>

3 月●12 日 一般入試(後期日程)

●下旬 卒業式

卒業式卒業式

■ 工学部学生係 電話:099-285-3066

■ 受験生サイト http://www.eng.kagoshima-u.ac.jp/examspecial/

■ 鹿児島大学工学部ホームページ http://www.eng.kagoshima-u.ac.jp/

平成30年度オープンキャンパス情報(進学説明会)

開催日:8月 5日(日)予備日:8月19日(日)

●体験講義●施設見学●パネル展示 など

Ivents Reference

行事と連絡先年間行事

工学部説明会 高校・高専単位で随時 (詳しい情報は以下の、ホームページをご確認ください。)

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鹿児島北 I・C

鹿児島 I・C

JR広木駅 JR鹿児島本線

JR指宿枕崎線

九州新幹線

JR鹿児島中央駅

JR鹿児島駅

JR郡元駅

JR南鹿児島駅

JR宇宿駅

ひろき

こおりもと

うすき

郡元キャンパス下荒田キャンパス

桜ヶ丘キャンパス

鹿児島大学

鹿児島市電谷山線

鹿児島市電唐湊線

しりつびょういんまえ

しんでん(こうつうきょくまえ)

とそ

こうがくぶまえ

じゅんしんがくえんまえ

なかごおり

かごしまえきまえ

しやくしょまえ

てんもんかんどおり

たかみばば

かごしまちゅうおうえきまえ

なかすどおり

鹿大正門前

法文学部前

付属小前 体育館前

わきた

こおりもと

かもいけ

きしゃば

あらたはちまん甲突川

南港

錦江湾

マリンポートかごしま

工 学 部

城山

大学病院前

宇宿小学校前

桜島フェリー乗り場

奄美大島フェリー乗り場

種子島・屋久島高速船乗り場

奄美大島フェリー乗り場

垂水フェリー乗り場

鹿児島新港

歯学部前

産業道路

鴨池公園

天保山公園

鹿児島県庁

3 10

225

225

N

0 700m

45

KAGOSHIMAUNIVERSITY

機械工学科第三実験棟

機械工学科第一実験棟

機械工学科第二実験棟

二輪車駐車場

二輪車駐車場

工学系講義棟

海洋土木工学科棟

工学部共通棟

化学生命工学科棟海洋波動実験棟

機械工学科1号棟

薬品庫

稲盛会館

理工系総合研究棟

電気電子工学科棟

講義室製図室

建築学科棟2号棟

建築学科棟1号棟

環境化学プロセス工学科棟

機械工学科2号棟

地域コトづくりセンター

情報生体システム工学科棟

>> 工学部建物配置図>> 鹿児島大学所在地

KAGOSHIMAUNIVERSITY MAP

46

JR 鹿児島中央駅から市電「郡元」方面行きを利用し「唐湊」又は「工学部前」下車、徒歩 2分。

工学部へのアクセス

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鹿児島大学工学部 学生係入学試験に関するお問い合わせ先

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さあ今だ つくる技術を  まなびとれ!

発行日:2018年6月