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FRAGRANCE JOURNAL ~ 1 fl-・ 2010 ~lj~[J

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化粧品科学の新たな視点を探る

化粧品の新しい経皮吸収研究の展望

一化粧品の経皮吸収および皮膚中濃度の評価は如何にあるべきか一

杉林堅次ヰ」 押坂勇志ヰ空 藤堂浩明非=’

A6oか皿o’=Skin permeation experim僅nt昌h且w been broadly done昌ince1970昌to80昌且昌

帥ev創u訂tion method for trm昌dorm乱1drug delivery畠y冒tem昌.In co富metic formu1丑tion冨,

昌kin concentr罰tion of act亘ve ingredient昌is more important th目n their昌kin perme宜tion,

becau昌e prim且ry target昌ite of the active ingredient昌i昌昌k㎞冨urf且ce or昌k{n ti昌昌ue昌.

Neverthele宮宮,1丘tt1e ime畠t…9at…on wa昌c蓼rried out on the test method o∫昌kin comentmtion

a{tcr al]一〕1…c且tヨon ofco昌m但tic formu1且tion昌、R但c喧ntly we inw昌tig且ted m e冨timating method

of富kin concentration of the chemic訂1compounds fro皿their畠kヨn permo刮tion prome昌一In

the昌tudy,we took c且re oポ3R昌一’i冨昌ue昌for目nim且1experim㎝t昌、We h日vo pr叩o冨ed m

equ且tion which w呂呂c則]able to e呂tim且te且nim且1or humm昌kin co皿centr目tion from

perme豊tion pmfile through the旦rtifioial meml〕rme(昔ilicone membram〕且nd且nimaI昌kin.

The昌ilicom m芭mbram w且昌found to be u冨ofu1且昌m且1蛇mative membr島ne to hum乱n or

且ni皿且1富kin for predicting humm畠ki皿concentration ofchemical compound昌,boc且u昌e m

extrem偉1y exce11ent僅xtr叩olation to mim且1or hum且n冨kin concentration w鵬a廿目㎞ed出y

c且1㎝lati㎝u昌ing the冒柵c㎝e mem出rme perm冊tion d且t旦、We削iew pre昌㎝t our p且perand re1乱tive studie昌.

K榊阯or伽=hairle冨冨r且t昌kin,冨ilicone membram,membmm porme且tion,昌kin      concentr囲tion,P且raben

1.はじめに

 宥効成分の皮膚透過性(経皮吸収性)試験は.

とくに主薬の全身吸収を目的とした医療用外用剤

(Transdermal Drug Delivery Systems.TDDSま

たは㎜と略されている)の評価方法として

1970または80年代から行われてきた。しかし、

化粧晶には製剤自体が有効であり有効成分を持た

ないもの多く,これらでは皮膚透過性(経皮吸収

性)試験が無意味である。また,有効成分を持っ

ているものでも、これら化粧品の主な作用部位は,

皮膚局所および皮膚表面である。そのため、皮膚

局所の効果や安全性を評価するには.有効成分の

皮膚透過性(経皮吸収性)ではなく、むしろ皮膚

中濃度が重要となる。

 一方.局所作用型医療用外用剤の開発では.ヒ

ト皮膚中濃度の評価が必要であるが.ヒト皮膚中

濃度の評価の前に動物実験が行なわれている。読

’To爬昌軸ti□t0H帥tr帥畠d酊mヨ1ヨb≡o叩廿㎝;t“}of〔o昌m直甘io害1Howto筥w1u刮t但tr品n呂d肝m1島b;orpfion冊1d昌邊皿〔on〔Ent舳ti・nof〔o昌m筥ti〔昔亨■一

一K己皿jiSu里ib町甜hi,一丁証ke;hiO昌hi囲k且,’]副ro且kiTo咀do山⑮虻u1}of Ph甜m刮o直耐io刮1趾ie皿oo昌、Jo呂証iUni冊冊i軸.城西大学英学部薬

 粧品動態制御学講座一;5㎝295埼玉県坂戸市けやき台ユー1〕

刊!写真左〕ユ9昌5年域西大学簗学部講師,呂9年同助教授,鵬年1司教授.現在.城西大学薬学部葉粧品動態制御学講座教授,薬単部

長.生命科学研究センター所長凸日本香粧品学会理事.日本実蛾動物代

替法学会理事.他凸

一1写真中央〕200島年,城西大学卒葉,!oo呂年4月一1olo年3月城西

     大学修士課程,薬剤師。’」(写真右〕1明臼年名城大学卒業.2004年名城大学博士課程修了,

     200{年4月城西大学薬学部助手.200蓼年4月城西大学

     薬学部助教.薬学博士。

53 FR^〔R^N[E]OuR出^L …o1o一ユ

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Permeation experiment using silicone membrane

O Silicone membrane concentration

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Permeation experiment ~_.4)f~~2 Hairless rat or using excised hairless rat human skin

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FRAGRANCLJOURNAL 2010-1

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54

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 また,無限時間がすぎ,定常状態を迎えたとき

の膜申濃度αは次式で表すことができる。なお,

このときの五層膜とその境界相を含めたcoむ㏄脈

漱io阯dis伽㏄pro刮eを図2aに示す。

け/㌧ (4)

 さらに,膜申平均濃度は(3)式を匁に関して膜

の厚0からムまで積分して,次式で表すことが

できる。

呼}(2物11〆D(2ヅ箏

                    (5)

 (5)式も同様に定常状態を迎えると,次式で表

すことができる一)。

圃)One-1劃ye㈹d d雌us書o巫棚ode1

c叩

       Si蟻cone】)0nOr          ㎜6㎜b『副n㊥

      (StripP6d sk㎞)

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C

    x帽↓∫。 又埜o     x些zリ虐”

図2 1層膜および2層膜拡散モデルにおける   COnCentratiOn-diS捻nCeプロフイール

55

  KCC∫。三二し

  2(6)

 (6)式から明らかなように,定常状態での膜申

平均濃度は1)ではなく,αとKで決定される。

ここで,αは既知の値であるため,基剤から膜

バリアーへの分配係数Kさえわかれば膜中濃度

を予測することが可能である。このことは,非常

に主要な意味を持っている。例えば,吸収促進剤

を用いて膜透過性を増加させても,この吸収促進

剤の寄与が膜中の拡散係数Dの上昇であったな

ら,皮膚中濃度は変わらないということである。

すなわち,皮膚申濃度を上昇させるためには分配

係数Kを上げなければならない。

 2-2.2層膜モデルの利用

 1層膜モデルは取り扱いが極めて簡単で,定常

状態時の膜中平均濃度を簡潔な式((6)式)で示

すことができる。しかし,皮膚は複雑な拡散膜で,

透過性はともかく皮膚中濃度評価では1層膜では

不十分であることが多い。すなわち,ヒト皮膚や

動物皮膚は透過性(拡散性)の違いから角層と生

きた表皮・真皮(viableepider㎜isanddemis)

に分けることが推奨される。一般に,化合物の最

大のバリアーとなるのは角層で,この角層は親油

性の膜ということができる。一方,角層下の生き

た表皮と真皮は親水性の膜と考えられる。この2

層膜モデルは図2bのように示すことができる。

 2層膜拡散モデルにおいては,全体の透過係数

月。、は角層の透過係数R。と生きた表皮・真皮の透

過係数R、・を用いて以下のように示される。

 1   1   1一二一十一R。’  R、  戸理空㎡

(7)

 また,これら透過係数の逆数1/ん,1/只。,1/

P刮、。は透過抵抗R三。、,兄む,R”里。となるので

 肋ト灰∫け肋召6        (8)

となる。さらに,図2bのscとved界面でのpoi耐

a,b,cにおいて,abとbcの比は見と兄〃の比で

示されることになる。すなわちPointbでの薬物

濃度は次式で表すことができる。

F黒AGRANCE JOuRNAL  2{〕玉O一ユ

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     灰螂僅㎡C凸=K,C螂     児。f

(9)

 (9)式を用いることにより,単位面積あたりの

角層申の薬物量孤、は次式のように表すことがで

きる。

叫/咋/〃工 sc    2

(!0)

 また,角層から表皮・真皮への分配係数はK。

と瓦丑。の定義からK、。/Kむと表すことができる。

したがって,単位面積当たりの生きた表皮と真皮

(Ved)中の薬物〃。、。は次式のように表すことが

できる。

       凪僅。   K’螂、dCむ五”埋4一一

       兵。主〃螂埋戸

     2

(11)

最終的に単位面積あたりの皮膚中の薬物量必螂1

は次のように示すことができる。

}叫中仏制(・・)

 (12)式を皮膚の厚さ(五,螂土)で除し,さらに灰を

透過係数1)で示すと,定常状態時の皮膚中濃度は,

α一外峠仙制(・・)

となるゴ。以上より,分配係数瓦透過係数Pを

地u-thic㎞esssknとstrippeds姑n透過実験から

求めれば,皮膚中濃度を予測することが可能とな

る。

 3.シリコーン膜透過性からシリコーン

  膜中濃度の予測

 上記理論の妥当性を確認するため,アルキル鎖

の異なるパラベン類(メチルパラベン:MP,エ

チルパラベン:EP,プロピルパラベン:PP,ブ

チルパラベン:BP)の水溶液または水懸濁液を

用いて,シリコーン膜透過性を測定した。また,

透過実験後にパラベン類のシリコーン膜中濃度を

測定した。

 図3aにパラベン類の累積シリコーン膜透過量

を示す。なお,それぞれのパラベンで適用濃度が

異なったため,図の縦軸は実際の透過量を適用濃

度で除した篶omaIizeddataを示す。図より,BP

の透過量が最も高く,続いてPP,EP,そして

MPとなり,脂溶性が高くなるに従って高い透過

性を示すことが確認された。また,膜バリアーと

の溶解度パラメータの差が小さい物質ほど,透過

速度が高くなることから,今固用いた一連のパラ

婁7ミさ6

旨δ

3竈4

§㌧3①

{吻22①

o1婁紀0{

  ○  讐  84国き  §3

 ミ  6ゑ婁2  3  §

◇お1㊥嚢

 婁0

図3

     0工234 MP児P炉P湿炉        Ti㎜ユe(㎜…n)

各種パラベンの累積シリコーン膜透過量(a)(⑧1ユO㎜MMP,◇15mMEP,ム:ユ㎜MPP,口:O.5㎜MBP)とシリコーン膜中濃度(b)(㎜eaη±S.E.a x4~8)

F費AGRANC巨JOU貫NAし  20玉O-1 56

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ベン類の申では,BPの溶解度パラメータがシリ

コーン膜の溶解度パラメータ〈7.3~7.5(ca-/

C㎜3)I/2〉に最も近いと考えられた。また,通常,

κ。、坦が大きくなるにつれて溶解度パラメータは小

さくなる。すなわち,MPの溶解度パラメータは

12.O(ca1/c㎡)’/2と今回用いたパラベン類の中で

は最も大きく,続いてEP11,5(ca1/c㎡)至/2,PP

1O.9(ca1/c㎜3)王/2,そしてBP!0.6(ca亘/c㎜3)1/2の

順である。図3bは,パラベン類の透過実験後の

適用濃度で補正した膜申濃度のnormah鵬ddぬ

塞 1.5

ご…≡1

げ  一

電…:

婁β◎  o.5

o

三:一COrre1丞辻i0固

㌧睡壊

 轟癌

一〇.018

980

    00,511.52        Theor出c釧q/do㎜nonc.

図4 シリコーン膜透過性をユ層膜解析して得た   シリコーン膜中濃度の理論値と実測値の関係   (mean土S,D. η二4~8)

を示す。パラベン類のん,”が高くなるにつれて,

適用濃度に対する膜中濃度の割合が増加した。

 図4にシリコーン膜透過性を1層膜モデルで解

析して得られたシリコーン膜申濃度の理論値((6)

式で求められる)と実測値(normahzedvahe)

の関係を示す。図から明らかなようにシリコーン

膜のような均一な1層膜では,(6)式から決定し

た理論値と実測値で1対1の相関が得られること

が明らかとなった。よって,シリコーン膜申濃度

はシリコーン膜透過性から予測することが可能で

あると示唆された。すなわち,図1の①は可能と

いう結果が得られた。

4.皮膚透過性から皮膚中濃度の予測

 ヘアレスラットを実験動物として用いた。また,

皮膚中濃度の推定についてもシリコーン膜中濃度

の推定時と同様に一連のパラベン類を用いた。な

お,パラベン類はエステル類であるため,皮膚中

代謝が容易に引き起こされる。今回は種々脂溶性

を示す物質の皮膚中濃度を予測することが目的で

あるので,皮膚申代謝を無視するためにエステ

ラーゼ阻害剤を用いて検討した。なお,この酵素

阻害剤を用いても物質の皮膚透過能に影響しない

ことは確認している4〕。

 図5aにバラベン類の伽o伽o累積ヘァレスラッ

ト皮膚透過量を示す。縦軸は同様に臓wdぬを

適用濃度で除して求めたΩormalized dataを示す。

ヘアレスラット皮膚透過挙動は,シリコーン膜透

               62婁20            讐ミ                 ◎               ○さ              』旨肥     底争§帖葛

婁10

量・金金粋1帖¢ 0                0釦

   0  2  4  6  8

      Ti鮒(h)

M1P   EP   PP   BP

図5 各種パラベンの累積皮膚透過量(a)(㊧:10㎜MMP,◇:5mMEP,愈:1mMPP,  □:O.5mMBP)と皮膚申濃度(b)(mean±S.E.n二5~ユ1)

57 戸黒AGRANCE JOURNAζ 20ユC一玉

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過挙動と類似していたが,シリコーン膜透過に比

べ,ラット皮膚透過では各パラベン問の累積透過

量により大きな差が見られた。これらは,シリコー

ン膜は均一であるのに対し,ラット皮膚は付属器

官などがあるため付属器官ルートを介した吸収が

あるためだと思われた。なお,興味深いことに,

シリコーン膜透過性ではBPが最も高かったのに

対し,ラット皮膚ではBPが最も低い透過性を示

した。これは,BPの溶解度パラメータが皮膚バ

リヤー(角層)よりもシリコーン膜に近いためだ

と考えられる。図δbに肋o伽o皮膚透過実験後

6 1.5薯

凄○

要  工

3電ζ

岩 o・5◎

   1=I corre-adonlタ

y30.02’ア6x_0,188

 R二・0.962

0    -0   20    30   40    50    60

      TheOre此釧q。/dOnOr㏄肌

図6 皮膚透過性を1層膜解析して得た皮膚   中濃度の理論値と実測値の関係(㎜e狐   立S.D. η…5~n)

の皮膚中濃度の実測値(nOr㎜a1iZeddata)を示す。

シリコーン膜同様,パラベン類のκ・、が高くなる

につれて適用濃度に対する皮膚中濃度の割合が増

加した。しかし,MP以外のパラベン類では,シ

リコーン膜に対する増加のほうが大きいことが確

認された。これは,パラベン類の性質がヘアレス

ラット皮膚よりもシリコーン膜に近いためだと思

われた。

 次にヘアレスラット皮膚透過性についてもシリ

コーン膜と同様を1層膜モデルで解析して皮膚中

濃度を求めた。その結果を図6に示す。この図か

ら明らかなように,理論値と適用濃度で補正した

皮膚中濃度の実測値の関係は1対1の相関を示さ

なかった。しかし,両者で高い相関関係があった

ことから,パラベン類のように一連の化合物であ

れば1層膜解析でも皮膚申濃度の実測値を予測で

きるζとが示唆された。

 図7aには,パラベン類のシリコーン膜に対するK。、、、、ψ吾’、i,1直とラット皮膚に対するK。,,。”、’。i.1丑の関

係を示す。この2つのKには,比較的良好な相

関性があることがわかった。一方,一般に同一物

質の同一基剤から異なる2つの膜への分配率K

には以下の関係がある。

 lOg1(肋伽肋加エ刎OgK荻ω〃洲d。斗ろ         (工4)

 ここで.aとbは係数である。図7bにはKf・。邊、、〃

”、’、ゴ。j、とK加加。”ぜ’、…。1芭の両対数プロットを示す。図から

明らかなように,極めて良好な直線関係があるこ

a)b)

肖5句

y・・0518対166

図7

   02468 _1  O  玉     ム伽舳舳あ閉・仰加伽     蔓・gX伽舳酬伽〃iψ榊

パラベン類のシリコーン膜に対する分配係数とラット皮膚に対する分配係数の関係(a)Ks妃n/vehic至eとKsi莚co鵬/▽ehicleの関係

(b)玉ogKs紀n/vehic王eと至ogKs呈亙ccηe/vehicleの関係

戸RAGRA梨CE30〕費NAと 20ユ0一ま 58

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とがわかった。1層膜モデルでは,皮膚申濃度を

決定づける唯一のパラメータがKであるので,

(14)式またはその関係図(たとえば図7b)を用

いてK搬、。,且4”吾1,1.1、からK伽,,・甘、伽、j虐を予測し,皮膚申濃

度が推定できることになる。

 次に皮膚透過性を図2bに示した2層膜モデル

で解析し,皮膚中濃度を予測することとした。な

お,(13)式を見ればわかるように,皮膚中平均濃

度の予測には,角層のある舳一thic㎞esss㎞nを

介した透過性測定と角層をはぎ取ったs㎞pped

S姑nを介した透過性測定の両方が必要である。図

8には,2層膜モデルを用いて予測した皮膚中濃

度の理論値と実測値(nor㎜a1izeddata)の関係を

示す。理論値と実測値は1対1の相関を得た。こ

のことから,皮腐透過性を2層膜モデルで解析す

ることにより,皮膚中濃度を精度よく予測するこ

とが可能であると示唆された。

 以上,皮膚のような角層バリアーとそれ以下の

生きた表皮と真皮のバリアーからなる皮膚では,

2層膜モデルによって膜透過性から膜中濃度を予

測することが可能であることが示唆された。ヒト

皮膚でもヘアレスラットと同様に予測することが

できると思われる。我々はすでに三次元培養皮膚

透過性でも同様に2層膜モデルで示されることを

確認している5〕。

 5.シリコーン膜透過性試験はヒト皮膚

   中濃度を予測する動物実験代替法に

   なりうるか?

 図9にシリコーン膜透過性から1層膜モデルで

予測したシリコーン膜中濃度とラットの皮膚中濃

度の実測値(norma1屹eddata)の関係のプロット

を示す。もちろん,1対1の相関は得られなかっ

たものの,両者にかなり厳密な直線関係がみられ

た。このように,少なくともパラベン類(パラオ

キシ安息香酸アルキルエステル類)のような一連

の化合物では,それらのシリコーン膜透過性を測

定しておけば,動物やヒト皮膚申濃度を予測する

ことも可能であると思われた。また,(14)式の利

用も皮膚中濃度の予測に有用であると思われる。

今後は,もっと多くの物質について試験して確認

していかねばならないが,シリコーン膜などを用

いた人工膜透過試験法はヒト皮膚中濃度を予測す

る動物実験代替法となりうると考えられた。

 6.おわりに

 本研究より,シリコーン膜透過性から,ラット

皮膚中濃度の予測が可能であるならば,ヒト皮膚

中濃度の予測も可能となるため,シリコーン膜は

ヒト皮膚代替膜として有用であることが考えられ

  46蟹○

畠 3毛

電 2…=

2◎ 1

1corre三釦tio烈

y岩1.08x_0.0457

 R些0.998

6自◎  三.5

◎畠◎

o§ i

電ζ 05

ρ◎

y蕊0,407x+0.三72

 R=0.997

  0   i   2   3   4   5

      The0耐iC釧q∫脳mOr㏄肌

図8 皮膚透過性を2層膜解析して得た皮膚   中濃度の理論値と実測値の関係(mean   ±S.Dl n=3~8)

0     1     2     3     4

     TheOredCa1q∫加舳。伽。ノδ0竈0r㏄m.

図9 シリコーン膜透過性を1層膜解析して得た   シリコーン膜申濃度の理論値と皮膚申濃度   の実測値の関係(mean士S1D.n工3~8)

59 FRAG黒A斜C套コOUR~AL 20至O-!

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る。膜透過データを拡散則に従い解析することで,

シリコーン膜やラット皮膚への分配性や濃度が容

易に予測できることが示唆された。このことは,

化粧晶や医薬品の製剤設計を効率的に進める手段

として,膜透過データが有効であることを示して

いる。しかし,前述したように,今回は比較的脂

溶性が高く,分子量がほとんど変わらない一連の

化合物であるパラベン類をモデル化合物として研

究してきたため,今後は,パラベン類とは異なる

性質を持つ化合物での検討が必要だと思われる。

また,皮膚申で作用する有効成分や薬物の安全性

や有効性をさらに詳しく評価するには,皮膚中で

の作用部位ごとに評価する必要があると考えられ

る。今後の展開が期待される。

       参考 文 献

五)Sびgib&yashi K、,Todo H、,Osh三zaka T,Owada Y,

 MathematicaI㎜ode1to predict skin conce鮒ation

 of dmgs:Tow狐dびtiIizadon of si王icone㎜e㎜b閉ae

 to predict sk主∬concentrati0R0f drびgs as an a双i㎜a王

 tesむΩg aI乏er双ative,P物α7榊Rθふ,三n press

2)梶本晴彦,杉林堅次,森本薙憲,薬剤学,55,!27~

 133(ユ995)

3)HatanakaT,Inび幻a&M.,Sugibayashi K.,Mohmoto

 Y,C加刎.肋α舳肋κ,38.3452~3459(王990)

雀)Sugibayashi K.,Hayashi T,M&tsumoto K.,

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5)Wat狐abeT,H搬gawaT,Tak&hashiH、,Ishibashi

 T,I抵gak玉H.,Susib&yashi K,P肋7刎地&,19,669

 ~675(2002)

戸RAGRANC董〕OU貫NAL  2Cユ0一ユ 60