アフガニスタン国 カブール市公共輸送力復旧計画 -...

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無償三 CR(1) 03- 011 アフガニスタン国 カブール市公共輸送力復旧計画 基本設計調査報告書 平成152八千代エンジニヤリング株式会社 No.

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無償三 CR(1)

03-011

アフガニスタン国

カブール市公共輸送力復旧計画

基本設計調査報告書

平成15年2月

国 際 協 力 事 業 団

八千代エンジニヤリング株式会社

No.

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序 文

日本国政府は、アフガニスタン国政府の要請に基づき、同国のカブール市公共輸送力復

旧計画にかかる基本設計調査を行うことを決定し、国際協力事業団がこの調査を実施いた

しました。

当事業団は、平成 14 年 10 月 28 日より 11 月 21 日まで基本設計調査団を現地に派遣しま

した。

調査団は、アフガニスタン国政府関係者と協議を行うとともに、計画対象地域における

現地調査を実施しました。帰国後の国内作業の後、ここに本報告書完成の運びとなりまし

た。

この報告書が、本計画の推進に寄与するとともに、両国の友好親善の一層の発展に役立

つことを願うものです。

終わりに、調査にご協力とご支援をいただいた関係各位に対し、心より感謝申し上げま

す。

平成 15 年 2 月

国際協力事業団

総裁 川上隆朗

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伝 達 状

今般、アフガニスタン国におけるカブール市公共輸送力復旧計画基本設計調査が終了い

たしましたので、ここに最終報告書を提出いたします。

本調査は、貴事業団との契約に基づき弊社が、平成 14 年 10 月より平成 15 年 2 月までの

5 ヶ月にわたり実施いたしてまいりました。今回の調査に際しましては、アフガニスタン国

の現状を十分に踏まえ、本計画の妥当性を検証するとともに、日本の無償資金協力の枠組

みに最も適した計画の策定に努めてまいりました。

つきましては、本計画の推進に向けて、本報告書が活用されることを切望いたします。

平成 15 年 2 月

八千代エンジニヤリング株式会社

アフガニスタン国

カブール市公共輸送力復旧計画

基本設計調査団

業 務 主 任 上田 正明

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略 語 集

AACA Afghanistan Assistance Coordination Authority (アフガニスタン援助調整庁)

ATA Afghanistan Transitional Authority (アフガニスタン暫定政権)

ALIANA Aliana Afghan Airlines Co., Ltd. (国営アリアナ・アフガニスタン航空)

E/N Exchange of Notes(交換公文)

GDP Gross Domestic Product(国内総生産)

IEC International Electrotechnical Commission(国際電気標準会議)

IG Implementation Group (執行グループ)

JEC Japanese Electrotechnical Committee(日本電気規格調査会)

JEM Standards of Japan Electrical Manufacturer's Association(日本電機工業会)

JICA Japan International Cooperation Agency(国際協力事業団)

JIS Japanese Industrial Standards(日本工業規格)

Millie Bus Millie Bus Authority (国営バス公社)

MCAT Ministry of Civil Aviation and Tourism(民間航空観光省)

MOP Ministry of Planning (計画省)

MOR Ministry of Reconstruction (復興省)

MOT Ministry of Transport (運輸省)

NDB National Development Budget(国家予算)

NDF National Development Framework (国家開発計画)

NGO Non Governmental Organization (非政府組織)

ODA Official Development Assistant (政府開発援助)

UNDP United Nation Development Program (国連開発機構)

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図 表 リ ス ト

第 1 章

図 1-1-1 カブール市のバス路線図 ···························································································· 1-2

表 1-1-1 バス路線別の運行状況 ································································································ 1-3

表 1-1-2 民間バス会社および組合別運行台数 ········································································· 1-4

表 1-1-3 タクシー組合と運行台数 ···························································································· 1-5

表 1-1-4 市内バスターミナルの状況························································································· 1-6

表 1-1-5 バス路線毎のバス停留所数························································································· 1-7

表 1-1-6 政府機関への通勤用バスの配車状況 ········································································· 1-7

表 1-1-7 2002 年 11 月における国際旅客便の運行状況··························································· 1-10

表 1-1-8 国営アリアナ航空保有の航空機················································································· 1-11

表 1-1-9 人口予測························································································································ 1-14

表 1-2-1 カブール市内公共輸送力復旧計画に係る「ア」国側要請内容 ······························ 1-16

表 1-2-2 カブール国際空港整備計画に係る「ア」国側要請内容 ·········································· 1-16

第2章

図 2-1-1 国営バス公社組織図 (2002 年 11 月現在)··························································· 2-2

図 2-1-2 民間航空観光省の組織図 ···························································································· 2-3

図 2-1-3 国営アリアナ・アフガン航空組織図 ··········································································· 2-3

表 2-1-1 国営バス公社の 2000 年~2002 年度予算/実績 ························································· 2-2

表 2-1-2 空港での地上運行サービスに係る機材の維持管理費(2002 年) ························· 2-4

表 2-1-3 国営バス公社の保有バス台数内訳 ············································································· 2-6

表 2-1-4 既存車両の状況 ············································································································ 2-7

表 2-1-5 既存動工具類の状況 ···································································································· 2-7

表 2-1-6 カブール空港での既存車両の状況 ············································································· 2-8

表 2-1-7 国営アリアナ航空のワークショップの既存動工具類·············································· 2-8

表 2-2-1 運行バス路線の既存道路の状況················································································· 2-11

表 2-2-2 気象データ(1956~1983 年)···················································································· 2-13

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第3章

図 3-2-1 バス調達台数決定の手順 ···························································································· 3-6

図 3-2-2 カブール市モード別輸送力構成比 ············································································· 3-8

図 3-2-3 カブール市公共交通需要希望線(人/ピーク時ベース) ······································ 3-8

図 3-2-4 カブール市中心部におけるモード別トリップ数/時間 ·········································· 3-9

図 3-2-5 26 バス路線の配置のイメージ図 ················································································ 3-14

図 3-2-6 本プロジェクト対象 11 バス路線図 ··········································································· 3-17

図 3-2-7 事業実施関係図 ············································································································ 3-69

図 3-2-8 本プロジェクトの事業実施工程表 ············································································· 3-72

表 3-2-1 カブール市輸送モード別輸送人員数(一日当たり)·············································· 3-7

表 3-2-2 26 バス路線に必要なバス台数の算定 ········································································ 3-10

表 3-2-3 優先路線選定基準と評価方法····················································································· 3-11

表 3-2-4 優先順位評価結果 ········································································································ 3-12

表 3-2-5 国営バス公社の必要バス台数および路線別優先順位·············································· 3-13

表 3-2-6 本プロジェクトの対象バス路線と調達バス台数······················································ 3-15

表 3-2-7 要請台数と本プロジェクトで調達するバス台数の比較 ·········································· 3-16

表 3-2-8 概略基本設計図集 ········································································································ 3-61

表 3-2-9 日本側と「ア」国側の施工区分················································································· 3-68

表 3-2-10 ソフト・コンポーネントの概要················································································· 3-71

表 3-5-1 国営バス公社の運行規模 ···························································································· 3-77

表 3-5-2 国営バス公社の現行運賃と計算価格 ········································································· 3-78

表 3-5-3 支出予測の前提条件 ···································································································· 3-78

表 3-5-4 プロジェクトが実施された場合の年間収支予測······················································ 3-79

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要 約

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要 約

アフガニスタン国(以下「ア」国と称する)では、タリバン政権が崩壊し、2001 年

12 月に第 1 回緊急ロヤジルガ(国民大会議)がドイツのボンで開催され、カルザイ議

長を中心とする暫定政権が発足した。その後、2002 年 6 月に首都カブールで第 2 回緊

急ロヤジルガが招集され暫定政権から移行政権に名称を変更するとともに、カルザイ大

統領の下に 5 名の副大統領、約 30 名の各省大臣が選任され、国家の再建に向けた歩み

を進めている。

暫定政権下で 2002 年 4 月に開催された第 1 回実行グループ会合で①国家統合と緊急

インフラ開発、②教育、③都市開発、④水資源、⑤ガバナンス、⑥運輸(道路、空港)

の 6 分野を重点課題とする国家開発計画が採択され、同年 10 月の第 2 回実行グループ

会合において 2002 年度および 2003 年度の予算計画が発表、採択された。本プロジェク

トは国家開発計画における「都市開発」と「運輸(道路、空港)」の 2 分野の支援に大

きく係わっている。

カブール市の公共交通はバスとタクシーからなり、バスは運輸省傘下の国営バス公社

(Millie Bus)と民間バス会社が運行を行っているが、絶対数が大幅に不足している。

内戦発生直後の 1990 年頃はトロリーバスも運行されていたが、トロリーバスの車両、

道路上の架線は現在全て破壊、切断され 1 台も運行されていない。また、国営バス公社

の本社建物やワークショップ、バス、その他機材のほとんどが破滅的打撃を被ったまま

である。

カブール市では、難民の帰還、国内避難民の流入、高い失業率に伴う貧困層の増加か

ら、民間バスやタクシーよりも安価な料金の公共バスを利用する需要がより高まってい

るものの、バスの輸送能力が大幅に不足しているため、いずれのバス路線もピーク時に

は 170%(70 人定員バスに 120 人が乗車)程度と車内は身動きも取れない苛酷な乗車状

況にある。

この背景のもと、「ア」国政府はカブール市内の円滑なバス輸送を確保するために必

要なバスおよび維持管理機材の調達に係る無償資金協力「カブール市公共輸送力復旧計

画」(以下「本プロジェクト」と称する)を我が国に要請してきた。これを受けて日本

国政府は基本設計調査の実施を決定し、国際協力事業団(JICA)は基本設計調査団を平

成 14 年 10 月 28 日から同年 11 月 21 日まで「ア」国に派遣した。一方、カブール国際

空港の施設や機材の整備が早急に求められている状況の中で、別途日本国に要請のあっ

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た「カブール国際空港整備計画」のうち民間航空機の旅客運搬用バスについても、機材の

類似性から調達工期の短縮化など業務の簡素化が図られることから、本プロジェクトの

中で検討することとした。

調査団は「ア」国側の関係機関および実施機関である国営バス公社および民間航空観

光省と協議を行い、要請内容について協議・確認を行うとともに、プロジェクトサイト

の現地調査および必要な関連資料の収集を行った。帰国後は現地調査結果を踏まえ、プ

ロジェクトの必要性、緊急性、成果の確認並びに協力対象範囲の設定を含む適切な機材

内容および仕様の検討、概算事業費の積算等を行い、適切な基本設計および実施計画を

策定した。

本プロジェクトは、我が国の技術協力によって実施された「カブール市緊急復興支援

調査」の公共交通マスタープランを踏まえて、カブール市の唯一の公共交通機関として

のバス交通の輸送力増強を図るために、国営バス公社に対してバスおよび維持管理用修

理機材を調達することを目的とする。また、カブール国際空港の民間航空機と旅客ター

ミナルビル間の旅客送迎用バスの調達も含めて行うものである。このため以下の基本設

計を行った。

カブール市内で現在運行している全 26 バス路線の中から本プロジェクト対象運行路

線を選定した。限られたバスを費用対効果の高い路線に配備するため、本プロジェクト

で調達するバスの配備対象路線は、① 路線沿線上の人口密度、② 1 日の運行回数、③

既存道路の舗装状態、④ JICA 開発調査との関連性(緊急復興を必要とする学校・病院

や道路修復を支援)の 4 項目の評価基準に基づき、優先順位の高い路線に配備すること

とし、評価基準に照らして高得点となった 11 路線とした。これらの 11 路線はいずれも

カブール市中心に始終点をもち、バス利用者が多く運行効率の良い路線である。

なお、これらの対象路線には 252 ヶ所のバス停と、バスの始終点にバス運行管理所

19 ヶ所を日本側の技術指導で設置する。

国営バス公社向け、各路線毎の調達バス台数を表-1 に示す。調達バス台数の合計は、

大型バス 94 台、ミニバス 17 台の計 111 台である。ミニバス 17 台が配備される 43 番路

線は道路幅が他の道路に比べて狭いため、ミニバスの方が大型バスよりも運行効率が良

いと判断した。

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表-1 各路線毎の調達バス台数 番号 配備するバス路線 車両形式 調達バス台数(台)

1 5 番路線 大型バス 11 2 6 番路線 大型バス 12 3 8 番路線 大型バス 10 4 9 番路線 大型バス 9 5 15 番路線 大型バス 10 6 17 番路線 大型バス 9 7 25 番路線 大型バス 4 8 26 番路線 大型バス 10 9 31 番路線 大型バス 8

10 34 番路線 大型バス 11 11 43 番路線 ミニバス 17

合 計 大型バス 94 台 ミニバス 17 台

なお、カブール空港旅客運搬用バスは現在の航空機利用旅客者数から必要バス台数を

算出して 4 台とした。

以上から本プロジェクトで調達するバス台数は表-2のとおりである。

表-2 要請台数と本プロジェクトで調達するバス台数の比較

区分 バスタイプ A.要請台数 B.計画台数 増減(B-A)

大型バス 92 台 94 台 2 台増 市内路線バス

ミニバス 20 台 17 台 3 台減

空港バス 大型バス 6 台 4 台 2 台減

バスの仕様に関しては、運転操作、整備作業の共通性、部品入手の容易さ等に配慮す

る。カブール市の道路事情、交通混雑等を考慮し、機動性の良い回転半径の短い車両と

する。また、悪路に強いサスペンションとすると共に、運転手が慣れているマニュアル

トランスミッションとする。

カブール市内を走行している一般車両はほとんど日本製であり、また、その品質が高

く評価されている。そのため「ア」国は、バスについて日本製とすることを強く望んで

いる。しかしながら、大型バスは日本において製造しているメーカー数が限られるため、

入札時の競争性および公平性確保の観点より、調達適格国は日本に加え、アセアン加盟

国または台湾とする。ただし、バスの寿命を左右するエンジンとシャシーについては十

分な品質を確保するため日本製とする。ミニバスについては「ア」国側からの要請を踏

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まえ、また競争性も確保できるため日本製とする。

市内路線バスは国営バス公社の財政状況を考慮して、本プロジェクトではバス導入後

5 年間に必要な定期交換部品と消耗部品を調達する。ただし、空港用旅客送迎バスにつ

いては実施機関の財政能力から判断して 3 年間分とする。

国営バス公社の本社敷地内には新規に調達する 111 台のバスを整然と駐車させるス

ペースがないため、カブール市西部にある同公社所有のクチサンギ車庫に一括して配備

する計画とする。なお、バスの運用維持管理にかかる技術指導(ソフト・コンポーネン

ト)を行なう計画であり、その概要を表-3 に示す。

表-3 ソフト・コンポーネントの概要

目的 技術指導員の派遣

派遣者数 3 名 2 名 1 名

期間 5.5 ヶ月 1.5 ヶ月+2 ヶ月 2 ヶ月

実施場所

国営バス公社本社お

よびクチサンギ車庫 クチサンギ車庫 バス路線:5, 6, 8, 9,

15, 17, 25, 26, 31, 34, 43 番線

指導内容

車両運行、車両維持管

理、コンピュータ運用

にかかる技術指導

クチサンギ車庫整備

にかかる技術指導 対象バス路線整備に

かかる技術指導

成果品

バスの運行管理、維持

管理にかかるマニュ

アル

駐車場:4,500m2、運

行管理事務所 1 ヶ所、

守衛所 2 ヶ所、燃料給

油設備 1 式、コンテナ

ー式ワークショップ、

ディーゼル発電機

バス停:252 ヶ所 バス運行管理所:19 ヶ

バス保有台数が増加することによる運転手と維持管理を担当する整備工職員の補強

については、運転手は紛争以前に同公社で働いていた職員が職場復帰を希望しており、

この中から新規に雇用する計画である。また、バスの保守・点検職員については現在

120 人の経験を有する整備工がいることから、バス台数が増加しても新たに雇う必要は

ないと判断される。

空港バスについては国営アリアナ航空が空港敷地東側の一角に航空機の整備場とそ

の横に車両のワークショップを所有している。保管場所としてはワークショップ横の建

屋が予定されており、スペース的にも十分である。また、地上サービス業務の運行に必

要な機材の維持管理に従事している職員も 71 名おり、4 台のバスの運行・維持管理の

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ための増員は特に必要ない。

本プロジェクトが日本の無償資金協力で実施された場合、工期はE/N締結後 11 ケ月

が必要であり、概算事業費は約 22.31 億円(日本側負担:22.30 億円、相手国側負担:

84 万円)と見積もられる。

本プロジェクトが実施されることにより、以下の直接効果が期待できる。

・輸送能力の増加

本プロジェクトの対象 11 路線は現在 61 台のバスにより運行されているが、当該

路線に新たに 111 台のバスが配備されることによって、輸送能力が大幅に増強され

る。

カブール空港においても現在 1台しかない老朽化したバスに新たに 4台が配備さ

れることによって、旅客輸送能力が大きく増強される。

・移動時間の短縮

対象 11 路線は現状約 10~20 分間隔で運行されているが、稼動台数が増加するこ

とによって 5 分間隔程度での運行が可能となる。利用者のバス待ち時間が短縮する

ことによって、移動時間が短縮する。

カブール国際空港においては、現在、航空機と空港ターミナルビル間の旅客運搬

はほとんど行われていないが、本プロジェクトが実施されれば、旅客はバスで確実

に移動できるようになる。

・利用者の快適性の確保

現在市内路線バスでは、朝夕のピーク時においては乗車率が 170%(120 人/台)

にのぼるが、対象路線にバスが増強されることで、乗車率は 120%(85 人/台)ま

で低減し、利用者は通勤・通学の快適性が確保できる。

・バス利用者層の拡大

市内路線バスでは、朝夕の通勤・通学のピーク時には混雑が激しいため、女性や

子供達は乗車が困難であるが、対象路線においてはこれらの社会的弱者でも乗車が

可能となる。このため、バス利用者層の拡大が期待できる。

また、間接効果としては以下が期待できる。

・地域・社会・経済の活性化

通勤、通学、買い出し等のための公共移動手段の利便性が向上することにより、

地域社会・経済の活性化に寄与できる。

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・雇用創出の拡大

急増する難民や国内避難民の帰還に伴ない、これらの人々への職の提供が求めら

れているが、公共交通の整備によって、通勤が容易になることから雇用創出の拡大

につながる。

・利用者の利便性の向上

バスの運行・維持管理に対する技術指導を通じ、対象路線のバスが規則正しく運

行されることになる。このため利用者の利便性が向上する。

・維持管理費の抑制

本プロジェクトにスペアーパーツやタイヤなどの予備品が含まれることによっ

て国営バス公社の維持管理費が今後数年間は抑制できる。

・バス公社の経営の改善

バスの運行・維持管理に対する技術指導(ソフト・コンポーネント)の実施によ

り、国営バス公社の経営効率が改善する。

本プロジェクトの実施によって、カブール市の稼働可能なバス台数が増加すれば、前

述のように同市の公共交通の輸送力は強化され、多大な成果が期待されるとともに、広

く民生の安定に寄与するものであることから、本プロジェクトを無償資金協力で実施す

ることの妥当性が確認できる。

本プロジェクトの実施にあたり、以下のような問題点があるが、それらを解決するこ

とによって、本プロジェクトはより円滑かつ効果的に実施しうると考える。

・ 本プロジェクトで調達されるバスは市内のクチサンギ車庫で保管される計画であ

るが、現在クチサンギ車庫は廃車バスの置き場になっているため、本プロジェクト

の技術指導で車庫の整備が開始前に、これらの廃車バスを国営バス公社は撤去す

る必要がある。また、車庫の維持管理に必要な電力や水の引き込みを行う必要があ

る。

・ 国営バス公社の運賃は民間バスの運賃に比較して、その半額以下に設定されてい

るため収入は限られており、十分なスペアパーツの購入も困難な状況にある。バス

公社の運営に必要な財源を確保するためには、現行の運賃レベルを改定するか、

政府からの補助金等の手当を講じて収入源の拡大を図る必要がある。

・ 日本側がバスの運行・維持管理にかかる技術指導を行うが、技術移転を計画通り

実施するためには、国営バス公社は適切な人員・技術レベルの職員を配置すると

ともに、自助努力により他職員に波及させていく必要がある。

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a

目 次

序文

伝達状

位置図/写真

略語集

要約

第1章 プロジェクトの背景・経緯 ············································································1-1

1-1 当該セクターの現状と課題···············································································1-1

1-1-1 公共交通の現状と課題 ···············································································1-1

1-1-2 開発計画·······································································································1-11

1-1-3 社会・経済状況 ···························································································1-13

1-2 無償資金協力要請の背景・経緯および概要 ···················································1-15

1-3 我が国の援助動向 ······························································································1-16

1-4 他ドナーの援助動向 ··························································································1-17

第2章 プロジェクトを取り巻く状況 ········································································2-1

2-1 プロジェクトの実施体制 ··················································································2-1

2-1-1 市内路線バス·······························································································2-1

2-1-2 カブール空港バス ·······················································································2-3

2-1-3 技術水準·······································································································2-4

2-1-4 既存の施設・機材 ·······················································································2-5

2-2 プロジェクトサイトおよび周辺状況 ·······························································2-9

2-2-1 関連インフラ整備状況 ···············································································2-9

2-2-2 自然条件·······································································································2-13

2-2-3 その他 ··········································································································2-14

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b

第3章 プロジェクトの内容························································································3-1

3-1 プロジェクトの概要 ··························································································3-1

3-1-1 上位目標とプロジェクトの目標································································3-1

3-1-2 プロジェクトの概要 ···················································································3-1

3-2 協力対象事業の基本設計 ··················································································3-2

3-2-1 設計方針·······································································································3-2

3-2-2 基本計画·······································································································3-6

3-2-3 基本設計図···································································································3-61

3-2-4 調達計画·······································································································3-67

3-3 相手国側分担事業の概要 ··················································································3-73

3-3-1 議事録で確認した相手国側負担事項 ························································3-73

3-3-2 その他相手国側負担事項 ···········································································3-73

3-4 プロジェクトの運営・維持管理計画 ·······························································3-75

3-4-1 維持管理体制·······························································································3-75

3-5 プロジェクトの概算事業費···············································································3-76

3-5-1 協力対象事業の概算事業費 ·······································································3-76

3-5-2 運営・維持管理費 ·······················································································3-77

3-6 協力対象事業実施に当たっての留意事項 ·······················································3-80

第4章 プロジェクトの妥当性の検証 ········································································4-1

4-1 プロジェクトの効果 ··························································································4-1

4-2 課題・提言 ··········································································································4-2

4-3 プロジェクトの妥当性 ······················································································4-4

4-4 結論 ·····················································································································4-4

[資 料]

1. 調査団員・氏名

2. 調査日程

3. 関係者(面会者)リスト

4. 当該国の社会経済状況(国別基本情報抜粋)

5. 討議議事録(M/D)

6. 事業事前評価表

7. 参考資料/入手資料リスト

8. ソフトコンポーネント計画

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第1章 プロジェクトの背景・経緯

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1-1

第1章 プロジェクトの背景・経緯

1-1 当該セクターの現状と課題

1-1-1 公共交通の現状と課題

市内路線バス

(1) 国営バス、民間バス、タクシー等の運行状況

カブール市内の公共交通は国営バス、民間バスおよびタクシーからなっている。

1) 国営バスの運行状況

国営バスは運輸省の直轄機関である国営バス公社(Millie Bus)により運営されている。

同公社はカブール市内を 120 台のうち、運行可能な 110 台のバスで図 1-1-1 に示すように

26 路線の営業総延長 232.3km 区間を運行している。1日の運行時間は冬季が朝 6 時から

晩の 7 時までの 13 時間、夏季は朝 5 時から晩の 9 時までの 16 時間となっている。各バ

ス路線における運行状況(バス路線延長、運行バス台数、運行回数、バスの回転率、ピ

ーク時間における乗車率、およびピーク時間のバス1台に乗車している利用者数等)は表

1-1-1 に示すとおりである。路線営業距離は、市街地内に起終点があるバス路線は比較的

短く 5km から 7km であるが、郊外と市内中心部を結ぶ路線は 10km から 15km と比較的

長い。また、現在は公社の保有するバス台数が大幅に不足しているため、各路線への配

車は2台から5台程度しかなく、そのため 30 分から 45 分間隔の運行となっている。バ

スの運賃は旧 1,000 アフガニ(=新1.0 アフガニ(Afg))である。

同公社が運行しているバス路線全ての需要に対応するためには約 500 台のバスが必要

であると、現在実施中の「カブール市緊急復興支援調査」では試算しているが、現在は僅

か 110 台で運行している。このように、台数が極端に不足しているため、1 台あたり 70

人の定員に対して通常 110 人から 130 人もの乗客が乗車し、バス車内は身動きが取れな

い状況である。また、途中の停留所では利用者はバスに乗り切れず、多くの積み残し客

が発生している。朝夕のピーク時においては乗車できなかった乗客の一部がドアーにぶ

ら下がっているバスが多く見受けられる。

このような劣悪な乗車状況の中でも、男女の乗る席ははっきりと分かれている。車内

の前2~3列の席が女性専用で、男性客はその後ろの席となっている。女性専用席の通路

も、その混雑度は男性客の通路と同様に全く身動きの取れないほど過酷な状況となって

いる。

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1-2

図1-1-1

カブール市のバス路線図

19

13

342

1716

35

34

269

25

830

6 10

29

5

105

1

28

1243 101

No. : バス路線番号

: 既存バス路線

: 既存バスターミナル

:「同上」 学校復興事業

: JICA「カブール市緊急復興支援調査」対象地域

: 市街化地域

: 「同上」 道路補修事業

15

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1-3

表1-1-1 バス路線別の運行状況

バス

路線

番号

バス路

線 延長 (Km)

バス運

行 台数 (台)

1 日 の バ

ス 運 行 回

数 (回/日)

バスの 回転率

(回/時)

バスの

輸送能

力 (人/台)

ピーク時

間の乗車

率 (%)

ピーク時

間の乗車

人数 (人/台)

1 1 10.0 3 21 1.36 70 168 118 2 2 12.5 8 56 1.09 70 140 98 3 3 9.6 4 28 1.18 70 198 139 4 4 10.2 2 12 1.20 70 163 114 5 5 9.7 2 10 1.25 70 177 124 6 6 4.6 2 10 1.28 70 152 106 7 8 5.2 9 41 1.01 70 142 99 8 9 8.0 3 19 1.41 70 152 106 9 10 6.8 2 8 1.88 70 125 88

10 12 5.6 4 15 1.55 70 168 118 11 13 5.5 3 10 1.55 70 168 118 12 15 4.3 4 18 1.40 70 168 118 13 16 5.4 4 14 1.88 70 168 118 14 17 6.2 8 31 1.01 70 178 125 15 19 7.3 3 17 1.43 70 183 128 16 25 5.8 9 25 1.65 70 195 137 17 26 4.6 9 31 1.02 70 153 107 18 28 13.0 2 10 1.00 70 197 138 19 29 15.0 6 17 1.09 70 193 135 20 30 13.5 2 12 1.00 70 135 95 21 31 7.3 4 21 1.33 70 177 124 22 34 4.8 2 8 2.09 70 167 117 23 35 17.3 2 10 1.55 70 145 102 24 43 5.1 9 31 1.66 70 180 126 25 101 19.0 2 10 1.00 70 153 107 26 105 16.0 2 10 1.22 70 192 135

Total 232.3 110

出所:カブール市緊急復興支援調査報告書および国営バス公社よりのヒアリング

2) 民間バスの運行状況

民間バスは国営バスの輸送能力の不足を補う目的で営業が許可されている。民間バス

は運輸省民間局の監督のもと、国営バス公社の運行路線を含め、計 47 路線で運行してい

る。また、一路線当たりの平均運行回数は 15 便程度である。

現在、カブール市内の民間バスは会社・個人営業者で組織された7バス組合で運営さ

れている。7組合の合計保有台数は約 1,200 台であるが、このうち、実際稼働している

台数は表 1-1-2 に示すように 668 台(稼働率 55%)である。保有台数 1,200 台のバスの平

均車齢は 30 年以上と非常に高く、稼働可能台数は減少しているのが実情である。

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1-4

表1-1-2 民間バス会社・組合別バス運行台数 会社・組織名 運行台数(台) 1 Saber Bus 124 2 Ehsaan Bus 72 3 Shiraze Tofan Bus 15 4 Mir Barak Bus 95 5 Hamayun Bus 50 6 Gulestan Bus 262 7 Sada bahar Bus 50

合 計 668

出所:カブール市緊急支援調査報告書

民間バスの車両は 30 人程度のミニバスおよび中型バスが多い。民間バス組合は独自の

車庫(バス駐車場、修理場)を持っていないため、夜間は市内地の中心地域にあるバス

ターミナル或いは運転手自宅付近の路上に駐車させている。また、修理は小規模な民間

修理工場で行っている。

民間バスの料金は最低区間で旧 2,000 アフガニ(=新 2.0Afg)と国営バス公社の 2 倍

であるが、それでも常に超満員の状態で運行されている。途中の停留場では、国営バス

同様、積み残し客が多く、バスの屋根や後部のバンバーなどにも乗客が乗っている状況

が見受けられる。

3) タクシーの運行状況

カブール市内では 11,782 台のタクシーが登録されており、実際に運行されている台数

は表 1-1-3 に示すように 4,508 台(稼働率 38%)である。タクシーは 5 つの組合があり、

運輸省民間局の監督下でサービスを行っている。

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1-5

表1-1-3 タクシー組合と運行台数 タクシー組合名 運行台数(台) 1 Khurshid 2,803 2 Aseeb 0 3 Abasein 15 4 Sayar 100 5 Paghman 1,590

合 計 4,508

出所:カブール市緊急復興支援調査

タクシーはほとんどが日本製小型車(ディーゼルエンジン車)である。バス台数が極

端に不足しバス利用が極めて困難な状況にあるため、利用者はバス料金に比べて 15 倍か

ら 30 倍と非常に高いタクシー(料金はタクシー1台当たり旧 30,000 アフガニ(Afg))を

利用せざるを得ない。また、運賃を少しでも安く上げるために相乗り乗車が行われてお

り、1台の座席に 6 名、後部トランクの中に 6 名、合計 12 人が乗車していることも珍し

くない。この場合のタクシー料金は後部トランクが旧 1,000アフガニ(Afg)、座席が旧 4,000

アフガニ(Afg)程度である。このようにタクシーも、民間バスの運行状況と同様に定員を

はるかに越えた危険な状態で運行されている。さらに、タクシーは市内中心部の交通渋

滞の原因となっている他、公害の発生原因ともなっている。

(2) バスターミナル、バス停等の施設状況

1) バスターミナルの施設・利用状況

バスターミナルは市内中心地に 8 ヶ所存在し、民間バスも利用している。このうち、

デ・アフガナン(De Afghanan)とムラ・カウィニ(Murad Khawni)の両バスターミナル

は幹線道路に面し、各々約 1.2 ヘクタールおよび約 1.6 ヘクタールの専用広場を有してい

るが、他の 6 ヶ所は専有の敷地がなく、道路をターミナルとして利用している。各バス

ターミナルの運行および利用状況等を表 1-1-4 に示す。

デ・アフガナン・バスターミナルでは以前には管理事務所、売店等の施設が在ったが、

長期にわたる内戦によりこれらの施設は跡形も無く破壊されたため、バスターミナルと

しての機能を果たしていない状況にある。敷地内は舗装されておらず、凸凹で歩行も困

難な状況にある。現在は狭い敷地の中に 20~30 台の民間バスが時間調整のため駐車して

おり、その隙間を縫って小さな露天が雑貨、果物等を売っている。バスターミナル周辺

の往復6車線の幹線道路沿いには小売商が所狭ましと並び、終日バスの利用者や買い物

客等で混雑している。午後 3 時から 4 時頃は特に帰宅を急ぐ通勤者、買い物客等でター

ミナル周辺の混雑は一段と増す。これに加え、バスを待つ人々が路上にはみ出し、バス

が通るたびに、片側3車線の道路の1車線を完全にふさぐため、激しい交通渋滞を引き

起こしている。

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1-6

ムラ・カウィニ・バスターミナルは往復4車線道路に面し、約 1.6 ヘクタールの敷地

があるが、ターミナルとして必要な諸施設は一切整備されていない。敷地内は舗装され

ておらず、凸凹で歩行も困難な状況にある。また、周辺の道路交通状況はデ・アフガナ

ン・ターミナルと同様、終日人で混雑しており、この地域を通る自動車は走行困難な状

況を呈している。

他の 6 ヶ所のバスターミナルも専用敷地はなく、路上で時間調整を行っているため周

辺の交通状況は上記 2 ヶ所と同様に、終日、人と車で交通混雑を呈している。

表1-1-4 市内バスターミナルの状況 バスターミナル名 ターミナル用地 ターミナル施設 主なバス利用 周辺状況

De Afghanan 1.2 Ha 諸施設無し 民間バス 市場あり、終日混雑 Murad Khawki 1.6 Ha 諸施設無し 民間バス 市場あり、終日混雑 Cinema Pamir 既存道路上 諸施設無し 民間バス 市場あり、終日混雑 Temur Shahi 既存道路上 諸施設無し 民間バス 市場あり、終日混雑 Furushga 既存道路上 諸施設無し 民間バス 市場あり、終日混雑 Chahrahi Pashfuhista 既存道路上 諸施設無し 民間バス 市場あり、終日混雑 Chawk 既存道路上 諸施設無し 民間バス 市場あり、終日混雑 Puli Kheshfi 既存道路上 諸施設無し 民間バス 市場あり、終日混雑

出所:調査団

2) バス停留所の施設および利用状況

国営バス公社が運行している 26 バス路線には表 1-1-5 に示すように 460 ヶ所のバス停

留所がある。停留所の間隔は 500mから 600mであるが、停留所施設や位置を示す掲示板

等が全くないために位置を確認することが非常に困難な状況である。路線 No.31 と No.17

には屋根が付いた停留所施設が数ヶ所存在するが、施設は全く利用されず、付近の商店

主が商品置き場所として利用している。

停留所に屋根付きの施設が整備されない理由は、これを所管する運輸省や関連省庁が

財政難であることに加え、市内の幹線道路でも歩道幅は 1.5mから 2.0m 程度と狭く、物

理的に屋根付き停留所が整備できないためである。

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1-7

表1-1-5 バス路線毎のバス停留所数

バス路

線番号 バ ス 停 留

所個所数 バス路線

番号 バス停留所

個所数 バス路線 番号

バ ス 停 留

所個所数 バ ス 路

線番号 バ ス 停 留

所個所数 1 18 9 13 19 24 34 8 2 20 10 12 25 14 35 16 3 23 12 11 26 18 43 11 4 23 13 11 28 29 101 19 5 20 15 18 29 28 105 30 6 17 16 11 30 23 8 12 17 15 31 16 合計 460

(注)バス停留所個所数はバス路線が重複している区間も含む 出所:調査団

(3) 政府関係機関への通勤用バスの配車状況

国営バス公社は、表 1-1-6 に示す 13 政府関係機関職員の通勤用として合計 64 台のバスを

貸し出して運行している。通勤用のバス運行経路は各関係機関で異なっており、各関係機

関が設定した最も効率的な経路を運行している。運行時間は朝の出勤時間と夕方の退勤時

間に限定されている。同公社はこの業務を実施することにより政府から走行距離に応じた

収入を得ている。これらのバスは、各機関職員の通勤輸送が完了すると直ちに所定の路線

バスの運行に戻される。

表1-1-6 政府機関への通勤用バスの配車状況 政府関連機関 貸し出しバス

台数 (日) 月間使用日数

(日) Ministry of Justice 11 25 Ministry of Public Health 10 25 Rabeha-E-Balkhi Hospital 6 25 Abneseena Hospital 6 25 Ministry of Interior 5 25 Karta-E-she Surgical Hospital 5 25 Ministry of Commerce 6 25 Aliabad Hospital 4 25 Ministry of Water & Power 3 25 Ministry of Agriculture 3 25 52 Bed Hospital 2 25 Ministry of Transport 2 25 Ministry of Education 1 25 合計 64 325

出所:国営バス公社

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1-8

(4) 公共交通の課題

1) 需要に対応できないバスの台数

公共交通は 1993 年以降の内戦によりほとんど全てが破壊されたまま、その後新規投資

も行われないで今日に至っている。その結果、公共交通需要に対する車両の絶対数が不

足しているため、バス利用者は定員をオーバー(平均乗車率:170%、路線によっては

200%)して乗車せざるを得ず、公共交通の基本である安全運行が危惧される状況である。

2) 民間バス参入による交通事情の悪化

トロリーバスの壊滅と国営バス公社の輸送力低下につれて自然発生的に民間バスが市

内公共輸送に参入してきた。民間バスはバス組合により営業されているが、個人の車両

を持ち寄った言わば個人営業のバスである。民間バスは営業効率の良い場所に集中して

おり、ターミナル付近を始終点としていることに加えてターミナルの容量も不足してお

り、付近の交通混雑に拍車をかけている。

民間バスも公営バスと同様に、車両の老朽化が激しく、安全運行上問題が多い。

3) タクシーによる無秩序な運行

バス台数が少ないため、タクシーの相乗りが利用されている。しかし、需要に見合う

だけのタクシー台数はなく、運賃も割高である。車両はほとんどが日本製の中古車で右ハ

ンドルである。また、小型車であるが運行は無秩序で、交通渋滞の原因となっている。

4) 関連施設の崩壊

公共交通システムを構成するワークショップ、バスターミナルなどの営業施設のほと

んどが破壊され、使用できるような状態ではない。バスの洗車場、利用者のトイレなど、

バス関連施設の整備も大きな課題である。

5) 現有機材の老朽化

国営バス公社はバスの補修に運行不能となったバスの部品をはずし利用している。こ

のため現在運行しているバスは車台・部品とも老朽化が激しく、安全運行の面から問題

がある。

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1-9

カブール空港バス

(1) カブール国際空港を発着する民間旅客機の運行状況

カブール国際空港を発着する民間旅客機の出発・到着時間、および乗客数を調査した結

果を表 1-1-7 に示す。航空機1機当たりの最大到着旅客数は 178 名であり、最大出発乗客数

は 151 名である。1日当たりの最大発着回数が多い日は月曜日であり、6 便の出発便と 5

便の到着便がある。アリアナ航空以外に国際航空定期路線は①パキスタン航空(カブール

~イスラマバード)週1便、②国連機(UNHAS)(カブール~イスラマバード)週 4 便、③

国連機(UNHAS)(カブール~ドバイ)週 2 便、および④AIRSERV が週5便(カブール~イ

スラマバード)を運行している。

国内便についてはカブール~ヘラート間の直行便が週 2 便運行しているのみであり、平

均乗客数は 120 名程度である。現在国営アリアナ・アフガン航空(国営アリアナ航空)が

所有している航空機および輸送容量を表 1-1-8 に示す。

(2) カブール空港バスの運行状況

現在、国営アリアナ航空所有のボンネット型の老朽化したバス 1 台が旅客ターミナルビ

ルと航空機間の旅客輸送を行っている。しかし、バスは1台しかないため、離発着する多く

の航空機を旅客ターミナルビル近くに駐機させ、多くの旅客はやむを得ず、飛行場のエプ

ロン上を歩いている状況である。しかし、このエプロン部分は航空機に積み降ろしする貨

物を輸送する牽引車や飛行場関係者を乗せた自動車が行き来するため、安全面でも問題が

ある。また、将来、航空機の離発着が頻繁になれば駐機場からターミナルビルまでの距離

は最大で 300m程度は離れることになる。

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1-10

表1-1-7 2002年11月における国際旅客便の運行状況 日時 曜日 フライト No. 出発地/目的地 発着時間 乗客数

(人) UNHAS KBL/ISB 09:30 発 20 FG401 KBK/DXB 11:35 発 151 UNHAS ISB/KBL 10:55 着 20 SERV KBL/ISB 12:30 発 ------------- UNHAS KBL/DBI 13:20 発 20

11/02 土曜日

SERV ISB/KBL 15:30 着 ------------- SERV KBL/ISB 10:00 発 ------------ FG402 DXB/KBL 10:10 着 146 IRAN TEH/KBL 10:30 着 80 FG310 KBL/DEL 11:15 発 126 FG312 KBL/ISB 11:35 発 24 UNHAS DBI/KBL 11:45 着 60 UNHAS KBL/ISB 12:45 発 60 IRAN KBL/TEH 13:30 発 80 FG313 ISB/KBL 15:10 着 21 FG405 KBL/SHJ 15:15 発 60 UNHAS ISB/KBL 15:35 着 20 SERV ISB/KBL 16:10 着 ------------

11/03 日曜日

FG407 KBL/SHJ 16:35 発 2 FG311 DEL/KBL 09:00 着 95 UNHAS KBL/ISB 09:30 発 60 FG408 SHJ/KBL 09:50 着 142 UNHAS ISB/KBL 12:20 着 20 SERV KBL/ISB 12:45 発 ---------- UNHAS KBL/DBI 13:20 発 20 FG411 KBL/JED 16:30 発 111

11/04 月曜日

SERV ISB/KBL 16:15 着 ----------- FG412 JED/KBL 08:50 着 71 SERV KBL/ISB 9:00 発 ------------ UNHAS ISB/KBL 10:30 着 20 FG406 SHJ/KBL 12:10 着 178 UNHAS KBL/ISB 14:40 発 20 FG403 KBL/DXB 12:35 発 143

11/05 火曜日

SERV ISB/KBL 16:00 着 ------------- UNHAS DUBAI/KBL 08:30 着 100 FG404 DXB/KBL 10:15 着 123 FG705 KBL/IST/FRA 11:00 発 125 UNHAS KBL/ISB 12:45 発 60 UNHAS ISB/KBL 15:35 着 110

11/06 水曜日

FG322 KBL/DEL 16:35 発 69 FG323 DEL/KBL 09:15 着 75 SERV KBL/ISB 8:30 発 60 FG703 KBL/THE 10:00 発 51 SERV ISB/KBL 11:30 着 -------------- UNHAS DBI/KBL 11:45 着 60 PK KBL/ISB 12:00 発 80 UNHAS KBL/ISB 15:10 発 60 UNHAS ISB/KBL 15:35 着 60 FG704 THE/KBL 16:05 着 49

11/07 木曜日

FG706 FRA/IST/KBL 09:30 着 131 FG405 KBL/SHJ 07:00 発 83 11/8 金曜日 FG406 SHJ/KBL ------------ -------------

出所:国営アリアナ航空、UNHAS、AIR-SERV

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1-11

表1-1-8 国営アリアナ航空保有の航空機

航空機 機数 座席数 適 用 B727―200 2 150 B727-100 2 120 AN-24 4 48

A-300 3 245 インドからのリース 現在2機修理中、1機のみ稼働

(注)国営アリアナ航空よりのヒアリング結果

(3) 旅客送迎用バスの課題

地上サービス業務は国営アリアナ航空が行っており、旅客送迎は同航空会社所有のバス

1 台(約 30 年前の米国製)で行っている。同バスは老朽化が激しく、ほとんどの離発着で

バスの定員を越えているため、多くの乗客は旅客ターミナルと航空機間を徒歩で移動して

いる状況である。この間に荷物を運搬する車両が運行するため、移動中の乗客も危険な状

態に陥ることもある。

1-1-2 開発計画

(1) 復興計画

タリバーンによる国土の実効的支配喪失を踏まえ、ブラヒミ・アフガニスタン担当国連

事務総長特別代表の構想に基づき 2001 年 12 月にドイツのボンで行われたアフガン各派代

表者会合では、緊急ロヤ・ジルガ(国民大会議)が招集され、暫定的な国家元首の選出等、

移行政権について合意された。その後 2002 年 6 月に再度緊急ロヤ・ジルガが招集され、カ

ルザイ大統領以下 5 名の副大統領、その他各省大臣等が選出された。

我が国は、復興面で米国と共同でワシントン DC においてアフガニスタン復興支援高級

事務レベル会合を開催し、アフガニスタン復興支援運営委員会会合(於:ブリュセル)を

経て、2002 年 1 月の「アフガニスタン復興支援国際会議」東京開催に至る復興プロセスを

立ち上げるなど、積極的な役割を果たしている。この会議において、優先分野として(1)行

政の向上、(2)教育、(3)保健・衛生、(4)インフラ整備(特に道路、電力、通信)、(5)経済シ

ステムの再建、(6)農業および地方開発が提唱された。これらの優先分野に対して、各ドナ

ーから以下の金額がプレッジされた。

• 2002 年分 18 億ドル以上(約 2,340 億円以上)

• 累計総額 45 億ドル以上(約 5,850 億円以上)

その内、我が国は、地雷・不発弾の除去、地域共同体の再建、教育、メディア・インフ

ラ、保健・医療、女性の地位向上等の分野を中心に支援することを表明し、2 年半で最大 5

億ドル(約 650 億円)まで(内、2002 年で最大 2.5 億ドル、約 325 億円)の支援をプレッ

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1-12

ジした。

各国による各支援策が実施に移されれば、「ア」国の経済インフラは、急速に整備されて

いくと思われる。しかしながら、地雷問題、治安情勢等多くの課題が横たわっており、多

くの計画は予定通り進展していない状況にある。

(2) 執行グループ(Implementation Group: IG)会合の概要

標記会合が 2002 年 10 月 12 日~13 日、カブールにて開催された。概要は以下のとおりで

ある。

1) 「ア」国政府の目的

4 月に開催された第 1 回 IG にて示された国家開発計画(National Development

Framework: NDF)に基づいて策定された予算計画(National Development Budget: NDB)

を提示、ドナー側の支援(コミットメントの履行)を求めた。

2) カルザイ大統領冒頭演説

・ 支出済み 8.9 億ドルのうち、8 億ドルが「ア」国政府でなく、国連機関や NGO に流

れたこと、その多くが人道支援に係る支出であったことを指摘。

・ 復興の促進こそが最大の人道支援策として、道路(幹線道路)、ダムおよび電力供

給への支援を強く期待していること、また、「日本」・「米国」・「サウジアラビア」

の道路事業を歓迎する旨表明した。

・ 今後の復興事業については Quick impact project ではなく、Quick result project の実施

となるよう各ドナーに求めた。

3) UNAMAブラヒミ特別代表の演説

・ 人道援助から開発援助への移行

・ 重点分野として①中央政府および地方政府の行政能力強化、②インフラ、農業、水

資源管理各分野での公共投資、③帰還者のコミュニティへの統合、および④治安維

持(軍や警察機構の再編)が重要であるとの認識を示した。

4) 「ア」国政府のプライオリティ

以下の 3 つの骨子(Pillars)と 6 つの優先プロジェクト(Priority national projects)を設

定し、計画省および復興省を中心に予算計画を取りまとめている。

・ 3 本柱(Pillars)

①人 (Human capital and social protection)、②インフラ (Physical Infrastructure)、③貿

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1-13

易・投資、法の支配と治安 (Trade, Investment and Rule of Laws/Security)

・ 優先プロジェクト

ドナーに対し、下記プライオリティから関心分野を表明するよう求めた。

①国家統合と緊急的インフラ開発 (National Solidarity and Emergency Public Works

Programs)、②教育 (Education Infrastructure project)、③都市開発 (Urban Infrastructure

project)、④水資源 (Water Resource Investment project)、⑤ガバナンス (National

governance Infrastructure project)、⑥運輸(道路、空港)(Transportation project, major roads

and airports)

(3) カブール市緊急復興支援調査(市西南部復興計画および公共交通計画)

本調査は、我が国の技術協力によって実施されたもので、二つの目的からなっている。

一つは、紛争の被害が特に激しいカブール市南西部市街地の都市機能回復を支援するため

秩序ある復興の指針となる復興計画を策定すること、もう一つは、カブール市全体の公共

交通システムの構築を支援するため、バス輸送を中心とした公共交通計画を策定すること

である。

計画策定目標年次は、緊急に実施する短期計画の目標年次を 2005 年とし、長期計画の目

標年次を 2020 年と設定している。

市南西部復興計画は、カブール南西部約 100km2 を対象とし、残っている都市の骨格を利

用することを前提に道路、電力、通信、上下水道等都市基盤の整備および住宅建設や商業

施設の計画を策定するものである。

また、公共交通計画は、カブール市全域を対象とし、バス交通を主体とする公共交通体

系の整備を狙ったものである。

本復興支援調査は 2002 年 6 月に開始され、2003 年 1 月に完了した。

1-1-3 社会・経済状況

(1) 「ア」国の国家再建

「ア」国では、タリバーン政権の崩壊後、2001 年 12 月に第 1 回緊急ロヤジルガ(国民大

会議)がドイツのボンで開催され、カルザイ議長を中心とする暫定政権が発足した。

その後、2002 年 6 月に首都カブールで第 2 回緊急ロヤジルガが招集され暫定政権から移行

政権に名称を変更するとともに、カルザイ大統領の下に 5 名の副大統領、約 30 名の各省大臣

が選任され、国家の再建に向けた歩みを進めている。

タリバーン政権崩壊以後、内戦を逃れて国外に出た難民(2001 年の時点で約 350 万人)の

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1-14

内、パキスタンから 153 万人、イランから 26 万人が帰還し、国内避難民約 20 万人と合わせ

て約 200 万人の難民、避難民が帰還したため、こうした人々を新しい国造りの一員とするた

めには、生活手段の確保が必要となっている。

(2) カブール市の人口増加予測

「カブール市緊急復興支援調査」では、カブール市の人口は現在 1.86 百万人であるが、難

民の帰還が予想よりも早いため、3 年後の 2005 年にはその約 3 割増の 2.4 百万人と推定し

ている。地区別には第 11 地区の人口増加率が最も高く 159%となっている。

表1-1-9 人口予測

出所:「カブール市緊急復興支援調査」

(3) 援助調整庁の設立

復興省と計画省に加えて、アフガニスタン援助調整庁(Afghanistan Assistance Coordination

Authority:AACA)が 2002 年 4 月 1 日の大統領令により設立された。AACA は「ア」国政府

の技術協力調整機関として、また、各国ドナーや NGO との協力調整機関として設立された

が、調整機関として計画省(Ministry of Planning)との役割分担が不透明な面もある。現在

の職員数は 30 人程度であるが、近い将来 60 人程度になる予定である。長官は財務省のガ

ーニー大臣が兼務している。

地区 2002年 2005年 増加率(2005/2002)D1 71,560 95,582 1.34D2A 66,518 81,472 1.22D2B 24,090 29,506 1.22D3 58,000 74,858 1.29D4 252,354 306,152 1.21D5 130,000 163,419 1.26D6 213,993 270,940 1.27D7 169,999 213,272 1.25D8 156,408 235,387 1.50D9 119,435 179,160 1.50D10A 19,136 23,554 1.23D10B 184,599 227,217 1.23D11 95,100 150,898 1.59D12 15,086 21,686 1.44D15 200,000 219,509 1.10D16 88,599 98,186 1.11

合計 1,864,877 2,390,798 1.28

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1-15

1-2 無償資金協力要請の背景・経緯および概要

(1) 要請の背景・経緯

市内路線バス

「ア」国では 1979 年の旧ソ連軍侵攻以降内戦状態が続き、タリバーンが 1996 年 9 月に

首都カブールを制圧した後は、タリバーンと北部の山岳地帯を支配する反タリバーン派(北

部同盟)との間で内戦が継続され、国土は荒廃し、国民の困窮は強まる一方であった。米

国テロ事件に端を発する 2001 年 10 月からの米国等による軍事作戦によりタリバーン政権

が崩壊すると、同年 11 月にはアフガニスタン暫定政権(Afghanistan Transitional Authority:

ATA)が樹立され、和平への道が新たに歩み始められた。

「ア」国の復興を支援するため 2002 年 1 月には我が国を主催国とし「アフガニスタン復

興支援国際会議」が開催され、現在、国際機関・各国ドナーによる同国支援が進められて

いる。

推計人口 230 万人を擁するカブール市では、1990 年代初めまで路線バスおよびトロリー

バス約 1,000 台が公共輸送手段として機能し、貧困層を中心とした住民の足が確保されて

いた。この公共輸送ネットワークは、基本的には旧ソ連の協力で 1978 年に作成されたカブ

ール市都市計画マスタープランにしたがって構築されたものであった。

しかしながら、90 年代初頭からの内戦激化に伴い、大多数の路線バスが、トロリーバス

に至っては全てが稼働不能となり、残っていたバスについても老朽化、スペアパーツ不足

等のため、徐々に稼働台数が減少し、2002 年 4 月と 7 月にインド政府から計 50 台、イラ

ン政府から 5 台のバスが供与されたが、2002 年 11 月時点では僅か 110 台(そのうち従来か

らの保有バス 55 台の車齢は 15~25 年)が稼働している状況である。運行路線数について

は、1980 年代には 55 路線であったが現在は 26 路線に縮小している。現在の 26 路線の運

行間隔はほとんどが 30 分以上であり、輸送能力の大幅な不足のため車内は非常に混雑し、

公共輸送手段としての役割を十分果たしていない。

このような状況下、アフガニスタン暫定政権は、カブール市内の公共輸送システムの復

旧による住民の生活環境改善を目的として運輸省傘下の国営バス公社への大型バスおよび

ミニバスの調達に必要な資金につき無償資金協力を要請した。

カブール空港バス

一方、「ア」国の空の玄関であるカブール国際空港は、戦闘により大きく被災し、早急な

整備が求められている。「ア」国政府は我が国に空港施設および機材整備のための無償資金

協力を要請した。

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1-16

(2) 要請の概要

カブール市内公共輸送力復旧計画およびカブール国際空港整備計画に係る「ア」国側要

請内容は次のとおりである。なお、カブール国際空港については「カブール国際空港整備計

画基本設計調査」が別途実施される予定であるが、空港の旅客サービス用機材のうちバスの

調達については、類似機材でもあり、調達工期が短縮できることから本プロジェクトの一

部として検討することになった。

表1-2-1 カブール市内公共輸送力復旧計画に係る「ア」国側要請内容 番号 機材名 要請台数 備考

1. 大型バス 92 台

2. ミニバス 20 台

3. スペアパーツ 一式

4. 修理用機材 一式

5. 技術協力(ソフト・コンポーネント) 一式

表1-2-2 カブール国際空港整備計画に係る「ア」国側要請内容

番号 機材名 要請台数 備考

1. 大型バス 6 台

2. スペアパーツ 一式

3. 修理用機材 一式

1-3 我が国の援助動向

我が国は、1979 年度まで食糧・農業分野等の無償資金協力および専門家派遣、研修員受入

等の技術協力を中心に実施していたが、旧ソ連の軍事介入以後は、「ア」国の政権を政府承認

していないことから、直接の二国間援助は実施しておらず、国際機関経由の援助を行ってき

ている。また、「ア」国の人道問題にも鑑み、1999 年度から草の根無償資金協力を開始してい

る。

現在までに我が国が行った調査は次のとおり。

・ カブール市緊急復興支援調査(市西南部復興計画および公共交通計画)

・ カンダハール市緊急復興支援調査 (2002 年 9 月~2003 年 3 月)

・ カブール市テレビ局番組編集機材供与計画基本設計調査

・ カブール送信所建設計画基本設計調査

・ カブール国際空港機材整備計画基本設計調査

・ カンダハール~カブール間幹線道路修復計画基本設計調査

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1-17

1-4 他ドナーの援助動向

「ア」国の公共交通セクターに関する他ドナーの動向は、下記のとおりである。

供 与 国 供 与 台 数 備 考

インド 50 台 インド製、2002 年 4 月(25 台)と 8 月(25 台)に納入

イラン 5 台(追加 45 台) エンジンはフランス製・ボディーはイラン製、5 台の

み 2002 年 8 月納入済み

更にインド政府は 2003 年 1 月に 25 台、さらに数ヶ月以内に 124 台のバスを新規供与する

との情報があった。このうち約半数はカブール市内に配備する予定であるとのことである。

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第2章 プロジェクトを取り巻く状況

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2-1

第2章 プロジェクトを取り巻く状況

2-1 プロジェクトの実施体制

2-1-1 市内路線バス

(1) 組織・人員

国営バス公社は運輸省が監督する独立した国営公社であり、カブール市内の公共交通の

運営を行っている。

総裁のもとに総務、運行、技術および会計担当の 4 名の副総裁がおり、それぞれの部門

を統括している。現状の組織図を図 2-1-1 に示す。

国営バス公社の 2002 年 11 月時点の職員数は合計 575 人であり、その内訳は以下のとお

りとなっている。

一般職員 221 人

運転手 141 人

車掌 50 人

整備工 120 人

その他 43 人

合計 575 人

(2) 財政・予算

国営バス公社の運賃は民間バスに比べて半分(旧 1000 アフガニ(Afg)=約 3 円/人)程度

であるにも係わらず、国家からの補助金や支援金なしで独自の財源で運営されている。支

出額の多くは職員給与と燃料費からなっているが、減価償却費の計上額を少なくすること

で収支バランスを保っている。

国営バス公社の 2000 年から 2002 年度の収支バランスは以下の通り。2002 年度の予算規

模が 2001 年度に比べて倍増しているが、これはインドからのバス供与によるバス台数の増

加を反映したものである。

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2-2

表2-1-1 国営バス公社の2000年~2002年度予算/実績(旧百万アフガニ(Afg)) 2000 年度 2001 年度 2002 年度

項目 予算 実績 予算 実績 予算 1.収入 15,600 14,040 14,692 14,663 33,128

営業収入 16,000 14,400 15,060 14,777 33,804税金 -400 -360 -378 -114 -676

2.支出 15,600 14,040 14,692 14,663 33,128職員給与/食事手当 2,700 2,628 4,200 4,462 13,749燃料購入費 7,560 7,348 6,708 7,000 9,984オイル購入費 1,026 743 1,032 1,050 2,140タイヤ代 1,134 822 1083 77 2,034スペアパーツ購入費 765 821 392 810 2,400減価償却費 864 656 482 482 1,067オーバーホール 1,080 821 596 595 995その他の経費 471 201 200 188 760

3.収支バランス 0 0 0 0 0出所:国営バス公社

調 達 部

人 事 部

総 務 部

中 央 管 理 部

第 1地 区 管 理 部

第 2地 区 管 理 部

運 行 部

運 行 計 画 部

現 金 出 納 部

検 査 修 理 部

技 術 管 理 部

安 全 管 理 部

予 算 部

収 支 計 算 部

燃 料 部

部 品 保 管 部

副 総 裁(総 務 担 当 )

顧 問(検 査 担 当 )(総 務 担 当 )(管 理 担 当 )(計 画 担 当 )

総 裁

副 総 裁(運 行 担 当 )

副 総 裁(会 計 担 当 )

副 総 裁(技 術 担 当 )

給 料 部

図 2-1-1 国営バス公社組織図 (2002 年 11 月現在)

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2-3

2-1-2 カブール空港バス

(1) 組織・人員

民間航空観光省の職員数は総勢 1,050 人で、組織は図 2-1-2 に示すとおりである。空港に

おける航空機の運行や清掃、旅客・貨物の扱いなどを行う地上業務は民間航空観光省の指

揮下にある国営アリアナ・アフガン航空(アリアナ航空)が担当している。

国営アリアナ航空の職員数は総勢 10,700 人であるが、空港勤務者は約 350 人、そのうち

機材の維持管理に係わっている職員数は 71 名である。

統計部

書簡局 総務局 計画局 ホテル局 観光局 法律局

事務担当副大臣

運行局 気象局 空港局 アリアナ局

技術担当副大臣

聖戦税部

燃料調達部

秘書部

図書部

出版部

人事部

会計部

サービス部

広報部

予算部

維持部

設立部

外国関係局

統計局

プロジェクト部

計画部

研修部

カブール・ホテル

バゲバラ・ホテル

アリアナ・ホテル

パーク・ホテル

人事部

サービス部

輸送部

広報部

研修部

副局長

財務副局長

営業副局長

技術副局長

大臣

特別飛行部

航空管制部

指令部

航行部

通信部

電気/電子部

技術副局長

予報副局長

観察副局長

気象副局長

技術局

技術副局長

事務副局長

図2-1-2 民間航空観光省の組織図

総裁

秘書官

事務官

記録室

保安室

パスポート室

運皇室

訓練室

運行部

技術部

営業部

技術顧問

財務部

調達部

人事部

総裁秘書室

技術運行部

総務部

車両室

ランプ室

検査室

航空電子室

金属部門

油圧部門

エンジン部門

第1シフトエンジン部門

第2シフトエンジン部門

シート部門

地上運行

エンジニアリング

オフィス

技術管理

テクニカルオフィス

地方運行部門

総務部

ドバイ担当窓口

タシキント担当技術部

モスクワ担当窓口

ニューデリー担当窓口

図2-1-3 国営アリアナ・アフガン航空組織図

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2-4

(2) 財政・予算

国営アリアナ航空は民間航空観光省の傘下にあるが、国営企業として財源・予算は独自

に管理している。

国営アリアナ航空の株式は以下の 6 機関が保有している (株式所有比率を示す)。

① Ministry of Civil Aviation and Tourism (44%)

② Ministry of Finance (22%)

③ Chamber of Commerce (11%)

④ Afghanistan Bank (11%)

⑤ Pashtanah Bank (6%)

⑥ National Bank (6%)

国営アリアナ航空の空港での地上サービスにかかる機材の維持管理費は以下のとおりで、

燃料費が全体の 80%を占めている。

表2-1-2 空港での地上サービスに係る機材の維持管理費(2002年)

(単位:旧千アフガニ)

費用項目 アフガニ(Afg)/月 年間経費(Afg)

燃料 600,000 7,200,000

オイル 30,000 360,000

スペアパーツ 110,000 1,320,000

タイヤ 13,000 156,000

オーバーホール 15,000 180,000

給料 4,309 51,717

合計 (Afg) 772,309 9,267,716

合計 (US$) (12,872) (154,462)

(出所)国営アリアナ・アフガニスタン航空

(注)旧 1,000 アフガニ(Afg)=新1Afg

2-1-3 技術水準

(1) 運営、維持管理体制、方法

市内路線バス

国営バス公社はインド製バスを多く所有していることから同バスメーカーの取扱説明書

を基に日常および定期点検を実施している。日常点検は洗車および目視点検が主となって

いる。しかしながら、洗車については給水装置の故障から雨水(水たまり等)を利用して

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2-5

行っているのが現状である。定期点検は以下のスケジュールで実施することになっている。

1 年目 :3,000km、9,000km、18,000km、27,000km、36,000km

2 年目 :45,000km、54,000km、63,000km

3 年目以降 :72,000km

しかし、定期点検は工具類の不足もあり全てを実施しているとはいい難い状況である。

カブール空港バス

カブール空港の一般運行が再開されて間もないこともあり、国営アリアナ航空が所有す

る荷物運搬車やその他の陸上サービス業務に使用する機材の数は限られているが、それら

の機材の日常点検や修理業務は行っている。

(2) 技術レベル

市内路線バス

現在、整備の目安は 6,000km 走行毎にチェックを受け、18,000km 毎に大掛かりな整備を

受けることになっている。しかし、車両が古く、スペア-パーツや整備部品がないため運

行に必要な 低限の整備しか行われていない。

しかし、整備工は車齢 15年から 25年の老朽化したバスのエンジンを分解修理する技術、

或いは車両全体の分解・修理・組み立てを頻繁に行っていることから、少なくとも既存の

バスに対する整備技術は有している。

カブール空港バス

国営アリアナ航空は航空機の整備を行っており機材の整備技術はかなり高い。また、空

港職員送迎用マイクロバス数台を保有しており、これらの日常点検を実施していることか

ら、本プロジェクトで調達される車両の適正な維持管理は可能と判断できる。

2-1-4 既存の施設・機材

(1) 国営バス公社

1) 現有車両の状況

現在(2002 年 11 月)、国営バス公社が保有しているバス台数は表 2-1-3 に示すように

192 台である。そのうち、72 台は既に老朽化が激しく運行不可能となっている。修理が

必要なものも含め、運行可能なバス台数は 120 台である。また、120 台のうち、インド

政府から供与された 50 台(2002 年製造)とイラン政府から供与された5台(2002 年製

造)を除く 65 台のバスは既に 15 年から 20 年以上使用しているため、いつ廃車されても

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2-6

おかしくないない状況である。

運行可能な 120 台のバスのうち、10 台程度は常に修理中のため、常時運行可能なバス

は 110 台で、26 バス路線に配備されている。路線に運行しているバスが故障した場合、

国営バス公社本社のワークショップで修理されている。ぎりぎりの台数で運行している

ため、運行中にバスが故障した場合は代替バスが確保できない事態も発生している。こ

のような稼働状況であるため、運行バス台数は修理状況により毎日変動している。

同公社のワークショップには、修理機材、スペアパーツ等はほとんど無く、廃棄車を

解体して必要な部品を調達している。そのため修理には非常に長い時間が費やされると

ともに、故障の再発が頻繁に起こっている。

表2-1-3 国営バス公社の保有バス台数内訳 項 目 バス台数 適 用

(1) 登録バス台数(A) 192 (2) 廃車した台数(B) 72 部品調達のため確保している (3) 稼働可能なバス台数 (C)= (A)-(B) 120 1) 新しいバス台数 55 インド(50)、イラン(5) 2) 老朽化したバス台数 65 車齢 15 年以上 (4) 修理中のバス台数(D) 10 修理状況により日々変動する (5) 運行可能なバス台数(E)=(C)-(D) 110 修理状況により日々変動する 出所:国営バス公社

国営バス公社の登録バス 192 台の内訳は表 2-1-4 に示す通りである。2002 年にイラン

国およびインド国から供与された車両 55 台以外の 137 台は 15 年以上経過した車両であ

るため、スペアパーツの調達も困難な状態となっている。なお、一部の車両は内戦前か

ら保有しているため、車両記録が残っていないことから正確な車齢は不明な状態にある。

2002 年イラン国およびインド国から供与されたバス計 55 台はスペアパーツも供給さ

れており、問題は生じていない。

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表2-1-4 既存車両の状況

製造国 メーカー エンジン 車齢 保有

台数購入/供与 状 態

ドイツ国

インド国

インド国

イラン国

BENZ

TATA 製

TATA 製

SHAHABKHODR

BENZ

TATA

TATA

ルノー

15 年以上

15 年以上

2002 年製

2002 年製

2 台

135 台

50 台

5 台

-

-

2002 年供与

2002 年供与

不良(2 台修理中)

不良(内 70 台修理

中で稼働は不可)

良好

良好

合 計 192 台

出所:国営バス公社

2) 修理用機材

国営バス公社の保有している使用可能な試験装置および修理用機材を表 2-1-5 に示す

が、バスの維持管理に必要な機材はほとんど揃っていない。保有している手工具類も破

損が目立つ。なお、イラン国およびインド国からの援助はバスおよびスペアパーツのみ

であり、修理用動工具類の供与は含まれていない。

表2-1-5 既存動工具類の状況

名 称 員数 備 考

手動式リフター 1 台

電気溶接機 1 台 新規調達(ボディの修理に使用)

空気圧縮機 1 台

インジェクションポンプ試験器 1 台 製造後 15 年以上

ニードル試験器 1 台

ツールボックス入り手工具 2 箱 工具に損傷有り

(2) 国営アリアナ・アフガン航空の既存機材

民間航空観光省の管理下で国営アリアナ・アフガン航空(国営アリアナ航空)が乗客の

輸送サービスを実施しているが、国営アリアナ航空が保有しているバスは車齢 30 年以上経

過した米国製である。車両が老朽化しているため、いつ故障してもおかしくない状態であ

る上、部品の調達も困難と思われる。

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表2-1-6 カブール国際空港での既存車両の状況

製造国 メーカー 車齢 保有台数 状 態

米 国 フォード 30 年以上 1 台 不良

国営アリアナ航空がカブール空港のワークショップに保有している修理用機材は、表

2-1-7 に示すとおりである。これらは動工具類であり、維持管理に必要な機材はほとんどな

く、破損した工具が多い。

表2-1-7 国営アリアナ航空のワークショップの既存動工具類

名 称 員数 備 考

ガス切断機 1 台

グラインダー 2 台 1 台使用不可能

ツールボックス入り手工具 2 箱 工具に損傷有り

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2-9

2-2 プロジェクトサイトおよび周辺状況

2-2-1 関連インフラ整備状況

市内路線バス

(1) 車庫の状況

国営バス公社はカブール市内に 4 ヶ所の車庫を有しているが、その現状は以下のとおり

である。

1) 中央センター車庫

中央センター車庫はカブール市の中心より東約 2km に位置し、カブール川に面した場

所にある国営バス公社本社内に立地している。敷地面積は約 75,000m2 と広いが、空き地

は荒れ地となっており、現在稼働中のバスの車庫および事務所として利用されているが、

建物は破壊され事務所および車庫共に屋根はなく、壁も破壊されたままの状態となって

いる。また、このワークショップには使用不能となった測定器、工作機械等が多数存在

し、周辺には廃車されたバスと修理中のバスが多数置かれている。しかし、現在稼動可

能なバスの日常点検からエンジンの分解・組立てまでできる唯一つの場所であるが、新

規調達バス 111 台を駐車させるスペースはない。

2) クチサンギ車庫(Kuti Sangi)

クチサンギ車庫はカブール市の中心より西約 5km に位置し、敷地面積は約 24,000m2

と十分であり、内戦前に利用されていたトロリーバスの車庫が隣接している。この車庫

はカブール市の中心にも近く、周辺道路の道路幅・路面状況が良く、敷地の整地状況も

良好なことから、車庫の立地条件としては申し分ない。運輸省と国営バス公社は、日本

から 111 台のバスおよびその他の修理機材等が調達された場合は、この場所で管理する

計画である。しかし、現在は使用不可能となった廃車バス約 450 台が山積みの状態で置

かれている。本プロジェクトで調達されるバスをここで管理するためには、これらの廃

車バスを撤去する必要がある。

3) コウティナウ車庫(karti-Naw)

コウティナウ車庫はカブール市の中心より南西に約 4km に位置し、敷地面積は約

37,000m2 と広く地理的にも良い場所であるが、建物は破壊され基礎部分のみが残ってい

る状況である。現在は廃車バス置き場として利用されており、約 300 台の廃車が山積み

となっている。

4) パリチャクチ車庫(Pulicharkhi)

カブール空港の東約 2km に位置し、敷地面積は約 160,000m2 と広く、戦前に建設中で

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2-10

あった事務所が有るのみである。敷地は平地であるが、カブール市のはずれにあること

から地理的には利用しにくい場所となっている。また、現在は難民のテントが数点存在

していると共に地雷が有るとされている場所である。

(2) 道路整備状況

市内の幹線道路は往復4車線で両側に 1.5mから 2.0mの歩道が整備されている。道路の

路面はアスファルトコンクリートで舗装されている。維持管理がほとんど行われていない

ため、表層の剥離や大きな穴が随所に存在し路面状態は悪化を呈している。その他の道路

はほとんど往復2車線が確保されており、路面はアスファルトコンクリートで舗装されて

いるが、多くの道路はアスファルトが所々に表層の剥離がみられる。国営バス公社が運行

している 26 バス路線上の既存道路の状況を表 2-2-1 に示す。

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2-11

表2-2-1 運行バス路線の既存道路の状況 路線 番号

バス路線

延長 (km)

既存道路

の車線数 (車線)

既存道

路の舗

装幅(m)

舗装の状況 自動車

交通量

バス路線の特性

1 10.0 4—2 16—8 剥離・穴多い A 北部住宅地地域にサービス 2 12.5 4—2 16—8 剥離・穴多い A 北部住宅地地域にサービス 3 9.6 4—2 16—8 剥離・穴多い A 北部住宅地地域にサービス 4 10.2 4—2 16—8 剥離・穴多い A 北部住宅地地域にサービス 5 9.7 4—2 16—8 比較的良い B 日本援助の1学校に接続

市街地内をサービス 南西部開発地域にサービス

6 4.6 4 16 比較的良い B 南西部開発地域にサービス 8 5.2 6—4 20—16 比較的良い B カブール大学に接続、

日本援助の2学校に接続 南西部開発地域にサービス

9 8.0 4 16 比較的良い B 南西部開発地域にサービス 10 6.8 2 --------- 未舗装 C 南西部住宅地域をサービス

日本援助で道路舗装整備 12 5.5 2 8 剥離・穴多い B 市街地近郊をサービス 13 5.6 2 8 剥離・穴多い B 市街地近郊をサービス 15 4.3 2 8 比較的良い B 市街化地域中央をサービス

市街地内をサービス 16 5.4 2 8 剥離・穴多い B 市街地内をサービス 17 6.2 4 18 比較的良い B カブール空港に接続

市街地をサービス 19 7.3 2 8 剥離・穴多い B 北部住宅地地域にサービス 25 5.8 4 16 比較的良い B 市街地内をサービス 26 4.6 6—2 20—8 比較的良い B 日本援助の3学校に接続

日本援助で道路舗装整備 南西部開発にサービス

28 13.0 4—2 16—8 剥離・穴多い C 南西部住宅地にサービス 29 15.0 6—2 20—8 剥離・穴多い B 南西部開発地域にサービス 30 13.5 4—2 16—8 剥離・穴多い B 南西部開発地域にサービス 31 7.3 4—2 16—8 比較的良い B 日本援助の1学校に接続

日本援助バスの車庫に接続 34 4.8 2 8 比較的良い B 大規模住居地域にサービス

市街地をサービス 35 17.3 2 8 一部未舗装 C 郊外長距離路線 43 5.1 2 6 比較的良い B 道路幅狭い区間多い

大規模住居地域にサービス 市街地をサービス

101 19.0 4 18 一部未舗装 A 郊外長距離路線 105 16.0 4—2 8 一部未舗装 A 郊外長距離路線

(注) A:30,000 台/日以上、 B:30,000-10,000 台/日、 C:10,000 台/日以下 出所:調査団

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2-12

(3) トロリーバスの状況

トロリーバスは旧ソ連邦が建設したもので、内戦前は 4 路線で 70 台程度運行されていた

が、現在は完全に破壊され、市内では電柱が残っているだけである。関連する変電所、配

電線とその付属施設、ワークショップ、営業施設も完全に破壊されているが、トロリーバ

ス公社は存続しており、将来的には復活させたい意向もある。

(4) 電力

発電所、変電所、配電線路等の電力供給施設は、「ア」国内の紛争により大部分が破壊さ

れ、あるいは老朽化が進み、機能低下が著しい。カブール市における発電設備は、総設備

容量が約 280MW であるが、現有出力は 50%以下(約 120MW)まで落ち込んでおり、市内

配電網も変電所の破壊等で 4 割程度しか稼働していない。このため、カブール市では、か

ろうじて配電可能地域に対して、1 日約 5 時間程度の給電しか行われていない。

(5) 通信

CIA によると 1998 年での電話普及率は、100 人当たり約 0.12 台と低い。更に過去 20 年

間の混乱により、設備状況は改善されておらず、「ア」国の通信網は、劣悪であり、このた

め、カブール市での一般市内電話網はほとんど機能していない。

2002 年からヨーロッパ系の携帯電話会社が同市内での携帯電話サービスを緊急に開始し

ているが、携帯電話機は 1 台約 400 ドル(初期登録料等を含む)であり、一般市民には手

の届かない機器となっている。

カブール空港バス

(1) カブール空港バスの保管場所および敷地面積、施設状況

国営アリアナ航空は空港敷地東側の一角に航空機の整備場とその横に車両のワークショ

ップを所有している。このワークショップの規模は約 200m2 程度であり、規模としては大

きくないが、本プロジェクトで調達される車両数 4 台に対しては、スペース的に問題はな

いと思われる。しかしながら、工具類の不足が目立ち、また、大型車両用の点検ピットは

ない。本プロジェクトで調達されるバスは、ワークショップ横の建屋(約 400m2)内に保

管される計画である。ただし、現在は廃棄された航空機部品等の置き場となっているため、

国営アリアナ航空はこれらを撤去する必要がある。

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2-13

2-2-2 自然条件

(1) 計画地の位置

「ア」国の位置は東経 75 度、北緯 38.5 度、東経 60 度、北緯 24 度の間に位置し、首都

はカブールで、海抜約 1,800mのところにあり、東はパキスタン、西はイラン、北はトルク

メニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、また 東北端に於いては中華人民共和国の

6 ヶ国に囲まれた内陸国である。

国土の大半は山岳地帯(平均高度 1,200m)と不毛の砂漠よりなり、地勢的にはパミール

高原から分岐するヒンズークシ山脈が国の中央部を東西に走り南北の分水領を形成してい

る。その北部は低平なアフガン・トルキスタン平原と、その東側の山脈を含むバダクシャ

ン州となり、地理的にも歴史的にも中央アジアのトルキスタン地方の一部を形成している。

南西部は次第に傾斜し、山麓ならびに渓谷部に肥沃な土地の地帯があって農耕地となっ

ているが、それより南はイラン高原の東端を占める砂漠地帯である。南東部にはスレイマ

ン山脈の本支流が走り、おおむねパキスタンとの国境をなしている。

カブール全体は周囲を山に囲まれた盆地にあり、市街地は北西から南西に走る小さい山

脈で南西部と北東部に分断されている。両市街地は 2 箇所の山脈の切れ目で連絡されてい

る。

(2) 気象条件

カブール気象庁より入手した気象データを表 2-2-2 に示す。

表2-2-2 カブール気象データ(1956~1983年)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 平均

高 31.9 32.5 65.8 45.4 42.3 5.1 21.5 6.8 12.3 6.2 32.6 28.6

低 - - - - - - - - - - - -降雨量(mm)

(24 時間) 平均 34.3 60.1 67.9 71.9 24.4 1.0 6.2 1.6 1.7 3.7 18.6 21.6 26.0

高 4.5 5.5 12.5 19.2 24.4 30.2 32.1 32.0 28.5 22.4 15.0 8.3

低 -7.1 -5.7 0.7 6.0 8.8 12.4 15.3 14.3 9.4 3.9 -1.2 -4.7気温 (C)

平均 -2.3 -0.3 6.3 12.8 17.3 22.8 25.0 24.1 19.1 13.1 5.9 0.6 12.0

高 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 95.0 97.0 97.0 97.0 100.0 100.0 100.0 100.0

低 7.0 16.0 5.0 5.0 6.0 6.0 5.0 4.0 4.0 4.0 5.0 4.0 4.0湿度 (%)

平均 68.0 70.0 65.0 61.0 48.0 36.0 37.0 38.0 39.0 42.0 52.0 63.0 52.0

高 48 65 30 0 0 0 0 0 0 0 40 30

低 - - - - - - - - - - - -降雪量(mm)

/降雪日数 日数 7 6 3 0 0 0 0 0 0 0 0 4

出所:カブール気象庁

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2-14

2-2-3 その他

(1) 女性ニーズへの配慮

現在、女性の利用者は子供と一緒にバスの前方部分を利用している。概ね 3 割位の乗客

が女性である。バスによっては男性客との仕切りを保つため、ロープで席と席の間を間仕切

りしている。女性課題省の大臣は本プロジェクトで調達されるバスもロープで仕切って欲

しいとの提案があった。

(2) 本プロジェクトが民間バス会社へ与える影響

国営バス公社は稼働可能なバス 110 台で市内 26 路線のバス運行を行っており、一方、民

間バス組合は 668 台の稼働可能なバス(ほとんどがミニバス)で市内 47 路線のバス運行を

行っている。日本の無償資金協力で国営バス公社に 100 台程度のバスが供与された場合、

民間バス会社の運営を圧迫する可能性について 7 バス組合と 5 バス組合を統括する組織の

理事長にヒアリングを行った結果、以下のとおりである。

① カブール市の公共交通を担うバス台数は極端に不足しているため、日本からの援助

は歓迎している。

② カブール市全体では1,000台程度のバスが不足しているので、国営バス公社のバス台

数が100台程度増加しても、民間バスおよび民間タクシー営業に及ぼす影響はほとん

ど無いと考える。

③ 国営バス公社は市内の比較的近距離を重点にサービスしているが、民間バス会社は

郊外部と市街地間のサービスに重点をおいているのであまり競合はしないと考える。

④ 国営バス公社は現在26バス路線を運営しているが、民間バス会社は同26路線に21路

線を加えた合計47路線を運行している。そのため26路線の輸送力が増強されても大

きな影響は無いものと考える。

以上のとおり、民間バス組合の見方は本プロジェクトが実施されても民業を圧迫するこ

とは極めて少ないものとみている。

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第3章 プロジェクトの内容

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3-1

第3章 プロジェクトの内容

3-1 プロジェクトの概要

3-1-1 上位目標とプロジェクトの目標

2002 年 4 月に開催された第 1 回 IG(Implementation Group)会合で発表された国家開発計画

(National Development Framework: NDF)に基づき、同年 10 月の第 2 回 IG 会合では「ア」

国政府各省の 2002 年度および 2003 年度の予算計画(National Development Budget: NDB)

が発表された。NDB では 3 つの骨子(Pillars)と 6 つの優先分野(Priority National Projects)

を設定している。

本プロジェクトは「ア」国政府から提案された 6 つの優先分野のうち「都市開発(Urban

Infrastructure Project)」および「運輸(道路、空港)(Transportation Projects, major roads and

airports)」の 2 分野に関連するものであり、<市内路線バス>カブール市民の公共交通手段

であるバス運行サービスを復旧させ、その運営主体である国営バス公社(Millie Bus)の維持

管理能力の向上を目標とする。

<カブール国際空港内の旅客バス>カブール国際空港の旅客送迎用バスについても上記

と同様に、航空機とターミナル間の旅客輸送能力の復旧を目標とする。

3-1-2 プロジェクトの概要

市内路線バス

本プロジェクトは、上記目標を達成するために 111 台(大型バス:94 台、ミニバス:17

台)のバスを調達し、現在国営バス公社が運行している 26 路線のうち 11 路線に配備する

計画である。

これにより、本プロジェクト対象の 11 路線については通勤や通学での待ち時間が短縮さ

れるため、移動時間の短縮が図られることになる。また、朝夕のピーク時はこれまで 170%

の乗車率であったものが、120%(1 台当たりの定員 70 人に対し 85 人乗車)程度まで軽減

される。さらに、ピーク時には女性や子供がバスに乗ることは困難な状況にあったが、対

象 11 路線については、これらの社会的弱者の公共バスへのアクセスが改善される。

この中において、協力対象事業はバスの調達に加え、運行維持管理および車庫や運行路

線の整備に関する技術指導を行うことにより、国営バス公社の運行計画やバスの維持管理

が改善され、公共交通の基本的要件である安全運転や定期的運行の確立が期待される。

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3-2

カブール空港バス

また、別途要請されたカブール国際空港の旅客送迎用バスについても、機材の類似性か

ら調達工期の短縮化など業務の簡素化が図られることから、本プロジェクトに含めること

とする。

3-2 協力対象事業の基本設計

3-2-1 設計方針

(1) 基本方針

1) 協力対象範囲に対する方針

本プロジェクトはカブール市内のバス公共輸送力の一部を復旧させるために必要なバ

スおよびスペアパーツ・修理用機材を調達するものである。また、本プロジェクトで調

達される機材が適切に、計画通り使用されるように国営バス公社の運営および維持管理

方法の改善策について協力する。本プロジェクトで調達される機材の維持管理はカブー

ル市中心地から西方約 5km地点に在る既存のクチサンギ車庫(Kuti Sangi Depot)で行

われるため、車庫の整備にも協力することとする。

カブール国際空港旅客送迎用バスについては民間航空機と旅客ターミナル間の旅客輸

送能力を復旧させるために必要なバスを調達するものである。バスの点検整備に必要な

スペアパーツ・修理用機材も本プロジェクトに含める。

2) 市内路線バスの路線選定および調達バス台数の算定に対する方針

カブール市内の路線バスは絶対数が不足しているため、本プロジェクトで調達される

バスが有効活用されるように、費用対効果の観点から対象路線を選定する。選定された

優先路線毎にバスの必要台数を算定するが、台数は朝夕のピーク時に対応できる数量と

する。また、バスの仕様についても各路線の道路状況等を踏まえたバスを選定する。

3) カブール国際空港内旅客送迎用バス調達台数の算定に対する方針

本プロジェクトで調達する旅客送迎用のバス台数の算定は現在カブール国際空港を離

発着している航空機の 大乗客運搬容量に即対応できるバス台数とし、将来、2 機同時

離発着のケースが発生した場合でも、乗客が不自由を感じることなくバスを利用できる

台数とする。

4) 維持管理に対する方針

本プロジェクトの実施機関である国営バス公社はスペアパーツ、工具類等をほとんど

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3-3

保有していない状況である。したがって、本プロジェクトで調達するバスの維持管理を

適切に行うために、スペアパーツおよび修理用機材も本プロジェクトで調達することと

する。また、カブール国際空港の旅客送迎用バスについても定期交換部品や消耗部品お

よび修理用機材も本プロジェクトに含める。

(2) 自然条件に対する方針

1) 温度、湿度条件

カブール市の気候の特徴は砂漠化された内陸性気候であり、年間および1日の寒暖の

差は大きく、夏季 7 月の平均気温は 25.0℃であるが、1日の 高気温は 32℃を超える日

も珍しくない。また、冬季1月の平均気温はマイナス 2.3℃であるが、1日の 低気温は

マイナス7℃以下になることもある。このような環境のもとでも始動がスムーズになる

ような対策を施す必要がある。

2) 降雪条件

冬季(11 月から 3 月までの約 4 ケ月間)にはカブール市郊外では約 50cm 程度積雪す

るが、市街地内では 20cm程度積雪する。幹線道路は自動車交通量が多いため、常時積

雪することは少ないが、幹線道路以外の道路は積雪が残ることもあるため、チェーンを

常備する必要がある。

(3) 社会経済条件に対する方針

1) プロジェクト運営経費への配慮

「ア」国政府は主たる財源がないため、国家予算のほとんどを国際社会からの支援に

頼らざるを得ない現状である。また、「ア」国政府はプロジェクト経費だけではなく経常

経費(Recurrent cost)も含めて、いかに各ドナーから引き出すかが予算計画(NDB)の

実現にかかっている現状にある。したがって、本プロジェクトではバスの維持管理費抑

制にも配慮した機材調達内容とする。

2) ジェンダー問題への配慮

タリバーン政権下の「ア」国では、女性は教育を受けることも、仕事に就くことも禁

止されていた。しかし、国づくりには女性の参加が不可欠であり、ジェンダー問題に配慮

する必要がある。現在、カブール市内のバスの利用方法は男性は後方の扉から乗降し、女

性は前方の扉から乗降している。本プロジェクトでは前方の女性座席と後方の男性座席

の間にロープか鎖などで仕切りを設けることとする。

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3-4

(4) 調達事情に対する方針

カブール市内を走行している一般車両はほとんど日本製であり、また、その品質が高

く評価されている。そのため「ア」国は、バスについて日本製とすることを強く望んで

いる。しかしながら、大型バスは日本において製造しているメーカー数が限られるため、

入札時の競争性および公平性確保の観点より調達適格国は日本に加え、アセアン加盟国

または台湾とする。ただし、バスの寿命を左右するエンジンとシャシーについては十分

な品質を確保するため日本製とする。ミニバスについては入札時の競争性が確保できる

ため日本製とする。

(5) 実施機関の運営・維持管理能力に対する対応方針

国営バス公社のワークショップ職員は、保有するバスのエンジンの分解・修理や車両全

体の分解・修理・組み立て作業は日常的にやっており、メンテナンスに関する技術を十分

有している。しかし、本プロジェクトで調達予定である 新のバスについては扱った経験

がないこと、また、運行台数も増えることから、運営・維持管理方法の技術移転を目的と

して、ソフトコンポーネントによる指導を行う。

一方、カブール空港(国営アリアナ・アフガン航空)は製造後 30 年以上経過したバス車

両を修理しながら使用していること、他のバス車両も維持管理していること等から本プロ

ジェクトでバスが調達されても問題は生じないと思われる。

(6) 機材等の範囲、グレードの設定に対する方針

1) バス

本プロジェクトで調達されるバスはカブール市の交通事情および道路状況に見合った

仕様とする。また、仕様は入札時の競争性が十分確保されるものとする。

カブール市の交通事情は急激なタクシーの増加、交通マナーの悪さから朝夕の通勤時

には特に渋滞がひどく、交差点で進路変更等が困難な時も多い。また、カブール市の道

路状況は舗装の剥がれ等があることから、これらを回避しながらの運行を余儀なくされ

ている。これらの状況を考慮し、本プロジェクトで調達されるバスは機動性の良い車両

とする。また、道路巾員が狭いバス路線にはミニバスを配備することとする。

2) 修理用機材

本プロジェクトの車庫は国営バス公社が所有するクチサンギ車庫(Kuti Sangi Depot)が

予定されているが、車庫としての施設は皆無の状況である。したがって、調達バスの維

持管理を行うための必要 低限の修理用機材についても本プロジェクトに含める。

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3-5

3) スペアパーツ

国営バス公社の経営状況から、バスが適切に維持されるために必要なスペアパーツを

本プロジェクトに含める。

4) 関連法規

本プロジェクトの基本設計に当たっては、「ア」国独自の法規が整備されていないため、

以下に示す国際規格並びに日本規格を適用する。

- 日本工業規格 (JIS)

- 電気規格調査会標準規格 (JEC)

- 日本電気工業会規格 (JEM)

- 国際電気標準会議規格 (IEC)

(7) 実施機関の運営・維持管理能力に対する対応方針

本プロジェクトでバスが調達された場合、運転手および車掌、計 222 人の増強が必要と

なる。運転手は戦前に運転手として国営バス公社で働いていた職員が復職を希望しており、

国営バス公社は待機者リストを作成している。その数は約 600 人にのぼることから不足運

転手の雇用には支障ないと判断できる。

また、維持管理技術者については、現在 110 台運行しているバス台数に対し、120 人のス

タッフを雇用していることから、本プロジェクトのバス車両維持には現在雇用のスタッフ

で対応できると判断した。

(8) 調達方法、工期に係る方針

1) スペアパーツ調達体制およびアフターサービス体制

本プロジェクトで調達するバスのアフターサービス体制については、バス納入メーカ

ーがカブール市内に現地代理店を設けることを条件付けし、ユーザーである国営バス公

社や国営アリアナ航空からのスペアパーツの注文やバスの故障について迅速な対応が取

れるように配慮する。

2) 資機材の輸送経路、荷揚港における関税手続き、輸送日数等

本プロジェクトで調達するバス、スペアパーツおよび修理用機材は、パキスタンのカ

ラチ港に陸揚げされ通関の諸手続きを済ませた後、自走またはトラックによるトレーラ

ー輸送にてパキスタン国内のペシャワール経由、 終目的地であるカブールへ向かうこ

とになる。カラチ港における通関手続きは通常の手続きであるが、内陸輸送の延長距離

は、約 2,000km である。このため、日本の港を出航してからカブールに到着するまで 45

日程度を輸送期間として見込む必要がある。

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3-6

3-2-2 基本計画

カブール市の公共交通需要の現状はバスの絶対数が不足しているためバス需要と運行

状況には大きな乖離がある。一方、本プロジェクトでバスが調達されたとしても、カブー

ル市全体の公共交通需要を満たすレベルに達するものではない。このため本プロジェク

トで調達されるバスは費用対効果の高い路線を選定して、機材の有効活用を図ることと

する。すなわち、新規調達されるバスは利用者需要が高く、かつ、バスを運営する国営

バス公社にとっても運行効率の良い路線に配備することとする。

このため JICA 開発調査「カブール市緊急復興支援調査」の結果と実施機関である国営

バス公社の維持管理能力並びにバス利用者需要や道路状況などの現地調査結果を踏まえ

て、優先バス路線を選定し、それらの優先路線に配備することとした。本プロジェクトの

バス調達台数決定までの手順を以下に示す。

一方、カブール空港の送迎用バスについては空港を利用する旅客人数から必要バス台

数を算定した。

「カブール市緊急復興支援調査」

結果のレビュー

必要バス台数の算定

優先路線の選定

本プロジェクトの 調達バス台数

要請台数 公共バス:92台(大型バス) :20台(ミニバス) 空港内送迎バス:6台(大型バス)

「ア」国側関係機関との協議

および現地調査

図3-2-1 バス調達台数決定の手順

(1) 「カブール市緊急復興支援調査」のレビュー

本プロジェクトは JICA が実施した「カブール市緊急復興支援調査」(マスタープラン調

査)の結果を踏まえて立案する。

この調査の主な業務内容はカブール市、特に南西地域開発計画および公共交通整備計画

等のマスタープランの策定であり、提案された諸計画のうち、特に本プロジェクトに関連

する計画案は以下のとおりである。

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3-7

① カブール市南西部地域開発計画

② 7 箇所における学校建設計画

③ 既存道路の緊急整備計画

④ バス道路の整備計画

⑤ バスターミナル施設整備計画

⑥ バス停留所改善計画

⑦ バスのワークショップ、車庫等の整備計画

1) 交通量

「カブール市緊急復興支援調査」の交通量調査結果をみると、公共交通の利用者数の割

合は市内中心部(中心部 1~3km の範囲)で全体の 8 割がバスとタクシーの利用者であ

る。その内訳はバス 48%、タクシー33%と若干バス利用者の方が多い(表 3-2-1 および

図 3-2-2 参照)。

バス利用者について国営バス公社のバスと民間のバス利用者の比率を見ると、国営バ

ス公社のバス利用者はバス利用者全体の約 1 割に過ぎない。すなわちバス利用者の多く

は民間バス利用者となっている。

表3-2-1 カブール市輸送モード別輸送人員数(一日当たり)

公共輸送 方向別 輸送人員 乗用車と

貨物車 自転車 バス タクシー 合計

①北 西 82,000 3,000 1,000 64,000 14,000 78,000②北 389,000 21,000 38,000 201,000 129,000 330,000③北 東 95,000 9,000 4,000 20,000 62,000 82,000④北北東 33,000 2,000 2,000 24,000 5,000 29,000⑤東 131,000 9,000 11,000 68,000 43,000 111,000⑥東 南 98,000 4,000 14,000 52,000 28,000 80,000⑦南 78,000 6,000 10,000 40,000 22,000 62,000⑧南 西 251,000 13,000 60,000 101,000 77,000 178,000⑨西 140,000 8,000 24,000 57,000 51,000 108,000合 計 1,297,000 75,000 164,000 627,000 431,000 1,058,000輸送構成 5.8% 12.6% 48.3% 33.2% 81.6%

(注)方向別番号は図 3-2-3 の番号に一致している。出所:「カブール市緊急復興支援調査」

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3-8

タクシー

33%

バス

48%

自転車

13%

乗用車と貨物車

   6%

図3-2-2 カブール市モード別輸送力構成比

出所:「カブール市緊急復興支援調査」

図 3-2-3 のとおり、現状でのカブール市における公共交通需要は、市内中心部から「②北」

方向および「⑧南西」方向からの利用者が多く、この両地区からの交通需要でカブール市の

公共交通需要の半分を占める。次いで、「⑤東」と「⑨西」の両方向からの需要が大きい順と

なっている。この 4 方向からの交通需要が全交通需要の 7 割を占める交通パターンとなっ

ている。

出所:「カブール市緊急復興支援調査」

図3-2-3 カブール市公共交通需要希望線(人/ピーク時ベース)

lower: Outbound Demand (persons/hour)upper: Inbound Demand (persons/hour)

3,300

1,200

14,100

2,500

3,600

6,100

2,100

4,600

4,300

4,100

1,300

15,200

4,300

4,700

9,100

2,300

6,700

4,900

上段:上り方向需要(人/時) 下段:下り方向需要(人/時)

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3-9

2) 交通量のピーク時間

交通量のピーク時は朝と夕方の2回で、朝は 8:00~10:00 まで、夕方は 16:00 頃となっ

ている。カブール市中心部における交通量の時間別変化を図 3-2-4 に示す。

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000 人

5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 時

自転車 タクシー 一般車 バス公社 民間バス トラック

図3-2-4 カブール市中心部におけるモード別トリップ数/時間

(2) バス需要台数の算定(26バス路線に必要なバス台数の算定)

2002 年 11 月現在、国営バス公社は 110 台のバスでカブール市内の 26 バス路線を運行し

ている。26 バス路線に必要なバス台数を以下のような条件および方法で算出した(表 3-2-2

参照)。

・ バス利用者の需要量は上記 JICA 開発調査(公共交通全体の 60%を国営バス公社が担

うこととしている)で推計したバス利用者の需要量をベースに算出する。

・ 26 路線に必要なバス台数の算出は、現在のピーク時間における 170%程度の乗車率(定

員 70 人に対して約 120 人が乗車)を 120%程度(定員 70 人に対して約 85 人が乗車)

に改善した場合に必要なバス台数とした。

・ この必要なバス台数から現在運行中のバス台数を差し引いた台数が新規調達を必要と

するバス台数とした。

上記の条件および算出方法で計算した結果、表 3-2-2 に示すように 492 台の大型バスが必

要となる。現在 110 台のバスが運行されているため、今後 492-110=382 台の大型バスが

必要となる。

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3-10

表 3-2-2 26 バス路線に必要なバス台数の算定

適   用

上り方向 下り方向 (回/時) (%) 上り方向 下り方向 上り方向 下り方向 上り方向 下り方向 (人/台) (台) 上り方向 下り方向 合計(人) (人) (台) (台) (人) (人) (人) (人) (台) (台) (台)

(A) (B) (C) (D) (E) (F) (G) (H) (I) (J) (K) (L) (M) (N) (O) (P) (R)1 862 501 1.36 1.68 2 1 231 116 631 385 85 3 5 3 82 1,824 1,692 1.09 1.40 5 3 463 278 1,361 1,414 85 8 15 15 303 1,824 1692 1.18 1.98 2 2 201 201 1,623 1,491 85 4 16 15 314 1824 1,692 1.20 1.63 1 1 102 102 1,722 1,590 85 2 17 16 335 859 500 1.25 1.77 1 1 106 106 753 393 85 2 7 4 116 906 667 1.28 1.52 1 1 109 109 798 559 85 2 7 5 128 939 719 1.01 1.42 5 4 429 343 510 376 85 9 6 4 109 667 667 1.41 1.52 2 1 240 120 428 547 85 3 4 5 9

10 906 667 1.88 1.25 1 1 160 160 747 508 85 2 5 3 812 980 860 1.55 1.68 2 2 264 264 717 597 85 4 5 5 1013 980 860 1.55 1.68 2 1 264 132 717 728 85 3 5 6 1115 939 719 1.40 1.68 2 2 238 238 701 481 85 4 6 4 1016 980 860 1.88 1.68 2 2 320 320 660 540 85 4 4 3 717 780 720 1.01 1.78 4 4 343 343 437 377 85 8 5 4 919 1,824 1,692 1.43 1.83 2 1 243 122 1,581 1,570 85 3 13 13 2625 1,410 990 1.65 1.95 5 4 701 561 709 429 85 9 5 3 426 906 667 1.02 1.53 5 4 434 347 473 321 85 9 5 4 1028 917 675 1.00 1.97 1 1 85 85 832 590 85 2 10 7 1729 917 675 1.09 1.93 4 2 371 185 547 490 85 6 6 5 1130 942 721 1.00 1.35 1 1 85 85 857 636 85 2 10 7 1731 859 500 1.33 1.77 2 2 226 226 633 273 85 4 6 2 834 1339 919 2.09 1.67 1 1 178 178 1,161 741 85 2 7 4 1135 1,824 1,692 1.55 1.45 1 1 132 132 1,692 1,560 85 2 13 12 2543 1339 919 1.66 1.80 5 4 706 564 633 355 85 9 4 3 7101 1,343 922 1.00 1.53 1 1 85 85 1,258 837 85 2 15 10 25105 1,410 990 1.22 1.92 1 1 104 104 1,306 886 85 2 13 9 22

合計 110 382 492

新たに必要なバス台数既存バス路線番号

既存の運行バス台数の合計

既存の運行バス台数で輸送可能な

利用者数

既存バス台数で輸送出来ない利用者

必要バス車両の輸送容量

バス利用者数

1時間の運行回数(往復回数)

バスの乗車率

既存の運行台数

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3-11

(3) 優先路線の選定

現在国営バス公社が運行している 26 バス路線の特徴は運行距離が比較的短い(5kmから 7km)市街化地域内をサービスする路線、および運行距離が比較的長い(10kmから 19km)市街化地域と郊外の住宅地域をサービスする路線に大別できる。

限られたバスを費用対効果の高い路線に配備するため優先路線を選定する。本プロ

ジェクトの対象とする優先路線は以下の評価項目と評価基準で選定することとした。

表3-2-3 優先路線選定基準と評価方法 評価項目 優先理由 評価方法

① 路線沿線上の人口密度 路線沿線上の人口密度が

高く、バス運行の利用者需

要が高い路線、裨益人口が

多くなる路線を優先する。

「5点」バスの起終点が市街

化地域内にある路線、終点が

市街化地域より郊外部に外

れる路線は距離に応じて減

点とする。「1 点」郊外部に起

終点をもつ路線 ② 運行回数 バス運行路線延長が短く、

バスの運行頻度が多くな

ることによって利用乗客

数が多い路線を優先する。

「5 点」5km 以内、「4 点」5~7km、「3 点」7~10km、「2点」10~15km、「1点」15km以上。

③ 既存道路の舗装状態 バスの寿命の観点から比

較的良好に維持管理され

た道路を優先する。

「5 点」良好、「4 点」やや良い、

「3点」普通、「2 点」不良、「1

点」未舗装。 ④ JICA 開発調査との

関連 JICA 開発調査「カブール

市緊急復興支援調査(南西

部地域)」の対象地区およ

びその一環として整備し

ている学校や道路に関連

するバス路線を優先する。

南西部地域内、日本の援助に

よる学校および道路整備事

業に直接係わる路線。「5 点」

いずれにも該当する路線、「3点」どれかに該当する路線、

「2 点」どれにも該当しない

路線。 (注)評価方法は 5 段階で 5 点を 高点とする。

その結果、路線別優先順位は表 3-2-4 に示すとおりである。

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3-12

表3-2-4 優先順位評価結果 評 価 項 目

バス

路線番号

バス路線

延長

(km)

路線沿線

上の人口

密度

運行回数 既存道路

舗装状態

JICA 開発

調査との

関連

合計点

優先順位

15 4.3 5 5 5 3 18 1

26 4.6 4 5 4 5 18 2

6 4.6 5 5 5 3 18 3

34 4.8 5 5 5 2 17 4

43 5.1 5 4 5 3 17 5

8 5.2 4 4 4 3 15 6

31 7.3 3 3 4 4 14 7

9 8.0 3 3 5 4 15 8

5 9.7 4 3 5 3 15 9

17 6.2 3 4 5 2 14 10

25 5.8 3 4 5 2 14 11

16 5.4 3 4 2 2 11 12

12 5.5 3 4 2 2 11 13

13 5.6 3 4 2 2 11 14

10 6.3 1 4 3 3 11 15

19 7.3 2 3 2 2 9 16

3 9.6 2 3 2 2 9 17

1 10.0 2 2 2 2 8 18

4 10.2 1 2 2 2 7 19

2 12.5 2 2 2 2 8 20

28 13.0 1 2 2 3 8 21

30 13.5 1 2 2 3 8 22

29 15.0 1 2 2 3 8 23

105 16.0 1 1 2 2 6 24

35 17.3 1 1 2 2 6 25

101 19.0 1 1 2 2 6 26

上記について国営バス公社と協議し、優先順位別に必要バス台数を割り当てた結果

を表 3-2-5 に示す。

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3-13

表3-2-5 国営バス公社の必要バス台数および路線別優先順位 (A) (B) (C) (D) (E) (F) (G)

バス路線

番号

バス路線

延長

(km)

運行中の大型

バス台数

(台)

必要大型

バス台数

(台)

今後調達

大型バス

台数(台)

路線整備

優先順位

調達バス台数

の累計

(台)

15 4.3 4 14 10 1 10

26 4.6 9 19 10 2 20

6 4.6 2 14 12 3 32

34 4.8 2 13 11 4 43

43 5.1 9 16 7 (17) 5 50

8 5.2 9 19 10 6 60

31 7.3 4 12 8 7 68

9 8.0 3 12 9 8 77

5 9.7 2 13 11 9 88

17 6.2 8 17 9 10 97

25 5.8 9 13 4 11 101

16 5.4 4 11 7 12 108

12 5.5 4 14 10 13 118

13 5.6 3 14 11 14 129

10 6.3 2 10 8 15 137

19 7.3 3 29 26 16 163

3 9.6 4 35 31 17 194

1 10.0 3 11 8 18 202

4 10.2 2 35 33 19 235

2 12.5 8 38 30 20 265

28 13.0 2 19 17 21 282

30 13.5 2 19 17 22 299

29 15.0 6 17 11 23 310

105 16.0 2 24 22 24 332

35 17.3 2 27 25 25 357

101 19.0 2 27 25 26 382

合 計 110 492 382

注:( )内の台数は大型バスをミニバスに換算した必要台数

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3-14

図3-2-5 26バス路線の配置のイメージ図

(4) バス車両形式

市内路線バス

選定されたバス路線を運行するバスの車両形式は、①既存バスの車両形式(定

員:70 名程度)および②バス路線毎の既存道路幅員等を考慮して設定する。ただ

し、選定された優先路線のうち No.43 のバス路線は道路幅が狭いことから、同路線

はミニバス車両を選定する。

カブール空港バス

カブール国際空港の旅客送迎用のバス車両形式は、調達時期および入札時の競争

性の観点から、市内バスと同形式の大型バス車両とする。ただし、座席の配置計画

は異なる。

(5) 調達バス台数の決定

市内路線バス

本プロジェクトで調達するバス台数の算定は「ア」国側の要請を基本とし、各優

先路線別にバスを配備した結果、本プロジェクトの対象とする路線は総合評価で

1 4 2 3 9 35

Location of Project Bus Routes

10113 16 17

12

15

43

34

5

* 10525

Urban Area

30 31 * * *

8

27

* * * 9 626 N

Legend Sub-Urban Area

Existing Bus RouteHigh Priority Existing Bus Route

* School Under-construction by Japanese Government1 Existing Bus Route Number 10

Inter national Air Port 28

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3-15

14 点以上(100 点満点とすると 70 点以上)に配備することとする。

調達バス台数は 10 路線に大型バス 94 台、路線番号「No.43」バス路線にはミニバ

ス 17 台が妥当と判断した。対象バス路線として選定された 11 バス路線を図 3-2-6に示す。

表3-2-6 本プロジェクトの対象バス路線と調達バス台数

優先順位 対象バス路

線番号 バス路線延長

(km) 現在運行中の

バス台数(台) 調達バス台数

(台) 調達バス形式

1 15 4.3 4 10 大型バス 2 26 4.6 9 10 大型バス 3 6 4.6 2 12 大型バス 4 34 4.8 2 11 大型バス 5 43 5.1 9 17 ミニバス 6 8 5.2 9 10 大型バス 7 31 7.3 4 8 大型バス 8 9 8.0 3 9 大型バス 9 5 9.7 2 11 大型バス 10 17 6.2 8 9 大型バス 11 25 5.8 9 4 大型バス

合 計 61 台 大型バス 94 台

ミニバス 17 台

カブール空港バス

カブール国際空港のエプロンに駐機している民間航空機と旅客ターミナルビル

間の旅客送迎用バスの調達台数算定は、民間航空機の乗降客全員がバスを利用でき

る台数とした。また、バス1台あたりの輸送容量は民間航空機からの乗降客の多く

は両手に荷物を持つことを考慮して約 50 名程度と設定する。 新の旅客データに

よれば、1機当たりの乗客数は 178 名が 大人数であったため、旅客送迎用バスの

台数は 4 台(178/50=3.6 台)とする。

将来、旅客者数が増加し A-300(245 座席)が満席で、2 機同時離発着のケース

を想定しても、航空機1機に対して2台のバスを配備することができるため、大半

の乗客は待たずにバスを利用できる。もし、スタンバイしているバスに乗れない乗

客でも、バスが航空機と旅客ターミナルビルの間を往復するのにかかる時間は乗り

降りを含めても約 4 分であることから、待っても2分程度でバスを利用できる。

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3-16

以上から本プロジェクトで調達するバス台数は以下のとおりである。

表3-2-7 要請台数と本プロジェクトで調達するバス台数の比較 区分 バスタイプ A.要請台数 B.計画台数 増減(B-A)

大型バス 92 台 94 台 2 台増 市内路線バス ミニバス 20 台 17 台 3 台減

カブール空港バス 大型バス 6 台 4 台 2 台減

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3-17

図 3-2-6 本プロジェクト対象 11 バス路線図

(8)

(31)

(26)

(6)

(9)

(25)

(34)

(43)

(17)

(15)

(5)

クチサンギ車庫 (本プロジェクト対象)

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3-18

(6) 維持管理計画

市内路線バス

1) 維持管理施設

本プロジェクトで調達されるバスはクチサンギ車庫で管理する予定となってい

る。この車庫は駐車スペースは十分であるが、維持管理施設、修理のための機材等

は全くないため、本プロジェクトでバスの維持に必要な 低限の施設は確保する必

要が有る。

① 車庫(保管予定場所)には廃棄された多くのバスが放置されているため、国営

バス公社はこの敷地を整備する前にこれらのバスを撤去する必要がある。

② 車庫は運行管理、スペアパーツ保管、修理場等の施設がないことから、無償資

金協力の工期内で可能な施設をソフト・コンポーネントで整備する必要性があ

る。

2) 維持管理能力

国営バス公社は、現在の状況下でもエンジンを分解・修理する技術、あるいはバ

ス全体を分解・修理・組み立て等を行っており、バスを修理する技術は十分有して

いる。また、部品の在庫管理はコンピューター化されていないが、台帳で管理して

いる。部品を管理する能力も保有しているため、ソフト・コンポーネントによる技

術指導を行えば、本プロジェクトで調達されるバスが増加しても運営・維持管理に

支障はないと思われる。

国営バス公社は本プロジェクトが実施された場合の要員計画について、現在、維

持管理要員は余裕があることから現有職員で対応する計画である。また、運転手に

ついては、過去に同公社で運転手をしていた退職者が職場復帰を希望していること

から、これらの希望者の中から雇用する計画である。したがって、運転手の確保に

も支障ないと思われる。

カブール空港バス

1) 維持管理施設

本プロジェクトで調達するバスは、国営アリアナ・アフガン航空(アリアナ航空)

のカブール空港施設内のワークショップで維持管理する予定となっている。このワ

ークショップのスペースはあまり広くはないが、調達予定台数が 4 台のみであるこ

とから支障はない。しかし、既存の修理用機材が手工具類しかない状態であるので、

本プロジェクトで必要な修理用機材を調達する必要がある。

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3-19

2) 維持管理能力

国営アリアナ航空は製造後 30 年以上経過したバスを修理しながら使用している

こと、また、他の車両も維持管理していることなどから本プロジェクトでバスが調

達されても、その維持管理に問題はないと思われる。

本プロジェクトが実施された場合の要員計画については、調達予定台数が 4 台の

みであることから、アリアナ航空の現在の地上サービス職員で対応可能である。

(7) 機材計画

1) バス

① バス車両について

本プロジェクトで調達されるバスは機動性の良い車両を選定することとし車

長が 9.8~11.2m 程度のものを採用する。この場合回転半径は約 10m で乗客定員

は約 70 名程度となる。

また、空港用バスについては、調達納期および入札時の競争性を考慮して基本

仕様は国営バス公社が調達するバスと同等仕様とするが、空港の旅客者は荷物を

持って乗降する人が多いことから乗降の容易性を考慮した仕様とする。

② 排ガス基準

「ア」国では排ガス規制が制定されていないが、本プロジェクトでは欧州規格

(EURO2)に対応できる基準を適用する。

③ サスペンションについて

カブール市の道路状況は悪く振動がかなり発生するため、サスペンションにつ

いては悪路に適した仕様とし、板バネ、エアサスペンションまたは板バネとエア

サスペンションの併用等を考慮した仕様とする。なお、空港用バスについては、

悪路等の条件がないことから維持管理の容易性、快適性を考慮した仕様とする。

④ トランスミッションについて

国営バス公社が現在使用しているバスは 2002 年にイラン国から供与されたバ

ス 5 台を除き、他のバスは全てマニュアル・トランスミッションである。同公社

の職員はマニュアル・トランスミッションの維持管理になれており、走行燃費に

も優れていることから同仕様とする。

また、空港用バスについては、現在使用しているバスがマニュアル・トランス

ミッションであるため、国営バス公社と同様に維持管理面を考慮して、同一仕様

とする。

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3-20

⑤ 床高について

日本のバスメーカーが製造可能な輸出用仕様として、市内路線バスで 大 995mm、空港旅客送迎用バスで 950mm とする。

⑥ 暖房装置について

「ア」国では冬期にはマイナス 7℃近くになることがあるため、社内には適切な暖房装

置を設置する。

2) 修理用機材

修理用機材としてはエンジン、トランスミッション、ブレーキ、ホィール、等の

点検・修理を中心とした機材を選定し、コンテナー内にそれらの機材を設置・据付

する計画とする。本プロジェクトでは工期上の制限もあり、比較的軽微な修理を対

象とした機材としたが、将来的には国営バス公社中央センターの修復あるいは本格

的なワークショップの新設が必要となる。

一方、カブール国際空港についても国営バス公社と同様の修理用機材とするが、

「カブール国際空港整備計画」で要請された修理用機材は重複を避けるため、本プロ

ジェクトからは除外する。

3) スペアパーツ

バスを適正に維持管理するためには、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、

クラッチの点検、整備が重要である。これらの交換部品は、市内路線バスに対して

国営バス公社の財務状況からして約 5 年間分(約 15 万 km 走行相当分)、また、カ

ブール空港送迎用バスに対しては、国営アリアナ航空の財政能力から約 3 年間分と

する。

4) 機材仕様

本プロジェクトで調達予定の大型バス、ミニバス、スペアパーツおよび修理用機

材の仕様を以下に示す。

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3-21

国営バス公社用大型バス仕様

1. シャシー、エンジン仕様 番号 項 目 仕 様 備 考

1. 主仕様 (1) 車両型式 大型市街地公共輸送バス

低燃費および低騒音仕様エンジン 外気温-7℃時始動可能仕様

各設備の仕様は冬季の外気温度に十分耐えうる仕様とする

(2) ハンドル位置操作 左ハンドル、前 (3) エンジン位置 リアマウント縦または横型エンジン (4) シャシー形式 フレームタイプシャシー (5) 駆動方式 4 x 2 後輪駆動 (6) 乗車定員 最低 70 名 (7) 車両総重量 最低 13,500 kg 乗員重量 70 名 x 65kg

= 4,550kg (8) 設計条件

1) 設計外気温度 -7~ 35 ℃ 2) サイト標高 海抜 1,800m 3) 暖房設備 冬季の条件に従い必要な容量を確保

すること

(9) ステアリング パワーステアリング

2. 主寸法 (1) 軸間距離 最低 5,000 mm (2) 全長 9,800 - 11,200 mm (3) 全幅 2,350 - 2,500 mm (4) 全高 最大 3,300 mm (5) 車内有効高さ 最低 2,000 mm (6) フロントトレッド 約 2,000 mm (7) リアトレッド 約 3,000 mm (8) ファーストステップ高さ 約 365 mm (9) 車内床高さ 最高 995 mm

(10) 最低地上高 最低 260 mm

3. 性 能 (1) 最高速度 約 100 km/h (2) 最小回転半径 最大 10 m

4. エンジン

(1) 型式 直接噴射ディーゼルエンジン (2) 使用燃料 ディーゼル油 (3) サイクル 4 サイクル (4) シリンダー数 直列 6 シリンダー (5) 冷却方式 ラジエター水冷式 (6) 出力 最小 200 PS (7) トルク 最小 65 kg-m

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3-22

番号 項 目 仕 様 備 考 (8) 燃料消費量 最小 2.8 km/リッター(市内走行時)

(9) 排気ガス EURO2 と同等の排ガス仕様とする

5. 燃料設備 (1) 燃料タンク容量 最小 150 リッター (2) フィルター 二重フィルターまたはセパレター式 (3) 燃料噴射ポンプ 直列プランジャー式リミットスピード調

節器型

6. 主オイルフィルター

(1) 型式および容量 エンジンの要求仕様に基づく

7. エアクリーナー (1) 型式 濾紙式エレメント交換型

8. トランスミッション

(1) 型式 マニュアル式前進 5 速以上、後進 1速

9. 車 軸

(1) 軸型式 4 輪独立または固定型サスペンション (2) 駆動軸 引張式、フロート式 (3) 前軸許容荷重 約 4.5 トン (4) 後軸許容荷重 約 9.0 トン

10. ブレーキ

(1) サービスブレーキ ディスクまたはドラム式、空気作動パワーブレーキ型

(2) パーキングブレーキ スプリングブレーキ式 (3) 他ブレーキ 排気ブレーキ

11. クラッチ

(1) 型式 乾式単板型油圧駆動・コイルスプリング作動式

12. サスペンション

(1) 型式 半楕円式リーフスプリング 悪路に対する強度を考慮した仕様とする

13. ホィール

(1) タイヤ数 前輪シングル、後輪ダブル (2) タイヤ 275/70R22.5-16PR または製造者標

準、ラジアルタイヤ

(3) スタッド 8 - 10 本

14. 電装品

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3-23

番号 項 目 仕 様 備 考 (1) 蓄電池 12 V, 120H (最小) x 2 個直列式 寒冷地での始動性等を

考慮 (2) 発電機 24V - 100 (最小) 寒冷地での使用に対

する容量を考慮 (3) ホーン 二重エレクトリックホーン

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3-24

2. 本体仕様 番号 項 目 仕 様 備 考

1. 座席数 約 25 席および 1 運転手

2. 本体構造 (1) 構造 高強度鋼材フレームタイプ、鋼板溶接 (2) 外板 高強度鋼板 (3) 床材 防水型圧縮合板滑り止め加工(ビニー

ルまたは同等品)

(4) 天井材 プラスチックプレートまたはビニール被服鋼板

(5) 内側側板 プラスチックプレートまたはビニール被服鋼板

(6) ダッシュボード、前方内装板 ダッシュボード:ビニール被服鋼板またはプラスチックプレートまたはメーカー標準 前方内装板:メーカー標準

(7) ステップ 滑り止め加工付き鋼板 (8) バッテリー保管場所 鋼板製、床下に収納(点検・整備の容

易性を考慮する)

(9) 断熱・遮音 エンジンルーム、外板と内側側板の間に断熱・遮音材を設置、また、その他必要な場所にも設置のこと

3. ドアー

(1) 一般項目 現在ドアポジションを運転席に表示 運行中はドア閉のインターロックおよびインターロック入り切りスイッチ設置 ドアエッジはゴム等で保護する 緊急時に内側、外側から扉の開閉を可能にする 前扉は外側からロック、後方扉は内側からロックとする

(2) ドアー数 右側 2 扉型(運転席横および後方の 2ヶ所)および非常用 1 扉設置

(3) 型式 電動空気作動内側折りたたみ式安全ガラス付き

(4) ドアー幅 前扉:最低 750 mm 後扉:最低 1,000 mm

(5) 駆動方式 運転手操作による油圧または空圧式

4. 窓 (1) フロントガラス 1枚又は2枚タイプのラミネイトされた安

全ガラス

(2) 横窓 スライド開閉型、安全ガラス (3) ドライバー横窓 スライド開閉型、安全ガラス (4) 後窓 1 枚タイプの安全ガラス

5. 座 席

(1) 運転席 クッション付き強化ビニールシート、肘

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3-25

番号 項 目 仕 様 備 考 掛けなし 座席高さ、前後移動の調整機能付き

(2) 乗客席 1) 型式 クッション付き強化ビニールレザーシー

ト、肘掛けなし

2) 配置 2 人掛け、1 人掛けを正面向き横 1 列 6. 電送設備

(1) ヘッドランプ 2 または 4 灯型 (2) 霧灯 2 灯、黄色、バンパーの両側 (3) 複合灯 2 灯、フロントの両側 (4) 後方複合灯 2 灯、リアの両側 (5) マーカー灯 4 灯、フロントおよびリアの両側 (6) バックランプ 2 白色、リアバンパーの下方 (7) 室内灯 通路天井設置、スィッチを運転席に設

置 床から 1m 高さの点で明るさ 100 ルックスを確保

(8) ステップランプ ステップの両側または中央に設置 (9) ブザー 後進ブザーを設置

(10) フロントウィンドーウォッシャー 電動ウォッシャー、フロントウィンドー下にノズル 2 個設置

(11) フロントウィンドーワイパー 2 スピード型

7. 換気 (1) 前換気 ハッチ型、フロントウィンドー下に設置 (2) 天井換気 3 換気口

8. 外装品

(1) バンパー 前後塗装鋼板バンパー (2) バックミラー 2 個、フロント両側 (3) 牽引フック フロントに 1 個 (4) 泥よけ ゴム製または人造ゴム製を各タイヤ後

ろに設置

(5) 行き先表示箱 手動式、前方 1 ヶ所、後方 1 ヶ所、サイド(右側)1 ヶ所設置

9. 内装品

(1) サンバイザー 運転席側にアクリル製サンバイザーを2 個フロントウィンドー上方に設置又はメーカー標準とする

(2) 運転席 計器類はメーカー標準、ただしタコグラフを設置 運転手背後にプラスチックパネルまたはメーカー標準パネルを設置

(3) 乗降確認ミラー 後方扉天井に設置 (4) ルームミラー 1 個のルームミラーをフロントウィンドー

上に設置

(5) 消化器 1 個を運転席の近くに設置

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3-26

番号 項 目 仕 様 備 考 (6) 救急箱 救急箱のみを運転席の近くに設置 (7) 車止め 2 個、鋼製または木製 (8) ラベル表示 表示ラベルは現地語または英語 (9) 放送設備 天井に 2 - 3 個のスピーカーと運転席

にマイクロホーンを設置

(10) 時計 運転席に 1 個 (11) 仕切り綱 1 本の可動式仕切り綱設置(男性乗客

と女性乗客の仕切り用)

(12) つり革、手摺り 2 本のつり皮付きステンレス製又はPVC カバーパイプ手摺りを天井に設置

(13) 降車ボタン 4 個扉付近に設置

10. シャシー塗装 (1) 錆止め シャシーの内側・外側に錆止め塗装

11. 他要求項目

(1) 緊急用標準工具 ドライバー用工具 (2) 三角標示板 1 個 (3) タイヤチェーン 1 組

12. 塗装

(1) 外側、内側 メーカー標準 (2) 仕上げ塗装色 施主の要求に基づく

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3-27

国営バス公社用ミニバス仕様

1. シャシー、エンジン仕様 番号 項 目 仕 様 備 考

1. 主仕様 (1) 車両型式 公共輸送バス

低燃費および低騒音仕様エンジン 外気温-7℃時始動可能仕様

各設備の仕様は冬季の外気温度に十分耐えうる仕様とする

(2) ハンドル位置操作 左ハンドル、前 (3) エンジン位置 リアマウント縦または横型エンジン (4) シャシー形式 フレームシャシー又はモノコック (5) 駆動方式 4 x 2 後輪駆動 (6) 乗車定員 最低 28 名 (7) 車両総重量 最低 5,800 kg 乗員重量 28 名 x

65kg = 1,820kg (8) 設計条件

1) 設計外気温度 -7 ~35 ℃ 2) サイト標高 海抜 1,800m 3) 暖房設備 冬季の条件に従い必要な容量を確保す

ること

(9) ステアリング パワーステアリング

2. 主寸法 (1) 軸間距離 約 3,500 mm (2) 全長 6,500 - 7,500 mm (3) 全幅 2,000 - 2,300 mm (4) 全高 最大 3,000 mm (5) 車内有効高さ 最低 1,800 mm (6) フロントトレッド 約 1,300 mm (7) リアトレッド 約 2,200 mm (8) ファーストステップ高さ 最高 360 mm (9) 車内床高さ 最高 770 mm

(10) 最低地上高 約 200 mm

3. 性 能 (1) 最高速度 約 120 km/h (2) 最小回転半径 最大 7 m

4. エンジン

(1) 型式 直接または間接噴射ディーゼルエンジン (2) 使用燃料 ディーゼル油 (3) サイクル 4 サイクル (4) シリンダー数 直列 6 シリンダー (5) 冷却方式 ラジエター水冷式 (6) 出力 最小 130 PS (7) トルク 最小 25 kg-m

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3-28

番号 項 目 仕 様 備 考 (8) 燃料消費量 最小 4.0 km/リッター(市内走行時) (9) 排気ガス EURO2 と同等の排ガス仕様とする

5. 燃料設備

(1) 燃料タンク容量 最小 80 リッター (2) フィルター 二重フィルターまたはセパレター式 (3) 燃料噴射ポンプ 直列プランジャー式リミットスピード調節

器型又はメカニカル調節器型

6. 主オイルフィルター

(1) 型式および容量 エンジンの要求仕様に基づく

7. エアクリーナー (1) 型式 濾紙式エレメント交換型

8. トランスミッション

(1) 型式 マニュアル式前進 5 速以上、後進 1 速

9. 車 軸 (1) 軸型式 4 輪独立または固定型サスペンション (2) 駆動軸 引張式、フロート式 (3) 前軸許容荷重 約 2.3 トン (4) 後軸許容荷重 約 3.5 トン

10. ブレーキ

(1) サービスブレーキ ディスクまたはドラム式、空気又は油圧作動パワーブレーキ型

(2) パーキングブレーキ スプリングブレーキ式 (3) 他ブレーキ 排気ブレーキ

11. クラッチ

(1) 型式 乾式単板型油圧駆動・コイルスプリング作動式

12. サスペンション

(1) 型式 リーフスプリングとショックアブソウバー併用型またはメーカー標準

悪路に対する強度を考慮した仕様とする

13. ホィール

(1) タイヤ数 前輪シングル、後輪ダブル (2) タイヤ 205/80R17.5-114 またはマーカー標準、ラ

ジアルタイヤ

(3) リムおよびホィール 5.25 x 17.5 またはメーカー標準 (4) スタッド 5 - 6 本

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3-29

番号 項 目 仕 様 備 考

14. 電装品 (1) 蓄電池 12 V, 80AH (最小) x 2 個直列式 寒冷地での始動性等

を考慮 (2) 発電機 24V - 70A (最小) 寒冷地での使用に対

する容量を考慮 (3) ホーン 二重エレクトリックホーン

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3-30

2. 本体仕様 番号 項 目 仕 様 備 考

1. 座席数 約 18 席および 1 運転手

2. 本体構造 (1) 構造 高強度鋼材フレームタイプ、鋼板溶接 (2) 外板 高強度鋼板 (3) 床材 防水型圧縮合板滑り止め加工(ビニー

ルまたは同等品)

(4) 天井材 プラスチックプレートまたはビニール被服鋼板

(5) 内側側板 プラスチックプレートまたはビニール被服鋼板

(6) ダッシュボード、前方内装板 ダッシュボード:ビニール被服鋼板またはプラスチックプレートまたはメーカー標準 前方内装板:メーカー標準

(7) ステップ 滑り止め加工付き鋼板 (8) バッテリー保管場所 鋼板製、床下に収納(点検・整備の容

易性を考慮する)

(9) 断熱・遮音 エンジンルーム、外板と内側側板の間に断熱・遮音材を設置、また、その他必要な場所にも設置のこと

3. ドアー

(1) 一般項目 現在ドアポジションを運転席に表示 ドアエッジはゴムで保護またはプレート折り込み(hem-pressed)とする ドアロックは内側からとする

(2) ドアー数 右側 2 扉型(運転席横および後方の 2ヶ所)及び非常脱出口を考慮する

(3) 型式 電動空気作動内側折りたたみ式またはスライド式、安全ガラス付き

(4) ドアー幅 最低 6000 mm (5) 駆動方式 運転手操作式

4. 窓

(1) フロントガラス 1 枚タイプのラミネイトされた安全ガラス (2) 横窓 スライド開閉型、安全ガラス (3) ドライバー横窓 スライド開閉型、安全ガラス (4) 後窓 1 枚タイプの安全ガラス

5. 座 席

(1) 運転席 クッション付き強化ビニールシート、肘掛けなし 座席の前後移動調整機能付き

(2) 乗客席 1) 型式 クッション付き強化ビニールレザーシー

ト、肘掛けなし

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3-31

番号 項 目 仕 様 備 考 2) 配置 2 人掛け、1 人掛けを正面向き横 1 列

6. 電送設備 (1) ヘッドランプ 2 または 4 灯型 (2) 霧灯 2 灯、黄色、バンパーの両側 (3) 複合灯 2 灯、フロントの両側 (4) 後方複合灯 2 灯、リアの両側 (5) マーカー灯 4 灯、フロントおよびリアの両側 (6) バックランプ 2 白色、リアバンパーの下方 (7) 室内灯 通路天井に蛍光灯又は白熱灯設置 (8) ステップランプ ステップの方側または中央に設置 (9) ブザー 後進ブザーを設置

(10) フロントウィンドーウォッシャー 電動ウォッシャー、フロントウィンドー下にノズル 2 個設置

(11) フロントウィンドーワイパー 2 スピード型

7. 換気 (1) 前換気 ハッチ型、フロントウィンドー下又は床

下に設置

(2) 天井換気 2 換気扇

8. 外装品 (1) バンパー 前後塗装鋼板バンパー (2) バックミラー 2 個、フロント両側 (3) 牽引フック フロントに 1 個 (4) 泥よけ ゴム製または人造ゴム製を各タイヤ後

ろに設置

(5) 行き先表示箱 手動式、前方 1 ヶ所、後方 1 ヶ所に設置

9. 内装品

(1) サンバイザー 運転席側にアクリル製サンバイザーを2 個フロントウィンドー上方に設置又はメーカー標準とする

(2) 運転席 計器類はメーカー標準、ただしタコグラフを設置 運転手背後にプラスチックパネルまたはメーカー標準パネルを設置

(3) 乗降確認ミラー 後方扉天井に設置 (4) ルームミラー 1 個のルームミラーをフロントウィンド

ー上に設置

(5) 消化器 1 個を運転席の近くに設置 (6) 救急箱 救急箱のみを運転席の近くに設置 (7) 車止め 2 個、鋼製または木製 (8) ラベル表示 表示ラベルは現地語または英語 (9) 放送設備 天井に 2 個のスピーカーと運転席にマ

イクロホーンを設置

(10) 時計 運転席に 1 個

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3-32

番号 項 目 仕 様 備 考 (11) 仕切り綱 1 本の仕切り綱(男性乗客と女性乗客

の仕切り用)

(12) つり革、手摺り 2 本のつり皮付きステンレス製手摺りを天井に設置

(13) 降車ボタン 2 個扉付近に設置

10. シャシー塗装 (1) 錆止め シャシーの内側・外側に錆止め塗装

11. 他要求項目

(1) 緊急用標準工具 ドライバー用工具 (2) 三角標示板 1 個 (3) タイヤチェーン 1 組

12. 塗装

(1) 外側、内側 メーカー標準 (2) 仕上げ塗装色 施主の要求に基づく

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3-33

国営バス公社用スペアパーツリスト

員 数 番号 パーツ名称

大型バス ミニバス 1. エンジン/トランスミッション

(1) シール(クランク用) 1 組/台 1 組/台 (2) シール(クランクシャフト用) 1 組/台 1 組/台 (3) ガスケットセット(エンジン用) 1 組/台 1 組/台 (4) スターター 10 組 2 組 (5) サイレンサー 10 組 2 組 (6) トランスミッション 10 組 2 組 (7) デバイス 10 組 2 組

2. 燃料/潤滑油設備 (1) ノズル(燃料噴射ポンプ) 10 個/台 10 個/台 (2) エレメント(エンジン潤滑油フィルター) 5 個/台 5 個/台 (3) エレメント(他潤滑油フィルター) 5 個/台 5 個/台 (4) ガスケット(ストレーナー用) 5 組/台 5 組/台 (5) ドレンプラグ 5 組/台 5 組/台 (6) オイルポンプ 10 組 2 組 (7) 燃料噴射ポンプ 10 組 2 組

3. 冷却設備 (1) ファンベルト(使用している各タイプ) 2 組/台 2 組/台 (2) ホース(使用している各タイプ) 2 組/台 2 組/台 (3) フィルターキャップ 2 個/台 2 個/台 (4) ラヂエターキャップ 2 個/台 2 個/台

4. 圧縮空気設備 (1) 吸気フィルター 5 組/台 5 組/台 (2) 排気フィルター 5 組/台 5 組/台 (3) 圧縮機冷却用ベルト 2 組/台 2 組/台 (4) 圧縮機用ベルト 2 組/台 2 組/台

5. ブレーキ装置 (1) 前輪用シュウ 3 組/台 3 組/台 (2) 後輪用シュウ 3 組/台 3 組/台 (3) 前輪用ライニングセット 3 組/台 3 組/台 (4) 後輪用ライニングセット 3 組/台 3 組/台 (5) 前輪用フレキシブルホース 3 組/台 3 組/台 (6) 後輪用フレキシブルホース 3 組/台 3 組/台

6. クラッチ (1) ディスク 5 個/台 5 個/台 (2) ベアリング 5 個/台 5 個/台 (3) スプリング 5 個/台 5 個/台

7. 車軸/車輪 (1) シールドビーム 3 個/台 3 個/台 (2) ロットエンド(タイロット用) 3 個/台 3 個/台 (3) ワッシャー(フロントホィール用) 3 個/台 3 個/台 (4) ナット(前輪軸ハブベアリング用) 3 個/台 3 個/台 (5) ナット(後輪軸ハブベアリング用) 3 個/台 3 個/台

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3-34

員 数 番号 パーツ名称

大型バス ミニバス (6) ナット(後輪内側用) 3 個/台 3 個/台 (7) ナット(ホィールピン用) 3 個/台 3 個/台 (8) ナット(ホィールピン用) 3 個/台 3 個/台 (9) キングピンセット 3 個/台 3 個/台

(10) 前輪ピン 3 本/台 3 本/台 (11) 後輪ピン 3 本/台 3 本/台 (12) ベアリング(前輪軸ハブ内側用) 3 個/台 3 個/台 (13) ベアリング(前輪軸ハブ外側用) 3 個/台 3 個/台 (14) ベアリング(後輪軸ハブ内側用) 3 個/台 3 個/台 (15) ベアリング(後輪軸ハブ外側用) 3 個/台 3 個/台 (16) シール(前輪軸ハブ用) 3 個/台 3 個/台 (17) シール(後輪軸ハブ用) 3 個/台 3 個/台 (18) ブッシング(フロントシャックル用) 3 個/台 3 個/台 (19) ブッシング(リアシャックル用) 3 個/台 3 個/台 (20) ショックアブソーバー(前輪軸用) - 3 個/台 (21) ショックアブソーバー(後輪軸用) - 3 個/台

8. 電気設備 (1) ヒューズユニット(各タイプ) 10 組/台 10 組/台 (2) ヒューズホルダー 10 組/台 10 組/台 (3) 油圧スイッチ 10 組 2 組 (4) 温度計装置 10 組 2 組 (5) ヘッドライト 10 組 2 組 (6) フロントライト 10 組 2 組 (7) リアライト 10 組 2 組 (8) マーカーライト 10 組 2 組 (9) フロントライトレンズ 10 組 2 組

(10) フラッシャー装置 10 組 2 組 (11) 発 電 機 10 組 2 組

9. 他の部品 (1) ワイパーブレード 10 組 2 組 (2) ワイパーラバー 10 組 2 組 (3) ワイパー 10 組 2 組 (4) 外側ミラー 10 組 2 組 (5) フロントウィンドー 10 組 2 組 (6) リアウィンドー 10 組 2 組 (7) 客室ガラス 10 組 2 組 (8) タイヤ 30 組/台 30 組/台

10. 特殊工具 (1) 冷却装置用工具 10 組 2 組 (2) スターター用工具 10 組 2 組 (3) オイル装置用工具 10 組 2 組 (4) クラッチ用工具 10 組 2 組 (5) ブレーキ用工具 10 組 2 組 (6) コンピューターシステム検査器 10 組 2 組

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3-35

国営バス公社用修理設備工具仕様書

番 号 仕 様 数 量 備 考 1 修理設備工具 (1) ディーゼルエンジン駆動発電機・溶接機 1 台 予備品付き

タイプ:防音、ディーゼルエンジン駆動 発電機能力:18kVA, 50Hz 溶接機能力:2 人使用時 200A、1 人使用時 400A 発電機電圧:3 相4線式、380V エンジン出力:約 30 馬力 エンジン方式 :水冷、燃料タンク付き(最小 50 リッター) 溶接作業工具キャビネット付き

(2) エアーコンプレッサー 1 台 予備品付き 最大吐出圧力:9.0kg/cm2 以上 モーター容量:3.7kW レシーバータンク容量:130 リッター

(3) 高圧水洗車機 1 台 予備品付き 吐出量:900 リッター/時 最高圧力:100kg/cm2 モーター容量:2.2kW 電源:3 相、380V、50Hz ホース長:約 10m

(4) 修理用工具類 1) 卓上グラインダー 1 台 予備品付き - 砥石寸法:直径 200mm 以上 - モーター容量:約 600W - 電源:単相、220V、50Hz 2) 高速カッター 1 台 予備品付き - 切断砥石寸法:直径 400mm 以上 - 切断能力:丸鋼 70mm 以上、鋼管 130mm 以上 - モーター容量:2.2kW - 電源:電源:3 相、380V、50Hz 3) 酸素・アセチレンガス溶断器セット 1 式 予備品付き a) 酸素ボンベ:7m3 a) アセチレンボンベ:7kg c) ボンベ数:2 以上 d) 酸素・アセチレンガス溶断器セット

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3-36

番 号 仕 様 数 量 備 考 -酸素・アセチレンガス圧力調整器 -溶接トーチ(チップ付き) -切断トーチ(チップ付き)

-酸素・アセチレンガスホース -ボンベ用レンチ -保護メガネ 4) 油圧プレス 1 台 - 容量:25 トン - 操作:手動 5) 作業台 2 台 - 材料:鋼製(重作業用) - 寸法:2100(L) x 650(W) x 790mm(H) - 引き出し及びカギ付きキャビネット 6) 工具用ハンガーボード 2 台 - 材料:鋼板製フック付き - 寸法:850(L) x 850mm(W) 7) 工具用ロッカー 1 台 - 材料:鋼板製鍵付き - 寸法:900(W) x 450(D) x 1700mm(H) - 棚板数:4 8) メカニック用工具セット 5 式 - 工具数:標準 144 点セット以上 9) 電工工具セット 5 式 - 工具数:標準 20 点セット以上 10) タップ・ダイスセット(M3~M20) 1 式 - タップ: 28 種類/セット - ダイス:26 種類/セット - タップレンチ:2 種類/セット - タップホルダー:1 種類/セット - ダイスハンドル:2 種類/セット 11) 車両用プーラーセット 1 式 - 脚付き H プーラー:1 個/セット - 2 本爪プーラー:1 個/セット

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3-37

番 号 仕 様 数 量 備 考 - ギア & プーリ- プラー:4 種/セット - フランジ型プーラー:1 個/セット - ステアリング ハンドル用プーラー:1 個/セット - パイロット ベアリング プーラー:1 個/セット - スライド ハンマー プーラー:1 個/セット - ピットマン アーム プーラー:1 個/セット 12) 板金用工具セット(工具箱入り) 1 式 - 当盤 (パッド):5 種/セット - スプーン:2 種/セット - フランジ工具 :1 個/セット - 金切りはさみ:3 種/セット - 板金用ハンマー:6 種/セット - 掴み箸:1 個/セット - カケ タガネ:2 種/セット 13) エアーグラインダー 5 台 予備品付き - 砥石径:100mm - 回転数:13000 回転/分(無負荷時) - 空気消費量:0.5m3/分 14) エアードリル 5 台 予備品付き - 穴あけ能力:14mm - 空気消費量:1.0m3/分 15) 卓上ボール盤 2 台 予備品付き - 穴あけ能力(鉄):23mm - モーター出力:400W - ストローク:125mm - 電源:単相、220V、50Hz 16) 金床 1 個 - 重量:50kg - 材料:鋳鉄 - 寸法:400(L) x 100(W) x 200mm(H) 17) 測定工具 1 式 - ノギス:300mm - 外側マイクロメータ:0-150mm - 直定規:300mm - 巻尺:5m

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3-38

番 号 仕 様 数 量 備 考 - 定盤:450x450mm - V ブロック - スコヤ:150mm - トースカン:300mm - 鋼製コンパス:200mm - 外パス及び内パス - ポンチ・タガネセット - スクリューピッチゲージ - トルクレンチ:4 種 - ディーゼルエンジン回転計:0-1500/0-6000 rpm - ノズルテスター:0-16V、12V バッテリー, 18-200AH - バッテリーテスター - サーキットテスタ 18) バッテリー充電器 1 式 - 能力:6-12V バッテリー 50A、8-24V バッテリー 30A - 電源:単相、220V、50Hz

(5) 給油脂設備工具 1) オイルドラム缶及びオイルポンプ 3 式 予備品付き - 容量:200 リッター - ポンプレシオ:10:1 - 操作:空気駆動 2) グリスドラム缶(180kg)及びエアー駆動グリスポンプ 1 式 予備品付き - 容量:180kg - ポンプレシオ:50:1 - 操作:空気駆動 3) オイル用ホースリール、自動巻取り式 3 式 - 長さ:10m、流量計・ノズル付き 4) オイル用ホースリール、自動巻取り式 1 式 - 長さ:10m、ノズル付き 5) ドラム缶運搬台車 1 台 - 最大運搬可能重量:300kg - 車輪数量:3 - 寸法:約 900(L) x 850(W) x 1100mm(H) 6) 給油脂用工具 1 式

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3-39

番 号 仕 様 数 量 備 考 - オイルフィルターレンチ:ベルト式 - オイルジョッキ:2 リッター以上 - オイルロート: 約 200mm - オイルドラムポンプ:300 リッター/分、手動式 - グリスポンプ:300cc 以上 7) 塗装ガン及び容器 1 式 - ノズル径:1.0mm - 容量:1000cc 以上 8) 工具・フィルター類収納用キャビネット 1 台 - 材料:鋼板製鍵付き - 寸法:900(W) x 450(D) x 1700mm(H) - 棚板数:4

2 タイヤ修理設備・工具 (1) タイヤチェンジャー 1 台 予備品付き

最大タイヤ径:1200mm 最大タイヤ幅:500mm 最大タイヤ重量:200kg 適用リム径:16~22.5 インチ モーター容量:1.5kW 以上 電源:三相 380V、50Hz

(2) ブレーキドラム旋盤 1 台 ブレーキドラム径:250~600mm ブレーキドラム幅:最大 350mm モーター容量:三相 380V、50Hz 電源:三相 380V、50Hz

(3) ブレーキライニングリベッター 1 台 能力:5 トン(エアー圧 10kg/cm2 時) ポンチホルダー:40mm 程度 ダイホルダー:50mm 程度 必要エアー圧力:10kg/cm2

(4) エアーコンプレッサー 1 台 予備品付き 最大吐出圧力:9.0kg/cm2 以上 モーター容量:3.7kW レシーバータンク容量:130 リッター

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3-40

番 号 仕 様 数 量 備 考 (5) 1インチ角エアーインパクトレンチ 3 台

能力:35mm ボルト径以上 付属ソケット:32、36、41、46、50mm 出力調整:4 段以上 空気消費量:0.3m3/分程度

(6) 3/4 インチ角エアーインパクトレンチ 3 台 能力:20mm ボルト径以上 付属ソケット:19、22、24、27、30、32、36、41、46mm 出力調整:4 段以上 空気消費量:0.3m3/分程度

(7) 1/2 インチ角エアーインパクトレンチ 3 台 能力:15mm ボルト径以上 付属ソケット:8、10、11、13、17、19、22、24、27、30、32mm 出力調整:4 段以上 空気消費量:0.1m3/分程度

(8) インパクトレンチホルダー(キャスター付き) 3 台 作業高さ:200~850mm キャスター数:4

(9) ブレーキドラム旋盤用ジブクレーン 1 台 能力:250kg以上 回転角度:150 度以上 操作:手動チェーンブロック

(10) 油圧ガレージジャッキ 5 台 能力:10 トン以上 サドル最低高さ:200mm 以下 サドル最高高さ:550mm 以上 全長:1500mm 程度

(11) ポータブルジャッキ 5 台 能力:10 トン以上 サドル最低高さ:250mm 以下 サドル最高高さ:450mm 以上

(12) リジッドラック 18 本 能力:10 トン 最低高さ:600mm 以下

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3-41

番 号 仕 様 数 量 備 考 最大高さ:1000mm 以上

(13) サービスクリーパー 3 台 材質:木製

寸法:450(W) x 840mm(L)

(14) ガレージランプ 5 個 予備品付き ランプ:100W コード長:10m 程度 電源:単相 220V, 50Hz

(15) 部品庫 1 個

材質:鋼板製鍵付き 寸法:840(W) x 450(D) x 1700mm(H) 棚板数:9 付属品:2 種類の部品ケース

(16) カギ付き扉付き工具キャビネット 1 個

材質:鋼板製鍵付き 寸法:900(W) x 450(D) x 1700mm(H) 棚板数:4 許容加重:80kg/段以上

(17) ホイール運搬台車 3 台 適用タイヤ寸法(幅):7.50~11.00 最大タイヤ重量:500kg 以上 リフトストローク:120mm 以上

(18) トルクレンチ 1) 1 インチレンチ 1 個 - 測定範囲:100 - 800N-m 以上 - 最小目盛:5N-m 以下 2) 1 インチレンチ 1 個 - 測定範囲:200 - 1300N-m 以上 - 最小目盛:10N-m 以下 3) 3/4 インチレンチ 1 個 - 測定範囲:70 - 400N-m 以上 - 最小目盛:5N-m 以下

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3-42

番 号 仕 様 数 量 備 考 4) 3/8 インチレンチ 1 個 - 測定範囲:5 - 40N-m 以上 - 最小目盛:1N-m 以下 5) 1/2 インチレンチ 1 個 - 測定範囲:2 - 120N-m 以上 - 最小目盛:2N-m 以下

(19) 工具キャビネット 1 個 材質:鋼板製鍵付き 寸法:900(W) x 450(D) x 1700mm(H)

棚板数:4 許容加重:80kg/段以上

(20) ポータブルタイヤインフレーター 1 台 タイプ:可搬式

圧力範囲:0 - 10kg/cm2 タンク容量:9 リッター以上

(21) タイヤサービス工具セット 3 式 クレビス:1 個/セット ビードブレーカー:1 個/セット クサビ:1 個/セット プレート:1 個/セット バール:1 個/セット タイヤレバー:1 個/セット 工具箱:1 個/セット

(22) コールドパッチセット 10 式 1) パッチ - 30 mm dia.程度:70 個/セット以上 - 40 mm dia.程度:50 個/セット以上 - 50 mm dia.程度:30 個/セット以上 - 30x50 mm 程度:50 個/セット以上 2) パッチスティッチャー:1 個/セット 3) 加硫材:1 個/セット 4) 前処理材:1 個/セット

3 エンジン・ミッション修理設備 (1) バス用リフト 2 組

タイプ:4柱、バス用

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番 号 仕 様 数 量 備 考 能力:16 トン 最高リフト高さ:1500mm 以上 作動:電動機械式

(2) トランスミッションジャッキ 1 台 能力:1800kg以上 最低受台高さ:600mm 以下 最高受台高さ:1000mm 以上 受台移動量(左右):40mm 以上 受台傾斜角(前後):15 度以上

(3) デフジャッキ 1 台 能力:600kg 最低受台高さ:350mm 以下 最高受台高さ:950mm 以上 受台移動量(左右):100mm 以上 受台傾斜角(前後):20 度以上

(4) フォークリフト 2 台 予備品付き 容量:1500kg 以上 フォーク長:900mm 以上 駆動方式:ディーゼルエンジン、約 50 馬力

4 燃料供給システム (1) 燃料貯蔵タンク 1 槽

タイプ:円筒型 容量:30m3 以上 材質:鋼鈑製 寸法:約 2.2m 径x9.0m 長さ 付属品:油面ゲージ、アンカーボルト、

(2) 燃料貯蔵用ポンプ 2 台 タイプ:渦巻きポンプ 燃料:ディーゼル油 能力:250 リッター/分 モーター容量:2.2kW 電源:三相、380V、 50Hz

(3) 燃料供給用ポンプ 4 台 予備品付き タイプ:自立式、計量機・表示計付き 燃料:ディーゼル油

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番 号 仕 様 数 量 備 考 能力:70 リッター/分以上

5 ワークショップコンテナー (1) メンテナンス・修理用コンテナー(間仕切り壁、床張り、扉、窓付き) 1 本 40 フィートコンテナー

(2) タイヤ整備用コンテナー(床張り、扉、窓付き) 1 本 40 フィートコンテナー

(3) エンジン・ミッション貯蔵コンテナー 1 本 40 フィートコンテナー

6 運行管理用機材 (1) 側溝保護用鋼板 10 枚

材質:鋼板製 寸法:1200(W) x 2400(L) x 30mm(t)

(2) ディーゼル発電機 1 台 予備品付き タイプ:防音キャビネット型 エンジン - 燃料:ディーゼル油 - 出力:約 240 馬力 - 燃料タンク:300 リッター以上 発電機 - 定格出力:200kVA - 定格電圧:380-430V - 相数:三相4線式

(3) コンピューターセット コンピューター 3 台 タイプ:ディヅクトップ型

プロセッサー:ペンティアム 3, 2.0GB 以上 オペレーティングシステム:ウィンドウズ 2000 又は XP プロフェッショナル以上(英語版) 主記憶:256MB 以上 補助記憶:1 フロッピーディスク、1 ハードディスク、1-CDROM ソフトウェアー:オフィス 2000 以上(英語版) ディスプレイ 3 台 タイプ:液晶型 サイズ:17 インチ プリンター 2 台 予備品付き タイプ:カラー対応インクジェット型 用紙:A3 対応 印刷速度:10 ページ/分(モノクロ)

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カブール国際空港用大型バス仕様

1. シャシー、エンジン仕様 番号 項 目 仕 様 備 考

1. 主仕様 (1) 車両型式 公共輸送バス

低燃費および低騒音仕様エンジン 外気温-7℃時始動可能仕様

各設備の仕様は冬季の外気温度に十分耐えうる仕様とする

(2) ハンドル位置操作 左ハンドル、前 (3) エンジン位置 リアマウント縦または横型エンジン (4) シャシー形式 フレームタイプシャシーまたはセミモノ

コックタイプ

(5) 駆動方式 4 x 2 後輪駆動 (6) 乗車定員 最低 50 名(但し、定員 70 名のバスタイ

プ)

(7) 車両総重量 最低 13,500 kg 乗員重量 70 名 x 65kg = 4,550kg

(8) 設計条件 1) 設計外気温度 -7~35 ℃ 2) サイト標高 海抜 1,800m 3) 暖房設備 冬季の条件に従い必要な容量を確保

すること

(9) ステアリング パワーステアリング

2. 主寸法 (1) 軸間距離 最低 5,000 mm (2) 全長 9,800 - 11,200 mm (3) 全幅 2,350 - 2,500 mm (4) 全高 最大 3,300 mm (5) 車内有効高さ 最低 2,000 mm (6) フロントトレッド 約 2,000 mm (7) リアトレッド 約 3,000 mm (8) ファーストステップ高さ 約 380 mm (9) 車内床高さ 最高 950 mm

(10) 最低地上高 最低 260 mm

3. 性 能 (1) 最高速度 約 100 km/h (2) 最小回転半径 最大 10 m

4. エンジン

(1) 型式 直接噴射ディーゼルエンジン (2) 使用燃料 ディーゼル油 (3) サイクル 4 サイクル (4) シリンダー数 直列 6 シリンダー (5) 冷却方式 ラジエター水冷式

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番号 項 目 仕 様 備 考 (6) 出力 最小 200 PS (7) トルク 最小 65 kg-m (8) 燃料消費量 最小 2.8 km/リッター(市内走行時) (9) 排気ガス 日本基準または EURO2 相当とする

5. 燃料設備

(1) 燃料タンク容量 最小 150 リッター (2) フィルター 二重フィルターまたはセパレター式 (3) 燃料噴射ポンプ 直列プランジャー式リミットスピード調

節器型

6. 主オイルフィルター

(1) 型式および容量 エンジンの要求仕様に基づく

7. エアクリーナー (1) 型式 濾紙式エレメント交換型

8. トランスミッション

(1) 型式 マニュアル式前進 5 速以上、後進 1速

9. 車 軸

(1) 軸型式 4 輪独立または固定型サスペンション (2) 駆動軸 引張式、フロート式 (3) 前軸許容荷重 約 4.5 トン (4) 後軸許容荷重 約 9.0 トン

10. ブレーキ

(1) サービスブレーキ ディスクまたはドラム式、空気作動パワーブレーキ型

(2) パーキングブレーキ スプリングブレーキ式 (3) 他ブレーキ 排気ブレーキ

11. クラッチ

(1) 型式 乾式単板型油圧駆動・コイルスプリング作動式

12. サスペンション

(1) 型式 半楕円式リーフスプリングまたはエアサスペンション

悪路に対する強度を考慮した仕様とする

13. ホィール

(1) タイヤ数 前輪シングル、後輪ダブル (2) タイヤ 275/70R22.5-16PR または製造者標

準、ラジアルタイヤ

(3) スタッド 8 - 10 本

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番号 項 目 仕 様 備 考

14. 電装品 (1) 蓄電池 12 V, 120H (最小) x 2 個直列式 寒冷地での始動性等を

考慮 (2) 発電機 24V - 100 (最小) 寒冷地での使用に対

する容量を考慮 (3) ホーン 二重エレクトリックホーン

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2. 本体仕様 番号 項 目 仕 様 備 考

1. 座席数 約 17 席および 1 運転手

2. 本体構造 (1) 構造 高強度鋼材フレームタイプ、鋼板溶接 (2) 外板 高強度鋼板 (3) 床材 防水型圧縮合板滑り止め加工(ビニー

ルまたは同等品)

(4) 天井材 プラスチックプレートまたはビニール被服鋼板

(5) 内側側板 プラスチックプレートまたはビニール被服鋼板

(6) ダッシュボード、前方内装板 ダッシュボード:ビニール被服鋼板またはプラスチックプレートまたはメーカー標準 前方内装板:メーカー標準

(7) ステップ 滑り止め加工付き鋼板 (8) バッテリー保管場所 鋼板製、床下に収納(点検・整備の容

易性を考慮する)

(9) 断熱・遮音 エンジンルーム、外板と内側側板の間に断熱・遮音材を設置、また、その他必要な場所にも設置のこと

3. ドアー

(1) 一般項目 現在ドアポジションを運転席に表示 運行中はドア閉のインターロックおよびインターロック入り切りスイッチ設置 ドアエッジはゴムで保護する 緊急時に内側、外側から扉の開閉を可能にする 前扉は外側からロック、後方扉は内側からロックとする

(2) ドアー数 右側 2 扉型(運転席横および後方の 2ヶ所)および非常用 1 扉設置

(3) 型式 電動空気作動内側折りたたみ式安全ガラス付き

(4) ドアー幅 前扉:最低 750 mm 後扉:最低 1,000 mm

(5) 駆動方式 運転手操作による油圧または空圧式

4. 窓 (1) フロントガラス 1枚又は2枚タイプのラミネイトされた安

全ガラス

(2) 横窓 スライド開閉型、安全ガラス (3) ドライバー横窓 スライド開閉型、安全ガラス (4) 後窓 1 枚タイプの安全ガラス

5. 座 席

(1) 運転席 クッション付き強化ビニールシート、肘

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番号 項 目 仕 様 備 考 掛けなし 座席高さ、前後移動の調整機能付き

(2) 乗客席 1) 型式 クッション付き強化ビニールレザーシー

ト、肘掛けなし

2) 配置 1 人掛けを正面向き横 1 列 6. 電送設備

(1) ヘッドランプ 2 または 4 灯型 (2) 霧灯 2 灯、黄色、バンパーの両側 (3) 複合灯 2 灯、フロントの両側 (4) 後方複合灯 2 灯、リアの両側 (5) マーカー灯 4 灯、フロントおよびリアの両側 (6) バックランプ 2 白色、リアバンパーの下方 (7) 室内灯 通路天井設置、スィッチを運転席に設

置 床から 1m 高さの点で明るさ 100 ルックスを確保

(8) ステップランプ ステップの両側または中央に設置 (9) ブザー 後進ブザーを設置

(10) フロントウィンドーウォッシャー 電動ウォッシャー、フロントウィンドー下にノズル 2 個設置

(11) フロントウィンドーワイパー 2 スピード型

7. 換気 (1) 前換気 ハッチ型、フロントウィンドー下に設置 (2) 天井換気 3 換気口

8. 外装品

(1) バンパー 前後塗装鋼板バンパー (2) バックミラー 2 個、フロント両側 (3) 牽引フック フロントに 1 個 (4) 泥よけ ゴム製または人造ゴム製を各タイヤ後

ろに設置

(5) 行き先表示箱 手動式、前方 1 ヶ所、後方 1 ヶ所、サイド(右側)1 ヶ所設置

9. 内装品

(1) サンバイザー 運転席側にアクリル製サンバイザーを2 個フロントウィンドー上方に設置又はメーカー標準とする

(2) 運転席 計器類はメーカー標準、ただしタコグラフを設置 運転手背後にプラスチックパネルまたはメーカー標準パネルを設置

(3) 乗降確認ミラー 後方扉天井に設置 (4) ルームミラー 1 個のルームミラーをフロントウィンドー

上に設置

(5) 消化器 1 個を運転席の近くに設置

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番号 項 目 仕 様 備 考 (6) 救急箱 救急箱のみを運転席の近くに設置 (7) 車止め 2 個、鋼製または木製 (8) ラベル表示 表示ラベルは現地語または英語 (9) 時計 運転席に 1 個

(10) つり革、手摺り 2 本のつり皮付きステンレス製又はPVC カバーパイプ手摺りを天井に設置

10. シャシー塗装

(1) 錆止め シャシーの内側・外側に錆止め塗装

11. 他要求項目 (1) 緊急用標準工具 ドライバー用工具 (2) 三角標示板 1 個 (3) タイヤチェーン 1 組

12. 塗装

(1) 外側、内側 メーカー標準 (2) 仕上げ塗装色 施主の要求に基づく

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カブール国際空港バス用スペアパーツリスト

番号 パ ー ツ 名 称 員 数

1. エンジン/トランスミッション (1) シール(クランク用) 1 組/台 (2) シール(クランクシャフト用) 1 組/台 (3) ガスケットセット(エンジン用) 1 組/台

2. 燃料/潤滑油設備 (1) ノズル(燃料噴射ポンプ) 2 個/台 (2) エレメント(エンジン潤滑油フィルター) 2 個/台 (3) エレメント(他潤滑油フィルター) 2 個/台 (4) ガスケット(ストレーナー用) 2 個/台 (5) ドレンプラグ 2 個/台

3. 冷却設備 (1) ファンベルト(使用している各タイプ) 1 組/台 (2) ホース(使用している各タイプ) 1 組/台 (3) フィルターキャップ 1 個/台 (4) ラヂエターキャップ 1 個/台

4. 圧縮空気設備 (1) 吸気フィルター 2 組/台 (2) 排気フィルター 2 組/台 (3) 圧縮機冷却用ベルト 1 組/台 (4) 圧縮機用ベルト 1 組/台

5. ブレーキ装置 (1) 前輪用シュウ 1 組/台 (2) 後輪用シュウ 1 組/台 (3) 前輪用ライニングセット 1 組/台 (4) 後輪用ライニングセット 1 組/台 (5) 前輪用フレキシブルホース 1 組/台 (6) 後輪用フレキシブルホース 1 組/台

6. クラッチ (1) ディスク 1 個/台 (2) ベアリング 1 個/台 (3) スプリング 2 個/台

7. 車軸/車輪 (1) シールドビーム 1 個/台 (2) ロットエンド(タイロット用) 1 個/台 (3) ワッシャー(フロントホィール用) 1 個/台 (4) ナット(前輪軸ハブベアリング用) 1 個/台 (5) ナット(後輪軸ハブベアリング用) 1 個/台 (6) ナット(後輪内側用) 1 個/台 (7) ナット(ホィールピン用) 1 個/台 (8) ナット(ホィールピン用) 1 個/台 (9) キングピンセット 1 個/台

(10) 前輪ピン 1 個/台 (11) 後輪ピン 1 個/台

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番号 パ ー ツ 名 称 員 数

(12) ベアリング(前輪軸ハブ内側用) 1 個/台 (13) ベアリング(前輪軸ハブ外側用) 1 個/台 (14) ベアリング(後輪軸ハブ内側用) 1 個/台 (15) ベアリング(後輪軸ハブ外側用) 1 個/台 (16) シール(前輪軸ハブ用) 1 個/台 (17) シール(後輪軸ハブ用) 1 個/台 (18) ブッシング(フロントシャックル用) 1 個/台 (19) ブッシング(リアシャックル用) 1 個/台

8. 電気設備 (1) ヒューズユニット(各タイプ) 1 組/台 (2) ヒューズホルダー 1 組/台 (3) 油圧スイッチ 1 組/台 (4) 温度計装置 1 組/台 (5) ヘッドライト 1 組/台 (6) フロントライト 1 組/台 (7) リアライト 1 組/台 (8) マーカーライト 1 組/台 (9) フロントライトレンズ 1 組/台

(10) フラッシャー装置 1 組/台 9. 他の部品

(1) ワイパーブレード 1 組/台 (2) ワイパーラバー 1 組/台 (3) ワイパー 1 組/台 (4) 外側ミラー 1 組/台

10. 特殊工具 (1) 冷却装置用工具 1 組 (2) スターター用工具 1 組 (3) オイル装置用工具 1 組 (4) クラッチ用工具 1 組 (5) ブレーキ用工具 1 組 (6) コンピューターシステム検査器 1 組

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カブール国際空港バス用修理設備工具仕様書

番 号 仕 様 数 量 備 考 1 修理設備工具

(1) 修理用工具類 1) 高速カッター 1 台 予備品付き - 切断砥石寸法:直径 400mm 以上 - 切断能力:丸鋼 70mm 以上、鋼管 130mm 以上 - モーター容量:2.2kW - 電源:電源:3 相、380V、50Hz 2) 酸素・アセチレンガス溶断器セット 1 式 予備品付き a) 酸素ボンベ:7m3 a) アセチレンボンベ:7kg c) ボンベ数:2 以上 d) 酸素・アセチレンガス溶断器セット -酸素・アセチレンガス圧力調整器 -溶接トーチ(チップ付き) -切断トーチ(チップ付き)

-酸素・アセチレンガスホース -ボンベ用レンチ -保護メガネ 3) 油圧プレス 1 台 - 容量:25 トン - 操作:手動 4) 作業台 1 台 - 材料:鋼製(重作業用) - 寸法:2100(L) x 650(W) x 790mm(H) - 引き出し及びカギ付きキャビネット 5) 工具用ハンガーボード 1 台 - 材料:鋼板製フック付き - 寸法:850(L) x 850mm(W) 6) 工具用ロッカー 1 台 - 材料:鋼板製鍵付き - 寸法:900(W) x 450(D) x 1700mm(H) - 棚板数:4 7) メカニック用工具セット 2 式

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番 号 仕 様 数 量 備 考 - 工具数:標準 144 点セット以上 8) タップ・ダイスセット(M3~M20) 1 式 - タップ: 28 種類/セット - ダイス:26 種類/セット - タップレンチ:2 種類/セット - タップホルダー:1 種類/セット - ダイスハンドル:2 種類/セット 9) 車両用プーラーセット 1 式 - 脚付き H プーラー:1 個/セット - 2 本爪プーラー:1 個/セット - ギア & プーリ- プラー:4 種/セット - フランジ型プーラー:1 個/セット - ステアリング ハンドル用プーラー:1 個/セット - パイロット ベアリング プーラー:1 個/セット - スライド ハンマー プーラー:1 個/セット - ピットマン アーム プーラー:1 個/セット 10) 板金用工具セット(工具箱入り) 1 式 - 当盤 (パッド):5 種/セット - スプーン:2 種/セット - フランジ工具 :1 個/セット - 金切りはさみ:3 種/セット - 板金用ハンマー:6 種/セット - 掴み箸:1 個/セット - カケ タガネ:2 種/セット 11) エアーグラインダー 5 台 予備品付き - 砥石径:100mm - 回転数:13000 回転/分(無負荷時) - 空気消費量:0.5m3/分 12) エアードリル 5 台 予備品付き - 穴あけ能力:14mm - 空気消費量:1.0m3/分 13) 卓上ボール盤 2 台 予備品付き - 穴あけ能力(鉄):23mm - モーター出力:400W - ストローク:125mm

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番 号 仕 様 数 量 備 考 - 電源:単相、220V、50Hz 14) 金床 1 個 - 重量:50kg - 材料:鋳鉄 - 寸法:400(L) x 100(W) x 200mm(H) 15) 測定工具 1 式 - ノギス:300mm - 外側マイクロメータ:0-150mm - 直定規:300mm - 巻尺:5m - 定盤:450x450mm - V ブロック - スコヤ:150mm - トースカン:300mm - 鋼製コンパス:200mm - 外パス及び内パス - ポンチ・タガネセット - スクリューピッチゲージ - トルクレンチ:4 種 - ディーゼルエンジン回転計:0-1500/0-6000 rpm - ノズルテスター:0-16V、12V バッテリー, 18-200AH - バッテリーテスター - サーキットテスタ 16) バッテリー充電器 1 式 - 能力:6-12V バッテリー 50A、8-24V バッテリー 30A - 電源:単相、220V、50Hz

(2) 給油脂設備工具 1) オイルドラム缶及びオイルポンプ 3 式 予備品付き - 容量:200 リッター - ポンプレシオ:10:1 - 操作:空気駆動 2) グリスドラム缶(180kg)及びエアー駆動グリスポンプ 1 式 予備品付き - 容量:180kg - ポンプレシオ:50:1 - 操作:空気駆動

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番 号 仕 様 数 量 備 考 3) オイル用ホースリール、自動巻取り式 3 式 - 長さ:10m、流量計・ノズル付き 4) オイル用ホースリール、自動巻取り式 1 式 - 長さ:10m、ノズル付き 5) ドラム缶運搬台車 1 台 - 最大運搬可能重量:300kg - 車輪数量:3 - 寸法:約 900(L) x 850(W) x 1100mm(H) 6) 給油脂用工具 1 式 - オイルフィルターレンチ:ベルト式 - オイルジョッキ:2 リッター以上 - オイルロート: 約 200mm - オイルドラムポンプ:300 リッター/分、手動式 - グリスポンプ:300cc 以上 7) 塗装ガン及び容器 1 式 - ノズル径:1.0mm - 容量:1000cc 以上 8) 工具・フィルター類収納用キャビネット 1 台 - 材料:鋼板製鍵付き - 寸法:900(W) x 450(D) x 1700mm(H) - 棚板数:4

2 タイヤ修理設備・工具 (1) タイヤチェンジャー 1 台 予備品付き

最大タイヤ径:1200mm 最大タイヤ幅:500mm 最大タイヤ重量:200kg 適用リム径:16~22.5 インチ モーター容量:1.5kW 以上 電源:三相 380V、50Hz

(2) ブレーキライニングリベッター 1 台 能力:5 トン(エアー圧 10kg/cm2 時) ポンチホルダー:40mm 程度 ダイホルダー:50mm 程度 必要エアー圧力:10kg/cm2

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番 号 仕 様 数 量 備 考

(3) エアーコンプレッサー 1 台 予備品付き 最大吐出圧力:9.0kg/cm2 以上 モーター容量:3.7kW レシーバータンク容量:130 リッター

(4) 1インチ角エアーインパクトレンチ 1 台 能力:35mm ボルト径以上 付属ソケット:32、36、41、46、50mm 出力調整:4 段以上 空気消費量:0.3m3/分程度

(5) 3/4 インチ角エアーインパクトレンチ 1 台 能力:20mm ボルト径以上 付属ソケット:19、22、24、27、30、32、36、41、46mm 出力調整:4 段以上 空気消費量:0.3m3/分程度

(6) 1/2 インチ角エアーインパクトレンチ 1 台 能力:15mm ボルト径以上 付属ソケット:8、10、11、13、17、19、22、24、27、30、32mm 出力調整:4 段以上 空気消費量:0.1m3/分程度

(7) インパクトレンチホルダー(キャスター付き) 1 台 作業高さ:200~850mm キャスター数:4

(8) フロアクレーン 1 台 能力:250kg以上 操作:手動チェーンブロック

(9) 油圧ガレージジャッキ 2 台 能力:10 トン以上 サドル最低高さ:200mm 以下 サドル最高高さ:550mm 以上 全長:1500mm 程度

(10) ポータブルジャッキ 2 台 能力:10 トン以上 サドル最低高さ:250mm 以下

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番 号 仕 様 数 量 備 考 サドル最高高さ:450mm 以上

(11) リジッドラック 6 本 能力:10 トン 最低高さ:600mm 以下 最大高さ:1000mm 以上

(12) サービスクリーパー 2 台 材質:木製

寸法:450(W) x 840mm(L)

(13) ガレージランプ 3 個 予備品付き ランプ:100W コード長:10m 程度 電源:単相 220V, 50Hz

(14) 部品庫 1 個

材質:鋼板製鍵付き 寸法:840(W) x 450(D) x 1700mm(H) 棚板数:9 付属品:2 種類の部品ケース

(15) カギ付き扉付き工具キャビネット 1 個

材質:鋼板製鍵付き 寸法:900(W) x 450(D) x 1700mm(H) 棚板数:4 許容加重:80kg/段以上

(16) ホイール運搬台車 1 台 適用タイヤ寸法(幅):7.50~11.00 最大タイヤ重量:500kg 以上 リフトストローク:120mm 以上

(17) トルクレンチ 1) 1 インチレンチ 1 個 - 測定範囲:100 - 800N-m 以上 - 最小目盛:5N-m 以下 2) 1 インチレンチ 1 個 - 測定範囲:200 - 1300N-m 以上 - 最小目盛:10N-m 以下

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番 号 仕 様 数 量 備 考 3) 3/4 インチレンチ 1 個 - 測定範囲:70 - 400N-m 以上 - 最小目盛:5N-m 以下 4) 3/8 インチレンチ 1 個 - 測定範囲:5 - 40N-m 以上 - 最小目盛:1N-m 以下 5) 1/2 インチレンチ 1 個 - 測定範囲:2 - 120N-m 以上 - 最小目盛:2N-m 以下

(18) 工具キャビネット 1 個 材質:鋼板製鍵付き 寸法:900(W) x 450(D) x 1700mm(H)

棚板数:4 許容加重:80kg/段以上

(19) ポータブルタイヤインフレーター 1 台 タイプ:可搬式

圧力範囲:0 - 10kg/cm2 タンク容量:9 リッター以上

(20) タイヤサービス工具セット 3 式 クレビス:1 個/セット ビードブレーカー:1 個/セット クサビ:1 個/セット プレート:1 個/セット バール:1 個/セット タイヤレバー:1 個/セット 工具箱:1 個/セット

(21) コールドパッチセット 1 式 1) パッチ - 30 mm dia.程度:70 個/セット以上 - 40 mm dia.程度:50 個/セット以上 - 50 mm dia.程度:30 個/セット以上 - 30x50 mm 程度:50 個/セット以上 2) パッチスティッチャー:1 個/セット 3) 加硫材:1 個/セット

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3-60

番 号 仕 様 数 量 備 考 4) 前処理材:1 個/セット

3 エンジン・ミッション修理設備

(1) バス用リフト 1 組 タイプ:4柱、バス用 能力:16 トン 最高リフト高さ:1500mm 以上 作動:電動機械式

(2) トランスミッションジャッキ 1 台 能力:1800kg以上 最低受台高さ:600mm 以下 最高受台高さ:1000mm 以上 受台移動量(左右):40mm 以上 受台傾斜角(前後):15 度以上

(3) デフジャッキ 1 台 能力:600kg 最低受台高さ:350mm 以下 最高受台高さ:950mm 以上 受台移動量(左右):100mm 以上 受台傾斜角(前後):20 度以上

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3-61

3-2-3 基本設計図

本プロジェクトの概略基本設計図は表 3-2-8 に示すとおりである。

表3-2-8 概略基本設計図集 図面番号 図 面 名 称 縮 尺 備 考

AK-B01 国営バス公社 大型バス一般図 図示の通り

AK-B02 国営バス公社 ミニバス一般図 図示の通り

AK-B03 国営バス公社 クチサンギ車庫配置図 図示の通り

AK-A01 カブール国際空港 大型バス一般図 図示の通り

AK-A02 カブール国際空港 配置図 図示の通り

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3-67

3-2-4 調達計画

(1) 調達方針

1) 調達実施の前提

本プロジェクトは、我が国の無償資金協力の枠組みに従って実施される。したが

って、本プロジェクトは、我が国政府により事業実施の承認がなされ、両国政府に

よる交換公文(E/N)が取り交わされた後に実施に移される。

2) 技術者派遣の必要性

現在の国営バス公社のバスの運行管理・維持管理を改善するためにソフト・コン

ポーネントを導入して技術指導を行う必要がある。

3) 相手国側実施体制

「ア」国側の本プロジェクトの窓口機関は復興省(Ministry of Reconstruction)で

ある。また、責任機関は運輸省(Ministry of Transport)であり、実施機関は国営バ

ス公社(Millie Bus)である。一方、空港旅客送迎用バスの責任機関および実施機

関は民間航空観光省(Ministry of Civil Aviation and Tourism)である。それぞれが本

プロジェクトの実施中および実施後の運営、維持管理を担当する。したがって本プ

ロジェクトを円滑に進めるために、国営バス公社/民間航空観光省は、日本のコン

サルタントおよび機材納入業者と密接な連絡および協議を行い、本プロジェクトを

担当する責任者を選任する必要がある。

選任された国営バス公社の本プロジェクト責任者は、本プロジェクトで調達され

るバスおよび修理用機材に関し、「ア」国政府等の関係機関に対して、本プロジェ

クトの内容を十分に説明・理解させ、本プロジェクトの実施に対し協力するように

啓蒙を図る必要がある。

(2) 調達上の留意事項

1) 工程管理

コンサルタントは機材納入業者が契約書に示された納期を守るために、契約時に

計画した実施工程およびその実際の進捗状況との比較を各月末に行い、工程遅延が

予測されるときは、機材納入業者に対し注意を促すと共に、その対策案の提出と実

施を求め、契約工期内に資機材の納入が完了する様に指導を行う。計画工程と進捗

状況の比較は主として以下の項目による。 a) 調達出来高確認(資機材工場製作出来高) b) 資機材搬入実績確認

2) 安全管理

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3-68

コンサルタントは機材納入業者の責任者と協議、協力し、輸送時の災害および第

三者に対する事故を未然に防止するための安全監理を以下の点に留意して実施す

る。 a) 管理規定の制定と管理者の選任 b) 輸送ルートの確認

(3) 調達・据付区分

我が国と「ア」国側の事業負担区分の考え方は、表 3-2-9 に示すとおりであり、本

プロジェクトで調達するバスおよび修理用機材については、日本側で機材調達を行う。

また、本プロジェクトで調達するバスを円滑に運営・維持管理するためのバス車庫

や停留所施設の改善が必要である。これらの施設の改善はソフト・コンポーネントで

実施する。

表3-2-9 日本側と「ア」国側の施工区分 資機材調達 技術指導

施 工 項 目 日本側 「ア」国側 日本側 「ア」国側

備 考

1. バス

(1) 大型バス 〇

(2) ミニバス 〇

(3) 点検・整備マニュアル 〇 〇(保管)

(4) 出荷前検査 〇

(5) 引渡前検査 〇(実施) 〇(立会)

2. 修理機材

(1) 装置、設備機材 〇 〇 ○

(2) 工具 〇 〇 ○

3.ソフト・コンポーネント 〇 〇 〇 「添付資料」参照

4. その他

(注) 〇 印が事業負担側を表す。

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3-69

(4) 調達監理体制

調達監理時を含め、本プロジェクトの関係者の実施体制は図 3-2-7 のとおりである。

*備考:コンサルタント契約および業者契約は日本国政府の認証が必要である。

図3-2-7 事業実施関係図

1) コンサルタント

本プロジェクトの機材調達を実施するため、日本のコンサルタントが国営バス公

社および民間航空観光省と設計監理業務契約を締結し、本プロジェクトに係わる実

施設計と調達監理業務を実施する。また、コンサルタントは入札図書を作成すると

共に、事業実施主体である国営バス公社および民間航空観光省に対し、入札実施業

務を代行する。

2) 機材調達業者

我が国の無償資金協力の枠組みに従って、一般競争入札により「ア」国側から選

定された日本国法人の機材調達業者が、本プロジェクトの資機材調達を実施する。

機材調達業者は本プロジェクトの完成後も、引き続き予備品の供給、故障時の対応

等のアフターサービスが必要と考えられるため、当該資機材の引き渡し後の国営バ

ス公社および民間航空観光省との連絡調整についても十分に配慮する必要がある。

(5) 品質管理計画

コンサルタントは製作・納入された資機材が、契約図書で要求されている資機材の

日本国政府 「ア」国政府

日本のコンサルタント

・入札図書の作成

・入札業務の代行

・調達監理業務の実施

・実施設計図の承認

日本の機材納入業者

・資機材の調達

・資機材の輸送

・引渡し

国営バス公社/ 民間航空観光省

・入札図書の承認

・関連書類の承認

*コンサルタント契約*調達契約

調達監理

交換公文

・各契約書の認証・調達進捗報告等

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3-70

品質、出来形を満足しているかどうかを、下記項目に基づき監理を実施する。また、

コンサルタントはミルシートの提出を義務付けると共に、適切な時期に製造工場に赴

き直接品質監理を行う。品質、出来形の確保が危ぶまれるときは、コンサルタントは

直ちに機材調達業者に訂正、変更、修正を求める。なお、船積前検査はコンサルタン

トが選定する第三者機関によって行われる。

① 機材の製作図および仕様書の照査 ② エンジン、シャシーの生産国の確認 ③ フレーム、プレート材の材料証明(ミルシート)の確認 ④ 塗装仕様および検査記録の確認 ⑤ 資機材の工場検査立会いまたは工場検査結果の照査 ⑥ 梱包・輸送および現地仮置き方法の照査 ⑦ 資機材の試運転・調整・試験・検査要領書の照査および検査の立会い

(6) 機材等調達計画

本プロジェクトで調達される大型バスのエンジン・シャシーは日本製、完成品の調

達を日本、アセアン加盟国あるいは台湾とする。ただし、ミニバスおよび車両維持管

理用工具類は日本製とする。

(7) ソフト・コンポーネント計画

国営バス公社の運行状況は、市民の足として安定した定期的なバス運行が行なわれ

ているとはいい難く、公共交通としての信頼性や安全性が確立されていない現状であ

る。同公社の運行可能バス台数は現在約 110 台程度であるが、将来的には 492 台必要

である。国営バス公社がカブール市の公共交通の大半を担う機関として持続的に存続

するためには、バスの運行計画から保守点検にいたるまで計画的・効率的に管理する

体制作りが必要である。

本プロジェクトで調達される機材の性能および機能を計画通り維持し、本プロジェ

クト対象地域内で安定した公共輸送を行うためには、適切な行動計画やマニュアルに

したがってバスの安全運行を始めとする地域住民へのサービスの拡大を図る必要が

ある。このため本プロジェクトにソフト・コンポーネントを導入して国営バス公社の

問題解決に当たることとする。なお、ソフト・コンポーネントはコンサルタント主導

で、国営バス公社に対して技術移転を図る。国営バス公社は技術習得ができる有能な

カウンターパートを提供する必要がある。

コンサルタントは国営バス公社の運行状況を分析し、改善事項について運行計画や

維持管理マニュアルとして作成すると共に、バスの運行サービスがよりカブール市の

住民のニーズに合うように同公社に対して技術移転を行う。技術移転の内容としては

バスの運行管理、維持管理およびコンピューターの操作・活用方法である。また、バ

ス車庫の整備やバス運行路線の施設整備を行うとともに、今後同公社がこれら施設設

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3-71

備の管理が適切に行えるように技術指導を実施する。

技術指導内容 専門分野 人数

運行計画マニュアル作成・技術指導 車両運行計画 1 名

維持管理マニュアル作成・技術指導 車両維持管理 1 名

コンピューター管理技術指導 コンピューター運用管理 1 名

バス車庫の機能整備・技術指導 土木・建築技術者 2 名

運行路線の整備・技術指導 土木技術者 1 名

合計 6 名

新規調達 111 台のバス運行維持管理および車庫と対象 11 路線の整備にかかる技術

指導の活動概要を以下に示す。

表3-2-10 ソフト・コンポーネントの概要

目的 技術指導員の派遣

派遣者数 3 名 2 名 1 名

期間 5.5 ヶ月 1.5 ヶ月+2 ヶ月 2 ヶ月

実施場所

国営バス公社本社お

よびクチサンギ車庫 クチサンギ車庫 バス路線:5, 6, 8, 9,

15, 17, 25, 26, 31, 34, 43 番線

指導内容

車両運行、車両維持管

理、コンピュータ運用

にかかる技術指導

クチサンギ車庫整備

にかかる技術指導 対象バス路線整備に

かかる技術指導

成果品

バスの運行管理、維持

管理にかかるマニュ

アル

駐車場:4,500m2、運

行管理事務所 1 ヶ所、

守衛所 2 ヶ所、燃料給

油設備 1 式、コンテナ

ー式ワークショップ、

ディーゼル発電機

バス停:252 ヶ所 バス運行管理所:19 ヶ

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3-72

(8) 実施工程

我が国の無償資金協力ガイドラインに基づき、図 3-2-8 に示すとおりの事業実施工

程とした。

月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

実施設計

機材調達

ソフト・コンポ―ネント

国内作業 現地作業

図3-2-8 本プロジェクトの事業実施工程表

(製作図作成・承認取得)

(工場製作)

(輸送)

(確認、引渡) (計 7.7 ヶ月)

(仕様確認)

(入札図書作成)

(入札図書承認)

(入札評価) (計 3.3 ヶ月)

(入札、承認)

(運行維持管理にかかる指導)

(車庫整備にかかる指導)

(運行路線整備にかかる指導)

(計 6.0 ヶ月)

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3-73

3-3 相手国側分担事業の概要

3-3-1 議事録で確認した相手国側負担事項

2002 年 11 月 4 日付け議事録 (Minutes of Discussions) ANNEX-5 および ANNEX-6 で

確認した「ア」国側の負担事項を以下に示す。

(1) 銀行取り極め

E/N 締結後、「ア」国側は日本の銀行と「銀行取り極め(B/A)」を結び、口座を開

設すること。また、「支払授権書(A/P)」発効などにかかる銀行手数料を支払うこと。

(2) 通関にかかる免税措置

本プロジェクトで調達される資機材の「ア」国内での陸揚げ、荷下ろし、通関業務

が円滑に行えるよう取り計らうと共に、港・空港での通関に係る資機材の免税措置を

行うこと。

(3) 滞在・入国許可

本プロジェクトの認証済み契約に基づき提供される製品やサービスに関連して

「ア」国に滞在または入国する日本人に必要な許可手続きを行うこと。

(4) 免税措置

本プロジェクトの認証済み契約に基づき提供される製品やサービスに関連して

「ア」国に滞在または入国する日本人に課税される税金、関税等に対し免税処置を行

うこと。

3-3-2 その他相手国側負担事項

「3-2-4(3) 調達・据付区分」に示したとおり、「ア」国側施工範囲は以下を想定し

ている。

(1) 引渡前検査

本プロジェクトで調達される資機材を「ア」国側に引き渡すときは「ア」国側責任

者の立合のもと引渡検査が行われる。したがって、「ア」国側は責任者の任命を行う

こと。

(2) 残置機材の撤去

本プロジェクトで調達されるバス車庫(駐車予定場所)は、駐車スペース的には十

分な広さを確保しているが、既存の廃車された車両が山積みになっている。「ア」国

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3-74

側はソフト・コンポーネントの技術指導が開始される時点までに、これらの廃車され

たバスを別の場所に撤去すること。

(3) バス車庫への電力・水の引き込み

本プロジェクトをより効果的に実施できるように、「ア」国側は責任を持ってバス

車庫の整備に必要な電力・水の引き込み工事を行うこと。

(4) カウンターパートの提供

本プロジェクトが実施後計画通りバスの運行および維持管理が行えるようにソフ

ト・コンポーネントで国営バス公社に技術指導を行うが、同公社は技術指導に対応で

きる職員を複数選定して、技術指導を受けること。

(5) 調達機材の使用

本プロジェクトで調達したバス、スペアパーツ、および修理機材等は本プロジェク

トに対してのみ使用され、且つ、適切に管理されなければならない。また、第三者へ

の譲渡や売却、並びに本プロジェクトの目的以外の使用は認められないことを確認し

た。

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3-75

3-4 プロジェクトの運営・維持管理計画

3-4-1 維持管理体制

(1) 機材保守計画

本プロジェクトで調達される機材の安定した維持管理を行なうためには、適切な管

理マニュアルの整備や事故や故障が発生する前に予防措置を行なう保守体制作りが

必要である。

ソフト・コンポーネントの導入で、機材保守体制の改善のための指導を行う。

(2) 維持管理能力

国営バス公社の職員は維持管理の技術レベルは日常の点検・修理をはじめ、大規

模な修理等も実施していることから、修理技術は高いと判断される。

しかし、バス台数が増加するにつれてバスの運行計画が複雑になり、保守体制と

合わせた全体管理が適切に行なわれなければならない。ソフト・コンポーネントの

導入によってこれらのマニュアルや教材を整備し、運営・維持管理能力改善のため

の技術移転を行う。

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3-76

3-5 プロジェクトの概算事業費

3-5-1 協力対象事業の概算事業費

本プロジェクトを我が国の無償資金協力により実施する場合の事業費総額は約

22.3 億円と見込まれ、先に示した日本側と「ア」国側負担区分に基づく双方の経費内訳

は、次のとおり見積もられる。

(1) 日本側負担経費

事業費区分 費目合計(百万円) 備考 1) 機材費 ア.機材費 イ.現地調達管理・据付工事費 2) 設計・監理費 ア.実施設計費 イ.調達管理費 ウ.ソフト・コンポーネント費

2,143.42,136.5

6.986.617.39.0

60.3

合 計 2,230.0

(2) 「ア」国側負担経費 約7,000US$(約84万円)

「ア」国側の主な負担項目は以下のとおりである。

1) 残置機材(廃車)の撤去 5,000US$(約60万円)

2) バス車庫への電力、水の引き込み 2,000US$(約24万円)

(3) 積算条件

概算事業費積算にあたり、以下の諸条件を採用した。

1) 積算時点 2002年12月

2) 為替交換レート 円/US$ 1US$ = 121.90円 (2002年7月から12月までのTTS平均値)

3) 調達期間 E/N締結より11.0ヶ月とする。

4) その他、本プロジェクトは我が国の無償資金協力ガイドラインに従って実施され

る。

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3-77

3-5-2 運営・維持管理費

市内路線バス

本プロジェクトで調達されるバス台数の増加に伴い、運営維持管理費が増加する。

国営バス公社の収支予測は以下の前提条件に基づき 2002 年度の固定価格で算定する。

(1) 国営バス公社の運行規模

国営バス公社との協議を通じて、以下を前提条件とした運行計画目標を設定した。

・ 既存の老朽化したバスの故障による廃車台数は年間 3 台と見込む。

・ 2003 年度にはイランからバス 45 台が新規供与されることを見込む。

・ 政府関係機関へのリース台数は将来も現在の 64 台とする。

・ 通常運行日(平日)は1ヶ月 25 日間とする。5 日間は休祭日の運行計画とす

る。

表3-5-1 国営バス公社の運行規模 主要指標 2002 年(現在) 2003 年 2004 年(プロジ

ェクト実施後) 既存バス 55 台 110 台 152 台

新規調達 55 台(注1) 45 台(注 2) 111 台(注 3)

廃車 3 台 3 台

保有バス台数

合計 110 台 152 台 260 台

職員数 575 人 665 人 887 人

平日(回/日) 542 956 2,288運行回数 (往復) 年間(回/年) 187,200 328,320 782,266

平日(km/日) 8,416 15,040 23,032総 走 行 距 離

(全路線) 年間(km/年) 4,482,240 6,668,160 9,391,834平日(人/日) 47,696 84,128 177,368乗客数の見込

み(全路線) 年間(人/年) 16,473,600 28,892,160 60,668,352ピーク時/台 120-130 120 120 (85) (注 4)バス 1 台当た

りの乗客数 平均人数/台 44 44 40 (38) (注 4)

(注1) インド政府からのバス 50 台およびイラン政府からのバス 5 台、計 55 台. (注2) イラン政府からの供与予定のバス台数。

(注3) 本プロジェクトで調達されるバス台数のうち 17 台はミニバスである。 (注4) ( )内の数字は本プロジェクト対象路線における数値である。

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3-78

(2) 収支予測の前提条件

1) バス運賃の計算価格

年間当たりの乗客数の推定値と平均運賃から算出する。国営バス公社の現行の運

賃制度は 10km 毎の運行距離に応じて分かれているが、収入計算に採用する平均運

賃は以下のとおり、本プロジェクトの対象路線(11 路線)とその他の路線の 2 本

建てとする。また、プロジェクト実施後の運賃は現行運賃ベースと民間バス会社の

運賃と同レベルに改定した場合の 2 ケースで推定する。

表3-5-2 国営バス公社の現行運賃と計算価格 現行のバス運賃(2002 年 11 月現在:旧アフガニ) プロジェクトの収入計算

に採用する平均運賃 距離区分 0 – 10 Km 10 – 20 Km 20 Km 以上 対象路線 その他路線 運賃 1,000 Afg 2,000 Afg. 3,000 Afg. 1,000 Afg. 1,200 Afg.

改定運賃(計画) 2,000 Afg. 2,400 Afg. (注)単位:旧 1,000Afg(新1Afg)は約 3 円(2002 年 11 月:45Afg/$)

2) 支出予測

国営バス公社の支出の算定方法は以下の前提条件に基づき算出する。

表3-5-3 支出予測の前提条件 区分 算出方法 税金 税金は年間収入額に対して定率(2%)で収めることになって

いる。 人件費 人件費は 2002 年度の平均給与と職員数から算出する。 燃料費 ディーゼルガソリンの単価(10Afg/㍑)と総走行距離数から

年間経費を算出する。 オイル代 オイルの単価(40Afg/㍑)と総走行距離数から年間経費を算

出する。 タイヤ費 タイヤの単価(4,300Afg/本)と消耗比率(走行距離:40,000km

毎に交換)から算出する。 スペアパーツ バス本体の調達価格(インド/イラン製:US$50,000、日本製:

US$125,000)に年間経費率(3%)として算出する。 減価償却費 バス調達可能価格(US$50,000)を 15 年間の定額で計上する。

オーバーホール 現行の経費率(70,000Afg/1000kmx0.4%)を適用する。 その他の経費 2002 年度の実績から同率を適用する。

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3-79

(3) 収支バランス予測

以上から、次の 2 ケースで国営バス公社の損益計算(収支予測)を行った。

「ケース1」:運賃を現行(旧 1,000 アフガニ)に据え置いた場合の収支予測、ただ

し、スペアパーツやタイヤなどの予備品を本プロジェクトの調達品で賄い、補充は考

慮してないケースである。

「ケース2」: 低運賃を仮に、民間レベルまで値上げ(旧 2,000 アフガニ)した場

合に、同公社の営業収入だけで必要な経費が十分賄えるか試算したケースである。

表 3-5-4 の検討結果が示す通り、運賃が現行据え置きとした「ケース1」でも当面の

間、同公社の運営は維持できる。しかし、このケースでは公社が長期に亘り運営に必

要な予備品購入費や減価償却費などは十分に確保されない。したがって、同公社の健

全な経営を確保するためには、「ケース2」が示すとおり、現行の運賃レベルを改定す

るか、政府からの補助金等の手当を講じて収入源の拡大を図る必要がある。

表3-5-4 プロジェクトが実施された場合の年間収支予測(市内路線バス) 単位(旧百万アフガニ(Afg))

2004年度(プロジェクト実施後)項目

2002 年度 (現在)

2003 年度

ケース1 ケース2

1.収入 33,128 47,732 77,825 141,896

a)政府機関からのリース代 14,035 14,035 14,035 14,035

b)通常の営業収入 19,769 34,671 65,379 130,757

c)税金 -676 -974 -1,588 -2,896

2.支出 33,128 70,604 77,825 118,916

職員給与/食事手当 13,749 15,900 21,209 21,209

燃料購入費 9,984 24,005 32,176 32,176

オイル購入費 2,140 4,001 5,635 5,635

タイヤ購入代 2,034 4,301 4,301 6,058

スペアパーツ購入費 2,400 9,150 9,150 27,881

減価償却費 1,067 10,500 1,552 22,155

オーバーホール 995 1,867 2,630 2,630

その他の経費 760 879 1,172 1,172

3.収支バランス 0 -22,872 0 22,980(注 1)予算年度は 3 月 21 日から翌年 3 月 20 日までの 1 年間 (注 2)2002 年度の数値は国営バス公社が算定している予算額、2003 年度および

2004 年度の数値は調査団の推定値。 カブール空港バス

国営アリアナ航空の空港内の陸上サービスにかかる機材の維持管理予算は年間

15.4 万ドル程度であり、新規調達される 4 台のバスの維持費(約 2.2 万ドル)はそ

の 14%程度であることから、維持費の確保には支障ないと判断される。

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3-80

3-6 協力対象事業実施に当たっての留意事項

(1) 免税措置について

本件で調達する機材に関する「ア」国側の免税手続き(付加価値税を含む)は、機

材納入業者からの免税申請書類が国営バス公社に提出された後、国営バス公社の免税

処置に関する書類を添付して通関管理局の承認を取得する手順となるが、カラチ港で

の手続きの遅れや国境での免税措置の手続きが本件の進捗に影響を及ぼさない様に

留意が必要である。

(2) バスの内陸輸送について

本件で調達するバスはカラチ港からカブールまで約 2,000km 自走または台車輸送

となる可能性が高い。パキスタン国内の道路事情は比較的良好であり、隊列を組んで

自走することには問題ないが、国境を通過して「ア」国側に入ると急に道路事情が悪

くなるため、自走中のバスに損傷、汚れ等が発生する可能性がある。このためカブー

ル市内の国営バス公社の敷地内やカブール国際空港にバスが到着してから、機材調達

業者は自らの責任で十分な点検・整備を行ってから納入することとし、場合によって

は洗車や塗装の上塗り、その他損傷部分は修理してから引き渡すようにする。

(3) 維持管理について

市内路線バスは国営バス公社の財政状況を考慮して、本プロジェクトではバス導入

後 5 年間に必要な定期交換部品と消耗部品を調達する。ただし、空港用旅客送迎バス

については実施機関の財政能力から判断して 3 年間分とする。また、本プロジェクト

で調達するバスを適切に維持・管理していく上で 小限必要な修理用機材も調達する。

しかし、車両の維持管理には日常点検および定期点検(3 ヶ月毎、6 ヶ月毎および 1年毎)が必要であり、バスが故障する前に予防措置を施す管理体制が必要である。

(4) バス車庫の整備について

バス車庫の整備には電力と水の引き込みが不可欠である。電力については日常的に

停電する現状から判断して、発電機の設置を本プロジェクトに含めているため、電力

不足問題にはある程度対応できる計画となっている。しかし、水については水道から

の供給量が不十分な場合には水源を地下水に求める対応策が必要である。

(5) 広報効果について

本プロジェクトが我が国の「目に見える援助」として実施されるためには、我が国の

援助のシンボルである ODA マークとバスの色の配色に留意する必要がある。また、

ODA マークのサイズや貼る位置にも留意する。

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第4章 プロジェクトの妥当性の検証

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4-1

第4章 プロジェクトの妥当性の検証

4-1 プロジェクトの効果

本プロジェクトの実施により期待される効果は以下のとおりである。

市内路線バス

現 状 と 課 題 本プロジェクトでの対策

(協力対象事業) 計画の効果・改善程度

国営バス公社は市内 26 バス路線

を 110 台のバスで運行している

が、現在保有のバスは老朽化が激

しくいつ廃棄されてもおかしくな

い状態にある。現在、同公社が必

要なバス台数は 492 台と推定さ

れ、大幅にバス台数が不足してい

る。そのため、公共交通としての

バス交通は役割を維持すことがで

きず壊滅的な状態にある。

*バス利用者数の多い 11 バス路

線を優先路線として、バス輸送

力の復旧を図る。 *11 バス路線を適切に運行する

ために必要なバス台数は 162 台

であるが、現在稼働しているバ

ス台数は 61 台である。本プロジ

ェクトは 11 路線の不足してい

るバス台数(大型バス:94 台、

ミニバス:17 台)を調達し、バ

ス交通の輸送力の復旧を図る。

*対象路線ではバス輸送力が約

65%強化され、市民および避難

民の公共交通サービスが大きく

改善される。 *バス利用者の移動時間が短縮さ

れ、移動時間短縮便益が期待で

き、結果的には地域経済の活性

化に貢献できる。 *対象路線のバス運行間隔が現在

の10~20分間隔から5分間隔に

短縮できる。利用者のバス待ち

時間が短縮することによって移

動時間が短縮する。 ピーク時間におけるバス乗車率が

170%(定員 70 人の場合 120 人乗

車する)以上で過酷な輸送状態を

余儀なくされている。

ピーク時間における乗車率を

120%(定員 70 人の場合 85 人乗車

する)程度に改善する。

*朝夕の通勤・通学のピーク時に

は混雑が激しいため、女性や子

供達は乗車が困難であるが、対

象路線においてはこれらの社会

的弱者でも乗車が可能となる。

*利用者は通勤・通学の快適性が

確保できる。 現在稼働しているバスは老朽化が

激しく排気ガスを撒き散らして走

行しており、大気汚染を増進させ

ている。

エンジンは排ガス対策が施された

日本製とする。 *大気汚染削減効果が期待でき

る。

国営バス公社は運営費を十分にカ

バーするだけの収入がないため、

スペアパーツの購入が困難とな

り、他のバスを解体して、必要部

品を確保している。

機材の調達にあたってはスペアパ

ーツを本プロジェクトで調達す

る。

*本プロジェクトで調達するバス

の維持管理を容易にする。

内戦により国営バス公社のワーク

ショップや機材は破壊されたまま

となっており、バスの維持管理を

困難にしている。

必要最低限の維持管理を行うため

の修理機材を本プロジェクトで調

達する。

*維持管理が円滑に進み、バスの

耐久年数が伸びる。 *修理の時間が短縮され、稼働バ

スが増加する。 バスの維持管理が不十分のためバ

スが規則正しく運行されていな

い。

ソフト・コンポーネントの導入で

バスの運行・維持管理に対する技

術指導を行う。

*技術指導により国営バス公社の

バスの運行・維持管理体制が改

善される。 *対象路線ではバスの定期運行が

可能となる。結果的に利用者の

利便性が増加する。

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4-2

カブール空港バス

現 状 と 課 題 本プロジェクトでの対策

(協力対象事業) 計画の効果・改善程度

カブール国際空港では民間航空機

の離発着が増加しつつあるなか、

旅客送迎用のバスは 30 年前の老

朽化したバス 1 台(50 人)しかな

く、旅客の多くは航空機とターミ

ナル間を徒歩で移動している状況

である。

大型バス 4 台(50 人)を調達し、

輸送能力を 200 人規模に増強す

る。

*旅客輸送能力は 4 倍に増強す

る。 *旅客機利用者の移動が安全かつ

円滑に行うことができる。

老朽化したバスが 1 台しかないた

め、機材の維持管理に必要な修理

用機材や予備品がない。

バスの維持管理に必要な保守・修

理機材やスペアパーツも調達す

る。

*本プロジェクトで調達するバス

の維持管理を容易にする。 *本プロジェクトで調達するバス

の維持管理を容易にする。

4-2 課題・提言

(1) バス車庫の整備(市内路線バス)

本プロジェクトで調達されるバスは市内のクチサンギ車庫で保管される計画であ

る。現在クチサンギ車庫は廃車されたバスの置き場になっているため、本プロジェク

トで調達されるバスが到着する前に、これらの廃車されたバスを国営バス公社は撤去

する必要がある。また、バスの維持管理もここで行われるため、運行管理事務所やコ

ンテナーによる簡易ワークショップでの作業に必要な電力や水の引き込みは国営バ

ス公社が行うことになっている。この撤去作業が車庫の整備開始前に行われないと本

プロジェクトの進捗に影響する。

(2) 国営バス公社運営に必要な財源の確保(市内路線バス)

国営バス公社はバスの運賃収入のみによって運営されているが、その運賃は民間バ

ス会社の最低運賃の半額に設定されているため、経営的に困難な状況である。このた

め本プロジェクトでは予備品や修理機材も含めることによって、数年間は公社の運営

が維持される見込みであるが、その後は運賃を値上げして収入を拡大するか、政府か

ら補助金を受けて不足分を補うかの方法でバス公社の運営が維持できるような対応

策が必要である。

(3) カウンターパートへの技術指導(市内路線バス)

市内路線バスの運行・維持管理に関しては将来の運営規模から人材育成が必要であ

る。現時点では自助努力では難しいため、かかる技術指導を日本側が行うが、技術移

転にかかる有能な人材を国営バス公社は提供する必要がある。カブール国際空港につ

いては運行規模的にも、特別な技術指導は必要ないと判断している。

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4-3

(4) ワークショップの整備(市内路線バス)

クチサンギ車庫にはバスの維持管理に必要なスペアパーツや修理用機材等の保管

場所もないため、コンテナータイプのワークショップを設置して、本プロジェクトで

調達するスペアパーツや修理用機材を保管すると共に、そこで軽微な修理作業も行う

予定である。これらのワークショップはあくまでも本プロジェクト用の簡易ワークシ

ョップであるため、将来的には恒久的なワークショップを整備する必要がある。

なお、カブール国際空港には国営アリアナ航空のワークショップがあるため、本プ

ロジェクトで調達されるスペアパーツや修理用機材の保管場所には支障がない。

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4-4

4-3 プロジェクトの妥当性

本プロジェクトは以下のとおり、我が国の無償資金協力事業の目的に照らして必要条

件をすべて満たしていることから、プロジェクトの実施は妥当であると判断される。

(1) プロジェクトの裨益対象は難民および国内避難民等の貧困層を含むカブール市民

全体で、その総数は約2.4百万人である。

(2) 本プロジェクトにより、カブール市の公共輸送力が大幅に復旧され、難民および避

難民等の低所得者の生活の向上および公共サービスの改善のために緊急に求めら

れている。

(3) 被援助国である「ア」国が、独自の資金と人材・技術で運営、維持管理を行うこと

ができ、過度に高度な技術を必要としないプロジェクトである。

(4) 我が国の技術協力で実施された「カブール市緊急復興支援調査」の目標達成に資す

るプロジェクトである。

(5) 難民および避難民等の貧困層に対して基礎生活分野である公共輸送力を復旧する

ことを目的にしており、収益性は低いプロジェクトである。

(6) 環境を考慮した機材計画を設定したため、環境面の負の影響が少ないプロジェクト

である。

(7) 本プロジェクトは、我が国の無償資金協力のガイドラインにより、特段の困難がな

く実施可能である。

4-4 結論

本プロジェクトは前述のように多大な効果が期待できると同時に、本プロジェクトが

広く民生の安定に寄与するものであることから、協力対象事業の一部に対して、我が国

の無償資金協力を実施することの意義は大であると判断される。しかし、将来的には運

営維持管理にかかる運賃収入が十分でないため、現行運賃を値上げして収入を拡大する

か、政府から補助金が得られれば、本プロジェクトは円滑に実施しうると考えられる。

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資料1 調査団員・氏名

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資 料

1. 調査団員氏名、所属

基本設計調査

氏 名 担当業務 現 職

杉山 茂 総 括 国際協力事業団 無償資金協力部

業務第三課

上田 正明 業務主任/運営計画 八千代エンジニヤリング(株)

都築 弘一 路線計画/運行計画 八千代エンジニヤリング(株)

宮本 隆幸 機材計画 八千代エンジニヤリング(株)

高橋 豊 調達計画/積算 八千代エンジニヤリング(株)

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資料2 調査日程

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2. 調査日程

現地調査日程表(基本設計調査)

調査内容 日順 月/日 曜日 宿泊地

官団員(杉山リーダー) コンサルタント団員

1 10/28 月 イスラマバード 東京→イスラマバード(PK853、14:00-22:05)

2 10/29 火 イスラマバード 団内打ち合せ、「ア」国ビザ取得手続き

3 10/30 水 イスラマバード 団内打合わせ

4 10/31 木 カブール

イスラマバード→カブール(UN170、9:00-8:25)

ミリバス公社表敬、民間航空観光省表敬、JICA事務所打合せ、

在アフガニスタン日本大使館表敬、市内バス路線視察

5 11/1 金 同上 市内バス路線視察

6 11/2 土 同上 運輸省表敬・協議、女性課題省表敬、復興省表敬、民間航空観光省協議

7 11/3 日 同上 ミリバス公社と協議、運輸省と協議、民間航空観光省と協議

8 11/4 月 同上 運輸省と協議、計画省表敬、ミリバス公社と協議、復興省にてM/D署名

9 11/5 火 同上 バス路線視察、ミリバス公社と協議、カブール空港視察

10 11/6 水 同上 団内打合せ、JICA事務所および日本大使館帰国報告、

11 11/7 木 同上 カブール→イスラマバード 空港訪問、バス路線調査

12 11/8 金 同上 デポ予定地調査、資料整理

13 11/9 土 同上 空港視察、気象庁訪問、統計局訪問

14 11/10 日 同上 ミリバス公社と協議、バス路線調査

15 11/11 月 同上 バス路線/デポ予定地調査、建設事情調査

16 11/12 火 同上 空港およびミリバス公社と協議

17 11/13 水 同上 AACA/UNDP と訪問、民間バス組合協議、

18 11/14 木 同上 ミリバス公社/アリアナ航空と協議

19 11/15 金 同上 団内打合せ、バス路線調査

20 11/16 土 同上 ミリバス公社と協議

21 11/17 日 同上 アリアナ航空(本部)と協議、

22 11/18 月 同上 アリアナ航空(空港)と協議、

23 11/19 火 同上 ミリバス公社と協議、女性課題省報告、

24 11/20 水 カブール JICA事務所、日本大使館帰国報告

25 11/21 木 ― カブール→イスラマバード(PK253,12:00-)

イスラマバード→(PK852、23:35-)

26 11/22 金 ― →東京(PK852、-12:40)

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資料3 関係者(面談者)リスト

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3. 相手国関係者リスト

1. Ministry of Planning(計画省) Dr. Alii Asghar Payman, 1st Deputy Minister(副大臣)

2. Ministry of Reconstruction(復興省)

Dr. Nazir Ahmad Shahidi, Deputy Minister(副大臣) Mr. Zalma Naseri, Director of Document and Relation(渉外局長) Mr. Sayed Abdullah Shakeeri, Diretor of Taking care(総務局長) Mr. Gada Jan, Director of Coordination(調整局長)

3. Ministry of Transport(運輸省)

Mr. Said M. Alijavad, Minister (大臣) Mr. Mohd. Ramazan Shafiq, (局長)

4. Ministry of Civil Aviation and Tourism(民間航空観光省)

Eng. Raz Mohd Alami, Technical Deputy Minister(副大臣) Mr. Noorul Hgu Fagir-Yar, President of Document and Relation(渉外局長) Mr. Abdul Qayum Basharyar, President of Civil Aviation Operation (運行局長) Mr. A. Rafi Qaderi, President of Planning (計画局長) Mr. M. Shafi (Rasheedi), President of Administration(総務局長)

5. Ministry of Women’s Affiars (女性課題省)

Dr. Habiba Sarabi, Minister(大臣) 山本 佳恵(JICA 専門家)

6. Ministry of Mines and Industries (資源工業省) Mr. M. Amin Sadiq, President, Planning Dept.(計画局長)

7. Directorate of Millie Bus(ミリバス公社)

Eng. Mohd Asif, Director(総裁) Mr. Gholam Abzrat Jaya, Deputy Director(副総裁) Mr. Abdul Khalig, Deputy Director (副総裁) Mr. Abdul Rahman Salihi, General Advisor (顧問)

8. Kabul International Airport(カブール国際航空) Mr. Al. Haj Ghulam Ali (Timar), General Manager(空港長) Mr. Q.M. Badakhshi, AIP Assistant Manager (副空港長)

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9. Ariana Afghan Airlines(アリアナ・アフガニスタン航空) Mr. F. M. FEDAWI, Vice President Operations/Technical(副社長) Dr. A. Kabir Amani, Maint. And Engg. Director(維持管理部長)

10.Transport Special Sector (民間運輸組合) Mr.Mohammad Ibrar (Bukhshi), Director (理事長)

11.Afghanistan Assistance Cooridination Agency (アフガニスタン支援調整庁) 福田 幸昌、Advisor(JICA 派遣専門家)

12. United Nations Development Programme (UNDP)

Mr. Kevin Evans, Assistant Country Director 9.在アフガニスタン日本国大使館

宮原 信孝 公使 児玉千佳子 三等書記官

10. 国際協力事業団 アフガニスタン事務所

地曳 隆紀 主席駐在員 菊地 とものり 次席駐在員 長谷川庄司 企画調整員 斎藤 之弥 企画調整員

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資料4 当該国の社会経済状況

(国別基本情報抜粋)

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資料5 討議記事録(M/D)

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資料6 事業事前評価表

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事業事前評価表 1.協力対象事業名

アフガニスタン国 カブール市公共輸送力復旧計画

2.我が国が援助することの必要性・妥当性

(1) 我が国が当該国に対し援助することの必要性・妥当性

アフガニスタンでは、20年以上にわたる内戦により経済・社会インフラ、統治の

基本的システムが破壊され、財政基盤も殆どない状況である。また、同時多発テロ

以降の米英による武力行使が終結したことで、予想を遥かに越えた数の難民(2002

年:約200万人)が帰還しつつある一方、民族対立や旱魃の影響により新たな国内避

難民が発生しているため、アフガニスタンの復興に向けた早急な支援が国際社会に

求められている。我が国は2002年1月の「アフガニスタン復興支援国際会議」(東京

開催)において、向こう2年6ヶ月で最大5億ドル(約650億円)まで(そのうち2002

年で最大2.5億ドル(約325億円))の支援を表明し、これまでの実績は約3億7500万

ドルとなっている。アフガニスタンの安定への取組みは、中東や中央アジアの地域

だけでなく、世界全体の平和と安定、さらにはテロの根絶・防止にもつながる。ま

た、アフガニスタン復興支援は紛争を抱えている他の国々に対しても、和平を進め

ることで国際社会の支援を受けられるというメッセージを送ることにもなる。

(2) 当該プロジェクトを実施することの必要性・妥当性

2002 年 4 月の第 1 回支援グループ(Implementation Group:IG)会合において発表

された国家開発計画(National Development Framework: NDF)では、①国家統合と

緊急的インフラ開発、②教育、③都市開発、④水資源、⑤ガバナンス、⑥運輸(道

路、空港)の 6 分野が重点課題とされている。

カブール市内の公共輸送手段はバスおよびタクシーであり、特にバスは多くの貧

困層を抱える同市において最も重要な移動手段である。しかしながら国営バス公社

の保有バス台数は大幅に不足しているため、朝夕のピーク時には乗車率が 170%(定

員 70 人のバスに対して約 120 人が乗車)にもなり、乗客の積み残しが日常化してい

る状況にある。また稼働しているバスの多くは老朽化が著しいことから、新規のバ

スを確保し、同市の公共輸送力を復旧させることが急務となっている。

一方、カブール国際空港では民間航空機の離発着が増加しつつあるなか、旅客送

迎用のバスは 30 年前の老朽化したバス 1 台しかなく、旅客の多くは航空機とターミ

ナル間を徒歩で移動している状況にある。

国営バス公社の運行台数が増加し公共輸送能力が改善されれば、カブール市民の

生活安定、大気汚染の削減および時間短縮による経済の活性化等に貢献するものと

期待される。また、カブール国際空港内での旅客移動手段が確保されれば、空港の

円滑な運用および航空機の安全な離発着への寄与が期待される。

3.協力対象事業目的(プロジェクト目標)

カブール市内においてバスを調達することにより、対象バス路線の公共交通輸送能力を復興

させることを目的とする。また、カブール空港の旅客送迎用のバスを調達することにより、旅

客機利用客の移動を安全かつ円滑に行うことを目的とする。

4.協力対象事業内容

(1) 対象地域

カブール市全域

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(2) アウトプット

・市内路線バス:カブール市内の公共交通手段が整備される。

路線番号 現在の運行台数プロジェクト実施後の運行

台数(増加分) 車両形式

5 2 13 (11) 大型バス 6 2 14 (12) 大型バス 8 9 19 (10) 大型バス 9 3 12 (9) 大型バス

15 4 14 (10) 大型バス 17 8 17 (9) 大型バス 25 9 13 (4) 大型バス 26 9 19 (10) 大型バス 31 4 12 (8) 大型バス 34 2 13 (11) 大型バス 43 9 26 (17) ミニバス

上記路線は①路線沿線上の人口密度、②1日の運行回数、③既存道路の舗装状態、

④開発調査「カブール市緊急復興支援調査」(緊急復興を必要とする学校・病院や道路

修復を支援)との関連性の 4 項目を評価し決定した。

・カブール空港バス:カブール国際空港の旅客送迎用バスが整備される。

(3) インプット

1) 市内路線バス

【日本側】

・ 大型バス:94 台、ミニバス:17 台、部品:1 式、修理工具類:1 式の調達

・ 運行・維持管理に係る技術指導

【相手国側】

・ バス車庫敷地内の残置機材(廃車)撤去

・ バス車庫への電力・水の引き込み

・ 運転手等の要員確保

2) カブール空港バス

【日本側】

・ 大型バス:4 台、部品:1 式、修理工具類:1 式の調達

(4) 総事業費

概算事業費 22.31 億円(日本側 22.30 億円、アフガニスタン国側 84 万円)

(5) スケジュール

詳細設計を含め約 11.0 ヶ月(予定)

(6) 実施体制

市内路線バス

1) 主管官庁:運輸省(MOT)

2) 実施機関:国営バス公社(Millie Bus)

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カブール空港バス

1) 主管官庁・実施機関:民間航空観光省(MCAT) 5.プロジェクトの成果

(1) プロジェクト裨益対象の範囲および規模

・裨益対象地域: カブール市全域 ・裨益人口: 約 239 万人(2005 年)

(2) 事業の目的(プロジェクト目標)達成を示す成果指標

1) 国営バス公社の乗客輸送能力が拡大する。

区分 2002 年実績 プロジェクト

実施後 年間運行回数(往復) 187,200 回 782,300 回 総走行距離数(km) 4,482,240km 9,391,830km 年間乗客数(人) 16,473,600 人 60,668,400 人 ピーク時の乗車率(%) 170% 120%

2) カブール国際空港内の旅客運搬能力が増加する。

2002 年度実績 プロジェクト 実施後

旅客運搬人数(航空機離発着回あ

たり) 50 人/回 200 人/回

6.外部要因リスク(事業の目的(プロジェクト目標)の達成に関するもの)

(1) 国営バス公社の収入および運行・維持管理費の確保

1) 国営バス公社の運行が計画どおりに行われ、バスの運行・維持管理に必要な収入(資金源)

が確保されること。

2) バスが運行する路線の道路状況が悪化しないこと。

3) カブール市内の治安が悪化しないこと。

(2) カブール国際空港の旅客人数の確保 空港が閉鎖されることなく民間航空機が離発着すること。

7.今後の評価計画

(1) 事後評価に用いる成果指標

1) 国営バス公社の年間運行回数、総走行距離、年間乗客数、ピーク時の乗車率 2) カブール国際空港内の旅客運搬人数

(2) 評価のタイミング

2005 年(共用開始)以降

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資料7 参考資料/収集資料リスト

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7. 収集資料リスト

番号 資料名 作成者 入手先

1 THE DEMOCRATIC REPUBLIC OF AFGHANISTAN, MINISTRY OF JUSTICE , OFFICIAL GAZETTE, 1987

A. Zahir Wazeen Millie Bus

2 バス公社組織図 Millie Bus

3 AFGANISTAN TOURIST INFORMATION Afganistan Tourist

Organization Book Shop

4 THE ETHNIC COMPOSITION OF AFGANISTAN Wak Foundation Book Shop 5

6

7

8

9

10

11

12

13

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17

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資料8 ソフトコンポーネント計画

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8. ソフトコンポーネント計画

(1) 背景

現在バスの運行配備計画は運行責任者(Dispatcher)によって毎朝バスターミナルに

おいて運行先が指示されている状況にあるが、市民の足として安定した定期的なバス

運行が行なわれているとはいい難く、公共交通としての信頼性や安全性が確立されて

いない現状である。現状では約 110 台程度の営業規模であるが、将来的には 492 台規模

となる予定である。国営バス公社がカブール市の公共交通の大半を担う機関として持

続的に存続するためには、バスの運行計画から保守点検にいたるまで計画的・効率的

に管理する体制作りが必要である。

本プロジェクトで調達される機材の性能および機能を計画通り維持し、本プロジェ

クト対象地域内で安定した公共輸送を行うためには、適切な行動計画や運行マニュア

ルが整備され、そのマニュアルに従って、バスの安全運行を始めとする地域住民への

サービスの拡大を図る必要がある。

また、現在国営バス公社には修理用部品の在庫もなく、保有するバスが故障するた

びに、そのバスの補修に必要な部品や消耗品を故障して使えなくなった他のバスから

取ってきて補修する修理方法である。このためバスが故障すると、そのバスは予定さ

れた運行が突然キャンセルとなり、公共交通の基本的要件に支障をきたしている。こ

のため予防的修理ができる計画的維持管理体制に改善していく必要がある。本プロジ

ェクトではスペアパーツなどの予備品も含まれているが、これら予備品の管理方法と

併せて、車両の保守管理体制を構築する必要がある。

以上から、本プロジェクトにおいては適切な運行計画や車両の維持管理の改善のた

めソフト・コンポーネントの導入による技術指導を行う。

図 1 国営バス公社へのソフト・コンポーネント実施の考え方

バス利用者へのサービスと質の拡大 * 定期運行の拡充 * 通勤・通学時間の短縮 * 利用者の快適性の確保

適切な維持管理 * 車両の適切な保守マ

ニュアルの整備 * 部品在庫管理

適切な運行計画 * 運行関連マニュアルの整備 * 安全運転(運転手の教育) * 管理職員の能力向上

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(2) 目標(ターゲット)

バスの計画的維持管理を行い規則正しい運行計画を行う。

(3) 成果(直接的効果)

本ソフト・コンポーネントの導入により期待される効果は、以下のとおりである。

・ バスが計画通り運行することによって、利用者の待ち時間や通勤時間が短縮され

る。

・ バスの運行計画が改善することによって、利用者の利便性が増す(乗車率が現在の

170%(120 人)から 120%(85 人)に軽減する。女性・子供もピーク時に乗車可

能となる)。

・ バスの運行が計画的に行われれば利用者の安全乗車に貢献する。

・ 運行計画や維持管理のマニュアルが整備されることによって国営バス公社の経営

方法も改善される。

・ バスの運行記録や部品の維持管理がコンピューターによって管理されることによ

って経営管理も計画的にできる。

・ バスの維持管理に必要な車庫が整備されればバスの管理も適切に行われる。

・ バス運行路線のバス停が整備されれば利用者の利便性が更に増加する。

(4) 活動(業務内容の詳細)

・ 国営バス公社の職員の行動規範の基となるマニュアル(現地語)を整備する。

・ バス運行記録や事故記録などのマニュアル(現地語)を整備する。

・ 収集された運行データの分析管理方法を技術指導する。

・ 運行時間数や走行距離による保守点検ヶ所、方法を指導する。

・ 消耗品や予備品の保管方法を管理台帳やコンピューターによる保管方法を習得さ

せる。

・ 現地業者を指導してバス車庫を整備し、バスが適切に維持管理できるようにする。

・ 現地業者を指導してバス路線を整備して利用者の利便性を向上させる。

ソフト・コンポーネントはコンサルタントが主体となって国営バス公社に技術指導

を行うと共に、現地再委託業務を管理する。

① コンサルタント

コンサルタントは国営バス公社の運行状況を分析し、改善事項について運行計画

や維持管理マニュアルとして作成すると共に、バスの運行サービスがよりカブール

市の住民のニーズに合うように同公社に対して技術移転を行う。技術移転の内容と

してはバスの運行管理、維持管理およびコンピューターの操作・活用方法である。

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また、バスの保管場所および維持管理が適切に行えるようにバス車庫の整備やバス

運行路線の施設整備に係る技術指導をおこなう。

技術指導派遣員の構成

技術指導内容 専門分野 人数 運行計画マニュアル作成・技術指導 車両運行計画 1 名 維持管理マニュアル作成・技術指導 車両維持管理 1 名 コンピューター管理技術指導 コンピューター運行管理 1 名 バス車庫の機能整備・技術指導 土木・建築技術者 2 名 運行路線の整備・技術指導 土木技術者 1名

合計 6名

② 技術指導(再委託)

現地再委託業務で以下の施設整備を行う。コンサルタントは技術指導を行う。

実施場所 整備項目 数量 (概略仕様) 備考 給油タンク 1 ヶ所(30kℓ) 簡易ワークショップ 1 式(コンテナータ

イプ) 非常用発電機(200kva) 1 基

運行管理事務所

プ レ フ ァ ブ 式

(30-50 人収容) コンピューター:3 台

プリンター:2 台 守衛用キャビン 2ヶ所 敷地内の整備 6,600m2(砂利) 20cm 厚 出入り口 2ヶ所(鉄板 30mm) (2.4m×3.4m)×5 枚

/1 ヵ所

塀(ブロック) (100m+240m)×2

バス車庫

プロジェクト看板 4 ヶ所 バス停 252 ヶ所 優先 11 バス路線 バス路線 運行管理所 19 ヶ所(2.5m×2.5m) 11 路線の始発・終点

③ 国営バス公社

本プロジェクトの維持管理の実施機関であるため、ソフト・コンポーネント実施

に係る必要な手続きおよび承認取得行為を行い、ソフト・コンポーネント実施に支

障をきたさないように取り計らう。

とくに日本人専門家に対するカウンターパートを任命して同一行動をとるなど技

術習得が可能な技術者をそれぞれ人数分任命すること。また、バス車庫の整備に必要

なインフラの整備に協力する。

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表 1 カブール市公共交通復旧計画に係るPDM

プロジェクトの要約 指標 指標データ入手手段 外部条件 プロジェクト目標 カブール市民のためのバス公共輸送能力が大きく復旧される。

2004年での目標 ・ 選定された11路線の需要は全てカバー

できる。 ・ バス台数(大型バス:94台、ミニバス:

17台)が増加する。

・ 国営バス公社の出納帳 ・ 国営バス公社の運転記録表

・ 燃料が恒常的に購入でき

る。

ソフト・コンポーネントの目標 ・ バスの計画的運行管理が構築されることによって市民の交通利便性

が改善される。 ・ バスの維持管理体制が確立して計画的運行管理ができる。

・ 運行計画/維持管理計画のマニュアルが

整備される。 ・ 運行記録、故障修理記録がコンピュー

ターで記録される。 ・ バス車庫が整備され、バスの保管、修

理が適切にできる。 ・ バス停が整備され市民の利便性と安全

運転が確保される。

・ バス利用者へのヒアリング調査 ・ タクシー/民間バス運転手へのヒアリ

ング調査

・ 道路事情が悪化しない

ソフト・コンポーネントの成果 ・ バス車庫(敷地、給油設備、中央運行管理所、簡易ワークショップ

など)が整備されバスの維持管理体制ができる。 ・ バスの計画的運行の指標であるバス停(252 ヶ所)やバス運行管理

所(19ヶ所)が設置される。

・ バス車庫の敷地が整地され、給油設備、

中央運行管理所、簡易ワークショップ

などが設置される。 ・ バス停252ヶ所、バス運行管理所19ヶ

所が設置される。

・ 設置記録

・ 現地調達資材が支障なく入

手できる。

・ 国営バス公社に指導に相当

する人材が存在する。 ・ 施設整備に必要な労働力が

得られる。

ソフト・コンポーネントの活動 ・ バス運行情報の収集・分析 ・ バスの修理・保守体制の実態把握 ・ バス運行計画の立案 ・ バス運行管理のマニュアル作成・技術指導 ・ バス修理・部品管理全計画の作成 ・ バス修理・保守体制のマニュアル作成・技術指導 ・ コンピューター管理・操作方法の技術指導(乗客数、料金徴収、運

行管理、部品管理、修理記録など) ・ 安全管理、危機管理体制の強化のための指導 ・ バス車庫設備の設置に係る技術指導 ・ バス停・運行管理所の設置に係る技術指導

(投入) 日本側 ・ 日本人専門家6名 ・ 現地業者(責任者:1名、主任:5 名、

労働者50人) ・ ソフト・コンポーネント実施に必要な

資機材の調達(コンピューター、プリ

ンター、給油設備、コンテナー、プレ

ハブ、キャビンなどの調達を機材調達

にて行う。)

相手国側 ・ 技術移転対象技術者の選定。 ・ バス車庫への電力・水の引き込み ・ 破棄されている既存バスの撤去。 ・ バス停整備に必要な市民への協力の

呼びかけ

前提条件 ・ 国営バス公社や市民が実施

に反対しない。

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(5) バス車庫候補地の整備

本プロジェクトで調達されるバスはカブール市南西部にあるクチサンギ車庫が保管場所と

なる。現在は既存バスの残骸が置かれているが、新規調達バスが到着するまでに運行および維

持管理の観点から必要な機能整備を行う必要がある。

それらの機能整備としては以下が想定される。

・ 敷地内の整地:車庫内は平地で、面積約24,000m2あるが、バスを駐車管理するためには

本来コンクリート舗装による整備が必要であるが、本プロジェクト実施時期までに「ア」

国側の予算手当が危ぶまれるため、暫定措置として砂利を引いてバスが出入りする場所

の地盤に起伏が発生しないようにする。

・ 塀の整備:現在車庫の周りには既存の塀があるが上部は大半が破壊されており、誰でも

が自由に出入りできるため保管場所としてのセキュリティー面に問題がある。このため

ブロックによる新規積み立てが必要である。塀の高さは約 2m 位が必要であるが、下部

の基礎部分は一部を除いて、現在の基礎がそのまま使える。

・ 出入り口の整備:バスが出入りする入り口は 2ヶ所となるが、車庫の周りは排水溝があ

るため、鉄板などによるバスの荷重に耐えうる強度の橋げたが必要である。

・ バス運行管理事務所:この車庫はバス発着所となるため調達バス台数(111 台)と同じ

数の運転手と車掌が出発時と運行終了時には集まる。また、運行計画によっては休憩時

間に一端ここに戻ってくるバス(運転手および車掌)があり、これらの運転手および車

掌が休憩する場所が必要である。仮設施設としてプレハブの平屋建て建物を設置する。

臨時施設であるため、面積は約 30 人程度が休憩できる面積として約 250m2、トイレ、

シャワー、給湯設備などを設ける。また、日本人技術指導員の作業場所ともなる。なお、

電気・水の引き込みは「ア」国側で行なう。

・ 簡易ワークショップ:バスの部品や補修機材の保管場所としてコンテナーをそのまま使

うことを想定している。数は部品や機材の調達数量によって変わってくるが、40 ヤード

コンテナー、20個程度が必要であろう。

・ 入り口守衛用キャビン:バスの出入りや不信な人の出入りチェックのために入り口にキ

ャビン(1人が机と腰掛で作業できるスペース:約5m2)を 2ヶ所設置する。

・ 燃料給油設備:バスの燃料を給油する簡易型(地上設置)燃料ポンプ所を設置する。 タ

ンクの容量:30kℓ/1基

・ 訓練用機材:バスの運行管理計画や補修計画に基づきバスの維持管理をコンピューター

で行うが、これらの機材として、コンピューター:3台、プリンター:2台を調達する。

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(6) バス運行路線の施設整備

① バス運行管理所:現在各路線の発着場所にはバスの運行を管理する専属職員によって全て

のバスの運行状態は管理されている。本プロジェクトの対象路線となる各路線の終点と始

点にはこの運行管理所(守衛用キャビンと同規模)を設置する。始点に 8 ヶ所、終点 11

ヶ所、計 19ヶ所。

② バス停の整備

本プロジェクトで調達されるバスは11バス路線に配備される。その各バス路線における停留

所数は道路の左右両側を含めて 252箇所である。

表 2 11 バス路線におけるバス停留所数

バス路

線番号 バス路

線延長 (km)

(A)既存のバス

停留所数 (B)重複してい

るバス停留所数

(C)必要バス停

留所数 (片側の数:

A-B)

(D)必要バス停留

所数 (両側の数:Cx2)

5 9.7 20 10 10 20 6 4.6 17 0 17 34 8 5.2 12 5 7 14 9 8.0 13 10 3 6 15 4.3 18 0 18 18 17 6.2 15 0 15 30 25 5.8 14 0 14 28 26 4.6 18 5 13 26 31 7.3 16 0 16 32 34 4.8 8 1 7 14 43 5.1 11 5 6 12 合計 片側=162 個所 片側=36 個所 片側=126 個所 両側=252 箇所

表3 ソフト・コンポーネント実施工程表

年 月 平成14年度 平成15年度

2003年 2004年

項 目 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

3 0.5 5.0

3 0.5 5.0

4 0.5 5.0

 バスデポ機能整備(土木) 4 1.5

 バスデポ機能整備(建築) 4 2.0

 バス停機能整備 (土木) 4 2.0

 運 行 計 画

 車 両 維 持 管 理

 コンピューター 運用管理

技 術 指 導

交 換 公 文 調 印 ( E / N )

コ ン サ ル タ ン ト 契 約

第 1 次 船 積 み バ ス 到 着

第 2 次 船 積 み バ ス 到 着

第 3 次 船 積 み バ ス 到 着