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www.analog.com/jp/RAQ/Issue12/info アクティブ・フィルタの詳細については、 下記 Web サイトをご覧ください。 筆者紹介: James Bryant は、 1982 年からアナログ・ デバイセズの欧州地区で アプリケーション・マネー ジャを担当しています。 リーズ大学で物理学と哲 学の学位を取得し、さら C.Eng. Eur.Eng. MIEEFBIS の資格があ ります。エンジニアリン グに情熱を傾けるかたわ ら、アマチュア無線家で もあり、コールサイン G4CLF を持っています。 この記事に関する ご意見・ご感想は、 [email protected] までお寄せください。 その他のRAQについては、 www.analog.com/jp/RAQ をご覧ください。 その理由は、アクティブ・フィル タ用のソフトウェアの多くが実際のア ンプ動作のことをわかっていないから です。最近、私は休暇で紅海へダイビ ングに行きました。携帯電話とコン ピュータは自宅に残し、仕事のことは 一切忘れていました。ところが、ばか なことにタオルとカメラをアナログ・ デバイセズのロゴ入りリュックサック に入れてダイビング・ボートに乗り込 んだのです。ダイバー仲間の1 人にロ シア出身のエカテリンがいて、アナロ グ・デバイセズのオペアンプでアクティブ・フィ ルタを設計したところ、いくつか問題にぶつかって いました。そこにこのロゴです。これで万事休す! 彼女のフィルタ設計は完璧でした。 SPICE 解析もそ れを証明しており、コンポーネントの許容誤差も適 切でした。幸い、私はコンピュータがなくてもフィ ルタがどうして予想どおりに機能しないかわかり ました。設計は、すべてのパラメータがゼロか無限 大の理想的なオペアンプをもとにしていました。し かし、現実はそれほど都合よくありません。 電圧帰還型オペアンプには、一般に高いオープン・ ループ・ゲインと単極の周波数応答があります。高 精度タイプでは106dB を超えるゲインがあります が、ゲイン帯域幅積が数MHz を超えることはめっ たになく、オープン・ループ・ゲインは数Hz で低 下し始めます。オーディオ・スペクトルの上限の 20kHzになると、高精度オペアンプのオープン・ルー プ・ゲインは50dB を下回ることがあります。これ では、アクティブ・フィルタの設計は台無しです。 さらに、高信号レベルでは、スルーレートによって もアンプの周波数応答が制限されます。 高速オペアンプにはこのような問題はありません。 しかし、多くの高速オペアンプは容量性帰還によっ て発振します。多くのアクティブ・フィルタ・トポ ロジは容量性帰還を使用しているため、電流帰還型 オペアンプでアクティブ・フィルタを設計するこ とは賢いやり方ではありません。 設計者は、小型で安価な高精度コンデンサを使用す るために値の高い抵抗を使用しがちです。高い抵抗 にバイアス電流が流れ込むと、抵抗での電圧降下に よってアンプのオフセット電圧の仕様が低下しま す。オペアンプのノイズ電流もシステム・ノイズに 大きな影響を与えます。 抵抗の(ジョンソン)ノイズは、オペアンプのノイ ズを上回ることもあります。フィルタ設計者は必ず しもこの点を考慮に入れるわけではなく、また適切 な高周波電源デカップリングを行うわけでもあり ません。このために、アンプの高周波応答が損なわ れてしまいます。 エカテリンの問題は、使用していたアンプが遅すぎ たことが原因でした。幸い、私はもっと高速のアン プを勧めることができました。その後、帰宅してか ら知ったのですが、これによって彼女の回路は必要 な性能を楽々と上回ることができました。アクティ ブ・フィルタの問題を解決した後、私たちは海と美 しい岩礁を楽しみ、もう仕事に気を散らすことはあ りませんでした。 A. アクティブ・フィルタを入念に設計したのに仕様に合わないのは なぜでしょうか? Q. アクティブ・フィルタを設計しない方法 (あるいはダイバーの気を散らすのはサメだけではない) www.analog.com/jp

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Page 1: アクティブ・フィルタを設計しない方法 (あるいはダイバー …Title RAQ Issue 12:アクティブ・フィルタを入念に設計したのに仕様に合わないのはなぜでしょうか?

www.analog.com/jp/RAQ/Issue12/info

アクティブ・フィルタの詳細については、下記Webサイトをご覧ください。

筆者紹介:

James Bryantは、

1982年からアナログ・

デバイセズの欧州地区で

アプリケーション・マネー

ジャを担当しています。

リーズ大学で物理学と哲

学の学位を取得し、さら

に C.Eng.、Eur.Eng.、

MIEE、FBISの資格があ

ります。エンジニアリン

グに情熱を傾けるかたわ

ら、アマチュア無線家で

もあり、コールサイン

G4CLFを持っています。

この記事に関する

ご意見・ご感想は、

[email protected]

までお寄せください。

その他のRAQについては、

www.analog.com/jp/RAQ

をご覧ください。

その理由は、アクティブ・フィルタ用のソフトウェアの多くが実際のアンプ動作のことをわかっていないからです。最近、私は休暇で紅海へダイビングに行きました。携帯電話とコンピュータは自宅に残し、仕事のことは一切忘れていました。ところが、ばかなことにタオルとカメラをアナログ・デバイセズのロゴ入りリュックサックに入れてダイビング・ボートに乗り込んだのです。ダイバー仲間の1人にロシア出身のエカテリンがいて、アナログ・デバイセズのオペアンプでアクティブ・フィルタを設計したところ、いくつか問題にぶつかっていました。そこにこのロゴです。これで万事休す!彼女のフィルタ設計は完璧でした。SPICE解析もそれを証明しており、コンポーネントの許容誤差も適切でした。幸い、私はコンピュータがなくてもフィルタがどうして予想どおりに機能しないかわかりました。設計は、すべてのパラメータがゼロか無限大の理想的なオペアンプをもとにしていました。しかし、現実はそれほど都合よくありません。電圧帰還型オペアンプには、一般に高いオープン・ループ・ゲインと単極の周波数応答があります。高精度タイプでは106dBを超えるゲインがありますが、ゲイン帯域幅積が数MHzを超えることはめったになく、オープン・ループ・ゲインは数Hzで低下し始めます。オーディオ・スペクトルの上限の20kHzになると、高精度オペアンプのオープン・ループ・ゲインは50dBを下回ることがあります。これでは、アクティブ・フィルタの設計は台無しです。さらに、高信号レベルでは、スルーレートによってもアンプの周波数応答が制限されます。高速オペアンプにはこのような問題はありません。しかし、多くの高速オペアンプは容量性帰還によって発振します。多くのアクティブ・フィルタ・トポロジは容量性帰還を使用しているため、電流帰還型オペアンプでアクティブ・フィルタを設計することは賢いやり方ではありません。

設計者は、小型で安価な高精度コンデンサを使用するために値の高い抵抗を使用しがちです。高い抵抗にバイアス電流が流れ込むと、抵抗での電圧降下によってアンプのオフセット電圧の仕様が低下します。オペアンプのノイズ電流もシステム・ノイズに大きな影響を与えます。抵抗の(ジョンソン)ノイズは、オペアンプのノイズを上回ることもあります。フィルタ設計者は必ずしもこの点を考慮に入れるわけではなく、また適切な高周波電源デカップリングを行うわけでもありません。このために、アンプの高周波応答が損なわれてしまいます。エカテリンの問題は、使用していたアンプが遅すぎたことが原因でした。幸い、私はもっと高速のアンプを勧めることができました。その後、帰宅してから知ったのですが、これによって彼女の回路は必要な性能を楽々と上回ることができました。アクティブ・フィルタの問題を解決した後、私たちは海と美しい岩礁を楽しみ、もう仕事に気を散らすことはありませんでした。

A.

アクティブ・フィルタを入念に設計したのに仕様に合わないのはなぜでしょうか?Q.

アクティブ・フィルタを設計しない方法(あるいはダイバーの気を散らすのはサメだけではない)

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