food testing - home : waters 7.35 457 5 biotin (b7) 7.50 245 10 riboflavin (b2) 7.74 377 15 standard...

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FOOD TESTING ACQUITY QDa ΞϓϦέʔγϣϯϊʔτ Simplify matrix complexity and extend detection capabilities

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Page 1: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

FOOD T E S T INGACQUIT Y QDa アプリケーションノート集

Simplify matrix complexity and extend detection capabilities

目 次

3 ACQUIT Y UPLC H-Class システム及び ACQUIT Y QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

13 ACQUIT Y UPLC H-Class システム及びACQUIT Y QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

19 ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

23 ACQUIT Y QDa検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

28 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUIT Y QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

32 ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

38 ACQUIT Y UPLC I-Class ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

42 Alliance HPLCと質量検出を用いた2 - および 4-メチルイミダゾール分析

47 粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニング

製品の一貫性の実証とラベル表示の要求を解決するために迅速で信頼性が高く費用対効果の高い分析法が食品製造や原料のサプライヤーから求められていますLC-MSは検出器での選択性と定量下限値の向上とともに分析法の統一化を提供します

質量分析計の熟練度に関わりなく質量分析計のメリットを享受するために近年の先進技術は装置の使いやすさと頑健性を向上させることに焦点を合わせています

質量分析計の特異性によって複雑な食品サンプルからより高い品質のデータが短時間で得られラボの生産性と効率化につながるサンプル前処理を簡略化することができます

3

ACQUITY UPLC H-Class システム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量Mark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

栄養価を高め食事の栄養不足を補うため食品および飲料のほとんどに

ビタミンが日常的に用いられています規制要件を満たすために食品および

飲料の製造業者は製品が消費される国の規制に応じて製品ラベルをつける

必要がありますこれらの規制の例としてはビタミンやミネラルについては

欧州委員会(EC)19252006に記載があり米国連邦規則(CF R)21条にはア

メリカ合衆国における食品のラベルについて記載されています

食品業界には迅速かつ信頼性の高い費用対効果のある方法が求められており

原料のサプライヤは製品の一貫性を確認しラベル表示が要件を満たしている

ことを保証する必要があります複雑なマトリックスと低濃度のビタミンとい

うことから困難な業務になる場合がありますさらに現在用いられている

メソッドのほとんどはビタミンを別々にもしくはグループに分けて分析す

ることになっています確立されている手法には微生物学的評価比色およ

び蛍光分析滴定法HPLC 法などが含まれています1 LC-MSを用いることに

より検出器の選択性を改善し定量下限をさらに低濃度にすることが可能です

近年の技術革新により装置の使いやすさと頑健性を向上させることでラボに

質量分析計を導入する際の課題をなくし質量検出のメリットを活かしやすくな

りましたこれらのメリットがACQUITY QDa 検出器を導入するきっかけにつ

ながります

本アプリケーションノートではダイエットサプリメントおよび飲料サンプルに

含まれる 12種の水溶性ビタミン(WSV)を ACQUITY UPLC H-Class システム及び

ACQUITY UPLC QDa 検出器を用いて分析を行いました

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

キーワード

WSV(水溶性ビタミン) ビタミン

QDaマス検出

ソリューションのメリット

選択的な MS検出により低濃度ビタミンが

明確に検出できるためサンプル抽出物の

希釈を用いて前処理の手間を省力可能

ACQUITY QDareg検出器は UPLCregおよび HPLC

システムに共通で使用でき頑健性信頼性

及び UV 検出器との直交性を兼ね備えた

新規ユーザーが迅速に利用できる最も選択

性の高い検出器

ACQUITY QDa 検出器は既存の液体クロマト

グラフィーとともに用いることで他の LC

検出器の選択性を大幅に改善

4 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

表 1に今回の実験に用いる WSV の保持時間選択イオンレコーディング(SIR)の

mzコーン電圧を一覧にしています

AnalyteRT

(Min)SIR mz

Cone voltage (V)

Ascorbic Acid (C) 091 177 2

Thiamine (B1) 101 265 5

Nicotinic Acid (B3) 127 124 15

Pyridoxal (B6) 175 168 5

Nicotinamide (B3) 248 123 15

Pyridoxine (B6) 250 170 10

Ca_Pantothenate (B5) 588 242 15

Cyanocobalamin (B12) 717 678 2

Folic Acid (B9) 722 442 5

B2-5-Phosphate 735 457 5

Biotin (B7) 750 245 10

Riboflavin (B2) 774 377 15

StandardIndividual B

complex vitamins (mgL )

Vitamin C (mgL)

1 100 500

2 075 375

3 050 250

4 025 125

5 010 50

6 0075 375

7 0050 25

8 0025 125

9 0010 05

10 0005 025

11 0001 005

表 1 各水溶性ビタミンの保持時間SIR チャンネルコーン電圧

表 2 ビタミン B及びビタミン C標準溶液の濃度

標準溶液調製

それぞれの WSV について水を用いて 1 mgmLに

調製しストック溶液としましたビタミン B2

B7B9 については 1N の NaOH を 200 micro L 加えて

溶解させましたビタミン Cは低 pHの酢酸緩衝液

に溶解することで安定性が向上します各ストック

溶液を混合しビタミン C 125 mL 及びその他の

ストック溶液 0025 mLをそれぞれとり水を用いて

25 mLに希釈しました混合ストック溶液(ビタミンC

50 ppmその他ビタミン1 ppm)について表 2に示し

た希釈系列で 11種の標準溶液を調製しました

サンプル準備

粉末のビタミン飲料(1包 85 g)を 100 mLの水に

溶解し02 micromの PVDF フィルターでろ過しました

サンプル溶液はさらに希釈を行い250倍及び 10倍

希釈の 2種類を調製しました希釈レベルが異なっ

た 3種のサンプル溶液はサンプル中に含まれる

濃度の異なるビタミンを測定するために用いました

マルチビタミンサプリメント錠を乳鉢と乳棒を用

いて粉砕しました粉末 134 gを秤量しビーカー

に移し 100 mLの水を加えましたサンプルは 15

分間超音波処理を施し溶解し攪拌した後 02 microm

の PVDFフィルターを用いてろ過しましたさらに

これらのサンプルは水を用いて 100010020倍

にそれぞれ希釈しましたこれらの希釈溶液及び

最初に溶解したサンプル溶液(希釈なし)は同様に

サンプル中に含まれる濃度の異なるビタミンを測

定するために用いました

2種類のビタミン水溶液サンプルは水を用いて 20倍

希釈し02 micromの PVDF フィルターを用いてろ過

しました

実験方法

5ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

UPLC条件

LCシステム ACQUITY UPLC H-Class

分析時間 175分

カラム ACQUITY UPLC HSS T3 18 microm

21 times 100 mm

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム

01ギ酸水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム

01ギ酸含有メタノール溶液

注入量 5 microL

時間 (分)

流速 (mL分)

A B

1 Initial 045 99 1

2 30 045 99 1

3 31 045 95 5

4 51 045 80 20

5 71 045 2 98

6 90 045 2 98

7 91 045 99 1

8 175 045 99 1

表 3 水溶性ビタミンの分析に用いたグラジエント条件

検出器条件

検出器 1ACQUITY UPLC PDA

波長波長取り込み範囲 210~400 nm

   解析波長 270 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2ACQUITY QDa

イオン化モード ES I+

分析時間8分

プローブ温度600

キャピラリー電圧08 kV

MSスキャン範囲 50~800 mz

(セントロイド)及び SIR

サンプリングレート5 Hz

コーン電圧 フルスキャン 15 V

表 1にそれぞれの SI R チャンネルの

コーン電圧を示した

SI R のmz は先行検討をもとに用いた 2

実験条件

6 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

結果および考察

12 種類の水溶性ビタミンを重ね書きしたクロマトグラムを図 1 に示しておりすべての化合物は 8 分

以内に溶出していますこの条件で分析したところ2つの同時溶出ピーク(25分付近に溶出している

ニコチンアミドおよびピリドキシン725付近に溶出しているシアノコバラミン及び葉酸)が確認されま

したMS検出器を用いることで全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなり質量対電荷比

(mz)を用いて正確に識別されます図 2 に同時溶出したビタミンを含む各ビタミンの直線性を示して

います図 2の D及び Fは葉酸(mz =442)及びシアノコバラミン(mz =678)を示していますマス検出

器の選択性を用いることで同時溶出している化合物についても定量が可能です図 2には UVでは分析が

困難だったビタミンの検量線も示しています例えばビオチン(図 2A)及びカルシウム(図 2H)は UV検出

器ではレスポンスが低い化合物ですこれらの化合物は十分な感度を得るために低波長側で分析します3

低波長側で分析を行うと化合物の特異性が損なわれますがMS検出を用いることで分析における特異

性及び感度が確保できます

1- Ascorbic Acid C 2- Thiamine B1 3- Nicotinic acid B3 4- Pyridoxal B6 5- Nicotinamide B3 6- Pyridoxine B6 7- Ca_Pantothenate B5 8- Cyanocobalamin B12 9- Folic acid B9 10- Riboflavin 5 phosphate 11- Biotin B7 12- Riboflavin B2

1

2

3

4

5

6

12

11

9

8

10

7図 1 8分で分離した 12種類の水溶性ビタミンの重ね書き S I R クロマトグラム

7ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

図 2 各水溶性ビタミンの検量線

Compound name Nicotinic Acid (B3)Coefficient of Determination r2 = 0999308 Calibration curve -00997086 x2 + 410107 x + -902113Response type External Std AreaCurve type 2nd Order Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

100000

200000

300000

Compound name Ca_Pantothenate (B5)Correlation coefficient r = 0999727 r2 = 0999454Calibration curve 583707 x + -591867Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

Compound name Biotin (B7)Correlation coefficient r = 0998455 r2 = 0996912Calibration curve 145948 x + 608733Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

50000

100000

150000

Compound name Thiamine (B1)Correlation coefficient r = 0996330 r2 = 0992673Calibration curve 731882 x + -451739Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

200000

400000

600000

Compound name Riboflavin (B2)Correlation coefficient r = 0998258 r2 = 0996518Calibration curve 870096 x + -591265Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

60000

80000

Compound name Folic Acid (B9)Correlation coefficient r = 0999226 r2 = 0998452Calibration curve 107885 x + 157451Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2500

5000

7500

10000

Compound name Riboflavin 5 phosphateCorrelation coefficient r = 0999416 r2 = 0998832Calibration curve 991594 x + 220087Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2000

4000

6000

Compound name Cyanocobalamin ( B12)Correlation coefficient r = 0999745 r2 = 0999490Calibration curve 341976 x + 149612Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

10000

20000

30000

A B

D

F

H

C

E

G

8 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

14

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

5

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

00

50e-4

RT 246 SN = 63

RT 175 SN = 32

RT 124 SN = 19

RT 243 SN = 33

A UV at 270 nm

B Pyridoxine SIR mz 170

C Pyridoxal SIR mz 168

D Nicotinic Acid SIR mz 124

E Nicotinamide SIR mz 123

AU

図 3 5 microgmL のビタミン標準溶液の 270 nmの UVクロマトグラム及び SIR クロマトグラム(S I R は 4チャンネル Bビリドキシン Cピリドキサル Dニコチン酸 Eニコチン酸アミド)

MS検出器を用いることで UV検出よりもさらに低濃度のビタミンの検出が可能になります図 3にピリド

キシンピリドキサルニコチン酸及びニコチン酸アミドの 5 ppb(5 microgL)の S I R クロマトグラム及び UV

クロマトグラム(図 3A270 nm)を示しています図 3Aに示したようにこの濃度のビタミンは UVでは検

出されませんでしたMS検出器による定量下限の改善は低濃度ビタミンを定量する上で重要です感度

を向上させサンプル抽出物を希釈することでさまざまなマトリックスにおける検出が可能になります

この検討ではビタミンサプリメントおよび飲料についてサンプル希釈するだけで簡単に分析できます(錠剤

の場合は粉砕という初期工程が必要です)

9ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time450 500 550 600 650 700 750

AU

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

450 500 550 600 650 700 750A

U

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

B

A

C

D

MS Vitamin water 1

PDA Vitamin water 1

MS Vitamin water 2

PDA Vitamin water 2

図 4 2種類のビタミン水サンプルから検出されたビタミン B5保持時間 59分のピークは MS検出器により良好なシグナル対ノイズを示しています(Aおよび C)しかしUVでは検出できませんでした(B及び D)

図 5 250倍希釈した粉末のビタミン飲料のクロマトグラムAビタミン B1(チアミン)の S I R Bビタミン C(アスコルビン酸)の S IR Cビタミン Cの270 nmにおける UVクロマトグラム(ビタミン B1は UV検出されなかった)

Time000 050 100 150 200 250

AU

00

10e-1

20e-1

000 050 100 150 200 250

0

100

000 050 100 150 200 250

0

100 101

091

090

B SIR of ascorbic acid(C)

A SIR of thiamine (B1)

C UV at 270 nm Ascorbic acid RT 090

Ascorbic acid RT 091

Thiamine RT 101

図 4に 2つのビタミン水サンプル中から検出され

たビタミン B5(パントテン酸カルシウム)を示し

ていますUVクロマトグラムを見るとサンプル

前処理なしの UVでは検出できないことが分かり

ますビタミン B1(チアミン)は UV検出が困難な

ビタミンの 1つです図 5に粉末のビタミン飲料

から検出されたビタミン B1およびビタミン C(ア

スコルビン酸)の例を示していますビタミン Cに

ついては UVで検出可能ですがビタミン B1は検

出されませんしかしながら図 5Aに示したように

ACQUITY QDa 検出器の SIR を用いることでビタミン

B1は明確に検出できます

10 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

20e-3

40e-3

60e-3

80e-3

10e-2

4

13 SIR of 1 Channel ES+678 (Cyanocobalamin (B12)

(1) PDA Ch1 270 nm at 12 nm

A SIR of cyanocobalamin

B UV at 270 nm

717

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

図 6 マス検出器によるビタミンサプリメント中のビタミン B12の検出(A)ビタミン濃度は UVの検出下限以下であった(B)

ビタミンの分析において配合されているビタミンの濃度範囲が広いことが課題の 1つでした例えば本

検討で用いた錠剤のマルチビタミンサプリメントには6 microg配合されている B12から 16 mg配合されて

いる B3(ナイアシン(ニコチン酸))まであり他のビタミンについてもこの範囲内で配合されてい

ます本検討では濃度の異なるレベルのビタミンを考慮するため最初の抽出物についてそれぞれ

希釈を行い全てのビタミンについて同じ LC-MS条件で分析を行っています図 7にマルチビタミンサプ

リメントの分析結果を示しています図 7A及び 7Bはリボフラビン(B2)について 100倍希釈及び希釈な

しの S I R クロマトグラムを比較しています図 7Cは希釈なしのサンプルにおけるシアノコバラミン(B12)

の S I R クロマトグラムを示しています希釈したサンプルからはピークは検出されませんでした(データ

の記載はなし)希釈なしのサンプルにおける 270 nmの UVクロマトグラムを図 7Dに示しておりサン

プル中のリボフラビンのピークは十分に検出されていますリボフラビンおよびシアノコバラミンの定量

値は 125 ppmと 41 ppbでした(サプリメントのラベルに表示されている 68 という値に対しこれら

は 96でした本検討では表示量は実証されませんでしたが添加回収試験を実施しており表 2に示

した検量線の範囲内において多段階の希釈を用いることで実証できる可能性が示唆されました)

シアノコバラミンはサプリメント及び食品からわずかにしか検出されない水溶性ビタミンであり定量

するために分けて行う必要があります2次元のクロマトグラフィーはビタミン検出においてはルーチン

分析に用いられます4 従来の UPLC メソッドを用いてマルチビタミンサプリメントから検出されたシアノ

コバラミンの例を図 6に示していますこの濃度では UVクロマトグラムにおいてはピークが検出されま

せんでした(図 6B)マス検出器により高濃度に配合されているビタミンを検出するのと同じ方法でビタ

ミン B12を検出することが可能でしたACQUITY QDa 検出器は LCのワークフローに容易に取り入れる

ことが可能で既存の多波長取り込みを行うよりも使い易くなっています

11ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

10e-1

20e-1

0

100

0

100

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

0

100

771

771

785717

755

770

A

D

B

C

Diluted x 100

Undiluted

Undiluted

Undiluted UV at 270nm

SIR at mz 678 Cyanocobalamin (B12)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

図 7 ビタミンサプリメント錠に含まれる濃度が大きく異なる 2種類のビタミンの検出リボフラビンはサンプル抽出物 100倍希釈において明確に検出されています(A)B12については希釈していない抽出物からのみ検出されています(C)希釈なしの抽出物中のリボフラビンは検量線の範囲外でした(B)この濃度については UVにおいても容易に検出できます(D)

ビタミン Bのメソッドについて再現性を評価するために濃度の異なるビタミンを注入し評価しました

保持時間の再現性及びピーク面積の再現性の結果を表 4 及び 5 に示しています表 4 は 2 つの濃度の

異なる標準溶液をそれぞれ 10 回注入し合計で 20 回注入した結果を示しています保持時間につい

ては溶出が早い水溶性ビタミンについても全て RSD=06 以下という良好な結果が得られました

ピーク面積の再現性については 0025 mgL を 10 回注入し評価しました(表 5)強度が小さかった葉酸

およびリボフラビン 5 リン酸を除くほとんどのビタミンは RSD=10 以下でした経時劣化すること

が知られているビタミンCについては本検討から除外しました

Analyte RSD for retention time

Thiamine (B1) 06

Nicotinic Acid (B3) 019

Pyridoxal (B6) 023

Nicotinamide (B3) 022

Pyridoxine (B6) 026

Ca_Pantothenate (B5) 004

Cyanocobalamin ( B12) 003

Folic Acid (B9) 003

Riboflavin 5 phosphate 003

Biotin (B7) 002

Riboflavin (B2) 003

Analyte RSD for areaThiamine (B1) 678

Nicotinic Acid (B3) 235

Pyridoxal (B6) 262

Nicotinamide (B3) 224

Pyridoxine (B6) 265

Ca_Pantothenate (B5) 460

Cyanocobalamin ( B12) 700

Folic Acid (B9) 1153

Riboflavin 5 phosphate 1429

Biotin (B7) 277

Riboflavin (B2) 228

表 4 2 種の標準溶液 075 mgL(10回注入)及び 0025 mgL(10回注入)の保持時間再現性

表 5 0025 mgL の標準溶液の 10回注入におけるビタミン Bピーク面積現性

12

WatersACQUITY UPLCUPLCEmpowerMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004960JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

参考文献

1 G F M Ball (Editor) Bioavailabilty and Analysis of Vitamins in Foods Chapman and Hall (1998) Ch2 pp 33

2 E Riches The Rapid Simultaneous Analysis of 12 Water Soluble Vitamin Compounds Waters Application Note No 720003052en June 2009

3 Heudi et al Separation of water-soluble vitamins by reversed-phase high performance liquid chromatography with ultra-violet detection Application to polyvitaminated premixes J Chrom A (2005) 1070 49ndash56 pp 51

4 AOAC Method 201109 Vitamin B12 in Infant Formula and Adult Nutritionals (2012)

結論

本アプリケーションでは UVでは検出できない濃度の水溶性ビタ

ミンを正確に定量することでウォーターズの ACQUITY QDa 検

出器の性能を示していますSIRチャンネルを用いることで感度

が向上し同時溶出が起こっても化合物を選択的に定量すること

が可能ですすべての化合物をベースライン分離するという負担

がなくなりより低濃度のビタミンを検出することが可能になり

ます

ACQUITY QDa 検出器を用いることで

UV吸収がわずかもしくは全くない化合物の定量が可能

異なった質量の化合物が同時溶出していても選択的に定量可能

水溶性ビタミンのメソッドを一つの LC-MSメソッドに統合可能

サンプル前処理を容易にし定量限界を改善

Empowerreg 3 及び Mass Lynxregソフトウエアの 2種から選択でき

LCワークフローの中に容易に組み込める

特別な質量分析の知識を必要としないためACQUITY QDaマス

検出をすぐに活用可能

13

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg MSソフトウエア

キーワード

アスパルテームサッカリンレバウジオシド

ステビオシドステビアアセスルファーム K

ネオテームスクラロースQDa

アプリケーションのメリット

ACQUITY QDareg 検出器を用いることで一回

の注入により甘味料の同時分析が可能

天然甘味料人工甘味料非栄養性甘味料

が 10分以内に定量可能

共溶出する化合物について十分な化合物情

報が得られる直交性を兼ね備えた MS検出器

ACQUITY QDa 検出器を用いることで UV吸収

をもたない人工甘味料に対し感度および

選択性を付与

はじめに

砂糖はその甘味で有名であり味わいを高めるために製品製造時に添加され

ます砂糖の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため食品および飲料製品には

非栄養性甘味料が広く用いられています例えばソフトドリンク卓上甘味

料チョコレート乳製品など「ダイエット食品」と呼ばれるほとんどのもの

に含まれています多くの場合これらの製品に全体的な甘さを付与するため

さまざまな甘味料と組み合わせて用いられていますアスパルテームサッカ

リンアセスルファーム Kネオテームおよびスクラロースはアメリカ合衆国

の F DA1により認可されていますレバウジオシド A及びステビオシドのよう

な化合物は南アメリカステビア植物に起源があり甘味料としてアメリカ合衆

国でよりポピュラーになっています2010年に欧州食品安全機関(EFSA)では

甘味料としてステビオシドの使用を認可しています

欧州連合(EU)の指令 9435 EC は 4 つの改正(96 83 EC2003115 EC

200652 ECおよび 2009 163 EU)に沿って特定のタイプの食品について甘味

料の濃度を規制していますEU委員会規則 11292011リストにはさまざまな

食品における許容される人工甘味料の最大濃度を記載しています従って食品

中の甘味料の含有量を決めることは製品品質の一貫性を確保するために重要です

甘味料の分析に用いられる最も一般的な方法は HPLC 法であり検出には UV

が用いられますこのシステムではアセスルファーム Kアスパルテームサッ

カリンネオテームなどの検出は可能ですがUV吸収をもたないサイクラミ

ン酸スクラロースは分析ができませんMS検出器を用いることで全ての甘

味料を 1つの方法で分析することが可能になりますウォーターズの ACQUITY

QDa検出器を用いることで食品および飲料に携わる科学者が既存のクロマト

グラフィーワークフローに MS検出器を取り入れることが可能ですACQUITY

QDa検出器は甘味料を 1回の分析で行うだけでなく化合物のアサインが容易

になり全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなります 

Watersreg UPLCreg H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器を組み合わせて用いる

ことで食品および飲料メーカーは1回の分析で製品中に含まれる甘味料の

同定及び定量を効率よく行うことができます

本アプリケーションノートでは食品及び飲料サンプルを用いて甘味料の分析を

行い高速で信頼性及び高感度を有するメソッドを紹介しています

ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析Mark Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

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6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年2月 720005397JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Printed in Japan 2016 年 3月 720004987JA 03A(H)

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 2: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

目 次

3 ACQUIT Y UPLC H-Class システム及び ACQUIT Y QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

13 ACQUIT Y UPLC H-Class システム及びACQUIT Y QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

19 ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

23 ACQUIT Y QDa検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

28 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUIT Y QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

32 ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

38 ACQUIT Y UPLC I-Class ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

42 Alliance HPLCと質量検出を用いた2 - および 4-メチルイミダゾール分析

47 粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニング

製品の一貫性の実証とラベル表示の要求を解決するために迅速で信頼性が高く費用対効果の高い分析法が食品製造や原料のサプライヤーから求められていますLC-MSは検出器での選択性と定量下限値の向上とともに分析法の統一化を提供します

質量分析計の熟練度に関わりなく質量分析計のメリットを享受するために近年の先進技術は装置の使いやすさと頑健性を向上させることに焦点を合わせています

質量分析計の特異性によって複雑な食品サンプルからより高い品質のデータが短時間で得られラボの生産性と効率化につながるサンプル前処理を簡略化することができます

3

ACQUITY UPLC H-Class システム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量Mark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

栄養価を高め食事の栄養不足を補うため食品および飲料のほとんどに

ビタミンが日常的に用いられています規制要件を満たすために食品および

飲料の製造業者は製品が消費される国の規制に応じて製品ラベルをつける

必要がありますこれらの規制の例としてはビタミンやミネラルについては

欧州委員会(EC)19252006に記載があり米国連邦規則(CF R)21条にはア

メリカ合衆国における食品のラベルについて記載されています

食品業界には迅速かつ信頼性の高い費用対効果のある方法が求められており

原料のサプライヤは製品の一貫性を確認しラベル表示が要件を満たしている

ことを保証する必要があります複雑なマトリックスと低濃度のビタミンとい

うことから困難な業務になる場合がありますさらに現在用いられている

メソッドのほとんどはビタミンを別々にもしくはグループに分けて分析す

ることになっています確立されている手法には微生物学的評価比色およ

び蛍光分析滴定法HPLC 法などが含まれています1 LC-MSを用いることに

より検出器の選択性を改善し定量下限をさらに低濃度にすることが可能です

近年の技術革新により装置の使いやすさと頑健性を向上させることでラボに

質量分析計を導入する際の課題をなくし質量検出のメリットを活かしやすくな

りましたこれらのメリットがACQUITY QDa 検出器を導入するきっかけにつ

ながります

本アプリケーションノートではダイエットサプリメントおよび飲料サンプルに

含まれる 12種の水溶性ビタミン(WSV)を ACQUITY UPLC H-Class システム及び

ACQUITY UPLC QDa 検出器を用いて分析を行いました

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

キーワード

WSV(水溶性ビタミン) ビタミン

QDaマス検出

ソリューションのメリット

選択的な MS検出により低濃度ビタミンが

明確に検出できるためサンプル抽出物の

希釈を用いて前処理の手間を省力可能

ACQUITY QDareg検出器は UPLCregおよび HPLC

システムに共通で使用でき頑健性信頼性

及び UV 検出器との直交性を兼ね備えた

新規ユーザーが迅速に利用できる最も選択

性の高い検出器

ACQUITY QDa 検出器は既存の液体クロマト

グラフィーとともに用いることで他の LC

検出器の選択性を大幅に改善

4 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

表 1に今回の実験に用いる WSV の保持時間選択イオンレコーディング(SIR)の

mzコーン電圧を一覧にしています

AnalyteRT

(Min)SIR mz

Cone voltage (V)

Ascorbic Acid (C) 091 177 2

Thiamine (B1) 101 265 5

Nicotinic Acid (B3) 127 124 15

Pyridoxal (B6) 175 168 5

Nicotinamide (B3) 248 123 15

Pyridoxine (B6) 250 170 10

Ca_Pantothenate (B5) 588 242 15

Cyanocobalamin (B12) 717 678 2

Folic Acid (B9) 722 442 5

B2-5-Phosphate 735 457 5

Biotin (B7) 750 245 10

Riboflavin (B2) 774 377 15

StandardIndividual B

complex vitamins (mgL )

Vitamin C (mgL)

1 100 500

2 075 375

3 050 250

4 025 125

5 010 50

6 0075 375

7 0050 25

8 0025 125

9 0010 05

10 0005 025

11 0001 005

表 1 各水溶性ビタミンの保持時間SIR チャンネルコーン電圧

表 2 ビタミン B及びビタミン C標準溶液の濃度

標準溶液調製

それぞれの WSV について水を用いて 1 mgmLに

調製しストック溶液としましたビタミン B2

B7B9 については 1N の NaOH を 200 micro L 加えて

溶解させましたビタミン Cは低 pHの酢酸緩衝液

に溶解することで安定性が向上します各ストック

溶液を混合しビタミン C 125 mL 及びその他の

ストック溶液 0025 mLをそれぞれとり水を用いて

25 mLに希釈しました混合ストック溶液(ビタミンC

50 ppmその他ビタミン1 ppm)について表 2に示し

た希釈系列で 11種の標準溶液を調製しました

サンプル準備

粉末のビタミン飲料(1包 85 g)を 100 mLの水に

溶解し02 micromの PVDF フィルターでろ過しました

サンプル溶液はさらに希釈を行い250倍及び 10倍

希釈の 2種類を調製しました希釈レベルが異なっ

た 3種のサンプル溶液はサンプル中に含まれる

濃度の異なるビタミンを測定するために用いました

マルチビタミンサプリメント錠を乳鉢と乳棒を用

いて粉砕しました粉末 134 gを秤量しビーカー

に移し 100 mLの水を加えましたサンプルは 15

分間超音波処理を施し溶解し攪拌した後 02 microm

の PVDFフィルターを用いてろ過しましたさらに

これらのサンプルは水を用いて 100010020倍

にそれぞれ希釈しましたこれらの希釈溶液及び

最初に溶解したサンプル溶液(希釈なし)は同様に

サンプル中に含まれる濃度の異なるビタミンを測

定するために用いました

2種類のビタミン水溶液サンプルは水を用いて 20倍

希釈し02 micromの PVDF フィルターを用いてろ過

しました

実験方法

5ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

UPLC条件

LCシステム ACQUITY UPLC H-Class

分析時間 175分

カラム ACQUITY UPLC HSS T3 18 microm

21 times 100 mm

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム

01ギ酸水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム

01ギ酸含有メタノール溶液

注入量 5 microL

時間 (分)

流速 (mL分)

A B

1 Initial 045 99 1

2 30 045 99 1

3 31 045 95 5

4 51 045 80 20

5 71 045 2 98

6 90 045 2 98

7 91 045 99 1

8 175 045 99 1

表 3 水溶性ビタミンの分析に用いたグラジエント条件

検出器条件

検出器 1ACQUITY UPLC PDA

波長波長取り込み範囲 210~400 nm

   解析波長 270 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2ACQUITY QDa

イオン化モード ES I+

分析時間8分

プローブ温度600

キャピラリー電圧08 kV

MSスキャン範囲 50~800 mz

(セントロイド)及び SIR

サンプリングレート5 Hz

コーン電圧 フルスキャン 15 V

表 1にそれぞれの SI R チャンネルの

コーン電圧を示した

SI R のmz は先行検討をもとに用いた 2

実験条件

6 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

結果および考察

12 種類の水溶性ビタミンを重ね書きしたクロマトグラムを図 1 に示しておりすべての化合物は 8 分

以内に溶出していますこの条件で分析したところ2つの同時溶出ピーク(25分付近に溶出している

ニコチンアミドおよびピリドキシン725付近に溶出しているシアノコバラミン及び葉酸)が確認されま

したMS検出器を用いることで全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなり質量対電荷比

(mz)を用いて正確に識別されます図 2 に同時溶出したビタミンを含む各ビタミンの直線性を示して

います図 2の D及び Fは葉酸(mz =442)及びシアノコバラミン(mz =678)を示していますマス検出

器の選択性を用いることで同時溶出している化合物についても定量が可能です図 2には UVでは分析が

困難だったビタミンの検量線も示しています例えばビオチン(図 2A)及びカルシウム(図 2H)は UV検出

器ではレスポンスが低い化合物ですこれらの化合物は十分な感度を得るために低波長側で分析します3

低波長側で分析を行うと化合物の特異性が損なわれますがMS検出を用いることで分析における特異

性及び感度が確保できます

1- Ascorbic Acid C 2- Thiamine B1 3- Nicotinic acid B3 4- Pyridoxal B6 5- Nicotinamide B3 6- Pyridoxine B6 7- Ca_Pantothenate B5 8- Cyanocobalamin B12 9- Folic acid B9 10- Riboflavin 5 phosphate 11- Biotin B7 12- Riboflavin B2

1

2

3

4

5

6

12

11

9

8

10

7図 1 8分で分離した 12種類の水溶性ビタミンの重ね書き S I R クロマトグラム

7ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

図 2 各水溶性ビタミンの検量線

Compound name Nicotinic Acid (B3)Coefficient of Determination r2 = 0999308 Calibration curve -00997086 x2 + 410107 x + -902113Response type External Std AreaCurve type 2nd Order Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

100000

200000

300000

Compound name Ca_Pantothenate (B5)Correlation coefficient r = 0999727 r2 = 0999454Calibration curve 583707 x + -591867Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

Compound name Biotin (B7)Correlation coefficient r = 0998455 r2 = 0996912Calibration curve 145948 x + 608733Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

50000

100000

150000

Compound name Thiamine (B1)Correlation coefficient r = 0996330 r2 = 0992673Calibration curve 731882 x + -451739Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

200000

400000

600000

Compound name Riboflavin (B2)Correlation coefficient r = 0998258 r2 = 0996518Calibration curve 870096 x + -591265Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

60000

80000

Compound name Folic Acid (B9)Correlation coefficient r = 0999226 r2 = 0998452Calibration curve 107885 x + 157451Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2500

5000

7500

10000

Compound name Riboflavin 5 phosphateCorrelation coefficient r = 0999416 r2 = 0998832Calibration curve 991594 x + 220087Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2000

4000

6000

Compound name Cyanocobalamin ( B12)Correlation coefficient r = 0999745 r2 = 0999490Calibration curve 341976 x + 149612Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

10000

20000

30000

A B

D

F

H

C

E

G

8 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

14

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

5

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

00

50e-4

RT 246 SN = 63

RT 175 SN = 32

RT 124 SN = 19

RT 243 SN = 33

A UV at 270 nm

B Pyridoxine SIR mz 170

C Pyridoxal SIR mz 168

D Nicotinic Acid SIR mz 124

E Nicotinamide SIR mz 123

AU

図 3 5 microgmL のビタミン標準溶液の 270 nmの UVクロマトグラム及び SIR クロマトグラム(S I R は 4チャンネル Bビリドキシン Cピリドキサル Dニコチン酸 Eニコチン酸アミド)

MS検出器を用いることで UV検出よりもさらに低濃度のビタミンの検出が可能になります図 3にピリド

キシンピリドキサルニコチン酸及びニコチン酸アミドの 5 ppb(5 microgL)の S I R クロマトグラム及び UV

クロマトグラム(図 3A270 nm)を示しています図 3Aに示したようにこの濃度のビタミンは UVでは検

出されませんでしたMS検出器による定量下限の改善は低濃度ビタミンを定量する上で重要です感度

を向上させサンプル抽出物を希釈することでさまざまなマトリックスにおける検出が可能になります

この検討ではビタミンサプリメントおよび飲料についてサンプル希釈するだけで簡単に分析できます(錠剤

の場合は粉砕という初期工程が必要です)

9ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time450 500 550 600 650 700 750

AU

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

450 500 550 600 650 700 750A

U

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

B

A

C

D

MS Vitamin water 1

PDA Vitamin water 1

MS Vitamin water 2

PDA Vitamin water 2

図 4 2種類のビタミン水サンプルから検出されたビタミン B5保持時間 59分のピークは MS検出器により良好なシグナル対ノイズを示しています(Aおよび C)しかしUVでは検出できませんでした(B及び D)

図 5 250倍希釈した粉末のビタミン飲料のクロマトグラムAビタミン B1(チアミン)の S I R Bビタミン C(アスコルビン酸)の S IR Cビタミン Cの270 nmにおける UVクロマトグラム(ビタミン B1は UV検出されなかった)

Time000 050 100 150 200 250

AU

00

10e-1

20e-1

000 050 100 150 200 250

0

100

000 050 100 150 200 250

0

100 101

091

090

B SIR of ascorbic acid(C)

A SIR of thiamine (B1)

C UV at 270 nm Ascorbic acid RT 090

Ascorbic acid RT 091

Thiamine RT 101

図 4に 2つのビタミン水サンプル中から検出され

たビタミン B5(パントテン酸カルシウム)を示し

ていますUVクロマトグラムを見るとサンプル

前処理なしの UVでは検出できないことが分かり

ますビタミン B1(チアミン)は UV検出が困難な

ビタミンの 1つです図 5に粉末のビタミン飲料

から検出されたビタミン B1およびビタミン C(ア

スコルビン酸)の例を示していますビタミン Cに

ついては UVで検出可能ですがビタミン B1は検

出されませんしかしながら図 5Aに示したように

ACQUITY QDa 検出器の SIR を用いることでビタミン

B1は明確に検出できます

10 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

20e-3

40e-3

60e-3

80e-3

10e-2

4

13 SIR of 1 Channel ES+678 (Cyanocobalamin (B12)

(1) PDA Ch1 270 nm at 12 nm

A SIR of cyanocobalamin

B UV at 270 nm

717

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

図 6 マス検出器によるビタミンサプリメント中のビタミン B12の検出(A)ビタミン濃度は UVの検出下限以下であった(B)

ビタミンの分析において配合されているビタミンの濃度範囲が広いことが課題の 1つでした例えば本

検討で用いた錠剤のマルチビタミンサプリメントには6 microg配合されている B12から 16 mg配合されて

いる B3(ナイアシン(ニコチン酸))まであり他のビタミンについてもこの範囲内で配合されてい

ます本検討では濃度の異なるレベルのビタミンを考慮するため最初の抽出物についてそれぞれ

希釈を行い全てのビタミンについて同じ LC-MS条件で分析を行っています図 7にマルチビタミンサプ

リメントの分析結果を示しています図 7A及び 7Bはリボフラビン(B2)について 100倍希釈及び希釈な

しの S I R クロマトグラムを比較しています図 7Cは希釈なしのサンプルにおけるシアノコバラミン(B12)

の S I R クロマトグラムを示しています希釈したサンプルからはピークは検出されませんでした(データ

の記載はなし)希釈なしのサンプルにおける 270 nmの UVクロマトグラムを図 7Dに示しておりサン

プル中のリボフラビンのピークは十分に検出されていますリボフラビンおよびシアノコバラミンの定量

値は 125 ppmと 41 ppbでした(サプリメントのラベルに表示されている 68 という値に対しこれら

は 96でした本検討では表示量は実証されませんでしたが添加回収試験を実施しており表 2に示

した検量線の範囲内において多段階の希釈を用いることで実証できる可能性が示唆されました)

シアノコバラミンはサプリメント及び食品からわずかにしか検出されない水溶性ビタミンであり定量

するために分けて行う必要があります2次元のクロマトグラフィーはビタミン検出においてはルーチン

分析に用いられます4 従来の UPLC メソッドを用いてマルチビタミンサプリメントから検出されたシアノ

コバラミンの例を図 6に示していますこの濃度では UVクロマトグラムにおいてはピークが検出されま

せんでした(図 6B)マス検出器により高濃度に配合されているビタミンを検出するのと同じ方法でビタ

ミン B12を検出することが可能でしたACQUITY QDa 検出器は LCのワークフローに容易に取り入れる

ことが可能で既存の多波長取り込みを行うよりも使い易くなっています

11ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

10e-1

20e-1

0

100

0

100

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

0

100

771

771

785717

755

770

A

D

B

C

Diluted x 100

Undiluted

Undiluted

Undiluted UV at 270nm

SIR at mz 678 Cyanocobalamin (B12)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

図 7 ビタミンサプリメント錠に含まれる濃度が大きく異なる 2種類のビタミンの検出リボフラビンはサンプル抽出物 100倍希釈において明確に検出されています(A)B12については希釈していない抽出物からのみ検出されています(C)希釈なしの抽出物中のリボフラビンは検量線の範囲外でした(B)この濃度については UVにおいても容易に検出できます(D)

ビタミン Bのメソッドについて再現性を評価するために濃度の異なるビタミンを注入し評価しました

保持時間の再現性及びピーク面積の再現性の結果を表 4 及び 5 に示しています表 4 は 2 つの濃度の

異なる標準溶液をそれぞれ 10 回注入し合計で 20 回注入した結果を示しています保持時間につい

ては溶出が早い水溶性ビタミンについても全て RSD=06 以下という良好な結果が得られました

ピーク面積の再現性については 0025 mgL を 10 回注入し評価しました(表 5)強度が小さかった葉酸

およびリボフラビン 5 リン酸を除くほとんどのビタミンは RSD=10 以下でした経時劣化すること

が知られているビタミンCについては本検討から除外しました

Analyte RSD for retention time

Thiamine (B1) 06

Nicotinic Acid (B3) 019

Pyridoxal (B6) 023

Nicotinamide (B3) 022

Pyridoxine (B6) 026

Ca_Pantothenate (B5) 004

Cyanocobalamin ( B12) 003

Folic Acid (B9) 003

Riboflavin 5 phosphate 003

Biotin (B7) 002

Riboflavin (B2) 003

Analyte RSD for areaThiamine (B1) 678

Nicotinic Acid (B3) 235

Pyridoxal (B6) 262

Nicotinamide (B3) 224

Pyridoxine (B6) 265

Ca_Pantothenate (B5) 460

Cyanocobalamin ( B12) 700

Folic Acid (B9) 1153

Riboflavin 5 phosphate 1429

Biotin (B7) 277

Riboflavin (B2) 228

表 4 2 種の標準溶液 075 mgL(10回注入)及び 0025 mgL(10回注入)の保持時間再現性

表 5 0025 mgL の標準溶液の 10回注入におけるビタミン Bピーク面積現性

12

WatersACQUITY UPLCUPLCEmpowerMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004960JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

参考文献

1 G F M Ball (Editor) Bioavailabilty and Analysis of Vitamins in Foods Chapman and Hall (1998) Ch2 pp 33

2 E Riches The Rapid Simultaneous Analysis of 12 Water Soluble Vitamin Compounds Waters Application Note No 720003052en June 2009

3 Heudi et al Separation of water-soluble vitamins by reversed-phase high performance liquid chromatography with ultra-violet detection Application to polyvitaminated premixes J Chrom A (2005) 1070 49ndash56 pp 51

4 AOAC Method 201109 Vitamin B12 in Infant Formula and Adult Nutritionals (2012)

結論

本アプリケーションでは UVでは検出できない濃度の水溶性ビタ

ミンを正確に定量することでウォーターズの ACQUITY QDa 検

出器の性能を示していますSIRチャンネルを用いることで感度

が向上し同時溶出が起こっても化合物を選択的に定量すること

が可能ですすべての化合物をベースライン分離するという負担

がなくなりより低濃度のビタミンを検出することが可能になり

ます

ACQUITY QDa 検出器を用いることで

UV吸収がわずかもしくは全くない化合物の定量が可能

異なった質量の化合物が同時溶出していても選択的に定量可能

水溶性ビタミンのメソッドを一つの LC-MSメソッドに統合可能

サンプル前処理を容易にし定量限界を改善

Empowerreg 3 及び Mass Lynxregソフトウエアの 2種から選択でき

LCワークフローの中に容易に組み込める

特別な質量分析の知識を必要としないためACQUITY QDaマス

検出をすぐに活用可能

13

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg MSソフトウエア

キーワード

アスパルテームサッカリンレバウジオシド

ステビオシドステビアアセスルファーム K

ネオテームスクラロースQDa

アプリケーションのメリット

ACQUITY QDareg 検出器を用いることで一回

の注入により甘味料の同時分析が可能

天然甘味料人工甘味料非栄養性甘味料

が 10分以内に定量可能

共溶出する化合物について十分な化合物情

報が得られる直交性を兼ね備えた MS検出器

ACQUITY QDa 検出器を用いることで UV吸収

をもたない人工甘味料に対し感度および

選択性を付与

はじめに

砂糖はその甘味で有名であり味わいを高めるために製品製造時に添加され

ます砂糖の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため食品および飲料製品には

非栄養性甘味料が広く用いられています例えばソフトドリンク卓上甘味

料チョコレート乳製品など「ダイエット食品」と呼ばれるほとんどのもの

に含まれています多くの場合これらの製品に全体的な甘さを付与するため

さまざまな甘味料と組み合わせて用いられていますアスパルテームサッカ

リンアセスルファーム Kネオテームおよびスクラロースはアメリカ合衆国

の F DA1により認可されていますレバウジオシド A及びステビオシドのよう

な化合物は南アメリカステビア植物に起源があり甘味料としてアメリカ合衆

国でよりポピュラーになっています2010年に欧州食品安全機関(EFSA)では

甘味料としてステビオシドの使用を認可しています

欧州連合(EU)の指令 9435 EC は 4 つの改正(96 83 EC2003115 EC

200652 ECおよび 2009 163 EU)に沿って特定のタイプの食品について甘味

料の濃度を規制していますEU委員会規則 11292011リストにはさまざまな

食品における許容される人工甘味料の最大濃度を記載しています従って食品

中の甘味料の含有量を決めることは製品品質の一貫性を確保するために重要です

甘味料の分析に用いられる最も一般的な方法は HPLC 法であり検出には UV

が用いられますこのシステムではアセスルファーム Kアスパルテームサッ

カリンネオテームなどの検出は可能ですがUV吸収をもたないサイクラミ

ン酸スクラロースは分析ができませんMS検出器を用いることで全ての甘

味料を 1つの方法で分析することが可能になりますウォーターズの ACQUITY

QDa検出器を用いることで食品および飲料に携わる科学者が既存のクロマト

グラフィーワークフローに MS検出器を取り入れることが可能ですACQUITY

QDa検出器は甘味料を 1回の分析で行うだけでなく化合物のアサインが容易

になり全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなります 

Watersreg UPLCreg H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器を組み合わせて用いる

ことで食品および飲料メーカーは1回の分析で製品中に含まれる甘味料の

同定及び定量を効率よく行うことができます

本アプリケーションノートでは食品及び飲料サンプルを用いて甘味料の分析を

行い高速で信頼性及び高感度を有するメソッドを紹介しています

ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析Mark Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 3: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

3

ACQUITY UPLC H-Class システム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量Mark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

栄養価を高め食事の栄養不足を補うため食品および飲料のほとんどに

ビタミンが日常的に用いられています規制要件を満たすために食品および

飲料の製造業者は製品が消費される国の規制に応じて製品ラベルをつける

必要がありますこれらの規制の例としてはビタミンやミネラルについては

欧州委員会(EC)19252006に記載があり米国連邦規則(CF R)21条にはア

メリカ合衆国における食品のラベルについて記載されています

食品業界には迅速かつ信頼性の高い費用対効果のある方法が求められており

原料のサプライヤは製品の一貫性を確認しラベル表示が要件を満たしている

ことを保証する必要があります複雑なマトリックスと低濃度のビタミンとい

うことから困難な業務になる場合がありますさらに現在用いられている

メソッドのほとんどはビタミンを別々にもしくはグループに分けて分析す

ることになっています確立されている手法には微生物学的評価比色およ

び蛍光分析滴定法HPLC 法などが含まれています1 LC-MSを用いることに

より検出器の選択性を改善し定量下限をさらに低濃度にすることが可能です

近年の技術革新により装置の使いやすさと頑健性を向上させることでラボに

質量分析計を導入する際の課題をなくし質量検出のメリットを活かしやすくな

りましたこれらのメリットがACQUITY QDa 検出器を導入するきっかけにつ

ながります

本アプリケーションノートではダイエットサプリメントおよび飲料サンプルに

含まれる 12種の水溶性ビタミン(WSV)を ACQUITY UPLC H-Class システム及び

ACQUITY UPLC QDa 検出器を用いて分析を行いました

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

キーワード

WSV(水溶性ビタミン) ビタミン

QDaマス検出

ソリューションのメリット

選択的な MS検出により低濃度ビタミンが

明確に検出できるためサンプル抽出物の

希釈を用いて前処理の手間を省力可能

ACQUITY QDareg検出器は UPLCregおよび HPLC

システムに共通で使用でき頑健性信頼性

及び UV 検出器との直交性を兼ね備えた

新規ユーザーが迅速に利用できる最も選択

性の高い検出器

ACQUITY QDa 検出器は既存の液体クロマト

グラフィーとともに用いることで他の LC

検出器の選択性を大幅に改善

4 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

表 1に今回の実験に用いる WSV の保持時間選択イオンレコーディング(SIR)の

mzコーン電圧を一覧にしています

AnalyteRT

(Min)SIR mz

Cone voltage (V)

Ascorbic Acid (C) 091 177 2

Thiamine (B1) 101 265 5

Nicotinic Acid (B3) 127 124 15

Pyridoxal (B6) 175 168 5

Nicotinamide (B3) 248 123 15

Pyridoxine (B6) 250 170 10

Ca_Pantothenate (B5) 588 242 15

Cyanocobalamin (B12) 717 678 2

Folic Acid (B9) 722 442 5

B2-5-Phosphate 735 457 5

Biotin (B7) 750 245 10

Riboflavin (B2) 774 377 15

StandardIndividual B

complex vitamins (mgL )

Vitamin C (mgL)

1 100 500

2 075 375

3 050 250

4 025 125

5 010 50

6 0075 375

7 0050 25

8 0025 125

9 0010 05

10 0005 025

11 0001 005

表 1 各水溶性ビタミンの保持時間SIR チャンネルコーン電圧

表 2 ビタミン B及びビタミン C標準溶液の濃度

標準溶液調製

それぞれの WSV について水を用いて 1 mgmLに

調製しストック溶液としましたビタミン B2

B7B9 については 1N の NaOH を 200 micro L 加えて

溶解させましたビタミン Cは低 pHの酢酸緩衝液

に溶解することで安定性が向上します各ストック

溶液を混合しビタミン C 125 mL 及びその他の

ストック溶液 0025 mLをそれぞれとり水を用いて

25 mLに希釈しました混合ストック溶液(ビタミンC

50 ppmその他ビタミン1 ppm)について表 2に示し

た希釈系列で 11種の標準溶液を調製しました

サンプル準備

粉末のビタミン飲料(1包 85 g)を 100 mLの水に

溶解し02 micromの PVDF フィルターでろ過しました

サンプル溶液はさらに希釈を行い250倍及び 10倍

希釈の 2種類を調製しました希釈レベルが異なっ

た 3種のサンプル溶液はサンプル中に含まれる

濃度の異なるビタミンを測定するために用いました

マルチビタミンサプリメント錠を乳鉢と乳棒を用

いて粉砕しました粉末 134 gを秤量しビーカー

に移し 100 mLの水を加えましたサンプルは 15

分間超音波処理を施し溶解し攪拌した後 02 microm

の PVDFフィルターを用いてろ過しましたさらに

これらのサンプルは水を用いて 100010020倍

にそれぞれ希釈しましたこれらの希釈溶液及び

最初に溶解したサンプル溶液(希釈なし)は同様に

サンプル中に含まれる濃度の異なるビタミンを測

定するために用いました

2種類のビタミン水溶液サンプルは水を用いて 20倍

希釈し02 micromの PVDF フィルターを用いてろ過

しました

実験方法

5ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

UPLC条件

LCシステム ACQUITY UPLC H-Class

分析時間 175分

カラム ACQUITY UPLC HSS T3 18 microm

21 times 100 mm

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム

01ギ酸水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム

01ギ酸含有メタノール溶液

注入量 5 microL

時間 (分)

流速 (mL分)

A B

1 Initial 045 99 1

2 30 045 99 1

3 31 045 95 5

4 51 045 80 20

5 71 045 2 98

6 90 045 2 98

7 91 045 99 1

8 175 045 99 1

表 3 水溶性ビタミンの分析に用いたグラジエント条件

検出器条件

検出器 1ACQUITY UPLC PDA

波長波長取り込み範囲 210~400 nm

   解析波長 270 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2ACQUITY QDa

イオン化モード ES I+

分析時間8分

プローブ温度600

キャピラリー電圧08 kV

MSスキャン範囲 50~800 mz

(セントロイド)及び SIR

サンプリングレート5 Hz

コーン電圧 フルスキャン 15 V

表 1にそれぞれの SI R チャンネルの

コーン電圧を示した

SI R のmz は先行検討をもとに用いた 2

実験条件

6 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

結果および考察

12 種類の水溶性ビタミンを重ね書きしたクロマトグラムを図 1 に示しておりすべての化合物は 8 分

以内に溶出していますこの条件で分析したところ2つの同時溶出ピーク(25分付近に溶出している

ニコチンアミドおよびピリドキシン725付近に溶出しているシアノコバラミン及び葉酸)が確認されま

したMS検出器を用いることで全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなり質量対電荷比

(mz)を用いて正確に識別されます図 2 に同時溶出したビタミンを含む各ビタミンの直線性を示して

います図 2の D及び Fは葉酸(mz =442)及びシアノコバラミン(mz =678)を示していますマス検出

器の選択性を用いることで同時溶出している化合物についても定量が可能です図 2には UVでは分析が

困難だったビタミンの検量線も示しています例えばビオチン(図 2A)及びカルシウム(図 2H)は UV検出

器ではレスポンスが低い化合物ですこれらの化合物は十分な感度を得るために低波長側で分析します3

低波長側で分析を行うと化合物の特異性が損なわれますがMS検出を用いることで分析における特異

性及び感度が確保できます

1- Ascorbic Acid C 2- Thiamine B1 3- Nicotinic acid B3 4- Pyridoxal B6 5- Nicotinamide B3 6- Pyridoxine B6 7- Ca_Pantothenate B5 8- Cyanocobalamin B12 9- Folic acid B9 10- Riboflavin 5 phosphate 11- Biotin B7 12- Riboflavin B2

1

2

3

4

5

6

12

11

9

8

10

7図 1 8分で分離した 12種類の水溶性ビタミンの重ね書き S I R クロマトグラム

7ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

図 2 各水溶性ビタミンの検量線

Compound name Nicotinic Acid (B3)Coefficient of Determination r2 = 0999308 Calibration curve -00997086 x2 + 410107 x + -902113Response type External Std AreaCurve type 2nd Order Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

100000

200000

300000

Compound name Ca_Pantothenate (B5)Correlation coefficient r = 0999727 r2 = 0999454Calibration curve 583707 x + -591867Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

Compound name Biotin (B7)Correlation coefficient r = 0998455 r2 = 0996912Calibration curve 145948 x + 608733Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

50000

100000

150000

Compound name Thiamine (B1)Correlation coefficient r = 0996330 r2 = 0992673Calibration curve 731882 x + -451739Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

200000

400000

600000

Compound name Riboflavin (B2)Correlation coefficient r = 0998258 r2 = 0996518Calibration curve 870096 x + -591265Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

60000

80000

Compound name Folic Acid (B9)Correlation coefficient r = 0999226 r2 = 0998452Calibration curve 107885 x + 157451Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2500

5000

7500

10000

Compound name Riboflavin 5 phosphateCorrelation coefficient r = 0999416 r2 = 0998832Calibration curve 991594 x + 220087Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2000

4000

6000

Compound name Cyanocobalamin ( B12)Correlation coefficient r = 0999745 r2 = 0999490Calibration curve 341976 x + 149612Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

10000

20000

30000

A B

D

F

H

C

E

G

8 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

14

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

5

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

00

50e-4

RT 246 SN = 63

RT 175 SN = 32

RT 124 SN = 19

RT 243 SN = 33

A UV at 270 nm

B Pyridoxine SIR mz 170

C Pyridoxal SIR mz 168

D Nicotinic Acid SIR mz 124

E Nicotinamide SIR mz 123

AU

図 3 5 microgmL のビタミン標準溶液の 270 nmの UVクロマトグラム及び SIR クロマトグラム(S I R は 4チャンネル Bビリドキシン Cピリドキサル Dニコチン酸 Eニコチン酸アミド)

MS検出器を用いることで UV検出よりもさらに低濃度のビタミンの検出が可能になります図 3にピリド

キシンピリドキサルニコチン酸及びニコチン酸アミドの 5 ppb(5 microgL)の S I R クロマトグラム及び UV

クロマトグラム(図 3A270 nm)を示しています図 3Aに示したようにこの濃度のビタミンは UVでは検

出されませんでしたMS検出器による定量下限の改善は低濃度ビタミンを定量する上で重要です感度

を向上させサンプル抽出物を希釈することでさまざまなマトリックスにおける検出が可能になります

この検討ではビタミンサプリメントおよび飲料についてサンプル希釈するだけで簡単に分析できます(錠剤

の場合は粉砕という初期工程が必要です)

9ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time450 500 550 600 650 700 750

AU

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

450 500 550 600 650 700 750A

U

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

B

A

C

D

MS Vitamin water 1

PDA Vitamin water 1

MS Vitamin water 2

PDA Vitamin water 2

図 4 2種類のビタミン水サンプルから検出されたビタミン B5保持時間 59分のピークは MS検出器により良好なシグナル対ノイズを示しています(Aおよび C)しかしUVでは検出できませんでした(B及び D)

図 5 250倍希釈した粉末のビタミン飲料のクロマトグラムAビタミン B1(チアミン)の S I R Bビタミン C(アスコルビン酸)の S IR Cビタミン Cの270 nmにおける UVクロマトグラム(ビタミン B1は UV検出されなかった)

Time000 050 100 150 200 250

AU

00

10e-1

20e-1

000 050 100 150 200 250

0

100

000 050 100 150 200 250

0

100 101

091

090

B SIR of ascorbic acid(C)

A SIR of thiamine (B1)

C UV at 270 nm Ascorbic acid RT 090

Ascorbic acid RT 091

Thiamine RT 101

図 4に 2つのビタミン水サンプル中から検出され

たビタミン B5(パントテン酸カルシウム)を示し

ていますUVクロマトグラムを見るとサンプル

前処理なしの UVでは検出できないことが分かり

ますビタミン B1(チアミン)は UV検出が困難な

ビタミンの 1つです図 5に粉末のビタミン飲料

から検出されたビタミン B1およびビタミン C(ア

スコルビン酸)の例を示していますビタミン Cに

ついては UVで検出可能ですがビタミン B1は検

出されませんしかしながら図 5Aに示したように

ACQUITY QDa 検出器の SIR を用いることでビタミン

B1は明確に検出できます

10 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

20e-3

40e-3

60e-3

80e-3

10e-2

4

13 SIR of 1 Channel ES+678 (Cyanocobalamin (B12)

(1) PDA Ch1 270 nm at 12 nm

A SIR of cyanocobalamin

B UV at 270 nm

717

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

図 6 マス検出器によるビタミンサプリメント中のビタミン B12の検出(A)ビタミン濃度は UVの検出下限以下であった(B)

ビタミンの分析において配合されているビタミンの濃度範囲が広いことが課題の 1つでした例えば本

検討で用いた錠剤のマルチビタミンサプリメントには6 microg配合されている B12から 16 mg配合されて

いる B3(ナイアシン(ニコチン酸))まであり他のビタミンについてもこの範囲内で配合されてい

ます本検討では濃度の異なるレベルのビタミンを考慮するため最初の抽出物についてそれぞれ

希釈を行い全てのビタミンについて同じ LC-MS条件で分析を行っています図 7にマルチビタミンサプ

リメントの分析結果を示しています図 7A及び 7Bはリボフラビン(B2)について 100倍希釈及び希釈な

しの S I R クロマトグラムを比較しています図 7Cは希釈なしのサンプルにおけるシアノコバラミン(B12)

の S I R クロマトグラムを示しています希釈したサンプルからはピークは検出されませんでした(データ

の記載はなし)希釈なしのサンプルにおける 270 nmの UVクロマトグラムを図 7Dに示しておりサン

プル中のリボフラビンのピークは十分に検出されていますリボフラビンおよびシアノコバラミンの定量

値は 125 ppmと 41 ppbでした(サプリメントのラベルに表示されている 68 という値に対しこれら

は 96でした本検討では表示量は実証されませんでしたが添加回収試験を実施しており表 2に示

した検量線の範囲内において多段階の希釈を用いることで実証できる可能性が示唆されました)

シアノコバラミンはサプリメント及び食品からわずかにしか検出されない水溶性ビタミンであり定量

するために分けて行う必要があります2次元のクロマトグラフィーはビタミン検出においてはルーチン

分析に用いられます4 従来の UPLC メソッドを用いてマルチビタミンサプリメントから検出されたシアノ

コバラミンの例を図 6に示していますこの濃度では UVクロマトグラムにおいてはピークが検出されま

せんでした(図 6B)マス検出器により高濃度に配合されているビタミンを検出するのと同じ方法でビタ

ミン B12を検出することが可能でしたACQUITY QDa 検出器は LCのワークフローに容易に取り入れる

ことが可能で既存の多波長取り込みを行うよりも使い易くなっています

11ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

10e-1

20e-1

0

100

0

100

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

0

100

771

771

785717

755

770

A

D

B

C

Diluted x 100

Undiluted

Undiluted

Undiluted UV at 270nm

SIR at mz 678 Cyanocobalamin (B12)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

図 7 ビタミンサプリメント錠に含まれる濃度が大きく異なる 2種類のビタミンの検出リボフラビンはサンプル抽出物 100倍希釈において明確に検出されています(A)B12については希釈していない抽出物からのみ検出されています(C)希釈なしの抽出物中のリボフラビンは検量線の範囲外でした(B)この濃度については UVにおいても容易に検出できます(D)

ビタミン Bのメソッドについて再現性を評価するために濃度の異なるビタミンを注入し評価しました

保持時間の再現性及びピーク面積の再現性の結果を表 4 及び 5 に示しています表 4 は 2 つの濃度の

異なる標準溶液をそれぞれ 10 回注入し合計で 20 回注入した結果を示しています保持時間につい

ては溶出が早い水溶性ビタミンについても全て RSD=06 以下という良好な結果が得られました

ピーク面積の再現性については 0025 mgL を 10 回注入し評価しました(表 5)強度が小さかった葉酸

およびリボフラビン 5 リン酸を除くほとんどのビタミンは RSD=10 以下でした経時劣化すること

が知られているビタミンCについては本検討から除外しました

Analyte RSD for retention time

Thiamine (B1) 06

Nicotinic Acid (B3) 019

Pyridoxal (B6) 023

Nicotinamide (B3) 022

Pyridoxine (B6) 026

Ca_Pantothenate (B5) 004

Cyanocobalamin ( B12) 003

Folic Acid (B9) 003

Riboflavin 5 phosphate 003

Biotin (B7) 002

Riboflavin (B2) 003

Analyte RSD for areaThiamine (B1) 678

Nicotinic Acid (B3) 235

Pyridoxal (B6) 262

Nicotinamide (B3) 224

Pyridoxine (B6) 265

Ca_Pantothenate (B5) 460

Cyanocobalamin ( B12) 700

Folic Acid (B9) 1153

Riboflavin 5 phosphate 1429

Biotin (B7) 277

Riboflavin (B2) 228

表 4 2 種の標準溶液 075 mgL(10回注入)及び 0025 mgL(10回注入)の保持時間再現性

表 5 0025 mgL の標準溶液の 10回注入におけるビタミン Bピーク面積現性

12

WatersACQUITY UPLCUPLCEmpowerMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004960JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

参考文献

1 G F M Ball (Editor) Bioavailabilty and Analysis of Vitamins in Foods Chapman and Hall (1998) Ch2 pp 33

2 E Riches The Rapid Simultaneous Analysis of 12 Water Soluble Vitamin Compounds Waters Application Note No 720003052en June 2009

3 Heudi et al Separation of water-soluble vitamins by reversed-phase high performance liquid chromatography with ultra-violet detection Application to polyvitaminated premixes J Chrom A (2005) 1070 49ndash56 pp 51

4 AOAC Method 201109 Vitamin B12 in Infant Formula and Adult Nutritionals (2012)

結論

本アプリケーションでは UVでは検出できない濃度の水溶性ビタ

ミンを正確に定量することでウォーターズの ACQUITY QDa 検

出器の性能を示していますSIRチャンネルを用いることで感度

が向上し同時溶出が起こっても化合物を選択的に定量すること

が可能ですすべての化合物をベースライン分離するという負担

がなくなりより低濃度のビタミンを検出することが可能になり

ます

ACQUITY QDa 検出器を用いることで

UV吸収がわずかもしくは全くない化合物の定量が可能

異なった質量の化合物が同時溶出していても選択的に定量可能

水溶性ビタミンのメソッドを一つの LC-MSメソッドに統合可能

サンプル前処理を容易にし定量限界を改善

Empowerreg 3 及び Mass Lynxregソフトウエアの 2種から選択でき

LCワークフローの中に容易に組み込める

特別な質量分析の知識を必要としないためACQUITY QDaマス

検出をすぐに活用可能

13

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg MSソフトウエア

キーワード

アスパルテームサッカリンレバウジオシド

ステビオシドステビアアセスルファーム K

ネオテームスクラロースQDa

アプリケーションのメリット

ACQUITY QDareg 検出器を用いることで一回

の注入により甘味料の同時分析が可能

天然甘味料人工甘味料非栄養性甘味料

が 10分以内に定量可能

共溶出する化合物について十分な化合物情

報が得られる直交性を兼ね備えた MS検出器

ACQUITY QDa 検出器を用いることで UV吸収

をもたない人工甘味料に対し感度および

選択性を付与

はじめに

砂糖はその甘味で有名であり味わいを高めるために製品製造時に添加され

ます砂糖の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため食品および飲料製品には

非栄養性甘味料が広く用いられています例えばソフトドリンク卓上甘味

料チョコレート乳製品など「ダイエット食品」と呼ばれるほとんどのもの

に含まれています多くの場合これらの製品に全体的な甘さを付与するため

さまざまな甘味料と組み合わせて用いられていますアスパルテームサッカ

リンアセスルファーム Kネオテームおよびスクラロースはアメリカ合衆国

の F DA1により認可されていますレバウジオシド A及びステビオシドのよう

な化合物は南アメリカステビア植物に起源があり甘味料としてアメリカ合衆

国でよりポピュラーになっています2010年に欧州食品安全機関(EFSA)では

甘味料としてステビオシドの使用を認可しています

欧州連合(EU)の指令 9435 EC は 4 つの改正(96 83 EC2003115 EC

200652 ECおよび 2009 163 EU)に沿って特定のタイプの食品について甘味

料の濃度を規制していますEU委員会規則 11292011リストにはさまざまな

食品における許容される人工甘味料の最大濃度を記載しています従って食品

中の甘味料の含有量を決めることは製品品質の一貫性を確保するために重要です

甘味料の分析に用いられる最も一般的な方法は HPLC 法であり検出には UV

が用いられますこのシステムではアセスルファーム Kアスパルテームサッ

カリンネオテームなどの検出は可能ですがUV吸収をもたないサイクラミ

ン酸スクラロースは分析ができませんMS検出器を用いることで全ての甘

味料を 1つの方法で分析することが可能になりますウォーターズの ACQUITY

QDa検出器を用いることで食品および飲料に携わる科学者が既存のクロマト

グラフィーワークフローに MS検出器を取り入れることが可能ですACQUITY

QDa検出器は甘味料を 1回の分析で行うだけでなく化合物のアサインが容易

になり全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなります 

Watersreg UPLCreg H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器を組み合わせて用いる

ことで食品および飲料メーカーは1回の分析で製品中に含まれる甘味料の

同定及び定量を効率よく行うことができます

本アプリケーションノートでは食品及び飲料サンプルを用いて甘味料の分析を

行い高速で信頼性及び高感度を有するメソッドを紹介しています

ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析Mark Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 4: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

4 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

表 1に今回の実験に用いる WSV の保持時間選択イオンレコーディング(SIR)の

mzコーン電圧を一覧にしています

AnalyteRT

(Min)SIR mz

Cone voltage (V)

Ascorbic Acid (C) 091 177 2

Thiamine (B1) 101 265 5

Nicotinic Acid (B3) 127 124 15

Pyridoxal (B6) 175 168 5

Nicotinamide (B3) 248 123 15

Pyridoxine (B6) 250 170 10

Ca_Pantothenate (B5) 588 242 15

Cyanocobalamin (B12) 717 678 2

Folic Acid (B9) 722 442 5

B2-5-Phosphate 735 457 5

Biotin (B7) 750 245 10

Riboflavin (B2) 774 377 15

StandardIndividual B

complex vitamins (mgL )

Vitamin C (mgL)

1 100 500

2 075 375

3 050 250

4 025 125

5 010 50

6 0075 375

7 0050 25

8 0025 125

9 0010 05

10 0005 025

11 0001 005

表 1 各水溶性ビタミンの保持時間SIR チャンネルコーン電圧

表 2 ビタミン B及びビタミン C標準溶液の濃度

標準溶液調製

それぞれの WSV について水を用いて 1 mgmLに

調製しストック溶液としましたビタミン B2

B7B9 については 1N の NaOH を 200 micro L 加えて

溶解させましたビタミン Cは低 pHの酢酸緩衝液

に溶解することで安定性が向上します各ストック

溶液を混合しビタミン C 125 mL 及びその他の

ストック溶液 0025 mLをそれぞれとり水を用いて

25 mLに希釈しました混合ストック溶液(ビタミンC

50 ppmその他ビタミン1 ppm)について表 2に示し

た希釈系列で 11種の標準溶液を調製しました

サンプル準備

粉末のビタミン飲料(1包 85 g)を 100 mLの水に

溶解し02 micromの PVDF フィルターでろ過しました

サンプル溶液はさらに希釈を行い250倍及び 10倍

希釈の 2種類を調製しました希釈レベルが異なっ

た 3種のサンプル溶液はサンプル中に含まれる

濃度の異なるビタミンを測定するために用いました

マルチビタミンサプリメント錠を乳鉢と乳棒を用

いて粉砕しました粉末 134 gを秤量しビーカー

に移し 100 mLの水を加えましたサンプルは 15

分間超音波処理を施し溶解し攪拌した後 02 microm

の PVDFフィルターを用いてろ過しましたさらに

これらのサンプルは水を用いて 100010020倍

にそれぞれ希釈しましたこれらの希釈溶液及び

最初に溶解したサンプル溶液(希釈なし)は同様に

サンプル中に含まれる濃度の異なるビタミンを測

定するために用いました

2種類のビタミン水溶液サンプルは水を用いて 20倍

希釈し02 micromの PVDF フィルターを用いてろ過

しました

実験方法

5ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

UPLC条件

LCシステム ACQUITY UPLC H-Class

分析時間 175分

カラム ACQUITY UPLC HSS T3 18 microm

21 times 100 mm

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム

01ギ酸水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム

01ギ酸含有メタノール溶液

注入量 5 microL

時間 (分)

流速 (mL分)

A B

1 Initial 045 99 1

2 30 045 99 1

3 31 045 95 5

4 51 045 80 20

5 71 045 2 98

6 90 045 2 98

7 91 045 99 1

8 175 045 99 1

表 3 水溶性ビタミンの分析に用いたグラジエント条件

検出器条件

検出器 1ACQUITY UPLC PDA

波長波長取り込み範囲 210~400 nm

   解析波長 270 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2ACQUITY QDa

イオン化モード ES I+

分析時間8分

プローブ温度600

キャピラリー電圧08 kV

MSスキャン範囲 50~800 mz

(セントロイド)及び SIR

サンプリングレート5 Hz

コーン電圧 フルスキャン 15 V

表 1にそれぞれの SI R チャンネルの

コーン電圧を示した

SI R のmz は先行検討をもとに用いた 2

実験条件

6 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

結果および考察

12 種類の水溶性ビタミンを重ね書きしたクロマトグラムを図 1 に示しておりすべての化合物は 8 分

以内に溶出していますこの条件で分析したところ2つの同時溶出ピーク(25分付近に溶出している

ニコチンアミドおよびピリドキシン725付近に溶出しているシアノコバラミン及び葉酸)が確認されま

したMS検出器を用いることで全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなり質量対電荷比

(mz)を用いて正確に識別されます図 2 に同時溶出したビタミンを含む各ビタミンの直線性を示して

います図 2の D及び Fは葉酸(mz =442)及びシアノコバラミン(mz =678)を示していますマス検出

器の選択性を用いることで同時溶出している化合物についても定量が可能です図 2には UVでは分析が

困難だったビタミンの検量線も示しています例えばビオチン(図 2A)及びカルシウム(図 2H)は UV検出

器ではレスポンスが低い化合物ですこれらの化合物は十分な感度を得るために低波長側で分析します3

低波長側で分析を行うと化合物の特異性が損なわれますがMS検出を用いることで分析における特異

性及び感度が確保できます

1- Ascorbic Acid C 2- Thiamine B1 3- Nicotinic acid B3 4- Pyridoxal B6 5- Nicotinamide B3 6- Pyridoxine B6 7- Ca_Pantothenate B5 8- Cyanocobalamin B12 9- Folic acid B9 10- Riboflavin 5 phosphate 11- Biotin B7 12- Riboflavin B2

1

2

3

4

5

6

12

11

9

8

10

7図 1 8分で分離した 12種類の水溶性ビタミンの重ね書き S I R クロマトグラム

7ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

図 2 各水溶性ビタミンの検量線

Compound name Nicotinic Acid (B3)Coefficient of Determination r2 = 0999308 Calibration curve -00997086 x2 + 410107 x + -902113Response type External Std AreaCurve type 2nd Order Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

100000

200000

300000

Compound name Ca_Pantothenate (B5)Correlation coefficient r = 0999727 r2 = 0999454Calibration curve 583707 x + -591867Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

Compound name Biotin (B7)Correlation coefficient r = 0998455 r2 = 0996912Calibration curve 145948 x + 608733Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

50000

100000

150000

Compound name Thiamine (B1)Correlation coefficient r = 0996330 r2 = 0992673Calibration curve 731882 x + -451739Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

200000

400000

600000

Compound name Riboflavin (B2)Correlation coefficient r = 0998258 r2 = 0996518Calibration curve 870096 x + -591265Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

60000

80000

Compound name Folic Acid (B9)Correlation coefficient r = 0999226 r2 = 0998452Calibration curve 107885 x + 157451Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2500

5000

7500

10000

Compound name Riboflavin 5 phosphateCorrelation coefficient r = 0999416 r2 = 0998832Calibration curve 991594 x + 220087Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2000

4000

6000

Compound name Cyanocobalamin ( B12)Correlation coefficient r = 0999745 r2 = 0999490Calibration curve 341976 x + 149612Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

10000

20000

30000

A B

D

F

H

C

E

G

8 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

14

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

5

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

00

50e-4

RT 246 SN = 63

RT 175 SN = 32

RT 124 SN = 19

RT 243 SN = 33

A UV at 270 nm

B Pyridoxine SIR mz 170

C Pyridoxal SIR mz 168

D Nicotinic Acid SIR mz 124

E Nicotinamide SIR mz 123

AU

図 3 5 microgmL のビタミン標準溶液の 270 nmの UVクロマトグラム及び SIR クロマトグラム(S I R は 4チャンネル Bビリドキシン Cピリドキサル Dニコチン酸 Eニコチン酸アミド)

MS検出器を用いることで UV検出よりもさらに低濃度のビタミンの検出が可能になります図 3にピリド

キシンピリドキサルニコチン酸及びニコチン酸アミドの 5 ppb(5 microgL)の S I R クロマトグラム及び UV

クロマトグラム(図 3A270 nm)を示しています図 3Aに示したようにこの濃度のビタミンは UVでは検

出されませんでしたMS検出器による定量下限の改善は低濃度ビタミンを定量する上で重要です感度

を向上させサンプル抽出物を希釈することでさまざまなマトリックスにおける検出が可能になります

この検討ではビタミンサプリメントおよび飲料についてサンプル希釈するだけで簡単に分析できます(錠剤

の場合は粉砕という初期工程が必要です)

9ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time450 500 550 600 650 700 750

AU

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

450 500 550 600 650 700 750A

U

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

B

A

C

D

MS Vitamin water 1

PDA Vitamin water 1

MS Vitamin water 2

PDA Vitamin water 2

図 4 2種類のビタミン水サンプルから検出されたビタミン B5保持時間 59分のピークは MS検出器により良好なシグナル対ノイズを示しています(Aおよび C)しかしUVでは検出できませんでした(B及び D)

図 5 250倍希釈した粉末のビタミン飲料のクロマトグラムAビタミン B1(チアミン)の S I R Bビタミン C(アスコルビン酸)の S IR Cビタミン Cの270 nmにおける UVクロマトグラム(ビタミン B1は UV検出されなかった)

Time000 050 100 150 200 250

AU

00

10e-1

20e-1

000 050 100 150 200 250

0

100

000 050 100 150 200 250

0

100 101

091

090

B SIR of ascorbic acid(C)

A SIR of thiamine (B1)

C UV at 270 nm Ascorbic acid RT 090

Ascorbic acid RT 091

Thiamine RT 101

図 4に 2つのビタミン水サンプル中から検出され

たビタミン B5(パントテン酸カルシウム)を示し

ていますUVクロマトグラムを見るとサンプル

前処理なしの UVでは検出できないことが分かり

ますビタミン B1(チアミン)は UV検出が困難な

ビタミンの 1つです図 5に粉末のビタミン飲料

から検出されたビタミン B1およびビタミン C(ア

スコルビン酸)の例を示していますビタミン Cに

ついては UVで検出可能ですがビタミン B1は検

出されませんしかしながら図 5Aに示したように

ACQUITY QDa 検出器の SIR を用いることでビタミン

B1は明確に検出できます

10 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

20e-3

40e-3

60e-3

80e-3

10e-2

4

13 SIR of 1 Channel ES+678 (Cyanocobalamin (B12)

(1) PDA Ch1 270 nm at 12 nm

A SIR of cyanocobalamin

B UV at 270 nm

717

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

図 6 マス検出器によるビタミンサプリメント中のビタミン B12の検出(A)ビタミン濃度は UVの検出下限以下であった(B)

ビタミンの分析において配合されているビタミンの濃度範囲が広いことが課題の 1つでした例えば本

検討で用いた錠剤のマルチビタミンサプリメントには6 microg配合されている B12から 16 mg配合されて

いる B3(ナイアシン(ニコチン酸))まであり他のビタミンについてもこの範囲内で配合されてい

ます本検討では濃度の異なるレベルのビタミンを考慮するため最初の抽出物についてそれぞれ

希釈を行い全てのビタミンについて同じ LC-MS条件で分析を行っています図 7にマルチビタミンサプ

リメントの分析結果を示しています図 7A及び 7Bはリボフラビン(B2)について 100倍希釈及び希釈な

しの S I R クロマトグラムを比較しています図 7Cは希釈なしのサンプルにおけるシアノコバラミン(B12)

の S I R クロマトグラムを示しています希釈したサンプルからはピークは検出されませんでした(データ

の記載はなし)希釈なしのサンプルにおける 270 nmの UVクロマトグラムを図 7Dに示しておりサン

プル中のリボフラビンのピークは十分に検出されていますリボフラビンおよびシアノコバラミンの定量

値は 125 ppmと 41 ppbでした(サプリメントのラベルに表示されている 68 という値に対しこれら

は 96でした本検討では表示量は実証されませんでしたが添加回収試験を実施しており表 2に示

した検量線の範囲内において多段階の希釈を用いることで実証できる可能性が示唆されました)

シアノコバラミンはサプリメント及び食品からわずかにしか検出されない水溶性ビタミンであり定量

するために分けて行う必要があります2次元のクロマトグラフィーはビタミン検出においてはルーチン

分析に用いられます4 従来の UPLC メソッドを用いてマルチビタミンサプリメントから検出されたシアノ

コバラミンの例を図 6に示していますこの濃度では UVクロマトグラムにおいてはピークが検出されま

せんでした(図 6B)マス検出器により高濃度に配合されているビタミンを検出するのと同じ方法でビタ

ミン B12を検出することが可能でしたACQUITY QDa 検出器は LCのワークフローに容易に取り入れる

ことが可能で既存の多波長取り込みを行うよりも使い易くなっています

11ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

10e-1

20e-1

0

100

0

100

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

0

100

771

771

785717

755

770

A

D

B

C

Diluted x 100

Undiluted

Undiluted

Undiluted UV at 270nm

SIR at mz 678 Cyanocobalamin (B12)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

図 7 ビタミンサプリメント錠に含まれる濃度が大きく異なる 2種類のビタミンの検出リボフラビンはサンプル抽出物 100倍希釈において明確に検出されています(A)B12については希釈していない抽出物からのみ検出されています(C)希釈なしの抽出物中のリボフラビンは検量線の範囲外でした(B)この濃度については UVにおいても容易に検出できます(D)

ビタミン Bのメソッドについて再現性を評価するために濃度の異なるビタミンを注入し評価しました

保持時間の再現性及びピーク面積の再現性の結果を表 4 及び 5 に示しています表 4 は 2 つの濃度の

異なる標準溶液をそれぞれ 10 回注入し合計で 20 回注入した結果を示しています保持時間につい

ては溶出が早い水溶性ビタミンについても全て RSD=06 以下という良好な結果が得られました

ピーク面積の再現性については 0025 mgL を 10 回注入し評価しました(表 5)強度が小さかった葉酸

およびリボフラビン 5 リン酸を除くほとんどのビタミンは RSD=10 以下でした経時劣化すること

が知られているビタミンCについては本検討から除外しました

Analyte RSD for retention time

Thiamine (B1) 06

Nicotinic Acid (B3) 019

Pyridoxal (B6) 023

Nicotinamide (B3) 022

Pyridoxine (B6) 026

Ca_Pantothenate (B5) 004

Cyanocobalamin ( B12) 003

Folic Acid (B9) 003

Riboflavin 5 phosphate 003

Biotin (B7) 002

Riboflavin (B2) 003

Analyte RSD for areaThiamine (B1) 678

Nicotinic Acid (B3) 235

Pyridoxal (B6) 262

Nicotinamide (B3) 224

Pyridoxine (B6) 265

Ca_Pantothenate (B5) 460

Cyanocobalamin ( B12) 700

Folic Acid (B9) 1153

Riboflavin 5 phosphate 1429

Biotin (B7) 277

Riboflavin (B2) 228

表 4 2 種の標準溶液 075 mgL(10回注入)及び 0025 mgL(10回注入)の保持時間再現性

表 5 0025 mgL の標準溶液の 10回注入におけるビタミン Bピーク面積現性

12

WatersACQUITY UPLCUPLCEmpowerMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004960JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

参考文献

1 G F M Ball (Editor) Bioavailabilty and Analysis of Vitamins in Foods Chapman and Hall (1998) Ch2 pp 33

2 E Riches The Rapid Simultaneous Analysis of 12 Water Soluble Vitamin Compounds Waters Application Note No 720003052en June 2009

3 Heudi et al Separation of water-soluble vitamins by reversed-phase high performance liquid chromatography with ultra-violet detection Application to polyvitaminated premixes J Chrom A (2005) 1070 49ndash56 pp 51

4 AOAC Method 201109 Vitamin B12 in Infant Formula and Adult Nutritionals (2012)

結論

本アプリケーションでは UVでは検出できない濃度の水溶性ビタ

ミンを正確に定量することでウォーターズの ACQUITY QDa 検

出器の性能を示していますSIRチャンネルを用いることで感度

が向上し同時溶出が起こっても化合物を選択的に定量すること

が可能ですすべての化合物をベースライン分離するという負担

がなくなりより低濃度のビタミンを検出することが可能になり

ます

ACQUITY QDa 検出器を用いることで

UV吸収がわずかもしくは全くない化合物の定量が可能

異なった質量の化合物が同時溶出していても選択的に定量可能

水溶性ビタミンのメソッドを一つの LC-MSメソッドに統合可能

サンプル前処理を容易にし定量限界を改善

Empowerreg 3 及び Mass Lynxregソフトウエアの 2種から選択でき

LCワークフローの中に容易に組み込める

特別な質量分析の知識を必要としないためACQUITY QDaマス

検出をすぐに活用可能

13

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg MSソフトウエア

キーワード

アスパルテームサッカリンレバウジオシド

ステビオシドステビアアセスルファーム K

ネオテームスクラロースQDa

アプリケーションのメリット

ACQUITY QDareg 検出器を用いることで一回

の注入により甘味料の同時分析が可能

天然甘味料人工甘味料非栄養性甘味料

が 10分以内に定量可能

共溶出する化合物について十分な化合物情

報が得られる直交性を兼ね備えた MS検出器

ACQUITY QDa 検出器を用いることで UV吸収

をもたない人工甘味料に対し感度および

選択性を付与

はじめに

砂糖はその甘味で有名であり味わいを高めるために製品製造時に添加され

ます砂糖の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため食品および飲料製品には

非栄養性甘味料が広く用いられています例えばソフトドリンク卓上甘味

料チョコレート乳製品など「ダイエット食品」と呼ばれるほとんどのもの

に含まれています多くの場合これらの製品に全体的な甘さを付与するため

さまざまな甘味料と組み合わせて用いられていますアスパルテームサッカ

リンアセスルファーム Kネオテームおよびスクラロースはアメリカ合衆国

の F DA1により認可されていますレバウジオシド A及びステビオシドのよう

な化合物は南アメリカステビア植物に起源があり甘味料としてアメリカ合衆

国でよりポピュラーになっています2010年に欧州食品安全機関(EFSA)では

甘味料としてステビオシドの使用を認可しています

欧州連合(EU)の指令 9435 EC は 4 つの改正(96 83 EC2003115 EC

200652 ECおよび 2009 163 EU)に沿って特定のタイプの食品について甘味

料の濃度を規制していますEU委員会規則 11292011リストにはさまざまな

食品における許容される人工甘味料の最大濃度を記載しています従って食品

中の甘味料の含有量を決めることは製品品質の一貫性を確保するために重要です

甘味料の分析に用いられる最も一般的な方法は HPLC 法であり検出には UV

が用いられますこのシステムではアセスルファーム Kアスパルテームサッ

カリンネオテームなどの検出は可能ですがUV吸収をもたないサイクラミ

ン酸スクラロースは分析ができませんMS検出器を用いることで全ての甘

味料を 1つの方法で分析することが可能になりますウォーターズの ACQUITY

QDa検出器を用いることで食品および飲料に携わる科学者が既存のクロマト

グラフィーワークフローに MS検出器を取り入れることが可能ですACQUITY

QDa検出器は甘味料を 1回の分析で行うだけでなく化合物のアサインが容易

になり全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなります 

Watersreg UPLCreg H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器を組み合わせて用いる

ことで食品および飲料メーカーは1回の分析で製品中に含まれる甘味料の

同定及び定量を効率よく行うことができます

本アプリケーションノートでは食品及び飲料サンプルを用いて甘味料の分析を

行い高速で信頼性及び高感度を有するメソッドを紹介しています

ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析Mark Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 5: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

5ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

UPLC条件

LCシステム ACQUITY UPLC H-Class

分析時間 175分

カラム ACQUITY UPLC HSS T3 18 microm

21 times 100 mm

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム

01ギ酸水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム

01ギ酸含有メタノール溶液

注入量 5 microL

時間 (分)

流速 (mL分)

A B

1 Initial 045 99 1

2 30 045 99 1

3 31 045 95 5

4 51 045 80 20

5 71 045 2 98

6 90 045 2 98

7 91 045 99 1

8 175 045 99 1

表 3 水溶性ビタミンの分析に用いたグラジエント条件

検出器条件

検出器 1ACQUITY UPLC PDA

波長波長取り込み範囲 210~400 nm

   解析波長 270 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2ACQUITY QDa

イオン化モード ES I+

分析時間8分

プローブ温度600

キャピラリー電圧08 kV

MSスキャン範囲 50~800 mz

(セントロイド)及び SIR

サンプリングレート5 Hz

コーン電圧 フルスキャン 15 V

表 1にそれぞれの SI R チャンネルの

コーン電圧を示した

SI R のmz は先行検討をもとに用いた 2

実験条件

6 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

結果および考察

12 種類の水溶性ビタミンを重ね書きしたクロマトグラムを図 1 に示しておりすべての化合物は 8 分

以内に溶出していますこの条件で分析したところ2つの同時溶出ピーク(25分付近に溶出している

ニコチンアミドおよびピリドキシン725付近に溶出しているシアノコバラミン及び葉酸)が確認されま

したMS検出器を用いることで全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなり質量対電荷比

(mz)を用いて正確に識別されます図 2 に同時溶出したビタミンを含む各ビタミンの直線性を示して

います図 2の D及び Fは葉酸(mz =442)及びシアノコバラミン(mz =678)を示していますマス検出

器の選択性を用いることで同時溶出している化合物についても定量が可能です図 2には UVでは分析が

困難だったビタミンの検量線も示しています例えばビオチン(図 2A)及びカルシウム(図 2H)は UV検出

器ではレスポンスが低い化合物ですこれらの化合物は十分な感度を得るために低波長側で分析します3

低波長側で分析を行うと化合物の特異性が損なわれますがMS検出を用いることで分析における特異

性及び感度が確保できます

1- Ascorbic Acid C 2- Thiamine B1 3- Nicotinic acid B3 4- Pyridoxal B6 5- Nicotinamide B3 6- Pyridoxine B6 7- Ca_Pantothenate B5 8- Cyanocobalamin B12 9- Folic acid B9 10- Riboflavin 5 phosphate 11- Biotin B7 12- Riboflavin B2

1

2

3

4

5

6

12

11

9

8

10

7図 1 8分で分離した 12種類の水溶性ビタミンの重ね書き S I R クロマトグラム

7ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

図 2 各水溶性ビタミンの検量線

Compound name Nicotinic Acid (B3)Coefficient of Determination r2 = 0999308 Calibration curve -00997086 x2 + 410107 x + -902113Response type External Std AreaCurve type 2nd Order Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

100000

200000

300000

Compound name Ca_Pantothenate (B5)Correlation coefficient r = 0999727 r2 = 0999454Calibration curve 583707 x + -591867Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

Compound name Biotin (B7)Correlation coefficient r = 0998455 r2 = 0996912Calibration curve 145948 x + 608733Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

50000

100000

150000

Compound name Thiamine (B1)Correlation coefficient r = 0996330 r2 = 0992673Calibration curve 731882 x + -451739Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

200000

400000

600000

Compound name Riboflavin (B2)Correlation coefficient r = 0998258 r2 = 0996518Calibration curve 870096 x + -591265Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

60000

80000

Compound name Folic Acid (B9)Correlation coefficient r = 0999226 r2 = 0998452Calibration curve 107885 x + 157451Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2500

5000

7500

10000

Compound name Riboflavin 5 phosphateCorrelation coefficient r = 0999416 r2 = 0998832Calibration curve 991594 x + 220087Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2000

4000

6000

Compound name Cyanocobalamin ( B12)Correlation coefficient r = 0999745 r2 = 0999490Calibration curve 341976 x + 149612Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

10000

20000

30000

A B

D

F

H

C

E

G

8 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

14

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

5

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

00

50e-4

RT 246 SN = 63

RT 175 SN = 32

RT 124 SN = 19

RT 243 SN = 33

A UV at 270 nm

B Pyridoxine SIR mz 170

C Pyridoxal SIR mz 168

D Nicotinic Acid SIR mz 124

E Nicotinamide SIR mz 123

AU

図 3 5 microgmL のビタミン標準溶液の 270 nmの UVクロマトグラム及び SIR クロマトグラム(S I R は 4チャンネル Bビリドキシン Cピリドキサル Dニコチン酸 Eニコチン酸アミド)

MS検出器を用いることで UV検出よりもさらに低濃度のビタミンの検出が可能になります図 3にピリド

キシンピリドキサルニコチン酸及びニコチン酸アミドの 5 ppb(5 microgL)の S I R クロマトグラム及び UV

クロマトグラム(図 3A270 nm)を示しています図 3Aに示したようにこの濃度のビタミンは UVでは検

出されませんでしたMS検出器による定量下限の改善は低濃度ビタミンを定量する上で重要です感度

を向上させサンプル抽出物を希釈することでさまざまなマトリックスにおける検出が可能になります

この検討ではビタミンサプリメントおよび飲料についてサンプル希釈するだけで簡単に分析できます(錠剤

の場合は粉砕という初期工程が必要です)

9ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time450 500 550 600 650 700 750

AU

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

450 500 550 600 650 700 750A

U

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

B

A

C

D

MS Vitamin water 1

PDA Vitamin water 1

MS Vitamin water 2

PDA Vitamin water 2

図 4 2種類のビタミン水サンプルから検出されたビタミン B5保持時間 59分のピークは MS検出器により良好なシグナル対ノイズを示しています(Aおよび C)しかしUVでは検出できませんでした(B及び D)

図 5 250倍希釈した粉末のビタミン飲料のクロマトグラムAビタミン B1(チアミン)の S I R Bビタミン C(アスコルビン酸)の S IR Cビタミン Cの270 nmにおける UVクロマトグラム(ビタミン B1は UV検出されなかった)

Time000 050 100 150 200 250

AU

00

10e-1

20e-1

000 050 100 150 200 250

0

100

000 050 100 150 200 250

0

100 101

091

090

B SIR of ascorbic acid(C)

A SIR of thiamine (B1)

C UV at 270 nm Ascorbic acid RT 090

Ascorbic acid RT 091

Thiamine RT 101

図 4に 2つのビタミン水サンプル中から検出され

たビタミン B5(パントテン酸カルシウム)を示し

ていますUVクロマトグラムを見るとサンプル

前処理なしの UVでは検出できないことが分かり

ますビタミン B1(チアミン)は UV検出が困難な

ビタミンの 1つです図 5に粉末のビタミン飲料

から検出されたビタミン B1およびビタミン C(ア

スコルビン酸)の例を示していますビタミン Cに

ついては UVで検出可能ですがビタミン B1は検

出されませんしかしながら図 5Aに示したように

ACQUITY QDa 検出器の SIR を用いることでビタミン

B1は明確に検出できます

10 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

20e-3

40e-3

60e-3

80e-3

10e-2

4

13 SIR of 1 Channel ES+678 (Cyanocobalamin (B12)

(1) PDA Ch1 270 nm at 12 nm

A SIR of cyanocobalamin

B UV at 270 nm

717

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

図 6 マス検出器によるビタミンサプリメント中のビタミン B12の検出(A)ビタミン濃度は UVの検出下限以下であった(B)

ビタミンの分析において配合されているビタミンの濃度範囲が広いことが課題の 1つでした例えば本

検討で用いた錠剤のマルチビタミンサプリメントには6 microg配合されている B12から 16 mg配合されて

いる B3(ナイアシン(ニコチン酸))まであり他のビタミンについてもこの範囲内で配合されてい

ます本検討では濃度の異なるレベルのビタミンを考慮するため最初の抽出物についてそれぞれ

希釈を行い全てのビタミンについて同じ LC-MS条件で分析を行っています図 7にマルチビタミンサプ

リメントの分析結果を示しています図 7A及び 7Bはリボフラビン(B2)について 100倍希釈及び希釈な

しの S I R クロマトグラムを比較しています図 7Cは希釈なしのサンプルにおけるシアノコバラミン(B12)

の S I R クロマトグラムを示しています希釈したサンプルからはピークは検出されませんでした(データ

の記載はなし)希釈なしのサンプルにおける 270 nmの UVクロマトグラムを図 7Dに示しておりサン

プル中のリボフラビンのピークは十分に検出されていますリボフラビンおよびシアノコバラミンの定量

値は 125 ppmと 41 ppbでした(サプリメントのラベルに表示されている 68 という値に対しこれら

は 96でした本検討では表示量は実証されませんでしたが添加回収試験を実施しており表 2に示

した検量線の範囲内において多段階の希釈を用いることで実証できる可能性が示唆されました)

シアノコバラミンはサプリメント及び食品からわずかにしか検出されない水溶性ビタミンであり定量

するために分けて行う必要があります2次元のクロマトグラフィーはビタミン検出においてはルーチン

分析に用いられます4 従来の UPLC メソッドを用いてマルチビタミンサプリメントから検出されたシアノ

コバラミンの例を図 6に示していますこの濃度では UVクロマトグラムにおいてはピークが検出されま

せんでした(図 6B)マス検出器により高濃度に配合されているビタミンを検出するのと同じ方法でビタ

ミン B12を検出することが可能でしたACQUITY QDa 検出器は LCのワークフローに容易に取り入れる

ことが可能で既存の多波長取り込みを行うよりも使い易くなっています

11ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

10e-1

20e-1

0

100

0

100

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

0

100

771

771

785717

755

770

A

D

B

C

Diluted x 100

Undiluted

Undiluted

Undiluted UV at 270nm

SIR at mz 678 Cyanocobalamin (B12)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

図 7 ビタミンサプリメント錠に含まれる濃度が大きく異なる 2種類のビタミンの検出リボフラビンはサンプル抽出物 100倍希釈において明確に検出されています(A)B12については希釈していない抽出物からのみ検出されています(C)希釈なしの抽出物中のリボフラビンは検量線の範囲外でした(B)この濃度については UVにおいても容易に検出できます(D)

ビタミン Bのメソッドについて再現性を評価するために濃度の異なるビタミンを注入し評価しました

保持時間の再現性及びピーク面積の再現性の結果を表 4 及び 5 に示しています表 4 は 2 つの濃度の

異なる標準溶液をそれぞれ 10 回注入し合計で 20 回注入した結果を示しています保持時間につい

ては溶出が早い水溶性ビタミンについても全て RSD=06 以下という良好な結果が得られました

ピーク面積の再現性については 0025 mgL を 10 回注入し評価しました(表 5)強度が小さかった葉酸

およびリボフラビン 5 リン酸を除くほとんどのビタミンは RSD=10 以下でした経時劣化すること

が知られているビタミンCについては本検討から除外しました

Analyte RSD for retention time

Thiamine (B1) 06

Nicotinic Acid (B3) 019

Pyridoxal (B6) 023

Nicotinamide (B3) 022

Pyridoxine (B6) 026

Ca_Pantothenate (B5) 004

Cyanocobalamin ( B12) 003

Folic Acid (B9) 003

Riboflavin 5 phosphate 003

Biotin (B7) 002

Riboflavin (B2) 003

Analyte RSD for areaThiamine (B1) 678

Nicotinic Acid (B3) 235

Pyridoxal (B6) 262

Nicotinamide (B3) 224

Pyridoxine (B6) 265

Ca_Pantothenate (B5) 460

Cyanocobalamin ( B12) 700

Folic Acid (B9) 1153

Riboflavin 5 phosphate 1429

Biotin (B7) 277

Riboflavin (B2) 228

表 4 2 種の標準溶液 075 mgL(10回注入)及び 0025 mgL(10回注入)の保持時間再現性

表 5 0025 mgL の標準溶液の 10回注入におけるビタミン Bピーク面積現性

12

WatersACQUITY UPLCUPLCEmpowerMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004960JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

参考文献

1 G F M Ball (Editor) Bioavailabilty and Analysis of Vitamins in Foods Chapman and Hall (1998) Ch2 pp 33

2 E Riches The Rapid Simultaneous Analysis of 12 Water Soluble Vitamin Compounds Waters Application Note No 720003052en June 2009

3 Heudi et al Separation of water-soluble vitamins by reversed-phase high performance liquid chromatography with ultra-violet detection Application to polyvitaminated premixes J Chrom A (2005) 1070 49ndash56 pp 51

4 AOAC Method 201109 Vitamin B12 in Infant Formula and Adult Nutritionals (2012)

結論

本アプリケーションでは UVでは検出できない濃度の水溶性ビタ

ミンを正確に定量することでウォーターズの ACQUITY QDa 検

出器の性能を示していますSIRチャンネルを用いることで感度

が向上し同時溶出が起こっても化合物を選択的に定量すること

が可能ですすべての化合物をベースライン分離するという負担

がなくなりより低濃度のビタミンを検出することが可能になり

ます

ACQUITY QDa 検出器を用いることで

UV吸収がわずかもしくは全くない化合物の定量が可能

異なった質量の化合物が同時溶出していても選択的に定量可能

水溶性ビタミンのメソッドを一つの LC-MSメソッドに統合可能

サンプル前処理を容易にし定量限界を改善

Empowerreg 3 及び Mass Lynxregソフトウエアの 2種から選択でき

LCワークフローの中に容易に組み込める

特別な質量分析の知識を必要としないためACQUITY QDaマス

検出をすぐに活用可能

13

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg MSソフトウエア

キーワード

アスパルテームサッカリンレバウジオシド

ステビオシドステビアアセスルファーム K

ネオテームスクラロースQDa

アプリケーションのメリット

ACQUITY QDareg 検出器を用いることで一回

の注入により甘味料の同時分析が可能

天然甘味料人工甘味料非栄養性甘味料

が 10分以内に定量可能

共溶出する化合物について十分な化合物情

報が得られる直交性を兼ね備えた MS検出器

ACQUITY QDa 検出器を用いることで UV吸収

をもたない人工甘味料に対し感度および

選択性を付与

はじめに

砂糖はその甘味で有名であり味わいを高めるために製品製造時に添加され

ます砂糖の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため食品および飲料製品には

非栄養性甘味料が広く用いられています例えばソフトドリンク卓上甘味

料チョコレート乳製品など「ダイエット食品」と呼ばれるほとんどのもの

に含まれています多くの場合これらの製品に全体的な甘さを付与するため

さまざまな甘味料と組み合わせて用いられていますアスパルテームサッカ

リンアセスルファーム Kネオテームおよびスクラロースはアメリカ合衆国

の F DA1により認可されていますレバウジオシド A及びステビオシドのよう

な化合物は南アメリカステビア植物に起源があり甘味料としてアメリカ合衆

国でよりポピュラーになっています2010年に欧州食品安全機関(EFSA)では

甘味料としてステビオシドの使用を認可しています

欧州連合(EU)の指令 9435 EC は 4 つの改正(96 83 EC2003115 EC

200652 ECおよび 2009 163 EU)に沿って特定のタイプの食品について甘味

料の濃度を規制していますEU委員会規則 11292011リストにはさまざまな

食品における許容される人工甘味料の最大濃度を記載しています従って食品

中の甘味料の含有量を決めることは製品品質の一貫性を確保するために重要です

甘味料の分析に用いられる最も一般的な方法は HPLC 法であり検出には UV

が用いられますこのシステムではアセスルファーム Kアスパルテームサッ

カリンネオテームなどの検出は可能ですがUV吸収をもたないサイクラミ

ン酸スクラロースは分析ができませんMS検出器を用いることで全ての甘

味料を 1つの方法で分析することが可能になりますウォーターズの ACQUITY

QDa検出器を用いることで食品および飲料に携わる科学者が既存のクロマト

グラフィーワークフローに MS検出器を取り入れることが可能ですACQUITY

QDa検出器は甘味料を 1回の分析で行うだけでなく化合物のアサインが容易

になり全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなります 

Watersreg UPLCreg H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器を組み合わせて用いる

ことで食品および飲料メーカーは1回の分析で製品中に含まれる甘味料の

同定及び定量を効率よく行うことができます

本アプリケーションノートでは食品及び飲料サンプルを用いて甘味料の分析を

行い高速で信頼性及び高感度を有するメソッドを紹介しています

ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析Mark Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Printed in Japan 2016 年 3月 720004987JA 03A(H)

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 6: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

6 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

結果および考察

12 種類の水溶性ビタミンを重ね書きしたクロマトグラムを図 1 に示しておりすべての化合物は 8 分

以内に溶出していますこの条件で分析したところ2つの同時溶出ピーク(25分付近に溶出している

ニコチンアミドおよびピリドキシン725付近に溶出しているシアノコバラミン及び葉酸)が確認されま

したMS検出器を用いることで全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなり質量対電荷比

(mz)を用いて正確に識別されます図 2 に同時溶出したビタミンを含む各ビタミンの直線性を示して

います図 2の D及び Fは葉酸(mz =442)及びシアノコバラミン(mz =678)を示していますマス検出

器の選択性を用いることで同時溶出している化合物についても定量が可能です図 2には UVでは分析が

困難だったビタミンの検量線も示しています例えばビオチン(図 2A)及びカルシウム(図 2H)は UV検出

器ではレスポンスが低い化合物ですこれらの化合物は十分な感度を得るために低波長側で分析します3

低波長側で分析を行うと化合物の特異性が損なわれますがMS検出を用いることで分析における特異

性及び感度が確保できます

1- Ascorbic Acid C 2- Thiamine B1 3- Nicotinic acid B3 4- Pyridoxal B6 5- Nicotinamide B3 6- Pyridoxine B6 7- Ca_Pantothenate B5 8- Cyanocobalamin B12 9- Folic acid B9 10- Riboflavin 5 phosphate 11- Biotin B7 12- Riboflavin B2

1

2

3

4

5

6

12

11

9

8

10

7図 1 8分で分離した 12種類の水溶性ビタミンの重ね書き S I R クロマトグラム

7ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

図 2 各水溶性ビタミンの検量線

Compound name Nicotinic Acid (B3)Coefficient of Determination r2 = 0999308 Calibration curve -00997086 x2 + 410107 x + -902113Response type External Std AreaCurve type 2nd Order Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

100000

200000

300000

Compound name Ca_Pantothenate (B5)Correlation coefficient r = 0999727 r2 = 0999454Calibration curve 583707 x + -591867Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

Compound name Biotin (B7)Correlation coefficient r = 0998455 r2 = 0996912Calibration curve 145948 x + 608733Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

50000

100000

150000

Compound name Thiamine (B1)Correlation coefficient r = 0996330 r2 = 0992673Calibration curve 731882 x + -451739Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

200000

400000

600000

Compound name Riboflavin (B2)Correlation coefficient r = 0998258 r2 = 0996518Calibration curve 870096 x + -591265Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

60000

80000

Compound name Folic Acid (B9)Correlation coefficient r = 0999226 r2 = 0998452Calibration curve 107885 x + 157451Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2500

5000

7500

10000

Compound name Riboflavin 5 phosphateCorrelation coefficient r = 0999416 r2 = 0998832Calibration curve 991594 x + 220087Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2000

4000

6000

Compound name Cyanocobalamin ( B12)Correlation coefficient r = 0999745 r2 = 0999490Calibration curve 341976 x + 149612Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

10000

20000

30000

A B

D

F

H

C

E

G

8 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

14

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

5

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

00

50e-4

RT 246 SN = 63

RT 175 SN = 32

RT 124 SN = 19

RT 243 SN = 33

A UV at 270 nm

B Pyridoxine SIR mz 170

C Pyridoxal SIR mz 168

D Nicotinic Acid SIR mz 124

E Nicotinamide SIR mz 123

AU

図 3 5 microgmL のビタミン標準溶液の 270 nmの UVクロマトグラム及び SIR クロマトグラム(S I R は 4チャンネル Bビリドキシン Cピリドキサル Dニコチン酸 Eニコチン酸アミド)

MS検出器を用いることで UV検出よりもさらに低濃度のビタミンの検出が可能になります図 3にピリド

キシンピリドキサルニコチン酸及びニコチン酸アミドの 5 ppb(5 microgL)の S I R クロマトグラム及び UV

クロマトグラム(図 3A270 nm)を示しています図 3Aに示したようにこの濃度のビタミンは UVでは検

出されませんでしたMS検出器による定量下限の改善は低濃度ビタミンを定量する上で重要です感度

を向上させサンプル抽出物を希釈することでさまざまなマトリックスにおける検出が可能になります

この検討ではビタミンサプリメントおよび飲料についてサンプル希釈するだけで簡単に分析できます(錠剤

の場合は粉砕という初期工程が必要です)

9ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time450 500 550 600 650 700 750

AU

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

450 500 550 600 650 700 750A

U

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

B

A

C

D

MS Vitamin water 1

PDA Vitamin water 1

MS Vitamin water 2

PDA Vitamin water 2

図 4 2種類のビタミン水サンプルから検出されたビタミン B5保持時間 59分のピークは MS検出器により良好なシグナル対ノイズを示しています(Aおよび C)しかしUVでは検出できませんでした(B及び D)

図 5 250倍希釈した粉末のビタミン飲料のクロマトグラムAビタミン B1(チアミン)の S I R Bビタミン C(アスコルビン酸)の S IR Cビタミン Cの270 nmにおける UVクロマトグラム(ビタミン B1は UV検出されなかった)

Time000 050 100 150 200 250

AU

00

10e-1

20e-1

000 050 100 150 200 250

0

100

000 050 100 150 200 250

0

100 101

091

090

B SIR of ascorbic acid(C)

A SIR of thiamine (B1)

C UV at 270 nm Ascorbic acid RT 090

Ascorbic acid RT 091

Thiamine RT 101

図 4に 2つのビタミン水サンプル中から検出され

たビタミン B5(パントテン酸カルシウム)を示し

ていますUVクロマトグラムを見るとサンプル

前処理なしの UVでは検出できないことが分かり

ますビタミン B1(チアミン)は UV検出が困難な

ビタミンの 1つです図 5に粉末のビタミン飲料

から検出されたビタミン B1およびビタミン C(ア

スコルビン酸)の例を示していますビタミン Cに

ついては UVで検出可能ですがビタミン B1は検

出されませんしかしながら図 5Aに示したように

ACQUITY QDa 検出器の SIR を用いることでビタミン

B1は明確に検出できます

10 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

20e-3

40e-3

60e-3

80e-3

10e-2

4

13 SIR of 1 Channel ES+678 (Cyanocobalamin (B12)

(1) PDA Ch1 270 nm at 12 nm

A SIR of cyanocobalamin

B UV at 270 nm

717

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

図 6 マス検出器によるビタミンサプリメント中のビタミン B12の検出(A)ビタミン濃度は UVの検出下限以下であった(B)

ビタミンの分析において配合されているビタミンの濃度範囲が広いことが課題の 1つでした例えば本

検討で用いた錠剤のマルチビタミンサプリメントには6 microg配合されている B12から 16 mg配合されて

いる B3(ナイアシン(ニコチン酸))まであり他のビタミンについてもこの範囲内で配合されてい

ます本検討では濃度の異なるレベルのビタミンを考慮するため最初の抽出物についてそれぞれ

希釈を行い全てのビタミンについて同じ LC-MS条件で分析を行っています図 7にマルチビタミンサプ

リメントの分析結果を示しています図 7A及び 7Bはリボフラビン(B2)について 100倍希釈及び希釈な

しの S I R クロマトグラムを比較しています図 7Cは希釈なしのサンプルにおけるシアノコバラミン(B12)

の S I R クロマトグラムを示しています希釈したサンプルからはピークは検出されませんでした(データ

の記載はなし)希釈なしのサンプルにおける 270 nmの UVクロマトグラムを図 7Dに示しておりサン

プル中のリボフラビンのピークは十分に検出されていますリボフラビンおよびシアノコバラミンの定量

値は 125 ppmと 41 ppbでした(サプリメントのラベルに表示されている 68 という値に対しこれら

は 96でした本検討では表示量は実証されませんでしたが添加回収試験を実施しており表 2に示

した検量線の範囲内において多段階の希釈を用いることで実証できる可能性が示唆されました)

シアノコバラミンはサプリメント及び食品からわずかにしか検出されない水溶性ビタミンであり定量

するために分けて行う必要があります2次元のクロマトグラフィーはビタミン検出においてはルーチン

分析に用いられます4 従来の UPLC メソッドを用いてマルチビタミンサプリメントから検出されたシアノ

コバラミンの例を図 6に示していますこの濃度では UVクロマトグラムにおいてはピークが検出されま

せんでした(図 6B)マス検出器により高濃度に配合されているビタミンを検出するのと同じ方法でビタ

ミン B12を検出することが可能でしたACQUITY QDa 検出器は LCのワークフローに容易に取り入れる

ことが可能で既存の多波長取り込みを行うよりも使い易くなっています

11ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

10e-1

20e-1

0

100

0

100

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

0

100

771

771

785717

755

770

A

D

B

C

Diluted x 100

Undiluted

Undiluted

Undiluted UV at 270nm

SIR at mz 678 Cyanocobalamin (B12)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

図 7 ビタミンサプリメント錠に含まれる濃度が大きく異なる 2種類のビタミンの検出リボフラビンはサンプル抽出物 100倍希釈において明確に検出されています(A)B12については希釈していない抽出物からのみ検出されています(C)希釈なしの抽出物中のリボフラビンは検量線の範囲外でした(B)この濃度については UVにおいても容易に検出できます(D)

ビタミン Bのメソッドについて再現性を評価するために濃度の異なるビタミンを注入し評価しました

保持時間の再現性及びピーク面積の再現性の結果を表 4 及び 5 に示しています表 4 は 2 つの濃度の

異なる標準溶液をそれぞれ 10 回注入し合計で 20 回注入した結果を示しています保持時間につい

ては溶出が早い水溶性ビタミンについても全て RSD=06 以下という良好な結果が得られました

ピーク面積の再現性については 0025 mgL を 10 回注入し評価しました(表 5)強度が小さかった葉酸

およびリボフラビン 5 リン酸を除くほとんどのビタミンは RSD=10 以下でした経時劣化すること

が知られているビタミンCについては本検討から除外しました

Analyte RSD for retention time

Thiamine (B1) 06

Nicotinic Acid (B3) 019

Pyridoxal (B6) 023

Nicotinamide (B3) 022

Pyridoxine (B6) 026

Ca_Pantothenate (B5) 004

Cyanocobalamin ( B12) 003

Folic Acid (B9) 003

Riboflavin 5 phosphate 003

Biotin (B7) 002

Riboflavin (B2) 003

Analyte RSD for areaThiamine (B1) 678

Nicotinic Acid (B3) 235

Pyridoxal (B6) 262

Nicotinamide (B3) 224

Pyridoxine (B6) 265

Ca_Pantothenate (B5) 460

Cyanocobalamin ( B12) 700

Folic Acid (B9) 1153

Riboflavin 5 phosphate 1429

Biotin (B7) 277

Riboflavin (B2) 228

表 4 2 種の標準溶液 075 mgL(10回注入)及び 0025 mgL(10回注入)の保持時間再現性

表 5 0025 mgL の標準溶液の 10回注入におけるビタミン Bピーク面積現性

12

WatersACQUITY UPLCUPLCEmpowerMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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参考文献

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4 AOAC Method 201109 Vitamin B12 in Infant Formula and Adult Nutritionals (2012)

結論

本アプリケーションでは UVでは検出できない濃度の水溶性ビタ

ミンを正確に定量することでウォーターズの ACQUITY QDa 検

出器の性能を示していますSIRチャンネルを用いることで感度

が向上し同時溶出が起こっても化合物を選択的に定量すること

が可能ですすべての化合物をベースライン分離するという負担

がなくなりより低濃度のビタミンを検出することが可能になり

ます

ACQUITY QDa 検出器を用いることで

UV吸収がわずかもしくは全くない化合物の定量が可能

異なった質量の化合物が同時溶出していても選択的に定量可能

水溶性ビタミンのメソッドを一つの LC-MSメソッドに統合可能

サンプル前処理を容易にし定量限界を改善

Empowerreg 3 及び Mass Lynxregソフトウエアの 2種から選択でき

LCワークフローの中に容易に組み込める

特別な質量分析の知識を必要としないためACQUITY QDaマス

検出をすぐに活用可能

13

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg MSソフトウエア

キーワード

アスパルテームサッカリンレバウジオシド

ステビオシドステビアアセスルファーム K

ネオテームスクラロースQDa

アプリケーションのメリット

ACQUITY QDareg 検出器を用いることで一回

の注入により甘味料の同時分析が可能

天然甘味料人工甘味料非栄養性甘味料

が 10分以内に定量可能

共溶出する化合物について十分な化合物情

報が得られる直交性を兼ね備えた MS検出器

ACQUITY QDa 検出器を用いることで UV吸収

をもたない人工甘味料に対し感度および

選択性を付与

はじめに

砂糖はその甘味で有名であり味わいを高めるために製品製造時に添加され

ます砂糖の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため食品および飲料製品には

非栄養性甘味料が広く用いられています例えばソフトドリンク卓上甘味

料チョコレート乳製品など「ダイエット食品」と呼ばれるほとんどのもの

に含まれています多くの場合これらの製品に全体的な甘さを付与するため

さまざまな甘味料と組み合わせて用いられていますアスパルテームサッカ

リンアセスルファーム Kネオテームおよびスクラロースはアメリカ合衆国

の F DA1により認可されていますレバウジオシド A及びステビオシドのよう

な化合物は南アメリカステビア植物に起源があり甘味料としてアメリカ合衆

国でよりポピュラーになっています2010年に欧州食品安全機関(EFSA)では

甘味料としてステビオシドの使用を認可しています

欧州連合(EU)の指令 9435 EC は 4 つの改正(96 83 EC2003115 EC

200652 ECおよび 2009 163 EU)に沿って特定のタイプの食品について甘味

料の濃度を規制していますEU委員会規則 11292011リストにはさまざまな

食品における許容される人工甘味料の最大濃度を記載しています従って食品

中の甘味料の含有量を決めることは製品品質の一貫性を確保するために重要です

甘味料の分析に用いられる最も一般的な方法は HPLC 法であり検出には UV

が用いられますこのシステムではアセスルファーム Kアスパルテームサッ

カリンネオテームなどの検出は可能ですがUV吸収をもたないサイクラミ

ン酸スクラロースは分析ができませんMS検出器を用いることで全ての甘

味料を 1つの方法で分析することが可能になりますウォーターズの ACQUITY

QDa検出器を用いることで食品および飲料に携わる科学者が既存のクロマト

グラフィーワークフローに MS検出器を取り入れることが可能ですACQUITY

QDa検出器は甘味料を 1回の分析で行うだけでなく化合物のアサインが容易

になり全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなります 

Watersreg UPLCreg H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器を組み合わせて用いる

ことで食品および飲料メーカーは1回の分析で製品中に含まれる甘味料の

同定及び定量を効率よく行うことができます

本アプリケーションノートでは食品及び飲料サンプルを用いて甘味料の分析を

行い高速で信頼性及び高感度を有するメソッドを紹介しています

ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析Mark Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年6月 720005017JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Printed in Japan 2016 年 3月 720004987JA 03A(H)

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 7: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

7ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

図 2 各水溶性ビタミンの検量線

Compound name Nicotinic Acid (B3)Coefficient of Determination r2 = 0999308 Calibration curve -00997086 x2 + 410107 x + -902113Response type External Std AreaCurve type 2nd Order Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

100000

200000

300000

Compound name Ca_Pantothenate (B5)Correlation coefficient r = 0999727 r2 = 0999454Calibration curve 583707 x + -591867Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

Compound name Biotin (B7)Correlation coefficient r = 0998455 r2 = 0996912Calibration curve 145948 x + 608733Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

50000

100000

150000

Compound name Thiamine (B1)Correlation coefficient r = 0996330 r2 = 0992673Calibration curve 731882 x + -451739Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

200000

400000

600000

Compound name Riboflavin (B2)Correlation coefficient r = 0998258 r2 = 0996518Calibration curve 870096 x + -591265Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

20000

40000

60000

80000

Compound name Folic Acid (B9)Correlation coefficient r = 0999226 r2 = 0998452Calibration curve 107885 x + 157451Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2500

5000

7500

10000

Compound name Riboflavin 5 phosphateCorrelation coefficient r = 0999416 r2 = 0998832Calibration curve 991594 x + 220087Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

ppb-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

2000

4000

6000

Compound name Cyanocobalamin ( B12)Correlation coefficient r = 0999745 r2 = 0999490Calibration curve 341976 x + 149612Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Res

pons

e

-0

10000

20000

30000

A B

D

F

H

C

E

G

8 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

14

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

5

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

00

50e-4

RT 246 SN = 63

RT 175 SN = 32

RT 124 SN = 19

RT 243 SN = 33

A UV at 270 nm

B Pyridoxine SIR mz 170

C Pyridoxal SIR mz 168

D Nicotinic Acid SIR mz 124

E Nicotinamide SIR mz 123

AU

図 3 5 microgmL のビタミン標準溶液の 270 nmの UVクロマトグラム及び SIR クロマトグラム(S I R は 4チャンネル Bビリドキシン Cピリドキサル Dニコチン酸 Eニコチン酸アミド)

MS検出器を用いることで UV検出よりもさらに低濃度のビタミンの検出が可能になります図 3にピリド

キシンピリドキサルニコチン酸及びニコチン酸アミドの 5 ppb(5 microgL)の S I R クロマトグラム及び UV

クロマトグラム(図 3A270 nm)を示しています図 3Aに示したようにこの濃度のビタミンは UVでは検

出されませんでしたMS検出器による定量下限の改善は低濃度ビタミンを定量する上で重要です感度

を向上させサンプル抽出物を希釈することでさまざまなマトリックスにおける検出が可能になります

この検討ではビタミンサプリメントおよび飲料についてサンプル希釈するだけで簡単に分析できます(錠剤

の場合は粉砕という初期工程が必要です)

9ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time450 500 550 600 650 700 750

AU

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

450 500 550 600 650 700 750A

U

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

B

A

C

D

MS Vitamin water 1

PDA Vitamin water 1

MS Vitamin water 2

PDA Vitamin water 2

図 4 2種類のビタミン水サンプルから検出されたビタミン B5保持時間 59分のピークは MS検出器により良好なシグナル対ノイズを示しています(Aおよび C)しかしUVでは検出できませんでした(B及び D)

図 5 250倍希釈した粉末のビタミン飲料のクロマトグラムAビタミン B1(チアミン)の S I R Bビタミン C(アスコルビン酸)の S IR Cビタミン Cの270 nmにおける UVクロマトグラム(ビタミン B1は UV検出されなかった)

Time000 050 100 150 200 250

AU

00

10e-1

20e-1

000 050 100 150 200 250

0

100

000 050 100 150 200 250

0

100 101

091

090

B SIR of ascorbic acid(C)

A SIR of thiamine (B1)

C UV at 270 nm Ascorbic acid RT 090

Ascorbic acid RT 091

Thiamine RT 101

図 4に 2つのビタミン水サンプル中から検出され

たビタミン B5(パントテン酸カルシウム)を示し

ていますUVクロマトグラムを見るとサンプル

前処理なしの UVでは検出できないことが分かり

ますビタミン B1(チアミン)は UV検出が困難な

ビタミンの 1つです図 5に粉末のビタミン飲料

から検出されたビタミン B1およびビタミン C(ア

スコルビン酸)の例を示していますビタミン Cに

ついては UVで検出可能ですがビタミン B1は検

出されませんしかしながら図 5Aに示したように

ACQUITY QDa 検出器の SIR を用いることでビタミン

B1は明確に検出できます

10 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

20e-3

40e-3

60e-3

80e-3

10e-2

4

13 SIR of 1 Channel ES+678 (Cyanocobalamin (B12)

(1) PDA Ch1 270 nm at 12 nm

A SIR of cyanocobalamin

B UV at 270 nm

717

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

図 6 マス検出器によるビタミンサプリメント中のビタミン B12の検出(A)ビタミン濃度は UVの検出下限以下であった(B)

ビタミンの分析において配合されているビタミンの濃度範囲が広いことが課題の 1つでした例えば本

検討で用いた錠剤のマルチビタミンサプリメントには6 microg配合されている B12から 16 mg配合されて

いる B3(ナイアシン(ニコチン酸))まであり他のビタミンについてもこの範囲内で配合されてい

ます本検討では濃度の異なるレベルのビタミンを考慮するため最初の抽出物についてそれぞれ

希釈を行い全てのビタミンについて同じ LC-MS条件で分析を行っています図 7にマルチビタミンサプ

リメントの分析結果を示しています図 7A及び 7Bはリボフラビン(B2)について 100倍希釈及び希釈な

しの S I R クロマトグラムを比較しています図 7Cは希釈なしのサンプルにおけるシアノコバラミン(B12)

の S I R クロマトグラムを示しています希釈したサンプルからはピークは検出されませんでした(データ

の記載はなし)希釈なしのサンプルにおける 270 nmの UVクロマトグラムを図 7Dに示しておりサン

プル中のリボフラビンのピークは十分に検出されていますリボフラビンおよびシアノコバラミンの定量

値は 125 ppmと 41 ppbでした(サプリメントのラベルに表示されている 68 という値に対しこれら

は 96でした本検討では表示量は実証されませんでしたが添加回収試験を実施しており表 2に示

した検量線の範囲内において多段階の希釈を用いることで実証できる可能性が示唆されました)

シアノコバラミンはサプリメント及び食品からわずかにしか検出されない水溶性ビタミンであり定量

するために分けて行う必要があります2次元のクロマトグラフィーはビタミン検出においてはルーチン

分析に用いられます4 従来の UPLC メソッドを用いてマルチビタミンサプリメントから検出されたシアノ

コバラミンの例を図 6に示していますこの濃度では UVクロマトグラムにおいてはピークが検出されま

せんでした(図 6B)マス検出器により高濃度に配合されているビタミンを検出するのと同じ方法でビタ

ミン B12を検出することが可能でしたACQUITY QDa 検出器は LCのワークフローに容易に取り入れる

ことが可能で既存の多波長取り込みを行うよりも使い易くなっています

11ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

10e-1

20e-1

0

100

0

100

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

0

100

771

771

785717

755

770

A

D

B

C

Diluted x 100

Undiluted

Undiluted

Undiluted UV at 270nm

SIR at mz 678 Cyanocobalamin (B12)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

図 7 ビタミンサプリメント錠に含まれる濃度が大きく異なる 2種類のビタミンの検出リボフラビンはサンプル抽出物 100倍希釈において明確に検出されています(A)B12については希釈していない抽出物からのみ検出されています(C)希釈なしの抽出物中のリボフラビンは検量線の範囲外でした(B)この濃度については UVにおいても容易に検出できます(D)

ビタミン Bのメソッドについて再現性を評価するために濃度の異なるビタミンを注入し評価しました

保持時間の再現性及びピーク面積の再現性の結果を表 4 及び 5 に示しています表 4 は 2 つの濃度の

異なる標準溶液をそれぞれ 10 回注入し合計で 20 回注入した結果を示しています保持時間につい

ては溶出が早い水溶性ビタミンについても全て RSD=06 以下という良好な結果が得られました

ピーク面積の再現性については 0025 mgL を 10 回注入し評価しました(表 5)強度が小さかった葉酸

およびリボフラビン 5 リン酸を除くほとんどのビタミンは RSD=10 以下でした経時劣化すること

が知られているビタミンCについては本検討から除外しました

Analyte RSD for retention time

Thiamine (B1) 06

Nicotinic Acid (B3) 019

Pyridoxal (B6) 023

Nicotinamide (B3) 022

Pyridoxine (B6) 026

Ca_Pantothenate (B5) 004

Cyanocobalamin ( B12) 003

Folic Acid (B9) 003

Riboflavin 5 phosphate 003

Biotin (B7) 002

Riboflavin (B2) 003

Analyte RSD for areaThiamine (B1) 678

Nicotinic Acid (B3) 235

Pyridoxal (B6) 262

Nicotinamide (B3) 224

Pyridoxine (B6) 265

Ca_Pantothenate (B5) 460

Cyanocobalamin ( B12) 700

Folic Acid (B9) 1153

Riboflavin 5 phosphate 1429

Biotin (B7) 277

Riboflavin (B2) 228

表 4 2 種の標準溶液 075 mgL(10回注入)及び 0025 mgL(10回注入)の保持時間再現性

表 5 0025 mgL の標準溶液の 10回注入におけるビタミン Bピーク面積現性

12

WatersACQUITY UPLCUPLCEmpowerMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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参考文献

1 G F M Ball (Editor) Bioavailabilty and Analysis of Vitamins in Foods Chapman and Hall (1998) Ch2 pp 33

2 E Riches The Rapid Simultaneous Analysis of 12 Water Soluble Vitamin Compounds Waters Application Note No 720003052en June 2009

3 Heudi et al Separation of water-soluble vitamins by reversed-phase high performance liquid chromatography with ultra-violet detection Application to polyvitaminated premixes J Chrom A (2005) 1070 49ndash56 pp 51

4 AOAC Method 201109 Vitamin B12 in Infant Formula and Adult Nutritionals (2012)

結論

本アプリケーションでは UVでは検出できない濃度の水溶性ビタ

ミンを正確に定量することでウォーターズの ACQUITY QDa 検

出器の性能を示していますSIRチャンネルを用いることで感度

が向上し同時溶出が起こっても化合物を選択的に定量すること

が可能ですすべての化合物をベースライン分離するという負担

がなくなりより低濃度のビタミンを検出することが可能になり

ます

ACQUITY QDa 検出器を用いることで

UV吸収がわずかもしくは全くない化合物の定量が可能

異なった質量の化合物が同時溶出していても選択的に定量可能

水溶性ビタミンのメソッドを一つの LC-MSメソッドに統合可能

サンプル前処理を容易にし定量限界を改善

Empowerreg 3 及び Mass Lynxregソフトウエアの 2種から選択でき

LCワークフローの中に容易に組み込める

特別な質量分析の知識を必要としないためACQUITY QDaマス

検出をすぐに活用可能

13

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg MSソフトウエア

キーワード

アスパルテームサッカリンレバウジオシド

ステビオシドステビアアセスルファーム K

ネオテームスクラロースQDa

アプリケーションのメリット

ACQUITY QDareg 検出器を用いることで一回

の注入により甘味料の同時分析が可能

天然甘味料人工甘味料非栄養性甘味料

が 10分以内に定量可能

共溶出する化合物について十分な化合物情

報が得られる直交性を兼ね備えた MS検出器

ACQUITY QDa 検出器を用いることで UV吸収

をもたない人工甘味料に対し感度および

選択性を付与

はじめに

砂糖はその甘味で有名であり味わいを高めるために製品製造時に添加され

ます砂糖の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため食品および飲料製品には

非栄養性甘味料が広く用いられています例えばソフトドリンク卓上甘味

料チョコレート乳製品など「ダイエット食品」と呼ばれるほとんどのもの

に含まれています多くの場合これらの製品に全体的な甘さを付与するため

さまざまな甘味料と組み合わせて用いられていますアスパルテームサッカ

リンアセスルファーム Kネオテームおよびスクラロースはアメリカ合衆国

の F DA1により認可されていますレバウジオシド A及びステビオシドのよう

な化合物は南アメリカステビア植物に起源があり甘味料としてアメリカ合衆

国でよりポピュラーになっています2010年に欧州食品安全機関(EFSA)では

甘味料としてステビオシドの使用を認可しています

欧州連合(EU)の指令 9435 EC は 4 つの改正(96 83 EC2003115 EC

200652 ECおよび 2009 163 EU)に沿って特定のタイプの食品について甘味

料の濃度を規制していますEU委員会規則 11292011リストにはさまざまな

食品における許容される人工甘味料の最大濃度を記載しています従って食品

中の甘味料の含有量を決めることは製品品質の一貫性を確保するために重要です

甘味料の分析に用いられる最も一般的な方法は HPLC 法であり検出には UV

が用いられますこのシステムではアセスルファーム Kアスパルテームサッ

カリンネオテームなどの検出は可能ですがUV吸収をもたないサイクラミ

ン酸スクラロースは分析ができませんMS検出器を用いることで全ての甘

味料を 1つの方法で分析することが可能になりますウォーターズの ACQUITY

QDa検出器を用いることで食品および飲料に携わる科学者が既存のクロマト

グラフィーワークフローに MS検出器を取り入れることが可能ですACQUITY

QDa検出器は甘味料を 1回の分析で行うだけでなく化合物のアサインが容易

になり全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなります 

Watersreg UPLCreg H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器を組み合わせて用いる

ことで食品および飲料メーカーは1回の分析で製品中に含まれる甘味料の

同定及び定量を効率よく行うことができます

本アプリケーションノートでは食品及び飲料サンプルを用いて甘味料の分析を

行い高速で信頼性及び高感度を有するメソッドを紹介しています

ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析Mark Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年6月 720005017JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 8: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

8 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

14

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

11

5

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

-000 025 050 075 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450

00

50e-4

RT 246 SN = 63

RT 175 SN = 32

RT 124 SN = 19

RT 243 SN = 33

A UV at 270 nm

B Pyridoxine SIR mz 170

C Pyridoxal SIR mz 168

D Nicotinic Acid SIR mz 124

E Nicotinamide SIR mz 123

AU

図 3 5 microgmL のビタミン標準溶液の 270 nmの UVクロマトグラム及び SIR クロマトグラム(S I R は 4チャンネル Bビリドキシン Cピリドキサル Dニコチン酸 Eニコチン酸アミド)

MS検出器を用いることで UV検出よりもさらに低濃度のビタミンの検出が可能になります図 3にピリド

キシンピリドキサルニコチン酸及びニコチン酸アミドの 5 ppb(5 microgL)の S I R クロマトグラム及び UV

クロマトグラム(図 3A270 nm)を示しています図 3Aに示したようにこの濃度のビタミンは UVでは検

出されませんでしたMS検出器による定量下限の改善は低濃度ビタミンを定量する上で重要です感度

を向上させサンプル抽出物を希釈することでさまざまなマトリックスにおける検出が可能になります

この検討ではビタミンサプリメントおよび飲料についてサンプル希釈するだけで簡単に分析できます(錠剤

の場合は粉砕という初期工程が必要です)

9ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time450 500 550 600 650 700 750

AU

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

450 500 550 600 650 700 750A

U

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

B

A

C

D

MS Vitamin water 1

PDA Vitamin water 1

MS Vitamin water 2

PDA Vitamin water 2

図 4 2種類のビタミン水サンプルから検出されたビタミン B5保持時間 59分のピークは MS検出器により良好なシグナル対ノイズを示しています(Aおよび C)しかしUVでは検出できませんでした(B及び D)

図 5 250倍希釈した粉末のビタミン飲料のクロマトグラムAビタミン B1(チアミン)の S I R Bビタミン C(アスコルビン酸)の S IR Cビタミン Cの270 nmにおける UVクロマトグラム(ビタミン B1は UV検出されなかった)

Time000 050 100 150 200 250

AU

00

10e-1

20e-1

000 050 100 150 200 250

0

100

000 050 100 150 200 250

0

100 101

091

090

B SIR of ascorbic acid(C)

A SIR of thiamine (B1)

C UV at 270 nm Ascorbic acid RT 090

Ascorbic acid RT 091

Thiamine RT 101

図 4に 2つのビタミン水サンプル中から検出され

たビタミン B5(パントテン酸カルシウム)を示し

ていますUVクロマトグラムを見るとサンプル

前処理なしの UVでは検出できないことが分かり

ますビタミン B1(チアミン)は UV検出が困難な

ビタミンの 1つです図 5に粉末のビタミン飲料

から検出されたビタミン B1およびビタミン C(ア

スコルビン酸)の例を示していますビタミン Cに

ついては UVで検出可能ですがビタミン B1は検

出されませんしかしながら図 5Aに示したように

ACQUITY QDa 検出器の SIR を用いることでビタミン

B1は明確に検出できます

10 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

20e-3

40e-3

60e-3

80e-3

10e-2

4

13 SIR of 1 Channel ES+678 (Cyanocobalamin (B12)

(1) PDA Ch1 270 nm at 12 nm

A SIR of cyanocobalamin

B UV at 270 nm

717

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

図 6 マス検出器によるビタミンサプリメント中のビタミン B12の検出(A)ビタミン濃度は UVの検出下限以下であった(B)

ビタミンの分析において配合されているビタミンの濃度範囲が広いことが課題の 1つでした例えば本

検討で用いた錠剤のマルチビタミンサプリメントには6 microg配合されている B12から 16 mg配合されて

いる B3(ナイアシン(ニコチン酸))まであり他のビタミンについてもこの範囲内で配合されてい

ます本検討では濃度の異なるレベルのビタミンを考慮するため最初の抽出物についてそれぞれ

希釈を行い全てのビタミンについて同じ LC-MS条件で分析を行っています図 7にマルチビタミンサプ

リメントの分析結果を示しています図 7A及び 7Bはリボフラビン(B2)について 100倍希釈及び希釈な

しの S I R クロマトグラムを比較しています図 7Cは希釈なしのサンプルにおけるシアノコバラミン(B12)

の S I R クロマトグラムを示しています希釈したサンプルからはピークは検出されませんでした(データ

の記載はなし)希釈なしのサンプルにおける 270 nmの UVクロマトグラムを図 7Dに示しておりサン

プル中のリボフラビンのピークは十分に検出されていますリボフラビンおよびシアノコバラミンの定量

値は 125 ppmと 41 ppbでした(サプリメントのラベルに表示されている 68 という値に対しこれら

は 96でした本検討では表示量は実証されませんでしたが添加回収試験を実施しており表 2に示

した検量線の範囲内において多段階の希釈を用いることで実証できる可能性が示唆されました)

シアノコバラミンはサプリメント及び食品からわずかにしか検出されない水溶性ビタミンであり定量

するために分けて行う必要があります2次元のクロマトグラフィーはビタミン検出においてはルーチン

分析に用いられます4 従来の UPLC メソッドを用いてマルチビタミンサプリメントから検出されたシアノ

コバラミンの例を図 6に示していますこの濃度では UVクロマトグラムにおいてはピークが検出されま

せんでした(図 6B)マス検出器により高濃度に配合されているビタミンを検出するのと同じ方法でビタ

ミン B12を検出することが可能でしたACQUITY QDa 検出器は LCのワークフローに容易に取り入れる

ことが可能で既存の多波長取り込みを行うよりも使い易くなっています

11ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

10e-1

20e-1

0

100

0

100

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

0

100

771

771

785717

755

770

A

D

B

C

Diluted x 100

Undiluted

Undiluted

Undiluted UV at 270nm

SIR at mz 678 Cyanocobalamin (B12)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

図 7 ビタミンサプリメント錠に含まれる濃度が大きく異なる 2種類のビタミンの検出リボフラビンはサンプル抽出物 100倍希釈において明確に検出されています(A)B12については希釈していない抽出物からのみ検出されています(C)希釈なしの抽出物中のリボフラビンは検量線の範囲外でした(B)この濃度については UVにおいても容易に検出できます(D)

ビタミン Bのメソッドについて再現性を評価するために濃度の異なるビタミンを注入し評価しました

保持時間の再現性及びピーク面積の再現性の結果を表 4 及び 5 に示しています表 4 は 2 つの濃度の

異なる標準溶液をそれぞれ 10 回注入し合計で 20 回注入した結果を示しています保持時間につい

ては溶出が早い水溶性ビタミンについても全て RSD=06 以下という良好な結果が得られました

ピーク面積の再現性については 0025 mgL を 10 回注入し評価しました(表 5)強度が小さかった葉酸

およびリボフラビン 5 リン酸を除くほとんどのビタミンは RSD=10 以下でした経時劣化すること

が知られているビタミンCについては本検討から除外しました

Analyte RSD for retention time

Thiamine (B1) 06

Nicotinic Acid (B3) 019

Pyridoxal (B6) 023

Nicotinamide (B3) 022

Pyridoxine (B6) 026

Ca_Pantothenate (B5) 004

Cyanocobalamin ( B12) 003

Folic Acid (B9) 003

Riboflavin 5 phosphate 003

Biotin (B7) 002

Riboflavin (B2) 003

Analyte RSD for areaThiamine (B1) 678

Nicotinic Acid (B3) 235

Pyridoxal (B6) 262

Nicotinamide (B3) 224

Pyridoxine (B6) 265

Ca_Pantothenate (B5) 460

Cyanocobalamin ( B12) 700

Folic Acid (B9) 1153

Riboflavin 5 phosphate 1429

Biotin (B7) 277

Riboflavin (B2) 228

表 4 2 種の標準溶液 075 mgL(10回注入)及び 0025 mgL(10回注入)の保持時間再現性

表 5 0025 mgL の標準溶液の 10回注入におけるビタミン Bピーク面積現性

12

WatersACQUITY UPLCUPLCEmpowerMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004960JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

参考文献

1 G F M Ball (Editor) Bioavailabilty and Analysis of Vitamins in Foods Chapman and Hall (1998) Ch2 pp 33

2 E Riches The Rapid Simultaneous Analysis of 12 Water Soluble Vitamin Compounds Waters Application Note No 720003052en June 2009

3 Heudi et al Separation of water-soluble vitamins by reversed-phase high performance liquid chromatography with ultra-violet detection Application to polyvitaminated premixes J Chrom A (2005) 1070 49ndash56 pp 51

4 AOAC Method 201109 Vitamin B12 in Infant Formula and Adult Nutritionals (2012)

結論

本アプリケーションでは UVでは検出できない濃度の水溶性ビタ

ミンを正確に定量することでウォーターズの ACQUITY QDa 検

出器の性能を示していますSIRチャンネルを用いることで感度

が向上し同時溶出が起こっても化合物を選択的に定量すること

が可能ですすべての化合物をベースライン分離するという負担

がなくなりより低濃度のビタミンを検出することが可能になり

ます

ACQUITY QDa 検出器を用いることで

UV吸収がわずかもしくは全くない化合物の定量が可能

異なった質量の化合物が同時溶出していても選択的に定量可能

水溶性ビタミンのメソッドを一つの LC-MSメソッドに統合可能

サンプル前処理を容易にし定量限界を改善

Empowerreg 3 及び Mass Lynxregソフトウエアの 2種から選択でき

LCワークフローの中に容易に組み込める

特別な質量分析の知識を必要としないためACQUITY QDaマス

検出をすぐに活用可能

13

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg MSソフトウエア

キーワード

アスパルテームサッカリンレバウジオシド

ステビオシドステビアアセスルファーム K

ネオテームスクラロースQDa

アプリケーションのメリット

ACQUITY QDareg 検出器を用いることで一回

の注入により甘味料の同時分析が可能

天然甘味料人工甘味料非栄養性甘味料

が 10分以内に定量可能

共溶出する化合物について十分な化合物情

報が得られる直交性を兼ね備えた MS検出器

ACQUITY QDa 検出器を用いることで UV吸収

をもたない人工甘味料に対し感度および

選択性を付与

はじめに

砂糖はその甘味で有名であり味わいを高めるために製品製造時に添加され

ます砂糖の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため食品および飲料製品には

非栄養性甘味料が広く用いられています例えばソフトドリンク卓上甘味

料チョコレート乳製品など「ダイエット食品」と呼ばれるほとんどのもの

に含まれています多くの場合これらの製品に全体的な甘さを付与するため

さまざまな甘味料と組み合わせて用いられていますアスパルテームサッカ

リンアセスルファーム Kネオテームおよびスクラロースはアメリカ合衆国

の F DA1により認可されていますレバウジオシド A及びステビオシドのよう

な化合物は南アメリカステビア植物に起源があり甘味料としてアメリカ合衆

国でよりポピュラーになっています2010年に欧州食品安全機関(EFSA)では

甘味料としてステビオシドの使用を認可しています

欧州連合(EU)の指令 9435 EC は 4 つの改正(96 83 EC2003115 EC

200652 ECおよび 2009 163 EU)に沿って特定のタイプの食品について甘味

料の濃度を規制していますEU委員会規則 11292011リストにはさまざまな

食品における許容される人工甘味料の最大濃度を記載しています従って食品

中の甘味料の含有量を決めることは製品品質の一貫性を確保するために重要です

甘味料の分析に用いられる最も一般的な方法は HPLC 法であり検出には UV

が用いられますこのシステムではアセスルファーム Kアスパルテームサッ

カリンネオテームなどの検出は可能ですがUV吸収をもたないサイクラミ

ン酸スクラロースは分析ができませんMS検出器を用いることで全ての甘

味料を 1つの方法で分析することが可能になりますウォーターズの ACQUITY

QDa検出器を用いることで食品および飲料に携わる科学者が既存のクロマト

グラフィーワークフローに MS検出器を取り入れることが可能ですACQUITY

QDa検出器は甘味料を 1回の分析で行うだけでなく化合物のアサインが容易

になり全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなります 

Watersreg UPLCreg H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器を組み合わせて用いる

ことで食品および飲料メーカーは1回の分析で製品中に含まれる甘味料の

同定及び定量を効率よく行うことができます

本アプリケーションノートでは食品及び飲料サンプルを用いて甘味料の分析を

行い高速で信頼性及び高感度を有するメソッドを紹介しています

ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析Mark Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 9: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

9ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time450 500 550 600 650 700 750

AU

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

450 500 550 600 650 700 750A

U

00

20

450 500 550 600 650 700 750

0

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

7 SIR of 1 Channel ES+ 242 (Ca_Pantothenate (B5))

14 Diode Array

B

A

C

D

MS Vitamin water 1

PDA Vitamin water 1

MS Vitamin water 2

PDA Vitamin water 2

図 4 2種類のビタミン水サンプルから検出されたビタミン B5保持時間 59分のピークは MS検出器により良好なシグナル対ノイズを示しています(Aおよび C)しかしUVでは検出できませんでした(B及び D)

図 5 250倍希釈した粉末のビタミン飲料のクロマトグラムAビタミン B1(チアミン)の S I R Bビタミン C(アスコルビン酸)の S IR Cビタミン Cの270 nmにおける UVクロマトグラム(ビタミン B1は UV検出されなかった)

Time000 050 100 150 200 250

AU

00

10e-1

20e-1

000 050 100 150 200 250

0

100

000 050 100 150 200 250

0

100 101

091

090

B SIR of ascorbic acid(C)

A SIR of thiamine (B1)

C UV at 270 nm Ascorbic acid RT 090

Ascorbic acid RT 091

Thiamine RT 101

図 4に 2つのビタミン水サンプル中から検出され

たビタミン B5(パントテン酸カルシウム)を示し

ていますUVクロマトグラムを見るとサンプル

前処理なしの UVでは検出できないことが分かり

ますビタミン B1(チアミン)は UV検出が困難な

ビタミンの 1つです図 5に粉末のビタミン飲料

から検出されたビタミン B1およびビタミン C(ア

スコルビン酸)の例を示していますビタミン Cに

ついては UVで検出可能ですがビタミン B1は検

出されませんしかしながら図 5Aに示したように

ACQUITY QDa 検出器の SIR を用いることでビタミン

B1は明確に検出できます

10 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

20e-3

40e-3

60e-3

80e-3

10e-2

4

13 SIR of 1 Channel ES+678 (Cyanocobalamin (B12)

(1) PDA Ch1 270 nm at 12 nm

A SIR of cyanocobalamin

B UV at 270 nm

717

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

図 6 マス検出器によるビタミンサプリメント中のビタミン B12の検出(A)ビタミン濃度は UVの検出下限以下であった(B)

ビタミンの分析において配合されているビタミンの濃度範囲が広いことが課題の 1つでした例えば本

検討で用いた錠剤のマルチビタミンサプリメントには6 microg配合されている B12から 16 mg配合されて

いる B3(ナイアシン(ニコチン酸))まであり他のビタミンについてもこの範囲内で配合されてい

ます本検討では濃度の異なるレベルのビタミンを考慮するため最初の抽出物についてそれぞれ

希釈を行い全てのビタミンについて同じ LC-MS条件で分析を行っています図 7にマルチビタミンサプ

リメントの分析結果を示しています図 7A及び 7Bはリボフラビン(B2)について 100倍希釈及び希釈な

しの S I R クロマトグラムを比較しています図 7Cは希釈なしのサンプルにおけるシアノコバラミン(B12)

の S I R クロマトグラムを示しています希釈したサンプルからはピークは検出されませんでした(データ

の記載はなし)希釈なしのサンプルにおける 270 nmの UVクロマトグラムを図 7Dに示しておりサン

プル中のリボフラビンのピークは十分に検出されていますリボフラビンおよびシアノコバラミンの定量

値は 125 ppmと 41 ppbでした(サプリメントのラベルに表示されている 68 という値に対しこれら

は 96でした本検討では表示量は実証されませんでしたが添加回収試験を実施しており表 2に示

した検量線の範囲内において多段階の希釈を用いることで実証できる可能性が示唆されました)

シアノコバラミンはサプリメント及び食品からわずかにしか検出されない水溶性ビタミンであり定量

するために分けて行う必要があります2次元のクロマトグラフィーはビタミン検出においてはルーチン

分析に用いられます4 従来の UPLC メソッドを用いてマルチビタミンサプリメントから検出されたシアノ

コバラミンの例を図 6に示していますこの濃度では UVクロマトグラムにおいてはピークが検出されま

せんでした(図 6B)マス検出器により高濃度に配合されているビタミンを検出するのと同じ方法でビタ

ミン B12を検出することが可能でしたACQUITY QDa 検出器は LCのワークフローに容易に取り入れる

ことが可能で既存の多波長取り込みを行うよりも使い易くなっています

11ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

10e-1

20e-1

0

100

0

100

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

0

100

771

771

785717

755

770

A

D

B

C

Diluted x 100

Undiluted

Undiluted

Undiluted UV at 270nm

SIR at mz 678 Cyanocobalamin (B12)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

図 7 ビタミンサプリメント錠に含まれる濃度が大きく異なる 2種類のビタミンの検出リボフラビンはサンプル抽出物 100倍希釈において明確に検出されています(A)B12については希釈していない抽出物からのみ検出されています(C)希釈なしの抽出物中のリボフラビンは検量線の範囲外でした(B)この濃度については UVにおいても容易に検出できます(D)

ビタミン Bのメソッドについて再現性を評価するために濃度の異なるビタミンを注入し評価しました

保持時間の再現性及びピーク面積の再現性の結果を表 4 及び 5 に示しています表 4 は 2 つの濃度の

異なる標準溶液をそれぞれ 10 回注入し合計で 20 回注入した結果を示しています保持時間につい

ては溶出が早い水溶性ビタミンについても全て RSD=06 以下という良好な結果が得られました

ピーク面積の再現性については 0025 mgL を 10 回注入し評価しました(表 5)強度が小さかった葉酸

およびリボフラビン 5 リン酸を除くほとんどのビタミンは RSD=10 以下でした経時劣化すること

が知られているビタミンCについては本検討から除外しました

Analyte RSD for retention time

Thiamine (B1) 06

Nicotinic Acid (B3) 019

Pyridoxal (B6) 023

Nicotinamide (B3) 022

Pyridoxine (B6) 026

Ca_Pantothenate (B5) 004

Cyanocobalamin ( B12) 003

Folic Acid (B9) 003

Riboflavin 5 phosphate 003

Biotin (B7) 002

Riboflavin (B2) 003

Analyte RSD for areaThiamine (B1) 678

Nicotinic Acid (B3) 235

Pyridoxal (B6) 262

Nicotinamide (B3) 224

Pyridoxine (B6) 265

Ca_Pantothenate (B5) 460

Cyanocobalamin ( B12) 700

Folic Acid (B9) 1153

Riboflavin 5 phosphate 1429

Biotin (B7) 277

Riboflavin (B2) 228

表 4 2 種の標準溶液 075 mgL(10回注入)及び 0025 mgL(10回注入)の保持時間再現性

表 5 0025 mgL の標準溶液の 10回注入におけるビタミン Bピーク面積現性

12

WatersACQUITY UPLCUPLCEmpowerMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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参考文献

1 G F M Ball (Editor) Bioavailabilty and Analysis of Vitamins in Foods Chapman and Hall (1998) Ch2 pp 33

2 E Riches The Rapid Simultaneous Analysis of 12 Water Soluble Vitamin Compounds Waters Application Note No 720003052en June 2009

3 Heudi et al Separation of water-soluble vitamins by reversed-phase high performance liquid chromatography with ultra-violet detection Application to polyvitaminated premixes J Chrom A (2005) 1070 49ndash56 pp 51

4 AOAC Method 201109 Vitamin B12 in Infant Formula and Adult Nutritionals (2012)

結論

本アプリケーションでは UVでは検出できない濃度の水溶性ビタ

ミンを正確に定量することでウォーターズの ACQUITY QDa 検

出器の性能を示していますSIRチャンネルを用いることで感度

が向上し同時溶出が起こっても化合物を選択的に定量すること

が可能ですすべての化合物をベースライン分離するという負担

がなくなりより低濃度のビタミンを検出することが可能になり

ます

ACQUITY QDa 検出器を用いることで

UV吸収がわずかもしくは全くない化合物の定量が可能

異なった質量の化合物が同時溶出していても選択的に定量可能

水溶性ビタミンのメソッドを一つの LC-MSメソッドに統合可能

サンプル前処理を容易にし定量限界を改善

Empowerreg 3 及び Mass Lynxregソフトウエアの 2種から選択でき

LCワークフローの中に容易に組み込める

特別な質量分析の知識を必要としないためACQUITY QDaマス

検出をすぐに活用可能

13

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg MSソフトウエア

キーワード

アスパルテームサッカリンレバウジオシド

ステビオシドステビアアセスルファーム K

ネオテームスクラロースQDa

アプリケーションのメリット

ACQUITY QDareg 検出器を用いることで一回

の注入により甘味料の同時分析が可能

天然甘味料人工甘味料非栄養性甘味料

が 10分以内に定量可能

共溶出する化合物について十分な化合物情

報が得られる直交性を兼ね備えた MS検出器

ACQUITY QDa 検出器を用いることで UV吸収

をもたない人工甘味料に対し感度および

選択性を付与

はじめに

砂糖はその甘味で有名であり味わいを高めるために製品製造時に添加され

ます砂糖の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため食品および飲料製品には

非栄養性甘味料が広く用いられています例えばソフトドリンク卓上甘味

料チョコレート乳製品など「ダイエット食品」と呼ばれるほとんどのもの

に含まれています多くの場合これらの製品に全体的な甘さを付与するため

さまざまな甘味料と組み合わせて用いられていますアスパルテームサッカ

リンアセスルファーム Kネオテームおよびスクラロースはアメリカ合衆国

の F DA1により認可されていますレバウジオシド A及びステビオシドのよう

な化合物は南アメリカステビア植物に起源があり甘味料としてアメリカ合衆

国でよりポピュラーになっています2010年に欧州食品安全機関(EFSA)では

甘味料としてステビオシドの使用を認可しています

欧州連合(EU)の指令 9435 EC は 4 つの改正(96 83 EC2003115 EC

200652 ECおよび 2009 163 EU)に沿って特定のタイプの食品について甘味

料の濃度を規制していますEU委員会規則 11292011リストにはさまざまな

食品における許容される人工甘味料の最大濃度を記載しています従って食品

中の甘味料の含有量を決めることは製品品質の一貫性を確保するために重要です

甘味料の分析に用いられる最も一般的な方法は HPLC 法であり検出には UV

が用いられますこのシステムではアセスルファーム Kアスパルテームサッ

カリンネオテームなどの検出は可能ですがUV吸収をもたないサイクラミ

ン酸スクラロースは分析ができませんMS検出器を用いることで全ての甘

味料を 1つの方法で分析することが可能になりますウォーターズの ACQUITY

QDa検出器を用いることで食品および飲料に携わる科学者が既存のクロマト

グラフィーワークフローに MS検出器を取り入れることが可能ですACQUITY

QDa検出器は甘味料を 1回の分析で行うだけでなく化合物のアサインが容易

になり全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなります 

Watersreg UPLCreg H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器を組み合わせて用いる

ことで食品および飲料メーカーは1回の分析で製品中に含まれる甘味料の

同定及び定量を効率よく行うことができます

本アプリケーションノートでは食品及び飲料サンプルを用いて甘味料の分析を

行い高速で信頼性及び高感度を有するメソッドを紹介しています

ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析Mark Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年6月 720005017JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 10: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

10 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

20e-3

40e-3

60e-3

80e-3

10e-2

4

13 SIR of 1 Channel ES+678 (Cyanocobalamin (B12)

(1) PDA Ch1 270 nm at 12 nm

A SIR of cyanocobalamin

B UV at 270 nm

717

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

610 620 630 640 650 660 670 680 690 700 710 720 730 740 750 760

図 6 マス検出器によるビタミンサプリメント中のビタミン B12の検出(A)ビタミン濃度は UVの検出下限以下であった(B)

ビタミンの分析において配合されているビタミンの濃度範囲が広いことが課題の 1つでした例えば本

検討で用いた錠剤のマルチビタミンサプリメントには6 microg配合されている B12から 16 mg配合されて

いる B3(ナイアシン(ニコチン酸))まであり他のビタミンについてもこの範囲内で配合されてい

ます本検討では濃度の異なるレベルのビタミンを考慮するため最初の抽出物についてそれぞれ

希釈を行い全てのビタミンについて同じ LC-MS条件で分析を行っています図 7にマルチビタミンサプ

リメントの分析結果を示しています図 7A及び 7Bはリボフラビン(B2)について 100倍希釈及び希釈な

しの S I R クロマトグラムを比較しています図 7Cは希釈なしのサンプルにおけるシアノコバラミン(B12)

の S I R クロマトグラムを示しています希釈したサンプルからはピークは検出されませんでした(データ

の記載はなし)希釈なしのサンプルにおける 270 nmの UVクロマトグラムを図 7Dに示しておりサン

プル中のリボフラビンのピークは十分に検出されていますリボフラビンおよびシアノコバラミンの定量

値は 125 ppmと 41 ppbでした(サプリメントのラベルに表示されている 68 という値に対しこれら

は 96でした本検討では表示量は実証されませんでしたが添加回収試験を実施しており表 2に示

した検量線の範囲内において多段階の希釈を用いることで実証できる可能性が示唆されました)

シアノコバラミンはサプリメント及び食品からわずかにしか検出されない水溶性ビタミンであり定量

するために分けて行う必要があります2次元のクロマトグラフィーはビタミン検出においてはルーチン

分析に用いられます4 従来の UPLC メソッドを用いてマルチビタミンサプリメントから検出されたシアノ

コバラミンの例を図 6に示していますこの濃度では UVクロマトグラムにおいてはピークが検出されま

せんでした(図 6B)マス検出器により高濃度に配合されているビタミンを検出するのと同じ方法でビタ

ミン B12を検出することが可能でしたACQUITY QDa 検出器は LCのワークフローに容易に取り入れる

ことが可能で既存の多波長取り込みを行うよりも使い易くなっています

11ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

10e-1

20e-1

0

100

0

100

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

0

100

771

771

785717

755

770

A

D

B

C

Diluted x 100

Undiluted

Undiluted

Undiluted UV at 270nm

SIR at mz 678 Cyanocobalamin (B12)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

図 7 ビタミンサプリメント錠に含まれる濃度が大きく異なる 2種類のビタミンの検出リボフラビンはサンプル抽出物 100倍希釈において明確に検出されています(A)B12については希釈していない抽出物からのみ検出されています(C)希釈なしの抽出物中のリボフラビンは検量線の範囲外でした(B)この濃度については UVにおいても容易に検出できます(D)

ビタミン Bのメソッドについて再現性を評価するために濃度の異なるビタミンを注入し評価しました

保持時間の再現性及びピーク面積の再現性の結果を表 4 及び 5 に示しています表 4 は 2 つの濃度の

異なる標準溶液をそれぞれ 10 回注入し合計で 20 回注入した結果を示しています保持時間につい

ては溶出が早い水溶性ビタミンについても全て RSD=06 以下という良好な結果が得られました

ピーク面積の再現性については 0025 mgL を 10 回注入し評価しました(表 5)強度が小さかった葉酸

およびリボフラビン 5 リン酸を除くほとんどのビタミンは RSD=10 以下でした経時劣化すること

が知られているビタミンCについては本検討から除外しました

Analyte RSD for retention time

Thiamine (B1) 06

Nicotinic Acid (B3) 019

Pyridoxal (B6) 023

Nicotinamide (B3) 022

Pyridoxine (B6) 026

Ca_Pantothenate (B5) 004

Cyanocobalamin ( B12) 003

Folic Acid (B9) 003

Riboflavin 5 phosphate 003

Biotin (B7) 002

Riboflavin (B2) 003

Analyte RSD for areaThiamine (B1) 678

Nicotinic Acid (B3) 235

Pyridoxal (B6) 262

Nicotinamide (B3) 224

Pyridoxine (B6) 265

Ca_Pantothenate (B5) 460

Cyanocobalamin ( B12) 700

Folic Acid (B9) 1153

Riboflavin 5 phosphate 1429

Biotin (B7) 277

Riboflavin (B2) 228

表 4 2 種の標準溶液 075 mgL(10回注入)及び 0025 mgL(10回注入)の保持時間再現性

表 5 0025 mgL の標準溶液の 10回注入におけるビタミン Bピーク面積現性

12

WatersACQUITY UPLCUPLCEmpowerMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004960JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

参考文献

1 G F M Ball (Editor) Bioavailabilty and Analysis of Vitamins in Foods Chapman and Hall (1998) Ch2 pp 33

2 E Riches The Rapid Simultaneous Analysis of 12 Water Soluble Vitamin Compounds Waters Application Note No 720003052en June 2009

3 Heudi et al Separation of water-soluble vitamins by reversed-phase high performance liquid chromatography with ultra-violet detection Application to polyvitaminated premixes J Chrom A (2005) 1070 49ndash56 pp 51

4 AOAC Method 201109 Vitamin B12 in Infant Formula and Adult Nutritionals (2012)

結論

本アプリケーションでは UVでは検出できない濃度の水溶性ビタ

ミンを正確に定量することでウォーターズの ACQUITY QDa 検

出器の性能を示していますSIRチャンネルを用いることで感度

が向上し同時溶出が起こっても化合物を選択的に定量すること

が可能ですすべての化合物をベースライン分離するという負担

がなくなりより低濃度のビタミンを検出することが可能になり

ます

ACQUITY QDa 検出器を用いることで

UV吸収がわずかもしくは全くない化合物の定量が可能

異なった質量の化合物が同時溶出していても選択的に定量可能

水溶性ビタミンのメソッドを一つの LC-MSメソッドに統合可能

サンプル前処理を容易にし定量限界を改善

Empowerreg 3 及び Mass Lynxregソフトウエアの 2種から選択でき

LCワークフローの中に容易に組み込める

特別な質量分析の知識を必要としないためACQUITY QDaマス

検出をすぐに活用可能

13

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg MSソフトウエア

キーワード

アスパルテームサッカリンレバウジオシド

ステビオシドステビアアセスルファーム K

ネオテームスクラロースQDa

アプリケーションのメリット

ACQUITY QDareg 検出器を用いることで一回

の注入により甘味料の同時分析が可能

天然甘味料人工甘味料非栄養性甘味料

が 10分以内に定量可能

共溶出する化合物について十分な化合物情

報が得られる直交性を兼ね備えた MS検出器

ACQUITY QDa 検出器を用いることで UV吸収

をもたない人工甘味料に対し感度および

選択性を付与

はじめに

砂糖はその甘味で有名であり味わいを高めるために製品製造時に添加され

ます砂糖の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため食品および飲料製品には

非栄養性甘味料が広く用いられています例えばソフトドリンク卓上甘味

料チョコレート乳製品など「ダイエット食品」と呼ばれるほとんどのもの

に含まれています多くの場合これらの製品に全体的な甘さを付与するため

さまざまな甘味料と組み合わせて用いられていますアスパルテームサッカ

リンアセスルファーム Kネオテームおよびスクラロースはアメリカ合衆国

の F DA1により認可されていますレバウジオシド A及びステビオシドのよう

な化合物は南アメリカステビア植物に起源があり甘味料としてアメリカ合衆

国でよりポピュラーになっています2010年に欧州食品安全機関(EFSA)では

甘味料としてステビオシドの使用を認可しています

欧州連合(EU)の指令 9435 EC は 4 つの改正(96 83 EC2003115 EC

200652 ECおよび 2009 163 EU)に沿って特定のタイプの食品について甘味

料の濃度を規制していますEU委員会規則 11292011リストにはさまざまな

食品における許容される人工甘味料の最大濃度を記載しています従って食品

中の甘味料の含有量を決めることは製品品質の一貫性を確保するために重要です

甘味料の分析に用いられる最も一般的な方法は HPLC 法であり検出には UV

が用いられますこのシステムではアセスルファーム Kアスパルテームサッ

カリンネオテームなどの検出は可能ですがUV吸収をもたないサイクラミ

ン酸スクラロースは分析ができませんMS検出器を用いることで全ての甘

味料を 1つの方法で分析することが可能になりますウォーターズの ACQUITY

QDa検出器を用いることで食品および飲料に携わる科学者が既存のクロマト

グラフィーワークフローに MS検出器を取り入れることが可能ですACQUITY

QDa検出器は甘味料を 1回の分析で行うだけでなく化合物のアサインが容易

になり全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなります 

Watersreg UPLCreg H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器を組み合わせて用いる

ことで食品および飲料メーカーは1回の分析で製品中に含まれる甘味料の

同定及び定量を効率よく行うことができます

本アプリケーションノートでは食品及び飲料サンプルを用いて甘味料の分析を

行い高速で信頼性及び高感度を有するメソッドを紹介しています

ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析Mark Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

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WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年2月 720005397JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Printed in Japan 2016 年 3月 720004987JA 03A(H)

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 11: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

11ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

Time

AU

00

10e-1

20e-1

0

100

0

100

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

600 650 700 750 800 850

0

100

771

771

785717

755

770

A

D

B

C

Diluted x 100

Undiluted

Undiluted

Undiluted UV at 270nm

SIR at mz 678 Cyanocobalamin (B12)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

SIR at mz 377 Riboflavin (B2)

図 7 ビタミンサプリメント錠に含まれる濃度が大きく異なる 2種類のビタミンの検出リボフラビンはサンプル抽出物 100倍希釈において明確に検出されています(A)B12については希釈していない抽出物からのみ検出されています(C)希釈なしの抽出物中のリボフラビンは検量線の範囲外でした(B)この濃度については UVにおいても容易に検出できます(D)

ビタミン Bのメソッドについて再現性を評価するために濃度の異なるビタミンを注入し評価しました

保持時間の再現性及びピーク面積の再現性の結果を表 4 及び 5 に示しています表 4 は 2 つの濃度の

異なる標準溶液をそれぞれ 10 回注入し合計で 20 回注入した結果を示しています保持時間につい

ては溶出が早い水溶性ビタミンについても全て RSD=06 以下という良好な結果が得られました

ピーク面積の再現性については 0025 mgL を 10 回注入し評価しました(表 5)強度が小さかった葉酸

およびリボフラビン 5 リン酸を除くほとんどのビタミンは RSD=10 以下でした経時劣化すること

が知られているビタミンCについては本検討から除外しました

Analyte RSD for retention time

Thiamine (B1) 06

Nicotinic Acid (B3) 019

Pyridoxal (B6) 023

Nicotinamide (B3) 022

Pyridoxine (B6) 026

Ca_Pantothenate (B5) 004

Cyanocobalamin ( B12) 003

Folic Acid (B9) 003

Riboflavin 5 phosphate 003

Biotin (B7) 002

Riboflavin (B2) 003

Analyte RSD for areaThiamine (B1) 678

Nicotinic Acid (B3) 235

Pyridoxal (B6) 262

Nicotinamide (B3) 224

Pyridoxine (B6) 265

Ca_Pantothenate (B5) 460

Cyanocobalamin ( B12) 700

Folic Acid (B9) 1153

Riboflavin 5 phosphate 1429

Biotin (B7) 277

Riboflavin (B2) 228

表 4 2 種の標準溶液 075 mgL(10回注入)及び 0025 mgL(10回注入)の保持時間再現性

表 5 0025 mgL の標準溶液の 10回注入におけるビタミン Bピーク面積現性

12

WatersACQUITY UPLCUPLCEmpowerMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

参考文献

1 G F M Ball (Editor) Bioavailabilty and Analysis of Vitamins in Foods Chapman and Hall (1998) Ch2 pp 33

2 E Riches The Rapid Simultaneous Analysis of 12 Water Soluble Vitamin Compounds Waters Application Note No 720003052en June 2009

3 Heudi et al Separation of water-soluble vitamins by reversed-phase high performance liquid chromatography with ultra-violet detection Application to polyvitaminated premixes J Chrom A (2005) 1070 49ndash56 pp 51

4 AOAC Method 201109 Vitamin B12 in Infant Formula and Adult Nutritionals (2012)

結論

本アプリケーションでは UVでは検出できない濃度の水溶性ビタ

ミンを正確に定量することでウォーターズの ACQUITY QDa 検

出器の性能を示していますSIRチャンネルを用いることで感度

が向上し同時溶出が起こっても化合物を選択的に定量すること

が可能ですすべての化合物をベースライン分離するという負担

がなくなりより低濃度のビタミンを検出することが可能になり

ます

ACQUITY QDa 検出器を用いることで

UV吸収がわずかもしくは全くない化合物の定量が可能

異なった質量の化合物が同時溶出していても選択的に定量可能

水溶性ビタミンのメソッドを一つの LC-MSメソッドに統合可能

サンプル前処理を容易にし定量限界を改善

Empowerreg 3 及び Mass Lynxregソフトウエアの 2種から選択でき

LCワークフローの中に容易に組み込める

特別な質量分析の知識を必要としないためACQUITY QDaマス

検出をすぐに活用可能

13

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg MSソフトウエア

キーワード

アスパルテームサッカリンレバウジオシド

ステビオシドステビアアセスルファーム K

ネオテームスクラロースQDa

アプリケーションのメリット

ACQUITY QDareg 検出器を用いることで一回

の注入により甘味料の同時分析が可能

天然甘味料人工甘味料非栄養性甘味料

が 10分以内に定量可能

共溶出する化合物について十分な化合物情

報が得られる直交性を兼ね備えた MS検出器

ACQUITY QDa 検出器を用いることで UV吸収

をもたない人工甘味料に対し感度および

選択性を付与

はじめに

砂糖はその甘味で有名であり味わいを高めるために製品製造時に添加され

ます砂糖の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため食品および飲料製品には

非栄養性甘味料が広く用いられています例えばソフトドリンク卓上甘味

料チョコレート乳製品など「ダイエット食品」と呼ばれるほとんどのもの

に含まれています多くの場合これらの製品に全体的な甘さを付与するため

さまざまな甘味料と組み合わせて用いられていますアスパルテームサッカ

リンアセスルファーム Kネオテームおよびスクラロースはアメリカ合衆国

の F DA1により認可されていますレバウジオシド A及びステビオシドのよう

な化合物は南アメリカステビア植物に起源があり甘味料としてアメリカ合衆

国でよりポピュラーになっています2010年に欧州食品安全機関(EFSA)では

甘味料としてステビオシドの使用を認可しています

欧州連合(EU)の指令 9435 EC は 4 つの改正(96 83 EC2003115 EC

200652 ECおよび 2009 163 EU)に沿って特定のタイプの食品について甘味

料の濃度を規制していますEU委員会規則 11292011リストにはさまざまな

食品における許容される人工甘味料の最大濃度を記載しています従って食品

中の甘味料の含有量を決めることは製品品質の一貫性を確保するために重要です

甘味料の分析に用いられる最も一般的な方法は HPLC 法であり検出には UV

が用いられますこのシステムではアセスルファーム Kアスパルテームサッ

カリンネオテームなどの検出は可能ですがUV吸収をもたないサイクラミ

ン酸スクラロースは分析ができませんMS検出器を用いることで全ての甘

味料を 1つの方法で分析することが可能になりますウォーターズの ACQUITY

QDa検出器を用いることで食品および飲料に携わる科学者が既存のクロマト

グラフィーワークフローに MS検出器を取り入れることが可能ですACQUITY

QDa検出器は甘味料を 1回の分析で行うだけでなく化合物のアサインが容易

になり全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなります 

Watersreg UPLCreg H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器を組み合わせて用いる

ことで食品および飲料メーカーは1回の分析で製品中に含まれる甘味料の

同定及び定量を効率よく行うことができます

本アプリケーションノートでは食品及び飲料サンプルを用いて甘味料の分析を

行い高速で信頼性及び高感度を有するメソッドを紹介しています

ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析Mark Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年6月 720005017JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 12: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

12

WatersACQUITY UPLCUPLCEmpowerMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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参考文献

1 G F M Ball (Editor) Bioavailabilty and Analysis of Vitamins in Foods Chapman and Hall (1998) Ch2 pp 33

2 E Riches The Rapid Simultaneous Analysis of 12 Water Soluble Vitamin Compounds Waters Application Note No 720003052en June 2009

3 Heudi et al Separation of water-soluble vitamins by reversed-phase high performance liquid chromatography with ultra-violet detection Application to polyvitaminated premixes J Chrom A (2005) 1070 49ndash56 pp 51

4 AOAC Method 201109 Vitamin B12 in Infant Formula and Adult Nutritionals (2012)

結論

本アプリケーションでは UVでは検出できない濃度の水溶性ビタ

ミンを正確に定量することでウォーターズの ACQUITY QDa 検

出器の性能を示していますSIRチャンネルを用いることで感度

が向上し同時溶出が起こっても化合物を選択的に定量すること

が可能ですすべての化合物をベースライン分離するという負担

がなくなりより低濃度のビタミンを検出することが可能になり

ます

ACQUITY QDa 検出器を用いることで

UV吸収がわずかもしくは全くない化合物の定量が可能

異なった質量の化合物が同時溶出していても選択的に定量可能

水溶性ビタミンのメソッドを一つの LC-MSメソッドに統合可能

サンプル前処理を容易にし定量限界を改善

Empowerreg 3 及び Mass Lynxregソフトウエアの 2種から選択でき

LCワークフローの中に容易に組み込める

特別な質量分析の知識を必要としないためACQUITY QDaマス

検出をすぐに活用可能

13

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg MSソフトウエア

キーワード

アスパルテームサッカリンレバウジオシド

ステビオシドステビアアセスルファーム K

ネオテームスクラロースQDa

アプリケーションのメリット

ACQUITY QDareg 検出器を用いることで一回

の注入により甘味料の同時分析が可能

天然甘味料人工甘味料非栄養性甘味料

が 10分以内に定量可能

共溶出する化合物について十分な化合物情

報が得られる直交性を兼ね備えた MS検出器

ACQUITY QDa 検出器を用いることで UV吸収

をもたない人工甘味料に対し感度および

選択性を付与

はじめに

砂糖はその甘味で有名であり味わいを高めるために製品製造時に添加され

ます砂糖の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため食品および飲料製品には

非栄養性甘味料が広く用いられています例えばソフトドリンク卓上甘味

料チョコレート乳製品など「ダイエット食品」と呼ばれるほとんどのもの

に含まれています多くの場合これらの製品に全体的な甘さを付与するため

さまざまな甘味料と組み合わせて用いられていますアスパルテームサッカ

リンアセスルファーム Kネオテームおよびスクラロースはアメリカ合衆国

の F DA1により認可されていますレバウジオシド A及びステビオシドのよう

な化合物は南アメリカステビア植物に起源があり甘味料としてアメリカ合衆

国でよりポピュラーになっています2010年に欧州食品安全機関(EFSA)では

甘味料としてステビオシドの使用を認可しています

欧州連合(EU)の指令 9435 EC は 4 つの改正(96 83 EC2003115 EC

200652 ECおよび 2009 163 EU)に沿って特定のタイプの食品について甘味

料の濃度を規制していますEU委員会規則 11292011リストにはさまざまな

食品における許容される人工甘味料の最大濃度を記載しています従って食品

中の甘味料の含有量を決めることは製品品質の一貫性を確保するために重要です

甘味料の分析に用いられる最も一般的な方法は HPLC 法であり検出には UV

が用いられますこのシステムではアセスルファーム Kアスパルテームサッ

カリンネオテームなどの検出は可能ですがUV吸収をもたないサイクラミ

ン酸スクラロースは分析ができませんMS検出器を用いることで全ての甘

味料を 1つの方法で分析することが可能になりますウォーターズの ACQUITY

QDa検出器を用いることで食品および飲料に携わる科学者が既存のクロマト

グラフィーワークフローに MS検出器を取り入れることが可能ですACQUITY

QDa検出器は甘味料を 1回の分析で行うだけでなく化合物のアサインが容易

になり全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなります 

Watersreg UPLCreg H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器を組み合わせて用いる

ことで食品および飲料メーカーは1回の分析で製品中に含まれる甘味料の

同定及び定量を効率よく行うことができます

本アプリケーションノートでは食品及び飲料サンプルを用いて甘味料の分析を

行い高速で信頼性及び高感度を有するメソッドを紹介しています

ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析Mark Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年6月 720005017JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

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ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

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ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

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ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年2月 720005397JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 13: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

13

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLC reg H-Classシステム

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg MSソフトウエア

キーワード

アスパルテームサッカリンレバウジオシド

ステビオシドステビアアセスルファーム K

ネオテームスクラロースQDa

アプリケーションのメリット

ACQUITY QDareg 検出器を用いることで一回

の注入により甘味料の同時分析が可能

天然甘味料人工甘味料非栄養性甘味料

が 10分以内に定量可能

共溶出する化合物について十分な化合物情

報が得られる直交性を兼ね備えた MS検出器

ACQUITY QDa 検出器を用いることで UV吸収

をもたない人工甘味料に対し感度および

選択性を付与

はじめに

砂糖はその甘味で有名であり味わいを高めるために製品製造時に添加され

ます砂糖の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため食品および飲料製品には

非栄養性甘味料が広く用いられています例えばソフトドリンク卓上甘味

料チョコレート乳製品など「ダイエット食品」と呼ばれるほとんどのもの

に含まれています多くの場合これらの製品に全体的な甘さを付与するため

さまざまな甘味料と組み合わせて用いられていますアスパルテームサッカ

リンアセスルファーム Kネオテームおよびスクラロースはアメリカ合衆国

の F DA1により認可されていますレバウジオシド A及びステビオシドのよう

な化合物は南アメリカステビア植物に起源があり甘味料としてアメリカ合衆

国でよりポピュラーになっています2010年に欧州食品安全機関(EFSA)では

甘味料としてステビオシドの使用を認可しています

欧州連合(EU)の指令 9435 EC は 4 つの改正(96 83 EC2003115 EC

200652 ECおよび 2009 163 EU)に沿って特定のタイプの食品について甘味

料の濃度を規制していますEU委員会規則 11292011リストにはさまざまな

食品における許容される人工甘味料の最大濃度を記載しています従って食品

中の甘味料の含有量を決めることは製品品質の一貫性を確保するために重要です

甘味料の分析に用いられる最も一般的な方法は HPLC 法であり検出には UV

が用いられますこのシステムではアセスルファーム Kアスパルテームサッ

カリンネオテームなどの検出は可能ですがUV吸収をもたないサイクラミ

ン酸スクラロースは分析ができませんMS検出器を用いることで全ての甘

味料を 1つの方法で分析することが可能になりますウォーターズの ACQUITY

QDa検出器を用いることで食品および飲料に携わる科学者が既存のクロマト

グラフィーワークフローに MS検出器を取り入れることが可能ですACQUITY

QDa検出器は甘味料を 1回の分析で行うだけでなく化合物のアサインが容易

になり全ての化合物をベースライン分離する必要がなくなります 

Watersreg UPLCreg H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器を組み合わせて用いる

ことで食品および飲料メーカーは1回の分析で製品中に含まれる甘味料の

同定及び定量を効率よく行うことができます

本アプリケーションノートでは食品及び飲料サンプルを用いて甘味料の分析を

行い高速で信頼性及び高感度を有するメソッドを紹介しています

ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析Mark Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年6月 720005017JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

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47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 14: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

14 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

実験 標準溶液調製

各甘味料のストック溶液は水を用いて調製しましたさらに水にて希釈を行い

004~ 30 mg Lの溶液を調製しました

サンプル調製

本検討では全 7種類のサンプルの分析を行いましたサンプルは市販のものを

購入し用いましたサンプルはそれぞれ 2種の飲料(ダイエットコーラおよび

ダイエット紅茶)卓上甘味料 2種既製品のプリンキャンディーダイエッ

トマーマレードです

卓上甘味料(1 g以下)を 100 mLの水に溶解した溶液さらに 20倍及び 10倍

に希釈した溶液をそれぞれ調製しました希釈レベルが異なる 3種の溶液は

サンプル中に含まれる濃度の異なる甘味料を分析するために用いました

キャンディー(5281 g)とプリン(1244 g)はそれぞれ 100 mLの水に溶解した

溶液さらに 10倍希釈した溶液を注入溶液としました

マーマレード(1432 g)については 100 mLの水に溶解し注入溶液としました

飲料については 022 micromの PVDF フィルターを用いてろ過後水を用いて 20倍

希釈したものを注入溶液としました

結果および考察

今回の検討に用いた 8種の甘味料の構造式を図 1に示していますこれらの甘

味料は逆相分析用カラムで分離を行いACQUITY QDa 検出器を用いて分離を

行いましたそれぞれの甘味料の保持時間選択的イオンモニタリング(S IR)

質量電荷比(mz)及びコーン電圧を表 2に示しています

UPLC 条件

UPLC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

21 times 100 mm

カラム温度 40

注入量 2 microL

流速 04 mLmin

移動相 A 01ギ酸水溶液

移動相 B 01ギ酸含有アセトニトリル

洗浄溶媒 5050 水 メタノール(vv)

パージ溶媒 1090 アセトニトリル 水(vv)

シール洗浄 1090 アセトニトリル 水(vv)

表 1 甘味料分析の UPLCグラジエント

Time Flow rate (min) (mLmin) A B Curve

Initial 04 90 10 6 10 04 90 10 6 40 04 40 60 6 50 04 40 60 6 51 04 0 100 6 61 04 0 100 6 62 04 90 10 6 95 04 90 10 6

検出器条件

検出器 1 ACQUITY UPLC PDA

波長 取り込み波長 210~ 400 nm

解析波長 214 nm及び 254 nm

ポイント数 10ポイント 秒

検出器 2 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI-

プローブ温度 500

キャピラリー電圧 06 kV

サンプリングレート 5ポイント 秒

モード フルスキャン mz 150~ 1000

(セントロイド)

コーン電圧 5~ 40 V(ランプ機能使用)

SI R チャンネル 表 2参照

表 2 甘味料の保持時間S I R m z 及びコーン電圧

Compounds SIR mz Cone Voltage (V)

RT (min)

Acesulfame K 1620 12 104

Aspertame 2930 12 320

Cyclamate 1780 24 177

Neotame 3770 15 443

Rebaudioside A 9655 28 411

Saccharin 1820 24 134

Stevioside 8033 24 414

Sucralose 395 20 320

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 15: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

15ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

Sodium Cyclamate

Stevioside

Sucralose

Acesulfame K

Saccharin Aspartame

Neotame Rebaudioside A (Reb A)

図 1 分析を行った甘味料の化学構造式

図 2に各甘味料標準溶液の S I R クロマトグラムを示しています図 2の結果より 2組が共溶出しています

アスパルテーム(保持時間 32分)とスクラロース(保持時間 32分)レバウジオシド A(保持時間 411

分)とステビオシド(保持時間 414分)が共溶出していますがアスパルテーム(mz 293)とスクラロース(mz

395)は質量が異なるため MS検出による化合物の分離が可能です同様にレバウジオシド A(mz 9655)

とステビオシド(mz 8033)も共溶出していますがACQUITY QDa検出器を用いることで個々に検出可能です

Acesulfame K RT 104 SIR mz 162

Saccharin RT 134 SIR mz 182

Cyclamate RT 177 SIR mz 178

Sucralose RT 320 SIR mz 395

Aspartame RT 320 SIR mz 293 Neotame RT 443

SIR mz 377

Stevioside RT 414 SIR mz 8033

Rebaudioside A RT 411 SIR mz 9655

図 2 全甘味料の標準溶液 S I R クロマトグラム

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

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23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

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ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 16: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

16 ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

構造的に UV吸収をもたないためUV検出ができない甘味料についても MS検出を用いることで分析が

可能になりますサイクラミン酸及びスクラロースは UV吸収がありませんがACQUITY QDa 検出器を用

いることで容易に検出可能です図 4にサイクラミン酸(保持時間 177分)及びスクラロース(保持時間 32

分)の 5 mg L溶液について254 nmにおける UVクロマトグラム及び SI Rクロマトグラムを示しました

図 4 5 mgL の標準混合溶液の S IRクロマトグラム(Aスクラロース Bサイクラミン酸)及び 254 nmにおける UVクロマトグラム(C) 

図 3 共溶出している化合物の検量線(Aレバウジオシド Bステビオシド)

共溶出している 2つの甘味料について図 3に検量線を示していますこれらの化合物はクロマトグラムで

は分離していませんがMS検出を用いることで選択的に正確な定量が可能になりますMS検出により化

合物を識別することで時間のかかるメソッド開発や共溶出している化合物をベースライン分離するため

に最適化を行う手間を省くことができます

Compound name Reb ACorrelation coefficient r = 0998929 r2 = 0997860Calibration curve 194485 x + -206693Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

1000

2000

3000

4000

Compound name SteviosideCorrelation coefficient r = 0997494 r2 = 0994994Calibration curve 68745 x + -253622Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

mgL-00 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240

Res

pons

e

-0

5000

10000

15000

A

B

B CyclamateSIR mz 178

A SucraloseSIR mz 395

C UV at254 nm

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

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200000

400000

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400000

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200000

400000

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200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

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6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 17: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

17ACQUITY UPLC H-Classシステム及び ACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品中に含まれる甘味料の高速一斉分析

表 3 8種の甘味料の検量線範囲及び決定係数(R2)値それぞれの甘味料について直線性を確認したところ決定係数(R2)はいずれの

化合物についても> 0994でした表 3に本検討における甘味料の濃度範囲と

R2値を示しています

サンプル分析

7種のサンプルは前述の通り調製し2回ずつ分析を行いました表 4には全

7種のサンプルの定量結果を示しています1つめの卓上甘味料中にはアセス

ルファーム Kが 98 mgkgアスパルテーム 15080 mgkgサッカリンが 3798

mgkgが配合されていました2つめの卓上甘味料はレバウジオシド A3105

mgkgステビオシド 630 mgkgが配合されていました共溶出している片方

の化合物の強度が小さく含有されていることが分かりませんでしたがMS

検出を用いることで選択性及び感度が向上し共溶出している化合物双方がサ

ンプル中に含まれていることを容易に明らかにすることが可能です図 5には

標準溶液及び 2つめの卓上甘味料中に含まれるレバウジオシド A及びステビオ

シドの S I R クロマトグラムを示しています

アスパルテームはダイエットコーラおよびダイエット紅茶中に 30 mgL及び

489 mgLの濃度で含まれていましたスクラロースはキャンディー中に 145

mgkgマーマレード中に 297 mgkg含まれていましたマーマレード中に含

まれるスクラロースの量は欧州委員会の規定 11292011の範囲内であること

が確認できました

Sweeteners

Conc range (mgL)

Correlation coefficient R2

Acesulfame K 004 - 4 0999

Aspartame 05 - 25 0996

Cyclamate 05 - 25 0998

Neotame 04 - 25 0998

Rebaudioside A 05 - 25 0997

Saccharin 005 - 3 0999

Stevioside 05 - 26 0994

Sucralose 05 - 30 0999

表 4 7種サンプルの定量結果

図 5 標準溶液及びサンプル(卓上甘味料 2)のステビオシド及びレバウジオシド Aの S IR クロマトグラム

Sample Acesulfame K Aspartame Rebaudioside A Saccharin Stevioside Sucralose Unit

Diet cola 30 480 ndash ndash ndash ndash mgL

Candy ndash ndash ndash ndash ndash 145 mgkg

Diet tea ndash 379 ndash ndash ndash ndash mgL

Marmalade ndash ndash ndash ndash ndash 297 mgkg

Pudding 208 ndash ndash ndash - 168 mgkg

Table-top sweetener 1 98 15080 ndash 3798 ndash ndash mgkg

Table-top sweetener 2 ndash ndash 31050 ndash 630 ndash mgkg

Standard Standard

Table-topsweetener 2

Table-topsweetener 2

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 18: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

18

WatersACQUITY UPLCUPLCMassLynxQDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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結論

本アプリケーションノートでは天然甘味料人工甘味料非栄

養性甘味料についてACQUITY UPLC H-Class システムおよび

ACQUITY QDa 検出器を用いて分離検出定量を行いました

ACQUITY QDa 検出器は UV吸収をもつ化合物UV吸収をもたな

い化合物どちらも 1回の分析で測定することが可能でありUV

検出器がある場合ない場合のどちらでも既存のワークフローに

容易に組み込むことが可能ですMS検出は検出器の選択性を向上

させ異なる質量の化合物の場合にはベースライン分離する必要

がなくなりますメソッド開発にかかる時間を省力化し分離の

確認のために個々のスタンダードを注入する必要もなくなります

参考文献1 D J Yang B Chen Simultaneous determination of non-nutritive sweeteners

in foods by HPLCESI-MS J Agric Food Chem 57(8) 3022-3027 2009

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan 2014年7月 720005035JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

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ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

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6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 19: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

19

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg C18カートリッジ

キーワード

QDa 牛乳粉ミルク糖糖質マルトース

ラクトースフルクトースグルコース

スクロースmyo -イノシトール単糖

アプリケーションのメリット ACQUITY QDareg検出器により保持時間と質量

情報が得られ選択性が向上し化合物同定

がより正確に

食品に存在する様々な糖や糖アルコールから

より豊富な情報を取得

ACQUITY QDa検出器により糖分析で用い

られる示差屈折率(RI)検出器やエバポレイト

光散乱(ELS)検出器に対して相補的な検出を

可能に

はじめに

糖や糖アルコール(またはポリオール)は食品の天然成分である糖質の一種で

栄養学的に重要な恩恵をもたらし一部の糖は風味を増すためや生鮮食品を

模倣するために加工食品に添加されます近年では先進国諸国での肥満や糖

尿病の発症率の増加に伴い糖の摂取をより正しく把握する必要性が高まって

おりこの結果として年々厳しくなる規制の要求に応えるため食品の正確な

糖含量の記載が必要となっています

糖や糖アルコールは UV吸収を持たずアイソマーなど非常に類似した構造が

多いため分析は容易ではありません優れた分離能力や正確さ分析時間など

の理由から糖分析には HPLC が選択され 12検出には RI や ELS が用いられてき

ましたRI検出は分析中の移動相の変化に敏感なためアイソクラティック(一

定の移動相条件)での分析が求められますまた別の分析をするために移動

相組成を変えると数時間の平衡化が必要となり同じ分析であっても移動

相を調製し直す場合には RI検出器がわずかな変化に反応しベースラインの変

動が現れますこの点E LS 検出器は移動相組成の変化に寛容ですが複雑な

食品のマトリックス中の糖を分析する際には感度や選択性の面で要求に合わ

ないケースもあります

これらの検出法の代替案となるのがエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用い

る MS検出ですWatersreg ACQUITY QDa検出器は試料中の化合物のマススペク

トル情報の取得とともに高感度検出を可能にしますクロマトグラフィーの

保持時間と質量両方の情報により糖や糖アルコールのプロファイリングにお

ける選択性が向上しますACQUITY QDa 検出器はPDA検出器と同じサイズで

もありLCシステムと一体化するために完璧に開発された唯一の MS検出器と

言えますQDa検出器を操作するための時間を要するトレーニングは不要です

HPLC ユーザーがすぐに MS検出による高い選択性と感度を手に入れることが

可能な装置です本アプリケーションではACQUITY QDa 検出器を ACQUITY

UPLC H-Class システムに組み込み牛乳粉ミルク中の糖のプロファイリング

を行った結果をご紹介します

ACQUITY UPLC H-Classシステム ACQUIT Y QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリングMark E Benvenuti Dimple Shah and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

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5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 20: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

20 ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa 検出器を用いたさまざまな食品マトリックス中に含まれる水溶性ビタミンの選択的定量

実験条件

UPLC条件

システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm 21 times 150 mm

カラム温度 35

移動相 アセトニトリル

10 mM NH4HCO3 01NH4OH水溶液

= 7525

流速 013 mL 分

注入量 07 microL

MS条件

MSシステム ACQUITY QDa 検出器

イオン化モード ESI ネガティブ

キャピラリー電圧 08 V

コーン電圧 40 V

プローブ温度 600

取り込みポイント数 1 Hz

スキャン範囲 mz 50-450

SI R 条件(mz) 表 1

1化合物 SI R (mz) フルクトース 2151 [M+Cl-]- グルコース 2151 [M+Cl-]- イノシトール 1792 [M-H+]- ラクトース 3772 [M+Cl-]- マルトース 3772 [M+Cl-]- スクロース 3413 [M-H+]-

表1 単糖二糖および myo-イノシトールのS I R 分析条件

標準試料調製

フルクトースグルコーススクロースマルトースラクトースmyo-イ

ノシトールはそれぞれ水に溶解し 1000 mgL のストック溶液を調製しました

このストック溶液を混合し最終溶媒が水アセトニトリル= 5050となる

よう 50 mgL混合標準溶液を調製しこれを適宜水アセトニトリル= 5050

で希釈し保持時間の決定に用いました

試料調製

牛乳粉ミルク大豆調整乳を試料としC havaz-Servin らの文献 3に従って

前処理を行い前処理溶液の一部は Sep-Pak C18を用いる Chavaz-Servinらの

精製法 3に供しました一部は精製段階を省いて分析し今回の実験では精製

した試料と同じ結果が得られることを確認しました(データは示していません)

いずれの試料についても抽出物は水アセトニトリル= 5050にて 1500

および 120に希釈し分析しました

結果および考察

2種の単糖類(グルコースフルクトース)3種の二糖類(スクロースラクトー

スマルトース)を含む 5種類の一般的に食品に用いられる糖と糖アルコー

ル(myo-イノシトール)を分離したクロマトグラムを図1に示しましたアイ

ソクラティック条件を使用して分離が難しい二糖類(ラクトースとマルトース)

を分離しそれぞれの糖について複数のmz を用いて分析を行いましたフル

クトースグルコースmyo-イノシトールの分子量はいずれも 180ですESI

ではmyo-イノシトールは脱プロトン化したmz 179のイオンを生じますが

フルクトースとグルコースについて最も高い強度を持つイオンはmz 215の

塩素アダクト [M+Cl-]-です報告によると糖の種類によっては塩素アダクト

のイオン強度が脱プロトン化したイオン [M-H+]- より高いことがあり糖分析

においてこのような塩素アダクトを MS分析に用いる場合があります 4今

回の実験では環境中に広く存在する塩素により塩素アダクトが出現しています

myo-イノシトールでも塩素アダクトが検出されましたがmz179より強度は

低い結果となりましたスクロースではmz 341の脱プロトン化イオンと m

z 377の塩素アダクトが同等の強度を示しラクトースマルトースではmz

377の塩素アダクトが強く検出されました20 ppmの糖混合試料の S I R 重ね書

きクロマトグラムを図 1に示しましたがここで用いた糖は [M-H+]-[M-H+]-

両方のイオンを生じており糖によってその比率は様々であることがわかります

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 21: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

21ACQUITY UPLC H-Class システム ACQUITY QDa 検出器による牛乳粉ミルク中の単糖および二糖類のプロファイリング

myo-イノシトールはヒト乳中に高濃度に存在する重要な糖アルコールであり

粉ミルクにはmyo-イノシトールがヒト乳と等量摂取できるよう添加されてい

ます 5今回のアイソクラティックの分析条件では保持時間約 15分に部分

的に myo-イノシトールとラクトースとの同時溶出が見られておりRI や ELS

検出器を用いる場合には両糖の正確な検出に支障が出る可能性があります

しかしMS検出を行えばラクトースと myo-イノシトールが異なるmz で検出

できるためこれらの糖を別々に評価することが可能で一部に同時溶出が見ら

れても問題ありません図 2に myo-イノシトールとラクトースの SIRクロマト

グラムをチャンネルごと(mz 377 mz 179)に別々に示しました

また乳製品について過敏症やアレルギーを持つ消費者向けのラクトース不含

製品ではマルトースとラクトースの分離が非常に重要ですマルトースは大

豆に含まれる主要な糖であり 6乳製品の代用品としてラクトース不含製品によ

く用いられますラクトースが存在するか否かを判別するためにはラクトー

スを同じ分子量を持つマルトースと分離する必要がありますこのような化

合物同定にはやはり LCと MSのそれぞれの相補的な選択性を併せて利用し

なければなりません図 3には 2種類の粉ミルクの分離パターンをラクトース

マルトースを含む糖標準品のクロマトグラムと並べて示しました乳製品を原

料とした粉ミルクではラクトースが検出されマルトースは検出レベル以下で

あり反対に大豆ベースの粉ミルクではラクトースは検出されないことが明ら

かとなりました

Fructose [M+Cl-]- mz 2151

Sucrose [M-H+]- mz 3413

Myo-inositol [M-H+]-

mz 1792

Myo-inositol [M+Cl-]- mz 2151

80 100 120 140 160 70 90 110 130 150 170 Minutes

Sucrose [M+Cl-]- mz 377

Fructose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M-H+]- mz 1792

Glucose [M+Cl-]- mz 2151

Maltose [M+Cl-]- mz 3772

Maltose [M-H+]- mz 3413

Lactose [M+Cl-]- mz 3772

Lactose [M-H+]- mz 3413

図 1 20 ppm 糖混合標準液の重ね書き S I R クロマトグラム(mz 179 215 341および 377)単糖二糖糖アルコールをアイソクラティック条件で分離

2B mz 179

2A mz 377 スクロース

マルトースラクトース

イノシトール

80 100 120 140 160

図 2 2A スクロースマルトースラクトースのピークを示すmz 377のクロマトグラム2B myo-イノシトールピークを示す mz 179のクロマトグラム一部にラクトースとの同時溶出が見られるがMS検出では異なる mzで検出されるため myo-イノシトールの選択的な分析が可能

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

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5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

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47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 22: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

22

結論

極めて類似した糖が混在すること糖が UV吸収を持たないこと

から食品中の糖分析には難しい側面がありますACQUITY UPLC

H-ClassシステムACQUITY QDa検出器を併せて使用することにより

高分離高感度優れたスループットといった UPLCセパレーショ

ンの性能と共に MS検出器の RI検出器や ELS検出器に対して相補

的な検出能力が新たなアドバンテージをもたらします

保持時間情報のみではなくMSからの化合物同定の情報を併

せることにより分析の選択性が向上

高感度かつ選択的な検出器による UV吸収のない化合物の検出

質量電荷比(mz)を用いることにより同時溶出成分の識別が可能

分析法開発の負担を軽減

ACQUITY QDa検出器の利用により全成分の確実な分離は不要に

異なる分析条件にすぐに切り替えられるため 1システムで様々

な分析が可能に

参考文献1 L C Nogueiraa F Silvab I M P L V O Ferreirab L C Trugoa Separation

and quantification of beer carbohydrates by high-performance liquid chromatography with evaporative light scattering detection J Chrom A 1065 (2) 207-210 February 2005

2 I M P L V O Ferreira A M P Gomes M A Ferreira Determination of sugars and some other compounds in infant formulae follow-up milks and human milk by HPLC-UVRI Carbohydr Polym 37 (3) 225-229 1998

3 J L Chaacutevez-Serviacuten A I Castellote M C Loacutepez-Sabater Analysis of mono- and disaccharides in milk-based formulae by high-performance liquid chromatography with refractive index detection J Chrom A 1043 (2) 211-215 2004

4 E Rogatsky H Jayatillake G Goswami V Tomuta D Stein Sensitive LC-MS Quantitative Analysis of Carbohydrates by Cs+ Attachment JASMS 16 (11) 1805-1811 2005

5 H E Indyk D C Woollard Determination of free myo-inositol in milk and infant formula by high-performance liquid chromatography Analyst 119 397-402 1994

6 M Kizito E Iheanacho Comparative Studies of the Nutritional Composition of Soy Bean (glycine max) and Lima Bean (phaseolus lunatus) Scientia Africana 9 (2) 29-35 2010

図 3 mz 377のクロマトグラムA 20 ppm糖標準品B 乳製品を原料とした粉ミルクC 大豆を原料とした粉ミルク

スクロース

マルトース ラクトース

A 混合標準品

B 乳製品を原料とした粉ミルク

C 大豆を原料とした粉ミルク

ラクトース

マルトース

スクロース

80 100 120 140 160

WatersACQUITY UPLCUPLCSep-PakQDaおよび The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 23: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

23

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY UPLC PDA 検出器

ACQUITY QDa 検出器

MassLynxreg v 41 MS ソフトウェア

キーワード

ポリフェノールフラボノイドフラバノン

ポリメトキシ化ポリメトキシフラボン

ACQUITY QDa

アプリケーションのメリット ACQUITYreg QDareg検出器は UV Vis検出器または

PDA検出器よりも優れた選択性を提供します

ACQUITY QDaが提供する優れた選択性により

必ずしもベースライン分離を必要とせず

簡便かつ迅速なクロマトグラフィー条件が

利用できます

幅広い濃度レベルの分析に単一の希釈倍

率によるサンプル調製が適用できます

ACQUITY QDa検出器はUV Vis検出器と同等

の正確性と精度でフラボノイド分析のスルー

プットを大きく向上させることができます

はじめに

フラボノイドは柑橘系の果物を含む様々な天然物中に発見されたポリフェノー

ル化合物です 1フラバノンとフラボンという 2種類の重要なサブグループが

存在しますフラボンはポリメトキシフラボン( PMF)としても知られています

最も一般的なフラバノンはオレンジに含まれるヘスペレチン最も一般的なフラ

ボンはオレンジとタンジェリンの皮に含まれるタンゲレチンとノビレチンです 2

異種あるいは柑橘類の多様性によって顕著な味の特性やフラボノイドプロファ

イルの多様性が認められるため柑橘類におけるフラボノイドの分析は多くの

場合品質管理と製品の信頼性の確認のために使用されています 3 4図 1に

本アプリケーションノートで用いたフラボノイドの化学構造を示します

ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析 Jinchuan Yang Rich DeMuro and Joe RomanoWaters Corporation Milford MA USA

ナリルチン ヘスペレジン

ジオスミン ジジミン

シネンセチン ノビレチン

テトラメトキシスキュテラレイン タンゲレチン

図 1 フラボングリコシドおよびポリメトキシフラボンの化学構造

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 24: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

24 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

実験条件

サンプル調製

標準品およびシトラスジュースサンプルは DMSO アセトニトル水溶液で希釈しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

検出器 ACQUITY QDa

カラム ACQUITY UPLC HSS T3

18 microm21 times 100 mm

(製品番号 186003539)

カラム温度 35

サンプル温度 4

注入量 20 micro L

流速 06 mL 分

移動相 A 01 ギ酸水溶液

移動相 B 01 ギ酸含有アセトニトリル

分析時間 13 分

グラジエント

時間 移動相 A 移動相 B (分 ) () () カーブ

初期値 98 2 6 55 27 73 6 60 0 100 6 100 0 100 6 105 98 2 6 130 98 2 6

MS 条件

イオン化モード ES I+

データ取得モード S IR

コーン電圧5 V

プローブ温度デフォルト(600 )

キャピラリー電圧デフォルト(08 kV)

サンプリングレートデフォルト(5 Hz)

データ管理

MassLynx 41 MS ソフトウェア

(SCN 888 Build 274)

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

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7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 25: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

25ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

フラボノイド分析のための最も一般的な技術はUVVis検出器(UVVis)またはフォトダイオードアレイ

検出器(PDA)を用いた逆相液体クロマトグラフィーですPDA はスペクトルデータによってピーク純度の

確認が容易にできるのでUVVisよりも選択性が優れていますPDA 分析における課題はフラボノイド

の環置換の程度置換基の種類およびグリコシル化の種類と程度のみが異なった数十の構造的に類似し

た化合物から構成されることですPDA 分析はフラボノイドの微妙な構造の違いを区別するための選択性

には欠けています質量分析(MS)は同重体化合物を除きより良好な選択性とPDA検出よりもフラボノ

イド分析のための良好な感度を提供できますしかし質量分析計のコストおよび使いやすさの観点では

特に製造工場の QCラボにおいてフラボノイド分析のために質量分析を採用する際の障害となることがあ

ります

ウォーターズの ACQUITY UPLC H-Classシステムと ACQUITY QDa検出器は選択性使いやすさそして手

頃な価格という点でフラボノイド分析に最適ですACQUITY QDa検出器は手頃なコストと最低限のチュー

ニングのみで質量スペクトルデータを取得できるように設計されていますUVまたは蛍光発色団を有する

化合物の光学検出のカバレッジを拡張するだけでなくフラボノイドの解析に非常に有用な類似の構造

をもった化合物の選択性を向上させます

結果および考察

フラボノイドの検出を対象のフラボノイドの分子イオンの選択イオンレコーディング(SIR)によって実施し

ました表 1にフラボノイドおよびそれらの分子イオンの質量対電荷比(mz)のモノアイソトピック質量

を示しました同じmz 値をもった化合物シネンセチンとタンゲレチンのペアを除いてはほとんどが異

なるmz 値をもちますシネンセチンとタンゲレチンは容易にクロマトグラフィーで分離することができ

るのでお互いに干渉することはありません図 2にジュース試料の UV(325 nm)と ACQUITY QDa検出

器のクロマトグラムを示しました図 2のようにシネンセチン(ピーク E)とタンゲレチン(ピーク H)は

異なる保持時間で溶出しますノビレチンとテトラメトキシスキュテラレインは部分的に重なっています

これらのピークの定量はUVVisまたは PDA検出を使用する場合には難しいのですがACQUITY QDa検出

器ではこれらの 2つの分析対象をそれぞれmz 4032と 3431で選択的にモニターすることができるので

問題になりません

分析対象分子イオン

mzモノアイソトピック質量

(Da)ナリルチン 5812 58018

ジオスミン 6092 60817

ヘスペレジン 6112 61019

ジジミン 5953 59419

シネンセチン 3731 37212

ノビレチン 4032 40213

テトラメトキシスキュテラレイン 3431 34211

タンゲレチン 3731 37212

表 1 分析対象の分子イオンの mzおよびとモノアイソトピック質量

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan  2016年 3月 720004985JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 26: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

26 ACQUITY QDa 検出器を用いたジュース中のフラボノイド分析

ACQUITY QDa 検出器を選択することでクロマトグラフィー条件の開発作業の簡素化が可能になります

化合物が選択的に検出できるのであればベースライン分離できないクロマトグラフィー条件も許容され

ますUVVisまたはその他の光検出器では構造的に類似の化合物を分離する場合にはすべての分析対象

をベースライン分離することが必要でありそれには多くの場合より長い分析時間が必要になりますこ

こに示した分析法のカラムの平衡化を含めた注入サイクル全体の時間は既存の分析法よりも少なくとも

14の 13分です表 2はフルーツジュースの分析結果をまとめたものです分析性能は既存の QC分

析法に匹敵しています

分析対象 保持時間(分) 精度() 再現性 RSD()ナリルチン 273 86 3

ジオスミン 281 139 8

ヘスペレジン 287 82 3

ジジミン 339 94 4

シネンセチン 436 103 4

ノビレチン 468 110 3

テトラメトキシスキュテラレイン 471 100 3

タンゲレチン 502 112 3

表 2 シトラスジュース中のポリフェノールの精度と再現性(n =10)

図 2 ジュース中のフラボノイドの UVおよび S IR クロマトグラムA)ナリルチンB)ジオスミンC)ヘスペレチンD)ジジミンE)シネンセチン F)ノビレチンG)テトラメトキシスキュテラレインH)タンゲレチン

Time300 350 400 450 500 550

AU

00

10e-2

20e-2

30e-2

Time300 350 400 450 500 550

-10

90

A

B

C

D E

F G H

A B

C

D

E F G

H

UV (325 nm)

ACQUITY QDa SIR

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 27: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

27

結論

従来使用されている光学検出器と比較してACQUITY QDa 検

出器と Waters ACQUITY UPLC H-Class システムの組み合わせは

シトラスジュース中のフラボノイドの検出の選択性を増加させます

この改良された選択性によって迅速かつ容易なクロマトグラ

フィー条件とより速くより効率的なサンプル調製手順を採用す

ることが可能となり分析法開発をシンプルにしますさらにこ

れらの改善は労働生産性とサンプルのスループットを向上させ

ますまたACQUITY QDa 検出器の使用の容易さと手頃な価格は

日常的な分析ラボのために必要なツールとなっています

参考文献

1 HS Lee BW Widmer Phenolic compounds In LML Nollet ed Handbook of Food Analysis New York Marcel Dekker 1996 821-894

2 G Gattuso D Barreca C Gargiulli U Leuzzi and C Caristi Flavonoid composition of citrus juices Molecules 2007 12 1641-1673

3 AOAC Official Method 99905 Naringin and Neohesperidin in Orange Juice Official Method of Analysis AOAC

4 W Widmer Determination of Naringin and Neohesperidin in orange juice by liquid chromatography with UV detection to detect the presence of grapefruit juice collaborative Study J AOAC Int 83(5) 1155 2000

WatersACQUITY UPLCMassLynx および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですACQUITY QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 28: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

28

ウォーターズのソリューション

CORTECSreg UPLCreg C18 カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

VICAMreg Myco6in1reg イムノアフィニティーカラム

(IAC)

キーワード

マイコトキシントリコテセンニバレノール

フモニシンアフラトキシンオクラトキシン

ゼアラレノンQDa

アプリケーションのメリット 単一の確立された分析法によるマイコトキ

シンの一斉分析

穀物を原料とする複雑な食品における基

準値以下の 12種のマイコトキシンの高感度

検出

はじめに

マイコトキシンは真菌類によって自然に産生される二次代謝産物です様々な

マイコトキシンが広い範囲の果物および穀物類を汚染する可能性があります

化学的に安定で異なる形態の分解に耐性をもつこれらの化合物の多くはin

vivoでの発癌性エストロゲン性および免疫毒性を有することが知られています

そのため世界的規模で規制が存在し特定のマイコトキシンに対する許容値

の設定に加えサンプリングと分析法のテストが義務付けられています

EU域内においてはデオキシニバレノール(DON)フモニシン(B1および B2)

アフラトキシン(B1B2G1および G2)オクラトキシン Aおよびゼアラレノ

ンの最大許容レベルが欧州委員会規制 18812006 および 1126 2007で規制

されています最近ではT2および HT 2毒素の合量に対する勧告が 2013165

で出されましたさらにサンプリングと分析法のパフォーマンスについては

規則 4012006に規定されていますその他に現在は規制されていませんが

頻繁に DONとの組み合わせで穀物類を汚染するフザリウム毒素であるニバレノー

ル(NIV)の存在にもこのアプリケーションノートでは注意を払っています

真菌類の複数のマイコトキシンによって自然に汚染された複雑な食料品の分析

は非常に困難で時間を要しますしたがって関連するマイコトキシンおよ

び製品のための規制レベルを達成することができる迅速かつ高感度なスクリー

ニングツールが不可欠ですこの分野では LC-MSが重要な役割を果たしている

ため複数のマイコトキシンを同定するための分析法の開発が非常に望まれ

ていますしかし主要なマイコトキシンの化学的および物理的性質の違いに

よって試料調製が最も困難な課題となります

様々なマイコトキシンによって自然に汚染される食品の汚染頻度を考えると

規制のあるマイコトキシンのシンプルかつ高感度な検出のための分析法が必要

とされていますこのアプリケーションノートはイムノアフィニティークリーン

アップ法と単一の検出器を使用して加工トウモロコシにおける複数のマイコト

キシンの定量分析のためのシンプルかつ正確な分析法を開発することを目的と

しています

Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析Dominic Roberts1 Sara Stead1 Veronica Lattanzio2 Biancamaria Ciasca2 Eimear McCall1 Jennifer Burgess3 and Stephen Powers4

1Waters Corporation Wilmslow UK 2National Research Council of Italy Institute of Sciences of Food Production Bari Italy 3Waters Corporation Milford MA USA 4VICAM Milford MA USA

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 29: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

29Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

実験条件

UPLC 条件

LCシステム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 12分

カラム CORTECS C18 16 microm21times100 mm

移動相 A 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

水溶液

移動相 B 01ギ酸 2 mM酢酸アンモニウム

含有メタノール

流速 04 mL分

注入量 10 microL

グラジエント

時間 A B (min) () ()

初期値 990 10

700 500 500

100 10 990

115 10 990

116 990 10

1400 990 10

MS 条件

MSシステム ACQUITY QDa検出器

イオン化法 ESIplusmn

脱溶媒温度 600

キャピラリー電圧 デフォルト(08 kV)

サンプリングレー デフォルト(5 Hz)

SI R チャンネル 表 1参照

サンプル前処理

粉砕試料 10グラムから水 40 mL続いてメタノール 60 mLで高速混合するこ

とにより抽出しました抽出液を濾過し5 mLを窒素雰囲気下で約 2 mLまで

濃縮しましたリン酸緩衝液 5mLを加え得られた溶液を VICAM Myco6in1+

イムノアフィニティーカラム( IAC)に負荷しましたカラムを 10 mLの水で

洗浄し目的のトキシン類を最初に水 2mLで続いてメタノール 3 mLで溶出

しましたその後溶出液を穏やかな窒素気流中で乾固させ1090(vv)=メタ

ノール 移動相 A 02 mLに再溶解しました

標準品の調製

無添加の穀物食品サンプルのブランクをMyco6in1+ IACを使用して調製しま

した得られた溶出液に検量線の中間点がそれぞれのマイコトキシンの許容

レベルと等しくなる 5点の検量線を作成するために混合マイコトキシン標準液

を添加しましたそれぞれのマイコトキシンの許容範囲となるように中間点

の上と下にそれぞれ 2点ずつ標準液を添加しましたこれらの標準品は乾固し

1090(vv)=メタノール 移動相 Aに再溶解しました

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 30: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

30 Myco6in1+ 前処理カートリッジによるイムノアフィニティー精製およびACQUITY QDa検出器を用いた加工トウモロコシ中のマイコトキシン12種の迅速な定量分析

結果および考察

Watersreg ACQUITY QDa検出器は標準的な条件で 12種のマイコトキシンすべてに対する最適なパフォーマ

ンスを得ることができましたそれぞれの質量コーン電圧およびエレクトロスプレーイオン化モードを

表 1に示しました

マイコトキシン 略称保持時間(分)

SIR(mz)

コーン電圧(V)

校正範囲(microgkg)

1 ニバレノール (NIV) [NIV-H2O+H+] 22 2950 15 46875 to 562500

2 デオキシニバレノール(DON) [DON+H+] 29 2970 10 46875 to 562500

3 アフラトキシンG2(AFG2) [AFG2+H+] 58 3310 20 0625 to 750

4 アフラトキシンG1(AFG1) [AFG1+H+] 62 3290 20 0625 to 750

5 アフラトキシンB2(AFB2) [AFB2+H+] 65 3150 20 1250 to 1500

6 アフラトキシンB1(AFB1) [AFB1+H+] 68 3130 20 0625 to 750

7 HT2毒素(HT2) [HT2+Na+] 82 4470 15 31250 to 37500

8 フモニシンB1(FB1) [FB1+H+] 83 7220 20 500000 to 600000

9 T2毒素(T-2) [T-2+NH4+] 86 4840 15 31250 to 37500

10 オクラトキシンA(OTA) [OTA+H+] 88 4042 20 62500 to 75000

11 ゼアラレノン(Zear)(ネガティブモード) [ZEA-H]- 88 3170 20 1875 to 2250

12 フモニシンB2(FB2) [FB2+H+] 90 7060 20 125000 to 150000

12種のマイコトキシンすべての検量線範囲にわたって良好な直線性が得られましたクロマトグラフィー

ピークあたり最小でも 12データポイントがそれぞれの化合物について得られました必要な規制値と検

量線範囲の異なる AFG1と DONの直線性を図 1に示しますDONの検量線範囲は 940 -1500 microgkgである

のに対してアフラトキシンの規制値は低いためAFG1の検量線範囲は 0125 -40 microgkgとなっています

これらのすべての化合物について様々な検量線範囲にわたって直線性が得られたことは検出器が複雑なマト

リックス存在下でも広いダイナミックレンジにわたって優れた堅牢性をもっていることを示しています

表 1 12種のマイコトキシンの実験条件

図 1 マトリックス添加検量線の例 (Aアフラトキシン G1 0125-4 microgkgデオキシニバレノール 940-1500 microgkg)

Compound name DONCorrelation coefficient r = 0998656 r2 = 0997313Calibration curve 417541 x + 110709Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500

Res

pons

e

-0

100000

200000

Conc

Res

idua

l

-250

000

250

Compound name AFG1Correlation coefficient r = 0999043 r2 = 0998087Calibration curve 39847 x + -575865Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting 1x Axis trans None

Conc-000 100 200 300 400 500 600 700

Res

pons

e

-0

1000

2000

Conc

Res

idua

l

-50

00

50

A B

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

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200000

400000

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200000

400000

Inte

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200000

400000

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200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

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6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年2月 720005397JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Printed in Japan 2016 年 3月 720004987JA 03A(H)

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 31: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

31

WatersUPLC ACQUITY UPLCおよび The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年 2月 720005018JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

結論

シンプルで高感度そして費用対効果の高い分析法が加工トウモロコシ抽出物中の 12種の規制マイコトキシンの定量分析のために

開発されてきましたこのアプリケーションノートでは単一のサンプル調製手順を使用してすべての化合物が抽出され容易に

ACQUITY QDa検出器で検出されましたこのように追加または時間のかかるサンプル調製の必要なく単一の検出器での複数のマイ

コトキシンの迅速なスクリーニングが可能になりました

規制基準値相当を添加したトウモロコシスナック食品のクロマトグラフィーの例を図 2に示しました各化合物は十分な感度で優れ

たシグナル -ノイズ(SN)比が得られています4種のアフラトキシンと 8種のマイコトキシンすべてをMS検出器と組み合わせた LC

によって容易に検出することができました

1NIV

2DON

3AFG2

4AFG1

5AFB2

6AFB1

8 FB1

9 T-2

10 OTA

11 Zear

12 FB2

7 HT-2

マイコトキシン 添加濃度 SN

NIV 750 1188

DON 750 20955

AFG2 1 5149

AFG1 1 18272

AFB2 1 1967

AFB1 2 12766

HT2 50 430

FB1 800 2682

T-2 50 64641

OTA 3 993

Zear 100 6682

FB2 200 1967

図 2 表示した濃度(EU規制値)を添加した加工トウモロコシ食品サンプル優れた S N比でクロマトグラフィー分離された法的許容値以下のピーク(ノーマライズ後)が検出されました

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

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47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 32: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

32

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析Brian Tyler and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

はじめに

パツリンはリンゴによくみられる数種のペニシリウム属アスペルギルス属

バイソクラミス属に属するカビにより産生されるマイコトキシンの 1種です

加工前に傷やへこみが生じたリンゴにはパツリンを産生するカビが混入し

やすくなります

パツリンを産生するカビの成長を防ぐためにはリンゴの適切な取り扱いや保

管が重要ですパツリンに汚染されたリンゴがジュースに加工されるとパツ

リンが高濃度になる可能性が生じますパツリンは温度安定性が高く低温殺

菌では分解されません

ヒトへのパツリンの影響は明らかにされていませんがマウスやラットでは腸の

病変や胃の出血が確認されていますこのような毒性のためアメリカ FDA

ではリンゴジュース製品中のパツリンの最大残留基準値(maximum residue

level MRL)を 50 microgkgと定めています1 また EUではリンゴピューレのような

固形製品に対し 25 microgkg乳幼児向けの製品については 10 microgkgとさらに厳し

い規格を設けています2

生産者と消費者双方の利益を守りリンゴジュースへのパツリンの混入を避

けるためには迅速な試験が求められます一般的にパツリンの試験には LC分析

が用いられUV波長 273 nmで検出を行いますしかし図 1に構造を示した

ようにこの波長では低温殺菌により生じる 5-ヒドロキシメチルフルフラール

(HMF)も検出されます

ウォーターズのソリューション

ACQUITY QDa 検出器

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

MassLynxreg ソフトウェア

Target Lynxtrade アプリケーションマネージャ

Oasisreg HLB 固相抽出製品

キーワード

パツリンマイコトキシンACQUITY QDa 検出器

食品安全性リンゴジュース

ソリューションのメリット

リンゴジュースにおける規制値の 10分の 1

ベビーフードにおける規制値の 2分の 1の濃度

レベルであっても確実にパツリンを検出します

ACQUITYreg QDatrade 検出器は UPLCregHPLCシステム

の検出器として設計されており頑健性信頼

性が高く相補的な検出を可能にします

SIR(Selected Ion Recording)モードでの選択的な

検出による信頼性の高い定量分析が可能となり

ますまた RADARtrade テクノロジーによりすべ

てのマススペクトルデータを取り込むフルスキャ

ンを同時に行うことが可能で分析法開発時にも

ルーチン分析時にも多くの情報を得ることができ

ます

新製品ACQUITY QDa検出器を既存の液体クロ

マトグラフィーシステムに組み込むことにより

これまでのワークフローを変えることなく選

択性を大幅に増大させることが可能です

パツリン

5 - ヒドロキシメチルフルフラール 図 1 パツリンおよび 5-ヒドロキシメチルフルフラールの構造

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 33: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

33ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

カラム ACQUITY UPLC BEH Shield RP18

21 times 100 mm 17 microm

カラム温度 40

注入量 10 microL

流速 060 mL分

移動相 A 水+01 水酸化アンモニウム

移動相 B アセトニトリル+01 水酸化

アンモニウム

パージ液 水メタノール 5050

ニードル洗浄液 水メタノール 5050

シール洗浄液 水アセトニトリル 9010

 Time Flow rate A B Curve

 (min) (mLmin)

 Initial 060 99 1 6

 180  060 99 1 6

 230 060 10 90 6

 280 060 10 90 6

 281 060 99 1 6

 500 060 99 1 6

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa 検出器

(パフォーマンス)

イオン化モード ES I ネガティブ

キャピラリー電圧 08 kV

脱溶媒温度 500

ソース温度 150

コーン電圧 2 V

パツリン S IR 1529

HMF S IR 1248

サンプリングレート 5 Hz

固相抽出3

リンゴジュースは瓶詰前にろ過低温殺菌を

行った市販品を用い固相抽出を実施

固相抽出カートリッジOasis HLB

3 cc 60 mg

コンディショニング メタノール 3 mL

水 3 mL

ロード 試料 25 mL

洗浄 1 1 炭酸水素ナトリウム

(1 g100 mL) 3 mL

洗浄 2 01 酢酸 1 mL

真空乾燥

溶出 酢酸エチル メチル -t-

ブチルエーテル(MTBE)

= 1090 2 times 15 mL

再溶解 水 500 microL

サンプル前処理により試料は 5倍濃縮され

ているため検量線作成に用いた標準品はこ

れを考慮して調製しました(リンゴジュース

中の 5から 200 microgLの範囲は固相抽出試料

中の 25から 1000 microgLの範囲に相当します)

実験方法

表 1 リンゴジュース中のパツリン分析に用いた UPLCグラジエントメソッド

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 34: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

34 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

UV による検出ではHMF がパツリン分析を妨害する可能性がありますまた乳幼児が摂取する製品にお

ける最も厳しい濃度については検出が非常に困難ですパツリン分析における選択性を改善しより低い

定量限界を得るためにはMS検出が望まれます3しかしラボによっては質量分析計を設置するために

作業手順の変更電源工事等のインフラ整備が必要であったりMSシステムの操作やメンテナンスのため

の人材を確保しなければなりませんウォーターズはこのような様々な困難に煩わされることなく多く

のラボが MS検出のメリットを活用できるようにするためACQUITY QDa 検出器を開発しました

本アプリケーションノートではこの ACQUITY QDa検出器による MS検出を用いた ACQUITY UPLCメソッド

をご紹介しますこの新しい ACQUITY QDa 検出器はクロマトグラフィーシステムのために設計されてい

るため極めて容易に既存のラボのシステムに組み込むことができまた現在ご使用の液体クロマトグ

ラフィーワークフローを変更することなくこれまで LC検出器で得てきた選択性を大幅に増大させます

結果および考察

検出および定量

パツリン5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のモニタリングにはSI R(Single ion recording)を用い

同時に RADARテクノロジーによるフルスキャンデータ取り込みを行いました両化合物共に UV 273 nmで

吸収を持つためUV検出によるパツリン分析においては2成分のベースライン分離が要求されますし

かしこの 2成分は異なる質量(パツリンmz 153HMF mz 125)を持つためMS検出を用いることによ

りベースライン分離は必須ではなくなりますここではデータを示しませんがもちろんUV検出器と

MS検出器とを接続したシステムを使用しHMFを分離しUVデータを使用することも可能ですがMS検

出によりさらに検出限界を下げることができます3

図 2に示したようにS IR による MS検出によりリンゴジュース中のパツリンが高感度に検出されまし

たパツリンを添加した場合 1 microgLまで検出することができシグナルノイズ(SN)比 10以上(ピーク間

法を使用)を確保する最少添加量は 5 microgLでしたこの濃度は EUFDAが定めるリンゴジュースの基準値

の 110最も厳しい EUのベビーフードに対する基準値の 12にあたります

Peak-to-peak SN = 4

Peak-to-peak SN = 19

A 1 microgL patulin B 5 microgL patulin

図 2リンゴジュース固相抽出試料に添加したパツリンの S I R クロマトグラムA1 microg L 添加 B 5 microg L 添加各クロマトグラムにピーク間法による SN比を表示

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年2月 720005397JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Printed in Japan 2016 年 3月 720004987JA 03A(H)

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 35: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

35ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

図 3に固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られたマトリックス存在下での 5-200 microgL

における検量線を示しましたこの範囲において相関係数(r2)0999以上を示す良好な直線性が得られました

図 3 固相抽出リンゴジュースに添加したパツリンの検量線5-200 microg L に相当

マトリックスの影響および RADAR

食品や飲料の分析は目的成分と共に抽出されてしまうマトリックスの妨害によりしばしば複雑なものと

なりますこのためマトリックスに起因する影響を評価することが重要となり頑健性のある分析法を確

保するためには必要に応じサンプル前処理方法やクロマトグラフィーによる分析方法の調整が求められ

ます前述した前処理方法を用い固相抽出したリンゴジュースにパツリンを添加して得られた結果と

検量線範囲にわたって水にパツリンを添加して得られた結果を検討するため双方の検量線の傾きを比較

しました図 3に示したマトリックス存在下での検量線と同じ濃度範囲でパツリンを水に添加して作成し

た検量線を図 4に示しましたがリンゴジュースのマトリックスの影響によるシグナルの抑制は約 10に

留まっており本分析法の頑健性が示されています

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年2月 720005397JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Printed in Japan 2016 年 3月 720004987JA 03A(H)

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 36: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

36 ACQUITY UPLC H-Class システムACQUITY QDa 検出器によるリンゴジュース中のパツリンの選択的な分析

MS検出器の SIRを使用することで分析法の選択性が大きく改善され目的成分と同時に抽出されUV分析を妨害する可能性がある化

合物の影響が減少しています質量を検出することによるもう一つの有用な点として興味があるmz の範囲全体のスペクトル情報が

得られることが挙げられますウォーターズの RADARテクノロジーがSIR データの取得と同時にフルスキャンによるバックグラウ

ンドデータの取得を可能にしますこの技術は特に食品や飲料など高濃度のマトリックスによる干渉をモニターする際に役立ちます

今回の実験ではパツリン分析と同じ ESIネガティブイオン化法によりフルスキャンデータを取得しています得られたバックグラ

ウンドの BPI(base peak intensity)クロマトグラムを同時に取得したパツリンと HMFの SIR データと共に図 5に示しましたクロマト

グラムに見られるようにパツリンはマトリックス阻害の影響が低い領域で溶出していますこの情報により分析法の頑健性をさら

に確信することができまた本分析法を用いることによりリンゴジュース中のパツリンに与えるマトリックスの影響が最小限のも

のであることも確認できます

図 4 水に添加した 5 ndash 200 microgLに相当するパツリンの検量線

図 5 (A) フルスキャンで得られた BPI(base peak intensity)クロマトグラム   (B) リンゴジュース中 50 microgL パツリンの SI R クロマトグラム   (C) リンゴジュース中 HMF の SI R クロマトグラム   フルスキャンデータの同時取得には RADARテクノロジーを使用

B パツリン SI R

A フルスキャンの BP I

C HMF S IR

高濃度のマトリックスが見られる領域

パツリンはマトリックスの影響が少ない領域で溶出

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2013 Waters Corporation Printed in Japan  2013年 12月 720004788JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 37: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

37

WatersACQUITYACQUITY UPLCUPLCMassLynxOasis および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですRADARTargetLynx および QDa は Waters Corporation の商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

再現性

再現性を評価するためリンゴジュース中にパツリン 5 microgLを添加した試料の 50回繰り返し注入を行いました

Target Lynx アプリケーションマネージャの自動プロット機能である Trend Plotによる結果を図 6に示しまし

た面積値再現性は RSD 9でありEU法 2002657EC4で定められている 20の許容範囲を十分充た

す結果となりました4

50 回注入における再現性 (5 microgL) 図 6 固相抽出リンゴジュース試料 50回注入におけるパツリン 5 microgLの面積値再現性

参考文献

1 US FDA website httpwwwfdagovFoodFoodborneIllnessContaminantsNaturalToxinsucm212520htm

2 Commission Regulation (EC) No 18812006 Section 23

3 J Morphet Rapid Analysis of Patulin Contaminination in Apple Juice Waters Application Note no 720002410en 2008

4 Commission Directive 2002657EC Off J of the European Communities No L2218

結論

ACQUITY UPLC H-ClassシステムACQUITY QDa検出器はジュー

ス中の規制値の 110最も厳しい EUのベビーフード中の規制

値の 12のレベルでのリンゴジュース中のパツリン定量を可能

にします

RADARテクノロジーによる高い選択性を有する SIRデータとフ

ルスキャンデータとの同時取得はバックグラウンドによる干渉

を評価できる強力なツールとなりますこの機能は分析法開発

の過程やマトリックス干渉の変化により結果に影響が出る可

能性のある日常的な分析全体にわたって特に有用です

ACQUITY QDa 検出器はラボの MS検出技術の導入を容易にし

ますMS検出を加えることにより化合物同定が確実となり

食品飲料分析における検出選択性の増大が可能となります

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2014 Waters Corporation Printed in Japan  2014年 5月 720004993JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 38: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

38

ウォーターズのソリューション

Oasisreg HLB

ACQUITY UPLCreg HSS C18カラム

ACQUITY UPLCreg I-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

キーワード

クロラムフェニコール抗生物質

ACQUITY QDa牛乳

ソリューションのメリット

牛乳中クロラムフェニコールの迅速スクリー

ニング

規制下限値以下の検出による定量的スク

リーニング

シンプルで高感度な規制抗生物質の検出

現行の LC分析工程はそのままに簡便に MS

検出を実現

はじめに

クロラムフェニコールは安価な広域抗生物質ですが一部の感受性が高い人に

ついては毒性を伴うことがあり発ガン性遺伝毒性両方の疑いが持たれ

致命的な再生不良性貧血(骨髄の損傷)の症例も広く確認されていますこの

ためEUカナダアメリカでは動物昆虫養殖水産物から製造される食品

への使用が禁止されており一部のアジア南アメリカ諸国もこれに追随して

いますEUではCommission Decision 2003181 ECで食品中のクロラムフェ

ニコールを検出するすべての分析法について最低限必要な性能限界(MRPL)

を 03 microg kgと定めています

乳製品を検査するラボでは製品の保管寿命が短いために大量のサンプルの

迅速な分析が求められることから伝統的に免疫学的な測定法( ELISA)が選択

されていますELISA は感度も良く迅速な分析法ですが顕著なレベルで偽陽

性が出現するという欠点がありその頻度は場合によっては 16に上ると

いう報告もあります1

クロラムフェニコールは免疫吸着材と阻害マトリックスの交差反応により牛

乳中でしばしば誤検出され不必要な製品の廃棄を招いていますこれに対し

MS 検出ではより高感度な検出が可能でクロラムフェニコールと夾雑物との

識別を容易にしますさらに液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせる

ことによりガスクロマトグラフィーによるスクリーニングで必要な時間の

かかる誘導体化も不要となりますこのようなメリットをラボに採り入れて

いただくためここでは技術の進歩特に装置の操作性と頑健性の改良に焦点

を当てて ACQUITY QDa 検出器をいかに容易に従来からの LC分析業務に組み

込むことができるのかまた質量分析の知識をもつ専門家を必要としない高い

操作性についてご紹介します

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニングEimear McCall1 Sara Stead1 Dominic Roberts1 and Jennifer A Burgess2

1 Waters Corporation Manchester UK2 Waters Corporation Milford MA USA

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 39: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

39ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング

実験方法

UPLC 条件

LC システム ACQUITY UPLC I-Class

分析時間 5分

カラム ACQUITY UPLC HSS C18

18 microm21times 100 mm

移動相 10 mM 酢酸アンモニウム含有

  メタノール 水= 4555

注入量 10 microL

検出器条件

検出器 ACQUITY QDa

イオン化モード ESI -

SIR チャンネル 3210

コーン電圧 15 V

プローブ温度 600

パージ液 水 メタノール= 9010

キャピラリー電圧 08 kV

サンプリングレート 5 ポイント 秒

試料調製

低脂肪乳を 5 g秤量し 25 mL遠沈管に移し 03 microgkgとなるようクロラムフェニ

コールを添加ヘキサン 5 mL70アセトニトリル 15 mLを加え脱脂および

タンパク沈殿を行いました試料を振り混ぜ 3900 Gで 10分遠心分離(4)

した後下層のアセトニトリル層 5 mLを採り 10メタノールで 15 mLになる

よう希釈しました

Oasis HLB 3 cc(60 mg)カートリッジをメタノール 2 mL水 4 mLでコンディショ

ニングし希釈した試料 15 mLをロードしました5メタノール 6 mLで洗

浄した後100メタノール 6 mLでクロラムフェニコールを溶出しました

続いて溶出液を窒素ガスで乾固し 10メタノール 300 microLに再溶解し LC-MS

分析に用いました

標準試料調製

ブランクの低脂肪乳(クロラムフェニコール無添加)を上記と同様に処理し

乾固後 0075 -1 microgkgの 6濃度の標準品溶液で再溶解しました

結果および考察

牛乳抽出物の分析の前に最も効率的かつ高感度な検出ができるよう事前に

最適化されている MS条件(デフォルト)を使用してクロラムフェニコールの

MS条件を微調整しましたその結果ネガティブモードコーン電圧 15 V

(デフォルト値)で最も高い感度が得られこの条件を用いてマトリックス添

加検量線を作成しEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加した牛

乳試料を精密に定量することができました検量線では図 1に示したように

0075 -1 microgkgの範囲において R2gt0995の優れた直線性が得られました

Compound name CAPCorrelation coefficient r = 0998418 r2 = 0996838Calibration curve 329988 x + -104291Response type External Std AreaCurve type Linear Origin Exclude Weighting Null Axis trans None

ngml000 010 020 030 040 050 060 070 080 090 100

Res

pons

e

0

2000

ngml

Res

idua

l

-200

00

200

図 1 0075 -1 microgkg2回注入によるマトリックス添加検量線

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 40: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

ACQUITY UPLC I-ClassACQUITY QDa 検出器による牛乳中クロラムフェニコールの選択的高感度スクリーニング40

マトリックス効果を評価するためマトリックスを含む標準品による検量線とマトリックスを含まない

標準品による検量線を同じ濃度範囲で比較しました(図 2)両検量線の重ね書きからマトリックス効果

(イオン化促進)が明らかでありそれぞれの検量線の傾き ( ----------------------- x 100 )を用いて統計的に示すと

マトリックス効果は 177となりましたこのようにマトリックス効果は認められましたがマトリックス

添加検量線を用いることにより牛乳中クロラムフェニコールの定量スクリーニングを正確に実施する

ことが可能でした

さらにクロラムフェニコールを添加していない牛乳のブランク試料を n =2で分析したところ図 3Aに

示したようにベースラインノイズが見られたのみで偽陽性は検出されませんでした今回は重水素を利用

した高価な内部標準物質は使用せずEUの MRPL と同濃度のクロラムフェニコールを添加したサンプルの

調製(クロラムフェニコールの添加および抽出)を n = 4で行い1検体につき 2回ずつ計 n = 8で分析し

マトリックス添加検量線を使用して定量しました図 3Bに示したように n = 8で分析したクロラムフェニ

コールピークはピーク間ノイズ法で S N50以上と良好な感度が得られました

Slope sampleSlope standard

120

620

1120

1620

2120

2620

3120

3620

005 015 025 035 045 055 065 075 085 095 105

Concentraon (ppb)

B MM milk

y = 33373x - 10286Rsup2 = 099743

A Solvent

y = 18827x - 274Rsup2 = 099955

Peak

are

a

図 2 0075 -1 microg kg クロラムフェニコールの検量線の重ね書き 2A溶媒(10 メタノール)溶解標準試料の検量線2Bマトリックス(牛乳)添加検量線

B Chloramphenicol in milk at 03 gkg-1

A Blank milk sample

図 3 クロラムフェニコールの Selected ion recording(SIR)クロマトグラム(mz 321) 3Aブランク 牛乳抽出物(n=2)3BMRPL(03 microgkg)クロラムフェニコール添加牛乳試料n=8の重ね書き(SN≧ 50)

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 41: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

41

結論

信頼性の高い牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリーニ

ング法として正確で頑健な分析法を構築しました本法により

容易にしかも内部標準物質の使用なしで規制の要求に適合する

検出レベルに到達できることEU MRPL である 03 microgkg での優

れた再現性を示しました質量検出がもたらすさらなる情報により

選択性の向上すなわち目的成分と夾雑物との識別が実現され

偽陽性を排除することが可能となります

参考文献1 V Gaudin N Cadieu O Maris O IVth International Symposium on Hormone

and Veterinary Drug Residue Analysis Belgium 2002

図 3Bに示したように良好な保持時間再現性が得られました回収率とともに統計計算結果をテーブル 1に示しました平均回収率は

727でありEUの Commission Decision 2002657ECの基準を充たしており規制下限値また n=8での相対標準偏差(RSD)は 46

未満と優れた再現性が確認されました以上より本分析法が規制下限値における牛乳中クロラムフェニコールの定量的スクリー

ニング法に要求される頑健性と感度の両方を充たすものであることが示されました

番号 回収率 保持時間(分)

1 770 223

2 697 223

3 763 223

4 717 223

5 723 223

6 673 223

7 750 224

8 723 223

平均 727 2231標準偏差 33 0004

RSD 45 0158

表 1 固相抽出による回収率(n=8) サンプル抽出および装置の良好な再現性

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDa および The Science of Whatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

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47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 42: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

42

ウォーターズのソリューション

Alliancereg HPLC

ACQUITYreg QDareg検出器

CORTECSカラム

キーワード

メチルイミダゾールQDaHILICカラム

カラメル清涼飲料ウィスキー

食用色素カラメル色

アプリケーションのメリット HPLC-MS による分析時間 85分以下の 2-お

よび 4-メチルイミダゾール分析

SPE による前処理を必要としない高感度定量

分析

高性能 CORTECSreg HILIC カラムによる対象化

合物の効果的な保持と分離

はじめに

カラメル色素はソースやキャンディデザート清涼飲料ビール蒸留酒

など様々な食品や飲料に添加される複雑な混合成分ですこの色素はアンモ

ニアとその他いくつかの試薬の存在下で炭水化物を加熱する方法で製造され

この反応による副生成物が 4-メチルイミダゾール(4-MEI)ですこの化合物は

動物モデルにおいて発がん性物質として確認されたためIARC モノグラフ 1に

おいてlsquoヒトに対して発がん性の可能性がある物質rsquoとしてリストに記載され

ていますそのような理由から欧州委員会(EC)ではカラメル色素の濃度を

250 mgkgまでに制限し 2アメリカのカリフォルニア州法 Proposition 653に

おいても 4- MEI を発がん性のある化学物質として現在はldquo重大なリスクを生じ

ないレベル(No Significant Risk Level NSRL)は 29 microg日rdquoと付記されています

フォトダイオードアレイ( PDA)による検出は飲料サンプル中の濃度レベル

では十分な感度が得られないため4-MEI とその類縁物質の分析は LC-MS法が

推奨されています 4食品中のメチルイミダゾールについて有事のデータをよ

り迅速に得るためには固相抽出(SPE)によるサンプルのクリーンアップや

濃縮が必要のないメソッドが求められます 4本アプリケーションノートでは

ウォーターズの CORTECS カラムを質量検出と組み合わせた HPLC 分離による

4-MEI とそのアイソマー2-MEI の迅速分析についてご紹介します

Alliance HPLCと質量検出を用いた2- および 4-メチルイミダゾール分析Mark E Benvenuti and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 43: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

43Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

実験方法

LC条件

HPLCシステム Alliance

分析時間 205分

カラム CORTECS HILIC 90Å

27 microm21times100 mm

移動相 A 10 mM ギ酸アンモニウム

(ギ酸で pH4に調整)

移動相 B アセトニトリル

(01ギ酸含有)

注入量 5 microL

グラジエント

Time Flow A B

1 Initial 04 75 925

2 85 04 75 925

3 90 04 600 400

4 110 04 600 400

5 115 04 75 925

6 205 04 75 925

MS条件

検出器 ACQUITY QDa検出器

(Performance)

イオン化モード ESI+

キャピラリー電圧 08 kV

コーン電圧 15 V

プローブ 600

ソース温度 120

SI R イミダゾール 691 mz

SIR 2-および 4-MEI 831 mz

取込み速度 2 Hz

分析法開発の際アイソクラティックで分析すると清涼飲料サンプル分析後

はシステム圧の上昇が見られますカラムから全てマトリックス成分を確実に

溶出させるために前述したクリーンアップのためのグラジエントメソッドを

プログラムに組み込みましたSchleeらも飲料サンプル分析後の十分な洗浄

の必要性に触れており 4洗浄工程を組み込むことで本アプリケーションノー

トで示した全種類の飲料の繰り返し分析に対して頑健なメソッドを構築するこ

とが出来ます

サンプル調製

濃度 1000 mgL の 2-MEI 4-MEIとイミダゾールのストックソリューション(水

溶液)をそれぞれ調製しましたこれらストックソリューションを用いて10 ppm

の 2-MEIと 4-MEIの混合標準溶液と10 ppmのイミダゾール標準溶液をそれぞれ

調製しました10 ppm混合標準溶液は表1に示されている濃度の 10種類の

サンプルを調製するためにそれぞれ希釈し各標準溶液には内部標準として

100 ppbのイミダゾールを添加しました各標準溶液 100 microLをアセトニトリル

900 microLと混合し分析に供しました

標準溶液 2-および4-MEI(ppb)

イミダゾール(IS)(ppb)

1 2000 100

2 1000 100

3 750 100

4 500 100

5 250 100

6 100 100

7 50 100

8 25 100

9 10 100

10 5 100

表12-および 4-メチルイミダゾール (MEI)と内部標準(イミダゾール)の検量線用標準溶液濃度

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2015 Waters Corporation Produced in Japan  2015年 2月 720005200JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Printed in Japan 2016 年 3月 720004987JA 03A(H)

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 44: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

44 Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

1800000

2000000

Inte

nsity

00

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

1400000

1600000

Minutes400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI 2-MEI

Imidazole (IS)

mz-831

mz-691

図 1 標準溶液 6(100 ppb)のクロマトグラム

図 2 4-MEI の検量線

結果および考察

図 1はmz 831における 4-および 2-MEIのクロマトグラムとmz 691における内部標準であるイミダゾー

ルのクロマトグラムです分析時間 85分以下で MEI アイソマーの卓越した分離が達成できました

図 2は4-MEIの検量線を示しています検量線の直線性(R2)は50-2000 ppbの範囲で 0999残差は<20

でした図 3には今回分析した 6種類のサンプルのクロマトグラムを示しています4-MEI は全てのコー

ラサンプルで検出された一方で2-MEI は全く検出されませんでしたオレンジフレーバーの清涼飲料

では予想通りいずれの化合物も検出されませんでしたウィスキーサンプルの 1つでは微量の 4-および

2-MEI が検出されました表 2はそれぞれのサンプルにおいて検出された 4-MEI の濃度と回収率のデー

タです

R2 - 0999

Are

a Rat

io

000

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

200000

220000

240000

Amount

000 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 200000

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 45: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

45Alliance HPLCと質量検出を用いた2-および4-メチルイミダゾール分析

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Inte

nsity

200000

400000

Minutes

400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 620 640 660 680 700 720 740 760 780 800 820 840

4-MEI

4-MEI 2-MEI

4-MEI

4-MEI

Cola 1

Whiskey 2

Whiskey 1

Orange Flavored Soft Drink

Cola 3

Cola 2

A

B

C

D

F

E

図 3 6種類のサンプルの mz831における SIR クロマトグラムA-Cコーラサンプル 1-3 Dオレンジフレーバー飲料E-F ウィスキーサンプル 1および 2縦軸は同じスケールで示しています ただしベースラインと僅かに検出されたピークを明確に確認するためクロマトグラム D-Fについては一部拡大しています

表 2 分析した添加サンプルの回収率データ(ppb)

サンプル 4-MEI (ppb)

2-MEI (ppb)

4-MEI spike (ppb)

2-MEI spike (ppb)

R 4-MEI (ppb)

R 2-MEI (ppb)

Cola 1 1437 ND 12849 11064 1141 1106

Cola 2 8393 ND 19478 10901 1108 1090

Cola 3 1493 ND 13653 12340 1216 1234

Orange SD ND ND 11922 11659 1192 1166

Whiskey 1 ND ND 11965 11537 1196 1154

Whiskey 2 197 225 11020 10927 1082 1070

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 46: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

46

結論

4-MEI分析のための迅速かつシンプルなグラジエントメソッドを

構築しました全てのコーラサンプルについて4-MEIは全ての

サンプルで検出され2-MEIは全く検出されませんでしたウィ

スキーサンプルの1つについては微量の 4-MEIおよび 2-MEIが

検出されましたオレンジフレーバーの清涼飲料からはいずれ

の物質も検出されませんでした

Alliance HPLCと ACQUITY QDa検出器および CORTECS HILICカラム

の組み合わせは4-MEI 分析において以下に示すような多数のメ

リットをもたらすことが本アプリケーションノートで示されました

85分以下で 2-MEI および 4-MEI をベースライン分離

UV 分析をさらに明確にする SI R質量検出

高極性化合物の保持

参考文献

1 IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum httpmonographsiarcfrENGMonographsvol101mono101-015pdf

2 European Food Safety Authority (2004) Scientific opinion on the re-evaluation of caramel colours (E 150 abcd) as food additives EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS) EFSA Journal 2011 9 (3) pp5 doi102903jefsa20112004

3 Specific Regulatory Levels Posing No Significant Risk 4-Methylimidazole (4-MEI) Proposition 65 OEHHA 7 Oct 2011 Retrieved 15 Aug 2012

4 C Schlee M Markovaa J Schranka F Laplagnea R Schneidera DW Lachenmeiera Determination of 2-methylimidazole 4-methylimidazole and 2-acetyl-4-(1234-tetrahydroxybutyl)imidazole in caramel colours and cola using LCMSMS J Chrom B 27 223ndash226 2013

分析種 RT(分) RSD 濃度(ppb) RSD

4-MEI 628 044 19478 082

2-MEI 716 052 10901 102

コーラサンプルの1つは 4-MEIについてカリフォルニア州当局の

ガイドラインを超えていましたが全てのサンプルで体重 1 kgあ

たり 80 mg(最大無毒性量NOAEL)という EUの基準 2を十分下

回っていました全てのサンプルにおいて2-および 4-MEIの回

収率は 110-123の範囲でした表 3はスパイクしたコーラ

サンプル 2の 7回繰り返し注入における保持時間と濃度の再現性

のデータを示しています両方の分析種について保持時間の RSD

は 055以下でこれはそれぞれの分析の間で適切に平衡化さ

れていることを示しています7回注入から得られたデータから

算出した濃度の RSDは 4-MEIが 0822-MEIが 102でした

表 3 100 ppbの 2-および 4-MEIをスパイクしたコーラサンプル 2の 7回注入における再現性データ

WatersCORTECSAllianceACQUITYQDa および The Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 47: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

47

ウォーターズのソリューション

ACQUITY UPLCreg H-Class システム

ACQUITY QDareg 検出器

ACQUITY UPLC BEH Amide カラム

Sep-Pakreg シリカカートリッジ

MassLynxreg ソフトウェア

Empowerreg 3 ソフトウェア

キーワード

メラミンシアヌル酸(CA)

ジシアンジアミド(DCD)

DCD質量検出ミルクの分析

ミルクのスクリーニングタンパク質汚染

アプリケーションのメリット メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアン

ジアミド(DCD)の 3分以内での分離

既存の LC-MSMS 分析法より経済的な代替

分析法

既存の LC ワークフローへ容易に統合できる

質量検出

UV吸収の弱い化合物の定量

内部標準物質の追加コストを必要としない

簡単なサンプル調製

優れた回収率と再現性

はじめに

メラミンおよびシアヌル酸(CA)は過去の様々な食品中のタンパク質汚染 1に関

連した窒素を豊富に含む低分子化合物です(図 1)メラミンとシアヌル酸は個別

には毒性はありませんが組み合わせによって水素結合を介した付加化合物メラ

ミンシアヌレートを形成することがあり内臓不全を引き起こし死に至る可能性

のある鋭利な結晶を生成します 2同様の化合物のジシアンジアミド(DCD)は放

牧された家畜の環境への影響を最小化するために使用されておりニュージーラ

ンドにおいて乳製品中に少量検出されました 3メラミンの公表されている基準

値は乳児用調製乳中では 1 mgkgで他の食品や動物飼料中では 25 mgkgです

これらの値はメラミンの耐容一日摂取量(TDI)その類縁体は体重(bw)1kg

あたり 064 mgに基づき設定されています 4最近より厳格なメラミンおよび

その類似体の耐容一日摂取量(TDI)の体重 1kgあたり 02 mgが設定されました 5

ジシアンジアミド(DCD)には欧州食品安全庁は体重 1kgあたり 1 mgを設定し

ています 6これらの化合物は非常に高い極性をもっているため一般的に逆相

分離はこれらの分析には利用できません現在の分析法では主に MSMS検出

と HIL IC カラムあるいはイオンペア試薬 7を組み合わせて使用します

このアプリケーションノートではメラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジ

アミド(DCD)の一貫したシンプルな定量を行うためにWatersreg ACQUITY QDa検

出器と ACQUITY UPLC H-Classシステムを組み合わせた分析法を紹介します

粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの質量検出によるスクリーニングMark E Benvenuti Michael S Young Gareth E Cleland and Jennifer A BurgessWaters Corporation Milford MA USA

メラミン ジシアンジアミド(DCD)

シアヌル酸(CA)

図 1 メラミンシアヌル酸(CA)およびジシアンジアミド(DCD)の構造

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 48: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング48

実験条件

キャピラリー電圧 08 kV ポジティブイオン

06 kV ネガティブイオン

プローブ温度 デフォルト(600 )

ソース温度 デフォルト(120 )

メラミン

SIR mz 1271ポジティブイオン

コーン電圧 15 V

シアヌル酸

SIR mz 1280ネガティブイオン

コーン電圧 10 V

ジシアンジアミド

SIR mz 851 ポジティブイオン

コーン電圧 10 V

サンプリングレート 5 Hz

フルスキャン範囲 mz 50 to 300

コーン電圧 15 V

ポジティブおよびネガティブイオンセントロイド

サンプル調製

1 gの粉ミルクまたは乳児用調製乳を 2ギ酸水溶液 10mLに溶解

しました乳児用調製乳溶液 1 mLに 9 m Lの 2ギ酸水溶液を加

えましたこの溶液 1 mLに 9 mLのアセトニトリルを加えよく

混ぜ合わせましたタンパク質性の沈殿物は20分間静置後に

2233 g rcfで 20分間遠心分離し沈降させました上清 1mLを事前

に 90アセトニトリル 6mLで調整した Sep-Pak 6 ccシリカカート

リッジ(pn 186004616)に注入しましたカートリッジから 90

アセトニトリル 4mLで溶出させ溶出液を分析しました粉ミル

クおよび乳児用調製乳(粉末状液体状牛乳由来および大豆由来)

の 5つのサンプルを分析に用いました

添加回収試験は 1 g(液体状の乳児用調製乳)に 1 mg L メラミン

20 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミドを添加し行いました

これを上述の 5つのサンプルに対して行いましたそれぞれのサ

ンプルは上述の試料調製プロトコールで調製しました回収率

を表 2に記載しました

LC 条件

LC システム ACQUITY UPLC H-Class

データシステム Empower 3

分析時間 140 分

カラム ACQUITY UPLC BEH Amide

17 microm21times150 mm

カラム温度 35

移動相 A 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 50

アセトニトリル水溶液

移動相 B 10 mMギ酸アンモニウム 0125ギ酸含有 90

アセトニトリル水溶液

流速 06 mL 分

注入量 5 microL

時間 流速 (分) (mL分) A B

1 Initial 06 2 98

2 30 06 2 98

3 35 06 98 2

4 40 06 98 2

5 41 06 2 98

6 140 06 2 98

標準品調製

メラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのそれぞれ 1000

mgLの標準溶液は水で調製しましたこれらから直ちに 2 mgL

メラミン100 mgL シアヌル酸および 100 mgL ジシアンジア

ミドの混合溶液を水で調製しましたこの標準液を 90アセ

トニトリル水溶液で 100倍希釈することで20 microgL メラミン

1000 microgLシアヌル酸および 1000 microgL ジシアンジアミドの標準

溶液を調製しましたこの標準溶液を表 1に記載された濃度の

検量線を作成するために 90アセトニトリル水溶液で 9段階に

希釈しました

MS 条件

MS システム ACQUITY QDa(Performance)

イオン化モード ESI+-

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Produced in Japan 2016年2月 720005397JA PDF

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 49: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

49

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

1 200 10000 10000

2 100 5000 5000

3 50 2500 2500

4 40 2000 2000

5 20 1000 1000

6 10 500 500

7 05 250 250

8 04 200 200

9 02 100 100

標準品 メラミン シアヌル酸 ジシアンジアミド

乾燥粉ミルク 85 105 98

乳児用調製乳粉末状牛乳由来

103 123 105

乳児用調製乳粉末状大豆由来

750 113 105

乳児用調製乳液体状牛乳由来

99 119 112

乳児用調製乳液体状大豆由来

91 115 97

表 1 検量線作成に用いた標準溶液の濃度(microg L)表 2 5つの異なるマトリクスにおけるそれぞれの化合物の添加回収率メラミン 1 mgLシアヌル酸およびジシアンジアミド 20 mgLを添加

図 2A ACQUITY UPLC BEH HILIC カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

図 2B ACQUITY UPLC BEH Amide カラム(21times150 mm)を用いたメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの SIR クロマトグラム最初のクロマトグラムはアセナフテンの 280 nmの UVクロマトグラムでアセナフテンはこのカラムには保持されないためカラムのボイド容量を示しています

結果および考察

分析法開発

このアプリケーションノートの 3化合物を分離する

ためにはHILIC は理想的な手法です2つの異な

る HILIC カラム BEH HIL IC カラムおよび BEH Amide

カラムを用いました図 2に非保持マーカーとして

使用したアセナフテンとともに両方のカラムにおけ

る化合物の保持を比較して示しました図 2Aに示

すようにシアヌル酸とジシアンジアミドは HILIC

カラムの非修飾 BEH 粒子ではほとんど保持しません

でしたACQUITY UPLC BEH Amideカラムのトリファ

ンクショナルのカルバモイルリガンドは目的の化合

物の保持を非常に改善した(図 2B)ためこのカラ

ムを分析に用いました図 2Bに示すように3つ

の化合物の優れた分離が達成されましたメラミン

は 3化合物の中で最も保持が強いですが3分以内

に溶出しました

AU

000

015

030

強度

160000

320000

480000

強度

20000

40000

60000

強度

240000

360000

480000

分000 040 080 120 160 200

アセナフテン(ボイド)

HILIC カラム

メラミン

ジシアンジアミド

シアヌル酸

AU

000

015

030

強度

100000

200000

300000

強度

00

100000

200000

強度

200000

300000

400000

分000 070 140 210 280

アセナフテン(ボイド)

Amide カラム

メラミン

シアヌル酸

ジシアンジアミド

A

B

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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Page 50: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング50

図 3は標準溶液 1の UVマックスプロット とそ

れぞれの化合物(20 microg L メラミン1000 microg Lシア

ヌル酸およびジシアンジアミド)の SIR クロマトグ

ラムを示しています図 3の UVトレースではジ

シアンジアミドだけが強く検出されていますこれ

らの化合物に対する質量検出の有用性を示した S IR

チャネルにおいては3つの化合物すべてが強いシ

グナルを示しました

クロマトグラフィー法を評価するためにサンプ

ルマトリックスの例として市販の 5つの異なる

サンプル(脱脂粉乳牛乳由来の粉末状乳児用調製

乳大豆由来の粉末状乳児用調製乳牛乳由来の液

体状乳児用調製乳および大豆由来の液体状乳児用

調製乳)を購入しましたこれらのサンプルの分析

後メラミンと同じ保持時間で溶出される未知化合

物がサンプル中に存在することが明らかになりまし

たこの化合物はメラミンの溶出直後の凹みとして

S IR クロマトグラムにあらわれました原因をさら

に調査するためにフルスキャン MSデータを S IR

クロマトグラムと一緒に取得しましたこの化合

物はmz1041を示し(データ省略)分析したすべ

てのマトリックス中に存在することがわかりました

メラミンのレスポンスの抑制を避けるためにSep-

Pakシリカカートリッジを使用した精製を行いまし

たこの方法の有効性を化合物を添加した乳児用

調製乳に対して Sep-Pakカートリッジによる精製の

有無によって比較し図 4に示しました

図 4Aに精製なしの化合物を添加した乳児用調製中

のメラミンの S IR クロマトグラムを示しています

メラミン溶出後のベースラインの凹みは前述した

ようにシグナルの著しいイオン化抑制を示唆してい

ます図 4Bのmz 1041の抽出イオンクロマトグ

ラムはイオン化抑制を引き起こす化合物のピーク

を示しています図 4Bにおけるクロマトグラムの

強度はこの化合物が目的の化合物よりもはるかに

高いレベルで存在することも示しています図 4C

のように精製後はメラミン SIR クロマトグラムの

ベースラインは影響を受けていません図 4Dは精

製後のmz 1041の抽出イオンクロマトグラムを示

しています

AU

000

002

004

強度

0

200000

400000

強度

0

50000

100000

強度

0

300000

600000

分000 070 140 210 280

ジシアンジアミド UV マックスプロット (200 - 300 nm)

mz - 1271 メラミン

mz - 1280 シアヌル酸

mz - 851 ジシアンジアミド

図 3 標準溶液 1の UVマックスプロット とメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのSIR クロマトグラムの重ねがき

図 4 メラミンを添加した乳児用調製乳の Sep-Pakシリカカードリッジによる精製の有無の比較

UV マックスプロットは 3次元 PDAデータに由来する各データポイントの最大

吸光度をプロットした 2次元クロマトグラムプロットです

強度

100000

200000

300000

強度

0

2x107

4x107

強度

100000

200000

300000

400000

500000

強度

1350000

1400000

1450000

1500000

分205 215 225 235 245 255 265 275 285 295

メラミン

メラミン

抑制 メラミン SIR精製なし

A

B

C

D

mz 104精製なし

メラミン SIR精製あり

mz 104 精製あり

精製後のシグナル強度の減少

mz 1271

mz 1271

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 51: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

51

mz 1041のレスポンスは精製によって約 1250

になりましたこの分析法開発の調査と改善は目

的の化合物の選択された SIR チャンネルとフルス

キャンを同時取得することよって可能になりました

SIR 分析は目的の化合物をスクリーニングするため

に必要な最低濃度での高感度定量を実現しますそ

してフルスキャン MSデータはマトリックス中

で分析法開発および分析法の変更のための貴重な情

報を提供しました

サンプル分析

それぞれの化合物の検量線を図 5A-Cに示します

図 5に示すように検量線の範囲は 3つ化合物が

直線性を示す異なる濃度範囲を選択しましたすべ

ての化合物の回帰は残差 20以下で 0996以上で

した

添加の有無脱脂乳粉末液体状牛乳由来の乳児

用調製乳粉末状大豆由来の乳児用調製乳の比較

を図 6に示します図 6Aではメラミンが 1 mgL

添加されていますシアヌル酸(図 6B)およびジシ

アンジアミド(図 6C)は 20 mgL(図 5の検量線の

範囲内 )で添加されていますメラミン(図 6A保

持時間 25分)のピークの前の強度の低いのピーク

は牛乳由来乳児用調製乳サンプルにおいて明らかで

したがメラミンのピーク検出を妨害しませんでした

メラミン - 02-20 gL R2- 0999122

シアヌル酸 - 10-1000 gL R2- 0998415

ジシアンジアミド 10-250 gL R2- 0996360

A

B

C

図 5 メラミン( A )シアヌル酸( B )およびジシアンジアミド( C )の検量線

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング

質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

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質量検出による粉ミルクおよび乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドのスクリーニング52

A

B

C

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

強度

32000

64000

96000

強度

33000

66000

99000

分128 136 144 152 160

mz-1280

シアヌル酸 SIR mz 1280

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

強度

180000

360000

540000

強度

200000

400000

600000

分090 100 110 120

mz-851

ジシアンジアミド SIR mz 851

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

強度

00

200000

400000

600000

分200 220 240 260 280 300

メラミン SIR mz 1271

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

脱脂粉乳ブランク

脱脂粉乳化合物添加

液体状牛乳由来乳児用調製乳ブランク

液体状牛乳由来乳児用調製乳化合物添加

粉末状大豆由来乳児用調製乳ブランク

粉末状大豆由来乳児用調製乳化合物添加

図 6 脱脂粉乳液体状牛乳由来乳児用調製乳および粉末状大豆由来乳児用調製乳のブランクと化合物添加(1 mgL メラミン20 mgL シアヌル酸および 20 mgLジシアンジアミド)後の SIRの比較(A)S I R クロマトグラム(mz 1271メラミン)(B)S I R クロマトグラム(mz 1280シアヌル酸)(C)S I R クロマトグラム(mz 851ジシアンジアミド)

回収率を評価するために添加した量と図 5の検量

線を用いて定量値を比較しました前述した濃度で

5つの異なるマトリックスに添加した際の回収率を

3ページの表 2に示しました回収率はすべての

検体で 75から 123でした化合物を添加した

液体状大豆由来乳児用調製乳の 7回繰り返し注入に

ついて再現性を評価しました保持時間と定量値の

両方の RSDをそれぞれの化合物について3ペー

ジの表 3に示します

53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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53

結論

乳児用調製乳中のメラミンシアヌル酸およびジシアンジアミドの迅速なスク

リーニング分析法が開発されました5つのマトリクス添加分析において 3つ

の化合物の回収率は 75から 123でしたACQUITY QDa検出器BEH Amide

カラムと ACQUITY UPLC H-Classの組み合わせは以下のメリットを提供します

高極性で保持が困難な化合物の保持

3分以下での迅速なベースライン分離

シンプルな前処理精製

大がかりな質量分析のトレーニングを必要としない高選択性で高感度な

質量検出

参考文献

1 Import alert 99ndash29 ldquoDetention without physical examination of all vegetable protein products from China for animal or human food use due to the presence of melamine andor melamine analogsrdquo US Food and Drug Administration 27 April 2007

2 Culprit in pet food deaths may be combination of contaminants Michigan State University November 29 2007

3 Government downplays DCD risk News NZ January 27 2013

4 US FDA Interim Melamine and Analogues Safety Risk Assessment May 25 2007 httpwwwcfsanfdagov~dmsmelamrahtml

5 The EFSA Journal 2010 8 1573

6 The EFSA Journal (2004) 36 1ndash6

7 Draher J et al Validation of a rapid method of analysis using ultrahigh-performance liquid chromatography ndash tandem mass spectrometry for nitrogen-rich adulterants in nutritional food ingredients Journal of Chromatography A 1373106ndash113 2014

WatersACQUITY UPLCACQUITY QDaACQUITYUPLCSep-PakMassLynxEmpowerおよび EmpowerはThe Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporation の登録商標ですその他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します

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NOTES

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NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

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54

NOTES

55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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55

NOTES

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

copy2016 Waters Corporation Printed in Japan 2016 年 3月 720004987JA 03A(H)

日本ウォーターズ株式会社 wwwwaterscom東京本社 140 -0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118大阪支社 532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734ショールーム 東京 大阪サービス拠点 東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡   

Page 56: FOOD TESTING - Home : Waters 7.35 457 5 Biotin (B7) 7.50 245 10 Riboflavin (B2) 7.74 377 15 Standard Individual B complex vitamins (mg/L ) Vitamin C (mg/L) 1 1.00 50.0 2 0.75 37.5

世界のウォーターズ

Austria 43 1 877 18 07

Australia 61 2 9933 1777

Belgium and Luxembourg 32 2 726 1000

Brazil 55 11 4134 3788

Canada 1 800 252 4752

China 86 21 6156 2666

Czech Republic 420 2 617 11384

Denmark 45 46 59 8080

Finland 358 9 5659 6288

France 33 1 30 48 72 00

Germany 49 6196 400 600

Hong Kong 852 2964 1800

Hungary 36 1 350 5086

India 91 080 49292200 03

Ireland 353 1 448 1500

Israel 9723 3731391

Italy 39 02 265 0983

Japan 81 3 3471 7191

Korea 82 2 6300 9200

Malaysia 603 7841 1688

Mexico 52 55 52 00 1860

The Netherlands 31 76 508 7200

Norway 47 6 384 6050

Poland 48 22 101 5900

Portugal 351 21 893 61 77

Puerto Rico 1 787 747 8445

Singapore 65 6593 7100

Spain 34 93 600 9300

Sweden 46 8 555 115 00

Switzerland 41 56 676 7000

Taiwan 886 02 2508 5500

UAE 971 4 214 62 38

UK 44 208 238 6100

US 1 800 252 4752

WatersACQUITYACQUITY UPLCAllianceCORTECSEmpowerMassLynxOasisQDaSep-PakUPLCおよび T he Science of W hatrsquos Possible は Waters Corporationの登録商標ですRADARTargetLynx および TrendPlot は Waters Corporationの商標ですVICAM および Myco6in1+は VICAMおよび A Waters Businessの商標ですその他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します

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