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ヒューマノイドロボットによる釘打ち作業 大学 ○ ,大 Hammering a Nail by a Humanoid Robot Shunsuke KOMIZUNAI, Teppei TSUJITA, Fumiya NISHII, Yuki NOMURA, Takuya OWA, Atsushi KONNO and Masaru UCHIYAMA, Tohoku University Abstract: For a robot to perform tasks similar to human, utilizing impact force is an effective method. The motion during these tasks is defined as an impact motion. Practically, it is required that the motion is stable and possible to be recursively performed. In this paper, as an application of the impact motion, nail driving by a humanoid robot is presented. 1. はじめに ヒューマノイドロボットが に対して に, るために して アクチュエータ える大き させる がある. ,こ よう をイン パクト び,一 して 打ち って いる. 打ち を活 した してさまざま されてきた.これら された マニピュレーターを いた 1) , 2) ,片 ついて 3) あった. ,ヒューマノイドロ ボットを いてインパクト い, を打ち について る.また, した する.以 ,こ れら をま めて 2. 実験環境 Fig. 1 すようにヒューマノイドロボット HRP-2 4) い, を打つ ついて る. ベース Σ b O b 影した あり,ロボット X b Z b する.Y b って する. お, を打ち P n Σ b において [x n y n z n ] T = [0.239 0.12 0.595] T [m] する.これ 打ちを する にあたる. 1.9 [mm]32 [mm]4.5 [mm] に打ち む. ,あらかじめ 1.5 [mm]15 [mm] があけられている.ハンマー 0.55 [kg] ある. 2·1 釘把持用アタッチメント HRP-2 1 あり,こ ある.そこ アタッチメントを した.Fig. 2 す. アタッチメント アルミニ 0.089 [kg] ある. 3 V ブロックが れ違いにかみ P O Z X z x n b b b n n y n Hammer Nail Fig. 1 Experiment situation. Fig. 2 An attachment. うこ 2 [mm] 体を ある. 3. 動作の概要 ロボット を打つ うために によって ,他 によるハンマ え・打 ある えられる.また, じて打 を変 する がある.さらに, - 531 - 第8回システムインテグレーション部門講演会(SI2007)(2007年12月20日 ~ 22日・広島) SY0012/07/0000 - 0531 © 2007 SICE

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Page 1: Hammering a Nail by a Humanoid Robot - 北海道大学scc.ist.hokudai.ac.jp/~shunsuke/pdf/si2007_komizunai.pdfNail Fig. 1 Experiment situation. Fig. 2 An attachment. うことで直径2

ヒューマノイドロボットによる釘打ち作業東北大学 ○小水内 俊介, 辻田 哲平, 西井 文哉, 野村 勇樹, 大輪 拓矢, 近野 敦, 内山 勝

Hammering a Nail by a Humanoid Robot

○ Shunsuke KOMIZUNAI, Teppei TSUJITA, Fumiya NISHII, Yuki NOMURA, Takuya OWA,Atsushi KONNO and Masaru UCHIYAMA, Tohoku University

Abstract: For a robot to perform tasks similar to human, utilizing impact force is an effective method. The motionduring these tasks is defined as an impact motion. Practically, it is required that the motion is stable and possible tobe recursively performed. In this paper, as an application of the impact motion, nail driving by a humanoid robot ispresented.

1. はじめに

ヒューマノイドロボットが環境に対して仕事を行う際に,

人間の作業に近い成果を得るためには,衝撃力を利用して

アクチュエータの性能を超える大きな力を発揮させる動作

が有効な場合がある.本研究では,このような動作をイン

パクト動作と呼び,一例として釘打ち動作の研究を行って

いる.釘打ちは,衝撃力を活用した動作としてさまざまな

研究がなされてきた.これらの研究は,地上に固定された

マニピュレーターを用いたもの 1),2) や,片手での打撃に

ついての研究 3) であった.本稿では,ヒューマノイドロ

ボットを用いてインパクト動作を繰り返し行い,釘を打ち

切る動作について述べる.また,左手で釘の把持・搬送・

固定などを行う双腕を利用した動作を導入する.以後,こ

れらの一連の動作をまとめて作業と呼ぶ.

2. 実験環境

本稿では,Fig. 1に示すようにヒューマノイドロボットHRP-24)を用い,作業台の上で鉛直方向に釘を打つ動作に

ついて述べる.図中のベース座標系 Σb の原点 Ob は左右

の股関節の中心を地面に投影した点であり,ロボットの正

面方向を Xb 軸方向,鉛直上向き方向を Zb 軸方向と定義

する.Ybは右手座標系の定義に従って決定する.なお,釘

を打ち込む場所Pnは,Σb座標系において [xn yn zn]T =[0.239 0.12 0.595]T [m]の位置とする.これは,釘打ちを開始するときの釘の先端の位置にあたる.本実験では直径

1.9 [mm],長さ 32 [mm],頭の直径 4.5 [mm]の釘を杉材に打ち込む.杉材には,あらかじめ直径 1.5 [mm],長さ15 [mm]程度の下穴があけられている.ハンマーの重量は約 0.55 [kg]である.

2·1 釘把持用アタッチメント

HRP-2の手は親指の開閉 1自由度のみであり,このままでは釘の把持は不可能である.そこで,釘を把持可能な

左手用のアタッチメントを作成した.Fig. 2に外観を示す.本アタッチメントはアルミニウム製で総重量 0.089 [kg]である.把持部は,3 枚の V ブロックが入れ違いにかみ合

P

O

Z

X

z

x

n

b

b

b

n

n

yn

Hammer

Nail

Fig. 1 Experiment situation.

Fig. 2 An attachment.

うことで直径 2 [mm]程度の柱状物体を柔軟に把持可能である.

3. 動作の概要

ロボット自身が釘を打つ環境を整え作業を行うためには,

一方の手によって釘の把持・搬送・設置・固定を行う動作

と,他方の手によるハンマの把持・構え・打撃の動作が必

要であると考えられる.また,釘の沈み込み量に応じて打

点を変更する必要がある.さらに,作業の途中で釘を固定

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第8回システムインテグレーション部門講演会(SI2007)(2007年12月20日 ~ 22日・広島) SY0012/07/0000 - 0531 © 2007 SICE

Page 2: Hammering a Nail by a Humanoid Robot - 北海道大学scc.ist.hokudai.ac.jp/~shunsuke/pdf/si2007_komizunai.pdfNail Fig. 1 Experiment situation. Fig. 2 An attachment. うことで直径2

(a) Readiness. (b) Contact. (c) By the dual-arm. (d) Release. (e) By the single-arm.

Fig. 3 Hammering sequence.

している左手を放さなければならない.以上に挙げた各動

作をオフラインで生成し,それを順次または繰り返し実行

することで一連の作業を構成する.木材から測った打撃位

置は,釘の初期高さである 32 [mm]から仕上げ打ちを想定した−4 [mm]まで 2 [mm]ごとに 19パターン用意した.各動作の生成は,辻田らが開発したインパクト動作生成支

援システム 3)を利用し,動作の初期位置及び最終位置での

関節角度,角速度,角加速度を境界条件として,関節角度

を 5次補間することで軌道を生成する.本稿の釘打ち動作は,肘及び手首の関節を動かすことで生成しており,振り

下ろし時間 td = 0.5 [s]後に打面は zn 方向速度 1.2 [m/s]で釘と衝突する.

4. 釘打ち作業

4·1 ヒューマノイドロボット特有の問題

ハンマを動かす際,HRP-2 内部の姿勢安定化制御 (以下,ST)によりわずかながら体幹が動く.このとき,釘を把持している左手は体幹に固定されているため,釘が下

穴からずれたり傾くといった問題が生じる.この問題を解

決するために,まず STの作動を抑えるような安定した動作を生成する必要がある.この観点より,打撃動作におい

て Fig. 1に示した原点 Obを中心とするXb,Yb軸周りの

角運動量の低減を図った.この動作中のXb軸周りの最大

角運動量は LXb= −0.29 [Nms],Yb 軸周りの最大角運動

量は LYb= 0.34 [Nms]となっている.これにより,左手

位置の保持のみならず,打撃時のハンマと釘の位置偏差も

低減できる.次に,STによる体幹位置の修正分を左腕部(6 DOF)により補正することにより,釘の位置をΣb座標

系において一定に保つことが可能なプラグインを開発し

た.以上の方法を適用し,前述のような問題を回避するこ

とができた.

また,打撃動作はオフラインで生成されているため,釘

との接触を検出して動作を停止する必要がある.このため,

ロボットの手首に搭載された力覚センサが検出する釘から

の反力 Fz が閾値 Fthを越えた際に,動作の実行を停止す

るプラグインを適用した.

4·2 実際の釘打ち

Fig. 3に,動作の様子を示す.打撃動作は,先行実験によって得られた知見から,沈み込み量によって表すと 0,8,14,18,20,22,22,22,24,24,26,26,26,28,30,32,32,34,36 [mm]のように移行した.1打目で左手で把持可能な高さの限界に達したため,左手を戻し,以後は

右手のみでの打撃を繰り返した.下穴の無い領域になると

木材の不均質性により沈み込み量が多少ばらつくが,打撃

は同じ打点で 3回程度繰り返し行われている.4·1で述べた対策により,左手把持状態でも片手打ち状態でも釘を打

ち損じることは無かった.全体で概ね 20~30回程度の打撃を行った結果,長さ 32 [mm]の釘を杉材に打ち切ることができた.

4·3 自律的な釘打ち

本実験では,釘の沈み込み量に応じた動作の切り替えを

操作者の判断によって行った.今後,ロボットが沈み込み

量を測定して自律的に動作の切り替えを行うことが望まし

い.これを実現するためには,釘の沈み込み量を検出して

打撃動作の継続や変更,終了を判断する方法の開発が必要

である.

5. おわりに本稿ではヒューマノイドロボット HRP-2を用いて,イ

ンパクト動作を繰り返し行うことで釘を打ち切った.ま

た,それに伴う問題を解決した.さらに,ヒューマノイド

ロボットによる自律的な釘打ち動作を試みた.

参考文献

1) 内山勝:人工の手の制御アルゴリズム構成法と動的制御モード,バイオメカニズム 3,東京大学出版会,172/181 (1975)

2) 高瀬国克:手による作業,計測と制御,29, 3, 213/219 (1990)3) 辻田哲平,他:ヒューマノイドロボットのインパクト動作生成支援システムの開発,ROBOMEC,1A1-B01 (2007)

4) K. Kaneko,et al.:Humanoid Robot HRP-2,Proc. ofthe 2004 IEEE Int. Conf. on Robotics and Automation,1083/1090 (2004)

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