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13 監査リスク・アプローチ
学習のポイント
1. 監査リスクの意義
2. 監査リスク・アプローチの考え方
3. 監査リスク・アプローチのモデル
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監査リスクの意義
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• 監査人が財務諸表に含まれる重要な虚偽表示を見逃して無限定適正意見を表明する確率
➡不適切な監査意見を表明する確率 ➡監査失敗の確率
• 企業の取引や経営環境に起因する重要な虚偽表示を企業の内部統制によって発見・是正できず,さらに監査手続によっても発見・指摘できない確率
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監査リスクの意義
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• 重要な虚偽表示リスク:企業側のリスク
• 財務諸表に重要な虚偽表示が含まれる確率 • 固有リスク
• 適切な管理が行われない場合に,特定の取引や企業環境等が財務諸表に重要な虚偽表示をもたらす確率
• 統制リスク • 企業における管理体制(内部統制)が重要な虚偽表示を防止・発見・是正できない確率
• 発見リスク:監査人側のリスク • 監査人が監査手続を実施しても財務諸表に含まれる重要な虚偽表示を見逃す確率
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監査リスクの意義
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• 財務諸表監査の限界 • 財務諸表の性質
• 見積り,判断,重要性 • 監査手続の実施方法
• 試査 • 監査意見の性質
• 監査証拠に基づく監査人の総合的判断 ➡監査人が重要な虚偽表示を見逃すリスク
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監査リスク・アプローチの考え方
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• 監査リスクを社会的に許容可能な水準に抑えられるように監査手続を計画し実施する監査の手法 • 監査人は重要な虚偽表示リスクを評価する • 監査人は評価した重要な虚偽表示リスクの大きさを前提として,監査リスクの目標水準を達成できるように監査手続を計画し実施する
• “戦略的”な監査手続の計画と監査資源の配分
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監査リスク・アプローチの考え方
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• 重要な虚偽表示リスクの大きさはアサーションによって異なる
• リスクの大きいアサーションに対して監査資源(時間・人員・費用)を重点配分
• リスクの小さいアサーションは簡易・低コストな手続の実施に留める
➡監査全体としての有効性を確保しながら効率的な監査の実施を図る
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監査リスク・アプローチのモデル
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• 監査リスク(Audit Risk:AR)
• 重要な虚偽表示リスク(Risk of Material Misstatement:RMM)
• 固有リスク(Inherent Risk:IR)
• 統制リスク(Control Risk:CR)
• 発見リスク(Detection Risk:DR)
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監査リスク・アプローチのモデル
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• 監査リスクモデル
• AR=RMM X DR=(IR XCR)X DR
➡監査リスクの構成要素 • 監査計画モデル
• DR=AR/RMM=AR /(IR X CR)
➡監査リスクの目標水準を達成するために必要な監査手続の水準
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監査リスク・アプローチのモデル
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• 監査計画モデル
• DR=AR/RMM=AR /(IR X CR)
• AR:達成目標水準(所与)
• RMM:監査対象企業側の要因(所与)
• DR:監査人の努力水準(監査手続の水準)
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監査リスク・アプローチのモデル
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• RMMとDRは反比例
• RMM 大(小)➡ DR 小(大)
• DR 小 ➡監査人が重要な虚偽表示を見逃す確率を小さくする必要
➡厳格な監査手続(監査資源の重点配分)
• DR 大
➡監査人が重要な虚偽表示を見逃す確率が大きくても可
➡比較的簡易な監査手続(監査資源の節約)
• 次回予告
–内部統制の評価
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