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材料評価学 第 9 前回: 硬さ試験における ・ロックウェル硬さ試験 ・硬さ換算表 ・硬さ値と機械的特性の関係 今回: 硬さ試験における ・計装化押込み試験

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Page 1: 前回: - 新潟大学mohki.eng.niigata-u.ac.jp/Class_files/hr2-9a.pdf圧子の接触投影面積 Ap ・ ① ② ・ ・「実際に圧子と試験片が接触している領域の変形」を基準として,次式で「実際に圧子と試

材料評価学 第 9 回

前回: 硬さ試験における

・ロックウェル硬さ試験

・硬さ換算表

・硬さ値と機械的特性の関係

今回: 硬さ試験における

・計装化押込み試験

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「材料評価学」第 9 回

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9. 硬さ試験 3

9.1 計装化押込み試験(続き)

●「ナノ・インデンテーション」とは?:

●機能性デバイス/材料の開発とその材料特性評価の必要性

例①:

例②:

図 9.1 有機 EL 回路の断面 SEM 写真

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「材料評価学」第 9 回

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9.2 計装化押込み試験の国際規格

● ISO14577; ”Metallic materials—Instrumented indentation test for hardness

and materials parameters”

・問い:計装化押込み試験方式によるメリットは?

9.3 計装化押込み試験による硬さ評価

●押込み硬さ(Indentation hardness)HIT

注:

表 9.2 ISO14577 で使用される記号一覧

h押込み深さ

hc Fmax時の接触深さ

hmax Fmax時の最大押込み深さ

hp 除荷後の永久くぼみ深さ

hr Fmax時の除荷曲線の接線と押込み深さ軸との交点

Ap(hc) 深さhc時の圧子の接触投影面積

As(h)深さh時の圧子の表面積

EIT 押込み弾性率

HIT 押込み硬さ

HMマルテンス硬さ

表 9.1 ISO14577 の適用範囲区分

試験力 押込み深さ

ナノレンジ ー < 0.2 mm

マイクロレンジ < 2 N 0.2 mm <

マクロレンジ 2 N < , < 30 kN ー

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●圧子の接触投影面積 Ap

・「実際に圧子と試験片が接触している領域の変形」を基準として,次式で「実際に圧子と試

験片が接触している領域の投影面積:Apを求める.

●圧子の接触深さ hc

図 9.2 押込み状態の模式図 [材料試験技術,49(4) 2004,日本材料試験技術協会]

図 9.3 押込み曲線の模式図 [材料試験技術,49(4) 2004,日本材料試験技術協会]

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●HIT算出手順

●HIT→HVの換算式:

例題:図から hmaxおよび hrを読み取り,HITを算出せよ.また HVへと換算せよ.

Indentation depth h [µm]

Tes

t fo

rce F

[g

f]

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「材料評価学」第 9 回

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9.4 第 9回講義に関する意見・感想・質問のまとめ

●意見・感想

・もう第 9 回なのでこれまでの復習もしっかりやりたい,新たにいろんな記号や式が出てきたので混乱しない

ように整理していきたい,今回の内容をしっかり復習して次の小テストが解けるように頑張りたい,押し込

み硬さを手順に従い求められるようにしたい,しっかりと復習したい,計装化押し込み試験による硬さ評価

の復習をしたい,表やグラフの読み取りについて復習し問題をしっかり解けるようにしたい,記号が多くな

ってきたのでそれぞれの意味を整理しないといけない,有効数字や丸め誤差に気をつけて次回の小テス

トを回答する,面積の考え方がよくわからなかったので復習したい,今回の講義の内容は個人的には難

しく感じたので復習をしっかりしたい,小テストに向け復習を頑張る,図や式が増えてきたが暗記するだけ

にせずそれぞれが意味するものをしっかり復習していきたい,濃い内容だったのでしっかり復習したい,

例題をしっかり理解して次の小テストも解けるように復習したい:16

・特にわからないところはなかった,計装化押込み試験について理解できた,押込み曲線から押込み硬さが

求められるようになった,ナノインデンテーションや Hit の説明が分かりやすかった,説明の大事なところ

を何度も繰り返してくれることで覚えやすくなっていい,画像やグラフを用いていてわかりやすい,計装化

押込み試験について国際規格や硬さ評価・メリットなどよくわかった,押込み硬さを算出することからビッ

カース硬さに変換できることが理解できた,困ったことは特になかった,マイクロ単位においてどのように

材料特性を評価するかについて理解が深まった,軽装化押込み試験で硬さを調べる方法を知ることがで

きてよかった:12

・特になし:11

・小テストで換算表の見方があまり分かっていなかった,小テストが少し難しかった,問題の表の読み方が

わからなかった,小テストの前半が少し不安なできだった:4←前回の例題でもやりましたので,換算表の

使い方はきちんと理解しておいてください.

・今日も小テストがスラスラできた,小テストがちょうどよかった:3

・進行度はちょうど良い,授業のペースがちょうど良かった:2

・計装化押込み試験は硬さ以外の機械的特性も評価できて便利だと思った,球型の圧子だけではなく変わ

った形の圧子でも硬さ試験ができるというところが面白い:2

・以下一人ずつ:

機能性材料について興味が湧いた,最後にやった問題は有効数字が大事だったが読み取りができて計

算できたため以前の課題はクリアできた,

硬さは次元を持たないので単位をつけないが押し込み硬さは応力の次元を持つことから単位をつけるこ

とに注意したい←まぁビッカースやブリネル硬さは同様に応力の次元(単位面積当たりの荷重)を持って

いるんですが,慣例として単位は付けません.

画面共有されたりされなかったりで、少しノートが書きづらかった←ん?画面共有は今日は常に出来てい

たつもりでしたが・・・どの段階で共有できていなかったのか,次回教えてもらえますか.

1 限での集中力がなくなってきてるので、睡眠をしっかりとっておきたい←自宅で授業を受けるとなると,

余計に時間にルーズになりやすくなると思うので注意しましょう.また今日あたりでも授業開始後しばらく

してから授業に参加する人が数人見られました.最初から参加していたにもかかわらず回線の不具合で

接続が切れてしまった人はしょうがないですが,最初から遅れてくる人に対しては今後「遅刻」とみなすこ

とにします.

また大量の記号が出てきてこんがらがりそうだったのできちんと整理して直ぐにとりだせる状態にしたい

←本当に使う,大事な記号は 4-5種類だけですので.

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「材料評価学」第 9 回

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●質問

・測装化押し込み試験は、試験の自動化や個人誤差の回避など他の試験方法よりも利点が大きいと思うの

だが、他の試験方法を採用する利点はあるのか疑問に思った←全ての分野で,常に最新の研究成果や

規格が使われるとは限りません(それまでの評価手法との互換性を重視する場合は特に).また,計装化

押込み試験装置は精密測定実施のため非常に高価ですので,おいそれと導入できない,という点もあり

ます.

・今回の小テストは換算表を使わなかったら×ですか?←問題で「換算表を使って」と明記していますので,

減点します.

・ナノレンジの適用範囲区分より小さいものを試験することはあるのでしょうか。←0.2µm 以下は全てナノレ

ンジなので,「それ以下の適用範囲区分」というもの自体定義しようがありません.

・マルテンス硬さHMとは何でしょうか←ISO14577 で定義されている,HIT とは異なる硬さ評価基準ですが,

本講義では時間の関係上割愛します.

・私が聞き逃したのかもしれませんが、圧子形状定数のεと k の違いはなんですか。←「圧子形状定数」と

いう表記は同じですが,「それぞれの式における」圧子形状定数,ということです.

・先生が意見を求めている時は先生個人宛の発言でも良いのでしょうか?全体に向けての発言だとどうして

も躊躇してしまいます。←個人宛でも構いません,送ってくれればこちらで読み上げます.

・何故計装化押し込み試験はこれまでと違い投影接触面積で表すのか。←この点は大学院の授業で詳しく

説明するのですが,ざっくり言うと「材料の塑性変形挙動を記述するには,材料にかかる平均接触圧力に

対する抵抗として表すのが適切であり,その観点から最大試験力を投影接触面積で除することで押込み

硬さが規定された」ということです.

・今まで扱っていた硬さ試験でのくぼみ面積と今回の接触投影面積との違いがうまくわからなかった。←下

記イラストの通りです.

・hr について接線を求めるというのが理解しにかかった←「接線を求める」という表現は不正確だったかもし

れません,正しくは「除荷曲線の除荷開始点における接線として定まる直線と,横軸との交点深さが hr」と

いうことです.

今回の小テスト平均点:8.7点

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9.5 第 8 回小テスト解答

Q.1 硬さ試験結果と機械的特性の関係について述べた次の文章中の,空欄に当てはまる語句を解答欄

に記入せよ.[各 1 点,計 4 点]

「硬さ」とは他の物体との接触により与えられる[ (a) ]変形に対する抵抗であるため,[ (a) ]変形と

関連する他の機械的特性との実験的関係式が見出されている.代表的なものとして,ビッカース硬さと

[ (b) ]の関係式は次式で表される.

[ 式:(c) ] [単位:(d)]

A.1

(a)[ 塑性 ] (b)[ 引張強さ ]

(c)[ HV≒3σB] (d)[ kgf/mm2 ] もしくは (c)[ σB≒3.27 HV ] (d)[ MPa ]

Q.2 炭素鋼試験片においてビッカース硬さ試験を行ったところ,HV = 272 が得られた.この結果および以

下の硬さ換算表から,引張強さB [MPa]へと換算せよ.[6 点]

A.2 換算表の該当箇所より,σB = 855 +2 / 5×20 = 863 MPa