ョノゥカキカ(gtjig)ゥカnフカヤwiイク( 1 )...;z 2006...

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㮒蚃媏兜 ㈰〶 ⢐薒䪁䖓排蚁䖍 琉球列島に自生する野生ラン⢃枃咃䪃<䦃枃宴錩自生地の生態学的調査( ㄠ⤠ 水谷高幸・田中孝幸 ・崎原健 1⦓穴䎑 瞔徊瞕秤棊炐䆕ꢊ瞉젠 ㄮはじめに 琉球列島は太平洋の北西部, l ヒ緯 度から 度, 東経 ㄲ3 度から ㄳ0 度に位置し,大小 0 以上の島 からなる⺗꺋薗№즂춑붂궂첐䆕ꢂꪎꦐ뚂떂쒂ꢂ C 島ごとに,あるいは琉球列島に固有の種も少なくな い⺂ 북䎓 殂즒랂궘䆂좂 䎔䶑톒溈 랑톒n 域の聞に位置するため,多くの種の自生隈界,すな わち熱帯性植物の北隈あるいは温帯性植物の南限 と なっている. わが国には ㈵0種以上のラ ン科植物が自生するが, そのうち琉球列島には半数以上の種が分布している. しかし,残念なことにこれらの多くが今日絶滅の危 4 幾にi 顕している. トサカメオトラン 䍥潤潲 撃옠 獩晬潲睮 は熱帯性 の地生ランでわが国の琉球列島を北限とし,沖縄島 以南から石垣島,西表島を経て熱帯アジアにかけて 分布する⺗꺋薗№첎ꦐ뚒溂즂ꢂ꾂 첊䪉풊ú 6 月から 8 月頃で,白または淡紅色の花を密に付 ける ⡐桯瑯 북䎉풌玂춋薌玂첊 䲒キ し上方で下垂するとしづ特異な性質を持ち,その開 花の様相が面白いため,園芸的に栽培されることも 少なくない⺖箎 他のラン科同様絶滅の危機に 3 瀕しており日本の絶滅のおそれのある野生生物 J,通称レ ッドデー タブック(環境省, ㈰〰) は,最も絶滅の危険性の高し、「絶滅危倶 1A゙ J に分 類されている.しかし, トサカメオトランについて その保護を目的とした詳細な生態学的研究はほとん どされていない. そこで,本報告では トサカ メオトランの保護を目 的とした基礎的研究の一環として, ㈰〰 年から ㈰〶 年にかけて,西表島の自生地を中心にその詳細な生 態調査の結果を紹介する 結果の概要 トサカメオトランの自生地の植生調査 琉球列島において, トサカメオ 卜ランの自生地の 探索をおこなった結果,西表島で 8 ヶ所,石垣島で 2)東海大学沖縄地域研究センター 4 ヶ所および沖縄本島で 4 ヶ所の合計 ヶ所で植生 調査を行 うことができた. 本報告では,そのうち西 表島と石垣島の自生地について紹介する. 西表島のトサカメオトランの自生地は,海岸部か ら中央の山間部に延びる林道脇や農耕用の道路の路 肩の傾斜地あるいは草地から林縁にかけてみられた また s ほとんどの自生地は,草地の一部分を除き, 比較的湿度が高 く,なかには雨期や台風時には部分 的に浸水する恐尮梂첂ꂂ 囃溏첒溌悂즂 西表島西部の代表的な自生地の 1 つは海岸部にせ り出した小高い丘陵を迂回する西表島の幹線道路 の路肩部分に位置している .舗装部分から約 は平 坦地でススキ 䵩獣慮瑨畳 獩湥湳楳 ,シロノセンダン グサ 䉩摥湳 灩汯獡 牡摩慴a が茂り,その中に トサカメオトランが点在していた⺃境境䲁䖃嚃鴻m センダングサ群落を過ぎると傾斜 0 の斜面となり, タブノキ肋c桩汵 猠瑨畮扥牧楩 ,オキナワジイ 䍡獴慮潰獩猠 獩敢潬摩椠 癡爮 汵瑣桵敮獩s が生育し, その林床にはホシ夕、、日θ 汹灴 θ ❲楳 慣畭楮慴a が繁茂 していた.しかし, トサカメオトランは林内には成 育していなかった⺘䢌ꢂ첑崇溂춁䎃嚃鴻涃媃塔徃 グサやススキが繁茂する時期に定期的に除草される ため, トサカ メオトランも地上部が刈り取られる . そのため,この周辺では開花してい る個体は見 られ なかった. 西表島北西部の 自生地のも う lつは,森の中に切 り開いた耕作地へ伸びる林道沿いに位置していた. トサカメオトランは珊瑚石灰岩を敷き詰めた道路 脇のリュウキュウマツ月以汵捨略湳楳 の大木⢋ケ 高周囲 ㈴㡣洩 の周辺に自生していた⺃潟薃䖃䲃薃E マツ の後方より急な傾斜となりアカ メイヌビワ,セ ンダン a慺θ 摡牡捨 獵扴物灩湮 慴a などが 生育し,その林床にはオオバチヂ、ミザサ,ホシ夕、¥ コウモリシダ 周敬祰瑥物s 瑲楨祬污 などが自生し ていた . トサカメオト ランの 自生し ているリュウキ ュウマツの下は枯れた松葉が覆っており, 他の草本 植物はほとんと e 見られなかった.

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Page 1: ョノゥカキカ(gTJIg)ゥカnフカヤwIイク( 1 )...;Z 2006 (JEcEエ)ョノゥカキカ(gTJIg)ゥカnフカヤwIイク( 1 ) JKEcFK 1) Eエ 2) 1)Cw_wpAィwネ 1.ヘカ゚ノ ョヘセスmフkシC

;中セ所報 2006(水谷・田中・崎原)

琉球列島に自生する野生ラン(トサカメオトラン)自生地の生態学的調査(1 )

水谷高幸・田中孝幸1) ・崎原健2)

1)東海大学農学部応用植物学科

1.はじめに

琉球列島は太平洋の北西部,lヒ緯24度から� 30度,

東経� 123度から� 130度に位置し,大小� 100以上の島

からなる.琉球列島には多くの植物が自生しており,

島ごとに,あるいは琉球列島に固有の種も少なくな

い.また,南北に長く連なり,熱帯地域から温帯地

域の聞に位置するため,多くの種の自生隈界,すな

わち熱帯性植物の北隈あるいは温帯性植物の南限と

なっている.

わが国には� 250種以上のラン科植物が自生するが,

そのうち琉球列島には半数以上の種が分布している.

しかし,残念なことにこれらの多くが今日絶滅の危�

4幾にi顕している.

トサカメオトラン� Ceodor山,dθ 'nsiflorwnは熱帯性

の地生ランでわが国の琉球列島を北限とし,沖縄島

以南から石垣島,西表島を経て熱帯アジアにかけて

分布する.琉球列島の自生地における本種の開花期

は6月から� 8月頃で,白または淡紅色の花を密に付

ける� (Photo 1) .また,花茎は球茎の基部から伸長

し上方で下垂するとしづ特異な性質を持ち,その開

花の様相が面白いため,園芸的に栽培されることも

少なくない.本種も� 他のラン科同様絶滅の危機に3

瀕しており日本の絶滅のおそれのある野生生物

種J,通称レッドデータブック(環境省,� 2000)で

は,最も絶滅の危険性の高し、「絶滅危倶� 1A類� Jに分

類されている. しかし, トサカメオトランについて

その保護を目的とした詳細な生態学的研究はほとん

どされていない.

そこで,本報告では トサカメオトランの保護を目

的とした基礎的研究の一環として,� 2000年から� 2006

年にかけて,西表島の自生地を中心にその詳細な生

態調査の結果を紹介する�

2.結果の概要�

1) トサカメオトランの自生地の植生調査

琉球列島において, トサカメオ 卜ランの自生地の

探索をおこなった結果,西表島で8ヶ所,石垣島で�

2)東海大学沖縄地域研究センター

4ヶ所および沖縄本島で4ヶ所の合計� 16ヶ所で植生

調査を行うことができた. 本報告では,そのうち西

表島と石垣島の自生地について紹介する.

西表島のトサカメオトランの自生地は,海岸部か

ら中央の山間部に延びる林道脇や農耕用の道路の路

肩の傾斜地あるいは草地から林縁にかけてみられた

またs ほとんどの自生地は,草地の一部分を除き,

比較的湿度が高く,なかには雨期や台風時には部分

的に浸水する恐¥.hのある凹地状の地形にもみられた

西表島西部の代表的な自生地の� 1つは海岸部にせ

り出した小高い丘陵を迂回する西表島の幹線道路

の路肩部分に位置している.舗装部分から約� 1mは平

坦地でススキ� Miscanthussinensis,シロノセンダン

グサ� Bidenspilosa var.radiataが茂り,その中に

トサカメオトランが点在していた.ススキ・シロノ

センダングサ群落を過ぎると傾斜� 300

の斜面となり,

タブノキ肋chilus thunbergii,オキナワジイ�

Castanopsis sieboldii var. lutchuensisが生育し,

その林床にはホシ夕、、日θlyptθ'risacuminataが繁茂

していた. しかし, トサカメオトランは林内には成

育していなかった.路肩の草地は,シロノセンダン

グサやススキが繁茂する時期に定期的に除草される

ため, トサカメオトランも地上部が刈り取られる.

そのため,この周辺では開花している個体は見られ

なかった.

西表島北西部の自生地のも う� lつは,森の中に切

り開いた耕作地へ伸びる林道沿いに位置していた.

トサカメオトランは珊瑚石灰岩を敷き詰めた道路

脇のリュウキュウマツ月以1Sluchuensisの大木(胸

高周囲� 248cm)の周辺に自生していた.リュウキュウ

マツの後方より急な傾斜となりアカメイヌビワ,セ

ンダン� Me}jaazθdarach var. subtripinnataなどが

生育し,その林床にはオオバチヂ、ミザサ,ホシ夕、¥

コウモリシダ� Thelypteristrihyllaなどが自生し

ていた. トサカメオトランの自生しているリュウキ

ュウマツの下は枯れた松葉が覆っており, 他の草本

植物はほとんとe見られなかった.

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Page 2: ョノゥカキカ(gTJIg)ゥカnフカヤwIイク( 1 )...;Z 2006 (JEcEエ)ョノゥカキカ(gTJIg)ゥカnフカヤwIイク( 1 ) JKEcFK 1) Eエ 2) 1)Cw_wpAィwネ 1.ヘカ゚ノ ョヘセスmフkシC

沖セ所報� 2006(水谷・田中・崎原)

Photo 1 トサカメオトラン� Geodorumdens iflorumの群落,花,実,� 5球茎と新芽.

西表島東部から中央の山間部へ延びる林道沿いの

自生地は,林道脇のタブノキ,シマトネリコ,ギラ

ンイヌビワ丹・cusvariθ伊臼などが生育する林床に

トサカメオトランは自生していた.特に道路と林の

境になる部分にガジュマル� Ficus mi crocarpaが自生

しており,その周辺に多くのトサカメオトランが生

育し,開花している株もみられた.また林内は,最

も大きいギランイヌビワが落雷や台風による被害に

よって地上� 5m前後で、折れており,その他の高木層

も被害を受けていた.そのため林床は明るく,林縁

に自生していたギンネムの実生が林床にも多数生育

し,優占種となっていた.ギランイヌビワの根元に

は,ツルラン� Ca1anthetrip1icataの自生もみられ

た.林床にはトサカメオトランの大きな株はなく,

点々と小さな株が自生するのみで、あった.本来この

自生地はギランイヌビワやシンジュバilanthus

a1tissi胞が樹冠を形成し,林内にはトサカメオトラ

ンなどの比較的明るいところを好むラン科植物より,

ツノレランなどの自生に適した環境で、あったが,数年

前に台風や落雷の被害に遭い,林床の環境が一変し�

たと考えられる.その後,ギンネムなどの陽樹の実

生が進入するとともにトサカメオトランなども点々

と生育するに至ったと考えられる. しかし,元来樹

冠を形成していた樹木が回復すると,林床の照度が

低下し,ギンネムやトサカメオトランは生育できな

くなると思われる.

さらに林道を数回登ると,林道はあまり手入れさ

れていない尾根道にさしかかり,両側はススキ・コ

ウトウシランゐ'athog1ottisp1icataの群落が現れ

る.群落内にギンネムやハゼノキが生育し,点々と

トサカメオトランが分布していた.調査地内に分布

するトサカメオトランは今回の調査を行ったトサカ

メオトランの中で最も大きく,同じくススキ群落内

に点在するカクチョウラン� Ph紅白� tankervi11eaeと

見間違うほどの大きな株もあった.

石垣島の中央部は八重山諸島で最も標高の高い

於茂登岳の山腹で,石垣島の水源地帯になってお

り,多くの野生ランが自生することでも知られている.

トサカメオトランの自生地はこの南向きの急傾斜に

位置していたハゼノキ,シンジュ,シマトネリコ,

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Page 3: ョノゥカキカ(gTJIg)ゥカnフカヤwIイク( 1 )...;Z 2006 (JEcEエ)ョノゥカキカ(gTJIg)ゥカnフカヤwIイク( 1 ) JKEcFK 1) Eエ 2) 1)Cw_wpAィwネ 1.ヘカ゚ノ ョヘセスmフkシC

j中セ所報� 2006(水谷・田中・崎原)

フカノキ� Scheffleraoctophyllaなどが生育し,樹

冠を形成し,林床にはノシラン� Ophiopogonjaburan,

リュウキュウイナモリ� Ophiorhizakuroi阿合オオパ

チヂミザサなどと共にトサカメオトランが自生して

いた.また,同じラン科植物のカゴメラン� Goodyera

hachijoensis var. matsUflluranaも自生していた.

トサカメオトランの自生地は,調査した全てにお

いて人為的影響を強く受けていた.西表島では人為

的に開発された周辺に形成された二次林や道路の路

肩にみられ,本来自生することのない島中央部の山

間地帯の林道にも分布していた.しかし,そのよう

な場所では西表島の環境保護のため今後この林道は

開発が行われず,人為的な影響が失われるに従い,

本来の植物群落の遷移が進み,照葉樹林の森林とな

る.その林床では, トサカメオトランが生育するに

十分の照度を得ることができず,絶滅していくであ

ろう.また,農耕地周辺の道路脇の自生地では,更

なる開発が進めば直ちに自生地の崩壊の危機に瀕す

るであろう.唯一石垣島では,自生地周辺が石垣島

の水源あるいは酒養林に指定されているため, トサ

カメオトランの生育環境が維持されると思われた.

しかし,石垣島は八重山諸島最大の都市・石垣市と

して発達しており,交通などのアクセスが容易で、あ

る.今回の調査地においても石垣島の中央部の広大

な森林内に位置していても,車で容易に行くことが

できた以前から,石垣島の自生地の様相に注目し

てきたが,ともに定期的に採集の被害に遭っていた.

また,本報告で紹介しなかった沖縄島の自生地はそ

の被害は深刻で、あった.沖縄島におけるトサカメオ

トランの自生地は共に人為的環境化にあり, トサカ

メオトランが群落内で繁殖しえるかは疑問である.

本研究で紹介した自生地とともに,琉球列島の自生

地は近い将来絶滅する可能性が極めて高い.

トサカメオトランは草地から林縁にかけて自生す

る地生ランであり,人為的に作り出された環境ある

いはその周辺に自生地を持つ.よって,その自生は,

現状では比較的多くの場所で可能なようにも見える.

しかし人為的な環境の変化は植物の繁殖の速度をは

るかに上回ることが多い.特にラン科植物のように

生育が比較的遅い草本では,致命的な打撃を受ける.

現状でトサカメオトランが新たな自生地に侵入する

とき,そこは人為的影響下にある環境と断言しでも

過言ではない.これらの現状を考慮すると,現在ト

サカメオトランは絶滅の危険性の極めて高い「絶滅�

危倶� 1A類Jにランクされているが,このランクが「絶

滅種Jに移行しないことを望むばかりである.�

2) トサカメオトランの形態および生育状況の調査

西表島,石垣島および沖縄島の� 12の自生地のトサ

カメオトランの形態調査の結果� (Table 1) ,調査地

内のトサカメオトランの個体密度は� 0.15""'2.02個�

1m2であり,群落内の個体密度は低く, トサカメオト

ランの株が点在する程度であった. トサカメオトラ

ンは主に種子繁殖によって増殖し,栄養繁殖の頻度

がそれほど高くないため,密に群生しないものと思

われた. トサカメオトランの球茎数は平均� 2.7個程

度で,� 1本のシュートが最も新しい球茎の基部の葉肢

から伸長していた.また,そのシュートの展開葉数

は約� 2枚で、あった.今回の調査は� 8月上旬で、あった

ため,新しく伸長したシュートの基部が肥大して球

茎を形成しているものはなかった.新しいシュート

を伸長させた球茎に葉はl枚も残っていなかったが,

最も新しい球茎の基部から、ンュートが伸長していな

いものは頂部に葉が残っていた.このことは,昨年

以前に伸長したシュートが冬季に葉を落とさず,越

年したためと思われた.その頻度はあまり高くはな

いが,球茎の肥大や開花と関係していると思われた.

群落の開花率の平均は� 10見以下でそれほど高くなか

った.しかし,開花した個体は高頻度で結実してい

た. トサカメオトランの球茎数を調査した結果,そ

れぞれの個体の球茎数は� 1から� 8個で、あった.また,

球茎数が� 2個以下の個体が全体の� 75%以上を占め,� 3

個以下の個体に至っては� 90%以上を占めた.球茎数

が� 2個以下の個体の多くは球茎が小さくまだ若い実

生であると思われた.しかし,球茎数が少なくても,

最も新しい球茎が大きく成長している株では開花が

観察された.開花した個体の中には球茎数が� l個の

ものも見られた. このことは, (1)開花結実の

代償として古ド球茎を消耗してしまい,結果的に少

ない球茎数となった.あるいは,� (2)開花した個

体の最も新しい球茎が大きく発達していることから,

開花する個体では冬季に落葉せず,越年して球茎を

肥大させた個体で開花した.そのため,球茎の頂芽

が残っているときには下部の服芽から新しいシュー

トが出芽せず,よって新しい球茎も得られないため,

結果的には球茎の少ない個体になったと考えられた.

同じ琉球列島に自生する白lanthe属や� Phaius属の

植物では古い球茎が� 10年以上も腐らず生存すること

が知られている.著者らは,西表島を中心lこツノレ

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j中セ所報� 2006(水谷・田中・崎原)

Tab I e 1 JJ,tぽ列島に自生するトサカメオトラン Geodorumdens ifIorumの形態的特長.

密T宣 個体数(%)個体数

~固 1m2)球茎数 葉数 草丈

開花 結実西表島白浜ー1 13 0.26 2.92 1.77 18.90 0(0)

西表島白浜ー2 21 0.84 1.67 1.95 10.50 1(4.8) 1(100) 西表島白浜ー3 8 0.32 2.00 2.38 28.38 3(37.5) 1 (33.3) 西表島船浦一1 202 2.02 1.80 1.67 14.11 5(2.5) 3(60)

西表島船浦一2 25 0.50 1.54 2.60 24.98 5(20) 3(60) 西表島船浦ー3 18 0.72 3.33 1.72 13.42 0(0)

西表島大原一1 29 0.29 2.07 1.93 24.86 2(6.9) 2(100) 西表島大原ー2 16 1.07 3.17 2.39 32.77 3(18.8) 3(100)

石垣島オモトー1 15 0.15 1.73 1.59 18.25 0(0)

石垣島オモトー2 49 0.49 2.80 1.90 20.09 1 (2.0) 0(0)

沖縄本島伊武部� 4 0.44 2.50 2.00 11.18 0(0)

沖縄本島金武� 4 0.44 3.75 3.00 20.22 4(100) 1 (25)

合計� 404 0.63 2.00 1.90 18.10 24(5.9) 14(58.3)

開花個体の合計� 24 2.92 3.00 33.40

ラン� Calanthetriplicataの継続的な調査を行っ カメオトランは主に種子繁殖をしていることが明ら

ているが,球茎が� 10以上の株も多数観察されている. かになった.結実率は比較的高く,果実当たりの種

しかし, トサカメオ卜ランでは,ほとんどの個体の 子数も多い. しかし,これらの種子が自然に散布さ

球茎が� 3個以下で、あった.このことは, トサカメオ れる場所は,人為的な影響を多く受けると考えられ

トランの球茎がその構造や繁殖のメカニズ た調査結果からもわかるように,新たな実生が今

に比較的長く残らないのカか冶もしれない.開花した個 回の調査の自生地でも生育しているが,その環境は,

体の球茎数の平均は� 2.92個で,まったく開花のみら 厳しく,これらの自生地の多くは,絶滅の危機に瀕

れなかった� Irs一lのすべての個体の球茎数の平均も� している.

2.92個と同数で、あった� (Table 1) .一般に,植 これらの自生地において, 自生地そのものの保護

物の大きさや開花は,暦年齢よりその環境的要因が の必要性は言うまでもないが,種子繁殖の様相につ

反映されることが知られている� Ophrysapifera いて解明していくことが保護のための重要な知見に

の開花では,葉数あるいは最大葉長と開花の関 なると考えられる.Knudson (1922)が,ラン科植物

係を比較し,それぞれ同あるいは� 0.1%で有意 の種子の無菌培養を提唱してから,多くの種で,人

で、あったことが知られている� (Wells'Cox.1989). 工増殖が成功した.しかし,トサカメオトランでは,

本研究でも,暦年齢を反映している球茎の数では開 まだその報告はほとんどない.また,その一方で,

花株と未開花株間で、差異はみられなかったが,葉数 ランの発芽の生態が明らかになる中で,共生菌との

および最大葉長の比較では明らかに開花株の値が大 関係が取り上げられるようになり,試験管培養技術

きかった.また,球茎の大きさも開花個体のものが においても,無菌的な操作とともに,共生菌を培養

大きかったことから,球茎の大きさ,葉数および最 することが可能になった.さらに,� Kinderen(1995)

大葉長などの形態的特性が開花の有無に影響してい は,自然条件での地生ランの初期発芽を明らかにす

るように思われた. るため,ナイロンメッシュ内に種子を包埋し,自生

これらの調査結果はトサカメオ卜ランの自生環境 地に埋設した後回収する方法を開発した著者らも

下での生活史を解明のための新しい知見となるであ ナリヤラン� ArundinagraminifoJ iaの生活環の解明

ろう.� のため,種子の発芽の様相を� Kinderenの方法を用い

て好結果を得た(水谷ら,� 2001) .今後, トサカメ

3.展望 オトランの自生地での初期発芽を理解するいため,

本研究では, トサカメオトランの代表的な自生地 試験管内発芽とともに,� Kinderenの方法を用いる必

の様相を明らかにしたまた,琉球列島の複数の島 要があるかもしれない.

のトサカメオトランの自生地を調査した結果, トサ�

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Page 5: ョノゥカキカ(gTJIg)ゥカnフカヤwIイク( 1 )...;Z 2006 (JEcEエ)ョノゥカキカ(gTJIg)ゥカnフカヤwIイク( 1 ) JKEcFK 1) Eエ 2) 1)Cw_wpAィwネ 1.ヘカ゚ノ ョヘセスmフkシC

沖セ所報� 2006(水谷・田中・崎原)

4.業績

論文発表�

I) 田中孝幸,水谷高幸,� 1995,九州東海大学農学

部紀要,� 4,25 -31.

2) 水谷高幸,松羽研,田中孝幸,� 2002.九州東海

大学農学部紀要� 21,37 - 52.

3) 水谷高幸,松羽研,田中孝幸,� 2004.九州東海

大学農学部紀要、� 23,51 - 60.

4) Mizutani,T.,O. 1wata and T. Tanaka,1999,

Proceed ings of N1OC' 99,129 -132.

5.引用文献�

I)Kinderen,G. V. D. 1995. Lindeleyana,10,68 -73.

田中孝幸,水谷高幸,� 1995,九州東海大学農学部紀

要,� 4,25 -31.

2) Mizutani,T.,O. 1wata and T. Tanaka,1999,

Proceedings of N1OC' 99,129 -132.

3) Wells,T. C.E. and R. Cox. 1989. (ed.) H.IV.

Pri tchard. Modern Methods in Orchid Conservation:

The Role of Physiology,Ecology and Management.

1n. Predicting the probability of the bee orchid

(命'hrys apjfera) flowering or remaining

vegetative from the size and number of leaves.

Cambridge University Press. Cambridge.

p.127-139.

4)水谷高幸,松羽研,田中孝幸,� 2001,園芸学会雑

誌� 70側� 2),424

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