機械振動学特論no · 騒音対策の進め方(2) • 現状の調査...

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機械振動学特論No.4 振動・騒音の評価 周波数分析 高速リエ変換 高速リエ変換 変換例 機械振動・騒音に対する対策 音壁 消音器 共鳴型 拡張室型 共鳴型拡張室型

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Page 1: 機械振動学特論No · 騒音対策の進め方(2) • 現状の調査 騒音問題の確認(どこで騒音が問題となっているか) 発生源近傍,発生源敷地境界,周辺住居

機械振動学特論No.4振動・騒音の評価

• 周波数分析

• 高速フーリエ変換高速フ リエ変換

• 変換例

機械振動・騒音に対する対策遮 い• 遮へい

• 防音壁防

• 消音器

共鳴型 拡張室型共鳴型,拡張室型

Page 2: 機械振動学特論No · 騒音対策の進め方(2) • 現状の調査 騒音問題の確認(どこで騒音が問題となっているか) 発生源近傍,発生源敷地境界,周辺住居

なぜ周波数分析?なぜ周波数分析?

振動 騒音の対策のため• 振動・騒音の対策のため対策方法は様々あるが,どの方法も騒音の周波数によって効果が異なる効果が異なる

対策時には騒音の周波数成分を正しく把握する必要がある

振動源 騒音源を明確にするため• 振動源・騒音源を明確にするため複数の発生源がある場合,周波数分析をすると,寄与度を明確にできる場合が多い明確にできる場合が多い

• 音質の検討感覚と物理量との対応を把握する必要性や付加価値感覚と物理量との対応を把握する必要性や付加価値

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フーリエ級数(FS)(1)フーリエ級数(FS)(1)

基本周期 T をもつ周期関数

その1周期中において絶対積分可能ならばその1周期中において絶対積分可能ならば,

基本周波数

のフーリエ級数または 複素フーリエ級数

基本角周波数 基本周波数

のフ リエ級数または,複素フ リエ級数

第k次高調周波数

基本周波数と高調周波数をもつ正弦波を,それぞれ基本波,高調波と呼ぶ.

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フーリエ級数(FS) (2)フーリエ級数(FS) (2)

フーリエ係数は,

振幅スペクトル

位相スペクトル

周波数スペクトルあるいは周波数スペクトルあるいは,単にスペクトル

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離散フーリエ級数(DFS)離散フーリエ級数(DFS)

基本周期 N をもつ周期関数

離散 級数離散フーリエ級数

離散フーリエ係数

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フーリエ変換(FT)フーリエ変換(FT)

信号 のフーリエ変換は,

のスペクトルやフーリエ積分と呼ばれることもある

周期信号のスペクトルが線スペクトルであるのに対して,非周期信号のスペクトルは連続スペクトルとなる.逆フーリエ変換は,

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離散フーリエ変換(DFT)1離散フーリエ変換(DFT)1

信号 の離散フーリエ変換は,

変換対は,

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離散フーリエ変換(DFT)2離散フーリエ変換(DFT)2周期T秒の周期波 の周期的標本値列

離散フーリエ係数 の関係は離散フ リエ係数 の関係は,

変換対は,

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DFTの例(1)DFTの例(1)

とすると,

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DFTの例(2)DFTの例(2)

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DFTの例(3)DFTの例(3)

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高速フーリエ変換(FFT)の導入高速フーリエ変換(FFT)の導入

DFTの実行には, 回の複素乗算と 回の複素加算が必要

FFTの導入 アルゴリズムは多種多様(本講義では,省略)

1.E+06

1.E+07

一般に,複素乗算回数

複素加算回数1 E+02

1.E+03

1.E+04

1.E+05

演算

回数

複素加算回数

1.E+00

1.E+01

1.E+02

1.E+00 1.E+01 1.E+02 1.E+03 1.E+04

要素数 N

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1

1.5

1 00E 00

1.50E+00

-0.5

0

0.5

1

Vol

tage

[V

]

-5.00E-01

0.00E+00

5.00E-01

1.00E+00

Vol

tage

[V

]

-1.5

-1

0 100 200 300 400 500

Sample number

50

-1.50E+00

-1.00E+00

0 100 200 300 400 500

Sample number

50

-10

0

10

20

30

40

Lev

el [

dB]

0

10

20

30

40

Lev

el [

dB]

-50

-40

-30

-20

0 200 400 600 800 1000

Frequency [Hz]

-30

-20

-10

0 200 400 600 800 1000

Frequency [Hz]

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1 00E 00

1.50E+00

1 00E+00

1.20E+00

-5.00E-01

0.00E+00

5.00E-01

1.00E+00

Vol

tage

[V

]

2.00E-01

4.00E-01

6.00E-01

8.00E-01

1.00E+00

Vol

tage

[V

]

-1.50E+00

-1.00E+00

0 100 200 300 400 500

Sample number

50

-2.00E-01

0.00E+00

0 100 200 300 400 500 600

Sample number

40

50

-10

0

10

20

30

40

Lev

el [

dB]

-20

-10

0

10

20

30

40

Lev

el [

dB]

-40

-30

-20

0 200 400 600 800 1000

Frequency [Hz]

-50

-40

-30

0 200 400 600 800 1000

Frequency [Hz]

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音圧レベル基準音圧(最小可聴値)p0を=20×10-6[Pa]として音圧の実効値pとの比をとりデシベル表示したもの

音響の分野でデシベル表示が使われる理由1)広い範囲にわたる量を圧縮して扱うことができる2)人間の感覚が刺激の強さの絶対量よりも,その対数に比例する傾向がある

音の事例と音圧レベルの関係の例音圧 音圧レベル 事例

音 聴 る限 大 聴値

)

2×102 Pa 140 dB 音として聴ける限界(最大可聴値) (130~135 dB)2×101 Pa 120 dB 近傍で聴くジェット機の離陸音 (100~120 dB)2×100 Pa 100 dB 電車のガード下2 10 1 P 80 dB 幹線道路沿い (70 80 dB)2×10-1 Pa 80 dB 幹線道路沿い (70~80 dB)2×10-2 Pa 60 dB 通常の会話 (50~70 dB)2×10-3 Pa 40 dB 静かな室内 (30~40 dB)2×10-4 Pa 20 dB ささやき声 (10 20 dB)2×10-4 Pa 20 dB ささやき声 (10~20 dB)2×10-5 Pa 0 dB 1kHzの最小可聴値

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A特性音圧レベル(騒音レベル)基準音圧(最小可聴値)p0を=20×10-6[Pa]として音圧の実効値pとの比をとりデシベル表示したもの

0

10

-20

-10

vel [

dB]

-40

-30Lev

-50

10 100 1000 10000

F [H ]Frequency [Hz]

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100 100

30

40

50

60

70

80

90

100

Level [

dB]

30

40

50

60

70

80

90

100

Level [

dB]

0

10

20

30

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Frequency [Hz]

0

10

20

30

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

Frequency [Hz]

ピークレベル 86.9dBオーバーオール値 90.2dB

ピークレベル 89.3dBオーバーオール値 93.2dB

60

70

80

90

100

B]

60

70

80

90

100

B]

0

10

20

30

40

50

60

Level [

dB

0

10

20

30

40

50

60

Level [

dB0 200 400 600 800 1000

Frequency [Hz]

0 200 400 600 800 1000

Frequency [Hz]

ピークレベル 86.3dB ピークレベル 46.0dBオーバーオール値 88.5dB オーバーオール値 70.1dB

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騒音対策の進め方(1)騒音対策の進め方(1)

• 目標の設定問題は何か? 聴力保護 環境改善・保全 苦情問題は何か? 聴力保護,環境改善・保全,苦情

指標は何か? 発注者仕様書,業界規格,

際規格 規 基 境基国際規格,規制基準,環境基準,

認識限界

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騒音対策の進め方(2)騒音対策の進め方(2)

• 現状の調査騒音問題の確認(どこで騒音が問題となっているか)騒音問題の確認(どこで騒音が問題となっているか)

発生源近傍,発生源敷地境界,周辺住居

騒音 確騒音状況の確認

場所,方向,時間(時刻,常時か時々か,など),

どのような音か?,誰にでも聞こえるか?

騒音源の確認騒音源の確認

機械的,自然現象,単独か複合か,など

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騒音対策の進め方(3)騒音対策の進め方(3)

づ• 現状の調査(つづき)騒音放射部の確認(最も大きな騒音が出ている場所騒音放射部の確認(最も大きな騒音が出ている場所の特定)

機械音 気流音 開口部 音源形状機械音,気流音,開口部,音源形状

調査方法の検討

測定器による調査,聴感による調査

問題点の抽出

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騒音抑制の方法騒音抑制の方法

1 音源対策1.音源対策

機構・構造の改良,遮へい,制振,消音器

2 伝搬経路対策2.伝搬経路対策距離の確保,遮へい

3 受音者対策3.受音者対策

マスキング,耳の保護

4 その他の対策4.その他の対策

上記の番号順に対策を進めるのが一般的

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騒音抑制の方法(具体的手段)騒音抑制の方法(具体的手段)

• 遮へい(エンクロージャ)

防音塀(壁)• 防音塀(壁)

• 消音器• 消音器

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遮音材料の性質遮音材料の性質

• 質量法則

遮音効果は遮音材料の密度に比例する遮音効果は遮音材料の密度に比例する

ただし,材料固有の密度,曲げ剛性によって

決まる周波数で質量法則が成り立たないことが決まる周波数で質量法則が成り立たないことが

ある.

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防音壁の効果(1)防音壁の効果(1)

ず 経路 音まず,経路差δと音波の波長から,

を求める Nはフレネル数と呼ばれるを求める.Nはフレネル数と呼ばれる.

観測点

音源

防音壁

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防音壁の効果(2)防音壁の効果(2)

フレネル数から以下の式で減音量を計算できる

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防音壁の効果の計算防音壁の効果の計算

観測点 音速

音源

防音壁

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消音器の種類消音器の種類

鳴• 共鳴型

ヘルムホルツ型 サイドブランチ型ヘルムホルツ型,サイドブランチ型

30

10

20

mis

sion

Los

s [dB

]

0

10

0 200 400 600 800 1000

Tran

sm特定の周波数で極めて消音効果が大きい

Frequency [Hz]

特定の周波数で極めて消音効果が大きい

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消音器の種類消音器の種類

拡張室型(膨張型 空洞型などともいう)• 拡張室型(膨張型,空洞型などともいう)

10

15

s [dB

]

5

Tran

smis

sion

Los

s

00 200 400 600 800 1000

Frequency [Hz]

共鳴型と比べると広い周波数範囲で消音効果が得られる消音効果 得 れる