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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚 1 リスクコミュニケヌション掻動の効果評䟡指暙の䜓系化ず効果怜蚌の実 è·µ 村䞊道倫犏島県立医科倧孊・准教授 研究芁旚 本研究は、リスクコミュニケヌションにおける効果指暙を抜出し、リスクコミュニケヌシ ョンの効果を怜蚌するこずを目的ずしおいる。什和 2 幎床では、保健垫察象出前講座ず論文 化や成果発衚を匕き続き進めた他、䜏民ずのリスクコミュニケヌションに関する効果評䟡を 行うずずもに、最終幎床ずしお成果を総括した。 保健垫察象出前講座は、新型コロナ感染症予防策を講じながら、蚈 9 回、 242 人を察象に実 斜した。講座終了埌アンケヌトにおいお「今埌の保健掻動に圹立぀ず思う」ず回答した方の 割合が 92に達するなど、受講者から高い評䟡を埗た。出前講座時に提瀺した「しゅくだい」 を実斜するこずで、保健掻動ぞの自信を高め、実際の保健掻動に掻甚するこずに぀ながるこ ずが瀺唆された。さらに、集䞭的に実斜した出前講座の受講者を察象に行ったむンタビュヌ から、受講者は、攟射線リスクず他の健康リスクの倚角的な把握を通じお、䜏民の䟡倀芳に 根差したリスクコミュニケヌションや意思決定支揎の重芁性を認知し、リスクに応じた課題 抜出ず課題解決に察する理解を高め、それらに基づいお保健掻動を倉容させおいたこずが明 らかずなった。このように、研究ず瀟䌚実装の䞡茪を回す掻動を展開するこずができた。 たた、レビュヌやむンタビュヌに基づいお敎理されたリスクコミュニケヌションの効果指 暙を甚いお䜏民を察象ずしたアンケヌトにより、東日本倧震灜ず原子力発電所事故以降に行 われたリスクコミュニケヌションが䜏民の生掻状況や心身の健康状況の改善に向けおどのよ うな効果があったかを評䟡した。その結果、家族や友人ずいったたわりの人ずのリスクコミ ュニケヌションが、䜏民の行動倉容や自己効力感を介しお、生掻状況や心身の健康の改善を 促進するこずが瀺唆された。䞀方、医療者ずのリスクコミュニケヌションは、䜏民の行動倉 容を介しお生掻状況の改善や心身の健康の促進に寄䞎するこずが瀺唆された。 さらに、他の班ずの連携による合同シンポゞりムの開催や、看護や保健の関連機関などぞ の情報発信を進め、事業で実斜しおきた知芋を共有した。 キヌワヌドリスクコミュニケヌション、効果評䟡、出前講座、保健垫、育成 研究協力者 小宮 ひろみ 犏島県立医科倧孊附属病院性差医療センタヌ 埌藀 あや  犏島県立医科倧孊総合科孊教育研究センタヌ

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

1

リスクコミュニケヌション掻動の効果評䟡指暙の䜓系化ず効果怜蚌の実

è·µ

村䞊道倫犏島県立医科倧孊・准教授

研究芁旚

本研究は、リスクコミュニケヌションにおける効果指暙を抜出し、リスクコミュニケヌシ

ョンの効果を怜蚌するこずを目的ずしおいる。什和 2 幎床では、保健垫察象出前講座ず論文

化や成果発衚を匕き続き進めた他、䜏民ずのリスクコミュニケヌションに関する効果評䟡を

行うずずもに、最終幎床ずしお成果を総括した。

保健垫察象出前講座は、新型コロナ感染症予防策を講じながら、蚈 9 回、242 人を察象に実

斜した。講座終了埌アンケヌトにおいお「今埌の保健掻動に圹立぀ず思う」ず回答した方の

割合が 92に達するなど、受講者から高い評䟡を埗た。出前講座時に提瀺した「しゅくだい」

を実斜するこずで、保健掻動ぞの自信を高め、実際の保健掻動に掻甚するこずに぀ながるこ

ずが瀺唆された。さらに、集䞭的に実斜した出前講座の受講者を察象に行ったむンタビュヌ

から、受講者は、攟射線リスクず他の健康リスクの倚角的な把握を通じお、䜏民の䟡倀芳に

根差したリスクコミュニケヌションや意思決定支揎の重芁性を認知し、リスクに応じた課題

抜出ず課題解決に察する理解を高め、それらに基づいお保健掻動を倉容させおいたこずが明

らかずなった。このように、研究ず瀟䌚実装の䞡茪を回す掻動を展開するこずができた。

たた、レビュヌやむンタビュヌに基づいお敎理されたリスクコミュニケヌションの効果指

暙を甚いお䜏民を察象ずしたアンケヌトにより、東日本倧震灜ず原子力発電所事故以降に行

われたリスクコミュニケヌションが䜏民の生掻状況や心身の健康状況の改善に向けおどのよ

うな効果があったかを評䟡した。その結果、家族や友人ずいったたわりの人ずのリスクコミ

ュニケヌションが、䜏民の行動倉容や自己効力感を介しお、生掻状況や心身の健康の改善を

促進するこずが瀺唆された。䞀方、医療者ずのリスクコミュニケヌションは、䜏民の行動倉

容を介しお生掻状況の改善や心身の健康の促進に寄䞎するこずが瀺唆された。

さらに、他の班ずの連携による合同シンポゞりムの開催や、看護や保健の関連機関などぞ

の情報発信を進め、事業で実斜しおきた知芋を共有した。

キヌワヌドリスクコミュニケヌション、効果評䟡、出前講座、保健垫、育成

研究協力者

小宮 ひろみ 犏島県立医科倧孊附属病院性差医療センタヌ

埌藀 あや  犏島県立医科倧孊総合科孊教育研究センタヌ

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

2

吉田 和暹  犏島県立医科倧孊総合科孊教育研究センタヌ、医療創生倧孊

末氞 カツ子  犏島県立医科倧孊倧孊院医孊研究科灜害公衆衛生看護孊講座

熊谷 敊史囜立研究開発法人量子科孊技術研究開発機構

䞭谷内 䞀也 同志瀟倧孊

神田 玲子囜立研究開発法人量子科孊技術研究開発機構

林 岳圊 囜立環境研究所

竹田 宜人 北海道倧孊

五十嵐 æ³°æ­£  筑波倧孊

小野 恭子 産業技術総合研究所

本田 あゆみ犏島県保健犏祉郚

藀谷 由理  犏島県保健犏祉郚

八朚 亜玀子犏島県立医科倧孊攟射線医孊県民健康管理センタヌ

桃井 真垆 犏島県立医科倧孊攟射線医孊県民健康管理センタヌ、犏島県立医科倧孊医孊郚灜

害こころの医孊講座

研究参加者

竹林 由歊犏島県立医科倧孊医孊郚健康リスクコミュニケヌション孊講座

䜐藀 映子犏島県立医科倧孊医孊郚健康リスクコミュニケヌション孊講座

小林 智之犏島県立医科倧孊医孊郚健康リスクコミュニケヌション孊講座、犏島県立医科倧

孊医孊郚灜害こころの医孊講座

本田 銙織犏島県立医科倧孊医孊郚健康リスクコミュニケヌション孊講座

倧葉 真垌犏島県立医科倧孊医孊郚健康リスクコミュニケヌション孊講座

I. 研究目的

2011 幎の東日本倧震灜および犏島第䞀原子力発電所事故原発事故により、攟射線被ばくの

みならず、生掻習慣病、心理的苊痛の増加、コミュニティの分断や䜏民の孀立がもたらされた 1-

3)。これらのリスクず䜏民が抱える健康ぞの䞍安、日々の暮らし向きに関しお、関係者間で共考し、

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

3

諞問題の解決ぞず導くリスクコミュニケヌションの必芁性の認識が高たっおいる 4)。䞀方、原発

事故以降に行われおきたリスクコミュニケヌションが成果を十分にあげおいないずの指摘もある

5)。リスクコミュニケヌションは、実斜者によっお様々な目的のもずに行われおおり、その目的が

達成したかどうかを評䟡するための指暙も倚様であるず考えられる。効果的なリスクコミュニケ

ヌションを掚進するためには、リスクコミュニケヌションにおける効果の評䟡に関する指暙や目

暙を敎理し、その怜蚌を行う必芁がある。

そこで、本研究では、①リスクコミュニケヌションの効果に関するレビュヌ孊術雑誌の系統

レビュヌおよびむンタビュヌ、②保健垫察象の出前講座を通じた効果評䟡、③䜏民察象アンケヌ

トを通じた効果評䟡、を実斜した。リスクコミュニケヌションの効果指暙ずその効果的方法の䜓

系化を螏たえお、リスクコミュニケヌタヌ育成の効果の怜蚌、リスクコミュニケヌションによる

䜏民の生掻状況の改善や心身の健康状態の向䞊の怜蚌を行うこずを本研究の目的ずした。

これたでに埗られた䞻な知芋は以䞋のずおりである。①に぀いおは、孊術雑誌の系統的レビュ

ヌずしお、3000 報以䞊の日本語・英語論文を察象ずしおスクリヌニングを実斜し、すべおの遞択・

陀倖基準に適合する 2011 幎以降の論文蚈 316 報で評䟡されおいたリスクコミュニケヌション効

果を敎理した 6)。効果評䟡の指暙は、知識・理解の増加、コミュニケヌションぞの満足、リスク認

知・䞍安緩和・増加の䞡者を含む、心理的苊痛の緩和、信頌の向䞊、行動倉容・リスク受容リ

スク回避行動、リスクぞの察策、準備食品回避、受蚺、震灜準備、地域内協働、リスク受容な

ど。これらぞの意思決定支揎を含む、自己効力感の向䞊、その他に分類でき、リスク認知・䞍安

や知識の増加、行動倉容の芳点から評䟡された研究䟋が䞻であった。たた、リスクコミュニケヌ

ション関連分野ずしおどのようなトピックがあるかを俯瞰するために、英語論文の芁旚を甚いお

構造的トピックモデリングを行ったずころ、分類した 22 のトピックのうち、「共有意思決定」「生

掻習慣病」「提瀺方法」「HIV」「フォヌカス・グルヌプ」ずいった医療分野の論文が近幎急増しお

いるこずが明らかずなった。さらに、原発事故以降にリスクコミュニケヌションを実践しおきた

リスクコミュニケヌタヌ10 名医療者、自治䜓職員、䜏民らを察象にリスクコミュニケヌショ

ンの目的に぀いおむンタビュヌを行うこずで、䞍安やストレスの緩和、意思決定支揎、信頌の獲

埗、理解の促進、盞互理解の深化、䟡倀の共有・共感の 6 ぀を䞋䜍の目的、日垞性の回埩、俯瞰

的芖点の醞成の 2 ぀を䞊䜍目的ずしおいるこずが明らかずなった。倚様な目的の䞭で、特に日垞

性の回埩を目的ずしたリスクコミュニケヌション掻動の重芁性が浮き圫りになった。論文の系統

的レビュヌずむンタビュヌから抜出されたリスクコミュニケヌションの指暙を衚 I-1 にたずめる。

②に぀いおは、什和元幎床においお、犏島県内で掻動する保健垫らの知識・技術の向䞊や情報

亀換の堎の提䟛などを目的ずしお、出前講座を蚈 8 回、187 名を察象に開催し぀぀、出前講座の適

切性や有甚性ずそれにより技胜が定着したかを明らかにした 7)。本出前講座は受講者から適切性

や有甚性に぀いお高い評䟡を埗おおり、ずりわけ出前講座埌の「しゅくだい」の実斜ず受講者の

保健掻動ぞの自信の関連が認められた。さらに、出前講座の効果怜蚌を目的ずしお犏島県内の保

健垫 754 名を察象にアンケヌト調査を実斜し、出前講座の受講の有無ずリスクコミュニケヌショ

ン胜力の育成効果を分析した回答率 85.0%。リスクコミュニケヌション胜力の効果評䟡におい

おは、レビュヌによっお抜出された、知識・理解の増加、コミュニケヌションぞの満足、リスク

認知・䞍安、心理的苊痛の緩和、信頌の向䞊、行動倉容・リスク受容、自己効力感の向䞊を扱っ

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

4

た。その結果、出前講座の実斜ずは独立しお、倱敗を受容するずいった職堎環境が良奜な堎合に

おいお、リスクコミュニケヌション胜力䞍安ぞの察応、ストレス緩和、信頌向䞊、自己効力感、

専門的知識習埗、専門職意識向䞊が高いこずが瀺唆された。たた、出前講座の䞭で、特にヘル

スリテラシヌに関する出前講座受講ずリスクコミュニケヌション胜力の関連が瀺された。ヘルス

リテラシヌ出前講座では、保健垫がヘルスリテラシヌの芖点䜏民が健康情報を䜿えるようにな

る技術だけでなく、専門家が健康情報を的確に䌝えられるような技術を含むを持぀こずを掚奚

しおいる 8)。䞀般に、日本の保健垫は、䜏民ずのコミュニケヌションを通じお地域のニヌズを把握

し、それを地域掻動に反映させるこずは自信の源ずなる 9)。したがっお、保健垫がヘルスリテラシ

ヌの芖点を持぀こずは、䜏民ずの協働やコミュニケヌションを可胜ずし、より効果的に地域のニ

ヌズに察応するこずができるようになるず考えられる 10)。

什和 2 幎床では、②保健垫察象の出前講座に関しお、アンケヌトおよびむンタビュヌから倚角

的に効果評䟡を行った他、③䜏民ずのリスクコミュニケヌションにおける効果評䟡を行った。さ

らに、最終幎床ずしお成果を総括し、他のグルヌプずの合同シンポゞりムを開いた他、埗られた

知芋の広い共有を図った。

è¡š I-1 抜出されたリスクコミュニケヌションの効果指暙

論文の系統的レビュヌ リスクコミュニケヌタヌぞのむンタビュヌ

知識・理解の増加 理解の促進、盞互理解の深化

リスク認知・䞍安 、心理的苊痛の緩和 䞍安やストレスの緩和

信頌の向䞊 信頌の獲埗、䟡倀の共有・共感

行動倉容・リスク受容 意思決定支揎

コミュニケヌションぞの満足 

自己効力感の向䞊 

 日垞性の回埩

 俯瞰的芖点の醞成

II. 研究方法

1. 出前講座実斜盎埌および 1 か月埌アンケヌト調査

① 出前講座の実斜方法

什和 2 幎床も、これたで同様に、珟任教育の枠組みずしお犏島県内保健垫ら向けに出前講座を

実斜した。出前講座のテヌマに぀いおは犏島県立医科倧孊ず犏島県保健犏祉郚ずの盞談の䞊で吟

味されたカリキュラムを準備した。その際には、前幎床の出前講座実斜時における各保健犏祉事

務所からの芁望なども参考にしながら、適切なカリキュラムが提䟛できるように心がけた。その

䞊で、倚様なテヌマから各保健犏祉事務所が垌望するテヌマを遞択するずいう、双方向性を重芖

した方匏を採甚した。

什和元幎床ず同様に、出前講座実斜盎埌および 1 か月埌にアンケヌトを実斜した。実斜盎埌ア

ンケヌトでは、講矩内容に察する理解床、今埌の掻動に圹立぀ず思うか、保健掻動に察する自信

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

5

などを尋ねた。加えお、1 か月埌アンケヌトでは、出前講座の開催から玄 1 か月埌に出前講座ぞの

参加の有無、出前講座で提瀺された「しゅくだい」の実斜の有無に぀いおも尋ねた。参加申し蟌

みをしたが圓日欠垭した方には、研修䌚埌に講矩資料が郵送あるいは担圓者の方を介しお配垃さ

れたため、実斜盎埌アンケヌトず 1 か月埌アンケヌトの察象人数は異なる。

② 分析方法

出前講座で孊んだこずを実際の保健掻動に掻かせたかどうかに぀いお、どのような項目が関連

するかに぀いお、1 か月埌アンケヌトを甚いお解析した。出前講座埌の「しゅくだい」の実斜の有

無が、孊んだこずを保健掻動に掻かせたか掻甚、講矩内容が理解できたず思うか理解、講

矩は今埌の保健掻動に圹立぀ず思うか有甚性認知、研修を受ける前よりも、保健掻動に察する

自信が増したず思うか自信などず関連する可胜性が瀺唆されおいたため 7)、たず、「しゅくだ

い」の実斜の有無によるこれらの項目の差異に぀いお、t 怜定を甚いお分析した。「党くそう思わ

ない」を 1、「そう思わない」を 2、「どちらずもいえない」を 3、「そう思う」を 4、「倧いにそう

思う」を 5 ずしお扱った。さらに、理解、有甚性認知、自信が掻甚に関連するかどうかを、重回

垰分析を甚いお評䟡した。その際、「しゅくだい」の実斜の有無および経隓幎数をダミヌ倉数ずし

お投入するこずで調敎した。

③ 倫理的配慮

本調査は、犏島県立医科倧孊倫理委員䌚による承認を受けお実斜した承認番号䞀般 2019-

079。

2. 集䞭型出前講座の受講者ぞのむンタビュヌによる出前講座の効果の評䟡

① むンタビュヌの実斜方法

出前講座の受講者が、実際にどのように孊習内容を保健掻動に掻かしおいるかを明らかにする

ために、これたでに集䞭的に 10 回の出前講座を実斜した保健犏祉事務所の 2 名の保健垫にむンタ

ビュヌを行った。この出前講座では、攟射線に関する健康リスクの考え方、リスクコミュニケヌ

ション、地域に求められる健康リスクに関するデヌタ解析などに぀いお扱った。同意が埗られた

研究察象者に、察象者の特城性別、経隓幎数、職皮、研修䌚参加回数、参加の動機、出前講座

に参加しお圹に立ったかどうか、 出前講座ずいう堎に぀いおどう感じたか、に぀いお半構造的面

接を実斜した。なお、研究協力者・参加者の T.K.ず K.Y.は、圓該保健犏祉事務所においお、出前

講座の講垫を担圓し、謝金を受けおいる。出前講座の講垫を担圓した者以倖の研究者分担者がむ

ンタビュヌを実斜した。たた、むンタビュヌでは「研修䌚」ずいう甚語を甚いた堎合もあるが、

本報告曞では出前講座に衚珟を統䞀した。

② 分析方法

埗られたデヌタから逐語録を䜜成した埌に、質的分析手法である SCAT (Steps for Coding and

Theorization)を甚いお分析した 11)。SCAT では、たず、準備されたマトリクスの䞭にセグメント化

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

6

したデヌタを蚘述し、そのそれぞれに、(1) デヌタの䞭の着目すべき語句、(2) それをいいかえる

ためのデヌタ倖の語句、(3) それを説明するための語句、(4) そこから浮き䞊がるテヌマ・構成抂

念、の順にコヌドを考えお付䞎するずいう、4 ステップのコヌディングを行う。そのうえで、(4)

のテヌマ・構成抂念を甚いお、ストヌリヌラむンを䜜成し、そこから理論を蚘述する分析手法で

ある。比范的小さいデヌタ数でも有効であり、明瀺的で定匏的な手続きを持぀ずいう特城がある。

本研究では、出前講座がどのように圹立ったか、その効果や意矩に぀いお蚀及した発蚀に着目し

お抜出した。

③ 倫理的配慮

本調査は、犏島県立医科倧孊倫理委員䌚による承認を受けお実斜した承認番号䞀般 2019-

106。

3. 䜏民ずのリスクコミュニケヌションにおける効果評䟡

① 調査の実斜方法

これたでの本研究の結果より、リスクコミュニケヌタヌは、灜害によっお傷぀いた䜏民の日垞

性や心身の健康の回埩を目指すこず、被灜した䜏民が健康に関する知識を埗お、䞍安やストレス

を緩和し、健康行動をずれるように促しおいくこずが明らかずなっおいる 7)。そこで、本調査で

は、東日本倧震灜埌のリスクコミュニケヌションが䜏民の日垞性の回埩や心身の健康に及がした

圱響に぀いお怜蚎した。

2019 幎 12 月に犏島県ず宮城県の䜏民 1600 名各県 800 名を察象に郵送法による調査を行っ

た。553 名回収率 34.6%の回答を埗た。参加者は、アンケヌト甚玙の䞭で、リスクコミュニケ

ヌション指暙、震灜盎埌ず比べた生掻状況の倉化、心身の健康状況、人口統蚈デヌタに぀いお回

答した。リスクコミュニケヌションの䞻な効果指暙に぀いおは、本研究により知識の共有、コミ

ュニケヌションの満足、䞍安やストレスの解消、信頌関係の構築、行動倉容、自己効力感が甚い

られおいるこずを明らかにされおいる 6)。そこで、医療埓事者あるいはたわりの人ずのコミュニ

ケヌション、自身の行動倉容や自己効力感の獲埗に関する 12 項目が䜜成された衚 II-1 。それ

ぞれの項目は、1党くあおはたらない~ 5非垞にあおはたるの 5 件法で尋ねた。

䜏民の日垞性の回埩に぀いおの枬定ずしお、震灜盎埌ず比べた生掻状況の倉化を扱い、過去の

レゞリ゚ンスやりェルビヌむングの研究で頻繁に取り䞊げられおいる生掻の様子に関するトピッ

クにもずづいお質問項目を䜜成した。具䜓的には、健康状態、家族ずの関係、友達ずの関係、身

䜓を動かす運動、趣味や嚯楜の掻動、芞術や矎術の掻動、新しい人ず接する機䌚、ボランティア

掻動ぞの参加、地域掻動ぞの参加、経枈状態の 10 項目である 12-15)。それぞれの項目に぀いお、「震

灜盎埌ず比べお」どのように倉化したかを 1かなり悪くなった~ 5かなり良くなったの 5 件

法個人や地域での掻動の項目に぀いおは 1かなり枛った ~ 5かなり増えたの 5 件法で

尋ねた。

心身の健康に぀いおは、生掻満足床ず心理的苊痛を尋ねた。生掻満足床は「党般的に芋お、あ

なたは今の自分の生掻にどのくらい満足しおいたすか」の単項目に 0非垞に䞍満足~10非垞

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

7

に満足で尋ねた 16)。たた、心理的苊痛は Kessler の粟神的苊痛尺床K6を甚いた 17)。

この他に、人口統蚈的デヌタずしお幎霢や性別に぀いおも尋ねた。

è¡š II-1 医療埓事者やたわりの人ずのコミュニケヌション、行動倉容、自己効力感に関する質

問項目

番号 質問項目

1 たわりの人ず健康に関する知識を共有しおいる

2 たわりの人ず満足のいく察話をしおいる

3 たわりの人ず互いの䞍安ぞ寄り添っおいる

4 たわりの人ず、䞀緒にストレスを解消しおいる

5 たわりの人ず信頌関係を築いおいる

6 医療関係者から健康に関する知識を埗おいる

7 医療関係者ず満足のいく察話をしおいる

8 医療関係者に自分の䞍安ぞ寄り添っおもらっおいる

9 医療関係者のおかげでストレスが軜くなっおいる

10 医療関係者ず信頌関係を築いおいる

11 健康増進に向けた行動をずっおいる

12 健康に぀いお自信を持っおいる

② 分析方法

本研究では、リスクコミュニケヌションが生掻状況の改善や心身の健康に及がす圱響に぀いお

怜蚎した。はじめに、リスクコミュニケヌションの因子を探るため、リスクコミュニケヌション

指暙に関する 12 項目に぀いお最尀法、プロマックス回転の探玢的因子分析を行った。たた、因子

の数は、最小平均偏盞関ず平行分析、および項目の内容から決定した。

抜出されたリスクコミュニケヌションず生掻状況の改善および心身の健康に぀いお、共分散構

造分析を行った。リスクコミュニケヌションは、知識の増加や䞍安の軜枛、信頌の圢成を介しお、

行動倉容あるいは自己効力感の獲埗を促すこずを目指す 6)。そのため、本研究では、リスクコミュ

ニケヌションが行動倉容たたは自己効力感を介しお生掻状況の回埩や心身の健康に圱響するずい

う媒介モデルを仮定した。モデルの適合床は、Comparative Fit Index (CFI)、Standardized Root Mean

square Residual (SRMR)、Root Mean Square Error of Approximation (RMSEA)を甚いた。

③ 倫理的配慮

本調査は、犏島県立医科倧孊倫理委員䌚による承認を受けお実斜した承認番号䞀般 2019-

169。

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

8

III. 研究結果

1. 出前講座実斜盎埌および 1 か月埌アンケヌト調査

① 出前講座の実斜状況

什和 2 幎床は、各保健犏祉事務所の遞択に基づき、衚 III-1 の通りのテヌマが扱われた。9 回開

催され、242 人が参加した。実斜盎埌アンケヌトでは、233 名が回答した回収率 96%。このう

ち、有甚性認知に぀いお、倧いにそう思う、たたはそう思うず回答した受講者の割合は、最小 53

最倧 100であり、合蚈で 92%であった。このように、受講者からは、出前講座の有甚性に぀い

お高い評䟡が埗られた。なお、「䜎所埗局や経枈的匱者局の人々のための心理支揎」に぀いおは、

比范的䜎い倀を瀺したが、内容が倚岐にわたるため、2 時間足らずで説明するのは難しかったこ

ずが可胜性ずしお考えられた。アンケヌト結果は、今埌の講矩に資するよう、講垫に還元した。

② 出前講座の孊習内容の掻甚

1 か月埌アンケヌトでは、152 人の回答が集たった。このうち、「しゅくだい」を実斜したのは、

74 名、実斜しおいないのは 73 名、無回答は 5 名であった。「しゅくだい」の実斜の有無による掻

甚、理解、有甚性認知、自信の差異を衚 III-2 に瀺す。「しゅくだい」を実斜しおいる方が、有甚性

認知、自信が有意に高く、たた、掻甚に぀いおも高い傟向がみられた。䞀方、理解に぀いおは有

意な差異はなかった。

重回垰分析による掻甚ず理解、有甚性認知、自信、「しゅくだい」の実斜、経隓幎数ずの関連を

è¡š III-3 に瀺す。理解および自信が掻甚ず有意な正の関連を瀺したのに察し、有甚性認知、「しゅ

くだい」の実斜、経隓幎数は掻甚ず有意な関連は芋られなかった。

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

9

è¡š III-1 什和 2 幎床出前講座テヌマおよび有甚性の認知

a 「党くそう思わない、そう思わない、どちらずも蚀えない、そう思う、倧いにそう思う」の 5 段階評䟡。

保健犏祉事務所・䞭栞垂保健所

開催日 テヌマ 参加人数 回収人数 回答率

講矩は今埌の保健

掻動に圹立぀ず思う倧いにそう思う、たたは、そう思うの合

蚈a

第1回 いわき垂 2020幎10月2日灜害保健掻動の実践から孊ぶ地域保健掻動の原点ず保健垫の圹割 /゜ヌシャルキャピタルを醞成する健康づくり地域づくり掻動

44 42 95% 88%

第2回 県北保健犏祉事務所 2020幎10月19日 保健掻動における面接・盞談揎助蚘録の曞き方 27 27 100% 96%

第3回 犏島垂 2020幎10月27日 感染症流行時のメンタルヘルスケア 46 44 96% 98%

第4回 䌚接保健犏祉事務所 2020幎10月30日支揎者はなぜ疲匊するのか―疲匊しない・させないための方略を考える

31 30 97% 90%

第5回 県南保健犏祉事務所 2020幎11月9日 䜎所埗局や経枈的匱者局の人々のための心理支揎 15 15 100% 53%

第6回 南䌚接保健犏祉事務所 2020幎11月20日 架電型電話支揎に䜿える支揎スキル 11 11 100% 100%

第7回 県䞭保健犏祉事務所 2020幎11月26日 地域蚺断の方法評䟡・モニタリング線 24 21 88% 95%

第8回 郡山垂 2021幎1月18日 架電型電話支揎に䜿える支揎スキル 21 21 100% 95%

第9回 盞双保健犏祉事務所 2021幎1月25日 保健掻動における面接・盞談揎助蚘録の曞き方 23 22 96% 100%

合蚈 - - - 242 233 96% 92%

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

10

è¡š III-2 「しゅくだい」の実斜の有無ず掻甚、理解、有甚性認知、自信の関連

è¡š III-3 掻甚ず理解、有甚性認知、自信、「しゅくだい」実斜の有無、経隓幎数ずの関連

重回垰分析

2. 集䞭型出前講座の受講者ぞのむンタビュヌによる出前講座の効果の評䟡

2 名の研究察象者ぞのむンタビュヌに察し SCAT を適甚し、4 ステップのコヌディングした結果

ã‚’è¡š III-4 および III-5 に瀺す。

受講者 A のストヌリヌラむンは、以䞋のずおりである。

この受講者は、研修䌚受講に぀いお、最初は非自発的な参加であったが、関心が醞成されるこ

ずで、自発的な参加ぞず倉化した。この研修䌚は、業務でも扱わない新芏の事柄の孊習機䌚にな

るだけでなく、知識の掻甚方法の習埗にも぀ながった。ずくに、地域に求められる健康リスクに

関するデヌタ解析により、保健業務における実践力を獲埗するこずができた。さらに、リスク認

知ず個人の䟡倀芳は切っおも切り離せないこずを再確認し、䜏民ず保健垫間での䟡倀芳の共有が、

意識決定支揎ずしおの専門職ずしお求められるこずであるずの認識を新たにした。倚様な研修䌚

を職堎環境の理解のもずで受講するこずが、盞乗的な効果に぀ながった。

この理論蚘述ずしお、以䞋の項目がたずめられた。

関心によっお研修䌚参加が促される。

職堎環境も研修䌚参加に関する重芁な芁因である。

平均倀 暙準誀差 平均倀 暙準誀差 P

掻甚 3.37 0.11 3.63 0.08 0.059

理解 3.74 0.09 3.92 0.08 0.144

有甚性認知 3.94 0.09 4.25 0.08 0.013

自信 3.15 0.09 3.49 0.09 0.011

「しゅくだい」実斜なし

「しゅくだい」実斜あり

非暙準化偏回垰係数95%信頌区間 暙準化偏回垰係数

理解 0.40 (0.18–0.62) 0.35

有甚性認知 0.17 (-0.06–0.40) 0.15

自信 0.31 (0.15–0.47) 0.31

「しゅくだい」実斜 0.03 (-0.18–0.24) 0.02

経隓幎数10幎以䞊 -0.10 (-0.33–0.13) -0.05

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

11

研修䌚は、業務では扱わない事柄の孊習機䌚ずしお機胜するだけでなく、地域に求められる

健康リスクに関するデヌタ解析によっお業務における実践方法の習埗に぀ながる。

リスク認知ず個人の䟡倀芳の間には密接な関連があるこずを改めお孊習するこずで、䜏民の

意思決定支揎に向けお、個々人がも぀䟡倀芳ず共有するこずが保健垫ずしお求められおいる

ずの認識を匷化する。

䞀方、受講者 B のストヌリヌラむンは、以䞋のずおりである。

この受講者は、研修䌚受講により、地域に求められる健康リスクに関するデヌタ解析の技胜を

習埗したこずに加え、攟射線リスクコミュニケヌションの考え方に基づいた保健事業における応

甚性を習埗した。特に、攟射線リスクを他のリスクず比范するこずでリスクの芋方を獲埗し、䜏

民の䟡倀芳に根差したリスクコミュニケヌションず意思決定支揎の重芁性を認識した。原子力灜

害埌においお様々な健康リスク課題がある䞭で、リスクに応じた課題抜出ず課題解決を心がけ、

自らの保健事業においお行動倉容が生じた。さらに、事業展開においお、自立性ず自䞻性が醞成

され、自ら進める事業実践ぞの認知が高たった。

この理論蚘述ずしお、以䞋の項目がたずめられた。

研修䌚は、健康リスクに関するデヌタ解析技胜および保健事業における攟射線リスクコミュ

ニケヌションぞの理解をもたらす。

攟射線リスクを倚角的にずらえるこずは、䜏民の䟡倀芳に根差したリスクコミュニケヌショ

ンの重芁性の認知を促す。

原子力灜害埌の倚様な健康リスクがある䞭で、リスクに応じた課題抜出ず課題解決に関する

意識が高たるこずで、保健事業における行動倉容が生じる。

自立性・自䞻性が醞成され、自ら事業実践するこずぞの認知が向䞊する。

以䞊の 2 名の受講者のむンタビュヌから、出前講座は、攟射線リスクず他の健康リスクの倚角

的な把握を通じお、䜏民の䟡倀芳に根差したリスクコミュニケヌションや意思決定支揎の重芁性

の認知を促しおいた。さらに、受講者に、リスクに応じた課題抜出ず課題解決に察する理解を高

め、それらに基づいお保健掻動を倉容させおいたこずが明らかずなった。

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

12

è¡š III-4 集䞭的に実斜した出前講座の受講者 A ぞの出前講座の効果に関するむンタビュヌぞの

SCAT の適甚

番号

テクスト<1>テクスト䞭の泚目すべき

語句<2>テクスト䞭の語句の蚀い

かえ<3>巊を説明するようなテク

スト倖の抂念

<4>テヌマ・構成抂念前埌や党䜓の文脈を考慮し

お

1

※※ 参加しようず思ったのはどういう 最初。察象1 党員来おず蚀われお、最初は行っおいたんですけど、最初の1回目ずかは、たぶん初回はそんな感じだったず思うんですが、その埌は興味があったのでなるべく参加したいず思っお。

来おず蚀われお、最初は行っおいた。興味があった。なるべく参加したい。

蚀われお参加。興味。みずから参加。

自発性。研修䌚ぞの関心の倉化。

関心の醞成。「非自発的参加」から「自発的参加」ぞの倉化。

2

※※ 内容が自分に必芁だず思うこずかなずいうような、あれですかね。察象1 そうですね。業務の䞭でもですし、たぶん孊生では孊べなかった郚分、孊んでいたけど、それ以䞊に掻甚の仕方が分からないでいたので、今回のを通しお、結構いろいろ倚くを孊べたなず思っおいたす。

業務の䞭でも、孊生でも孊べなかった郚分。孊んでいたけど、掻甚の仕方がわからないでいた。倚くを孊べた。

倧孊や業務での孊習。掻甚方法。

孊習䜓隓。知識の掻甚。新芏の孊習機䌚。知識の「掻甚方法」の習埗。

3

※※ どんなこずが䞀番圹に立ったずいうか。察象1 今回は基本チェックリストからずいうこずだったず思うんですが、そこの分析のずころで私たちは地域の65歳以䞊の方ずいうふうに限定はされおいたすけれども、健康の課題ずか予防ずいうずころに力を入れるにはそういう分析だったり、今ある情報量をどうやっお掻甚しおいったらいいのかずいうずころがちょっず苊手ずいうか、どういうふうにしおいったらいいんだろうずいうのがずっずあったので、そこを孊べたかなずは思いたす。なので、分析方法はもちろんずいうずころですね。

情報量の掻甚。苊手。分析方法。

情報掻甚。デヌタ解析。健康リスクの評䟡、地域蚺断。

地域に求められる健康リスクに関する「デヌタ解析」。

4

※※ それは日垞おやりになっおいなかったこずですかね。察象1 もずもず衚に関しおは入力はしおいたんですけど、それを生かしたいずはどの保健垫も蚀っおいたんですけど、生かしたいんだけど、生かす方法が䜕ずも芋いだせないずいうか、今の業務の䞭でやっおいくずいうずころではちょっず匱い郚分だったので、そこを匷化しおいくためにも今回の機䌚はすごく貎重だったず思いたす。※※ 生かすかずいうずころたでのずころが、掻甚するたでは結び付いおいなかったずいうこずですかね。察象1 そうですね。私の就職幎数からしおもそこたでどうやっお仕事でやっおいくかずいうずころがただ道筋が分からなかったので、そこの郚分では倧倉助かったずいうか。

生かしたい。掻かす方法が芋いだせない。業務の䞭でやっおいくずころが匱い。道筋がわからなかった。

業務における掻甚。手順。 実践力。コンピテンシヌ。 「実践力」の獲埗。

5

※※ そうですか。分かりたした。そのほか圹に立ったずいうずころはありたすか。察象1 仕事の䞭でいろいろな方ずお䌚いしおいく䞭で芋方が倉わったずいうか、根本のずころはあんたり倉わらないんですけれども、どうやっおその人を自分らしく生掻を支えおいくかずいうずころの芖点を生かしおいくためには、じゃあ、保健垫ずしお䜕ができるかずいうのはちょっず考えるようになったずいうか、意識的なずころで倉わっおきたずいうか、そういった倉化は実感しおいたす。䞭略䟡倀芳が人によっお違うずいうのは分かっおいたこずなんだけれども、やっぱりそれが倧事なんだずいう意識になり始めたのはここ34幎ぐらいの䞭で、この研修も通しお思うようになっおきたずいうか。

芋方が倉わった。その人を自分らしく。生掻を支えおいく。保健垫ずしお䜕ができるか。䟡倀芳が人によっお違う。それが倧事なんだずいう意識。

䜏民䞀人䞀人の自分らしさ。䜏民がも぀䟡倀芳。保健垫職ぞの認識の匷化。

生きがい。䟡倀芳の共有。保健垫芳の倉化。

䜏民ず保健垫間での「䟡倀芳の共有」。「意思決定支揎」ずしおの専門職。

6

※※ そうですか。具䜓的にチェックリスト、地域蚺断の研修䌚はそういう圢ですけど、今、その人らしく䟡倀芳を倧事にしおずいうあたりは印象的な研修の内容っおありたしたか。今回の研修を受けおみお、どの蟺でそんなふうに敎理ができたした察象1 今回の研修だったのか。結構リスク、リスクずいう蚀葉が  ※※ 倚かったね、きっず。察象1 倚かったので、たぶんそれもきっかけだったずは思うんです。今回の研修を通しおのきっかけですし、

リスク。きっかけ。 リスク抂念。契機。リスク抂念ず䟡倀芳の理解。保健垫芳ぞの認識倉化の契機。

リスク認知ず個人の䟡倀芳。

7

察象1  それプラス、自分でちょっず職堎ず盞談しながら受けた倖郚研修の方でもやっぱり圱響しおいるのかなずは思いたす。あずは、法人のずころの方針ずしおも、そこをもっず匷く考えおいかなくちゃいけないずいうずころが瀺されおいるのも、それも圱響しおいるこずだず思いたす。

職堎ず盞談。倖郚研修。もっず匷く考えおいかなくちゃいけない。

職堎環境。他の研修䌚。研修䌚受講ぞの職堎環境の圱響。耇数の研修䌚による効果。

職堎環境における理解。倚様な研修䌚受講による「盞乗効果」。

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

13

è¡š III-5 集䞭的に実斜した出前講座の受講者 B ぞの出前講座の効果に関するむンタビュヌぞの

SCAT の適甚

番号

テクスト<1>テクスト䞭の泚目すべき

語句<2>テクスト䞭の語句の蚀い

かえ<3>巊を説明するようなテク

スト倖の抂念

<4>テヌマ・構成抂念前埌や党䜓の文脈を考慮し

お

1

※※ 具䜓的に圹に立ったずころは、どんなずころだったですかね。察象2 本圓に基本的なずころなんですけど。日々の蚪問で基本チェックリストを取っおいお、それの集蚈たではできおいるんですけど、そこの分析ずいうずころたでは、なかなか行き着かない。぀い぀い日々の業務に流されおしたっお、そこたでゆっくりやれないんですけど、そういうずころをやった䞊で、次の幎の事業蚈画だったり取り組みに反映しないずいけないんだなずいったずころの、◇@K◇先生の现かい手法だったりずか、デヌタの向き合い方ずいうか、デヌタの分析の仕方ずか、そういうずころはすごく参考になりたした。

分析たでは行き着けない。デヌタの分析の仕方が参考になった。

デヌタ解析。健康リスクの評䟡、地域蚺断。

地域に求められる健康リスクに関するデヌタ解析。

2

察象2 あず、◇@M◇先生のリスクの考え方も、攟射線関係のずころでのお話ではあったんですけど、攟射線にかかわらなくおも、このいわきの地域での日々の盞談ごずだったりずか、高霢者ぞの面接の進め方ずいうか察応の仕方でも、すごく参考になった考え方だった。

リスクの考え方。攟射線。日々の盞談事。察応の仕方が参考になった考え方。

攟射線リスク。察話の仕方。攟射線リスクコミュニケヌション。

攟射線リスクコミュニケヌションの考え方。応甚性。

3

※※ そのリスクの考え方ずいうず、具䜓的にどんなずころが印象に残っおいるんですか。察象2 攟射線のテヌマで先生がちょっずしゃべっおくださっお。あの事故の埌に、東京に䜏んでいる人がちょっず野菜を買うのが心配だず、東北の野菜だずか地元の野菜が心配だから、遠いずころの野菜を買いに行くずいった倫婊の話で、実は健康に関するリスクよりも、野菜を買いにいくこずによっお亀通事故に遭うリスクの方が高いんだず。

野菜。健康に関するリスク。亀通事故に遭うリスク。

攟射線リスク。亀通事故のリスク。

リスク比范。 リスク比范。リスクの芋方。

4

察象2 物事っお、やっぱりその人による䟡倀芳でリスクは倉わっおくるし、䞍安だずいうこずに察する接し方の話でしたけど、䜕かね、攟射線のリスクっおあたり心配ないんだずかね、いろいろな話はあるんだけれども、その人がそのこずをリスクに思っおいお、䞍安に思っおいるずいうこずに察しお、どうアプロヌチするのかずいうずころで。私も、亀通事故のリスクが高いんだず聞いたずきに、ああ、そうなんだっお、目からうろこが萜ちたずいうか、ああ、なるほどなずいうこずで。ちょっずそれで、倉な話なんですけど、なかなか説明が難しかったりずか介入が難しいようなケヌスの察応のずきに、その話がふず出るずきがあっお、その人の䟡倀芳に基づいお。

䟡倀芳でリスクは倉わる。その人がリスクず思っおいるこずにどうアプロヌチするか。目からうろこが萜ちた。介入が難しいケヌスの察応の時にその話が出る。䟡倀芳に基づく。

䜏民がも぀䟡倀芳。䟡倀芳に基づいたアプロヌチ。

䟡倀芳に根差したリスクコミュニケヌション。保健垫掻動。

䜏民の䟡倀芳に根差したリスクコミュニケヌション。意思決定支揎。

5

※※ なるほどね。あずは、具䜓的に保健垫さんたちがこんなふうなずころが倉わったなずいうのはありたすか、もう少し。たあ、埐々にかもしれないですね。察象2 そうですね。ただ、基本チェックリストの方も、いろいろその包括によっお分析の仕方だったりずか、あず、なかなか件数も倚いので、やみくもに取っおも、䞀斉に蚪問を掛けお分析しおずいうのが難しいずきの、優先順䜍の付け方だったりずか。 あずは、基本チェックリスト以倖にも、認知症の介護保険の芁支揎の認定を受けた方で、認知症の自立床がⅡa以䞊の方の蚪問もやっおいるんですけれども、そういったずころのアンケヌトの内容もちょっず芋盎しをかけたりずか、やり方に぀いおはたた敎理をし盎したので、そういうずころは共通でちょっずこう倉化があったずころかなず。これを聞いおもしょうがないずいうか、優先順䜍を。党郚聞けるわけでもないので、必芁なずころは䜕なのかずいうずころを、もう䞀床再確認したりずか、進め方をちょっず倉えたずいうのは、勉匷䌚の埌の倉化だったかなず思いたす。

優先順䜍の付け方。芋盎し。必芁なずころは䜕か。進め方を倉えた。

優先順䜍づけ。進め方の倉化。

課題抜出。課題解決。行動倉容。

リスクに応じた課題抜出・課題解決。保健事業における行動倉容。

6

※※ そしお、䞀番、その研修、この評䟡は、今回の研修の堎に぀いお、どういうふうに感じおいるかずいうずころを聞きたいんだそうです。意味があったか。あずは、こういうずころはこういうふうにした方がいいんじゃないかずか、これからはこうしたらいいんじゃないかずいうずころを䌺いたいんですけど、どうでしょうか。察象2 私の本圓に個人的な考えなんですけど。やらせおいただいお本圓に勉匷になっお。でも、倧事なのは、孊んだこずを実践しおいかないずいけないので、そこからは、もう私たちの力なんだなずいう。必芁なのは私たちの力なんだなずいうずころで。やっぱり受けお終わっただけにはしないで、それを振り返りながらやっおいかないずいけないなずいうのをすごく感じおいお。あず、これからは、いろいろ教えおいただいたこずで事業を進めおいくので、それを時々、どうかなずいうのをちょっず確認、確認ずいうか助蚀をいただいたりずか、あず、新しい情報だったりを教えおいただけたらいいのかなずいうずころで。

孊んだこずを実践しなければならない。そこからは私たちの力。受けお終わっただけにはしない。いろいろ抌しおいただいたこずで事業を進めおいく。

事業での実践。自分たちの力。埩習。

自立した事業実践。自立性・自䞻性の醞成。自ら進める事業実践。

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

14

3. 䜏民ずのリスクコミュニケヌションにおける効果評䟡

① リスクコミュニケヌションに関する因子分析

リスクコミュニケヌション指暙の 12 項目に぀いお、Kaiser-Meyer-Olkin は 0.87 であり、十分に

高かった 18)。続いお、因子数の怜蚎ずしお最小平均偏盞関ず平行分析を行ったずころ、2 因子か

3 因子が掚奚された。因子の内容な解釈の容易さから本研究では 2 因子構造を採甚した。第䞀因

子は、「医療関係者から健康に関する知識を埗おいる」「医療関係者ず満足のいく察話をしおい

る」「医療関係者に自分の䞍安ぞ寄り添っおもらっおいる」「医療関係者のおかげでストレスが軜

くなっおいる」「医療関係者ず信頌関係を築いおいる」ずいった医療者ずのリスクコミュニケヌ

ションに関する因子負荷量が 0.685–0.936 ず高く、医療者 RC ず名付けた。第二因子に察しお

は、「たわりの人ず健康に関する知識を共有しおいる」「たわりの人ず満足のいく察話をしおい

る」「たわりの人ず互いの䞍安ぞ寄り添っおいる」「たわりの人ず、䞀緒にストレスを解消しおい

る」「たわりの人ず信頌関係を築いおいる」ずいった家族や友人ずいったたわりの人ずのリスク

コミュニケヌションに関する因子負荷量が 0.662–0.850 ず高く、たわりの人 RC ず名付けた。健

康増進に向けた行動倉容や健康に぀いおの自己効力感は因子ずしお含たれなかった。

② リスクコミュニケヌションが生掻状況の改善や心身の健康に及がす圱響に関する共分散構造

分析

リスクコミュニケヌションが行動倉容ず自己効力感の獲埗を介しお生掻状況の改善や心身の健

康に及がす圱響を評䟡するために、共分散構造分析を甚いた。医療者 RC、たわりの人 RC をそ

れぞれ察応する 5 項目から因子を䜜成した。生掻状況の改善に぀いおは、4 ぀のサブ因子ずし

お、個人的掻動身䜓を動かす運動、趣味や嚯楜の掻動、芞術や矎術の掻動、瀟䌚的掻動新

しい人ず接する機䌚、ボランティア掻動ぞの参加、地域掻動ぞの参加、人間関係家族ずの関

係、友達ずの関係、健康・経枈健康状態、経枈状態から構成された。

共分散構造分析の結果を衚 III-6 に瀺す。生掻状況の改善に぀いおの CFI、SRMR、RMSEA は

0.968、0.066、0.039 であった。同様に、生掻満足床に぀いおはそれぞれ 0.994、0.056、0.027、心

理的苊痛に぀いおは 0.993、0.055、0.030 であり、モデルは適切であるず考えられた。

たわりの人 RC は、生掻状況の改善に察しお正の盎接効果が芋られた暙準化偏回垰係数

0.280。さらに、行動倉容0.262×0.223ず自己効力感の獲埗0.256×0.309を介した正の間接

効果が確認された。これに察し、医療者 RC は生掻状況の改善に察しお負の盎接効果が芋られた

が (-0.239)、行動倉容0.239×0.223ず自己効力感の獲埗0.114×0.309を介した正の間接効果

が確認された。

生掻満足床に぀いおは、たわりの人 RC から行動倉容0.265×0.187および自己効力感の獲埗

0.286×0.229を介した正の間接効果が確認された。医療者 RC からは、行動倉容

0.250×0.187を介した正の間接効果のみがみられた。

心理的苊痛に぀いおも、たわりの人 RC からは行動倉容0.270×-0.138および自己効力感の

獲埗0.260×-0.259を介した、医療者 RC からは行動倉容0.245×-0.138を介した負の間接効

果がみられた。

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

15

è¡š III-6 リスクコミュニケヌションが生掻状況の改善や心身の健康に及がす圱響

共分散構造分析

アりトカム

生掻状況の改善 生掻満足床 心理的苊痛

たわりの人 RC→行動倉容 0.262 0.265 0.270

たわりの人 RC→自己効力感 0.256 0.286 0.260

たわりの人 RC→アりトカム 0.280 - -

医療者 RC→行動倉容 0.239 0.250 0.245

医療者 RC→自己効力感 0.114 - -

医療者 RC→アりトカム -0.239 - -

行動倉容→アりトカム 0.223 0.187 -0.138

自己効力感→アりトカム 0.309 0.229 -0.259

※有意な項目P < 0.05のみに぀いお暙準化偏回垰係数を蚘茉

IV. 考察

1. 保健垫察象の出前講座を通じた効果評䟡

保健垫察象の出前講座に぀いおは、これたでに、出前講座埌の「しゅくだい」の実斜ず受講者

の保健掻動ぞの自信の関連があるこず、ならびに、特にヘルスリテラシヌを受講した参加者のリ

スクコミュニケヌション胜力䞍安ぞの察応、ストレス緩和、信頌向䞊、自己効力感、専門的知

識習埗、専門職意識向䞊ずの関連が瀺唆されおいた 7)。

什和 2 幎床においおは、新型コロナ感染症予防策を講じながら、蚈 9 回、242 人を察象に実斜

でき、講座終了埌アンケヌトにおいお「今埌の保健掻動に圹立぀ず思う」ず回答した方の割合が

92に達するなど、受講者から高い評䟡を埗るこずができた。これらの結果は、講垫自身にも還

元しおおり、次回の授業にいかすずいった効果をもたらしたず考えられる。

これたでの知芋ず同様に、出前講座時に提瀺した「しゅくだい」を実斜した人の方が、有甚性

認知、自信が有意に高く、たた、掻甚に぀いおも高い傟向がみられた。さらに、重回垰分析によ

っお、「しゅくだい」の実斜の有無や経隓幎数を調敎した䞊で、自信が掻甚ず有意な正の関連を瀺

したこずから、「しゅくだい」の実斜が保健掻動ぞの自信を高め、実際の保健掻動に掻甚するこず

に぀ながる可胜性が瀺された。このように、出前講座終了埌も、「しゅくだい」を提瀺するこずで、

孊習内容ず技胜の定着を通じお、受講者の自信が高たり、実際の保健掻動での掻甚に぀ながるず

考えられた。

さらに、集䞭的に実斜した出前講座の受講者を察象に行ったむンタビュヌを通じお、出前講座

の孊習内容に基づいお、受講者の実際の保健掻動が倉容したこずが確認できた。出前講座では、

特に攟射線リスクず他の健康リスクの倚角的な把握を通じお、リスクには䜏民の䟡倀芳ず切り離

せないものであるこずや、䟡倀芳に根差したリスクコミュニケヌションや意思決定支揎の重芁性

を再確認するこずに至った。これらの孊習内容は、保健垫の専門職ずしおの認識の高たりを生む

こずに぀ながった。これらの認識を土台ずしたうえで、原子力灜害埌の倚様な健康リスクの䞭で

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

16

の課題抜出ず課題解決に関する意識が高たるこずにより、保健事業における行動倉容が生じるこ

ずが明らかずなった。たた、出前講座の受講には本人の関心や職堎環境が関連するこずも確認で

きた。これらの知芋は既報ず䞀臎しおいた 10,19)。さらに、孊習内容の実践には、本人の自䞻性や

自立性の醞成が重芁であるず考えられた。

以䞊のこずから、出前講座の受講は以䞋のような過皋を経るず考えられた。たず、出前講座の

受講がしやすいように職堎環境を敎備したり、受講者の関心を高めたりするこずで、出前講座の

受講が促される。次に、「しゅくだい」の実斜などによっお、孊習内容や技胜の定着ずずもに受講

者の自信を高たる。最埌に、実際の地域の健康リスク課題の把握ずずもに、出前講座の孊習内容

の実践に぀ながる。このような過皋を経お、保健垫掻動における行動倉容がもたらされるず敎理

できた。

2. 䜏民ずのリスクコミュニケヌションにおける効果評䟡

本研究では、犏島県ず宮城県の䜏民を察象に、たわりの人や医療者ずのリスクコミュニケヌシ

ョンが震灜埌の生掻状況の改善や心身の健康に及がす圱響に぀いお怜蚎した。たわりの人ずのリ

スクコミュニケヌションは健康行動に察する行動倉容や自己効力感の獲埗を介し、生掻状況の改

善や心身の健康の向䞊に圱響するこずが瀺唆された。東日本倧震灜埌の犏島県や宮城県においお、

䜏民は、家族や友人ずのリスクコミュニケヌションを通しお、健康行動に関する情報ぞの確信 20)

や実行可胜性を高め、行動倉容や自己効力感の獲埗が促されたこずが考えられる。たた、たわり

の人ずのリスクコミュニケヌションは、生掻状況の改善に察しお盎接効果も確認された。本研究

では媒介倉数ずしお健康行動に関する偎面しか瀺されおいないが、この盎接効果の結果は、たわ

りの人ずのリスクコミュニケヌションが健康面のみならず、日垞性の様々な偎面においお回埩を

促す効果があるこずを瀺唆する。埓来、リスクコミュニケヌション掻動やそのガむドラむンは専

門家ずの盞互䜜甚を想定されおいるこずが倚かったが、本研究の結果を螏たえるず、リスク問題

に察する行動倉容や意思決定を効果的に手助けするうえでは、非専門家個人に専門的な情報や意

芋を提䟛するだけでなく、非専門家間の䌚話の䞭にそうした情報や意芋を提䟛するこずを考える

こずが重芁である。

医療者ずのコミュニケヌションは、健康増進に向けた行動倉容や自己効力感の獲埗を介しお生

掻状況の改善や心身の健康の向䞊を促す媒介効果が瀺された。埓来のリスクコミュニケヌション

で想定されおいた通り、本研究においおも専門家は圱響を受けた人ず積極的に知識や䞍安の共有、

満足なコミュニケヌション、信頌の構築に取り組んでいくこずが䜏民の生掻状況の改善に぀なが

るこずが瀺唆された。ずりわけ、情報䞍足や専門性の高さから非専門家の間で理解䞍足や誀った

理解が生たれやすい問題では、たわりの人々ずのリスクコミュニケヌションだけでは、間違った

情報や根拠のないうわさが広がっおしたうこずが懞念される 21)。リスク問題を効果的に解決たた

は回避するためにも、情報発信の初めや理解が進む過皋においお、たびたび専門家の存圚は必芁

になるだろう。

䞀方、医療者ずのリスクコミュニケヌションでは、生掻状況の改善においお、盎接効果や総合

効果においお負の効果が芋られた。この結果は、医療者ずのリスクコミュニケヌションが䜏民の

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

17

生掻状況を悪化させたずいうよりも、生掻状況が良奜ではない人に察しお医療者がコミュニケヌ

ションを取りやすいずいう、仮定されたパスずは逆の因果関係が瀺された可胜性があるため、解

釈には慎重を芁する。しかし、個人的掻動、瀟䌚的掻動、人間関係、健康・経枈ずいった倚様な偎

面を持぀生掻状況の改善に察しおは、医療者のリスクコミュニケヌションが正の盎接圱響を䞎え

るこずが困難であるこずを反映しおいる可胜性もある。そうであるならば、医療者のリスクコミ

ュニケヌションが䜏民の生掻状況の改善に寄䞎するためには、医療者が、䜏民の持぀倚様な䟡倀

を認識するこずが鍵ずなろう。リスクコミュニケヌションにおいお、䟡倀の共有が重芁であるこ

ずはこれたでも倚く指摘されおおり、䞊述したように、集䞭的な出前講座を受講した保健垫も、

本点の重芁性を再確認しおいる。灜害埌における䜏民の生掻状況の改善には、医療者間で倚様な

䟡倀の認識を広めるこず、そのためのリスクコミュニケヌションに関する抂念の浞透ず教育機䌚

の提䟛が期埅される。

V. 結論

本研究では、①リスクコミュニケヌションの効果に関するレビュヌ孊術雑誌の系統レビュヌ

およびむンタビュヌ、②保健垫察象の出前講座を通じた効果評䟡、③䜏民察象アンケヌトを通じ

た効果評䟡、を実斜した。什和 2 幎床が最終幎床であるこず、ならびに、これたでの成果の総括

を行っおきたこずを螏たえ、本章では、平成 30 幎床以降に実斜した内容も含め、本研究で埗られ

た知芋をたずめる。

①リスクコミュニケヌションの効果に関するレビュヌでは、3000 を超える英語・日本語論文を

察象に解析した。構造的トピックモデリングによっお、医療分野のリスクコミュニケヌションの

論文数が近幎増加しおいるこずを明らかにした。たた、効果評䟡の指暙は、知識・理解の増加、

コミュニケヌションぞの満足、リスク認知・䞍安、心理的苊痛の緩和、信頌の向䞊、行動倉容・リ

スク受容、自己効力感の向䞊、その他に分類できた。犏島原発事故のリスクコミュニケヌタヌ10

名を察象にむンタビュヌを行い、リスクコミュニケヌションの目的ずしお、䞍安やストレスの緩

和、意思決定支揎、信頌の獲埗、理解の促進、盞互理解の深化、䟡倀の共有・共感、日垞性の回

埩、俯瞰的芖点の醞成が抜出された。

②保健垫察象出前講座を通じた効果評䟡では、出前講座を蚈 17 回、のべ 429 人を察象に実斜

し、受講者から適切性や有甚性に぀いお高い評䟡を埗た。ずくに、出前講座実斜埌の「しゅくだ

い」を実斜するこずで、保健掻動ぞの自信を高め、実際の保健掻動に掻甚するこずに぀ながるこ

ずが瀺唆された。出前講座の効果怜蚌を目的に、犏島県内の保健垫を察象に、①によっお抜出さ

れた指暙を甚いたアンケヌト調査を実斜した。出前講座の䞭で、特にヘルスリテラシヌに関する

出前講座の受講ず、リスクコミュニケヌション胜力の関連が瀺された。さらに、むンタビュヌに

より、出前講座の受講者は、攟射線リスクず他の健康リスクの倚角的な把握を通じお、䜏民の䟡

倀芳に根差したリスクコミュニケヌションの重芁性を認知し、自身の保健掻動を倉容させおいた

こずが明らかずなった。

③䜏民察象アンケヌトを通じた効果評䟡では、①に基づいお敎理されたリスクコミュニケヌシ

ョンの効果指暙を甚いたアンケヌトにより、家族や友人ずいったたわりの人ずのリスクコミュニ

ケヌションが、䜏民の行動倉容や自己効力感を介しお、生掻状況や心身の健康の改善を促進する

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

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こずが瀺唆された。䞀方、医療者ずのリスクコミュニケヌションは、䜏民の行動倉容を介しお生

掻状況の改善や心身の健康の促進に寄䞎するこずが瀺唆された。

VI. 次幎床以降の蚈画

本研究は什和 2 幎床で終了するが、今埌の展望ずしお、研究成果の環境保健行政ぞの掻甚方策

および本研究をさらに発展させる新たな研究や事業化に぀いおの提案を蚘茉する。

1. 研究成果の環境保健行政ぞの掻甚方策の提案

本研究では、論文のレビュヌによっお、リスクコミュニケヌションの効果評䟡の指暙は、知識・

理解の増加、コミュニケヌションぞの満足、リスク認知・䞍安、心理的苊痛の緩和、信頌の向䞊、

行動倉容・リスク受容、自己効力感の向䞊、その他に分類できるこず、たた、リスクコミュニケ

ヌタヌぞのむンタビュヌによっお、リスクコミュニケヌションの目的が䞍安やストレスの緩和、

意思決定支揎、信頌の獲埗、理解の促進、盞互理解の深化、䟡倀の共有・共感、日垞性の回埩、俯

瞰的芖点の醞成に䜓系づけられるこずを明らかにした。たた、ここで埗られた指暙を基に、アン

ケヌト調査で甚いる質問祚を䜜成し、実際に掻甚した。このように、環境保健行政事業においお

リスクコミュニケヌションの目暙を蚭定する際、あるいは、実際に事業を進めおその効果の評䟡

を行う際には、本研究で埗られた知芋の掻甚が期埅できる。

本研究では、保健垫らのリスクコミュニケヌタヌ育成においお、ずりわけ、ヘルスリテラシヌ

に関する出前講座受講が効果的であるこずが瀺唆された。さらに、攟射線リスクず他の健康リス

クの倚角的な把握を通じお、䜏民の䟡倀芳に根差したリスクコミュニケヌションが認識され、課

題解決に向けた保健掻動ぞの行動倉容を促すこずが瀺唆された。これらのこずから、環境保健事

業においお、ヘルスリテラシヌ、リスク比范、リスクコミュニケヌションに぀いおの出前講座な

どを広域に展開するこずが、保健垫の事業における実践力を高める䞊で有甚であるず考えられた。

たた、倱敗を受容する職堎環境が、リスクコミュニケヌション胜力育成の芳点からも重芁であ

るこずが明らかずなった。さらに、職堎環境が様々な出前講座などの受講においお重芁な圹割を

果たすこずも瀺唆された。これらのこずから、職堎においお、倱敗を受容する環境ぞの認識を高

めたり、出前講座などの受講ぞの理解やむンセンティブを働かせたりするこずが重芁であるず考

えられた。

2. 本研究をさらに発展させる新たな研究や事業化の提案

本研究では、抜出されたリスクコミュニケヌションの効果指暙の敎理を行ったうえで、暪断研

究のデザむンにおいお、ヘルスリテラシヌに関する出前講座受講が保健垫らのリスクコミュニケ

ヌション胜力育成に関連するこず、ならびに、たわりの人ずのリスクコミュニケヌションの共有

が生掻状況や心身の健康の改善を促進しうるこずを瀺した。今埌は、介入研究などを進めるこず

で、知芋を蓄積し、゚ビデンスを高めるこずが期埅される。埗られた知芋の蓄積ずずもに、医療

関係者ぞのヘルスリテラシヌ育成を広域に展開する事業孊郚教育、珟任教育などなどを進め、

知の蓄積ず瀟䌚実装のルヌプを構築するこずがさらなる発展ぞず぀ながるものず考えられる。

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

19

本研究では、リスクコミュニケヌションの効果評䟡に着目したが、リスクコミュニケヌション

には効果的偎面ず倫理的偎面があるず考えられる。本研究で察象ずした効果的偎面に関する議論

に加えお、どのようなリスクコミュニケヌションの目暙が望たしいか、正圓化されるか、ずいっ

た議論は別途必芁である。䞊述のずおり、本研究では、包括的なリスクコミュニケヌションの指

暙や目暙を敎理したが、これらの指暙や目暙は、個々のリスクコミュニケヌションを実践する際

の目暙や指暙蚭定に関する議論に資する材料ずしお有甚であろう。

家族、友人などたわりの人ずのリスクコミュニケヌションに぀いおは、これたで十分には議論

されおこなかったが、本研究によりその重芁性が瀺唆された。たわりの人ずのリスクコミュニケ

ヌションに関する具䜓的な実態調査たずえば、どのようなリスクに぀いお議論しおいるのか、

誰ず誰の間で、どのくらいの頻床で行われ、それによりどのような圱響を受けたのかいるのか、

などを進めるこずが、瀟䌚におけるリスクコミュニケヌション文化の醞成に぀ながるものず期

埅できる。

VII. この研究に関する珟圚たでの研究状況、業瞟

ア) 論文・雑誌等

1) Kaori Honda, Yasumasa Igarashi, Michio Murakami: The Structuralization of risk communication

work and objectives in the aftermath of the Fukushima nuclear disaster, International Journal of

Disaster Risk Reduction, 50, 101899, 2020 幎 11 月. doi:10.1016/j.ijdrr.2020.101899.査読あ

り

2) Akiko Sato, Kaori Honda, Kyoko Ono, Reiko Kanda, Takehiko I. Hayashi, Yoshihito Takeda,

Yoshitake Takebayashi, Tomoyuki Kobayashi, Michio Murakami: Reviews on common objectives

and evaluation indicators for risk communication activities from 2011 to 2017. PeerJ, 8:e9730,

2020 幎 8 月. doi:10.7717/peerj.9730. (Literature review)査読あり

ã‚€) 孊䌚発衚等

1小林智之・竹林由歊・埌藀あや・䞭谷内䞀也・村䞊道倫: 犏島県ず宮城県における灜害埌

のリスクコミュニケヌションが䜏民の日垞性に及がした圱響, 日本リスク孊䌚第 33 回幎

次倧䌚2020 幎 11 月 21 日, オンラむン, 口頭, 䞀般, 囜内査読なし

ã‚Š) 曞籍・総説

該圓なし。

ã‚š) 受賞

該圓なし。

オ) 特蚱

該圓なし。

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

20

カ) 環境行政ぞの掻甚・貢献実瞟

1犏島県 看護協䌚に出前講座に関する結果を共有2021 幎 1 月。

2党囜 党囜保健垫長䌚に出前講座に関する結果を共有2021 幎 1 月。

3犏島県 各保健犏祉事務所などの珟堎の保健垫らに出前講座に関する結果を共有2021 幎

2 月。

4経枈産業省など 土壌汚染に関するセミナヌなどで事業者らに他分野の事䟋ずしお玹介

2021 幎 2 月。

5海倖の研究者ICRP、CEPN、倧孊教員などに出前講座に関する結果を共有2021 幎 2

月。

VIII. 匕甚文献

1) Murakami M, Tsubokura M, Ono K, et al: Additional risk of diabetes exceeds the increased risk of

cancer caused by radiation exposure after the Fukushima disaster. PLOS ONE. 12(9):e0185259,

2017.

2) Murakami M, Tsubokura M, Ono K, et al: New "loss of happy life expectancy" indicator and its use

in risk comparison after Fukushima disaster. Sci Total Environ. 615:1527-1534, 2018.

3) Kobayashi T, Yoshida K, Takebayashi Y, et al: Belief in group interdependence: Facilitating

evacuee–host interactions after the Fukushima nuclear accident. Journal of Applied Social

Psychology.DOI: 10.1111/jasp.12753, 2021.

4) 朚䞋冚雄: リスク・コミュニケヌション再考―統合的リスク・コミュニケヌションの構築

に向けお(1) 日本リスク研究孊䌚誌. 18(2):3-22, 2008.

5) 日本孊術䌚議臚床医孊委員䌚攟射線防護・リスクマネゞメント分科䌚: 提蚀「医孊教育に

おける必修化をはじめずする攟射線の健康リスク科孊教育の充実」. 2014.

6) 村䞊道倫: リスクコミュニケヌション掻動の効果評䟡指暙の䜓系化ず効果怜蚌の実践.

2019; http://www.env.go.jp/chemi/chemi/rhm/R0104e_3.pdf (2021 幎 3 ✉ 30 ✇閲芧).

7) 村䞊道倫: リスクコミュニケヌション掻動の効果評䟡指暙の䜓系化ず効果怜蚌の実践.

2020; https://www.env.go.jp/chemi/chemi/rhm/r0204e_3_2.pdf (2021 幎 3 ✉ 30 ✇閲芧).

8) Goto A: Thinking, talking, and working with professional community workers after the Fukushima

nuclear accident. Ann ICRP. 45(2_suppl):37-40, 2016.

9) 小川 智 , äž­è°· 久 : 行政保健垫の職務ぞの自信ずその圱響芁因 . 日本公衆衛生雑誌 .

59(7):457-465, 2012.

10) Yumiya Y, Goto A, Murakami M, et al: Communication between health professionals and

community residents in Fukushima: A focus on the feedback loop. Health Communication.1-9. doi:

10.1080/10410236.10412019.11625004, 2019.

11) 倧谷尚: 質的研究シリヌズ SCAT:Steps for Coding and Theorization--明瀺的手続きで着手し

やすく小芏暡デヌタに適甚可胜な質的デヌタ分析手法. 感性工孊. 10(3):155-160, 2011.

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什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

21

12) Benyamini Y, Idler EL, Leventhal H, et al: Positive Affect and Function as Influences on Self-

Assessments of Health: Expanding Our View Beyond Illness and Disability. The Journals of

Gerontology: Series B. 55(2):P107-P116, 2000.

13) Diener E, Seligman MEP: Very Happy People. Psychol Sci. 13(1):81-84, 2002.

14) Scheufele DA, Shah DV: Personality Strength and Social Capital:The Role of Dispositional and

Informational Variables in the Production of Civic Participation. Communication Research.

27(2):107-131, 2000.

15) Williams DR, Yu Y, Jackson JS, et al: Racial Differences in Physical and Mental Health:Socio-

economic Status, Stress and Discrimination. Journal of Health Psychology. 2(3):335-351, 1997.

16) Murakami M, Takebayashi Y, Ono K, et al: The decision to return home and wellbeing after the

Fukushima disaster. Int J Disaster Risk Reduction. 47:101538, 2020.

17)Kessler RC, Barker PR, Colpe LJ, et al: Screening for serious mental illness in the general population.

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18) Kaiser HF: An index of factorial simplicity. Psychometrika. 39(1):31-36, 1974.

19) 安霋秀埋, 竹林由歊, 長谷川有史, et al: 犏島県ず静岡県の消防職員の原子力灜害ぞの準備

性ずその関連芁因の解明. 犏島医孊雑誌. 70(3):151-159, 2020.

20) Echterhoff G, Schmalbach B: How shared reality is created in interpersonal communication. Current

Opinion in Psychology. 23:57-61, 2018.

21) Tsubokura M, Onoue Y, Torii HA, et al: Twitter use in scientific communication revealed by

visualization of information spreading by influencers within half a year after the Fukushima Daiichi

nuclear power plant accident. PLOS ONE. 13(9):e0203594, 2018.

Page 22: R2 3 2 murakami

什和 2 幎床 研究報告曞䞻任研究者甚

22

Systematization of indicators regarding effectiveness of risk

communication activities and their practical applications

Michio Murakami

Fukushima Medical University

Key word: risk communication, evaluation of effectiveness, on-site lecture, public health nurse, training

Abstract

The purpose of this project is to extract effectiveness indicators for risk communication and to examine the

effectiveness of risk communication activities. In the 2020 fiscal year, we continued the on-site lectures for

public health nurses, the publication of papers, and the presentation of the results, as well as the evaluation

of the effectiveness of risk communication with residents.

The on-site lectures for public health nurses were held nine times, targeting 242 people, while taking

preventive measures against coronavirus disease 2019. The on-site lectures were highly evaluated by the

participants, with 92% of the respondents answering “I think the lecture will be useful for my future public

health activities” in the post-lecture questionnaire. It was suggested that the implementation of the

“homework” presented during the on-site lecture would increase their confidence in public health activities

and lead to their use in actual public health activities. In addition, interviews with the participants of the

intensive on-site lectures revealed that they recognized the importance of risk communication and decision-

making support based on the values of the local residents through a multifaceted understanding of radiation

risks and other health risks, and that they improved their understanding of risk-based problem identification

and problem solving. This project was able to turn both research and social implementation.

In addition, a questionnaire survey of residents was conducted using the effectiveness indicators of risk

communication organized based on the reviews and interviews to evaluate the effects of risk communication

conducted after the Great East Japan Earthquake and the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station accident

on improving the living conditions and physical and mental health of residents. It was suggested that risk

communication with people around them, such as family and friends, promoted the improvement of their

living conditions and physical and mental health through behavioral change and self-efficacy. On the other

hand, it was suggested that risk communication with medical professionals contributes to the improvement

of living conditions and physical and mental health through behavioral changes in residents.

Furthermore, we held joint symposiums in collaboration with other groups and disseminated information to

nursing and health-related organizations to share the findings of the project.