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Super-Kamiokande Gadolinium R&D project:
実験装置材料に対する影響 豊田英嗣 2010年3月21日 岡山大学 自然科学研究科
岡山大理、東京宇宙線研A,マドリードアウトノマ大B,カリフォルニア大C,IPMUD
豊田英嗣,三野将悟,森俊彰,石野宏和,樹林敦子,作田誠, 小汐由介A,中畑雅行A,関谷洋之A,竹田敦A,竹内康雄A,
L.LabargaB,L.MartiB,A.RenshawC,M.SmyC,J.SchuemannD,M.VaginsD, for the Super-Kamiokande Collaboration
概要 1.目的 2.溶質試験 3.透過率測定 4.ゴムについての溶質試験 5.まとめ
1.目的、背景 • 将来スーパーカミオカンデで中性子検出を行うために、
Gdを導入する計画がある。 • 使用する最も有力な候補は硫酸ガドリニウムGd2(SO4)3
0.2%水溶液はpH約2.9の酸性。 • スーパーカミオカンデ検出器を構成している具材全31種類について硫酸Gd水溶液の影響を調べるために溶質試験を行った。 – ステンレス、ガラス、ゴム等
2.溶質試験 1. 2種類の溶液を準備 -500gの0.2%硫酸Gd水溶液 -500gの純水 2.窒素で1時間バブリング 3.サンプルを超音波洗浄して溶液に入れる 4.3ヶ月間室温(20~25℃)で放置したあとサンプルの腐食と溶液の透過率を調査
Gd粉末 窒素バブリング テスト開始
室温(20~25℃)で3ヶ月間放置
してからサンプルを溶液から取り出し顕微鏡で腐食具合を確認
硫酸Gd水溶液と純水とも
にサンプルの表面上での変化は確認できず
顕微鏡(100倍)で見たサンプルの表面
拡大
ステンレス製
純水 硫酸Gd水溶液
ナット ナット
光源 空気
石英セル(2cm)
検出器
0I
0I 2I
1I
190nmから900nmまでの波長の光を当てる referenceとsampleの透過率の比を取る 今回の実験ではreferenceは空気
190~900nm
3.水溶液の透過率測定
今回の測定での透過率は
2
1
II
=ε
分光光度計 V550
sample
reference
波長(nm)
透過率( )
透過率測定結果
100% =空気
赤=硫酸Gd水溶液 青=ステンレスサンプル+純水 黒=ステンレスサンプル+硫酸Gd水溶液
31種類中30種類のサンプルは透過率の変化無し
セルによる反射
Gdによる吸収 % SKのPMTで感度のある範囲は300-700nm
であり、Gdによる吸収(270nm)は問題ない
波長(nm)
ゴム ゴム+純水 ゴム+硫酸Gd水溶液 4.PMT固定用バンドの溶質試験結果
室温(20℃~25℃)で放置 硫酸Gd水溶液
ゴム+純水
ゴム+硫酸Gd水溶液
透過率( ) %
ステンレス+ゴム
透過率に影響が現れた。 ステンレスを浸けた溶液は影響が見られなかった。
このサンプルを浸けた溶液の透過率への影響はゴムによるもの
本溶質試験とSK実験との比較 1570mm
32mm
5mm 実際にゴムが純水と触れている部分は15700mm2。 SKでは11146本の光電子増倍管が使われている。
R=3×5.08/3.5×10-3=4354
純水 ゴム(表面積)
溶質試験 5×102g 2.54×103mm2 5.08
SK実験 5×1010g 1.75×108mm2 3.5×10-3
今回の試験は溶液の変化を短時間で観察できるよう実際のSKに対して上のような加速された条件で行われている。
30mm
5mm
32mm
このゴムを用いて 同様の溶質試験
gmm2
純水重量
ゴム表面積
SKでは検出器内の純水を循環させており、1ヶ月で入れ替わる。 今回の試験では3ヶ月間浸水させていたので、実際のSKと溶質試験との比Rは次のようになる。
ゴム+純水:15℃ ゴム+硫酸Gd水溶液:15℃
ゴム+純水:25℃ ゴム+硫酸Gd水溶液:25℃
波長(nm)
恒温槽 純水 硫酸Gd水溶液
硫酸Gd水溶液
ゴム+純水
ゴム+硫酸Gd水溶液
透過率( ) %
恒温槽を使い溶液を15℃で3ヶ月放置
サンプル
15℃=SKの水温
15℃の方が透過率が良い。 実際のSKの純水の透過率への影響はごくわずか。 SKではチェレンコフ光が100m程度進める透過率を維持している。
PMT固定用ゴムの溶質試験結果(恒温)
5.まとめ 結果 • 室温でSK検出器の具材全31種類の部品について溶質試験を行った結果、サンプルの腐食は確認されなかった。また透過率測定ではPMT固定用バンド(ゴム)だけに変化が現れた。
• 室温(20℃~25℃)に比べて15℃(SKの水温)で放置した溶液の透過率のほうが影響が少ない。
• ゴムの表面積の比を考慮するとSKへの影響は小さいと考えられる。
今後の予定 • pHによる影響を調べる。
– 酸化Gdを0.2%硫酸Gd水溶液に溶かすとpHは2.9から6.8になり、酸性から中性に近づく
PMTの量子効率を考慮した水中でのチェレンコフスペクトル
波長(nm)
チェレンコフスペクトル
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
300 350 400 450 500 550 600
SKで検出可能な波長領域は 300nm~600nm
恒温槽 純水 硫酸Gd水溶液 恒温槽を使い溶液を15℃で3ヶ月放置
サンプル
15℃=SKの水温
PMT固定用ゴムの溶質試験結果(恒温)
380nm
波長(nm)
透過率( ) %
硫酸Gd水溶液
標準
面積2倍
面積3倍
面積2倍:5040mm2 面積3倍:7520mm2 標準:2540mm2
表面積依存性 ゴムの切り方を変えることで、質量を変えずに表面積だけを変化させた。 グラフから透過率はゴムの表面積に比例することがわかる。
透過率(%
)
波長(nm)
PMT固定用バンド(ゴム付) 純水 Gd水溶液
波長(nm)
透過率( ) このサンプルにだけ透
過率に影響がみられた。 ゴムの部分だけを引き剥がし、追加で浸水テストを行う。
硫酸Gd水溶液
サンプル+純水
サンプル+硫酸Gd水溶液
ステンレス+ゴム
室温(20℃~25℃)で放置
%
酸化ガドリニウム(Gd2O3)
Gd2O3 :0.1g
酸化Gd(Gd2O3)の量 pH(Gd2O3+Gd2(SO4)3) 0.1g 5.19 0.2g 5.66 0.4g 6.63 0.8g 6.83 1.6g 6.85
溶液の酸性が弱まったため溶けにくくなっている 酸化Gdの量を減らしてみる。
酸化Gdを溶かした溶液の透過率を調査。
酸化Gdを0.2%硫酸Gd水溶液に溶かす。 酸化Gdは酸性の溶液にしか溶けない。 0.2%硫酸Gd水溶液は酸性(pH2.9)だが酸化Gdを溶かすと中性になる。
酸化Gdを溶液に入れてから2週間後の写真
1λ
1λ0
600 500 400 300
50
100
Wave length (nm)
Relative cherenkov spectrum through pure water
Quantum efficiency
Rel
ativ
e ch
eren
kov
spec
trum
th
roug
h pu
re w
ater
(%)
SKで検出可能な波長領域は 300nm~600nm
水中での量子効率を考慮したチェレンコフスペクトル
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
0 100 200 300 400 500 600
系列1
水中での量子効率を考慮したチェレンコフスペクトル
恒温槽(15℃)を用いた浸水テスト
テスト開始 1ヶ月
3ヶ月 2ヶ月
恒温槽
恒温槽を使いSKと同じ水温(15℃)で溶液を放置
溶液の色の変化
純水
Gd 水溶液
テスト開始 1ヵ月後 2ヵ月後 3ヵ月後
純水は黄色に変化 Gd水溶液は赤紫色に変化
右図のようにゴムを切り、500mlの純水とGd水溶液(0.2%)に浸けて室温(20℃~25℃)で3ヶ月放置
ゴム+純水 ゴム+硫酸Gd水溶液
波長(nm)
透過率(%
)
温度依存性 温度が高いほうが透過率が悪い
硫酸Gd水溶液 純水:9℃ 硫酸Gd水溶液:9℃
純水:25℃ 硫酸Gd水溶液:25℃
波長(nm)
透過率(%
)
赤=0.1% ピンク=0.2%
Gd(0.1%) Gd(0.4%) Gd(0.8%)
濃度依存性 濃度が低いほど透過率が悪くなる
表面積:2540m㎡
黒=0.4% 青=0.8%
15℃と25℃での透過率の比較
硫酸Gd水溶液
純水:15℃ 硫酸Gd水溶液:15℃
恒温槽:15℃ 純水 硫酸Gd水溶液 サンプル
純水:25℃ 硫酸Gd水溶液:25℃
透過率( ) %
波長(nm)