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技術に優れる日本企業が
なぜビジネスで負けるのか
2012年4月
A.T. カーニー株式会社
山本 直樹
イノベーション・ケーススタディ
A.T. Kearney 22/7566/100311 2
©2010 A.T. KEARNEY K.K. All Rights Reserved. 禁無断転載・複製
クイズ
一人当たりGDP世界ランキング
日本は2000年時点で3位
今は何位?
注: 単位%。他アジア諸国は1950年からはバングラデシュ、パキスタンを含む。 出所: Angus,Maddison, "Shares of the Rich and the Rest in the Rest in the World Economy: Income Divergence Between Nations. 1820-2030," Asian
Economic Policy Review (2008) 3
過去200年のGDPシェアの推移
1820年 1950年 1973年 2003年 2030年
西ヨーロッパ 23.0 26.2 25.6 19.2 13.0
アメリカ 1.8 27.3 22.1 20.7 17.3
豪・加・NZ 0.1 3.4 3.3 3.1 2.5
日本 3.0 3.0 7.8 6.6 3.6
先進地域計 27.9 59.9 58.7 49.6 36.4
中国 32.9 4.6 4.6 15.1 23.8
インド 16.0 4.2 3.1 5.5 10.4
他アジア諸国 7.4 6.8 8.7 13.2 15.4
東ヨーロッパ 3.6 3.5 3.4 1.9 1.3
旧ソ連 5.4 9.6 9.4 3.8 3.4
ラテンアメリカ 2.1 7.8 8.7 7.7 6.3
アフリカ 4.5 3.8 3.4 3.2 3.0
先進地域以外 72.1 40.1 41.3 50.4 63.6
アジアの世界に占める割合 59.3 14.9 24.2 40.5 53.3
日本経済の低迷(超長期)①
注:サンプルは東証、大証、名証(1部・2部)の上場企業。構成は期間により変動(最大1,144社)
出所:「戦略不全の論理」P32(三品和広著、東洋経済新報社、2004)
製造業の利益率の長期低下、非製造業の一貫して低い利益率
日本の上場企業の営業利益率の推移
日本経済の低迷(超長期)② 日本の上場製造業の営業利益率・為替・景気循環の関係
注:サンプルは東証、大証、名証(1部・2部)の上場企業。構成は期間により変動(最大1,144社)
出所:「戦略不全の論理」P34(三品和広著、東洋経済新報社、2004)、A.T. カーニー分析
製造業の収益性は景気循環と為替に連動。しかし、長期低下傾向は覆せず
景気後退期
オイルショック (一次) (二次)
プラザ合意
原因:「グローバル経営力」の欠如
• 大きな国内市場
• 独自のニーズを持つ日本の顧客
• 日本企業特有の風土、雇用慣行
• 日本語の壁、国際化人材の欠如
• 外国人のマネジメントの難しさ
・ ・ ・
グローバル化が進まない
「言い訳」は色々
日本企業が乗り越えるべき課題
「長期」「世界」視野での構想の欠如
• 短期的な収益を追求し、小さな「成長戦略」
• 海外展開は、日本市場との類似性等の視点から攻略し易い市場のみ
戦略
組織・人事
「国内部門」 vs. 「海外部門」
国内部門生え抜き中心の経営チーム
海外法人は現地任せの運営
資源配分
経営資源(ヒト、カネ)は依然として国内に厚い配分
製品戦略もグローバル志向というより国内主導
結局は「経営」の力で乗り越えなければいけない課題
<ケース・スタディ>
汎用DRAMにおける経営力の差
汎用DRAMのグローバル・シェアの推移 日本企業は汎用DRAM
の低コスト大量生産によりシェアを拡大
インテル
DRAMを正解で最初に開発した企業でありながら、1985年にDRAMから完全に撤退し、MPUに特化することを宣言
日本企業
各社ともシステム LSI注力を宣言
汎用DRAMの
縮小・撤退を開始
過剰技術で過剰品質の日本メーカ 日本 韓国・台湾など
出所: 日本の「半導体」敗戦 湯之上 隆
最優先事項 高品質、極限技術 歩留り、コスト
要素技術 技術開発力は高い
極限性能を追求する
オーバースペック気味
既存技術を延命する
技術開発には興味無い?
装置メーカー任せ
インテグレーション技術 高性能実現のため、あらゆる工夫を盛り込む
その結果工程数が多い
歩留り向上のためにインテグする(韓国)
マスク枚数、工程数をなるべく減らす(台湾)
生産技術 歩留りよりも高品質優先
高級な装置を並べる
装置のスループット悪い
歩留り向上を徹底する
既存装置を使いこなす
装置稼働率・スループット向上を目指す
DRAMのマスク枚数比較
日本は「安く作る技術」が弱い
0
5
10
15
20
25
30
国籍・メーカー
マスク枚数
日本
A社
29枚
日本
B社
28枚
日本
C社
26枚 韓国
D社
22枚
韓国
E社
20枚
韓国
F社
20枚 米国
G社
15枚
サムスンは、チップ
面積を最小化した マイクロンは半分のマスクで作った
出所: 日本の「半導体」敗戦 湯之上 隆
マスク枚数が減らない理由
現状
32枚
開発センター長
20枚で作れ
出所: 日本の「半導体」敗戦 湯之上 隆
設計
20枚
設計部長
何とか20枚で設計しました
量産
32枚
量産工場長
歩留りを 上げろ
試作
1枚2枚と増加
プロセス開発部長
性能と品質は 下げるな
日系メーカとインテルの違い
日系メーカー インテル
研究部・開発部・量産部に
士農工商がある どれだけの最終商品をいくらで出荷したか
技術の「専門家」が偉い 「儲けたヤツ」が
一番偉い
開発部にいるエンジニアは
開発にしか興味がない
コスト削減は工場の仕事
それによってどれだけ利益を出したか
トレードオフ
経営の力とは
キーワード
リスク
決める力
ポイント
• 稟議でリスクはつぶせるが、リターン(価値)は増えない
• 正解はナイ
トップダウン • 「決める」のは個人でしかない
専門家 • 「全体観」と「責任」で対抗
• やってみなければ判らない
• 結果責任
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この講義の狙い
リーダーを育てる
そのために、この講義では
「経営としての考え方」
を体感する
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この講義において大切な事
自分で考える
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ディスカッション 1
経営とは何か
「経営とは○○だと思う。なぜならば…」
自分の言葉で表現し、なぜそう考えたか考え方を示す
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ディスカッション 1
経営とは何か
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考えるヒント
分けて考える
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分けて考える(対比)
経営 と 執行
本社 と 事業部
戦略 と 戦術
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研究開発
経営とは
現在
将来 ?
D(デベロップメント)
R(リサーチ)
ビジネス 技術
事業領域
A 事業部
B 事業部
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戦略とは戦争目的を達成するために戦闘を組み合わせる活動
戦略レベルでの失敗を 戦術レベルで補う事は出来ない
クラウゼヴィッツ
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Will と Skill
Skill (能力)
Will (やる気)
兵
技 将
×
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ディスカッション 2: 本社の役割とは?
?
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本社の4つの役割
①全社目標の設定
②ポートフォリオ管理
③個別目標のストレッチと モニタリング・・・
④共通基盤づくり
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テーマ: ヴィジョンについて考える
1) a. 企業にとって、ヴィジョンとは何か定義する。
b. ヴィジョンは企業にとってなぜ必要か考察し、
c. ヴィジョンの要件を整理する
2) 優れた企業ヴィジョンを一つとりあげ(どんな企業でもOK) a. 企業の概要(どんな企業か)と
b. その企業のヴィジョン(どんなヴィジョンか)を紹介する
3) 2.b のヴィジョンがなぜ優れていると思うか議論する
上記1)〜3)までを5分以内にプレゼンする
ケーススタディ 1
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本社の4つの役割
①全社目標の設定
②ポートフォリオ管理
③個別目標のストレッチと モニタリング・・・
④共通基盤づくり
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ビジョンの提示と全社の求心(IBM)
新ビジョン・ コンセプトに
合わない事業は縮小・撤退
事業
スパコン
サーバー
PC
携帯端末
アプリ
ミドルウェア
OS
× ×
×
開発・製造から撤退
開発から撤退
開発から撤退
デスクトップのモデルを整理、縮小
フルライン戦略 サーバー・ミドルウェアに集中
e-Business
Pervasive Computing
Deep Computing
e-Business on demand
新しいビジョン
Grid Computing
Autonomic Computing
ビジョン コンセプト
戦略の転換(フルラインから集中・選択へ)
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講義予定
テーマ 課題 ケース
5/17 構想する ビジョンの欠如
4/27 先を読む 不連続な変化への対応 演習1:想定される変化
5/11 意義を考える 課題発見 演習2:研究開発領域の設定
5/18 まとめ グローバル競争と日本企業
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次回の宿題
下記企業の「クラウド」に対する取り組みを議
論しなさい
Google, IBM, SAP, Salesforce,
Microsoft, Amazon,
・どんな企業か概要を説明し(事実)
・クラウドに対しどのように取り組んでいるか纏め(事実)
・なぜその様な取り組みをしているのか、その理由を考察せよ(推論)