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The First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba "Handing down the Riches of Biodiversity to Our Children" The First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba "Handing down the Riches of Biodiversity to Our Children" The First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba "Handing down the Riches of Biodiversity to Our Children" The First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba "Handing down the Riches of Biodiversity to Our Children" のにぎわいとつながりを子どもたちの未来へ- The First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba "Handing down the Riches of Biodiversity to Our Children" The First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba "Handing down the Riches of Biodiversity to Our Children" 生物多様性ちば県戦略の策定と推進

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The First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba "Handing down the Riches of Biodiversity to Our Children" The First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba "Handing down the Riches of Biodiversity to Our Children"

The First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba "Handing down the Riches of Biodiversity to Our Children" The First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba "Handing down the Riches of Biodiversity to Our Children"

―生い の ち

命のにぎわいとつながりを子どもたちの未来へ-

The First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba "Handing down the Riches of Biodiversity to Our Children" The First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba "Handing down the Riches of Biodiversity to Our Children"

生物多様性ちば県戦略の策定と推進

Page 2: The First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba Handing ...bdcchiba.jp/event/kikaku/pdf/cop10-strategy-jap.pdfThe First Prefectural Biodiversity Strategy of Chiba "Handing down

私たちの暮らしは生物多様性に支えられています。

 私たちの毎日の暮らしと生きものとの関係について考えてみましょう。食料をはじめ、衣服、化粧品、薬、家屋や道具

など身の回りで使われる物の多くに、生きものが原料として使われています。空気や水をきれいにして快適な環境を整え

たり、風景や景色を生み出すのも生きものの働きによります。さらに、地域によって異なる生きものは、地元の人たちが

守り、育み、工夫して利用するなかで、地域独自の品や文化が生みだされてきました。

 生物多様性、すなわち多くの生きものが様々なつながりを持って生きていることは、私たちの毎日の暮らしを支えてい

る大切な基盤なのです。

しかし現在、生物多様性は失われつつあります。

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私たちの暮らしは生物多様性に支えられています。 しかし現在、生物多様性は失われつつあります。

 千葉県では、その沖合で暖流の黒潮と寒流の親潮がぶ

つかり、陸でも南から続く常緑広葉樹林と北から続く落

葉広葉樹林とが見られます。このように南北の動植物が

出会う多様な生物相に加え、約 4 万年におよぶ人々の自

然とのかかわりにより、豊かな里山・里海・里沼の自然

が育まれてきました。

 しかし現在、千葉県のレッドデータブック(RDB)によ

ると、すでに 87 種の動植物が本県から絶滅あるいは消息

不明となっています。また、在来の維管束植物 1609 種の

うち 767 種が、脊椎動物約 540 種のうち 210 種が絶滅の

危機に瀕しています。

 このような生物多様性の損失は、造成や埋立等による

森林や農地、干潟などの消失や、生活排水・化学物質等

による環境汚染などが原因となってきました。近年では、

農地や森林の管理放棄、他の地域から入った外来生物の

侵略、地球温暖化などの要因が加わり、本県の生物多様

性が脅かされています。

維管束植物

哺乳類

鳥類

爬虫類

両生類

魚類

0% 20% 40% 60% 80% 100%千葉県に生育・生息する在来種全体に対

する千葉県RDB掲載種の種数割合(%)

RDB非記載の在来種数 要保護・一般保護生物

最重要・重要保護生物 消息不明・絶滅生物

 ある生きものが絶滅し、生物多様性が失われる

ことは、私たちの暮らしとどう関係するのでしょう

か。産業と直接結びついた生きものであればその絶

滅の影響は明らかですが、そうでない場合、私たち

の暮らしの中ですぐにその影響を感じるのは難しい

かもしれません。しかしある種の絶滅は、将来、利

用できる可能性のある生物資源を一つ失うことを意

味しています。また、生きもの同士は食う食われる

の関係や、花粉の運搬など、様々な相互関係で結ば

れています。つまり、ある種の絶滅はその種に関係

する全ての生きものに影響を及ぼし、それによって

生態系全体を大きく劣化させてしまうおそれがあり

ます。生態系が劣化すると、森林の保水力が低下し

たり、美しい景観や郷土文化が消失するなど、私た

ちの暮らしにも様々な影響が及ぶと予想されます。

 一度絶滅した生きものは二度と復活しません。す

なわち生物多様性の損失は、現代社会に悪影響が及

ぶだけでなく、未来の子どもたちの可能性をも奪う

ことにつながりかねません。

 子どもたちの未来のため、生物多様性を保全し、

その恵みを持続的に利用する社会へと、大きく舵を

きらなければならない時期が来ています。

図1 千葉県に生育・生息する在来種全体に対する   千葉県レッドデータブック掲載種の種数割合(%)

8

10

12

14

16

18

20

1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010

土地利用面積(万

ha) 森林

経営耕地

特に 1970 年以降、外来生物が著しく増加しています。こうした外来生物の増加は、在来生物との競争や遺伝子的撹乱を引き起こすだけでなく、私たちの生活にも農林業被害などの形で影響を及ぼしています。

0

200

400

600

800

1000

1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010

累積種数

植物

動物

千葉県内の森林と農地の面積は、市街地などの造成にともなって大きく減少し、生きものたちの生育・生息場所が奪われてきました。

図2 千葉県内の森林および農地面積      写真 山砂採取場

図3 千葉県内の外来生物種数      写真 アライグマ(特定外来生物)

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図4 生物多様性ちば県戦略の策定プロセス

梅ヶ瀬渓谷 

屏風ヶ浦 

北総地域の谷津田 

生物多様性ちば県戦略は、専門家、行政とともに、県民が最初から戦略づくりのプロセスに関わり、2008 年 3 月 26 日に策定されました。

県戦略づくりは、県環境生活部自然保護課内に生物多様性グループが設置された 2006 年 9 月 1 日から始まりました。同年 10 月~ 12 月にかけて、県民有志による実行委員が企画運営の中心となったタウンミーティングが県内各地で開催されました。同年 12 月 23 日には、全体を総括するタウンミーティングが行われ、各地で活動する県民の想い、そして県戦略に対する期待の大きさがはっきりと伝わってきました。こうした県民の熱意はその後さらに発展を遂げ、県民が主体的に戦略策定に関わるための組織として「ちば生物多様性県民会議」が 2007 年 5月に立ちあげられました。県民会議の中に 32 の戦略グループ会議が立ち上げられ、その中で多様な価値観を持った人々によって千葉県の生物多様性が議論されました。2007 年 10 月、県民会議がまとめた提言書と、専門委員会による提言書が同時に県知事に手渡されました。これはまさに、県戦略で目指している県民、NPO、専門家、行政という多様な主体による連携の第一歩を踏みす出来事でした。

~県民とともにつくった生物多様性ちば県戦略~

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大山千枚田  コウノトリ 

佐原の町並み 

印旛沼 

屏風ヶ浦 

タウンミーティングや県民会議の開催により、県や専門委員会だけでは出てこない広がりや地域性が県戦略に加えられました。さらに、県戦略づくりに関わることで、行政を含むすべての人たちの生物多様性に関する意識が向上し、保全の担い手として成長したことこそが、この県戦略づくりの最大の功績かもしれません。

県戦略は「生い の ち

命のにぎわいとつながりを子どもたちの未来へ」という理念の下に、50 年後の目標達成を目指した生物多様性の保全・再生および持続可能な利用のための取り組みの方向性を示し、それに対する 200 を超える県の取り組みを記載しています。2008 年 4 月 1 日には、県戦略を推進する基盤として生物多様性センターが設置され、県民はじめ多くの方々とともに取り組みを進めています。

県戦略は 5 年ごとに見直しをすることになっていますが、その過程でも県民からの意見を広く取り入れるとともに、多様な主体と連携をとりながら、順応的に戦略の見直しを進めていきます。

~県民とともにつくった生物多様性ちば県戦略~

図5 生物多様性ちば県戦略の骨子(県の取り組みについて)

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県他部局 市

町村  環境省  学校  県教

育庁  企業  NPO   県民

  大学  研究者 博物館 

 研究機関   

千葉県生物多様性センターの活動

シンクタンク

副読本

企業セミナー

ハンドブック

現場指導

教育普及

千葉県生物多様性

センター

年次報告書、研究報告書

外来生物対策

絶滅危惧種の保護

野生生物の保護管理

ビオトープの推進

調査研究

レッドデータブック

大学との連携

生い の ち

命のにぎわい調査団

里山里海の評価

シンポジウム、展示

情報管理

地理情報システム

ニュースレター

職員研修

 千葉県生物多様性センターは、県民、NPO、行政、事業者、研究者などの拠り所となって、生物多様性に関する普及啓発から現場での調査や指導など幅広い分野の活動を担うとともに、多様な主体による連携のコーディネーターとして県戦略を推

進するための組織です。 2008 年 4 月 1 日、千葉県環境生活部自然保護課内の組織としてセンターが設置されました。自然保護課や他部局からのスタッフとともに、千葉県立中央博物館の研究員が併任として配属されており、自然保護課と博物館との密接な連携により、センターの活動を進めています。 センターは、千葉県内外の生物多様性にかかわる幅広い活動を手掛けています。その活動は、①情報の収集・管理・提供、②調査研究、③シンクタンク機能、④教育普及、⑤現場活動の5つの機能に分け

ることができます。こうした多岐にわたる生物多様性保全のための活動は、県民やNPO、行政、事業者、研究者など多様な主体との連携によって進められています。

千葉県生物多様性センターの活動

里山の整備

政策評価、立案、提言

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県他部局 市

町村  環境省  学校  県教

育庁  企業  NPO   県民

  大学  研究者 博物館 

 研究機関   

 センターでは、県内のどこにどのような生き物が生育もしくは生息するかという情報を集め

て、整理し、地図上に示すこと等で生物多様性保全に活用しようとしています。生き物の情報

はこれまでに、千葉県立中央博物館の標本データ約 270,000 件、県内の報告書や学会誌等の文

献からのデータ約 150,000 件等と多数の情報が蓄積されています。それらの情報から、地理情

報システム (GIS) を活用して分布図を作成し、分布状況の解析等をしようとしています。現在は、

県のレッドデータブックの改定に向け、希少種の分布図作成に利用されています。

絶滅危惧種の保護(絶滅危惧種の回復計画の推進)

生物多様性情報の収集・管理・提供(生物多様性地理情報システム)

外来生物対策(特定外来生物の防除)

県民参加型の生物モニタリング調査(生い の ち

命のにぎわい調査団)

企業との連携による生物多様性保全(生物多様性セミナー)

 当調査団は、県民参加型モニタリング調査として、身近な生きものの分布やその変化、外来

生物の分布拡大、温暖化による生きものへの影響など、県内の生物多様性の変化を把握するた

め平成 20 年7月に発足しました。平成 22 年 10 月現在、団員数は 560 名、毎月約 300 件の報

告があります。調査団HPでは、各月の報告、生きもの発見マップなどを公表しています。また、

団員のスキルアップや情報提供のため、団通信の発行や研修会・フォーラム等を開催しています。

 ○ 調査団のホームページ: http://www.bdcchiba.jp/monitor/index.html

 千葉県では、県内の絶滅危惧種、特に生息・生育状況が悪化しているシャープゲンゴロウモ

ドキとヒメコマツについて、平成 20 年度から地元自治体、関係 NPO、学識経験者で構成され

る保全協議会を設置し、回復計画の検討を行ってきました。その協議をもとに、平成 22 年 3

月に「千葉県シャープゲンゴロウモドキ回復計画」および「千葉県ヒメコマツ回復計画」を策

定しました。これらの回復計画は、他の絶滅危惧種についての計画策定のモデルになることを

想定しています。現在、回復計画に定められた行動計画に基づいて、回復事業を行っています。

 千葉県では、外来生物法による特定外来生物が、現在までに 25 種確認されています。この

うち、特に緊急性の高いアカゲザル、アライグマ、キョン、カミツキガメ、ナガエツルノゲイ

トウの5種については、県が防除実施計画を定め、防除を実施しています。生物多様性センター

では、カミツキガメの防除事業を担当するとともに、県が行う特定外来生物の防除への参加や

技術支援を行うほか、市町村や地域の方々からの情報収集ならびに現地調査・早期対策への助

言・指導等を行っています。

 企業の生物多様性保全活動を促進するために平成 21 年度から企業向けに生物多様性に関す

る連続セミナーを開催しています。企業が生物多様性の取組を行うメリットや生物多様性によ

るリスク、具体的な企業の生物多様性の取組紹介を企業の方や専門家に講演いただいています。

また、県からの生物多様性に関する情報や関連する取組などの情報提供も行っています。回を

重ねるごとに参加者数が増えており、今後は、セミナーだけでなく、生物多様性の保全のため

に企業との連携を図っていきます。

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生物多様性の保全に向けた千葉県民の想い

生物多様性に配慮する県民一人一人の想いを、宣言にしてもらいました。

以下の2通りの方法で、5681 票もの宣言をいただきました。

① おはじき投票: 8つの宣言から、自分がこれからやりたいと思う、

         あるいはすでに実施している宣言に投票

② 折りがみ宣言: 折り紙をおって、そこに自分ができることを記載

発行日: 平成 22 年 10 月 15 日発 行: 千葉県環境生活部自然保護課

編 集: 千葉県環境生活部自然保護科生物多様性センター  〒 260-0852 千葉市中央区青葉町 955-2  TEL: 043-265-3601 E-mail: [email protected]

  宣言① レジ袋を減らし、エコバックを使います(1014 票)

  宣言② 千葉の食材を選び、自然への負担を減らします(872 票)

  他にもさまざまな宣言をいただきました

 レジ袋は、国民1人あたり 1 年間で約 300 枚も使われています。

レジ袋を製造するためには、大量の石油が使用されます。またレ

ジ袋がゴミとして燃やされると CO2 が排出されます。

 レジ袋を新しくもらわないようにすることで、資源の節約やゴ

ミの減量になり、地球温暖化の防止にもつながります。さらには

間接的に生物多様性の保全にも貢献することになります。

 レジ袋を減らすことは、誰でも今すぐにでも簡単にできる取り

組みなのです。

 農林水産業は、自然と深くかかわり、生物多様性の恵みをいた

だく産業です。千葉県の里山里海はこうした人々の営みによって

形づくられ、そこでは豊かな生物多様性が育まれるとともに、郷

土色ゆたかな食文化が生まれてきました。

 地域でとれた食材を利用することは、その地域の農林水産業を

支えるとともに、豊かな生物多様性を維持し、郷土の文化を守る

ことにもつながります。また、海外から食料を輸入するためには

大量の運搬エネルギーが必要ですが、地域の食材を利用すればこ

うしたエネルギーを減らすことにもつながります。

 千葉の食材を選び「地産地消」することは、もっとも身近にで

きる生物多様性の保全活動の一つなのです。

○ 旬の食材を選びます(783 票)

○ 様々な認証を参考に、生きものに優しい商品を買います (708 票)

○ 野外に出たら、マナーを守って自然を楽しみます(628 票)

○ 省エネルギー・省資源を心がけます(603 票)

○ ペットは最後まで面倒をみます (554 票)

○ 自然の中に出て生きものに親しみます(519 票)

 以上のほかにも、さまざまな宣言を折り紙に書いていただきました。

宣言いただいた県民の皆様、ありがとうございました。