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Title 色素(染料)による膀胱腫瘍の発生 Author(s) 宮川, 美栄子; 吉田, 修 Citation 泌尿器科紀要 (1989), 35(12): 2049-2056 Issue Date 1989-12 URL http://hdl.handle.net/2433/116785 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

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Page 1: Title 色素(染料)による膀胱腫瘍の発生 泌尿器科紀要 (1989), …...benzidineの 検出を行った.TLC上 標準benzidine と同一Rf値 を示す物質がラットの大腸,全

Title 色素(染料)による膀胱腫瘍の発生

Author(s) 宮川, 美栄子; 吉田, 修

Citation 泌尿器科紀要 (1989), 35(12): 2049-2056

Issue Date 1989-12

URL http://hdl.handle.net/2433/116785

Right

Type Departmental Bulletin Paper

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Kyoto University

Page 2: Title 色素(染料)による膀胱腫瘍の発生 泌尿器科紀要 (1989), …...benzidineの 検出を行った.TLC上 標準benzidine と同一Rf値 を示す物質がラットの大腸,全

泌 尿紀 要35:2049-2056,1989 2049

色素(染 料)に よる膀胱腫瘍の発生

市立島田市民病院泌尿器科(科 長:宮 川美栄子)

宮 川 美 栄 子

京都大学医学部泌尿器科学教室(主 任=吉 田 修教授)

吉 田 修

BENZIDINEDYES AND RISK OF BLADDER CANCER

Mieko MIYAKAWA

From the Department of Urology, Shimada Municipal Hospital

Osamu YOSHIDA

From the Department of Urology, Faculty of Medicine, Kyoto University

Until the early 1970's there was little concern about dyes which contain benzidine as an inte-gral part of their chemical structure. Furthermore, use of the finished dyes was not considered dangerous. To ascertain whether azo dyes are associated with risk of development of bladder tumors in workers who handpaint Yuzen-type silk kimonos in Kyoto, we investigated the disintegration of dyes to benzidine. In these studies, we found that in rats and mice benzidine-based dyes are me-tabolized to benzidine and that the azo linkage of benzidine dyes is reduced by Escherichia coli and soil bacteria. These experimental findings were reported previously2-4). In this report, we outline an approach to these studies.

Many of the dyes used to color paper, textiles, lipstick, bait used by fishermen, as well as hair dyes, and dyes used in research, for pharmaceutical products, and by defence personnel for the detection of liquid chemical warfare agents, have been shown to be potentially mutagenic or carcinogenic. We review the literature on these dyes.

(Acta Urol. Jpn. 35: 2049-2056, 1989)

Key words: Dyes, Bladder cancer

緒 言

1895年Rehnの 報告 には じまる 職業性 膀胱癌の歴

史の中で色素(染 料)は,そ の製造 原料 であるbcn-

zidine,2-naphthylamine,4-aminobipheny1な ど

の発癌性発見につながる物質 として特異 な位置を 占め

てきた.こ れ らの芳香族ア ミンが,症例 の検討には じま

り,動 物実験に よる発癌 性の証 明,さ らに疫学的研究

結果の評価を得て人の発癌物質 と判定 され るまでには

40年 以 上 もの年 月を 要 し,さ らに使用 禁 止,製 造禁

止,輸 出入禁止な ど行政的に規 制され るまでには,そ

の上セこ20~30年 を要 している1).と ころが,こ れ らを

原料 としてで きあが っている色 素はそ の構造式の一部

に ベ ンチジ ンな どを含んでいて もほ とんど関心が向け

られず,製 品 としての色索には危険性 がない とす ら考

えられていた.か ってわれわれはその常識が正 し くな

いことを実験的 に証 明したが2-4),そ の後の多 くの 追

試に よ り今 日では色素の アゾ結 合が体 内で還元 され原

料 となった芳香族 ア ミンが遊離することを疑 うものは

ない.

各種化学物質の人に対する発癌性の評価を している

国際癌研究期間IARCの 作業部 会が1982年 現在,人

の癌 と因果関係あ りと結論 したのは5)23種 の化学物 質

と化学物質群であるが,疫 学的 データの不足か らこれ

らの中に色素は含 まれていない.人 の発癌物質 と判定

す るためには,今 日で も人 と動物の差を うめ ることが

不 可能で ある以上,疫 学的に確実 といえるデータが要

求 され るのは当然であろ う.

現在 日本 でも多 くの色素(合 成染料)が 製造 されて

いる.通 産省が毎年発表 する資料に よると年 間約5~

6万 トンの合成染料が生産 され6-7),種 類は約・rOO種に

のぼる.し か し各染料毎の生産量,需 要量を明 らか に

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2050 泌尿紀要35巻12号1989年

したデータは ない,需 要量 の約70%を 占める繊維染色

加工 量の地域的分布をみる と,関 東,中 部,近 畿,北

陸地方な ど中 日本に集中 しているし,染 料を生産 して

いる工場 の分布 も東京,愛 知,大 阪周辺の工業圏に集

中 している8).し か しこれ が膀胱癌の発 生率とどの よ

うな関係にあるのかは明 らか ではない,

各種短期 テス ト法の進歩 で,発 癌物質の疑いが持た

れる多 くの化学物質が リス トア ップされ ているが,そ

れ らが直接人に とって危険なものであるか否かを判定

するためにはかな りの時間 が要求 さ れ る.か つては

個 々の症例か らヒン トをえて計画 され る疫学的研究を

出発点 とし.最 終的な発癌物質が実験的に 同定 された

の とは逆に,現 在では多 くの場合短 期テス トや動物実

験に より発癌性が疑 われた物質を疫学的に検討 し判定

する傾 向に変化 してきてい る.

前半 で,ベ ンチ ジン系合成染料 と膀胱癌の関係を示

したわれわれの研究 のあらましを まとめてのぺ,後 半

は多 くの色素の中で現在人に対する発 ガ ン性は証 明さ

れていない ものの,短 期 テス トまたは動物実験のいず

れか,あ るいは両者 で陽性 と判断されてい る色素を文

献か ら抽出 し紹介す る,

ベンチジン系アゾ染料と膀胱癌の関係を示

した研究

1)1966年 に京大泌尿器科 で入 院治療を した56歳 の

膀胱癌患者の職業が京都の伝統産業 の一つである手描

友禅 で40年 以上 も続 けてい ること,美 しいぼか し模様

を描 き出すために染料を含んだ筆先を習慣 的に 口で調

節 して きた ことを知 った主治医(吉 田)が その染料に

注 目した ことに,研 究の端を発 している.

2)染 料作業従事老の膀胱癌 ・京都府を中心 と した

疫学的調査=京 大,京 都府立医大,京 都市立病院の共

同で,京 都府下の男子膀胱癌患老200症 例について症

例一対照研究を行 った.染 色業である とい う要 因の相

対危険度は6.8で あ った9》.

色素に関す る疫学的研究は,Gregoryの 総 説に よ

ると,わ れわれのほかにUSSRのGeninに よる も

のがあ り,22人 の工 員の うち8人 の尿中にベ ンチジン

が検 出され,ベ ンチ ジンに暴露 され ていな くて もベ ン

チジ ン系色素に暴露 され ている人 に膀胱癌 が多い と報

告 している ことが述 ぺられ ている10).

3)京 友禅業者への ア ンケ ー ト4):141人 の友 禅業

者に 「筆 またはヘラを 口にいれて舌 で染料 の量 を調節

した ことがあ りますか」との質問を した.138人(97.9

%)の 回答者 の うち66人(47.8%)が ハイと答 え,そ

の うち6人 はいつ もその よ うに している と回答 してい

る(Fig.1).友 禅業者の場 合染料が経 口的に体内には

いる可能性が示 された.

4)友 禅業者に使用 されている多 くの染料の中には

1勧鋸!

L//

ツ/

F量9。1。R・esultsofquestionnaire:sentto141

YuzenpaintersinKyoto,answeredby

138(97.9%).Haveyouevermoistened

yourbrushesorspatulasonyour

tongue?

DirectDeepBlackEx{DDB.EX)

NHi

…感 ⑨;1蕊1ρ

DirectDarkGree胸B(DDG騨B) HO'◎咽副⑥=ll蕊ll=◎

OH

咽 …郎㎜ 鱒 ∵⑨@電

Fig・2・Chemicalstructuresoftestcompounds:benzidinedyesusedby

Yuzenpainters

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宮川,吉 田 二色素 。膀胱腫瘍

ベ ンチジン系 アゾ染料が含 まれ ていた .黒,緑,赤 の

これ らの代表的染料(Fig.2)は,染 色性 がよ く,特

に黒は その あざやか さのために広 く利用 されてい ると

聞いた ・当蒔benzidineや2・naphthylamineの 発癌

性が 明らかに されてはいた ものの,製 品である染料は

安定 した不純物の少 ない物質であ り安 全であると業界

では信 じられ,な んの相拠 もない ままそれが定説 とな

っていた.

5)ベ ンチジ ン系 染料DDB-EXの ダ イコクネズ

ミお よび ハ ツカネズ ミ腸管内還元:ベ ンチジ ン系染料

DDB-EXの 純度 は 高 く,薄 層 クnマ トグラ フィー

(TLC)に よる 検索 でbenzidineは 確認 されなかっ

た.ラ ッ トの腸管(全 腸管,大 腸,小 腸,反 転 した大

腸など)を 用 いて腸管内で アゾ結 合離断の有無を検討

す るための実験を行 った.摘 出 した腸管 内に色素を入

れて37℃ 生食中で2時 間振盗後,色 素を含む腸内容

物を エー テル ・エタ ノール抽 出後TLCに よ る分離

お よび 吸光 度 測定(ク ロラ ミンTに よる 発 色)で

benzidineの 検 出を行 った.TLC上 標 準benzidine

と同一Rf値 を示す物質が ラ ッ トの大腸,全 腸管使用

群で認め られ,反 転大腸群ではみ られなか った.吸 光

度曲線 でbenzidineは435mμ 付近に最大吸光度を

示すが,全 腸管,大 腸使用群でbenzidineと 同一部

に ピークを認めた.す なわ ちこの染料は主に ラッ トの

大腸内で還元 され てア ゾ結 合が 離断 しbenzidineを

生 じた2).

6)ベ ンチジ ン系 染料DDB-EXの 大 腸菌 お よび

土壌 微生物 に よる分 解:1%DDB-EXに 大 腸菌 ま

たは土壌細菌(河 川 よ り採取 した 自然水お よびそ の付

近 よ り採取 した土壌を使用)を 加 え培養48時 間後に

は色素の黒色が消失 し黄褐色 とな った,

TLCで 標準benzidineと 同一Rf値 を示す スポ

ッ トが認め られた.こ れ らの実験結果か らベ ンチ ジン

系染料は人の腸管内に お い て ア ゾ結 合 が 離 断 され

benzidineま たはそ の誘導体を 生 じる 可能 性が 示 さ

れた3).

7)サ ルモネ ラ菌TA98,TA100に よる変 異 原性

テス トでは,S9-mix添 加でベ ンチ ジン系 ア ゾ染料は

変異原性 を示 した(未 発表)(Fig.3).こ れ らを投与

した ラ ッ ト尿に も変異原性 が証 明され ている11).

8)ベ ンチ ジン系 染料経 口投与 に よるC3Hマ ウ

スの肝腫瘍発生:DDB-EX,DDG-Bの0.1%水 溶液

を経 口投与す るとマ ウスでは60週 で各々33%,39%に

ヘバ トーマを生 じた12).膀 胱 腫瘍 は認め られなか った

が,3H・thymidineに よる膀胱粘膜のlabelingindex

は対照の27~28倍 であ り,膀 胱粘膜 におけ る明かな

o駕五、臼隔芒2」o乙

Fig.3.

%

oo

X囚O遷

5009Z日」囚O《」

1⑳

100

20

2051

●■■一 ●Benzidine

O-■ ・◎OD6・ax

x■ ■■-xDOG.B

△■■-eCSD6.BK

0

50100

μ9!1圃at●

MutagenicityforS.typhimurium(TA

98)ofbenzid量neandthreebenzidine

dyes

O

ControlOOB.EXDDG.BD8・8K

n=3n=6n=8n=3

Flg.4.Labelingindexofbladderepithelium

by3H-thymidineinmicetreatedwith

benzidinedyes

1.09土0.41 1.11±0.71

OJ4±0。14

.

.

.

.

.

.

0.04±0.03`1

DNA合 成 能 の上 昇 を示 した(Fig・4)・

NCIに よる 動 物実 験 で も3種 の ベ ンチ ジ ン系 色 素

でヘ バ トー マ の発 生 を 認 め て い るle).こ れ らの 色 素 に

不 純 物 と して 含 ま れ るbenzidineの 濃 度 は40PPm

以下 で あ る こ とよ り色 素 自体 に発 癌 性が あ り,不 純物

と して のbenzidineに よる もの では な い と結 論 して

い る10).

この よ うに して ア ゾ色 素 が 安 全 といわ れ た1959年le)

か ら10年 以 上 を 経 て そ の 考 え が誤 りで あ る こ とを 実証

で きた4).そ の 後1978年 にNationalInstitutefor

OccupationalSafetyandHeatthのBoenigerも

人 の体 内 に 入 っ た 色 素 か ら 原 料 と して 使 用 さ れ た

benzidineが 再 び 生 じる 可 能 性 の あ る こ とを 述 べ て

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泌尿紀要35巻12号1989年2052

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宮川,吉 田:色 素 ・膀胱 腫瘍

い る10).さ らに色素に 暴 露 され て い る人 の 尿 中 に

benzidineが 見いだ され,そ の量 は色 素に不 純物 と

して混在 してい る と考 えられ る量 よ りはるかに多い こ

とか ら,色 素自体が壊れてで きた ものであろ うとの考

えを述ぺ ている1。).またGeninに よる と不純物 とし

て含 まれ るbenzidineの 量は10~400PPmと の報

告が あ るが,こ の レベルで は尿 のサ ンプルか ら検 出

できないとい われて いる10).Rindeら はサルに色素

を投与 し,そ の 尿 中 にbenzidineを 見 い だ して い

るが13),こ れ ら動物 と同様に人で もベ ンチジ ン系色素

は分解 され ることが明 らかである.体 内で菌に よって

ア ゾ結合の離断が起 こる ことを間接的に示 した実験 も

あ る.す なわち色素を投与す る前 に抗生物質を与える

ことでbenzidine産 生 を抑制 できた とい う結果であ

る10).

ベ ンチ ジ ン系色素は1971年 のColourIndexに

よる と250種 にお よぶ とされて いる.現 在それ らが実

際に使用 され ているか否かは不明であるが,発 癌性 が

完全 に否定 され るまではGregoryも 述べている よう

にlo)その生産 や使用 は規制 され るぺ きであろ う.

短期テス トまたは動物実験で陽性の色素

(いずれも人に対する発癌性は現在のところ

確認されていない)(Fig.5)

IARCの モ ノ グ ラ フ別 冊45)に は,「 現段 階 では,

実 験 動 物 を 用 い た研 究,も し くは短 期 テ ス トか ら得 ら

れた デ ー タ を人 の発 癌 性 リス クに結 び 付 け る客 観 的 な

方 法 は ない.こ の た め,人 での 研 究 か ら十 分 な 発 癌 性

の証 拠 が え られ な い場 合 に は,疫 学 的 証 拠 と実 験 に よ

る証 拠 の両 者 を考 慮 して,人 に 対 す る発 癌 性 リス クを

評価 してい る」 と述 べ られ て い る.こ の よ うに 短 期 テ

ス トは そ の 潜 在 的発 癌 性 を 予測 す るた め の ス ク リー ニ

ン グに,あ る いは 疫 学 的,実 験 的 デ ー タを 説 明 す る補

足的 証 拠 と して使 用 され て い る もの で あ る.

1)紙 繊 維 な どの 染 色 に 用 い る 色 素(ア ゾ化合 物)

紙 や 繊 維 な どの 染 色 に利 用 され る 色 素 の 多 くが ア ゾ

化 合物 で あ る.Privalら は14)Congored,Benzo-

purpurin4B,Trypanblue,Directblue1の 変 異

原 性 を示 し,そ の 骨 格 に そ れ ぞ れbenzidineお よび

ラ ッ トに癌 原性 を示 すo-tolidine,o-dianisidineが

あ る こ とを指 摘 して い る.Venturniら エ5)は23種 の 色

素 を検 討 し,そ の 中 でRedGTL,BrownsR,

GiubablackDが 変 異 原 物 質 で あ る こ とを 示 しそ れ

らの構 造 上 の 特 徴 を の べ て い る.Garnerら16)も

Sudan2とchrysoidineの 変 異 原 性 が そ の還 元物

質 で あ るanilin,1,2,4-triaminobenzeneVこ も とず く

2053

もの であ る こ とを示 し,構 造 上 少 な く と も2つ の位 置

に ア ミ ノ基 また は ニ トロ基,あ るい は 両者 の存 在 が 変

異 原 性 を しめす た め の 必 要 条 件 で あ る と 考 察 して い

る.Chungら17)はMethylorangeを 腸 内細 菌 と反

応 させ,そ の結 果 生 じたDMPD(N,N-dimethyl-p-

phenylenediamine)が 変 異 原物 質 で あ る こ とを 示 し

て い る.

染料 製 造 の 原 料 で あ る2-naphthylamine,benzi-

dine,4-aminobiphenylに 代 わ る芳 香 族 ア ミン と し

て ベ ソチ ジ ン誘 導 体 が 厳 しい規 制 の も とに 製 造 され て

い る一 方 そ れ らを原 料 と して 合成 され る ア ゾ色 素 の使

用 は 今 だ に ほ とん ど規 制 され て い な い こ とをGarner

ら16)は 疑 問視 して い る.

2)細 胞,組 織 の 染 色 な どに用 い る色 素(vitaldyes)

新 生 児 の 贋 帯切 断時 に もち い られ て い るtripledye

solutionは,注 意 す る べ き で あ る こ とを 述 べ た レポ

ー トが あ る18).こ の 混 合 色 素 の 中 には 変 異 原物 質 で あ

るgentianvioletを 含 み,駆 虫剤 と して 使 用 され た

triphenylmethanedyesを 混 じて い る とい う.わ が

国 で は 使 用 され て いな い.

Neutralred19)は 外 陰部 のherpesvirusIIの

感 染 の 治 療 薬 と して使 用 され て い るが,実 験 生物 学 に

お け るv玉taldyesと して もmethylen ,blue20)と と

もに 病 理 検 査 室 な どで 一 般 に 使 用 され て い る もの で あ

る.し か し実験 室 で有 用 な これ らの色 素 が い ず れ も変

異 原 物 質 で あ る こ とを 認 識 す る必 要 が あ る.

3)毛 染 め に用 い られ る 色 素(hairdyes)

1970年 代 に入 りcoal-tarha量rdycsが 注 目を あび

る よ うに な った,特 に1975年Amesら2Dがhair

dyesの 中 に変 異 原 性 を 示 す ものが あ る こ とを発 表 し,

しか もそ の色 素 は 皮 膚 を貫 くこ とで問 題 とな った.そ

れ 以来 疫 学 的 検 討 が な さ れ て い るが,現 在 の段 階 では

膀 胱 癌,他 の部 位 の 癌 の い ずれ と も関 係 が あ る との結

論 は え られ て い な い22-24).し か し,実 験 的 な研 究 の結

果 か ら25)そ の 危 険 性 は十 分 に考 え られ,繰 り返 し検 討

す る こ との 必 要 性 は 一般 に認 識 され て い る.1982年 の

IARCの レポ ー ト26)では14種 のhairdyesの 成 分 に

変 異 原 性 を 認 め,ユ0種 に動 物 に お け る癌 原 性 を認 め て

い る.し か し,そ の 後 もNCIな どで 実 験 が繰 り返 さ

れ た 結 果1985年 のIARCMonograph27)で 動 物 に 癌

原 性 あ りと した の は4-amino-2-nitrophenol,2,4-

diaminotoluene,2-nitro-p-phenylenediamine,2,4-

diam三noanisoleの4種 で あ る.

疫学 的研 究 に対 す る評 価 を え に くい理 由 の一 つ は,

人 が特 殊 な物 質 に 暴 露 され た こ と と発 癌 との 因果 関 係

を確 認 す る のが 非 常 に 困 難 で あ る こ とに よる.仕 事 と

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2054 泌尿紀要35巻12号1989年

してhairdyesに 暴 露 して い るhairdressersの 揚

合 で も様 々の 異 な ったhairdyesの みで な く,他 の

癌 原 物 質 と思 わ れ る ものに も接 触 して い る可 能 性 が あ

る・ 例 え ば そ の 一 つ が エ ー ロ ゾル(vinylchloride,

fluorocarbonsな どを 含む)で あ る.膀 胱 癌 に 対 す る

リス クが高 い とい わ れ な が ら明 らか な 症 例 の報 告 は な

い.30年 以 上 もhairdyesに 暴 露 され て い る 場 合 で

も,そ の 間 に 色 素 の タ イ プ も質 も変 化 して い る.An-

thony28)はcasecontrolstudyで 膀 胱 癌 症 例 に は4

人 のhairdresserが いて,そ の うち3人 は20年 以 上

働 い て い た こ と,対 照 症 例 で はhairdresserは1人

の み でreiativeriskは4.1で あ る と報 告 して い る

が,タ バ コそ の ほか 環 境 因子 の分 析 が され て い な いた

め 評 価 され て い ない.

4)口 紅 に使 用 され る 色 素

口紅 に 含 まれ る原 料 の 安 全性 は そ の 一 部 が 口か ら体

内に 入 るた め特 に 重 要 で あ る.動 物 を 用 い た実 験 デ ー

タの 評 価 か ら食 品添 加 物 と して使 用 す る こ とが 許 可 さ

れ た もの が 用 い られ てい るが,こ の 中 のDCorange

No.17は 変 異 原物 質 で あ り,ア ゾ結 合 の還 元 で 生 じ

る2,4-dinitroanilineの 変 異 原 性 もす で に 報 告 され

て い る29・30).こ れ は,DCorange17の 合成 に用 い

る原 料 で もあ り,製 品の 中 に も不 純 物 と して存 在 す る

とい わ れ て い る29)癌 原 性 は 示 され てい な い が,こ れ

が 口紅 の 中 に 存 在 しては 困 る.

Greenら は 口紅 の 中 に こ の 色 素 が 仮に1%含 まれ

る とす る と1日 に1~5回 これ を用 い る場 合 に は4~6

mg従 ってOrangeNo.17の15~100mgが1年

間 に体 内に 入 って くる こ とに な る と計算 して い る29).

ま た 女 性 は 平 均 して0.03mglip・stick/kgbody

weight/dayを 食 べ て い る とい う報 告 もあ る30),こ の

うち どの くらい が 実 際 に 吸収 され,ど の くらい が 代謝

を受 け るか は わ か らな い.

5)兵 器 と して 使 用 され る薬 物 の 検 出 に用 い られ る

色 素(detectlonpaper)

わ が 国 で は ほ と ん ど 問 題 に な らな い 分 野 で あ る と

思 われ るが,国 防 に 関 与 す る もの として 通 常 の溶 媒,

溶 剤 で は な い あ る 種 の薬 物 に接 す る と色 が 変 化 す る

indicaterdyesを 含 むpaperstripsが つ くられ て

い る.こ のdetectionpaperに は6種 の 色素 が 用 い

られ て い る が,そ の うち4種 が変 異 原 性 で あ った3t).

Orasolnavyblue2RB,EastmanFastblueB・GLF,

ethyl-bis(2,4-dinltrophenyl)acetate,thiodiphenyl-

4,4'diazo-bis・salicylicacidで あ る.こ のpaperを

使用 す る人 々が 接 す る色 素 の量 は わず か で あ る が,製

造 工 場 で働 く人 は この物 質 に か な り暴 露 され る こ とに

な る3D

6)魚 釣 りの餌 の染 色 に 用 い る色 素

魚釣 りは英 国 で は一 般 的 な ス ポ ー ッで400万 の釣 り

人 が い る と され て い るs2).彼 らは 魚 の餌 に染 色 した う

じむ し(maggots)を 用 い るが,そ の 染 色 に 使 われ る

の がrhodamine,auramineで あ りchrysoidineで

あ る33).rhodamine,auramineはmaggotsに 食 べ

させ て体 内か ら染 色 す るた め,表 面 に フ リー の色 素 が

つ い て い る こ とは 少 な く従 って 釣 り人 の 手 が 色 素 に汚

染す る こと も少 な い.一 方chrysoidineはmaggots

に と って毒 物 であ るた め 使 用 す る 直 前 に 全 体 に まぶ し

て 使 用 す る.従 って この 餌 は 釣 り人 自身 が 用 意 す る場

合 も,す でに 染 色 した もの を 用 い る場 合 で も手 の汚 染

は 避 け られ な い33).

Chrysoidineは1875年 頃 か ら織 物 の 染 料 と して用 い

られ,あ る国 では 食 品 添 加 物 や 医 薬 品 と して 用 い られ

た こ と もあ った ら しい32).1977年 にchrysoidineの

変 異 原性 が 示 され た が16),実 際 に 問 題 に な って きた の

は,こ れ を扱 っ て い る業 者 が,客 で あ る3人 の 釣 り人

が膀 胱 癌 に な った こ とを知 っ て か ら であ る と さ れ て

い る32).1984年 に は26歳,35歳 の症 例 が 報 告 され て い

るが,い ず れ も仕 事 上 で は 癌 原性 物 質 に は 暴 露 され て

い ず,一 方 は 喫煙 者,他 方 は 非 喫 煙 者 で あ る.両 者 と

も魚 釣 りが 趣 味 でchrysoidineを5年 以 上 使 用 して

い る34).さ らに2人 の兄 弟 例 もあ る.彼 らは24年 間 週

末 の ほ とん どを一 日9時 間 くらい 魚 釣 りで 過 ご し常 に

染 色 したmaggotsを 使 用 して い た た め 手 は 色 素 で 染

ま り,と れ る のに 数 日か か った と記 載 され て い る .2

人 と も 自動 車 工揚 で仕 事 を して い た が,リ ス ク と考 え

られ て い る もの に は接 触 して い な い.た だ し2人 と も

heavysmokersで あ った35) .

ChrysoidineRはo-aminoazotolueneと 似 た 構

造 を して い る。 これ は マ ウス肝 に 発 癌 性 を 示 す .犬 で

は膀 胱 腫 瘍 を 生 じる33)・1984年 に 釣 り人 の 協 会 は 染 色

したmaggotsの 使 用 を禁 止 して い る .一 部 の 人 は,

bismarkbrowndyesをchrysoidineの 代 用 と して

用 い て い る と い う.し か し,こ れ もcrysoidineR

と似 た構 造 で 同様 に 変異 原 性 で あ る33).

結 語

京友禅の職人 で ある1人 の患 者 が きっか けに な っ

て,安 定 した物質 として安心 して使用 され てきたベ ン

チ ジン系染料 が膀胱癌の原因物 質である ことを報告す

るまでの研究経過を要約 して示 した・ さらに身近に存

在す る色素の中で変異原性を示す ものをい くつか紹 介

した`つ ねに患者 に接 してい るわれわれ臨床医は,環境

Page 8: Title 色素(染料)による膀胱腫瘍の発生 泌尿器科紀要 (1989), …...benzidineの 検出を行った.TLC上 標準benzidine と同一Rf値 を示す物質がラットの大腸,全

宮 川,吉 田:色 素 ・膀胱腫瘍

におけ る発 ガ ン要因を見いだすチ ャンスに恵 まれた立

場にあ る.職 業に限定せず,ス ポー ツを始め趣味や嗜

好に関 しての質問 も大切である ことは,多 くの人が指

摘す ると うりであ る.最 近では,各 種 の短期 テス トの

方法が使用 され,環 境 のなか の灰色因子が次 々とピッ

クア ップされている.そ の中の どれが どの ような形 で

発 癌要 因 として関与 しているかを知 るた め に は 常 に

冷静 な臨床 医の 目が必要 であ ろ う.あ る著書の冒頭 で

D.Wallaceが"ToomanyofusinUrologyIook

butdon'tsee"と 述べている.一 例一例の症例を大

切にする とい う当然の ことを真面 目に実行す ることが

新 たに発癌 因子 を見 いだす ことにつな が る か も しれ

ない,

文 献

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(1989年6月23日 受 付)