tppは国のかたちを変える - janis keizai note... · 2018-07-21 ·...
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TPPは国のかたちを変える~いのちとくらしの危機~
平成24年11月2日JA佐久浅間 女性部南佐久支部
1.はじめに TPPが浮上した背景2.TPP(環太平洋連携協定)とは、その特徴3.農業と食の安全性の崩壊4.国民皆保険制度の崩壊5.格差の拡大6.その他TPPの問題点7.まとめ TPPは国のかたちを変える 壊国協定
JA長野健康保険組合 大木島 真
国際収支の状況国際収支の状況
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1985C.Y.
1987C.Y.
1989C.Y.
1991C.Y.
1993C.Y.
1995C.Y.
1997C.Y.
1999C.Y.
2001C.Y.
2003C.Y.
2005C.Y.
2007C.Y.
2009C.Y.
2011C.Y.
億円
経常収支
貿易サービス収支
所得収支
2
財務省
貿易収支は縮小し、所得収支(海外投資等)
が拡大
貿易立国 投資立国
三井物産 アジアの病院に投資 3
「自分たちの強みを生かせるなら、卸売業にとどまらず自らメーカーになるべきだ」。昨夏、飲料大手メルシャンの医薬部門を約100億円で買収した三井物産。案件を陣頭指揮したのは、国内製薬大手から05年に転職した鈴木正暢(49)だ。
鈴木は国内外の製薬大手と幅広い関係を持つ商社の機能に着目。メルシャンの発酵技術と商社の情報網を駆使すれば、医薬品原料の製造受託事業を大きく伸ばせると判断し、経営陣の了承を取り付けた。自ら社長に就いた子会社には今年1月、東レが2割出資。中長期的に売上高100億円を目指し世界に挑む。医薬品製造だけではない。今年1月には、昨年900億円
で3割出資したアジア最大の病院グループ「IHH」を通じ、トルコの病院最大手を買収。人口増や高齢化でアジアなど新興国には年80兆円の医療産業の市場があるとされ、
さらに拡大が続く。病院の新設や周辺ビジネスの展開で「年40億~50億円の利益貢献」(幹部)を見込む。
三井物産が出資先を通して傘下に収めたトルコの病院
120404 日経
4自動車生産の動向
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2001年
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2008年
2009年
2010年
台数
(千台
)
国内生産
国内供給
輸出
米国輸出
海外生産
米国生産
アジア生産
急拡大するアジアでの自動車生産
海外生産が国内生産を上回った
海外の内でもアジアの生産が急拡大
中国との貿易が拡大するアメリカ貿易日本は、変わらず4番の地位
5
【輸出】 【輸入】
http://utsubonews.blogspot.com/2011/02/blog-post_6092.html
アメリカへの中国からの輸入額は、この20年間で爆破的に増加し、1990年には8位であったが、2010年にはカナダを抜いて第一となった。輸出先でも、18位から3位まで上昇している。日本は、1990年・2000年では2位であったが、2010年にはメキシコにも抜かれ第4位
中国
日本
中国
日本
1990年2000年
1990年
2000年
2010年
2010年
◎ TPPとは その特徴
6
①単なる関税の完全自由化だけでなく、投資や金融サービスの自由化
②米穀業界・企業のTPPに対する主な対日要求
③3つの前提条件(自動車・保険・BSE)
TPP協定参加を巡る経過 7
2006.05 P4発行環太平洋背略的経済連携協定、シンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリ4カ国の
08.07.30 WTO決裂 ドーハラウンドは、中国・インドの反対により決裂
09.10. 鳩山 所信表明演説 対等な日米同盟、「東アジア共同体構想」を推進する
10.039ヶ国交渉開始
環太平洋パートナーシップTransPacificPartnership 交渉開始
オバマ 輸出倍増計画2014年までの5年間で輸出を倍増し、200万人の雇用を生み出す
10.10.10 管臨時国会の所信表明演説
TPP協定交渉等への参加を検討し、国を開き、具体的な交渉進める。
11.11.11 野田 記者会見 TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る
11.11.17 オバマ 豪州議会オバマドクトリン 「アジア太平洋国家」としてアジアに力点
12.04.30 日米共同声明アジア太平洋地域の貿易・投資に関する高い水準のルールの構築を確約、TPPに関する2国間協議を引き続き前進させる
12.07.11 民主党 PT 政府に「国益を損なういかなる譲歩もしないように」求める決議案を採択
経済連携協定からTPP(貿易・投資協定)へ 8
環太平洋戦略的経済連携協定小国4ヶ国(シンガポール・ブルネイ・
ニュージーランド・チリ)関税撤廃を目的/2006年に発足
小国4ヶ国(ブルネイ・シンガポール・チリ・ニュージーランド)
米国・豪州・ペルー・ベトナム・マレーシア+
環太平洋連携協定(TPP)2008年9月交渉開始
投資・金融・サービスの自由化(非関税障壁の撤廃)
(投資家・知的財産権の保護)
例外無き貿易の自由化(関税障壁撤廃) +
日本?・カナダ・メキシコ+
印度・中国の反対でWTO交渉決裂2008年8月
南北米州FTA多国間投資協定
挫折(1995年)
中国の台頭(経済・軍事)
米国の双子の赤字・リーマンショック
中国主導のASEAN+3
鳩山政権東アジア構想
太平洋国家アメリカ
9
日米事前協議の争点 10焦点の一つが自動車だ。米
国では日本のTPP参加を農業団体が歓迎する一方、自動車団体が反対する。農協が反対し、経済団体が賛成する日本とは逆の構図だ。USTRで日本担当のカトラー代表補も「事前協議で自動車市場の開放はカギ」と指摘。全米商工会議所のオバーバイ・アジア担当副会頭は米国車輸入に一定の目標数量枠を設ける案も選択肢とする。日本郵政グループが手掛ける保険事業もやり玉にあがる可能性がある。日本で米大手保険が高シェアを持つがん保険の郵便局での販売拡大を求めたり、日本郵政グループが自前のがん保険を開発することをけん制したりする可能性がある
120113 日経
米国産牛肉への輸入規制、11月にも緩和 TPP巡る日米協議前進
11
120718 日経
TPP 米国が求めるTPP入場条件の一つがク
リア可能に
12年10月22日食品安全委員会
輸入規制の緩和を答申
TPPを巡る論点 12
日本の平均関税は他国より低い、外国投資についても既に開放済み経済のブロック化を防止し、発展途上国を含めて公正な貿易ルールづくりが必要農業・医療・福祉は社会的共通資本であり、営利企業による貿易ルールとは別次元であるべき
貿易立国である日本において、輸出企業は生命線、国際化を進めるため、「平成の開国」し、関税の撤廃が必要「1.5%農業保護のために98.5%が犠牲になってはならない」市場開放を機に農業を成長産業に
国際競争力の確保
推進派の主張 反対派の主張
対外投資の円滑化
日本は投資立国として発展する時代になった、投資を拡大するには、非関税障壁の解消や投資企業の保護(ISDS)が必要
ISDS等、企業の論理が民主的国家の論理を超える仕組みは民主主義の破壊ヘッジファンドや国際金融資本の暴走を抑える仕組みづくりが必要
東アジアとの経済連携
アジアの成長を取り入れるには、中国を巻き込んだ新たな貿易ルールの確立が必要。「バスに乗り遅れるな」
朝鮮半島や中台関係の安定など東アジアの安全保障にとって、中国と日本との善隣友好関係は基本的条件。ASEANや中国・韓国との連携が基本既に、日本の貿易・投資に比重は東アジアにシフトしており、東アジアの連携に楔をさすアメリカ主導の経済連携に疑問
対中国戦略
GDP2位まで躍進した中国に対する安全保障を含めた強力な政治・経済の日米同盟の強化が必要
◎ 農業と食の安全性の崩壊13
①日米間の農産物交渉により、多くの品目の自由化を進めて来た結果、②現在の平均関税率は11%で、EUよりも低い
③TPPにより完全自由化されれば、自給率はカロリーベースで13%に
④BSE規制緩和や遺伝子組み換え食品の表示義務撤廃などTPPにより食の安全性の確保が揺らぐ
対日要求と農産物の自由化の歴史 14
対日要求など 対応 農産物の自由化等
50~60年代 余剰小麦の購買 GATT加盟 PL45、MSA小麦の受入
60年~70年前 繊維摩擦 輸出自主規制 121品目の輸入自由化
1970年代後半~80年代前半
ニクソンショック
自動車摩擦
輸出自主規制+現地生産で対応
大豆・菜種・バナナなど200品目の関税引き下げ
1980年代後半~1990年代
対米不均衡の深刻化
円安是正
日米構造協議
⇒公共事業の拡大
円高誘導⇒プラザ合意
日米二国間農産物交渉
牛肉・オレンジの自由化
トマト・乳製品12品目自由化
1990年代~2000年代
米国とEUの貿易摩擦
金融の自由化
GATT・UR交渉
強化されたイニシアティブ⇒橋本金融ビッグバン
総ての農産物の関税化と段階的引き下げ
農業保護・輸出補助の削減
2000年代~2010年
ソ連の崩壊・グローバル化
市場開放・規制緩和要求
WTO・EPA・FTA交渉
経済パートナシップ(日米年次改革要望書:規制緩和、競争政策、投資)⇒小泉構造改革
重要農産物を例外としてEPA・FTAを締結
農地法改正(株式会社参入)
米流通の規制緩和
JAの信用・経済分離要求
2010年~ リーマンショック
中国の台頭
TPP参加交渉 聖域なき関税の完全自由化
BSEなど食品安全基準緩和
食料自給率の推移 3度目の自由化は国を滅ぼす 15
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1960 1970 1980 1990 2000 2010 203?
米
小麦
野菜
果実
牛肉
牛乳/乳製品
砂糖類
食料自給率
日米貿易摩擦→日米牛肉・オレンジ交渉
余剰小麦の購入→MSA小麦・PL480受入
パン・脱脂粉乳給食 TPP 関税撤廃
カロリー自給率13%に
主要国の農産物の平均関税率 16
JA長野中央会
17
120811 日経
国連の推計によれば、2011年10月末で世界人口が70
億人を突破した。すでに飢餓人口は10億人弱と世界人口の7分の1に及んでいる。飽食の時代を経験しているのは、世界人口の2割に当たる先進国での話に過ぎない。
120118 ダイヤモンドオンライン 資源・食料問題研究所代表 柴田明夫
ガットUR農業交渉コメ関税化
WTO農業交渉
ガット東京ラウンド
食糧危機
日米農業交渉牛肉・オレンジ
食糧危機
18
在庫率が15%=2ヶ月を切ると食料危機
自由化の論議をしている時ではない
穀物、国際価格高止まり 前年比2~4割 米農家の売り一巡 小麦には輸出規制観測
19
121024 日経
穀物の国際価格が高止まりしている。トウモロコシと大豆は米国産の収穫に伴う農家の売りが一巡。指標価格は1年前と比べ2割前後高い。小麦は不作だったロシアやウクライナが輸出規制を実施するとの観測から同4割弱高い水準だ。供給が減る一方、中国などアジアの輸入国の需要は堅調だ。穀物相場は下がりにくい状態が続きそうだ。
TPPの危険性 食品の安全・安心 20
米国の要求 問題点
BSE防疫規制の緩和
BSEの輸入制限の月例制限を国際基準に合わせ30ヶ月から20ヶ月に緩和
BSE検査の対象は米国の肉牛の1%程度で、個体識別管理のなく、BSE罹患牛肉の輸入の危険度が高まる
残留農薬規制の緩和
残留農薬規制は国際基準(コーデック基準)へ統一ポストハーベストは農薬ではなく食品添加物として扱うべし。また食品添加物として表示義務の撤廃有機農産物の残留基準の緩和
農薬の使用基準、食品の安全基準は各国の独自性を認めるべきポストハーベストは発ガン性との関連もあり、厳格に規制すべき
遺伝子組替食品の表示義務撤廃
GMOの安全性は科学的に証明されており表示義務の撤廃(特別扱いすることは、貿易障壁に当たる。)
GMOの安全性に関する知見は定まっておらず少なくとも表示を行い、購入時の選択権を保障すべき
食品添加物規制の緩和
食品添加物(特に加工食品)の規制の緩和(米国と同じ規制水準に)
食品添加物の審査を進めている
衛生防疫の保護水準
保護水準は統一すべき輸入米の安全検査の簡素化冷凍食品(例えばフライドポテト)に関する細菌含有の規格の緩和
人種や風土によって安全基準は違う。国民の生命を守る基準は、主権国家の権利であり、自主権を保留すべき
◎ 国民皆保険制度の崩壊 21
①超高齢社会(2025年には団塊の世代が75才に)を迎え、高齢者1人を2~3人の現役が支えることになり、医療費は年に1兆円増加。②24年度予算でも交付税と公債の返済を除く予算の半分が社会保障費で年々増額していく。③TPPにより直接公的医療制度を廃止することにはならないが、薬価制度の自由化、混合診療の解禁、株式会社による病院経営の解禁など迫ってくる可能性があり、④結果として、「どこでも・いつでも・だれでも」同じ医療としての皆保険制度が実質的に骨抜きにされる危険性大⑤混合診療とは歯科のインプラント治療のように、自由診療と保険診療を同時に受けることが可能な制度(現行原則は自由診療の場合はすべて自己負担)⑥すべて混合診療となると、公的保険が適用できる部分を縮小し、先端医療など自由診療の部分が拡大する危険性大⑦TPPは最終的にアメリカ型の医療保険制度に移行させられる危険性が大⑧日本の医療費は決して高くない。しかも税金・企業負担の割合も小さい。しかし、TPPによって、アメリカ並みの高額医療費が必要となる可能性大
高齢化と社会保障費の増加 22
1960 1970 1980 1990 2000 2010
国債費
地方交付税交付金
その他
公共事業
社会保障費
医療費の自然増は毎年1兆円
超高齢社会 232015年団塊の世代が65才以上に
団塊の世代が後期高齢者に
騎馬戦型 肩車御神輿型
TPPに参加するとアメリカは何を要求してくるか 24TPP参加後の影響 米韓FTAの場合
第一段階
医療機器・医薬品価格への規制の撤廃
2011年版 外国貿易障壁報告書では
医療機器:外国平均価格調整ルールの廃止又は改定
医薬品:新薬創出加算の恒常化と加算率の上限撤廃。市場拡大再算定ルールの廃止又は改正
米国企業は韓国政府の定めた医薬品・医療機器の償還価格に不満が在る場合には、政府から独立した「医薬品・医療機器委員会」に異議申し立てできる
第二段階
医療特区に限定した市場原理導入
特区医療に限定した株式会社の病院経営の解禁と混合診療の原則解禁
既に日本にも医療特区制度はある
既に3つの経済事由区域が指定され、仁川では全額自費診療のニューヨーク基督長老病院(600床)、他2病院が開業
特区はFTA協定(韓国の医療保険制度は除く)の例外事項としている
第三段階
ISD条項と市場原理の全面的導入
投資家と国家間の紛争解決手続き(ISD条項)に基づき、米国企業が日本政府に損害賠償訴訟を起こす
米韓FTAでは、ISD条項が盛り込まれている。
但し、両国の保険制度の差異を認定するとし、保険制度そのものは条約の範囲外とされている
1201 分化連情報 二木立 日本福祉大学教授 を原型に 一部加筆
25
国民皆保険=保険証一つで、いつでも・どこでも・だれでも同じ医療が受けられる
混合診療全面解禁とは 26【将来:現行通り】
A:保険診療
B:保険外診療(自己負担)
C:自由診療=全て自己負担
A+c‘:保険診療
B+c:保険外診療(自己負担)
A:保険診療
B:保険外診療
C:自由診療=自己負担
【混合診療全面解禁】
【保険外併用診療】
まがい物は自由診療として残し、保険外診療の部分を保険診療に取り入れていく。
差額ベット代や一部の先端医療(将来保険適用が可能な)は、保険外併用診療として包含し、保険が適用されない部分だけ自己負担する
A‘:保険診療
B‘:保険外診療
保険支出を抑制するために、保険診療の範囲を限定し、他は保険外として自己負担とする。→お金持ちや都会でしか良い医療が受けられない可能性大=いつでも、どこでも、だれでも同じ医療を受けられない=皆保険制度の崩壊
【自由診療】
混合診療の全面解禁とは自由診療をなくして、すべて保険外併用診療(保険診療と保険外診療を併存させる)に取り込むこと
現行の保険外併用療養費① 27
JA長野健保 23年度版健康保険ガイド
保険診療として認めることを前提としないもの
将来的に保険診療として、認めるか評価を行うもの
現行の保険外併用療養費① 28
JA長野健保 23年度版健康保険ガイド
アメリカの医療保険制度 29
公的保険9,200万人
メディケア4,400万人
アメリカの保険
一般保険
65歳以上の高齢者・障害者
保険料はないが、個人負担が必要
一般的に会社や学校を通してグループ保険に加入する保険会社と企業は契約により医療の水準(治療法や薬の種類などを決める)が管理され医療給付の抑制を図る
マネジドケア
民間保険19,600万人
メディケイド4,800万人
低所得者向け
無保険 4,900万人(6人に1人)
オバマ大統領の医療保険改革新たな公的保険の創設を断念し、無保険者が民間保険に加入することを義務づける。保険会社の加入拒否を違法化
シッコで示されているアメリカ医療制度の問題の実例 30
①アメリカ合衆国は国民健康保険制度がない唯一の先進国である。民間の医療保険に入れない人がおよそ5000万人いる。貧困層でなくても、過去のわ
ずかな疾患を緻密に探査され保険への加入を拒否されたり、保険金の支払いを拒否される人は多い。②医療費が払えず病院にかかれないので、自分で傷口を縫う人。③仕事中に誤って指を二本切断。指をくっつける手術費用が薬指は12,000USドル、中指なら60,000USドルと言われ、中指は諦めざるを得なかった人。
④高齢であってもなお、自分の医療費を払うために働かざるを得ない老人。⑤交通事故により病院に運ばれ一命を取り留め、保険会社に保険金を支払ってもらおうと連絡したら、当時は意識不明の重態であったにもかかわらず「救急車が使用される場合には、事前に連絡が無ければ保険は適用されない」と言われた人(ちなみにアメリカでは、救急隊を派遣させるだけでも日本円にして数万円単位の請求が来る。救急隊は日本のような消防所属ではなく、独立した機関)。⑥複数の医師からなる病院の医療チームが「この検査と手術が必要」と言っているにもかかわらず、保険会社はそんな検査や手術は必要ないとして保険金の支払いを拒否し、結果として治療を受けられずに亡くなった人。
日本の医療費は30か国中21位 米国の約半分 31
120215 NBO 吉田耕作 TPPで日本の医療制度は本当に危機に陥るのか
欧州に比べれば、租税負担率の増額の可能性がある?? 32
TPPと医療保険のまとめ 33
国際競争力を増すには企業の公的負担(税金や社会保険料)を減らせ→海外に出て行くよ
新薬の開発にはお金がかかる→薬価は自由に、特許の保護の充実
混合診療を解禁せよ→公的保険が適用する範囲を狭めて、他は民間保険に→かんぽの完全民営化、JA等共済の他事業からの分離独立
財政赤字は第二のギリシャだ→消費税増税
予算の半分が社会保障費→医療給付の削減を
混合診療(保険診療と非保険診療が同時に受けられる仕組み)を解禁して、公的保険の範囲を限定
医療介護事業は成長産業だ→民間活力を
金融業界:株式会社による病院経営の解禁を
株式会社による病院経営を解禁→儲かる場所・診療しかしない
日本の財界
米国の財界
TPPで加速
いつでも・どこでも・だれでもの皆保険制度の崩壊
金持ちは良い医療がそうでない人は良質な医療が受けられない
農村から医者が居なくなる
手術も特許として認めるべき
◎ TPP参加によるデフレの進行と格差の拡大
34
①日米構造調整(金融自由化・民営化・規制緩和により市場機能を整備)する協議が1990年代後半から本格化し、②農業分野では農地法の改正(株式会社の参入)や食管法の改正、JAにおける信用事業と経済事業の分離協議等。③金融持ち株会社の設立、外資の導入、企業合併の促進、道路公団・郵政の民営化、大規模小売店舗の出店規制の緩和、労働者派遣法の抜本改正が進められた。④労働者派遣法の改正では、製造業を含めてほとんどの業種で派遣が可能となり、派遣社員も含めて、若年者の3割が非正規雇用となった。⑤一般消費財の多くが中国などの製品と置き換わり、消費者価格の下落と給与所得の減少が続いており、国内消費の減退→海外進出→価格競争のよる給与抑制→国内消費の減退のデフレスパイラルとなっている。⑤TPPは、より海外からの輸入促進、労働者の移入が起こりデフレスパイラルを加速する危険性大。⑥非正規化、給与所得の減少は、格差を拡大させ、生活保護の増加やアメリカ型社会に移行する危険性大
急増する生活保護 問われるその他世帯の増加 35
120615 日経
母子世帯
その他の世帯
傷病・障害者世帯
高齢者世帯
非正規比率と若年失業率 36
121003 なぜわが国再生に「市場主義3.0」が必要か|山田久の「市場主義3.0」|ダイヤモンド・オンライン
労働者派遣法 37
1985年7月 労働者派遣法成立→86年13業種(ソフトウェアー開発等)で施行
1997年4月~2001年 日米間の新たな経済パートナーシップの
ための枠組み(日米規制緩和対話) 橋本・クリントン
1999年12月 労働者派遣法抜本改正→派遣業種をネガティブリスト制に
派遣を禁止する5業種 港湾輸送・建設・軽微・医療・製造
2004年3月 製造業の派遣解禁派遣を禁止する4業種に 港湾輸送・建設・軽微・医療
2012年10月 労働者保険法の改正日雇雇用派遣の原則禁止
2001年6月~2009年 成長のための日米経済パートナーシップ(規制緩和・競争政策イニシアティブ(小泉・ブッシュ)
2011年3月~経済成長に向けた諸施策に関するアップデート(日米経済調和対話(管・オバマ)
38
120929 日経
英米化する日本格差社会
39
表2 ジニ係数により所得分配の国際比較
(資料:The World Factbook, Central Intelligence Agency)
111117 NBO 吉田耕作 所得格差の米国化が進む日本
1980年代の日本のジニ係数(小さい方が格差が小さい)は欧州大陸系
2008年代の日本のジニ係数(小さい方が格差が小さい)はアングロ・アメリカンに近づいている
TPPは経済社会のルールのアメリカ化
=格差の一層の拡大
TPPでデフレが加速する 40
海外との競争激化
賃金の下げ
消費力の落ち込み
海外へ
農産物価格の長期低迷
多国籍大企業だけが生き残る
安価な輸入品の増加
国内産業の衰退
◎ その他TPPの問題点 41
①WTOと違って、投資家を保護する(ISDS)仕組みがあり、投資活動が阻害されたとして、一企業が相手国家を相手取って、世界銀行傘下の紛争センターに訴訟を起こせる。②世界銀行は、IMFと同じく、アメリカに本部置き、債務国の救済に当たっており、構造調整(民営化・金融自由化・規制緩和)を進める母体であり、投資国としての立場としての性格もあり、米韓FTAやNAFTAなどアメリカとFTAを結んだ国はアメリカ企業からの訴訟にさらされている。③ISDSは、民主国家より米国多国籍企業の営利が優先させており、民主主義を破壊するものであるとともに、④米国の法体系が国際法より国内法が優先される仕組み(ISDSで訴えられても国内法が優先され、効力が発行しにくい)であるのに対して、米国以外の国は国際法が優先されており、不平等条項である。
⑤WTOと違って、秘密交渉が基本であり、4年間は交渉文書など公開されない仕組みとなっており、大国の論理が働きやすい仕組みにある
⑥東南アジア(ASEAN諸国)と東アジア(日本・中国・韓国)の友好善隣を基本としてルールづくりが必要であるが、TPPは米国による対中国戦略が見え隠れしており、友好善隣を分断する危険性がある。
ISD条項 42☆ISDS:Investor State Dispute Settlment
投資家 国家 紛争 解決
☆ICSID :International Centre for Settlement of Investment Disputes 国際 センター 解決 投資 紛争
欧米企業が、発展途上国や資源保有国の政府による強制収用(国有化など)に対する欧米企業が自己の権益を守るために生み出した対応手段企業が強制収用した政府を国際投資紛争解決センター(ICSID)に提訴できる仕組み。日本が締結するEPAなどでも挿入されている
世界銀行参加にあり、IMF体制の主催国であるアメリカの意向を反映しやすい
1994年のNAFTA発効に際して、米国の提案によってISDS条項が初めて多国間協定に導入されて以来、状況は激変した。米国企業や米国の投資家は米国企業や米国の投資家は、たとえ資産が国有化されるなどの直接的な被害を被ってなく
ても、儲からない場合儲からない場合でも「収用」と同等の「間接収用」と見なして、カナダが、米国企業によって次々とISDS条項によって国際仲裁所に提訴された国際仲裁所に提訴された。
米国の企業と投資家が、カナダの公的医療保険によって市場参入機会を阻まれたとしてカナダ政府を提訴した→提訴は受理されなかった。TPPの場合、公的医療保険が民間保険会社のビジネスを阻害しているという理由で、米国
の保険会社がISDS条項を使って日本政府を提訴してくることも想定し得る
「正論」平成24年2月号 ちょっと待った TPPより危険な日中韓政府投資協定
投資家の利益>公共の利益
TPP交渉に 守秘合意 発効後4年間、内容公開せず 43
現在、米国など9カ国が行っている環太平洋連携協定(TPP)交渉で、交渉内容を公表しない合意があり、交渉文書は協定発効後4年間秘匿されることが、ニュージーランドのTPP首席交渉官の発表で分かりました。ニュージーランド外務貿易省のアーク・シンクレアTPP首席交渉官は11月末、情報
公開を求める労働組合や非政府組織(NGO)の声に押され、同省の公式サイトに情報を公開できない事情を説明する文書を発表しました。同文書は、交渉開始に当たって各国の提案や交渉文書を極秘扱いとする合意があることを明らかにし、文書の取り扱いを説明した書簡のひな型を添付しました。それによると、交渉文書や各国の提案、関連資料を入手できるのは、政府当局者
のほかは、政府の国内協議に参加する者、文書の情報を検討する必要のある者または情報を知らされる必要のある者に限られます。また、文書を入手しても、許可された者以外に見せることはできません。さらに、これらの文書は、TPP発効後4年間秘匿されます。TPPが成立しなかった
場合は、交渉の最後の会合から4年間秘匿されます。日本政府は、交渉に参加しないと交渉内容が分からないとして、参加を急いでい
ます。しかし、交渉に参加しても、交渉内容を知ることができるのは、政府内や政府が選んだ業界などに限られます。国民に影響のあることであっても、国民が交渉内容を知ったときには、TPPが国会で批准され、発効してしまっている危険があります。
アジア広域経済圏 ASEANで構想 TPPに対抗 44
111118朝日新聞
親中国諸国
親中国諸国+
中国と領土問題
TPPの問題点東南アジアの分断
総まとめ TPPに参加すると国のかたちが変わる 45
経済社会のルールがアメリカ化する関税・非関税障壁がなくなる
(柵がとられ、堀が埋められる)
競争が一層激化する(市場原理による弱肉強食の社会、
特許と訴訟社会に)
○デフレの深化○格差社会の拡大
○助け合い・絆社会の崩壊( 日本の伝統文化の崩壊
簡易保険、共済の一般保険化)
くらしといのちを守る国の自主権が奪われ、米国等巨大資本に隷属させられる
農業・農村の崩壊食料安全保障(自給率・安全安心)の崩壊
中小企業・地域経済の崩壊地域医療・皆保険制度の崩壊
国土安全保障の崩壊(山村・島しょの過疎化)財政バランスの崩壊(郵貯により保全されてい
る国債の国外流出)
東アジアが不安定化(親米と親中に分断)食糧危機が増大(アジアの食料を日本が奪う)