今春の選抜高校野球大会

で、龍谷大平安高校野球部を

日本一の栄冠に導いた原田英

彦監督。春夏通算で最多出場

回数を誇る名門野球部の第27

代監督として、今年で歴代最長

の21年目を迎える名将です。

　

自らが平安野球部ＯＢで

「自分が一番の平安ファン」と

断言。熱血な指導と厚い人望・

キャリアで「原田野球」を確立

し、数々の名選手を育ててきた

原田監督に、選手育成や子育

てで大切なことについてお聞

きしました。

│今春、選抜高校野球大会で初

優勝されました。その要因は？

　

平成24年春、伏見区醍醐に平安野

球部のメイングラウンドが完成し、

冬場に打撃練習ができるように

なったことが大きいですね。念願の

新グラウンドでしたから、竣工式で

は「この恩は日本一になって返しま

す」と宣言。わずか１年半で返せる

とは思いませんでしたが。それから、

部員数が増えたこと。スポーツには

競争心が必要です。それがないと、

たとえ甲子園に出られても勝ち残

れません。

　

最後に、「日本一」になることを全

員が本気で信じることができたか

らだと思います。私はスカウトをし

ません。最初から上手い選手を集め

るのが一番近道ですが、私は「どう

しても平安で野球をやりたい」とい

う固い意志をもった子を受け入れ

ています。そういう選手こそチーム

には絶対に必要です。

│選手たちの育成で力を入れ

ていることは？

　

選手全員が私の息子。厳しく育

て、卒業までに自立した人間に成長

させることが大きな目標です。甲子

園よりもよほど大切なことです。高

校野球は「子育て」と一緒ですね。

　

礼儀や挨拶、正しい言葉づかいは

社会に出たら常識。今は、親の仕事

や誕生日すら知らない子もいるん

です。厳しい社会の中で親がどんな

苦労をして育ててくれているのかを

気づかせて、親の誕生日には「おめ

でとう。いつもありがとう」と言え

よと教えています。その一言でどれ

だけ親ががんばれるか。

　

グラウンドの女子トイレには、選

手たちが書いた「おかあさん、いつ

もありがとう」という張り紙があり

ます。お母さんの中には、これを見

て号泣される方もいます。そんな、

さり気なく感謝の思いを伝えられ

るような心配りもできる人間に

なってもらいたいと思っています。

│指導する中で昔と比べて変

わったと感じることは？

　

私は子どもが本気で喜ぶ姿、泣く

姿を見ることがうれしいのです。特

に本気で泣く時はうれしい。できた

時のうれし泣き、できなかった時の

悔し泣き。今の子は小さい頃から、

そういう心震える経験をしていない

んですね。だから「絶対に泣かした

ろ」と。自分を超えるような力を出

させて泣かせてやりたい。それで泣

いた時は「なに泣いとんじゃー」と

言いながら、私も心はウルウルして

います（笑）。

　

また、身体を使う遊びをしてきて

いないから、身体を十分に使えてい

ない子が多い。うちのウォーミング

アップは、前転や側転、ほふく前進

など赤ちゃんの動きや昔の子ども

がしていた遊びの動きを取り入れ

ています。それに、遊びは身体の動

きだけでなく、ルールの中で勝つこ

とを考えることによって想像力も

育めますし。そういう経験が子ども

時代には必要なんです。

│親が子どものためにすべき

ことは？

　「過保護はよいが、過干渉はダメ」

が持論です。過保護は子どもの要求

を受けてから親が助けてやるので

子ども主体ですが、過干渉は子ども

が要求する前に親の希望を通そう

とするものです。新しいユニフォー

ム買おうか？今日の練習どうやっ

た？などと聞きすぎるのもよくな

い。自立させるために、付かず離れ

ずの距離を保ってください。

　

実は、選手の保護者と会うのは入

学直後の１回だけ。その時、「野球を

通して自立できる人間に育てます

から、保護者の皆さんも自立してく

ださい」と話します。すべての子の

進学・就職まで面倒をみますが、私

は子どもとだけ接し、自分で親と相

談させます。ただ、家庭環境は気に

なります。コンビニ弁当ばかり食べ

ている子がいれば、家に電話して

「お母さん、忙しいでしょうけど、

でっかい塩おにぎり１個でいいから

握ってやってください」と頼みます。

それだけでも子どもは親の愛情を

十分に感じるものです。

│これから進路を考える子ど

もたちへのメッセージを。

　

何かしら目標を持ち、そこへ向

かっていくための方法を、自分で見

つけていってほしい。「自分の目で見

て、自分で考えて、自分で行動でき

るようになる」ことです。目標達成

の秘訣は、目標としていることをと

ことん好きになること。大好きなら

必ず達成しようと思えるはずです。

発行：京都市教育委員会（生涯学習部家庭地域教育支援担当）京都市中京区富小路通六角下る骨屋之町549 元生祥小学校内☎075-251-0456 FAX075-251-1013　http://www.city.kyoto.lg.jp/kyoiku/category/180-11-4-0-0-0-0-0-0-0.html

　1960年京都市生まれ。京都市立九条中から平安高校へ進み、俊足外野手として活躍。卒業後、社会人の日本新薬では都市対抗野球大会に10回出場し、主将も務めた。93年に母校の監督に就任。甲子園出場は春７回、夏６回。97年夏の甲子園では川口知哉（元オリックス）を擁して準優勝。2014年春初優勝。京都勢による優勝は夏を合わせても58年ぶり。

原田 英彦 はらだ ひでひこ

もも

くく

じじ

～「本との出会い」と「読書習慣の定着」に向けて～

今春の選抜高校野球大会で初優勝し、選手から胴上げされる原田監督

親が子どものためにすべき

を合わせても58年ぶり。

2 さがしてみよう かけがえのない一冊

2

3

まち歴 「上賀茂界わい」4 きょうと

体験しよう 京都の伝統文化　

京都はぐくみ憲章 平成26年度行動指針

付かず離れず、

与え過ぎない子育てを

原田 英彦さん

はら 　 だ 　 　 ひ で 　 ひ こ龍谷大学付属平安高等学校硬式野球部 監督

日本一日本一日本一日本一日本一自立 自立 自立 自立 自立 自立 自立 先先自立 先にあるの

平成26年2014年 月7 vol.211

（ 子どもを共に育む京都市民憲章 ）

発行：京都市教育委員会（生涯学習部家庭地域教育支援担当）京都市中京区富小路通六角下る骨屋之町549 元生祥小学校内http://www.city.kyoto.lg.jp/kyoiku/category/180-11-4-0-0-0-0-0-0-0.html

を実践しましょう！