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2 章:複素数平面 1:極形式 1 極形式 1.1 共役な複素数と絶対値 33 α 1 α = a + bi となる複素数とする。 β 1 β = b + ai となる複素数であるとき,β = α と表すことがで きる。ただし,ab は実数であるとする。 (立正大) 34 (3 + i)(5 - 2i) 2+ i = である。ただし,i は虚数単位である。 (湘南工科大) 複素数 z = a + bi a, b は実数)の絶対値 z とは,原点 O と点 z の距離のこ x y O z = a + bi z a b とです。この複素数の絶対値については,次の (i)(iii) が重要です。 (i) z = a 2 + b 2 …… これは実数です。 z z =(a + bi)(a bi)= a 2 + b 2 より (ii) z 2 = z z また,積と商における絶対値については (iii) zw = z w z w = z w (w \ = 0) 33 β α を整理しましょう。 34 絶対値の性質 (iii) より, z 1 z 2 z 3 = z1 z2 z 3 が成り立ちます。

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Page 1: 1 極形式kamelink.com/public/CR_III/cr3_chap2_複素数平面.pdf2 章:複素数平面 1:極形式 1 極形式 1.1 共役な複素数と絶対値 33 x1 = a+bi q s ó É: q b

2章:複素数平面 1:極形式

1 極形式

1.1 共役な複素数と絶対値

33 αは 1α

= a+ bi となる複素数とする。

β が 1β

= b+ ai となる複素数であるとき,β = α と表すことがで

きる。ただし,a,bは実数であるとする。 (立正大)

34(3 + i)(5− 2i)

2 + i=

√である。ただし,i は虚数単位である。

(湘南工科大)

複素数 z = a + bi (a, b は実数)の絶対値 z とは,原点 Oと点 z の距離のこ

x

y

OO

z = a+ bi

z

a

b

とです。この複素数の絶対値については,次の ( i )~(iii)が重要です。

( i ) z =√a2 + b2 …… これは実数です。

zz = (a+ bi)(a− bi) = a2 + b2 より

(ii) z 2 = zz

また,積と商における絶対値については

(iii)

zw = z w

zw

=z

w(w \= 0)

33β

αを整理しましょう。

34 絶対値の性質 (iii)より,z1z2z3

=z1 z2z3

が成り立ちます。

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Page 2: 1 極形式kamelink.com/public/CR_III/cr3_chap2_複素数平面.pdf2 章:複素数平面 1:極形式 1 極形式 1.1 共役な複素数と絶対値 33 x1 = a+bi q s ó É: q b

2章:複素数平面 1:極形式

33 1α

= a+ bi, 1β

= b+ ai より,β = 1b+ ai

, 1

α= a− bi だから

β

α= a− bi

b+ ai=

(a− bi)(b− ai)

(b+ ai)(b− ai)=

ab− (a2 + b2)i+ abi2

b2 − (−a2)= −i

∴ β = −iα

34(3 + i)(5− 2i)

2 + i=

√32 + 12

√52 + (−2)2√

22 + 12=

√10

√29√

5=

√58

分母を実数化してから絶対値を求めると(3 + i)(5− 2i)

2 + i= 17− i

2 + i=

(17− i)(2− i)

(2 + i)(2− i)= 33

5− 19

5i

∴ (3 + i)(5− 2i)

2 + i= 33

5− 19

5i =

√(335

)2

+

(− 19

5

)2

=√58

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2章:複素数平面 1:極形式

1.2 実数条件,純虚数条件

35 複素数 zが z − 1 = 1を満たし,かつ z + 1zが実数であるならば

z = ,

である。ただし,iは虚数単位とする。 (東京工科大)

36 α+ 1 = α− 1 をみたす複素数 α( \= 0)は純虚数であることを示せ。

(公立はこだて未来大)

35 z が実数 ⇐⇒ z = z

36 z が純虚数 ⇐⇒ z + z = 0 かつ z \= 0

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2章:複素数平面 1:極形式

35 z − 1 = 1 より, z − 1 2 = 1 だから

(z − 1)(z − 1) = 1

(z − 1)(z − 1) = 1 ∴ zz − (z + z) = 0 · · · · · · 1⃝

また,z + 1zが実数だから

z + 1z

= z + 1z

∴ z + 1z

= z + 1

z

両辺に zz をかけると

zzz + z = zz z + z

zz(z − z)− (z − z) = 0

(zz − 1)(z − z) = 0 ∴ zz = 1 または z = z

( i ) z = z のとき, 1⃝よりz2 − 2z = 0 ∴ z = 2 (∵ z \= 0)

(ii) zz = 1 のとき, 1⃝より1− (z + z) = 0

z = a+ bi とおくと

1− {(a+ bi) + (a− bi)} = 0 ∴ a = 12

zz = 1 すなわち z 2 = 1 より

a2 + b2 = 1 14

+ b2 = 1 ∴ b = ±√32

したがって z = a+ bi = 12

±√32

i = 12(1±

√3i)

以上,( i ),(ii)より z = 2, 12(1 ±

√3i)

36 α+ 1 = α− 1 の両辺を 2乗すると

α+ 1 2 = α− 1 2

(α+ 1)(α+ 1) = (α− 1)(α− 1)

(α+ 1)(α+ 1) = (α− 1)(α− 1)

αα+ α+ α+ 1 = αα− α− α+ 1 ∴ α+ α = 0

これと α \= 0 より,α は純虚数である。 (証終)

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2章:複素数平面 1:極形式

1.3 極形式

37 2つの複素数を z = 2(1 + i), w = 4(1 +√3i) とする。このとき

zw = , arg(zw) =

である。ただし 0 < arg(zw) < 2π とする。 (北海道工業大)

38 2つの複素数 z = 1 + i,w = 1 +√3iに対し,複素数 w

zの絶対値は

であり,偏角は である。 (東邦大)

複素数平面上で,0でない複素数 z の表す点を Pとし,OPの長さを r(絶対値),半直線 OPと実軸の正の部分とのなす角を θ(偏角)とすると

z = r(cos θ + i sin θ)

と表すことができます。このように表したものを複素数 z の極形式といいます。

z の偏角は arg z で表され,その 1つを θ とすると

x

y

OO

P(z)

r

θ

arg z = θ + 2nπ(n は整数)と表されます。偏角には次のような性質があります。

arg (zw) = arg z + argw · · · · · · 1⃝

arg

(zw

)= arg z − argw · · · · · · 2⃝

37 絶対値の性質 (iii)と偏角の性質 1⃝を使います。

38 絶対値の性質 (iii)と偏角の性質 2⃝を使います。

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2章:複素数平面 1:極形式

37 z = 2√2{cos

(π4

+ 2lπ)+ i sin

(π4

+ 2lπ)}

(lは整数)

w = 8{cos

(π3

+ 2mπ)+ i sin

(π3

+ 2mπ)}

(mは整数)

よって

zw = z w = 2√2× 8 = 16

√2

arg (zw) = arg z + argw =(π4

+ 2lπ)+

(π3

+ 2mπ)

= 712

π + 2(l +m)π

0 < arg(zw) < 2π より arg(zw) = 712

π

38 z =√2{cos

(π4

+ 2lπ)+ i sin

(π4

+ 2lπ)}

(lは整数)

w = 2{cos

(π3

+ 2mπ)+ i sin

(π3

+ 2mπ)}

(mは整数)

よって

wz

=w

z= 2√

2=

√2

arg wz

= argw − arg z =(π3

+ 2mπ)−

(π4

+ 2lπ)

= π12

+ 2(m− l)π

= π12

+ 2nπ (nは整数)

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2章:複素数平面 1:極形式

1.4 ド・モアブルの定理

39 (1) 実数 θに対し

α = cos θ + i sin θ, β = cos θ − i sin θ

とおく。すべての自然数 nに対して

αn = cosnθ + i sinnθ, βn = cosnθ − i sinnθ

が成り立つことを示せ。ただし,iは虚数単位を表す。 (東北大 改)

(2) ド・モアブルの定理に現れる式の実部,虚部を比較することによって

cos 5θ, sin 5θ

のそれぞれを cos θ,sin θ の多項式で表せ。 (京都教育大 改)

40 次の複素数を a+ bi(a,bは実数)の形に表せ。

ただし,i =√−1 とする。

(1)

(1 +

√3i

2

)4

(神奈川大)

(2)

( √3 + i2

)−5

(武蔵工業大)

41 次の各問いに答えよ。ただし,i2 = −1 である。

(1) 1 + i, 1 +√3iを極形式で表せ。

(2) (1)の結果を利用して1 +

√3i

1 + iを極形式で表せ。

(3)

(1 +

√3i

1 + i

)12

を求めよ。 (九州東海大)

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2章:複素数平面 1:極形式

(x + yi)n を二項定理で展開するのは大変です。極形式に直して,ド・モアブルの

定理を用います。

ド・モアブルの定理

(cos θ + i sin θ)n = cosnθ + i sinnθ(nは整数)

39 (1) ド・モアブルの定理を証明せよ,という問題です。

まずは,αn = cosnθ+ i sinnθ が成り立つことを示しましょう。数学的帰納法を用いるとよいでしょう。

(2) ド・モアブルの定理より

(cos θ + i sin θ)5 = cos 5θ + i sin 5θ

です。左辺を二項定理を用いて展開し,右辺の実部,虚部と比較しましょう。

40 (1) ド・モアブルの定理より

{r (cos θ + i sin θ)}n = rn{cosnθ + i sinnθ}が成り立ちます。

(2) n = 0 のとき

{r (cos θ + i sin θ)}−n = 1rn

{cos (−nθ) + i sin (−nθ)}

ですね。

41 (1),(2)は (3)を求めるための親切な誘導です。

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2章:複素数平面 1:極形式

39 (1) α = cos θ + i sin θ のとき,すべての自然数 nに対して

αn = cosnθ + i sinnθ · · · · · · (∗)が成り立つことを数学的帰納法を用いて証明する。

(I) n = 1 のとき,(∗)は明らかに成り立つ。(II) n = k(k は自然数)のとき (∗)が成り立つと仮定する。n = k + 1 のとき

αk+1 = αk · α = (cos kθ + i sin kθ)(cos θ + i sin θ)= cos kθ cos θ − sin kθ sin θ + i(sin kθ cos θ + cos kθ sin θ)= cos(kθ + θ) + i sin(kθ + θ)= cos(k + 1)θ + i sin(k + 1)θ

よって,(∗)は n = k + 1 のときも成り立つ。

(I),(II)より,すべての自然数 nに対して (∗) は成り立つ。このとき,θ を−θ に置き換えると

{cos (−θ) + i sin (−θ)}n = cos (−nθ) + i sin (−nθ)∴ βn = cosnθ − i sinnθ

以上より,題意は示された。 (証終)

(2) ド・モアブルの定理より

(cos θ + i sin θ)5 = cos 5θ + i sin 5θ · · · · · · 1⃝また,二項定理より

(cos θ + i sin θ)5 = 5C0 cos5 θ + 5C1 cos

4 θ(i sin θ) + 5C2 cos3 θ(i sin θ)2

+ 5C3 cos2 θ(i sin θ)3 + 5C4 cos θ(i sin θ)

4 + 5C5(i sin θ)5

= cos5 θ − 10 cos3 θ sin2 θ + 5 cos θ sin4 θ

+ (sin5 θ − 10 sin3 θ cos2 θ + 5 sin θ cos4 θ)i · · · · · · 2⃝1⃝, 2⃝において,複素数の相等より

cos 5θ = cos5 θ − 10 cos3 θ sin2 θ + 5 cos θ sin4 θ

= cos5 θ − 10 cos3 θ(1− cos2 θ) + 5 cos θ(1− cos2 θ)2

= 16 cos5 θ − 20 cos3 θ + 5 cos θ

同様にして

sin 5θ = sin5 θ − 10 sin3 θ cos2 θ + 5 sin θ cos4 θ= 16 sin5 θ − 20 sin3 θ + 5 sin θ

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2章:複素数平面 1:極形式

40 (1) まず1 +

√3i

2を極形式で表して,次にド・モアブルの定理を用いると(

1 +√3i

2

)4

=(cos π

3+ i sin π

3

)4

= cos(π3

× 4)+ i sin

(π3

× 4)

= cos 43π + i sin 4

= − 12

−√32

i

(2) まず

√3 + i2

を極形式で表して,次にド・モアブルの定理を用いると( √3 + i2

)−5

=(cos π

6+ i sin π

6

)−5

= cos{π6

× (−5)}+ i sin

{π6

× (−5)}

= cos(− 5

6π)+ i sin

(− 5

6π)

= −√32

− 12i

41 (1) 1 + i,1 +√3iをそれぞれ極形式で表すと

1 + i =√2

(1√2

+ 1√2i

)=

√2(cos π

4+ i sin π

4

)1 +

√3i = 2

(12

+

√32

i

)= 2

(cos π

3+ i sin π

3

)(2) (1)より

1 +√3i

1 + i= 2√

2

{cos

(π3

− π4

)+ i sin

(π3

− π4

)}=

√2(cos π

12+ i sin π

12

)(3) (2)の結果とド・モアブルの定理から(

1 +√3i

1 + i

)12

= (√2)12

{cos

(π12

× 12)+ i sin

(π12

× 12)}

= 26(cosπ + i sinπ) = −64

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2章:複素数平面 1:極形式

1.5 1の n乗根の図示

42 z3 = 1 をみたすすべての複素数 zを極形式によって表し,それらを複

素数平面に図示せよ。 (滋賀大)

43 複素数 zは 5次方程式 z5 = 1の解で,z \= 1であるものとする。この

とき,zは 4次方程式 を満たし,この方程式を z2で割ると,w = z+ 1z

の値は 2次方程式 を満たす。したがって,z + 1zの値は または

と求まる。

方程式 z5 = 1の解 z1,z2,· · ·,z5 が複素

x

y

Oz1

z2

z3

z4

z5

1

1

−1

−1

数平面上で図の位置にあるとすると

z2 = z5, z2z5 = 1

が成り立つので

cos 25π = 1

2(z2 + z5) =

となり,これを使うと,単位円に内接する正 5

角形の一辺の長さが と求まる。解 z2 の

実部は ,虚部は となる。

(九州工業大)

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2章:複素数平面 1:極形式

42 3次方程式 z3 = 1 の解は 3個あり,その解の求め方は,次の 2つの方法があ

ります。

( i ) 因数分解して,直接解く。

(ii) z3 を極形式で表し,1の絶対値 1,偏角 2nπ(nは整数)と比較する。

43 z5 − 1 = (z − 1)(z4 + z3 + z2 + z + 1)

を利用すると,z についての 4次方程式が得られます。

一般に,zn = 1 をみたす複素数 z を 1の n乗根といい,1の n乗根は n個あり

x

y

Oz0

z1

z2

zn−1

2πn

1

1

−1

−1

zk = cos 2kπn

+ i sin 2kπn

(k = 0, 1, 2, · · · , n− 1)

と表すことができます。これを複素数平面上で

図示すると,z0,z1,z2,…,zn−1は点 1が分点の 1つとなるように,単位円を n等分した n個の点となります。

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2章:複素数平面 1:極形式

42 z3 − 1 = 0 を解くと

x

y

O 1

1

−1

−1

− 12

−√

32

√3

2

23π

43π

(z − 1)(z2 + z + 1) = 0

∴ z = 1,−1±

√3i

2

極形式で表すと

z = 1 = cos 0 + i sin 0

z =−1 +

√3i

2= cos 2

3π + i sin 2

z =−1−

√3i

2= cos 4

3π + i sin 4

これらを複素数平面に図示すると上図の黒丸になる。

z = r (cos θ + i sin θ) とおくと

z3 = r3 (cos 3θ + i sin 3θ)

また

1 = cos 2nπ + i sin 2nπ (nは整数)

だから,z3 = 1 のとき

r3 = 1 かつ 3θ = 2nπ ∴ r = 1 かつ θ = 23nπ

0 5 23nπ < 2π のとき,n = 0, 1, 2 だから,z を極形式で表すと

z = cos 0 + i sin 0, cos 23π + i sin 2

3π, cos 4

3π + i sin 4

43 z5 = 1 より

z5 − 1 = 0

∴ (z − 1)(z4 + z3 + z2 + z + 1) = 0

z \= 1 より,z は 4次方程式

z4 + z3 + z2 + z + 1 = 0

をみたす。z = 0 は上式をみたさないから,両辺を z2 でわると

z2 + z + 1 + 1z

+ 1z2

= 0

∴(z + 1

z

)2

− 2 · z · 1z

+(z + 1

z

)+ 1 = 0

よって,w = z + 1zは,2次方程式

w2 + w − 1 = 0

をみたす。これを解くと

w = z + 1z

=−1 −

√5

2または

−1 +√5

2· · · · · · 1⃝

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2章:複素数平面 1:極形式

ここで,z = r (cos θ + i sin θ) とおくと

z5 = r5 (cos 5θ + i sin 5θ)

また

1 = cos 2nπ + i sin 2nπ (nは整数)

だから,z5 = 1 のとき

r5 = 1 かつ 5θ = 2nπ ∴ r = 1 かつ θ = 25nπ

0 5 25nπ < 2π のとき,n = 0, 1, 2, 3, 4 である。このとき,下図のように

z1, z2, · · · , z5 をとると

zk = cos{(k − 1) · 2

5π}+ i sin

{(k − 1) · 2

5π}

(k = 1, 2, 3, 4, 5)

である。cos 25π は z2 の実部だから

cos 25π =

z2 + z22

= 12(z2 + z5) (∵ z2 = z5)

= 12

(z2 +

1z2

)(∵ z2z5 = 1)

= 12

· −1 +√5

2

(∵ 1⃝, cos 2

5π > 0

)=

√5 − 14

よって,単位円に内接する正 5角形の一辺の長さ

x

y

Oz1

z2

z3

z4

z5

25π

1

1

−1

−1

を lとすると

l2 = z2 − z12 = (z2 − 1)(z2 − 1)

= z22 − (z2 + z2) + 1

= 12 −√5− 12

+ 1 =5−

√5

2

∴ l =

√5 −

√5

2

また

(z2 の実部)= cos 25π =

√5 − 14

∴ (z2 の虚部)=

√12 −(z2 の実部)

2=

√1− 6− 2

√5

16=

√10 + 2

√5

4

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2章:複素数平面 1:極形式

1.6 1の n乗根

44 複素数1√2+ 1√

2i を r(cos θ+ i sin θ) (r > 0, 0 5 θ < 2π) の形で表

すと r = , θ = となる。また,1√2

+ 1√2i をm乗して 1に

なるような最小の自然数mは である。 (近畿大)

45 θ = 27π, α = cos θ + i sin θ, β = α + α2 + α4 のとき,以下の問い

に答えよ。

(1) α = α6 を示せ。

(2) β + β, ββ を求めよ。

(3) sin θ + sin 2θ + sin 4θ を求めよ。 (小樽商科大)

46 16乗して 1になる複素数は全部で 16個あり,それらは

cos 2π × k16

+ i sin 2π × k16

(k = 0, 1, · · · , 15)

と表される。このうち 16 乗して初めて 1 となる複素数の個数を n とし,

それらを z1, z2, · · · , zn とすると

n = ,

z1 + z2 + · · ·+ zn = ,

z1z2 · · · zn = ,

(1− z1)(1− z2) · · · (1− zn) =

である。 (近畿大)

60

Page 16: 1 極形式kamelink.com/public/CR_III/cr3_chap2_複素数平面.pdf2 章:複素数平面 1:極形式 1 極形式 1.1 共役な複素数と絶対値 33 x1 = a+bi q s ó É: q b

2章:複素数平面 1:極形式

44 極形式で表された複素数 r(cos θ + i sin θ)がm乗して 1になる条件は

{r(cos θ + i sin θ)}m = 1∴ rm(cosmθ + i sinmθ) = cos 2nπ + i sin 2nπ (n は整数)

両辺の絶対値と偏角を比較して

r = 1 かつ mθ = 2nπ

が成り立つことです。

45 (1) θ = 27π ですから,7θ = 2π であり

α7 = (cos θ + i sin θ)7 = cos 7θ + i sin 7θ = 1

α \= 1 なので,αは 1の虚数 7乗根の 1つです。

(2) α7 − 1 = (α− 1)(α6 + α5 + α4 + α3 + α2 + α+ 1) を使います。

(3) sin θ + sin 2θ + sin 4θ は β = α+ α2 + α4 の虚部です。

β の値を求めることを考えましょう。(2)がヒントになっています。

46 1の n乗根(zn = 1の解)のうち,n乗して初めて 1になるものを,1の原始

n乗根といいます。

1の n乗根は

cos 2π × kn

+ i sin 2π × kn

(k = 0, 1, · · · , n− 1)

として n個ありますが,このうち原始 n乗根となるのは

kと nが互いに素

となるときです。

61

Page 17: 1 極形式kamelink.com/public/CR_III/cr3_chap2_複素数平面.pdf2 章:複素数平面 1:極形式 1 極形式 1.1 共役な複素数と絶対値 33 x1 = a+bi q s ó É: q b

2章:複素数平面 1:極形式

44 極形式で表すと

1√2

+ 1√2i = cos π

4+ i sin π

4∴ r = 1, θ = π

4

また

(1√2

+ 1√2i

)m

= 1 より

cos(π4

×m)+ i sin

(π4

×m)= cos 2nπ + i sin 2nπ (nは整数)

したがってπ4

×m = 2nπ ∴ m = 8n

これをみたす最小の自然数m は 8 である。

45 (1) 7θ = 2π であり,ド・モアブルの定理より

α6 = (cos θ + i sin θ)6

= cos 6θ + i sin 6θ = cos (7θ − θ) + i sin (7θ − θ)

= cos (2π − θ) + i sin (2π − θ) = cos θ − i sin θ

= α (証終)

(2) α7 = cos 7θ + i sin 7θ = cos 2π + i sin 2π = 1 · · · · · · 1⃝ より

α7 − 1 = 0

∴ (α− 1)(α6 + α5 + α4 + α3 + α2 + α+ 1) = 0

α \= 1 より

α6 + α5 + α4 + α3 + α2 + α+ 1 = 0 · · · · · · 2⃝また,(1)より

β = α+ (α)2 + (α)4 = α6 + α12 + α24 = α6 + α7 · α5 + (α7)3 · α3

= α6 + α5 + α3 (∵ 1⃝)

したがって, 2⃝よりβ + β = (α+ α2 + α4) + (α6 + α5 + α3) = −1

であり

ββ = (α+ α2 + α4)(α3 + α5 + α6)

= α4 + α5 + α6 + 3α7 + α8 + α9 + α10

= α4 + α5 + α6 + 3 + α+ α2 + α3 (∵ 1⃝)= 3 + (−1) (∵ 2⃝)= 2

62

Page 18: 1 極形式kamelink.com/public/CR_III/cr3_chap2_複素数平面.pdf2 章:複素数平面 1:極形式 1 極形式 1.1 共役な複素数と絶対値 33 x1 = a+bi q s ó É: q b

2章:複素数平面 1:極形式

(3) (2)より β, β は 2次方程式 x2 + x+ 2 = 0 の解であり,これを解くと

β =−1±

√7i

2= − 1

√72

i

また,ド・モアブルの定理より

β = α+ α2 + α4

= (cos θ + i sin θ) + (cos 2θ + i sin 2θ) + (cos 4θ + i sin 4θ)= cos θ + cos 2θ + cos 4θ + i(sin θ + sin 2θ + sin 4θ)

β の虚部を比較して

sin θ + sin 2θ + sin 4θ = ±√72

· · · · · · 3⃝

ところで

x

y

OO

αα2

α3

α4

α5α6

sin θ + sin 2θ + sin 4θ= sin θ + sin 2θ + 2 sin 2θ cos 2θ= sin θ + sin 2θ(1 + 2 cos 2θ)

ここで,2θ = 47π であり, π

2< 4

7π < 2

3π より

− 12

< cos 2θ < 0 ∴ 0 < 1 + 2 cos 2θ < 1

これと sin θ > 0, sin 2θ > 0 より

sin θ + sin 2θ + sin 4θ > 0

であるから, 3⃝より

sin θ + sin 2θ + sin 4θ =

√72

46 cos 2π × k16

+ i sin 2π × k16

のうち,16乗して初めて 1になるのは,

k (0 5 k 5 15) と 16とが互いに素のときであり,このような k の値は

k = 1, 3, 5, 7, 9, 11, 13, 15

したがって,求める複素数の個数 nは 8 である。

また

z16 = 1 ∴ (z8 + 1)(z8 − 1) = 0

において,z8 − 1 = 0 の解は 8乗して 1になるから,16乗して初めて 1となる 8個の複素数 z1, z2, · · · , z8 は z8 + 1 = 0 の解である。したがって

z8 + 1 = (z − z1)(z − z2) · · · (z − z8) · · · · · · 1⃝が成り立つ。 1⃝の右辺を展開したときの z7 の係数と定数項を,左辺の z7 の係数と定数項と比較して

z1 + z2 + · · ·+ z8 = 0, z1z2 · · · z8 = 1

また, 1⃝の両辺に z = 1 を代入すると

(1− z1)(1− z2) · · · (1− z8) = 18 + 1 = 2

63

Page 19: 1 極形式kamelink.com/public/CR_III/cr3_chap2_複素数平面.pdf2 章:複素数平面 1:極形式 1 極形式 1.1 共役な複素数と絶対値 33 x1 = a+bi q s ó É: q b

2章:複素数平面 1:極形式

1.7 複素数の n乗根

47 方程式 z2 = −i を解け。 (滋賀県立大)

48 z4 = 8(1 +√3i) をみたす複素数 z は 4つある。これらの 4つの複素

数を極形式で答えよ。 (琉球大 改)

49 方程式X6 −√2X3 + 1 = 0の複素数解を求めよ。 (信州大)

47 , 48 zn = p+ qi(p, qは実数)をみたす z を求めるには,n = 2ぐらいなら

z = x + yi(x, y は実数)とおき,両辺の実部,虚部を比較することもできますが,nが大きな数になっていくと大変です。このときは,両辺を極形式で表し,両辺の絶対値,偏角を比較します。

47 x,y を実数として,(x + yi)2 = −i の実部・虚部を比較する解法と,極形式

を利用する解法の 2つがあります。

48 zn = p+ qi(p, qは実数)をみたす z を求めるには, 47 のように n = 2ぐ

らいなら z = x + yi(x, y は実数)とおき,両辺の実部,虚部を比較することもできますが,nが大きな数になっていくと大変です。このときは,両辺を極形式で表し,両辺の絶対値,偏角を比較します。

49 X3 = tとおけば,与式は tについての 2次方程式に帰着されます。これを解く

と,X3 =(複素数)となりますから,上の 2題と同じタイプの方程式になりますね。

64

Page 20: 1 極形式kamelink.com/public/CR_III/cr3_chap2_複素数平面.pdf2 章:複素数平面 1:極形式 1 極形式 1.1 共役な複素数と絶対値 33 x1 = a+bi q s ó É: q b

2章:複素数平面 1:極形式

47 z = x+ yi(x, y は実数)とおくと

z2 = −i ∴ (x2 − y2) + 2xyi = −i

複素数の相等より{x2 − y2 = 0

2xy = −1∴ x = ±

√22

, y = ∓√22(複号同順)

よって

z =

√22

−√22

i, −√22

+

√22

i

z = r(cos θ + i sin θ)(r > 0)とおくと,z2 = −i より

r2(cos 2θ + i sin 2θ) = cos(− π

2

)+ i sin

(− π

2

)したがって,mを整数とすると{

r2 = 1

2θ = − π2

+ 2mπ∴

{r = 1

θ = − π4

+mπ

−π 5 θ < π で考えると θ = − π4, 3

4π だから

z =

cos

(− π

4

)+ i sin

(− π

4

)=

√22

−√22

i

cos 34π + i sin 3

4π = −

√22

+

√22

i

48 z = r(cos θ + i sin θ) (r > 0, 0 5 θ < 2π) とおくと,z4 = 8(1 +√3i)より

r4(cos 4θ + i sin 4θ) = 16(cos π

3+ i sin π

3

)したがって,nを整数とすると r4 = 16

4θ = π3

+ 2nπ

∴ r = 2, θ = π12

, 712

π, 1312

π, 1912

π (∵ n = 0, 1, 2, 3)

よって,求める複素数 z は

z = 2(cos π

12+ i sin π

12

), 2

(cos 7

12π + i sin 7

12π),

2(cos 13

12π + i sin 13

12π), 2

(cos 19

12π + i sin 19

12π)

65

Page 21: 1 極形式kamelink.com/public/CR_III/cr3_chap2_複素数平面.pdf2 章:複素数平面 1:極形式 1 極形式 1.1 共役な複素数と絶対値 33 x1 = a+bi q s ó É: q b

2章:複素数平面 1:極形式

49 X3 = tとおくと,与えられた方程式は

t2 −√2t+ 1 = 0 ∴ t = X3 =

√2±

√2i

2(以下,複号同順)

X = r(cos θ + i sin θ) (r > 0, −π 5 θ < π) とおくと

X3 = r3 (cos 3θ + i sin 3θ) = cos(± π

4

)+ i sin

(± π

4

)したがって,mを整数とすると{

r3 = 1

3θ = ± π4

+ 2mπ∴

r = 1

θ = ± π12

+ 23mπ

−π 5 θ < π より θ = ± π12

, ± 712

π, ± 34π を考える。

ところで

x

y

OO 1−1

1

−1

θ = π12

θ = 34π

θ = − 712π

θ = − π12

θ = 712π

θ = − 34π

cos π12

= cos(π4

− π6

)= cos π

4cos π

6+ sin π

4sin π

6

= 1√2

·√32

+ 1√2

· 12

=

√6 +

√2

4

同様に

sin π12

=

√6−

√2

4

よって,求める複素数解 X は

X = cos(± π

12

)+ i sin

(± π

12

)= cos π

12± i sin π

12

=

√6 +

√2

√6 −

√2

4i

X = cos(± 7

12π)+ i sin

(± 7

12π)= cos

(π2

+ π12

)± i sin

(π2

+ π12

)= − sin π

12± i cos π

12

=

√2 −

√6

√6 +

√2

4i

X = cos(± 3

4π)+ i sin

(± 3

4π)= cos 3

4π ± i sin 3

= − 1√2

± 1√2i

66

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2章:複素数平面 2:複素数平面

2 複素数平面

2.1 原点のまわりの回転

50 複素数平面上の点 1+ iを原点のまわりに時計の針と反対向きに π6だ

け回転させた点は である。 (神奈川大)

51 複素数平面上の点 z0 = −√3 + iを原点のまわりに π

3だけ回転した

点を z1とし,さらに,z1を原点のまわりにπ2だけ回転した点を z2とする。

このとき,z1 = ,z2 = となる。また,複素数 z2 − z1の絶対値

は である。 (神奈川工科大 改)

52 複素数平面上で 3点 0, 1 + i, zが正三角形の頂点となるように,複素

数 zを定めよ。 (武蔵工業大)

67

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2章:複素数平面 2:複素数平面

50 , 51 点 z を原点のまわりに θ だけ回転した

x

y

OO

z

w

||

||

θ0θ

点を w とすると

z = r(cos θ0 + i sin θ0)

のとき

w = r{cos (θ0 + θ) + i sin (θ0 + θ)}= r(cos θ0 + i sin θ0)(cos θ + i sin θ)

∴ w = z(cos θ + i sin θ)

となります。すなわち,原点のまわりに θ だけ回転するということは

cos θ + i sin θ をかける

ということです。

50 点 z を原点のまわりに θ だけ回転した点を w

x

y

OO

z

w

||||

θ0θ

とすると

z = r(cos θ0 + i sin θ0)

のとき

w = r{cos (θ0 + θ) + i sin (θ0 + θ)}= r(cos θ0 + i sin θ0)(cos θ + i sin θ)

∴ w = z(cos θ + i sin θ)

となります。すなわち,原点のまわりに θ だけ回転するということは

cos θ + i sin θ をかける

ということです。

51 z1 = z0(cos π

3+ i sin π

3

),z2 = z1

(cos π

2+ i sin π

2

)です。

52 正三角形は ± π3の回転を考えましょう。

68

Page 24: 1 極形式kamelink.com/public/CR_III/cr3_chap2_複素数平面.pdf2 章:複素数平面 1:極形式 1 極形式 1.1 共役な複素数と絶対値 33 x1 = a+bi q s ó É: q b

2章:複素数平面 2:複素数平面

50 求める複素数は

(1 + i)(cos π

6+ i sin π

6

)= (1 + i)

( √32

+ 12i

)=

√3 − 12

+

√3 + 12

i

51 z0, z1 を次々に回転させると

z1 = z0(cos π

3+ i sin π

3

)= (−

√3 + i)

(12

+

√32

i

)= −

√3 − i

z2 = z1(cos π

2+ i sin π

2

)= (−

√3− i)i

= 1 −√3i

また

z2 − z1 = (1−√3i)− (−

√3− i)

= (1 +√3) + (1−

√3)i

より

z2 − z1 =√

(1 +√3)2 + (1−

√3)2

= 2√2

52 点 1 + iを原点のまわりに ± π3回転させた点が z だから

x

y

OO

1 + iz

z

π3

−π3

z = (1 + i){cos

(± π

3

)+ i sin

(± π

3

)}= (1 + i)

(12

±√32

i

)=

1 ∓√3

2+

1 ±√3

2i (複号同順)

69

Page 25: 1 極形式kamelink.com/public/CR_III/cr3_chap2_複素数平面.pdf2 章:複素数平面 1:極形式 1 極形式 1.1 共役な複素数と絶対値 33 x1 = a+bi q s ó É: q b

2章:複素数平面 2:複素数平面

2.2 (γ-α)/(β-α)

53 A,B,C は複素数平面上の三角形の頂点で,それぞれ複素数 α, β, γ

を表すとする。この 3数が関係式γ − αβ − α

=√3− i

をみたすとき,ABAC

= , ∠BAC = である。

(大阪電気通信大)

54 複素数平面において,√3 + i,4

√3 + 2iの表す点をそれぞれ P,Qと

する。このとき,点 Qを点 Pのまわりに π2回転した点 Q′ の表す複素数は

である。また,2√3− iの表す点を Rとするとき,∠QPRの大きさは

である。 (福岡大)

55 複素数平面上の三角形の頂点を,A(α), B(β), C(γ)とする。これらがγ − αβ − α

= 12(√3 + i)2

をみたすとき,次の各問いに答えよ。

(1)γ − αβ − α

の絶対値を r,偏角を θとおく。このとき,rおよび θを求めよ。

ただし,0 5 θ 5 2πとする。

(2)β − γα− γ

の値を求めよ。 (東京農工大)

70

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2章:複素数平面 2:複素数平面

53 α, β, γ が表す点をそれぞれ A,B,C とすると

γ − αβ − α

=γ − α

β − α= AC

AB

argγ − αβ − α

= arg (γ − α)− arg (β − α) = ∠BAC

ですから,γ − αβ − α

の絶対値,偏角をみて△ABCの形状を知ることができます。

54

55 (2) (1)より△ABCの形状をとらえ,長さの比 CBCA

と∠ACBを求めましょう。

71

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2章:複素数平面 2:複素数平面

53γ − αβ − α

=√3− i = 2

{cos

(− π

6

)+ i sin

(− π

6

)}より

ABAC

=β − αγ − α

= 12, ∠BAC = π

6

54 点 P,Q,Q′ の表す複素数をそれぞれ p,q,q′ とする。このとき

P

Q

Q′

√3

1

4√3

2

x

y

O

q′ − pq − p

= i

より

q′ = p+ (q − p)i

=√3 + i+ (3

√3 + i)i

=√3 − 1 + (3

√3 + 1)i

また,点 Rの表す複素数を r とすると

P

Q

R

x

y

O

q − pr − p

=3√3 + i√

3− 2i

=(3√3 + i)(

√3 + 2i)

(√3− 2i)(

√3 + 2i)

=7 + 7

√3i

3 + 4= 1 +

√3i

= 2(cos π

3+ i sin π

3

)よって

∠QPR = argq − pr − p

= π3

72

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2章:複素数平面 2:複素数平面

55 (1)γ − αβ − α

= 12(√3 + i)2 = 1

2

{2(cos π

6+ i sin π

6

)}2

= 2(cos π

3+ i sin π

3

)であるから

r =γ − αβ − α

= 2, θ = argγ − αβ − α

= π3

(2) (1)より,三角形 ABCは右図のような

A(α)

B(β)

C(γ)

π6

π3

1

√32

∠B = π2, ∠A = π

3の直角三角形であるから

argβ − γα− γ

= π6,

β − γα− γ

=

√32

よって

β − γα− γ

=

√32

(cos π

6+ i sin π

6

)=

√32

( √32

+ 12i

)= 3

4+

√34

i

73

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2章:複素数平面 2:複素数平面

2.3 原点以外の点のまわりの回転

56 複素数 4+2iを 2+iのまわりに π2回転して得られる複素数は,

である。 (明治大)

57 (1) α,β は α \= β をみたす複素数とし,θは 0 5 θ < 2π とする。複

素数平面上で,点 αを点 βのまわりに θ回転した点を表す複素数を γとす

る。γ を αと β と θを用いて表せ。

(2) α = i(iは虚数単位)とする。点 αを原点のまわりに π3回転した点を

表す複素数を βとする。点 αを点 βのまわりに π4回転した点を表す複素

数を γ とする。γ の実部と虚部を求めよ。 (奈良女子大)

56 π2回転は

cos π2

+ i sin π2すなわち i

との積を考えます。

57 (1) これは説明できるようにしておきましょう。全体を −β だけ平行移動する

ことで,原点まわりの回転として考えます。

(2) 点 αを原点のまわりに θ 回転した点 β は

x

y

OO

α

β

γ

π3

π4

β = α(cos θ + i sin θ)

です。また,点 αを点 βのまわりに θ回転した点 γは,(1)の結果から

γ = β + (α − β)(cos θ + i sin θ)

ですね。

74

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2章:複素数平面 2:複素数平面

56 4 + 2iを 2 + iのまわりに π2回転して得ら

4

2

2

1

z

x

y

O

れる複素数を z とおくと

z − (2 + i) = {(4 + 2i)− (2 + i)}i∴ z = 2 + i+ (2 + i)i = 1 + 3i

57 (1) 3 点 α,β,γ を −β だけ平行移動す

x

y

OO

β

α

γ

||

||

θ

α− β

γ − β

||

||

θ

ると,点 γ − β は点 α − β を原点のまわりにθ だけ回転した点であるから

γ − β = (α− β)(cos θ + i sin θ)∴ γ = β + (α − β)(cos θ + i sin θ)

(2) β は αを原点のまわりに π3回転した点を

表す複素数だから

β = α(cos π

3+ i sin π

3

)= i

(12

+

√32

i

)= −

√32

+ 12i

よって,(1)の結果より

γ =

(−

√32

+ 12i

)+

{i−

(−

√32

+ 12i

)}(cos π

4+ i sin π

4

)= −

√32

+ 12i+

√24

(√3 + i)(1 + i)

=

√6− 2

√3−

√2

4+

2 +√2 +

√6

4i

であるから

(γ の実部) =

√6 − 2

√3 −

√2

4

(γ の虚部) =2 +

√2 +

√6

4

75

Page 31: 1 極形式kamelink.com/public/CR_III/cr3_chap2_複素数平面.pdf2 章:複素数平面 1:極形式 1 極形式 1.1 共役な複素数と絶対値 33 x1 = a+bi q s ó É: q b

2章:複素数平面 2:複素数平面

2.4 三角形

58 A(1 + i), B(3 + 5i), C(γ)が複素数平面上の正三角形の 3頂点で,C

が第 2象限の点であるとき,γ を求めよ。 (広島大)

59 (1) z3 = −8 をみたす複素数 zを求めよ。

(2) α, β は β3 + 8α3 = 0 (α \= 0, β \= 0) をみたす複素数とする。角

θ = arg β − argα (0 5 θ < 2π) および, β : α を求めよ。

(3) Oを原点とする複素数平面上において,複素数 α, β を表す点をそれぞ

れA,Bとする。O,A,Bを頂点とする三角形ができるとき,その三角形

はどのような三角形か。 (九州工業大)

60 複素数平面上で,複素数 α, β, γ を表す点をそれぞれ A,B,Cとす

る。次の問いに答えよ。

(1) A,B,Cが正三角形の 3頂点であるとき

α2 + β2 + γ2 − αβ − βγ − γα = 0 · · · · · · (∗)が成立することを示せ。

(2) 逆に,この関係式 (∗)が成立するとき,A = B = Cとなるか,または,

A,B,Cが正三角形の 3頂点となることを示せ。 (金沢大)

76

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2章:複素数平面 2:複素数平面

58 3点 A(α), B(β), C(γ)が正三角形である条件は

A B

C

C

||

||

||

π3

−π3

AB = AC かつ ∠BAC = π3

ですから,γ は β を α のまわりに ± π3回転することにより得ら

れます。本問では,C(γ)が第 2象限の点となるように回転の向き

を決めます。

59 θ = arg β − argα = argβα,

β

αはそれぞれ

βαの偏角,絶対値です。

60 (1) 3点 A(α), B(β), C(γ)が正三角形である

⇐⇒ AB = AC かつ ∠BAC = π3

⇐⇒ γ − αβ − α

= ACAB

= 1 かつ argγ − αβ − α

= ± π3

⇐⇒ γ − αβ − α

= cos(± π

3

)+ i sin

(± π

3

)⇐⇒ γ − α

β − α= 1

√32

i

ここから先は,

(γ − αβ − α

− 12

)2

=

√32

i

)2

として式を整理してもよいですが,

γ − αβ − α

を 12

±√32

iを解とする 2次方程式の解ととらえるとよいでしょう。

(2) (1)の逆をたどることを考えましょう。

77

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2章:複素数平面 2:複素数平面

58 C(γ)は第 2象限の点であるから,Cは点 A(α)のまわりに点 B(β)を π3回転

x

y

OO

A

BC

1

1

3

5

π3

した点である。したがって,複素数 γ は

γ = α+ (β − α)(cos π

3+ i sin π

3

)= (1 + i) + (2 + 4i)

(12

+

√32

i

)= 1 + i+ {1− 2

√3 + (2 +

√3)i}

= 2 − 2√3 + (3 +

√3)i

59 (1) z3 = −8 より

z3 + 8 = 0

(z + 2)(z2 − 2z + 4) = 0

∴ z = −2, 1 ±√3i

(2) β3 + 8α3 = 0 の両辺を α3 ( \= 0)でわると(βα

)3

+8 = 0

よって,(1)よりβα

= −2 または 1±√3i

( i )βα

= −2 のとき

βα

= 2 (cosπ + i sinπ)

したがって

θ = arg β − argα = argβα

= π

またβ

α= 2 ∴ β : α = 2 : 1

78

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2章:複素数平面 2:複素数平面

(ii)βα

= 1±√3i のとき

βα

= 2{cos

(± π

3

)+ i sin

(± π

3

)}(複号同順)

したがって

θ = arg β − argα = argβα

= ± π3

= π3, 5

3π (∵ 0 5 θ < 2π)

またβ

α= 2 ∴ β : α = 2 : 1

( i ),(ii)より

θ = π3, π, 5

また,いずれのときも

β : α = 2 : 1

(3) θ = π のときは,3点 O,A,Bが同一直線上にあ

O

A

B

B

π3

1⃝

2⃝

2⃝

るので題意をみたさない。

したがって,3点 O,A,Bを頂点とする三角形ができるのは,(2)の (ii)より

βα

= 2{cos

(± π

3

)+ i sin

(± π

3

)}(複号同順)

のときであり,右図のようになる。これは

∠A = π2, OB : OA = 2 : 1 の

直角三角形

である。

79

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2章:複素数平面 2:複素数平面

60 (1) △ABCが正三角形である · · · · · · 1⃝

⇐⇒ AB = AC かつ ∠BAC = π3

⇐⇒ γ − αβ − α

= ACAB

= 1

かつ argγ − αβ − α

= ± π3

⇐⇒ γ − αβ − α

= cos(± π

3

)+ i sin

(± π

3

) A(α) B(β)

C(γ)

C(γ)

||

||

||π3

−π3

ここで

cos(± π

3

)+ i sin

(± π

3

)= 1

√32

i

をそれぞれ ω, ω とおくと

ω + ω = 1, ωω = 1

よって,2次方程式の解と係数の関係より,ω, ω すなわちγ − αβ − α

z2 − z + 1 = 0 の解である。

1⃝ ⇐⇒(

γ − αβ − α

)2

−(

γ − αβ − α

)+1 = 0 · · · · · · 2⃝

両辺に (β − α)2 をかけると

(γ − α)2 − (γ − α)(β − α) + (β − α)2 = 0 · · · · · · 3⃝⇐⇒ α2 + β2 + γ2 − αβ − βγ − γα = 0 · · · · · · (∗)

すなわち

1⃝ ⇐⇒ 2⃝ =⇒ 3⃝ ⇐⇒ (∗)したがって, 1⃝が成立するとき,(∗)は成立する。 (証終)

(2) (1)より

(∗) ⇐⇒ (γ − α)2 − (γ − α)(β − α) + (β − α)2 = 0 · · · · · · 3⃝( i ) β − α = 0 のとき, 3⃝は

(γ − α)2 = 0 ∴ γ = α

よって,α = β = γ であり,A = B = C である。

(ii) β − α \= 0 のとき, 3⃝の両辺を (β − α)2 ( \= 0)でわると(γ − αβ − α

)2

−(

γ − αβ − α

)+1 = 0

これは 2⃝と一致するから(∗) ⇐⇒ 3⃝ =⇒ 2⃝ ⇐⇒ 1⃝

したがって,(∗)が成立するとき 1⃝は成立する。よって,(∗)が成立するとき

A = B = C または △ABCは正三角形である。 (証終)

80

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2章:複素数平面 2:複素数平面

2.5 四角形

61 複素数平面上で,0でない複素数 α, βを表す点をそれぞれA,Bとし,

原点をOとする。α, βが等式 α2 − 2αβ +2β2 = 0 をみたすとき,次の問い

に答えよ。

(1) αβの値,argα− arg β の値をそれぞれ求めよ。

(2) さらに,点 Cを四角形 OACBが平行四辺形になるように定める。

β = 1 + 3i であるとき,頂点 Cを表す複素数を求めよ。 (星薬科大)

62 複素数平面上に図のような長方形があり,点

A

B

C

D

E

x

y

O

Aを表す複素数が√3+ 4

√3i,点 Bを表す複素数

が 3√3 +

√3i であり,AB : BC = 1 :

√3 である

とする。このとき,点 Cを表す複素数は で

ある。

また,線分ACと線分 BDの交点を Eとすると,

Eを表す複素数は である。

81

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2章:複素数平面 2:複素数平面

61 (1) αβにより,3点 O,A,Bの位置関係,

O A(α)

B(β) C(γ)すなわち

OA : OBと ∠BOA

が決まります。

(2) 四角形 OACBが平行四辺形である条件は

γ = α+ β

です。

62 四角形 ABCDが AB : BC = 1 : r の長方形である

A(α) B(β)

C(γ)D(δ)

C(γ)D(δ)

1⃝

r⃝

r⃝

条件は,Aを Bのまわりに ± π2回転し,Bを中心に r倍

した点が Cであるということであり,これは

γ − β

= r{cos

(± π

2

)+ i sin

(± π

2

)}(α− β)

をみたすことです。本問ではABCDが反時計方向にまわっ

ているので,− π2回転することになります。

82

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2章:複素数平面 2:複素数平面

61 (1) α2 − 2αβ + 2β2 = 0

x

y

OO

A(α)

A(α)B(β)

C(γ)

C(γ)

−π4

π4

両辺を β2 ( \= 0)でわると(αβ

)2

−2 · αβ

+ 2 = 0

∴ αβ

= 1 ± i

さらにαβ

=√2{cos

(± π

4

)+ i sin

(± π

4

)}argα− arg β = arg α

βより

argα − arg β = ± π4

(2) α = (1± i)β = (1± i)(1 + 3i) = −2 + 4i, 4 + 2i

平行四辺形 OACBの頂点 C(γ)は

γ = β + α

で求められるので

(1 + 3i) + (−2 + 4i) = −1 + 7i, (1 + 3i) + (4 + 2i) = 5 + 5i

すなわち γ = −1 + 7i, 5 + 5i

62 頂点 A,B,Cを表す複素数をそれぞれ α, β, γ とすると,Cは点 Aを点 B

のまわりに − π2回転して,さらに Bを中心に

√3倍した点であるから

γ = β +√3{cos

(− π

2

)+ i sin

(− π

2

)}(α− β)

= (3√3 +

√3i)−

√3i(−2

√3 + 3

√3i)

= 9 + 3√3 + (6 +

√3)i

また,Eは線分 ACの中点だから,Eを表す複素数は

α+ γ2

=(√3 + 4

√3i) + {9 + 3

√3 + (6 +

√3)i}

2

=9 + 4

√3

2+

6 + 5√3

2i

83

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2章:複素数平面 2:複素数平面

2.6 共線条件,垂直条件

63 (1) 複素数平面上の異なる 3点 α, β, γ が同一直線上にあるための必

要十分条件はγ − αβ − α

が実数であることを示せ。

(2) 3 個の複素数 −1, iz, z2 の表す点が同一直線上にあるための条件を

求めよ。 (津田塾大 改)

64 複素数平面上で複素数 z, z2, z3 を表す点をそれぞれ A,B,Cとし,

これらはすべて異なるとする。

(1) ∠BAC = π2ならば,z + z = である。ただし,z は z の共役な

複素数とする。

(2) 三角形ABCは ∠A = π2, ∠B = π

3の直角三角形であるとする。このと

き,三角形 ABCの面積は√3である。 (城西大 改)

63 異なる 3点 A(α), B(β), C(γ)が同一直線上にあ

A(α)

B(β)

C(γ)

C(γ)

る条件は

AB // AC

⇐⇒ argγ − αβ − α

= 0 または π

⇐⇒ γ − αβ − α

が実数

64 異なる 3点 A(α), B(β), C(γ)において

A(α)B(β)

C(γ)

C(γ)

AB⊥AC

⇐⇒ argγ − αβ − α

= ± π2

⇐⇒ γ − αβ − α

が純虚数

84

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2章:複素数平面 2:複素数平面

63 (1) 異なる 3点 α, β, γ について

α, β, γ が同一直線上にある

⇐⇒ ∠BAC = 0または π

⇐⇒ argγ − αβ − α

= 0または π

⇐⇒ γ − αβ − α

は実数 (証終)

(2) ( i ) iz = −1のとき

z = −1i

= −ii2

= i ∴ z2 = −1

よって,iz = z2 = −1 であり,3点は一致する。すなわち,3点は同一直線上にあるといえる。

(ii) iz \= −1のとき

(1)より 3点が同一直線上にあるための条件はz2 − (−1)

iz − (−1)が実数であることだから

z2 − (−1)

iz − (−1)=

(1 + z2)(1− iz)

(1 + iz)(1− iz)= 1− iz

したがって,iz が実数,すなわち,z は 0または純虚数である。

( i ),(ii)より,求める条件は z が 0または純虚数であることである。

64 (1) ∠BAC = π2より

z3 − zz2 − z

は純虚数である。

したがって,r を 0でない実数としてz(z − 1)(z + 1)

z(z − 1)= ri

とおける。このとき

z + 1 = ri ∴ z = −1 + ri

したがって z + z = (−1 + ri) + (−1− ri) = −2

(2) ∠A = π2,∠B = π

3より AC

AB=

√3 だから

B

C

A1

√3

π3

z3 − z

z2 − z=

√3 ∴ z + 1 =

√3

(1)より z + 1 = ri だから

r =√3 ∴ r = ±

√3

このとき,z = −1±√3i だから

AB = z2 − z = z z − 1 =√

(−1)2 + (±√3)2

√(−2)2 + (±

√3)2 = 2

√7

したがって

(△ABCの面積)= 12AB×

√3AB = 1

2· (2

√7)2 ·

√3 = 14

√3

85

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2章:複素数平面 2:複素数平面

2.7 円の方程式

65 複素数 zが

z + 2 = z − 4 , z = 2

を満たし,zの虚部が正であるとき z = である。 (神奈川大)

66 方程式

zz + βz + βz + 1 = 0

は,βが という条件を満たすとき,円を表す。ただし,z,βは,それ

ぞれ z,β の共役複素数である。 (立教大)

67 zを複素数とすると,方程式

z − 2 = 2 z + 1

は複素数平面上で円を表す。この円の中心は ,半径は である。

(北海道工業大)

86

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2章:複素数平面 2:複素数平面

65 複素数 z が

z − α = z − β

をみたすとき,z は複素数平面上で 2点 α,β を両端とする線分の垂直二等分線をえがきます。

また

z − α = r(r は正の実数)

をみたすとき,z は複素数平面上で点 αを中心とする半径 r の円をえがきます。

66 zz + βz + βz + c = 0(cは実数)

を変形すると

z(z + β) + βz + c = 0

z(z + β) + β(z + β)− ββ + c = 0

(z + β)(z + β) = ββ − c

∴ z + β 2 = β 2 − c

です。これより,実数 β 2 − c が正ならば,複素数 z は複素数平面上で,−β を中

心とする半径

√β 2 − cの円をえがきます。

67 複素数 z が

z − α = k z − β (k は 1でない正の数)

をみたすとき,zは複素数平面上で線分 αβ を 1 : kに内分する点と外分する点を直径の両端とする円をえがきます。この円はアポロニウスの円とよばれています。

87

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2章:複素数平面 2:複素数平面

65 複素数 zが z + 2 = z − 4 をみ

z

−2 1 2 4

2

−2

2

x

y

O

たすとき,z は 2点 −2,4を両端とする線分の垂直二等分線上にある。

また,複素数 z が z = 2 をみたすと

き,zは原点を中心とする半径 2の円周上にある。

以上のことと zの虚部が正であることから,z は右図の位置にあることがわかる。したがって

z = 1 +√3i

z + 2 = z − 4 より z + 2 2 = z − 4 2 だから

(z + 2)(z + 2) = (z − 4)(z − 4)

(z + 2)(z + 2) = (z − 4)(z − 4)

zz + 2(z + z) + 4 = zz − 4(z + z) + 16

∴ z + z = 2 · · · · · · 1⃝

また, z = 2 より z 2 = 4 だから

zz = 4 · · · · · · 2⃝1⃝, 2⃝より z は 2次方程式 z2 − 2z + 4 = 0 の解のうち虚部が正のものであるから

z = 1 +√3i

66 zz + βz + βz + 1 = 0

(z + β)(z + β)− ββ + 1 = 0

(z + β)(z + β) = ββ − 1

∴ z + β 2 = β 2 − 1

この方程式が円を表すための条件は

β 2 − 1 > 0 すなわち β > 1

88

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2章:複素数平面 2:複素数平面

67 z − 2 = 2 z + 1 より z − 2 2 = 4 z + 1 2 だから

(z − 2)(z − 2) = 4(z + 1)(z + 1)

(z − 2)(z − 2) = 4(z + 1)(z + 1)

zz − 2(z + z) + 4 = 4(zz + z + z + 1)

zz + 2z + 2z = 0

(z + 2)(z + 2) = 4

(z + 2)(z + 2) = 4 ∴ z + 2 2 = 4

よって, z + 2 = 2 だから,z は円をえがき,その中心は−2,半径は 2である。

z = x+ yi(x, y は実数)とおくと

(x− 2)2 + y2 = 4{(x+ 1)2 + y2}x2 + y2 + 4x = 0 ∴ (x+ 2)2 + y2 = 4

よって,z は複素数平面上で円をえがき,中心は −2,半径は 2である。

89

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2章:複素数平面 2:複素数平面

2.8 実数・純虚数と軌跡

68

(z

1 +√3i

)2

が実数となるような複素数 zが複素数平面上でえがく図

形を図示せよ。 (津田塾大)

69 複素数 z = x+ yi(x, yは実数)に対して, z − 4z − 2

が純虚数であると

する。このとき,複素数 z の表す点の軌跡を x, yで表すと円 = 1か

ら,2点(

,),(

,)を除いたものとなる。

(埼玉工業大)

68 w = x+ yi(x,y は実数)とおくと,w2 = (x2 − y2) + 2xyi ですから

w2 が実数 ⇐⇒ x = 0 または y = 0 ⇐⇒ w が実数または純虚数

となります。これを利用しましょう。

69 誘導にのってz − 4z − 2

を x, y の式として整理してもよいし

w が純虚数 ⇐⇒ w + w = 0 かつ w \= 0

を利用してもよいですね。

90

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2章:複素数平面 2:複素数平面

68

(z

1 +√3i

)2

が実数となるとき

x

y

OO 1

√3

−√3

1

z

1 +√3iが実数または純虚数

よって,k を実数としてz

1 +√3i

= k または ki

とおけるから,z は

z = k(1 +√3i) または z = k(−

√3 + i)

これは複素数平面上の直線で,z がえがく図形は右上図である。

69 z − 4z − 2

=x+ yi− 4x+ yi− 2

={(x− 4) + yi}{(x− 2)− yi}{(x− 2) + yi}{(x− 2)− yi}

=x2 − 6x+ 8 + y2 + 2yi

(x− 2)2 + y2

この値が純虚数となることから{x2 − 6x+ 8 + y2 = 0

2y \= 0∴

{(x − 3)2 + y2 = 1

y \= 0

よって,y = 0 となる 2点 (2, 0), (4, 0)は除かれる。

z − 4z − 2

が純虚数であるから z \= 2, 4であり

z − 4z − 2

+

(z − 4z − 2

)= 0

(z − 2)(z − 4) + (z − 2)(z − 4) = 0

zz − 3(z + z) + 8 = 0

(z − 3)(z − 3) = 1 ∴ z − 3 = 1

91

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2章:複素数平面 2:複素数平面

2.9 軌跡

70 複素数 zが z − 1 = 2をみたすとき,複素数

w = iz + 3

で表される点 P(w) は中心が の円周上にある。 (早稲田大)

71 複素数 zが z − 1 = 1 をみたすとき,複素数平面上で

w = z − iz + i

によって定まる点 wの軌跡を図示せよ。 (早稲田大)

72 α =1 +

√3i

2とする。

(1) αz + α z = 1を満たす複素数 zの全体が表す図形を図示しなさい。

(2) 複素数 zが円 |z − α| = d上を動くとき,w = 1zを表す点 wの軌跡が直

線となるような正の定数 dを求めなさい。 (龍谷大)

92

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2章:複素数平面 2:複素数平面

70 w は次の操作により作られます。

z iz iz + 3

原点のまわり

に π2回転

実軸方向に 3だけ平行移動

71 w = z − iz + i

の変換の意味は読み取りにくいので,z について解き直します。

z = − w + 1w − 1

i

となり,これを z − 1 = 1 に代入すれば,w についての関係式が得られます。

72 (1) z が直線を表すことを一般的に説明しておきましょう。

点 z0 を通り,線分 OAに垂直な直線上に z がある条件は,A(α)とすると

z − z0α

が純虚数 ⇐⇒ z − z0α

+(z − z0

α

)= 0

さらに,これを変形すると

α(z − z0) + α(z − z0) = 0 ∴ αz + αz = αz0 + αz0

αz0 + αz0 = αz0 + αz0 =(実定数)より

αz + αz =(実定数)

は線分 OAに垂直な直線の方程式です。本問の場合は αz + α z = 1 だから

α = 12

−√32

i = cos(− π

3

)+ i sin

(− π

3

)に垂直な直線です。

93

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2章:複素数平面 2:複素数平面

70 z − 1 = 2 より,点 z は中心 1,半径 2の円周上にある。

w = iz + 3より,点 w は点 z を原点のまわりに π2回転して,実軸方向に 3だけ

平行移動した点なので,P(w)は

中心が i + 3,半径が 2の円周上

にある。

w = iz + 3 より

z = w − 3i

これを z − 1 = 2 に代入するとw − 3

i− 1 = 2 w − 3− i = 2 i ∴ w − (3 + i) = 2

よって,P(w)は点 3 + iを中心とする半径 2の円周上にある。

71 w = z − iz + i

より

w(z + i) = z − i ∴ (w − 1)z = −(w + 1)i

w = 1 のときこの等式は成立しないから w \= 1 であり

z = − w + 1w − 1

i

これを z − 1 = 1に代入すると

− w + 1w − 1

i− 1 = 1

−(w + 1)i− w + 1 = w − 1

(−1− i)w + 1− i = w − 1

−1− i w − 1− i1 + i

= w − 1

∴√2 w + i = w − 1

両辺を 2乗して

2 w + i 2 = w − 1 2

2(w + i)(w + i) = (w − 1)(w − 1)

2(w + i)(w − i) = (w − 1)(w − 1)

2(ww − wi+ wi+ 1) = ww − w − w + 1

ww + (1− 2i)w + (1 + 2i)w + 1 = 0

94

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2章:複素数平面 2:複素数平面

ww + (1 + 2i)w + (1 + 2i)w + 1 = 0

{w + (1 + 2i)}{w + (1 + 2i)} − (1 + 2i)(1 + 2i) + 1 = 0

w + 1 + 2i 2 = 4

∴ w + 1 + 2i = 2

よって,w の軌跡は

x

y

O−1

−2点 −1− 2iを中心とする半径 2の円

であり,右図となる。

72 (1) z = x+ yi とおく。αz + α z = 1 より(1 +

√3i

2

)(x+ yi) +

(1−

√3i

2

)(x− yi) = 1

(x−√3y) + (y +

√3x)i+ (x−

√3y) + (−y −

√3x)i = 2

∴ y = 1√3(x− 1)

よって,z は複素数平面上で,点 1 を通り傾きが 1√3,

π6

1 x

y

O

すなわち,実軸とのなす角が π6の直線を表す。これを

図示すると右図のようになる。

【参考】α =1 +

√3i

2= cos π

3+ i sin π

3

w = αz とおくと

w + w = 1 ∴ w + w

2= 1

2

よって,w は実部が 12の複素数だから,w は右図の点

π6

1

12

−π3

x

y

O

線の直線を表す。

z = wαだから,z はこの点線の直線を原点まわりに

− π3回転した直線となる。

(2) w = 1zより

z = 1w

これを z − α = d に代入すると1w

− α = d ∴ 1− αw = w d

両辺を α でわると1α

− w = wα

d ∴ w − 1α

= w d (∵ α = 1)

95

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2章:複素数平面 2:複素数平面

よって,d > 0 において

d \= 1 のとき w の軌跡は(アポロニウスの)円

d = 1 のとき w の軌跡は 2点 1α, 0を結ぶ線分の垂直二等分線

となるから,求める dの条件は d = 1

96

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2章:複素数平面 2:複素数平面

2.10 領域

73 z = az1 + bz2 において,z1,z2 は 2つの与えられた複素数で,a,b

は a = 0,b = 0 である変数とする。

(1) a+ b = 1 のとき,複素数平面上の点 zの軌跡を求めよ。

(2) 1 5 a+ b 5 2 のとき,点 zの存在する領域(範囲)を図示せよ。

(千葉大)

74 次のそれぞれの場合について,条件をみたす複素数 zの全体を,複素

数平面上に図示しなさい。

(1) z − 1z + 1

> 2 (2) z2 の虚部 > 1 (津田塾大 改)

75 z は z − 2 5 1 をみたす複素数,aは 0 5 a 5 2 をみたす実数とす

る。さらに w = iaz とする。ただし,iは虚数単位である。

(1) 複素数平面において wの存在範囲を図示せよ。

(2) wの偏角の範囲を求めよ。 (法政大)

73 z = az1 + bz2 = (a+ b)az1 + bz2b+ a

と変形すると,az1 + bz2b+ a

は線分 z1z2 を

b : aに分ける点を表しています。

74 (1) z − 1 > 2 z + 1 と変形できます。 z − 1 = 2 z + 1 はアポロニウス

の円でしたね。

(2) z = x + yi(x,y は実数)とおいて,z2 の虚部を調べましょう。

75 (1) w = iaz は z を原点を中心にして a倍に拡大または縮小して,さらに π2

回転する変換です。まず aを固定して円板 z − 2 5 1を動かし,次に aを 0 5 a 5 2

の範囲で動かします。

97

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2章:複素数平面 2:複素数平面

73 (1) a+ b = 1 より

z = az1 + bz2 =az1 + bz2b+ a

z の表す点は線分 z1z2 を b : a に内分する点である。

z1

z2z

a⃝b⃝

x

y

O

すなわち,z の軌跡は

線分 z1z2(両端を含む)。

(2) a+ b = k (1 5 k 5 2) とおく。このとき

z1

z2

2z1

2z2

|

|

||

||

x

y

O

z = az1 + bz2 = k · az1 + bz2b+ a

w =az1 + bz2b+ a

とおくと,(1)より,wの軌跡は線分 z1z2

である。z = kw より,z の軌跡はこの線分を k 倍 (1 5k 5 2) に拡大したものである。

よって,点 z の存在する領域は右図の斜線部分(境界を含む)。

74 (1) z − 1z + 1

> 2 すなわち z − 1 > 2 z + 1

両辺正より 2乗して

z − 1 2 > 4 z + 1 2

(z − 1)(z − 1) > 4(z + 1)(z + 1)

(z − 1)(z − 1) > 4(z + 1)(z + 1)

zz + 53(z + z) + 1 < 0(

z + 53

)(z + 5

3

)− 25

9+ 1 < 0

z + 53

2< 16

9∴ z + 5

3< 4

3

よって,複素数 z の表す点の集合は,複素数平面上において

x

y

O−3

− 13− 5

3

点 − 53を中心とする半径 4

3の円の内部

(境界は含まない)

であり,右図の斜線部分(境界は含まない)。

98

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2章:複素数平面 2:複素数平面

(2) z = x+ yi(x,y は実数)とおくと

x

y

O

y = 12x

1

12−1

− 12

z2 = (x+ yi)2 = x2 − y2 + 2xyi

(z2 の虚部)> 1 より 2xy > 1 だから

x > 0 のとき y > 12x

x < 0 のとき y < 12x

よって,複素数 z の表す点の集合は,複素数平面上において右図の斜線部分(境界は含まない)。

75 (1) z − 2 = 1 は中心 2,半径 1 の円を表

x

y

OO 2

2a

31

D

3a

a

(a > 0 のとき)

し,不等式 z − 2 5 1はこの円の周および内部を

表す。これを D とする。

また,w = iaz は,原点 O を中心にして z を a

倍に拡大または縮小して,さらに π2回転して得ら

れる点である。

したがって aを固定して考えると,wの存在範囲は D を原点 Oを中心にして a倍に拡大または縮小

し,さらに π2回転して得られる図形,つまり,2ai

を中心とし,半径 aの円の周および内部を表す。

aを 0 5 a 5 2 の範囲で動かすと,w の存在する範囲は

x

y

OO

6

4 2

π6

右下図の斜線部分(境界を含む)。

a \= 0のとき

z = wia

z − 2 5 1に代入してwia

− 2 5 1

∴ w − 2ai 5 ia = a (> 0)

また,a = 0のときは w = 0であり,このときも不等式は成り立つ。

したがって,aを固定したとき,wは中心 2ai,半径aの円の周および内部。以下解答と同じ。

(2) (1)の解答の図からπ2

− π6

5 argw 5 π2

+ π6

∴ π3

5 argw 5 23π

99

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2章:複素数平面 2:複素数平面

2.11 複素数と数列

76 次の複素数の数列を考える。 z1 = 1

zn+1 = 12(1 + i)zn + 1

2(n = 1, 2, 3, · · · )

ただし,iは虚数単位とする。次の問いに答えよ。

(1) zn+1 − α = 12(1 + i)(zn − α) なる定数 αを求めよ。

(2) このとき,z17 を求めよ。 (福島大)

77 2組の数列 {an},{bn} (n = 0, 1, 2, · · · ) をa0 = 1, an+1 = −an −

√3bn

b0 = 0, bn+1 =√3an − bn

と定める。cn = an + bni(ただし,iは虚数単位)とするとき,次の問いに

答えなさい。

(1) cn+1 を cn で表しなさい。

(2) cn を求めなさい。

(3) mを負でない整数とするとき,a0+a1+a2+ · · ·+a3m+2 を求めなさい。

(前橋工科大)

78 複素数平面上の点列 {An} (n = 0, 1, 2, · · · · · · ) を次のように定める。原点を A0とし,原点以外の点 A1をとる。n = 2 の場合,点 An−1を中心と

して点 An−2を正の向きに角 θだけ回転して得られる点を Anとする。また,

An に対応する複素数を αn とする。ω = cos θ + i sin θとする。

(1) αn を αn−1,αn−2,ω を用いて表せ。

(2) α1 = α とするとき,αn を n,α,ωを用いて表せ。

(3) 点列 {An} (n = 0, 1, 2, · · · · · · ) はある円の周上にあることを示し,その円の中心と半径をそれぞれ α,ωを用いて表せ。ただし,

θ \= π × k(kは整数)とする。 (同志社大)

100

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2章:複素数平面 2:複素数平面

76 (1) 複素数を係数とする 2項間漸化式です。

zn+1 = pzn + q · · · · · · 1⃝α = pα+ q · · · · · · 2⃝

2⃝をみたす αを求めて, 1⃝− 2⃝をつくると, 1⃝はzn+1 − α = p(zn − α) · · · · · · 3⃝

と変形することができます。これは数列 {zn − α}が公比 pの等比数列であることを

表しています。

1⃝を 3⃝に変形するための αについての方程式 2⃝は, 3⃝を展開して得られる式zn+1 = pzn − pα+ α

と 1⃝を比較することにより得ることができます。すなわちq = −pα+ α ∴ α = pα+ q

です。

(2) まずは (1)の結果を利用して漸化式を解くとよいでしょう。(1 + i2

)n

は1 + i2

を 1√2

(cos π

4+ i sin π

4

)と極形式で表すことにより(

1 + i2

)n

=

(1√2

)n (cos nπ

4+ i sin nπ

4

)と整理することができます。

77 (1) cn+1 = an+1 + bn+1i = (−an −√3bn) + (

√3an − bn)i

について,cn = an + bniが現れるように整理します。

(2) (1)より数列 {cn}は複素数 αを公比とする等比数列であることがわかります。

よって,数列 { cn }は α =√(実部)

2+(虚部)

2を公比とする等比数列です。

(3) 求める和は c0 + c1 + c2 + · · ·+ c3m+2 の実部として現れます。

78 (1) 複素数平面上で点 αn−2 を点 αn−1 のまわりに θ 回転した点を点 αn とす

ると

αn − αn−1 = (αn−2 − αn−1)(cos θ + i sin θ)

という関係式が成立します。

(2) 3項間漸化式の解き方を思い出しましょう。

(3) 点 αn が点 β を中心とする半径 r の円の周上にあるということは

αn − β = r

が成立するということです。

101

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2章:複素数平面 2:複素数平面

76 (1) zn+1 − α = 12(1 + i)(zn − α) より

zn+1 = 12(1 + i)zn + 1− i

与えられた漸化式と比較して12

= 1− i2

α ∴ α = 11− i

=1 + i2

(2) (1)の結果から

zn+1 − 1 + i2

= 1 + i2

(zn − 1 + i

2

)よって,数列

{zn − 1 + i

2

}は公比

1 + i2の等比数列であり

zn − 1 + i2

=(z1 − 1 + i

2

)(1 + i2

)n−1

= 1− i2

(1 + i2

)n−1

(∵ z1 = 1)

したがって

z17 = 1 + i2

+ 1− i2

{1√2

(cos π

4+ i sin π

4

)}16

= 1 + i2

+ 1− i2

· 2−8(cos 4π + i sin 4π) = 1 + i2

+ 1− i2

· 1256

· 1

=257 + 255i

512

77 (1) cn+1 = an+1 + bn+1i = (−an −√3bn) + (

√3an − bn)i

= −(an + bni) +√3(ani− bn) = −(an + bni) +

√3(an + bni)i

= −cn +√3cni = (−1 +

√3i)cn

(2) (1)より

cn+1 = −1 +√3i cn ∴ cn+1 =

√(−1)2 + (

√3)2 cn = 2 cn

よって,数列 { cn }は公比 2の等比数列であり

cn = c0 · 2n = a0 + b0i · 2n = 1 + 0 · i · 2n = 2n

(3) ω = −1 +√3i = 2

(cos 2

3π + i sin 2

3π)とおくと

ω3 = 23 (cos 2π + i sin 2π) = 8 · · · · · · 1⃝1 + ω + ω2 = 1 + (−1 +

√3i) + (−2− 2

√3i) = −2−

√3i · · · · · · 2⃝

また,(1)の結果から cn+1 = ωcn だから,数列 {cn}は公比 ω の等比数列であり

cn = c0 · ωn = 1 · ωn = ωn

102

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2章:複素数平面 2:複素数平面

このとき

c0 + c1 + c2 + · · ·+ c3m+2 = ω0 + ω1 + ω2 + · · ·+ ω3m+2

= (1 + ω + ω2) + ω3(1 + ω + ω2) + · · ·+ ω3m(1 + ω + ω2)

= (1 + ω + ω2)(1 + ω3 + · · ·+ ω3m) = (1 + ω + ω2) · (ω3)m+1 − 1

ω3 − 1

= (−2−√3i) · 8m+1 − 1

8− 1(∵ 1⃝, 2⃝)

求める a0 + a1 + a2 + · · ·+ a3m+2 はこれの実部だから

a0 + a1 + a2 + · · ·+ a3m+2 = − 2(8m+1 − 1)

7

78 (1) 点 αn−1 を中心に点 αn−2 を θ 回転したものが点 αn だから

αn − αn−1 = (αn−2 − αn−1)(cos θ + i sin θ)∴ αn = (1 − ω)αn−1 + ωαn−2 (n = 2, 3, 4, · · · )

(2) (1)の漸化式は

(t2 = (1− ω)t+ ω をみたす tは (t− 1)(t+ ω) = 0 ∴ t = 1,−ω)

αn − αn−1 = −ω(αn−1 − αn−2) · · · · · · 1⃝αn + ωαn−1 = αn−1 + ωαn−2 · · · · · · · · 2⃝

の 2通りに変形できる。

1⃝ より

αn+1 − αn = (α1 − α0)(−ω)n = (α− 0)(−ω)n = α(−ω)n · · · · · · 1⃝′

2⃝ より

αn+1 + ωαn = α1 + ωα0 = α+ ω · 0 = α · · · · · · 2⃝′

2⃝′ − 1⃝′ より

(1 + ω)αn = α− α(−ω)n

∴ αn =α{1 − (−ω)n}

1 + ω(n = 0, 1, 2, · · · )

(3) (2)より

αn − α1 + ω

= −α · (−ω)n

1 + ω∴ αn − α

1 + ω= α

ω n

1 + ω

ω = cos θ + i sin θ より ω = 1 だから

αn − α1 + ω

= α1 + ω

よって,点列 {An}は,中心 α1 + ω

,半径 α1 + ω

の円の周上にある。(証終)

103