[2019] optical transmission technology -04. 光増幅 …...sp 2 2 1 2 n p an i an i dt dn 励起率...
TRANSCRIPT
Ⅳ.光増幅伝送
誘導放出
物質には固有のエネルギー状態がある。
光との相互作用により物質が高いエネルギー状態に遷移するときには光は吸収され、
物質が低いエネルギー状態に遷移するときには光が放射される。
このとき、エネルギー保存より、(吸収/放射光子のエネルギー)=(物質状態のエネルギー差)。
吸収 (自然)放射
DE = hff
E1
E2
原子核
電子
f:光周波数h:プランク定数DE:エネルギー準位差
特に、光入射に刺激されて放射が起こる時には、入射光と同一周波数・同一位相の光が放射される。
誘導放出
入射光からみたら、これは光増幅。これが光増幅器の源。
なお誘導放出は、高エネルギー状態の原子があれば必ず起こるわけではなく、確率的。
吸収、放射も同様。
現在の光通信システムでは、光信号を直接増幅しながら伝送するのが標準的となっている。
本章では光増幅伝送系における信号光の伝搬特性について述べる。まずは光増幅の基本から。
1
エネルギー
+
-
+
-
+
-
+
- 伝導帯
荷電子帯p型領域 n型領域
E1
E2
(光)
電気エネルギー(放電)光エネルギー(光励起)
半導体
光増幅作用を得るためには、物質系が高いエネルギー状態にあることが必須。
がしかし、熱平衡状態では物理系は概ね低エネルギー状態に落ち着いている。
そこで、光増幅のためには、何らかの方法で物質を高いエネルギー状態へ遷移させる。
これを励起またはポンピング(pumping)と言う。
通信用光増幅器の研究開発史
誘導放出現象は、量子力学の誕生により人々の知るところとなった(1900 年代前半)。
そして、これを利用してレーザが発明された(1960年)。その後、
1970年:半導体レーザ室温発振。
1980年代:半導体光増幅器の研究がなされた。が、実用化に苦しむ。
ファイバとの結合、無反射コート、利得飽和による波形歪み・チャンネル間クロストーク、などが課題。
1980年代:エルビウム添加光ファイバ増幅器(Erbium Doped Fiber Amplifier: EDFA)の研究が地道に行われた。
-励起光をファイバ伝搬させるアイデア (後々、この特許で皆が苦しんだ)-当初は、0.8mm帯半導体レーザ励起 (多重励起現象のため低効率)-次に、1.48mmFセンターレーザ励起 (励起光源が大き過ぎ)
1988年:1.48mm半導体レーザ励起によるEDFA
元々はファイバラマン増幅用に沖電気が作った光源をEDFAに転用。
1989年:EDFAによる長距離伝送実験
コヒーレント伝送に対抗するための起死回生の一発。
1990年代:EDFAの実用化へまっしぐら。現在に至る。
2000 年代:ファイバ・ラマン増幅方式の開発・実用化。現在に至る。
2
光増幅器の伝送装置として重要な特性は、信号利得、飽和出力光パワー、雑音。
Pin Pout = GPin
Pin:入力信号光パワー
Pout:出力信号光パワー
G:信号利得
信号利得
光増幅器の性能指数
信号増幅は、(誘導放出確率)>(吸収確率)、のときに起こる。
エネルギー準位
誘導放出 吸収
誘導放出確率は、上準位にある原子数に比例。また、光に入射光に刺激されて起こるので、
光強度に比例;(誘導放出確率)∝(上準位数)×(光強度)
吸収確率は、下準位にある原子数に比例。また、光強度に比例;
(吸収確率)∝(下準位数)×(光強度)
よって、光強度 Iの時間変化は次式で記述される。
IaNIaNdt
dI12
N2:上準位数N1:下準位数a:比例係数
比例定数が共通的にaである理由は量子力学による。
INNa )( 12
誘導放出 吸収
tNNaItI )(exp)0()( 12
tを光増幅器の入力端から出力端までの光の伝搬時間とすれば、
I(0)=入力光強度 Iin I(t)=出力光強度 Iout
)/)((exp 12inout vLNNaII
)/)((exp 12 vLNNaG
inIG
(未飽和)信号利得
L:増幅器長v:光速
(N2 – N1) 一定とすると
として、
(N2 – N1) 一定の場合
3
利得係数は、(N2 – N1)に比例。
上準位数 N2>下準位数 N1、のときに増幅作用。この状態を反転分布状態という。
反転分布が大きいほど高利得。
=
上記では(N2 – N1)は一定とした。
信号増幅につれて信号光強度が大きくなると、誘導放出により反転分布が減少するため、
この仮定は成り立たない。
反転分布量の変化は、次のレート方程式により記述される(但し、近似です)。
sp
212
2
NIaNIaNP
dt
dN
励起率
誘導放出による減少
自然放出による減少
吸収による増加N2 + N1 = N0
定常状態では、dN2/dt = 0
0sp
212
NIaNIaNP
2spaI << 1 であれば、反転分布一定。
信号光強度Iが大きいと、反転分布が減少し利得低下 → 利得飽和
エネルギー準位
4
DN N2 - N1
2N2 = DN1 + N0
0
sp
02
N NP a NI
D D 0
sp sp
1( )
2 2
NaI N P
D
sp 0
sp
2
1 2
P NN
aI
D
入力光パワー
信号利得
(dB
)
出力光パワー
信号利得
(dB
)
利得飽和のため、光増幅器の利得特性は下図のようになる。
入力光パワーを上げていくと、出力光パワーが頭打ち状態となる。
つまり、光増幅器からの出力光パワーには限界がある。
飽和出力光パワー
光増幅器は、信号光入力に関係なく、自然発生的に光を出力する。
自然発生的なので発生光位相はランダム。
雑音
ASE (Amplified Spontaneous Emission)
エネルギー準位または
飽和出力パワー
光増幅器の用途によっては、利得よりも出力光パワーが重要な場合がある。
そこでは、飽和出力パワーが重要な性能指標となる。
ASE光が発生すると、出力信号光に揺らぎ(雑音)が生じる。
ASEsigout EEGE sigE
Re[E]
Im[E]
sigEG
ASEE
outE
(無相関)
(この現象の理論的導出は「量子光工学」にて)
5
ASE光の振幅が大きいほど揺らぎも大きい。
したがって、ASEの出力光強度(またはパワー)が増幅器の雑音性能を表す指標となる。
ところで、光増幅器から出力されるASE光強度(単位周波数・1偏波モード当り)は次式で与
えられる。(導出は演習問題にて)
ASE sp( 1)I G n hf :反転分布パラメータ or 雑音因子2112
2sp
/1
1
NNNN
Nn
hf:1光子エネルギー(h:プランク定数、f:光周波数)
G:信号利得
ASE光強度は、(G – 1)nspに比例するので、
信号利得 Gまたはnsp :小 → ASEパワー:小 → 信号揺らぎ:小
但しここで、信号利得 Gが小さいのは光増幅器としては不都合。
そこで、ASE光強度を利得で割り算した(規格化した)値が増幅器の雑音性能を表す指標となる。
上式によれば、nsp により雑音性能が表されることになる(但し、G >> 1として)。
spASEASE
1n
G
P
G
P
一般に、増幅器の雑音性能は雑音指数(Noise Figure:NF)で示される。
これは、入力信号の信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio:SN比)と出力信号のSN比の比率を
デジベル表示した値。
out
in10
)(
)(log10
SNR
SNRNF
)(
)(
雑音パワー
信号パワーSNRwhere
それにはまず、信号光のSN比の定義が必要。
信号光のSN比は、もともとは信号光強度を理想的な光検出器で電気信号へ変換した時の平均
値の二乗(信号電力)と分散(雑音電力)の比で定義された。(< >は平均の意)
光検出器
光電流 i = <i> + Di 22
2
ii
iSNR
理想的な光検出器では光強度がそのまま電流に変換されるので、
光強度 I の平均と分散でSN比を定義しても等価。22
2
II
ISNR
nspが小さいほど雑音性能の良い光増幅器。最小値は nsp = 1
そこで、光増幅器のNFと nsp を関係付けよう。
そこで以下では、光強度の平均と分散からNFを導出する。
6
7
まず、出力SN比から。
光増幅器出力は増幅信号光とASE光との足し合わせ。
光フィルタ
sig ASEGE EsigE
波長
光パワー
ASE光
信号光
出力光強度 :
(ASEは位相ランダム)
2 2 2 *
out sig ASE sig ASE sig ASE| | | | | | 2 Re[ ]I GE E G E E G E E
出力光強度の分散(雑音パワー):
2 2 2
out out outI I
2 2 2
sig ASE sig ASE sig ASE{ | | | | 2 | || | cos( )}G E E G E E
2 2
out sig ASE sig ASE| | | |I G E E G I I
2 2
sig ASE sig ASE sig ASE| | | | 2 | || | cos( )G E E G E E
2
sig ASE{ }G I I
2 4 4 2 2 2
sig ASE sig ASE sig ASE| | | | 4 | | | | cos ( )G E E G E E
2 2 3
sig ASE sig ASE sig ASE2 | | | | 4 | | | | cos( )G E E G G E E
3
sig ASE sig ASE4 | || | cos( )G E E
2 2 2
sig ASE sig ASE sig ASE
14 2
2G I I G I I G I I
0
2
sig ASE{ }G I I
2 2 2
sig ASE sig ASE2G I I G I I
2 2 2 2 2
sig sig ASE ASE sig ASE{ } { } 2G I I I I G I I
(信号-ASEビート雑音)(ASE-ASEビート雑音)(過剰雑音)
光増幅器の雑音特性を評価するにあたっては、
入力信号光は雑音フリーとする→ 第1項=0
光フィルター幅は十分狭い(信号帯域程度)とする→ G<Isig> >> <IASE>
→ (第2項) << (第3項)
8
よって、出力SN比は、
2 22sig sig sig sigout
out 2
out sig ASE ASE sp sp
( )2 2 2( 1) 2
G I G I G I IISNR
G I I I G n hf n hf
(G >> 1として)
次に、入力光強度のSN比について。
一般には入力SNは様々な値を取り得るが、それでは光増幅器のNFが一意に定まらない。
そこで、NFの定義上、入力光は純粋単一周波数光(コヒーレント状態)とする。
その光子数は量子力学より本質的に揺らいでおり、その分散は平均光子数に等しい(詳しくは「量
子光工学」にて)。
よって、入力光子数のSN比は、
光子数は光強度と等価であり、これを光強度で書き換えると入力光SNとなる。
sig
in in( )I
SNR nhf
2
inin
in
( )n
SNR nn
入力光子数
(dB)sigin10 10 10 sp
out sig sp
/( )10log 10log 10log [2 ]
( ) /2
I hfSNRNF n
SNR I n hf
以上より、光増幅器の雑音指数NFは、
ビート雑音の直観的な説明
ASE光は複数の周波数成分の和:
k
tikkk
eAE)()(
nASE
)(
n
)(
n
2
sGA
(ASE間の干渉項)(ASE光強度) ASE-ASEビート雑音
( ) ( )s s n n
2
( ) ( )2 ( )
sig ASE s n| |k ki t i tk
k
GE E G A e A e
( ) ( )n n
2
( )2 ( ) ( ) ( ) ( )
s n s n s n s n2 cos[( ) ( )]k ki tk k k k
k k
GA A e G A A t
( ) 2 ( ) ( ') ( ) ( ') ( ) ( ')
n n n n n n n
'
{ } 2 cos[( ) ( )]k k k k k k k
k k k
A A A t
( ) ( ) ( )
s n s n s n2 cos[( ) ( )]k k k
k
G A A t
(信号光強度)
(信号光とASE光との干渉項) 信号-ASEビート雑音
ASE-ASEビート雑音の大きさは光フィルタ幅に大きく依存する
フィルタ幅:大 → ビート成分数:大 → 信号-ASEビート雑音:大
雑音指数を決める要因
雑音性能は反転分布パラメータ nsp で決まる。
21sp
/1
1
NNn
N2:上準位数
N1:下準位数
上式によれば、N1/N2:小 → nsp:小 → 雑音性能:良
上準位の原子数が多い(反転分布が大きい)ほど、雑音性能が良い光増幅器。
極限は、 N1/N2 = 0 の時で、nsp = 1、すなわち、NF = 3 dB。これを量子雑音限界という。
直感的には、利得で規格化されたASE光パワーが雑音特性を決めていることの反映。
ASEパワーはN2に比例し、利得は(N2– N1)に比例するので、比をとるとnspとなる。
また、実際の光増幅器では、入力側の光損失も雑音性能を左右する。
増幅媒質G
光増幅器
入力光Pin
光部品 光部品
出力光Pout
hin hout
9
出力信号光パワー:Pin×hin×G×hout
出力ASE光パワー:PASE×hout
実効的な利得実効利得で規格化したASE光パワーは
G
P
G
P
in
ASE
outin
ASEout
hhh
h
hin:入力部透過率、hout:出力部透過率 入力損失分だけ雑音指数は劣化
多段増幅の場合
Ps
2 3 n1 3 n2 n3 n3n1 n2 n1
1 2 3 1 1 2 1 2 3 1
G G P G P P PP P P
G G G G G G G G G G
雑音性能は利得で規格化したASE光パワーで評価される
G1
Pn1
G2
Pn2
G3
Pn3
Pout = G1G2G3Ps + G2G3Pn1 + G3Pn2 + Pn3
ASE増幅信号
(Gk >> 1 として)
初段の雑音性能が支配的
(全利得)
伝送系への適用
光SN比
光増幅伝送系の伝送特性の考察には、光SN比がよく用いられる。
光スペクトルアナライザー
波長光パワー
ASE光
信号光
PASE:ASE光パワー(信号波長近傍)(単位波長当り)
Psig:信号光パワー
ASE
sig
P
P(光SN比) 註:ASEは広波長帯にわたっているので、
波長幅の指定が必要。通常は0.1nm幅
光SN比は信号品質とは次のように関係付けられる。
まず、信号光+ASE光の光強度は、
10
2 2 2 *
sig ASE sig ASE sig ASE sig ASE sig ASE sig ASE| | | | | | 2Re[ ] 2 | || | cos( )I E E E E E E I I E E
sig ASE sig ASE sig ASE sig ASE sig2 | || | cos( )I I I E E I I I
光強度の分散は、2 2 2 2 2
I sig ASE sig ASE sig ASE sig{ 2 | || | cos( )}I I I I E E I
2 2 2 2 2
sig ASE sig ASE sig ASE sig ASE4 | | | | cos ( ) 2I I E E I I
sig sig ASE sig ASE ASE sig ASE sig ASE4 | || | cos( ) 4 | || | cos( )I E E I E E
2
sigI
2 2 2
sig sig ASE sig ASE sig ASE2 2I I I I I I I
0
sig ASE4 I I
光強度のSN比は、
22sig sig
I 2
I sig ASE ASE
1( )
4 4 4
I IISN
I I I
(光SN比) 光SN比に比例
11
増幅伝送系の全体構成
送信装置
光受信器
受信装置
伝送路 伝送路
光送信器
伝送路
ポストアンプ プリアンプ中継アンプ 中継アンプ
用途によって、光増幅器に要求される性能が異なる。
ポストアンプ
光送信器
伝送路に大きな信号光パワーを送出する。
飽和出力光パワーが大事。
雑音性能は気にしない。
光増幅器への入力光は十分大
増幅された信号光は十分大
出力光SN比は十分大
光振幅についてみると、
sig ASEE E E
2 (r) 2 (r) 2 (r) (r) 2 (r) 2
r sig ASE sig{ } { }E E E E E
(r) 2 (r) 2 (r) (r) (r) 2
sig ASE sig ASE sig{ } { } 2E E E E E
0
Re[E]
Im[E]
sigE
ASEE
11
実数成分と虚数成分に分けて考える。
(r) (r) (r)
sig ASEE E E (i) (i) (i)
sig ASEE E E
(r) (r) (r) (r)
sig ASE sigE E E E
(r) 2 (r) 2 (r) 2 (r) 2
sig sig ASE ASE{ } { } { }E E E E
(同様に) (i) (i)
sigE E 2 (i) 2
i ASE{ }E
実数成分と虚数成分を合わせると、光振幅のSN比は、
(r) 2 (i) 2(r) 2 (i) 2sig sig sig
A 2 2 (r) 2 (i) 2
r i ASE ASE ASE
( ){ } { }
E E IE ESN
E E I
(光SN比)
光SN比と同じ
以上より、光SN比は光信号品質を表す指標となる。
12
プリアンプ(前置増幅)
光受信器
入力光パワーは小さいので、利得飽和は気にしなくてよい。
利得は受信回路雑音が無視できる程度まで信号光を増幅する値。
受信回路雑音より十分大きな信号を光受信器に入力する
受信特性を決めるのは光増幅器雑音
光増幅器の雑音性能が重要
中継アンプ
プリアンプとポストアンプの中間的な位置づけ。
よって、プリアンプとポストアンプの両方の特性が望まれる。
そこで、2段構成がよく用いられる。前段には低雑音アンプ、後段には高パワーアンプ。
伝送路 伝送路
中継増幅器
低雑音 高出力
多中継伝送系
受信装置送信装置
長距離伝送システムでは、中継アンプを多段に接続する。
1中継間隔の伝送損失=増幅器利得、とするのが標準的。
伝送系のレベルダイヤ
信号光パワー
(dB
)
伝送距離
このような伝送系の受信端での光SN比は次のように考えられる。
信号光パワー: f0f0s )( TPTTGPP N
P0:送信光パワーN:中継アンプ数T:1区間透過率G:増幅器利得Tf:最終区間透過率Pa:ASE増幅器出力光パワー
ASE光パワー:
1
fafaf2
af1
aASE )()( TPTGTPTTGPTTGPP NN
fa
1
0fa )(
TNP
TTGPN
k
k
s 0 f 0 0
ASE a f a sp
P PT P P
P NPT NP Nn G (光SNR)
中継段数に比例して光SNは劣化 → 伝送距離制限
13
(G >> 1)
では、中継間隔依存性は?
総伝送距離L.が与えられたとする。
中継間隔をL0とおくと、T = 10^(-aL0)、N = L/L0 (a:損失係数、簡単のためTf = T)。
TG = 1 なので、G = 10^(aL0)
よって、
0 0
0 0 0
sp 0 sp( / ) 10 10L L
P P L
Nn G L L na a
(光SNR)
中継間隔が長いほど光SNは悪い
↓
中継間隔が短いほど伝送可能距離は長くなる。
但し、中継増幅器をたくさん使うので高コスト。
エルビウム添加ファイバ(数m)
エルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)
波長合波器
波長合波器
励起光源 励起光源
アイソレータ
0.98mm 0.98mm or 1.48mm
信号光入力 信号光出力
励起光 励起光
◆励起光(ポンプ光)で反転分布を形成
励起準位
ポンプ光
増幅用下準位
増幅用上準位
◆信号利得は励起光パワーに依存;
励起光:大 → 反転分布:大 → 信号利得:大
◆前方励起は低雑音に有利
-入力部の雑音性能が全体の雑音性能を決める(多段増幅の項参照)
-反転分布が大きいほど雑音性能は良い
-励起光パワーが大きいほど反転分布:大
-励起光は伝搬につれて減衰
◆低雑音のためには、入力部の損失はできるだけ小さく。
光部品T
GPin
TGPin
PASE
光SN=ASE
in
P
TGP
◆後方励起は高出力パワーに有利
-利得飽和が起こりにくいほど高出力
-利得飽和は誘導放出による反転分布の低下により起こる
-下準位に遷移した原子を素早く上準位に励起すれば、反転分布の低下が防げる。
-励起率はポンプ光パワーに比例
◆高性能を得るには、光アイソレータを前後の挿入して、光の共振を抑えることが必須。
ポンプ光
信号光
特長: ファイバ伝送系との整合性が良い。
波長多重信号光増幅時に、利得飽和状態でもチャンネル間クロストークが生じない。
欠点: 増幅波長帯域が限定。
サイズ大。
14
ファイバ・ラマン増幅器
誘電体媒質内では、異種の原子が格子状につながれている。
各原子は熱的に微小振動している;格子振動(フォノン)
プラスに帯電している原子とマイナスに帯電している原子が逆方向に振動していると双極子と等価
+ + +- - -
=
光学フォノン
光学フォノンが存在していると、誘電率が光学フォノンの振動数で変調される。
そこへ外部から光が入射されると、光が変調され変調側帯波が発生。
低周波数(長波長側):ストークス光、高周波数(短波長)側:反ストークス光、と呼ぶ。
ラマン散乱光
)2cos(0 tfRa
光周波数 光周波数
ストークス 反ストークスfR
fR
入射光とラマン散乱光が存在すると、差周波数成分が格子振動を駆動する。
さらに変調側帯波(=ラマン散乱光)が発生。
誘導ラマン散乱
誘導ラマン散乱はストークス光に対してのみ起こる。
発生した変調側帯波と元のラマン散乱光との位相関係が、ストークスは強め合い、
反ストークスは弱め合う、ようになっているため。
誘導ラマン散乱が起こる状況に対して、信号光と光学フォノン振動数分だけ低周波数のポンプ光
を入力する(上記との対応:外部入射光⇔ポンプ光、ストークス光⇔信号光)。
ストークス光と信号光が同期した誘導ラマン散乱が起こる。
信号光から見たら増幅現象。 ラマン増幅15
光周波数 光周波数
ポンプ光
fR
)2cos( R0 tfa 信号光
以上は一般的な話。このラマン散乱/ラマン増幅は光ファイバでも起こる。
なお、ガラス媒質の光学フォノン周波数は約130THz、波長差にすると約100nm(@1.5mm帯)。
ファイバ・ラマン増幅器
波長合波器
波長合波器
ポンプ光源
信号光(1.56mm)
信号光ポンプ光 ポンプ光
ポンプ光源
信号レベル
伝送距離
ポンプ光 ポンプ光 ポンプ光
伝送路がそのまま増幅媒質となることが特徴的(分布増幅)。
実線:集中増幅破線:分布増幅
特長: ①雑音特性に優れる。(増幅器への入力レベルが高いため)
②光非線形現象が起こりにくい。(ピークパワーが低いため)
難点:大きなポンプ光パワーが必要。
16
半導体光増幅器
特長: 小型、他の光部品との集積化が可能。
光ゲートスイッチや非線形を利用した光機能素子として応用可能。
欠点: 利得飽和状態では、波形歪みが生じる。
利得飽和状態では、波長多重信号増幅時にチャンネル間クロストークが生じる。
半導体レーザの両端に無反射コートを施したデバイス
無反射コート
17
演習問題
12)1( anNNnadt
dn
[4.2] 二準位媒質(上準位数N2, 下準位数N1)における光子数nの時間変化は次式に従う。
anN1:吸収確率
anN2:誘導放出確率
aN2:自然放出確率
(a) 初期値をn(0)として、時刻 t = Tにおける光子数を導け。但し、反転分布は一定とする。
(b) Tを光増幅器の入力端から出力端までの伝播時間とすれば、上記は増幅器への入力光子数が
n(0)のときの出力光子数となる。出力光子を信号増幅光子とASE光子とに分けて表せ。
(c) 出力光子数を信号利得 G及び{N1, N2}で表せ。
(d) 以上より、光増幅器から出力されるASE光強度を{G, N1, N2, hf}で表せ。
[4.1] 媒質長=10mで信号利得=20dBの増幅媒質がある。1m当たりの増倍率は線形単位(x倍)でいくらか。
但し、反転分布量は媒質長にわたって一様とする。
[4.3] 光増幅器で増幅された信号光を光バンドパスフィルタに通した後、直接受信して電気信号に変換する
と、受信信号は揺らいでいる。
(a) 揺らぎの要因はいくつかに分類分けできる。各要因の特徴を述べよ。
(b) どの揺らぎ要因が主となるかは光フィルタの透過帯域幅に依存する。どのように依存するか、理由を含
めて述べよ。
[4.4] 光ファイバ増幅器は、増幅用ファイバと光アイソレータおよび励起光を入射するための波長合分波器
から構成されている。 増幅用ファイバ部でのNFが4dB、入力側の波長合波器+光アイソレータの信号光透
過率が0.7、出力側の波長合波器+光アイソレータの信号光透過率が0.6であるとき、光増幅器全体のNF
はいくらか。
[4.5] 光ファイバ増幅器は、ポンプ光パワーが大きいほど利得飽和しにくい。その理由を説明せよ。
18