2021年（令和３年）5月6日（№221） 早稲田大学グリークラブＯＢ会新聞（稲グリ新聞）

〈編集・発行〉

早 稲 田 大 学グリークラブOB会http://waseglee-ob.com

幹事長：佐々木 豊

〒192-0051

東京都八王子市元本郷町

２-５-１０-３０７

Tel．042-626-4991

tgsasaki@waseda.jp

菊池寛の短編小説「マス

ク」は、スペイン風邪が猛

威をふるった１００年前の

日本の情景を現代に伝えて

います。主人公は「病気を

怖れないで、伝染の危険を

冒すなどと云うことは、そ

れは野蛮人の勇気だよ」と

常にマスクを着用し、妻や

女中にも外出を禁止しま

す。でも暖かくなったある

日、マスクを外して歩いて

いると、黒いマスクをした

男を見かけて憎悪するとい

う倒錯が描かれています。

▼志賀直哉の小説「流行感

冒」は、風邪の流行期に噓

をついて芝居を見に行った

女中を叱った主人公が、別

の人から感染してしまい、

献身的な世話をした女中を

見直したという物語です。

▼新型コロナウイルスの猛

威は今だ衰えず、今年も現

役の演奏会が相次ぎ中止に

なるなど先の見えない状況

が続いています。一向に改

善されない医療現場、「や

ってる感」を演出している

だけの政治家に辟易してい

る人も多いことでしょう。

▼感染症の影響は身体だけ

でなく、人の心にも忍び寄

ります。不自由な日々の中

で、不安や憤り、他者への

不寛容と無縁で過ごせる人

は少ないはずです。ワセグ

リのネットワークがそれら

を少しでもやわらげるもの

になればと願っています。

新型コロナウイルスの感

染再拡大で、早稲田大学グ

リークラブが出演する予定

だった５月２日の第70回東

京六大学合唱連盟定期演奏

会が中止となりました。６

月20日の第70回東西四大学

合唱演奏会についても、す

みだトリフォニーホールで

の開催は見送り、各団体が

演奏を録画して有料配信す

11月７日（日）開催の第

23回東西四大学ＯＢ合唱連

盟演奏会（東京芸術劇場コ

ンサートホール）で、稲門

グリークラブの演奏曲が男

声合唱とピアノのための組

曲「夢の意味」（林望作

詩、上田真樹作曲）に決ま

りました。指揮者は小林昌

司さん（Ｈ29卒）で、ピア

ノに前田勝則先生、練習ピ

アニストに古門詩帆さんを

迎えて、６月６日（日）か

ら練習を開始します。

参加をご希望の方はＯＢ

会が４月27日に送信した一

斉メールの参加申し込みフ

ォームからお申し込みくだ

さい。参加費は平成26年以

前卒のＯＢは１万２０００

円、平成27年以降卒のＯＢ

や首都圏以外に在住してい

る方は６０００円。

「夢の意味」は07年、東

だきます。寄せられた録音

を実行委員会で編集して、

早稲田大学グリークラブの愛唱曲

「遥かな友に」が１９５１年に誕生し

て、今年で70周年を迎えます。これを

記念して、ワセグリＯＢ会はＯＢ・現

役から広く歌声を募ってリモート合唱

映像を作成し、磯部俶先生（Ｓ17卒）

がこの曲を作曲して初演された７月12

日に動画投稿サイト「ＹｏｕＴｕｂ

ｅ」に公開して、世界に発信したいと

思います。多くの皆さまの参加を期待

しています。

（関連記事２面に）

・ミュージック〟となり、

今では世界中で愛唱されて

います。

新型コロナウイルスの感

染再拡大で、現在は歌うこ

とも集まることもままなら

ない状況ですが、一人ひと

りが離れたところから「遥

かな友」を思いつつ歌って

ください。多くの声を集め

て、新しい「はる友」の大

合唱を発信したいと思いま

す。

ＷＥＢ

特別版

ＯＢ・

現役の歌声募集

る方式に変更されました。

ワセグリは四連で「二つ

の祈りの音楽～男声合唱と

ピアノ連弾のための～」

（宗左近作詩、松本望作

曲）を、指揮・黒川和伸、

ピアノ・松原賢司、小嶋千

尋で演奏します。録画配信

の詳細については東西四大

学合唱連盟、現役グリーか

ら追って案内があります。

「遥かな友に

誕生の地」の

記念碑（相模原市）

リモート合唱で世界発信目指す

京混声合唱団が山田和樹先

生の指揮で委嘱初演。翌08

年にワセグリが男声版を、

第56回定期演奏会で委嘱初

演しました。今では女声

版、オーケストラ編曲版も

含めて多くの合唱団で歌わ

れています。

練習にあたっては検温・

消毒のうえ、マスク着用と

１㍍の距離確保、換気など

の対策を徹底します。感染

拡大状況によっては練習を

中止することもあります。

皆さまにはご理解とご協力

の程お願い申し上げます。

リモート合唱に奮ってご参加ください

（写真は東京稲門グリークラブの演奏）

現役の六連中止

四連は録画配信

ＯＢ会は「遥かな友に」

プロジェクトにあたって、

実行委員会を発足させまし

た。４月24日と５月２日に

ＯＢ向け一斉メールで告知

するとともに、ＯＢ会のホ

ームページに楽譜のダウン

ロードや「オンライン説明

会」「ガイド動画」「リモ

ート合唱の手引き」のＵＲ

Ｌを案内する記事を掲載し

ています。

参加されるＯＢ・現役の

皆さまは、ＹｏｕＴｕｂｅ

で配信する佐藤拓さん（Ｈ

15卒）指揮のガイド動画に

合わせて歌声を録音し、６

月14日までに提出していた

合唱演奏の作品を制作し、

ＹｏｕＴｕｂｅで公開しま

す。

◇

「遥かな友に」は１９５

１年夏、ワセグリが合宿し

ていた神奈川県津久井郡青

根村（現相模原市）の宿舎

で、磯部先生が部員の要望

を受けて即興で作曲し、パ

ートリーダー４人によって

初演されました。以来、こ

の曲はワセグリの〝ソウル

ＯＢ四連「夢の意味」演奏

小林昌司さん指揮

６月練習開始

2021年（令和３年）5月6日 （№221)早稲田大学グリークラブＯＢ会新聞（稲グリ新聞）

ワセグリＯＢ会

会長

柿沼

郭（Ｓ53卒）

 依然としてコロナの嵐が

吹き荒れる中、全国１５０

０人のワセグリＯＢの皆さ

ん、いかがお過ごしでしょ

うか。

度重なる緊急事態宣言、

さらには変異株の急拡大で

事態は長期化し、心と体の

疲れを感じている方も少な

くないと思います。このプ

ロジェクトが、そうしたモ

ヤモヤした思いを少しでも

解消することにつながれば

幸いです。

 ワセグリＯＢ会では、今

年が「遥かな友に」誕生か

ら70周年になるのを記念

し、現役・ＯＢの皆さんに

広く呼びかけ、「遥かな友

に」リモート合唱映像を作

成し、世界に発信すること

になりました。

 ワセグリ人の皆さんには

説明するまでもありません

が、「遥かな友に」は昭和

26年（１９５１年）、早稲

田大学グリークラブの夏合

宿で学生たちのために作

詞、作曲されたオリジナル

男声合唱曲です。作ったの

はグリーＯＢで作曲家の磯

部俶先輩。今や世界の老若

男女に歌われていますが、

ワセグリ人にとっては〝ソ

ウル・ミュージック〟で

す。

 平成19年（２００７年）

のワセグリ創立１００周年

の時、大隈講堂の前に約８

００人の現役・ＯＢが集ま

って、校歌の大合唱を披露

しました。

現在は集まることが困難

ですので、リモートつまり

離れたところで、〝遥かな

友〟を思いつつ歌ってくだ

さい。そうした多数の声を

集めて、ひとつの「遥かな

友に」を作る。新しい『は

る友』の大合唱です。ワセ

グリ人の心の声の結集をお

待ちしています。

離れていても

心の声を結集して

「遥かな友に」が生まれ

たのは、ワセグリが夏合宿

を行っていた神奈川県津久

井郡青根村（現相模原市緑

区）の道志川のほとりにあ

る宿舎「夫婦園」でした。

作詞・作曲をした磯部俶先

生は当初、作詞者を「津久

井青根」としていました。

磯部先生の著書「遥かな

友に」では、合宿で毎晩就

寝前に枕の取り合いの騒動

が起き、上級生から「何と

か静かに寝かせるために曲

をつくってほしい」と依頼

されて、即興で作詞・作曲

したと書かれています。

しかし当時の部員による

と、前年に部員の半数以上

が去っていった分裂騒動が

あり、「分裂騒ぎから体制

を立て直し、何とかまとま

ってきたメンバーに対する

切々たる思いが込められて

いる」との証言もありま

す。誕

生の地で合唱祭

「はる友」はワセグリだ

けでなく、誕

生の地にも新

たなストーリ

ーを吹き込み

ました。

１９８６年、

「

遙

か

な

友

に」誕生の地

として、青根に多くの人の

支援により歌碑が建てられ

ました。これを機に92年か

ら「磯部俶記念『遙かな友

に』道志川合唱祭」が開催

されています。ボニージャ

ックス、いそべとし男声合

唱団などワセグリＯＢも数

多く参加してきました。

第26回合唱祭（２０１７

年）は、磯部先生の生誕１

００年の年にあたり、記念

曲として、ご子息の磯部周

平先生作曲の「おいでよ、

ここへ」、ボニーの西脇久

夫さん（Ｓ33卒）作曲の

「静かな人」の２曲が誕

生。ボニーや現役グリーク

ラブも出演して披露されま

した。

道志川合唱祭は昨年、コ

ロナ禍のため開催中止とな

りましたが、合唱祭がいつ

までも続くことを願いたい

と思います。

（編集部）

投稿・情報提供お待ちしています

〒141-0031

品川区西五反田5-19-6 杉野耕一宛

Tel 090-8805-9088

Mail：k.sugino@d4.dion.ne.jp

次号は８月下旬発刊 日本芸術院は３月18日、

芸術分野で優れた業績を上

げた人に贈る２０２０年度

の日本芸術院賞に、指揮者

の小林研一郎先生ら６人を

選んだと発表しました。小

林先生は特に業績が顕著と

して、日本画家の千住博氏

とともに「恩賜賞」も贈ら

れます。

小林先生は日本における

音楽文化の発展と国際的発

信における功績が顕著であ

るとともに、教育面での貢

献も大きく、音楽人として

素晴らしいモデルになって

いることが評価されまし

た。そのエネルギッシュな

指揮から「炎のコバケン」

の愛称で親しまれ、早稲田

大学グリークラブとも１９

７０年代から数多くの共演

をしていただいています。

４月からは傘寿記念「チ

ャイコフスキー交響曲全曲

チクルス」を指揮するな

ど、今なお旺盛な活動を続

けておられます。

【中止】１月９日（土）オールワセグリ新年会

（早大大隈ガーデンハウス）

１月17日（日）現役就職相談会（オンライン開催）

【中止】２月17日（水）現役第70回送別演奏会

（杉並公会堂大ホール）

【中止】５月２日（日）第70回東京六大学合唱連盟

定期演奏会（府中の森芸術劇場どりーむホール）

【録画配信】第70回東西四大学合唱演奏会

（すみだトリフォニーホール大ホール）

？ 第28回還暦会（Ｓ58、59卒）＆

順グリ会PartⅡ（Ｓ60～Ｈ02卒）

９月25日(土）東京稲門グリークラブ

第９回定期演奏会

（大田区民ホール・アプリコ）

？ 第26回順グリ会（Ｈ05～12卒）

10月24日（日）稲門祭・稲門音楽祭

（早大早稲田キャンパス）

11月７日（日）第23回東西四大学ＯＢ合唱連盟演奏会

（東京芸術劇場コンサートホール）

いそべとし男声合唱団演奏会

（ティアラこうとう大ホール）

12月５日（日）現役第69回定期演奏会

（鎌倉芸術館大ホール）

12月19日（日）倶楽部グリー演奏会 (杉並公会堂）

2022年１月８日（土）ＯＢ会総会

（早大大隈ガーデンハウス）

2021 現役・ＯＢ会の活動予定

遥かな友に since1951「遥かな友に」が誕生した１９５１年の

夏合宿の地に到着したメンバー

脈々と受け継がれる歌声

「遥かな友に」を作曲した

夏合宿での磯部俶先生

合宿で練習後に毎晩のように行われた

カルテット大会

コバケン先生に

恩賜賞・芸術院賞