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Page 1: 7sakai/risk/2001-8/check/kato... · Web view7.5 基準における安全ゴール 7.5.1 基準の種類 リスク解析の結果は、経済的視点や機械的視点から意思決定を行うプロセスの一部で用いるというよりむしろ、基準作成を目的として、より直接的に使用することが可能である。

7.5 基準における安全ゴール

7.5.1 基準の種類

 リスク解析の結果は、経済的視点や機械的視点から意思決定を行うプロセスの一部で用

いるというよりむしろ、基準作成を目的として、より直接的に使用することが可能であ

る。例えば、基準の作成部署は、国の法律で定められた公的な組織である。それら組織の

役割には、一般的な安全ゴールを設け安全基準を定めるということ、システムのパフォ

ーマンスを監視すること、個人または会社が安全(またはそれに類する)基準に違反し

た際に起訴すること、があげられる。基準の作成部署によって使われた安全基準は、社

会に認知(または受容)されたリスクやハザードとみなすことができるであろう。

 多くの場合、高額システムの使用申請者や管理者は、プロジェクトの各ステージの実施

し先立ち、1つ又は複数の基準作成部署から許認可を取得する必要があると思われる。既存のプロジェクトにおいても、改良や増設を行う際には、同様な許認可プロセスを経る

必要があるであろう。さらに、既存システムでも、従来の又は改訂された安全基準を満

たしていることを基準作成部署に対して証明するために、定期的な安全性レビューが実

施されるであろう。

 従来の基準が個人の健康を保護するのに適切でない場合や、新規技術にたいして妥当で

ない場合は、慣習法(不法行為に対する法律)の違反に基づく訴訟が、基準に対する要求

を補っていくであろう。限界という壁、注意の義務等の過失を証明することの困難さ、

高い法廷費用、そして多くの個人訴訟における裁判の遅さというものは、多くの人々に

とって法的な保障を得ることの妨げになる傾向がある。これらの問題は、団体としての

活動が行われた場合、部分的にではあるが克服されるであろう。慣習法はまた、特に危

険な施設の施工や運転を禁止するための裁判所の命令を得るために用いられるであろう

(Green, 1980)。さらに刑法は、罪を犯したり職場の規律を破った個人(例えば運転員や会社の重役)を起訴する際に用いられるであろう。しかしながら、陪審員は個人を

有罪にするのに抵抗を感じる。というのは、ある種の疑念を超えて完全な過失が起こっ

たことを証明することが困難な場合がしばしばあるからである。このような、もしくは

その他の理由から、Furmston(1992)は、慣習法および刑法は危険な行為に対して抑止効果を発揮しえないことがあると結論づけた。それゆえ、市民を危険行為から守るた

めに、政府は立法行為(例えば基準作成部署の設置)に訴えなければならない場合がある。

 米国原子力規制委員会、英国原子力設備調査団、英国健康安全実行委員会が採用したリ

スク許容基準は、リスクおよびハザードは ”実行可能な範囲内で最低(As Low As Reasonably Possible : ALARP)”もしくは ”到達可能な範囲内で最低(As Low As Reasonably Attainable : ALARA)”であるべきというものである。リスクのレベルとALARPの関係を図 7.5に示す。”低い”、”実行可能”、”到達可能”といった言葉は非常に主観的

, 1月3日,
工学
, 1月3日,
「に」
Page 2: 7sakai/risk/2001-8/check/kato... · Web view7.5 基準における安全ゴール 7.5.1 基準の種類 リスク解析の結果は、経済的視点や機械的視点から意思決定を行うプロセスの一部で用いるというよりむしろ、基準作成を目的として、より直接的に使用することが可能である。

であるため、この基準をより明白な(かつ確かな)言葉-これは、しばしば確率的な基

準を意味する-で定義しようという試みがなされた。それゆえ、リスクに基づいたアプ

ローチは、安全ゴールを作成する際、何らかの”合理的な”基準を定めるために用いられる。

図 7.5 リスクのレベルと ALARP(到達可能な範囲で最低)出展:Sharpら(1993)

 安全基準ゴールは、リスク認知と先に論じた意思決定解析のコンセプトを含むリスク

の考え方に基づいて開発が進められてきた。これらはまた、以下の 3つのタイプの安全基準ゴールの開発にも使用されるであろう。

1. 特定の基準(または従うべきと考えられる基準)2. 定量的な性能要求3. 定量的な安全ゴール

 2番目および 3番目(定量的な性能要求と定量的な安全ゴール)は、性能に基づいた基準であるため、それらは達成することが要求される性能基準(又は安全目標)を明確

に示さなければならない。免許取得者やシステムの仕様を決める運転者の責任、性能レ

ベルを満たすための運転経験や組織構造が、示さなければならない事項として挙げられ

許容できない領域

到達可能な範囲で最低または耐えられる領域

許容できる領域

よほど特殊な事情がないかぎりゆるされないリスク

リスクの減少は重要または改良を行うのにコスト的な障害が非常に大きい

リスクがこのレベル内にあることを証明するための計測を実施

無視できうるリスク

Page 3: 7sakai/risk/2001-8/check/kato... · Web view7.5 基準における安全ゴール 7.5.1 基準の種類 リスク解析の結果は、経済的視点や機械的視点から意思決定を行うプロセスの一部で用いるというよりむしろ、基準作成を目的として、より直接的に使用することが可能である。

る。これには、基準を満たす方策を探す手法および行為に対する柔軟性が必要であり、

さらに、これに従っているという証拠-‘安全ケース’アプローチの重要な要素-が免許取

得者や運転者に与えられる(7.5.2章参照)。 他方、特定の基準は本質的には‘料理の本’と同様のアプローチを用いる。要求に従って

いるということが承認されていることを保証する。明らかに、このアプローチは運転者

や免許取得者に対して多くの柔軟性を提供するものではない。また、これは敵対心を海

だし、運転者や免許取得者に‘見つからずにうまくやる手はないか’という気にさせる雰囲

気を作り出す傾向がある。

 基準作成部署によって用いられている他の許容基準には、品質保証評価および基準(例

えば ISO9000シリーズや AS/NZS4360-1995)の実行とそれに従うことが含まれる。典型的な品質保証評価には、定期的なハザードシナリオ解析(例えば HAZOP、FMEA)の実施と、即座に対応しなければならない事項の発見、操作手順書おn佐久製、緊急時手順

書の作成、安全マネジメントシステムの実行、定期的な安全マネジメントシステムの審

査が含まれる(例えばCorbett, 1990やHSC 1992)。 基準における安全ゴールは、主に過去の経験にもとづいているということを認識する

ことは重要である(Allen, 1992)。それゆえ、現在の基準における安全ゴールは、運転経験の増加等により得られた、利用可能な新しい知見、毒性に関する新しいデータ、過去

には経験のないシステム故障、そして新規技術開発等により改訂する必要があると思わ

れる。

7.5.2 従っていることの証明-‘安全ケース’

 特定の基準では、運転者または免許取得者にとって、基準監督官による施設の検査で許

可が出れば、それで通常は十分である。そのような検査(様々なフォローアップのプロ

セスも含む)では、基準に合致しているかどうかの確認が行われる。先に示したように、

これはある種の敵対的作用を引き起こすであろう。リスクの理解やリスク(および影

響)コントロールのためのマネジメントによる約束を行う必要はない(1章参照)。 他方、運転者や免許取得者が‘安全ケース’-リスクアセスメントの検討と基準における

安全ゴールをどのように満足しているか述べた書類-を提示しなければならない場合が

増加してきている。化学プラントや海上プラットホームでは、良い手順書が出版されて

いる。化学プラントではまた、‘安全検査’とも呼ばれている(例えば Kletz, 1992)。提示された書類は、対象としている施設に対して調査が適切に行われたか(安全性に対す

る要求)、事象の発生確率や影響度は適切に見積もられているか、そして評価結果は関連

する規制に従っていることを示しているか、ということを確認するため、基準許可局に

よって再検討や点検が行われる(例えばMoss,1990)。 安全ケースアプローチの利点とは、証明することの責任が免許取得者や運転者に返され

, 1月3日,
「の作成」
, 1月3日,
「生み出し」
Page 4: 7sakai/risk/2001-8/check/kato... · Web view7.5 基準における安全ゴール 7.5.1 基準の種類 リスク解析の結果は、経済的視点や機械的視点から意思決定を行うプロセスの一部で用いるというよりむしろ、基準作成を目的として、より直接的に使用することが可能である。

るということにある。議論は、全てのステップが基準に基づいて安全に行われているか、

そして基準の適用が出来ない部分については、そのような施設や安全性を許容すること

ができるか、という点に対して行われなければならない。このような方法は、安全性基

準の適用に対して、明らかに大きな柔軟性を持っており、それゆえ、ALARP/ALARAの原則(上記参照)の適用を可能にしているのである。

7.5.3 特定型安全基準

 特定型の安全基準や、あるの業界の安全評価を定めた、従うべきと考えられる基準は、

用いられなければならない。典型的な特定型安全基準を以下に示す。

1. 鉄筋コンクリートの梁におけるコンクリートのかぶり量は、2時間の火災ランクを満たすためには最小でも時間の火災ランクを満たすためには最小でも 50mm必要である(例えば AS3600, 1994)

2. ウラン製粉時のクズに対する最小土かぶりは 2.4mである(EPA, 1983)3. 液化石油ガス(LPG)貯蔵タンク(自動車用小売店)の住宅等に対する最小距離(DOP, 1993)

4. リスクの最大要因を、業界や企業において大きな経済的困難なしに減少させる技術を示している ‘利用できる最高の技術 ’というアプローチ(例えば Russell and Gruber, 1987)

5. 冗長性並列システム、安全装置(例えば例えば緊急ポンプ)、安全施設(例えば防火壁)をシステム内に取り入れなければならないという‘深層防護’のアプローチ

6. システムの‘安全な’運転を確認するために評価されなければならない他の手法

これらの基準は主に過去の経験に基づいている。にもかかわらず、それらは一般的リス

ク解析(例えばDOP, 1993)から導かれるであろう。通常、基準は一般的であり、それゆえ、基準は全てのサイトや特定のプロセスや工場のシステム構成に対して適用でき、

サイト固有のものではない。それゆえ、特定型安全基準は、各プロジェクトが基準に合

致しているかだけで承認の評価が行われ、リスク解析は要求されない。

 ここで、特定型安全基準はリスクベース解析から発展してきたであろうことを追記し

ておく。その一つとして、米国環境保護局(EPA)が 1983年に評価した、ウラン製粉時のクズから放出されるラドンのコントロールに関する例が挙げられる。ラドンガスは吸

引すると発ガンすることがある。もし何もコントロールが行われなかったら(例えば、

ウラン製粉時のクズを環境中にすてた等)、次の 100年間に 600人以上がガンにより死亡すると見積もられた。しかしながら、リスク解析により、もしクズが地中 2.4m以下に捨てられたなら、95%の人の死亡は回避される。すなわち、570人は生きられる、と

, 1月3日,
「すでに述べたように、特定型安全基準はリスクベース解析から発展したものと考えられる」
, 1月3日,
トル
, 1月3日,
「である」
, 1月3日,
「を生ずることなしに」
, 1月3日,
「個人や企業に対する」
, 1月3日,
「2.4mの最小の土のカバー量」
, 1月3日,
「2時間の火災に対する信頼度を達成するための、鉄筋( 鉄筋コンクリート梁)に対する50mmの最小コンクリートカバー量」
, 1月3日,
「に特有な」
, 1月3日,
「ある」
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いう結果が得られた。この際のコストは 5億ドルである。4.8m以下に捨てるなら、99.5%の人の死亡は回避できる。すなわち 597人は生きられる。しかし、この際のコストは 7億 5千万ドルである。EPAは後者の案を却下した。なぜなら、570人と 597人という数には大きな差がなく、予想される死者数の評価には、何らかの不確実性が含まれ

ており、にもかかわらず余分に 2億 5千万ドルかかる。これは、‘おそらく意味の無いものを購入している’ことになる。EPAの規格(EPA, 1983)は、それゆえウラン製粉時のクズの最小土かぶりを 2.4mにした(Russell and Gruber, 1987)

7.5.4 定量的評価の要求

 定量的評価の要求は、定量的であるが確率的である必要のない手法を与えた。この手法

は、要求に従っていることを直接的に計算・評価することができる。典型的な定量的評価

の要求には以下のものが含まれる。

1. 予想される最大規模の洪水はダムの頂上を超えてはならない(例えば Lave ら , 1990)

2. プラント労働者や一般の人々における危険・毒性物質の暴露量の限界(例えば電離し

た放射性物質は 50mSv/年 HMSO, 198)3. 構造システムは、ビルの設計において、死荷重、活荷重、風の荷重、地震荷重、雪の

荷重を最小にするサポートをしなければならない(例えば AS1170.1, 1989)4. 船は、1つもしくは複数の防水コンパーメントに海水が浸入した場合でも、安定性と

浮力を保たなければならない

5. 海上プラットフォームにおける一時安全避難の最小継続時間は 1時間(HSC, 1992)6. 未来の世代は、高レベル放射性廃棄物の影響から自らを防護するような一切の行動を

取る必要はないだろう

 多数の定量的評価要求は、リスクベースのアプローチから決められる。例えば、構造工

学設計基準は、構造要素(例えば塔槽類)の強度は、負荷される作用(例えば荷重による

軸力)よりも大きくなければならないと定めている。設計用の方程式が荷重を計算する

ために用いられ、作用や強度についても用意されている。数値リスク解析は、想定され

る設計の組み合わせをカバーする設計基準の開発の際に用いられる。これは、設計方程式

を示した基準を使用することにより、許容できる‘計画どおりの ’構造物破損確率が示され

ることを確認するために必要とされた。行われたアプローチは、(1) 構造部材や荷重条件

のレンジが比較的一定であり、(2) 約 10-4から 10-5回/年の目標値を超えない、という満

足できる破損確率を要求するためのものである。このプロセスは‘校正’と呼ばれており、

Melchers (1987) に詳細が示されている。破損確率は‘計画通り’と言える。なぜなら、そ

sakai, 1月3日,
「呼ばれる」
sakai, 1月3日,
「公称」
sakai, 1月3日,
「ことになっていた」
sakai, 1月3日,
「公称」
sakai, 1月3日,
「導かれる」
sakai, 1月3日,
「公称」
sakai, 1月3日,
「た」
sakai, 1月3日,
「開発者によって」
sakai, 1月3日,
「組み合わせの範囲」
sakai, 1月3日,
「多くのリスク解析が」
sakai, 1月3日,
「提供される」
sakai, 1月3日,
「荷重、作用、強度を計算するために用いられる設計方程式」
sakai, 1月3日,
「柱」または「コラム」
sakai, 1月3日,
「ようにするべきであろう」
sakai, 1月3日,
「耐久」
sakai, 1月3日,
「最小限の設計死荷重、活荷重、風の荷重、地震荷重、雪の荷重サポートをしなければならない」
, 1月3日,
「性能」
, 1月3日,
「必ずしも確率的でないくらいテリアを提供し、このクライリアを用いて、要求を満たしていることを直接的に計算、あいは、測定することができる」
, 1月3日,
「性能」
, 1月3日,
「定量的性能要求」
Page 6: 7sakai/risk/2001-8/check/kato... · Web view7.5 基準における安全ゴール 7.5.1 基準の種類 リスク解析の結果は、経済的視点や機械的視点から意思決定を行うプロセスの一部で用いるというよりむしろ、基準作成を目的として、より直接的に使用することが可能である。

れらは比較的単純な手法を用いて計算されており、実際の現実を反映する必要はない。し

かし、にもかかわらず、それらは便利な設計モデルである。このアプローチで用いられ

る安全目標は、社会が満足していると一般的に思われる。従来から許容されている構造工

学の習慣から導かれる。これらは、1つのプロジェクトと他のプロジェクトを単純に比

較するために用いられる。‘計画通りの ’(または‘概念上の’)確率と、基準や社会的な許容

できうるリスクレベルの比較には、何も注意ははらわれない。全プロセスは、完全な比

較というよりむしろ、ある種の関連のある比較である。予想通りの確率は、それらが適

用されているフレームワーク外では妥当性がないことを追記しておく(Melchers, 1993)。この手法は、従来の‘安全率’の使用、および従来の設計で用いられていた、荷重

や強度に関する設計法的式の使用が可能である。確率論的な基礎は、従来のルールの裏側

に隠されている(にもかかわらず、正確な数値は校正により固定されている)。実際の

設計プロセスにおいて、構造設計家がリスク解析を行う必要はない。

7.5.5 定量的安全目標

 特定型安全基準と定量的評価の要求は、主にシステム、サブシステム、システム要求に

適用され、それらの機能はサイト固有のものではない。しかしながら、多くの工学的シ

ステムにおいて機能や安全システムはサイト固有であり、機能はサイトの立地環境(居

住区が近くにあるか?)、生産物や原材料の毒性、使用している機器、その他の要因に影

響される。このような場合、工学システムは 1つまたは複数の定量的安全目標基準を満足するように構成しているという定量的な証拠を示すために、リスク解析の実施が必要に

なり、しばしば実施しなければならないのである。定量的安全目標は、通常、リスクベ

ースの承認手法の形態をしている。それは、以下のものに基づいている。

1. 完全な個人最小安全要求の定量的評価2. リスクが‘ささいな’ものに感じるよりも、さらに小さい最小値以下の値

3. 正規の意思決定解析がリスクの経済・社会的正当性を与えるために必要とされるよう

な、リスクの中間領域

 このようなアプローチは、7.5.1章で示した ALARP, ALARAの原則(図 7.5参照)に従っている。定量的安全目標は、システムやサブシステムの破損(例えば、コアメルト、

安全システム破損)、毒性物質の放出、プラント内労働者やサイト外の人の健康影響を定

めるために用いられるであろう。リスクが定量的安全目標を満足しているという保証は、

それだけではリスクが受容されているということを意味しない。定量的安全目標は、単

なる‘目標’であり、他の非確率論的手法もまた、リスクの全体的な受容を判断する際には

重要になる。

sakai, 1月3日,
「するわけではない」
sakai, 1月3日,
「保証することは」
sakai, 1月3日,
「に対して適用することができる」
sakai, 1月3日,
「炉心溶融」
sakai, 1月3日,
「特定の破損」
sakai, 1月3日,
「経済的もしくは」
sakai, 1月3日,
「尺度」
sakai, 1月3日,
「絶対的」
sakai, 1月3日,
「許容基準」
sakai, 1月3日,
「強制される」
sakai, 1月3日,
「実際の設計プロセスの一部としてリスク解析」
sakai, 1月3日,
トル
sakai, 1月3日,
「明確な数値が校正によって固定されてしまうが」
sakai, 1月3日,
「根拠」
sakai, 1月3日,
「を許容する」
sakai, 1月3日,
「方程式」
sakai, 1月3日,
「この結果、公称確率は適用されているフレーム外においては、何の妥当性も持たない」
sakai, 1月3日,
「相対的な」→この辺の訳はかなりニュアンスが違っているので注意して下さい、これ以外の部分についても、詳細な見直しを希望します
sakai, 1月3日,
「絶対的な」
sakai, 1月3日,
「ついては、何の試みも行われていない」
sakai, 1月3日,
「公称の」
sakai, 1月3日,
「このアプローチで用いられる目標は、一般に社会に対して満足を与えていると思われていた、これまでに許容されていた構造工学上の実践から導かれている」
sakai, 1月3日,
「ないからである」
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 定量的安全目標は、業界内および業界間で変化するであろう。これは、特別驚くような

ことではない。なぜなら、それは関係している団体間の交渉や取引を含む複雑な意思決

定プロセスの結果だからである。さらに、経済や社会とのかかわりが政府や地域社会に

うけいれられていない場合でも、新しいまたは提案された目標が既存の施設(たとえそ

の施設が安全でないとわかっている)に合致することもある。その結果、既存の施設に

対する定量的安全目標は厳しくなる傾向がある。

7.5.6 事例-定量的安全目標

(a) 米国の原子力発電プラント

 米国原子力規制委員会(USNRC)の‘安全ゴールに関する最終政策生命 ’には、2つの定性的安全ゴールと 2つの定量的安全目標が含まれている。定性的安全ゴール(ALARAの原則に基づいている)を以下に記す。

1. 一般大衆は、生活や健康に対する重大な附加リスクを負うことのないよう、原子力発

電プラントの運転時の影響に対して、あるレベルの防護を与えられるべきである

2. 原子力発電プラントの運転に伴う生活や健康に対する社会的リスクは、実現可能な競

合技術による発電のリスクと同程度またはそれ以下であるべきであり、他の社会的リ

スクに重大な附加をなすことがないようにすべきである

 これらの定性的安全ゴールは、以下の定量的安全目標によって定量的に定められている

(USNRCの‘定量的設計目標’を参照)

1. 原子炉の事故に伴う原子力プラントサイトの近く(すなわち 1マイル)の人々または個人の‘即時死亡(すなわち、早期死亡)’リスクは、他の事故による即時死亡リスクの

合計の 0.1%-5×10-7/年-を超えてはならない2. 原子炉の事故に伴う原子力発電プラントサイト周辺(すなわち 10マイル)の人々または個人のガンによる死亡(すなわち潜在的な死亡)は、他のガンのリスクの合計の

0.1%-2×10-6/年-を超えてはならない

 1982年の米国の人口は 2億 3100万人であった。約 9万 5千人が事故死しており、約44万人がガンにより死亡した。死亡確率はそれぞれ 5×10-4/年、2×10-3/年である(Spangler, 1987)。この値と上記の安全ゴールから、1マイル以内の人の即時死亡リスクとして 5×10-7/年(すなわち 5×10-4の 0.1%)という定量的安全目標が得られた。また、発電プラントから 10マイル以内の非との潜在的死亡リスクに相当する値は 2×10-

sakai, 1月3日,
「人」
sakai, 1月3日,
「声明」
sakai, 1月3日,
「利害関係者」
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6/年になる。ここで、これらの定量的安全目標は、内的事象によるシステムリスクに起因するものと外的事象(火災や地震)によるシステムリスクに起因するものに完全にわけ

て適用されることを特記しておく(USNRC, 1989)。

(b) 英国の原子力発電プラント

 英国の原子力発電プラントにおいて、定量的安全目標は発電当局の責任である。原子力

設備検査(NII)は、選択された定量的安全目標を受理しなければならないが、発電当局

によって行われたリスク解析を再検討する責任を持つ。根本的な安全目標を以下に示す。

1. 放射性物質の小規模放出につながるすべての事故は、1×10-4/年以下でなければならない

2. 大規模なコントロール不可能な放出(例えば大規模なコアメルト)につながる個々の

事故シーケンスは、1×10-7/年以下でなければならない3. 大規模なコントロール不能な放出につながる全ての事故シーケンスの合計は、1×10-6/年以下でなければならない(Cannell, 1987)。

(c) オーストラリアにおける危険性を潜在的に持つ施設

 都市設計全体において、危険性を潜在的に持つ施設を作る場合の選定は重大な問題であ

る。そのようなアプローチの 1つとして、リスク受容クライテリアを用いた定量的安全目標の適用がある(DOP, 1992)。この適用において、確率論的リスクアセスメントの結果は、通常、リスクコンター(すなわちリスクは危険源からの距離に依存する)の形

で得られる。表 7.9からもわかるように、死者数 1×10-6人/年という定量的安全目標が、施設開発時の近隣住民に対する値として示されている。

表 7.9 様々な土地利用に対する定量的安全目標土地利用 個人死亡リスク(×10-6/年)

病院,学校,育児施設, 老人ホーム 0.5住宅, ホテル, モーテル, 休暇施設 1小売店を含む商業施設, 事務所, 娯楽施設 5スポーツ施設, 活動的オープンスペース 10工場 50

出展:DOP(1992)

sakai, 1月3日,
「等高線」
sakai, 1月3日,
hazardは、他章では「ハザード」としているようです。ご担当部分につきチェックをお願いします。
sakai, 1月3日,
「炉心溶融」
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表 7.9はまた、定量的安全目標は、人々の弱さや危険物質が漏えいした際の回避能力にも

影響をうけている。このため、病院や学校の近くの定量的安全目標は商用店舗の近くより

は厳しく、施設を開発する実際の場所は、よりゆるくなっている。これは、開発させる

施設のほぼ全ての労働者は動きが機敏であり、かつかれれのリスクは自発的なものだか

らである。にもかかわらず、ガイドラインは、個人の死亡リスクが 1×10-6/年を超えるようなサイトでは、付加的な安全改訂、再検討、リスク減少プログラムの実施を行うよ

う定めている。

(d) オランダにおける危険性を潜在的に持つ施設

 オランダでは、新規のまたは潜在的に危険性を持つ施設に対して、以下のような定量的

安全ゴールが適用される(Ale, 1991)。

1. 公衆の個人最大リスクは 10-6/年である(すなわち、人の自然死率の最小値の 1%である)

2. 公衆の個人リスクにおいて、10-8/年以下は無視できると考えられる3. 1つの事故あたりの社会リスクの最大レベルは 10-5/年であり、最大死者数は 10人である-影響度が n 倍大きい場合、最大リスクレベルは n2倍小さくなければならない

4. 1つの事故あたりの社会リスクが 10-7/年で最大死者数が 10人以下の場合、無視できると考えられる。

 上記のクライテリアは、おそらく人口密度の高い地域を想定している。にもかかわら

ず、既存の施設を対象にした場合、このクライテリアは 1オーダー緩和されているよう

である。

(e) 米国における発ガンリスク

 環境中の発ガン性物質に対する公衆の暴露について 132の米国連邦政府規制部局の調

査を統合した結果、以下のことが明らかになった。

1. 個人の一生涯中のリスクが小規模集団に対しては 4×10-3、大規模集団に対しては

3×10-4になると、規制側の行動が常に始まる

2. 個人の一生涯中のリスクが小規模集団に対しては 1×10-4、大規模集団に対しては 10-6

以下の場合、規制側の行動は生じない

 このことは、寿命(ガン)のリスクが 1×10-4から 1×10-6の範囲(最近の事故による

sakai, 1月3日,
「らのリスクは幾分」
sakai, 1月3日,
「そのような場所では」
sakai, 1月3日,
「産業を展開する現場では」
Page 10: 7sakai/risk/2001-8/check/kato... · Web view7.5 基準における安全ゴール 7.5.1 基準の種類 リスク解析の結果は、経済的視点や機械的視点から意思決定を行うプロセスの一部で用いるというよりむしろ、基準作成を目的として、より直接的に使用することが可能である。

死亡リスクは 1.3×10-6から 1.3×10-8である)であれば、社会が受容していると判断で

き、Rodricksと Taylor(1989)によって行われたこの報告は、広く受け入れられた。ある

場合では、規制当局は上記の資料よりも高いリスクでも受け入れている。それは以下の

ケースである。

(a) 暴露を受ける個人が非常に少ない場合

(b) ‘利用可能な最高の技術’が既に用いられている場合(c) 更なる規制が特定の死亡を終結させることができる場合

 (1)よりも高く、(2)よりも低いリスクについては、費用対効果が更なる規制を行う場合

の主な理由になっているようであり、1人の人命を助けるのが 2万ドル以下である場合、リスクの減少が行われることを記しておく。この研究により、規制当局が、受容できる

リスクの定量的解釈を適度に行っていたことが明らかになった。

(f) 他の工学システム

 他の工学システムにおいて、典型的な定量的安全目標は文献から得ることができる。

まとめると以下のようになる。

1. 最近の航空機の引こう制御システムの破損は、1×10-9/時間である(Hoodら, 1992)2. スペースシャトルは、約 10-2/フライトである(Pate-Cornell & Fischbeck, 1990)3. 港湾中の LPG 輸送船の爆発は、1×10-5/年である(Process Engineering, 1991)4. 大規模ダムの破損による死者は、1×10-6/年である(Lafitte, 1993)5. 海上プラットフォームにおける一時的安全避難(1時間以内)は、1回の破損に対して

1×10-3回である

 上記の定量的安全目標は、全て個人の死亡リスクやシステムの破損リスクに関するも

のである。しかしながら、定量的安全目標は、例えば毒性物質の放出や暴露限界、傷病リ

スク、資産や環境に対するダメージ、社会的リスク等、他の項目に対しても表現される。

例えば、図 7.6は社会的リスクに対する定量的安全目標を示しており、いくつかのヨーロ

ッパの国々において提示され、適用されているものである。定量的安全目標は、死者数

が増加するにつれてより厳しくなることを追記しておく。この関係は社会におけるリス

クの受容性を反映した傾向である。すなわち、1回の破損事故で 100人の死者が出る可能性を持つシステム(すなわち‘壊滅的’な状態)は、より多い頻度で何人かの死者が出る

ようなシステム(例えば自動車事故)より重要である(7.3.2章参照)。

sakai, 1月3日,
「より少ない」
sakai, 1月3日,
「飛行」
sakai, 1月3日,
「において一貫性をもって」
Page 11: 7sakai/risk/2001-8/check/kato... · Web view7.5 基準における安全ゴール 7.5.1 基準の種類 リスク解析の結果は、経済的視点や機械的視点から意思決定を行うプロセスの一部で用いるというよりむしろ、基準作成を目的として、より直接的に使用することが可能である。

(g) ‘包括的’な定量的安全目標

 多くの場合、規制当局はある特定のシステムや限定されたグループに対して、法を定

める責任を持つ。これは、異なるシステムに対して、提案、要求された複数の定量的安全

目標において矛盾が生じる可能性があることを意味する。にもかかわらず、これまで見

てきたように、定量的安全目標はむしろ変化しないという傾向にある。この理由は、全

てではないとしても、ほとんどの規制当局で、本質的には同じ手法が用いられているこ

とが挙げられる。それゆえ、様々な事例に基づき‘包括的’または一般的な安全目標を導き

出すこ

Page 12: 7sakai/risk/2001-8/check/kato... · Web view7.5 基準における安全ゴール 7.5.1 基準の種類 リスク解析の結果は、経済的視点や機械的視点から意思決定を行うプロセスの一部で用いるというよりむしろ、基準作成を目的として、より直接的に使用することが可能である。

図 7.6 社会的リスクに対する定量的安全目標出展:DOP(1992)

A 会社'X':許容できない限界B 会社'X':行動を起こさない限界C 会社'Y':リスク目標D 英国原子力業界:リスク規準E Groningen:許容できない限界F Groningen:許容限界G Ale:許容できない限界H Ale:許容限界I オランダ:許容できない限界J オランダ:許容限界

死者数(N)

Nの

頻度または年間死亡者数

(F)

Page 13: 7sakai/risk/2001-8/check/kato... · Web view7.5 基準における安全ゴール 7.5.1 基準の種類 リスク解析の結果は、経済的視点や機械的視点から意思決定を行うプロセスの一部で用いるというよりむしろ、基準作成を目的として、より直接的に使用することが可能である。

とが可能であると思われる。

 この背景として、規制のない業界において‘包括的’な定量的安全目標を、リスクの受容

に関する判断の予備的ガイドラインとして利用しようという提案がなされていることが

挙げられる。

1. 1×10-3を超えるような年間死亡リスクは、一般的に重大であり、明らかに受け入れ

られないと考えられている。規制は必須である(1980年の米国際高裁判決より

Byrd and Lave, 1987参照)2. 年間死亡リスクが 1×10-3から 1×10-6の範囲にある場合は、便益がリスクよりも重要

である(すなわち、正しい意思決定解析を満足している)ならば、一般的には受容さ

れる

3. 年間死亡リスクが 1×10-6以下であるなら、それは無視できると思われる。さらなる

規制は必要ない(慣習法における‘de-minimis’コンセプトであり、裁判所はそれ自身

をささいなことと考え影響なしとする Byrd and Lave, 1987参照)

 既知のリスクとこれらのリスク許容クライテリアの比較を図 7.7に示す。包括的な定

量的安全目標は、Renshaw(1990)、Pate-Cornell(1994)および他の多くの人々によって提案されている。さらに、これらの定量的安全目標は‘包括的’であり、特定のケースに適

用するには、ある程度の注意と適用すべき特別な事情を考慮できる柔軟性が必要である

ことが認識されていなければならない。

7.5.7 ある問題 システムのリスク評価の精度を非常に高くする必要はない。先の章において、システ

ム定義、システム表現、マネジメントシステムの標準化、モデルやパラメータの値の選

定、ヒューマンエラー、そしてリスク解析の手法に関するその他の多くの要求について、

限界や不確実性のあることを示した。それゆえ、第 6章で示したように、システムリスクの評価において、ある程度の不正確な部分が存在することが予想される。さらに、シ

ステムリスクの単一評価(いわゆるQRAから得られる)は、不確実性について何も情報

を示さない(感度解析により得られると思われる)。PRAに着手することは、これがシ

ステム解析における不確実性の伝播を許容しているため、非常に意味のあることである

この方法では、全てのシステムリスクはシステムリスクの不確実性の評価により変化す

る確率分布として表現されるであろう(6.3章参照)。しかしながら、PRAのアプローチでは、既知の不確実性の伝播のみが評価される。さらに、モデルの選択、およびシステ

ムや他の不確定性(または誤差)の知見に関する不確定性を反映させることはできない。

これは気づかれていないか、定量化することができない。さらに、定量的安全目標が平

均値、中央値、なんらかの上限値(例えば 80%、90%、95%)等のどれと比較されるべ

sakai, 1月3日,
「これらは、解析者が気付いていないか、あるいは」
sakai, 1月3日,
「することのみが可能である」
sakai, 1月3日,
「を」
sakai, 1月3日,
「このようにして、全体のシステムリスクが確率分布で表現され、システムリスクの不確定性の指標として分散が用いられる」
sakai, 1月3日,
「例えば」
sakai, 1月3日,
「いくつかの問題点」
sakai, 01/03/-1,
「‘de-minimis’(些細な)」
sakai, 1月3日,
「この流れの中で、産業での規制が無い場合に、下記の‘包括的’な定量的安全目標を、リスクの受容に関する判断の予備的ガイドラインとして利用しようという提案がなされている」
Page 14: 7sakai/risk/2001-8/check/kato... · Web view7.5 基準における安全ゴール 7.5.1 基準の種類 リスク解析の結果は、経済的視点や機械的視点から意思決定を行うプロセスの一部で用いるというよりむしろ、基準作成を目的として、より直接的に使用することが可能である。

きかについて常に明確にされているわけではない。システムリスクの確率的評価につい

て説明するために、‘慎重な悲

図 7.7 定量的リスク許容規準出展:Spangler(1987)

観論’を適用し、規制における定量的安全目標には信頼上限値を用いるべきだと提案して

いる。これは、リスク許容クライテリアが保守的に用いられることを確実にする。これ

は普遍的ではなく、例えば USNRCは、定量的安全目標に従っているか評価する際に、平

均システムリスクを用いている(Pate-Cornell, 1994)。 システムリスク評価の不正確性を得るため、システムリスク評価を‘相対的 ’または‘相関

的’なリスク目的のためのみに使用するということは、より適切なものである。これには、

リスクマネジメント評価における優先順位の設定(リスクランキング)や、類似なプロ

ジェクトにおけるシステムリスク計算結果を用いた‘校正’(7.5.4章参照)が含まれるであろう。さらに、6章で新下ように、最終結果における前提条件や不確実性の高かを確認

するために、感度解析が行われるべきであろう。

現在の個死亡リスク

許容できる

便益がリスクよりも重要であれば許容できる

|意志決定解析

許容できない

かみなりに打たれる

自然災害

すべての工業活動

交通事故

すべての事故

sakai, 1月3日,
「影響」
sakai, 1月3日,
「決定に対する」
sakai, 1月3日,
「述べた」
sakai, 1月3日,
「リスクマネジメントの指標(リスクランキング)における優先順位の設定」
sakai, 1月3日,
「相対的」
sakai, 1月3日,
「比較上の」
sakai, 1月3日,
de-minimus riskの訳である「些細なリスク」を図中に入れて下さい
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 上記の議論は拡張することができる。1点評価による定量的安全目標の表記は、リスク

許容クライテリアの構築において、可変性や不確実性の反映を不可能にする。定量的安全

目標を確率分布で表記すれば、より現実に近いものになるであろう。その分布形状は、

技術、経済、社会、政治といった定量的安全目標の制定に関する個々の様々な視点を表現

したものになる。そのような定量的安全目標は、システムリスクの許容に関する確率的

な度合い(例えば、そのリスクは 14%許容される等)を推定するために使用することが

できる。1点評価による定量的安全性評価では、リスクが許容されるかされないかを単純

に示すだけである。

 システムが 1つ以上の規制当局により規制要求をかせられた場合、不一致が生じる可能性がある。また、規制が、あるシステム破損にのみ注目することもあるかもしれない。

そのような例が Laveら(1990)に示されており、ダムの規制安全基準では、以下の事項

に耐えられなければならないとされている。

1. 可能性のある最大洪水(PFM:年間破損頻度が 10-4から 10-6)

2. 地震(年間破損頻度が 10-3)

3. 風(年間破損頻度が 10-3)

ここで、極端な洪水の発生によるダムの破損の安全ゴールは、他の要因によるダムの破

損よりもより厳しいが、ダムの破損により起こりえる影響というものは、全て等しい。

 最後に、定量的手法に基づいた規制側の安全ゴールは、リスクマネジメントプロセス

を単なる‘数字遊び’にしてしまい、主要な目的が安全をアセスし、再検討し、改良してい

くということよりは、規制に従っていることを示すことになってしまうというところに、

一般的な関心がもたれている。この関心は、ある部分において妥当である。それゆえ、

以下の事項が重要である。

1. 定量的安全目標は、モデル、信頼性データ、リスクアナリシスやリスクアセスメント

を行う際に用いられる仮定や手法に関するガイドラインを伴わなければならない

2. リスクアナリシスおよびリスクアセスメントの質を向上させるために、品質保証および専門化による検証が行われなければならない

 (1)の目的は、ある一部ではあるが、異なる評価者によって導き出されたシステムリス

クが、類似なシステム形態を持つシステムに対しては少なくとも同様であることを保証

することにある。(2)については、次の章で説明する。この章で確認した多くの問題点は、

ま だ 明 ら か に 未 解 決 で あ る 。 よ り 詳 細 な 説 明 の 必 要 な 読 者 は 、

Tweeddale(1993)、Melchers(1993)、Pate-Cornell(1994)を参照すると良い。

sakai, 1月3日,
「節で明らかにした」
sakai, 1月3日,
「大きな」
sakai, 1月3日,
「一貫性の欠如」
sakai, 1月3日,
「が課せられた」
sakai, 1月3日,
「一方、点推定」
sakai, 1月3日,
「を反映することに失敗する」
sakai, 1月3日,
「に対して」
sakai, 1月3日,
「点推定」
Page 16: 7sakai/risk/2001-8/check/kato... · Web view7.5 基準における安全ゴール 7.5.1 基準の種類 リスク解析の結果は、経済的視点や機械的視点から意思決定を行うプロセスの一部で用いるというよりむしろ、基準作成を目的として、より直接的に使用することが可能である。

7.6 品質保証および専門家による検討

 リスクアナリシスの結果は、施設の設計やそのマネジメント、また規制側と運転許可

者の議論に大きな影響を及ぼすため、何らかのコントロールがなされることが重要であ

る。通常、これは品質保証や専門家による検証に関係があり、特に後者は大規模システム

を対象とする際に関係が深くなる。品質保証の手法は、本質的な手法や実施方法に関する

再検討に注目する傾向がある。専門家による再検討は、独立した専門家による再検討であ

り、リスク解析やリスクアセスメントの手法を良く知る、認定された専門家によって行

われる。

 リスク解析における組織、技術、記録が持つ潜在的な問題の領域を表 7.10に示す。これらの事項は、リスク解析とその結果の質に、大きな影響を及ぼす。12の原子力発電プ

ラントの PRAを専門家が再検討したところ、いくつかの重要な事項が明らかになった

(図 7.8参照)。それには、以下の項目が含まれる。

  1. 事故シーケンスとシステムモデリング

  2. ヒューマンパフォーマンス解析  3. 起因事象の認定

図 7.8 原子力発電プラント PRAにおける重要問題出展:Gubler(1995)

 品質保証の手段は、これらの重要事項に焦点があてられる。EPRIが作成したガイドラ

マネジメント、組織QA, 監査、内部再検討コアダメージの定義

起因物の特定プラントシステム要求起因事象のグルーピング

事故シーケンスモデリングシステムモデリング

ヒューマンパフォーマンス解析定性的信頼性解析

物理的プロセスの影響ダメージ状態に移行するシーケンスの分類

起因事象頻度評価機器/システム信頼性

共通破損原因の評価ヒューマンエラー確率の評価

定量化記録

重要問題のパーセント

sakai, 1月3日,
「言及するべきである」
sakai, 1月3日,
「指標」
sakai, 1月3日,
「に対する12のピアレビューによると」
sakai, 1月3日,
トル
sakai, 1月3日,
「厳格なレビュー」
sakai, 1月3日,
「ピアレビュー」
sakai, 1月3日,
「焦点をあてる」
sakai, 1月3日,
「内部手続きや実施のレビュー」
sakai, 1月3日,
「ピアレビューからなり」
sakai, 1月3日,
「規制の決定と許認可の決定」
sakai, 1月3日,
peer reviewは、最近日本でもそのままピアレビューと言うことが多いようです。その意味するところは、厳密なレビューということです。
Page 17: 7sakai/risk/2001-8/check/kato... · Web view7.5 基準における安全ゴール 7.5.1 基準の種類 リスク解析の結果は、経済的視点や機械的視点から意思決定を行うプロセスの一部で用いるというよりむしろ、基準作成を目的として、より直接的に使用することが可能である。

イン(1983)では、通常、品質保証は関係者による内部的規律による再検討、つまりあるタスクに対する再検討を、同様のタスクを行っている他のメンバーによって行う、に

よって達成されるとしている。プラントおよび設計担当者も、再検討チームに含められ

るべきである。さらに、関係者による内部的規律による再検討(すなわち、個々のタス

クの境界を越えて延長すること)は、内部的規律による再検討を完全にするために行わ

れるべきである。

表 7.10 PRAの技術的妥当性に対する潜在的問題領域

領域 項目

組織

経験

バランス

統合

コミュニケーション

責任

技術

完全さ

精度

定量化

実証

一貫性

記録明確さ

履歴の確認性

EPRI(1983). Copyright 1983. Electric Power Research Institute, EPRI NP-3298. An Approach to the Assurance of Technical Adequacy in Probabilistic Risk Assessments of Light Water Reactors. Reprinted with Permission.

 例えば、原子力施設のリスク解析に対する、専門家による再検討の、非常に幅広い一般

的なガイドラインは、国際原子力エネルギー省(IAEA, 1995)によって発表されている。

これらのガイドラインは、専門家による再検討の目的を以下のように述べている。

1. PRAにおける、重要な技術および手法の問題に対する扱いの妥当性評価

2. PRAにより得られた特定の結果およびその適用が、基礎をなす技術的解析(すな

わちリスクアセスメント)により適切にサポートされているかどうかの評価

 専門家による再検討により、品質保証の信頼性要求は満足されることになるであろう。

sakai, 1月3日,
「親任要求も満足する」
sakai, 1月3日,
「この結果、ピアレビュー」
sakai, 1月3日,
「背景となる」
sakai, 1月3日,
「ピアレビュー」
sakai, 1月3日,
「ピアレビュー」
sakai, 1月3日,
「レビューを補間」
sakai, 1月3日,
「るようなレビュー」
sakai, 1月3日,
「レビュー」
sakai, 1月3日,
「レビュー」
sakai, 1月3日,
「レビュー」
sakai, 1月3日,
「レビュー」
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またこれにより、組織が持っている先入観や解析時の偏りがへり、解析者や規制当局の経

験が増すであろう。さらに Gublerは ”専門家による再検討の重要な点はコミュニケーシ

ョンにあり、再検討を実施する国際的な専門家と PRAチームのメンバーが意見を交換す

ることにある”と述べている。専門家による再検討は、リスク解析/アセスメントおよび

意思決定プロセスの質を向上させるため、意思決定の信用性が増加する。政治的にまたは

大衆に対して密接な関係を持つ、重大な問題に対する意思決定を行う際には、これは特に

重要になる。ただし、専門家による再検討は完全であるべきであり、一般的に行われる

内部的な再検討や他の品質保証の手段に置き換えるものではないことを追記しておく。

7.7 まとめ リスクやハザードの受容性は、そのリスクにさらされる可能性のある人におけるリス

クの認知と正式な意思決定プロセスの結果の両方に影響をうける。規制における安全ゴー

ルは、この両方を反映したものになる傾向がある。与えられたリスクのレベルに関する

認知は、心理学的、社会統計学的変数により影響をうけ、これらは、特にそのリスクに最

もさらされる人々の価値、信用、社会的姿勢を反映している。

 期待値(リスク-コスト-便益)や期待有益法のような正式な意志決定解析は、意思決

定者に、可能性のある影響や結果の選択を評価する解析的な技術を与える。リスクの受容

性とそれに対する意志は、社会の姿勢や優先順位、または新しい危険の出現により、時間

がたつにつれ変化する可能性がある。

 もし、リスクのレベルや危険の大きさを反映hした安全基準が適切に施行されたなら

ば、社会はそれらを快く受け入れるであろう。安全基準は、幾つかの方法により設定さ

れるであろう。最も論理的な方法は、リスクベースのアプローチから導かれたものであ

り、この際、リスク解析が安全基準に従っているか証明するために必要になる。原子力、

化学プロセス、海上石油掘削業界における安全基準や安全ゴールでは、システム故障のリ

スクは、特定の定量的安全目標を満足しなければならないと定めれらている。評価する

ことのできるリスクの不正確さの度合いにより、リスク許容基準の設定値は議論される

しかしながら、定量的安全目標は一般的に個人年間死亡率で 1×10-3から 1×10-7の半異

で状況に応じて設定される。他の値、例えば重大事故リスク、毒性物質放出リスク、サブ

システムの故障リスクも用いられる。

 定量的安全目標に従うことは、リスクの許容に際して重要であるが、意思決定時の唯一

の基準であると思ってはいけない。他の定量的性能要求の実施による成功事例や、品質保

証基準、経済や政治的問題といった事項も、より深い考察を行う際に、一般的には必要に

なるであろう。

 最後に、Coxと Ricci(1989)は以下のように述べている。”技術的リスクが受け入れられるためには、リスク統計量や目標数値だけではなく、社会的なプロセスや、適切さ、

公平さ、効果、実効可能性、許容性を考慮に入れた全体ゴールに達することを、社会が快

sakai, 1月3日,
「範囲」
sakai, 1月3日,
「られて」
sakai, 1月3日,
トル
sakai, 1月3日,
「新しいハザードに関する知見」
sakai, 1月3日,
「定期的なレビュー」
sakai, 1月3日,
「ピアレビューは補間するもの」
sakai, 1月3日,
「ピアレビュー」
sakai, 1月3日,
「レビュー」
sakai, 1月3日,
「ピアレビュー」
sakai, 1月3日,
「減り」
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く認めるトレードオフも大切である。”また、リスク許容基準に関する問題は複雑で、不

確実性の問題も含んでいることは明白である。それゆえ、多くの部分は、現時点ではま

だ解決されていない。これに関してさらに知りたい読者は、Philley(1992), Pidgeonら(1992), Hood ら (1992), Reid(1992), Russell and Gruber(1987), Ricci ら (1989), Wilson and Crouch(1987), Whipple(1987), Cox and Ricci(1989), Kemp(1991)等を参考にすると良い。