bending(船の曲がり)とミツル式draftsurveyの関係について(ミ...

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Ⅰ.概論(ポイント、ミツル式Tank測量と船の曲がりの関係はワンセット) Bending(船の曲がり)とミツル式DraftSurveyの関係について(ミツル理論) 読者の皆様方には、誠に 申し訳ございません。 暫くの間、掲載できない 事態となりましたドラフトボート 喫水線読み取りに 使用します AP FP LBP 1/2LBP DraftMark FP:船首垂線 AP:船尾垂線 LBP:垂線間長 満載喫水 (Full Draft) キール(Keel) ORE HOLD B.W. B.W.T. 5メートル20センチ 5M 10cm 10cm 2cm 2cm 5メートル 5メートル30センチ < DraftMarkの例 > この場合の読み; 5メートル40センチ 喫水検査は、人が目視で 船の深さを読み取ります。 大型船は、長さが320mもあります。

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Page 1: Bending(船の曲がり)とミツル式DraftSurveyの関係について(ミ …draftsurvey.info/wp-content/uploads/2016/03/riron1_01... · 2016. 3. 7. · Ⅰ.概論(ポイント、ミツル式Tank測量と船の曲がりの関係はワンセット)

Ⅰ.概論(ポイント、ミツル式Tank測量と船の曲がりの関係はワンセット)

    空船の測量時において、ミツル式タンク測量の正当性を実際のDraftSurvey(喫水検査)で立証する

  為にも、BendingとConstantの関係が極めて、重要な観点となる。それは、新しいミツル式タンク測量を

実験をして理論を展開しても、船長や船会社は実際の DraftSurvey(喫水検査)の測定した値で立証

  するよう求めて来るので、その時にBendingとConstantの関係を理解しておく事が必須となる。

   著者は平成19年4月頃から本格的に「ミツル式Tank測量で正しく喫水検査を実施すれば造船所の

証明したConstantより大きなConstantになる」と船側に説明し、Constantの改定(造船所の証明Const

ant重量)の変更を要求活動」を始めた。この「活動を喫水検査の是正活動」と著者は呼んだ。

   著者が船のBending(曲がり)について前置きをこのように述べるのは、今後、ミツル式タンク測量を実践

  して正しい喫水検査(ミツル式DraftSurvey)を試みる場合、このBending(HoggSagg)の特性を理解してお

  かなければ、Surveyorが窮地に陥るからである。

   著者のこれまでの経験では、ミツル式Tank測量を実施して

  Constantが造船所より大きくなる事を検証する場合、船側が

  意識的にHoggingになるようBallast水(海水)をタンクに張る

  ケースも有った。

   また、新造船のConstantの変更を著者が船会社に要請し

  た時だったが、造船所の技士からHogging状態にBallast

  水(海水)をタンクに張るので、空船(Constantの測量)の喫

  水検査を実施して欲しいと著者が要望を受けた(平成19年

  9月2日の船上にて)事も有った。

このように、造船所の技士や船長クラスの有識者であれば、Hoggingの状態で空船時のDraftsurvey

  を実施すれば、船の重量(Constant=付帯重量)が小さく計算されるという理論を理解している。

   即ち、日本から広がった平均喫水線(QuarterMean方式) の中央のDraft(水深)のウエイトを75%とし

  て船の水深を決定する方法が正しくないと理解しているのである。

   そこで、わざわざBallast水の張り方を変えて、Hoggingの船型にしてからDraftSurvey(喫水検査)をさ

   せようとするのである。

 結 び、

   ミツル式タンク測量の検証をする条件として、この船のBendingの観点は切っても切り離せない関係に

  ある。それは日本国内における喫水検査の規定(標準)では、QuarterMean方式の計算が正しいと理解

  されており、Surveyorが盲目的にSaggingでもHoggingでも平均喫水線が正しく求められていると信じ て

 いる事が要因として上げられる。中央の喫水線(船の水深)の度合  を75%だとして算出し、水面下の船の体積を出している現在の

 喫水検査法は間違っているのである。詳細はHoggSaggの箇所参照。

   即ち、ミツル式タンク測量を実施しても、船側から故意に

  Hoggingにされていたら、ミツル式タンク測量でConstantが大

  きくなる要因と、HoggingによりConstantが小さくなる要素が

  相殺されてしまう。この両者の因果関係の結果、両方の特性

 が、データから見えなくなる。最終的に増加させるべきConstant

 の変更(是正)が出来ないばかりか、旧法の改善すべきDraftSur

 veyの定説が残り続ける事になる。

  左の写真は、造船所側の要望に応えて、Hoggingの形でDraft

 Surveyを実施した時の状況である。 

            Bending(船の曲がり)とミツル式DraftSurveyの関係について(ミツル理論)

Bending(湾曲)によりConstantの測定値が変る。!

サギィング中央がふくらむ

Sagging

ホギィング中央がへこむ

Hogging

ミツル式タンク測量実施

Hogging状態におけるConstant測量実施 H19.9.5

2ndOfficer

鑑定人Surveyor

測定Constant 852 トン

造船所証明Constant 426 トン

P-1

読者の皆様方には、誠に

申し訳ございません。

暫くの間、掲載できない

事態となりました。

ドラフトボート喫水線読み取りに

使用します

AP FPLBP

1/2LBP

DraftMark

FP:船首垂線

AP:船尾垂線

LBP:垂線間長満載喫水(Full Draft)

キール(Keel)

ORE

HOLDB.W. B.W.T.

5メートル20センチ2

5 M

410cm

10cm2cm

2cm5メートル

5メートル30センチ

< DraftMarkの例 >この場合の読み;

5メートル40センチ

喫水検査は、人が目視で船の深さを読み取ります。

大型船は、長さが320mもあります。

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Ⅱ.SaggingとHoggingの測量結果対比

   事例-1の船は、Capeサイズより少しだけ小型の

 船である。しかし、全長245mでCapeサイズより短い

 が、横幅はCapeサイズと同じ43mである。

   このサイズの意味するところは、豪州(石炭と鉄鉱

 石)と日本のピストン運輸を目的として建造されてい

 る事である。

  この事は、入港時の曲がりは横幅が広い事等から、

 Saggingの度合いが10㎝以上大きくなる事は考えに

 くい。

  しかし、一方で、№6番Holdに海水を取り入れて、

出港する場合は、10㎝程度のSaggingに成るが、Ho

ldに故意に海水を入れない場合は20㎝以下のHogg

ingとなる。

  H20年のConstant測量結果94トンの検査は著者

 が測定に立ち合った。

 その時、№6Holdに海水を張らず、17㎝のHogging

 著者が船長に直接「HoggingでのConstant測量は良くない。次はSaggingにして下さい」と申し込んだ。

 くない。次はSaggingにして下さい」と申し込んだ。

  船長は韓国の方だったが、著者の申し込みを受け入れてくれた。その結果、緑色のConstantの測定値

 となっている。

  ここで、著者が敢て凡その感覚で推論(正確ではない)述べる事にする。中央の曲がりは一概には言え

 ないが、凡そ4㎝でこの船の場合90トン(TPC=1㎝当たりの船の体積増減)程度変化する。

  これを、①のデータと、②のデータでを用いて、船の曲がりとConstantの関係を、推定してみる。

A= 28㎝(17+11)  B= 22.5トン/㎝ (1㎝当たりの増減の影響  90トン÷4㎝)

   ①のデータから②のConstantの予測をしてみる。

   期待値(予測値)= 724トン(92トン+28×22.5トン/㎝) Differ 1トン(745-744)

 総 論

  上記試算は、たまたま期待値が的中してはいるが、全くの偶然ではない。総論としてHoggSaggの影響

 がConstantの測定値に直結している事は疑いの無い事実である。

  下図の経緯表でも、Hoggになると、Constantが小さくなる(Saggingに対して)事が一目瞭然である。

2.Constantの推移(Decleard Constant;LoadingPort & DischargeingPort)

-800-600-400-200

020040060080010001200

4 8 9 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 4 5 7 8 9 10 10 12 1 2 3 5 8 11 12 1

コンスタント

トン

入港年月

揚地測量積地申告

2007 20102008 2009

Sagging の測定= SaSa

Sa Sa Sa

SaSa

Hogging の測定

著者より船長に Hoggingの測定は

Constant測量に適していない と申し込み

船長は、次回 Saggingにすると約束

Hogging の測定

94 165

723

532

916

682

453

-200

200

600

1000

H20 H20 H21 H20 H21 H22 H22 H22

コンスタント(MT)

施 検 日

Hogg

17

Sagg11㎝

Hogging 測量

Sagging 測量

両者の差=531トン

Hogging測量

D/Weight 106,552 造船所Constant 277

Sagging測量

事例-1

①のデータ ②のデータ

P-2

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   事例-2の船は、典型的なPanaMaxで小型船である。

  本船はNo4Holdに海水をとり入れない場合は、

  約10㎝程度のHoggingとなる。

この場合、通常の6㎝程度のSagging状態に

比較約300トン程度Constantが小さく計測され

てしまうので、Constantの測量を取りやめる事

が肝要。

   著者は残念ながら、この本船には一度も乗船

 した事が無いので、なぜ、Hoggingにするのか

 事例―1の本船のように、船長との協議の場が

 持てなかったので定かではないが、以下のよう

 にDraftSurvey上の問題点を指摘する。

このように、Holdに海水を張らない事により、

HoggingにしてDraftSurveyを実施する事は見

 方によれば、悪質だと言える。

問題は1頁に記載した通り、平均喫水線の

計算上の特質を利用して、Constantが小さく計

測される事を意図としていると推察されるからで

ある。

  本来、Surveyorが、このようなHogging状態で

 喫水検査をさせないように船側を指導しなければならない。それは喫水検査の権限が、国土交通省から

認可を受けた検定会社の鑑定人であるSurveyorに有るからである。

  また、この本船のConstant測量(空船の測量)の悪質性は他にもある。それは、Trim(縦向き傾斜)とFullBa

 llastの関係である。 下のデータは、BallastTank内の海水(Ballast水)の状態である。

  殆どのタンクがタンク収納容量の100%

近い海水を取り込んでいる。

  このような状態では、Tankの測量が出

来ない事を、Surveyorが初歩的な知識とし

て理解していなければならない。

  著者から見れば、Constantの測量をは

じめから投げ出しているとしか言いようが

ない測定条件である。

 今や国内の空船の喫水検査は、崩壊し

ていると言っても過言ではない。

本船はHoggingの測量状態に加えて、

Trim(縦向き傾斜)を4mもつけている。これ

ではタンク内にエアが閉じ込められて測量

自体が測深管からBallast水が吹き出る等の

現象推定され、タンク測量不能である。

このようにTrimを付けるのはHoldに海水

を張らない為、船尾を極端に下げなければプロペラが海面に露出してしまうからである。

Surveyorが上データのようにHoldに海水を張らせてトリムを小さくし、Saggingの測量も指導すべきである。

 しかし、Surveyorが船長に、Ballast水の具体的な指示を出す事は、原料購入側の理解が無い限り容易な事で

はない。それは、船側がBallast水のンディションを決める習慣が長年続いているからである。

319

80

149

517 501

672

-200

200

600

1000

H19 H22 H22 H H20 H21 H22 H H H

コンスタント(MT)

施 検 日

Hogging 測量

Sagging 測量

両者の差=381トン

Hogging測量

D/Weight 76,662 造船所Constant 調査中

Trimが4Mで

大きすぎる。!

Constantは

小さく出る傾向か?

Sagging測量

事例-2

Full Capacity( % ) (m3)

FPT S 99.5 1,768.18APT S 99.9 965.31

1 P S 99.5 1,292.66S S 97.9 1,280.28

2 P S 99.6 1,521.12S S 99.9 1,507.76

3 P S 95.1 2,724.72S S 98.1 2,722.13

4 P S 100.0 1,187.52S S 100.0 1,187.52

5 P S 100.0 602.71(TST) S S 100.0 602.71

4 P S 100.0 1,235.99S S 100.0 1,235.99

5 P S 65.7 602.91S S 62.2 602.91

4 U 96.1 13,333.16

BALLAST WATERSounding Volume

(m) (m3 )16.47 1,768.18

Tank No.

11.33 963.9820.64 1,286.1120.33 1,253.9819.74 1,515.5719.80 1,505.7319.34 2,590.4719.57 2,669.3214.52 1,187.5214.66 1,187.52

Full 602.71Full 602.71Full 1,235.99Full 1,235.99

4.08 395.953.97 375.13

HOLD 2.81 12,807.62

Sagging 3.5㎝のBallastTankの状況 (ポイント、Holdに海水注入)

P-3

オーストラリアの 鉄鉱石専用

積み込み用の桟橋です。

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   事例-3の船は、典型的なCapeサイズのBalk船である。

  Balk船はHoldに海水をとり入れない場合は、Hoggingとな

  るが、本船も意図的だと推察するが、Holdに海水をとり入

  れない状態(10㎝程度のHogging)でConstantの

 測量をしている。

  平成23年6月は、たまたまバース(着岸壁)をシ

 フト(移動)しなくてはならなくなったので

 船のバランスを取るため№2Holdと№6Holdに

若干の海水を取り込んだ事により、1㎝のSagging

状態でConstant測量をする事が出来た。

そういう意味では、平成23年のSaggingのデータは

大変貴重である。

結果は、350トン程度、Hoggingのデータに比較し

て、Saggingの方がConstantが大きくなった。

尚、通常本船は№6HoldにしかBallastを張らない

と推定される。その場合は、10㎝程度のSagging

が想定される。今回は船の縦向き傾斜を小さくす

るため、No2HoldにもBllastを張ったため、僅か1㎝

程度のSaggingになったと推察しいる。

 本船のConstant(空船の測量)は、HoldにBallast

を張りSaggingで測量すべきである。

 本船は、2009.7.17の建造である。著者がConst

antの是正活動を進めていた当時は、新造船だった

ので、残念ながら著者は乗船した事がない。従って、正確な推定は出来ないが、ミツル式Tank測量を厳正

に実施したケースと、しなかったケースが有ったように考えている。 著者には、H22.07月のデータの方が、

忠実にミツル式簡易タンク測量を実施したように思えてならない。

しかし、大局的にHogging状態でのConstant測量の方が、Saggingでの測量に比較して、小さいConstant

が測量される傾向は不動である。

 大切な事は、DraftSurveyが人の勘に頼ったりする検査なので理解に苦しむデータもある。しかし、そのデ

ータを安易に異常値だと決めつけて除外する事が有ってはならない、という事だと著者は考える。

 尚、本船はテープの先が平たい重りを使用しているので、Tank測深管内の水面変動は、旧法で計測する

と誤差が大きかったと推察される。

  本船は、Constant測量を繰

り返した結果、チーフ(一等航

海士)の判断で、造船所の証明

Constant重量380トンを、新造

船なのに480トンに変更した。

 僅か100トンの増加ではある

一等航海士の英断に心より拍

手を送りたい。新造船のCons

tantを船側の判断で変更する

事は大変なことである。

P-4

834

519

176

502

366

487

862

0

400

800

1200

コンスタント(MT)

施 検 日

Sagging測量 Hogging測量

SaggingのConstant測量

D/Weight 207,973 造船所Constant 380

Hogg Saggの 両者の差=349トン

HoggingのConstant測量

Sagg1㎝

Hoggは10㎝程度

事例-3

Constantの推移(Decleard Constant;LoadingPort & DischargeingPort)

0250500750

100012501500

8 9 11 12 1 2 4 5 7 8 1 2 4 5 6

コンスタント

トン 積地申告 揚地測量

入港年月

基準値造船所証明Constant使用

Hoggingによる測定 測定値から見れば

チーフの行為は評価できる!

2009 20112010

ConstantチェックSurveyでチーフが自主的にConstant増加を決めた本船例

Hogging原因不明

Sagging

著者 (盈みつる)

本船チーフ

Reading

読者の皆様方には、誠に

申し訳ございません。

暫くの間、掲載できない

事態となりました。

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Ⅲ.Constantに関する基本的な説明と、Hogging測量に関するSurveyorの見解注)HoggingSaggingとConstantの関係理論は、後日、別資料で説明する。!

1.新造船時コンスタント算出方法について

 【YARD別DWTコンスタント算出方法】

 (1)三井造船の場合(三井造船資料より)   ・ Cooling Water :100%積

   ① MES標準   ・ Oil & Water in E/R:各種置きタンク内の水・油重量、容積の約80%積

    ・ Pronision :4.5 [kg]×航海日数    

    ・ Men & Effects :150 [kg]×定員

    ・ Store :定数+法定外備品

 上述のようにコンスタント重量の内、水・油が全体の約8割を占める。従って、ファーストオーダーとしてコンスタント重量は主機馬力の関数となる。但し、置きタンク等の容量を特別な数値にすると重量は変動する。

   ② 船舶サイズ(主機馬力)によるコンスタント重量の例

    ・ Handymax BC :205 [MT] BC = BulkCarrier?

    ・ Panamax BC :270 [MT] 約7万トン積載タイプ(幅制限)

 (2)ユニバーサル造船・津の場合   ① DWTコンスタントを下図より推定。

② DWTコンスタント内訳

・ Crew & Effects :120 [kg]×定員 (定員30名なら3.6Tとなるが、余裕を見込んで10Tとしている。)

    ・ Store & Effects :主機馬力[PS]の0.25~0.5%重量

・ Oil & Water in E/R:主機馬力[PS]の1.0%重量

・ Spare Gears(70t) :70T

        * ①のDWTコンスタントtotal重量を勘案し、余裕も見込んでいる。

2.コンスタント数量の増加について

  船は通常、経年と共にサビ・スラッジ・修繕等による部材等々が増加し、その結果、世界でも船の年齢に比 例して増加する事が定説になっている。しかし、実際には建造から十数年を経ても変化させない本船もあるな ど、船側、船会社も強固な姿勢を崩さなかった。 コンスタントは実測値と本船申告値(造船時数量)の差が出 すいが、著者がミツル式タンク測量によるConstant測量の精度向上や、Constantの現状分析を船会社側に 説明するまでは、殆ど船側の主張するConstantの数字に、喫水検査の測定値を変更していた。それは、現在

コンスタント と 船体縦曲げモーメント(サギング・ホギング)の関連について

【コンスタント】 著者の見解ではない。通常、空船時における持ち物(燃料、清水、バラスト等)を

除外した排水量とLightShipとの差を言い、新造船時に造船所で求められる。 しかしながら、その重量に対しては、「不変である」 「増加する」 など、関係者内でも認識の相違が見られるが、正しくは一時期増加する。豪州では増加の計算式まで記載されている。しかし、著者は喫水検査で求められるConstantをこのよう な。

【縦曲げモーメント】 著者の見解ではない。船体には船を船首尾方向に曲げようとする縦曲げ

モーメント (longitudinal bending moment)が働き、浮力と質量の分布によって次の2つの状態がある。

著者は大型船になるとこのような単純な曲がり方ばかりではないと考えている。

Sagging Hogging

【著者の見解】

空船時の喫水検査は、総浮力から船に有る持物を

差し引いた値を計算する。Constantを求めているので

はない。関係式は以下の通り。喫水検査で求める値= 総浮力-持物(燃料等)

=LightShip+Constantところで、造船所はLightShip(船の重さ)を喫水検査

求める。Constant左記のように固定値(理論値)である。結 論、DraftSurvey上の求める値と、造船所で求めた値の

相違は、LightShip(船の重さ)の相違である。それをConstantの数字で、喫水検査の正確性を評

価するので、おかしな意見が飛び交う事になる。

即ち、LightShipは、HoggSaggやミツル式タンク測量

P-5

鉱石の露天掘り (オーストラリア)

鉱石貯場 (オーストラリア)

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 でも同じ傾向である。しかし、これを不服として建造から相当年数が経過し、尚且つ、低いコンスタント数量を 採用し続けている本船に対して著者が直接交渉して、増加させた。

 <実例その1・・・本船チーフの判断でコンスタント増加した直近の本船>

   本船;Aは、十数年前から定期的に入港していたが、350トンのコンスタントを継続していた。著者がH16.11月 Surveyorと

  コンスタント測量を目的とした喫水検査(バラスト測量2回実施)を実施。結果、378トンのコンスタントを算出、 以降は、本船

  本船チーフ、船長の判断で378トンを採用。

 <実例その2・・・船会社・チーフ・船長との協議でコンスタント数量改訂>

   H17.8月までに協議、改訂した本船・・・・・18船

3.コンスタント数量算出に影響する船体縦曲げモーメントについて

  本船・DraftSurvey関係者間では、Saggingのケースでは、Constantが大きく測定され、Hoggingのケースでは その逆というのが一般的な解釈である。下に掲載したのは、入港時がSagging、出港時がHoggingとなったため、

 測定値が通常のコンスタントと大きく乖離したと推測できる実例(データー)である。

【2港目の検査会社からの喫水検査データ(抜粋)】  本船; A (仮名称)   船社; B  揚げ地; 大分→名古屋 (2港揚げ)

【検査会社からのメモ(E-Mail)】

  この本船は、<実例その2>で紹介した本船であるが、名古屋検査官からのメモにあるように、HoggSagg の

影響で、実際の測定値が通常のコンスタントから大きくかけ離れたものと、Surveyorは解釈している。

著者からのコメント

大型船においては、船の曲がり(HoggSagg)の姿から、検討しなくてはなりません。また、船の何処が凹んだ

り膨らんだりしているかも検討が必要である。これまでの中央と船首、船尾の体積のウエイトによる係数を

中央の水深(MidDraft)を75%として、評価する方法(QuarterMean)は間違っている。

HggSaggの技術的見解については、後日、説明を展開する。!

Applicants

Robe River Iron Ore - Lump MT LT

Robe River Iron Ore - Fine MT LT

MT LT

Total: MT LT

Port from/to Port Walcott / Nagoya via Oita

Place F-11

Sea Condition cm cm

Density

Fore (P't&S'd) m m m m

Aft (P't&S'd) m m m m

Port Mid. m m

Stb'd Mid. m m

Q/M m m

Appr'nt Disp.

TPC

Trim Corr.  

Density Corr.  

Cor'd Disp.  ★ m.t. (A) m.t. (B)

Fuel Oil

Diesel Oil

Lub. Oil

Fresh Water

Ballast Water

Bilge Remain

Other

on Hand Total★ m.t. (a) m.t. (b)

Actual Constant m.t. Decided Constant m.t.-174

7.560

7.7907.703

FINAL SURVEY

59,082

30,040

Nippon Steel Corporation, Nagoya Works Berth

1.0185

0.0

M.T.

Oil Total

347

89,164

-413120,445

314.0

33.0

717.0

8.970

6.530

8.990

INITIAL SURVEY

114.7

0

Cargo

Bill of Lading

NIPPON STEEL CORPORATION

Robe River Iron Ore - Lump & Fine

173,903 0

Oil Total

749

OUTTURN 87,756 L.T. or

120,858

11.240

11.22011.230

11.230

11.230

442

7,690

0

79,298

406

55,341

32.0

80,946

111.3

-1,142

-506

56,496

20(Port Mid) (Starboard Mid)

11.230

11.230

6.450

8,479

111,966 22,802 m.t. (B - b)m.t. (A - a)

380

~前文略~

C/Oに聞いたところ NSC殿と 船社B殿の合意のもと、本船のコンスタントを 378トンとしているとのことです。本船Aは過去の終検時は、あまり UsualConstantと、かけ離れたコンスタントが出なかったように記憶していますが、今回-174トン とかなりかけ離れたコンスタントが出てしまいました。今回は、出港後 Dock に向かうため HoldBallastを張っておらず、Hoggingが大きい

出港時Hogging6cm

DraftSurveyから算出されたコンスタント数量

本船と協議して決定されたコンスタント数量

Sea Condition cm

Density

Fore (P't&S'd) m m

Aft (P't&S'd) m m

Port Mid. m

Stb'd Mid. m

Q/M m

20 (Port Mid)

17.780

17.840

17.910

17.89017.878

17.780

17.840

1.0210

INITIAL SURVEY

【1港目入港時検査データ(抜粋)】

入港時Sagging

September13.2005

【実例】

Sagging

Hogging

P-6

著者の発明した 船舶の傾斜計 出願番号 2015-4534854

特許番号 第5827775号オーストラリア 特許証交付予定 H28.04

ドイツ 特許申請中

水の交換不要!。片手で持ち運びが出来るようにしました。

現在、国内で使用中です。

大型船の設置、収納は

わずか、4分で出来ます。現在、喫水検査で使用中です。

家屋や陸における使用は、今後、改良を加えます。

(製作費は9千円)