竹生 孝夫 (chikubu, takao) - c&s consult三井住フィナンシャル gのケース...

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竹生 孝夫 (Chikubu, Takao) 代表取締役社長 C&Sコンサルタンツ株式会社 拓殖大学政経学部/大学院経済学研究科講師 Email: [email protected] URL: http://www.csconsult.co.jp/se_enter.html

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Page 1: 竹生 孝夫 (Chikubu, Takao) - C&S Consult三井住フィナンシャル Gのケース →プロミスと業務提携(04/6): ・消費者金融分野で共同で新商品 ・消費者金融でJV(アットローンを展開)

竹生 孝夫 (Chikubu, Takao)

代表取締役社長

C&Sコンサルタンツ株式会社

拓殖大学政経学部/大学院経済学研究科講師 Email: [email protected]

URL: http://www.csconsult.co.jp/se_enter.html

Page 2: 竹生 孝夫 (Chikubu, Takao) - C&S Consult三井住フィナンシャル Gのケース →プロミスと業務提携(04/6): ・消費者金融分野で共同で新商品 ・消費者金融でJV(アットローンを展開)

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第3講&第4講:2018年10月8日&15日

サービスの経営戦略②③

□本日の講義内容

1.戦略的提携の事例

2.多角化の事例

3.M&Aの事例

4.グローバル展開の事例

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□航空会社のケース:

→スターアライアンス

→全日空、ユナイテッド、ルフトハンザなど28社

が加盟

→提携内容

・マイレージ相互利用可

・上級会員向けラウンジの提供

・上級会員向け優先搭乗

etc.

cf. ユナイテッドは2010年10月1日にコンチネンタル航空

と経営統合し持株会社ユナイテッド・コンチネンタル・

ホールディングスを設立。世界最大の航空会社となる。

1.戦略的提携の事例① ~業務提携のケース

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□主な航空会社グループ

→複数の企業が提携するとグループ間競争へ移行。

こうしたグループを「提携コンステレーション」

という。

□スターアライアンス(28社: 2017年4月末時点、以下同じ)

→ 次頁を参照。

□ワンワールド(15社)

→ AA, AB, BA, CX, AY, IB , JL, LA, QF, MH, RJ, S7

JJ, UL, QR(以上3社は2013年4月以降に加盟)

□スカイチーム (20社)

→ AF, AM, AR, AZ, CI, CZ, DL, KE KL, KQ, ME, MF,

MU, OK, RO, SU, SV, UX,VN , GA(2014年3月加盟)

→国際航空運送協会(IATA)によるコード(2文字)一覧は下記のサイトを参照. http://www.airlineguide..jp/airline-codes/

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□スターアライアンス加盟28社

(2017年4月30日現在)

Adria Airways JP

Aegean Airlines A3

Air Canada AC

Air China CA

Air India AI

Air New Zealand NZ

ANA NH

Asiana Airlines OZ

Austrian OS

Avianca AV

Avianca Brasil O6

Brussels Airlines SN

Copa Airlines CM

Croatia Airlines OU

EGYPTAIR MS 5

Ethiopian Airlines ET

EVA Air BR

LOT Polish Airlines LO

Lufthansa LH

Scandinavian Airlines SK

Shenzhen Airlines ZH

Singapore Airlines SQ

South African Airways SA

SWISS LX

TAP Portugal TP

THAI TG

Turkish Airlines TK

United UA

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1.戦略的提携の事例② ~業務・資本提携 (equity alliance)①

□三井住友フィナンシャルGのケース

→プロミスと業務提携(04/6):

・消費者金融分野で共同で新商品

・消費者金融でJV(アットローンを展開)

・SMFGの子会社「ジャパンネット銀行

(JNB)」とローン業務提携

→業務提携をより強固にするためにプロミ

スと資本提携(株式を約20%取得)し、常

勤取締役を派遣(当初。現在は社長&CEO

及び他取締役を派遣) 。

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1.戦略的提携の事例③ ~業務・資本提携 その2

□三菱商事とローソンのケース

→ローソンが三菱商事の傘下に:

・2000年2月に業務提携

・01年2月に三菱商事が30.68%の

議決権を有する筆頭株主

□伊藤忠とファミリマートのケース:

→伊藤忠が実質支配している食品物流会社

ファミリーコーポレーションがファミマ

の筆頭株主(歴代社長は伊藤忠出身)

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1.戦略的提携の事例③ ~ジョイント・ベンチャー (joint venture)

□eBayは韓国のオークションサイトGmarketのファウンダー、

Young Bae Kuと提携、ジョイントベンチャー による新会社

を設立。Gmarketの現行のオンラインマーケットプレイスを

日本及びシンガポールに拡大することを目的とする。

□新会社のCEOにはKuが就任。eBayはジョイントベンチャー

の株式の49%を保有し、eBayとKuが共に$10M(1000万ド

ル)ずつ 出資。またeBayはGmarketのテクノロジーとブラン

ドのライセンス供与も担当し、Ku氏は現地での経営を担当。

□ eBayは日本とシンガポールで成長するEコマース市場でアジ

ア進出の足掛かりを作る。09年~12年の両国のEコマース

市場の成長率はそれぞれ 30%と13%と予測されている。

出所:2010年5月7日付TechCrunchのオンライン記事

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2.多角化の事例①

~限定的多角化

□主力事業+α

→多くのサービス業がこのタイプ

・単一事業型

・主要事業型

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2.多角化の事例②~関連多角化 その1

□ソフトバンク:営業利益は2年連続の1兆円超。

→連結売上高:18/3 9兆1,588億円(2.9%増) →17/3: 8兆9,010億円(2.8%減)

→16/3: 9兆1,535億円(7.6%増)

→15/3: 8兆5,041億円(27.6%増)

→14/3: 6兆6,667億円(108%増)

→13/3: 3兆3,783億円(5.5%増)

→12/3: 3兆2,024億円(7 %増)

→11/3: 3兆46億円(9%増)

→10/3: 2兆7,634億円(3.4%増)

→09/3: 2兆6,730億円(3.7%減)

→08/3: 2兆7,762億円

→07/3: 2兆5,442億円

→06/3:1兆1,109億円

→05/3: 8,370億円

→1981年にパソコンソフトと販売を開始、翌82年に月刊「Oh! PC」等を創刊、出版事業へ参入。インターネット関連の5つの主要 事業分野を展開。

→ボーダフォン買収により連結売上高 2.5兆円規模に:06年10月1日よりボーダフォンはソフトバンクモバイルに社名変更。

→13年7月に米スプリント買収により売上高倍増!

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□ソフトバンクグループの多角化事業①

~5つの主要事業分野

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□移動通信事業 主に、ソフトバンクモバイル株式会社などが移動通信サービスの提供や、携

帯電話端末やアクセサリー類の販売を行っている。

□スプリント事業 Sprint Corporationが、米国における移動通信サービスの提供や、同サ

ービスに付随する携帯電話端末やアクセサリー類の販売、固定通信サービスの提供。

□固定通信事業 主に、ソフトバンクテレコム株式会社が法人顧客を対象とした固定電話やデ

ータ通信などの通信サービスを、ソフトバンクBB株式会社などが個人顧客を対象としたブロードバンドサービスを提供。

□インターネット事業 主に、ヤフー株式会社がインターネット上の広告事業を行っている。

□その他 福岡ソフトバンクホークス関連事業をはじめ、さまざまな事業を展開。 [注]

※「スプリント事業」は、Sprint Corporationを2013年7月に子会社化したことに伴い、2013年9月30

日に終了した3カ月間より新設しました。また、2013年9月30 日に終了した3カ月間において、セグメント名称の見直しを行い、「国内移動通信事業」を「移動通信事業」に、「国内固定通信事業」を「固定通信事業」にそ れぞれ名称を変更しました。

□ソフトバンクグループの多角化事業②

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2.多角化の事例②~関連多角化 その2

□イオングループ

→連結売上高: 18/2: 8兆3,900億円(2.2%増) →17/2: 8兆2,101億円(0.4%増)

→16/2: 8兆1,767億円(15.5%増)

→15/2: 7兆0,785億円(10.7%増)

→14/2: 6兆3,951億円(12.9%増)

→13/2: 5兆6,853億円(8.8%増)

→12/2: 5兆2,233億円(2.1%増)

→11/2: 5兆965億円(0.8%増)

→10/2: 5兆543億円(3.4%減) 6,395,142

→09/2: 5兆2,307億円

→08/2: 5兆1,674億円

→07/2: 4兆8,248億円

→06/2: 4兆4,303億円

→05/2: 4兆1,958億円

→GMS(量販店)及び郊外型SCに強み

→CVS、HC、ドラッグストア、及びその他専門店等を展開

→婦人服のタルボット、ローラ・アシュレイ、スポーツ・オーソリ

ティ、 生活雑貨 のブルーグラス等

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□イオングループの事業

出所:イオンのHPより

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□イオングループセグメント情報 2018

出所:イオンのHPより

□総合金融事業とデベロッパー事業の売上高は全体の9%だが、

約6割の営業利益を稼ぐ!

営業収益比率 ■GMS事業 3,084,278 百万円 (36.8%) ■SM事業 3,240,978 百万円 (38.6%) ■ドラッグ・ファーマシー事業 696,392 百万円(8.3%) ■総合金融事業 408,092 百万円 (4.9%) ■ディベロッパー事業 335,664 百万円 (4.0%) ■サービス・専門店事業 774,237 百万円 (9.2%) ■国際事業 418,884 百万円 (5.0%) ■その他 10,813 百万円 (0.1%) ■調整額 -579,330 百万円 (-6.9%)

営業利益比率 ■GMS事業 10,536 百万円 (5.0%) ■SM事業 30,722 百万円 (14.6%) ■ドラッグ・ファーマシー 27,700 百万(13.2%) ■総合金融事業 69,766 百万円 (33.2%) ■ディベロッパー事業 51,542 百万円 (24.5%) ■サービス・専門店事業 20,261 百万円 (9.6%) ■国際事業 232 百万円 (0.1%) ■その他 400 百万円 (0.2%) ■調整額 -888 百万円 (-0.4%)

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□イオングループセグメント情報 2017

出所:イオンのHPより

□総合金融事業とデベロッパー事業の売上高は全体の8%強だが、

約6割の営業利益を稼ぐ!

営業収益比率 ■GMS事業 3,012,263 百万円 (36.7%) ■SM・DS事業 2,890,232 百万円 (35.2%) ■小型店事業 378,703 百万円 (4.6%) ■ドラッグ・ファーマシー事業 623,631 百万円 (7.6%) ■総合金融事業 372,046 百万円 (4.5%) ■ディベロッパー事業 315,940 百万円 (3.8%) ■サービス・専門店事業 765,669 百万円 (9.3%) ■国際事業 398,395 百万円 (4.9%) ■その他 18,125 百万円 (0.2%) ■調整額 -564,863 百万円 (-6.9%)

営業利益比率 ■GMS事業 2,481 百万円 (1.3%) ■SM・DS事業 31,288 百万円 (16.9%) ■小型店事業 2,776 百万円 (2.0%) ■ドラッグ・ファーマシー事業 22,053 (11.9%) ■総合金融事業 61,904 百万円 (33.5%) ■ディベロッパー事業 46,851 百万円 (25.4%) ■サービス・専門店事業 26,393 百万円 (14.3%) ■国際事業 -5,401 百万円 (-2.9%) ■その他 -4,036 百万円 (-2.2%) ■調整額 428 百万円 (0.2%)

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□イオングループセグメント情報 2016

出所:イオンのHPより

□総合金融事業とデベロッパー事業の売上高は全体の8%だが、

約6割の営業利益を稼ぐ!

営業収益(売上高) (2016年2月期) ■ GMS事業 2,838,239百万円 ■ SM・DS事業 3,053,298百万円 ■小型店事業 376,913百万円 ■ドラッグ・ファーマシー事業 592,364百万円 ■総合金融事業 357,252百万円(4.7%) ■ディベロッパー事業 272,124百万円(3.3%) ■サービス・専門店事業 741,265百万円 ■国際事業 426,482百万円 ■その他 13,192百万円

営業利益 (2016年2月期)

■ GMS事業 9,390百万円 ■ SM・DS事業 21,157百万円 ■小型店事業 1,265百万円 ■ドラッグ・ファーマシー事業 18,589百万円 ■総合金融事業 55,027百万円(31.0%) ■ディベロッパー事業 45,068百万円(25.5%) ■サービス・専門店事業 26,320百万円 ■国際事業 △2,449百万円 ■その他 △3,518百万円

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2.多角化の事例③ ~非関連多角化 □ベネッセホールディングス:

→連結売上高 : 18/3月期 4,345億円(対前年1.0%)

→ 17/3: 4,300億円(対前年△3.2%)

→ 16/3: 4,441億円(対前年△4.1%) 15/3: 4,632億円(対前年△0.7%)

14/3: 4,664億円(対前年3.6%増) 13/3: 4,501億円(対前年6.2%増)

12/3: 4,237億円 11/3: 4,128億円 10/3: 4,066億円

09/3: 4,127億円 08/3; 3,845億円

→通信教育最大手で「進研ゼミ」が主力

→その他、語学(ベルリッツ), 生活、介護と多角化

→パソコン教室「アビバ」支援、営業譲受

□非関連多角化の弊害はあるのか?

出所:ベネッセのHP

←その他

←語学カンパニー

←介護・保育カンパニー

←海外事業カンパニー

←国内教育カンパニー

数字は次ページを参照!

単位;百万円

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□ベネッセのセグメント別売上高

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2016/3 2017/3 2018/3

国内教育カンパニー 通期決算 204,157 194,406 205,160

海外事業カンパニー 通期決算 27,114 28,046 29,089

介護・保育カンパニー 通期決算 94,966 102,996 111,812

語学カンパニー 通期決算 73,912 60,282 57,132

その他 通期決算 44,039 44,331 31,301

(単位:百万円)

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□ベネッセのセグメント別売上高推移

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2013年3月期

2014年3月期 2015年3月期

出所:ベネッセのHP

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3.M&Aの事例

→なぜM&Aか:

①時間を買う ②ノウハウ、人的資源の確保

③中期目標の実現

→97年の独占禁止法改正によりホールディング・

カンパニー(持株会社)が認められ、グループ経営

を進化させ 傘下企業を買収する動きが活発化。

→M&Aのタイプ:

①垂直的合併 ②水平的合併 ③製品拡大型合併

④市場拡大型合併 ⑤コングロマリット型合併

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□M&A件数の推移

22 出所:株式会社レコフのHP

□2017年のM&A件数は3,050件で対前年比15.0%増、過去最高。 →内訳はIN-INは2,180件、OUT-INは198件、 IN-OUTは672件と 過去最高。IN-IN が71%、 OUT-IN が6%、IN-OUTが22%。 □M&A金額は13兆3,437億円で前年比2.6%増。うち IN-OUTが56%。

03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 1,728件 2,211 2,725 2,775 2,696 2,399 1,957 1,707 1,687 1,848 2,048 2,285 2,428 2,652

↑97年に持株会社解禁

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3.M&Aの事例 ①垂直型と水平型 □垂直型 →ディズニーがキャピタルシティABCを買収

→1996年に米3大TVネットワークの一つ、 ABCとスポーツ専門チャンネルのESPNを傘下に持つ

→エンタテインメント流通業界へ前方垂直統合(川下)を狙う

□水平型 →ERP (Enterprise Resource Planning;統合基幹業務

ソフト) 業界:

→2位のオラクルがピープルソフト買収

→ SAP(独) 売上シェア 43%

→オラクル 売上シェア 19%

出所:米AMR Research (2005年5月)

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→ソフトバンク

→イオン

→居酒屋チェーン「コロワイド」

→2002年以降で15社をM&Aにより

連結子会社化(2016年9月末現在)

ex. 2013年 牛角のレックスホールディングス

2015年 「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイト

ホールディングス

その他、ステーキの「宮」、焼肉チェーン「がんこ炎」(名古屋)、居酒屋・カラオケ「アムゼ」(仙台)、回転寿司「アトムボーイ」etc.

3.M&Aの事例 ②製品・サービス拡大型合併

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3.M&Aの事例③市場拡大型合併その1

□地理的市場への展開

□ボーダフォン(英)のケース

→同社は99年6月にエアタッチ (米)を買収 →世界最大の移動体通信会社

→00年2月独マンネスマンをTOBにて買収

→00年10月、中国移動に出資

→日本テレコム(傘下にJ-フォン)買収(01/9)

→03年秋リップルウッドに日本テレコム

(固定通信事業)を売却。移動体通信の J-フォンに特化し、03年10月より 「ボーダフォン」ブランドで展開 (既述の通り、ソフトバンクが買収)

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□M&A事例 その4 市場拡大型合併②

~事例:コメリ(新潟地盤のホームセンター)

□16年5月末現在総店舗数1,180店、うちホームセンター

は1,067店と国内最大。

→ミスタージョン㈱ :三重県を中心にホームセンター「ミスタージョン」を経営。01年4月業務資本提携、04年2月完全子会社化。

→㈱ヤマキ :秋田県能代市地盤の「ホームセンターヤマキ。02年10月業務資本提携、04年2月完全子会社化。

→㈱キッコリー :大阪府を中心にホームセンター「キッコリー」。2002年5月、大阪ガス株式会社の100%子会社である株式会社オージーキャピタルより買収。

→ 上記3社は現在コメリが吸収合併している。

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3.M&Aの事例 ④コングロマリット型合併

□1960年代の米国での経験

→戦略的関連性のないM&A増加

→80年代初頭までにコングロマ

リット型M&Aの3分の1から半分

は解消

□教訓:

「戦略的に非関連の合併や買収は経

済的利益の源泉とはならない」

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4.グローバル展開の事例① □企業成長を求めて:

→事業Life cycleの限界を超えて

→国内市場の市場規模を超えて

□小売業のケース:

→無印良品, ファミマ, ユニクロなど

□飲食業のケース:

→居酒屋「和民」(深せん), モンテローザ「笑笑」(上海)など中国進出強化

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□ファミマなど海外展開

に注力!

出所:2009年2月11日付け

日経新聞朝刊

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日本 韓国 台湾 中国 タイ 米国 その他 (注3)

合計

セブン-イレブン 19,588 12,105

8,943 1,995

5,161 4,800

2,377 1,512

10,007 4,778

8,454 6,320

8,405 4,035

62,935 35,545

ローソン 13,111 9,527

0 0 1,003

300 85 0

2 0

66 0

14,267 9,827

ファミリーマート (注2)

17,921 7,187

0 3,787

3,122 2,247

2,071 136

1,135 507

0 11

307 0

24,556 13,875

注1:セブン-イレブンは2017年6月末(下段は08年12月末),ローソンは2017年2月末(09年2月末), ファミリーマートは2017年8月末(08年2月末)現在. 注2: ファミリーマートは2012年12月末時点で韓国にて6,910店舗展開.2013年に韓国企業との合弁 事業解消で撤退.店舗数はサークルK・サンクスを含む. 注3: その他は,メキシコ,カナダ,オーストラリア,フィリピン,マレーシア,シンガポール,インドネシア, ノルウェー,スウェーデン,デンマーク,アラブ首長国連邦,ベトナム.

出所:各社公開資料

□参考:コンビニ大手3社の海外進出状況(注1)

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4.グローバル展開の事例②

□電力会社の海外進出

→電力需要の鈍化、規制緩和に対応

→火力発電などに出資、技術・運営協力

□主な進出先

・東電:オーストラリア、台湾、ベトナム

・関電:フィリピン、タイ、東欧

・中部電力:タイ、北米、カタール、タイ

・九州電力:メキシコ、フィリピン、ベト

ナム、メキシコ

・東北電力:オーストラリア

・Jパワー:タイ、台湾、中国、フィリピン

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□参考:東電、豪でLNG権益

~3000億円投資、安定調達狙う

□東京電力は5日、米資源大手シェブロンなどが進めているオーストラリア西部の液化天然ガス(LNG)開発事業で、11.25%の権益を取得したと 発表した。投資額は3000億円超の見通しで、日本企業のLNG権益取得としては最大規模。LNGの需要は中国などの新興国を中心に急拡大しており、東電 は争奪戦が今後激しくなると判断、権益への大型投資で安定調達を狙う。

□権益を取得したウィートストーンLNGプロジェクトは2016年にも年間860万トンで生産を開始。東電は年間使用量の2割に相当する計410万トンを調達する。

注:LNGは火力発電用燃料として利用。発電電力量の割合は火力70%、原子力22%、水力7%の順。火力発電の中でも、石油から石炭、LNGへの代替が進む。

出所:2009年12月6日付け日経新聞朝刊

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□補論:新興国向けグローバル展開① ~新興国では中間所得層が急増中

中間所得層は1万5,000~3万5,000ドル:ロワーミドル(5,000ドル~1万5,000ドル未満)、アッパーミドル(1万5,000ドル~3万5,000ドル未満)

新興国の消費市場の特徴:

→若年層の市場が先進国よりもかなり大。

→消費支出の3大項目は、食料・ノンアルコール飲料、住宅、交通。

→カラーテレビや冷蔵庫、洗濯機の普及率は比較的高いが、エアコンや

乗用車、ゲーム機器は低い。

新興国の中でアジアの消費市場で販売の伸びが著しい商品:

→電気製品(テレビ、パソコン、カメラ、ビデオカメラ)、日曜大工用品・ガー

デニング、玩具・ゲーム

→サービスではネット販売、ホテル宿泊、海外旅行、カーレンタル等

参考:カラーテレビはどの国でも普及率が高く9割以上。だが、インドでは都市部で約75%、農村部で約30%(2011年国勢調査)。なお2009年では33.9%。新興国では液晶の32インチ、3万円~4万円が売れ筋。

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Source: 「拡大するアッパーミドルを狙え~アジア新興国の消費市場に挑む」 http://www.iti.or.jp/column013.htm

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一人当たり年間所得が2002年購買力平価で3,000ドル以下の階層を低所得層BOP(Base of the Pyramid)と呼び、全世界人口の約7割である約40億人が属する。

BOPビジネスは、市場規模が約5兆ドルと言われるこの層をターゲットとしたビジネス。

BOPビジネスは将来への布石でもある。

34 Source: http://www.bop.go.jp/bop

http://www.jetro.go.jp/theme/bop/basic/

□補論:新興国向けグローバル展開② ~BOPビジネス

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35 Source: http://www.ide.go.jp/Japanese/Research/Region/Asia/Radar/20100709.html

手押しポンプ

□補論:新興国向けグローバル展開③ ~BOPビジネスへの参入企業

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□次回(第5講)の講義

「サービスの競争①」

・サービス企業の競争戦略の基本を

講義する。

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講義ノートのDWL

□大学のBlackboardより講義ノートを印刷すること.

□質問は:Subjectを「SE質問」とし↓へ

Email: [email protected]

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参考文献

1.ジェイ. B. バーニー(岡田正大訳)

『企業戦略論(上・中・下)』(ダイヤモ

ンド社)

2.竹生孝夫『ブランディング・カン

パニー』(経林書房)

3. HP・新聞雑誌情報、社内資料