米国投資環境 - mizuho...
TRANSCRIPT
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
2020年4月
米国投資環境
国際戦略情報部
米国経済の動向
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
2
基礎データ
国・地域名 米国 カナダ 中国 ブラジル メキシコ 日本
人口 (百万人) 327.4 37.0 1,395.4 208.5 124.7 126.5
名目GDP (億USD) 205,803 17,125 133,681 18,678 12,221 49,718
実質GDP成長率 (前年比) 2.9 1.9 6.6 1.1 2.0 0.8
1人あたりGDP (USD) 62,869 46,290 9,580 8,959 9,797 39,304
2019年GDP成長率見込み 2.4 1.5 6.1 0.9 0.4 0.9
信用格付(S&P) as of Sep 2019 AA+ AAA A+ BB- BBB+ A+
出所:IMF - World Economic Outlook Database October 2019 Edition / S&Pのホームページより、みずほ銀行国際戦略情報部作成
※数値は2018年ベース/2019年GDP成長率見込みおよび斜体箇所は IMF推定値
S&P格付定義: A格 債務を履行する能力は高いが、上位2つの格付けに比べ、経済状況の悪化からやや影響を受けやすい
BBB格 債務を履行する能力は適切であるが、経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い
BB格 投機的要素が強い。高い不確実性や経済状況の悪化に対して脆弱性を有し、状況次第で債務を期日通りに履行する
能力が不十分となる可能性がある。
※S&P信用格付については2019年9月30日時点
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
3
目次
1. 米国概況2. GDP成長率の推移・産業構造3. 金利・為替動向4. 双子の赤字(経常赤字と財政赤字)5. 貿易推移6. 貿易概況7. 直接投資の動向
1. 日系企業 州別進出傾向2. 市場拡大が見込まれる州3. 日本からの州別投資(グリーンフィールド投資)件数4. 日本からの業種別投資(グリーンフィールド投資)件数
1. 米国での事業形態(概要)2. 進出形態別の特徴3. 形態別メリット・デメリット4. 米国での事業形態
- ① Corporation (C-Corporation)- ② Limited Liability Company (LLC)- ③ Limited Partnership (LP)
5. 事業形態の特徴比較
I. 米国経済の動向
II. 日系企業の動向
III. 米国税金体系
V. 米国法人設立手続の概要
1. 連邦税(法人)所得税の課税所得2. 各州の最高法人所得税率(2020年)3. 各州の消費税率(2020年平均値)4. 日米租税条約の概要
IV. 米国における事業形態概要
1. 法人設立州の選定2. 日系企業進出主要州別・登記比較表3. 株式会社設立フロー4. 会社設立
- 定款必要事項 (Corporation)- 付属定款必要事項 (Corporation)- Officer(執行者)の選出- その他留意点 (Corporation)
VI. 米国ビザ概要
1. 取得するビザの種類2. 長期滞在目的3. Eビザ(駐在・就労目的)4. Lビザ/H-1Bビザ
VII. <みずほ>の米州拠点
1. <みずほ>グループの北米拠点
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
出所:外務省、JCIF資料よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
人口
3億2,716万人(2018年7月)
ニューヨーク(862万人)、ロサンゼルス(400万人)、シカゴ(272万人)、ヒューストン(231万人)、フェニックス(163万人)、フィラデルフィア(158万人)、ワシントンDC(首都:69万人)、(2017年7月)
面積 963万k㎡ (日本の約25倍)
言語 主として英語(法律上の定めはない)
政治形態 大統領制、連邦制(50州他)
現政権 ドナルド・ジョン・トランプ大統領(2017年1月20日就任。任期4年)
宗教 信教の自由を憲法で保障、主にキリスト教
GDP・名目GDP: 20兆5,006億ドル (2018年)・一人あたりGDP: 62,661ドル(2018年)
主要産業 工業(全般)、農林業(小麦、トウモロコシ、大豆、木材他)、金融・保険・不動産業
日系企業数 8,929社 (2018年10月)
日本との関係①時差(米国本土):14~17時間(サマータイム実施期間は13~16時間)
②在留邦人数446,925人(2018年10月)
4
I-1. 米国概況
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
出所:IMF - World Economic Outlook Database October 2019 Edition、 Bureau of Economic Analysisよりみずほ銀行国際戦略情報部作成
米国の名目GDPは約20兆ドルで世界第1位 2019年の実質GDP成長率(速報値)は+2.3%となり、2018年の実質GDP成長率+2.9%からは鈍化しているものの、好調な
雇用情勢を受けて個人消費が引き続き経済成長を牽引 2020年1月以降、米国でも新型コロナウイルスの感染拡大による影響により、敬愛成長の下振れリスクが高まっている。ブ
ルッキングス研究所の報告によれば、新型コロナウイルスの影響が 世界中に広まり、2018~19年に流行したスペイン風邪と同程度の感染率となったシナリオにおいては、2020年のGDP成長率を8.4%押し下げる可能性があるとされている
産業構造(2018年)実質GDP成長率の推移(年度ベース)
5
I-2. GDP成長率の推移・産業構造
-3%
-2%
-1%
0%
1%
2%
3%
4%
5%
6%
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
19
90
19
91
19
92
19
93
19
94
19
95
19
96
19
97
19
98
19
99
20
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
20
16
20
17
20
18
20
19
20
20
20
21
20
22
20
23
20
24
米国名目GDP (10億USD) (予測値) 米国実質GDP成長率 (%)
建築業4%
製造業17%
卸売6%
小売5%
物流3%
情報5%金融・保険・
不動産19%
専門・ビジネス
サービス11%
教育サービス・医
療・社会福祉8%
その他10%
政府11%
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
政策金利、消費者物価指数(CPI)推移 為替レート推移(円/米ドル)
FRBは2015年12月から金利引き上げに転じ、2008年12月以来続けていた事実上のゼロ金利政策を解除。2018年12月までに9回の利上げが行われ、金融政策の正常化は慎重かつ順調に進められてきた
昨今の世界経済のスローダウンや株式市場の下落などを受け、2019年7月に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)にて2008年12月依頼10年7ヵ月ぶりに利下げが決定。2019年中には計3回の利下げが行われた
また、新型コロナウイルス感染拡大による影響から2020年3月3日に臨時のFOMCを開催し政策金利を0.5%引き下げた。さらに3月15日にも緊急のFOMCを開催し、1.0%の大幅利下げに踏み切った結果、FF金利誘導目標は0.00~0.25%と2008年金融危機以来のゼロ金利政策を敷くことに
出所: IMF - World Economic Outlook Database October 2019 Edition, FRB, OECDよりみずほ銀行国際戦略情報部作成
6
I-3. 金利・為替動向
-1.00
0.00
1.00
2.00
3.00
4.00
5.00
6.00
7.00
199
1
199
2
199
3
199
4
199
5
199
6
199
7
199
8
199
9
200
0
200
1
200
2
200
3
200
4
200
5
200
6
200
7
200
8
200
9
201
0
201
1
201
2
201
3
201
4
201
5
201
6
201
7
201
8
201
9
CPI上昇率 政策金利
(%)
0
20
40
60
80
100
120
140
160
199
1
199
2
199
3
199
4
199
5
199
6
199
7
199
8
199
9
200
0
200
1
200
2
200
3
200
4
200
5
200
6
200
7
200
8
200
9
201
0
201
1
201
2
201
3
201
4
201
5
201
6
201
7
201
8
201
9
(円/米ドル)
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
国際収支
米国の経常収支は恒常的に赤字を計上。サービス収支と第1次所得収支で黒字を計上するも、財貿易収支で計上される多額の赤字を補いきれていない構造
米国の財政収支は2002会計年度(2001年10月~2002年9月)以降、赤字を継続。リーマンショック後の2009会計年度には1.4兆ドルまで増加。それ以降の財政赤字は縮小する傾向にあったが、2016会計年度以降増加傾向に
2019会計年度においては、トランプ政権下での大型減税と歳出拡大によって、赤字額は前年度比26%増え、9,844億ドルの赤字と7年ぶりの高水準に悪化。2020年度には1兆ドル超の赤字となる見込み
出所:JCIF資料、 Bureau of Economic Analysisよりみずほ銀行国際戦略情報部作成
財政赤字
7
I-4. 双子の赤字(経常赤字と財政赤字)
-1,000
-900
-800
-700
-600
-500
-400
-300
-200
-100
0
2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
経常収支 貿易収支 金融収支
(10億ドル)
(12)
(10)
(8)
(6)
(4)
(2)
0
2
4
-1,600
-1,400
-1,200
-1,000
-800
-600
-400
-200
0
200
400
199
11
99
21
99
31
99
41
99
5
199
61
99
71
99
81
99
92
00
02
00
12
00
22
00
32
00
42
00
52
00
62
00
72
00
82
00
92
01
0
201
12
01
22
01
32
01
42
01
52
01
62
01
72
01
82
01
9
財政黒字/赤字 GDP比
(10億ドル) (GDP比%)
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
輸出入推移 米国貿易赤字推移
出所:JCIF資料、 Bureau of Economic Analysisよりみずほ銀行国際戦略情報部作成
8
I-5. 貿易推移
(1,500)
(1,000)
(500)
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
輸出 輸入 収支
(10億ドル)
0
100
200
300
400
500
600
700
800
日本 中国 その他
(10億ドル)
2019年は米国経済が緩やかに減速し、輸入が1.7%、輸出が1.2%低下。貿易赤字は8529億ドルと2016年以来3年ぶりの減少
2018年7月に米中貿易戦争が始まり、関税引き上げの影響で中国からの輸入にブレーキがかかり、貿易赤字の約半分を占めていた対中貿易赤字が2019年には17.6%減
また、米中の地政学リスクから企業のサプライチェーンの見直しが施され、メキシコやベトナムからの輸入が増加
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
中国
21%
メキシコ
14%
カナダ
13%日本
6%ドイツ
5%
韓国
3%
英国
2%
アイルランド
2%
イタリア
2%
フランス
2%
EU
19%
OPEC
3% その他
8%
隣接するカナダ、メキシコへの輸出が全体の3割超、輸入でも両国からの輸入が2割超を占める。一方、中国への輸出は10%以下ながら、輸入では20%超と最大
貿易品目は輸出入とも原油、各種石油製品等工業用原材料からコンピューター、民間航空機、自動車・同部品等資本財、消費財まで多岐にわたる
トランプ大統領は北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉し、2018年11月に新協定USMCAに署名。その後、2019年6月にメキシコ、2020年1月に米国、2020年3月にカナダで承認手続きが完了。2020年6月1日に発効が予定されているが新型コロナウイルスの影響で延期も想定される
輸出構造・輸出相手国・地域(2018年) 輸入構造・輸入相手国・地域(2018年)
出所:JCIF資料よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
9
I-6. 貿易概況
食料品8%
原材料32%
資本財(除自動車)
34%
自動車・部品10%
消費財(除食料
品、自動車)
12%
その他4%
カナダ
18%
メキシコ
16%
中国
7%
日本
5%英国
4%
ドイツ
4%
韓国
3%
オランダ
3%
ブラジル
2%
香港
2%
EU
19%
OPEC
4%その他
13%
食料品
6%
原材料
22%
資本財(除自動車)
27%
自動車・部品
15%
消費財
26%
その他
4%
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
出所:Bureau of Economic Analysis よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
2018年末の対米直接投資残高は4.34兆ドル、2018単年では約2,518億ドルと2017年に引き続き減少 国別にみると、イギリスからの投資が約13%(残高)を占め、これにカナダ12%、日本11%が続く。前年比では、カナダ
37.0%減、日本48.7%減と激減 業種別では製造業が40%以上を占めていて最大。続いて、金融・保険業が12%を占めている。2018年に投資額が増加し
た主な業種は製造業(前年の約2倍)、小売業(前年の約4倍)、不動産・レンタル・リース業(前年の約4倍)。一方で、情報産業は前年の10分の1に落ち込んだ
対内直接投資額推移 対内直接投資残高構成比(2018年)
10
I-7. 直接投資の動向
(10億ドル)
製造業41%
卸業10%小売
3%情報4%
銀行5%
金融・保
険12%
不動産3%
専門業4%
その他17%
113
243221
310
150
206
236211 217
202
468 472
277252
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
500
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
イギリス13%
カナダ12%
日本11%
オランダ11%
ルクセンブルク8%
ドイツ7%
スイス7%
フランス7%
その他24%
日系企業の動向
11
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
12
東海岸
【特徴】世界有数の金融センター【業種】金融、投資(持株会社)、営業拠点、MKTG拠点【事例】◆電力各社:関西電力(2017年6月にDEに拠点、2018年4月にNY事業所開設)、中国電力(2018年4月にDEに拠点開設)、九州電力(2018年秋にNY事務所開設)。ガス火力発電所を中心に現地プロジェクトに投資、米国での収益力高める(2018年4月~公表)◆三井不動産:NYマンハッタンのオフィスビル「(仮)50ハドソンヤード」の開発事業に参画(2017年9月1日公表)
南東部
【特徴】農業を中心とした産業が主流であったが、今では航空宇宙産業、自動車産業、重工業などが発展し近代化【業種】自動車関連【事例】◆トヨタ・マツダ:両社で総額16億ドル(約1,792億円)投じ、アラバマに新工場を設立。2021年稼働をめざす。年30万台生産、約4,000人新規雇用予定(2018年1
月10日公表)◆信越化学:ルイジアナ州に塩化ビニル樹脂の新工場設立投資額は約14億ドル(約1,600億円)(2018年7月24日公表)
【特徴】日本人観光客が多く訪れるリゾート地【業種】飲食、不動産、サービス【事例】◆ドンキホーテHD:ハワイ・オアフ島を中心にスーパーなどの小売店24店を展開するQSIを買収(2017年6月30日公表)◆長谷工コーポレーション:ハワイ・オアフ島で大型商業施設の開発に乗り出す。総事業費は3億5
千万ドル(約379億円)(2018年3月6日公表)
西海岸
【特徴】日本から最も近い所に位置コスト(不動産、賃金、税金)上昇に伴い新規進出減少傾向【業種】販社(貿易拠点)、食品加工、IT関連【事例】◆トヨタ自動車:米ライドシェア大手のウーバーテクノロジーズ(CA)に5億ドル(約550億円)を追加出資、両社の技術を融合させ、安全性能を高めた自動運転車両を開発(2018年8月29日公表)◆ソフトバンクなど:米カーシェアリングのゲッタラウンド(CA)はソフトバンクグループなどから3億ドル(約330億円)調達。(2018年8月23日公表)
南部
【特徴】米国の東西の中央に位置【業種】自動車関連、北米統括、シェールガス【事例】◆JR東海:テキサス州のダラス-ヒューストン間(約385㎞)を1時間半で結ぶ新幹線事業に、現地子会社を通じて技術支援。2019年中に着工、2024年中に開業予定、建設費は約120億ドル(約1兆3,000億円)◆大和ハウス、積水ハウス、東急リバブル:米国で住宅建設、運営を実施。テキサスにも商圏を広げる動きが見られる
ハワイ
出所:各種報道、各社プレスリリース等よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Ⅱ-1. 日系企業 州別進出傾向
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
13
出所:JETRO「2018年度米国進出日系企業実態調査の結果」よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
今後拡大を期待する地域としては、約8割の企業が南部に注目、南部人気が継続。州別では、テキサス州(4年連続1
位)、カリフォルニア州が1位、2位を占め、アラバマ州、ノースカロライナ州、ワシントン州が順位を上げた
産業分野では、情報通信技術を選択した企業が最多で、医療、環境が続いた
※今後2~3年で市場が拡大すると思われる地域、上位10州とその上位3業種を表示。
Ⅱ-2. 市場拡大が見込まれる州
順位 州名 業種 回答数 順位 州名 業種 回答数
1 テキサス 242 6 イリノイ 49
電気機械・電子機器(同部品を含む) 38 その他製造業 8
その他製造業 35 食品/農水産加工 7
輸送用機器部品(自動車・二輪車) 31 はん用・生産用機器(金型・機械工具を含む) 6
2 カリフォルニア 189 輸送用機器部品(自動車・二輪車) 6
電気機械・電子機器(同部品を含む) 35 6 ノースカロライナ 49
その他製造業 31 その他製造業 9
食品/農水産加工 23 化学品/石油製品 7
3 アラバマ 90 はん用・生産用機器(金型・機械工具を含む) 7
輸送用機器部品(自動車・二輪車) 29 6 ワシントン 49
はん用・生産用機器(金型・機械工具を含む) 9 その他製造業 9
電気機械・電子機器(同部品を含む) 9 電気機械・電子機器(同部品を含む) 7
4 ニューヨーク 86 食品/農水産加工 6
食品/農水産加工 18 化学品/石油製品 6
その他製造業 18 9 サウスカロライナ 47
化学品/石油製品 10 輸送用機器部品(自動車・二輪車) 8
電気機械・電子機器(同部品を含む) 10 はん用・生産用機器(金型・機械工具を含む) 7
5 ジョージア 73 その他製造業 7
輸送用機器部品(自動車・二輪車) 18 10 テネシー 46
電気機械・電子機器(同部品を含む) 10 輸送用機器部品(自動車・二輪車) 10
はん用・生産用機器(金型・機械工具を含む) 9 はん用・生産用機器(金型・機械工具を含む) 7
その他製造業 9 その他製造業 6
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
14
カリフォルニア州が過去3年間の投資件数が56件で最多だが、製造拠点は3件にとどまり、販売拠点や設計・開発拠点となっており、業種は、産業機械、化学、ソフトウェア・ITサービス等多岐にわたる
2位~6位のテキサス、インディアナ、ケンタッキー、テネシー、オハイオはいずれも従来より自動車メーカーの組立工場や部品製造拠点が集積しているエリアとなる
出所:JETRO資料よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Ⅱ-3. 日本からの州別投資(グリーンフィールド投資)件数
州名 全拠点 製造拠点 全拠点 製造拠点 全拠点 製造拠点 全拠点 製造拠点
カリフォルニア 25 1 16 2 15 0 56 3
テキサス 9 3 17 5 19 5 45 13
インディアナ 8 6 15 10 8 7 31 23
ケンタッキー 11 10 9 6 6 5 26 21
テネシー 10 8 9 6 6 5 25 19
オハイオ 10 8 6 3 9 3 25 14
ミシガン 1 0 11 4 8 2 20 6
ジョージア 5 3 7 1 4 0 16 4
ニューヨーク 6 1 5 1 5 2 16 4
ノースカロライナ 5 1 5 2 4 4 14 7
イリノイ 5 2 5 0 3 0 13 2
サウスカロライナ 5 4 4 2 3 1 12 7
バージニア 3 3 6 3 2 2 11 8
マサチューセッツ 4 0 3 1 4 1 11 2
ペンシルバニア 2 1 8 2 1 0 11 3
オレゴン 3 1 2 0 3 2 8 3
ワシントン 3 1 3 0 2 1 8 2
ニュージャージー 2 1 3 0 2 0 7 1
カンザス 2 0 1 0 3 2 6 2
フロリダ 2 0 2 1 2 0 6 1
アラバマ 3 3 1 0 2 2 6 5
その他 25 10 18 9 22 9 65 28
合計 149 67 156 58 133 53 438 178
2015年 2016年 2017年 合計
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
15
2015年~2017年の合計で最も投資件数が多い業種は、自動車部品で、産業機械・機器、金属が続く
日本の長期的な人口減少、市場が拡大する可能性の低さを鑑み、日本国内市場へ投資を充てるよりも、成長性のある米国を海外進出先とする動きが顕著になっている業種が増えている
出所:JETRO資料よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Ⅱ-4. 日本からの業種別投資(グリーンフィールド投資)件数
業種 2015年 2016年 2017年 合計
自動車部品 26 22 22 70
産業機械・機器 22 26 19 67
金属 6 14 10 30
ソフトウェア・ITサービス 4 10 10 24
プラスチック 12 8 3 23
自動車部品OEM 7 8 8 23
価額 8 8 5 21
通信 7 7 3 17
電子部品 5 6 5 16
食料品・たばこ 8 3 5 16
金融サービス 5 5 3 13
ゴム 2 7 4 13
医療機器 3 5 2 10
消費財 3 2 3 8
不動産 4 0 4 8
オフィス機器 3 4 1 8
その他 24 21 26 71
合計 149 156 133 438
米国税金体系
16
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
17
Ⅲ-1. 連邦税(法人)所得税の課税所得
1
2
3
4
5
6
7
8
9
出所:アメリカ合衆国投資ガイド、Tax Foundation HPよりみずほ銀行国際戦略情報部作成
+
=
税額控除 Tax Credits
代替ミニマム税 AMT
確定税額 Tax Liability
Due
総所得Gross Income
特別控除Special Deductions
普通控除Ordinary Deductions
課税所得Taxable Income
税率Tax Rate
算定税額Income Tax
=
-
-
×
=
事業収益、受取利息、受取配当金、ロイヤリティ、キャピタル・ゲインおよびロス、賃貸料、サービス・フィー、外国為替益および資産の売却損益等
賃金、役員報酬、修繕費、貸倒損失、支払賃料、支払利息、州税、地方税、減価償却費、減耗控除、創業費、営業権償却、交際費の50%特定の寄付金(一定の調整を加えた課税所得の10%を限度)、災害損失、調査研究費および広告宣伝費等
内国法人からの受取配当金(株式80%以上を所有している内国法人からの配当金は100%、持分比率20~80%は65%、持分比率20%以下の場合は50%)欠損金(課税所得金額の80%を限度として無期限に繰越控除が可能、繰戻還付は撤廃)
一律21%
課税所得額 税率 累積税額
$0~ $50,000 部分 15% $0
50,000~ 75,000 部分 25 7,500
75,000~ 100,000 部分 34 13,750
100,000~ 335,000 部分 39 22,250
335,000~ 10,000,000 部分 34 113,900
10,000,000~ 15,000,000 部分 35 3,400,000
15,000,000~ 18,333,333 部分 38 5,150,000
18,333,333 超部分 35 6,416,667
<ご参考>2017年までの累進課税税率
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
18
Ⅲ-2. 各州の最高法人所得税率(2020年)
出所:Tax Foundation HPよりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Nevada, Ohio, Texas, and Washington do
not have a corporate income tax but do have
a gross receipts tax with rates not strictly
comparable to corporate income tax rates.
Delaware and Oregon have gross receipts
taxes in addition to corporate income taxes,
as do several states like Pennsylvania,
Virginia, and West Virginia, which permit
gross receipts taxes at the local (but not
state) level.
Frolida’s corporate income tax rate will return
to 5.5% for tax years beginning on or after
Jan. 1, 2022.
Georgia’s corporate income tax rate will
revert to 6% on January 1, 2026. The state
could see a drop to 5.5% in 2020, pending
legislative approval.
Illinois’ rate includes two separate corporate
income taxes, one at a 7% rate and one at a
2.5% rate.
Indiana’s rate will change to 5.25% on July 1,
2020. The rate is scheduled to decrease to
4.9% by 2022.
Mississippi continues to phase out the 3
percent bracket by increasing the exemption
by $1,000 a year. This year, the exemption is
$3,000. By the start of 2022, the 3 percent
bracket will be fully eliminated.
New Hampshire’s rate is 7.9% for tax periods
ending before Dec. 31, 2019.
In New Jersey, the rates indicated apply to a
corporation’s entire net income rather than
just income over the threshold. A temporary
surcharge is in effect, bringing the rate to
10.5 percent for businesses with income over
$1 million. In addition to regular income
taxes, many states impose other taxes on
corporations such as gross receipts taxes
and franchise taxes. Some states also
impose an alternative minimum tax and
special rates on financial institutions.
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
19
Ⅲ-3. 各州の消費税率(2020年平均値)
出所:Tax Foundation HPよりみずほ銀行国際戦略情報部作成
20
日米租税条約
2003年11月6日 署名2004年3月30日 発効
改正議定書
2013年1月24日 署名2019年8月30日 発効
配当親子間配当
持株比率が議決権株式の50%超(改定議定書では50%以上)
0%(保有期間
12ヵ月以上)
0%(保有期間6ヵ月以上)
持株比率が議決権株式の10%以上 5% 5%
上記以外の配当 10% 10%
利子政府、地方公共団体、中央銀行、一定の金融機関等 0% 0%
その他の場合 10% 0%
使用料 権利の対価としてのすべての種類の受取金 0% 0%
日米租税条約の改正議定書が2019年7月17日に米国上院にて可決され、2019年8月30日に改正議定書の批准書が日米政府間で交換された。
これにより、源泉徴収される租税については2019年11月1日以降に支払われる額より適用となる。
出所:財務省HP等よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Ⅲ-4. 日米租税条約の概要
米国における事業形態概要
21
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
22
米国での一般的な事業形態は、法人化事業体と非法人化事業体に大別 日本企業の進出時に主に利用される形態は、Corporation、Limited Liability Company、Limited Partnershipなど
出所:「米国会社法」、「米国ビジネス法実務ハンドブック」よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Corporation(株式会社)
駐在員事務所
支店
Partnership
Limited Partnership (LP)
Limited Liability Partnership
Limited Liability Company (LLC)
最も広く利用されている事業形態。法人格、有限責任、持分譲渡の容易性等の特徴
企業が情報収集を目的として設立する事務所。法人の性格は無
複数の構成員が自己の経済的信用を基礎として事業を行う形態。無限責任、二重課税回避など
上記パートナーシップの中で一部のパートナーが無限責任を負い、他のパートナーは有限責任のみを負う事業形態
各パートナーは平等に責任を担うものの責任は有限となる形態
90年代後半から、法律整備され盛んに利用されるようになった新しい事業形態。法人格、有限責任、税務上はパートナーシップと同等に扱われ、二重課税が生じない点に特徴
法人化事業体
Joint Venture 特定のプロジェクトのために期間限定で設立
非法人化事業体
日本法人の一部として設置される営業拠点。米国法人ではないが、州外会社として取り扱い
Ⅳ-1. 米国での事業形態(概要)
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
23
駐在員事務所 支店 現地法人
位置づけ情報提供・収集等の「非営業活動」のみを行う米国拠点
「日本法人」(日系企業の場合)として営業を行う米国拠点
「米国法人」として設立された法人
商業活動 不可 可能
本社(親会社)の責任
• 本社と一体• 訴訟の際には、本社が直接の原告/被告となり、米国法の管轄下に入る
• 親会社と子会社は独立• 原則、親会社には損害賠償責任な
し
意思決定 本社の一部として、迅速に意思決定可能現地法人として、取締役会や株主総会等の決定が必要
課税・税務調査対象
• 連邦法人税は非課税
• 恒久的施設として課税対象
• 支店の欠損は法人税上、本社の利益と損益通算可能
• 本社帳簿も税務調査対象
• 米国子会社の全世界所得が課税対象
• 子会社に欠損が出ても、親会社の収益には原則として影響しない(連結の場合は通算)
• 原則、子会社の帳簿のみが税務調査対象
出所:「米国会社法」、「米国ビジネス法実務ハンドブック」よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Ⅳ-2. 進出形態別の特徴
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
24
駐在員事務所 支店 Corporation LLC
メリット • 日本で経費計上可• 駐在員事務所をクローズ
する際の手続きが容易• 登記、資本金不要
• 日本で経費計上可• 親会社で利益が出た際は米
国経費と相殺可• 営業活動可• 支店利益を親会社へ送金する
際の源泉徴収は免除• 本社間取引は移転価格税制
の対象とならない• 株主総会や取締役会等の組
織が不要であり、本社の一部として迅速な意思決定が可能
• 訴訟リスクの遮断• 訴訟や税務調査対象はあくまで
現地法人• 設立、運営に手間がかかるがコ
ンプライアンスが厳格であり、リスクを抑えられることが可能
• 2種類の株(優先株と普通株)を発行でき、企業内における立場の違いによって違う株の種類を配当できる
• 株式会社に比べて政府に提出する書類が少なく、事業経営や企業所有権に関して融通が利き、事業の損益に関して経営者間で契約書を通して自由に分配することが可能→利益の配分が、出資金額と無関係に決定する事ができる
• LLCに設定後、株式会社に変更することは可能
• パススルー課税により二重課税を防ぐことができる
デメリット • 営業活動不可• 税務報告書(Information
Return)の提出が必要• ビザの申請が難しい
• 法人格がないため不動産契約などは難しい
• 銀行口座の開設は法人名でなく個人名になる場合がある
• 支店と親会社が法人税の対象となるため手続きが煩雑
• 日本親会社の財務状況を米国内国歳入庁(IRS)へ報告する可能性有
• 訴訟や税務的な責任は日本まで及ぶ
• 支店設立登記の手続きは現地法人設立に比べ時間がかかる
• 契約主体が日本親会社になることが多く手続きが煩雑になる可能性あり
• 日本で経費計上不可• 登記した州法に基づいてライセ
ンス、規制があるので弁護士と確認が必要
• 過小資本税制、移転価格税制の対象となる
• 現地法人から日本の親会社への配当に源泉徴収がある
• 株式会社に設定後、 LLC に変更することは不可能
• 株式を発行しないため、会社を上場することができない
• ビザ取得を検討しているようであれば株式会社の方が有利
• 会社の売却が難しい
出所:JETRO HP、会計事務所ヒアリングによりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Ⅳ-3. 形態別メリット・デメリット
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
25
Corporation(C-Corporation)は、日本企業の米国進出形態として最も広く利用されている形態 法的には、法人格、有限責任、所有と経営の分離が主な特徴 税務的には、エンティティ課税と法人・株主の二段階課税が特徴
法的性格・特徴
設立、存続等についての各規定は、原則として州の立法に拠る
設立された会社は構成員とは別の法人格を保有。現地法人は親会社と別人格となり、責任が分断
原則として子会社の債務に親会社は責任を負わない(=株主有限責任)
所有(株主)と経営(取締役・取締役会)が明確に分離
法人としての手続き、法令遵守(ガバナンス)が要求される
税務的側面
エンティティ課税(会社段階での法人税に加え、株主への配当に所得税が課税= 二段階課税) Corporationの形態として、エンティティでは課税されないS-Corporationという形態があるが、
税法上、米国市民・米国非居住者以外は株主になれない。 日本への配当に対する源泉税
(日米租税条約において、議決権株式の持株比率により、配当源泉税の税率が規定されている)
出所:「米国会社法」、「米国ビジネス法実務ハンドブック」よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Ⅳ-4-1. 米国での事業形態 ① Corporation (C-Corporation)
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
26
法的性格・特徴
設立・運営に関するルールは各州のLLC法が規定
設立された会社は構成員とは別の法人格を保有(=株主有限責任)
企業統治については、構成員の合意に基づく大幅な自由裁量が認められている
経営に関するルールは各LLCが独自に規定可能
『基本定款』に定められるLLCの名称・登録上の住所などを除いて、『業務契約』(Operating Agreement)において当事者間で柔軟に定めることができる
税務的側面 LLC自体が、パススルー課税・エンティティ課税を任意に選択することが可能(チェックザボックスルール) Corporationと違い、パススルー課税により、LLCの欠損を構成員の他の所得と通算できる点にメリット
Corporationの場合、子会社の欠損と合算できるのは連結納税制度を利用できる場合に限定 ただし、損金算入を制限する諸規制があり、税務メリットの検証にはコストがかかる場合も 外資100%のLLCは税務的には支店と同様の取り扱いとなる
事例
近年、米国企業の間で、LLCの法的柔軟性と税務メリットから、社内分社の際のLLC活用が広く行なわれている
Limited Liability Company(LLC)は、米国で急速に利用が進んだ比較的新しい進出形態 構成員の有限責任と、パススルー課税※を併せ持つ
出所:「米国会社法」、「米国ビジネス法実務ハンドブック」よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
※ 法人等の利益に対して課税せず、その構成員の所得に対して課税する課税制度
Ⅳ-4-2. 米国での事業形態 ② Limited Liability Company (LLC)
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
27
法的性格・特徴
設立・運営に関するルールはThe Revised Uniform Partnership Actに基づき各州が定めるパートナーシップ法
無限責任を負うパートナー1名以上と有限責任を負うパートナーで構成
無限責任を負うパートナーが経営を担当。有限責任パートナーは直接経営を行わない
税務的側面
パートナーシップ自体が納税主体となることは不可能 各パートナーはパートナーシップ契約に基づいて各人に配分された損益を各自納税申告
Limited Partnershipは米国でJoint Ventureを設立する際によく利用される進出形態 構成員の有限責任とパススルー課税*を併せ持つ
*法人等の利益に課税するのではなく、構成員(出資者)の所得に課税する制度
出所:「米国会社法」、「米国ビジネス法実務ハンドブック」よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Ⅳ-4-3. 米国での事業形態 ③ Limited Partnership (LP)
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
CorporationLimited Liability Company
(LLC)Limited Partnership (LP)
必要設立登録 必要 必要
分離所有と経営の
関係所有/分離は各LLCが選択可能 一体
厳格ガバナンス 柔軟 柔軟
有限出資者責任 有限 最低1名のパートナーは無限
容易出資者の変動
州により規定が異なる 困難
エンティティ課税税法上の扱いエンティティ課税かパススルー課税か選択可能
パススルー課税
出所:「米国会社法」、「米国ビジネス法実務ハンドブック」よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
28
Ⅳ-5. 事業形態の特徴比較
米国法人設立手続きの概要
29
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
30
米国における法人は州法に基づいて設立
設立手続き、営業ライセンス取得申請、年次報告(Annual Report)、州税などは州ごとによる
会社設立州の選定 活動拠点が単一州の場合は、活動拠点設置州での設立登記が一般的 活動拠点が複数州の場合は、主に活動をする拠点での登記、
あるいは会計、税務、法的な面で比較検討の上決定 税務申告は拠点があるすべての州で申告する必要あり
デラウェア州での登記について 節税ができるというデラウェア州での会社設立は絶対ではなく、事業本拠地を選択すべきか、デラ
ウェア州等事業本拠地以外の州で設立すべきかについては、あくまで米国進出以後のビジネス展開の予定等、個別具体的な事情によるものであり、デラウェア州が最善であると一概には言えない
設立費用 株式会社を設立する際には、会計・法律事務所に依頼するのが通常 報酬は、設立する会社の規模、依頼内容(例えば、設立の他に営業許可、融資等を含むか否か)、
依頼する事務所により一定ではない
出所:バーンズ&ソーンバーグ法律事務所「米国進出の際の州選択」よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Ⅴ-1. 法人設立州の選定
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
31
カリフォルニア デラウェア ジョージア イリノイ インディアナ
取締役 株主が3名未満の場合株主と同数。株主が3名以上の場合、最低3名
1名以上 1名以上 1名以上 1名以上
年齢制限 なし なし 18歳以上 18歳以上 なし
最低資本金 なし
年次報告締切日
毎年登記月末 毎年3月1日 毎年4月1日 毎年登記月初日前の60日以内
2年ごと登記月末
オハイオ ニュージャージー ニューヨーク ミシガン テキサス
取締役 株主が3名未満の場合株主と同数。株主が3名以上の場合、最低3名
1名以上 1名以上 1名以上 1名以上
年齢制限 なし 18歳以上 18歳以上 18歳以上 なし
最低資本金 なし
年次報告締切日
不要 毎年登記日 2年ごと登記月末 毎年5月15日 毎年5月15日
出所:2014年アメリカ合衆国投資ガイドよりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Ⅴ-2. 日系企業進出主要州別・登記比較表
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
32
<会社設立に必要な書類>
① 定款、付属定款② 取締役会議事録③ IRS、設立州へのID申請書④ 株券(必要に応じて)
弁護士の決定
重要事項決定
定款・付属定款作成
州へ提出
ID取得州や市のID取得
営業許可取得
資本金振込
設立総会役員総会開催
設立する州の州法に精通している弁護士を選定
弁護士と相談の上作成
申請から1~4営業日で取得可能
地域によっては不要地方税申告時に必要
事業、申請州に応じて取得するライセンスは異なる
多くの州では設立時の出資振込は要件とされていない
弁護士作成の議事録で代替できるため取締役会は任意
出所:各州Secretary of State、JETRO HPよりみずほ銀行国際戦略情報部作成
V-3. 株式会社設立フロー
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
33
会社名称
授権発行株式枠数
株式の種類
設立当初の取締役会メンバー名・人数
発起人
事業所住所
業務内容
類似商業がないか登記前に確認Co, Co Ltd, Inc, などの商号の最後をどれにするかを決定
初回発行株式数は当初資本金に応じて決定出資比率を考えて発行株式数、初回発行株式単位等を併せて検討株式額面は発行ごとに変更可能。無額面も可能
州ごとに異なるが通常1名でも可能
発起人1名。米国居住者、非居住者可能親会社の1名を充てるケースが多い。弁護士でも可能
定款発行時の事業所住所を記載。米国に住所がない場合は日本の住所でも可能住所変更の際は、役会等で住所変更の承認後、定款の変更可能
業務内容の記載、追加記載は定款を修正することにより可能
事業年度事業年度変更の際は、役会等で事業年度変更の承認後、定款の変更可能税務署へ変更の通知を行う必要がある
通常は普通株式(Common Stock)が一般的
定めておくべき「定款」は、「設立定款」(certificate of incorporation)と、「付属定款」(by-laws)の2種類 主な記載内容は会社の名称、設立目的、事務所の所在地(郡)、株式に関する情報、訴状受け取り代理人の住所など
の法律上必ず記載することが要求されている事項(必要的記載事項)、必要に応じて記載することができる事項(任意的記載事項)など
出所:JETRO「米国における会社の設立・維持・閉鎖」よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
V-4-1. 会社設立 定款必要事項 (Corporation)
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
● 会社が運営・活動するにあたって従わなければならない規則を定めた、会社の内部規定● 付属定款記載事項は基本的に日本の取締役会規約・常務会規約等と同様● 設立定款と異なり州当局に届け出る必要なし● 法律上必ず規定しなければならない事項等は特に定められていない● 効率的な運営のためには、それぞれの会社のニーズに合わせた規定を定めておく必要がある
【付属定款記載事項例】 年次取締役会・年次株主総会開催日時 株主総会・取締役会の招集事項 株主、取締役、役員、株式、会計年度についての記載 投票に関する事項 取締役資格事項 執行役員に関する事項 株主譲渡に関する事項 報告・監査に関する事項 会社役員の権限、報酬に関する事項 会社の内部事項 議事録の代理(Proxy)に関する事項
出所:JETRO「米国における会社の設立・維持・閉鎖」よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
34
V-4-2. 会社設立 付属定款必要事項 (Corporation)
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
35
Officers
President
Vice President
Secretary(書類サイン・事務手続きを行う)
Treasurer(財務・経理担当、銀行窓口)
役員留意事項
Officerは現地、米国にいることが望ましいが、日本の親会社の方が兼務するケースあり 1名設立可能、すなわち役員の兼務が可能 役員は米国居住者、米国非居住者どちらでも可能 取締役会決議後、役員の変更は可能。エビデンスとして議事録の保管が求められる、また米国法
人を更新する際に役員の変更手続きも併せて行う
出所:「米国会社法」、「米国ビジネス法実務ハンドブック」よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
V-4-3. 会社設立 Officer(執行者)の選出
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
36
決算期
親会社の連結対象要否に留意
(出資比率過半数、あるいは過半数以下であっても役員派遣等で実質経営権を握る場合)
銀行口座開設
会社設立後随時可能 口座開設には雇用者番号(EIN)が必要 口座開設時に小切手へのサイン権者の登録が必要 地場銀行口座開設の場合は、米国の住所が必要
税務的側面
雇用者番号申請の際に、決算期をIRSへ通知する必要有
納税は原則オンラインで行う。雇用者番号取得後、オンライン納税のパスワードを税務署が郵送
法人所得税は四半期ごとの納税義務あり
損失が出た場合は税務上、過年度2年、あるいは翌年以降20年繰越をすることが可能
出所:「米国会社法」、「米国ビジネス法実務ハンドブック」よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
V-4-4. 会社設立 その他留意点 (Corporation)
米国ビザ概要
37
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
38
出所:みずほ銀行国際戦略情報部作成
米国に子会社
ESTA
B1ビザ
H-1Bビザ
E1ビザ
E2ビザ
L1ビザ
日本本社からの出資割合
米国滞在期間
なし
あり
90日以内
90日以上
50%以上
貿易
投資
50%未満
多国籍企業
日本国籍の方を海外に派遣する際に取得するビザは下記の通り:
※ 米国子会社の経営戦略、派遣される個人の方の状況等により上図の通りにならない可能性もございます。
Ⅵ-1. 取得するビザの種類
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
39
B1ビザ(短期商用ビザ)ESTA(電子渡航認証システム)
種類 商用/観光
申請先 米国国家安全保障省(税関・国境取締局)
会社要件
なし (会社派遣でないため)
対象者要件
VWP(ビザ免除プログラム対象国)の市民または資格のある国民であること渡航期間が90日以下、渡航目的が商用あるいは観光
有効期間
1回の滞在可能期間 90日以内有効期間 2年
留意点
2011年3月以降にイラク、イラン、スーダン、シリア、リビア、ソマリアまたはイエメンに渡航または滞在したことがある場合は対象外年間300万人以上に発給
種類 商用/観光
申請先 米国大使館・領事館
会社要件
なし (会社派遣でないため)
対象者要件
商用、旅行または治療を目的として米国に短期入国される方
商用では、取引先との会合、科学・教育・ビジネス分野の会議への参加、財産の処理、契約交渉等が可能
有効期間
1回の滞在可能期間 通常3~6ヵ月米国入国時に移民局の入国審査官が入国理由、スケジュール等を勘案のうえ、滞在期間を決定有効期間 10年
留意点 米国で給与を受け取ることはできない
出所:在日米国大使館HP等よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Ⅵ-2. 長期滞在目的
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
40
E-2ビザ(投資家、駐在員ビザ)E-1ビザ(貿易駐在員ビザ)
種類 就労
申請先 米国大使館・領事館
会社要件
・米国子会社が日系企業であること日本の親会社または日本国籍保有者が米国子会社の持分を50%以上保有
・貿易実績があること日米企業間で財・サービスの所有権が変わる相当の貿易量があり、かつ、全世界の取引高の51%以上が日米間取引であり、取引が継続的・実質的であること
・現地従業員の雇用(米国籍あるいは永住権保持者)
対象者要件
・役員、管理職または特殊技能者経営責任を負い、相応する給与を受け取る、管理者としての経験も必要
有効期間
5年(更新可能)
留意点E-1/E-2合わせて日本人向け就業ビザ発給件数の56%(2019年)
種類 就労
申請先 米国大使館・領事館
会社要件
・米国子会社が日系企業であること日本の親会社または日本国籍保有者が米国子会社の持分を50%以上保有
・米国子会社が実態ある会社であること経済的効果を持つ投資、充分な投資であることを証明ビザ発給前に事業を開始している必要あり
・現地従業員の雇用(米国籍あるいは永住権保持者)
対象者要件
・役員、管理職または特殊技能者経営責任を負い、相応する給与を受け取る、管理者としての経験も必要
・ビザの申請者は、相当額の投資をした会社の運営を指揮し、事業を発展させるために渡米すること
有効期間
5年(更新可能)
留意点E-1/E-2あわせて日本人向け就業ビザ発給件数の56%(2019年)
出所:在日米国大使館HP等よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
Ⅵ-3. Eビザ(駐在・就労目的)
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
41
H-1Bビザ(特殊技能職ビザ)Lビザ(企業内転勤ビザ)
出所:在日米国大使館HP等よりみずほ銀行国際戦略情報部作成
種類 就労
申請先 移民局→米国大使館・領事館
会社要件
・米国子会社が日系企業であること日本の親会社が米国子会社の持分を50%以上保有、もしくは実質的な会社経営権を掌握していること
・多国籍企業における異動多国籍企業が米国子会社や関連会社に社員を派遣もしくは転属
対象者要件
・役員、管理職または特殊技能者経営責任を負い、相応する給与を受け取る、管理者としての経験も必要
・実務経験赴任前の3年間のうち、最低1年以上は米国外の関連会社で役員・管理職もしくは特殊知識保有者としての勤務経験あり
有効期間
最初の認可期間は1年ないし3年L-1A(役員や管理職) 最長7年L-1B(特殊知識保有者) 最長5年
留意点 日本人向け就業ビザ発給件数の38%(2019年)
種類 就労
申請先 移民局→米国大使館・領事館
会社要件
・日系企業という要件なし・米国移民局に嘆願書(Petition)を提出
対象者要件
・新卒の学生でも申請・取得可能・原則として、学士号以上の学位が必要。職務内容がプロフェッショナルであり、申請者がプロフェッショナルとしての資格を有していること(学位等)
有効期間
最長 6年
留意点日本人向け就業ビザ発給件数の6%(2019年)
発給件数上限あり(2017年は85,000件)
Ⅵ-4. Lビザ/H-1Bビザ
<みずほ>の米州拠点
42
43
Ⅶ-1. <みずほ>グループの北米拠点
San Francisco (CA)
ニューヨーク支店サンフランシスコ出張所米国みずほ銀行サンフランシスコ出張所
Los Angeles (CA)
ニューヨーク支店ロスアンゼルス出張所米国みずほ銀行ロスアンゼルス出張所
Houston (TX)
ニューヨーク支店ヒューストン出張所米国みずほ銀行ヒューストン出張所
Dallas (TX)
ニューヨーク支店ダラス出張所米国みずほ銀行ダラス出張所
Atlanta (GA)
ニューヨーク支店アトランタ出張所米国みずほ銀行アトランタ出張所
Chicago (IL)
ニューヨーク支店シカゴ出張所米国みずほ銀行シカゴ出張所
Toronto (ON)
カナダ支店
New York (NY)
ニューヨーク支店米国みずほ銀行みずほキャピタル・マーケッツLLC
みずほオルタナティブインベストメンツLLC
Washington D.C.
ワシントンD.C.駐在員事務所
Calgary (AL)
カナダ支店カルガリー出張所
Copyright (c) Mizuho Bank, Ltd. All Rights Reserved.
44
Disclaimer
© 2020 株式会社みずほ銀行
本資料は金融ソリューションに関する情報提供のみを目的として作成されたものであり、特定の取引の勧誘・取次ぎ等を強制するものではありません。また、本資料はみずほフィナンシャルグループ各社との取引を前提とするものではありません。
本資料は、当行が信頼に足り且つ正確であると判断した情報に基づき作成されておりますが、当行はその正確性・確実性を保証するものではありません。本資料のご利用に際しては、貴社ご自身の判断にてなされますよう、また必要な場合は、弁護士、会計士、税理士等にご相談のうえお取扱い下さいますようお願い申し上げます。
本資料の著作権は当行に属し、本資料の一部または全部を、①複写、写真複写、あるいはその他の如何なる手段において複製すること、②当行の書面による許可なくして再配布することを禁じます。