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2015/11/29 数理科学・数理教育研究会@亜細亜大学  小島 順    線型代数を幾何代数に拡張する -- D. Hestenes に代表される数学/物理の潮流を取り込む -- n次元(内積を備えた)空間 ! n に対して幾何代数 (geometric algebra) G n を構成する。これ は線型空間として 2 n 次元であり,例えば n = 3 として G 3 は 8次元,その元は M = s + v + B + T の形をしている。 s, v, B, T はそれぞれスカラー,ベクトル,2-ベクトル(bivector),3-ベクト ル(trivector)である。それぞれの次数(grade を使っている)は 0, 1, 2, 3 である。 幾何代数 G n における積は次の規則をみたす。 G1.  分配律    A( B + C ) = AB + AC,( B + C ) A = BA + CA G2. スカラー倍   (aA) B = A(aB) = a( AB) G3. 結合律     ( AB)C = A( BC ) G4. 1の働き     1A = A 1 = A この積を幾何積(geometric product)と言う。その元を一般に多重ベクトル(multivector)と 呼ぶ。 ! n の元である普通のベクトル(1-ベクトル)も多重ベクトルの一つである。 さらに: G5. ユークリッド計量(内積)とのつながり     u ! n に対して  uu = u u = |u | 2 G6. ! n の正規直交基底は線型空間としてのG n の標準基底(a canonical basis)を定める。 これだけで幾何代数 G n は定まる。(その存在については,ここでは何も言っていない)。 1  ベクトルの積(復習) ベクトル a, b 内積(スカラー積,ドット積とも) a b inner (or dot or scalar) product a b = a b cosθ ! 1

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       線型代数を幾何代数に拡張する

    -- D. Hestenes に代表される数学/物理の潮流を取り込む --

n次元(内積を備えた)空間 !n に対して幾何代数 (geometric algebra) Gnを構成する。これ

は線型空間として 2n 次元であり,例えば n = 3として G3 は 8次元,その元は             M = s + v +B+T

の形をしている。s, v, B, Tはそれぞれスカラー,ベクトル,2-ベクトル(bivector),3-ベクト

ル(trivector)である。それぞれの次数(grade を使っている)は 0, 1, 2, 3 である。幾何代数 Gn における積は次の規則をみたす。

G1.  分配律    A(B +C) = AB + AC, (B +C)A = BA +CA

G2. スカラー倍   (aA)B = A(aB) = a(AB)

G3. 結合律     (AB)C = A(BC)

G4. 1の働き     1A = A1= A

この積を幾何積(geometric product)と言う。その元を一般に多重ベクトル(multivector)と

呼ぶ。 !nの元である普通のベクトル(1-ベクトル)も多重ベクトルの一つである。

さらに:G5. ユークリッド計量(内積)とのつながり     u∈!nに対して uu = u ⋅u = |u |2

G6. !n の正規直交基底は線型空間としての Gnの標準基底(a canonical basis)を定める。

これだけで幾何代数 Gn は定まる。(その存在については,ここでは何も言っていない)。

1  ベクトルの積(復習)

ベクトル a,b の内積(スカラー積,ドット積とも) a ⋅binner (or dot or scalar) product

a ⋅b = a b cosθ ∈!

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       外積(ウェッジ積とも)outer or wedge product a∧ b これは a,b が定める 2-ベクトル(bivector)であり,有向面分 (oriented plane segment)と解

釈することもできる。a∧ b = − b ∧ aである。

     

e1, e2を正規直交基底として,e1 ∧ e2が 2-ベクトルを生成し,

a∧ b = a b sinθ e1 ∧ e2。 2-ベクトル(bivector)の全体は e1 ∧ e2 を基底とする1次元線型空間

である。ベクトル(1-ベクトル)の全体はもちろん e1, e2 を基底とする2次元の線型空間である。

内積 a ⋅b は 実数直線 ! に値をとる。 !はそれ自身が1次元実線型空間であり,その元はベクトルとして振る舞う。しかし,我々の世界のモデルである3次元の空間,その中の平面のモデルとなる2次元の空間のベクトルと区別して,スカラーと呼ばれる。スカラーは 0-ベクトルであり,その全体は1次元の線型空間である。2-ベクトルは「ベクトル解析」でいう擬スカラー(pseudo-scalar)に相当する。pseudo は擬あるいは偽だが,普通は擬を使う。

2 幾何積の定義 

ベクトル(1-ベクトル)に対しては

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            ab = a ⋅b + a∧ b

二つのベクトルの幾何積はスカラーと2-ベクトル(bivector)の和である(次数が 0 と 2)。

Clifford(1845ー1879)がこの geometric product を導入した。➖逆に解くと(可換部分と反可換部分への分解として)

               a ⋅b = 1

2(ab + ba) = b ⋅a,

a∧ b = 12(ab − ba) = − b ∧ a

c = a + bに対する (a + b)(a + b) を展開して

| c |2= |a |2 + |b |2 + 2a ⋅b    (余弦定理)

これは a ⋅b が実数(スカラー)であることと整合的である。

直交と平行

       

a ⊥ b ⇔ a ⋅b = 0 ⇔ ab = a∧ b ⇔ ab = − baa ! b ⇔ a∧ b = 0 ⇔ ab = a ⋅b ⇔ ab = ba

直交する場合は 二つのベクトルの幾何積は内積の成分がなくて純外積となる(次数が 2 で 2-ベクトル)。

3 平面では !

2の正規直交基底 e1, e2 に対して,4次元線型空間としての G2 の標準基底は

1, e1, e2, e1e2 = e1∧ e2である。e1e1 = e1 ⋅e1 + e1∧ e1 = 1+ 0 = 1,e1e2 = e1 ⋅e2 + e1∧ e2 = e1∧ e2 = − e2∧ e1 = − e2e1(e1e2 )

2 = (e1e2 )(e1e2 ) = e1e2e1e2 = −e1e1e2e2 = −(1×1) = −1

2-ベクトル I = e1e2 は I2 = −1という虚数単位 i の条件(i2 = −1)を満たしている。

2-ベクトルの基底 I = e1e2 = e1 ∧ e2 の,ベクトルへの作用

e1I = e1(e1e2 ) = e2, e2I = e2 (e1e2 ) = −e2により, Iの右からの作用は平面 !2を+90° (反時計回

り)だけ回転する。Ie1 = (e1e2 )e1 = −e2, Ie2 = (e1e2 )e2 = e1により,Iの左からの作用は平面 !

2を −90° (時計回り)

だけ回転する。

(次ではしばらく Iでなく iを使っている。)

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4 古い文章をそのまま (始まり)

        

このように, i = e1e2については有向面分(plane segment)というモノ(object)としての解釈

の他に,“π / 2だけの回転” の作用という矢線としての解釈がある(ここでは矢線でなく有向円弧で表現したが)。 iπ / 2は “2ベクトル iが定める平面の角 π / 2 ” というほどの記号である。

一般の回転

Uθ = ab = a−1bとおき,Uθ を角 θ の回転子(rotor)と呼ぶ。作用は右から,という前提がここで

はある。これを 普通には eiθ と書く。

Uθ = eiθ = ab = cosθ + isinθaUθ = a(ab) = b = cosθ a + sinθ c,

である。Uθ−1 = ba = ab−1は左からの作用で同じ結果を出す。

 作用(複素数)Uθ = abを 現実の(real)の平面で表示するために 左から a を掛けている。も

う一度,左から a を掛けると 元の複素数 Uθ = ab にもどる。a−1 = aである。

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ba = −ab ではなくて(純でないから), ba = b ⋅a + b ∧ a = a ⋅b − a∧ b

であり,ba は ab の共役(conjugate)に相当する。ba =U−θ である。

一般のベクトル a への Uθ の作用は a! = a

| a |を使って下の図のようになる。有向円弧であるのに

先端の矢がない(補充が必要)。

aUθ = | a | (cosθ a! + sinθ c!)

          

回転と拡大を合わせた正の相似変換 λUθ は複素数 λeiθ = λ(cosθ + isinθ ) が対応する。

(「古い文章」の終わり)

5  複素数

z = x + Iyは スカラーと 2-ベクトル1の形式和であって,ベクトルとは全然違う。ベクトルx = xe1 + ye2とのつながりは以下のようである。

51 2-ベクトルは擬スカラー(pseudo scalar)と呼ばれることもある。

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実平面 !2 のベクトル e1に 複素数 z が右から作用して ベクトル x となり,共役複素数 z が左

から作用してもxとなる。ベクトル x に左からe1をかけて複素数 z となり,右から e1をかける

と z になる。複素数は実平面のベクトルではない。

複素数の中の積は可換だが, G3の中でのベクトルが絡むときの演算はもちろん非可換である。

6 幾何代数、幾何解析の歴史

幾何代数(geometric algebra) はクリフォード代数(Clifford algebra)とも。クリフォード自身は幾何代数という言い方をしている。

1, e1, e2, e1 ∧ e2 を基底とする4次元線型空間に幾何積を合わせ考える代数系 G2

さらに 空間 から出発する 8 = 2^3 次元の代数系(algebra) G3 が対象となる。さらにこの上に解析学(微積分)が幾何解析(Geometric Calculus)が展開される。

幾何解析に向かう樹形図(Family Tree for Geometric Calculus) がある。Hestenes によるもので,それをそのまま引用する。

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7  3次元空間において

「ベクトルの積」(2015/01/24) では,内積(ドット積)と外積(ウェッジ積)を統合した幾何積(geometric product) により,平面 !2 の上に 幾何代数(geometric algebra) G2 が構成されること,そのベクトル空間としての次元は 4 であることを述べた。 それは3次元空間に拡張される。我々の物理的空間のモデルとしての3次元アフィン空間 E があ

り,その上のベクトルの全体としてのベクトル空間 V がある。後者を !3 と同一視することもあ

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る。しかし,この問題は3次元アフィン空間をパスして,斉次座標による射影化に向かうのが「幾何代数」の方針のようだ。  !

3に対応する幾何代数 G3 を構成する。  一つの正規直交基底(orthonormal basis)e1, e2, e3を選ぶ。

1(scalar)e1, e2, e3 (vector)e1 ∧ e2, e2 ∧ e3, e3 ∧ e1 (bivector)e1 ∧ e2 ∧ e3 (trivector)

が 8次元ベクトル空間 G3 の基底となる。 e1e1 = e1 ⋅e1 = 1, e1e2 = e1 ∧ e2, e1e2e3 = e1 ∧ e2 ∧ e3などに注意を。上の3つの bivector によって任意の bivector がその線型結合として一意的に表現できることなど証明が必要である。

 ベクトル u, v に対して,u∧ vを規格化したものを iとする: u∧ v = ± |u∧ v | i

 平面 iの角 θ を考える。 bivector iθ も角と呼ぶ。これは角が置かれる平面(それは iが決め

る)と角のサイズ θ を同時に表現している。

 r := |u ||v |, a := r cosθ , b := r sinθ (so a2 + b2 = r2 )

とおくとき, uv = u ⋅v + u∧ v = r cosθ + ir sinθ = r eiθ = a + bi

となる(uv は bivector u∧ v と一致しない.スカラー部分 r cosθ がある)。この形に表現され

る G3の元を一般複素数と呼ぶ([4] の 85ページ)

G2 においては,平面は一つだから,一般複素数から一般がとれて,普通の複素数と一致する.ただし、その見方は普通の見方から外れている。 a + bi の形の表現は二つのベクトルの(幾何)積として表現できる。

a + bi = a + be1e2 = e1(ae1 + be2 )

(3) 四元数(quaternion) あるいは スピノール(spinor)とは一般複素数の別称である。  慣習的に i3 = e2e1, i1 = e3e2, i2 = e1e3

が G3のbivectors の基底として使われる。四元数(スピノール)は,ベクトルの幾何積の全体として, a + b1i1 + b2i2 + b3i3と一意的に表現される。

i12 = i2

2 = i32 = −1, i1i2 = i3, i2i3 = i1, i3i1 = i2

を満たす。

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 2-ベクトルとベクトルの積は反可換

実際,2-ベクトル B とベクトル a が任意に与えられた時,B = ab = a∧ b となるベクトル b が存

在する。このとき aB = a(ab) = a2b, Ba = (−ba)a = −a2b である。

8 GeoGebra 5 の 3D Graphics を使う

GeoGebra 5 の 3D Graphics View を使う。2

使用例:2-ベクトルの和

外積の結果が2-ベクトル(bivector)である。3次元空間におけるその和を視覚化する。

        2-ベクトル A と B の和の説明。共通の c を使い,A = a∧ c, B = b ∧ c, a ⊥ c, b ⊥ cと表現

できる。正確には 2-ベクトル(bivector)と 2-blade を区別する必要がある。二つの 2-blade の和は(定義により) bivector であるが,それは一つの 2-blade として実現できる。これは3次元だからで,4次元空間では bivector e1 ∧ e2 + e3 ∧ e4 は一つの 2-blade にはできない。

9  射影,rejection, contraction, reflection など

9

2  最近,私の Macbook Air のOS を最新の OS X El Capitan に変えた(El Capitan(エル カピタン) は Yosemite 渓谷にある花崗岩の一枚岩)。これまでの OS X は Snow Leopard v.10.6.8 で,これは El Capitan に簡単にアップデートできるギリギリの限界のバーションであった。 このアップデートによって,GeoGebra 5.0 を Apple Store からダウンロードし,インストールすることが可能となった。十分に実用に耐えるレベルに育っている,と思う。

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        と分解する。

は射影(projection),(x∧B) /B = x⊥は rejection(日本語では?)である。

は縮約(contraction)で によって計算される。後では,”10 回転” で,

を x⊥ と書き,(x∧B) /B = x⊥を x↑ と書いている3。

計算例:x = cosφ e1 + sinφ e3, B = e1 ∧ e2 とすれば,

     

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3 GeoGebra の中での TeX 入力は良質であるが,pages のこの文中にペーストするとき,行のラインにうまく乗らない。MathType は行中の入力では使ったが,極めて粗悪なアプリケーションである。スペースが

デタラメ,上下に付ける記号が小さく貧弱。 の \rfloor がどこにもない。上にずれるのを我慢して GeoGebra の TeX 入力を使った。下の独立行の数式も GeoGebra 上のもので,問題がない。

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10  線鏡映,面鏡映,点鏡映

             

11 3次元空間の回転

xOy 平面 (平面 I = e1 ∧ e2 )に単位ベクトル a, b があり,その角が θ / 2 である。ベクトルxの

aに関する鏡映の,ベクトル b に関する鏡映は,x をz軸の周りにθ だけ回転している。それは

回転子(rotor)b / a = baで xを両側から挟む (b / a)x(b / a)−1 で実現される。

Iの双対 は I* = I / I3 = (e1e2 )(e3e2e1) = e3 である。空間 !3 の角 Iθ の回転 (e3 を軸とする角 θ の

回転)は次のように実現できる。任意のベクトル x に対してベクトル a に関するx の鏡映 axa−1を作り,

次にベクトル b に関する axa−1の鏡映

b(axa−1)b−1 = (ba)x(ba)−1 = (b / a)x(b / a)−1  を作る。

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例:a = e1, b = cos(θ / 2)e1 + sin(θ / 2)e2  とする。 c = cos(θ / 2), s = sin(θ / 2) と略記して

          b / a =ce1 + se2 )e1= ce1e1 + se2e1 = c − Is

あるいは    

      b / a = ba = b ⋅a + b ∧ a= (ce1 + se2 ) ⋅e1 + (ce1 + se2 )∧ e1 = c − Is

        R = b / a = ba = b ⋅a + b ∧ a = c − Is, R−1 = ab = c + Is

         

RxR−1 = (c − Is)(x↑ + x!)(c + Is)= c2x↑ − s

2Ix↑I+ cs(x↑I− Ix↑ )+ c2x! − s

2Ix!I+ cs(x!I− Ix!)= c2x↑ + s

2x↑ + c2x! − s

2x! + 2csx!I= (c2 + s2 )x↑ + (c

2 − s2 )x! + 2csx⊥= x↑ + cosθ x! + sinθ x⊥

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文献

今回、参照した文献の一つは文献表の [4] A.Macdonald の教科書である。基礎教育の線型代数の教科書として Geometric Algebra を統合した例。[1] の Hestenes による批評:

 The book is sufficiently conventional to be adopted as a textbook by an adventurous teacher without getting flack from colleagues. Yet it leads to gems of geometric algebra that are likely to delight thoughtful students and surprise even the most experienced instructors.

 Dorst 他の [3] と Macdonald の[4] は購入して持っている本。 下の三つのウェブサイトを中心に,膨大な文献が入手できる。[6], [7], [5] はその一例で,このレポートでも参照した。

文献表[1] Hestenes, D. New Foundations for Classical Mechanics, 2nd edition. Reidel, 2000.[2] Doran, C., and A. Lasenby. Geometric Algebra for Physicist, Cambridge University Press, 2003.[3] Leo Dorst, Daniel Fontijne, Stephen Mann Geometric Algebra for Computer Science --- An Object-Oriented Approach to Geometry ---, Morgan Kaufmann, 2nd printing, 2009.[4] Alan Macdonald Linear and Geometric Algebra, 2nd printing, 2014.[5] Leo Dorst Geometric Algebra: the framework for geometric computations[6] Alan Macdonald A Survey of Geometric Algebra and Geometric Calculus, March 14, 2015 [7]  Hestenes, D. Oersted Medal Lecture 2002: Reforming the Mathematical Language of Physics

ウェブサイト

[8] http://geocalc.clas.asu.edu/ Geometric Algebra, Research and Development (Hestenes のサイト,大量の情報がある)[9] http://geometry.mrao.cam.ac.uk/ Geometric Algebra @ UNIVERSITY OF CAMBRIDGE (Doran などのグループのサイト)[10] http://www.geometricalgebra.net/ Geometric Algebra for Computer Science 著書 [3] のためのサイト[11]  Geometric Algebra and Foundations of Physics A. Macdonald のサイト

ソフトウェア

[12] GAViewer ( [3] で Geometric Algebra と そのプログラミングを学ぶためのソフトウェア。[10] から入手できる。)

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幾何学のモデル Dorst 他の [3] は幾何のプログラミングの本格的教科書。以下の幾何学モデルを扱っている。

(1) 2-d ユークリッド・モデル(2) 3-d ユークリッド・モデル(3) 3-d 斉次(homogeneous)モデル, 4次元ベクトル空間 !4 を使う。

(4) 3-d 共形(conformal)モデル, 5次元 Minkowski空間 !4,1 を使う。

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