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© JMA Research Institute Inc. Vol.15 2018.4 日本能率協会総合研究所マーケティング・データ・バンク(MDB)では中国やASEAN各国を中心としたア ジアの現地事情について、現地語を活用した調査で情報を入手し、日本企業の皆様の海外ビジネス活動を お手伝いしています。 アジア現地通信では、現地取材で入手したアジア各地のトピックスをお届けいたします。 CONTENT 中国で初の5G通話 5G商用化は2020年の見込み(中国) 中国では通信大手企業のチャイナモバイルやZTEが国内初の5G通信を行い話題となっている。チャイナ モバイルは現在実証実験を計画中といった段階であるが、今後2020年には商業運用体勢の完成を目指し ている。また、中国政府も多くの資金を投じるなど5G産業推進に積極的である。 トラックに後付け搭載 自動運転用キット(インド) 交通状況が混沌としているインドにて、特徴的なアプローチで自動運転市場に参入し注目されているのが Flux Autoである。同社は、既存のトラックに後付で搭載できる自動運転用のキットを開発している。既 存企業とは異なり、LIDARを使わないことでコストを抑えている点で注目が集まっている。 MDBアジア現地情報サービスについて MDBアジア現地情報サービスでは現地メディアの調査だけでなく、内容に応じて政府機関・業界団体・ 民間企業への問合せや、現地店舗への視察等を行っております。これによりウェブだけでは明らかになら ない現地の実態についてもアプローチをかけることが可能です。 情報収集にお困りの方は、お気軽に以下までお問い合わせをお願い致します。 (株)日本能率協会総合研究所マーケティング・データ・バンク 東京 〒100-0004東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル2階 担当:若林 TEL.03-6202-1428 [email protected] 大阪 〒541-0042大阪市中央区今橋3-1-7 日本生命今橋ビル7階 担当:鈴木 TEL.06-6233-2429 [email protected] お問い合わせ専用サイト https://mdb.jmar.co.jp/member/SearchOrder

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Page 1: CONTENT - 日本能率協会総合研究所mdb.jmar.co.jp/PDF/agt/201804.pdf中国では通信大手企業のチャイナモバイルやZTEが国内初の5G通信を行い話題となっている。チャイナ

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© JMA Research Institute Inc.

Vol.15 2018.4

日本能率協会総合研究所マーケティング・データ・バンク(MDB)では中国やASEAN各国を中心としたア

ジアの現地事情について、現地語を活用した調査で情報を入手し、日本企業の皆様の海外ビジネス活動を

お手伝いしています。

アジア現地通信では、現地取材で入手したアジア各地のトピックスをお届けいたします。

CONTENT

中国で初の5G通話 5G商用化は2020年の見込み(中国)

中国では通信大手企業のチャイナモバイルやZTEが国内初の5G通信を行い話題となっている。チャイナ

モバイルは現在実証実験を計画中といった段階であるが、今後2020年には商業運用体勢の完成を目指し

ている。また、中国政府も多くの資金を投じるなど5G産業推進に積極的である。

トラックに後付け搭載 自動運転用キット(インド)

交通状況が混沌としているインドにて、特徴的なアプローチで自動運転市場に参入し注目されているのが

Flux Autoである。同社は、既存のトラックに後付で搭載できる自動運転用のキットを開発している。既

存企業とは異なり、LIDARを使わないことでコストを抑えている点で注目が集まっている。

MDBアジア現地情報サービスについて

MDBアジア現地情報サービスでは現地メディアの調査だけでなく、内容に応じて政府機関・業界団体・

民間企業への問合せや、現地店舗への視察等を行っております。これによりウェブだけでは明らかになら

ない現地の実態についてもアプローチをかけることが可能です。

情報収集にお困りの方は、お気軽に以下までお問い合わせをお願い致します。

(株)日本能率協会総合研究所マーケティング・データ・バンク

東京 〒100-0004東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル2階

担当:若林 TEL.03-6202-1428 [email protected]

大阪 〒541-0042大阪市中央区今橋3-1-7 日本生命今橋ビル7階

担当:鈴木 TEL.06-6233-2429 [email protected]

お問い合わせ専用サイト https://mdb.jmar.co.jp/member/SearchOrder

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Source:

中国首个5G电话打通 可商用5G手机预计2019年推出 2018.4.2 http://www.chinanews.com/cj/2018/04-02/8482042.shtml

首个电话打通 5G商用提速 2018.4.3 http://www.ce.cn/cysc/tech/gd2012/201804/03/t20180403_28698046.shtml

中国信通院发布《5G经济社会影响白皮书》 2017.6.3

http://www.caict.ac.cn/xwdt/ynxw/201706/t20170613_2195305.htm

工信部启动5G技术研发试验 第三阶段工作 2017.11.24 http://tc.people.com.cn/n1/2017/1124/c183008-29665272.html

工业和信息化部部长苗圩接受央视采访时表示,中国已经着手研究6G 2018.3.10

http://news.dayoo.com/china/201803/10/139997_52111162.htm

5G商用化 18年に第一歩、20年に大規模実現 2017.11.24 http://j.people.com.cn/n3/2017/1124/c94476-9296394.html

2017年4月3日、通信大手のチャイナモバイルとZTEが中国国内初の5G通話を行ったと報じられ、大き

な話題となっている。中国政府は「第十三次五カ年計画綱要」、「第十三次五カ年計画期国家情報化計

画」、「国家情報化発展戦略綱要」や関連政策で国として5G産業を積極的に推進する姿勢を見せており、

政府主導で多くの資金を投じている。 2018年6月には5Gの国際標準の第1版が制定される見込みで、中国

は標準化と研究開発、テストを同時に進行、2019年には大規模にネットワーク建設を進め、2020年から

の大規模商用化を目指す。世界に先駆けて商用化を進め、5Gの世界市場で優位に立つのが狙いだ。

中国で初の5G通話 5G商用化は2020年の見込み(中国)

5Gの商用化により、通信分野以外のさまざまな分野における産業においても発展がさらに促進される

と考えられている。中でも、最も期待されているのが自動車産業と通信会社の融合によるコネクテッド・

カー関連産業の発展だ。中国は「中国製造2025」の中で、新エネ車と並んで人工知能とコネクテッド・

カーを重点的に推進する方針を定めている。

政府主導のほか、民間企業も積極的に動いている。チャイナモバイルは、2018年内に杭州、上海、広

州、蘇州、武漢の5都市でそれぞれ100カ所以上の5G基地局を建設して5Gの大規模実証試験を計画してい

る。さらに、北京、雄安新区(河北省)、重慶、蘭州など12都市で5G業務とこれを応用したビジネスモ

デルを展開するという。今後、2019年に商業運用を試験的に実施し、2020年には商業運用態勢の完成を

目指す。また、通信機器大手のファーウェイは2019年に5G端末を市場投入する計画で、すでに大規模製

品化段階に入ったとしており、2017年には40億元を投資、2018年にはさらに投資を増やす意向を示して

いる。

中国情報通信研究院が公表した「5G経済社会影響

白書」によると、2030年には5Gが中国にもたらす経

済波及効果は16億9,000万元(約287兆円)、経済的

付加価値は6兆5,000億元(約110兆円)に達し、

1,950万人の雇用創出につながると予測している。

中国ではすでに6G移動通信システムの研究に着手

したとの工業情報化部長の発言も伝えられた。5Gへ

の正式な移行に先立ち、次世代となる6Gを見据えた

取組がすでに始まっている。

直接

経済効果 間接

経済効果

出所:5G経済社会影響白書 中国情報通信研究院

中国の5Gによる経済効果(億元)

中国における5Gの基礎研究テストは、関連技術のテスト、技術プランの検証、システムの検証という

三つの段階に分けて行われている。第1段階の技術テストは2016年1月、工業情報化部などにより組織さ

れた「IMT-2020(5G)推進チーム」が北京市懐柔区に30基地のネットワークを建設して実施された。続い

て第2段階のテストが2017年9月に終了、2017年末からは第3段階に入っている。また、5Gの応用プラン

を募集するコンテストを実施し、広く社会からアイデアを集めている。

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トラックに後付け搭載 自動運転用キット(インド)

人や車、二輪車だけでなく牛などの動物まで道路に立ち入り、

交通状況が混沌としているインドでは自動運転の導入が難しい

と言われている。一方、自動運転による交通問題解決の期待も

高く、インド自動車大手のタタ・グループやマヒンドラグルー

プなども積極的に自動運転分野で取り組んでいる。そんな中、

特徴的なアプローチで注目を集めているのが2017年1月に設立さ

れたバンガロールに拠点を置くスタートアップ企業のFlux Auto

である。Flux Autoは、自動運転トラックを一から製造するので

はなく、既存のトラックに後付けで搭載することができる自動

運転用キットの開発を行っている。

Source:

Beating Google, Tesla, this startup's self-driving truck is all set to hit Indian roads http://ecoti.in/BrfRVa

Indian startup Flux Auto wants to democratize self-driving tech for trucks http://tcrn.ch/2vHN4qi

Indian Startup Flux Auto Working on Inexpensive Self-Driving technology for Trucks https://tiresandparts.net/news/parts/indian-

startup-flux-auto-working-inexpensive-self-driving-technology-trucks/

How a bootstrapped team of engineers in Bengaluru is building India’s answer to Tesla's Autopilot

https://yourstory.com/2017/12/bootstrapped-bengaluru-flux-auto-tesla-autopilot/

Indian startup Flux Auto bringing affordable commercial self-driving tech - https://www.techpluto.com/indian-startup-flux-auto-

bringing-affordable-commercial-self-driving-tech/

[企業概要]

企業名:Flux Auto

住所:100, 9th Cross Rd, Rajaji Nagar

Industrial Town, Rajaji Nagar, Bengaluru,

Karnataka 560079

URL:http://fluxauto.xyz/

今後は、2018年8月までに2,500台の車に同社の自

動運転キットを展開していく予定であり、現在

世界トップクラスのトラックOEM2社と最終協議の段

階にある。

しかしながら先日、自動運転車で初の死亡事故が起

こるなど、求められる安全性能や法規制等は今後より

一層厳しくなることが予想される。それらに対して、

同社がどのように対応していくのかが注目される。

自動運転市場に参入している既存企業の多くはLIDAR(Light Detection and Ranging)と呼ばれる

レーザーを用いて目的物までの距離や形などを検知するセンサーを採用し、自動車周辺の物体や歩行者

を感知しているが、1基あたり約75,000ドル程度と高額である。Flux Autoが注目を浴びているのは、

LIDARを用いず、ソナーやレーダーセンサー、超音波センサーなどと複数の車載カメラを併用すること

で、LIDARと同程度の機能を持ちながら、コストを抑えている点である。ポイントは独自の画像認識技

術で、どんな安価なカメラにも対応することができ、LIDARのデータ処理は時間がかかるが、同技術は

データの処理スピードも速い。キット全体での販売価格はカスタマイズの程度によるが、3,000~4,500

ドル程度を予定している。創業者のManpuria氏は、同社の自動運転用キットはトラックに後付けする製

品のため、アフターマーケット市場という他社とは異なる市場で、事業を拡大していく考えである。

同社の自動運転用キットは、高速道路での走行の際にレベル3の自動運転を行うことを想定している。

自動運転レベル3とは、緊急時はドライバーが操作を行うが、特定の場所では運転操作をシステムが全

て行うもので、2017年10月に独アウディが世界で初めて自動運転レベル3の技術Audi Autoを搭載した

Audi 8を欧州で発売し話題となった。

製品の展開にあたって自国インドでは、自動運転への規制が強化される動きがあるため、先ずは南

米・中米等で製品を展開する予定となっている。