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第 1 章 道 路 設 計

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第 1 章

道 路 設 計

第1章 道路設計

1 設計計画一般

道路の設計は、現況の路線が抱える問題を解決しようとするところから始まり、最終的に

は道路工事が完了して、一般に供用が開始されて一応の終わりを迎えることとなる。

その後は良好な状態を保つための維持管理が行われていくこととなる。

ここでは道路の計画の始まりから供用開始までの流れを示し、各段階での様々な設計や各

種の調査および協議等の手続き等の一例を示す。

道路の設計は、まず道路改築(整備)の必要性を検証することから始まり、概略ルートの選

定、基本的な構造の検討、用地幅の決定、工事実施のための詳細な設計、工事発注のための

設計書の作成。と、概ねこのような手順をたどり、これと並行する様に関係先との協議及び、

事業化に向けての手続き等が行われる。

設計の各段階ではそれぞれの時点での課題と問題点の抽出を行い、各種の検討や検証を行

ってよりよい結果へと導くことが肝心である。そのためには、環境や地質等の各種調査の実

施や、関係先との下協議などを効率よく計画に反映させる必要がある。

道路の設計は、その内容により大きくふたつに分類される。ひとつは道路の目的である人

や車の通行等に供用される路面上の部分の設計であり、もうひとつはその路面上の空間を安

全に確保するための構造部分の設計である。

路面の設計は、経済性に配慮しながらも交通の安全性や快適性、あるいは設定されたサー

ビスの水準を満足するよう、「道路構造令」に規定される、道路の幅員や線形等「道路の幾何

構造」の設計(路面の設計)であり、また、路面を支えるための構造部分の設計とは、各種の

示方書や指針類によって設計される、道路土工構造や橋梁構造、トンネル構造などの設計で

ある。

第1節 道路設計

1-1 道路設計の種類及び目的

(1)道路概略設計

空中写真測量地形図を用いて路線選定を行うもので、平面設計、縦断設計、主要構造

物の計画を行い概略工事費を積算し路線の比較検討を行うものとする。

(2)道路予備設計

空中写真測量地形図又は、実測図に基づき、概略設計で与えられた計画線により、図

上で平面線形を確定して、縦横断の設計を行い、構造物については概略形式及び寸法を

決定し、概略工事費の積算を行い、技術的、社会的、経済的判定を行うものとする。

(3)道路詳細設計

空中写真測量地形図又は、実測平面図、縦横断図に基づいて道路工事に必要な縦横断

の設計及び小構造物の設計を行い、各工種別数量計算を行うものとする。

―1―

(4)橋梁予備設計

地形図、及び地質図、土質図・土質解析等を用いて既存の橋梁各種データを参考にし

て最も適当と思われる橋梁上下部形式、基礎形式スパン割を決定するもので、このため

考えられる橋梁上下部基礎の組合せのうち、最良のもの数案にしぼって概略工事費を積

算し、技術的見地から比較検討を行うものとする。

(5)橋梁詳細設計

予備設計の結果に基づき構造主体、及び附帯構造物全般の形状、寸法、材料の種類、

施工方法等、必要な全設計を行うものとする。

(6)インターチェンジ予備設計

インターチェンジ予備設計は、空中写真地形または実測図に基づき、与えられた位置

に形式の比較検討を行い、決定された形式により図上で平面線形を確定した縦横断の設

計を行う。構造物については概略形式及び寸法を決定し概略工事費の積算を行い、技術

的、社会的、経済的判断を行うものとする。

(7)インターチェンジ詳細設計

予備設計に基づき道路工事に必要な縦横断の設計及び小構造物の設計を行い、各工種

別数量計算を行うものとする。

(8)トンネル詳細設計

空中写真地形図又は実測図、地質図、土質図、土質解析等を用いて坑門、内空断面等

施工に必要な施設の設計及び施工方法等の工事に必要な全設計を行うものとする。

尚、概略工事費については施工方法等の検討結果に基づいて積算するものとする。

(9)設計事前調査

設計上の事前調査や関係機関との事前協議のうち、用地幅に関係するような基本事項

その他については実施設計作成の時点までに済ますようにすべきであるが、主なる事前

調査をあげると次の如きものがある。

―2―

区 分 調査事項 設計への利用 摘 要

現在及び将来交通量 車道幅員、舗装厚

交差点の方向別交通量 交差点の設計 公安委員会と協議

歩行者数・学校数・自転車数 路肩・歩道・自転車歩行者通行帯の幅

員、横断歩道橋の必要性及び幅員など

交 通 量

バス停 バス停の必要性 バス業者、公安委員会、

陸運局と協議

関連事業

計 画

関連都市計画、沿道の状況及

び発展性

路肩・歩道・自転車歩行者通行帯の幅

員、道路の高さ(FH)、用地幅、側道

の必要性と幅員、交差点の設計など

軟弱地盤の地質及び高盛土箇

所の地盤地質

地盤処理工法、盛土工法、盛土の

FH、高架橋の必要性

高切土箇所の土質、土取場の

土質

切土法面の勾配、法面処理工法、擁壁

の構造、盛土法面勾配及び法面処理法

構造物の基礎地質 基礎工法及び杭長の決定

橋梁スパン割及び工種決定

路床土設計 CBR 舗装厚、路床土改良工法

路盤材料 路盤工種及び厚さ なるべく現地材料

地 質

トンネル地質 トンネル計画、工法、覆工厚

降雨強度、集水面積、用排水

路の系統、構造、管理者

側溝及び排水溝の大きさ

水路付替の構造、管理方法 管理者との協議

河川の計画高水位、計画法線、

既往 大水位

橋梁のFH、延長、スパン割

河側擁壁の構造、道路 FH

湛水位 道路FH、擁壁の高さ、避溢橋の延長

など

海岸満潮位、波浪高 海岸擁壁・根固・消波工

水 理

地下水位、湧水 法面構造、地下排水、舗装工種、FH 管理者との協議

環 境

騒音、振動、排ガス、日照、

その他環境問題が予想される

箇所

道路の位置、道路構造への対応

関 連 道 路 取付道路の幅員、交通量管理

取付及び付替工法(平面・立体・統廃

合、交差点処理など)、管理方法

跨道橋の橋長、クリアランス、FH

管理者との協議

鉄 道 線増計画、電化計画 跨線橋、跨道構の橋長、クリアランス、

FH 鉄道と協議

表1-1

―3―

1-2 道路計画から管理までの手順

図1-1

―4―

図1-2

―5―

図1-3

―6―

図1-4

―7―

1-3 設計・業務内容

道路および橋梁設計は下記の項目内容を標準とする。

(1)道路設計業務内容

概 略 設 設計範囲

項目 1 /10,000 1 /5,000

計 画 概 要 書 ルート選定の経過概要、設計施工上の特筆すべき問題点および結

論を記述する。

設 計 計 算 書

平 面 図

・中心線、測点(原則として200

m間隔)のみ記入する。

・平面線形要素

(単曲線を使用する)

・計画すべきトンネル、橋梁の

名称及び延長を記入する。

・計画線に関する国道、都道府

県道、都市計画道路、高速自

動車道路等有料道路その他重

要 な 道 路 を 記 入 す る 。

・中心線、測点(原則として100

m間隔)、路肩線、法先線等に

より道路の形状をわかりやす

く記入する。

・平面線形要素

(単曲線を使用する)

・計画すべきトンネル、橋梁そ

の他主要な構造物の名称及び

延長を記入する。

・計画線に関する国道、都造府

県道、都市計画道路、高速自

動車道路等有料道路その他重

要な道路を記入する。

縦 横 断 面 図

・縦断図は200mピッチ以下と

し勾配を記入する。

・横断面図は縮尺1 /200~1

/500で問題箇所毎に作成

し、平面図にはりつける。

・縦断図は100mピッチ以下と

し、主要な線形諸元を記入す

る。

・横断面図は縮尺1 /200~1

/500で断面で変化点及び問

題箇所毎に作成し平面図には

りつける。

構 造 物 図 主要構造物の形状、寸法を記入する。

標 準 断 面 図 土 工 定 規 図

表1-2

―8―

1 /2,500 予 備 設 計 詳 細 設 計

線形設定の経過概要、特殊な構造

物の設計を行った場合その計画

意図、その他特筆すべき事項を記

述する。

構造主体の形式、寸法を選定し

うる程度の計算(図集適用可能

なものは不要)

構造物の形式、寸法を選定しう

るための計算(図集適用可能な

ものは不要)

・中心線、測定(原則として 50

m 間隔)、路肩線、法先線等に

より道路の形状をわかりやす

く記入する。

・平面線形要素

(曲線緩和区間にはクロソイド

曲線を使用する)

・計画すべきトンネル、橋梁そ

の他主要な構造物の位置、延

長名称を記入する。

・計画線に関する国道、都道府

県道、都市計画道路、高速自

動車道路等有料道路その他重

要な道路を記入する。

・中心線、測定(原則として 20

m 間隔)、路肩線、法先線、中

央分離帯、歩道等により道路

の形状をわかりやすく記入す

る。

・平面線形要素

(曲線緩和区間にはクロソイド

曲線を使用する)

・構造物の形式、位置、寸法名

称等を概略設定する。

・計画線に関する国道、都道府

県道、都市計画道路、高速自

前車道路等有料道路その他重

要な道路を記入する。

・中心線、測点(原則として 20

m 間隔)、路肩線、法先線、中

央分離帯、歩道等により道路

の形状をわかりやすく記入す

る。

・平面線形要素

(曲線緩和区間にはクロソイ

ド曲線を使用する)

・構造物の形式、位置、寸法等

を箇所ごとに設定する。

・縦断図は 50m ピッチ以下と

し、主要な線形諸元を記入す

る。

・横断面図は縮尺 1 /200~1

/500 で断面で変化点及び問

題箇所ごとに作成し平面図に

張り付ける。

・縦断図は 20m ピッチ以下と

し、主要な線形諸元を記入す

る。

・横断面図は縮尺 1 /100 で各

測点ごとに規定断面を記入す

る。

・縦断図は 20m ピッチ以下と

し、必要箇所には必要な諸元

をすべて記入する。

・横断面図は縮尺 1 /100 で各

測点及び必要箇所はすべてに

規定断面を記入する。

主要構造物の形状、寸法を記入

する。

構造物が施工できる現状、寸法

を記入する。

土 工 定 規 図

構 造 物 断 面 図

土 工 定 規 図

構 造 物 断 面 図

表1-3

―9―

設計範囲

項目

概 略 設 計 予 備 設 計 詳 細 設 計

参 考 図

主要交差点処理検討図

(1 /10,000 については検

討不要)

工事目的物以外の間接工

事(足場、支保、締切等)

の施工に必要なもの

数 量 計 算 書

土量および用地補償の概

略数量

土量および構造物、用地

補償の概略数量

土量および構造物数量等

その他積算に必要なすべて

の数量及び用地補償の数量

工事費内訳費

経済的、技術的判定が行な

える程度の概算工事費の積算

で、標準的な単価により算定

する。

事業の実施が可能な程度

の精度をもつ工事費の積算

を行なうものであり、近年

または近傍工事費等の単価

を参考とし算定する。

施工計画概要費

工事施行にあたって問題

となる施工方法順序、注意

事項を記述し、使用機械、

ステージング、仮設備につ

いても記述する。施工上特

に留意すべき点を別途抜す

いし特記事項としてまとめ

る。

表1-4

―10―

(2)橋梁設計業務内容

表1-5

設計範囲

項目

予 備 設 計 詳 細 設 計

計画概要書

当初考えた橋梁上下部基礎の組合せと

最終案としてしぼられた組合せについて

その経過等を記述する。

設計計算書 構造主体の形式、主要寸法が理解しう

る程度の計算を行う。

構造主体及び附属構造物全般について

形式、寸法を確定するための必要な設計

計算を行う。

一般平面図 中心線、曲線半径、位置、選定した形

式、形状寸法の概略設計

中心線、曲線諸元、型式、位置、寸法

の設定を行う。

一般側面及

び断面図

側面図及び標準断面図を作成し主要寸

法を記入する。

構造主体の形状を記入し、併せて地質

図及びボーリング位置等の関連も記入す

る。

構 造 図

構造主体及び附帯構造物の必要な寸法

を記入する。形状の似た部分については

図面を省略し寸法のみで表示することが

できる。

参 考 図

工事目的物以外の間接工事(足場、支

保、架設、土留、締切等)で施工に必要

と思われるもの。

数量計算書 型式別の概略数量 数量及び材料表、間接工事等積算に必

要なすべての数量及び用地補償の数量

―11―

設計範囲

項目

予 備 設 計 詳 細 設 計

工事費内訳書

事業実施が可能な精度を持つ工事費の

積算で近年又は近傍工事等の単価を参考

にする。

施工計画概要書

設計上の意図を記し設計と不可分の関

係にある施工順序、施工方法注意点等を

列記する。なお、ステージ施工の範囲及

び問題点も記す。また使用機械、仮設備

等の計画も併せて記載する。

特 記 事 項 施工計画概要書に基づき施工上特に留

意すべき事項を記入する。

表1-6

(3)インターチェンジ設計業務内容

表1-7

インターチェンジ設計 設計範囲

項目 予 備 設 計 詳 細 設 計

計画概要書

形式選定の経過概要、特殊な構造物等

の設計を行った場合、その計画意図、そ

の他特筆すべき事項を記述する。

設計計算書

構造主体の形式、主要寸法を選定し得

る程度の計算を行う。

(図集、適用可能なものは不用)

構造物の形式寸法を確定し得るための

計算

(図集、適用可能なものは不用)

平 面 図

中心線、本線取付道路幅及び敷幅曲線

諸元、構造物の形式、位置、寸法を概略

設定する。

中心線、本線取付道路幅および敷幅曲

線諸元、構造物の形式、位置、寸法を箇

所毎に設定する。 設

縦横断面図

縦断図は 20m ピッチ以下とし、主要な

線形諸元及び本線取付線形諸元を記入す

る。横断図面は各測点ごとに規定断面を

記入する。

縦断図は 20m ピッチ以下とし、必要箇

所には必要な諸元をすべて記入する。横

断図については各測点及び必要箇所にす

べて規定断面を記入する。

―12―

インターチェンジ設計 設計範囲

項目 予 備 設 計 詳 細 設 計

構 造 図 主要構造物の形状寸法を記入する。 構造物が施工できる形状寸法を記入す

る。

標準断面図 土工定規図、構造物断面図 左 同 設

参 考 図 形式選定の経過平面図、縦断図及び主要

横断図。

工事目的物以外の間接工事(足場支保、

締切等)の施工に必要なもの。

数 量 計 算 書 土量及び構造物用地補償の概略数量 土量及び構造物数量等その他積算に必要

なすべての数量及び用地補償の数量

工事費内訳書

事業の実施が可能な程度の精度をもつ工

事費の積算を行うものであり、近年又は近

傍工事費等の単価を参考として算定する。

インターチェンジ設計 設計範囲

項目 予 備 設 計 詳 細 設 計

施工計画概要書

工事施工にあたって問題となる施工方

法、順序、注意事項を記述し、使用機械、

ステージング、仮設備についても記述す

る。

特 記 事 項 施工計画概要書に基づき施工上特に留

意すべき事項を記入する。

表1-8

表1-9

(4)トンネル設計業務内容

表 1 -10

ト ン ネ ル 設 計 設計範囲

項目 詳 細 設 計

計画概要書 坑門位置選定の経過概要(経過平面図及び資料)及びその他特筆すべき事項を記述

する。

設計計算書

構造主体(巻厚、坑門、支保工)等について、形式、寸法を確定するための必要な

設計計算を行う。

必要に応じて換気断面を決定するための計算を行う。

平 面 図 坑門の位置、形式、形状、寸法を設定する。

地質平面及び地質縦断面図を作成する。

縦断面図 縦断図は 20m ピッチ以下とし、必要箇所には必要な諸元をすべて記入する。

標準断面図 主体標準断面図を作成する。

―13―

ト ン ネ ル 設 計 設計範囲

項目 詳 細 設 計

施工計画概要書 工事施工にあたって問題(掘削計画、支保工、覆工)となる施工方法順序、注意事

項を記述し、使用機械、仮設備等の計画も併せて記載する。

特 記 事 項 施工計画概要書に基づき施工上特に留意すべき事項(安全対策及び環境対策等)を

記入する。

ト ン ネ ル 設 計 設計範囲

項目 詳 細 設 計

構 造 図 構造主体及び附属構造物の形状寸法を記入する。

一 般 図 標準横断面図及び掘削工法、支保工ピッチ、弾性波速度、巻厚等の表示図面 設

図 参 考 図

工事用仮設備(電力設備、コンクリー卜混合設備、スライディングセントルフォー

ム、ストックパイル、コンプレッサー設備、運搬路、給排水設備、仮設建物の配置、

その他)の施工に必要なもの。

数量計算書 数量及び間接工事等積算に必要なすべての数量

工事費内訳書 事業実施が可能な精度を持つ工事費の積算で近年又は近傍工事等の単価を参考にする。

表 1 -11

表 1 -12

―14―

2 幾何構造設計

2-1 幾何構造設計一般

道路の構造に関する設計は、道路構造令に示す各規定を満足するよう設計するものとす

る。なお、本設計要領においてその運用方法等を示したものについては、特に問題のない

限りこれによられたい。

2-1-1 道路構造令の趣旨と目的

道路の構造の原則は、道路法第 29 条で、「当該道路の存する地域の地形、地質、気象

その他の状況及び当該道路の交通状況を考慮し、通常の衝撃に対して安全なものである

とともに、安全かつ円滑な交通を確保することができるものでなければならない。」と規

定されている。したがって道路の構造は、その道路の機能と自然的外部的諸条件に応じ

て具体的に決定する必要がある。道路構造令は、この具体的な決定にあたって遵守しな

ければならない道路構造に関する一般的技術的基準を定めたのもである。

道路構造令で規定している道路の構造とは、主として、道路の幅員、建築限界、線形、

視距、交差または接続等の構造であり、道路構造の最も重要な要素を包含するものであ

る。

道路の構造は、道路の最も重要な要素の一つであって、道路法第 30 条では、道路構造

の技術的基準については政令で定めるよう規定しており、道路構造令はこの趣旨に沿っ

て制定された政令である。このように道路構造に関する技術的基準を政令で定める理由

は、

i)道路は、元来道路網の一部を形成し、相互に連絡してはじめてその機能を全う

しうるものであるから、道路の構造については全国的な統一を図る必要があるこ

ⅱ)道路構造は交通との関係が密接であり、特に車両の規格との間の調整を図る必

要があること

ⅲ)道路は、公共施設として、土地収用権があり、また、道路の損壊等には罰則が

適用されるなどの国民の権利利益を制約することがあるため、構造面からも道路

の範囲を明確にしておく必要があることなどである。

―15―

2-1-2 道路構造令の適用範囲

道路構造令は、道路を新設し、または改築する場合に適用される。したがって新設ま

たは改築以外の工事、例えば修繕または災害復旧工事等の場合には、道路構造令の規定

によらない工事を行うことは差し支えなく、また、道路構造令の規定に適合していない

道路をそのまま存置することも道路構造令の規定には抵触しない。しかし道路構造令は、

道路管理者の計画とは別に、他の工事により受動的に道路工事を行う場合および道路管

理者以外の者が道路工事を行う場合には適用される。他の工事によって生じた道路工事

とは、例えば、上級道路の工事によって生じた下級道路の工事あるいは、鉄道、河川、

ダム等の工事によって生じた道路工事等であるが、このような場合には、原因のいかん

にかかわらず道路の改築工事に該当し、したがって、改良する道路の構造は道路構造令

に適合したものでなければならない。ただし、これらについては、附帯工事等の特例に

ついての規定も設けられており、費用負担の問題と併せて、それぞれのケースごとに検

討する必要がある。

また、道路工事は通常、一路線の道路を数個の区間に分割して行われ、一区間につい

ての工事は、当該道路全体の新設または改築ということになるが、道路構造令の適用さ

れる範囲は、一路線全体ではなく、当該区間単位であることは言うまでもない。さらに、

道路の一定区間についてバイパスを建設する場合には、バイパスは当該区間の一部を構

成するものであるが、道路構造令は当該区間全体には適用されず、バイパス部分にのみ

適用されることとなる。

道路構造令の解

説と運用

平成 16 年 2 月

道路構造令の

解説と運用

平成 16 年 2 月

2-1-3 一般的技術基準の意味

道路構造令は、道路の構造に関する一般的技術的基準である。一般的技術的基準とは、

道路の通常の機能を確保し、通常の自然的・外部的条件に対応する技術的基準というこ

とである。道路の構造は、路線の性格、区間の交通状況等により決定される道路の機能

と、そのおかれている自然的・外的条件により多種多様なものであるから、これらをす

べて道路構造令で規定しようとすると膨大なものとなり、技術の進歩や交通の状況の変

化により時日を待たずに変更しなければならなくなる。また、あまり細部の専門技術的

な内容のものは、このような政令の規定事項としてはそぐわないものであろう。このよ

うな点を考慮して、道路構造令に定める技術基準は根幹的なもの、一般的なもの、行政

上から規定の必要なものなどにとどめたものである。したがって特殊な車両の通行を目

的とする道路のように一般的道路利用とは異なる機能を必要とするもの、超大規模橋梁

や特に急峻な山岳部に建設される道路などのように通常の自然・外的条件とは異なる条

件のもとにあるもので、構造基準のすべてをそのまま適用することができない場合には、

その構造について個別に検討していく必要がある。

―16―

―17―

―18―

―19―

2-3 道路構造令の改正と対応

道路構造令の一部を改正する政令が平成15年7月24日に交付され同日から施行され

た。よって、今後はこれによって処理されたい。

2-3一1 対応方針(案)

○ 基本的には新構造令を基本とする。

○ 事業の進捗状況により、新構造令の適用が困難な場合は次頁のフロー図「Ⅰ.改

築事業等で既に事業化しているもの」及び「Ⅱ.改築事業等で今後事業化を予定

するもの」によりそれぞれ、運用するものとする。

ただし、今後道路構造令の改正がなされた場合はこの運用の限りではない。

○ 次頁のフローを運用する場合でも、今後の道路構造のあり方をふまえた場合、ゆ

とりある道路構造で整備することが望ましいので、新構造令の適用を前提に運用

するものとする。

○ 構造物(トンネル、橋梁等)については、長期的な視点(沿道の開発計画・土地利用・

歩行者、自転車利用交通等)からの検討を行い、その対応方針を整理し決定する。

―20―

I 改築事業等で既に事業化しているもの

注) 区間の判断は、進捗状況に応じて細分化した区間とする。

ただし、区間設定にあたっては、交差点間とするなど道路構造の連続性に注意する

必要がある。

〔区間の考え方〕

―21―

Ⅱ 改築事業等で今後事業化を予定するもの

―22―

2-3-2 道路構造令と都市計画との関係

◎該当箇所

第Ⅳ章 都市計画制度の運用のあり方

Ⅳ-2-2 都市施設 ⅱ)施設別の事項 A-2 道路 2 道路の都市計画の考え

◎具体的な記述

(5) 道路構造令の適用

都市施設として都市計画に定める道路のうち道路法上の道路として新設又は改築され

るものについては、その計画事項である幅員、線形等が道路構造令(昭和 45 年政令第 320

号)に適合している必要がある。

また、既に決定されている都市計画道路のうち、整備着手時点における道路構造令の

規定に従って整備されているものについては、現行の道路構造令を遡及して適用する必

要はないが、今後、新設又は改築を行うものについては、都市計画決定されている幅員

が現行の道路構造令の一般規定を適用した場合に十分であるかを検証したうえで、必要

に応じ都市計画を変更すべきである。

この場合、沿道に堅固な建築物が立地している等により、道路構造令の一般規定を適

用することが事業費の高騰等社会経済上多大な影響を及ぼすものと判断される場合に

は、関連する都市計画道路の変更等を行い、当該道路の機能の一部を代替させることに

より、道路構造令の一般規定に適合させて整備することが望ましい。しかしながら、こ

の方法により道路構造令の一般規定に適合できない場合であって、上記のように道路構

造令の一般規定をそのまま適用することが社会経済上多大な影響を及ぼすものと判断さ

れる場合には、住民の合意形成や技術、費用の面等特別の理由によりやむを得ない場合

に限り、既決定の都市計画道路について道路構造令中の各例外規定を適用する余地もあ

ると考えられる。

―23―

2-3-3 既施工済みの改正部分

前回、平成5年 11月 25 日に公布、同日施行された、道路構造令の一部を改正する政

令(平成5年政令第 375 条)のうち、以下に示すものは現行構造令となっているので遺漏

のないよう注意されたい。

・道路構造令

第十条 3

第十一条の二

第三十五条 2

第三十九条

第四十条

・道路法施行令 第三十四条の三

これらにかかわる内容は次の通り。

○ ベンチ又はその上屋は、様々な歩行者が道路を安全かつ円滑に通行できるようにす

るため、バス利用の利便性の向上、歩行中の休憩需要への対応等の必要性に鑑み、道

路の管理上必要とされたものを、道路附属物として整備することが出来るものとした

ものである。

この場合、ベンチ又はその上屋の設置は、単にバス事業者等の要請により行うもの

ではなく、道路管理者が安全かつ円滑な道路の交通の確保その他道路の管理上必要な

ものであると判断する場合に行うものであること。

なお、べンチ又はその上屋は固定されたものであることに留意されたい。

また、べンチ又はその上屋を設けようとするときは、当該地域を管轄する警察署長

と協議すること。なお、道路交通法第 80 条に基づく当該地域を管轄する警察署長との

協議については別途行うこと。

○ 自転車専用道路、自転車歩行者専用道路及び歩行者専用道路

自 転 車 専 用 道 路→幅員3m以上とする(但し、地形の状況その他特

別の理由によりやむを得ない場合は 2. 5m まで

縮小することができる)

自転車歩行者専用道路→幅員4m以上とする。

歩 行 者 専 用 道 路→幅員2m以上とする。

○ 歩行者の滞留の用に供する部分

歩道等において横断歩道、乗合自動車停留所等に係る歩行者の滞留により歩行者又

は自転車の安全かつ円滑な通行が妨げられないようにする必要がある場合においては、

主として歩行者の滞留の用に供する部分を設けるものとする。(当該部分を設ける場合

に、その設置場所が道路法施行令第 38 条の2に規定する「道路の交差部分及びその付

近の道路の部分」又は横断歩道設置場所及びその付近の道路に該当するときは、当該

地域を管轄する都道府県公安委員会の意見を聞くこと。)

通達

「道路構造令の

一部を改正する

政令の施行につ

いて」

平成5年 11 月

25 日

建設省道政発

第 57 号

―24―

○ 車両の大型化について

1 橋・高架の道路等の設計自動車荷重の見直し

車両の大型化に適切に対応するため、橋・高架の道路その他これらに類する構造の

道路設計に用いる設計自動車荷重を引き上げることとしたがその具体的な基準につい

ては、別途「橋・高架の道路等の技術基準について」において通達されたところであ

るので、それによることとされたい。

2 側溝類の取扱い

側溝類についてもT-25 荷重で設計するものとする。

―25―

2-4 計画高(FH)の表示

(1)分離帯道路

図1-5

(2)非分離帯道路

図1-6

(3)単断面より分離断面への移行

図1-7

―26―

(4)ランプ

2-5 片勾配のすり付け

(1)すり付けの種別

種類としては、図 1-9~11 を標準とする。

(a)分離帯道路

図1-8

図1-9

(b)非分離帯道路

図 1 -10

―27―

図 1 -11

(c)単断面より分離断面への移行

(2)すり付け方法

すり付け方法は道路構造令に基く。

2-6 登坂車線

登坂車線の有無については、下記の条件を目安に検討するものとし、設置長、設置区間

等についでは担当課と打合せの上、決定すること。

(1)設置を検討する目安

(a)縦断勾配が、5%以上を含む区間がある場合。

(b)勾配部始端における速度を設計速度とし、許容最低速度(設計速度×1/2+5km

/hr)を下まわる区間が 200m 以上ある場合。

(2)登坂車線の幅員構成

図 1 -12

(a)登坂車線に設ける左側路肩は、道路構造令の路肩(縮小規定)によるものとする。

―28―

(3)その他

本基準は、既設道路に附加する場合のもので多額の事業費が必要な箇所(トンネル・

橋梁・どう門、地形上大構造物が必要となる箇所等)がある等、上記により難い場合は、

適宜検討し、担当課と協議すること。

2-7 視距の確保

視距の確保は、「道路構造令の解説と運用」に基づいて行うものとする。

2-8 高規格幹線道路幾何構造基準(案)

高規格幹線道路(当面供用区間を含む)の設計に当たっては、「高規格幹線道路幾何構造基

準(案)について」(平成元年9月 28 日付け建設省道路局企画課、道路事業調整官、道路計

画調整官連名による事務連絡)及び「高規格幹線道路暫定2車線の設計基準(案)について」

(平成2年7月 30 日付け建設省道路局企画課、道路事業調整官、道路計画調整官連名によ

る事務連絡)を参考とすること。

―29―

3 建築限界

3-1 車道の建築限界

車道の建築限界については「道路構造令の解説と運用」によるものとする。

3-2 歩道・自転車道および自転車歩行者道の建築限界

歩道・自転車道および自転車歩行者道の建築限界については「道路構造令の解説と運用」

によるものとする。

3-3 建築限界線のとり方

建築限界線のとり方については「道路構造令の解説と運用」によるものとする。

4 地下埋設

4-1 地下埋設物の基本方針

道路の占用は、一定の工作物、物件又は施設について(道路法 32 条)、道路の敷地外に余

地がないために、やむを得ないものであり、かつ、一定基準に適合する場合に限り許可でき

るとされている。(道路法 33 条)。

地下埋設物件は掘返しによる交通規制、道路構造への支障等、道路に与える影響が多大で

あるため、占用許可にあたっては、道路管理者、企業者双方の将来計画を考慮し調整の上道

路管理上支障のないよう配慮しなければならない。(道路法 34 条)。

4-2 占用スペースの確保

道路に専用物件を設置する場合の基準については、道路法施行令第2章による。ただし、

この通知は、一般的基準であるため石油管、高圧ガス管等特殊な専用物件の占用位置土被り

等は除く

5 歩道等の整備

5-1 設計一般

歩道等の設計にあたっては、第5章第1節交通安全施設により行うものとする。

高齢者、身体障害者その他の歩行者(車いす、乳母車を利用する者を含む。)及び自転車の

安全かつ円滑な通行を確保するためには、歩道及び自転車歩行者道(以下「歩道等」という。)

ならびに分離帯(交通島を含む。)において、通行に支障となる段差や勾配を解消し、誰もが

利用しやすい構造とする必要がある。このため、本基準は歩道等の横断歩道箇所等における

車道とのすりつけ部及び車両乗り入れ部の一般的構造を定めるものとする。

5-2 歩道等の段差及び勾配

5-2-1

本基準においては、以下に掲げる用語の定義を用いることとする。

(1)歩道等の形式

歩道等は、歩道等面と車道面又は縁石との関係においては以下の形式に分類される。

事務連絡

建設省都街発

第 57 号

建設省道企発

第 78 号

平成 11 年 9 月 10 日

沖縄総合事務

局長宛

発建設省都市

局長

建設省道路局長

「歩道における安全

かつ円滑な通行の確

保について」

―30―

(2)車道とのすりつけ部

歩道等面と車道面との間に高低差がある場合に、これを解消し、歩行者及び車両の安

全かつ円滑な通行を確保するための段差又は勾配を設けた箇所をいう。

(3)車両乗り入れ部

車両が道路に隣接する民地等に出入りできるように、縁石等の一部に対して切り下げ

又は開き等の処理を行い、必要に応じ当該箇所において車道とのすりつけ部を設けるこ

とにより車両が民地等に乗入れ可能となる構造をもった箇所をいう。

―31―

―32―

thayashi
テキストボックス
事務連絡 建設省都街発 第57号 建設省道企発 第78号 平成11年9月 10日 沖縄総合事務 局長宛 発建設省都市 局長 建設省道路局長 「歩道における 安全かつ円滑な 通行の確保につ いて」

―33―

thayashi
テキストボックス
事務連絡 建設省都街発 第57号 建設省道企発 第78号 平成11年9月 10日 沖縄総合事務 局長宛 発建設省都市 局長 建設省道路局長 「歩道における 安全かつ円滑な 通行の確保につ いて」

―34―

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テキストボックス
事務連絡 建設省都街発 第57号 建設省道企発 第78号 平成11年9月 10日 沖縄総合事務 局長宛 発建設省都市 局長 建設省道路局長 「歩道における 安全かつ円滑な 通行の確保につ いて」

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テキストボックス
事務連絡 建設省都街発 第57号 建設省道企発 第78号 平成11年9月 10日 沖縄総合事務 局長宛 発建設省都市 局長 建設省道路局長 「歩道における 安全かつ円滑な 通行の確保につ いて」

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テキストボックス
事務連絡 建設省都街発 第57号 建設省道企発 第78号 平成11年9月 10日 沖縄総合事務 局長宛 発建設省都市 局長 建設省道路局長 「歩道における 安全かつ円滑な 通行の確保につ いて」

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テキストボックス
事務連絡 建設省都街発 第57号 建設省道企発 第78号 平成11年9月 10日 沖縄総合事務 局長宛 発建設省都市 局長 建設省道路局長 「歩道における 安全かつ円滑な 通行の確保につ いて」

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テキストボックス
事務連絡 建設省都街発 第57号 建設省道企発 第78号 平成11年9月 10日 沖縄総合事務 局長宛 発建設省都市 局長 建設省道路局長 「歩道における 安全かつ円滑な 通行の確保につ いて」

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テキストボックス
事務連絡 建設省都街発 第57号 建設省道企発 第78号 平成11年9月 10日 沖縄総合事務 局長宛 発建設省都市 局長 建設省道路局長 「歩道における 安全かつ円滑な 通行の確保につ いて」

―40―

thayashi
長方形

―41―

thayashi
長方形

6 用地幅杭及び用地境界杭の設置

用地幅杭及び用地境界杭の設置場所構造等については、特別の場合を除き本要領を標準と

する。

ここで「用地幅杭」とは、取得し又は使用しようとする土地の区域を明示するために打設

する杭をいい、「用地境界杭」とは、用地取得の完了した土地と、これに隣接する土地との境

界を明示するために打設する杭をいう。

6-1 用地幅杭の設置

用地幅杭は直線で結ばれる境界の折点のすべてに設けるほか、同一直線が長くつづく所

では、原則として 20m 間隔に打設するものとする。

6-1-1 用地幅杭の構造及び設置の時期

用地幅杭は用地(幅杭)測量のとき適当な寸法の木杭を打設するものとする。

6-1-2 切土部における用地幅杭の設置

切土部の法肩には道路構造保全に必要な余裕をとって用地幅杭を設置するものとする。

余裕幅は切土の高さによって下記の範囲を標準として土質や地形、地目(宅地、農地、山

地等)に応じて適宜決定するものとする。

腰擁壁がある場合は擁壁より上部の切土高さについて、下表を適用するものとする。

切土の直高(h) 余裕幅(e)

0m~ 1m 0.0m~0.5m

1~3 0.5 ~1.0

3~5 0.8 ~2.0

5~10 1.5 ~3.0

10~15 2.0 ~4.0

15~20 3.0 ~5.0

20m 以上 5.0m 以上

擁壁のみの場合は天端より 3 0cm 程度の余裕をとるものとする。

―42―

6-1-3 盛土部における用地幅杭の設置

1)盛土部の法尻には道路構造保全に必要な余裕をとって用地幅杭を設置するものとす

る。

この幅は 30cm 程度を標準とする。ただし盛土が高い場合や地形の複雑なところでは

50cm~1m 程度の余裕をとってもよい。

2)法先石積を設ける場合は、1)の位置に用地幅杭を設置し、そこに石積の面を合わ

せて施工するものとする。

3)法先コンクリート側溝のある場合は側溝外壁面までを用地境として用地幅杭を設置

するものとする。

4)法先土側溝のある場合は土側溝外肩より 30 cm 程度の余裕をとって用地幅杭を設置

するものとする。

5)擁壁のある場合は、原則として基礎前面に用地幅杭を設置するものとする。

―43―

6-1-4 市街地における用地幅杭の設置

市街部において隣接地が平地であれば特に余裕をとらず、歩道縁石外面(側溝の場合は

外壁外面)を用地境界とし、用地幅杭を設置するものとする。

市街化が予想される箇所で下図のような場合には、土地所有者と調整し、歩道縁石外

面(側溝がある場合は、側購外壁外面)から、外側については無償借地契約を行なうこと

が望ましい。

ただし、この場合無償借地分については所有者の同意を得た上で道路法の摘要を受け

られるように、道路区域として告示をするものとする。なお、民地側か宅造等を行い無

償借地契約の必要がなくなった場合は契約を解除し、併せて区域変更を行うものとする。

また、取付道路等の箇所についても同様とする。

6-1-5 切土、盛土のない部分における用地幅杭の設置

1)切土、盛土のない部分においては前後との関連で若干の余裕をとるものとする。

2)市街部において隣接地が平であれば特に余裕をとらず歩道縁止石外面(側溝がある

場合は側溝外壁外面)を用地境界とし、支障とならない所に用地幅杭を設置するもの

とする。

なお、市街部における用地幅の決定には、都市計画事業等の関連を充分調査のう

え本局と協議して決定するものとする。

6-1-6 暫定施工の場合の用地幅杭の設置

4車線計画のうち、まず2車線分を施工したり、又は歩道部分のみ後年度に施工する

など暫定施工の場合における用地幅杭は全幅施工の場合は必要な用地を含めて設置する

ものとする。

―44―

6-1-7 橋梁、トンネルにおける用地幅杭の設置

1)高架橋の下は特別の場合を除いて、原則として買収するものとし、橋梁直下の両側

に 50 cm 程度の余裕をとって用地幅杭を設置するものとする。短い橋(又はカルバート

など)の場合は前後法尻を延長した線を以て用地境界としてよい。

2)河川、鉄道等を跨ぐ橋梁の場合は夫々の規定に従って占用手続をとるものとし、用

地幅杭の設置の必要はない。

3)トンネルの場合は、用地の買収は行わないものとする。

但し、土かぶりが浅く工事中に影響を及ぼすおそれのある等の場合は、上部土地所有

者の了解を得ておくものとする。

4)地下道の場合は工事の施工方法その他に応じ適正な補償を行い用地の買収は行わな

いものとする。

6-2 用地境界杭の設置

6-2-1 用地境界杭の設置

用地境界杭は、6-1用地幅杭の設置基準に準じて設置するものとする。

なお、用地境界が構造物(法先石積、法先コンクリート側溝、歩道、縁止石等)で明確

にされている所でも原則として用地境界杭を設けるものとする。

また、「6-1-3 盛土部における用地幅杭の設置」の 1)、4)及び5)については、

小型擁壁または張りコンクリートの構造物で用地境界を明確にし、用地境界杭を設ける

ものとする。

―45―

6-2-2 用地境界杭の設置時期

用地境界杭は、土地取得後すみやかに設置するものとする。この際、既設の用地幅杭

は取り去るものとする。

ただし、土地取得後、工事着工まで期間が短い場合においては、工事完了後設置する

ことができる。

6-2-3 用地境界杭の構造

用地境界杭は、鉄筋コンクリート杭とし、下図に示す構造のものとし、設置場所に応

じて根固めで補強するものとする。

また、岩等の場合は、適当な長さに切断し、根入れを浅くしてコンクリートによる根

固めを行うことができる。

(用地境界杭の構造)

図 1 -13 (その1)

―46―

用地境界杭が地先境界ブロックと重なる場合

図 1 -13 (その2)

図 1 -14 用地境界鋲

注1 材質:アルミ合金

2 設置:直線部 20m ピッチ

〃 :変化点

杭と鋲の使い分け

原則として杭を使用することとし、用地境界線上にコンクリート構造物がある場合に

ついてのみ鋲を使うものとする。

―47―

7 暫定施工

将来4車線以上の計画の道路の、暫定施工については本局担当課と協議して決定すること。

暫定断面の方式の決定においては、投資効果、施工性、管理面、地域の状況及び交通安全

等を考慮して決定する。なお、暫定供用が長期にわたる場合には、特に交通の安全に対する

配慮を要するので注意する。

以下に、暫定断面の標準的なものを示す。

1)片側部分供用

最も多く用いられてきた暫定施工の形で、事業費の面で有利に計画出来る。

構造物の状況や土工バランスの状況を考慮することで、初期投資を抑えることが可能

であり、また、暫定切土の法面については法面工を要しない勾配での切り取りも計画出

来る。

2)両側部分供用

① 沿道利用型

供用直後から活発な沿道利用が見込まれる場合の暫定施工の形で、事業費の面では不

利な点がある。車道部の幅員は、沿道利用者や故障車の停車等により、交通の障害が生

じないよう考慮する必要がある。

―48―

② 沿道開発型

I型

供用後に沿道の開発が見込まれる地域の暫定施工の形で、事業費の面で有利になるこ

とがある。中央分離帯及び、用地境界付近の構造物を省略して暫定供用することを検討

する。

歩道等は設置することが原則であるが、沿道の状況等を判断し、路肩部分を拡幅して

対応するなどにより、当面の間の設置を見合わせることも考慮にいれる。

なお、上下線の交通を分離する場合の車道部の幅員は、『①沿道利用型』と同様の配慮

を要する。

Ⅱ型

供用後に沿道の開発が見込まれる地域の暫定施工の形で、I型に対し交通量が多い等

交通安全に対する配慮が必要な場合に、中央分離帯等必要な施設を設置する。

―49―

8 関係機関との協議

道路改築にあたって生じる、道路、河川、水路、鉄道、等との協議及び設計上の注意点を

示す。実際の協議に当たっては本局担当課と協議のうえ実施すること。

8-1 河川協議

8-1-1 河川協議の手順

―50―

設 計 対 象 水 位 天 端 高

工事施工期間中の過去5年間の最大流量による水位

(時刻ピーク水位)

(締切後の水位上昇を考慮)

設計対象水位

計画高水位 既設堤防高以上

堤 非

工事期間中の既往最高水位

もしくは

過去の最高流量を締切設置後の断面で流下させ

るための水位

余裕高は構造令 20 条による

感潮区間 過去5ヶ年間の平均朔望満潮位+

(海岸+0.5m、河川+0.3m) 設計対象水位

期 非感潮区間

施工期間中の過去5ヶ年間の最大

流量による水位

(時刻ピーク水位)

設計対象水位

切 ※1 締切工法は、水深 1.5m 以下は土堤幅4m

水深 1.5m 以上は矢板

2 出水期は別途考慮

3 高潮区間は海岸に準ずる

仮締切堤設置基準(案)

8-1-2 協議事項

下協議や事前協議においては、実施協議及び協定の締結等に必要な事頃を確認すると

共に、設計上必要な事項を確認し、設計に反映させておくことが必要である。

8-1-3 河川内工事の設計対象水位(仮設工事)

河川内における工事により必要な仮締切及び桟橋等の設計対象水位は下記を標準とす

るが、河川管理者と事前に十分協議して決定すること。

なお、出水期の河川内の工事は原則として施工しないものとするが、やむを得ず施工

する場合は不測の事態を考慮し、構造物の被災程度を勘案して決定するものとする。

仮 締 切 対 象 水 位

―51―

8-2 鉄道協議

8-2-1 鉄道協議の手順

8-3 交差道路

8-3-1 交差する道路の計画について

交差する道路については、次のような事頃も調べておき設計に反映させる必要がある。

・都市計画道路として計画決定してある道路か否か

・新設又は拡幅等の計画決定はしてある道路か否か

・新設の場合ルートは決定してある道路か否か

―52―

8-4 その他の協議

河川、道路以外の協議については、次のようなものがあげられるが、協議の実際の方法

等については本局担当課の確認をとることとする。

・合併施行の協議

・公有水面埋め立て法による協議

・海岸法による協議

・都市公園法による協議

・都市緑地保全法による協議

・自然環境保全法による協議

・自然公園法による協議

・森林法による協議

・文化財保護法による協議

・港湾法による協議

・急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する協議

―53―

9 積 算

9-1 設計図書の作成について

設計図書は、決められた様式によって、きれいに作成すること。特に変更の場合の図面

は前後の関係を明確に表示すること。

9-1-1 設計説明

設計説明は下記事頃について記載例を参考に記入する。

イ)工事場所の位置及び延長

○号○○バイパスの起点側、側点 No.0~No.0 間の延長○○mの○○工事(改良、舗

装、構造物先行、橋梁等)を行うものである。

ロ)道路構造規格及び幅員

道路構造令第○種○級で設計速度○○km/hとし、幅員は全体計画 3~1.5~7~3

~7~1.5~3=26mのうち暫定施工として 2~1.5~7~1.5~2=14mを片側施工で左

側を完成させる。(又は完成断面で下部工を完成させる)

ハ)構造及び舗装構成(改良、舗装の場合)

交通区間は○交通とし、路床上のCBRは実測(又は推定)○%であるためFe安定

処理を行い、設計CBR(又は推定)○%としてFeを安定処理○○cm、下層略盤○○

cm、上層路盤○○cm、AS舗装○○cmのうち本工事で○○路盤まで施工する(又は○

○路盤迄は前年度施工済である)

(橋梁の場合)

延長及びスパン割

上部工の構造型式

下部工の躯体及び基礎型式

二)他事業等の関連

本工事は道路公団施工○○インターチェンジと関連するため別途締結した協定書

にもとづき施工するほか、盛土は現在施工中の○○工事より流用土を受入れ本工事で

敷均し締固めを行う。

ホ)図面の作成について(当初設計)

位置図、平面図……工事施工ケ所の外、前後の施工状況がわかるように記入する。

又、土取場土捨場およびその運搬経路その他積算内容で標示す

べき事頃を記入する。

標準横断図…………工事の最も標準的な代表断面を1~2断面選定し(特殊な断面

はさける)、幅員構成、舗装構成、法勾配を明記する。

縦断図………………特に暫定施工で概成とする場合は施工高を明示する。

横断図………………20m間隔を標準とするが、地形の変化がはげしい場合、補足断

面を追加する。

構造図………………必要に応じ天端高、基礎高等を記入する。

―54―

9-2 積算の適正化

材料単価の決定、数量の算出、歩掛りの決定、仮設費等の積算にあたっては、充分な検

討を行い、下記の点は特に留意のこと。

イ)材料単価の決定にはその根拠とした資料を明確にしておくこと。

9-3 運搬路の補修

イ)設計にあたっては運搬路を事前によく調査し特に通園通学路をさけ、市町村道等を対

象とする場合は市町村道の管理者と文書で協議しておく。

ロ)補修については道路管理者が行うのを原則として協議を進めるが、特に簡易舗装程度

の道路に重荷重の土運搬車を通す場合は道路構造上の問題もあると思われるので、原形

復旧程度は計上する。但しこの場合も一般交通による損傷もあるので協議の対象として

おく。

―55―

         関 係 図 書

道路土工ー施工指針

道路土工要綱

道路土工ー軟弱地盤対策工指針

道路土工ーのり面工・斜面安定工指針

道路土工ー土質調査指針

建設発生土利用技術マニュアル

建設副産物適正処理推進要綱

堤防余生基準について

ジオテキスタイルを用いた補強土の設計施工マニュアル

河川土工マニュアル

建設汚泥処理土利用技術基準

発生土利用基準

発行年月

S61.11

H21. 6

H18. 9

H11. 3

S61.11

H16. 9

H11. 5

S44. 1

H12. 2

H21. 4

H15. 6

H18. 8

    発行者

日本道路協会

日本道路協会

日本道路協会

日本道路協会

日本道路協会

土木研究センター

国土交通省

建設省

土木研究センター

国土開発技術研究センター

国土交通省

国土交通省

表2-1 関係図書

第2節 土 工 1 適 用 土工の設計は本節によるものとするが、記述のないものについては表2-1の関係図書他

によるものとする。

(注)使用にあたっては最新版を使用するものとする。

2 土及び岩の分類 2-1 土の分類

表2-2 土の分類

名 称

A B C 説 明 摘 要

礫の混入があって掘削時の能率が低

下するもの。

礫の多い砂、

礫の多い砂質土、

礫の多い粘性土

礫(G)

礫質土(GF)

砂 バケット等に山盛り形状になりにく

いもの。

海岸砂丘の砂

マサ土 砂(S)

(

普通土)

砂質土

掘削が容易でバケット等に山盛り形

状にし易く空隙の少ないもの。

砂質土、マサ土、

粒度分布の良い砂

条件の良いローム

砂(S)

砂質土(SF)

シルト(M)

バケット等に付着し易く空隙の多い

状態になり易いもの。トラフィカビリ

ティが問題となり易いもの。

ローム

粘性土

シルト(M)

粘性土(C)

土 粘

高含水比

バケット等に付着し易く特にトラフ

ィカビリティが悪いもの。

条件の悪いローム

条件の悪い粘性土

火山灰質粘性土

シルト(M)

粘性土(C)

火山灰質粘性(V)

有礫質土(O)

沖縄総合事務局

開発建設部

土木工事

共通仕様書

4-3-1

―56―

名 称

A B C 説 明 摘 要

岩塊玉石

岩塊玉石

岩塊、玉石が混入して掘削しにくく、バケット等

に空隙のでき易いもの。

岩塊、玉石は粒径 7.5cm 以上とし、まるみのあるのを

玉石とする。

玉石まじり土、岩塊、

破砕された岩、ごろご

ろした河床

第三紀の岩石で固結の程度が弱いもの。

風化がはなはなだしくきわめてもろいもの。

指先で離しうる程度のもので亀裂の間隔は 1~5 cm

くらいのもの及び第三紀の岩石で固結の程度が良

好なもの。

風化が相当進み多少変色を伴い軽い打撃で容易に

割れるもの。離れ易いもので、亀裂間隔は 5~10

cm 程度のもの。

地山弾性波速度

700~2,800 m /sec

軟岩

軟岩

凝灰質で堅く固結しているもの。風化が目にそって相

当進んでいるもの。亀裂間隔が 10~30cm 程度で軽い打

撃により離しうる程度、異質の硬い互層をなすもので

層面を楽に離しうるもの。

地山弾性波速度

700~2,800 m/sec

中硬岩

石灰石、多孔質安山岩のように、特にち密でなくても

相当の硬さを有するもの。風化の程度があまり進んで

いないもの。硬い岩石で間隔 30~50cm 程度の亀裂を有

するもの。

地山弾性波速度

2,000~4,000 m/sec

花崗岩、結晶片岩等で全く変化していないもの。亀裂

間隔が1m内外で相当密着しているもの。硬い良好な

石材を取り得るようなもの。

硬岩

硬岩

けい岩、角岩等の石英質に富む岩質で最も硬いもの。

風化していない新鮮な状態のもの。

亀裂が少なく、よく密着しているもの。

地山弾性波速度

3,000m /sec 以上

沖縄総合事務局

開発建設部

土木工事

共通仕様書

4-3-1

表2-3 岩の分類

2-2 岩の分類

―57―

国土交通省

土木工事標準歩

2章土工

道路土工要綱

(H21. 6)

分 類 名 称

主 要 区 分 記 号

変化率

変化率

C 1/L C/L

レ キ (GW)(GP)(GPs)

(G-M)(G-C) 1.20 0.95 0.83 0.79

レキ質土

レキ質土 (GM)(GC)(GO) 1.20 0.90 0.83 O、75

砂 (SW)(SP)(SPu)(S-M)

(S-C)(S-V) 1.20 0.95 0.83 0.79

砂質土

及び砂 砂質土

(普通土) (SM)(SC)(SV) 1.20 0.90 0.83 0.75

粘性土 (ML)(CL)(OL) 1.30 0.90 0.77 0.69

粘性土 高含水比

粘性土 (MH)(CH) 1.25 0.90 0.80 0.72

岩 塊 玉 石 1.20 1.00 0.83 0.83

軟 岩 I 1.30 1.15 0.77 0.88

軟 岩 Ⅱ 1.50 1.20 0.67 0.80

中 硬 岩 1.60 1.25 0.63 0.78

硬 岩 I 1.65 1.40 0.61 0.85

分類名称

主要区分

変化率L 変化率C 1/L C/L

レキ質土 1.20 0.90 0.83 0.75

砂質土及び砂 1.20 0.90 0.83 0.75

粘 性 土 1.25 0.90 0.80 0.72

2-3 土量の変化率

統一分類法により分類した土の各土質に応じた変化率は表2-4を標準とする。

なお、細分化し難いときは表2-5を使用してよい。

表2-4 土量の変化率(1)

表2-5 土量の変化率(2)

求めるQ

基準のq 地山の土量 ほぐした土量 締固めた土量

地山の土量 1 L C

ほぐした土量 1/L 1 C/L

締固め後の土量 1/C L/C 1

表2-6 土量の変化率の考え方

注)表のLおよびCは、土量の変化率で値は土の種類などによって異なる。

注(1)

(2)栗石に発生岩を使用する場合の変化率は(L+C)/2 とする。

(3)シラスの土量変化率は下記によるものとする。

(イ)熔結凝灰岩は上表の軟岩(I)を適用する。

(ロ)(イ)以外のシラスについては砂及び砂質土を適用する。

(4)コンクリート及びアスファルト舗装版の変化率は下記によるものとする。

(イ)コンクリートは軟岩(Ⅱ)を適用する。

(ロ)アスファルト舗装版は軟岩(I)を適用する。

―58―

与 那 原 層 新 里 層

風 化 部 未 風 化 部 -

1 :0.7 1 :0.5 1 :0.7

風 化 部 未 風 化 部

色 灰色、色むらがある 鮮やかな濃紺(暗責黒色)

状 態 泥土状でもろい 岩塊状で堅固

掘 削

(バックホウ) 容 易

困難(掘削土は岩塊状)

削るような感じになる

クラック 多 小

地 山 土 質 切 土 勾 配 標 準 値

島 尻 泥 岩 1 :1.2

・島尻泥岩における切土法面勾配

・風化、未風化の判定の目安(与那原層)

2-4 島尻層泥岩について

島尻泥岩については、共通編の参考資料-2「沖縄の地形・地質」及び「島尻層泥岩上

の橋梁基礎工設計・施工指針(案)」を参照のこと。

※島尻泥岩におけるオープン掘削の床掘勾配は以下を標準とする。

・床掘勾配

注) 5m毎に小段(幅=1m)をもうける。

―59―

図2-1 各部の名称

3 道路土工の構成 3-1 各部の名称及び標準構成

3-2 名称の解説及び機能

(1)盛土部

路床面が原地盤面より高いために原地盤上に盛り立てて築造した道路の部分を盛土と

いう。

(2)切土部

路床面が原地盤面より低いために原地盤を切り下げて築造した道路の部分を切土部と

いう。

(3)盛 土

盛土部において原地盤から路床面までの土を盛り立てた部分を盛土という。

(4)切 土

切土部において原地盤から路床面までの掘削した部分を切土という。なお、対象とな

る地山が土砂でなく岩の場合にあっても切土に統一する。

(5)床掘

構造物の築造・撤去を目的に、現地盤線(施工基面)から土砂等を掘り下げる箇所であ

り「埋戻し」が伴う箇所である。

(埋戻し)

構造物を地中に構築するときに、あらかじめ掘削して、構造物が築造された後に元の

状態にまで掘削した土を用いて埋めること。

(6)路体

盛土における路床以外の土部分を路体という。

―60―

(7) 路床

舗装の厚さを決定する基礎となる舗装より下の上の部分で、ほぼ均一な厚さ約1mの

層をいう。盛土部においては盛土の上部の、切土部においては原地盤の所定の掘削面下

の約1mの部分がこれにあたる。

また、均等な支持力をもつ路床面を得るために行った局部的な路床土の置換え部分、

切り盛り接続部の緩和区間を埋戻した部分など路床に含めるものとする。

(8) 舗装

セメントコンクリート舗装の道路においてはコンクリート舗装版と路盤を、アスファ

ルト舗装の道路においては表層、基層および路盤を舗装という。なお、砂利道において

は表層と路盤を舗装という。

(9) のり面

盛土および切土によって構成される土の斜面をそれぞれ盛土のり面及び切土のり面と

いう。これらのり面には必要に応じて小段を設ける。のり面の上端をのり肩、下端をの

り尻またはのり先という。

―61―

図2-2 切土断面図

4 切 土 4-1 標準横断図

4-2 切土のり面勾配

自然地盤はきわめて不均一で風化及び割れ目の程度、成層状態、間隙、含水量によって

その強度は著しく異なる。したがって現地の状況を十分考慮し、既往ののり面の状況を調

査し、表2-7の基準値と合わせて総合的判断によってのり面勾配を決定するものとする。

道路土工

のり面工・斜面

安定工指針

(H11.3)

3-2-1

―62―

地山の土質および地質 切土高 勾配 標 準 値

硬 岩 1:0.3~1:0.8

軟 岩 1:0.5~1:1.2

硬岩 1:0.3

中硬岩 1:0.5

軟 岩 1:0.5~1:0.7

風化岩 1:0.7~1:1.2

砂 密実でない粒度

分布の悪いもの 1:1.5 以上 1:1.8

5m以下 1:0.8~1:1.0 1:1.0 砂 質 土 密実なもの

5~10m 1:1.0~1:1.2 1:1.2

5m以下 1:1.0~1:1.2 1:1.2 砂 質 土 密実でないもの

5~10m 1:1.2~1:1.5 1:1.5

10m 以下 1:0.8~1:1.0 1:1.0 密実なものまたは

粒度分布の良いも

の 10~15m 1:1.0~1:1.2 1:1.2

10m 以下 1:1.0~1:1.2 1:1.2

レキ質土

岩塊または

玉石まじり

砂 質 土 密実でないものま

たは粒度分布の悪

いもの 10~15m 1:1.2~1:1.5 1:1.5

粘土・粘質土 10m 以下 1:0.8~1:1.2 1:1.2

5m以下 1:1.0~1:1.2 1:1.2 岩塊または

玉石まじり

粘質土・粘

5~10m 1:1.2~1:1.5 1:1.5

表2-7 切土の標準のり面勾配

〔注1〕上表は植生などの適切な保護をした場合に適用できる。

4-3 切土小段

(1) 小段の勾配

小段の横断勾配はのり尻方向に向かって 5~10%程度付けるのが普通であるが、小段

に排水施設を設ける場合は排水溝に水が集まる構造とする。

なお、(C)及び(D)の構造については、流末(縦排水)等の検討を行う必要がある。

図2-3 小段の横断勾配

(2) 小段の位置及び幅

切土の小段は原則として 5~10m の間隔で設けるものとし、7m毎を標準とする。小

段の幅は 1.0m(硬岩及び中硬岩)及び 1.5m (軟岩及び土砂)を標準とする。

切土高が低いか(5~6m以下)又は 7~10m 以下の硬岩の場合は単一なのり面勾配

とする。

道路土工要綱

(H21. 6)

道路土工

のり面工・斜面

安定工指針

(Hll.3)

3-2-1(3)

道路土工

のり面・斜面安

定工指針

(HU. 3)

3-2-1(3)

3-2-2(8)

―63―

なお、落石防護柵等を設ける場合や長大のり面の場合は、高さ 20~30m 毎に点検、

補修用の小段(幅3~4m程度)を設けておくことが望ましい。また管理用のはしご、

階段等も当初から考慮しておいたほうが望ましい。

小段の位置は同一土質からなるのり面では、機械的に等間隔としてよいが、土質が

異なる場合には湧水を考慮して土砂と岩、透水層と不透水層との境界などになるべく

合わせて設置することが望ましい。

図2-4 小段の位置と幅

4-4 のり肩

切土のり面ののり肩は、地山が不安定で植生が定着しにくく、一般にゆるい土砂、風化

岩が分布しているため侵食を受けやすく崩壊しやすい。したがって侵食防止、植生定着及

び景観上からラウンディングを行うことを原則とする。

ラウンディングの形状は図2-5を標準とする。なお、ラウンディングを行う場合は、

縦断方向についても図2-6に示すように処理することを原則とする。

ただし、小段のり肩については、小段の幅員確保の面から困難な場合が多いためラウン

ディングは行わない。

道路土工

のり面・斜面安

定工指針

(Hll. 3)

3-2-1 (2)

―64―

図2-5 ラウンディングの形状

図2-6 縦断方向のラウンディング

4-5 特に注意の必要な切土

切土において次に示す(1)~(12)の場含は、原則として土質調査を行って安定計算を行

い、のり面こう配の妥当性を検討する必要がある。

(1)用地事情その他によって切土のり面を表2-7の標準値より急にする必要のある場

(2)同一土質で地形、気象、湧水などの条件が同程度と思われる切土がかなり長い場合

(3)透水性の層(たとえば砂レキ層)と不透水性の層(たとえば粘土層)とが互層になっ

ており、その境界面の傾斜と同一方向になっている場合。(図2-7参照)

道路土工要綱

(H21. 6)

道路土工

のり面・斜面安

定工指針

(H11.3)

3-2-2

図2-7 透水性の層と不透水性の層とが互層の場合

―65―

(4) 透水性の土層(崖錐など)の下に岩盤があり、その境界面の傾斜がのり面の傾斜と同

一方向となっている場合(図2-8参照)

透水性の土砂と岩との境界面に沿って崩落することが多い。この場合のり面こう配

にあまり関係がない。

図2-8 透水性の層の下に岩盤のある場合

(5) 崖錐部分を切土する場合(図2-9参照)

崖錐タイ積層は絶えず匍行運動を続けていることもあり、崖錐の中腹部または下端

部を切り取ると大きな崩壊を招くことがある。したがってこのような地盤を切土する

場合は、崖錐層の層厚、崖錐層自体の性質、地下水の浸透状況などを十分調査し、慎

重に安定の検討をしなければならない。

図2-9 崖錐部分の場合

(6)頁岩、粘板岩などの水成岩あるいは石墨片岩、緑色片岩などの変成岩において、そ

れらの層理あるいは片理の傾斜が切土面の傾斜と同方向になっている場合(図 2 -10

参照)

図2 -10 層の傾斜が切土の方に向かっている場合

―66―

(7) 蛇紋岩、頁岩、粘板岩などが変質した場合

(8) 現在までに地すべりまたは山腹崩壊の履歴があり不安定な状態にある地盤の場合

(9) 断層または断層の影響を受けている地質の場合

水を含んだ細粒分の多い砂層、とくにマサ状に風化の進んだ花崗岩類および退化し

た段丘砂レキ層の場合

(10) 軟らかい粘土の場合

(11) 鏡肌や毛状の亀裂をもった硬い粘土の場合

(12) 島尻層泥岩は切土によって露頭面が大気にさらされると、乾燥収縮によってひびわ

れを生じ、その後降雨によって温めるとスレーキングを起こし、細片化、粘土化する

ことがわかっている。このように乾湿の繰り返しにより、被覆されていない切土のり

面は短期間に風化され、風化された表層は強度を失い滑落する。又、島尻層泥岩は土

質特性としてクラック、小断層及び傾斜をもった薄い砂層を含んでおり、不安定な法

面となるので単にN値よりのり面勾配を決定するのではなく、周辺の地山及びのり面

をよく踏査し、地山性状をよく把握し、のり面勾配を決定する必要がある。

ただし、切土のり面の安定計算は盛土の場合に比較して計算にのらない要素(土質

の不均一成層状態、地下水の変動、湧水の有無、地形、気象等)を多くもっており、

その上、土の強度特性の正確な判定が困難な場合が多いことなどから信頼性が落ちる

のが普通である。したがって安定計算のみによってのり面こう配を決定することは危

険であって、総合的な判断によってこう配を決定するようにしなければならない。

―67―

5 盛 土 5-1 標準横断図

5-2 盛土のり面勾配

盛土法面の勾配は盛土材料の種類及び盛土高により原則として表2-8に示す値を標準

とする。

土に浸水のおそれがある場合、盛土材料の土質が著しく悪い場合、基礎地盤が軟弱であ

る場合には、土質調査等を行って、安定を確保し得る法勾配を決定する。

道路土木

のり面工・斜面

安定工指針

(H11.3)

3-3-1

表2-8 盛土材料及び盛土高に対するのり面標準勾配

注1 盛土高とは、のり肩とののり尻の高低差をいう。(図 2 -12 参照)

図2 -12 盛土高

図2 -11 盛土断面図

―68―

図2 -13 盛土小段

5-3 盛土小段

小段は、のり肩から垂直高さが5~7m(標準5m)下がるごとに設けるものとする。

小段幅は 1.5m を標準とし、水路は十分検討して設置するものとする。(図 2 -13 参照。)

小段は盛土の安定を高め、長いのり面を短く区切る事によって、のり面を流下する水の

流速をおとして、浸食が激しくなる事を防ぐのみならず、維持補修の場合には足場として

利用できるなどの効用がある。

道路土工

のり面工・斜面

安定工指針

(H11.3)

3-3-1

下図の様な場合は小段の高さを7mまでする事ができる。

1)小段が1段の場合

2)小段が数段ある場合の1番下の小段

5-4 盛土の安定

盛土の基礎地盤は、盛土、舗装などの重量及び交通荷重を安全に支持しうるもので、か

つ盛土その他の荷重によって生ずる沈下が完成後に悪影響をおよぼすようなものであって

はならない。

道路土工

のり面工・斜面

安定工指針

(H11.3)

3-3-2

―69―

又、つぎに示す特殊な条件ののり面については盛土の安定上問題となることがあるので、

安定計算を主とした安定の検討を行ってのり面こう配や、のり面保護の工法を決定するも

のとする。

(1) 盛土自体の条件

1) 盛土高さが表2-8に示すのり面標準こう配を超える場合(高盛土)

2) 盛上材料が高含水比の粘土、粘質土、その他剪断強度の低い土からなる場合

3) 盛土材料がシルトのような間げき水圧が増加しやすい土からなる場合

(2) 外的条件

1) 地山からのわき水の影響を受けやすい場合

2) 盛土のり面が洪水時などに冠水したり、のり尻付近が侵食されるような場合

(例:池の中の盛土)

3) 万一破壊すると隣接物に多大な損失を与える場合

4) 盛土の基礎が軟弱地盤や、地すべりのように不安定な場合

5) 急な斜面に盛土する場合

道路土工要綱

(H21. 6)

5-5 盛土材料

(1) 盛土材料は盛土を構成する主要材料であって、その性質が施工の難易、完成後の盛

土の性質を左右することになるので、なるべく良質な材料を選んで使用することが望

ましい。

(2) 盛土材料として好ましいのは、施工が容易で、剪断強度が大きく、圧縮度が小さい

などの性質をもった土である。

(3) 一般に次のようなものは盛土材料として使用してはならないと言われている。

A ベントナイト、温泉余土、酸性白土、有機土などの吸収性が大で、圧縮性の大き

い土。

B 草木、切株、その他、多量の腐蝕物を含んだ土。

(4) 土を捨土の対象にすべきかどうかは、その土質はもちろんのこと、盛土高、盛土の

形状、切盛土量の平衡、対象となる盛土施工法、工期などの工事条件を考慮して経済

性を検討し、箇々の現場に於いて決定しなければならない。

(5) 高含水比の粘土、粘質土についても石灰処理等の処置を講じる事により使用可能な

場合は、捨土との経済比較等、その他の諸条件を検討の上できる限り使用する。

(6) 盛土材料中に大きなレキが含まれていれば、施工が困難であるばかりでなく、締固

めも不十分となるから、材料中に含まれるレキの最大寸法は 30 cm 以上のものは監督員

の承諾を得て路体の下部に使用し、路床面下 40 cm までは 15 cm、それ以下の路床に対

しては、20 cm 程度を標準とする。

(7) 路床部分の材料は、舗装設計の基礎となる部分であるので、得られる材料の中で、

なるべく良質の材料を路床部分に使用することとし、舗装構成を含め経済比較を行っ

て決定すること。

道路土工要綱

(H21. 6)

―70―

(8) 現道工事において、一般交通を通して嵩上げ(盛土)を行う場合盛土材料として、一

般の材料を使用すると、交通の安全を阻害することがある。このような場合の盛土材

料は、路床についてはその嵩上げ高が 50 cm 以上の場合には砂質土を用い、50 cm 以下

の場合には切込砂利等を使用する。

路体については幅員も広いので、一般の盛土箇所と同じ材料で積算する。

ただし、路床においても、現道の幅員が広い場合とか、一般交通に重大な支障を生

じない場合もあるので、現地の状況をみて、それに対応した設計積算を行うこと。

(9) 沖縄本島中南部に広く分布する島尻層泥岩は未風化で地山の状態では固結している

良好な地盤である。切土、掘削を行うと応力解放や吸水膨張による強度低下、乾湿風

化を受け易い材料であり、粘性土化しやすく、その土性は極めて不安定である。岩塊

が破砕されていない盛土では施工完了後降雨の浸潤、地山からの地下水浸透による岩

塊の軟弱化か盛土の圧縮沈下の原因になるといわれている。このため施工時において

は入念な転圧締固め、水の処理が要求される。

5-6 土羽土

土羽土は原則として設けるものとする。その厚さは法面直角に 30cm の厚さを標準とする。

土羽土の材料は細粒土(F){シルト(M)を除く}を使用することを標準とする。

5-7 軟弱地盤上の盛土

(1)設計

軟弱地盤上に盛土を行う場合は最も適した処理工法を設計するため次によること。

(イ)必ず事前に基礎地盤の調査および試験を行うこと。

(口)施工期間、盛土工程を考慮して安定および沈下計算などを行って地盤処理工の

必要性および処理工法を行うこと。

(ハ)盛土のスべリ破壊に対する安全率は 1.2 以上とする。

(ニ)舗装終了時の残留沈下量は盛土が連続する区間は 10~30 cm、橋梁などの取付

盛土部は 5~10 cm の範囲で道路の特殊性に応じ決定する。

(2)施工

軟弱地盤上に盛土の施工を行う場合は設計の思想を十分把握し施工管理を行いな

がら施工しなければならない。

(イ)盛土施工中は沈下盤等を設置し現地盤の圧密速度を管理しながら盛土の築造

を行わなければならない。

(ロ)盛土の施工速度は沈下と、時間の関係を図示して検討するとよい。

道路土工

のり面工・斜面

安定工指針

(H11.3)

3-3-1

―71―

軽量盛土材 単位体積重量

(KN/m3) 特 徴

E P S ブ ロ ッ ク 0.1~0.3 超軽量性,合成樹脂発泡体

発泡ビーズ混合軽量土 7程度以上 密度調整可,土に近い締固め・変形特性,発

生土利用可

気 泡 混 合 土 5程度以上 密度調整可,流動性,自硬性,発生土利用可

石炭灰・水砕スラグ等 10~15 程度 粒状材,自硬性

火 山 灰 土 12~15 天然材料

中 空 構 造 物 10 程度 コルゲートパイプ,ボックスカルバート等

表2-9 軽量盛土材の種類

5-8 その他の盛土構造

用地の制約や軟弱地盤等の特殊な条件下において用いる盛土構造として、以下のような

工法がある。これらの適用にあたっては、「道路土工-のり面工・斜面安定工指針」を参照。

なお、のり面勾配がかなりきつく、土圧を考慮した設計が必要となる補強土壁の設計の

考え方については、「道路土木-擁壁工指針」を参照。

(1)補強盛土工法

ジオテキスタイルのような補強材を盛土中に敷設する工法で、盛土の安定性向上性

や、安定した急勾配盛土を築造し用地縮減を図る目的から施工実績が増加している。

また、排水性を有するジオテキスタイルの敷設により、高含水比粘性土の盛土材の

圧密促進を図る場合もある。

(2)軽量盛土工法

軽量盛土材を採用することにより、盛土を軽くして地盤に加わる負荷を軽減させる

ことを目的とした工法で、当初は軟弱地盤対策として利用が始まったが、最近では山

岳道路のような急峻な斜面上の盛土に適することで、切土を極力抑え自然の改変を少

なくする場合に用いられるケースが増加している。軽量盛土材の種類として表2-9

に示すものがあげられる。

(3)設計書作成時の注意事項

軟弱地盤と予想される場合は圧密沈下に対する盛土量の契約変更の有無を特記仕様

書にはっきり明示しておくこと。なお、変更する場合は沈下盤、消石灰等を現地盤上

に設置し沈下の量が施工終了時に確認できるようにしておくこと。

もし前期の設置等を怠った場合は契約変更をできないので注意すること。

道路土工

のり面工・斜面

安定工指針

(H11.3)

3-3-3

―72―

6 段切り、片切り、片盛り、切盛境及び腹付盛土

6-1 段切り及び片切り、片盛り

原地盤の地表勾配が、道路横断方向で1:4~0.5 の箇所に盛土を行う場合は表土を除去

した後に段切りを設けるものとする。図 2 -14 を標準とする。

片切り、片盛りの接合部には図 2 -14 に示すように1:4程度の勾配をもって緩和区間

を設けるものとする。また、この場合の排水については十分な処置をとることが必要であ

り、湧水の恐れのある場合には接続部の切土面に地下排水溝を設ける。地下排水溝の構造

は、湧水の状態、地形、土質等を考慮して定めるが、有孔管を設置すると共に目づまり防

止の処置を行う。

道路土工要綱

(H21. 6)

図2 -14 段切り、片切り及び片盛りの摺付け

6-2 切盛境の摺付け

切土と盛土の縦断方向の接続部では地盤強度の急激な変化を避けるため、切土の摺付を

図 2 -15 の(1)~(3)に示すように行い、同質の盛土材料で盛土する。

(1)切土部路床に置換のないとき

図2 -15(1)切盛境の摺付け

―73―

(2)切土部路床に置換えのあるとき

図2 -15(2)切盛境の摺付け

(3)原地盤が岩で摺付け区間を長くとることが不経済となる場合

図2 -15(3)切盛境の摺付け

6-3 腹付盛土

既設盛土に腹付けすることにより、基礎地盤の沈下や既設盛土の変形等が懸念される場

合は、原則としてあらかじめ基礎地盤の調査を行いその対策工法を検討するものとする。

これらの適用にあたっては、「道路土工-軟弱地盤対策工指針」を参照。

―74―

7 盛土と構造物の接続部の施工

7-1 盛土の沈下と構造物

橋台、カルバートなどの構造物と盛土との接続部分には不同沈下による段差が生じやす

く、そのため舗装の平坦性が損なわれがちである。

段差の発生は軟弱な基礎地盤の盛土部分に多く見られるが、盛土と構造物の接続部の沈

下の原因に、基礎地盤の沈下、盛土自体の圧密沈下、構造物背面の盛土による構造物の変

位などが上げられるが、ほかに、施工法にも一因あると思慮される。すなわち、道路工事

では一般に構造物と盛土が工程上並行して施工されるため、構造物の裏込めおよび取付け

盛土は構造物と盛土がほぼ完成した段階で施工されることになる。

(1)接続部の沈下の原因

1)構造物基礎の堀削土がまじり、盛土材料の品質が悪くなりやすいことおよび構造物

の立上がりとの間が乱雑になりやすいこと。

2)裏込めの部分は立上がった橋台、ボックスカルバートおよびそれらの翼壁と盛土と

に囲まれていることが多いので排水が不良になりやすいこと。

3)埋戻し、裏込めが最後に施工されるため高まきになりがちであり、さらに場所が狭

いため締固めが不十分となりやすいこと。

(2)盛土と構造物の接続部の段差をなくす対策

1)裏込めの材料として、締固めが容易で、非圧縮性、透水性があり、かつ、水の浸入

によっても強度の低下が少ないような安定した材料を選ぶこと。

2)狭い限られた範囲での施工による締固め不足にならぬよう、施工ヤードを可能な限

り広くとるとともに、一般盛土部と同様に、できるかぎり大型締固め機械を用いて、

入念な施工を行うこと。

3)構造物裏込め付近は、施工中、施工後において、水が集まりやすく、これにともな

う沈下や崩壊も多い。したがって、施工中の排水勾配の確保、地下排水溝の設置 な

ど十分な排水対策を講じること。

4)必要に応じて構造物と盛土との接合部に踏掛版を設ける。

5)軟弱地盤上の接続部では特に沈下が大きくなりがちであるので「道路土工-軟弱地

盤対策工指針」を参考に必要な処理を行って沈下をできるだけ少なくする。

などが考えられる。

道路土工施工

指針

(S61. 11)

4-5

―75―

図2 -16 橋台の踏掛版例

7-2 踏掛版

(1)踏掛版の設置基準

橋梁および土かぶりの薄いボックスカルバートと盛土と取付部分に生じる段差によっ

て、自動車の乗心地が低下することを防ぎ、伸縮装置や床版への衝撃を緩和し、維持補

修費の低減をはかるために、踏掛版を設置することを標準とする。踏掛版は、その上面は

路面と平行であり、設置幅は車線及び路肩を含む幅としなければならない。

道路土工施工指

針(S61.11)

4-5-3

表2 -10 踏掛版設置基準例

右記以外の区域にある橋台 施設等の有無

地盤の種類 普 通 地 盤 軟弱地盤

橋台の形式

裏込め材

種類橋台

切込砂利、硬岩な

ど締固めによっ

て細粒化しない

もの

左記以外の材料 すべての材料

連絡等施設内もしく

はその前後各 500m

およびトンネルの前

後各 500m 内の区域

にある橋台

6m未満 設置しない

(設置しない)

(5)

8

(8)

8

(8)

6m以上

12m 未満

5

(5)

(5)

8

(8)

8

(8)

式 12m 以上 8

(5)

(5)

8

(8)

8

(8)

6m未満 5

(5)

(5)

8

(8)

8

(8) 中抜き盛こぼし

6m以上 8

(5)

(5)

8

(8)

8

(8)

注)1数字は踏掛版の長さ。

2盛土高とは、フーチング下面から舗装面までの高さとする。

3軟弱地盤箇所については、地盤処理等を行った場合は普通地盤の踏掛版に準ずること。

なお、地盤処理を行わない箇所については担当課と協議の上設置すること。

4カッコのないものは設計速度 80km/h以上の場合に、カッコのあるものは設計速度 80km/h

未満の場合にそれぞれ適用する。

―76―

(2)踏掛版の設置位置および設置幅

1)設置位置

踏掛版はその上面が路面とほぼ平行し、その上面は原則として路面から 40 cm 下に

位置するように設置する。

2)設置幅

踏掛版の設置幅は原則として車道及び路肩を含む幅とし歩道及び路上施設帯(緑地

帯)等は含まれないものとする。なお路肩部に側溝等がある場合はこれを除く。

(3)アンカーボルト

1)アンカーボルト等

踏掛版と受台はアンカーボルト D22 長さ 60 cm を 75 cm 間隔で設置することを標準と

する。アンカーボルトの周辺には補強筋を設けるものとする。

なお、アンカーバーについては溶融亜鉛メッキを標準とする。

(4)その他

1)目地材

踏掛版とパラペット間、踏掛版と受台間および踏掛版と翼壁間にはそれぞれ目地材

を挿入する。

開建部

土木工事設計

要領

第2編

第2節土工

2-7(2)

―77―

(5)構造図

(1)5m及び8m踏掛版の場合

なお8m踏掛版は、( )を用いるものとする。

図2 -17

注)A活荷重の8m踏掛版については踏掛版厚 480 ㎜は変更せず鉄筋のかぶりを 75 ㎜を 70 ㎜と

すること(下側かぶり)。

設計活荷重 A活荷重 B活荷重

踏掛版厚 350 ㎜ 350mm

主鉄筋間隔 D -25ctcl5. 0cm D―25ctcl5.0cm下

側 配力筋間隔 D -16ctcl5. 0cm D -16ctcl5. 0cm

主鉄筋間隔 D ―22ctc30.0cm D ―22ctc30. 0cm上

側 配力筋間隔 D ―22ctc30. 0cm D ―22ctc30.0cm

長さ5mの場合 長さ8mの場合

なおスターラップを 30cm 間隔の千鳥配置とし D13

の鉄筋を使用する。

なおスターラップを 30cm 間隔の千鳥配置とし D13

の鉄筋を使用する。

設計活荷重 A活荷重 B活荷重

踏掛版厚 480mm 480 ㎜

主鉄筋間隔 D -29ctcl5. 0cm D -32ctcl5. 0cm 下

側配力筋間隔 D ―19ctcl5. 0cm D ―19ctcl5.0cm

主鉄筋間隔 D ―25ctc30. 0cm D -29ctc30. 0cm 上

側配力筋間隔 D ―25ctc30. 0 cm D -29ctc30. 0cm

―78―

最 大 寸 法

4,760μ

(No. 4)フルイ通過量

74μ

(No.200)フルイ通過量

塑性指数

100 ㎜

25~100%

O~25%

10 以下

7-3 裏込め及び埋戻し

盛土における構造物の裏込め部あるいは、切土における構造物の埋戻し部には、良質の

材料を使用し、十分な排水を考慮して入念な施工を行わなければならない。

(1)裏込め及び埋戻しの材料

構造物の裏込め、埋戻しの材料は締固めが容易で圧縮性が小さく、また透水性が良

く、かつ、水の浸入によっても強度の低下が少ない安定したものを選ぶ必要がある。

粒度分布のよい切込砕石、切込砂利及び荒い砂は、裏込め及び埋戻し材料として非常

に優れている。

しかし、このような良質材を大量に使用することは工事費の面などから困難な場合

が多いが、表 2 -11、2 -12 は裏込め、埋戻しとして適した材料の性質を示したもの

である。

なお、大型締固め機械を使用して十分な締固めが可能であるならば、路体部分の裏

込めには、良質の盛土材料(74μ(N0.200)フルイ通過量 O~30%、塑性指数 20 以下、

水浸CBR5以上)を用いれば特別に裏込め材料を求めなくともよい。

また、ソイルセメントも埋戻し、及び裏込め材料としては非常に優れている。埋戻

し、及び裏込め材料として、ソイルセメントを使用する場合には、排水に留意しなけ

ればならない。

この場合のソイルセメントの配合は「舗装設計施工指針付録-9、2-3」に準じ

て行えばよい。

道路土工施工

指針

(S61. 11)

4-5-2

表2 -11 裏込め及び埋戻しに適する材料の粒度と性質

―79―

名 称 土 質 の 程 度 適 要

粒度分布が良い砂またはレキ質の砂、細

粒分はわずかまたは欠如(SW) 砂 質 土

砂 質 土

及 び 砂

粒度分布が悪い砂またはレキ質の砂、細

粒分はわずかまたは欠如(SP)

砂、砂質ローム、砂利混じり土砂山

土、真砂土、固砂、砂質ローム

シルト質のレキ、砂レキ、砂、シルト混

合土 (GM)

粘土質のレキ、レキ、砂、粘土混合土

(GC)

砂混じり砂利

土砂又は粘土混じり砂利

砂利 レ キ 質 土

レ キ 質 土

およびレキ

粒度分布が良いレキまたはレキ砂混合

土、細粒分はわずかまたは欠如

(GW)

玉石又はレキ混じり土砂

玉石又はレキ混じり砂

土砂を含む崖錐

表2 -12 参考土質

(2)裏込め及び埋戻しの構造

裏込めは、大形の締固め機械が使用できる構造が望ましく、このような場合には、

前述のように良質の盛土材料であれば特別に裏込め材料を求める必要もなく、工事費

も安く、経済的となる。しかし、盛土材として良質のものを工事現場近くに得られな

い時には、裏込め材の使用量を少なくし、中、小型の締固め機械を用いて十分に締固

める構造とする。

基礎掘削及び切土部の埋戻しは、在来地盤の掘削量を最小限とし、良質の裏込め材

を中、小形の締固め機械で十分締固める構造とする。

裏込め及び埋戻し部には雨水が集中し易いので、排水設備を設けることが望ましい。

排水設備としては構造物壁面に沿って地下排水溝を設け、これを地下暗渠で連結し、

集水したものを盛土外に導く。構造物壁面に沿って設置する地下排水溝の材料として

は、合成樹脂パイプ、(網パイプ、有孔パイプ)又はポーラスコンクリートパイプ等が

ある。

図 2-18、19 に構造物

の裏込め構造の例を示し

たが、構造については道路

の性格、現場条件及び裏込

め材料の実情を勘案して

定めることが望ましい。

図2 -18 ボックスカルバートの裏込構造の一例

―80―

図2 -19 橋台の裏込構造の一例

(3)裏込めの施工

1)裏込めの敷均し厚は仕上り 20 cm とし、締固めは路床と同程度に行う。

2)裏込材は、小型ブルドーザ、人力等により平坦に敷均し、ダンプトラックあるいは

ブルドーザ等による高まきは避けなければならない。

3)締固めはできるだけ大きな締固め機械を使用し、構造物縁部及びウィング部等につ

いても小型締固め機械により入念に締固めなければならない。

4)裏込め部は雨水の流入や湛水が生じやすいので、工事中は雨水の流入を極力防止し、

浸透水に対しては、地下排水を設けて処理することが望ましい。埋戻し部分等、地

下排水が不可能な箇所の湛水は埋戻し施工時にはポンプ等で完全に排水しなければ

ならない。

5)裏込め材料に構造物掘削土を使用できない場合は、掘削土が裏込材料にまざらない

ように注意する。

6)構造物が十分に強度を発揮しないうちに裏込め又は盛土によって構造物に土圧を与

えてはならない。また、構造物が十分な強度を発揮した後でも、構造物に偏土圧を

加えてはならない。例えばカルバート等の裏込め又はその付近の盛土は、構造物の

両側から均等に薄層で締固め、片方に不均一な荷重が加わらないようにしなければ

ならない。

―81―

分類 工 種 目 的 ・ 特 徴

種 子 散 布 工

客 土 吹 付 工

植 生 基 材 吹 付 工

張 芝 工

植 生 マ ッ ト 工

植 生 シ ー ト 工

浸食防止、凍上崩落抑制、全面植生(緑化)

植 生 筋 工

筋 芝 工 盛土のり面の浸食防止、部分植生

植 生 土 の う 工 不良土、硬質土のり面の浸食防止

苗 木 設 置 吹 付 工 浸食防止、景観形成

植 栽 工 景観形成

編 柵 工

じ ゃ か ご 工 のり面表層部の浸食や湧水による土砂流出の抑制

プ レ キ ャ ス ト 枠 工 中詰が土砂やぐり石の空詰めの場合は浸食防止

モルタル・コンクリート吹付工

石 張 工

ブ ロ ッ ク 張 工

風化、浸食、表面水の浸透防止

コンクリー卜張工

吹 付 枠 工

現場打ちコンクリート枠工

のり面表層部の崩落防止、多少の土圧を受けるおそれの

ある箇所の土留め、岩盤はく落防止

石積、ブロック積擁壁工

ふ と ん か ご 工

井 桁 組 擁 壁 工

コンクリー卜擁壁工

ある程度の土圧に対抗

工 補強土工(盛土補強土工、切土補強土工)

ロ ッ ク ボ ル ト 工

グラウンドアンカー工

杭 工

すべり土塊の滑動力に対抗

8 法面保護工

8-1 法面保護の選択

のり面保護工は、のり面の侵食や風化を防止するため、植生または構造物でのり面を被

覆したり、排水工や土留構造物でのり面の安定を図るために行うもので、標準的な工種を

示すと表 2 -13 のとおりである。

道路土工

のり面工・斜面

安定工指針

(H11.3)

3-4

表2 -13 のり面保護工の工種と目的(道路土工のり面、斜面安定工指針)

―82―

8-2 工法の選定フロー

(1)切土のり面におけるのり面保護工の選定フロー

道路土工

のり面工・斜面

安定工指針

(H11.3)

3-4-2

図2 -20

―83―

(2)盛土のり面におけるのり面保護工の選定フロー

図2 -21

―84―

このフローの中で個々の判断を下す際の判断基準としては、下記の事項を参考にする。

注1)地山の土質に応じた安定勾配としては、表2-7に示した地山の土質に対する標

準のり面勾配の平均値程度を目安とする。また、安定勾配が確保できない場合の

対策として、切直しが可能な場合は切直しを行う。

注2)落石のおそれの有無は「落石の調査」および「落石対策便覧」を参考にして判断

する。

注3)地山の分類は、「道路土工-土質調査指針」に従うものをする。

注4)第三紀の泥岩、けつ岩、固結度の低い凝灰岩、蛇紋岩等は切土による応力解放、

その後の乾燥湿潤の繰返しや凍結融解の繰返し作用等によって風化しやすい。

注5)風化が進んでも崩壊を生じないような安定勾配としては、密実でない土砂の標準

のり面勾配の平均値程度を目安とする。

注6)しらす、まさ、山砂、段丘礫層等、主として砂質土からなる土砂は表面水による

侵食には特に弱い。

注7)自然環境への影響緩和、周辺景観との調和、目標植生の永続性等を勘案して判断

する。

注8)主として安定度の大小によって判断し、安定度が特に低い場合にふとんかご工、

井桁組擁壁工、吹付枠工、現場打コンクリート枠工を用いる。

注9)構造物による保護工が施工されたのり面において、環境・景観対策上必要な場合

には緑化工を施す。具体的な工法ついては「環境・景観対策」を参照する。

注 10)ここでいう切直しとは、緑化のための切直しを意味する。

注 11)盛土のり面の安定勾配としては、表2-8に示した盛土材料および盛土高に対す

る標準のり面勾配の平均値程度を目安とする。

注 12)ここでいう岩砕ズリは、主に風化によるぜい弱化が発生しにくいような堅固なも

のとし、それ以外は一般的な土質に準ずる。

注 13)侵食を受けやすい盛土材料としては、砂や砂質土等があげられる。

注 14)降雨等の侵食に耐える工法を選択する。

また、崩壊形態別ののり面保護工は、いくつか考えられるが、対策工法の例としては「道

路土工-のり面工・斜面安定工指針」を参照する。

―85―

8-3 植生による法面保護工

のり面緑化工は植生工と緑化基礎工とからなり、緑化基礎工は必要な場合に適宜植生工

と組み合わせて用いられる(図 2 -22)。植生工は、播種工と植栽工に分けられ植栽工には

芝等の草本を用いるものと、木本を用いるものがある。

(1) 路肩法面

路肩法面は、雑草による交通管理施設の視認性の妨げの防止等を目的に行う。

※歩道幅員(3m未満)狭小箇所の有効幅員確保対策としての利用を含む。

(a) 対策箇所

・改築工事等について全箇所で対策を行う。

・維持修繕及び交通対策対応箇所においては、道路交通の影響が大きい箇所等を優先

し対策を実施する。

道路土工

のり面工・斜面

安定工指針

(H11.3)

3-4-3

※ 対策工については、現地の状況等を考慮した対策工を選定すること。

切土部の場合

※ 対策工については、現地の状況等を考慮した対策工を選定すること。

―86―

図2 -22 のり面緑化工の分類

8-4 構造物による法面保護工

構造物によるのり面保護工は、無処理で安定が確保できないのり面で植生が不適なのり

面、植生だけでは浸食に対し長期安定が確保できないと考えられるのり面、あるいは崩壊、

落石、凍結等のおそれのあるのり面に対して行うものである。

これらの適用にあたっては、「のり枠工の設計・施工指針」、「道路土工-のり面工・斜面

安定工指針」を参照

道路土工

のり面工・斜面

安定工指針

(H11.3)

3-4-4

―87―

9 環境・景観対策 9-1 環境・景観対策の基本的な考え方

のり面工・斜面安定工の環境・景観対策は、「環境・景観の調査」の結果をもとに検討す

る。のり面工は、立面的な施工がなされることから、その規模が大きいほど施工後、目に

付きやすく環境への影響も少なくない。設計においては、斜面の改変を抑えたり、のり面

勾配の緩和やのり面の規模を極力小さくすることによって周辺の環境や景観への影響と可

能な限り回避、低減することが基本であり、のり面の造成により改変された部分には積極

的に樹林化を行う等、自然環境の回復を行うことも重要である。しかし、実際の設計にお

いては地形的、技術的あるいは経済的制約等から必ずしもこのような条件を満足すること

が難しい場合が少なくない。そのような場合には、まずのり面工・斜面安定工の第一目的

である、のり面・斜面の安定を図り、その上で周辺の環境や景観への影響を抑えるための

対策を講じる必要がある。

9-2 環境・景観対策の一般的手法

(1)環境対策

環境対策、特に自然環境対策の一般手法としては、前述したように改変面積を少なく

することが基本であるが、場所によっては緩勾配化により自然植生の復元を容易にした

り積極的に周辺と同様の樹種による樹林化を行う等の手法を採用することが効果的であ

る。また、用地取得から設計・施工・管理まで含めたトータルコストも考慮する必要が

ある。

自然環境の保全を考慮した計画を行う場合には、次のような点に留意する。

1)自然環境の把握

道路の通過する地域の自然環境は、人為の加わった里山的なものから自然度の高

い天然林まであり、それを構成する生態系は地域毎に大きな差がある。天然林や湿

原環境では、一旦改変が加わると復元が困難なことが多い。ススキ群落やアカマツ

林等では改変されても年月の経過とともに復元する。このように、地形を改変する

影響や自然環境の復元度合いは、地域の各種条件によって大きく異なる。

以下に、自然環境対策を検討するうえでの考え方の一例を示す。

―88―

表2 -14 自然環境対策の考え方の一例

分 類 対 象 地 域 対策方針

A.特に注意を要

する自然環境

地域

・環境庁植生自然度8以上の自然性の高い

地域(自然草原,自然林,二次林のうち

自然林に近いもの)

・自然環境の保全を目的とする法今により

指定された地域(国立公園,国定公園等

の特別地域)

・学術上の観点から重要と認められる地域

・貴重種,重要種の生息地域

・生物相が多様な地域(例:樹林と水環境

がセット)

・脆弱な自然環境地域,個体群(湿地等)

・改変後の復元性が

低い地域

・改変面積を抑える

工法を採用する

B.上記以外の

自然環境地域

・二次草原,造林地,二次林

C.自然の豊かな

都市環境地域

・Bに準じているが,都市的な建造物が景

観構成要素として存在する地域

・改変後の復元性に

期待できる地域

・むしろ緩勾配に造

成し植生の侵入を

促すことも有効

2) 改変面積の縮小化

のり面工の計画段階において、切土による自然の改変を最小限にとどめ、貴重な

環境をできる限り残しながら道路を造成する対応である。具体的には、のり面工上

方の安定を検討した上で、切土、盛土の勾配を標準より急にして構造物等で安定化

を図ったり、道路の中心線を谷側に少し移動したりすることによって、土工量との

り面積を減らすこと等があげられる(図 2 -23)。

また、急勾配の岩盤斜面等では、道路の中心線を少し谷側へ移動させて桟橋にし

たり、架橋することによって、土工量とのり面積を減らすこともできる(図 2 -24)。

―89―

(a)標準勾配による切り盛りの基本形状 (b)構造物等を利用して切・盛土量を減らす

(c)路線を谷側に少し移動して切土量を減らす

図2 -23 土工量やのり面積を減じる切り盛りの例

(a)標準勾配による切土の基本形状 (b)路線の移動と桟橋併用により

切土量を減らす

図2 -24 桟橋や架橋の利用例

―90―

3)影響の緩和

周辺の環境を保全するために道路建設の影響を極力緩和することも必要な手法で

ある。

隣接する樹林の伐開面から一定範囲の林縁部は、土壌の乾燥、風の吹き込み等の

環境の変化に伴い植生や動植物相が影響を受けやすい状態となる。林縁部を保護す

るために環境の変化の緩衝を目的としたマント植栽等の緑化が有効となる。

図2 -25 緩衝緑化の概念図

のり面工での対応としては、緩衝機能が発揮されるように十分な植栽と植栽基盤

(土壌・植栽余裕幅等)を確保すること等が挙げられる。

―91―

4) 自然環境との調和

道路建設により改変された環境を周辺環境に調和するものとして修復していくこ

とも必要となる。のり面を周辺環境に調和させ自然を回復するためには、のり面に

おける植生を周辺植生に調和したものとすることが必要となる。

のり面の植生を周辺植生に調和されたものにするためには、時間の経過による自

然遷移に任せる方法や積極的に地域の植生を導入する等の方法があり、個々の箇所

に求められる自然環境条件や社会的条件等を考慮して選定しなければならない。た

だし、目標とする植生を導入するためには、のり面構造自体がその植生の成立を可

能とするよう、のり面勾配をゆるくするなどの対応が必要となる場合がある(図 2-

27)。 積極的に地域の植生を導入する手法としては、表土を保全し覆土として用い

たり周辺植生の構成種である樹木を植栽する方法がある。

図2 -26 ランダム切土による自然景観造成

図2 -27 のり面緑化を容易にする土工例

―92―

(2) 景観対策

景観対策の手法には、対象を周辺景観から際だたせる対比の手法と周辺景観に埋没さ

せる調和の手法があり、のり面では周辺と調和させることが原則である(図2-28)。調

和を図るには造景三要素と呼ばれる①形態、②材質、③色彩を周辺の景観と近似のもの

とすることにより周辺景観との同化融合を図り目立たなくさせる。また、単に目立つも

のや周辺景観と調和しがたいもの等を、周辺景観と馴染むものにより遮蔽し見えなくす

る手法も調和の手法の一つとして利用されることが多い。

のり面に施工する構造物のデザインに関しては、次のような点に留意する必要がある。

①介入要素が目立たなければ、介入要素は「地」となり、逆に興味対象が「図」となる。

②介入要素が目立つと、介入要素は「図」となり、興味対象が「地」となる。

図2 -28 「地」と「図」

1)統一性

景観整備を図るうえで、最も基本となる概念である。

造景三要素の①形態、②材質、③色彩や様式等の要素のうちのひとつ、またはい

くつかを統一することによって、景観に統一性をもたせ良好な景観を形成すること

ができる。具体ののり面景観整備においては、一部の構造物や区間だけが造形的に

優れていても全体として統一性に欠ける場合には奇妙な景観となったり、逆に統一

を図りすぎると画一的になり、単調で「飽き」のくる景観となるため、注意が必要

である。

2)連続院

大きくは「統一性」に包含される概念であるが、特に「連続性」は時間の要素を

含んだシークエンス景観(自動車から外を眺めるように変化していく景色)に用いら

れる(図 2-29)。

人々の行動が一定の方向性を有している場合、事象(景観)の変化が予測の範囲内

にとどまっているうちは安心感があるが、予測し難い急激な変化あるいは予測に反

する変化は心理的不安定をもたらすため、心理的な安定感を阻害するような景観の

急激な変化の連続は避けなければならない。

―93―

3)円滑性

人々は基本的には丸いもの、滑らかなもの等、円滑な形状のものに安心感を覚え、

逆に尖ったもの、角張ったもの等の鋭敏な形状に対しては本能的に身の危険を感じ、

心理的安定が乱されやすい。このためのり面景観を形成する構造物等は、鋭敏な形

状は避け、円滑な形状を採用することも必要である。

4)一体性

これも広い意味での「統一性であり、素材あるいは材質という言い方ができる。

構造物は一体的に見えることにより安心感を与える。構造物の一部が一つの部品

または別の物体として認識されることは好ましくない。

5)安定性

視覚的に不安定な構造物に対しては、身の危険を覚え心理的安定感が得られにく

い。安定感の得られやすい形状としては、三角形やピラミッド式、雛壇式等があり、

逆三角形やオーバーハングしたものは安定感を損ないやすい。

6)軽快性

一般的には圧迫感の解消という表現がなされる。ヒューマンスケールを超える巨

大な構造物や空間に架かる構造物は人々に圧迫感を与え心理的な安定が乱される。

構造物等を軽快に見せるために、見られる側の面を小さく又はスマートにする、壁

面にスリットを入れ陰影をつける、周辺と馴染むように材質の色をトーンダウンさ

せるような彩色を施す等の手法が考えられるが、いずれも人間の錯視等の視覚特性

を利用したものである。ただし、彩色については、季節・天候等により調和してい

るかどうかに関して受け止め方がかなり異なる場合が多いので、慎重に行う必要が

ある。

(a)シーン景観の模式図 (b)シークエンス景観の模式図

図2 -29

―94―

10 斜面崩壊対策

道路に隣接した自然斜面、あるいは切土斜面上部の自然斜面に発生する表層崩壊の対策工

は大きく崩壊発生源の風化・侵食を抑止する予防工と、崩壊により発生した崩土の運動を停

止させたり、運動方向を変える防護工に分類される。

予防工には、切土工やのり面保護工が対策工として用いる他、谷地形の不安定土砂を抑え

るための谷止め工や斜面中腹部の不安定土砂を押さえるために擁壁工やふとんかご工等を用

いた山腹土留工法が用いられる場合がある。

防護工には、待ち受け擁壁工や土砂覆工がある。

尚、設計の際は「道路土工-のり面工・斜面安定工指針」を参照されたい。

―95―

11 落石対策

落石対策工には発生源対策としての落石防止工と、発生した落石による被害を軽減するた

めの落石防護工がある。

11-1 落石対策工の選定

落石対策工の選定に際して最も基本的なことは、対象斜面のどこから、どんな形態・規

模の落石が発生し、それがどんな運動形態で落下するかを的確に想定し、それに対して、

どこでどのような止め方をするか、あるいはどのような方法で無害に道路を通過させるか

を決めることである。この対策工の選定には、対策施工箇所の地盤等の設計・施工条件を

把握しておかなければならない。また、道路構造、交通状況、経済性、景観、周辺環境へ

の影響等を考慮しておかなければならない。特に、落石対策工の基礎地盤については、地

下水や切土に伴うゆるみ、風化等で、劣化が明らかな湯合は、落石の衝撃に耐える過大な

落石対策工は好ましくない。このような場合には、別の落石対策工を複合するなどして、

現地に適する工法を選定しなければならない。また、機械搬入の制約等、仮設工事を含め

た施工方法の難易性を十分検討し、確実性、経済性等に配慮して、落石対策工を選定しな

ければならない。

落石対策工は発生源対策としての落石予防工および発生した落石の対策としての落石防

護工の2種類があり、その効果は次のように要約される。

① 発生の原因となる風化浸食を防止する。

② 落石の発生を止める。

③ 落下エネルギーを吸収する。

④ 落下方向を変えて無害なところに導く。

⑤ 衝撃に抵抗して落石運動を止める。

⑥ 崩土の落下、なだれ防止の効果を兼ねる。

この効果と落石対策工の工種の関係を整理したものが表 2 -15 である。

各種の対策工の機能、耐久性、施工性、経済性、維持管理上の問題等をよく検討して、

現地の道路状況、斜面状況に最も適した工種とその組み合わせを選択しなければならない。

図 2 -30 に工種選定のためのフローチャートを示す。なお、落石防護工のおおよその対

応可能な落石エネルギーの範囲を図 2 -31 に示すので、併せて参考にするとよい。

フローチャートの適用に当たっては、次の事項に留意する。

① 斜面調査による落石形態の特徴を十分に吟味する。

② 落石は、単独に生じる場合と斜面崩壊として土石混合状態で発生する場合がある。

落石形態を十分に吟味して工法選定に生かす。

③ 防護工と予防工は並列的に比較する。また、各予防工間、各防護工間においても

並列的に比較する。

④各防護工は単独だけでなく、たとえば落石防護網+落石防護柵等のように、組み合

わせて用いれば効果的である。同様に各予防工についても、単独だけでなく、たと

えば個別処理+風化防止等のように組み合わせて用いることが効果的である。

―96―

⑤予防工と防護工の組み合わせは単独より効果的で、経済的となる場合が多い。た

とえば、巨岩の個別処理+落石防護柵等があげられる。

⑥ 防護工のみで落石エネルギーに耐えられない場合は、予防工により検討する。

⑦予防工が大規模になる場合は、路線変更と比較検討する。

⑧対策工の選定は仮設等を含めた施工性や経済性、さらに対策後の景観、周辺環境

への影響等も考慮して選定する。

―97―

図2 -30 対策工の選定フローチャート

*l)フローに従い、適用可能な工種を並列的に

抽出し、その中から実際に施工する工種を

決定する。

*2)落石予防工と落石防護工は、並列的に比較

することとし、必ず両者とも検討する。

*3)工種の決定には表 2-13、図 2-31 を

参考にすると良い。また、落石予防工間、

落石防護工間及び落石予防工と落石防護

工間の組み合わせについても考慮する。

*a)落石・崩壊が独立的に存在する斜面に適し

た工法である。

*b)勾配が緩く、除去した石・土砂の搬出が容

易な斜面に適した工法である。

*c)比較的小規模な落石等が広範囲にわたり予

想される斜面に適した工法である。

*d)落石予防工と落石防護工を組み合わせて用

いることにより比較的大規模な落石・崩壊

が広範囲にわたり予想される斜面に適用可

能な工法である。

―98―

表2 -15 落石対策の適用に関する参考表

(文献 2) に加筆修正)

―99―

注1)本図は既往の施工実績、実験事例等から、各工法の適用範囲の目安を示したものである。

注2)上記工法のうち A)はエネルギー計算により設計される工法、B)は静的な強度計算により

設計される工法であり、工種により設計法が異なるため本来簡単には比較できない。一般に

は静的な強度計算により設計されたものは、設計上かなりの安全余裕が含まれていると考え

られる。

図2 -31 落石防護工の適用範囲の目安

―100―

第3節 舗 装

1 舗装一般

舗装の設計は、「舗装の構造に関する技術基準」によるものとし、表3-1に示す関連図書

等を適宜参考にして設計を行うこととする。なお、舗装の性能を規定する各指標の数値や設

計期間を定めて性能規定による発注を行う場合には、本局担当課と協議を行うこととする。

表3-1 関係図書

関 係 図 書 発行年月 発 行 者

舗装の構造に関する技術基準・同解説 H13.9 (社)日本道路協会

舗装設計施工指針 H18.2 (社)日本道路協会

舗装施工便覧 H18.2 (社)日本道路協会

排水性舗装技術指針(案) H 8.11 (社)日本道路協会

アスファルト舗装要綱 H 4.12 (社)日本道路協会

転圧コンクリート舗装技術指針(案) H 2.11 (社)日本道路協会

プラント再生舗装技術指針 H 4.12 (社)日本道路協会

路上表層再生工法技術指針(案) S63.11 (社)日本道路協会

路上再生路盤工法技術指針(案) S62.1 (社)日本道路協会

道路維持修繕要綱 S53. 7 (社)日本道路協会

アスファルト舗装工事共通仕様書解説 H 4.12 (社)日本道路協会

会協路道本日)社( 6 .91H調査試験法便覧・装舗

舗装試験法便覧別冊(暫定試験方法) H 8.10 (社)日本道路協会

アスファルト混合所便覧 H 8.10 (社)日本道路協会

道路橋鉄筋コンクリート床版防水層設計・施工資料 S62.1 (社)日本道路協会

舗装性能評価法 H18.1 (社)日本道路協会

1-1 舗装工種の採択基準

舗装工種の採択については「道路技術基準」に一応の方針をあげているが、その内容は

抽象的であり、ここでは工費の比較、地理的条件、交通量と施工の難易、改良工事におけ

る盛土の状態等いろいろな条件に従った採択の標準を示すことによる。

(注)使用にあたっては最新版を使用するものとする。

―101―

1-1-1 Co舗装を採用する場合

イ)アスファルト舗装要綱により設計した場合のアスファルト舗装の工費と比較して安

価となる場合

ロ)地下水の影響などによりアスファルト舗装体にハクリ現象の助長が予想される場合

ハ)現道工事であっても、舗装工事によって、自動車等の交通に支障を及ぼす度合いが

比較的軽い場合

1-1-2 As舗装を採用する場合ヽ

イ)現道工事で舗装工事によって自動車等の交通に支障を及ぼす度合いが大きい場合

ロ)高盛土区間等で地盤の沈下、路床、路体の沈下が予想される場合

舗装設計施工

指針

(H18.2)

1-1-3 舗装の基本的な構成

イ)舗装の基本的な構成

ロ)アスファルト舗装の基本的な構成

ハ)コンクリート舗装の基本的な構成

―102―

1-2 本線舗装とランプ道路舗装の区分

1-2-1 ランプ道路の舗装区分

(注)ランプ道路の舗装構成はインターチェンジ出入交通量

(大型車交通)を基にアスファルト舗装要綱によるもの

とするが本線舗装の1ランク落ち以上とする。

1-2-2 取付道路の舗装区分

1-3 舗装厚決定時の交通区分

交通量調査から検討した結果、現道(指定区間)の交通区分は別図のとおりとなるのでこ

れを参考にするものとする。新規バイパスの交通区分については別途検討し、本局担当課

と協議するものとする。

―103―

1-4 道路拡幅工事における舗装構成の取扱いについて

1 拡幅工事については計画時点において担当課と詳細な協議を行うこと。

2 拡幅と修繕工事が同時施工の場合の費用負担は従来通りアロケーション行うこと。

3 将来計画が現道拡幅の場合

(イ)拡幅部の幅員が片側につき1車線以上ある場合についての拡幅部の舗装構成は、

原則として現道部の将来計画の如何にかかわらず、舗装設計施工指針第3章により

設計すること。但し、現道部に近い将来オーバーレイの計画がある時、交通量との

関係から拡幅部の表層を次期オーバーレイと同時施工するほうが有利な場合もある

ので、この場合は担当課と協議を行うこと。

(ロ)拡幅部の幅員が1車線未満の場合には原則として現道部舗装構成のTAを算出し、

そのTAに合わせること。

―104―

現道交通区分図(参考)

交通量と疲労破壊輪数の区分

図3-1(その1)交通量の区分(北部国道管内)

3000≦T

1000≦T<3000

1000≦T<3000

250≦T<1000

1000≦T<3000

250≦T<1000

T:舗装計画交通量 (大型車交通量)

―105―

図 3-1 (その2)交通量の区分(南部国道管内)

3000≦T

1000≦T<3000

1000≦T<3000 糸満市糸満

1000≦T<3000

250≦T<1000

1000≦T<3000

T:舗装計画交通量 (大型車交通量)

1000≦T<3000

―106―

2 アスファルト舗装

2-1 舗装の設計

今後の舗装設計に当たっては「舗装の構造に関する技術基準」(H13.9)、「舗装設計施工

指針」(H18.2)を適用するものとする。

ただし舗装の性能のみなし規定(4-2-1(1)-4)、5))を採用する場合は以下を参考

に、舗装計画交通量毎、設計CBR毎の舗装設計を実施してもよい。

舗装の構造に

関する技術基準

(H13.9)

舗装設計施工指

(H18.2)

2-1-1 舗装の設計期間

設計期間は、下記を標準とするが、採用にあたっては、個々の現場条件やLCC(ライ

フサイクルコスト)等を考慮の上、決定すること。

10 年設計 現道舗装修繕(表面または一部の打ち換え)等

20 年設計 新設、大規模現道舗装打ち換え等

2-1-2 信頼性を考慮した構造設計条件

(1)信頼性を導入した舗装の設計

従来の標準断面に図3-2に示す信頼性の考え方を導入することにより、道路の

種別などに応じて、多段階に舗装構造を選択することができるようになり、より合

理的な舗装事業の計画を立てることができるようになる。直轄国道の場合、信頼性

90%を標準とする。

[注1]交通量が極めて少なくサービスレベルを高くすべき路面:あまり多くないと考えられる

領域

[注2]交通量が極めて多くサービスレベルを低くできる路面:あまり多くないと考えられる領

図3-2 信頼性を導入したアスファルト舗装の設計

―107―

(2)舗装計画交通量と疲労破壊輪数

舗装計画交通量と疲労破壊輪数を表3-2に示す。

表3-2 舗装計画交通量と疲労破壊輪数

舗装の構造に関

する技術基準

(H13.9)

(3)必要等値換算厚TAの計算式

舗装の信頼性を考慮した設計に対する必要等値換算厚TAの計算式を(式-1)

~(式-3)に示す。

TA=3.84N0.16/CBR0.3 信頼性 90%相当 (式-1)

TA=3.43N0.16/CBR0.3 信頼性 75%相当 (式-2)

TA=3.07N0.16/CBR0.3 信頼性 50%相当 (式-3)

ここで、TA:必要等値換算厚

N :疲労破壊輪数

CBR:路床の設計CBR

注)・舗装の信頼性:設定された設計期間を通して要求された性能を保持する性質

・信頼性 90%:舗装の寿命(疲労破壊までの期間)が設計期間を上回るものが 90%

・信頼性 75%: 〃 75%

・信頼性 50%: 〃 50%

―108―

TAの計算に用いる等値換算係数

表3-3

使用する

位 置 工法・材料 摘 要

等値換算

係数・a

表 層

基 層

表層・基層用加熱アスファルト

混 合 物 1.00

上層路盤

瀝 青 安 定 処 理

セ メ ン ト 安 定 処 理

石 灰 安 定 処 理

粒度調整砕石(黒・白)M-40

コンクリー卜再生骨材(M-40)

粒度調整鉄鋼スラグ

水硬性粒度調整鉄鋼スラグ

加熱混合:安定度 3.43KN 以上

常温混合:安定度 2.45KN 以上

一軸圧縮強さ(7日) 2.9MPa

一軸圧縮強さ(10 日) 0.98MPa

修正 CBR 80以上

修正 CBR 80以上

修正 CBR 80以上

修正 CBR 80以上

一軸圧縮強さ(14 日) 1.2MPa

0.8

0.55

0.55

0.45

0.35

0.35

0.35

0.55

下層路盤

切 入 砕 石(黒)

クラッシャラン(白・黒) C-40

コンクリート再生骨材(C-40)

流 し コ ー ラ ル

鉄 鋼 ス ラ グ

砂 な ど

セ メ ン ト 安 定 処 理

石 灰 安 定 処 理

修正 CBR 30以上

修正 CBR 30以上

修正 CBR 30以上

修正 CBR 20以上

修正 CBR 30以上

修正 CBR 20以上

一軸圧縮強さ(7日) 0.98MPa

一軸圧縮強さ(10 日) 0.7MPa

0.20

0.25

0.25

0.20

0.25

0.20

0.25

0.25

(4)舗装構成の決定条件

舗装構成を決定するにあたり、各層の規定厚さを表3-4、表3-5に示す。

舗装計画交通量(台/日) 表層と基層を加えた最小厚さ(cm)

T<250 5

250≦T<1,000 10(5)

1,000≦T<3,000 15 (10)

3,000≦T 20 (15)

注):

1.舗装計画交通量が特に少ない場合は、3cm まで低減することができる。

2.上層路盤に瀝青安定処理工法を用いる場合は、( )内の厚さまで低減することができる。

表3-4 表層と基層を加えた最小厚さ

アスファルト

舗装要綱

(H4. 12)

2-6-4

―109―

表3-5 路盤各層の最小厚さ

工法・材料 一層の最小厚さ

瀝青安定処理 最大粒径の2倍かつ 8cm

その他の路盤材 最大粒径の3倍かつ 15cm

(注)各路盤材の最大粒径が 40mm であることから、路盤材の最小厚さは上記のとおりとした。

2-1-3 標準舗装構成(案)の検討

前述の構造設計条件により標準舗装構成(案)の検討について以下に示す。

(1) 必要等値換算厚 TA

設計CBRに対する必要等値換算厚を下記の4条件について、表3-6~表3-9

に示す。

①設計期間 10 年(信頼性 90%)

②設計期間 20 年(信頼性 90%)

③設計期間 20 年(信頼性 75%)

④設計期間 20 年(信頼性 50%)

表3-6 ①設計期間 10 年(信頼性 90%)の必要等値換算厚 TA(cm)

舗装計画交通量T(台/日) 設 計

CBR T<250 250≦T<1000 1000≦T<3000 3000≦T

(2)

3

4

6

8

12

20

(21)

19

18

16

14

13※

13※

(29)

26

24

21

19

17

17

(39)

35

32

28

26

23

20

(51)

45

41

37

34

30

26

※従来の必要等値換算厚

―110―

表3-7 ②設計期間 20 年(信頼性 90%)の必要等値換算厚 TA(cm)

舗装計画交通量T(台/日) 設 計

CBR T<250 250≦T<1000 1000≦T<3000 3000≦T

(2)

3

4

6

8

12

20

(24)

21

20

17

16

14

12※

(32)

29

26

23

21

19

16

(44)

39

36

32

29

26

22

(57)

50

46

41

38

33

29

舗装計画交通量T(台/日) 設 計

CBR T<250 250≦T<1000 1000≦T<3000 3000≦T

(2)

3

4

6

8

12

20

(21)

19

18

16

14

13※

11※

(29)

26

24

21

19

17

15

(39)

35

32

28

26

23

20

(51)

45

41

37

34

30

26

表3-8 ③設計期間 20 年(信頼性 75%)の必要等値換算厚 TA(cm)

表3-9 ④設計期間 20 年(信頼性 50%)の必要等値換算厚 TA(cm)

舗装計画交通量T(台/日) 設 計

CBR T<250 250≦T<1000 1000≦T<3000 3000≦T

(2)

3

4

6

8

12

20

(19)

17

16

14

13※

11※

10※

(26)

23

21

19

17

15

13※

(35)

31

29

25

23

21

18

(45)

40

37

33

30

27

23

注)・( )は、修繕工事などで既存の路床のCBRが2であるものの、路床を改良することが困難

な場合に適用する。また、この場合は 15~30 cm の遮断層を設ける。

・TAが 14 未満となる場合、粒度調整砕石など一般材料では表3-4および表3-5に示す

最小厚さを満足しない場合があるので、使用材料および工法の選定に注意する必要がある。

―111―

(2) 標準舗装構成(案)

標準舗装構成(案)は、下記の事項に留意し、表 3 -10~表 3 -13 に示す。

・必要等値換算厚TA(表3-6~表3-9)を満足し、極力近い値にする。

・各層の最小厚さを満足する。(表3-4、表3-5および(注))

・経済性を考慮する。

加熱アスファルト混合物 上層路盤 下層路盤

舗装計画

交通量

(台/日・方向)

設計

CBR

表層

(1.0)

中間層

(1.0)

基 層

(1.0)

AS

安定

(0.8)

再生粒

調砕石

(0.35)

再生

クラッシャラン

(0.25)

TAH

合計厚

必要等

値換算

2 5 25 30 21.3 60 21

3 5 15 35 19.0 55 19

4 5 20 25 18.3 50 18

6 5 15 25 16.5 45 16

T<250

8 5 15 15 14.0 35 14

2 5 5 30 35 29.3 75 29

3 5 5 25 30 26.3 65 26

4 5 5 15 35 24.0 60 24

6 5 5 15 25 21.5 50 21

250≦T<1000

8 5 5 15 15 19.0 40 19

2 5 5 8 30 50 39.4 98 39

3 5 5 8 25 40 35.2 83 35

4 5 5 8 20 35 32.2 73 32

6 5 5 8 20 20 28.4 58 28

8 5 5 8 15 20 26.7 53 26

12 5 5 10 20 23.0 40 23

1000≦T<3000

20 5 5 8 15 20.2 33 20

2 5 5 5 8 50 50 51.4 123 51

3 5 5 5 8 40 40 45.4 103 45

4 5 5 5 8 30 40 41.9 93 41

6 5 5 5 8 20 35 37.2 78 37

8 5 5 5 8 15 30 34.2 68 34

12 5 5 5 8 15 15 30.4 53 30

3000≦T

20 5 5 5 8 20 26.4 43 26

表 3 -10 標準舗装構成(案)(設計期間 10 年、信頼性 90%)

―112―

加熱アスファルト混合物 上層路盤 下層路盤

舗装計画

交通量

(台/日・方向)

設計

CBR

表層

(1.0)

中間層

(1.0)

基 層

(1.0)

AS

安定

(0.8)

再生粒

調砕石

(0.35)

再生

クラッシャラン

(0.25)

TAH

合計厚

必要等

値換算

2 5 30 35 24.3 70 24

3 5 25 30 21.0 60 21

4 5 15 40 20.3 60 20

6 5 20 20 17.0 45 17

8 5 15 25 16.5 40 16

T<250

12 5 15 15 14.0 35 14

2 5 5 20 60 32.0 90 32

3 5 5 15 55 29.0 80 29

4 5 5 25 30 26.3 65 26

6 5 5 20 25 23.3 55 23

8 5 5 15 25 21.5 50 21

250≦T<1000

12 5 5 15 15 19.0 40 19

2 5 5 8 40 55 44.2 113 44

3 5 5 9 35 40 39.5 94 39

4 5 5 9 30 35 36.5 84 36

6 5 5 8 20 35 32.2 73 32

8 5 5 8 15 30 29.2 63 29

12 5 5 8 15 20 26.7 53 26

1000≦T<3000

20 5 5 9 20 22.2 39 22

2 5 5 5 8 50 75 57.7 148 57

3 5 5 5 8 45 55 50.9 123 50

4 5 5 5 9 40 40 46.2 104 46

6 5 5 5 9 30 35 41.5 89 41

8 5 5 5 8 20 40 38.4 83 38

12 5 5 5 8 20 20 33.4 63 33

3000≦T

20 5 5 5 8 35 30.2 58 30

表3 -11 標準舗装構成(案)(設計期間 20 年、信頼性 90%)

―113―

加熱アスファルト混合物 上層路盤 下層路盤

舗装計画

交通量

(台/日・方向)

設計

CBR

表層

(1.0)

中間層

(1.0)

基 層

(1.0)

AS

安定

(0.8)

再生粒

調砕石

(0.35)

再生

クラッシャラン

(0.25)

TAH

合計厚

必要等

値換算

2 5 25 30 21.3 60 21

3 5 15 35 19.0 55 19

4 5 20 25 18.3 50 18

6 5 15 25 16.5 45 16

T<250

8 5 15 15 14.0 35 14

2 5 5 30 35 29.3 75 29

3 5 5 25 30 26.3 65 26

4 5 5 15 35 24.0 60 24

6 5 5 15 25 21.5 50 21

250≦T<1000

8 5 5 15 15 19.0 40 19

2 5 5 8 30 50 39.4 98 39

3 5 5 8 25 40 35.2 83 35

4 5 5 8 20 35 32.2 73 32

6 5 5 8 20 20 28.4 58 28

8 5 5 9 15 15 26.2 49 26

12 5 5 8 15 20 26.7 53 23

1000≦T<3000

20 5 5 8 15 20.2 38 20

2 5 5 5 9 40 60 51.2 124 51

3 5 5 5 8 25 60 45.2 108 45

4 5 5 5 9 30 35 41.5 89 41

6 5 5 5 8 20 35 37.2 78 37

8 5 5 5 8 15 30 34.2 68 34

12 5 5 5 8 35 30.2 58 30

3000≦T

20 5 5 5 8 20 26.4 43 26

表3 -12 標準舗装構成(案)(設計期間 20 年、信頼性 75%)

―114―

加熱アスファルト混合物 上層路盤 下層路盤

舗装計画

交通量

(台/日・方向)

設計

CBR

表層

(1.0)

中間層

(1.0)

基 層

(1.0)

AS

安定

(0.8)

再生粒

調砕石

(0.35)

再生

クラッシャラン

(0.25)

TA H

合計厚

必要等

値換算

2 5 15 35 19.0 55 19

3 5 20 20 17.0 45 17

4 5 15 25 16.5 45 16

6 5 15 15 14.0 35 14

T<250

8 5 15 15 14.0 35 14

2 5 5 25 30 26.3 65 26

3 5 5 20 25 23.3 55 23

4 5 5 15 25 21.5 50 21

6 5 5 15 15 19.0 40 19

8 5 5 15 15 19.0 40 19

250≦T<1000

12 5 8 15 15.2 28 15

2 5 5 8 25 40 35.2 83 35

3 5 5 8 25 25 31.4 68 31

4 5 5 8 15 30 29.2 63 29

6 5 5 8 15 15 25.4 48 25

8 5 5 8 30 23.9 48 23

12 5 5 8 20 21.4 38 21

1000≦T<3000

20 5 5 8 15 20.2 33 20

2 5 5 5 8 25 60 45.2 108 45

3 5 5 5 8 25 40 40.2 88 40

4 5 5 5 8 20 35 37.2 78 37

6 5 5 5 8 20 20 33.4 63 33

8 5 5 5 8 15 15 30.4 53 30

12 5 5 5 9 20 27.2 44 27

3000≦T

20 5 5 5 8 15 25.2 38 25

表3 -13 標準舗装構成(案)(設計期間 20 年、信頼性 50%)

―115―

- 116 -

2-2 耐流動性を考慮したアスファルト混合物(標準)

交通量の増大と車輌の大型化及び交通混雑に伴う渋滞などによって「わだち掘れ」の発

生が顕著になってきた。この「わだち掘れ」は、主として表層アスファルト混合物の塑性

変形によるのもで、車輌の停止頻度の大きい交差点の流入部などで発生しやすい。

この「わだち掘れ」は車輛の安全走行、舗装の供用性に少なからず悪影響を及ぼすので、

舗装工事の設計に当たってはこれらのことを考慮して、その防止対策を講じなければなら

ない。

N6、N7交通区間(従来区分のC、D交通)におけるアスファルト舗装については、耐流動

対策が重要である。

流動対策としては改質アスファルトを使用するものとする。

なお、改質アスファルトには、改質アスファルトⅡ型、セミブローンアスファルト高粘

度改質アスファルト、熱硬化性アスファルト等がある。使用に当たっては、担当課と協議

を行うものとする。但し、N5 交通区間(従来区分のB交通)では従来通りアスファルト量を

OAC-0.4%減じることを原則とする。この場合においては、必ずしもアスファルト舗装要

項の飽和度、空隙率はマーシャル基準値に適合しなくてもよい。

2-2-1 適 用

(1)適用範囲については、原則として管内の舗装計画交通量が 1,000≦T<3,000 または

3,000≦Tの路線で施工する改築、新設及び修繕の全ての舗装工事(表層及び中間層)

に適用する。

(2)混合物の種類は、改質アスファルト混合物及び改質再生アスファルト混合物を対象

とし骨材配合及び設計アスファルト量制定については「舗装設計施工指針」による

他、以下による。

2-2-2 動的安定度の目標値

(1)動的安定度(DS値)の目標は下表のとおりとする。

舗装計画

交通量 1000≦T<3000 3000≦T

施工場所 一般部 交差点部 一般部 交差点部

層 別 表層 基

層 表層

層 表層 中間層 基層 表層 中間層 基層

目標動的安定

(回/mm)

3,000

以上 -

3,000

以上 -

5,000

以上

3,000

以上 -

5,000

以上

3,000

以上 -

注)交差点部=交差点内及び停止線から 50~100m(75m)程度をいう。

(2)配合設計で決定した設計アスファルト量の混合物についてホイールトラッキング試

験を行い、目標値に達しない場合は配合設計の見直しを行う。(ホイールトラッキング

試験法は「舗装性能評価法」を参照)

2-3 路肩部等の詳細

2-3-1 路肩部

1 路肩幅員が規定幅長で構造物がある場合

(イ)路肩に側溝等がある場合

(ロ)L型側溝の場合(Bタイプ)

―117―

(ハ)縁石の場合(Bタイプ)

(ア)基礎がクラッシャランの場合 (イ)基礎がコンクリートの場合

2 路肩幅員が規定幅員で構造物でない場合

―118―

2-3-2 緑地帯

1 緑地帯は、植栽に適した土質を設計施工するものとし、その深さは路床面までを標

準とし、「沖縄道路緑化技術指針(H8.4)」を参考に深さを決定する。なお、切土区間の

場合も切取する土砂(岩盤を含む)が植栽に適しない場合は植栽に適する土砂を入替す

ること。

2 緑地帯の盛土及び入替土は敷均しを行い、表面を平坦に仕上げるものとし転圧は行

わないものとする。

3 緑地帯の詳細構造は下図を標準とする。

沖縄道路緑化技

術指針

(H8. 4)

施工編3

―119―

3 コンクリート舗装

3-1 舗装厚の基準

コンクリート舗装の設計は、舗装設計施工指針(付録-6)等により行うものとする。

舗装厚については次表を標準とすること。

舗装設計施工指針

(H18.2)

設計期間 20 年

設計CBR 交通区分 舗装厚 アスファルト層セメント安

定処理 粒調砕石 クラッシャーラン しゃ断層

25 35 45 15~30 B

25 20 45 〃

28/30 4 25 45 〃 2

C/D 28/30 20 45 〃

25 30 30 B

25 20 25

28/30 4 20 30 3

C/D 28/30 20 25

25 20 25 B

25 20

28/30 4 10 25 4

C/D 28/30 20

25 25 B

25 15

28/30 4 15 6

C/D 28/30 15

25 20 B

25 15

28/30 4 15 8

C/D 28/30 15

25 15 B

25 15

28/30 4 15 12 以上

C/D 28/30 15

交通区分欄のB、C、Dは舗装計画交通量を示し、それぞれ次の通りとする。

B : 250≦T<1,000、C:1,000≦T<3,000、D:3,000≦T(台/日・方向)

―120―

舗装施工便覧

(H18.2)

4 機能別の舗装

舗装にある種の機能を持たせる必要がある場合は、機能別の舗装を採用するものとする。

当面の間は、「舗装施工便覧 第8章 各種の舗装 8-3機能別の舗装」に示された工法の

うちから適切なものを選択するものとする。

4-1 滑り止め舗装

交通量の増加と車両のスピード化によって曲線部や坂路、交通量の多い交差点等ではス

ベリによる交通事故が多く、そのためスベリ止め舗装が各地で種々な工法によって施工さ

れるようになってきた。

スベリの主な原因としては

走行自動車のタイヤと路面状態とのスベリ摩擦の関係

スベリやすい道路構造になっている場合

に大別できる。

走行自動車のタイヤと路面状態とのスベリ摩擦の関係は非常に複雑なために明確な説が

なく、従ってどのような工法が最もスベリに対して効果的であるということは判明してい

ない現状である。

しかし一方、平面線形、横断勾配並びに舗装体系、道路の構造がスベリやすいものとな

っているとすれば、設計時に特に留意しなければならないことである。

4-1-1 滑り止め舗装の採択基準

前記に設計上の留意点をあげたが、このことはあらためてスベリ止め舗装までしなく

ともよいような道路の構造を考えるという見地に立っているのである。ただし、地理的

条件等からやむをえず上記によりがたい場合は次記の標準によって採択するものとする。

イ)縦断勾配が7%以上ある場合

縦断勾配が7%以上はその勾配全区間並びに接続縦断凹曲線の接続点から変曲点ま

での区間

ロ)曲線半径が一般以下である場合

曲線半径が一般以下である場合は、緩和区間までを対象とする。

ハ)曲線半径及び片勾配の値に応じて視距がやむをえない条件等からとれない場合は、

当該曲線部を対象とする。

ニ)付近の地形・他の施設の状況等から

i)日中において日陰になる時間が多く、そのために路面が絶えず湿潤状態にある

箇所

ⅱ)曲線部並びに縦断勾配が構造令による一般以下または一般の下限値に近く、交

通量の多い取付道路と交差する場合は、交差点の前後それぞれ 50m 程度

ⅲ)供用開始区間にあってもスベリによる事故多発箇所

―121―

4-1-2 滑り止め舗装の工法

滑り止め舗装は「舗装施工便覧 第8章 各種の舗装 8-3-4 滑り止め舗装」

によるものとし、次のように分類する。

舗装施工便覧

(H18.2)

すべり抵抗性を高める方法として一般に、

① 混合物自体のすべり抵抗性を高める工法

② 樹脂系材料を使用し、硬質骨材を路面に接着させる工法

③ グルーピングなどによって粗面仕上げをする工法

などを用いる。

混合物自体のすべり抵抗性を高める工法のうち、表層の上に開粒度アスファルトを舗

設する場合厚さは 3cm とし、磨耗層と考え舗装厚さには含めないものとする。

4-2 その他の機能別の舗装

・低騒音舗装

車両走行時に、路面上をタイヤが回転することによって発生する音などを低減させ

る機能を有する舗装。

・明色舗装

通常のアスファルト舗装の表層部分に、光の反射率の大きい明色骨材を使用した舗

装で、路面の明るさや、光の再帰性を高め、照明効果や夜間視認性の向上等の機能を

有する舗装。

・着色舗装

主として、アスファルト混合系の舗装に各種の彩色を施し、景観性向上の機能を有

する舗装。

・排水性鋪装

雨水を路面下に速やかに浸透させ、路側あるいは路肩等に排水する機能を有する舗

装で、間隙率の高い多孔質なアスファルト混合物の下層に、不透水層を設け路盤以下

に水が浸透しない構造とした舗装。

・透水性舗装

雨水を路面下に速やかに浸透させる機能を有する舗装で、路面の水たまり防止、騒

音低減効果、地下水の涵養、都市型洪水の抑制等が要求される都市内の道路に主とし

て用いられる舗装。

・半たわみ性舗装

空隙率の大きな開粒度タイプの半たわみ性舗装用アスファルト混合物に、浸透用セ

メントミルクを浸透させたもので、耐流動性、明色性、耐油性等の機能を有する舗装。

・グースアスファルト舗装

グースアスファルト混合物を用いた、不透水性、たわみ性等の機能を有する舗装で、

一般に鋼床版舗装などの橋面舗装に用いられる。

―122―

・ロールドアスファルト舗装

細砂、フィラー、アスファルトからなるアスファルトモルタル中に、比較的単粒度

の粗骨材を一定量配合した、不連続位度のロールドアスファルト混合物を敷きならし、

その直後にプレコート砕石を圧入した舗装で、すべり抵抗、耐ひび割れ性、水密性、

耐摩耗性等の機能を有する舗装。

・砕石マスチック舗装

粗骨材の骨材間隙を、細骨材、フィラー、アスファルトかならるアスファルトモル

タルで充填した、ギャップ粒度のアスファルト混合物を用いた舗装で、アスファルト

モルタルの充填効果と粗骨材のかみ合わせ効果により、面流動性、耐摩耗性、水密性

の機能を有する舗装

・大粒径アスファルト舗装

最大粒径の大きな骨材をアスファルト混合物に用いて行う舗装で、耐流動性、耐摩

耗性等の機能を有する舗装。

・プレキャストコンクリート版舗装

工場で製作したプレキャストコンクリート版を路盤上に敷設し、必要に応じて相互

のコンクリート版をバー等で結合して築造するコンクリート舗装。

・小粒径骨材露出舗装

小粒径の単粒砕石を粗骨材としたコンクリートを敷きならし締め固めた後、その表

面を削りだし、均一かつ適度のキメの骨材露出面を形成することで、車両騒音の低減

を図る舗装

・ポーラスコンクリート舗装

特殊な混和材料を使用することなどで高い間隙率を確保した、ポーラスコンクリー

ト版を使用し排水性や透水性、車両騒音の低減等の機能を有する舗装。

・インターロッキング舗装

周辺環境との調和ならびに景観を重視する必要のある場合に使用すると効果的な

舗装であるが、商店街やコミュニテイ道路あるいは住宅地内の区画道路のように定常

的の大型車が、走行しない道路に適用する舗装である。

・保水性舗装

舗装体内に保水された水分が蒸発する際に、気化潜熱を奪うことにより、路面温度

の上昇を抑制する機能を有する舗装。

・土系舗装

主に天然材料による層で構成された舗装で、適度の弾力陛、衝撃吸収性、保水性等

の機能を有する舗装

―123―

・フルデブスアスファルト舗装

構築路床又は路床(現地盤)上の、全ての層に加熱アスファルト混合物及び安定処理

路盤材料を用いた舗装で、計画高さに制限がある場合、地下埋設物が浅い位置にある

場合、施工期間が長く取れない場合等の制約を受ける場合に採用されることがある。

・サンドイッチ舗装

軟弱な路床上に遮断層として砂層を設け、この上に粒状路盤、貧配合コンクリート

またはセメント安定処理による層を設けて舗装する工法で、路床のCBRが3未満の

ような軟弱な路床で、路床安定処理や置き換えが難しい場合に採用されることがある。

・コンポジット舗装

路盤上にセメント系の版(普通コンクリート版、連続鉄筋コンクリート版、転圧コ

ンクリート版、半たわみ性舗装)を設け、その上にアスファルト混合物の層を施工し

た舗装で、セメント舗装系の持つ構造的な耐久性と、アスファルト舗装系が持つ良好

な走行性と維持修繕の容易さを兼ね備えた舗装。

4-3 その他の構造別の舗装

5 歩道等の舗装

歩道自転車道の舗装は、「舗装設計施工指針 第5章 歩道及び自転車道等」によるものと

し、「舗装施工便覧 第8章 各種の舗装 8-2 適応箇所別の舗装 8-3 機能別の舗

装」に示された工法のうちから適切なものを選択するものとする。次に代表的な例を示す。

舗装施工便覧

(H18.2)

舗装設計施工指針

(H18.2)

5-1 一般的なアスファルト舗装

5-2 透水性舗装

都市地域においては、急激な洪水流出量の増加にともなって、治水上の安全性を確保す

るために昭和 55 年に総合治水対策の推進策の一環として透水性舗装の方針等が提案され

た。

透水性舗装の適用を歩道及び自転車道とし、降雨時の水溜りあるいはすべりやすさとい

ったような不快感が解消でき、都市部の歩道環境が改善される。

また、街路樹の保護育成、保水機能の向上の観点からも必要である。

―124―

1)構造

透水舗装をする場合の標準は次のとおりとする。

注1)プライムコートは、透水性を阻害するので施工しないものとする。

注2)フィルタ一層の厚さを標準 7cm としているが、路床(現地盤)の状態によっては厚さを

変更することも考えられる。

2)透水性舗装用アスファルト混合物の粒度範囲

通過重量百分率(%) ふるい目の開き(mm)

開粒度アスファルト(13)

19.0 100

13.2 95~100

4.75 23~45

2.30 15~30

0.6 8~20

0.3 4~15

0.15 4~10

0.075 2~7

アスファルト量(%) 3.5~5.5

―125―

5-3 インターロッキング舗装

インターロッキングによる歩道自転車道の舗装は、「舗装設計施工指針 第5章 歩道及

び自転車道等」によるものとするが、乗入部(Ⅱ種)については下図を標準とする。

なお、車道部については「インターロッキング舗装設計施工要領(車道編)平成6年5月

インターロッキング協会」を参考とされたい。

乗入部(Ⅱ種) 一 般 部

※大型車両専用乗り入れ口は別途担当課と協議する。

5-4 コンクリート舗装

コンクリート(18N-40~20-8)

路 盤

注1 歩道の版厚は原則として 7cm とする。ただし管理車両が入る場合は、10 cm とする。

2 目地間隔は、舗装幅 1.0m 以上については、収縮目地(打込目地)5m、膨張目地(木材等)30m

を標準とする。

舗装施工便覧

(H18.2)

6 橋面舗装について

6-1 一 般

橋面舗装は原則としてアスファルト舗装とすることとし、「舗装施工便覧 第9章」によ

り設計する。

ただし、前後の舗装がセメントコンクリート舗装の場合及び桁高その他の条件によりア

スファルト系舗装を施工できない場合はセメントコンクリート舗装としてよい。

―126―

6-2 アスファルト舗装

1)舗装構成

舗装構成は、下記を標準とする。

注)鋼床版の基層は、グースアスファルトを標準とする。

イ)下層の密粒度アスコン及びグースアスファルトは、横断勾配等の調整のためのレベ

リング層を含むものとし最小厚を 40mm とする。

ロ)わだち掘れの修繕が困難な橋梁の橋面アスファルト舗装は、流動化防止対策として『ポ

リマー改質Ⅱ型アスファルト』を使用することを標準とする。

2)排水設備

イ)コンクリート床版

縁石や地覆あるいは排水桝と舗装とが接する部分は、桝及び伸縮継手付近の床版に

水抜孔を設けるものとする。

ロ)鋼床版

端部に舗装止めがある場合はその部分に、舗装止めがない場合は鋼床版に水抜孔を

設けるものとする。

3)接着層

接着層は、床版と防水層または舗装とを付着させ一体化させるために設けるものであ

る。鋼床版では溶液型のゴムアスファルト系接着剤を 0.4 ℓ/m2標準とする。また、コン

クリート床版では、ゴム入りアスファルト乳剤を 0.4 ℓ/m2を標準とする。

4)防水層

防水層は、床版の耐久性を向上させるために設けるものである。防水層にはシート系、

塗膜系及び舗装系のいずれかを用いる。

5)目地

目地は、舗装と構造物との接触部から雨水などの浸入を防止し、舗装及び床版を保護

するために設けるものであり、加熱混合物の熱により溶着するタイプの成形目地材また

はプライマーにより接着するタイプの成形目地材を標準とする。

6)タックコート

タックコートは、基層と表層の接着性を高めるために設けるものであり、ゴム入りア

スファルト乳剤を 0.4ℓ/m2を標準とする。

―127―

- 128 -

8

0

t=8cm

t=8cm

- 129 -

平面図

注1 伸縮装置取付部は、必ず排水パイプを設置する。

注2 合成勾配で水が集まる端部は必ず排水パイプを設置する。

注3 排水パイプ設置間隔ℓは、下表を標準とする。

縦断勾配 設置間隔 ℓ(m)

1%以下 5

1%を超える場合 10

注4 排水桝に排水管接続用孔を必ず設ける。

注5 縦断勾配が谷部になる区間では、谷部に必ず排水桝を設置するものとする。

高橋などで、谷部の中心が伸縮装置となっている場合には、谷部の中心から 1.5m 程度

離れた両側に排水桝を設ける。

8cm 8cm

6-3 セメントコンクリート舗装

セメントコンクリート舗装の場合は、床版と同時に打設し磨耗層 3cm(等厚)を標準とす

る。これはセメントコンクリート舗装はコンクリートの乾燥収縮及び床版や主桁に働く負

の曲げモーメントのために舗装に引張力が働き、このためクラックが発生し、場合によっ

ては舗装コンクリートが剥離することがあるからで、次の橋梁形式の場合には特に注意す

ること。

・合成桁橋

・連続桁端

・鋼床版桁橋

・特に桁の鋼度が小さく、たわみや振動が大きい形式の橋梁

6-4 橋梁部歩道舗装

(イ)中詰工

中詰工はコンクリート(δck=18N/mm2とする。)

(ロ)表層

密粒度アスコン(最大粒径 13 ㎜)を用い、その厚さは4cm標準とする。なお、コンクリ

ート舗装とする場合は中詰コンクリートと同時打設とする。

6-5 床版の防水層及び接着層

1 適用範囲

鋼橋、RC橋及びPC橋いずれについても橋面をアスファルト舗装とする場合の床版

面には、原則として防水層を設けるもとのする。

なお、防水層の設計施工にあたって、「道路橋鉄筋コンクリート床版防水層設計施工

資料(S62. 1.日本道路協会)によるものとする。

2 防水層を施工すべき範囲

1)鋼床版

防水層と基層を兼ねたグースアスファルトを標準とする。

―130―

2)RC橋、、PC橋、、RC床版

防水層を全面に設ける。

3 排水処理

防水層の上には舗装を浸透して来た水が溜まることになるが、溜まった水は舗装を劣

化させる原因となるので速やかに排除しなければならない。

排水方法としては「道路橋鉄筋コンクリート床版防水層設計施工資料」の構造細目を

参照のこと。

6-6 鋼床版の舗装構成について

現場溶接継手とボルト継手における鋼床版の舗装構成については、参考図によるものと

する。

―131―

7 路床及び路盤

7-1 概説

路床は、その上部に築造される表層と基層及び路盤と一体となって、交通荷重を支持す

る役割を持っている。路床は一般に道路土工で築造される。路床で設計CBRが3未満の

軟弱な路床の場合は、その一部または全部を良質な材料で置き換えたり、安定処理して改

良する必要がある。

路盤は、表層と基層からの荷重を支持し分散して路床に伝達する。従って路盤は一様な

支持力が得られるように築造しなければならない。

路盤は一般に下層路盤と上層路盤からなる。下層略盤材料にはクラッシャラン、スラグ、

砂、切込み砂利などを用いることが多い。沖縄産材料で規格に入らないものがあっても粒

度を調整するなり安定処理するなりして活用を図るとよい。

上層路盤には、粒度調整工法、瀝青安定処理工法、セメントや石灰による安定処理工法、

浸透式工法及びマカダム工法を用いる。

路盤工で特に注意しなければならないことは、路盤材料が規定の品質を保持し、分離を

起こさないように貯蔵、運搬敷ならしなどに留意し、所定の密度やかみ合わせが得られる

ように適切な締固め機械で十分締固めることである。

注)1 軟弱な路床の設計は7-2を参照すること。

2 浸透式工法及びマカダム工法については「簡易舗装要綱」を参照すること。

7-2 軟弱な路床

軟弱な路床は、一般に粘土やシルトのような微細な粒子に富んだやわらかい土や、間げ

きの大きい有機質土またはピート及びゆるい砂からなる土質によって構成されており一般

に含水比が高い。

これらを処理する方法として、一般的には良質土による盛土工法、置換工法、安定処理

工法及びサンドイッチ工法などがある。

(1)良質土による盛土工法

水田地帯など地下水位が高く路床土が軟弱な箇所などで、良質な盛土材料を在来

地盤の上に盛り上げて路床を作る工法である。

(2)置換工法

置換工法による場合は、路床上にあたる部分h=1.0m を良質な土で置き換えて、

設計CBRが3以上になる様に設計する。この場合、置き換えた層の下から厚 20

cm の部分は在来路床土の試量によるCBRをとって設計する。

(例)在来路床のCBRが 1.5 の所で、C B R10 の材料で1mの置き換え(又は盛土)を

行った時の路床上の設計CBRは「アスファルト舗装要綱」より次の様になる。

したがって、この地点の設計CBRは6となる。

―132―

図3-3 路床部分の置き換えの詳細

図3-4 中央分離帯部分の置き換えの詳細

(3)安定処理工法

安定処理工法による場合、路床にあたる部分を石灰またはセメント等で安定処理し、

設計CBRが3以上になるように設計する。この場合、安定処理した層のCBRと在

来路床上の試料によるCBRの平均値をとって設計する。

なお、安定処理工法は原則として現地土を処理することとする。

【例】在来路床のCBRが 1.5 の所を石灰(またはセメント)による安定処理を 50 cm の

深さまで行った。その処理層のCBRは 25 であった。この場合の設計CBRは安定処

理した層のうち 30 cm はC B R20(CBRが 20 以上あっても 20 とする)とし、安定処理

した層の下から 20 cm については、在来路床と安定処理した層のCBRの値の平均値

を用い残りの 50 cm は在来路床の CBR1.5 を用いて「アスファルト舗

装要綱」により次のように設計CBRを求める。

したがって、この地点の設計CBRは6となる。

安定処理を行う幅は置き換え工法と同様とする。

―133―

(a)設計CBRの設定

設計CBRの設定

アスファルト舗

装要綱

(H4.12)

図3-5 設計CBRの決定手順

―134―

(b)配合設計

配合設計はアスファルト舗装要綱 P85~86 に示されている方法によるものとす

る。この配合設計には 10 日以上の期間を要するので十分な余裕をもって経験のある

コンサルタントに委託するようにされたい。

(c)施工方法

軟弱な路床上の表面に石灰、セメントなどの処理材料を散布し、路床上と処理材

料を混合した後十分な締固めを行う。混合の方式には、湿地ブルドーザに混合攪絆

できるアタッチメントを装着したものや軟弱土専用の施工機械によるものがある。

(イ)混合に先立ち不陸整正を行い、施工面に水溜りがある場合や地下水位が高い場

合は素掘、排水溝を設けることが望ましい。

(ロ)処理材料の散布方法は機械散布(人力補助)と人力散布があるが、いずれの場合

も単位面積当りの散布量を計算し、バラツキのないように散布しなければならな

い。

(例)配合試験の結果処理材料の添加量が 15%で、処理厚が 50 cm、処理上の乾

燥密度が l.lg/cm2の場合㎡当りの添加量は次のとおりとする。

m2当りの処理上の乾燥重量は

1.10g/cm2×50 cm×10,000m2=550,000 g =550 kg

処理材料の添加量は

550 kg×O. 15=82. 5 kg

(ハ)散布が終わったら、直ちに所定の深さまで入念に混合する。混合中は、混合深

さの確認を行いながら混合状態の良否を観察し、必要に応じて再混合を行うが、

その回数は2回を標準とする。

注)生灰石を使用した場合は、第1回目の混合が終わったらそのまま放置し、生石

灰の消化が終わったら再び混合する。この場合第1回目の混合深さは、所要厚の

1/2程度とし、再混合は所要全厚を対象に2回行うものとする。

(ニ)混合が終わったらブルドーザ(11 t 級)または湿地ブルドーザ(11 t 級)で表面を

粗ならししたのち所定の形状に整地し、タイヤローラ(8~20t)又は振動ローラ

(2.5~2.8 t)で十分に転圧締固を行う。表面粗ならし及び転圧回数は下記を標準

とする。

注)混合が終わっても、軟弱で転圧機械が入れない場合は、混合機で軽く転圧を行

い数日養生後タイヤローラ等で十分締固めを行う。

(ホ)転圧締固めが終わったら、路床面の整正養生を行う。養生は下層路盤の施工が

可能な支持力が得られるまでとする。

―135―

(4)サンドイッチ工法

交通量の多い場合などで、置き換え工法では掘削深さが大きくなって不経済にな

る場合、地下水が高く置き換え土を十分に締固めることが困難な場合は、15 cm 程度

の砂層を置き、その土に厚さ 15~20 cm の貧配合コンクリート又はセメント安定処理

の施工が確保できる厚さの砂又は砂質土を置き、30 cm 程度のセメント安定処理層を

設計する。この場合、設計CBRやTAを用いた設計方法を用いることができない

ので、過去の実施例や、弾性計算などの方法を参考として、断面を決定するが表層

+基層の最小厚さは所要厚を確保しなければならない。

なお、貧配合コンクリートのセメント量は 220 kg/m2程度とする。セメント安定

処理の一軸圧縮強さ 30~50 kg/cm2を目標にセメント量を決定する。

7-3 本県の路盤材料(参考)

沖縄県の路盤材料は県内に広く分布する石灰岩が使用され、灰色の古生層石灰岩、白色

又は淡黄色の琉球石灰岩(隆起サンゴ礁石灰岩)に大別される。

古生層石灰岩:本部半島北部の本部半島が主産地で破砕面がなめらかな硬質な材料で琉

球石灰岩より材質がよい。埋蔵量も豊富で土木材料の安定的生産が可能と思われる。

用途としては、セメントおよびコンクリート用粗骨材、アスファルト用合材としての利

用が最も多く、道路の路盤材料としてはクラッシャランが上層路盤材、切込砕石が下層路

盤材としてよく利用されている。

切 込 砕 石………1次破砕の原石を通常 40 mm アンダーのふるいにより選別された

40mm 粒径以下の材料をいう。粒径が小さくなる傾向があり、0.4

mmフルイ通過率 20%以下を目標としている。

クラッシャーラン……原石を破砕機により1次及び2次の破砕を行い所要の最大な粒

径、目標粒度範囲におさまるようフルイ分けされて得られる材

料をいう。通常、粒度調整砕石にほぼ近い粒度分布が得られる。

琉球石灰岩:本島中南部および宮古、八重山周辺の離島に広く分布している石灰岩で吸

水量が2%~5%もある多孔質の石質で古生層石灰岩より軟質である。破砕面は凹凸な面

をなし、丸みのある粒径が多い。埋蔵量は島内の海岸線に沿って広範に分布し豊富にある

が、新規の開発は自然及び生活環境との調和に問題がある。

用途としては、主に路盤材料に利用され生産方法により、クラッシャランと流しコーラ

ルに分けられる。

流しコーラル………採取された材料を流しと称するバースクリーンに通し粒径 60 ㎜~

40mm 以上の大塊を取り除いたものをいう。

クラッシャラン……流しコーラルの生産時に取り除かれた大塊や、表土を除いた原石を

破砕し、所要の粒径に破砕したものをいう。

―136―

粒度試験 突固め試験 3層 92 回

比重

G s 4.76mm

通過率

(%)

0.074mm

通過率

(%)

塑 性

指 数

最大乾

燥密度

Rdmax

(t/m3)

最適合

水 比

Wopt

(%)

間ゲキ

比 e

飽和度

Sr(%)

修正

CBR

(%)

ロサン

ゼルス

すりへ

り減量

(%)

北 部

八重山

2.723

2.710

28.7

33.6

6.2

5.3

N.P

2.230

2.252

4.6

4.6

0.14

0.20

83.1

66.1

123

123

26.6

25.2

(1)古生層石灰岩

(a)上層路盤材料(クラッシャラン)

表3 -14 灰色クラッシャランの物理的・力学的試験結果の地区平均値

図3-6 路盤材料(灰色クラッシャラン)の地区別粒径加積曲線(平均)

(b)下層路盤材料(切込砕石)

表3 -15 切込砕石の物理的・力学的試験結果の地区別平均値

粒度試験 突固め試験 3層 92 回

比重 G s 4.76mm

通過率

(%)

0.074mm

通過率

(%)

最大乾

燥密度

Rdmax

(t/m3)

最適含

水 比

Wopt

(%)

間ゲキ

比 e

飽和度

Sr(%)

修 正

CBR

(%)

ロサン

ゼルス

すりへ

り減量

(%)

北部 2.733 30 8 2.255 5.4 - - 125 -

試験

項目

地区

試験

項目

地区

―137―

図3-7

(2)琉球石灰岩

(a)上層路盤材料(クラッシャラン)

表3 -16 淡黄色クラッシャランの物理的・力学的試験結果の地区平均値

粒度試験 突固め試験 3層 92 回

試験 項目

地区

比重 G s 4.76mm

通過率

(%)

0.074mm

通過率

(%)

塑 性

指 数

最大乾

燥密度

Rdmax

(t/m3)

最適含

水 比

Wopt

(%)

間ゲキ

比 e

飽和度

Sr(%)

修 正

CBR

(%)

ロサン

ゼルス

すりへ

り減量

(%)

北 部

中 部

南 部

宮 古

八重山

2.707

2.711

2.703

2.700

26.8

29.9

34.7

41.7

8.1

7.3

8.4

9.0

N.P

2.080

2.097

2.091

2.083

8.3

7.7

8.9

7.4

0.30

0.29

0.29

0.30

75.5

71.8

82.1

69.9

193

207

214

138

41.3

37.3

38.4

38.0

図3-8 路盤材料(淡黄色クラッシャラン)の地区別粒径加積曲線(平均)

―138―

粒度試験 突固め試験 3層 92 回

比 重

G s 4.76mm

通過率

(%)

0.074mm

通過率

(%)

最大乾

燥密度

Rdmax

(t/m3)

最適含

水 比

Wopt

(%)

間ゲキ

比 e

飽和度

Sr(%)

修 正

CBR

(%)

ロサン

ゼルス

すりへ

り減量

(%)

北 部

中 部

南 部

2.703

2.711

46

53

16

17

2.010

1.990

9.8

10.5

0.35

0.37

77.1

77.6

113

129

47.3

45.6

表 3-17 流しコーラルの物理的・力学的試験結果の地区別平均

(c)下層路盤材料(流しコーラル)

図3-9 路盤材料(流しコーラル)の地区別粒径加積曲線(平均)

7-4 再生資源活用工事実施要領

(1)指定副産物の工事現場からの搬出

1)コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊

建設工事に伴い発生したコンクリート塊、アスファルト塊・コンクリート塊を廃棄物

として工事現場から搬出する場合は、再生資源化施設へ搬出する。

2)建設発生木材(伐木・除根材を含む)

建設工事に伴い発生した木材を廃棄物として工事現場から搬出する場合は、原則とし

て再生資源施設へ搬出する。

なお、工事現場から 50km の範囲内に再生資源化施設が無い場合、再生資源化に代え

て縮滅(焼却)することができる。

3)建設発生土

工事現場から建設発生土が発生する場合は、原則として、50km の範囲内の他工事現場

へ搬出する。

なお、他の工事現場との受入時期等で調整が困難な場合は、別の処分場へ搬出するこ

とを妨げない。

試験

項目

地区

―139―

使 用 工 種 再 生 材 種 類 適 用

上 層 路 盤 再生粒度調整砕石(RM-40) 全 区 域

下 層 路 盤 再生クラッシャラン(RC-40) 全 区 域

歩 道 路 盤 再生クラッシャラン(RC -40) 全 区 域

構造物基礎材 再生クラッシャラン(RC-40)

全 区 域

※基礎厚に関わらず、原則として先の材料を使

用する。

構造物裏込材 再生クラッシャラン(RC-40) 全 区 域

4)再生資源化施設の選定

建設工事に伴い発生した指定副産物を再生資源化施設へ搬出する場合は、再生資源化

施設毎に料金設定の有無がある事から、受け入れ条件等を考慮し経済比較のうえ決定す

るものとする。

(2)再生資材等の利用

1)再生資材の利用

工事現場から 40km の範囲内に再生骨材等を製造する最資源化施設がある場合、所要

の品質を確認したうえで、原則として、再生骨材を利用する。なお、下表のとおり再生

骨材を使用すること。

2)再生加熱アスファルト混合物の利用

工事現場から40kmの範囲内及び運搬時間1.5時間の範囲内に再生加熱アスファルト混

合物を製造する再資源化施設がある場合、所要の品質を確認したうえで、原則として、

再生加熱アスファルト混合物を利用する。

―140―

- 141 -

なお、下表のとおり再生加熱アスファルト混合物を使用するものとする。

使 用 工 種 再生加熱アスファルト混合物の種類 適 用

表 層 再生アスファルト混合物(密粒度 20mm)

全 区 域

基 層 再生アスファルト混合物(粗粒度 20mm)

中 間 層 再生アスファルト混合物(粗粒度 20mm)

上 層 路 盤 再生安定処理材(40mm)

乗 入 口 表 層 再生アスファルト混合物(密粒度 20mm)

歩 道 表 層 再生アスファルト混合物(密粒度 13mm)

3)建設発生土

工事現場から 50km の範囲内に建設発生土を搬出する他の工事現場がある場合、受入時期

等を考慮したうえで原則として、建設発生土を使用する。

(5)その他

再生資材を使用するに当っては、「再生資源の利用促進について」(技術審議官等通達)、

「公共建設工事における『リサイクル原則化ルール』の策定について」(平成 18 年6月 12

日大臣官房技術調査課長等通達)、「公共建設工事における再生資源活用の当面の運用につ

いて」(平成 14 年 6 月 7 日府開技第 86 号)、「公共建設工事における分別解体等・再生資材活

用工事実施要領(土木)について」(平成 14 年6月7日府開技第 87 号)によるものとする。

再生資材摘要区域図

図3 -10

―142―

8 その他

8-1 岩盤上の舗装

岩盤の掘削面を路床上面とする場合と1m未満の路床上がある場合とで、舗装の構造が

異なる。なお、側道部においても車道部に準じて行うものとする。

1)現地盤が良質な岩である場合

路床上面とし、平均厚さ 10 cm コンクリートで不陸を整正したのち最小舗装厚加熱ア

スファルト混合物(瀝安を除く)を舗装する。

2)1m未満の路床土がある場合

i)多層弾性理論による設計法の検討

ii)路床上の厚さが 50 cm に満たない場合は、路床上のCBRを 20 以上に改良する。

iii)岩盤の位置が舗装構造にあまり影響しないと判断される場合は、その前後の舗装

構成に合わせてよい。

8-1-1 横断方向に岩盤がある場合

8-1-2 縦断方向に岩盤がある場合

1)舗装構成を変える最小延長を 60m とする。

2)岩盤上の舗装構成

加熱混合物舗装厚

(歴安層を含む)

ペーラインコンクリート(平均 t =10cm)

18N/mm2

注)湧水がある場合は、地下排水施設等の検討を行うものとする。

なお、コンクリート圧については、10 cm 以上とする。

―143―

8-1-3 歩道部が岩盤の場合

注)歩道上における岩盤上の舗装はペーライン構造とするが、これによりがたい場合は、担当課と

協議するものとする。

8-2 現道嵩上げ高が大きい場合

1)T<50 cm : 施工方法、材料割増率、品質管理は下層路盤と同様とする。

2)交通量が多い場合は別途検討すること。

―144―

第4節 擁 壁 1 適用基準 擁壁の設計は本節によるものとするが、記述のないものについては表4-1の関係図書他

によるものとする。

関 係 図 書 発行年月 発 行 者

会協路道本日 3 .llH 針指工璧擁-工土路道

※建設省制定土木構造物標準設計

第2巻(擁壁) H12. 9 全日本建設技術協会

※建設省制定土木構造物標準設計

第2巻(擁壁)解説書及び手引き H12. 9 全日本建設技術協会

※建設省制定土木構造物標準設計

第2巻 数値標 H12. 9 全日本建設技術協会

道路橋示方書・同解説I共通編 IV 下部構造 H14. 3 日本道路協会

道路橋示方書・同解説V耐震設計編 H14. 3 日本道路協会

会協路道本日 1 .91H 覧便計設礎基杭

会協路道本日 1 .91H 覧便計設礎基杭

会協路道本日 l .O2H 説解同・準基置設の柵護防

2007 年制定 コンクリート標準示方書 H20. 3 土木学会

補強土(テールアルメ)壁工法

設計・施工マニュアル第2回改訂版 H15.11 土木研究センター

多数アンカー式補強土壁工法

設計・施工マニュアル第2版 Hl4.l0 土木研究センター

ジオテキスタイルを用いた補強土の

設計・施工マニュアル H12.11 土木研究センター

土木構造物設計マニュアル(案) Hll.lO 全日本建設技術協会

土木構造物設計マニュアル(案)に係わる設計・

施工の手引き(案) Hll.ll 全日本建設技術協会

表4-1 関 係 図 書

(注)使用にあたっては最新版を使用するものとする。

―145―

2 計 画

2-1 基本計画

擁壁は設置される高さ、地形あるいは地盤条件などにより、構造形式、基礎形式が変わ

るので、次の事頃について調査、検討を行い、設計計画を進めることが必要である。

①設置の必要性

②設置箇所の地形、地質、土質

③周辺構造物との相互影響

④施工条件

⑤安定性・防災性

⑥景観への配慮

⑦経済性

擁壁を計画する場合の一般的な手順を図4-1に示す。

図4-1 擁壁計画の流れ

道路土木

擁壁工指針

1-3-1

―146―

2-2 調査および検討事項

擁壁の基礎形式の選定に当たっては、地形および地盤条件、擁壁の構造形式、気象など

の環境条件、施工条件などについて、充分な検討を行う必要がある。

(1)地形、地質、土質に関する調査、検討

擁壁の構造形式や基礎形式は、設置される位置の地形、地質および土質の影響を大

きく受けるので、その調査として次の事項について検討しなければならない。

①表層の性状および傾斜など

②支持地盤の位置や傾斜、支持力および背面の盛土荷重による地盤の安定など

③盛土、裏込め土の性質(土の分類、単位体積重量、せん断抵抗角など)

④地盤の変形特性(圧密沈下、地震時の液状化など)

⑤地下水の有無、水位、湧水の位置と水量および凍上の有無など

(2)周辺構造物に対する調査、検討

周辺構造物に対する調査、検討は現状調査や、擁壁位置による周辺構造物との相互

影響調査として、次の事項について検討しなければならない。

①基礎の根入れ深さ

②基礎形式

③荷重の相互影響

④景観への配慮

(3)施工条件の調査、検討

施工の安全性、確実性などに十分な配慮をするためには、設計段階で、次の事項に

ついて検討しなければならない。

①既設構造物および埋設物の調査と、これによる施工上の制約条件

②施工中ののり面の安定

③施工中の仮排水の方法

④作業空間

⑤資材の搬入、運搬、仮置き方法

⑥騒音、振動などの規制状況

⑦施工時期、工程、使用機械

道路土木

擁壁工指針

1-3-2

―147―

2-3 構造形式の選定

2-3-1 構造形式選定上の目安

主な擁壁の適用高さ、特徴、使用上の留意点などの構造形式を選定するうえでの目安

を表4-2に示す。

表4-2 構造形式選定の目安

道路土木

擁壁工指針

1-3-3

―148―

2-3-2 構造形式の設定手順

擁壁の構造形式の選定にあたっては、設置箇所の地形、土質、施工条件、周辺構造物

等の影響を総合的に検討し、擁壁高さより経済性、施工性、景観性等を考慮し、適切な

構造形式を選定しなければならない。

擁壁選定に当たっては、基礎形式を考慮の上、図4-2擁壁の形式選定手順を参考に

行う。

注1)ブロック積み擁壁の適用高さは7m以下とする。また、採用上の留意点を

表4-2に示す。

注2)用地制限有りとは、壁前面に用地境界が近接しており、擁壁の形状が制約

される場合を言う。

注3)もたれ式擁壁は、地盤が堅固な場合に採用することとする。

図4-2 擁壁の形式選定手順

―149―

2-4 基礎形式の選定

擁壁の基礎形式を大別すると、直接基礎と杭基礎に分類される。特徴、使用上の留意点

などの基礎形式を選定する上での目安を表4-3に示す。

表4-3 基礎形式選定上の目安

道路土木

擁壁工指針

1-3-4

―150―

2-5 土質・地盤調査

構造物の一般的な土質調査の試験項目を求める諸定数を表4-4に示す。

表4-4 擁壁設計における土質調査と設計諸定数

道路土木

擁壁工指針

1-4-1

―151―

3 構造設計上の留意事項

3-1 地震の影響

高さ8m以下の通常の擁壁では地震時の安定検討は省略してもよい。また、高さが8m

を超える場合は、全て地震の影響を考慮する。

ただし、高さ8m以下の擁壁は原則として次の条件に該当する場合に地震の影響を考慮

するものとする。なお、設計地震動(中規模地震動、大規模地震動)等も含め、本局担当課

と協議するものとする。

①鉄道、道路(農道など極めて交通量の少ない道路を除く)に而して築造する場合

②家屋に隣接するか、将来隣接する可能性のある箇所に築造する場合

③その他崩壊すると付近に重大な損害を与える恐れがある場合やその復旧が極めて困難

であるような箇所に築造する場合

参表1-1 地震時の安定検討における設計地震動

復 旧 の 難 易 度 重要度

困 難 容 易

重 要

耐震検討を行う

中規模地震動対応

ただし、きわめて重要な二次

的被害のおそれのあるものに

ついては大規換地震動対応

耐震検討を行う

(中規模地震動対応)

その他 耐震検討を行う

(中規模地震動対応)

耐震検討を行う

中規模地震動対応

ただし、高さ8m以下の擁壁

の場合は地震時の検討を省略

できる。

注)重要とは、万一崩壊すると隣接する施設等に重大な損害を与える場合や、迂回路がなく交流が

できなくなる場合を判断の目安とする。

復旧の難易度が困難とは、万一崩壊すると復旧に長時間を要し、道路機能を著しく阻害する

場合を判断の目安とする。

大規模地震動とは、供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ激しい地震動を意

味する。

中規模地震動とは、供用期間中に発生する確率が高い地震動を意味する。

道路土木

擁壁工指針

1-5-5

―152―

4 各種擁壁の設計

4-1 コンクリートブロック積(張)及び石積擁壁

4-1-1 コンクリートブロック積(張)擁壁

コンクリートブロック積(張)擁壁は、主として法面の保護に用いられ、背面の地山が

締まっている切土、比較的良質の裏込め土で十分な締固めがされている盛土など土圧が

小さい場合に適用される。

ただし、重要な場所への適用には注意する

コンクリートブロック積の標準を図4-3に示す。

図4-3

ブロック積およびもたれ擁壁の考え方

① 基礎部の基本的な考え方

a)基礎部への水の浸食による悪影響を防ぐため不透水層(張コンクリート)を設

ける。

b)基礎部が岩の場合は、床掘、埋戻しはペーラインコンクリートで対処し張コン

クリートは計上しない。

平成 12 年

土木構造物標準

設計

第2巻

―153―

② ブロック積の天端コンクリートの考え方について(図4-4)

a)設計図書には、天端コンクリートは図示するが、寸法表示はしない。

b)ブロック積みの数量はA=H1×Lとし、天端コンクリートは別途計上する。

図4-4

③使用材料

a)裏込・胴込材・基礎材は、「再生資源活用工事実施要領」(P124)によるものと

する。

b)ブロックの規格は JIS A 5371 と同等以上とする。

4-1-2 大型ブロック積擁壁

大型ブロック積擁壁にはブロックの寸法、控長、ブロック間の結合構造等が異なる様々

な形式のものがあり、擁壁の剛性はまちまちである。

① ブロック間の結合にかみ合わせ構造や突起などを用いたり、胴込めコンクリート

で練積みにした形式などは、通常の練積みに相当するブロック間の摩擦が確保され

ているとして、ブロック積(石積)に準じた構造と考えてよい。

②控長の大きいブロックで鉄筋コンクリートなどを用いてブロック間の結合を強

固にした形式のものは、ブロックが一体となって土圧に抵抗するために、もたれ式

擁壁に準じた構造と考えてよい。

大型ブロック積擁壁の設計に際しては、事前にブロックの強度及びせん断力や曲

げモーメントが作用する場合のブロック間の結合部強度を検討しておく必要がある。

また、ブロック間のかみ合わせ抵抗のない空積による大型ブロック積擁壁の構築は

行ってはならない。

一般的な大型ブロック積擁壁では直高に応じて控長とのり面勾配を表4-5、4-6、

4-7を参考に定めるのがよい。また、擁壁高さが8m以下にすることを原則とするが、

8mを超える場合は地震時の安定性を含めて、別途詳細な方法で検討する。なお、大型

ブロック積擁壁は裏込め材を設置することにするが、その設計は通常のブロック積擁壁

と同様に行うものとする。

なお、基礎の根入れ深さは、50cm 以上とする。

道路土木

擁壁工指針

2-2-1

―154―

直 高(cm) ~3.0 3.0~5.0 5.0~7.0

盛 土 1:0.4 1:0.5 1:0.6 のり面

勾 配 切 土 1:0.3 1:0.4 1:0.5

直 高(cm) ~3.0 3.0~5.0 5.0~7.0

盛 土 1:0.3 1:0.4 1:0.5 のり面

勾 配 切 土 1:0.3 1:0.3 1:0.4

直 高(cm) ~5.0 5.0~7.0 7.0~8.0

盛 土 1:0.3 1:0.4 1:0.5 のり面

勾 配 切 土 1:0.3 1:0.3 1:0.4

4-2 コンクリート擁壁

4-2-1 基礎根入れ深さ

基礎の根入れ深さは次の値を目安とする。

形式 種別 根入れ深さ

土被り:h

H≦2.5 50cm 以上 直

礎H>2.5 0.2H 以上 重力式

くい基礎 30cm 以上

直接基礎 50cm 以上 ・逆T型

・L 型 くい基礎 30cm 以上

道路土木

擁壁工指針

2-3-1

表4-5 直高とのり面勾配の関係(控長 50cm 以上)

表4-6 直高とのり面勾配の関係(控長 75cm 以上)

表4-7 直高とのり面勾配の関係(控長 100cm 以上)

表4-8 基礎の根入れの深さ

―155―

4-2-2 擁壁に防護柵を設置する場合の設計について

A 擁壁に防護柵を設置する場合の設計は、原則として安定計算及びたて壁部材設計に

は、衝突荷重を考慮する。

B 壁高欄の部材設計は「防護柵の設置基準・同解説」による衝突荷重及び作用位置を

考慮する。

C 特に天端でのコンクリートの支圧応力及びせん断応力が不足する場合が多いので十

分留意する。また、必要に応じ各種指針に準じ、擁壁天端に用心筋を設置する。

表4-9 剛性防護柵の衝突荷重

衝突荷重P(kN) 防護柵の種別

単スロープ型 フロリダ型 直 壁 型

路面からの

作 用 高

h(m)

s s 135 138 170 1.0

SA 86 88 109 1.0

SB 57 58 72 0.9

sc 34 35 43 0.8

道路土木

擁壁工指針

1-5-9

4-2-3 目 地

(1)目地の間隔

擁壁の目地間隔は表4 -10 を標準とする。

表4 -10

種 別 伸縮目地の間隔 伸縮目地の厚さ 収縮目地の間隔

無 筋 コ ン ク リ ー ト 擁 壁 10.00(m) 10(mm) 5.00(m)

鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 擁 壁 20.00(m) 20(mm) 10.00(m)

ブ ロ ッ ク 積 10.00(m) 10(mm)

水路、路肩コンクリート、側溝等 10.00(m) 10(mm)

―156―

(2)目地の構造と止水板

目地は、目地板のみを用いた構造を標準とする。また、伸縮目地に止水板を併用

する場合は、

① 壁体の一部が水路の場合

② 常時浸水を受け、擁壁背面への漏えいを防ぐ必要がある場合

③ 背面からの湧水や浸透水が、目地を通して流出すると考えられる場合

に適用するものとする。

コンクリート擁壁の収縮目地は、コンクリート表面にひび剖れ制御を目的とした

V型の深さ 1.5cm 程度の切みぞを設ける。その位置では長さ方向の鉄筋を切断して

はならない。

図4-5に目地の構造を示す。

図4-5

(3)施工目地

コンクリートの打継目に対しては段をつけ、D13mm を 50 cm 間隔、長さ 100 cm 程

度の用心鉄筋を配置するのが望ましい。

図4-6

平成 12 年 9 月

土木構造物標準

設計

道路土木

擁壁工指針

2-5-3

目地の構造

―157―

(4)水抜きの構造

コンクリート擁壁や練石積、モルタル吹付法面に設ける水抜は全て硬質ビニール

パイプ(VPパイプ)とする。練石積モルタル吹付法面に於いては2~3m2程度に1

箇所(内径 50m/m級)、コンクリート擁壁には3m2程度に1箇所(内径 100m/m)を標準

とする。なお、コンクリート擁壁背面には必ず吸出し防止材を入れることとする。

図4-7に吸出し防止材の設置を示す。

図4-7 吸出し防止材設置図

4-3 片持ち梁式擁壁

設計にあたっては、「擁壁工指針」および「土木構造物設計マニュアル(案)-平成 11 年

11 月」に準ずる。

4-4 混合擁壁および井げた組擁壁

採用にあたっては、本局担当課と協議の上決定するものとする。

4-5 もたれ式擁壁

4-5-1 適用の範囲

土木構造物標準設計のもたれ式擁壁は、盛土部で擁壁背面が水平な場合についての設

計である。したがって、切土部に使用する場合は次の点に留意する。

(1)図4-8のような場合は次の条件を満たすようにする。

(イ)θ≧60゜であること。

(ロ)h0が高くないこと。

―158―

(2)図4-9(a)のような場合は、土のくさび作用によって盛土部と考える土圧よ

り大きな土圧が作用することがあるので、図 4-9(b)のように地山を処理し、

盛土状態に修正する。

図4-8 図4-9

4-6 補強土擁壁

4-6-1 種類

補強土擁壁は、盛土中に補給材を敷設することで垂直に近い壁面を構築する土留め構

造物であり、補強材や壁面工の種類によって多種の工法が提案されている。

代表的な補強土壁の分類を下記に示す。

(1)帯鋼補強土壁

(2)アンカー補強土壁

(3)ジオテキスタイル補強土壁

図4 -10 に代表的な補強土壁の模式図を示す。

(a)帯鋼補強土壁 (b)アンカー補強土壁 (c)ジオテキスタイル補強土壁

図4 -10

4-6-2 特徴

(1)帯鋼補強土壁

帯状補強材(リブ付き、平滑)の摩擦抵抗による引抜き抵抗力で土留め効果を発揮

させる。

(2)アンカー補強土壁

アンカー補強材の支圧抵抗による引抜き抵抗力で土留め効果を発揮させる。

道路土木

擁壁工指針

3-1

道路土木

擁壁工指針

3-1

―159―

(3)ジオテキスタイル補強土壁

ジオテキスタイルの摩擦抵抗による引抜き抵抗力で土留め効果を発揮させる。面

状の補強材のため摩擦抵抗力が発揮しやすく、補強材長が短めにできる。

緑化対策として、ジオテキスタイルをのり面で巻き込むタイプも使用されている。

4-7 その他の特殊な擁壁

各種の制約条件がある場合や、地形、地質条件、環境条件などによってコンクリート擁

壁、補強土擁壁で記述されている一般的な擁壁を採用することが適用で無い場合に、特殊

な工夫を施した擁壁が必要となる。これらの擁壁には山留め式擁壁、深礎杭式擁壁、繊維

補強土擁壁などがある。また、軽量材による土圧軽減工法をコンクリート擁壁などと組み

合わせる場合もある。特殊な擁壁を次に示す。

4-7-1 山留め式擁壁

アンカー付き山留め式擁壁を図4-11 に、自立山留め式擁壁を図4 -12 に示す。

図4 -11 図4 -12

4-7-2 深礎杭式擁壁

斜面上に設けられた深礎杭式擁壁の例を図4 -13 に示す。

図4 -13

道路土木

擁壁工指針

4-1-2

道路土木

擁壁工指針

4-1-1

―160―

4-7-3 繊維補強土擁壁

繊維補強土擁壁を図4 -14 に示す。

図4 -14

4-7-4 軽量材による土圧軽減工法

軽量材による土圧軽減工法を下記に示す。

(1)発泡スチロールを用いた土圧軽減工法

(2)気泡混合土を用いた土圧軽減工法

なお、設計の考え方については「擁壁工指針」に準じるものとする。

道路土木

擁壁工指針

4-1-3

道路土木

擁壁工指針

4-2-2

―161―

4-8 設計条件の明記

全体一般図には、下記に示す設計条件を必ず明記する。

* 杭及び地盤改良の地盤反力度は、別途作成すること。

件 条位単 目 項

本 体 - 逆T式・重力式・L型式・その他( )

基礎の種類 - 直接・杭・地盤改良( ) 形 式

擁壁の尚さ

(H1~H2) m m ~ m

上 載 荷 重 KN/m2

単位体積重量

及びせん断抵抗角 - γs= KN/m3,φ= ゜

- )N:1(配勾土盛裏 込 め 土

高さ比(H0 - )H/

水 位 底版底面 m さ高のらか

コンクリートの

設計基準強度 σ ck N/mm2

- DS 類種の筋鉄

基礎底版と地盤

との摩擦係数 μ -

最大地盤反力度

(許容支持力度)

Q ≦ Qa

(常時、地震時) KN/m2 常時 ≦ ,地震時 ≦

擁壁工設計条件

―162―

第5節 排 水

1 適 用

排水の設計は本節によるものとするが、記述のないものについては、表5-1の関係図書

他にするものとする。

表5-1 関係図書

(注)使用にあっては最新版を使用するものとする。

2 排水の種類

道路の排水は図5-1に示すようにいろいろなものがあるが、対象とする水によって表面

排水、地下排水、構造物の裏込め部や構造物内の排水などにわけられる。

図5-1 排水の種類

(1)表面排水

降雨又は降雪によって生じた路面及び道路隣接地からの表面水を排除することをいう。

ただし、のり面を流下する水は表面水ではあるが、のり面排水の対象として扱う。

道路土工

排水工指針

(S62.6)

1-3

関 係 図 書 発行年月 発 行 者

道路土工-排水工指針 S 62. 6 (社)日本道路協会

道路土工-カルバー卜工指針 H 11. 3 (社)日本道路協会

立体横断施設技術基準・同解説 S 54. 1 (社)日本道路協会

土木構造物標準設計 第1巻 H 12. 9 (社)全日本建設技術協会

道路の移動円滑化整備ガイドライン H 15. 2 国土交通省 道路局

―163―

(2)地下排水

地下水位を低下させること、および道路に隣接する地帯ならびに路面から浸透してくる

水や、路床から上昇してきた水をしゃ断したり、速やかに除去することをいう。

(3)のり面排水

切土、盛土あるいは自然斜面を流下する水や、のり面から湧出する地下水によるのり面

の侵食や安定性の低下を防止するための排水をいう。

(4)構造物の排水

構造物の裏込め部のたん水や構造物内の漏水及び降雨、降雪により生じた橋面の表面水

などを除去することをいう。

3 設計にあたっての基本事項 3-1 降雨確率年

排水施設の規模と降雨確率年の決定にあたっては、表5-2、表5-3を用い決定する。

道路土工

排水工指針

(S62. 6)

1-2

表5-2 道路区分による排水規模の選定基準

道路の種別

石計画交通量

(台/日)

高速自動車国道及

び自動車専用道路一般国道 都道府県道 市町村道

10,000 以上 A A A A

10,000~4,000 A A, B A, B A, B

4,000~500 A, B B B B, C

500 未満 - - C C

注)う廻路のない道路については、その道路の重要性等を考慮して区分を1ランク上げても良い。

表5-3 排水施設別採用降雨確率年の標準

降 雨 確 率 年 分 類 排水能力の高さ

(イ) (ロ)

A 高 い 10 年以上(ハ)

B 一 般 的 7 年

C 低 い

3 年

5 年

注)1(イ)は路面や小規模なのり面など、一般の道路排水施設に適用する。

2(ロ)長大な自然斜面から流出する水を排除する道路横断排水施設、平坦な都市部で内水

排除が重要な場所の道路横断排水施設など、重要な排水施設に適用する。

3(ハ)は道路管理上重要性の高い道路横断排水施設については 30 年程度とするのがよい。

―164―

表5-4 標準降雨強度

3-2 地域別降雨強度

降雨強度は路面排水に用いる場合と道路隣接地の排水に用いる場合の2種類がある。

(1)路面排水

路面排水に用いる降雨強度は、表5-4による。

単位:mm/h

区 分 地 方 降雨強度

沖 縄 130

道路土木排水

工指針

(S62. 6)

2-1-2

注)山岳地など地形的な要因による降雨増加が

考えられる場合は2~3割増しする必要がある。

(2)道路隣接地の排水

道路隣接地の排水に用いる降雨強度は、タルボット式により求めるものとする。

ただし、In:n年確立の降雨強度(mm/h)

Rn:n年確立 60 分雨量強度

βn:n年確立特性係数

a’b:定数

(注1)In.Rn.βn. a’bの値は道路排水工指針(以下指針と

いう)による。

3-3 集水面積

集水面積を求める場合は,1 :5,000 地形図から算出するのを基本とする。やむを得な

い場合及び面積が広いときは,1 :10,000~1 :50,000 地形図によって求めるものとする。

―165―

3-4 流出係数

流出係数は、路面排水など降雨確率年の低い排水施設に対して、表5-5(a)、(b)を

また、カルバートのように降雨確率年の比較的高い排水施設に対しては、表5-6の値を

標準とする。

道路土木

排水工指針

(S62. 6)

2-1-4

表5-5(a)地表面の工種別基礎流出係数 表5-5(b)用途地域別平均流出係数

地表面の種類 流出係数

路 面 舗 装

砂 利 迫

0.70~0.95

0.30~0.70

路肩、のり面など

細 粒 土

粗 粒 土

硬 岩

軟 岩

0.40~0.65

0.10~0.30

0.70~0.85

0.50~0.75

砂質土の芝生

勾配 0~2%

〃 2~7%

〃 7%以上

0.05~0.10

0.10~0.15

0.15~0.20

粘性土の芝生

勾配 0~2%

〃 2~7%

〃 7%以上

0.13~0.17

0.18~0.22

0.25~0.35

屋 根

間 地

芝、樹林の多い公園

勾配のゆるい山地

勾配の急な山地

0.75~0.95

0.20~0.40

0.10~0.25

0.20~0.40

0.40~0.60

田、水面

0.70~0.80

0.10~0.30

用途地域の種類 流出係数

商業地域下 町

下町の近接区域

0.70~0.95

0.50~0.70

工業地域あまり密集していない地域

密集している地域

0.50~0.80

0.60~0.90

住宅地域

間地の少ない住宅区域

アパート区域

間地庭園の多い住宅区域

0.65~0.80

0.50~0.70

0.30~0.50

緑地、

その他

公園、墓地

競 技 場

鉄道操車場

田畑、林など

0.10~0.25

0.20~0.35

0.20~0.40

0.10~0.30

表5-6 流 出 係 数

路 面 お よ び 法 面 0.70~1.0

急 峻 の 山 地 0.75~0.90

緩 い 山 地 0.70~0.80

起 伏 あ る 土 地 お よ び 樹 林 0.50~0.75

平 坦 な 耕 地 0.45~0.60

た ん 水 し た 水 田 0.70~0.80

市 街 0.60~0.90

森 林 地 帯 0.20~0.40

山 地 河 川 流 域 0.75~0.85

平 地 小 河 川 流 域 0.45~0.75

半分以上平地の大河川流域 0.50~0.75

3-5 流出量

流出量の算定にあたっては下記に

よるものとする。

合理式(ラショナル式)による方法

ここにQ=雨水流出量(m3/sec)

C:流出係数

i:降雨強度

a:排水面積(m3)

A:排水面積(km2)

降雨強度3年確率継続時間 10 分(表5-4に示す値となる。)

道路隣接地を対象とする排水設備の場合(表5-3)の確率による。

降雨強度は道路土工排水指針P12-2-1-2降雨強度を参照。

あるいは

―166―

3-6 通 水 量

3-6一1 排水断面の決定

排水構造物の排水能力(排水量)は次式によって求める。

Q=A・V

ここにQ:排水量(m3/sec)

A:流水部分の断面積(m2)

V:平均流速(m/sec)

平均流速はマニング公式を利用する。

ここにn:粗度係数で排水設備材料により〔参考〕(表5-6)に示す程度の値

をとればよい。

排水断面の決定にあたっては、先に求めた流出量及び現地の実状、管理面を考慮して

断面を決定すること。

流出<排水能力

となるように断面を決定する。

表5-7 粗度係数の値

水路の形式 水 路 の 状 況 nの範囲 nの標準値

カルバート

ライニングした水路

ライニングなし水路

自 然 水 路

現場打ちコンクリート

コンクリート管

コルゲートメタル管(1形)

〃 (2形)

〃 (ペービングあり)

塩化ビニル管

コンクリート2次製品

鋼、塗装なし、平滑

モルタル

木、かんな仕上げ

コンクリート、コテ仕上げ

コンクリート、底面砂利

石積み、モルタル目地

空石積み

アスファルト、平滑

土、直線、等断面水路

土、直線水路、雑草あり

砂利、直線水路

岩盤直線水路

整正断面水路

非常に不整正な断面、雑草、立木多し

0.011~0.014

0.011~0.015

0.012~0.018

0.011~0.015

0.015~0.020

0.017~0.030

0.023~0.035

0.013

0.016~0.025

0.022~0.033

0.022~0.030

0.025~0.040

0.025~0.033

0.075~0.150

0.015

0.013

0.024

0.033

0.012

0.010

0.013

0.012

0.013

0.015

0.015

0.017

0.025

0.032

0.013

0.022

0.027

0.025

0.035

0.030

0.100

道路土木

排水工指針

(S62. 6)

2-1-5

道路土木

排水工指針

(S62. 6)

2-2-2

―167―

3-6-2 流速の許容範囲

側溝のこう配断面の決定に際して、流速の点からの検討を忘れてはならない。表5-

8に規定する範囲の値を使用するのが望ましい。

表5-8 許容される平均流速の範囲

道路土木

排水工指針

(S62. 6)

2-2-2

道路土木

排水工指針

(S62. 6)

2-2-2

3-6-3 断面の決定

断面決定にあたっては、次のような点に注意しなければならない。

①一般に土砂などの堆積による通水断面の縮小を考慮して設計計算で得られた断面積

に対して少なくとも 20%の余裕をみておくのがよい。

②特に豪雨の際に大量の土砂、流木などが流入するおそれがある場合はさらに十分な

通水断面積を考慮しておくのがよい。

③ 建設省制定土木構造物標準設計を用いると便利である。

3-7 排水施設の勾配と断面

3-7-1 勾 配

現地の状況その他により、流速が許容値により難いときは最小勾配を 0. 1%まで許し

てよい。最大勾配は 10%を限度として決定するものとするが、現地の条件によりやむを

得ない場合は 10%階段工、堰堤工などの対策をたてねばならない。通水量の計算は勾配

の値に関係なく流速を表5-8の最大値に押えておこなう。

3-7-2 断面

(1)側溝

路面排水に用いる側溝の最小断面は流量計算の結果にかかわらず、0.3×0.3 とす

る。

(2)管 渠

道路を横断して布設する管渠は、地下配水管などを除き、在来水路の通水路を考

慮するとともに、継続管理の面から流量がわずかであってもφ60cm 以上、特に高い

盛土の場合 1.0m 以上とするのが望ましい。

側 溝 の 材 質 平均流速の範囲(m/sec)

コンクリート

アスファルト

石張りまたはブロック

きわめて堅硬な砂利または粘土

粗砂または砂利質土

砂または砂質土で相当量の粘土を含む

微細な砂質土またはシルト

0.6 ~ 3.0

0.6 ~ 1.5

0.6 ~ 1.8

0.6 ~ 1.0

0.3 ~ 0.6

0.2 ~ 0.3

0.1 ~ 0.2

―168―

(3)蓋

1)歩道部等で車輌が来る可能性がある鋼製蓋及び歩道部で歩行者が通る可能性の

ある鋼製蓋については、ボルト・ヒンジ等により4点固定すること。

2)歩行者の導線上の鋼製蓋については、車椅子やベビーカーのキャスター、白杖

の先及びハイヒール等が落ち込むことがないよう配慮されたものを使用すること。

4 表面排水施設の設計(標準)

4-1 路肩排水

(1)排水工設計指針及び土木構造物標準設計を参照し現地を十分把握のうえ排水設計を

行うこと。路肩部の排水については省力化及び維持管理を考慮し現腸打ちU型側溝は

原則として設置しないものとし、歩道用ブロックによるL型側溝を標準とする。

(2)現道拡幅等で路側民地の排水、用水等から止むを得ずU型側溝の必要がある場合で

も、L型側溝と溜桝及び管渠あるいはL型側溝とプレキャストU型側溝との組合せを

考慮すること。

(3)切土部で歩道または自歩道がある場合の排水側溝は、歩車道境界または歩道路肩側

のいずれか一方に設け、重複しないことを原則とする。

(4)歩道路肩側の側溝は、自転車等の通行に危険性のない構造とすること。

イ L型側溝の集水桝間隔は最大 30m 最小間隔 10m を標準とする。なお、集水桝ぶた

はグレーチング(固定式とする)を標準とする。

ロ L型側溝の横断勾配は側溝を路肩幅員に含める場合は 6%(F1 タイプ)を標準す

る。

また、非常駐車帯等の端に側購を設ける場合は 10%(F2 タイプ)を標準とする。

ハ 盛土法面保護のため路肩に側溝の必要がある場合で路肩幅員が 1.0m以上ある場

合は、アスファルト縁石側溝を考慮すること。

図5-2

ただし、片勾配区間が連続する場合はその幅員とする。

降雨強度は 100m/mの場合 0.027

110 m/mの場合 0.03

道路土工

排水工指針

(S62. 6)

2-2-3

―169―

ニ 路肩部の排水はL型側溝を標準とするが、現地の状況及び経済性、美観等により

L型側溝が適さないU型側溝(既製品又は現場打)とする。

ホ 車(乗入口、取付道路)が横断する場所の側溝は函渠型側溝等、蓋と一体となった

構造型式を標準とする。

なお、止むを得ず側溝で集水の必要が生じた場合は現湯打側溝及びグレーチング

(固定式とする)蓋の施工とする。

F1タイプ(PL1型)

※Tは大型車交通量により使い分けるものとするが、舗装

(表層~上層路盤(瀝青安定処理)まで)の厚さと比較し

て、厚い方としなければならない。

※第5章交通安全施設 1-3(6)歩道等の詳細構造等を参照

大型車交通量(台/日・一方向) エプロン厚T(mm)

100 未満

100 以上 250 未満

250 以上 1000 未満

150

1000 以上 3000 未満 200

3000 以上 250

F2タイプ(PL1型)

(注)F1 ・ F2タイプには 10m 間隔で膨張目地を入れること。

尚、目地材は瀝青目地材 10 mm 程度を標準とする。

歩道部がフラットの場合は、標準設計を参照すること。

図5-3

土木構造物標準

設計第1巻

(H12. 9)

4.2.1

―170―

4-2 標準図集

4-2-1 場所打側溝とプレキャスト側溝の使いわけ

図5-4

注)特別の理由がある場合はこのかぎりではない。

排水構造部物におけるコンクリート二次製品の標準化

・対象製品については、標準化選定された以下の製品については、原則として定規格品

を使用するものとする。

①管渠型側溝

②自由勾配側溝

③落蓋式側溝

④U型側購

⑤横断暗渠

⑥ボックスカルバート

標準図及び規格については参考図を参照

注)既設への接続等に伴い標準規格からはずれる場合等については、中間サイズを使

用しても良い。

―171―

<参考図>

1.標準図面(普通型)

管渠型側溝

管渠型側溝(呼び名 300 の例)

基礎材の有無については、現場条件により使いわける。

使用製品については、監督職員の承諾を得るものとする。

(特記仕様書に記述すること)

2.標準規格

寸法(mm) 呼び名

L(長さ)

通水断面積(m2)

(80%程度時)

通水断面積(m2)

(100%時) 備 考

300 2000 0.0578 以上 0.0722 以上

400 2000 0.1015 以上 0.1269 以上

500 2000 0.1631 以上 0.2039 以上

・各製品で流速・流量が異なるため、設計の際には

縦断勾配等を考慮すること。

3.設計条件

荷 重 T-20

過 載 荷 重 P=78.4KN

接 近 時 荷 重 -

低 減 係 数 -

衝 撃 係 数 i =0.3

土 圧 係 数 KA=0.5(静止土圧)

土 の 内 部 摩 擦 角 φ=30°

土 の 単 位 体 積 重 量 γ=17.7KN/ m3

鋼材強度(SD295A) 157N/ m2

鉄線強度(SWM-B) 137N/ m2

4.対象製品 1.DO側溝

2.側溝カルバート

3.YNP側溝

4.クリーン側溝

5.CB側溝

―172―

<参考図>

1.標準図面

落蓋側溝(呼び名 300 の例)

落蓋側溝

基礎材の有無については、現場条件により使いわける。

使用製品については、監督職員の承諾を得るものとする。

(特記仕様書に記述すること)

2.標準規格

3.設計条件

寸法(mm) 通水断面積(m2)呼び名

B(内径) H(内高) L(長さ) (80%程度時) 備 考

300 300 300 2000 0.6810 以上

400 400 400 2000 0.1213 以上

500 500 500 2000 0.1894 以上

4.対象製品1.道路用鉄筋コンクリー卜側溝

(JISA5345) 荷 重 T-25

過 載 荷 重 q=9.8KN/m2

低 減 係 数 -

衝 撃 係 数 i =0.1

土 圧 係 数 K A =0.334 (クーロン土圧)

土 の 内 部 摩 擦 角 φ=30°

土 の 単 位 体 積 重 量 γ=18.7 K N/ m3

鋼材強度(SD295A) 157N/ m2

鉄線強度(SWM-B) 137N/ m2

―173―

<参考図>

1.標準図面

U型側溝

基礎材の有無については、現場条件により使いわける。

使用製品については、監督職員の承諾を得るものとする。

(特記仕様書に記述すること)

2.標準規格

寸法(mm) 通水断面積(m2)呼び名

B(内径) H(内高) L(長さ) (80%程度時) 備 考

240 240 240 600 0.0422 以上

300 300 300 600 0.0624 以上

360 360 360 600 0.0892 以上

450 450 450 600 0.1440 以上

600 600 600 600 0.2592 以上

4.対象製品 1.鉄筋コンクリートU型

(JISA5305)

3.設計条件

荷 重 T-20

過 載 荷 重 q=9.8KN/ m2

土 圧 係 数 K A =0.333 (ランキン土圧)

土 の 内 部 摩 擦 角 φ=30°

土 の 単 位 体 積 重 量 γ=17.7KN/ m3

鋼材強度(SD295A) 157N/ m2

鉄線強度(SWM-B) 137N/ m2

―174―

<参考図>

1.標準図面

略六角形 略四角形

横断暗渠

横断暗渠(呼び名 300 の例)

基礎材の有無については、現場条件により使いわける。

使用製品については、監督職員の承諾を得るものとする。

(特記仕様書に記述すること)

2.標準規格

3.設計条件 4.対象製品

1.DO 側溝

2.側溝カルバート

3.YNP側溝

4.クリーン側溝

5.CB側溝

荷 重 T -20

過 載 荷 重 P=78.4KN

低 減 係 数 -

衝 撃 係 数 i =0.30

土 圧 係 数 KA=0.5 (静止土圧)

土 の 内 部 摩 擦 角 φ=30°

土 の 単 位 体 積 重 量 γ°17.7KN/m3

鋼材強度(SD295A) 157N/mm2

鉄線強度(SWM-B) 137N/ mm2

寸法(mm) 呼び名

L(長さ)

通水断面積(m2)

(80%程度時)

通水断面積(m2)

(100%時) 備 考

300 2000 0.0578 以上 0.0722 以上

400 2000 0.1015 以上 0.1269 以上

500 2000 0.1631 以上 0.2039 以上

600 2000 0.2299 以上 0.2873 以上

・横断暗渠は、土被り有りでの使用とする。

・各製品で流速・流量が異なるため、設計の際には

縦断勾配等を考慮すること。

―175―

<参考図>

1.標準図面

基礎材の有無については、現場条件により使いわける。

使用製品については、監督職員の承諾を得るものとする。

(特記仕様書に記述すること)

2.標準規格

寸法(mm)

B(内幅) H(内高) L(長さ)

通水断面積

(m2)

通水断面積

(m2) 呼び名

RC PC RC PC (80%程度時) (100%時)

1000*1000 1000 1000 2000 0.7640 以上 0.9550 以上

1200*1200 1200 1200 2000 1.1160 以上 1.3950 以上

1300*1300 1300 1300 2000 1.3160 以上 1.6450 以上

1500*1500 1500 1500 2000 1.7640 以上 2.2050 以上

1800*1800 1800 1800 2000 2.5560 以上 3.1950 以上

2000*2000 2000 2000 2000 3.1360 以上 3.9200 以上

2500*2000 2500 2000 2000 3.9360 以上 4.9200 以上

備 考 ・土被りは、0.5~3.0m。

4.対象製品 1. RC ボックスカルバート

2. PC ボックスカルバート

荷 重 T-25

過 載 荷 重 P=98.1KN

低 減 係 数 β=1.0~0.9

衝 撃 係 数 i=0.30~0

土 圧 係 数 KA=0.5(静止土圧)

土 の 内 部 摩 擦 角 φ=30°

土 の 単 位 体 積 重 量 γ=17.7KN/m3

鋼材強度(SD295A) 157N/ m2

鉄線強度(SWM-B) 137N/ m2

PC鋼棒(C種-1号) 735 N/ m2

3.設計条件

ボックスカルバート

―176―

4-3 のり面排水

4-3-1 小段排水工(切上部、盛十部)

注)小段幅は、1.5m を標準とし、水路は十分検討して設置するものと

4-3-2 縦排水工

図5-6

4-3-3 のり肩排水工

図5-7 プレキャスト製品によるのり肩排水施設

道路土木

排水工指針

(S62. 6)

4-2

図5-5

―177―

注)皿型側溝については、上質によって岩等の場合は、現場打ち

コンクリートとして安定地盤の確保に努めること。

道路土木

カルバート工指

(H11. 3)

2-2-3

3-3

4-4 横断管渠

管渠の設計にあたっては、土工指針及び土木構造物標準設計図を参照し、現地を十分把

握のうえ計画するものとするが、特に次の事頃に留意すること。

イ)基 礎

a 片切り、片盛箇所で横断する場合、盛土箇所は特に入念に締固めること。

b 擁壁等に管渠を接続する場合に、両者の相対的な変位を生じる恐れがあるので、取

り付け部が破損しないようにすること。

c 高盛土の下、または軟弱な基礎地盤上に設ける場合最終沈下量を十分考慮した管の

勾配及び設置方法を決定し施工する。

ロ)通水断面

断面は在来水路の流出量及び通水量を考慮するとともに維持管理の面から流量がわず

かであっても径 60cm 以上、特に高い盛土の場合 1.0m以上とするのが望ましい。

4-5 排水施設の基礎構造

イ)路側及び軟弱地盤

(注)(1)暫定施工の場合は敷砂、完成施工の場合モルタル施工を標準とする。

(2)プレキャスト製品使用の側溝で路側(路肩を含む)及び軟弱地盤以外の箇所は基礎

工を施工しないのを原則とする。

図5-9

図5-8

―178―

ロ)イ)以外の箇所

ハ)場所打側購

図5-11

4-6 そ の 他

4-6-1 取付管、排水管およびマンホール

雨水ますと排水管とは通常内径 150 mm のヒューム管または鉄筋コンクリート管などを

用いた取付管で連絡する。

取付管の布設方向は排水管に直角または流下方向に 60°の向きをつけて取付ける。ま

た雨水ます側の取付位置は土砂等の排水管への流入をさけるため雨水ますの底面から

15cm 以上、上方となる。排水管が車道の中心にあって道路を取付管で数多く横断するの

が好ましくないような場合には2~3ケ所の雨水ますに集めた水を1ケ所に集めるよう

縦断方向の連絡管渠を設けて合流させ、十分の土破りをとって排水管に接続するとよい。

排水管には清掃および点検のためにマンホールを設置する。設置する位置は直線部に

おいては表5-9に示す範囲内の間隔を標準とし、直径または排水管の方向の変化する

箇所、排水管の分合流点には必ず設けるものとする。

表5-9

管 径(mm) 300 以下 600 以下 1,000 以下 1,500 以下 1,650 以下

最大間隔(m) 50 75 100 150 200

排水管により道路敷外に導かれた水は河川または公共下水施設に放流することが望ま

しいが、この場含それぞれの管理者と事前に十分な協議を行なって流末の処理を行なう

よう心掛けねばならない。

土木構造物標準

設計第1巻

(H12. 9)

道路土工

排水工指針

(S62. 6)

2-2-4

図5-10

―179―

4-6-2 側溝ふたの採択基準

土木構造物標準設計に準じて設計するものとする。

4-6-3 素掘側溝(参考)

図5-12

4-6-4 路側擁壁とL型側溝(参考)

図5-13

4-6-5 石積とふた付L型側溝

L型側溝の下限は図のとおり

擁壁基礎材の天端とする。

注)ふた受コンクリートの底部は最小厚を 100 mm とする。

図5-14

L型側溝の下限は図のとおり

擁壁基礎の天端とする。

―180―

4-6-6 LU側溝

一般部(建Ⅱ型標準) 一般部(建Ⅱ型勾配)A

乗入部(建Ⅱ型勾配)B 一般部(建Ⅱ型切下げ)A

乗入部(建Ⅱ型切下げ)B

―181―

4-6-7 管渠型側溝

―182―

4-6-8 バリアフリーを考慮した排水計画

横断歩道部等において、歩道面が低いために強雨時に水の溜まる恐れが生ずる箇所で

は、雨水ますを追加する等、排水に十分配慮する必要がある。

なお、横断歩道の進行方向上に雨水ますが存在する場含は、適切な位置に移設を行う

か、雨水ますの蓋を車椅子のキャスター、白杖の先及びハイヒール等が落ち込むことが

無いよう配慮する必要がある。また、歩行者の通行する部分が道路の構造上排水の滞る

ような場合においては、円形側溝等を用いること等を検討する必要がある。

5 地下排水施設の設計

5-1 路側の地下排水溝

道路の移動

円滑化整備

ガイドライン

(H15.2)

道路土工

排水工指針

(S62. 6)

3-4-1

図5-15 両側の路側に設けられた地下排水溝

図5-16 片側に設けられた地下排水溝

図5-17 中央分離帯のある場合の地下排水溝

―183―

5-2 地下排水管(有孔管及び透水管)

道路土工

排水工指針

(S62. 6)

3-4

立体横断施設

技術基準

・同解説

(S54. 1)

Ⅲ-2-3

図5-19 盛土部(切盛境) 図5-18 切土部

横断排水管は縦断方向に斜に配置することができる。

地形その他でやむを得ない場合は直角にしてもよい。

図5-20 横断排水管設置方法

6 構造物排水施設

6-1 地下道

図5-21

地下道等の排水は次のように考える。

(1)舗装厚を利用して、100×50 程度の側溝を設け、排水ポンプまたは最寄りの側溝へ

導く。

(2)幅員が広い場合は、横断勾配を山形にして側溝を両側に設置する。

(3)隣接地から雨水が流入しないように注意する

6-2 裏込排水

土木構造物標準設計の手引(H12.9)によるものとする。

―184―

7 パイプカルバートの設計

7-1 設計上の注意事項

(1)設置場所が暫定及び将来拡幅等がある場合は、手戻りのないように注意する。

(2)使用管については、呼び径にて明示する。

(3)突出型、溝型の判定は、道路土工(カルバート工指針)によるものとするが、標準設

計の範囲内においては、特別な場合を除き突出型とする。

(4)輪荷重のかからない箇所のヒューム管の構造について(S62 全国統一)・輪荷重のか

からない歩道、植樹帯等を横断するヒューム管の構造は、RC1種 90°巻とする。

7-2 ヒューム管(RC、PC)の使用選定

RC、PC管の使用選定にあたっては、経済比較を行い図 5 -21 及び7-4基礎形式選

定図を参照して選定するものとする。

なお、PC管は外圧管を選定するものとするが、水密性を要する場合には内圧管を使用

する。

注)・PC-1、PC-2、PC-3の組合せはしない。

・端部は、RC-1-90又は、RC-2 -90 で調整する。

・管種及び基礎形式は土被り(h)の大きい方で決定する。

・「7-4 基礎形式選定図」より、PC1種 180°基礎の

上限土かぶりを越える場合には他の管種・基礎形式を検討する。

図5-22

―185―

7-3 基礎形式選定図の使用にあたって 九州地方整備局

運用

パイプカルバートの基礎形式の選定にあたっては、標準設計によっているが、土圧条件

(突出型、溝型)のとり方に相違が見受けられるため下記により設計するものとする。

(1)突出型、溝型の判定は、道路土工(カルバート工指針)による。

(2)床掘面勾配がある場合の溝幅(D)は、管の天端とする。(図 5 -23参照)

(3)溝幅が固定され、明らかに溝幅と判断される場合は溝型とする。

(4)特別の場合は、道路土工(カルバート工指針)を参照し判定を行う。

図5-23

―186―

7-4 基礎形式選定図

7-4-1 活荷重を考慮

標準的な活荷重を考慮した埋設条件での設計は、図 5 -24~5 -26 に示す基礎形式選

定図により、管径と土かぶり交点を見出せば行うことができる。

道路土工

カルバート工指

(Hll. 3)

3-3-2

図5-24 普通地盤に対するパイプカルバート基礎形式選定図

(突出型:コンクリート基礎、粘性土)

―187―

道路土工

カルバート工指

(H11.3)

3-3-2

図5-25 普通地盤に対するパイプカルバート基礎形式選定図

(突出型:コンクリート基礎、砂質土)

―188―

図5-26 普通地盤に対するパイプカルバート基礎形式選定図

(溝型:コンクリート基礎、γ=18KN/m2)

道路土工

カルバート工指

(H11.3)

3-3-2

―189―

7-4-2 活荷重を考慮しない

現行【道路土工 カルバート工指針(平成 11 年3月)】の基礎形式選定図は、活荷重を

考慮した場合について掲載されているが、活荷重を考慮しない湯合については掲載され

ていない。したがって、本要領において活荷重を考慮しない場合の基礎形式選定図を【道

路土工 カルバート工指針】の計算式により、作成したものを参考として図 5 -27~図

5-30 に示す。なお、基礎形式の決定にあたっては、【道路土工 カルバート工指針】

に準じ、計算により決定するもとのする。

道路土工

カルバート工指

針:

平成 11 年3月

3-3-1

図 5 -27~図 5 -30 は下記の手順で計算(突出型の例)を行い作成した。

①許容曲げモーメントMraの算出

・管の最大抵抗曲げモーメント Mr

Mr=0.318Pr・r+0.239W・r

または、 (kN・m(kgf・m))……(3-17)

Mr=0.318Pr・r+36.8(3750)・r2

ここに Pr:ひび割れ荷重(kN/ m(kgf/ m)

r :管厚中心半径(m)で、表3-3 3の値をとる。

RC管:r=(D+t)/2

PC管:r=(D+tc+0.6tg)/2

D :管の内径(m)で、呼び径を換算した値としてよい。

t :管厚(m)

PC管の場合は t=tc+tg

tc :コアの厚さ(m)

tg :カバーコートの厚さ(m)

W :管の自重(kN/m(kgf/m))で表3-33 の値をとる。

②最大曲げモーメントM

M=k(qd十ql)r2 (kN ・ m (kgf・m)) ……(3-19)

ここに k :基礎形式および基礎の有効支承角に対する係数で表3-34 の値による。

qd :鉛直土圧(kN/m2(kgf/m2))で、式(3-12)または式(3-15)

による。

ql :活荷重による鉛直荷重(k N/m2 (kgf/m2))で、式(3-16)による。

r :管厚中心半径(m)で、表 3-33 の値をとる。

(3-19)式にMra を代入する。

(kN・m (kgf・m)) ……(3-18)

―190―

③鉛直土圧

盛土または埋戻土によって生じる鉛直土圧qdは、式(3-12)また式(3-15)によっ

て計算する。

(i) 突出型の場合(図 3-60)

qd=Cc・γ・Bc (kN/m2(kgf/m2) ‥‥‥(3-12)

h≦he のとき

‥‥‥(3-13)

h>he のとき

‥‥‥(3-14)

ここに γ :土の単位体積重量(kN/m3(kgf/ m3)

Bc:管の外径(m)

Cc:鉛直土圧係数で式(3-13)または式(3-14)より求める。

砂質土 0.4

K :定数

粘性土 0.8

h :土かぶり(m)

he :等沈下面の高さ(m)で次式で計算する。

rsd :沈下比で表3-29の値による。普通地盤では一般に 0.7 としてよい。

なお、p=1、rsd=0.7 とすれば上式は概算で砂質土の場合he=l.66Bc、粘性土が必

要な場合he=1.12Bc となる。

④ 土かぶりh

(3 -13)、(3 -14)式から土かぶりhを逆算して求める。

とする。(図 3-61)

軟弱地盤に杭で支配される管については、

―191―

図5-27 普通地盤に対するパイプカルバート基礎形式選定図

(突出型:コンクリート基礎、粘性土)

適用条件

1.突出型(Project Type)

2.コンクリート基礎

3.粘性土(γ=18kN/m3)

4.活荷重を考慮しない

5.直接基礎

6.普通地盤

―192―

適用条件

1.突出型(Project Type)

2.コンクリート基礎

3.砂質土(γ=19kN/m3)

4.活荷重を考慮しない

5.直接基礎

6.普通地盤

図5-28 普通地盤に対するパイプカルバート基礎形式選定図

(突出型:コンクリート基礎、砂質土)

―193―

適用条件

1.溝型(Ditch Type)

2.コンクリート基礎

3.粘性土(γ=18kN/m3)

4.活荷重を考慮しない

5.直接基礎

6.普通地盤

図5-29 普通地盤に対するパイプカルバート基礎形式選定図

(溝型:コンクリート基礎、粘性土)

―194―

適用条件

1.溝型(Ditch Type)

2.コンクリート基礎

3.砂質土(γ=19kN/m3)

4.活荷重を考慮しない

5.直接基礎

6.普通地盤

図5-30 普通地盤に対するパイプカルバート基礎形式選定図

(溝型:コンクリート基礎、砂質土)

―195―

第6節 ボックスカルバート 1 適用基準

ボックスカルバートの設計は本節によるものとするが、記述にないものについては表6-

1の関係図書他によるものとする。

表6-1 関 係 図 書

関 係 図 書 発行年月 発 行 者

道路土工-カルバート工指針 H11. 3 日本道路協会

道路土工-排水工指針 S62. 6 日本道路協会

土木構造物設計ガイドライン H11.10 全日本建設技術協会

土木構造物設計マニュアル(案)

〔土木構造物・橋梁編〕 Hll.11 全日本建設技術協会

土木構造物設計マニュアル(案)に係わる設計・

施工の手引き(案)

〔ボックスカルバート・擁壁編〕

H11.11 全日本建設技術協会

PCボックスカルバート道路埋設指針 H 3.10 国土開発技術センター

鉄筋コンクリート製プレキャストボックスカル

バート道路埋設指針 H3. 7 国土開発技術センター

土木構造物標準設計 第1巻 H12. 9 全日本建設技術協会

(注)使用にあたっては最新版を使用するものとする。

―196―

2 カルバートー般

2-1 定 義

カルバ一卜とは、道路の下に、水路、通路などの空間を得るために盛土あるいは地盤内

に設けられる構造物で、その力学的特性から剛性とたわみ性カルバートがある。対象とす

るカルバ一卜の種類を図6-1に示す。

本章はそれらの内で主にボックスカルバートについて示すものである。

なお、パイプカルバートについては「第1章 道路設計 第5節 排水」、道路横断ボッ

クスカルバートの付属施設物は「第5章 交通安全施設 3 立体横断施設」を参照する

こととする。

道路土木

カルバート工指

針 1-2

ボックスカルバート (プレキャスト、現場打) 門型カルバート 剛性カルバート

パイプカルバート (RC、PC) 構造形式による種類 アーチカルバート (プレキャスト、現場打) コルゲートカルバート たわみ性カルバート

パイプカルバート (硬質塩化ビニール管強化プラ スチック複合管)

図6-1

―197―

2-2 基本計画

対象とするカルバートの一般的な土被りおよび断面の大きさ等の適用条件の範囲を表6

-2に示す。

表6-2 カルバートの一般的な適用範囲

道路土木

カルバート工指

針 1-2-2

項 目

カルバートの種類 適用土かぶり

注 1)断面の大きさ

場所打ちコンクリートによる場合 (舗装厚または 0.5)~20 1×1~6.5×5

(B×H) ボ ッ ク ス

カルバート プレキャスト部材による場合 (舗装厚または 0.5)~6

注 2)

0.6×0.6~5×2.5

(B×H)

門形カルバート (舗装厚または 0.5)~10 内空幅 3~8

場所打ちコンクリートによる場合 10 以上 内空幅 3~8

剛性ボックス

カ ル バ ー ト

ア ー チ

カルバート プレキャスト部材による場合 (舗装厚または 0.5)~16

注 2)

0.8×0.56~3×3.2

(B×H)

鉄筋コンクリートパイプカルバート (舗装厚または 0.5)~20 0.15~3

プレストレストコンクリートパイプカルバート (舗装厚または 0.5)~20 0.5~3 剛 性 パ イ プ

カ ル バ ー ト

セラミックパイプカルバート

(円形管の場合) 注 3)(舗装厚または 0.5)~9 0.1~0.6

コルゲートメタルカルバート (舗装厚+0.3)~30 0.3~4.5

硬質塩化ビニールパイプカルバート

(円形管(VU)の場合) 注 4)(舗装厚+0.3)~7 0.1~0.8

た わ み 性

カ ル バ ー ト

強化プラスチック複合パイプカルバート (舗装厚+0.3)~10 注 5) 0.2~3

注1) 断面の大きさなどにより、適用土かぶりの大きさは異なる場合もある。

注2) 規格化されている製品の最大土かぶり。

注3) セラミックパイプカルバートには、円形管と卵形管があるが、主として円形管がもちいら

れる。

注4) 硬質塩化ビニルパイプカルバートには、円形管(VU、VP、高剛性管)、卵形管(一般管、

高剛性管)があるが、主として円形管(VU)が用いられる。

注5) 最小土かぶりは「舗装厚+0.3m」またはたわみ量制限(10mm 以下)による土かぶりのうち、

いずれか大きい値とする。

(m)

―198―

2-3 調査・計画

一般にカルバートは、道路の下を横断する道路、水路などの空間を確保するため盛土あ

るいは原地盤内に設けられる構造物をいう。したがって、その計画に当たっては、まずカ

ルバートが必要になる理由を明確にし、その目的に十分対応できる計画を立てなければな

らない。またカルバートの設計に当たっては、道路の計画あるいは設計の中でカルバート

を単に構造物として考えるのではなく道路の一部分であると考え、道路の設計・施工に適

し、かつ経済的に有利であるものを計画しなくてはならない。

したがって、カルバー卜の計画は、下記の事頃について調査・検討を行い、それらを総

合的に勘案のうえに進める。

①必要内空断面 ⑤地形および地質

②平面形状 ⑥周辺構造物

③縦断勾配 ⑦施工条件

④土被り

道路土木

カルバート工指

針 2-1-1

―199―

3 荷重の種類と組合せ

表6-3 カルバートの設計に用いる荷重

道路土木

カルバート工指

3-1-1

剛性カルバート たわみ性カルバート カルバートの種類

荷 重

ボックス、

ア ー チ

カルバート

門 形

カルバート

パ イ プ

カルバート

コルゲート

メ タ ル

カルバート

パ イ プ

カルバート

自 重 ○ ○ ○ × ×

死荷重 カルバート

内 の 水 △ × △ △ △

カルバート

上の活荷重 ○ ○ ○ ○ ○

カルバート

内の活荷重 △ △ × × × 活荷重

活荷重に

よる側圧 ○ ○ × × ○

衝 撃 ○ ○ ○ ○ ○

鉛直土圧 ○ ○ ○ ○ ○

土圧

水平土圧 ○ ○ × ○ ○

水 圧 △ △ × × ×

浮力または揚圧力 △ × × × △

乾燥収縮の影響 × △ × × ×

地盤(基礎)反力 ○ ○ ○ ○ ○

温度変化の影響 × △ × × × 従

重 地 震 の 影 響 × △ × × ×

注)○:必ず考慮する荷重

△:その荷重による影響が特にある場合を除いて、一般には考慮する必要のない荷重

×:考慮する必要のない荷重

―200―

4 設計に用いる荷重

ボックスカルバートの設計に用いる荷重、載荷方法および設計上の留意事項を以下に示す。

なお、詳細については「カルバート工指針」に準じるものとする。

道路土木

カルバート工指

針 3-2-1

4-1 鉛直土圧

カルバート上面に作用する鉛直土圧 Pυdは、式(6-1)によって算出される値とする(図

6-2)。

Pυd=α・γ・h(kN/m2(tf/m2))……(6-1)

ここに α:鉛直土圧係数

カルバートの規模、土かぶり、基礎の支持条件に応じて表6-4に示す値を

用いるものとする。

γ:カルバート上部の土の単位体積重量(kN/m3(tf/m3))

図6-2 鉛直土圧

土の単位体積重量は道路土工カルバート工指針3-1-1(4)(a)に示す値とする。一

般に舗装の部分の単位体積散量も土と同等とみなしてよいが、舗装のみの場合には、その

単位体積重量を用いる。

h:カルバートの土かぶり(舗装表面よりカルバート上面までの距離)(m)

表6-4 鉛直土圧係数

条 件 鉛直土圧係数α

h/Bo<1 1.0

1≦h/Bo<2 1.2

2≦h/Bo<3 1.35

3≦h/Bo<4 1.5

次の条件のいずれかに該当する場合

・良好な地盤上(置換え基礎も含む)

に設置する直接基礎のカルバートで,

土かぶりが 10m以上でかつ内空高

が3mを超える場合

・抗基礎等で盛土の沈下にカルバート

が抵抗する場合 注 1) 4≦h/Bo 1.6

上記以外の場合 注 2) 1.0

注1)セメント安定処理のような剛性の高い地盤改良をカルバート外幅程度に行う場合もこれに含む。

注2)盛土の沈下とともにカルバートが沈下する場合で軟弱地盤上に設置する場合も含む。

―201―

4-2 活荷重

自動車はボックスカルバート縦方向(道路横断方向)には制限なく載荷させる。したがっ

て、ボックスカルバート縦方向単位長さ当たりの荷重は、T-25 荷重の場合では次のよう

になる。カルバート上面に作用する活荷重による鉛直荷重は、以下のように計算する。

なお、この場合の衝撃係数iは、表6-5の値とする。

表6-5 衝撃係数i

土かぶり(h1) 4.0m未満 4.0m以上

衝撃係数 0.3 0

また、活荷重の分布は図6-3に示すように

接地幅 0.2m で支間方向にのみ 45°に分布するも

のとする。

したがって、ボックスカルバート上面に作用

する活荷重による鉛直荷重Pvlは次式によって

計算する。

図6-3 活荷重

―202―

(i)土かぶり4m未満の場合

後輪および前輪による鉛直荷重Pυι1、Pυι2はそれぞれ式(6-4)、式(6-5)によ

り計算する。なお、後輪の載荷位置は支関中央としてよい。

前輪の影響がない場合は図6-4(a)に示す鉛直荷重を、前輪の影響を考える場合は図

6-4(b)に示す後輪と前輪がカルバートにかかる部分の鉛直荷重を載荷させればよい。

また、W3の部分による影響は、水平荷重(Ph=Pυι・ko)として考慮する。

(kN/m2(tf/m2))……(6-4)

(kN/m2(tf/m2))……(6-5)

ここに、Pι1:カルバート縦方向単位長さ当たりの後輪荷重で式(6-2)より求める。

(kN/m(tf/m2))

Pl2:カルバート縦方向単位長さ当たりの前輪荷重で式(6-3)より求める。

(kN/m(tf/m))

W1 :後輪荷重の分布幅(m)

W2 :前輪荷重の載荷幅(B0/2+h-5.9)(m)

β :断面力の低減係数で表6-6の値とする。この低減係数は、T荷重によっ

て算出される断面力を車両制限令に基づく後輪荷重によって算出される

断面力に換算する係数である。活荷重の大きさと、活荷重によりカルバ

ートに生じる断面力の大きさは正比例するので、設計時に用いる荷重に

低減係数を乗じるものとする。

図6-4 活荷重

表6-6 断面力の低減係数

土かぶり h≦1m かつ

内空幅≧4m の場合 左記以外の場合

β 1.0 0.9

―203―

(ⅱ)土かぶり4m以上の場合

土かぶり4m以上の場合は、鉛直方向活荷重として頂版上面に一様に lOkN/m2(1tf/ m2)

の荷重を考えるものとする。

(iii)カルバートが道路と平行に設置される場合

カルバートが道路と平行に設置される場合の活荷重の計算方法は、「共同溝設計指針」に

準じるものとする。

4-3 カルバート底面の地盤反力

(ⅰ)ボックスカルバート底面の地盤反力Pu1は、図6-5に示すとおりであり、式(6-

6)によって計算する。

ここに、Pυd:カルバート上面に作用する鉛直土圧(kN/ m2 (tf/ m2))で、式(6-1)よ

り求める。

Q :カルバート上面に作用する単位長さ当たりの活荷重合計(kN/m(tf/m))。

Q=Pυι1 ・W1+Pυι2 ・W2

カルバートに対して荷重が偏心している場合は、その影響を考慮する。

Bo :カルバートの外幅(m)

D :カルバートの単位の長さ当たりの重量(kN/m(tf/m))

E :カルバート内の死荷重または活荷重(kN/m(tf/m))でカルバートに対し

て荷重が偏心している場合は、その影響を考慮する。

図6-5 カルバート底面の地盤反力

―204―

(ⅱ) ボックスカルバート底面の地盤反力を計算する方法で、(i)以外の特別な方法とし

て、カルバートの部材および基礎地盤の弾性変位を考慮するものがある(図6-6)。この

方法により、地盤反力を計算する場合には、基礎地盤の反力係数の大きさにより地盤反力

が変化するため、十分注意しなければならない。地盤反力係数は[道路橋示方書・同解説

Ⅳ下部構造編」に準じるものとする。

図6-6 カルバートの部材および基礎地盤の弾性変位を考慮する方法

(ⅲ) 断面力を計算する場合に用いる底版反力Pυ2は、式(6-7)によって計算する。こ

の場合は、底版厚を等厚とした場合の底版自重は等分布荷重となり、これによる底版反力

とは相殺することになるので、断面力を計算する底版反力には底版自重を含めないのが一

般的である。

ここに、Pvd:カルバート上面に作用する鉛直土圧(kN/m2(tf/ m2))で、式(6-1)

より求める。

Q:カルバート上面に作用する単位長さ当たりの活荷重合計

(kN/m(tf/m))。

Q=Pυι1・W1+Pυι2・W2

カルバートに対して荷重が偏心している場合は、その影響を考慮す

る。

Do:底版を除いたボックスカルバート単位長さ当たりの重量

(kN/m(tf/m))。

―205―

4-4 活荷重による水平荷重

ボックスカルバート側面に作用する活荷重による水平荷重としては、深さに関係なく

10・ko kN/m2(ko tf/m2)を両側面に同時にかけるものとする。これは載荷重を 10 kN/m2

(1tf/m2)とし、これに土圧係数 ko をかけて 10・ko kN/m2 (1・ko tf/m2)としたものである(図

6-7)。

図6-7 活荷重による水平荷重

4-5 温度変化の影響

一般にボックスカルバートの温度変化は土かぶりの増大とともに急激に減少し、土かぶ

り 50cm 程度以上では、その周期的変化は著しく少なくなる。このような場合温度変化の影

響は一般には考えなくてもよい。

4-6 地震の影響

ボックスカルバート、アーチカルバートの設計においては、一般に地震の影響は考えな

くてよい。ただし、門形カルバートで規模が大きいものについては地震の影響を考慮する

のがよい。

4-7 水圧と浮力

地下水位の高いところに埋設するカルバートで、内空間を道路として利用する場合は水

圧の影響を考慮する必要がある。また、浮力に対する構造物の安定を検討する必要がある。

浮力に対する安全率は「共同溝設計指針」に準拠するものとする。不安定な場合には図6

-8に示すように底版を外側に延長し、フーチング上載荷重を載せて調整する方法もある。

図6-8 浮力に対する安定対策

―206―

―207―

(6-5)

(6-4)

―208―

[参考資料]

参考-1 ボックスカルバートの支持力について

・直接基礎の許容支持力は、設計地盤反力以上を確保する。(安全率3は考慮しない。ただ

し、ボックスの沈下をおさえる必要がある場合は、この限りでない。)

・現場において平板蔵荷試験を実施し、現地盤の支持力を確認する。

・偏心過重を受ける場合等、特殊な条件下に設置されるボックスカルバートは別途検討を

行う。

参考-2 ボックスカルバート内の活荷重の載荷(安定計算)について

ボックス内活荷重は、ボックスカルバート内部を走行する自動車荷重を考慮して定めな

ければならない。

① ボックスカルバート内活荷重は、車道部にT荷重(衝撃を含む)を満載させ、安定計算

をすることを原則とする。なお、ボックスカルバート内活荷重が底版に全面に等分布荷

重として作用する場合は、ボックスカルバート部材応力に及ぼす影響が少ないので、安

定計算を除き、荷重として考慮しないものとする。

② 荷重強度

ボックスカルバート内活荷重はボックスカルバート軸方向およびボックスカルバート

直角方向には、図 6 -11 のような分散を考慮して定めるものとする。

軸荷重に対する部材軸線上の荷重強度は、(6-7)を用いてもよい。

首都高速道路

トンネル構造物

設計要領

(開削工法編)

4-1-3

ここに、

Pn:床版上に作用する自動車荷重の換算等分布荷重(kN/m2)

P :輪荷重で 100kN とする。

a :T荷重1組の占有幅(a=2.75m)

i :衝撃係数でi=0.3 とする。

b :輪荷重のボックスカルバート軸方向分布幅

図6 -11

―209―

参考-3 ボックスカルバート底面地盤の支持力について

ボックスカルバート底面地盤の支持力については、下記のような考え方もある。

・ボックスカルバートでは、ボックスカルバートの自重と内部荷重がその排土量よりも

軽く、施工前の先行荷重よりも少なくなることが多いので、地盤支持力が設計上問題

となることはまれである。

・ボックスカルバート上部に構造物が設置される場合は、ボックスカルバート底面の地

盤は上載構造物とボックスカルバートとの荷重を受けるため、ボックスカルバートな

らびに上載構造物の諸条件を考慮して地盤反力の計算を行い、その値が極限支持力以

内にあるかどうか検討する。また、極限支持力を超えた場合には杭基礎等を用いる必

要がある。

参考-4 ボックスカルバートの沈下について

① 軟弱地盤に設置されるボックスカルバートで、ボックスカルバート上部に直接他の構

造物が設置される場合、現地盤より高い盛土が行われるなど増加荷重が予想される場合、

地盤沈下が進行中の場合には、沈下に対する検討を行う必要がある。沈下量の評価はボ

ックスカルバートの用途に応じた管理基準等に従ってその絶対量、相対量を判定する。

② 沈下対策には、ボックスカルバートの使用目的に支障が生じない程度の沈下を許容す

る沈下追従型と構造物の沈下を抑止する沈下防止型とがある。

[沈下追従型]としては、以下の方法等がある。

・内空寸法や勾配等に余裕を持たせる。

・継手には伸縮可撓継手を設ける。

・構造物の耐力に余裕を持たせる。

[沈下防止型]としては、以下の方法等がある。

・杭により基礎の支持力を増す。

・締固めや注入、固結等による地盤改良を行う。

・盛土等による圧密工法や各種ドレーンによる排水工法により圧密沈下を促進させる。

首都高速道路

トンネル構造物

設計要領

(開削工法編)

4-1-3

首都高速道路

トンネル構造物

設計要領

(開削工法編)

4-1-3

―210―

参考-5 マスコンクリート対策についての注意事項

・ボックスの部材厚さが厚い場合、側壁、頂版の両部材は底版または側壁による拘束を受

けるので、セメントの水和熟による温度応力により、ひび割れの発生が予測される。

・マッシブなコンクリート部材では、既に硬化したコンクリートによる拘束でコンクリー

ト打設後比較的早期にひび割れの発生することが予測される。このひび割れの発生の主

原因は、セメントの水和熟による温度上昇・降下に伴う温度収縮ひずみによる応力が、

コンクリートの引張強度を超えることにある。したがって、ひび割れを防止するために

は、セメントの水和熟による温度上昇量を抑える・温度降下速度を抑制する・温度収縮

ひずみを抑制する等の対策を講じることが有効である。対策工としては以下の方法があ

るので参考にする。

(1)材料面

・単位セメント量の減少

・低発熱セメントの使用

・膨張材の使用

・断熱材による放熱速度の制御

(2)施工面

・配力鉄筋を密に配置する等の考慮をする

・打込み温度を低くする(プレクーリング)

・養生を入念にする

(2002 年度

版)コンクリー

標準示方書施工

編 17 章

―211―

5 内空断面 カルバートの内空断面の決定に際しては、次の条件を満足しなければならない。

道路土木

カルバート工指

針 2-2-3

5-1 道路用カルバート

(1)所要の建築限界以上の空間を確保すること。

舗装および排水工などを施工した後に、その道路の所要の建築限界を満足する空間

を確保することが必要である。また、将来舗装のオーバーレイが予想される場合など

は、その影響も加味しておく必要がある。

(2)埋設管などの設置空間を確保すること。

照明、通信などの添架物や上・下水道などの埋設管を設置する必要がある場合は、

それらの設置空間が必要となる。

(3)歩行者および自転車の通行を対象とする場合

1)幅員

幅員は設計歩行者数に応じ、表6-6の値を標準とする。自転車の通行を考慮する

場合は、表6-6値に 0.3m を加えた値を標準とする。ただし、地形の状況その他

特別の理由によりやむを得ない場合は別途考慮するものとする。

2)内空高等

地下道の内空高は路面から天井までのクリアランスを言い、2.5m とする。

その他各部寸法は図 6 -12 に示す値を標準とする。

表6-7

幅 員(m) 設計歩行者数

(人/分)

2.50

3.25

4.00

4.75

5.50

80 未満

80 以上 120 未満

120 〃 160 〃

160 〃 200 〃

200 〃 240 〃

※将来交通量を考慮した値を採用すること。

図6 -12

(4)車両の通行を対象とする場合

道路設計の9-3-2「交差する道路の幅員等」によることとする。

―212―

5-2 水路用カルバート

(1)計画流量を安全に通水しうる断面であること。

カルバートの計画流量は、「道路土工-排水工指針」または管理者の定めた設計計算

法によって計算するものとする。

(2)内空高さは、所要の余裕高を確保すること。

内空高さは、 カルバートの設置地点、種類、形状寸法および水路の性状などにより、

管理者の定めた余裕高を確保するように決定しなければならない。

また、カルバートの通水断面は、「道路土工-排水工指針」または管理者の定めた設

計計算法によって計算するものとする。

清掃その他の保守点検のため、人が入る必要のある場合は、1.8m 以上の内空高を確

保することが望ましい。

延長が短いことなどから、人が入る必要のない場合であっても、沈泥などにより予

想される断面減少分を考慮して、60cm 以上の内空高を確保するのが望ましい。

5-3 軟弱地盤上のカルバート

軟弱地盤上にカルバートを構築する場合は、構築後の沈下に対処できる余裕を確保する

ことが望ましい。

軟弱地盤に カルバートを構築する場合には、杭基礎などによりカルバートの沈下を抑え

るものを除き、カルバートの沈下が生じる。

この沈下に対処するには一般に上げ越し施工が行われる。上げ越し量の設定にあたって

は、十分な調査、検討を行って決定しなければならないが、機能的に支障が生じてはなら

ないようなカルバートでは、沈下が生じてもある程度対処できるような断面の余裕を確保

するのが望ましい。図 6 -13 に断面の余裕を確保する例を示す。

道路土木

カルバート工指

針 2-2-3

道路土木

カルバート工指

針 2-2-3

図6 -13 断面の余裕確保による沈下対策

―213―

6 構造細目

6-1 継手

(1)継手の位置

1)一般的な継手位置を示すと図 6 -14 のようになる。なお、斜角のあるボックスカル

バートにおける伸縮継手の方向は図 6 -14 に示すように原則として側壁に直角とす

る。また、土かぶりの小さい場合は、図 6 -14(b)に示すように中央分離帯の位置に

設けるのがよい。

2)伸縮目地の間隔は 10~15m 程度とする。

3)伸縮目地の間隔を 15m 以上とする場合は縦方向の検討をする。

道路土木

カルバート工指

針 3-2-2

道路土木

カルバート工指

針 3-2-2

(a)土かぶりがlmを超える場合 (b)土かぶりが1m以下の場合

図6-14 ボックスカルバートの継手の位置と方向

(2)継手の構造

1)継手の構造は図 6-15 に示すようなものが用いられており、施工条件によって表6

-7のように組み合わされている。

図6-15 継手の構造の例

―214―

2)ボックスカルバートはなるべく伸縮継手間のコンクリートを1日で打設するのが望

ましいが、形状寸法が大きい場合はどうしても施工目地を入れなければならない場合

がある。このような場合の施工目地は図 6 -16 を標準とする。

また、継手位置の段落ちを防止する目的で、原則として枕を設ける。ただし、底版

下面が岩盤の場合や杭基礎とした場合は、段落ち防止枕は設けない。その標準を図 6

-17 に示す。なお、枕の配筋はボックスカルバート底版の配筋量以上(cm2/m2)を、軸

方向、軸直角方向に等量に配筋すればよい。

道路土木

カルバートエ指

針 3-2-2

表6-8 継手構造の組合せ

適用箇所 頂版 側壁 底版

通 常 の 場 合 I 型 I 型 I 型

(Ⅲ型)注)

上げ越しを行う場合 Ⅱ-A型 Ⅱ-B型 Ⅲ 型

注)( )は段落ち防止枕を設けない場合

図6 -16 施工目地

(e)内空寸法と枕の長さ関係

図6 -17 段落ち防止用枕

(a)断面図 (b)平面図

―215―

6-2 地覆およびウイング

6-2-1 地覆の形状

(1) 土被りのない場合

地覆の幅は路肩構造物(防護柵等)の設置に必要な幅をとる。ただし、ウイングの

厚さ以下となってはならない。また構造上地覆の高さが高くなり、設計計算上から

厚さが決定される場合は、カルバート本体の頂版厚より厚くなる高さをとってはな

らない。

(2) 盛土の途中からカルバートが出る場合は、地覆高さの標準は 30cm とし、幅はウイ

ングの幅と同一とするが、最低幅については 50cm を標準とする。

(3) 一般的な地覆の形状を図 6 -18 に示す。

道路土木

カルバート工指

針 3-2-2

図6 -18

6-2-2 ウイングの形状

(1)ウイングの形状は原則としてパラレルウイングとする。

(2)ウイングの構造寸法は図 6 -19 を標準とする。

―216―

(a)盛土の途中から出る場合

道路土木

カルバート工指

針 3-2-2

(b)路面とウイング天端が一致する場合 (c)翼壁石積の場合

図6 -19

6-2-3 パラレルウイングの計算

ウイングの計算方法及び図表は土木構造物標準設計第1巻を参照する。

6-2-4 ウイングの配筋

(1)ウイングと躯体の取り付け部は原則として下図のように配筋する。

図6 -20

(2) ウイングの厚さは変化させない。

(3) ウイングの長さは、その厚さが本体側壁の厚さ以上にならないように決定する。

(4) ウイングが長くなりボックスカルバート本体に影響を与えることが予想される場

合には、ブロック積みの併用を考慮する。

―217―

6-3 止水壁

水路用ボックスカルバートの場合は、下流端に洗掘防止のための止水壁を設ける。

止水壁の深さは図 6-21 に示す取付け水路の護岸の根入れh以上を標準とする。

道路土木

カルバート工指

針 3-2-2

平成 11 年 3 月

道路土工

カルバート工指針

h:取付け水路の護岸の根入れ

図6 -21 止 水 壁

6-4 すべり止め

小さな谷などにボックスカルバートを設ける場合には、縦方向(支間直角方向)に急な勾

配がつく場合がある。これに対しては、ボックスカルバートの滑りに対して安全を確かめ

ておかなければならない。一般的な構造としては、図 6 -22(a)に示すようなすべり止め

を設ける。また、配筋は図 6 -22(b)のように鉛直方向に行うものとし、有効断面の計算

ではhを、応力計算では h'を用いるものとする。なお、縦断勾配が 10%以下の場合は、h

方向によって計算した鉄筋を h'方向に配筋してもよい。

(a) (b)

図6 -22 すべりに対する処置

―218―

7 基 礎 工

ボックスカルバートの損傷は、基礎の設計に起因していることが多い。したがって基礎地

盤を十分に調査し、安全な設計を行わなければならない。ボックスカルバートの基礎として

は、直接基礎、置換え基礎、杭基礎などが考えられるが、設計実績ではその多くが直接基礎

である。土被りの小さい場合には、供用後におけるボックスカルバート上の路面の平坦性を

考慮し、ボックスカルバートと盛土を一体に沈下させるフローティングファンデーション工

法を用いるとよい。

注)フローティンクファンデーション工法とは、直接基礎工法の一つで掘削による排出土重量と構

造物の重量をバランスする構造である。

7-1 直接基礎

基礎底面の処理は図 6 -23 を標準とする。ただし、地質が砂、砂れき、岩盤および置換

え基礎の場合は基礎材を除くものとする。

図6-23 基礎底面の処理例

7-2 置換え基礎

カルバートの底面に接する地盤が軟弱で、その下が比較的に浅い所に支持層がある場合

は、その部分を良質材で置換して基礎杭を使用しない。置換の形状は図 6 -24 によるもの

を標準とする。

(a)軟弱層の下に底版面積と同面積で

支持できる地盤がある場合 (b)荷重の分散を考えた方が妥当・な場合

図6-24 置換え材の形状

道路土木

カルバート工指

針 3-2-2

道路土木

カルバート工指

針 2-4

(RC-40)

―219―

7-3 杭基礎

杭基鍵の設計は、「道路橋示方書・同解説 Ⅳ 下部構造編」に準じて行う。カルバート

の杭基礎としての留意点を以下に示す。

① カルバート横方向(支間方向)の断面力は、杭を含めた全体構造で計算しなければなら

ない。

② 杭種のRC杭、PHC杭が一般に用いられる。

③ 設計は常時のみとする。

④ 杭頭部はカルバートに 50 ㎜以上埋込むものとする。また、杭に作用するせん断力に対

応できる埋込み深さを確保するものとする(図 6 -25)。

⑤ 杭頭の結合部の応力照査は、底版コンクリートの鉛直方向支圧応力度、押抜きせん断

応力度およびせん断力が生じる場合は、水平方向支圧応力度、水平方向押抜きせん断応

力度について行うものとする。

⑥ 杭の配置は、鉛直荷重をスムーズにかつ均等に受けるようにするものとし、図 6 -25

のように2列配置の場合は側壁軸線近くに配置するのが望ましい。

道路土木

カルバート工指

針 3-2-2

図6 -25 杭基礎(2列配置)の例

―220―

8 プレキャストボックスカルバート

プレキャストボックスカルバートには、鉄筋コンクリート構造(以下「RC構造」という)

と、プレストレストコンクリート構造(以下「PC構造」という)の 2種類があり、適用土被り

は、RC構造で最大3m、PC構造で最大6mまで規格化されている。

プレキャストボックスカルバートの設計は、「カルバート工指針」によるものとするが、P

C構造にいては「PCボックスカルバート道路埋設指針」、RC構造については「鉄筋コンク

リート製プレキャストボックスカルバート道路埋設指針」に準拠する。

(1) 現場条件を考慮し、プレキャストボックスを使用してもよい。

(2) プレキャストボックスの使用については、場所打ちボックスと経済比較を行い使用す

るものとする。なお、使用する場合は縦締を行うものとする。

(3) 基礎形式の選定

(a)直接基礎とする場合

無筋コンクリート基礎を標準とするが、必要に応じてプレキャスト板および鉄筋コ

ンクリート基礎を用いる。

道路土木

カルバート工指

針 3-2-3

図6 -26 直接基礎の例

(b)杭基礎とする場合

杭基礎の設計は、「道路橋示方書・同解説 Ⅳ 下部構造編」に準じるものとする。

杭基礎とする場合の留意点については、「7-3 杭基礎」に準じるものとし、杭頭部

の処理は基礎無筋コンクリートまたは基礎鉄筋コンクリート内で行うものとして検討

する(図 6 -27)。

図6 -27 杭基礎の例

(RC-40)

(RC-40)

―221―

9 設計条件の明記 全体一般図には、下記に示す設計条件を必ず明記する。

凾渠工設計条件

項 目 単位 条 件

本 体

(内空幅×内空高さ)m ×

形 式

基礎の種類 - 直接・杭・地盤改良( )

設 計 土 か ぶ り m

鉄筋コンクリート kN/m3

アスファルト舗装 kN/m3 単位体積重量

土 kN/m3

水 位

(底版底面からの高さ) 外水位 m

コンクリートの

設計基準強度 σck N/m2

鉄 筋 の 種 類 SD -

最大地盤反力度

(許容支持力度) Q ≦ Qa kN/m2 ≦

* 杭及び地盤改良の地盤反力度は、別途作成すること。

―222―