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事業評価の意義とその手順
国 立 教 育 政 策 研 究 所 社会教育実践研究センター 専門調査員 市川 重彦
28年度事業のための事業評価研修会
評価指標の在り方に関する調査研究 平成25~26年度 社会教育活動の実態に関する基本調査事業
社会教育推進のPDCAサイクルを確立するために 必要とされる評価指標の在り方に関する調査研究
第2期 教育振興基本計画(平成25年6月14日)
第1部 我が国における今後の教育の全体像
Ⅱ 我が国の教育の現状と課題
(2)第1期計画の総括と今後の方向性
(教育課題が依然として指摘される要因の例)
・「どのような成果を目指すのか」「どのような力の修
得を目指すのか」といった明確な目標が設定され,その
取組の成果について,データに基づく客観的な検証を行
い,そこで明らかになった課題等をフィードバックし,
新たな取組に反映させる検証改善サイクル(PDCAサ
イクル)が,教育行政,学校,学習者等の各レベルにお
いて,必ずしも十分に機能していなかったこと 報告書P72
計画と評価と評価指標の関係
計画(Plan)
実行(Do)
改善(Action)
評価(Check) 表裏一体
目標の設定 目標の達成状況 評価指標 目標値 I1 ⇒ G1
I2 ⇒ G2 …
…
価値判定・判断
評価する際に基準や手掛かりとする尺度 評価指標
※一般には定量化できるものを設定することが多い
複数設定することが 多い
成果や評価結果を ある程度見込んで設定
報告書P1
評価指標設定の主な意義
ⅰ 目標値を設定できるので,目指すところを 常に確認することができる。
ⅱ 目標値を示すことで説得力を持たせることが できるので,住民の支持が得やすい。
ⅲ 目標値を示すことで説得力を持たせることが できるので,予算を獲得しやすい。
ⅳ 目標値を設定することになるので,評価がし やすくなる。
ⅴ 評価結果について住民が理解しやすくなり, 説明責任を果たす上で有効である。
参照:P2
事業評価
報告書P5
社会教育事業の 事業の目標
事業活動の 実態・成果
解釈・価値判断
社会教育事業の事業評価と方法
事業活動の実態や成果を分析・測定し,実施機 関・施設・団体等の当該事業目標に照らして解 釈・価値判断を加えること
社会教育事業の事業評価と方法
事業実績 ( )は昨年度
○参加者数:65名(70名)
○シート回収率:77%(80%)
事業目標:小学生以上の親子を対象に,公園の清掃活動や ごみ減量チャレンジ・シートに取り組むことで,ごみの 分別や減量に進んで取り組む態度を育てる。
結果
○チャレンジ・シートへの取組 減量・分別に取り組む ⇒ 全体の75%(30%)
○1ヶ月後の保護者アンケート 子供の行動の変容 ⇒ 全体の75%(30%)
成果 報告書P5
アウトプット
アウトカム
事業例 親子クリーン作戦
評価項目
事業目標やそれが含意する内容のうち, 事業評価で評価の対象とする具体的な項目のこと
○評価項目は,事業目標の中から抽出される。 (例)「~の実施状況」,「~の向上の状況」 ○一つの事業目標から複数の評価項目が抽出されることがある。 ※事業目標があいまいであると評価項目の抽出が困難となる。
報告書P6
社会教育事業の事業評価と方法
評価指標
評価項目の内容を測定する時に用いる指標
可能な限り
定量的な指標 定性的な指標 できるだけ客観的に捉えられる指標 評価指標作成の視点 有効性 … どのような,どの程度の効果があったか 効率性 … 事業の効果に対してどれくらいの費用,人,時間等 を費やしたか。
報告書P6
※社会教育事業の評価項目は 定量的に把握できるものだけではない
社会教育事業の事業評価と方法
社会教育事業の事業評価と方法
報告書P5
評価項目 清掃活動や1ヶ月チャレンジ・シートへの取組の状況 ⇒評価指標 清掃活動への参加者数,満足度, チャレンジシートの回収率 評価項目 ごみの分別や減量へ取り組む態度の変容 ⇒評価指標 子供の態度の変容 変容率…1ヶ月アンケート 様子等…学校での清掃活動への取組
事業目標:小学生以上の親子を対象に,公園の清掃活動や ごみ減量チャレンジ・シートに取り組むことで,ごみの 分別や減量に進んで取り組む態度を育てる。
事業例 親子クリーン作戦
評価指標を作成する際の留意点
○1つの評価項目に2つ以上の評価指標
⇒多面的な事業評価 ○評価項目の状況を的確に表すものになっているか (整合性) ○実際に測定ができるかどうか(測定可能性)
報告書P6
社会教育事業の事業評価と方法
社会教育事業の評価指標の作成手順 地域学習グループリーダーの資質向上を図る事業
事業目標:地域学習グループリーダーを対象に,リーダーやボランティアの役割,学習集団の課題分析手法等の研修を行い,学習グループの活性化を支援する。さらに,学習グループがその特徴を生かして地域課題の解決やまちづくりに積極的に貢献できるようにする。
評 価 項 目 評 価 指 標
報告書P6~7
A: 学習グループの活性化の状況
B: 地域課題の
解決やまちづくりへの貢献の状況
A-1:従来よりも月間の学習活動の回数が増加した学習グループ数
B-1: 地域課題の解決やまちづくり支援に関わる新たな活動を始めた学習グループ数
A-2:学習グループ相互で新たな連携,協力,共同の活動がみられた数
A-3:事業後に新会員の加入のあった学習グループの比率
B-2: 学習グループの地域課題の解決やまちづくり支援の活動で,行政の施策の実現に貢献した活動事例数
目標値(数値目標)
参照:P4, 8
社会教育事業の事業評価と方法
事業の成果がどれだけ目標に近づいたかを分析するための基準となる 設定方法 ○過去データの回帰分析により算出 ○過去の類似事業 ○他自治体の同種の事業 ○シミュレーションの実施 ○ビッグデータを活用した予測 など
【評価項目】A 学習グループの活性化の状況
【評価指標】A-1 従来よりも月間の学習活動の回数が増加し た学習グループ数
1年目… 2グループ 2年目… 5グループ 3年目…10グループ
【目標値】 事業計画 3年の場合 地域課題の解決等に
必要な数
地域学習グループリーダーの資質向上を図る事業
【演習Ⅰ】事業のRedesign
Step 1 評価項目の設定と事業目標の見直し【個人】
Step 2 事業概要の共有と
事業目標・評価項目等の検討【グループ】
1事業 … 7分程度 × 人数 Step 3 事業のRedesign【個人】
事業目標,内容,計画,予算等について 資料(事業の概要)を加筆・修正
【演習Ⅱ】評価指標の洗い出し
Step 1 付箋に評価指標を書き出す【個人】
・1つの評価指標 = 1枚の付箋 ・質より量を重視 ・測定可能,整合性等の留意点にとらわれず 自由な発想で
Step 2 評価指標を追加する【グループ】
・シートを右回りで回す。 ・1シート3分 × 人数
Step 3 評価指標を絞り出す【個人】
演習の進め方(2)
事業例 家庭教育アドバイザー養成事業
【事業目標】 家庭教育に関する知識や技能を習得した,地域で家庭教育についてアドバイスできる人材を養成するとともに,アドバイザーに対する研究の機会を設け,資質向上を図り,相互の交流を促進する。
【評価項目】 ・知識や技能の習得 ・リーダー層の発掘・養成 ・仲間づくり
報告書P22-23
【演習Ⅱ】評価指標の洗い出し
Step 1 評価指標を付箋に書き出す
【演習Ⅱ】評価指標の洗い出し
事業例 家庭教育アドバイザー養成事業
講座の修了者数
参加者の満足度
アドバイザーの
登録者数
アドバイザーを
活用した講座数
講座で知り
合った人の数
団体への加入率
講座内容の
理解度
受講者の
学習継続率
Point
・評価指標の質より量 (付箋の枚数)を重視 ・測定可能,整合性等の留意点に
とらわれず自由な発想で
【演習Ⅲ】評価フロー図の作成
Step 1 評価指標を整理する Step 2 整理した評価指標を 評価フロー図にまとめる。 Step 3 グループ内で調整する Step 4 別グループで発表
事業のアウトプットとアウトカムの捉え方
報告書P20
社会教育事業の事業評価と方法
社会教育事業
アウトプット評価
アウトカム評価 事業の直接的 効果 ・ 理解度
活動・事業実績
最終アウトカム
事業の結果を通じて生じる人々の意識や行動の変化など,事業の成果や効果を評価する。
利用者数や参加者数など 事業の結果を評価する。
評価項目に沿い,アウトプットとアウトカムに分けて整理する。
Step 1 評価指標を整理する
・仲間づくり ・知識や技能の習得 ・リー ダ ー層の発掘・養成 (事業の実績・結果)
アウトプット
(事業の成果や効果)
アウトカム
【演習Ⅲ】評価フロー図の作成
事業例 家庭教育アドバイザー養成事業
講座の修了者数
参加者の満足度
アドバイザーの
登録者数
アドバイザーを
活用した講座数
講座で知り
合った人の数
団体への加入率
講座内容の
理解度
受講者の
学習継続率
演習の進め方(2)
報告書P22-23
事業に共通する評価項目 個別評価項目 アウトプット(活動・事業実績) アウトカム(事業の直接的な効果・理解度)
A 知識・技術の習得 ・講座修了者数 ・知識の習得にかけた時間数
・講座内容の理解度 ・受講者の学習の継続率
B 仲間づくり ・講座で知り合った人の数 ・参加者の満足度 ・団体・グループへの加入率
C 地域課題の解決 ・地域課題に気付くことにかけた時間数 ・受講者の意識・行動の変容度 ・受講者の自主的な事業企画・実施度
D 学習の仕方の習得 ・講座修了者数 ・学習相談件数
・講座内容の理解度 ・学習の継続率
E 普及・啓発 ・資料の配付部数 ・アクセス数
・地元紙等での報道数 ・住民の意識の変容度 ・資料の認知度
F 市民講師の 発掘・養成
・養成講座修了者数 ・講座等での指導回数 ・講師バンクの登録人数
G リーダー層の 発掘・養成
・講座修了者数 ・リーダー養成にかけた時間数
・講座等での指導・活動回数 ・参加者の満足度
H ボランティアの 発掘・養成
・講座修了者数 ・ボランティアについての情報提供数
・ボランティアとしての活動回数 ・ボランティアバンクの登録人数
I 団体の活性化 ・活動参加者数 ・活動参加の満足度
J 他機関・団体との 連携
・連携団体数 ・連携者数
・新たに活動を開始した事業数
Step 2 評価フロー図にまとめる
【演習Ⅲ】評価フロー図の作成
Step 3
作成したフロー図を グループ内で調整する
【演習Ⅲ】評価フロー図の作成
Step 4 席を移動し,別グループに向けて発表する
【演習Ⅲ】評価フロー図の作成
発表を聴く視点
・評価指標は適切か アウトプットとアウトカムの分類 測定可能性,整合性など ・住民視点で納得できる評価指標か
・説得力のある評価指標か
PDCAサイクルの確立
○PDCAサイクルはスパイラル状に向上する ○PDCAサイクルの確立 ⇒ 事業の深化・進化 ○目標値を達成できない時こそ, 事業を見直すチャンス!
事業の実施に向けて
QPMIサイクル
Question(疑問や課題)
Passion(情熱)
Mission(使命)
Innovation(革新)
社研:映像コンテンツの紹介(1) 社会教育計画策定及び評価指標づくりのための映像コンテンツ
社会教育実践研究センターホームページ内 http://www.nier.go.jp/jissen/eizoucontents/index.html
社研:映像コンテンツの紹介(2) 社会教育計画策定演習コンテンツ
社会教育実践研究センターホームページ内 http://www.nier.go.jp/jissen/ensyucontents/