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静岡県経済産業ビジョン 2018〜2021 静岡県経済産業部

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静岡県経済産業ビジョン

2018〜2021

静岡県経済産業部

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⽬ 次 「静岡県経済産業ビジョン2018〜2021」の概要 Ⅰ 策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

Ⅱ 計画の期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

Ⅲ 計画の実施 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

Ⅳ 計画の位置付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

成⻑戦略編 Ⅰ 本県経済・産業の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

Ⅱ 目指す「静岡県の姿」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

Ⅲ 「静岡県の姿」を実現する戦略展開の方針 ・・・・・・・・・・・ 9

分野編 就業⽀援編 基本方向 活躍しやすい環境の整備と働き方改革 ・・・・・・・・・・ 27

(1) 県内産業の成長を担う人材の確保 ・・・・・・・・・・・・・・ 27

(2) 高度な知識と技術を持つ人材の育成 ・・・・・・・・・・・・・ 33

(3) 誰もがいきいきと働ける環境づくり ・・・・・・・・・・・・・ 37

(4) 郷土を担う子どもたちの「生きる道」としての仕事を学ぶ環境づくり 43

産業⾰新編 基本方向1 静岡県産業成長戦略の推進 ・・・・・・・・・・・・・・ 45

(1) 地域企業の事業活動の活発化 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 45

基本方向2 ふじのくにマーケティング戦略の推進 ・・・・・・・・・ 48

(1) 市場と生産が結びついた「ふじのくにマーケティング戦略」の推進・ 48

基本方向3 静岡県の試験研究機関に係る基本戦略の推進 ・・・・・・ 53

(1) 本県産業の成長に貢献する「研究開発」 ・・・・・・・・・・・ 53

(2) 中小企業や農林水産業の「競争力強化」のための「技術支援」 ・・ 56

(3) 「安全」で「安心」な県民生活を着実に実現するための「調査研究」 58

基本方向4 ふじのくにエネルギー総合戦略の推進 ・・・・・・・・・ 59

(1) 地域資源の活用による多様な分散型エネルギーの導入拡大 ・・・ 59

(2) 建築物の省エネ、ライフスタイル・ビジネススタイルの変革 ・・ 65

(3) エネルギー産業の振興 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68

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商⼯業編

基本方向1 次世代産業の創出と展開 ・・・・・・・・・・・・・・・ 73

(1) 静岡新産業集積クラスターの推進 ・・・・・・・・・・・・・・ 73

(2) 新たな成長産業の育成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 79

(3) 企業誘致・定着の推進や海外市場の取り込みによる企業の活性化 ・ 87

基本方向2 富を支える地域産業の振興 ・・・・・・・・・・・・・・ 91

(1) 地域経済を牽引する企業の成長促進 ・・・・・・・・・・・・・ 91

(2) 中小企業の経営力向上と経営基盤強化 ・・・・・・・・・・・・ 94

(3) 地域を支える魅力ある商業とサービス産業の振興 ・・・・・・・ 103

農業・農村編 基本方向1 AOI(アグリオープンイノベーション)プロジェクトの推進 109

(1) AOI(アグリオープンイノベーション)プロジェクトの推進 ・ 109

基本方向2 多様な人々が活躍する世界水準の農芸品の生産力強化 ・・ 112

(1) 多彩な農芸品の生産拡大 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 112

(2) 次代を担う農業経営体の育成 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 119

(3) 農業の競争力強化と持続性を確保する基盤整備 ・・・・・・・・ 122

(4) 市場と生産が結びついた「ふじのくにマーケティング戦略」の推進 ・ 125

基本方向3 環境と調和し、人々を惹きつける都づくりと農山村の再生 ・ 131

(1) 「食」、「茶」、「花」の都づくり ・・・・・・・・・・・・・・・・ 131

(2) 美しく活力のある農山村の創造 ・・・・・・・・・・・・・・・ 136

森林・林業編 基本方向1 森林資源の循環利用による林業の成長産業化 ・・・・・・ 143

(1) 県産材の安定供給体制の確立 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 143

(2) ビジネス林業の定着 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 148

(3) 県産材製品の需要拡大 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 151

基本方向2 森林の多面的機能の維持・増進 ・・・・・・・・・・・・ 155

(1) 森林の適正な整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 155

(2) 森林の適正な保全 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 157

(3) 魅力と強みを活かした山村づくり ・・・・・・・・・・・・・・ 162

基本方向3 県民総参加による持続的で魅力的な森づくり活動の推進 ・ 165

(1) 県民の理解と参加の促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 165

⽔産業編 基本方向 水産王国静岡の持続的発展の推進 ・・・・・・・・・・・・ 171

(1) 生産・流通・消費の好循環を生み出す水産振興対策の推進 ・・・ 171

(2) 海・川の恵みの持続的な利用の確保 ・・・・・・・・・・・・・ 176

(3) 次世代の漁業を担う人・組織づくり ・・・・・・・・・・・・・ 179

(4) 水産物の資源管理・資源増殖等を推進する先端的な研究開発の推進・ 182

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数値⽬標⼀覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 185 データ編 Ⅰ 経済産業の概況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 205

Ⅱ 雇用・就業環境の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 219

Ⅲ 商工業の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 231

Ⅳ 農業・農村の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 241

Ⅴ 森林・林業の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 249

Ⅵ 水産業の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 259

Ⅶ エネルギーの現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 269

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1

「静岡県経済産業ビジョン 2018~2021」の概要

Ⅰ 策定の趣旨

県は、2011 年(平成 23 年)3月に、「静岡県の地域資源の活用と新しい価値の創

造によるものづくりの振興に関する条例(一流のものづくり・ものづかい振興条

例)」を制定するとともに、同条例第9条に規定する実施計画として、「静岡県経済

産業ビジョン」を策定しました。

経済産業ビジョン策定後の本県を取り巻く社会経済情勢は、人口減少・少子高齢

化の進行による人手不足の顕在化や、IoT、人工知能(AI)、ロボット技術など

に代表されるテクノロジーの急速な進展、従来のガソリン車かsら電気自動車(E

V)など次世代自動車への世界的なシフト、東日本大震災後のエネルギーを取り巻

く環境の激変など、大きな転換点を迎えています。

こうした環境の変化への対応を図り、静岡県の新ビジョン(総合計画)を着実に

実施するため、「静岡県経済産業ビジョン 2018~2021」を策定します。

Ⅱ 計画の期間

2018 年度から 2021 年度までの4年間とします。

Ⅲ 計画の実施

施策の実施に当たっては、県の各部局と連携しながら、商工業や農林水産業、労

働関係の各団体や市町、企業、大学、県民の方々と協働して取り組みます。

なお、社会経済情勢の変化を踏まえた 適な手法の選択や施策の重点化を図るな

ど、計画の不断の見直しを実施します。

Ⅳ 計画の位置付け

・ 「静岡県の新ビジョン 富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくり」

(静岡県総合計画)基本計画の実施計画

・ 「一流のものづくり・ものづかい振興条例」第9条に規定する実施計画

・ 「静岡県中小企業・小規模企業振興基本条例」第 12 条に規定する計画(商工業編

のみ)

・ 「静岡県民の豊かな暮らしを支える食と農の基本条例」第9条に規定する基本計画

(農業・農村編のみ)

・ 「静岡県森林と県民の共生に関する条例」第 11 条に規定する計画(森林・林業編

のみ)

・ 「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の

利用促進に関する法律(六次産業化・地産地消法)」 第 41 条に基づく地域の農林

水産物の利用の促進についての計画(農業・農村編、水産業編のうち六次産業化・

地産地消法第 40 条の基本方針に規定する事項のみ)

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2

【総合計画と経済産業ビジョンの位置づけ】

静岡県総合計画・静岡県の新ビジョン富国有徳の「美しい“ふじのくに”」の⼈づくり・富づくり

第1章 新ビジョンの位置付け

第2章 時代潮流

第3章 本県が直⾯する課題

第4章 新ビジョンの基本⽅針

第5章 政策体系と⾏政経営

第6章 地域づくりの基本⽅向

【基本構想】

【基本計画】Ⅰ 政策体系

Ⅱ 政策の実効性を⾼める⾏政経営

Ⅲ 地域の⽬指す姿

1 命を守る安全な地域づくり2 安⼼して暮らせる医療・福祉の充実3 ⼦どもが健やかに学び育つ社会の形成4 誰もが活躍できる社会の実現5 富をつくる産業の展開6 多彩なライフスタイルの提案7 “ふじのくに”の魅⼒の向上と発信8 世界の⼈々との交流の拡⼤

経 済 産 業 分 野 の 主 な 取 組1-2 防災・減災対策の強化

(1)地震・津波・⽕⼭災害対策(2)⾵⽔害・⼟砂災害対策

4-1 活躍しやすい環境の整備と働き⽅改⾰(1)産業⼈材の確保・育成(2)誰もがいきいきと働ける環境づくり

5-1 次世代産業の創出と展開(1)静岡新産業集積クラスターの推進(2)新たな成⻑産業の育成(3)企業誘致・定着の推進

5-2 富を⽀える地域産業の振興(1)地域経済を牽引する企業の成⻑促進(2)中⼩企業の経営⼒向上(3)中⼩企業の経営基盤強化(4)地域を⽀える魅⼒ある商業とサービス

産業の振興5-3 農林⽔産業の競争⼒の強化

(1)世界⽔準の農芸品の⽣産⼒強化(2)森林資源の循環利⽤による林業の成⻑

産業化(3)⽔産王国静岡の持続的発展の推進(4)市場と⽣産が結びついたマーケティング

戦略の推進6-1 魅⼒的なライフスタイルの創出

(2)⼈々を惹きつける都づくり(3)美しく活⼒のある農⼭村の創造

6-3 エネルギーの地産地消(1)再⽣可能エネルギーの導⼊促進(2)省エネルギー社会の形成(3)エネルギー産業の振興

7-3 美しい景観の創造と⾃然との共⽣(1)豊かな⾃然、⽂化、歴史に根ざした

美しい景観の形成(3)森林との共⽣の推進

8-2 地域外交の深化と通商の実践(3)世界に開かれた通商の実践

<基本理念>富国有徳の「美しい“ふじのくに”」づくり

〜静岡県をDreams come true in Japanの拠点に〜ドリームズ カム トゥルー イン ジャパン

<⽬指す姿>「県⺠幸福度」の最⼤化<生まれてよし 老いてよし> <生んでよし 育ててよし><学んでよし 働いてよし> <住んでよし 訪れてよし>

静岡県経済産業ビジョン2018〜2021

○ 成⻑戦略編○ 就業⽀援編○ 産業⾰新編○ 商⼯業編○ 農業・農村編○ 森林・林業編○ ⽔産業編

静岡県総合計画・静岡県の新ビジョン富国有徳の「美しい“ふじのくに”」の⼈づくり・富づくり

第1章 新ビジョンの位置付け

第2章 時代潮流

第3章 本県が直⾯する課題

第4章 新ビジョンの基本⽅針

第5章 政策体系と⾏政経営

第6章 地域づくりの基本⽅向

【基本構想】

【基本計画】Ⅰ 政策体系

Ⅱ 政策の実効性を⾼める⾏政経営

Ⅲ 地域の⽬指す姿

1 命を守る安全な地域づくり2 安⼼して暮らせる医療・福祉の充実3 ⼦どもが健やかに学び育つ社会の形成4 誰もが活躍できる社会の実現5 富をつくる産業の展開6 多彩なライフスタイルの提案7 “ふじのくに”の魅⼒の向上と発信8 世界の⼈々との交流の拡⼤

経 済 産 業 分 野 の 主 な 取 組1-2 防災・減災対策の強化

(1)地震・津波・⽕⼭災害対策(2)⾵⽔害・⼟砂災害対策

4-1 活躍しやすい環境の整備と働き⽅改⾰(1)産業⼈材の確保・育成(2)誰もがいきいきと働ける環境づくり

5-1 次世代産業の創出と展開(1)静岡新産業集積クラスターの推進(2)新たな成⻑産業の育成(3)企業誘致・定着の推進

5-2 富を⽀える地域産業の振興(1)地域経済を牽引する企業の成⻑促進(2)中⼩企業の経営⼒向上(3)中⼩企業の経営基盤強化(4)地域を⽀える魅⼒ある商業とサービス

産業の振興5-3 農林⽔産業の競争⼒の強化

(1)世界⽔準の農芸品の⽣産⼒強化(2)森林資源の循環利⽤による林業の成⻑

産業化(3)⽔産王国静岡の持続的発展の推進(4)市場と⽣産が結びついたマーケティング

戦略の推進6-1 魅⼒的なライフスタイルの創出

(2)⼈々を惹きつける都づくり(3)美しく活⼒のある農⼭村の創造

6-3 エネルギーの地産地消(1)再⽣可能エネルギーの導⼊促進(2)省エネルギー社会の形成(3)エネルギー産業の振興

7-3 美しい景観の創造と⾃然との共⽣(1)豊かな⾃然、⽂化、歴史に根ざした

美しい景観の形成(3)森林との共⽣の推進

8-2 地域外交の深化と通商の実践(3)世界に開かれた通商の実践

<基本理念>富国有徳の「美しい“ふじのくに”」づくり

〜静岡県をDreams come true in Japanの拠点に〜ドリームズ カム トゥルー イン ジャパン

富国有徳の「美しい“ふじのくに”」づくり〜静岡県をDreams come true in Japanの拠点に〜

ドリームズ カム トゥルー イン ジャパン

<⽬指す姿>「県⺠幸福度」の最⼤化<生まれてよし 老いてよし> <生んでよし 育ててよし><学んでよし 働いてよし> <住んでよし 訪れてよし>

静岡県経済産業ビジョン2018〜2021

○ 成⻑戦略編○ 就業⽀援編○ 産業⾰新編○ 商⼯業編○ 農業・農村編○ 森林・林業編○ ⽔産業編

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3

成 ⻑ 戦 略 編 この成長戦略編は、本県経済の持続的な発展のために、今後4年間に重点的に取り

組む経済産業政策の基本的な考え方を示すものです。

具体的には、県内経済産業の現状を分析した上で、目指す姿を明らかにし、その実

現に向けて戦略的に取り組む施策を示します。

I 本県経済・産業の現状と課題 1 人口減少と少子高齢化の進行

(1) 人口減少に伴う市場収縮の恐れと「大廃業時代」の到来

・我が国では、平均寿命の延伸と少子化の進行を背景に、世界に例のない早い

スピードで、本格的な人口減少社会を迎えています。

・本県の人口は、2007 年の 379 万 7 千人をピークに減少局面に突入し、2018

年2 月には、366 万 9 千人になりました。国立社会保障・人口問題研究所

の推計によれば、2030 年には約 33 万人減少し、334 万 3 千人になると推

計され、年少人口(14 歳以下)が減少する一方で、高齢者人口(65 歳以

上)が増加し、少子高齢化が一層進行していくと予想されています。

・また、社会移動の状況を見ると、静岡県からの人口流出先の 95%は東京圏で

あり、全国的に人口が減少する中、東京圏への人口の一極集中が続いていま

す。

・とりわけ、若者、女性の流出が深刻で、2017 年の 5,242 人の転出超過のう

ち、若者の転出超過が 5,100 人、さらにその中でも女性の転出超過が 3,174

人と顕著であり、本県の活力低下につながることが懸念されています。

・消費や生産の中心となる 15 歳から 64 歳の生産年齢人口は、2010 年に 236 万

人でしたが、2020 年には 207 万人、2040 年には 159 万人に減少することが

予想されており、県内市場が収縮していくことが懸念されます。

・団塊の世代が 70 歳を迎える一方で、後継者不足などの理由から廃業する企

業が増加する「大廃業時代」の到来が懸念されており、官民挙げての事業承

継の取組の加速化が求められています。

(2) 労働力人口の減少

・2007 年に 209 万人であった本県の労働力人口は、少子高齢化に伴い 2016 年

には 203 万人となっており、今後も減少していくことが予想されることから、

人手不足がさらに深刻化することが懸念されています。本県の 2018 年1月

の有効求人倍率は 1.61 倍と、全国の 1.59 倍を上回っています。

・一方で、本県の子育て世代(25 歳から 44 歳)の無業者女性のうち、62%に当

たる約 8.2 万人が就業を希望しています。

・さらに、2000 年には約 66.6 万人であった本県の 65 歳以上の高齢者は、2020

年には約 109.2 万人になると予測されています。65 歳以上の新規求職者数も

年々増加していますが、65 歳以上の就職率は 19.9%に留まっています。

・本県経済の持続的な発展を維持していくためには、企業におけるIoTや人

工知能(AI)、ロボット技術等の導入による生産性の向上の取組促進とと

もに、女性や高齢者、障害のある方、外国人など多様な人材の力を 大限に

活用する必要があります。

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(3) 高齢化の進行による医療・健康産業の需要増

・医療・健康産業の市場は、国内における少子高齢化の進行や健康意識の高ま

り、アジアの成長に伴う医療・健康ニーズの拡大などによって、成長の原動

力になり得る分野です。

・本県では、ファルマバレー(医療・健康)、フーズ・サイエンスヒルズ(食品)、

フォトンバレー(光・電子技術)の3つの産業集積プロジェクトを進めていま

す。こうした取組の結果、2015 年の本県の医薬品・医療機器の合計生産金額

は、2010 年から6年連続全国第1位となっています。

・急拡大する市場の中で現在のリードを保ち、今後も成長を続けるためには、

本県が企業にとって魅力ある県となるよう、各プロジェクトの中核支援機関

の機能強化や高度産業人材の育成などの取組を進めていく必要があります。

・一方、本県は、健康寿命国内トップクラスを維持しているものの、働き盛り

世代からの生活習慣病予防など、ヘルスケア産業へのニーズが高まっており、

新たなビジネス創出に向けた支援が求められています。

2 科学技術の著しい進展

・情報通信技術の発達などによりIoT、ビッグデータ、人工知能(AI)など

の技術革新が急激に進展しています。この結果、モノと情報を組み合わせた新

たなサービスが次々と出現するとともに、ロボット技術の高度化、自動走行車

の実用化、バイオテクノロジーの医療への適用、金融と情報工学を結び付けた

フィンテックの進展など、生活の利便性を高めるイノベーションが急速に進み

つつあります。 ・特に、ガソリン車やディーゼル車といった内燃機関車からモーターを動力源と

する電気自動車(EV)への世界的なシフトや、人工知能(AI)やロボット

が現在の職業の多くを代替することが予測されるなど、技術革新は企業や労働

者に大きな影響をもたらすことが想定されています。 ・こうした中、ドイツでは「Industrie4.0(インダストリー4.0)」を掲げ、生産

性の飛躍的な向上と、ものづくりの競争力の強化をもたらす取組を進めるなど、

技術革新を第4次産業革命と捉え、産業競争力の強化、経済発展の原動力とし

て推進する動きが活発化しています。

・我が国も、「第5期科学技術基本計画」や「未来投資戦略 2017」において

「Society5.0(ソサエティー5.0)」を掲げ、科学技術により産業、暮らし、生

き方が変わり、あらゆる人がいきいきと快適に暮らすことのできる社会を目指

すとしています。

・このほか、日本版GPSとも呼ばれる準天頂衛星システムが運用されることに

より得られるデータを活用し、今後、自動車の自動走行化や、農作物の生育状

況等のタイムリーな把握、漁場推定の高度化などへの活用が期待されています。

・これらのことから、本県においても、科学技術の発展がもたらす社会・経済の

変化に適応するとともに、新たな成長産業の育成や生産性の向上につなげる取

組が求められています。

3 グローバル化の進展

(1) アジアなど新興国の市場拡大と国際競争の激化

・アジア市場は今後も急拡大していくことが予想されています。日本を除くア

ジアの消費規模は、2017 年の 19.4 兆ドルから 2022 年には 29.1 兆ドルと

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5

1.5 倍に拡大し、我が国の消費規模の 5.3 倍となります。今後の本県産業に

とっては、アジアを生産拠点とするだけでなく、製造品や農林水産物、サー

ビス等の消費市場として捉え、いかに海外の活力(成長力)を取り込むかが重

要となっています。

・一方、国際通貨基金(IMF)によると、2017 年の世界の名目GDPは前年

から約 5.2%増の 79.3 兆USドルとなりました。これは、2000 年と比べて

約 2.3 倍もの増加となっています。

・この間、米国が 9.1 兆ドル、EU圏が 8.2 兆ドル、中国が 10.7 兆ドルそれ

ぞれ増加し成長を続ける一方、日本はほぼ横ばいの推移となっています。

・新興国の成長に伴い、これまで我が国や本県が強みとしてきた製造業等を中

心に国際競争が激化しており、力強い経済・産業の実現が求められています。

(2) 貿易の自由化と産業の国際化の進展

・2017 年 12 月には日本とEUとの間で経済連携協定(EPA)が妥結され、ま

た、2018 年3月には日本、オーストラリア、マレーシアなど 11 か国による

包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)が署名され

るなど、世界的にEPAや自由貿易協定(FTA)が拡大しており、産業の国

際化は、今後ますます進んでいくことが予想されています。

・こうした流れは、国外との競争力が拮抗している工業製品にとって有利に働

くばかりでなく、世界に通用する高品質を誇る本県農林農産物にとっても、

市場拡大のチャンスが広がっていくことを意味しています。

・一方で、イギリスのEUからの離脱、米国のTPP交渉からの脱退などの自

国内経済を優先する流れも生まれており、今後の動向を注視していく必要が

あります。

4 「場の力」を活かした交流人口拡大や基幹的インフラ整備推進

(1) 富士山、茶草場など世界クラスの資源・人材群を保有

・2013 年5月に世界農業遺産に「静岡の茶草場農法」が認定され、6月には富

士山の世界遺産登録が決定しました。これまで1か月に1件を超えるハイペ

ースで世界クラスの資源や人材群が顕在化し、正に、“ふじのくに”静岡県

の立ち姿が世界の檜舞台に現れつつあります。

・こうした世界的評価とともに、伊豆半島ジオパークや南アルプスエコパーク、

浜名湖などの魅力的な県土と、食・茶・花などの国内有数の豊かな幸は、国

内外から県内全域に人々を引き寄せることができる地域資源となることから、

これらの地域資源の磨き上げと情報発信の強化が求められています。

(2) ラグビーワールドカップ 2019、東京 2020 オリンピック・パラリンピック

の開催

・日本を訪れる外国人の数は、近年増加が著しく、2013 年には初めて 1,000 万

人を超え、2015 年には 1,974 万人まで増加しています。また、2016 年度に

本県に宿泊した外国人は延べ 157 万人で、全国第 10 位となっています。

・2019 年にはラグビーワールドカップ 2019 が我が国で開催され、袋井市のエ

コパスタジアムも開催会場の一つになっています。また、2020 年の東京

2020 オリンピック・パラリンピックでは、伊豆市のベロドロームや小山町

の富士スピードウェイを会場に自転車競技が開催されます。

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6

・これらは、世界の一大イベントであり、国内外の注目を集めるとともに、多

くの選手や観光客等が本県を訪れることが予想されます。この機をビジネス

チャンスとして捉え、県産品の販路拡大などに繋げることが求められていま

す。

(3) 高速道路や、空港、港湾などの交通・物流ネットワークの充実

・2012 年4月に新東名高速道路が県内 162km にわたって開通し、東名高速道路

とのダブルネットワークが構築された結果、渋滞の解消や定時性の確保によ

り、高速交通の信頼性が向上しました。2016 年2月には豊田東ジャンクショ

ンまで延伸し、2020 年には海老名南ジャンクションから豊田東ジャンクショ

ンまでの全線 254 ㎞が開通する見込みです。

・さらに、中部横断自動車道や三遠南信自動車道、伊豆縦貫自動車道の高規格

幹線道路の整備が進み、ネットワークは南北にも拡大され、中長期的には、

北関東圏域や日本海圏域まで、交流圏域は更に拡大します。

・これらの道路網に、開港9年目を迎えた富士山静岡空港や、清水港、田子の

浦港、御前崎港の「駿河湾港」が連結し、陸・海・空が一体となった交通・

物流ネットワークが充実していきます。

・この高度な交通インフラの充実という本県の強みを活かし、県外からの企業

の誘致や県内企業の定着に結びつけていく必要があります。

5 大規模地震等の有事への対応

・震災からの復旧・復興は我が国全体の喫緊の課題です。2011 年の東日本大震災、

2016 年の熊本地震はいまだ記憶に生々しく、その復興も途上にあります。南海

トラフ巨大地震に関する内閣府の想定によると、建物・インフラ等の直接被害

は約 170 兆円で、東日本大震災を大きく上回っています。

・こうした中、我が国全土にわたって災害に強い強靭な国づくり、地域づくりを

進めていくことが求められており、津波を防ぐ施設整備などの災害対策や、企

業の防災・減災対策の強化などを図る必要があります。

6 産業分野別の状況

(1) 多彩で高品質な農林水産物を産出する1次産業

・本県経済の持続的な発展を維持していくためには、企業におけるIoTや人

工知能(AI)、ロボット技術等の導入による生産性の向上の取組促進とと

もに、女性や高齢者、障害のある方、外国人など多様な人材の力を 大限に

活用する必要があります。

・温暖な気候と変化に富んだ地形に恵まれ、駿河湾、浜名湖などの豊かな漁場

を持ち、大消費地にも近接する本県は、1,143 品目(県調査)もの多彩で高品

質な農林水産物を産出しています。

・農業産出額は 2,266 億円(2016 年)で、本県を代表する農産物である茶とみか

んの品目別産出額の全国順位は、茶が第1位、みかんは第2位となっていま

す。また、温室メロン、いちご、わさびのほか、ばらやガーベラなどの花き

や、畜産業も盛んに行われています。

・林業産出額は 105 億円(2015 年)で、質の高いスギ材やヒノキ材、しいたけな

どを産出しています。このうち、栽培きのこ類の割合が6割近くを占めてい

ます。

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・漁業生産額は 582 億円(2015 年)で、かつお、さば類、きはだまぐろ、しらす、

まいわしを合わせた生産量は全体の 80%以上を占めています。また、うなぎ、

きんめだい、さくらえびなどは、特産品として全国から高く評価されていま

す。

・一方で、国内外の産地との競争が激化するとともに、就業者の減少・高齢化

が深刻化しており、県内農林水産業の競争力強化や持続的発展のためには、

生産性の向上、担い手の確保・育成、販路拡大、関連産業のビジネス展開な

どの取組が必要です。

(2) 日本有数の製造業が牽引する2次産業

① 県内総生産の4割を占める製造業

・本県のGDP(県内総生産)は 15 兆 4,425 億円(2014 年度)で、国内総生産

の3%、全国第 10 位に位置していますが、一人当たり県民所得は 322 万円

で全国第3位です。

・こうした経済力を牽引しているのは製造業です。製造業が本県産業に占め

る割合は、就業者数では 26%、県内総生産では 39%となっています。また、

製造品出荷額は 15 兆 9,669 億円(2016 年)で全国第3位となっています。

製造品出荷額の構成比は、輸送用機械、電気機械の割合が大きく、それに

化学工業、食料品、飲料・たばこ・飼料、パルプ・紙が続いています。

・また、県が新産業集積クラスターを推進している中で、医薬品・医療機器

の生産額は 2010 年から6年連続して全国第 1 位で、新たな産業が着実に育

っています。

② 輸出型産業への特化が顕著

・本県は、全国平均に比べて第2次産業、特に製造業の割合が高く、中でも、

製造品出荷額の約4割を輸送用機械と電気機械で占めるなど、輸出型産業

の割合が高い産業構造となっています。

・アジアを中心とした新興国の経済発展や、製造業の海外移転が進む中で、

輸出型産業の割合が高い本県経済は、海外経済や為替相場の影響を大きく

受けています。本県の景気は、リーマンショックと東日本大震災の2度の

落ち込みを経た後、持ち直しの傾向にはあるものの、2017 年 12 月の鉱工

業生産指数は 95.7(全国 106.3)と全国平均を下回る状況が続いており、

産業構造の転換が課題となっています。

・また、今後、内燃機関車から電気自動車(EV)へのシフトが進むことに

より、自動車関連産業の売上げ減少など本県経済への影響が懸念されるこ

とから、自動車産業界と連携してリスクやチャンスの認識を共有し、適切

に対応していく必要があります。

③ 工場・設備の老朽化

・我が国の企業収益は持ち直しの傾向にはあるものの、設備投資は低い水準

にとどまっています。

・静岡県製造業が保有する、15 年以上経過している生産設備の割合(2012 年

度)は 47%で全国(41%)より高く、設備の老朽化が進んでおり、新技術に

対応した設備への更新が必要となっています。

④ 製造業における国内拠点のマザー工場化の進展

・製造業では、国内拠点を、製品の企画や設計、開発などを行うマザー工場

化する動きが活発になっています。

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海外の進出地域で仕入、生産、販売する“地産地消”の流れが一層強まっ

ている中で、国内の生産拠点では新たな役割へのシフトが進んでいます。

・地域企業をはじめ本県のものづくり産業の競争力を強化するためには、こ

うした動きに的確に対応していく必要があり、マザー工場の新規誘致や、

既存工場の拠点工場化への支援を積極的に進めていく必要があります。

(3) サービス業、卸売・小売業の割合が低い3次産業

・本県の県内総生産に占める3次産業の割合は 54%(2014 年度)で、全国

(72%)より小さい状況です。また、産業分類別でみると、サービス業は全産

業の 18%(全国 22%)、卸売・小売業は9%(全国 15%)となるなど、全国

に比べ、サービス業、卸売・小売業等の内需型産業の割合が低くなっていま

す。

・サービス業は、健康・福祉、観光交流、コンテンツ、流通・物流などの分野

において、今後の需要拡大が見込まれ、本県の労働市場の拡大にも寄与する

ことが期待されることから、サービス業のより一層の振興が求められていま

す。

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Ⅱ ⽬指す「静岡県の姿」

2018 年度(平成 30 年度)から概ね 10 年間を計画期間とする、本県の総合計画

「静岡県の新ビジョン」の基本構想では、「富国有徳の『美しい“ふじのくに”』づ

くり~静岡県を Dreams come true in Japan の拠点に~」を基本理念として掲げて

います。

「美しい“ふじのくに”」は、「富士山」の「富(豊かさ)」と「士(徳のある人

材)」という字に導き出されるとおり、人材と物産を豊かに備えた地域であることが

求められます。

「静岡県経済産業ビジョン2018~2021」では、現在、本県が直面している

産業構造の大きな転換期に適切に対応していくため、「『人』と『富』の創出により、

経済を持続的に発展させ、県民の豊かな暮らしを実現する『美しい“ふじのくに”』」

を静岡県の目指す姿とします。

Ⅲ 「静岡県の姿」を実現する戦略展開の⽅針

「『人』と『富』の創出により、経済を持続的に発展させ、県民の豊かな暮らしを

実現する『美しい“ふじのくに”』」を実現するため、「産業人材の確保・育成」、「次

世代産業の創出・成長産業分野の参入促進」、「中小企業・小規模企業の経営基盤強

化」、「農林水産分野のルネサンス」、「通商の拡大と海外活力の取り込み」、「エネル

ギーの地産地消の推進」の6本の戦略の柱を位置づけ、経済産業政策を展開します。

「人」と「富」の創出により、経済を持続的に発展させ、

県民の豊かな暮らしを実現する「美しい“ふじのくに”」

ト ゙ リ ー ム ス ゙ カ ム ト ゥ ル ー イ ン シ ゙ ャ ハ ゚ ン

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○生産年齢人口が減少する中、人材不足が顕在化しています。企業の生産性向

上の取組とともに、時代の変化に対応できる高度な産業人材の確保・育成が

必要です。

○人材不足の要因分析に基づき、官民を挙げて、人材確保・育成、就業環境の

整備等に取り組みます。

○基幹産業である自動車産業の電気自動車化(EV化)等が進む中、新たな産

業基盤の構築が求められています。「静岡県産業成長戦略」に基づき、次世代

産業の創出や成長産業分野への参入促進のためのプラットホームの一層の充

実を図ります。

○「大廃業時代」が叫ばれる中、本県経済の屋台骨を支える中小企業・小規模

企業の経営基盤強化は喫緊の課題です。経営革新計画等に基づく新たな製品

開発や販路開拓等を徹底して支援するとともに、後継者不足に直面する企業

の事業承継を支援します。

○農林水産業は低い労働生産性や後継者不足等により、生産量や生産額が停滞

しています。農地集積の促進やビジネス経営体の育成、革新的な技術開発、

農林水産文化の復興等により、マーケットインの視点による生産性の向上や

後継者養成に取り組むとともに、新たな魅力を創造し、新展開を図ります。

○本県農芸品の高い品質が国内外で評価されています。「ふじのくにマーケティ

ング戦略」に基づく、市場の需要に即した生産供給体制の構築が必要です。

特に、海外へは「輸出商社機能」の構築が不可欠です。また、海外ミッショ

ンの受入れによる海外活力の導入を促進します。

○県民生活や企業活動に欠かせないエネルギーは、安定供給を第一に、経済性

の向上と環境への適合を図った上で、安全・安心で持続可能なエネルギー体

系を構築することが必要です。多様な地域資源を活用した再生可能エネルギ

ーの導入促進、エネルギー産業の振興による地域経済の活性化などにより、

エネルギーの地産地消を推進します。

戦略1 産業⼈材の確保・育成

戦略2 次世代産業の創出・成⻑産業分野の参⼊促進

戦略3 中⼩企業・⼩規模企業の経営基盤強化

戦略4 農林⽔産分野のルネサンス(「⽂化」の⼒・「⾰新」の⼒)

戦略5 通商の拡⼤と海外活⼒の取り込み

戦略6 エネルギーの地産地消の推進

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生産年齢人口の減少により、多くの職種で人材不足が顕在化する中、本県経済の

持続的成長を支える産業人材の確保・育成や、就業環境の整備が必要となっていま

す。

このため、各産業界からの意見等を踏まえて、中・長期的な対策として社会総が

かりで取り組むべき人材確保・育成施策の方向性を示す「産業人材確保・育成プラ

ン」を平成 30 年3月に策定しました。このプランに基づき、産業人材の確保、高度

な知識と技術を持つ人づくり、誰もがいきいきと働ける環境づくりと多様な人材の

活躍支援、子どもたちが「生きる道」としての仕事を学ぶ環境づくりなどに取り組

みます。

(1) 県内産業の成長を担う人材の確保

人材不足が顕在化する中、特に影響の大きい中小企業の採用活動の支援や、

県内産業界と連携し、各業界がその実態等を踏まえて実施する人材確保対策を

支援するとともに、業務の省力化や効率化による労働生産性の向上を図ります。

また、本県の魅力や質の高い企業情報を積極的に提供する機会を創出し、大

都市圏等からのU・Iターン就職や県内大学・短期大学・専修学校等出身者の

県内就職を促進するほか、25 歳から 34 歳位の県外在住の若い社会人を主な対

象に、静岡県内へのUIJターンを促進します。

さらに、女性や高齢者などの働き手に合わせた多様で柔軟な就労スタイルを

取り入れたビジネスモデルを構築します。 【主な取組】

・中⼩企業の採⽤活動を⽀援するプラットフォームの構築 ・ICT、ロボット、IoTの活⽤など、⽣産性向上に向けた取組への⽀援 ・プロフェッショナル⼈材戦略拠点による⾼度⼈材の確保⽀援 ・30 歳前後の県外在住の若者の『30 歳になったら静岡県!』の第⼀歩を応援 ・⼥性等が働きやすいフレキシブルな就労スタイルモデルの構築

(2) 高度な知識と技術を持つ人づくり

人口の急速な減少やグローバル化、科学技術の進展などにより、求められる

人材も変化していることから、こうした社会情勢の変化に対応できる人材を育

成します。

このため、ライフステージに応じた職業能力開発の提供を行うとともに、企

業内の技能継承が円滑に進むよう職業訓練や検定制度の利用を促進するほか、

県民が技術・技能に身近に触れる機会を提供します。

戦略1 産業⼈材の確保・育成

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【主な取組】 ・技術専⾨校の短期⼤学校化、農林⼤学校の専⾨職⼤学化 ・ものづくり⼈材サポート拠点の整備 ・次世代⾃動⾞(EVなど)の技術開発を担う⼈材の育成 ・沼津⼯業⾼等専⾨学校と連携した医⽤機器開発⼈材の養成 ・静岡⼤学寄附講座でのCNF(セルロースナノファイバー)の研究開発を担う

⼈材の養成 ・全国規模の技能競技⼤会での上位⼊賞を⽬指す取組の⽀援 ・優れた技能を有する現役の技能者等の表彰

(3) 誰もがいきいきと働ける環境づくり

働く人の視点に立って従来の働き方や企業文化・風土を見直し、誰もが働き

がいをもって、いきいきと働けるよう、社会総がかりで働き方を見直します。

また、仕事と子育て、介護等を両立するため、ライフステージに応じていき

いきと働くことができる職場環境づくりを進めるとともに、若者、女性、高齢

者、障害のある人、外国人等の多様な人材の活躍支援に取り組みます。

【主な取組】 ・働き⽅改⾰を実践できる社内リーダーの養成と先進的な取組の発信 ・短時間勤務やテレワークなどを導⼊するためのアドバイザーの派遣 ・⼥性、外国⼈、⾼齢者、障害のある⼈等の多様な⼈材を活⽤し、商品・サービ

ス等の価値創造につなげている企業の情報発信、セミナー開催等による多様な⼈材の活⽤に取り組む企業の増加

・経済団体との連携による⼥性管理職の育成

(4) 郷土を担う子どもたちの「生きる道」としての仕事を学ぶ環境づくり

人々の生活を支える農林水産業、工業、商業等は、近年ますますその重要性

を増しています。本県産品の高い品質は、その生産や製造、サービスを担う

人々の匠の技に支えられていることから、子どもたちが農林水産業、工業、商

業等の現場を体験する機会をつくり、「ものづくり」や「農芸品生産」などの大

切さを真に学ぶ場をつくります。

また、子どもたちが、郷土の産業や企業の魅力を体験し、地域を支える仕事

の大切さを学ぶ中で、郷土を愛する心を育みます。

【主な取組】 ・「技芸を磨く実学」の⼤切さを知る体験の提供 ・プロフェッショナルな職業に触れる機会の提供 ・郷⼟の産業や仕事の魅⼒を体験できる学習機会の充実

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本県産業の基幹産業である自動車産業において、電気自動車(EV)化などが進

む中、本県経済が持続的に発展していくためには、技術革新に適応し、本県の強み

を活かしたイノベーションを促進することにより、未来につながる産業構造を構築

していく必要があります。また、産学官民の多様な立場の人が集まり、互いのアイ

デア、技術力、開発力などを持ち寄り、新しい製品、商品、サービスの開発や、既

存の製品、商品を高付加価値化する「オープンイノベーション」の考え方などを活

用して、新たな価値を創出していくことが重要です。

このため、本県独自の産業成長戦略に基づき、新産業集積クラスターの推進、リ

ーディングセクターとしての成長産業の創出や参入促進のためのプラットフォーム

の一層の充実、国内外からの企業誘致などに取り組みます。

(1) オープンイノベーションの推進による成長産業の育成・振興

① 静岡新産業集積クラスターの推進

本県は、地域の資源と特徴ある産業基盤を活かした農林水産業、製造業、観

光業などの多彩な産業が展開され、研究施設が多数集積しています。

この本県の特色ある「場の力」を活かして、ファルマバレー(医療・健康)、

フーズ・サイエンスヒルズ(食品等)、フォトンバレー(光・電子技術)の3つ

の産業集積プロジェクトを「静岡新産業集積クラスター」として推進し、県内

企業による新たな事業や製品の創出を促進するとともに、地域企業の人材育成

を支援します。

【主な取組】 ○ファルマバレープロジェクト

・「ファルマバレープロジェクト第3次戦略計画」の着実な推進、及び次期戦略 計画の策定

・中核⽀援機関(ファルマバレーセンター)の機能強化 ・地域企業の参⼊や研究開発、販路開拓までの切れ⽬ない⽀援の実施 ・ゲノム解析等の研究成果を活かした医薬品・医療機器開発の促進 ・オープンイノベーションに基づく新製品、新技術の開発促進 ・市町や⾦融機関などの関係機関との密接な連携による「ふじのくに先端医療総

合特区」の推進 ・⾼度産業⼈材の育成

○フーズ・サイエンスヒルズプロジェクト ・「フーズ・サイエンスヒルズプロジェクト第2次戦略計画」の着実な推進、及び

次期戦略計画の策定 ・中核⽀援機関(フーズ・サイエンスセンター)の機能強化 ・地域企業の研究開発から事業化、販路開拓までの切れ⽬ない⽀援の実施 ・⾷品加⼯技術の⾼度化への⽀援 ・「ヒト介⼊試験」、「システマティック・レビュー」の実施による新たな機能性⾷

品の開発⽀援 ・健康⾷品や化粧品などの多様な⾷品関連産業の育成 ・⾼度産業⼈材の育成

戦略2 次世代産業の創出・成⻑産業分野の参⼊促進

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○フォトンバレープロジェクト ・「フォトンビジョン」の着実な推進 ・中核⽀援機関((公財)浜松地域イノベーション推進機構)の機能強化 ・地域企業の参⼊や研究開発、販路開拓までの切れ⽬ない⽀援の実施 ・地域企業の光・電⼦技術の導⼊促進 ・「はままつ次世代光・健康医療産業創出拠点」が⾏う産学官による研究開発、

製品開発の⽀援 ・⾼度産業⼈材の育成

② 成長産業分野への地域企業の参入促進

地域企業の新規参入から製品開発、販路開拓までの一貫した支援、試験研究

機関の機能強化や国の研究機関との連携を図り、オープンイノベーションの下、

成長産業創出に向けたプラットフォームを充実・強化します。

また、国の研究機関が保有する技術シーズを活用して地域企業が行う研究開

発を支援します。

【主な取組】

・産学官⾦が連携した地域企業に対する事業化や販路開拓への⼀体的⽀援 <CNF(セルロースナノファイバー)関連産業分野>

・産学官の連携による研究開発や製品開発の⽀援、製造拠点の形成 <次世代⾃動⾞分野>

・EV(電気⾃動⾞)化や⾃動運転化などに対応するための、産業界や関係機関 と連携した地域企業の技術者養成、研究開発・事業化、販路開拓⽀援

<ロボット分野> ・サービスロボット分野の研究開発や事業化⽀援

<航空宇宙分野> ・ビジネスマッチングや、新規参⼊に必要な品質保証に係る認証取得⽀援 ・富⼠⼭静岡空港を活⽤したMROビジネスへの参⼊促進 ・ブラジル航空技術⼤学(ITA)と航空機メーカーとの連携強化 ・次世代無⼈航空機を活⽤したビジネスモデル創出

<環境分野> ・産業技術総合研究所が保有する⾼い技術シーズを活⽤した地域企業の共同研究

開発や事業化⽀援 ・中国への地域企業のビジネス展開⽀援

<新エネルギー分野> ・産業技術総合研究所が保有する⾼い技術シーズを活⽤した企業の共同研究開発

や事業化⽀援 <医療・福祉機器分野>

・ファルマバレープロジェクトやフォトンバレープロジェクトの取組を通じた地 域企業の研究開発や事業化⽀援

・国内外への販路開拓⽀援 <光関連技術分野>

・フォトンバレーを中⼼に、国や海外の研究機関と連携した研究開発、事業化⽀援 ・製品開発、販路開拓⽀援

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③ EVシフト等への自動車産業界と連携した対応 世界的に、ガソリン車やディーゼル車などの内燃機関車からモーターを動力

源とするEV(電気自動車)化へシフトする動きが急速に進んでいます。

このため、本県自動車関連企業に及ぼす影響に対し、自動車産業界や関連機

関と連携して対応します。

【主な取組】 ・EV(電気⾃動⾞)化の最新動向や県内産業への影響等の情報共有と様々なシ

フトに対応した対策の検討及び推進 ・部品や軽量化技術の開発、EV化・⾃動運転などに展開するための、研究開

発・事業化⽀援、検査機器等の整備 ・他産業から参⼊する企業への情報提供、研究開発・事業化⽀援 ・コア技術を有する企業と県内企業とのマッチング促進

④ AOI(アグリオープンイノベーション)プロジェクトの推進

AI(人工知能)、IoTなどICTをはじめとする科学技術の急速な発展に

より、農業は生産性革命というべき大きな変革期を迎えています。

この大変革期に対応し、農・食・健を総合した科学技術・産業において、産

学官金・農商工連携のオープンイノベーションにより、農業を軸とした関連産

業のビジネス展開を促進します。

【主な取組】 ○AOI(アグリオープンイノベーション)プロジェクト

・アグリオープンイノベーションの拠点であるAOI-PARC(アオイパーク)の研究環境の充実

・学術・研究機関と連携した栽培技術や育種技術の研究開発の推進 ・ビジネスマッチングやセミナーの開催など、AOIフォーラムの運営⽀援 ・農・⾷・健に関する研究開発に取り組む⺠間企業の事業化⽀援

○AI学習⽀援システムの開発と技術継承 ・AI(農業情報科学)学習⽀援システムを活⽤した栽培技術の「⾒える化」に

よる産地の栽培技術の向上、農業後継者の技術習得促進 ○農業⽤ロボットの開発

・農業現場のニーズ把握と製造業者への情報提供、マッチング⽀援 ・製造業者が⾏う農業⽤ロボットの商品化・事業化に向けた研究開発⽀援 ・農業⽤ロボットや無⼈航空機等を活⽤した⽣産性向上技術の開発及び技術の実証

⑤ 産業戦略推進センター「オープンイノベーション静岡」による地域企業の集

中的支援

平成 27 年2月に取りまとめた本県独自の産業成長戦略に基づき、平成 27 年

4月、新たな事業展開に挑む地域企業を官民協働でサポートするため立ち上げ

た産業戦略推進センター「オープンイノベーション静岡」において、優れた技

術や製品等を持ち、本県経済を牽引する可能性のある地域企業を集中的に支援

します。

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【主な取組】 ・「アドバイザリー・ボード」の開催による地域企業の集中的⽀援 ・産業⽀援機関と連携した売れる製品づくり・販路開拓⽀援 ・⼤企業のニーズと地域企業のシーズのマッチング⽀援

⑥ 地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業の促進

地域未来投資促進法に基づき、今後成長が期待される分野において、地域の

特性を生かして高い付加価値を創出し、地域に高い経済的波及効果を及ぼす

「地域経済牽引事業」の創出を促進します。

【主な取組】 ・地域経済牽引事業計画の作成促進、実⾏⽀援 ・地域経済牽引事業計画の⽴案から⽀援策活⽤までの⼀貫⽀援

(2) 国内外からの企業誘致・定着の推進

企業訪問、企業立地説明会の開催等により本県の立地環境の優位性をPRしな

がら、防災先進性や、新東名高速道路、富士山静岡空港などの充実したインフラ、

水資源等の本県の強みを活かした企業誘致・定着を積極的に推進し、大型投資案

件や技術開発の拠点であるマザー工場の本県への立地など、地域経済を牽引する

企業の集積を図ります。

また、ふじのくにフロンティア推進区域等における工業用地の造成や開発を支

援し、新たな企業誘致に取り組むとともに、県内に拠点を有する既存企業の定着

を促進します。

【主な取組】 ・⾸都圏、関⻄圏を中⼼とした投資意欲の⾼い企業への投資働きかけ ・設備投資への⽀援、⽴地環境の整備による、地域経済を牽引するマザー⼯場化

や拠点化⼯場の誘致 ・⽴地企業に対する補助⾦等⽀援策の活⽤による企業の設備投資の促進 ・⼯業⽤地確保のため、市町が実施する⽤地整備や⽤地開発への⽀援

(3) 次世代産業を牽引する研究開発の推進

県内産業の成長に貢献する分野横断研究を、産学官の連携を図りながら、総合

的な体制で推進します。

成長産業分野への参入や新製品開発に意欲的な地域企業の技術力強化を支援す

るため、これまでに蓄積したコア技術を活かしつつ、オープンイノベーションに

よる革新的技術を取り入れた研究開発を推進します。

【主な取組】 ・成⻑産業分野のコア技術の活⽤等、⾰新的技術を取り⼊れた研究開発の推進 ・県内成⻑産業の創出を⽀える新成⻑戦略研究の実施 ・⼤学や他の研究機関との連携強化 ・駿河湾等の多様な海洋⽣物資源を活⽤したマリンバイオテクノロジーを推進す

るための研究開発、産業応⽤の促進

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県内企業の 99.8%を占める中小企業、小規模企業は、本県経済の活力の源であり、

地域の産業や雇用を支える「地域の宝」として、重要な役割を果たしています。一

方、後継者不足による「大廃業時代」が叫ばれる中、中小企業等の経営基盤を強化

していく必要があります。

このため、中小企業・小規模企業の経営基盤の強化、経営革新計画等に基づく成

長産業分野への参入支援、デザイン産業やヘルスケア産業等サービス産業の振興な

どにより、中小企業や小規模企業の支援に取り組みます。

(1) 中小企業の経営基盤強化

① 中小企業者の経営革新等への取組の支援

中小企業者や中小企業者が連携して行う経営革新への取組を促進するため、

経営革新制度を周知するとともに、産業支援機関等と連携した計画の作成支援、

フォローアップを実施します。

また、中小企業の新事業展開や経営効率化等を促進し、経営力向上を図るた

め、中小企業者の組織化を支援します。

【主な取組】 ・中⼩企業者の経営⾰新への取組促進とフォローアップの強化 ・中⼩企業の組織化への⽀援 ・経営指導員の資質向上による企業への⾼度・専⾨的な経営指導

② 中小企業・小規模企業の持続的発展のための支援

静岡県中小企業・小規模企業振興基本条例の趣旨を踏まえ、経営力向上を図

るために工夫・改善による取組を実施する小規模企業を支援します。

また、下請企業の受注量の確保や、新たな取引先を開拓するため、下請中小

企業の受注拡大を支援します。

【主な取組】 ○新たな取組を実施する⼩規模企業の⽀援

・経営指導員等による⼩規模企業が新たな取組を⾏う案件の掘り起こし ○下請企業の受注拡⼤⽀援

・受発注企業双⽅のニーズを把握した、効果的な取引あっせんの実施 ・県内外での商談会の開催や、新規取引先の開拓⽀援 ・発注企業の訪問や講習会開催による下請関係法令の周知

③ ICT、IoT等を活用した生産性の向上

「静岡県IoT活用研究会」が開催するセミナー等により、企業のIoTの

利活用を促進し、中小企業の生産性向上や経営力の強化を図ります。

【主な取組】 ・静岡県IoT 活⽤研究会が開催するセミナー、ビジネスマッチング、実証実験等

を通じた IoT利活⽤の促進

戦略3 産業基盤の強化 戦略3 中⼩企業・⼩規模企業の経営基盤強化

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④ 地場産業の振興

繊維、家具、紙・パルプなどの地場産業を振興するため、地域に根ざした技

術、素材を用いた高付加価値のものづくりと、ブランド化を図るための情報発

信、販路開拓を促進します。

【主な取組】 ・地場産業や伝統⼯芸品にデザインを活⽤したものづくり、販路開拓等への⽀援 ・静岡⽂化芸術⼤学と連携した、伝統⼯芸品にデザイン等を活⽤する新たな取組

への⽀援 ・産業デザインに係る技術相談、専⾨家派遣による⽀援

⑤ デザイン産業の振興

デザイン思考による商品企画や独自の製品づくりが求められていることから、

「静岡県デザイン産業振興プラン」に基づき、中小企業のデザイン活用を進め、

地域のデザイン産業の振興と集積を促進します。

【主な取組】 ・「グッドデザインしずおか」による顕彰、販路開拓⽀援 ・デザイナーバンクの管理・運営によるデザイナーが活動しやすい環境整備 ・デザイン⽀援センターの設置検討

⑥ 新たなサービス産業の振興

雇用創出などの地域経済への寄与と県民の健康長寿への貢献が期待されるヘ

ルスケア産業の振興等により、新たなサービス産業を創出します。

また、サービス産業の生産性の向上により、県内のサービス産業全体を底上

げします。

【主な取組】 ・静岡県ヘルスケア産業振興協議会を中⼼としたヘルスケア関連事業の創出・拡

⼤⽀援 ・専⾨家等と連携したサービス産業の⽣産性向上等に向けた取組⽀援

⑦ 創業者やベンチャー企業等の育成

市町等が行う創業支援の取組を支援するほか、商工団体・金融機関などの創

業支援機関と連携し、県外・海外市場を目指す成長志向の創業者に対し、成長

軌道に乗せるための支援を行います。

【主な取組】 ・広域展開・成⻑志向のある創業者への伴⾛型⽀援の実施 ・産業⽀援機関、⾦融機関等とのネットワーク強化 ・開業パワーアップ資⾦の新規創業者の保証料軽減

⑧ 事業承継の促進

後継者不足による中小企業等の廃業を防止し、円滑な事業承継を促進するた

め、商工団体・金融機関などによる「静岡県事業承継ネットワーク」を通じて

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国と連携しながら、事業承継診断の実施と支援を行います。

【主な取組】 ・事業承継診断の実施、情報提供 ・事業承継⽀援機関等との連携強化

⑨ 中小企業・小規模企業のライフステージに応じた資金調達支援

中小企業や小規模企業等が、創業から事業拡大、事業承継・再生など、様々

なライフステージに応じて資金調達できるよう、県制度融資を適時適切に提供

します。また、急激な経済変動など、中小企業等を取り巻く経営環境にも適時

適切に対応します。

さらに、県制度融資を一層周知するとともに、中小企業や小規模企業をはじ

めとした現場の意見、要望等の積極的な聴取により、県制度融資の新たなニー

ズを把握し、適時適切な見直しや拡充を図ります。

【主な取組】 ・成⻑産業分野資⾦や事業承継資⾦など、企業のライフステージに応じた適時適

切な県制度融資メニューの提供 ・⾦融情報交換会、出前説明会等による意⾒聴取

⑩ 事業所の事業継続計画(BCP)策定等の取組支援

災害等の不測の事態に対応するため、事業継続計画(BCP)の普及啓発や

策定・運用に向けた先進情報等の提供を行い、BCPの実効性の向上を支援し

ます。

【主な取組】 ・商⼯団体等との連携によるBCPセミナーの開催 ・専⾨家の派遣、指導者の養成等によるBCPの策定・運⽤⽀援 ・企業⽴地に対する補助制度や県制度融資による県内企業の事業継続に係る取組

⽀援

(2) 地域産業を牽引する研究開発の推進

県内産業の成長に貢献する分野横断研究を、産学官の連携を図りながら、総合

的な体制で推進します。

中小企業等の競争力を強化するため、企業ニーズに対応した研究開発、技術指

導や依頼試験などに取り組みます。

【主な取組】 ・企業ニーズに対応した研究開発の推進 ・県内成⻑産業の創出を⽀える新成⻑戦略研究の実施【再掲】 ・⼤学や他の研究機関との連携強化【再掲】

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本県は、温暖な気候や豊かな自然といった「場の力」を活かし、多彩で高品質な

農林水産物が生産されていますが、国内外との競争を見据えた生産性、収益性の向

上や、担い手の確保などが課題となっています。

このため、世界水準の農芸品の生産力強化と販路拡大、担い手の確保・育成、農

林水産文化の復興による農山漁村の再生などに取り組み、農林水産業の革新と再生

を図ります。

(1) 農芸品の生産力強化と販路拡大

① AOI(アグリオープンイノベーション)プロジェクトの推進【再掲】

AI(人工知能)、IoTなどICTをはじめとする科学技術の急速な発展に

より、農業は生産性革命というべき大きな変革期を迎えています。

この大変革期に対応し、農・食・健を総合した科学技術・産業において、産学

官金・農商工連携のオープンイノベーションにより、農業を軸とした関連産業の

ビジネス展開を促進します。

【主な取組】 ○AOI(アグリオープンイノベーション)プロジェクト

・アグリオープンイノベーションの拠点であるAOI-PARC(アオイパー ク)の研究環境の充実

・学術・研究機関と連携した栽培技術や育種技術の研究開発の推進 ・ビジネスマッチングやセミナーの開催など、AOIフォーラムの運営⽀援 ・農・⾷・健に関する研究開発に取り組む⺠間企業の事業化⽀援

○AI学習⽀援システムの開発と技術継承 ・AI(農業情報科学)学習⽀援システムを活⽤した栽培技術の「⾒える化」に

よる産地の栽培技術の向上、農業後継者の技術習得促進 ○農業⽤ロボットの開発

・農業現場のニーズ把握と製造業者への情報提供、マッチング⽀援 ・製造業者が⾏う農業⽤ロボットの商品化・事業化に向けた研究開発⽀援

・農業⽤ロボットや無⼈航空機等を活⽤した⽣産性向上技術の開発及び技術の 実証

② 土地利用型農業の生産性向上と規模拡大

総農家数の減少が今後も予想される中、農業生産を維持・発展させていくた

め、農地中間管理機構等を活用し、担い手への農地集積を加速化するとともに、

荒廃化のおそれのある農地は貸付等により荒廃化を防ぎ、地域の中心となる経

営体に農地を面的に集積・集約します。

【主な取組】 ・農地中間管理機構を活⽤した担い⼿への農地集積 ・荒廃農地の再⽣⽀援、再⽣困難な荒廃農地の⾮農地化の推進 ・⽔⽥を活⽤したレタス栽培の拡⼤など、新たな加⼯・業務⽤野菜の導⼊促進 ・茶産地の地域の特性に応じた⽣産体制への転換⽀援 ・品種、省⼒栽培技術、温暖化対策技術等の開発・普及による果樹産地の⽣産性

向上

戦略4 農林⽔産分野のルネサンス(「⽂化」の⼒・「⾰新」の⼒)

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③ 施設園芸拠点や畜産クラスターの整備による生産拡大

国内の施設野菜や畜産物の需要が伸びていることから、市場ニーズが高く、

本県の強みである農芸品を中心に、新たな生産施設の整備による規模拡大の促

進や、畜産経営の規模拡大の加速化に取り組みます。

【主な取組】 ・新たな⽣産施設の整備によるイチゴ、トマト、葉菜類等の⽣産拡⼤ ・⾼度環境制御(温度、湿度、⽇射量等)などの新技術の導⼊による⽣産性向上 ・既存畜産農家の規模拡⼤

④ 県産材の安定供給体制の確立と県産材の需要拡大

ニーズに応じた県産材の安定供給体制の確立や、県産材製品の需要拡大によ

り、森林資源の循環利用による林業の成長産業化を進めます。

【主な取組】 ・森林施業の集約化の促進、路網の整備と機械化の促進 ・低コスト主伐・再造林システムの確⽴、優良品種(エリートツリー)苗⽊の⽣

産 ・県産材流通のためのプラットフォームの構築 ・森林認証林の拡⼤ ・住宅分野・⾮住宅分野での利⽤拡⼤、県産材製品の販路拡⼤

⑤ 生産・流通・消費の好循環を生み出す水産物の流通改革

県内各地域で多様な漁業が営まれるとともに、特色ある水産加工品が生産さ

れる中で、漁業所得の向上を図るため、6次産業化の推進や、水産物の新たな

流通体制の構築、漁場の基盤整備、効果的な資源管理対策に取り組みます。

【主な取組】 ・未利⽤⿂の活⽤など、地場⽔産物の6次産業化の推進 ・⽔産物の⾼付加価値化の取組など、ブランド化の推進 ・国内・海外からの多数の観光客を取り込む地場⽔産物の新たな流通体制の構築 ・流通加⼯施設等の整備 ・⽔産資源の適切な管理に向けた新たな仕組みづくり

⑥ 県産品のブランド化と販路拡大

国内外における県産品の販売力を強化するため、本県農林水産物の高い品質

や特徴を活かしブランド力の強化に取り組みます。

【主な取組】 ・海外販路拡⼤にチャレンジする事業者の⽀援・育成 ・⾸都圏の新たなマーケットにおける県産品の販路拡⼤ ・地産地消の推進 ・地域のモデルとなる⾰新的取組を⾏う農産物直売所の⽀援 ・⾸都圏における情報発信と収集の拠点となる「(仮)ふじのくにショールーム」

の整備 ・GAP(農業⽣産⼯程管理)認証取得の推進 ・機能性表⽰や地理的表⽰等を活⽤した販路拡⼤

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⑦ 6次産業化による高付加価値化

地域で生産されたものを地域で使うことを基本に、1次産業と2次産業、3

次産業を融合させる6次産業化を推進するとともに、農林漁業者と商工業者と

のマッチング支援等による大規模化の推進、新商品開発や販路開拓を促進しま

す。

【主な取組】 ・6次産業化サポートセンターによる新商品開発や販路開拓⽀援 ・事業者のマッチング⽀援、基⾦等を活⽤した⼤規模な6次産業化の推進 ・研修会の開催による経営感覚を持った6次産業化事業者の育成 ・展⽰商談会の開催や商談会への出展機会の提供

(2) 担い手の確保・育成

① 次代を担う農業経営体の育成

担い手の高齢化や廃業が進む一方、農業経営の法人化や規模拡大により人材

ニーズが変化し、現場の即戦力となる技術や経営管理能力を持った人材が求め

られていることから、青年の新規就農の促進と定着を支援するとともに、職業

教育の充実を図ります。

【主な取組】 ・⾮農家出⾝者(ニューファーマー)の⾃⽴就農⽀援や農家後継者の新分野進出

促進などによる⼈材育成 ・農業法⼈や新規就農に向けた就職促進 ・農林⼤学校の専⾨職⼤学への移⾏【再掲】 ・若⼿⼥性農業者のネットワークの構築 ・コンサルティング⼿法を取り⼊れたビジネス経営体への伴⾛型経営⽀援

② ビジネス林業の定着

林業作業員の高齢化や、森林技術者の人手不足が見込まれることから、林業

事業体などの経営改革を促進するとともに、林業への新規就業の促進や、林業

技術者の能力向上を図ります。

【主な取組】 ・ビジネス林業に取り組む事業体に対する⽣産性向上に向けた⽀援 ・林業への新規就業の促進、森林技術者等の技術習得⽀援

③ 次世代の漁業を担う人・組織づくり

漁業就業者数は、長期的な減少傾向にあることから、次世代を担う質の高い

漁業就業者の確保、育成、定着に取り組みます。

【主な取組】 ・漁業⾼等学園における後継者の養成 ・新規漁業⼠の認定と漁業⼠会活動の⽀援

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(3) 農山漁村の再生 ① 農山村地域の魅力を活かした交流促進

農山村で、美しく豊かな自然と調和した暮らし方ができることは、本県の大

きな魅力である一方、農山村の維持・活性化も課題となっていることから、地

域農産物の魅力を伝える農業者を育成し、地域・産地のブランド力の向上を図

るとともに、地域資源を生かして国内外から誘客を促進するなど、地域活性化

に向けた活動を支援します。

【主な取組】 ・地域農産物の魅⼒を伝える農業者の育成に取り組む地域の⽀援 ・世界農業遺産「静岡の茶草場農法」を活⽤した関連商品の価値や魅⼒のPRな

ど、農法実践地区の活性化 ・「静岡わさび」の情報発信⼒の強化、わさび⽥保全意識の醸成

② 森林の適正な整備・保全

大規模地震や津波、山地災害などの自然災害から、県民のかけがえのない生

命、身体及び財産を守るため、森林の適正な整備・保全を図ります。

【主な取組】 ・⼭地等災害の早期復旧と被災の軽減、荒廃森林の再⽣ ・保安林の適正な配備と機能の向上、ふじのくに森の防潮堤づくりの推進

③ 浜の回遊

地場水産物の認知度向上のため、漁業直営食堂の運営の支援や賑わいイベン

トを推進し、浜への回遊の拡大を図ります。

【主な取組】 ・漁協直営⾷堂の運営⽀援や賑わいイベントの推進 ・⿂⾷普及の推進

(4) 都づくり ① 「食の都」づくり

本県は多彩で高品質な農林水産物を生産する「食材の王国」です。この「場

の力」を活かし、地産地消や和の食文化の普及を核とした県産農林水産物の需

要創出と消費拡大を図るため、国内外から人々を惹きつけ憧れを集める「食の

都」づくりに取り組みます。

【主な取組】 ・「しずおか⾷セレクション」、「ふじのくに新商品セレクション」のPR、販路拡

⼤⽀援 ・「⾷の都」づくりの推進役となる仕事⼈の表彰 ・仕事⼈、⽣産者、⾷品事業者、関係団体・⾏政等が連携する⾷に関するネット

ワークの形成⽀援 ・和の食文化の普及

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② 「茶の都」づくり

本県は、県内全域において茶が生産され、茶に関する匠の技、歴史資産、茶

文化施設など多彩で豊富な資源を有しています。この「場の力」を活かし、茶

の「文化」「学術」「生活」「産業」「観光」等の視点から、お茶の持つ魅力を磨

き、県民がお茶で心や体が健やかになり、多くの方が集う「茶の都」の実現に

取り組みます。

【主な取組】 ・「ふじのくに茶の都ミュージアム」を活⽤した情報収集、調査研究、体験プログ

ラムの実施 ・国内外における静岡茶の魅⼒情報の発信⽀援 ・国内の消費者ニーズに合ったお茶の商品開発と販路拡⼤、海外のニーズにマッ

チした抹茶等の販路拡⼤ ・静岡茶の愛飲の促進

③ 「花の都」づくり

本県は、全国屈指の花の生産県で、花を楽しめる施設や名所、花に関わる人

材も豊富です。この「場の力」を活かして、新たな花の需要の創出や花き生産

の振興を図り、暮らしのさまざまな場面で花と緑があふれる「花の都」の実現

に取り組みます。

【主な取組】 ・地域や企業等での花・緑の利活⽤の推進 ・若い世代が花に関⼼を持ち、⾝近に感じる機会の創出 ・花きの販路拡⼤に向けた商談会の開催 ・新品⽬の現地栽培実証及び⾯積拡⼤⽀援

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人口減少に伴い、国内市場が縮小していく中、本県の農林水産業や製造業の持続

的な成長のためには、成長を続けるアジアなどの新興国をはじめとした海外市場を

取り込んでいくことが重要です。

このため、平成 29 年2月に策定した「ふじのくにマーケティング戦略」に基づく

県産品の輸出拡大や、地域企業の海外展開支援などにより、通商を拡大し、海外活

力の取り込みを図ります。

(1) 県産品の輸出拡大

経済発展により需要の増加が見込まれるアジアの新興国などを中心に、国や地

域に応じた戦略的な販路拡大に取り組むとともに、輸出拡大に取り組む産地の取

組を支援します。

【主な取組】 ・マーケティング戦略に基づく農芸品の輸出拡⼤ ・県内農業経営体の GAP に対する意識向上と GAP 認証の取得⽀援 ・海外販路拡⼤にチャレンジする事業者の⽀援・育成【再掲】 ・輸出コーディネーターによる商社機能プラットフォームの構築 ・輸出⽤静岡茶の⽣産拡⼤⽀援、アメリカ・EU等を対象とした輸出の⽀援 ・海外における温室メロンのニーズ把握、アジア圏への輸出拡⼤促進 ・「静岡わさび」のブランド⼒強化、海外ニーズにあったわさびの⽣産・加⼯・流

通体制の構築

(2) 県内企業の海外展開支援

アジア等を中心とした新たな需要の獲得に向けた地域企業の海外展開や、販路

開拓を支援するため、海外派遣人材の育成や海外展開に関するコンサルティング、

ビジネスサポートデスクの設置による現地での支援体制などを拡充します。

【主な取組】 ・JETRO 等と連携した相談窓⼝開設、セミナー開催⽀援 ・海外⾒本市の出展⽀援、海外特許取得⽀援 ・MOU(覚書)の調印等による、双⽅の地域に利益が期待できる経済分野での

パートナーシップの構築 (3) 海外経済ミッション等の受入れ等による海外活力の取り込み

海外からの企業関係者などによる経済ミッションを積極的に受け入れ、経済交

流を推進するとともに、海外の大学との連携強化による、企業ニーズを踏まえた

ビジネスインターン生の受入れなど、企業の海外人材の確保を支援し、海外活力

を取り込みます。

【主な取組】 ・海外経済ミッションの受⼊れ ・海外展開⽀援機関のネットワーク化

戦略5 通商の拡⼤と海外活⼒の取り込み

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エネルギーを取り巻く環境の激変により、従来の一極集中型から、災害に強い小

規模分散型のエネルギー供給体系を構築する必要があります。このため、本県の多

様な地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入促進や、エネルギーの効率利用

による省エネルギー社会の形成、エネルギー産業の振興による地域経済の活性化に

より、エネルギーの地産地消を推進します。

(1) 再生可能エネルギーの導入促進

恵まれた日照環境を活かした太陽光などをはじめ、再生可能エネルギーの導入

が着実に増加しています。今後も、多様な地域資源を活用した小水力、バイオマ

ス、温泉エネルギーなど、その種類に応じた特性や普及の状況を踏まえ、再生可

能エネルギーの導入を進めます。

【主な取組】 ・新エネルギー(太陽光、太陽熱、⾵⼒、バイオマス、中⼩⽔⼒、温泉エネル

ギー等)の導⼊⽀援 ・⽔素エネルギーの普及⽀援

(2) 省エネルギー社会の形成

エネルギーの地産地消を進めるため、各家庭や事業所における省エネルギー、

ライフスタイル・ビジネススタイルの変革及び運輸部門の省エネ化等により省エ

ネルギー社会を形成し、効率的なエネルギー利用に取り組みます。

【主な取組】 ・電気⾃動⾞⽤充電器、⽔素ステーションの整備

(3) エネルギー産業の振興

エネルギーコストの低減、エネルギーの安定供給等を通じた地域経済の活性化

を図るため、地域企業によるエネルギー関連産業への参入促進などに取り組みま

す。

【主な取組】 ・⼩型バイオマスプラントの事業化と普及 ・地産地消型バーチャルパワープラントの構築

戦略6 エネルギーの地産地消の推進

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分 野 編【 就 業 ⽀ 援 編 】

基本方向 活躍しやすい環境の整備と働き方改革 雇用情勢が改善される一方、生産年齢人口の減少や少子高齢化の進行などにより、多くの職種

で人材不足が顕在化しています。また、ライフスタイルや就労環境の多様化が進み、働き方改革

の実現が求められています。

このため、県内出身者の県内企業への就職支援やUIJターン就職の促進、仕事と家庭の両立

や働き方の見直し支援、女性や高齢者などの多様な人材の活躍促進などにより、誰もが活躍でき

る環境の整備を進めます。

(1) 県内産業の成長を担う人材の確保

≪現状・課題≫

○ 近年、景気が回復傾向を示す中で、多くの産業分野で人材不足が深刻化し、とりわけ、中小

企業においてより深刻になっており、ビジネスチャンスの喪失など企業の成長を阻む要因と

なりかねない状況となっています。

○ 本県の大学進学者の約7割が県外の大学に進学していますが、Uターン就職率は約4割となっ

ています。また、県内大学出身者の県内就職は約6割弱に留まっており、大都市圏からのU・

Iターン就職や県内大学出身者の県内就職を促進していく必要があります。

≪取組の方向≫

○ 県内大学・短期大学・専修学校・高校新卒者等の県内就職(定着)を支援します。

○ 県内出身の大学生・専修学校生等のUターンを促進し、県内企業への就職を支援します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

県内出⾝⼤学⽣のUターン就職率 (2016 年度) 39.1%

(2021 年度) 43.0% ○ 成

果指標 障害者雇⽤率 (2017 年度)

1.97% (2021 年度)

2.30% ○

静岡U・Ⅰターン就職サポートセンター新規登録者数(学⽣)

(2016 年度) 1,136 ⼈

(2021 年度) 1,800 ⼈ ○

⼤学等との就職⽀援協定締結数 (2016 年度) 15 校

(2021 年度) 30 校 ○

静岡U・Ⅰターン就職サポートセンター新規登録者数(社会⼈)

(2016 年度) 196 ⼈

(2021 年度) 300 ⼈ ○

ハローワークにおける 65 歳以上の⾼齢者の就職者数

(2016 年度) 2,954 ⼈

(2021 年度) 4,000 ⼈ ○

活動指標

障害者雇⽤推進コーディネーター⽀援による就職者数

(2016 年度) 398 ⼈

(2021 年度) 500 ⼈ ○

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≪主な取組≫

① 新規学卒者等の県内就職支援

ア 企業の人材確保支援

・ 産業界、労働界、教育界、国、市町等からなる「静岡県産業人材確保・育成対策県民会

議」を中心に、官民挙げて産業人材の確保・育成に取り組むとともに、県庁内において

は、タスクフォースを設置し、部局横断的に「産業人材確保・育成プラン」の推進に取

り組みます。

・ 「人材確保プラットフォーム」を構築し、①中小企業等の採用活動支援、②プロフェッ

ショナル人材の中小企業等への紹介、③高校生就職支援など、プラットフォームに配置

したコーディネーター等による、総合的な支援を実施します。

・ 国(労働局)などとの協力体制をこれまで以上に強め、ハローワークなどと連携して、

就職面接会や相談会を重点的に実施します。

・ 県内企業の採用力を高めるため、「中小企業のための人材確保力向上セミナー」等、多

様な採用活動に役立つセミナーや個別相談会を実施するとともに、首都圏での個別説明

会の会場提供を行うなど、特に中小企業等の弱点となっている採用活動への支援を強化

します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

中小企業を支援するプラットフォームの構築

中小企業と求職者を結びつけるコーディネーター等の配置

14人配置 効果検証、再構築

イ 大学・短期大学・専修学校・高校新卒者等の県内就職促進

・ 県内3か所の「しずおかジョブステーション」、首都圏の「静岡U・Iターン就職サポ

ートセンター」を中心に、個別の就職相談や企業紹介、就職応援セミナー等を実施し、

県内企業の持つ高い技術力や将来性、職場環境などの企業情報とともに、県の施策によ

り県内へ就職された方の協力を得るなどして、本県の暮らしやすさや地域の魅力を、効

果的に発信し、大都市圏からのU・Iターン就職や県内大学・短期大学・専修学校等出

身者の県内就職を促進します。

・ 県内出身学生が多く進学している県外大学との「就職支援協定」の締結を進め 、協定

締結大学における「静岡県への就職ガイダンス」や「保護者会」へのアプローチを拡充

するとともに、大学の就職相談窓口等の担当者を対象としたバスツアーの実施などによ

り、一過性に終わらない取組を強化し、本県出身学生の県内企業への就職を促進します。

・ 就職支援協定を締結している大学などを中心に、県内企業で働く大学OB・OGのガイ

ダンス等への参加を増やすとともに、県内企業に対しOB・OG訪問の受入れへの協力

を働き掛け、学生の本県へのUターン就職を促進します。

・ 本県の就職支援サイト「しずおか就職net」において、県内の企業情報や採用情報、

さらには、「本県の暮らしやすさや地域の魅力、生涯収支モデルプラン」など、首都圏

等と比較して「強み」となる新しい本県の情報を発信することで、学生への訴求力を強

化するとともに、関係機関と連携して、学生と若手社員の交流会等、学生と県内企業を

結びつける機会を提供します。

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・ 学生に県内企業で働くイメージを持ってもらうため、インターンシップ参加を促進する

ためのマッチング会等を県内及び首都圏等で実施します。

・ 県内大学卒業生の県内就職を促進するため、地域の雇用創出や学卒者の地元定着率の向

上を図るとともに、地域が求める人材育成のための教育改革を行う「地(知)の拠点大

学による地域創生推進事業」(COC+)に取り組む静岡大学等と連携し、インターン

シップ説明会や県内市町による就職支援相談会を開催します。

・ 県内大学の県外出身の学生に対しても、官民が連携して本県の魅力や質の高い企業情報

を積極的に提供する機会を創出し、県内への就職を促す取組を推進します。

・ 学生の保護者に対して県内就職への理解を深めていただくため、大学の保護者会やセミ

ナー等の機会を増やし、県内企業の魅力や県内就職の支援策を丁寧に紹介するなど、学

生の県内就職を促進します。

2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

県内大学生の県内就職支援

首都圏等学生のUIJターン就職促進

就職支援協定を活用したUIJターン就職促進

学生の職業意識の醸成

県内企業等の情報発信

企業説明会、就職面接会、保護者セミナー等の開催

年15回以上開催

静岡U・Iターンサポートセンターによるセミナー、相談会等の開催

年17回以上開催

協定大学訪問、学内セミナーの開催

大学訪問:46回実施セミナー:23回開催

インターンシップに係る企業向けセミナー、学生向けセミナー、マッチング会の開催

年10回開催

大学訪問:54回実施セミナー:27回開催

大学訪問:62回実施セミナー:31回開催

大学訪問:62回実施セミナー:31回開催

「しずおか就職net」等での企業情報・県の魅力等の発信、学生と企業の交流会等の開催

広報活動通年実施

② 社会人のUIJターン促進

・ 首都圏に開設している「静岡U・Iターン就職サポートセンター」を中心に、個別相談や

県内企業の紹介等を行うとともに、アウトリーチ型の企業と移住・転職希望者とが直接面

談する機会を提供し、県外居住者の県内企業への就職を促進します。

・ 県内への移住・就職希望者の利便性を確保するため、「静岡県移住相談センター」にキャ

リアカウンセラーを配置し、ワンストップによる移住・就職相談を実施します。

・ 「転職」を考える時期となる 25 歳~34 歳位の県外居住の若い社会人に、努力をすれば自

らの夢を実現し、幸福を実感できる舞台としての本県の大きな「魅力(暮らしやすさや生

涯収支モデルプランなど)」や「場の力(ポテンシャル)」をSNSなどの情報媒体や同窓

会のネットワークを通じて届け、若者の『30歳になったら静岡県!』の第一歩を応援しま

す。

・ 「静岡県移住相談センター」などと連携して本県の魅力を的確に発信し、40歳になっても、

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30

就職困難者等への一貫した就職支援

2020(H32)取組 2021(H33)2018(H30) 2019(H31)

しずおかジョブステーションにおける就職相談、セミナーの開催

利用者数:18,000人/年

50歳になっても、自らの生きがいや自己実現の舞台、静岡県への移住・転職を促進します。

・ 県内企業へのプロフェッショナル人材の就職を促進するため、プロフェッショナル人材戦

略拠点による県内企業の人材ニーズの掘り起こしと求人情報の民間人材事業者への取り繋

ぎを行います。

30歳前後の若者のUターン就職促進

移住・定住支援と併せた県内企業への就職支援

プロフェッショナル人材の県内企業への就職支援

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30)

マッチングイベント・セミナー等の開催

年8回実施

プロフェッショナル人材戦略拠点の運営

相談件数:年400件 成約件数:年90件

相談員2人配置

県移住相談センターと連携した就職相談・県内企業の紹介

③ 多様な人材と企業のマッチング

ア 全体

・ しずおかジョブステーションにおいて学生、若者、中高年齢者、女性、ニートといった

就職困難者等を対象に、就職相談からセミナー、職業紹介まできめ細かな就職支援を行

います。また、世代に応じた起業等に関する相談、情報提供を行います。

・ 経営者や人事担当者を対象に「ダイバーシティ経営」について学ぶセミナーを開催し、

女性、高齢者、外国人などの多様な人材の活躍に取り組む企業を増やします。

・ 時間や体力に制約のある女性や高齢者の活躍を促進するため、モデル企業などを通じた

働く人に合わせた就労スタイルづくりに取り組みます。

・ 多様な人材が活躍できる職場づくりを実践している企業の好事例や、ロールモデルとな

る働き方を情報発信し、他の企業の取組を促します。

・ 育児や介護、病気の治療により働く時間に制約が生じやすい女性や高齢者などの働き手

に合わせた多様で柔軟な就労スタイルを取り入れたビジネスモデルを構築します。

イ 女性

・ 企業における女性活躍の取組を推進するため、経営者や人事労務管理者等が女性の就業

や登用促進に対する経営的メリットへの理解を深め、自ら実践できるよう、働き掛け・

啓発を行います。

・ 女性等が働きやすい職場環境づくりを促進するため、アドバイザー派遣等により、女性

活躍推進法に基づく行動計画の策定等を支援します。

・ 多様な職種への配置や役職者への登用など、女性の多様な就労スタイルを活かしたビジ

ネスモデルの構築を支援します。

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・ 女性の活躍促進に取り組む企業を増やすため、「女性の職業生活における活躍の推進に

関する法律」や同法に係る認定制度「えるぼし認定」の普及を図ります。

・ 多様な分野で活躍しているロールモデルとなる女性の働き方を情報発信します。

・ 働く意欲のある女性の就職をきめ細かく支援するため、「しずおかジョブステーショ

ン」において子育て中などの状況に応じて就職相談・カウンセリングやセミナー等を実

施します。

・ 「しずおかジョブステーション」において、女性を積極的に採用する企業の開拓と職場

見学、職場体験のマッチングを支援します。

ウ 高齢者

・ 高齢者が持つ専門知識や技術、経験等を活かした就職を支援するため、「しずおかジョ

ブステーション」において、きめ細かな就職相談を実施します。

・ 高年齢者等を対象とした人材データベース「シニア等人材バンク」を活用し、就職を希

望する高年齢者と県内企業とのマッチングを促進します。

・ 企業と高齢者それぞれに対して働き方を提案するため、企業に対する活躍事例の紹介や、

高齢者に対する就職セミナーやガイダンスを開催します。

・ 企業に対しシルバー人材センターの人材派遣事業の活用を提案します。

・ 高齢者の多様な就労や社会参加を促進するため、就職や起業、事業承継等に関する相談

や情報提供を行います。また、シルバー人材センターの健全な運営の支援を行います。

120人 130人

2021(H33)

シニア向け就労支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

100人 110人

しずおかジョブステーションにおけるシニア向けセミナー参加者数

エ 障害のある人

・ 障害のある人の就労を支援するため、企業及び障害のある人に対し、求人開拓からマッ

チングまでを一元的に実施する障害者雇用推進コーディネーターを県内各地に配置しま

す。

・ 障害のある人と企業とのマッチングを促進するため、静岡労働局と連携し、障害者就職

面接会を開催します。

・ 障害者福祉・雇用に関係する機関が連携し、企業と障害のある人の就労についての意識

や課題の共有化を図り、障害のある人が就業移行支援事業所等から一般企業により一層

就労できるよう支援します。

2021(H33)

仕事と子育て・介護の両立支援

女性の活躍促進

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

役職候補者向けセミナー:年4回

アドバイザーの派遣

女性役職者育成セミナーの開催

アドバイザー派遣:年80社

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・ 精神障害のある人の雇用についての理解を促進するため、農業分野における職業訓練プ

ログラムを開発するとともに、精神障害者雇用アドバイザーを配置します。

400人 425人 450人 500人

2021(H33)

障害者雇用推進コーディネーターによる就職支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

障害者雇用推進コーディネーターによる就職者数

オ 外国人

・ 外国人の就労を支援するため、「しずおかジョブステーション西部」にポルトガル語通

訳を配置し、就職サポーターと連携した就職相談やカウンセリグ等を行います。

・ 就労意欲の高い定住外国人と、定住外国人を長期雇用したい企業を対象に、新たな就

業・定着支援の仕組みを構築し、その普及を図ります。

・ 外国人の雇用促進については、現行の法制度の趣旨を尊重しつつ、本県内の先進事例は

もとより、他県の取組なども参考としつつ、具体的な制度設計を検討します。

2021(H33)

定住外国人の就労支援

2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)取組

しずおかジョブステーションにおける就労相談・セミナーの開催

利用者数:800人/年

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(2) 高度な知識と技術を持つ人材の育成

≪現状・課題≫

○ 生産年齢人口が減少する中、生産性が高く、技術革新や社会のニーズの変化に対応できる、

確かな技術・技能を持った人材の育成が求められています。

○ 製造業就業者の高齢化や、若者の製造業離れが進み、長年培われてきたものづくり技能の次世

代への継承が課題となっています。

≪取組の方向≫

○ 技術革新や企業ニーズに対応し、成長産業や地域企業を支える高度な知識と技術を持つ人材を

育成します。

○ 優れた技術・技能を尊重する社会の実現を目指します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画成果指標

技術専⾨校修了⽣の就職率 (2016 年度) 100%

(2021 年度) 100%

県⽴技術専⾨校の在職者訓練受講者数

(2016 年度) 2,331 ⼈

(2021 年度) 3,400 ⼈ ○ 活

動指標 WAZAチャレンジ教室参加者数 (2013〜2016 年度)

累計9,073 ⼈ (2018〜2021 年度)

累計9,600 ⼈ ○

≪主な取組≫

① 社会の変化に対応できる能力の習得

ア 技術専門校の短期大学校化

・ 本県産業の基盤を支え、技術の進歩や産業構造の変化に対応できる技術力を有する人材

を育成するため、職業訓練の内容を高度化します。

・ 具体的には、清水技術専門校と沼津技術専門校を短期大学校化し、製造現場で必要な技

能と生産技術を併せ持った人材を養成します。

・ グローバル化への対応のため、外国人留学生の受入れ、英語教育の導入を進めます。

・ 企業・大学等教育機関・産業界と連携して支援組織を作り、企業OBや在職者の講師派

遣、地元経営者等による講座の開催などの協力関係を築きます。

・ 訓練指導員の資質向上を図るため、職業能力開発総合大学校や民間企業への派遣研修等

を行うとともに、訓練指導方法の向上を図るため、ポリテクセンターや民間企業等との

情報共有や合同研修等を実施します。

2020(H32)

技術専門校の短期大学校化

2018(H30) 2019(H31)取組 2021(H33)

設計

短期大学校の整備

施設整備 開校

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イ 在職技術者のスキルアップ支援

・ 企業の成長産業分野への進出を支援するため、今後成長が見込まれる分野における訓練

を実施します。

・ 企業のニーズに対応した技術者・技能者の育成のため、レディメイド型やオーダーメイ

ド型訓練を実施します。

・ 高度な知識や技術・技能を有する人材の育成のため、企業との連携による技術革新に対

応した職業訓練を拡充します。

・ 企業の人材育成の相談や訓練を企画実施するため、地域企業に開かれた人材育成のサポ

ート拠点を設置します。

・ 民間における人材育成を促進するため、認定職業訓練を行う事業者団体等を支援します。

・ 企業が自ら行う人材育成を支援するため、技術専門校等の施設・設備の貸出や講師の派

遣を行います。 2021(H33)2019(H31)

受講者120人 受講者130人受講者110人

2018(H30)

受講者300人

7件 8件 9件 11件企業と連携した職業訓練

成長産業分野の職業訓練の実施

オーダーメイド型訓練の実施

取組 2020(H32)

受講者310人

受講者140人

受講者320人 受講者330人

協定・協力企業との協働

○人材育成拠点のサポート拠点の設置

信用金庫との連携によるニーズ把握

IoT、射出成形など新分野訓練の開拓

② 多様な人材が能力を発揮できる環境づくり

・ 社会の変化に対応するため、求職者や企業、経済団体等からニーズを把握して訓練プログ

ラムを設定し、即戦力となる人材を育成します。

・ 技術専門校への女性の入校を促進するとともに、離職した女性が復職しやすいよう託児サ

ービス付きの職業訓練を行います。

・ 障害のある人に対し、あしたか職業訓練校で1年間の職業訓練を実施し、就職後、即戦力

となる人材を育成します。また、就職に結びつきやすい企業実習付きの職業訓練や事業主

に直接訓練を委託する事業主委託訓練を実施するとともに、定着支援のための在職者訓練

を行います。

・ NPO法人や専修学校等と連携し、定住外国人向けの職業訓練を実施します。

・ 現場の第一線で能力を発揮する道が拓けるよう、定時制高校等を卒業した定住外国人の技

術専門校への入校を促進します。

・ 定住外国人職業訓練コーディネーターを配置し、関係機関との調整や訓練生の不安や疑問

等にも対応する体制を整備します。

・ 外国人技能実習生に日本語研修を実施し、母国で活躍するための企業での技能習得を支援

します。

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・ 社会経験が不足している若者や、転職などで再チャレンジする方に対し、座学と企業実習

を組み合わせた実践的な職業訓練を行います。

  企業実習付職業訓練  事業主委託訓練  在職者訓練

離転職者訓練の実施就職率77% 就職率78% 就職率79%

女性の技術専門校への入校、受講促進

60人

障害のある人の職業訓練

定住外国人訓練の実施受講者70人

75人150人90人

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

受講者100人

就職率80%

受講者80人

80人 85人160人 170人100人 110人

60人 60人

受講者90人

2021(H33)

60人

90人180人120人

女性向けものづくりキャリア体験入校の実施

訓練ニーズの把握・受入企業の開拓

全県での実施体制の構築

訓練ニーズの把握・就職支援の強化

③ 技術・技能を尊重する社会の実現

ア 技能者の技術・技能レベルの向上

・ 若年のものづくり人材を育成し、技能レベルを向上させるため、若年者ものづくり競技

大会の県予選を実施するとともに、全国規模の技能競技大会での上位入賞を目指して訓

練を実施する団体、企業等を支援します。

・ ものづくり人材の能力や意欲の向上を図るため、35歳未満の若者の技能検定受検手数料

を減免し、積極的な受検を促します。

・ 企業が有する独自の技術やノウハウ等に関する社内検定を県が認定する「静岡県技能評

価認定制度」を広く周知し、利用促進を図ります。

2018(H30)

技能競技大会での上位入賞を目指す取組の支援

2019(H31)取組 2021(H33)2020(H32)

競技大会訓練への指導者派遣、若年者ものづくり競技大会県予選の実施

技能五輪全国大会の入賞者:年15人

イ 技能を尊重する気運の醸成

・ 優れた技術者・技能者を広く一般に周知し、社会的地位を向上させるため、県内におい

て、優れた技能を有し、後進の指導・育成に尽力している現役の技能者を「静岡県優秀

技能功労者」として表彰します。

・ 県民が優れた技術・技能に触れることができるよう、国の「現代の名工(卓越した技能

者)」や、全国規模の技能競技大会で優勝した現役の技能者を「静岡県技能マイスタ

ー」として認定します。

・ ものづくりの素晴らしさと本県の技能レベルの高さをアピールするため、全国規模で開

催されるものづくりイベントに「静岡県技能マイスター」を派遣し、匠の技を披露する

場を設けます。

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・ 学校において、静岡県技能マイスターが職業観やものづくりの素晴らしさについて語る

「出前講座」を実施します。

・ 学齢期からものづくりへの興味・関心を醸成するため、技能士との連携により、ものづ

くり体験「WAZAチャレンジ教室」を実施します。

・ 農林水産業や工業、商業等の「技芸を磨く実学」を奨励するため、実学系高校や

高等専門学校で学ぶ高校生や学生のうち、特に学業・技能に関する業績が優秀と

認められる者に知事褒賞を授与します。

累計4,800人 累計7,200人 累計9,600人

県優秀技能功労者の表彰・技能マイスターの認定

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

WAZAチャレンジ教室の実施受講生2,400人

2021(H33)

業界団体・企業・市町への表彰制度の周知、新たな職種の掘り起こし

参加しやすい場所・機会の設定

 県優秀技能功労者の表彰:年30人技能マイスターの認定:年4人

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(3) 誰もがいきいきと働ける環境づくり

≪現状・課題≫

○ 本県の一般労働者の年間総実労働時間は全国平均を上回っており、長時間労働の是正などの働

き方の見直しを進める必要があります。

○ 企業選択の際に、就職後の自分の姿を描けることが重要であることから、キャリアパスの見え

る化や、キャリア形成の支援に取り組むことが必要です。

○ ICT、ロボット、AIなどの導入による産業構造や就労形態の変化に対応しながら、適正な

労働条件を確保していく必要があります。

○ 働く意欲を持つすべての人が活躍できるよう、ライフステージに応じた多様な働き方を提供で

きる社会の構築が求められています。

○ 人口構造の変化を受け、多くのポテンシャルを秘めている女性や豊富な知識と経験を有する元

気な高齢者の活躍が期待されています。

○ 60~74歳の労働力率は49.1%となっており、ハローワークにおける65歳以上の求職者のうち、

就職できた方は 19.9%となっています。高齢者が持つ経験や能力を企業が活かすことができ

るよう、高齢者のニーズに応じた多様な就労機会の提供が必要です。

○ 県内の民間企業における障害者雇用率は 1.97%であり、法定雇用率(2.0%)に達していませ

ん。平成 30 年4月1日から精神障害のある人が障害者雇用率の算定基礎に加わり法定雇用率

が 2.2%に引き上げられることから、障害者雇用の働きかけの強化と、職場定着支援の拡充が

必要です。

≪取組の方向≫

○ 経営者・働く人双方の意識改革を図り、社会総がかりで働き方の見直しに取り組みます。

○ 誰もが働きがいを持ち、働く人に選ばれる魅力ある企業づくりを促進します。

○ 労働法制や労働問題に関する知識の普及を図り、安全・安心に働ける労働条件の確保を支援し

ます。

○ ライフステージや価値観に応じた働き方を提供できる企業を増やし、多様な人材の活躍を促進

します。

○ 静岡県型の新たな人生区分である壮年熟期(66‐76 歳)が活躍し続けられるよう、豊富な知

識・経験を有する高齢者と企業とのマッチングを促進します。また、その特性に合わせた就労

環境の改善等を促進し、働く場の増加を図るとともに、再就職の支援を強化します。

○ 障害のある人の就労を一層促進するため、法改正に対応する就労支援体制を整えるとともに、

求人開拓から企業とのマッチング、職場定着まで総合的な支援を行います。

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≪数値目標≫ 区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

⼀般労働者の年間総実労働時間 (2016 年) 2,063 時間

(2021 年) 2,033 時間以下 ○ 成

果指標 障害者雇⽤率【再掲】 (2017 年度)

1.97% (2021 年度)

2.30% ○

仕事と⼦育て(介護)の両⽴⽀援・職場環境づくりに取り組んでいる企業の割合

(2017 年度)76.6%

(2021 年度) 90% ○

⼥性役職者育成セミナー受講者数 (2017 年度) 104 ⼈

(2021 年度) 120 ⼈

ハローワークにおける 65 歳以上の⾼齢者の就職者数【再掲】

(2016 年度) 2,954 ⼈

(2021 年度) 4,000 ⼈ ○

障害者雇⽤推進コーディネーター⽀援による就職者数【再掲】

(2016 年度) 398 ⼈

(2021 年度) 500 ⼈ ○

県⽴技術専⾨校の定住外国⼈向け職業訓練受講者数

(2016 年度) 17 ⼈

(2021 年度) 100 ⼈ ○

労働時間の縮減・年次有給休暇の取得促進に取り組んでいる企業の割合

(2017 年度) 78.4%

(2021 年度) 90% ○

活動指標

労働法セミナー受講者数 (2017 年度) 445 ⼈

(2021 年度) 450 ⼈

≪主な取組≫

① 働きやすい環境整備

・ 働き方改革に取り組む企業を増やすため、経営者等を対象に長時間労働の是正や多様な働

き方の導入について学ぶセミナーを開催します。

・ 働き方改革をより効果的に進めるため、社内リーダーを養成する講座などを開催し、企業

の自主的な取組を支援します。

・ 働き方改革や生産性の向上、キャリアパスの見える化を支援するため、先進企業事例等の

情報提供をするとともに、中小企業自らが行う実践的な取組を支援します。

・ 短時間勤務やテレワークの導入や副業を推進するためのアドバイザーを派遣するなど、多

様な働き方が選択できる制度の導入を支援します。

・ 働き方改革に積極的に取り組んでいる企業を表彰して好事例の普及を図り、他の企業の取

組を促します。

・ 働きやすい職場づくりの必要性を周知啓発するため、国や関係団体等と連携し、広報紙、

ホームページ等を活用した広報を行います。

・ 賃金格差の解消、長時間労働の是正を促進するため、国と連携して企業への支援を強化す

るほか、処遇改善や職場環境の改善に活用できる助成金情報等の周知を図ります。

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・ 国、県、労使団体等で構成する「静岡県働きやすい職場づくり推進公労使会議」などを活

用し、地域全体で働き方改革に取り組む気運を醸成します。

・ 国や経済団体と連携して労働法セミナーを開催し、経営者・働く人双方に対して、多様な

働き方や最新の労働関係法令に関する知識の普及と法令遵守意識の醸成を図ります。

・ 市町と連携した広報協力などにより、中小企業向け福利厚生サービスを提供する中小企業

勤労者福祉共済会の会員拡大を支援します。

・ 業界団体と連携して労働災害の防止を目的とした講習会を開催し、安全・安心に働ける職

場環境づくりを進めます。

・ 就職活動前の若者などを対象に、関係機関と連携して就業規則や仕事のマナーなどの、働

く上での基本となる「ワークルール」の普及を図ります。

・ 県民生活センターに設置した中小企業労働相談所において、労使双方からの労働条件や各

種ハラスメントに関する相談対応や自主的な解決への支援を行います。

・ 労使関係の安定を図るため、労働組合や賃上げ・一時金等の実態調査を実施し、調査結果

を情報提供します。

・ 指定管理者制度を活用して、勤労者福祉の増進のために県内3か所に設置した労政会館の

利用者サービスの向上と利用促進を図ります。

・ 安全・安心に働ける職場づくりに向けた企業の取組意欲を喚起するため、実践企業の表彰

により好事例の普及を図ります。

労使双方への労働教育の実施

労働相談の実施

労使関係の安定促進

働く人の安全の確保

勤労者福祉の向上支援

2019(H31)

働き方改革の実践支援

働き方改革の気運醸成

働き方改革の導入支援

取組 2018(H30) 2020(H32) 2021(H33)

働き方改革セミナーの開催、企業表彰による好事例の普及

企業内リーダー養成講座の開催、アドバイザーの派遣

静岡県働きやすい職場づくり推進公労使会議等の開催

年1回

セミナー:年3回   企業表彰:年1回

講座:年1回  アドバイザー派遣:年30社

重点実施:建設業、陸上貨物運送業、林業・木材製造業

広報活動:通年

セミナー:年9回   広報誌等掲載:年4回

労働法セミナーの開催、ワークルールの周知

調査時期:春季、夏季、年末

賃上げ・一時金等調査の実施

労働災害防止対策事業の実施

中小企業勤労者福祉共済会への支援、労政会館の利用促進

県民生活センターにおける労働相談:通年

労使双方を対象とした労働相談の実施

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② 多様な人材の活躍支援

ア 全体

・ 仕事と介護の両立支援の重要性を周知啓発するとともに、両立支援研修会などを開催し、

企業の取組を支援します。

・ 女性、外国人、高齢者、障害のある人等の多様な人材を活用し、商品・サービス等の価

値創造につなげている企業を表彰する「新・ダイバーシティ経営企業 100 選(経済産業

省)」受賞企業を広く周知し、多様な人材の活用に取り組む企業の増加を図ります。

・ 仕事と介護・病気の治療等との両立を支援するため、就業規則や休暇制度等の社内制度

の整備を支援します。

・ 子育てと仕事の両立支援のため、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定を

支援していく中で、国の「企業主導型保育事業」の周知を図ります。

・ 求職者や女性、障害のある人、定住外国人の就職を支援するため、技術専門校やあした

か職業訓練校において職業訓練を実施します。

多様な人材の活躍支援

離転職者訓練の実施就職率77% 就職率78% 就職率79%

2018(H30)取組 2020(H32) 2021(H33)

就職率80%

2019(H31)

ダイバーシティ経営導入セミナー等の開催 好事例の発信

訓練ニーズの把握・就職支援の強化

セミナー:年3回  発信:年5社

イ 女性

・ 仕事と子育て・介護の両立支援や女性の活躍を促進するため、アドバイザー派遣などに

より、次世代育成支援対策推進法や女性活躍推進法に基づく計画の策定、国認定制度

(くるみん、えるぼし等)の取得を支援します。

・ 女性のキャリア形成やスキルアップを支援するため、経済団体と連携して女性管理職を

育成するセミナーを開催します。

取組 2020(H32)2018(H30) 2019(H31)

仕事と子育て・介護の両立支援

女性の活躍促進

2021(H33)

役職候補者向けセミナー:年4回

アドバイザーの派遣

女性役職者育成セミナーの開催

アドバイザー派遣:年80社

ウ 高齢者

・ 高齢者が持つ専門知識や技術、経験等を活かした就職を支援するため、「しずおかジョ

ブステーション」において、きめ細かな就職相談を実施します。【再掲】

・ 高齢者が働きやすい環境を整備するため、高年齢者活用支援施策紹介セミナーの開催や

シニア等人材バンクによる高齢者と企業とのマッチングを行います。

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・ 国と連携して、66歳以上への定年引上げや定年の廃止に取り組む企業を支援します。

・ 高齢者の多様な就労や社会参加を促進するため、就職や起業、事業承継等に関する相談

や情報提供を行います。また、シルバー人材センターの健全な運営の支援を行います。

【再掲】

120人 130人

2021(H33)

シニア向け就労支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

100人 110人

しずおかジョブステーションにおけるシニア向けセミナー参加者数

エ 障害のある人

・ 障害のある人の職場対応と職場定着を支援するため、作業工程の工夫や通勤時、就労時

のきめ細かな支援をするジョブコーチを職場に派遣します。

・ 障害者就業・生活支援センターを活用し、障害のある人の職場定着支援や事業所に対し、

障害特性を踏まえた雇用管理の助言等を行います。

・ 障害のある人の職業能力を高めるとともに、障害のある人に対する理解と雇用の促進を

図るため、「全国障害者技能競技大会」への選手派遣や、「県障害者技能競技大会」の開

催を支援します。

315人

ジョブコーチ派遣による職場定着支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

300人 305人 310人

ジョブコーチ支援の利用者数

オ 外国人

・ 就労意欲の高い定住外国人と、定住外国人を長期雇用したい企業を対象に、新たな就

業・定着支援の仕組みを構築し、その普及を図ります。【再掲】

・ 外国人の雇用促進については、現行の法制度の趣旨を尊重しつつ、本県内の先進事例は

もとより、他県の取組なども参考としつつ、具体的な制度設計を検討します。【再掲】

・ 定住外国人職業訓練コーディネーターを配置し、関係機関との調整や訓練生の不安や疑

問等にも対応する体制を整備します。【再掲】

定住外国人訓練の実施受講者70人 受講者80人 受講者90人

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

受講者100人

全県での実施体制の構築

カ 就労が困難な若者

・ 「しずおかジョブステーション」に臨床心理士を配置し、相談やコミュニケーション能

力向上のためのセミナー等を行います。

・ 国が設置したニートのための相談機関「地域若者サポートステーション」やハローワー

クのほか、NPO団体、発達障害者支援センター等の関係機関と連携し、若者の就業に

ついて寄り添い型の支援を行います。

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2021(H33)2020(H32)

就職困難者等への一貫した就職支援

取組 2018(H30) 2019(H31)

しずおかジョブステーションにおける就職相談、セミナーの開催

利用者数:18,000人/年

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(4) 郷土を担う子どもたちの「生きる道」としての仕事を学ぶ環境づくり

≪現状・課題≫

○ 子どもたちが、将来、立派な職業人となって、社会で輝き、活躍する人材として成長していく

ためには、農林水産業、工業、商業等に触れ、驚きや感動を得て、自分の職業について考える

体験の機会を創出していく必要があります。

○ 「武士道」「商人道」などと言われるように富士山のような高い志を持ち、「生きる道」として

の仕事を究めることの大切さを子どもたちに伝えていくことが重要な課題です。

≪取組の方向≫

○ 子どもたちが農林水産業、工業、商業等の現場を体験する機会をつくり、驚きや感動とともに

「ものづくり」や「農芸品生産」などの大切さを真に学ぶ場をつくります。

○ 子どもたちが、郷土を支える様々な仕事を主体的に学ぶ姿勢を育み、企業や地域の人々が、こ

の学びを深める機会を提供します。

○ 子どもたちのキャリア教育には、学びの深さや参画度が重要であり、郷土の産業や企業の魅力

を体験し、地域を支える仕事の大切さを学ぶ機会を提供する中で、その「経験」や「学び」を

子どもたちだけでなく地域で共有し、その意味を深く定着させ、郷土を愛する心を育んでいき

ます。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画活動指標

WAZA チャレンジ教室参加者数【再掲】

(2013〜2016 年度)累計9,073 ⼈

(2018〜2021 年度) 累計9,600 ⼈ ○

≪主な取組≫

① 子どもたちが農林水産業、工業、商業等に触れる機会の創出

・ 小学校における社会科見学や中学校における職業体験、高校におけるインターンシップな

どを通して、子どもたちが、農林水産業、工業、商業等の現場を体験する機会を創出しま

す。

・ 県立漁業高等学園や農林技術研究所などでの心に残る現場体験の中から、子どもたちの学

びの深化を図ります。

・ 学校において、静岡県技能マイスターが職業観やものづくりの素晴らしさについて語る

「出前講座」を実施します。【再掲】

・ 学齢期からものづくりへの興味・関心を醸成するため、技能士との連携により、ものづく

り体験「WAZAチャレンジ教室」を実施します。【再掲】

WAZAチャレンジ教室の実施

2020(H32)2019(H31)取組 2018(H30) 2021(H33)

参加しやすい場所・機会の設定

受講生2,400人 累計4,800人 累計9,600人累計7,200人

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② 「生きる道」としての仕事を学ぶ環境整備

・ 子どもたちが、農林水産業、工業、商業、芸術、スポーツ等の「技芸を磨く実学」に触れ、

その大切さを知る機会をつくります。

・ 子どもたちに、地域の産業を支える強い責任感と職業意識を持つ職業人、真の「プロフェ

ッショナル」の働く姿を紹介します。

・ “ふじのくに”に根ざした地域学を基盤として、地域を知り、地域の良さを再認識できる

ような学習機会の充実を図り、郷土愛を育む教育を推進します。

・ 将来、地域の産業を支える人材を育てるため、地域と学校が協力・連携し、子どもたちの

成長に合わせた、地域を支える産業や仕事の魅力を現場で学び体験する仕組みづくりを推

進します。

3校 3校 3校 3校職場体験のモデルづくりの実施

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

モデル校で「職場体験」の実施

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分 野 編【 産 業 ⾰ 新 編 】

基本方向1 静岡県産業成長戦略の推進 本県経済を持続的に発展させるためには、近年の科学技術の著しい進展や急速な労働力人口の

減少などの経済環境や科学技術の変化に的確に対応し、未来につながる産業構造を構築していく

必要があります。

このため、産業成長戦略会議で取りまとめた本県独自の産業成長戦略に基づき、関係部局によ

る連携の下、産業人材の確保・育成、企業誘致・定着の推進や次世代産業の創出などに官民が一

体となって取り組んでいきます。

(1) 地域企業の事業活動の活発化

≪現状・課題≫

○ 県、産業界、金融界の代表者で構成する産業成長戦略会議において産業成長戦略を取りまとめ、

官民が一体となって推進しています。

○ 地域経済を牽引する企業の育成が求められているため、産業戦略推進センター「オープンイノ

ベーション静岡」を官民協働で設置し、新事業に挑戦する地域企業を積極的に支援しています。

○ 2017 年(平成 29 年)に新たに施行された地域未来投資促進法に基づき、市町と協力し、県全

域計画、静岡市域計画、浜松市域計画の3本の基本計画を作成し、国の同意を得ました。

≪取組の方向≫

○ 本県経済を持続的に発展させるため、社会経済環境の変化に合わせ、産業成長戦略に新たな課

題に対応した施策を盛り込みながら、官民が一体となって推進します。

○ 新たな事業展開に積極的に挑み、本県経済を牽引する可能性のある地域企業の成長を促進しま

す。

○ 製造業だけでなく、今後成長が期待される分野において、地域の特性を生かして高い付加価値

を創出し、地域に高い経済波及効果を及ぼす「地域経済牽引事業」の創出を促進します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

オープンイノベーション静岡の⽀援による中堅・中⼩企業等の新たな製品開発・販路開拓等件数

― (2018〜2021 年度)累計40 件 ○ 成

果指標

中⼩企業の経営⾰新計画承認件数 (2013〜2016 年度)累計1,713 件

(2018〜2021 年度) 累計1,720 件 ○

オープンイノベーション静岡による中堅・中⼩企業等⽀援件数

(2016 年度) 38 件

(2021 年度) 70 件 ○ 活

動指標

地域経済牽引事業計画の承認件数 ― (2018〜2021 年度)累計36 件 ○

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≪主な取組≫

① 地域経済を牽引する企業の成長促進

ア 産業成長戦略会議の開催

・ 本県経済を持続的に発展させるため、県、産業界、金融界の代表者で構成する産業成長

戦略会議を開催し、技術革新など県内産業を取り巻く環境の変化に合わせ、新たな課題

に対応した施策を盛り込みながら、未来につながる産業構造を構築するための産業成長戦

略を毎年度取りまとめ、官民が一体となって推進します。

産業成長戦略会議の開催

取組 2021(H33)2019(H31)2018(H30) 2020(H32)

年2回 年2回 年2回 年2回

イ 産業成長戦略に基づく地域企業の集中的支援

・ 産業戦略推進センター「オープンイノベーション静岡」において、中堅・中小企業等へ

の企業訪問を通じて聞き取った現場の声を活かしながら、目利きの役割を担うアドバイ

ザリー・ボードを開催するなど、新たな事業展開に積極的に挑む地域企業を集中的に支

援します。

・ 地域企業のマーケットインの考え方に基づく製品づくりやマーケットニーズを踏まえた

販路開拓・拡大を促進するため、産業支援機関と連携したワンストップ相談窓口の設置、

「オープンイノベーション静岡」Webサイトを活用した情報発信・フォローアップに

より、売れる製品づくりや販路開拓を支援します。

・ オープンイノベーションの有用性について中小企業等の理解を促進するとともに、民間

ネットワークやインターネットを活用し、大企業等のニーズと地域企業のシーズの広範

囲でのマッチングなどを進め、新製品・新規事業の創出を支援します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

新たな事業展開支援

マーケットインの考え方に基づく製品づくり・販路開拓支援

オープンイノベーション促進による新製品・新規事業の創出支援

企業訪問「オープンイノベーション静岡」事務局や市町・産業支援機関との連携による企業訪問

ワンストップ相談窓口での専門家による助言、伴走サポート

民間ネットワークやインターネットを活用したニーズとシーズのマッチング

アドバイザリー・ボードの開催

「オープンイノベーション静岡」Webサイトでの情報発信・フォローアップ

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ウ 地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業の促進

・ 地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域に高い経済的波及効果を及ぼす「地

域経済牽引事業」を実施する事業者を支援します。

・ 本制度を幅広く周知するとともに、事業者の地域経済牽引事業計画の作成を促進し、付

加価値を創出する事業の掘り起こしを進めます。

・ 支援機関等と連携し、フォローアップによる地域経済牽引事業計画の実行を支援します。

・ より高い付加価値を創出する事業を生み出すための計画立案から支援策活用までの一貫

した支援を行います。

2018(H30)取組

地域経済牽引事業計画の作成促進

地域経済牽引事業計画の実行支援

計画立案から支援策活用までの一貫支援

事業者の支援

2021(H33)2019(H31) 2020(H32)

地域経済牽引事業計画の作成促進のための説明会、相談会等の開催

支援機関等と連携したフォローアップによる実行支援

専門家チームによる伴走支援

市町、支援機関等と連携した計画作成等の支援

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基本方向2 ふじのくにマーケティング戦略の推進

本県の農林水産業の生産額は、昭和60年のピーク時に比べて6割程度に減少しており、近年

も横ばい状態が続くなど、全体として右肩下がりの状況にあります。

このため、“マーケットイン”の考え方に基づき、市場のニーズを生産に結びつけ、販路拡大

と合わせて、市場に安定して供給できる生産体制を構築し、生産拡大と生産者の所得を向上させ

ることを目的として、海外、国内、県内の市場を見定めた「ふじのくにマーケティング戦略」を

平成29年2月に取りまとめました。

この戦略に基づき、産業革新局、農業局、森林・林業局、水産業局が連携し、部局横断的に本

県農林水産物の競争力強化や生産拡大に向けた取組を進めていきます。

(1) 市場と生産が結びついた「ふじのくにマーケティング戦略」の推進

≪現状・課題≫

① 相手国のマーケット情報に基づく輸出の拡大

ア 県産品の販路を開拓・拡大するためには、生産者と実需者・バイヤーをつなぎ、商品力と

販売力を高める商社機能(プラットフォーム)を強化する必要があります。

イ 海外販路の拡大のため、現地での県産品フェアやPR等を行っていますが、継続的な取扱

や生産拡大に思うように結びついておらず、また、相手国・地域のニーズの把握や規制へ

の対応も課題となっています。

② ターゲットを明確にした国内・県内戦略の推進

ア 首都圏の百貨店・スーパーでの県産品のテスト販売や企業と連携したPR等の取組が、継

続的な取扱や生産拡大に思うように結びついておらず、また、首都圏における認知度向上

と効果的な情報発信も課題となっています。

イ 安全・安心で高品質な県産品の「地産地消」を更に推進するため、県内における県産品の

取引の拡大や認知度向上などが課題となっています。

③ 本県農林水産物の情報発信・収集及び高付加価値化の推進

ア 現在、東京都の秋葉原にアンテナコーナーを設置していますが、商品の効果的なPRや消

費者への情報発信力が弱く、首都圏の需要を十分に取り込めていません。

イ 農林水産物の付加価値向上の取組が盛んに行われていますが、規模の大きな取組は少なく、

加工・直売等の農業生産関連事業の販売額は伸び悩んでいます。

ウ 機能性表示や地理的表示は、県産品の付加価値を高める手段の一つですが、十分に活用さ

れていません。

エ 県産品の国内販売や海外への輸出を拡大するためには、マーケットにおける競争力を強化す

る必要があります。

≪取組の方向≫

① 相手国のマーケット情報に基づく輸出の拡大

ア 海外販路拡大にチャレンジする事業者を支援・育成し、県産品の輸出促進機能を担う商社機

能(プラットフォーム)を構築します。

イ 本県の強みのある農林水産物を重点品目に位置付け、ターゲットとする国・地域のマーケッ

トニーズや規制に合った商品の生産の推進と流通体制の構築を図り、輸出を促進します。

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② ターゲットを明確にした国内・県内戦略の推進

ア 国内 大の消費地である首都圏にターゲットを絞り、市場と生産を結びつけた取組により、

首都圏における本県農林水産物のシェアを維持・拡大します。

イ 包括協定を締結している事業者等と連携して地産地消を推進するとともに、県内の農林水産

物直売所の販売力強化を支援します。

③ 本県農林水産物の情報発信・収集及び高付加価値化の推進

ア 本県が誇る多彩で高品質な農林水産物をはじめとする県産品の認知度を高めるとともに、国

内外へ発信し、“マーケットイン”の考え方に基づきマーケットの情報を収集して生産現場

にフィードバックを行うマーケティング拠点となる「(仮)ふじのくにショールーム」を整

備します。

イ 新たな商品の開発と販売促進を支援するため、6次産業化サポートセンターの機能を強化す

るとともに、異業種のマッチングによる農水商工連携の促進や国交付金等を活用した規模の

大きな取組の創出を推進します。

ウ 機能性表示の届出、地理的表示の登録に向け、対象品目の堀り起こしと産地の意識統一を推

進し、制度の活用を図ります。

エ 農林水産物の品質・競争力アップのため、消費者ニーズに対応した新たな品種や付加価値を

高める技術、長期間、品質や鮮度を保持できる技術などの開発を推進します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

県の海外市場開拓⽀援による県産農林⽔産物の新規輸出成約件数

(2013〜2016 年度)累計302 件

(2018〜2021 年度)累計360 件 ○ 成

果指標 農業⽣産関連事業の年間販売⾦額 (2015 年度)

1,062 億円 (毎年度) 1,100 億円 ○

輸出商談会・⾒本市等参加事業者数 (2013〜2016 年度)累計504 事業者

(2018〜2021 年度)累計550 事業者 ○

⾸都圏における富⼠⼭しずおかマルシェでの県産品販売額

(2016 年度) 800 万円

(2021 年度) 5,000 万円 ○

活動指標

6次産業化等新規取組件数 (2013〜2016 年度)累計608 件

(2018〜2021 年度)累計640 件 ○

≪主な取組≫

① 相手国のマーケット情報に基づく輸出の拡大

ア 海外販路拡大にチャレンジする事業者の支援・育成とプラットフォームの構築

・ 県産品を海外で販売する意欲を持った事業者の取組を支援し、県産品を幅広く輸出する

事業者を育成します。

・ 県産品を幅広く海外に輸出する県内事業者を核にして、県産品の輸出促進機能を担う商

社機能(プラットフォーム)を構築し、販路拡大を一層促進します。

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輸出促進機能を担うプラットフォームの構築

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

県産品の輸出に取り組む事業者支援

10 事業者/年 10 事業者/年 10 事業者/年 10 事業者/年

イ 既存の商流を活用した更なる輸出促進

・ ㈱沖縄県物産公社への県職員の派遣や、これまで構築してきた国内外の事業者とのパー

トナーシップを活用し、県産品のアジア地域への輸出を拡大します。

・ 中国については、越境EC(電子商取引)を活用した県産品の海外販路開拓を進めます。

・ 輸出を目指す生産者・事業者の輸出のきっかけづくりのため、輸出に関するセミナーの

開催や商談会等への出展支援を行います。

・ 新たな海外販路拡大のためのマーケティング調査を行うとともに、通商エキスパートを

設置します。

・ 本県産品のブランド価値を保護するため、中国・台湾等において商標監視を実施します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

越境ECを活用した県産品の販路開拓

輸出事業者の取組支援

県産品のアジア地域への輸出拡大

新たな海外販売拡大支援

商標監視の実施

(株)沖縄県物産公社への県職員の派遣

商談会等への出展支援

通商エキスパートの設置

越境ECに掲載可能な品目数

1人/年 1人/年 1人/年 1人/年

300商品/年 300商品/年 300商品/年 300商品/年

4回/年 4回/年 4回/年 4回/年

1人/年 1人/年 1人/年 1人/年

海外における商標監視

2か国/年 2か国/年 2か国/年 2か国/年

② ターゲットを明確にした国内・県内戦略の推進

ア 首都圏の新たなマーケットにおける県産品の販路拡大

・ 新たな首都圏のスーパーなどにおいて、静岡県産品コーナーを定着できるよう、販路拡

大の可能性の高い商品の生産を拡大します。

首都圏の新たなマーケットにおける県産品の販路拡大

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30)

「富士山しずおかマルシェ」の開催

延べ150店舗/年 延べ180店舗/年 延べ200店舗/年 延べ240店舗/年

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イ 地産地消の推進

・ 「ふじのくに地産地消の日(毎月23 日)」等に量販店が実施する地産地消フェアなどの

開催を支援するとともに、包括連携協定を締結している事業者等と連携して地産地消を

推進します。

取組 2018(H30) 2019(H31)

量販店等と連携した地産地消の推進

2020(H32) 2021(H33)

地産地消フェアに取り組む企業数

20企業/年 20企業/年 20企業/年 20企業/年

③ 本県農林水産物の情報発信・収集及び高付加価値化の推進

ア 「(仮)ふじのくにショールーム」の整備

・ 県産農林水産物等の販路を拡大するため、首都圏に、情報発信と収集の拠点となる

「(仮)ふじのくにショールーム」を整備します。

取組 2018(H30) 2021(H33)2019(H31) 2020(H32)

首都圏におけるマーケティング拠点の整備

「(仮)ふじのくにショールーム」の整備

早期に設置

イ 6次産業化による高付加価値化の推進

・ 6次産業化サポートセンターにおいて、専門家の支援等により、新商品開発や販路開拓

を促進します。

・ 関係機関が連携した農林漁業者と商工業者のマッチング支援や国交付金、ファンド等の

活用推進により、大規模な事業を創出します。

・ 商品開発や販路開拓等に係る研修会の開催により、経営感覚を持った6次産業化事業者

を育成します。

・ 新商品・新サービスの販路開拓を進めるため、県内における展示商談会を開催するほか、

首都圏における展示商談会への出展機会を提供します。

新商品開発、販路開拓の推進

新商品等の販路開拓

2021(H33)

大規模な事業の創出

経営感覚を持った6次産業化事業者の育成

取組 2020(H32)2018(H30) 2019(H31)

200回/年

国交付金等の活用による事業化支援

6次産業化サポートセンターの専門家派遣

6次産業化人材育成研修会の開催

200回/年 200回/年 200回/年

1件以上/年

10事業者/年 10事業者/年 10事業者/年 10事業者/年

1件以上/年 1件以上/年 1件以上/年

展示商談会開催・出展支援

2回/年 2回/年 2回/年 2回/年

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ウ 機能性表示や地理的表示等を活用した販路拡大

・ 温州みかんや温室メロン等の販路拡大を促進するため、機能性表示の届出や地理的表示

の登録を推進するとともに、制度の認知度向上を図り、消費の拡大につなげます。

機能性表示や地理的表示を活用した消費拡大

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

15回/年

事業者への情報発信

15回/年 15回/年 15回/年

エ 競争力強化のための研究開発

・ 消費者ニーズに対応した新たな品種を開発するとともに、知的財産管理を強化します。

・ 茶や柑橘類等の機能性成分を増強する栽培技術を開発するとともに、機能性データベー

スの充実を図ります。

・ 安全・安心な農産物を供給する持続可能な農業生産のための病害虫防除・肥培管理技術

を開発します。

・ 県産農芸品の輸出拡大に向けた品質・鮮度保持技術を開発します。

消費者ニーズに対応した新品種の開発・普及

機能性成分を増強する栽培・加工技術の開発と普及

品質・鮮度保持技術の開発

2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

品種登録(茶、花き、果樹、野菜、わさび)

3成分

8品種

技術導入 3産地

新成長戦略研究による技術開発 現地実証・普及

2件 技術導入 3産地

現地実証・普及新成長戦略研究による技術開発

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基本方向3 静岡県の試験研究機関に係る基本戦略の推進

急速な人口減少や少子高齢化、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)をはじめとす

る科学技術の著しい発展などを背景に、人手不足の顕在化やEV(電気自動車)シフトの進行など、

本県経済を取り巻く環境は大きく変化しています。

こうした変化に的確に対応し、県の試験研究機関が持つ技術力(「研究開発」「技術支援」「調

査研究」)により、「人」と「富」の創出を図り、本県産業の持続的な発展と安全で安心な県民生

活を着実に実現するため、以下の5つをポイントとして戦略的に試験研究を推進していきます。

① 研究所のコア技術を活かし、現場ニーズに対応した技術支援の一層の推進

② AI、IoT、ICTなどの導入支援等による産業の「生産性向上」への貢献

③「オープンイノベーション」による分野横断型研究の推進

④ 次世代自動車やヘルスケア産業、海洋バイオ活用など新たな成長分野への挑戦

⑤ 国内外の研究ネットワークの積極的な拡充(人材育成・研究交流)

(1) 本県産業の成長に貢献する「研究開発」

≪現状・課題≫

○ 県内の企業や事業者からは、生産性の向上に向けた技術開発や、付加価値の高い新たな商品等

の開発、本県産業の競争力強化に貢献する研究開発などが求められています。

○ AI、IoT、ロボット、バイオ等の先端分野の研究開発や異分野同士が連携して解決に当た

るべき政策課題も増加しています。

○ 研究課題の設定の段階から、市場ニーズの動向を把握することや確実な技術移転により実用

化・製品化につなげることが特に重要となっています。

≪取組の方向≫

○ 農林水産分野では、世界水準の農芸品の生産力強化や森林資源の循環利用による林業・木材産

業の成長産業化、水産王国静岡の持続的発展の推進、市場と生産が結び付いたマーケティング

戦略の推進に関わる技術開発を推進します。

○ 工業分野では、次世代産業の創出及び豊かさを支える地域産業の振興につながる研究開発を推

進します。

○ プロジェクト型研究である「新成長戦略研究」を重点的に推進することにより、本県の産業を

牽引する成長産業の創出を支える技術開発の充実を図ります。

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≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画新成⻑戦略研究の成果の新たな実⽤化件数

(2016年度) 7件

(毎年度) 8件 ○

農林技術研究所におけるオープンイノベーションを活⽤した研究開発⽀援件数

(2016 年度) 0件

(2021 年度) 15 件

研究成果の実⽤化件数 (農林、畜産及び⼯業技術研究所の合計)

(2016 年度) 6件

(2018〜2021 年度) 累計33 件

活動指標

⼯業技術研究所における共同研究課題数

(2016 年度) 15 件

(2021 年度) 16 件

≪主な取組≫

① 次世代産業の創出に貢献する研究開発

・ 次世代自動車、新エネルギー、環境、医療・福祉機器、ロボット、航空・宇宙、光、食品、

CNF、IoTについて重点的に研究開発を推進します。

・ 医療・福祉機器、光、食品分野は、「静岡新産業集積クラスター」推進機関と連携し、事

業化を支援するとともに、ロボット、航空・宇宙、IoT分野では、研究所が保有するコ

ア技術に加え、大学や民間企業との連携により、研究所のレベルアップを図りつつ研究開

発を進めます。

・ 次世代自動車や航空・宇宙分野で重要視される軽量化素材の加工技術や接着技術、要素技

術、評価技術などの研究開発を進めます。

・ CNFを用いた製品開発を進めるため、製造設備や樹脂混錬機器等を整備し、大学や企業

等と連携した研究開発を推進します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

次世代自動車、新エネ、環境、医療・福祉、ロボット、航空・宇宙、光、食品、CNF、IoTに関連する研究開発

静岡新産業集積クラスター推進機関と連携した医療・福祉機器、光、食品分野の研究開発

CNFを用いた製品開発を進めるための研究開発

新成長戦略研究等による研究開発

軽量化資材の加工技術や接着技術、要素技術等の研究開発

CNF、その他機能性素材を応用した製品の開発

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② オープンイノベーションによる革新的技術開発

・ 農・食・健連携のアグリオープンイノベーションを推進するため、オープンイノベーショ

ンの拠点となるAOI-PARCにおける研究開発を進めます。

・ 各研究所の強みや蓄積したコア技術(バイオ、製紙、食品、環境・エネルギー、光、農林

水産物の高度な生産技術等)を活用し、大学や産業界等との連携により革新的技術を取り

入れた研究開発を推進します。

・ 駿河湾等の多様な海洋生物資源を活用したマリンバイオテクノロジーに関する研究開発を

推進し、静岡産業集積クラスターとの連携などによる産業応用を促進します。

2021(H33)2019(H31)2018(H30) 2020(H32)取組

農・食・健連携のアグリオープンイノベーションの推進

大学や産業界等との連携により革新的技術を取り入れた研究開発

駿河湾等の多様な海洋生物資源を活用したマリンバイオテクノロジーに関する研究開発

バイオ、製紙、食品、環境・エネルギー、光、農林水産物の高度な生産技術等のコア技術を活用した研究開発

オープンイノベーションによる革新的技術を取り入れた研究開発の推進

○コンソシアーム等の締結○産官学金の連携強化

有用微生物のライブラリー化特性・機能性解明研究産業応用技術研究 技術移転

③ 生産性を向上する技術や新商品の開発

・ 移動及び運搬作業を無人化する農業用自立走行ロボットの開発や、ドローン等の無人航空

機を利用した樹園地の防除・生産管理システムの開発を進めます。

・ 消費者ニーズに応える野菜や花きの新品種育成や本県農芸品の輸出拡大に向けた品質・鮮

度保持技術の開発、茶及び柑橘類の機能性成分増強技術の開発を推進します。

・ 微生物ライブラリーを活用した発酵食品等の研究開発を推進します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

マーケットにおける競争力を強化する新商品・技術の開発

微生物ライブラリーを活用した発酵食品等の研究開発

2021(H33)

農林水産業の生産性を向上する革新的な省力化・効率化技術の開発

農業用自律走行ロボット、無人航空機を利用した生産管理システム、IoT活用技術等の開発

微生物ライブラリーを活用した発酵食品等の研究開発

新品種の育成、品質・鮮度保持、機能性成分増強技術等の開発

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(2) 中小企業や農林水産業の「競争力強化」のための「技術支援」

≪現状・課題≫

○ 市場のボーダレス化が進み、本県産業は国内外との厳しい競争に直面しており、「技術革新」

による「生産性の向上」はもとより、市場のニーズを的確に把握し、新たな製品、商品開発に

より、その付加価値を高め、産業競争力を高めていく必要があります。

○ このため、企業や農林水産事業者等に対して、各研究所の技術力や試験検査機器などを活用し

た技術支援をこれまで以上に積極的に進めていく必要があります。

○ また、試験検査機器は、製品の性能等を検証する重要な設備備品であることから、耐用年数に

応じた適切な更新整備を進める必要があります。

≪取組の方向≫

○ 中小企業や小規模企業、農林水産事業者等の競争力強化のため、各研究所の技術力や試験検査

機器などを活用し、技術開発や製品・商品の品質向上に対する技術支援を積極的に行います。

○ 農林業分野では、現地指導に当たる農林事務所と連携し、研究成果の効率的な普及を推進する

とともに、6次産業化、商品開発など、農産物や加工品の高付加価値化に向けた技術支援を行

います。

○ 水産業分野では、水産技術研究所が現場ニーズの把握や研究成果の普及を一体で行っており、

さらに、6次産業化サポートセンター窓口の連携コーディネータとして地域活動支援を行って

いきます。

○ 工業分野では、試験データの信頼性の確保に努めるとともに、支援を通じて技術的アドバイス

を行い、中小企業の技術力向上に貢献します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

⼯業技術研究所の技術指導件数 (2016年度) 28,027 件

(2021 年度) 30,000 件 ○ 活

動指標 ⽔産物の⾼付加価値化に関する新

たな技術開発件数 (2014〜2017 年度)

累計4 件 (2018〜2021 年度)

累計5件

≪主な取組≫

① 各研究所の技術力や試験検査機器などを活用した技術支援

・ 本県特産の農林水産物(野菜、茶、ミカン、ワサビ、花き、畜産物、ウナギ、キンメダイ

等)の生産技術に関する研究を推進するとともに、農林事務所等と連携して研究成果の効

率的な普及を図ります。

・ 農林水産業において、6次産業化など高付加価値化につながる技術支援を強化します。

・ 「ものづくり産業支援窓口」及び「デザイン相談窓口」が中心となり、大学、産業支援機

関等との連携や、デザイナーとのマッチングを促し、製品開発から事業化段階までの一貫

した支援を推進します。

・ 新たに整備するEMC試験施設・設備の活用を推進するとともに、本県産業の将来を見据

えた計画的な機器整備を行います。

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取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

「ものづくり産業支援窓口」等における技術支援

試験検査機器の計画的な整備

農林事務所等と連携した研究成果の普及及び6次産業化につながる技術支援

本県特産の農林水産物(野菜、茶、ミカン、ワサビ、花き、畜産物、ウナギ、キンメダイ等)の生産技術に関する研究

野菜、茶、ミカン、ワサビ、花き、畜産物、ウナギ、キンメダイ等の生産技術に関する研究

農林事務所等と連携した研究成果の普及、技術支援

技術相談、依頼試験、機器使用等の実施

計画的な機器整備

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(3) 「安全」で「安心」な県民生活を着実に実現するための「調査研究」

≪現状・課題≫

○ 農林業分野では、農山村の環境保全や野生鳥獣被害防止など適正な生態系を維持するための

調査研究等に取り組んでいます。

○ 水産分野では、持続的な水産資源の利用への取組を技術面から支援するため、人工衛星や駿

河丸を使った海況漁況データを蓄積・活用し、海洋資源調査を実施しています。

≪取組の方向≫

○ 農林業分野では、農山村の環境保全や野生鳥獣被害防止に関する調査研究を引き続き重点的に

推進します。

○ 水産業分野では、長期間・多項目・沖合域や深層域までにわたる蓄積データが水産技術研究所

の強みとなっていることから、引き続き、調査研究を重点項目として位置付けるとともに、そ

の維持・拡充に努めます。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画活動指標

⽔産資源の資源管理に関する新たな技術開発件数

(2014〜2017 年度)累計4 件

(2018〜2021 年度) 累計5件

≪主な取組≫

① 食の安全や環境保全などに配慮した持続可能な農林水産業のための調査研究

・ 生態系保全によるバランスの取れたIPM(総合的病害虫・雑草管理)や施肥量の削減な

ど、環境保全型農業に関する調査を行います。

・ 森林病害虫・獣害対策の技術開発、海岸防災林等の造成・保全技術の開発を推進します。

・ 海洋環境や水産資源の長期的な変化を把握・予測する環境・資源調査研究と生物資源を収

集維持し、基礎的性質を把握する生物資源の保持活用研究を継続的に実施します。

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

安全・安心な農畜産物を供給する持続可能な農業生産技術の開発

野生鳥獣害対策、外来生物、新病害虫等への対応

海洋環境や水産資源の長期的な変化を把握・予測するための調査研究

取組 2018(H30)

IPM(総合的病害虫・雑草管理)や施肥量の削減など環境保全型農業に関する調査

ニホンジカやイノシシなど野生動物の適切な管理に関する調査研究

海況漁況データの蓄積、持続的な水産資源の利用ための海洋資源調査

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基本方向4 ふじのくにエネルギー総合戦略の推進 エネルギーは、県民生活や企業活動に欠かせない重要な基盤であり、安全性を前提とした上で、

安定供給を第一に、経済性の向上と環境への適合を図ることによって、安全・安心で環境負荷の

少ない持続可能なエネルギー体系を構築する必要があります。

このため、本県の多様な地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入促進や、エネルギーの効

率利用による省エネルギー社会の形成、エネルギー産業の振興による地域経済の活性化などにより、

エネルギーの地産地消を推進します。

(1) 地域資源の活用による多様な分散型エネルギーの導入拡大

≪現状・課題≫

○ 東日本大震災後の原子力発電の停止は、本県の地域経済をはじめ県民の生活に至るまで多大

な影響をもたらしました。このことにより、エネルギー供給体系は、従来の一極集中型から、

災害に強い小規模分散型への転換が求められています。

○ 本県では、太陽光発電をはじめ、新エネルギーの導入が着実に増加していますが、今後も、太

陽や水、森林、温泉など、本県の豊かな自然資源を生かした、環境負荷が少ない、再生可能エ

ネルギーの導入を進めることが重要です。

≪取組の方向≫

○ 恵まれた日照環境を生かした太陽光、多様な地域資源を活用した小水力、バイオマス、温泉

エネルギーなど、その種類に応じた特性や普及の状況を踏まえながら、それぞれ 大限の導

入を目指します。

○ 必要なエネルギーを消費する場所の近くで生み出す、天然ガスコージェネレーション、燃料

電池、小規模火力、中規模水力などの地域分散型エネルギーの導入を促進し、地域内での有

効利用を図ります。

○ エネルギー利活用の 適化を図るため、エネルギー供給設備と省エネ設備の同時導入、エネ

ルギー管理及び電気や熱の融通を進める取組の促進を図ります。

○ 将来の利用が期待される水素エネルギー等について、利活用に向けた事業者や研究機関の取り

組みを促進します。

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≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

地産エネルギー導⼊率 (2016 年度) 16%

(2021 年度) 23% ○

地産エネルギーによるエネルギー⾃⽴化率

(2016 年度) 45%

(2021 年度) 52%

新エネルギー等導⼊量 (2016 年度) 105.1 万kℓ

(2021 年度) 159.1 万kℓ ○

成果指標

エネルギー消費効率 (2012 年度=100)

(2014 年度) 95

(2021 年度) 85 ○

太陽光発電の導⼊量 (2016 年度) 152.0 万kW

(2021 年度) 210 万kW ○

太陽熱利⽤の導⼊量 (2016 年度) 7.1 万㎘

(2021 年度) 10.0 万㎘

⾵⼒発電の導⼊量 (2016 年度) 17.7 万kW

(2021 年度) 20.0 万kW

バイオマス(発電)の導⼊量 (2016 年度) 4.0 万kW

(2021 年度) 6.0 万kW ○

バイオマス(熱利⽤)の導⼊量 (2016 年度) 5.4 万㎘

(2021 年度) 6.0 万㎘ ○

中⼩⽔⼒発電の導⼊量 (2016 年度) 1.2 万kW

(2021 年度) 1.9 万kW ○

温泉熱発電の導⼊量 (2016 年度) 3kW

(2021 年度) 400kW

天然ガスコージェネレーションの導⼊量

(2016 年度) 49.0 万kW

(2021 年度) 85 万kW ○

活動指標

⽔素ステーションの設置数 (2016 年度) 2基

(2021 年度) 7基 ○

≪主な取組≫

① 新エネルギーの最大限の導入

ア 太陽光

・ 戸建て住宅に加え、集合住宅、事業所、農業施設等においても、蓄電池との組み合わせ

等による自家消費を中心に利用する太陽光発電の導入を促進します。

・ メガソーラー等大規模設備の設置については、景観など地域の事情に配慮された計画に

基づき、円滑な導入を促進します。

・ 蓄電池との併用などで非常用電源としての太陽光発電の有効利用を促進するため、家庭

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や事業所でのエネルギー管理や地域内での電力融通を進めます。

・ 太陽電池などの新たな技術や製品の普及を促進します。

2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

太陽光発電設備の導入支援・促進

事業者用設備の導入支援、住宅用設備の導入促進

取組

20万kW 10万kW 10万kW 10万kW

イ 太陽熱

・ 戸建て住宅に加え、集合住宅や社会福祉施設、宿泊施設などの熱利用の多い事業所への

太陽熱利用設備の導入や、ヒートポンプと組み合わせることによる太陽熱の有効利用の

取組を促進します。

・ 太陽熱利用設備に関する 新の技術開発の状況や、製品の性能、導入効果について、事

業者や関係団体、市町等と連携し、周知を図ります。

住宅用・事業者用設備の導入支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

太陽熱利用設備の導入支援350件 350件 350件 350件

ウ 風力

・ 景観や環境への影響が少なく、送電線の整備等の面からも導入しやすい小型風力発電に

ついて、発電設備の製品開発・技術開発の成果を活用し、景観や環境への影響に 大限

配慮しつつ、導入事例の拡大を図ります。

・ 小型風力発電の実証試験や導入を行う適地の調査など、地域と事業者とが連携した取組

を進めます。

風力発電設備の導入支援設備の導入支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

エ バイオマス

・ 地域特性を生かした多様なバイオマス利用設備の導入を促進するため、先行的に取り組

む事業者に対して事業初期の負担の軽減などを支援します。

・ 安価で安定的な燃料調達を確保し、地域に応じた利用を進めるため、県内各地の未利用

バイオマスの種類や量、利用に適した技術などを調査するとともに、その状況を基に地

域間の連携促進を図ります。

・ 製材用材、合板用材、チップ用材の一体的な生産を促進し、チップ原料の安定供給に努

めるとともに、木材加工施設における端材等の木質バイオマスの利用を促進します。

・ 事業者や市町と連携し、下水汚泥、食品残さ、農業残さ、家畜糞尿等のエネルギー利用

の具体的な展開を図ります。

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メタン発酵ガス発電、熱利用設備等の導入可能性調査及び導入支援

バイオマスエネルギー利用設備の導入支援

市町バイオマス活用推進計画の策定促進

食品廃棄物・生ゴミのエネルギー利用に向けた研究開発

市町バイオマス活用推進計画の策定支援

静岡県バイオマス活用推進計画の推進

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

オ 中小水力

・ 地域特性を生かした多様な小水力発電の導入を促進するため、先行的に取り組む事業者

に対して事業初期の負担の軽減などを支援します。

・ 農業水利施設を活用した小水力発電の導入を促進するため、水力開発の知識を深める勉

強会の開催や、施設管理者、民間企業及び団体等の連携調整に取り組みます。

・ ダムの維持放流水を利用した発電など、公共施設を活用した設備の導入を推進します。

太田川ダム管理用小水力発電の導入

小水力発電設備の導入支援

農業水利施設を活用した小水力発電等利用推進協議会

2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

設備の導入可能性調査及び導入支援

協議会:年1回程度、W.G.:年数回程度

協議会開催

運用発電設備導入工事

カ 温泉エネルギー

・ 地域特性を生かした多様な温泉エネルギーの導入を促進するため、先行的に取り組む事

業者に対して事業初期の負担の軽減などを支援します。

・ 温泉利用者等の関係者の理解の下、温泉熱等を活用する民間事業者等の多様な取組を県

と市町が連携して促進します。

・ 大気中に放出されていた温泉付随ガス(メタンガス)を利用する発電システムの導入を

促進します。

・ 規制緩和や技術開発の状況を踏まえ、単独源泉による小型発電のみならず、複数源泉に

よる発電システムの導入促進に取り組みます。

熱ヒートポンプ、熱発電、熱直接利用、付随ガス発電・熱利用設備の導入可能性調査及び導入支援

温泉エネルギー利用設備の導入支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

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② 地域分散型エネルギーの導入・活用

・ 工場や商業施設、医療・社会福祉施設等への天然ガスコージェネレーションの導入を促進

するため、事業者の初期費用に対する負担軽減を図ります。

・ 「内陸のフロンティア」を拓く取組などにより新たに整備される工業団地や、隣接する複

数の工場等において、天然ガスコージェネレーションの共同利用により、電気と熱を面的

に融通し有効利用する事業者の取組を促進します。

・ 燃料電池について、エネルギーの地産地消を家庭や事業所から進めていくための安定的な

エネルギーとして、導入を促進するとともに、太陽光発電や蓄電池との併用により、エネ

ルギー管理の高度化を図ります。

・ 住宅へのヒートポンプ(家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯器)の導入を図るとともに、集

合住宅や業務用での活用を促進します。

・ 地下水熱や地中熱、排熱などの未利用熱を、ヒートポンプ等により活用する事業を促進し

ます。

・ 生活圏の近くに設置されている中規模の水力発電施設について、設備更新に合わせた出力

の増強や、地域のエネルギー源としての利用を促進します。

・ 導入した新エネルギー設備を持続的に地域のエネルギー源として活用できるよう、設置者

等による適正な保守・管理を促進します。

・ 余剰電力買取制度の終期を迎える住宅用太陽光発電について、蓄電池との併用により電源

としての価値を高めるなど、住宅用太陽光発電の有効利用を促進します。

・ ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の

普及促進など、住宅(家庭)、事業所等においてエネルギー供給設備と省エネ設備の導入

を同時に進めます。

・ 工業団地や住宅団地、商業地区などにおいて、エネルギー利活用の 適化を図るため、地

域内で電気や熱を融通し、エネルギーマネジメントシステムの活用による分散型エネルギ

ーの導入を拡大する取組を官民連携して進めます。

住宅用・事業者用設備の導入支援

取組 2018(H30) 2019(H31)

天然ガスコージェネレーション設備の導入支援

2020(H32) 2021(H33)

③ 将来のエネルギー利用を見据えた取組

・ エネルギー供給源の多様化や環境負荷の低減に貢献し、利便性が高い水素エネルギーにつ

いて、水素ステーションの計画的な整備による燃料電池自動車(FCV)の普及や、県内

の製造工場等で発生する副生水素の利用可能性の調査、セミナーの実施等による県民の理

解の向上など、利活用に向けた取組を促進します。

・ 東部南海トラフ地域に存在し、平成 28 年度にガス生産実験が行われた砂層型メタンハイ

ドレートについては、技術開発や環境面への影響把握の動向を注視し、情報収集を行うと

ともに、関係機関と連携した取組を進めます。

・ 豊富に存在する海洋再生可能エネルギーについて、導入可能性のある海域沿岸の海域利用

者等の、エネルギー利用の重要性や経済効果等についての理解促進に、市町や事業者と連

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携して取り組みます。

・ 熱利用設備の低コスト化の技術開発の状況などを踏まえながら、工場排熱等の更なる活用、

LNG冷熱の利用検討、再生可能エネルギー熱の利用拡大に取り組みます。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

水素エネルギーの普及啓発県民を対象とした水素エネルギーに関する基礎知識習得セミナー

2か所×2回開催 2か所×2回開催 2か所×2回開催 2か所×2回開催

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(2) 建築物の省エネ、ライフスタイル・ビジネススタイルの変革

≪現状・課題≫

○ エネルギーの地産地消の推進に向け、各家庭や事業所における省エネルギー、ライフスタイ

ル・ビジネススタイルの変革及び運輸部門における省エネ化等により省エネルギー社会の形成

が課題となっています。

≪取組の方向≫

○ 各家庭や事業所においてエネルギー消費効率の高い機器・設備やエネルギーマネジメントシ

ステムを導入するとともに、建築物の性能の向上を図ることで省エネルギーを促進します。

○ ライフスタイル・ビジネススタイルの変革や省エネルギーを担う人材の育成により、省エネル

ギーの取組の定着を図ります。

○ 次世代自動車の普及やエコドライブの促進などにより、運輸部門の省エネ化を進めます。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

成果指標

エネルギー消費効率 (2012 年度=100)【再掲】

(2014 年度) 95

(2021 年度) 85 ○

省エネ診断の実施回数 (2013〜2016 年度)平均62 回

(毎年度) 65 回 ○ 活

動指標 電気⾃動⾞⽤充電器設置数 (2016 年度)

907 基 (2021 年度)

1,829 基 ○

≪主な取組≫

① 住まい・事業所の省エネ化

・ 業務用ビルのZEB化の推進に向け、設備・建築設計担当者を対象としたZEB等に関す

る技術力向上研修の修了者を推進員として、ZEBの相談や普及活動を行う取組を実施し

ます。

・ 住宅の省エネ性能が向上するリフォームへの支援などにより、省エネ住宅の普及や事業用

建築物の省エネ化を進めます。

・ エアコン、テレビ、冷蔵庫、電気便座を販売する店舗に対して、これらの製品の省エネル

ギー性能等に関する情報の掲出を義務付け、省エネ機器への買い替えを促進します。

・ 事業所におけるエネルギー消費効率の高い設備の導入や設備改修を制度融資の活用などに

より進めます。

・ 家庭や事業所におけるエネルギー管理を一括して行い、エネルギー消費の見える化を進

め、エネルギー消費の無駄をなくし、 適化する取組を促進します。

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フォーラムの開催等

リフォームへの支援、良質な住宅に関するセミナー等の開催

業務用ビルのZEB化の普及

住宅の省エネ性能向上支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

② ライフスタイル・ビジネススタイルの変革

・ 家庭や事業所等による省エネルギーや温暖化防止に関する継続的な取組の“約束”を広く

募集し、省エネルギーの取組を促進します。

・ 夏期(7~9月)・冬期(12~1月)における、前年同月比使用量減または、世帯人数別

県標準家庭値より少ない使用量の電気・ガスの検針票を募集し、省エネルギーの取組を促

進します。

・ 日常生活で取組可能な節電・省エネの取組を確認できるチェックシートをイベント会場、

学校、職場等で配布し、省エネルギーの取組を促進します。

・ 家庭のエネルギー使用量や用途を診断し、省エネ対策をアドバイスする「家(うち)エコ

診断」の普及に県・市町が連携して取り組み、家庭における省エネルギー行動を促進しま

す。

・ 家庭における環境リーダーとして省エネルギー行動を実践してもらうため、小学生を対象

に地球温暖化防止のためのプログラムを市町や小学校と連携して実施します。

・ エコアクション 21 地域事務局と連携して、環境マネジメントシステムの普及や同システ

ムを取得している事業者の効果的運用を促進します。

・ 省エネ対策に取り組む意欲のある中小企業に対して、省エネ診断を実施します。

・ 静岡県地球温暖化防止条例に基づく計画書制度により、大規模事業者の自主的な省エネの

取組を促進します。

・ マイカー通勤者が多い事業者に対して、自動車通勤環境配慮計画書及び報告書の提出を義

務付け、従業員のエコドライブの実施や公共交通機関の利用などを促進します。

・ 節電や省エネルギーの取組などにより、地球温暖化防止に顕著な貢献のあった個人又は団

体に対し、その功績をたたえ、知事褒賞を行います。

・ 省エネルギー対策に関する取組事例について、セミナーやホームページ等を通じて情報提

供します。

・ 環境マネジメントの導入支援などを通じ、家庭や事業所の省エネ化を支援する人材や環境

経営を実践する人材を育成します。

・ 家庭で省エネ活動に取り組むためのプログラムの展開や新エネルギーについて理解する機

会の提供など、環境・エネルギー教育の取組を推進します。

家庭や事業所における診断の実施

2021(H33)

無料省エネ診断の実施

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

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③ 運輸部門の省エネ化

・ 運輸部門の省エネ化のため、電気自動車(EV)用充電器や水素ステーションの整備などに

より次世代自動車の普及を図るとともに、エコドライブを促進します。

・ 一定台数以上の自動車(トラック100台以上、バス100台以上、タクシー150台以上)を使

用する運輸事業者に対し、温室効果ガス排出削減計画書及び報告書の提出を義務付け、自主

的な省エネ対策を促進します。

EV用充電器の位置情報等の発信

水素ステーション整備事業を支援

2019(H31)2018(H30) 2020(H32)

1基 1基 1基 1基

2021(H33)

次世代自動車の普及のための環境整備

取組

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(3) エネルギー産業の振興

≪現状・課題≫

○ エネルギーコストの低減、エネルギーの安定供給等を通じた地域経済の活性化を図るため、地

域企業によるエネルギー関連産業への参入を促進し、エネルギー産業を振興することで、地域

経済の着実な成長につなげていくことが必要です。

≪取組の方向≫

○ 地域資源を活用したエネルギー事業への参入を支援するとともに、許認可・手続きの効率化

や関連産業の誘致により、本県ならではのエネルギー関連市場の形成を図ります。

○ エネルギーの地産地消の推進に寄与する 新技術の活用を図るため、モデル事業の実施、技

術開発及び事業化を促進し、新たなエネルギー関連産業の創出を図ります。

○ 新エネルギーの導入やエネルギーの地域内での有効利用により、農林漁業や観光業等とも連携

しながら地域の魅力を高め、地域経済の活性化を図ります。また、エネルギー事業を支える基

盤の強化に向け、人材の確保や技術力の向上を図ります。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

地産エネルギー導⼊率【再掲】 (2016 年度) 16%

(2021 年度) 23% ○

新エネルギー等導⼊量【再掲】 (2016 年度) 105.1 万㎘

(2021 年度) 159.1万㎘ ○

成果指標

エネルギー消費効率 (2012 年度=100)【再掲】

(2014 年度) 95

(2021 年度) 85 ○

静岡版メタン発酵プラント導⼊か所数

(2016 年度まで) 0か所

(2021 年度) 3か所 ○ 活

動指標 エネルギー関連機器・部品の製品

化数 - (2021 年度) 6件 ○

≪主な取組≫

① エネルギー関連産業への参入促進

ア エネルギー事業への参入支援

・ エネルギー供給事業への参入や、自家消費による経営改善に向け、設備導入や調査等に

かかる初期負担の軽減を図るとともに、有識者のアドバイス等により、小水力、バイオ

マス、温泉熱・付随ガスをはじめ、新エネルギーを活用した発電・熱利用設備の導入を

支援します。

・ エネルギー事業関連分野への参入に関する各種支援制度について、市町・関係団体とも

連携しながら、分かりやすい情報の発信に取り組みます。

・ 企業立地支援制度の拡充や首都圏の誘致体制の強化により、新エネルギーや次世代自動

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車を含む成長産業分野を中心に、県内における新たな投資・参入を支援します。

・ 過疎化、高齢化、産業の衰退などの地域課題の解決に向け、産学官金の連携による新エ

ネルギー等の研究開発・事業化を促進するとともに、技術・ノウハウを有する企業間の

連携の促進に向け、マッチングを支援します。

小水力、バイオマス・温泉エネルギー利用設備の導入支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

設備の導入可能性調査及び設備導入支援

イ エネルギー機器・部品の開発促進

・ 中小食品工場、業務用施設等の経営改善に寄与するバイオマスエネルギーの自産自消の

促進に向け、食品廃棄物を活用した安価な小型メタン発酵プラント(静岡版メタン発酵

プラント)の事業化と普及に取り組みます。

・ 太陽エネルギーをはじめ、バイオマス、風力、水力、温泉、海洋エネルギーなどを活用

した産学官金連携による研究開発を促進します。

・ 出力が不安定な太陽光、風力を安定電源として活用していけるように、出力管理の高度

化等を促進します。

・ 将来的な、太陽光発電設備をはじめとする新エネルギー利用設備の更新、廃棄を見据

え、リサイクル技術や設備能力を増強する更新技術などに関する取組を進めます。

・ 必要な資金を金融機関から受けやすくするため、国の動向や県の施策に対応し、制度融

資の適時適切な創設・拡充を行うとともに、制度融資の周知による利用及び認知度の向

上に努めます。

パイロットプラントを活用した実証試験とシステム改良 本格普及

プラント導入(1か所) プラント導入(1か所)

小型バイオマスプラントの事業化と普及

2021(H33)取組

プラント導入(1か所)

2020(H32)2018(H30) 2019(H31)

② 新たなエネルギー関連産業の創出

・ 新のIoT技術を活用し、新エネルギーの発電設備や蓄電池、節電の取組を統合的に制

御し、各主体がインセンティブを得ながら地域内で効率的に需給を調整するシステム(地

産地消型バーチャルパワープラント)の構築に向けてモデル事業を実施します。

・ IoT活用研究会エネルギーデータ利活用部会等において、蓄積するエネルギーデータを

利活用する方法を研究し、新たなサービス事業の創出を図るとともに、蓄エネ、センサー、

制御システムなど、産学官によるIoT関連産業の振興を図ります。

・ 事業化を支援する助成制度、商談会の開催及び展示会への出展支援を充実・強化します。

また、事業化支援の助成案件ごとに、金融機関や工業技術研究所の研究統括監等をメンバ

ーとする事業推進チームを設置するなど、産学官金が連携して地域企業に対する事業化や

販路開拓の支援に取り組みます。

・ 電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)に加え、省エネルギーに寄与する自動走

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行システムの関連技術や部品の開発に向け、産学官金での研究開発を推進するとともに、

新技術の動向や業界及び自動車メーカーのニーズを把握します。

・ 次世代自動車の販路開拓を支援するため、大手自動車メーカーとの商談会の開催や展示会

への出展支援に取り組みます。また、新たな規格の超小型モビリティについて、利活用に

関する公道での走行実証試験など、実用化に向けた取組を支援します。

・ 小規模分散型エネルギーの有効活用に向け、中古蓄電池の活用などの蓄電池関連技術、変

換ロスの少ない直流給電等の送電技術等について、国内技術の動向を研究し、情報収集に

努めるとともに広く情報発信を行います。

・ 水素関連ビジネスの実現可能性や、水素関連製品・部品の業界のニーズや 新技術の動向

を調査し、勉強会の開催等を通じて情報発信するとともに、産学官での研究開発を促進し、

エネルギー事業者及び機器メーカーと地域企業のマッチングを支援します。

地産地消型バーチャルパワープラントの構築

本格普及

2021(H33)

モデル事業実施

2020(H32)取組 2018(H30) 2019(H31)

エネルギー関連機器・部品の製品化促進

産官学による協議会の支援によりエネルギー関連の機器・部品を製品化

③ 多様な産業との連携による地域経済の活性化

・ 施設園芸の省エネ、低コスト化及び安定収量確保による生産性向上を図るため、太陽光発

電施設やヒートポンプ、木質バイオマス暖房機等の導入を進めるとともに、情報通信技術

を活用した照度、温度、湿度及び二酸化炭素濃度等のモニタリング技術を開発し、これら

を高度に制御する環境制御システムの導入を促進します。

・ 農業者の経営改善を図るため、営農を継続しながら上部空間等に太陽光発電や小型風力発

電などの発電設備を設置する取組を促進し、エネルギー事業者と農林漁業者等のマッチン

グの機会を提供します。

・ 土地改良施設の維持管理費の軽減や、農山村の美しい水辺空間の演出等を図るため、農業

水利施設を活用した小水力発電施設の導入を図るとともに、「静岡県農業水利施設を活用

した小水力等利用推進協議会」の活動等を通じた民間事業者等の取組を支援します。

・ 農業者、畜産業者等の経営改善を図るため、産官学の連携により、木質バイオマスをはじ

め、農業残さ、家畜糞尿等の未利用資源をメタン発酵によりガス化して熱や電気に変える

取組をはじめ、エネルギーとして有効活用する取組を支援します。

・ コスト面、多段階利用に留意しつつ、県産材の総合的な利用の一環として、木質バイオマ

スの利用を促進します。低コスト生産システムの定着による県産材の安定供給体制の確立

を図り、製材、加工、チップ用材の一体的な生産を促進し、林業・木材産業の振興を図り

ます。

・ 東京 2020 オリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ 2019 などの大規

模イベントにおける次世代自動車や新エネルギーの活用により、本県の環境に配慮した取

組を観光産業と連携しながら国内外に情報発信します。

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・ 新エネルギー設備や次世代自動車を活用し、来訪者の参画など地域の特色を生かした 新

のエネルギー需給システムを構築し、国内外に情報発信します。

情報発信

開催

開催

燃料電池バス活用の準備

燃料電池バス活用の準備

2021(H33)2019(H31)2018(H30) 2020(H32)

モデル事業実施最新のエネルギー需給システムの構築と国内外への情報発信

取組

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた環境配慮の取組

ラグビーワールドカップ2019に向けた環境配慮の取組

本格実施 水平展開

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分 野 編【 商 ⼯ 業 編 】

基本方向1 次世代産業の創出と展開 本県経済が持続的に発展していくためには、次代の動きを先取りし、IoTやAI等のテクノ

ロジーの急激な進展や、世界的に進む自動車のEV化や自動運転化などの大きな潮流の変化を見

据えながら、未来につながる産業構造を構築していく必要があります。

このため、次世代のリーディング産業の創出と育成を図るファルマバレー(医療・健康)、フ

ーズ・サイエンスヒルズ(食品等)、フォトンバレー(光・電子技術)の3つの産業集積プロジ

ェクトを静岡新産業集積クラスターとして推進し、県内企業による新たな事業や製品の創出を促

進します。

また、次世代自動車やロボット、航空宇宙分野など、成長が期待される産業分野への地域企業

の参入支援や産学官連携によるCNF(セルロースナノファイバー)の製品化・事業化の推進、

県外からの新たな企業の誘致や県内企業の投資促進、海外展開支援などに取り組みます。

さらに、本県経済に大きな影響が予想されるEV化への対応について、産業界や関係機関と連

携しながら、県内企業への支援に取り組みます。

(1) 静岡新産業集積クラスターの推進

≪現状・課題≫

① ファルマバレープロジェクトの推進

・ 医療健康産業の集積を目指し、産学官金で連携し、ファルマバレープロジェクトを推進して

います。医薬品・医療機器等の開発・生産が活発化するよう、地域企業の新規参入と事業化

の支援を一層推進していく必要があります。

② フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトの推進

・ 付加価値の高い食品関連産業の集積を目指し、産学官金で連携し、フーズ・サイエンスヒル

ズプロジェクトを推進しています。機能性食品等の開発・生産が活発化するよう、地域企業

の事業化と販路開拓の支援を一層推進していく必要があります。

③ フォトンバレープロジェクトの推進

・ 光・電子技術に関連する産業が集積し、産業応用が活発に行われる地域を目指し、産学官金で

連携し、フォトンバレープロジェクトを推進しています。光・電子技術の応用領域の拡大や既

存産業の高度化等を推進する必要があります。

④ 3クラスターの相互連携

・ 3クラスターでの展示会への共同出展により、全国、世界への情報発信力を高めるなど、連携

することで施策の相乗効果を高めています。クラスター間でシーズ、ニーズの情報共有を行う

など、更なる連携を進めていく必要があります。

≪取組の方向≫

① ファルマバレープロジェクトの推進

・ 2020 年度(平成 32 年度)までを計画期間とする「ファルマバレープロジェクト第 3 次戦略

計画」に基づき、支援機関である(一財)ふじのくに医療城下町推進機構ファルマバレーセ

ンターと静岡がんセンターの2つを中核機関として産学官金のネットワークを構築し、もの

づくり、ひとづくり、まちづくり、世界展開を戦略の柱として推進します。

・ ファルマバレーセンターの機能強化を図り、静岡県医療健康産業研究開発センターを 大限

活用して、地域企業の新規参入を一層促進するとともに、静岡がんセンターの研究成果の活

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用やオープンイノベーションによる医薬品、医療機器の開発及び世界を見据えた一層の販路

開拓を進めます。

② フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトの推進

・ 2019 年度(平成 31 年度)までを計画期間とする「フーズ・サイエンスヒルズプロジェクト

第 2 次戦略計画」に基づき、中核支援機関である(公財)静岡県産業振興財団フーズ・サイ

エンスセンターが中心となり、産学官金のネットワークを構築し、サイエンスの確立とマー

ケットの獲得を基本方針として事業を推進します。

・ フーズ・サイエンスセンターの機能強化を図り、オープンイノベーションとマーケットイン

の発想に基づき、機能性食品や食品由来の化粧品などの研究・開発や、食品産業の生産性向

上に貢献する食品加工機器の開発を一層促進するとともに、国内、世界への一層の販路拡大

を進めます。

③ フォトンバレープロジェクトの推進

・ 「光・電子技術を活用した未来創成ビジョン(フォトンビジョン)」に基づき、中核支援機関

である(公財)浜松地域イノベーション推進機構フォトンバレーセンターが中心となり、産

学官金のネットワークを構築し、世界に通用する光・電子技術を創出するとともに、その技

術を活用した既存産業の生産性向上を図るため、多様な産業分野での地域企業の新規参入と

事業化に向けた取組を支援します。

・ フォトンバレーセンターの機能強化を図り、大学等の知見等を活用して地域企業の課題解決

を支援する仕組みを構築し、光・電子技術を活用した製品開発や世界を見据えた販路の一層

の拡大を進めます。

④ 3クラスターの相互連携

・ 3プロジェクトの推進に当たっては、それぞれの取組の相乗効果を高めるよう、中核支援機

関同士の連携を強化し、全国、世界への効果的な情報発信や異業種間連携を促進するととも

に、3プロジェクトが共通に推進できるテーマ「健康長寿」については、相互の連携を一層

強化します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

製造業の従業者1⼈当たりの付加価値額

(2015 年度) 1,459 万円

(2021 年度) 1,517 万円 ○

静岡新産業集積クラスター事業化件数

(2013〜2016 年度)累計196 件

(2018〜2021 年度)累計226 件

(うちファルマバレープロジェクト 事業化件数)

(累計33 件) (累計 42 件)

(うちフーズ・サイエンスヒルズプロジェクト事業化件数)

(累計119 件) (累計 120 件)

成果指標

(うちフォトンバレープロジェクト 事業化件数)

(累計44 件) (累計 64 件)

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区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

静岡新産業集積クラスターによる試作品開発⽀援件数

(2013〜2016 年度)累計254 件

(2018〜2021 年度)累計279 件

(うちファルマバレープロジェクトによる試作品開発⽀援件数)

(累計25 件) (累計 44 件)

(うちフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトによる試作品開発⽀援件数)

(累計148 件) (累計 150 件)

(うちフォトンバレープロジェクトによる試作品開発⽀援件数)

(累計81 件) (累計 85 件)

静岡新産業集積クラスターによる⾼度産業⼈材の育成数

(2013〜2016 年度)累計384 ⼈

(2018〜2021 年度)累計412 ⼈

(うちフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトによる⾼度産業⼈材の育成数)

(累計151 ⼈) (累計 172 ⼈)

(うちフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトによる⾼度産業⼈材の育成数)

(累計98 ⼈) (累計 104 ⼈)

活動指標

(うちフォトンバレープロジェクトによる⾼度産業⼈材の育成数)

(累計135 ⼈) (累計 136 ⼈)

≪主な取組≫

① ファルマバレープロジェクトの推進

ア 医療健康産業の集積と事業化の促進

・ 「ファルマバレープロジェクト第3次戦略計画」を着実に推進するとともに、「戦略計

画」の実績と評価を踏まえ、次期戦略計画を策定し、プロジェクトを持続的に推進しま

す。

・ (一財)ふじのくに医療城下町推進機構ファルマバレーセンターが地域企業への支援体

制を強化して、2018 年(平成 30 年)4月から本格的に業務を開始し、医療健康産業へ

の参入に必要となる中核人材や経営者の育成、品質管理体制構築や試作品の開発、製品

の国内外医療機関への販路開拓等の切れ目ない支援を行います。

・ 静岡がんセンターが行うがんゲノム解析等の研究成果を活かした医薬品・医療機器開発

を促進するとともに、静岡県医療健康産業研究開発センターの機能を 大限に発揮して、

入居企業同士や静岡がんセンター、大学、地域企業、さらには欧米、アジアの大学・研

究機関等との連携により、オープンイノベーションに基づく新製品、新技術の開発を促

進します。

・ 静岡県立大学、静岡県環境衛生科学研究所と連携した独自の創薬ネットワークにより医

薬品の種となるリード化合物を創出するとともに、県内 28 病院からなる静岡県治験ネ

ットワークにより、県内での治験や臨床研究の実施を支援します。

・ 東部12市町や金融機関などの関係機関との密接な連携により、「ふじのくに先端医療総

合特区」を推進し、財政支援、金融支援、規制緩和等の効果的な活用を図るとともに、

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市町やかかりつけ湯協議会等と連携し、健康をテーマとするまちづくりを推進します。

・ 欧米の研究機関との連携による製品開発や日本人向けに開発した製品のアジアへの展開

など、企業の医療健康分野での国際展開を支援します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

ファルマバレープロジェクト第3次戦略計画の推進

地域企業の参入支援及び事業化の推進

新拠点施設の活用

ふじのくに先端医療総合特区の推進

ファルマバレープロジェクト第3次戦略計画を推進

新戦略計画の策定 新戦略計画の推進

医療機器製造への新規参入やコーディネータによるビジネスマッチングの推進、展示会出展による販路開拓支援

東部12市町と連携した総合特区の推進

オープンイノベーションによる新製品・新技術の開発

事業化10件試作品開発10件

事業化10件試作品開発11件

事業化10件試作品開発11件

事業化12件試作品開発12件

イ 高度産業人材の育成

・ 地域企業の医療健康分野への進出をさらに進めるため、沼津工業高等専門学校が行う、

医療機器開発を担う地域企業の中核人材を育成する「富士山麓医用機器開発エンジニア

養成プログラム」などを支援します。

高度産業人材の育成

2020(H32)2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)取組

富士山麓医用機器開発エンジニア養成プログラム(F-met)等の開催支援

43人 43人 43人 43人

② フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトの推進

ア 食品関連産業の集積と事業化の促進

・ 「フーズ・サイエンスヒルズプロジェクト第2次戦略計画」を着実に推進するとともに、

「戦略計画」の実績と評価を踏まえ、新戦略計画を策定し、プロジェクトを持続的に推

進します。

・ 中核支援機関である(公財)静岡県産業振興財団フーズ・サイエンスセンターのコーデ

ィネート機能、アドバイザー機能の強化を図り、地域企業に対して、食品関連法の知識

習得や中核人材の育成、品質管理体制構築への支援、産学官金連携による機能性食品等

の研究開発や試作品開発、販路開拓への支援等の切れ目ない支援を行います。また、食

品加工技術の高度化への一層の支援を行います。

・ 機能性表示食品制度を積極的に活用し、静岡県立大学が実施する「ヒト介入試験」及び

「システマティック・レビュー」により、食品の機能性に関する科学的データを蓄積し、

新たな機能性食品の開発を支援します。

・ 農林水産業など一次産業との連携を強化し、本プロジェクトの成果等を現場に還元する

ことにより、農林水産業の振興につなげます。

・ 食の安心・安全のための食品の分析や試験、多彩な農林水産物を加工する機器の製造、

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サプリメントなどの健康食品や化粧品などの多様な食品関連産業の育成を図ります。

・ 富士山静岡空港就航先である北海道や韓国、台湾などの支援機関等との連携により、地

域企業の新たな製品開発、販路開拓を支援します。

取組

フーズ・サイエンスヒルズプロジェクト第2次戦略計画の推進

2019(H31) 2021(H33)2018(H30) 2020(H32)

地域企業の事業化の推進

機能性食品の開発支援

新戦略計画の策定 新戦略計画の推進

フーズ第2次戦略計画を推進

コーディネータによるビジネスマッチングの推進、アドバイザーによる販路開拓

機能性プラットフォームによる機能性表示食品の届出支援、アドバイザーによる機能性食品開発支援

事業化29件試作品開発37件

事業化29件試作品開発37件

事業化31件試作品開発38件

事業化31件試作品開発38件

イ 高度産業人材の育成

・ 地域企業による研究開発成果の事業化や機能性食品など新製品の開発を一層促進するた

め、フーズ・サイエンスセンターが静岡県立大学や工業技術研究所などと連携して行う、

地域企業の製品開発を担う中核人材を育成する「総合食品学講座」を支援します。

高度産業人材の育成

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30)

総合食品学講座の開催支援

26人 26人 26人 26人

③ フォトンバレープロジェクトの推進

ア 光・電子技術関連産業の集積と事業化の促進

・ 光・電子技術を活用した更なる事業創出を図るため策定した「フォトンビジョン」を、浜

松市などの西部地域26機関と連携し、着実に推進します。

・ 中核支援機関である(公財)浜松地域イノベーション推進機構フォトンバレーセンター

の機能強化を図り、光・電子技術の活用促進や研究開発、試作品開発、販路開拓を切れ

目なく支援します。

・ 輸送機器や農業など幅広い産業の生産性向上のため、地域企業への光・電子技術の導入

を促進します。

・ 大学などの知見等を活用して、地域企業の短期での課題解決及び試作品開発を支援する

新たな仕組みを構築、運用します。

・ 「はままつ次世代光・健康医療産業創出拠点」が行う産学官による研究開発や人材育成、

新たな製品開発などの取組を支援します。

・ ドイツ、ベルギー等、優れた光・電子技術を有する地域との人材や技術の交流を促進し

ます。

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78

2020(H32)取組 2018(H30) 2019(H31)

地域企業の参入支援及び事業化の推進

2021(H33)

フォトンビジョンの推進光・電子技術の活用を進めるフォトンビジョンを推進

セミナー等を通じた、地域企業の光・電子技術活用の促進、コーディネータによるビジネスマッチングの推進、展示会出展等への支援

事業化15件試作品開発20件

事業化15件試作品開発20件

事業化17件試作品開発22件

事業化17件試作品開発23件

イ 高度産業人材の育成

・ 地域企業の新製品・新技術の開発を促進するため、光産業創成大学院大学が行う、レー

ザーを活用した製品開発に取り組む地域企業の中核人材を育成する「レーザーによるも

のづくり中核人材育成講座」の実施を支援します。

2021(H33)

高度産業人材の育成

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

レーザーによるものづくり中核人材育成講座の開催支援

34人 34人 34人 34人

④ クラスターの相互連携

・ 中核支援機関同士の連携を強化し、コーディネータ間の相互の情報交換をすることで、

効果的に事業化を促進します。

・ 超高齢社会の到来により益々重要性が高まる健康長寿については、健康長寿に関するイ

ノベーションをテーマとして、3プロジェクトの更なる連携強化を図り、静岡県立大学

等の学術研究機関と連携するとともに、AOIプロジェクトが進める革新農業やマリン

バイオテクノロジー等の 新技術を結集し、推進します。

静岡県健康長寿イノベーションの推進

2020(H32)

中核支援機関同士の連携強化

2018(H30) 2021(H33)2019(H31)取組

コーディネータ間の相互の情報交換

3プロジェクトの連携強化革新農業やマリンバイオテクノロジー等の最新技術の推進

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(2) 新たな成長産業の育成

≪現状・課題≫

① CNF、次世代自動車、ロボット、航空宇宙などの成長産業分野への参入支援

・ 県と(公財)静岡県産業振興財団、産業支援機関などが一体となり、CNFなどの新素材や

次世代自動車、ロボット、航空宇宙、環境、新エネルギーなどの成長産業分野へ新たに参入

していく企業や既に参入している地域企業に対し、啓発・技術相談から研究・試作品開発、

事業化や販路開拓までの一貫した支援に取り組んでいます。

・ 産業構造の変化を先取りする意欲ある中小企業に対して、成長産業分野への新規参入や新製

品開発支援を行い、経営の多角化や第二創業等を促進していく必要があります。

・ 自動車や家電、紙・パルプ分野など、多彩な産業が集積する本県の場の力を活かし、軽くて

強い、熱による寸法変化が少ないなどの優れた特性を持ち、多様な用途展開が期待できる新

たな素材(CNF)を活用した産業を創出していく必要があります。

・ 全産業に及ぶ技術革新の基盤となるIoTやAIなどの活用を戦略的に推進し、成長産業の

育成・振興につなげていく必要があります。

② EV化等への対応

・ 世界的に自動車のEV化や自動運転化等が進行しており、本県経済への大きな影響が予想さ

れる中で、本県の基幹産業である自動車産業が持続的に成長していくよう、長期的視点に立

って適切に対応していく必要があります。

③ 産業を牽引する研究開発の推進

・ 生産性の向上に向けた技術開発や、付加価値の高い新たな商品等の開発、本県産業の競争力

強化に貢献する研究開発などが求められています。

・ AI、IoT、ロボット、バイオ等の先端分野の研究開発や異分野同士が連携して解決に当

たるべき政策課題も増加しています。

④ 創業しやすい環境づくりと創業後の成長支援

・ 地域密着型創業の支援については、市町により取組内容が異なるため、全市町において創業

しやすい環境が整備されるよう支援していく必要があります。

・ 創業から間もない経営者は、資金、人材等の経営資源のほか経営に関する経験や知識が不足

していることが多いため、安定した成長軌道に乗せるまでの支援を行っていく必要がありま

す。

⑤ 新たなサービス産業の振興

・ 地域経済の好循環を生み出すためには、産業全体に占める県内総生産額等の割合が高いサー

ビス産業の活性化を促進していく必要があります。また、本県ならではの特色ある新たなサ

ービス産業を創出していく必要があります。

⑥ 次世代産業の創出に向けた資金調達支援

・ 成長産業分野などへ参入する企業への円滑な資金調達のため、県制度融資等の充実や利用し

やすい環境を整備していく必要があります。

⑦ 特許や商標など知的財産等の積極的な活用

・ 地域企業の技術力向上や新分野進出のため、知的財産を活用したイノベーションを促進して

いく必要があります。

≪取組の方向≫

① CNF、次世代自動車、ロボット、航空宇宙などの成長産業分野への参入支援

・ 成長産業分野への参入を目指す企業や事業拡大を目指す企業に対し、引き続き積極的な支援を

行います。

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・ 県内産業のイノベーションの創出と生産性向上に不可欠な革新的技術基盤(IoT、AI

等)の振興と活用を進めます。

② EV化等への対応

・ 産業界、国、JETRO等と連携し、自動車のEV化や自動運転化、カーシェアリング等の

動向やその影響についての情報を収集・把握し、的確に対策を講じます。

・ 既存の自動車関連企業が進めている内燃機関の効率化や軽量化の技術開発に加え、EV、自

動運転などの次世代自動車への事業展開を支援するとともに、自動車産業以外の産業からの

次世代自動車事業への参入を促進します。また、第二創業を含め、他の成長産業へ活路を求

める自動車関連企業に対しては、静岡新産業集積クラスターへの参画や航空宇宙・ロボット

産業分野等への参入支援を進めます。

③ 産業を牽引する研究開発の推進

・ 成長産業分野への参入や新製品開発に意欲的な地域企業の技術力強化を支援するため、これま

でに蓄積したコア技術を活かしつつ、オープンイノベーションによる革新的技術を取り入れた

研究開発を推進します。

・ 事業者等の要望や新たな政策課題に対応するため、プロジェクト型研究である新成長戦略研究

を推進します。

④ 創業しやすい環境づくりと創業後の成長支援

・ 創業を希望する者の創業環境の向上のため、産業競争力強化法に基づく市町創業支援事業計画

の策定を促進するとともに、市町等の創業支援事業を支援します。

・ 県外・海外市場を目指す成長志向の創業者に対し、成長軌道に乗せるための集中的な支援に取

り組みます。

⑤ 新たなサービス産業の振興

・ 雇用創出などの地域経済への寄与と県民の健康長寿への貢献が期待されるヘルスケア産業の振

興等により、新たなサービス産業を創出します。

・ サービス産業の生産性の向上により、県内のサービス産業全体を底上げします。

⑥ 次世代産業の創出に向けた資金調達支援

・ 県制度融資等の充実や利用促進を通じ、次世代産業の創出と展開を支援します。

⑦ 特許や商標など知的財産等の積極的な活用

・ 地域企業の新技術・新製品の開発や新たな事業展開につなげるため、地域企業の知的財産の創

造、保護及び活用に関する取組を促進します。

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≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

新成⻑分野の経営⾰新計画の新規承認件数

(2013〜2016 年度)累計436 件

(2018〜2021 年度)累計440 件 ○

試作・実証試験助成制度等を活⽤した成⻑分野における製品化件数

(2013〜2016 年度)累計37 件

(2018〜2021 年度)累計40 件 ○

市町創業⽀援事業計画による⽀援を受けた創業者数

(2016 年度) 1,304 ⼈

(2021 年度) 1,555 ⼈ ○

成果指標

ヘルスケアサービス事業化件数 (2015〜2016 年度)累計2 件

(2018〜2021 年度)累計8 件 ○

コーディネータ(CNF、航空宇宙等)の企業訪問件数

(2014〜2016 年度)平均252 社

(毎年度) 260 社 ○

新成⻑戦略研究の成果の新たな実⽤化件数【再掲】

(2016 年度) 7 件

(毎年度) 8 件 ○

創業⽀援事業計画認定市町数 (2016 年度) 21 市町

(2021 年度) 全市町 ○

静岡県ヘルスケア産業振興協議会の会員数

(2016 年度まで)累計224 社・団体

(2021 年度まで) 累計240 社・団体 ○

次世代産業創出に係る県制度融資等利⽤件数

(2016 年度) 326 件

(2021 年度) 400 件 ○

活動指標

特許流通アドバイザーによる知的財産の活⽤マッチング件数

(2013〜2016 年度)平均48 件

(毎年度) 50 件 ○

≪主な取組≫

① CNF、次世代自動車、ロボット、航空宇宙などの成長産業分野への参入支援

・ 地域企業が成長産業分野に参入する上で必要な業界ニーズや 新の技術情報提供、技術力

の向上、製品化に向けた研究・試作品開発・事業化への支援、商談会、展示会出展等を通

じた販路開拓の支援を総合的、一体的に実施します。

・ 製品開発助成の案件ごとに金融機関や工業技術研究所等をメンバーとする事業推進チーム

を設置し、産学官金が連携して地域企業に対する事業化や販路開拓支援に取り組みます。

・ 県と国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)、国立研究開発法人新エネルギー・

産業技術総合開発機構(NEDO)との連携協定に基づき、国の研究機関が保有する高度

な技術シーズを活用した地域企業による共同研究開発を支援することを通じ、成長分野に

おける先端的企業の育成を図ります。

・ 県西部地域の市町と連携し、(公財)浜松地域イノベーション推進機構が行う、中小企業

の成長産業分野への参入促進事業を支援します。

○ CNF関連産業分野

・ CNF関連産業の創出と集積を図るため、富士工業技術支援センターを中核的支援機関

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82

に位置付け、産学官の連携を強化しつつ、静岡大学への寄附講座の設置等による研究開

発の強化やコーディネータの配置等による製品開発の支援、製造拠点の形成などを強力

に推進します。

・ CNFを活用した試作品開発への助成や、試作品等を測定・評価する機器の整備などに

より、製紙産業をはじめとする様々な産業分野でCNFの高い機能性に着目した高付加

価値化を図る用途開発を支援するとともに、将来的に大きな市場への展開が期待される

自動車や家電、建材などの分野での活用を促進します。

○ 次世代自動車分野

・ EV化、自動運転化などに対応するため、今後進める次世代自動車分野の育成について

は、EV化、自動運転化への総合的対応の1つとして強力に推進することとし、産業界

や関係機関と連携しながら、地域企業の技術者養成や研究開発・事業化支援、専門コー

ディネータの活用などによる販路開拓支援などを推進します。また、自動運転に向けた

社会実証試験を推進します。

○ ロボット分野

・ 制御やセンサーなどの高い技術を持つ企業が多く立地する本県の強みを活かし、産業用

ロボットや介護労働者の負担軽減等につながるサービスロボット分野の研究開発や事業

化を支援し、地域企業のロボット分野への参入を促進します。

○ 航空宇宙分野

・ 専門コーディネータによる県内中小企業と大手重工メーカーとのビジネスマッチングや、

新規参入に必要な品質保証に係る認証取得への助成、富士山静岡空港を活用したMRO

ビジネスへの参入促進、次世代無人航空機を活用したビジネスモデル創出などの支援を

推進します。また、航空関連産業の人材育成や海外メーカーとの取引創出に向け、ブラ

ジル航空技術大学(ITA)及び同国航空機メーカーとの連携強化を図ります。

○ 環境分野

・ 産業技術総合研究所が保有する高い技術シーズを活用した地域企業の共同研究開発や事

業化を支援します。

・ 静岡県と淅江省の環境技術や省エネルギー技術等の技術交流や、両県省企業による共同

研究・開発の促進等を目的とした、静岡県環境資源協会と淅江省環保産業協会との協定

締結をもとに、環境汚染対策技術等に対する需要拡大が期待される中国への地域企業の

ビジネス展開を支援します。

○ 新エネルギー分野

・ 太陽エネルギーをはじめ、バイオマス・風力・水力・海洋エネルギーなどの新エネルギ

ー分野において、産業技術総合研究所が保有する高い技術シーズを活用した企業の共同

研究開発や事業化を支援し、地域企業の新エネルギー分野への参入を促進します。

○ 医療・福祉機器分野

・ 産業技術総合研究所が保有する高い技術シーズを活用した地域企業の共同研究開発や事

業化を支援します。

・ 大手メーカーをはじめ多彩な事業者が集積し、医療機器生産高が全国第 1 位である本

県の強みを活かし、ファルマバレープロジェクトの静岡県医療健康産業研究開発セン

ターや、フォトンバレープロジェクトのはままつ医工連携拠点の取組を通じ、地域企

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業の研究開発や事業化を支援します。また、海外を含めた販路開拓を支援します。

○ 光関連技術分野

・ 産業技術総合研究所が保有する高い技術シーズを活用した地域企業の共同研究開発や

事業化を支援します。

・ 大学等の研究機関や国のプロジェクト等を通じて蓄積した高い技術を持つ企業・大学が

集積している本県の強みを活かし、フォトンバレーセンターを中心に、国や海外の研究

機関と連携した研究開発や事業化を支援します。また、専門コーディネータによる製品

開発、販路開拓を支援します。

2018(H30) 2019(H31)

航空宇宙産業の育成

取組 2020(H32) 2021(H33)

ふじのくにCNFプロジェクトの推進

地域企業の成長産業分野への参入促進

技術相談、研究開発助成、事業化助成、展示会出展支援

中小企業の高度人材育成・設備投資支援、ブラジル航空技術大学(ITA)と県内大学の交流促進、

富士山静岡空港を活用したMROビジネスへの参入促進、無人航空機産業推進協議会の運営

寄付講座の開催、CNFフォーラムの運営、総合展示会の開催

技術相談、研究開発助成、事業化助成、展示会出展支援

中小企業の高度人材育成・設備投資支援、ブラジル航空技術大学(ITA)と県内大学の交流促進、

富士山静岡空港を活用したMROビジネスへの参入促進、無人航空機産業推進協議会の運営

寄附講座の実施、CNFフォーラムの運営、総合展示会の開催

② EV化等への対応

・ 産業界や支援機関、国、JETRO等と連携して研究会を設置し、EV化や自動運転化等

の 新動向や県内産業への影響等について、リスクとチャンス両面での情報を共有し、自

動車産業が進めていく既存自動車の高度化や次世代自動車への展開、次世代自動車開発へ

の他産業からの参入、自動車産業から成長産業への展開など、様々なシフトに対応した対

策を検討し、それに基づく対策を推進します。

・ 内燃機関の更なる効率化に資する部品や軽量化技術等の開発、EV化・自動運転などの次

世代自動車分野の研究開発・事業化を支援します。また、研究開発に必要な検査機器等を

県工業技術研究所に整備します。

・ EV化、自動運転化等に伴う新たな開発や製品化に、他産業から参入しようとする企業に

対し、技術動向の情報提供や研究開発・事業化を支援します。

・ EV化、自動運転化に伴うサプライチェーンの構造変化に併せ、完成車やモーター、自動

運転のコア技術を有する企業と県内企業とのマッチングを促進します。

・ EV化、自動運転化に必要となる新たな技術に対応できる産業人材を育成します。また、

自動運転の社会実証試験等を推進します。

・ 地域の特性に応じてEV化への対策を推進する浜松地域イノベーション推進機構等の取組

を支援します。

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2021(H33)

情報共有、技術動向の把握

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

中小企業の次世代自動車への展開支援

自動運転の社会実証試験

研究開発支援、ビジネスマッチング、検査機器等の整備、人材育成等

研究会の開催、県内自動車産業構造実態調査等

電波暗室の整備

自動運転の社会実証試験の推進

③ 産業を牽引する研究開発の推進

・ 次世代自動車、新エネルギー、環境、医療・福祉機器、ロボット、航空・宇宙、光、食品、

CNF、IoTについて重点的に研究開発を推進します。

・ 各研究所の強みや蓄積したコア技術を活用し、オープンイノベーションによる革新的技術

を取り入れた分野横断型の研究開発を推進します。

・ プロジェクト型研究である「新成長戦略研究」を重点的に推進することにより、本県の産

業を牽引する成長産業の創出を支える技術開発の充実を図ります。

・ 研究成果の速やかな技術移転を促進するため、地域企業のニーズを的確に把握するととも

に、大学や研究機関等との横の連携を強化し、企業ニーズと技術シーズを結び付けるオー

プンイノベーション機能の充実を図ります。

・ 駿河湾等の多様な海洋生物資源を活用したマリンバイオテクノロジーに関する研究開発を

推進し、静岡新産業集積クラスターとの連携などによる産業応用を促進します。 取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

成長産業分野における研究開発の推進

新成長戦略研究の推進

駿河湾等の多様な海洋生物資源を活用したマリンバイオテクノロジーに関する研究開発の推進

成長産業分野(次世代自動車、医療機器、航空・宇宙等)のコア技術の開発

試験研究調整会議や外部評価委員会の開催

有用微生物のライブラリー化特性・機能性解明研究産業応用技術研究

技術移転

④ 創業しやすい環境づくりと創業後の成長支援

・ 市町、商工団体、金融機関等の創業支援機関の情報連絡会議や担当者研修を開催するほか、

市町が実施する、相談窓口の設置や創業セミナー等の開催を支援します。

・ 創業支援事業計画が全市町で策定されるよう、働き掛けを強化します。

・ 産業支援機関と連携し、広域展開、成長志向の創業者に対し、メンター(先輩起業家)の

助言や集合研修の開催、個別指導、マッチング支援等の伴走型支援を実施します。

・ 創業者育成施設(インキュベートセンター)の事業スペースを低廉な価格で提供するほか、

県制度融資の開業パワーアップ支援資金において、新規創業者の保証料を軽減するなど、

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創業希望者の創業及びベンチャー企業の事業化を促進します。

2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

創業者やベンチャー企業等の育成

取組

 産業支援機関・金融機関と連携した企業のニーズにマッチした支援

 創業支援ネットワーク会議:4地区各1回程度担当者研修の開催:年3回程度

広域展開・成長志向の創業者への支援強化

⑤ 新たなサービス産業の振興

ア ヘルスケア産業の振興

・ 静岡県ヘルスケア産業振興協議会の会員を中心に、医療・介護関係者と地域事業者が連

携してヘルスケアサービスを提供する新しいビジネスモデルの構築を推進します。

・ ヘルスケアサービスを提供する事業者等と連携し、健診データの分析に基づく個人の健

康づくり・予防を民間サイドから支える健康管理システムを構築します。

2021(H33)

ヘルスケア産業の振興

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

 全県地域におけるヘルスケア関連事業の創出・拡大

モデルとなる優良事例の発信、セミナーや勉強会の実施

イ サービス産業の活性化の推進

・ 観光やスポーツ産業などサービス産業の活性化を図るため、経営革新制度の活用等を促

進します。また、業務プロセス全般の見直しやIT導入等による生産性の向上を支援し

ます。

・ 生産性向上に関するベストプラクティス(優良事例)を創出し、横展開を図ります。

2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

サービス産業の活性化の推進

取組

 専門家や業界団体等と連携したサービス産業の生産性向上

ウ 地域密着型ビジネスの創出の支援

・ 市町が行う地域資源を活用した新事業によるコミュニティビジネスの創出を支援します。

・ 経営革新や補助制度の活用により、コミュニティビジネスに取り組む事業者を支援しま

す。

⑥ 次世代産業の創出に向けた資金調達支援

・ 静岡新産業集積クラスターのほか、CNFや航空宇宙、次世代自動車など地域性を活かし

た次世代産業の創出を円滑に推進するため、県制度融資等を提供して資金調達環境を整え

ます。

・ 本県経済全体が力強い回復と持続的な成長基調へつながるよう、幅広い分野で設備投資の

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86

促進につながる県制度融資等の整備に取り組みます。

・ 今後見込まれるAIやIoT、ビッグデータなど、次世代産業の急速な技術革新に対応す

るため、適時適切な県制度融資等の提供に取り組みます。 2021(H33)

市場動向等に適応した融資制度の創設、制度改正等

金融情報交換会、出前説明会等の開催

印刷物、ホームページ、報道提供等による広報

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

パンフレット 、ホームページ: 毎年内容見直し

金融機関、商工団体、業種別団体、市町への説明・情報交換

金融機関情報交換会:年2回程度出前説明会:要望等に応じ適宜実施

意見交換会・現地調査等→制度創設・改正→効果検証

効果的な広報媒体の組み合わせによる広報

次世代産業の創出に向けた適時適切な県制度融資メニューの提供

⑦ 特許や商標など知的財産等の積極的な活用

・ 知的財産を活用した中小企業の新製品の開発や販路開拓を支援するため、企業保有の未利

用特許等の流通や大手企業の開放特許の活用を促進します。

・ 特許権と商標権の外国出願を支援します。

2021(H33)

特許や商標など知的財産等の積極的な活用

外国出願支援

2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)取組

特許流通アドバイザー派遣、知的財産活用研究会の運営、大手企業知的財産マッチング事業

特許・商標権等の外国出願補助

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87

(3) 企業誘致・定着の推進や海外市場の取り込みによる企業の活性化

≪現状・課題≫

① 企業誘致・定着の促進

・ 人口減少の進展により、企業における人手不足が大きな課題となる中、製造業を中心に、生産

性向上に向けた設備投資意欲が高まっています。

・ 国内市場の縮小が見込まれる中、大企業を中心に、国内拠点については再編の動きがあります。

単純生産・組立工場等の海外移転が進む一方、研究開発と生産能力を併せ持つマザー工場や拠

点化工場の設置に向けて、国内工場の集約・再編が進められています。

・ 県内市町では“ふじのくに”のフロンティアを拓く取組により、内陸部を中心に新たな事業用

地の確保が進んでおり、企業の進出ニーズを逃さず、県内への立地に着実につなげていくこと

が必要です。

② 県内企業の海外展開支援

・ リーマンショック後、海外に活路を求めて海外展開した企業は増加しましたが、厳しい国際競

争や現地人件費の上昇などを理由に、撤退を余儀なくされた企業も多くあります。また、為替

変動により、海外進出の見合わせや国内回帰の動きも見られます。

・ 一方で、企業の持続的発展や人口減少に伴う国内市場の縮小に対応するため、海外での生産拠

点の設立に限らず、越境ECの活用などを通じて、海外展開を目指す中小企業は、一定の水準

で増加することが想定されます。

≪取組の方向≫

① 企業誘致・定着の促進

・ 次世代産業の育成・集積や、雇用の質の向上、地域経済の基盤強化を図るため、医薬品・医療

機器、食料品、環境関連産業など、成長が見込まれる分野を中心に、国内外からの新たな企業

の誘致や県内企業の定着を促進します。また、マザー工場や拠点化工場の誘致に向けて、県内

への設備投資を支援します。

・ ふじのくにフロンティア推進区域等における用地開発を支援するとともに、市町と連携した積

極的な取組により、国内外からの新たな企業の誘致と県内企業の定着を両輪として、県内投資

に向けた働きかけを進めます。

② 県内企業の海外展開支援

・ 県内産業の国際化を図るため、県内企業の海外展開や販路開拓の支援に加え、これまでに築き

上げた人脈等を活かし、海外との経済交流を促進します。

・ 県内企業の海外展開への多様なニーズに対応した支援を実施します。

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88

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

企業⽴地件数(製造業等の⼯場) (2013〜2016 年)累計232 件

(2018〜2021 年) 累計260 件

県外に本社を置く企業の⽴地件数(製造業等の⼯場)

(2013〜2016 年)累計41 件

(2018〜2021 年) 累計48 件

県外に本社を置く企業の県内への初進出件数(製造業等の⼯場)

(2013〜2016 年)累計11 件

(2018〜2021 年) 累計16 件

成果指標

県内本社企業の新規海外展開事業所数

(2013〜2016 年度)累計184 事業所

(2018〜2021 年度)累計200 事業所 ○

県職員の企業誘致等に関する企業訪問件数

(2016 年度) 1,940 件

(2021 年度) 2,000 件 ○

企業⽴地交渉件数 (3 ヶ⽉以上継続して交渉した件数)

(2015〜2016 年度)平均62 件

(2021 年度) 70 件 ○

海外展開⽀援事業利⽤件数 (2013〜2016 年度)累計805 件

(2018〜2021 年度)累計880 件 ○

活動指標

海外経済ミッション等受⼊れ件数 (2013〜2016 年度)累計51 件

(2018〜2021 年度)累計60 件 ○

≪主な取組≫

① 企業誘致・定着の促進

ア 県外からの新たな企業の誘致推進

・ 成長が見込まれる分野を中心に、トップセールスや企業訪問、企業立地説明会等により、

本県の防災先進性や高度な交通インフラ等の立地優位性をPRし、新たな企業の誘致を

推進します。

・ 首都圏、関西圏を重点地域として、東京事務所、大阪事務所を中心に、投資意欲の高い

企業への働きかけを進めます。

・ 地域経済を牽引するマザー工場や拠点化工場の誘致に向けて、企業のニーズを収集・分

析し、県内への設備投資を支援します。

・ 本県の立地環境や産業施策等のトピックスをきめ細かく情報提供し、ジェトロをはじめ

とした公的支援機関、金融業や建設業などの仲介事業者等とのネットワークを強化しま

す。

・ 新たに誘致した企業への定期的な訪問において、操業上の課題や要望事項を聞き取る中

で、地元企業の情報を伝え、新たな取引につながるよう取り組みます。

イ 県内に拠点を有する企業の定着促進

・ 県内企業の災害対策の強化を図るため、企業立地補助金に支援制度を設け、BCP等に

基づく津波浸水域等からの移転・分散を目的とした設備投資を支援します。

・ 設備投資にあたっては、県制度融資において、県内企業が地震リスクの低い地域に移

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転・分散するための資金や、現在地での耐震改修や地盤改良など防災・減災対策を行う

ための資金を提供し、県内企業の取組を支援します。

・ 県内企業の設備投資を支援するため、企業動向や操業上の課題の把握に努めるとともに、

補助金等支援策の充実を図ります。

ウ 工業用地の確保等のインフラ整備推進

・ 企業や市町からの立地開発相談に対して、ワンストップ体制で迅速に対応を図り、工業

用地の造成を支援します。

・ ふじのくにフロンティア推進区域内の事業用地等を、関係市町と連携して、県内外に広

く周知するとともに、県内の事業用地情報を収集、紹介し、企業の用地確保を支援しま

す。

・ 地域経済を牽引するマザー工場や拠点化工場の誘致に向けて、設備投資への支援、立地

環境の整備を進めます。

2021(H33)

有望企業の投資動向把握、本県の立地環境PR

重点地域での仲介業者とのネットワーク強化

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

県内拠点の操業上の課題や要望の把握、立地環境の整備

県優遇制度の周知、補助金相談への対応

ふじのくにフロンティア推進区域等における、工業用地の造成や開発支援

企業の事業用地確保への支援

企業訪問活動、県外での展示会出展、企業立地説明会の開催(年2回程度)

県外仲介業者向け制度説明会(年1回)、パンフレットやHPによる広報

県内拠点への継続的な訪問、市町との情報共有・課題への対応

県内仲介業者向け制度説明会(年1回)、パンフレットやHPによる広報

遊休地等の用地情報の収集・データベース化(2か月に1回更新)

工業用地整備に係る市町への支援、工業用地開発相談部会の運営

② 県内企業の海外展開支援

ア 海外展開を図る地域企業の支援

・ (公社)静岡県国際経済振興会やジェトロなどの海外展開支援機関と連携して実施して

いる、海外派遣人材の育成や海外展開に係るコンサルティング、サポートデスクによる

支援について、企業の多様なニーズに対応したメニューの追加、対象国の拡大を行いま

す。

・ 越境ECサイトを活用して海外販路開拓に意欲的な県内中小企業が実施する、海外見本

市出展や海外特許の取得などの取組を支援します。

・ 県内企業が多く進出する東南アジア・インドを中心に、MOU(覚書)の調印等による

パートナーシップを構築します。

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イ 海外経済ミッションの受入れ等による経済交流の促進

・ 地域外交の取組により築き上げた人脈を活かして、経済ミッションの積極的な受入れ・

派遣、対日投資の促進など、相互に実のある経済交流を推進します。

・ 海外の大学との連携を強化し、海外の大学の就職フェアへの出展支援や企業ニーズを踏

まえたビジネスインターン生の受入れなど、企業の海外人材確保を支援します。

・ 限られたリソースを有効活用して、効果的に企業の海外展開を支援できるよう、ジェト

ロや金融機関などの関係機関と相互に連携し、ネットワーク化を図ります。

・ 航空機産業におけるブラジルや医療機器分野における米国(シリコンバレー)との交流

などを通じて、海外とのビジネスマッチングや共同開発を促進します。

・ ブラジル航空技術大学(ITA)への留学生派遣やドイツのフラウンホーファー研究所

との技術者交流の推進などにより、本県経済を支えるグローバルな視点を持った人材の

育成を図ります。

2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31)

海外支援機関の相談窓口開設、セミナー等開催、赴任前研修実施、専門家派遣等への支援

中小企業海外開拓支援金による助成

MOU等によるパートナーシップの構築

海外経済ミッションの受入れ

海外大学の就職フェアへの出展支援等

海外展開支援機関のネットワーク化、連携事業

相談窓口の開設

セミナー:年12回開催、赴任前研修:タイ等4か国を対象

中小企業海外開拓支援金

助成対象:年20社程度

パートナーシップの構築

海外経済ミッション受入れ

年15件程度

企業の海外人材確保支援

海外大学就職フェア出展:年1回4社程度ビジネスインター受入れ:3校程度

海外展開支援機関のネットワーク化等

打合会年1回開催、セミナー年1回開催、情報の一元化

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基本方向2 富を支える地域産業の振興

本県経済が持続的に発展していくためには、県内企業の創業、成長、承継のライフサイクルの好

循環を創出し、活躍を促していく必要があります。

このため、官民一体で本県独自の産業成長戦略を推進し、地域経済牽引企業の成長を促進する

とともに、「静岡県中小企業・小規模企業振興基本条例」の趣旨を踏まえ、経営革新等による中小

企業の経営力強化、IoT等を活用した生産性の向上、事業承継の促進のほか、魅力ある商業の

振興、デザイン産業の集積、新しいサービス産業の創出などに取り組みます。

(1) 地域経済を牽引する企業の成長促進

≪現状・課題≫

① 産業成長戦略会議の開催

・ 県、産業界、金融界の代表者で構成する産業成長戦略会議において産業成長戦略を取りまとめ、

官民が一体となって推進しています。

② 産業成長戦略に基づく地域企業の集中的支援

・ 地域経済を牽引する企業の育成が求められているため、産業戦略推進センター「オープンイ

ノベーション静岡」を官民協働で設置し、新事業に挑戦する地域企業を積極的に支援してい

ます。

③ 地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業の促進

・ 2017 年(平成 29 年)に施行された地域未来投資促進法に基づき、市町と協力し、県全域計画、

静岡市域計画、浜松市域計画の3本の基本計画を作成し、国の同意を得ました。

≪取組の方向≫

① 産業成長戦略会議の開催

・ 本県経済を持続的に発展させるため、社会経済環境の変化に合わせ、産業成長戦略に新たな課題

に対応した施策を盛り込みながら、官民が一体となって推進します。

② 産業成長戦略に基づく地域企業の集中的支援

・ 新たな事業展開に積極的に挑み、本県経済を牽引する可能性のある地域企業の成長を促進しま

す。

③ 地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業の促進

・ 製造業だけでなく、今後成長が期待される分野において、地域の特性を生かして高い付加価値

を創出し、地域に高い経済波及効果を及ぼす「地域経済牽引事業」の創出を促進します。

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≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

成果指標

オープンイノベーション静岡の⽀援による中堅・中⼩企業等の新たな製品開発・販路開拓等件数【再掲】

― (2018〜2021 年度)累計40 件 ○

オープンイノベーション静岡による中堅・中⼩企業等⽀援件数【再掲】

(2016 年度) 38 件

(2021 年度) 70 件 ○ 活

動指標 地域経済牽引事業計画の承認件数

【再掲】 ― (2018〜2021 年度)累計36 件 ○

≪主な取組≫

① 産業成長戦略会議の開催【再掲】

・ 本県経済を持続的に発展させるため、県、産業界、金融界の代表者で構成する産業成長戦

略会議を開催し、技術革新など県内産業を取り巻く環境の変化に合わせ、新たな課題に対

応した施策を盛り込みながら、未来につながる産業構造を構築するための産業成長戦略を

毎年度取りまとめ、官民が一体となって推進します。

産業成長戦略会議の開催

取組 2021(H33)2019(H31)2018(H30) 2020(H32)

年2回 年2回 年2回 年2回

② 産業成長戦略に基づく地域企業の集中的支援【再掲】

・ 産業戦略推進センター「オープンイノベーション静岡」において、中堅・中小企業等への

企業訪問を通じて聞き取った現場の声を活かしながら、目利きの役割を担うアドバイザリ

ー・ボードを開催するなど、新たな事業展開に積極的に挑む地域企業を集中的に支援しま

す。

・ 地域企業のマーケットインの考え方に基づく製品づくりやマーケットニーズを踏まえた販

路開拓・拡大を促進するため、産業支援機関と連携したワンストップ相談窓口の設置、

「オープンイノベーション静岡」Webサイトを活用した情報発信・フォローアップによ

り、売れる製品づくりや販路開拓を支援します。

・ オープンイノベーションの有用性について中小企業等の理解を促進するとともに、民間ネ

ットワークやインターネットを活用し、大企業等のニーズと地域企業のシーズの広範囲で

のマッチングなどを進め、新製品・新規事業の創出を支援します。

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取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

新たな事業展開支援

マーケットインの考え方に基づく製品づくり・販路開拓支援

オープンイノベーション促進による新製品・新規事業の創出支援

企業訪問「オープンイノベーション静岡」事務局や市町・産業支援機関との連携による企業訪問

ワンストップ相談窓口での専門家による助言、伴走サポート

民間ネットワークやインターネットを活用したニーズとシーズのマッチング

アドバイザリー・ボードの開催

「オープンイノベーション静岡」Webサイトでの情報発信・フォローアップ

③ 地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業の促進【再掲】

・ 地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域に高い経済的波及効果を及ぼす「地域

経済牽引事業」を実施する事業者を支援します。

・ 本制度を幅広く周知するとともに、事業者の地域経済牽引事業計画の作成を促進し、付加

価値を創出する事業の掘り起こしを進めます。

・ 支援機関等と連携し、フォローアップによる地域経済牽引事業計画の実行を支援します。

・ より高い付加価値を創出する事業を生み出すための計画立案から支援策活用までの一貫し

た支援を行います。

2018(H30)取組

地域経済牽引事業計画の作成促進

地域経済牽引事業計画の実行支援

計画立案から支援策活用までの一貫支援

事業者の支援

2021(H33)2019(H31) 2020(H32)

地域経済牽引事業計画の作成促進のための説明会、相談会等の開催

支援機関等と連携したフォローアップによる実行支援

専門家チームによる伴走支援

市町、支援機関等と連携した計画作成等の支援

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(2) 中小企業の経営力向上と経営基盤強化

≪現状・課題≫

① 中小企業の経営革新等への支援

・ 消費者ニーズの多様化や国際化の進展等、中小企業・小規模企業を取り巻く経営環境が大きく

変化する中で、新たな事業展開により経営を革新していく必要があります。

・ 本県の経営革新計画承認件数は、産業支援機関等と連携し経営革新制度の利用を促進してきた

結果、全国トップクラスの水準を維持しています。

② 中小企業・小規模企業の持続的発展のための支援

・ 本県経済を支えている中小企業・小規模企業を持続的に発展させていくため、中小企業・小規

模企業の振興を総合的に推進していく必要があります。

③ 下請企業の受注機会の拡大支援と下請取引適正化の推進

・ 大企業と中小企業との経常利益の格差が拡大している中で、下請中小企業と親事業者の適正な

取引を普及定着させていく必要があります。

④ 地域に根ざしたものづくりと静岡ブランドの発信による地場産業の振興

・ 本県の地場産業や伝統工芸品産業は、割安な輸入品との競合等により需要が減少傾向であるた

め、製品やサービスの付加価値を高め、ブランド化を一層推進していく必要があります。

⑤ 創業者しやすい環境づくりと創業後の成長支援【再掲】

・ 地域密着型創業の支援については、市町により取組内容が異なるため、全市町において創業

しやすい環境が整備されるよう支援していく必要があります。

・ 創業から間もない経営者は、資金、人材等の経営資源のほか経営に関する経験や知識が不足

していることが多いため、安定した成長軌道に乗せるまでの支援を行っていく必要がありま

す。

⑥ ICT、IoT等を活用した生産性の向上

・ IoTの利活用により、効率的な業務運営や新たなサービスの創出が期待されている中で、I

oTに関する知識や情報が中小企業に不足しているため、中小企業を中心にIoTの利活用を

促進していく必要があります。

・ 生産性の向上を現場で支援するため、ものづくり企業や産業支援機関において、革新的な生産

方法や経営革新を指導できる人材を養成していく必要があります。

⑦ 事業承継の促進や事業再生の支援

・ 経営者の高齢化及び後継者不足が深刻化する中で、中小企業・小規模企業の廃業が急増し、多

数の雇用・経済価値を喪失する恐れがあることから、中小企業の円滑な事業承継を進めること

により、後継者不在による廃業を防止する必要があります。

・ 厳しい経営環境に置かれる中小企業の経営改善に向けて、事業再生を支援する必要があります。

⑧ 中小企業・小規模企業のライフステージに応じた資金調達支援

・ 中小企業・小規模企業の経営改善や経営安定を図るため、県制度融資による資金調達支援に取

り組んでいく必要があります。

⑨ 事業所の事業継続計画(BCP)策定等の取組支援

・ 災害等不測の事態に対応するため、事業所の事業継続計画(BCP)の策定を支援する必要が

あります。

≪取組の方向≫

① 中小企業の経営革新等への支援

・ 中小企業の経営革新や中小企業組合設立、高度化事業の取組を促進します。また、商工団体等

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による経営支援体制を強化します。

② 中小企業・小規模企業の持続的発展のための支援

・ 静岡県中小企業・小規模企業振興基本条例の趣旨を踏まえ、中小企業・小規模企業の経営力の

向上を促進します。

③ 下請企業の受注機会の拡大支援と下請取引適正化の推進

・ 産業支援機関と連携し、下請中小企業の受注拡大を支援するほか、下請取引の実態把握、下請

関係法令の周知に取り組みます。

④ 地域に根ざしたものづくりと静岡ブランドの発信による地場産業の振興

・ 新たな需要を開拓するため、地域に根ざした技術、素材とデザインを用いた高付加価値のもの

づくりと、ブランド化を図るための情報発信、販路開拓を促進します。また、地場産業のデザ

イン等を活用した新たな取組を支援します。

⑤ 創業者しやすい環境づくりと創業後の成長支援【再掲】

・ 創業を希望する者の創業環境の向上のため、産業競争力強化法に基づく市町創業支援事業計画

の策定を促進するとともに、市町等の創業支援事業を支援します。

・ 県外・海外市場を目指す成長志向の創業者に対し、成長軌道に乗せるための集中的な支援に取

り組みます。

⑥ ICT、IoT等を活用した生産性の向上

・ IoTの活用による効果を実証する多くの具体的な事例を創出し、中小企業の生産性向上に取

り組みます。

・ 商工団体や産業支援機関等において、中小企業支援を担う即戦力となる専門的人材を育成しま

す。

⑦ 事業承継の促進や事業再生の支援

・ 「静岡県事業承継ネットワーク」の運営や静岡県事業引継ぎ支援センター等との連携により、

中小企業・小規模企業の円滑な事業承継を促進します。

・ 中小企業再生支援協議会や静岡県よろず支援拠点等と連携し、中小企業の経営改善や事業再生

を支援します。

⑧ 中小企業・小規模企業のライフステージに応じた資金調達支援

・ 県制度融資の充実を図り、中小企業・小規模企業の経営基盤の強化を促進します。

⑨ 事業所の事業継続計画(BCP)策定等の取組支援

・ 事業継続計画(BCP)の普及啓発や策定・運用に向けた先進情報等の提供、実効性の向上を

支援します。

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≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

中⼩企業の経営⾰新計画承認件数 【再掲】

(2013〜2016 年度)累計1,713 件

(2018〜2021 年度)累計1,720 件 ○

主要な地場産業の全国シェア

(2015 年) 繊維 2.6% 家具 4.3%

紙・パルプ 11.2%

(2021 年) 繊維 3.0% 家具 5.0%

紙・パルプ 12.0%

成果指標

市町創業⽀援事業計画による⽀援を受けた創業者数【再掲】

(2016 年度) 1,304 ⼈

(2021 年度) 1,555 ⼈ ○

新事業の展開を⽬指す中⼩企業等からの相談対応件数

(2016 年度) 3,464 件

(2021 年度) 3,600 件 ○

事業協同組合の設⽴件数 (2013〜2016 年度)

累計86 件 (2018〜2021 年度)

累計90 件

経営⾰新計画作成を⽀援した経営指導員の割合

(2016 年度まで)58%

(2021 年度まで) 100%

⼯業技術研究所の技術指導件数【再掲】

(2016年度) 28,027 件

(2021 年度) 30,000 件 ○

県の取引あっせんによる下請取引成約件数

(2016 年度) 64 件

(2021 年度) 70 件 ○

デザインマッチング事業への主要な地場産業の参加件数

(2017 年度) 3 件

(2018〜2021 年度)累計15 件

創業⽀援事業計画認定市町数【再掲】

(2016 年度) 21 市町

(2021 年度) 全市町 ○

静岡県IoT活⽤研究会の会員数 (2016 年度まで)累計188 社・団体

(2021 年度まで) 累計280 社・団体 ○

事業承継診断の実施件数 (2016 年度) -

(2021 年度) 3,000 件 ○

中⼩企業向け県制度融資(事業資⾦等)利⽤件数

(2016 年度) 4,557 件

(2021 年度) 5,000 件 ○

県内の従業者 50 ⼈以上の企業における事業継続計画(BCP)策定率

(2015 年度) 49%

(2021 年度) 65% ○

県内の従業者 49 ⼈以下の企業における事業継続計画(BCP)策定率

(2015 年度) 27%

(2021 年度) 35% ○

活動指標

静岡県BCP研究会会員企業・団体数

(2016 年度まで)累計219 社・団体

(2021 年度まで) 累計244 社・団体

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≪主な取組≫

① 中小企業の経営革新等への支援

ア 中小企業の経営革新への取組促進

・ 経営革新推進体制の充実と経営革新制度の普及を図るため、商工会議所や商工会等の支

援窓口をはじめ経営革新等支援機関と連携し、経営革新案件を掘り起こします。

・ 経営革新計画の実現に向けた取組を支援するため、各種支援施策の利用を促進します。

また、支援窓口による承認後のフォローアップを強化します。

・ ITの活用や生産工程の見直しなど、生産性向上に向けた取組への支援を強化します。

経営革新の取組促進

2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31)

経営革新計画作成支援、フォローアップの充実

経営革新計画承認件数累計1,720件

イ 中小企業組織化への支援

・ 中小企業団体中央会、商工会連合会及び商工会議所連合会と連携し、組合の設立を検討す

る中小企業へ積極的に働きかけ、中小企業組合設立を促進します。また、既存の中小企業

組合の活性化を図るため、組合等が行う新分野進出や6次産業化等に関する取組を支援し

ます。

・ 中小企業団体中央会と連携し、高度化事業の取組の掘り起こしを促進します。

組織化の支援

2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31)

組織化の推進、組合等の運営指導、高度化事業の支援

ウ 小規模事業者等に対する効果的な経営指導

・ 高度化・専門化する経営課題に対応するため、経営指導員の資質向上や外部の専門家を活

用した経営指導体制の充実を図ります。

高度な経営課題の解決

取組

経営指導員の資質向上

経営指導員による指導

2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

経営指導員による高度・専門的な指導

専門家の派遣

研修内容の充実、専門性・コーディネート力の強化

経営革新計画作成を支援した経営指導員の割合100%

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② 中小企業・小規模企業の持続的発展のための支援

ア 新たな取組を実施する小規模企業の支援

・ 静岡県中小企業・小規模企業振興基本条例の趣旨を踏まえ、小規模企業が行う新サービ

スの提供、ITの活用による効率化など、工夫・改善による新たな取組等を支援します。

・ 静岡県商工会連合会と連携し、専門的知識や豊富な職務経験を有する指導員による広域

的なサポート体制の強化を支援します。

・ 「ものづくり産業支援窓口」が中心となり、大学、産業支援機関等との連携を促し、製

品開発から事業化段階まで一貫した支援を行います。また、新たに整備するEMC試験

施設・設備を活用するとともに、本県産業の将来を見据えた計画的な機器整備を行いま

す。

経営指導員等による巡回相談の実施

「ものづくり産業支援窓口」等における技術支援

2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

経営指導員等による巡回相談による案件の掘り起こし

巡回指導件数:年73,000件窓口相談件数:年52,000件

技術相談、依頼試験、機器使用等の実施

イ 中小企業の事業活動の機会の確保

・ 「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」及び「静岡県中小企業者の

受注機会の増大による地域経済の活性化に関する条例」等を受け、県の物品及び役務の

調達、工事の発注に関し、中小企業の受注機会の増大を図るため、関係部署に対し法律

等を周知・徹底します。

③ 下請企業の受注機会の拡大支援と下請取引適正化の推進

ア 下請企業の受注機会の拡大支援

・ 企業訪問やアンケート調査等により、受発注企業双方のニーズを把握し、効果的な取引

あっせんを行います。

・ 企業情報の発信と取引先の拡大を図るため、県内外で商談会を開催するほか、事前・事

後のコンサルティングを充実します。特に、大手企業に対し、県内中小企業の持つ技術

や工法をアピールすることで、新規取引先の開拓を支援します。

2021(H33)2020(H32)

各種商談会・展示会:年3回実施

企業ニーズに応じたあっせん紹介下請企業の受注拡大支援

取組 2018(H30) 2019(H31)

イ 取引適正化の推進

・ 下請企業の利益保護のため、「下請取引実態調査」により実態把握に努めるほか、発注

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99

企業訪問や講習会による下請関係法令の周知、トラブル相談体制の充実を図ります。

・ 消費税の引き上げ等により、下請企業が転嫁拒否などの不利益を被らないよう、国、

関係団体と連携します。

発注企業訪問、講習会開催、相談窓口の設置 等

2021(H33)2020(H32)

下請取引適正化の推進

取組 2018(H30) 2019(H31)

④ 地域に根ざしたものづくりと静岡ブランドの発信による地場産業の振興

ア 高付加価値製品の開発とブランド化

・ 繊維、家具、紙・パルプ、プラモデル等の各業界団体の自主的な取組を促進するため、

団体が行う見本市への出展、研修会や講習会の開催等を支援します。

・ 地場産業や伝統工芸品のデザイン等を活用したものづくりや販路開拓など、業界団体が

実施する新たな取組を支援します。

イ 伝統工芸品産業の振興

・ 本県の伝統工芸品の認知度を向上させ新たな購買層を開拓するため、県内での展示販売

機会の確保のほか、セレクトショップでの販売や大規模展示会への出展等、首都圏での

情報発信を強化します。

・ 2019 年度(平成 31 年度)に設置される静岡文化芸術大学の「匠領域」と連携して、デ

ザイン等を活用した新たな伝統工芸品を生み出す取組を支援します。

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30)

伝統工芸品産業の振興

展示販売会等の確保及び情報発信の強化デザイン研修会、デザイナーとのマッチング及び匠領域との連携

展示販売会等:年2回以上実施デザイン研修会及びデザイナーとのマッチング会:年複数回

ウ デザインの活用による製品の高付加価値化

・ 中小企業のデザイン力の強化を支援するため、産業デザインに係る技術相談・指導、情

報の提供、専門家の派遣などを実施します。

・ デザインを活用した商品開発能力を習得する研修会等を開催し、商品開発の課題に対し

て、デザイナーが直接解決策を提案するマッチング会を実施します。

取組 2018(H30)

デザインを活用した製品開発業界団体が取り組む新製品開発及び展示会等への助成及びデザイナーとのマッチング

繊維、家具、紙等の業界団体に助成:12団体デザイン研修会及びデザイナーとのマッチング会:年複数回

2020(H32) 2021(H33)2019(H31)

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⑤ 創業しやすい環境づくりと創業後の成長支援【再掲】

・ 市町、商工団体、金融機関等の創業支援機関の情報連絡会議や担当者研修を開催するほか、

市町が実施する、相談窓口の設置や創業セミナー等の開催を支援します。

・ 創業支援事業計画が全市町で策定されるよう、働き掛けを強化します。

・ 産業支援機関と連携し、広域展開、成長志向の創業者に対し、メンター(先輩起業家)の

助言や集合研修の開催、個別指導、マッチング支援等の伴走型支援を実施します。

・ 創業者育成施設(インキュベートセンター)の事業スペースを低廉な価格で提供するほか、

県制度融資の開業パワーアップ支援資金において、新規創業者の保証料を軽減するなど、

創業希望者の創業及びベンチャー企業の事業化を促進します。

2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

創業者やベンチャー企業等の育成

取組

 産業支援機関・金融機関と連携した企業のニーズにマッチした支援

 創業支援ネットワーク会議:4地区各1回程度担当者研修の開催:年3回程度

広域展開・成長志向の創業者への支援強化

⑥ ICT、IoT等を活用した生産性の向上

ア 「静岡県IoT活用研究会」の運営

・ 産学官連携組織である「静岡県IoT活用研究会」を中心に、国や産学連携組織IVI

(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ)と連携し、中小企業が抱えるIoT活用・導入に向け

た課題の解決や、IoTの活用による効果を実証する多くの具体的な事例の創出・提示

により、企業のIoTの利活用を促進します。

・ IoT利活用セミナーや個別相談会を開催し、活用事例の広報・普及、利活用を促進し

ます。

・ 新製品・新規事業の創出に向け、オープンイノベーションの有用性について、中小企業

等の理解を促進します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

静岡県IoT活用研究会の活動

2021(H33)

静岡県IoT活用研究会の活動を通じたIoT利活用の促進

会員数累計240社・団体

会員数累計260社・団体

会員数累計270社・団体

会員数累計280社・団体

イ 生産性向上に資する人材の育成

・ 中小企業の製造現場の生産性向上を図るため、中小企業の現場管理者や産業支援機関等

の職員に対し、現場改善の知識や手法を体系的に習得させ、現場の経営改善活動を指導

できる人材を養成します。

・ 養成した産業支援機関等の職員を中小企業に派遣し、現場改善指導の全県的な展開を推

進します。

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101

2021(H33)

生産性向上を担う人材の育成

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

 商工団体や産業支援機関職員等の資質向上や人的ネットワーク構築の支援

静岡ものづくり革新インストラクタースクール:年18日程度

⑦ 事業承継の促進や事業再生の支援

・ 後継者不在による廃業を防止するため、商工団体、金融機関、士業団体等と連携し、アン

ケート等を活用した事業承継診断による意識啓発に取り組みます。また、承継に向けた経

営改善、マッチング等を支援します。

・ 事業承継ネットワークや国が設置する静岡県事業引継ぎ支援センター等関係機関と連携し、

早期・計画的な事業承継準備から事業承継後の支援まで、M&Aや親族内承継などを含め

たシームレスな事業承継を支援します。

・ 国が設置する中小企業再生支援協議会や静岡県よろず支援拠点と連携し、経営改善や経営

再建を支援します。

・ 県制度融資の事業承継資金で融資限度額を拡大するなど、資金面から経営者の円滑な事業

承継や経営再建を支援します。

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

事業承継支援機関等の連携強化

取組 2018(H30)

事業承継に関する意識啓発

各支援機関によるネットワーク構築・強化、全体会議の開催

事業承継診断の実施・情報提供

行政、商工団体、金融機関、士業団体などが参加

事業承継診断件数:毎年3,000件程度

⑧ 中小企業・小規模企業のライフステージに応じた資金調達支援

・ 中小企業や小規模企業等が、創業から事業拡大、事業承継・再生など、様々なライフステ

ージに応じた円滑な資金調達を実現するため、県制度融資を適時適切に提供します。

・ 事前予測が困難な経済危機や自然災害などのリスクに対処するため、危機発生時等には県

制度融資による迅速かつ的確な資金供給に取り組みます。

・ 金融機関情報交換会や出前説明会等を通じ、中小企業や小規模企業を始めとした現場の意

見、要望等を積極的に聞きながら県制度融資の周知を図るとともに、新たなニーズの把握

や、状況に応じて適時適切に見直し、拡充に取り組みます。

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102

2019(H31) 2020(H32)

金融情報交換会、出前説明会等の開催

印刷物、ホームページ、報道提供等による広報

2021(H33)

市場動向等に適応した融資制度の創設、制度改正等

取組 2018(H30)

金融機関、商工団体、業種別団体、市町への説明・情報交換

金融機関情報交換会:年2回程度出前説明会:要望等に応じ適宜実施

意見交換会・現地調査等→制度創設・改正→効果検証

効果的な広報媒体の組み合わせによる広報

パンフレット 、ホームページ:毎年内容見直し

企業のライフステージに応じた適時適切な県制度融資メニューの提供

⑨ 事業所の事業継続計画(BCP)策定等の取組支援

・ 商工団体等と連携し、事業所における事業継続計画(BCP)の普及啓発に取り組みます。

・ 専門家の派遣、指導者の養成、静岡県BCP研究会により先進情報等を提供し、BCPの

策定・運用を支援します。

・ BCPの実効性を高めるため、企業立地補助制度や県制度融資により県内企業の事業継続

の取組を支援します。

BCPの普及啓発

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30)

BCPの策定・運用支援及び実効性向上のための支援

商工団体等との連携によるBCPセミナーの開催

BCP養成講座の開催、静岡県BCP研究会の開催静岡県BCPモデルプランの提供

静岡県BCP研究会:年4回程度

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(3) 地域を支える魅力ある商業とサービス産業の振興

≪現状・課題≫

① 地域を支える商業の振興

・ 人口の減少に伴う売上低迷や後継者不足や空き店舗の増加等、商業を取り巻く環境の変化によ

り、小売業の事業所数が大きく減少しているため、商業エリアを活性化していく必要がありま

す。

② デザイン産業の振興と集積

・ デザイン産業は大都市圏に集中しているため、地域の中小企業がデザインを活用しやすく、デ

ザイナーが活動しやすい環境を整備していく必要があります。

・ デザインは産業製品の魅力や価値を一段と高める力を持っているため、デザイン思考による商

品企画や独自の製品づくりを進めていく必要があります。

③ 新たなサービス産業の振興【再掲】

・ 地域経済の好循環を生み出すためには、産業全体に占める県内総生産額等の割合が高いサー

ビス産業の活性化を促進していく必要があります。また、本県ならではの特色ある新たなサ

ービス産業を創出していく必要があります。

≪取組の方向≫

① 地域を支える商業の振興

・ 魅力ある個店づくりの推進と商業エリアづくりを支援することにより、地域商業の活性化を図

ります。

② デザイン産業の振興と集積

・ 中小企業のデザインの活用に対する意識の醸成を図り、デザインの活用を進めます。また、地

域のデザイン産業の振興と集積を促進します。

③ 新たなサービス産業の振興【再掲】

・ 雇用創出などの地域経済への寄与と県民の健康長寿への貢献が期待されるヘルスケア産業の振

興等により、新たなサービス産業を創出します。

・ サービス産業の生産性の向上により、県内のサービス産業全体を底上げします。

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≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画⼩売業(⼩規模事業所)の年間商品販売額(消費者⼀⼈当たり購⼊額)

(2014 年度) 228 千円

(2021 年度) 250 千円 ○

県内デザイン業務の年間売上⾼ (2015 年度) 5,254 百万円

(2021 年度) 7,000 百万円 ○

成果指標

ヘルスケアサービス事業化件数【再掲】

(2015〜2016 年度)累計2 件

(2018〜2021 年度)累計8 件 ○

ふじのくに魅⼒ある個店WEBサイト閲覧回数

(2016 年度) 23,791 回/⽉

(2021 年度) 50,000 回/⽉ ○

商業エリア活性化のためのセミナー及び研修会の参加市町数 -

(2021 年度) 33 市町

(政令市を除く全市町)

デザイン相談窓⼝の相談対応件数

(2016 年度) 1,749 件

(2021 年度) 2,000 件 ○

グッドデザインの応募製品等に県内デザイナーが関わった件数

(2017 年度) 14 件

(2021 年度) 20 件

活動指標

静岡県ヘルスケア産業振興協議会の会員数【再掲】

(2016 年度まで)累計224 社・団体

(2021 年度まで) 累計240 社・団体 ○

≪主な取組≫

① 地域を支える商業の振興

ア 「ふじのくに魅力ある個店」の登録制度の推進

・ 良質な商品、環境、サービスを提供する「ふじのくに魅力ある個店」の増加を図るため、

市町、商工団体等との協働により、個店の登録制度を推進するとともに、消費者に向け

た登録個店の情報発信や個店同士の連携を促進します。

・ 「ふじのくに魅力ある個店」を対象としたデザイン表彰(「地域のお店」デザイン表

彰)等の実施により、魅力と個性に優れた個店の取組をPRし、登録個店のレベルアッ

プを支援します。

・ 後継者不足が個店の喫緊の課題となっていることから、市町や商工団体と連携し、次世

代の商業を担う後継者と新規開業者の育成に取り組みます。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

「ふじのくに魅力ある個店」の登録推進

登録個店のレベルアップ支援

「地域のお店」デザイン表彰の実施:年1回フォーラムの開催:年1回

連絡協議会の開催

次世代の商業を担う後継者と新規開業者の支援

市町、商工団体との連携

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105

イ 魅力ある商業エリアづくりへの支援

・ 商業エリアを活性化させるため、商業団体、民間まちづくり会社、物件所有者に向けた

セミナーや研修を実施し、地域特性を活かしたまちづくりの企画提案ができる組織と人

材を育成します。

・ 地域における魅力ある商業活動を促進するため、買い物環境の整備等を行う市町を支援

します。

・ 商店街等を含めた商業エリアにおける空き店舗や空きビルなど遊休不動産の活用を図る

ため、市町や民間まちづくり会社等と連携し、リノベーションまちづくりの取組を支援

します。

・ 大型店の迅速な立地が必要な中心市街地の区域において、中心市街地の活性化に関する

法律に定める特例区域制度を活用し、中心市街地の活性化に取り組む市町を支援します。

魅力ある商業環境づくりの支援

大型店出店による中心市街地の活性化

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

商業エリアを活性化させる人づくり支援

取組 2018(H30)

組織と人材の育成

セミナー・研修会:年4回開催

リノベーションまちづくりによる遊休不動産の活用促進

買い物環境の整備等を行う市町支援

中心市街地活性化に取り組む市への説明会開催

説明会:年1回開催

フォーラムの開催

ウ 大規模小売店舗の適正な立地指導

・ 大規模小売店舗の立地に際し、周辺地域の生活環境を保持するため、法令に基づく適正

な立地を指導します。

大規模小売店舗の適正な立地指導

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

適正な立地指導

② デザイン産業の振興と集積

・ デザインを活用した製品づくりを促進するため、中小企業がデザインを活用しやすい環境

を整備します。

・ 県内外のデザイナーが活動しやすい環境を整備するため、デザイナーバンクの管理・運営

や、デザインライブラリーの活用に取り組みます。

・ デザイン産業関係機関の実施事業の改善や実施事例の波及を図るため、産学官の連絡会議

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により情報交換を行います。

・ クリエイティブ産業の振興を図るため、有識者、企業、人材育成を行う大学等との意見交

換を行うとともに、クリエーターがその技術、ノウハウを活かして活躍できる環境を整備

します。

デザイン活用製品の顕彰及び販路開拓支援

デザイン支援センターの設置の検討

デザイナーバンクの管理・運営

2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)取組

デザイン産業関係機関連絡会議

「グッドデザインしずおか」選定事業専門家によるアドバイス、販路開拓支援

選定数:毎回13点以上、個別相談会:年1回、展示会:年1回

連携会議:年4回

産学官の連携会議の開催

デザイン支援センターの設置可否検討

デザイナーバンクの管理・運営・登録

新規デザイナーを随時登録

設置の可否の検討・検討結果への対応

新規デザイナーを随時登録

③ 新たなサービス産業の振興【再掲】

ア ヘルスケア産業の振興

・ 静岡県ヘルスケア産業振興協議会の会員を中心に、医療・介護関係者と地域事業者が連

携してヘルスケアサービスを提供する新しいビジネスモデルの構築を推進します。

・ ヘルスケアサービスを提供する事業者等と連携し、健診データの分析に基づく個人の健

康づくり・予防を民間サイドから支える健康管理システムを構築します。

ヘルスケア産業の振興

取組 2021(H33)2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

 全県地域におけるヘルスケア関連事業の創出・拡大

モデルとなる優良事例の発信、セミナーや勉強会の実施

イ サービス産業の活性化の推進

・ 観光やスポーツ産業などサービス産業の活性化を図るため、経営革新制度の活用等を促

進します。また、業務プロセス全般の見直しやIT導入等による生産性の向上を支援し

ます。

・ 生産性向上に関するベストプラクティス(優良事例)を創出し、横展開を図ります。

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2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

サービス産業の活性化の推進

取組

 専門家や業界団体等と連携したサービス産業の生産性向上

ウ 地域密着型ビジネスの創出の支援

・ 市町が行う地域資源を活用した新事業によるコミュニティビジネスの創出を支援します。

・ 経営革新や補助制度の活用により、コミュニティビジネスに取り組む事業者を支援しま

す。

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分 野 編【 農 業・農 村 編 】

基本方向1 AOI(アグリオープンイノベーション)プロジェクトの推進 AI(人工知能)、AI(農業情報科学)、IoTなど科学技術の急速な発展により、農業は生

産性革命というべき大きな変革期を迎えています。

この大変革に対応し、農・食・健を総合した科学技術・産業において、産学官金・農商工連携の

オープンイノベーションにより、農業を軸とした関連産業のビジネス展開を促進します。

(1) AOI(アグリオープンイノベーション)プロジェクトの推進

≪現状・課題≫

① 農業の生産性向上と関連産業のビジネス展開の促進

・多彩な農芸品が生産される場の力を活かし、本県農業の生産革新を促進するため、ICTを

はじめとする先端的な科学技術やものづくり技術の農業分野への応用が期待されています。

② AI学習支援システムの開発と技術継承

・生産者の高齢化に伴い、長年の経験から蓄積されてきた栽培技術が失われる危険性があるた

め、ICTを活用した技術継承システムの開発が必要です。

③ 農業用ロボット開発の促進

・農業の労働生産性を高めるため、農作業の省力化や合理化を飛躍的に進める技術開発が必要で

す。

≪取組の方向≫

① 農業の生産性向上と関連産業のビジネス展開の促進

・AOI-PARC(アオイパーク)を拠点とした、産学官金の多様な参画を得たオープンイ

ノベーション(AOIフォーラム)により、農業の生産性向上と、農・食・健が連携する関

連産業のビジネス展開を促進します。

② AI学習支援システムの開発と技術継承

・栽培技術を「見える化」するAI(農業情報科学:Agri-Info science)による学習支援シス

テムの充実と産地導入に取り組みます。

③ 農業用ロボット開発の促進

・農業、製造業といった業種の枠組みを超えた技術知見を結集し、農作業の省力化、自動化、軽

労力化を可能にする農業用ロボットの研究・開発を支援します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画成果

指標 AOIプロジェクト事業化件数 - (2018〜2021 年度)

累計22 件 ○

AOIフォーラム参画会員数 - (2021 年度) 200 会員 ○

AI学習⽀援システム導⼊産地数 (2015 年度) 2産地

(2021 年度) 6産地

活動指標

農業⽤ロボットの開発に係るマッチング件数 - (2021 年度まで)

累計25 件

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≪主な取組≫

① 農業の生産性向上と関連産業のビジネス展開の促進

・ アグリオープンイノベーションの拠点であるAOI-PARCの研究環境の充実を図りま

す。

・ 農林技術研究所において、革新的栽培法の技術シーズを開発します。

・ 学術・研究機関と連携した栽培技術や育種技術の研究開発を進めます。

・ ビジネスマッチングやセミナーの開催などAOIフォーラムの運営支援を行います。

・ 農・食・健に関する研究開発に協働で取り組む民間企業の事業化を支援します。

農林技術研究所による研究開発

学術・研究機関と連携した研究開発

AOIフォーラムの運営支援

民間企業の研究開発支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

革新的栽培法の技術シーズの開発

3件/年 3件/年 3件/年 3件/年

栽培技術や育種技術の開発術や育 術

2機関

ビジネスマッチング、セミナー等開催

研究開発助成 事業化支援

4件 4件

10回/年 10回/年 10回/年 10回/年

② AI学習支援システムの開発と技術継承

・ 県内を代表する農芸品である「みかん」「いちご」、「トマト」でAI(農業情報科学)学

習支援システムを活用し、栽培技術を「見える化」することで、産地の栽培技術の向上や

新規就農者の技術習得を促進します。

・ 主要2産地(JA伊豆の国、JAみっかび)の学習教材(写真、動画)の充実を図ります。

・ AI学習支援システムを県内各産地及び農林大学校で活用します。

2021(H33)2019(H31)2018(H30) 2020(H32)

AI学習支援システムの充実と活用

取組

農林大学校での活用術や育 術

(トマト)

システム応用開発 システム運用

6産地 6産地

③ 農業用ロボット開発の促進

・ 静岡県農業ロボット研究会の開催や、コーディネーターの活動を通じて、農業現場のニー

ズ把握と製造業者への情報提供、マッチング支援を行います。

・ 製造業者が行う農業用ロボットの商品化・事業化に向けた研究開発を支援します。

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・ 農林技術研究所において、農業用ロボットや無人航空機等を活用した生産性向上技術の開

発及び技術の実証を行います。

農業ロボットの研究開発支援

ロボット、無人航空機等を活用した生産性向上技術の開発

2021(H33)

農業者と製造業者のマッチング支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

静岡県農業ロボット研究会(セミナー、現地見学会、意見交換会等)の開催術や育 術

研究開発の新規取組件数

2件/年 2件/年 2件/年 2件/年

生産性向上技術の開発件数

1件/年 1件/年 1件/年 1件/年

3回/年 3回/年 3回/年3回/年

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基本方向2 多様な人々が活躍する世界水準の農芸品の生産力強化 本県では、温暖な気候や豊かな自然を活かし、多彩で高品質な農産物が生産されていますが、

国内外との競争を見据えた生産性、収益性の向上や、就業者の減少や高齢化への対応、海外市場

の取り込みなどが課題となっています。

このため、農地集積・集約化、農業経営体の育成、農業生産基盤の整備、マーケットインの考

え方に基づく生産体制の確立などにより、農業の生産力強化を図ります。

(1) 多彩な農芸品の生産拡大

≪現状・課題≫

① 土地利用型農業の生産性向上と規模拡大

ア 本県の担い手への農地集積率は 42.3%に留まっており、水田における担い手への農地集積

は進んでいるものの、本県耕地面積の40%を占める樹園地の農地集積が進んでいません。

イ 荒廃農地は、平成 21 年度から 28 年度までに 3,536ha を解消しましたが、新規発生が上回

ったため、平成28年度で5,738ha存在しています。

ウ 本県の耕地利用率は平成 27 年度で 94%に留まっており、米の需要が年々減少していく中

で、露地野菜等の作付拡大による水田の有効活用が求められています。

エ 国内外におけるお茶の消費構造が変化する中、本県の茶生産は依然としてリーフ向けの煎

茶生産が主体であり、需要に即した生産体制が構築されていません。

オ 果樹産地では、栽培面積の減少による供給量不足や、農繁期の労力不足が懸念されており、

販売面では消費者ニーズの多様化への対応が求められています。

カ 近年増加している企業や大規模農業法人の参入に対応するため、ワンストップ相談窓口や

農地の確保に向けた支援体制の整備が必要となっています。

② 次世代型大規模施設園芸や畜産クラスターの整備

ア 国内の施設野菜の需要が伸びる一方、本県の施設野菜の栽培面積は伸びていないため、市

場ニーズの高い葉物野菜、いちご等の生産拡大が必要となっています。

イ 施設面積の拡大と合わせて、施設野菜や花きの生産性向上が必要となっています。

ウ 国内における畜産物の需要が伸びる一方、本県の畜産物生産量は増えていません。

エ 畜産経営の安定的な発展や畜産物の生産拡大には、家畜伝染病の予防・まん延防止と地域環

境に調和した畜産業の確立が必要です。

③ GAP(農業生産工程管理)の推進

ア 農業者がGAP認証を取得する必要性は高まっていますが、生産現場では国際水準GAP

の指導者が不足しており、農業者が十分な指導を受けることができる体制になっていませ

ん。また、GAP認証取得は、費用がかかる上、農業者・流通業者・消費者のGAPへの

理解が一部に限られていることから、取得が進んでいません。

≪取組の方向≫

① 土地利用型農業の生産性向上と規模拡大

ア 農業生産を維持・発展させるため、地域の中心となる経営体への農地の集積・集約化によ

り、農地の有効活用を推進します。

イ 再生可能な荒廃農地の再生利用を支援する一方、再生困難なものは非農地化を推進します。

また、荒廃化のおそれがある農地は農地中間管理事業による借受等により予防を図ります。

ウ 水稲収穫後の水田を有効活用し、省力・機械化技術の導入・普及により、加工・業務用需

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113

要に対応した露地野菜の生産拡大を図ります。

エ 生産者が流通業者と連携して取り組む有機茶やドリンク原料茶、てん茶(抹茶の原料)等

の生産に要する機械施設の導入等を支援し、生産構造の改革を進めビジネス経営体の育成

を図ります。

オ 果樹産地において、改植や新技術導入による生産性向上と労力分散を図り、需要に対応し

た出荷販売体制の整備に取り組むとともに、機能性表示食品制度を活用した消費対策に取

り組みます。

カ 企業等からの参入相談に対応するプロジェクトチームを設置し、市町等との連携により、

県内外の企業や大規模農業経営体の県内進出を促進します。

② 次世代型大規模施設園芸や畜産クラスターの整備

ア 市場ニーズが高く、本県の強みである農芸品を中心に、新たな生産施設の整備による規模

拡大を促進します。

イ 施設野菜や施設花きの収量や品質を高めるため、温度、湿度、二酸化炭素濃度などを管

理・制御する高度環境制御機器の導入を推進します。

ウ 畜産クラスター事業等の活用により畜産経営の規模拡大の加速化を図ります。また、生産

された畜産物を県民に供給するための体制を整えます。

エ 家畜伝染病の防疫対策の強化を推進するとともに、畜産経営に起因する環境負荷の軽減を促

進します。

③ GAP(農業生産工程管理)の推進

ア 生産管理・効率性の向上や経営意識の改善を図るため、GAPの認証取得を促進します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

農業産出額 (2016 年) 2,266 億円

(2021 年) 2,400 億円

(販売農家1⼾当たり) (753 万円/⼾) (953 万円/⼾) ○ 成

果指標

担い⼿への農地集積⾯積 (2016 年度) 28,404ha

(2021 年度) 37,300ha

⽔⽥における野菜作付⾯積 (2015 年度) 2,080ha

(2021 年度) 2,300ha

全茶園に占める茶のビジネス経営体等が経営する茶園⾯積の割合

(2015 年度) 29%

(5,166ha/17,800ha)

(2021 年度) 39%

(6,276ha/16,300ha)

⾼度環境制御を導⼊した園芸施設整備

(2015 年度) 27ha

(2021 年度) 50ha

畜産クラスター事業等による⽣産施設整備件数

(2017 年度まで)累計4件

(2021 年度) 累計23 件 ○

活動指標

GAP認証取得農場数 (2016 年度) 3,207 農場

(2021 年度) 4,500 農場 ○

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≪主な取組≫

① 土地利用型農業の生産性向上と規模拡大

ア 担い手への農地集積面積の拡大

・ 地域の合意を受けた農地集積を進めるための「人・農地プラン」の見直しを推進します。

・ 農地中間管理事業を活用することにより担い手への農地集積を推進するとともに、特に

重点実施区域においては、農地集積の加速化を図ります。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

担い手への農地集積の推進農地中間管理機構を活用した農地集積面積

1,200ha/年 1,200ha/年 1,200ha/年 1,200ha/年

イ 荒廃農地の再生・利用

・ 荒廃農地解消総合対策事業により荒廃農地再生を支援します。

・ 山間部における再生困難な荒廃農地の非農地化を推進します。

・ 重点実施区域において、農地中間管理事業により、区域内の荒廃農地を解消します。

・ 市町担当者会議や農業委員会研修会等による荒廃農地の発生抑制、再生利用の推進に向

けた啓発を実施します。 2020(H32) 2021(H33)

市町アクションプランによる荒廃農地の解消

荒廃農地発生防止、再生利用の啓発推進

取組 2018(H30) 2019(H31)

荒廃農地の解消面積※

500ha/年再生300ha

非農地化200ha

農地利用最適化推進委員に対する研修

4回/年 4回/年 4回/年 4回/年

全県・農林事務所単位における市町等担当者会議

15回/年

500ha/年再生300ha

非農地化200ha

500ha/年再生300ha

非農地化200ha

500ha/年再生300ha

非農地化200ha

15回/年 15回/年 15回/年

※ 荒廃農地の解消面積は、農業委員会が行う現地調査結果。なお、2020年農林業センサスの耕作放棄地面積目標は7,800ha

ウ 水田フル活用による露地野菜の生産拡大

・ 加工・業務用需要等に対応したレタス等露地野菜の生産を拡大します。

・ モデル地区での機械化体系の導入支援により、露地野菜生産の省力化を促進します。

・ 地下水位制御システム等の導入により、水田の汎用化を推進します。

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取組 2018(H30) 2019(H31)

加工・業務用等に対応したレタス等露地野菜の導入支援

2020(H32) 2021(H33)

水田の汎用化の推進

実証事業を活用した水田での新たな野菜栽培の取組

3件/年 3件/年 3件/年 3件/年

地下水位制御システム等の導入面積

事業化支援

60ha/年 60ha/年

20ha 40ha 80ha 160ha

エ 茶産地の構造改革の推進

・ 最近の需要動向を踏まえた有機茶や抹茶など特徴のある茶やドリンク原料の生産拡大な

ど地域の特性に応じた生産体制への転換を図ります。

・ 有機認証やGAPなど流通・販売に必要または有利となる各種認証の取得を支援します。

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

茶産地の構造改革の促進

抹茶生産の推進

取組 2018(H30)

有機認証の取得支援

経営改革に取り組んだ経営体数

8経営体/年

有機茶園の面積

195ha

抹茶の生産量

600トン/年

8経営体/年 8経営体/年 8経営体/年

240ha 300ha 350ha

700トン/年 800トン/年 900トン/年

オ 果樹産地における生産性の向上

・ 計画的な改植による園地の若返りや品種構成の見直しによる労力分散を促進します。

・ 品種、省力栽培技術、温暖化対応技術、AIシステム等の開発・普及により生産性の向

上を図ります。

・ 産地の核となる選果場や、消費者ニーズに柔軟に対応できる直売所、加工所等の施設を

整備します。

・ 県内主要産地が一体となった機能性表示食品制度の活用を推進します。

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産地の核となる果樹選果場の再整備

改植による園地の若返り

機能性表示食品制度の届出支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

県独自果樹品種の育成3品種

柑橘品種改植面積

130ha/年

計画支援

1か所

新たな機能性での届出

10産地

整備

1か所

「骨の健康維持」での届出

10産地

130ha/年 130ha/年 130ha/年

品種登録数

カ 大規模な農業参入や県内立地の促進

・ 県内外の企業や大規模農業法人からの相談に対応するプロジェクトチームを設置します。

・ 企業参入支援センターや市町等と連携した農地斡旋により、企業や大規模農業経営体の

参入を支援します。

・ 研修会の開催や技術支援により、参入企業の定着・事業発展を支援します。

企業の参入支援

2021(H33)

参入企業の定着・発展支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

参入企業数

195社

研修会、情報交換会等の開催や技術支援

プロジェクトチームの設置

2回/年

210社 225社 240社

2回/年 2回/年 2回/年

② 次世代型大規模施設園芸や畜産クラスターの整備

ア 施設園芸拠点の整備

・ 国庫補助事業(強い農業づくり交付金、産地パワーアップ事業)等を活用し、新たな

生産施設の整備により、いちご、トマト、葉菜類等の生産を拡大します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

新たな生産施設の整備による規模拡大の促進

生産施設の整備面積

5ha/年 6ha/年 6ha/年 6ha/年

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イ 高度環境制御など新技術の導入

・ 温度、湿度、二酸化炭素濃度、日射量などの高度環境制御により、いちご、トマト、花

き等の生産性向上を図ります。

高度環境制御による生産性向上支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

高度環境制御機器の導入面積(集 )

野菜6.0ha/年花き0.5ha/年

野菜6.0ha/年花き0.5ha/年

野菜6.0ha/年花き0.5ha/年

野菜6.0ha/年花き0.5ha/年

ウ 畜産クラスターの整備

・ 地域の畜産関係者により組織する畜産クラスター協議会の設立と活動支援により、意欲

ある生産者等の規模拡大、生産性向上の取組を支援します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

畜産経営の規模拡大、生産性向上の支援

畜産クラスター協議会の設立及び活動を支援する協議会

15協議会/年 16協議会/年 17協議会/年 17協議会/年

エ 家畜防疫体制及び環境対策の強化

・ 家畜伝染病の発生予防のため、全ての畜産農家において、「飼養衛生管理基準」の遵守

を促進します。

・ 防疫作業の協力協定を締結した団体と連携した防疫演習や、防疫措置に必要な資機材の

備蓄と計画的な更新などにより防疫体制を強化します。

・ 家畜排せつ物のエネルギー資源化及び臭気低減対策の研究・普及を推進します。

・ 畜産堆肥の広域流通を促進します。

2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31)

「飼養衛生管理基準」の遵守推進

防疫体制の強化

家畜排せつ物のエネルギー資源化技術の研究・普及

農家巡回・指導

100%

10回/年

100% 100% 100%

防疫演習・訓練の実施

10回/年10回/年10回/年

研究

1課題

システム普及

1施設以上

③ GAP(農業生産工程管理)の推進

ア GAP認証の推進

・ GAP指導者養成研修会・GAP審査員資格取得研修会の実施、ICTの活用により、

GAP指導体制を強化します。

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・ GAP認証取得費用の支援により、国際水準GAP認証取得を促進します。

・ 講演会等の開催により、農業者・流通業者・消費者のGAPへの理解を促進します。

GAP指導者の養成

GAPの認知度向上

2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

県政インターネットモニターアンケートにおけるGAPの認知度(集 )

30%

GAP指導者養成研修の受講者数

50人/年 50人/年 50人/年 50人/年

40% 50% 60%

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(2) 次代を担う農業経営体の育成

≪現状・課題≫

○ 高度農業人材の育成と雇用対策

ア 担い手の高齢化や廃業が進む一方、農業経営の法人化や規模拡大により人材ニーズが変化

したことにより、現場の即戦力となる高い技術や経営管理能力を持った人材が求められて

います。

イ 農業経営に参画する女性の比率が低く、女性の能力が十分に活用されていません。

ウ 農業経営体の経営計画実現のため、企業的経営を志向するビジネス経営体や認定農業者の

経営の発展段階に応じたきめ細かな対応が求められています。

エ 建設業や製造業など多くの産業で労働力不足が広がる中で、農繁期の短期雇用の確保が厳し

い状況にあります。

≪取組の方向≫

○ 高度農業人材の育成と雇用対策

ア 市町や関係団体等と連携し、技術習得や農業法人への就職支援、就農後のフォローアップ

などの実施により、青年の新規就農と定着を支援します。

高度な実践力と豊かな創造力を兼ね備えた農林業人材を養成するため、農林大学校の専門

職大学への移行を進めます。

イ 農業での起業、就業を目指す女性層の拡大や経営への積極的な参画を支援し、女性経営者

を育成します。

ウ ビジネス経営体や認定農業者の育成、それを支える経営幹部や後継者となる人材の養成、

経営計画の実現や経営の安定化に向けた支援の充実を図ります。

エ 女性・高齢者や障害のある人など多様な人材の活用により、労働力確保に向けた取組を支援

していきます。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画成果指標

ビジネス経営体販売額 (2016 年度) 821 億円

(2021 年度) 1,200 億円

農業法⼈数 (2016 年度) 788 法⼈

(2021 年度) 1,000 法⼈ ○

新規農業就業者数 (2016 年度) 334 ⼈/年

(2021 年度) 340 ⼈/年

活動指標

農業経営に参加する⼥性の⽐率 (2016 年度) 4.7%

(2021 年度) 7.0%

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≪主な取組≫

① 高度農業人材の育成と雇用対策

ア 次代の農業経営を担う人材育成の強化

・ 生産技術・経営ノウハウを習得する研修や就農計画の作成、資金支援により、非農家出

身者(ニューファーマー)の自立就農を支援するとともに、農家後継者の新分野進出を促

進します。

・ 農業体験やマッチングにより、農業法人等への就職を促進するとともに、雇用の安定確

保を支援します。

・ 農林大学校の専門職大学への移行により、次代の農林業を支える人材を養成するととも

に、社会人教育を充実します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

農業法人等への就職促進

農林大学校の専門職大学への移行

ニューファーマー等の確保・育成 研修参加者

25人/年

農業体験研修や農業法人とのマッチング等の実施

農業体験参加者60人/年

開学

入学者125人/年

開学準備

入学者125人/年

ニューファーマー養成に向けた研修の実施

研修参加者25人/年

研修参加者25人/年

研修参加者25人/年

農業体験参加者60人/年

農業体験参加者60人/年

農業体験参加者60人/年

イ 女性経営者の育成

・ 女性農業経営者の活動状況の情報発信や、若手女性農業者のネットワーク化を推進しま

す。

・ 農業に関心のある女性に対し、就農に向けた意識醸成や就労意欲の喚起、働きやすい環

境づくりへの支援を行います。

・ 農山漁村地域で活躍する女性農業者リーダーを育成するための研修や交流会を開催しま

す。

若手女性農業者のネットワークの構築

女性農業者リーダーの育成

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

女性農業者の公職委嘱数

135

ネットワーク参画者数

40人 60人 80人 100人

140 145 150

ウ コンサルティング手法を取り入れたビジネス経営体等の支援

・ ビジネス経営体を伴走支援する専任チームにより、コンサルティング活動を中心とした

支援を強化します。

・ 民間専門家の派遣により、法人化、経営継承、労務管理などの企業的経営管理手法やマ

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121

ーケティング手法、生産工程管理などの導入を支援します。

・ 経営を学ぶ講座の開催(経営戦略講座やアグリビジネス実践スクール、ふじのくにアグ

リカレッジ)により、経営計画の作成や計画の実行支援、経営幹部や後継者等の資質向

上を図ります。

・ 全国農業担い手サミットの本県開催を契機として、認定農業者等の経営発展への意欲向

上や組織活動の活性化を図ります。

・ 農業経営体の経営発展に向けて、施設・機械の整備に必要な制度資金の活用を支援しま

す。

・ 農業保険法の中に新たに創設された収入保険制度を周知し、セーフティーネットの強化

を図ります。

ビジネス経営体等の経営発展及び幹部人材の養成支援

経営体支援チームによる伴走型経営支援

専門家派遣による企業的経営管理手法等の導入支援

取組

認定農業者等の活動支援

2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

経営講座の受講者数

110人/年

参加者400人/年

巡回支援する経営体数

1,000経営体/年

専門家派遣回数

150回/年

1,000経営体/年 1,000経営体/年 1,000経営体/年

150回/年 150回/年 150回/年

110人/年 110人/年 110人/年

全国担い手サミットの開催 地域サミットの開催

参加者2,000人/年 参加者200人/年 参加者200人/年

全国担い手サミットプレイベントの開催

エ 多様な人材の活用

・ 求人情報の提供や就労体験機会の提供など、女性や高齢者などの幅広い人材の活用を支

援します。

・ 雇用を確保するための情報提供や、品目間での労働力を相互補完する取組など、各地区

が独自に労働力を確保できる仕組みづくりを支援します。

・ 障害のある人が農業や園芸活動に携われるユニバーサル園芸を普及するため、農業経営

体への受入促進と、農業と福祉分野の連携を推進します。

幅広い人材の確保支援

ユニバーサル園芸の普及

2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31)

短期雇用の確保に向けた取組地区数

8地区/年

40経営体/年

モデル地区における自主的な労働力確保の取組支援

障害のある人を受け入れる農業経営体数

45経営体/年 50経営体/年 55経営体/年

8地区/年 8地区/年 8地区/年

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(3) 農業の競争力強化と持続性を確保する基盤整備

≪現状・課題≫

① 優良農地の整備と高度利用

ア 主食用米の需要の減少が続くなか、付加価値が高い米づくりや生産コストの低減、水田の

高度利用による営農の複合化を促進し、水田農業の収益性を維持することが必要です。

イ 県内最大の茶産地である牧之原地域においても、面的整備や農地集積が進んでおらず、生

産コストは鹿児島茶に比べ高い状況にあります。また、柑橘は傾斜地での栽培が多く、収

穫や防除作業の機械化が困難であり、他の作物に比べ規模拡大が遅れています。

ウ 本県の担い手への農地利用集積率(耕地面積ベース)は、平成 29 年 3 月現在 42.3%で、

全国平均54.0%を10ポイント以上も下回り、集積が進んでいない状況です。

② 農業用水の安定供給と優良農地の確保

ア 県が昭和 40 年~50 年代に造成した基幹農業水利施設が、一斉に更新時期を迎えているこ

とから、補修・更新に係る投資経費の集中や突発的な事故の増加が懸念されます。

イ 近年、大規模な農業水利施設を管理する土地改良区が弱体化しており、適正な管理を継続

するための体制強化が急務となっています。

ウ 食料の安定供給に不可欠な優良農地(農振農用地区域内農地から荒廃農地を除いたもの)は、

荒廃農地の発生や宅地等への転用等に伴い、直近10年間で約2,000ha減少しています。

≪取組の方向≫

① 優良農地の整備と高度利用

ア 水田の大区画化等の生産性向上に加え、冬季も温暖な本県の場の力を活かすため、野菜等

の高収益作物導入を可能とする水田の生産基盤整備に取り組みます。

イ 茶栽培の低コスト化、柑橘栽培の生産性向上や品質向上、収量増に向けた樹園地の生産基

盤整備を進め、特に小規模で短期間に完了する整備に取り組みます。

ウ 農地中間管理機構と連携した低コスト化や収益性向上を可能とする生産基盤整備に取り組

み、地域農業の担い手への農地集積・集約化を支援します。

② 農業用水の安定供給と優良農地の確保

ア アセットマネジメント手法により、基幹農業水利施設の長寿命化と地域農業の構造変化に

対応した高機能化を図ります。

イ 土地改良区が主体的に取り組む組織運営や事業実施の体制強化を集中的に支援します。

ウ 農業振興地域制度、農地転用許可制度の適正な運用により優良農地を確保するとともに、生

産性の高い農地を積極的に農用地区域へ編入します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画成果

指標 農地⾼度利⽤化⾯積 (2016 年度)

8,249ha (2021 年度)

13,000ha

⾼収益・低コスト化を可能とする 農地基盤整備⾯積

(2016 年度まで) 累計2,443ha

(2021 年度) 累計3,700ha ○ 活

動指標 基幹農業⽔利施設更新整備数 - (2021 年度)

累計40 施設 ○

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≪主な取組≫

① 優良農地の整備と高度利用

ア 競争力を強化する水田の基盤整備

・ 水田の畦畔撤去等の簡易整備により、ほ場の大区画化を推進します。

・ 高収益作物の導入等に向け、水田の汎用化・畑地化を可能とする地下水位制御システム

や畑地かんがい施設を整備します。

・ 企業的な農業経営体の営農戦略に対応した基盤整備を実施します。○

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

水田経営の競争力強化※

2地区

大区画化、汎用化・畑地化を可能とする基盤整備の新規着手地区数

4地区 6地区 8地区

(累計650ha)

※ H33の()内は、継続地区及び新規地区におけるH29からの整備完了面積(効果発現面積)

イ 競争力を強化する樹園地・畑地の基盤整備

・ 茶園の低コスト化を可能とする乗用型茶園管理機導入に向けた基盤整備を実施します。

・ ドリップかんがい施設等による効率的な用水供給及び施肥を可能とする基盤整備を実施

します。

・ 企業的な農業経営体の営農戦略に対応した基盤整備を実施します。

取組

茶業経営の競争力強化

2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

(樹園地・畑地の競争力強化※)

柑橘経営の競争力強化

1地区

茶園の低コスト化を可能とする基盤整備の新規着手地区数

2地区

効率的な用水供給等を可能とする基盤整備の新規着手地区数

3地区 4地区

1地区 2地区 3地区 4地区

(累計607ha) ※ H33の()内は、継続地区及び新規地区におけるH29からの整備完了面積(効果発現面積)

ウ 農地集積・集約化を加速化する基盤整備

・ 農地中間管理機構と連携した基盤整備を積極的に実施します。 取組 2018(H30) 2020(H32) 2021(H33)2019(H31)

農地中間管理機構と連携した

農地集積・集約化※

2地区

農地中間管理機構関連農地整備事業の新規着手地区数

4地区 6地区 8地区

※ 各年度の地区数は、ア水田及びイ樹園地・畑地の内数

② 農業用水の安定供給と優良農地の確保

ア 農業水利施設の戦略的更新整備

・ 県が整備した基幹農業水利施設562施設(受益面積29,000ha)を適切に更新整備します。

・ 各施設の機能保全計画に基づき、計画期間内に40施設を補修・更新整備します。

2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

農業用水の安定供給

取組 2018(H30)

180ha

基幹農業水利施設を補修・更新する農地面積

650ha 1,850ha 2,400ha

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124

イ 土地改良区の体制強化

・ 土地改良区自らが主体的に将来のあり方を定める「土地改良区体制強化基本計画」の策

定を支援します。

・ 土地改良区の統合整備を支援します。

・ 土地改良区の施設維持管理計画の策定を支援します。

取組 2018(H30) 2019(H31)

土地改良区の組織運営や事業実施の体制強化

2020(H32) 2021(H33)

12改良区

「体制強化基本計画」を策定した土地改良区数

20改良区 28改良区 37改良区

ウ 農用地の適正利用

・ 農地の非農業的土地利用への転換に対して厳格な指導を行います。

・ 生産性の高い集団的農地や基盤整備実施済農地を農業振興地域制度に基づく農用地区域

へ積極的に編入します。

・ 市町各種振興計画や都市計画等と整合し地域の実情に応じた、計画的な土地利用の実

現に向けた指導・助言を実施します。

優良農地の確保※

2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31)

120ha/年

農地の農用地区域編入面積

120ha/年 120ha/年 120ha/年

※ 優良農地の確保目標 56,300ha(2025年度)

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(4) 市場と生産が結びついた「ふじのくにマーケティング戦略」の推進

≪現状・課題≫

① 相手国のマーケット情報に基づく輸出の拡大

ア 県産品の販路を開拓・拡大するためには、生産者と実需者・バイヤーをつなぎ、商品力と

販売力を高める商社機能(プラットフォーム)を強化する必要があります。

イ 海外販路の拡大のため、現地での県産品フェアやPR等を行っていますが、継続的な取扱

や生産拡大に思うように結びついていません。また、相手国・地域のニーズの把握や規制

への対応も課題となっています。

② ターゲットを明確にした国内・県内戦略の推進

ア 首都圏の百貨店・スーパーでの県産品のテスト販売や企業と連携したPR等の取組が、継

続的な取扱や生産拡大に思うように結びついておらず、また、首都圏における認知度向上

と効果的な情報発信も課題となっています。

イ 安全安心で高品質な県産品の「地産地消」を更に推進するため、県内における県産品の取

引の拡大や認知度向上などが課題となっています。

③ 本県農林水産物の情報発信・収集及び高付加価値化の推進

ア 現在、東京都の秋葉原にアンテナコーナーを設置していますが、商品の効果的なPRや消

費者への情報発信力が弱く、首都圏の需要を十分に取り込めていません。

イ 農林水産物の付加価値向上の取組が盛んに行われていますが、規模の大きな取組は少なく、

加工・直売等の農業生産関連事業の販売額は伸び悩んでいます。

ウ GAP認証は国内販売や輸出の取引条件になりつつありますが、茶以外の農産物では取得

が進んでいません。

エ 機能性表示や地理的表示は、県産品の付加価値を高める手段の一つですが、十分に活用さ

れていません。

オ 県産品の国内販売や海外への輸出を拡大するためには、マーケットにおける競争力を強化す

る必要があります。

≪取組の方向≫

① 相手国のマーケット情報に基づく輸出の拡大

ア 海外販路拡大にチャレンジする事業者を支援・育成し、県産品の輸出促進機能を担う商社機

能(プラットフォーム)を構築します。

イ 本県の強みのある農林水産物を重点品目に位置付け、ターゲットとする国・地域のマーケッ

トニーズや規制に合った商品の生産の推進と流通体制の構築を図り、輸出を促進します。

② ターゲットを明確にした国内・県内戦略の推進

ア 国内最大の消費地である首都圏にターゲットを絞り、市場と生産を結びつけた取組により、

首都圏における本県農林水産物のシェアを維持・拡大します。

イ 包括協定を締結している事業者等と連携して地産地消を推進するとともに、県内の農林水産

物直売所の販売力強化を支援します。

③ 本県農林水産物の情報発信・収集及び高付加価値化の推進

ア 本県が誇る多彩で高品質な農林水産物をはじめとする県産品の認知度を高め、国内外へ発信

し、“マーケットイン”の考え方に基づき、マーケットの情報を収集して生産現場にフィー

ドバックを行うマーケティング拠点となる「(仮)ふじのくにショールーム」を整備します。

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イ 新たな商品の開発と販売促進を支援するため、6次産業化サポートセンターの機能を強化す

るとともに、異業種のマッチングによる農水商工連携の促進や国交付金等を活用した規模の

大きな取組の創出を推進します。

ウ 県産農産物の販売力を強化するため、国内販売や輸出の取引条件になりつつあるGAP認証

の取得を支援します。

エ 機能性表示の届出、地理的表示の登録に向け、対象品目の堀り起こしと産地の意識統一を推

進し、制度の活用を図ります。

オ 農林水産物の品質・競争力アップのため、消費者ニーズに対応した新たな品種や付加価値を

高める技術、長期間、品質や鮮度を保持できる技術などの開発を推進します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

県の海外市場開拓⽀援による県産農林⽔産物新規輸出成約件数【再掲】

(2013〜2016 年度)累計302 件

(2018〜2021 年度)累計360 件 ○ 成

果指標 農業⽣産関連事業の年間販売⾦額

【再掲】 (2015 年度)

1,062 億円 (毎年度) 1,100 億円 ○

輸出商談会・⾒本市等参加事業者数【再掲】

(2013〜2016 年度)累計504 事業者

(2018〜2021 年度)累計550 事業者 ○

⾸都圏における富⼠⼭しずおかマルシェでの県産品販売額【再掲】

(2016 年度) 800 万円

(2021 年度) 5,000 万円 ○

活動指標

6次産業化等新規取組件数【再掲】 (2013〜2016 年度)累計608 件

(2018〜2021 年度)累計640 件 ○

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≪主な取組≫

① 相手国のマーケット情報に基づく輸出の拡大

ア 海外販路拡大にチャレンジする事業者の支援・育成とプラットフォームの構築

・ 県産品を海外で販売する意欲を持った事業者の取組を支援し、県産品を幅広く輸出する

事業者を育成します。

・ 県産品を幅広く海外に輸出する県内事業者を核にして、県産品の輸出促進機能を担う商

社機能(プラットフォーム)を構築し、販路拡大を促進します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

輸出促進機能を担うプラットフォームの構築

県産品の輸出に取り組む事業者支援

10事業者/年

プラットフォーム構築

10事業者/年 10事業者/年 10事業者/年

イ 既存の商流を活用した更なる輸出促進

・ ㈱沖縄県物産公社への県職員の派遣や、これまで構築してきた国内外の事業者とのパー

トナーシップを活用し、県産品のアジア地域への輸出を拡大します。

・ 中国については、越境EC(電子商取引)を活用した県産品の海外販路開拓を進めます。

・ 輸出を目指す生産者・事業者の輸出のきっかけづくりのため、輸出に関するセミナーの

開催や商談会等への出展支援を行います。

・ 新たな海外販路拡大のためのマーケティング調査を行うとともに、通商エキスパートを

設置します。

・ 本県産品のブランド価値を保護するため、中国・台湾等において商標監視を実施します。

輸出事業者の取組支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

県産品のアジア地域への輸出拡大

越境ECを活用した県産品の販路開拓

新たな海外販売拡大支援

商標監視の実施

商談会等への出展支援

4回/年 4回/年 4回/年 4回/年

通商エキスパートの設置

1人/年

㈱沖縄県物産公社への県職員の派遣

1人/年

1人/年 1人/年 1人/年

海外における商標監視

1人/年 1人/年 1人/年

越境ECに掲載可能な品目数

300商品/年 300商品/年 300商品/年 300商品/年

2か国/年 2か国/年 2か国/年 2か国/年

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② ターゲットを明確にした国内・県内戦略の推進

ア 首都圏の新たなマーケットにおける県産品の販路拡大

・ 新たな首都圏のスーパーなどにおいて、静岡県産品コーナーを定着できるよう、販路拡

大の可能性の高い商品の生産を拡大します。

首都圏の新たなマーケットにおける県産品の販路拡大

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30)

「富士山しずおかマルシェ」の開催

延べ150店舗/年 延べ180店舗/年 延べ200店舗/年 延べ240店舗/年

イ 地産地消の推進

・ 「ふじのくに地産地消の日(毎月23 日)」等に量販店が実施する地産地消フェアなどの

開催を支援するとともに、包括連携協定を締結している事業者等と連携して地産地消を

推進します。

・ 他業種との連携や加工・飲食などの事業多角化、物流の効率化など、地域のモデルとな

る革新的取組を行う農産物直売所を支援します。

取組 2018(H30) 2019(H31)

量販店等と連携した地産地消の推進

2020(H32)

農産物直売所の販売力強化支援

2021(H33)

事例紹介、研修会等の開催

2回/年

地産地消フェアに取り組む企業数

20企業/年

モデル事業助成

累計4件

20企業/年 20企業/年 20企業/年

累計6件

2回/年 2回/年 2回/年

③ 本県農林水産物の情報発信・収集及び高付加価値化の推進

ア 「(仮)ふじのくにショールーム」の整備

・ 県産農林水産物等の販路を拡大するため、首都圏に、情報発信と収集の拠点となる

「(仮)ふじのくにショールーム」を整備します。

取組 2018(H30) 2021(H33)2019(H31) 2020(H32)

首都圏におけるマーケティング拠点の整備

「(仮)ふじのくにショールーム」の整備

早期に設置

イ 6次産業化による高付加価値化の推進

・ 6次産業化サポートセンターにおいて、専門家の支援等により、新商品開発や販路開拓

を促進します。

・ 関係機関が連携した農林漁業者と商工業者のマッチング支援や国交付金、ファンド等の

活用推進により、大規模な事業を創出します。

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・ 商品開発や販路開拓等に係る研修会の開催により、経営感覚を持った6次産業化事業者

を育成します。

・ 新商品・新サービスの販路開拓を進めるため、県内における展示商談会を開催するほか、

首都圏における展示商談会への出展機会を提供します。

2020(H32)2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)

大規模な事業の創出

経営感覚を持った6次産業化事業者の育成

取組

新商品開発、販路開拓の推進

新商品等の販路開拓

200回/年

国交付金等の活用による事業化支援

6次産業化サポートセンターの専門家派遣

6次産業化人材育成研修会の開催

200回/年 200回/年 200回/年

1件以上/年

10事業者/年 10事業者/年 10事業者/年 10事業者/年

1件以上/年 1件以上/年 1件以上/年

展示商談会開催・出展支援

2回/年 2回/年 2回/年 2回/年

ウ GAP認証取得の推進

・ GAP認証取得費用の支援により、国際水準GAP認証取得を促進します。

GAP指導者の養成

GAPの認知度向上

2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

県政インターネットモニターアンケートにおけるGAPの認知度(集 )

30%

GAP指導者養成研修の受講者数

50人/年 50人/年 50人/年 50人/年

40% 50% 60%

エ 機能性表示や地理的表示等を活用した販路拡大

・ 温州みかんや温室メロン等の販路拡大を促進するため、機能性表示の届出や地理的表示

の登録を推進するとともに、制度の認知度向上を図り消費を拡大します。

機能性表示や地理的表示を活用した消費拡大

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

15回/年

事業者への情報発信

15回/年 15回/年 15回/年

オ 競争力強化のための研究開発

・ 消費者ニーズに対応した新たな品種を開発するとともに、知的財産管理を強化します。

・ 茶や柑橘類等の機能性成分を増強する栽培技術を開発するとともに、機能性データベー

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スの充実を図ります。

・ 安全・安心な農産物を供給する持続可能な農業生産のための病害虫防除・肥培管理技術

を開発します。

・ 県産農芸品の輸出拡大に向けた品質・鮮度保持技術を開発します。

消費者ニーズに対応した新品種の開発・普及

機能性成分を増強する栽培・加工技術の開発と普及

品質・鮮度保持技術の開発

2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

品種登録(茶、花き、果樹、野菜、わさび)

3成分

8品種

技術導入 3産地

新成長戦略研究による技術開発 現地実証・普及

2件 技術導入 3産地

現地実証・普及新成長戦略研究による技術開発

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基本方向3 環境と調和し、人々を惹きつける都づくりと農山村の再生 本県が、国内外の人々を惹きつけ、暮らしてみたいと思われる地域となるためには、茶や花の

農芸品、多彩で豊富な食材、豊かな水資源など、世界に誇る特色ある地域資源にまつわる文化と

魅力を磨き上げ、発信していくことが重要です。一方で、人口減少や高齢化に直面している農山

村においては、その維持・活性化が課題となっています。 このため、

・多彩で高品質な農林水産物が生産される「食材の王国」という場の力を活かし、県産食材の需

要創出と消費拡大を図り、国内外の憧れを惹きつける「食の都しずおか」

・ふじのくに「茶の都しずおか」憲章を踏まえ、本県の有するお茶に関する多彩な資源を活かし

て、産業、文化、学術等の視点から、お茶の持つ魅力を磨き、県民がお茶で心や体が健やかに

なり、多くの方が集う「茶の都しずおか」

・新たな花の需要の創出や花き生産の振興を図り、暮らしのさまざまな場面で花と緑があふれる

「花の都しずおか」

を実現していくとともに、農村コミュニティの再生や地域資源の保全・活用、地域の魅力を活か

した交流拡大などにより、美しく活力のある農山村の創造に取り組みます。

(1) 「食」、「茶」、「花」の都づくり

≪現状・課題≫

① 多彩で高品質な農林水産物を活かした「食の都」づくり

ア 多彩で高品質な農林水産物が生産される「食材の王国」という場の力を活かし、国内外の憧

れを惹きつける「食の都しずおか」の実現のため、県産農林水産物の魅力の積極的な情報発

信が必要です。

イ 和の食文化の継承のため、本県の、米や茶など、和の食の基本となる食材が多彩で豊富、か

つ消費量が多い、という特徴を活かした食育の取組が重要です。

② 茶の生産、流通、消費における本県の中心性を高める「茶の都」づくり

ア 県内には、お茶に関する多くの産業、文化、学術の集積がありますが、これら情報の集約と

発信が一元的、効果的に行われていません。

イ 世界における静岡茶の認知度はまだ低く、「茶の都しずおか」が持つ美しい景観やヒト・モ

ノなどの魅力を情報発信していく必要があります。また、国内においても県内の様々なお茶

をPRするなど、静岡茶のブランド力向上が必要です。

ウ ライフスタイルの変化等により国内のリーフ茶需要が減少し、煎茶主体の本県の荒茶価格は

年々低下の傾向にあります。一方で、緑茶の世界的需要が高まっていることから、海外のニ

ーズに対応したお茶の生産と販売が求められています。

エ 日常生活の中でお茶を楽しむことや、お茶を通じた食育体験活動に触れる機会が減り、特に

若年層におけるお茶離れが進んでいます。

③ 花と緑にあふれた生活・職場環境につなげる「花の都」づくり

ア 花の消費が全国的に低迷していることから、地域や企業・学校での花や緑の装飾の取組など

県民の花・緑の利活用を進めることが必要です。

イ 県内の鉢物・花壇苗は、消費が低迷しているため、消費者ニーズに対応した生産が必要です。

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≪取組の方向≫

① 多彩で高品質な農林水産物を活かした「食の都」づくり

ア ふじのくに食の都づくり仕事人をはじめ、食に関する多様な関係者が連携した取組を推進し、

多彩で魅力ある県産食材の流通・消費と生産の拡大を図ります。

イ 和の食を軸とした食育活動を推進し、和の食文化を継承していくとともに、米や茶など県産

農産物の消費拡大を促進します。

② 茶の生産、流通、消費における本県の中心性を高める「茶の都」づくり

ア 茶の都の拠点施設として「ふじのくに茶の都ミュージアム」を活用し、お茶の魅力を幅広く

発信していきます。

イ (公財)世界緑茶協会などの活動により、世界の茶業関係者とのネットワークを拡大させつ

つ、世界お茶まつりの開催により最新の知見の集約と学術、文化、産業等の国際的な交流を

促進するとともに、県内茶業界と連携し、県内外への情報発信を進めます。

ウ 国内においては、消費が増えているペットボトル茶、ティーバッグ、粉末茶、香りに特徴が

あるお茶など、ニーズにあったお茶の開発と販路の開拓を図ります。また、海外のニーズに

マッチした抹茶等の輸出拡大を図ります。

エ 「小中学校の児童生徒の静岡茶の愛飲の促進に関する条例」を踏まえて、小中学校において、

静岡茶を飲む機会と併せ、お茶のおいしさや機能、静岡茶の産地や文化などの理解を深める

食育の機会を確保することにより、静岡茶の愛飲を推進します。

③ 花と緑にあふれた生活・職場環境につなげる「花の都」づくり

ア 花緑に関する講師の派遣やコンクールの開催を通じて、地域や企業での花や緑の取組を拡大

するとともに、高校生等が参加するフラワーデザインコンテストを開催し、若い世代の花の

関心を高めます。

イ 生産者自らが消費者ニーズを把握し、商品企画の展示、商談を行うことにより、販売促進や

販路拡大を図ります。併せて、生産者の経営安定化を図るとともに、本県の特徴である多彩

な花き生産をより一層推進するため、需要に応じた新品目の導入を支援します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

県産品を選んで購⼊する県⺠の割合

(2017 年度) 72%

(毎年度) 75%以上 ○

緑茶出荷額全国シェア (2015 年度) 55.3%

(2021 年度) 60.0% ○

成果指標

花き県内流通額 (2015 年度) 114 億円

(2021 年度) 120 億円 ○

「⾷の都」づくりに関する表彰数 (2014〜2017 年度)累計61個⼈・団体等

(2018〜2021 年度) 累計70 個⼈・団体等 ○

児童⽣徒の静岡茶愛飲に取り組んでいる学校の割合

(2016 年度) 35.6%

(2021 年度) 100% ○

活動指標

お花⾃慢の職場宣⾔実施事業所数 (2016 年度) 25 件

(2021 年度) 累計150 件 ○

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≪主な取組≫

① 多彩で高品質な農林水産物を活かした「食の都」づくり

ア 「食の都」の人づくり、地域づくり

・ 「しずおか食セレクション」、「ふじのくに新商品セレクション」のPRや販路拡大支援

により、県産品のブランド力向上を図ります。

・ 県産食材を積極的に活用し、「食の都」づくりの推進役となる料理人・菓子職人を表彰

します。

・ 静岡ならではの食文化創造への貢献等の模範的活動を実践している企業・団体等を表彰

します。

・ 仕事人、生産者、食品事業者、関係団体・行政等が連携する食に関するネットワークの

形成を支援し、県産食材の流通・消費と生産の拡大を図ります。

「食の都」の人づくり

食関連のネットワーク形成の支援

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)2018(H30)取組

県産品のブランド力向上

異業種交流会の開催

食セレクション認定、新商品セレクション表彰

認定15商品/年表彰15商品/年

食の都づくり仕事人の表彰

10人/年 10人/年 10人/年 10人/年

3回/年

認定15商品/年表彰15商品/年

認定15商品/年表彰15商品/年

認定15商品/年表彰15商品/年

3回/年 3回/年 3回/年

イ 和の食文化の普及

・ 学校給食での県産農産物の活用など、静岡らしい和の食文化を若い世代に伝える食農教

育指導者を育成します。

・ 農業者、学校給食関係者、行政、関係団体等と連携し、農業や食への理解を深める体験

の機会を創出します。

食農教育指導者の育成

農業や食の体験の機会の創出

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

食農学習を推進する人材の育成数

15人/年

「食育講座」の開催数

15人/年 15人/年 15人/年

7回/年 7回/年 7回/年 7回/年

② 茶の生産、流通、消費における本県の中心性を高める「茶の都」づくり

ア 「ふじのくに茶の都ミュージアム」の有効活用

・ ふじのくに茶の都ミュージアムにおいて、各種情報の収集と調査研究を行うとともに、

様々な体験メニューの充実を図ります。

・ メディアやSNSを活用した情報発信により、来館を促進します。

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取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

充実した体験プログラム等の実施による来館者の確保

情報発信による来館促進

70,000人/年

ホームページアクセス件数

20万件/年 20万件/年 20万件/年 20万件/年

70,000人/年 70,000人/年 70,000人/年

有料施設来館者数

イ 国内外における「茶の都しずおか」の地位向上

・ 世界緑茶協会主催のセミナー、講演会等を開催し、茶文化の提言、普及を図ります。

・ 貿易促進を目的とした茶関係の国際会議に参加し、連携構築を図ります。

・ 世界お茶まつりにおいて、学術、文化、産業の多様なプログラムを展開するとともに、

静岡茶の魅力を発信します。

・ 静岡茶の魅力PRなど県内茶業界の情報発信等を支援します。

2020(H32)取組 2018(H30) 2019(H31)

世界お茶まつりによる「茶の都しずおか」の地位向上

2021(H33)

開催 開催準備 開催準備開催準備

世界お茶まつりの開催

ウ 需要にあった静岡茶の販売拡大

・ 茶流通販売業者と連携し、ドリンク原料や有機抹茶など国内外の消費者ニーズに対応し

た茶の生産を推進します。

・ 海外で人気が高い抹茶や有機栽培茶等の販売拡大の取組を支援します。

国内のニーズにマッチした販路拡大

海外のニーズにマッチした販路拡大

2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)取組

ドリンク原料の販売量

11,700トン/年

本県からの茶の輸出額

76億円/年

12,350トン/年 13,000トン/年 13,700トン/年

81億円/年 87億円/年 93億円/年

エ 静岡茶の愛飲の促進

・ 「小中学校の児童生徒の静岡茶の愛飲の促進に関する県民会議」の意見を踏まえ、静岡

茶を飲む機会と併せ、お茶のおいしさや機能、静岡茶の産地や文化などの理解を深める

食育の機会を提供します。

2021(H33)

小中学校における静岡茶の愛飲機会の提供

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

静岡茶講座の開催

80回/年 80回/年 80回/年 80回/年

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135

③ 花と緑にあふれた生活・職場環境につなげる「花の都」づくり

ア 地域や企業等での花・緑の利活用の推進

・ 花緑に関する講師の派遣を通じて、花きの利活用を推進します。

・ 花緑コンクールを開催し、優秀な取組を表彰し、企業、地域、個人による花の装飾を促

進します。

・ 「お花自慢の職場宣言」事業所の取組を広報し、企業での花緑の利活用を促進します。

・ 高校生等が出場するフラワーデザインコンテストを開催し、若い世代の花への関心を高

めます。

フラワーデザインコンテストによる花に親しむ機会の提供

企業及び地域の花によるまちづくりの促進

「お花自慢の職場宣言」事業所の拡大

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

フラワーデザインコンテストの出場者数

80人/年

120件/年

50事業所/年

80人/年 80人/年 80人/年

120件/年 120件/年 120件/年

50事業所/年 50事業所/年 50事業所/年

花緑コンクールの応募数

新規開拓に向けた事業所訪問件数

イ 花きの販路拡大に向けた商談会の開催、生産技術対策の支援

・ 出展者の商品提案力の向上等を支援し、全国の花き流通販売関係者を集める商談会を開

催します。

・ 新品目(葉物、枝物等)の現地栽培実証及び面積拡大を支援し、生産者団体等による新

品目の導入を促進します。

商品提案力の向上等の支援

新品目の導入

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

花の都しずおか大商談会の開催

1回/年

新品目の導入産地数

2産地/年

1回/年 1回/年 1回/年

2産地/年 2産地/年 2産地/年

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136

(2) 美しく活力のある農山村の創造

≪現状・課題≫

① 多様な主体の参画による農村コミュニティの再生

ア 農村の人口減少や高齢化に伴う農村協働力の脆弱化は、農地・農業用施設や美しい景観、

伝統・文化、自然環境等の地域資源の保全・継承に影響を及ぼしています。

イ 農村の持続的な発展のためには、外部の協力を得ながら、地域自らが、農村の活性化や再

生、アイデンティティーの発現に取り組むことが必要です。

② 農村の地域資源の保全と活用

ア 大規模地震等により農業用ため池や基幹農業水利施設等が被災した場合、農業用水の安定

供給に支障をきたすのみならず、地域の生命・財産に被害をもたらす可能性があります。

イ 近年多発する局地的な集中豪雨等に対して、農地・農業用施設の被害軽減、地域の生命・

財産の安全確保が求められています。

ウ 農業用ため池のハザードマップは、地域住民の防災意識の向上や地域の生命・財産の被災

リスクの低減効果が高いことから、早期の作成が必要です。

エ 美しく活力ある農村を創造するためには、定住人口の確保と交流人口の増大を図る必要が

あります。

オ 野生鳥獣による被害金額は減少傾向ですが、依然として高い水準で推移しています。

③ 農山村地域の魅力を活かした交流拡大

ア 農山漁村への来訪者は増加していますが、地域資源を楽しむツアーや体験プログラム等の商

品が不足していることから、日帰り、立ち寄りが中心となっており、長時間の滞在につなげ

られていません。

イ 中山間地域は、平地と比較して農業生産条件が不利なことから、高齢化や人口減少、耕作放

棄地の発生などの問題が生じています。

ウ 農業遺産の一般への認知度が十分ではありません。また、農業遺産の担い手の高齢化や後継

者不足が懸念されています。

≪取組の方向≫

① 多様な主体の参画による農村コミュニティの再生

ア 地域自らが、農地・農業用施設、美しい景観、地域に伝わる伝統文化等の地域資源を保全管

理する「ふじのくに美しく品格のある邑(むら)づくり」を支援します。

イ 農業・農村の持続性を確保するため、多様な農業者と地域内外の人々が、共に地域の将来を

考えて行動する地域ぐるみの活動を支援します。

② 農村の地域資源の保全と活用

ア 「静岡県地震・津波対策アクションプログラム 2013」に基づき、耐震性が不足している土

地改良施設の耐震化に取り組みます。

イ 農地や農業用施設の湛水被害の解消や、自然的、社会的状況の変化等によって機能が低下し

た農業用排水施設等の整備に取り組みます。

ウ 作成主体である市町や地域コミュニティと連携し、農業用ため池ハザードマップの早期作成

に取り組みます。

エ 農村の生活環境基盤を整備し、都市的な利便性の享受や緊急時の安全・安心を確保します。

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137

オ 鳥獣被害を防止するため、捕獲・利活用対策、被害予防対策、生息環境対策を柱として、総

合的な被害防止対策を推進します。また、有害捕獲活動や侵入防止柵の設置など実践的な対

策を行うため、関係者による組織づくりを促進することにより、市町の鳥獣被害対策の実施

体制の強化を支援します。

③ 農山村地域の魅力を活かした交流拡大

ア 地域資源を生かした魅力ある商品づくりをDMOと連携して進めるとともに、滞在型グリー

ン・ツーリズムの受入体制を構築し、国内外からの誘客を促進します。

イ 地域農産物の魅力を伝える農業者を育成し、地域・産地のブランド力を向上することにより、

中山間地域農業の活性化に取り組みます。

ウ 様々なチャンネルを利用して、農業遺産の情報発信やブランド強化を活発に行うとともに、

農法維持の仕組みづくりを進めます。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

ふじのくに美しく品格のある⾢づくり参画者数

(2016 年度) 63,955 ⼈

(2021 年度) 80,000 ⼈ ○

⿃獣による農作物被害額 (2016 年度) 383 百万円

(2021 年度) 280 百万円

成果指標

農林漁家⺠宿延べ宿泊者数 (2016 年度) 1,180 ⼈/年

(2021 年度) 3,000 ⼈/年

「ふじのくに美しく品格のある⾢」登録数

(2016 年度) 110 ⾢

(2021 年度) 160 ⾢

⼟地改良施設の耐震化率 (2016 年度)

58.8% (213 箇所)

(2021 年度) 83%

(300 箇所)

農村地域の豪⾬対策実施地区数 (2016 年度) 41 地区

(2021 年度) 65 地区

⿃獣被害対策実施隊設置市町数 (2016 年度) 2市町

(2021 年度) 21 市町 ○

地域農産物の魅⼒を伝える農業者を育成する地域数 - (2021 年度)

5地域

活動指標

「静岡の茶草場農法」茶関連商品販売数

(2016 年度) 701,335 個

(2021 年度) 910,000 個 ○

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≪主な取組≫

① 多様な主体の参画による農村コミュニティの再生

ア 「ふじのくに美しく品格のある邑づくり」の支援

・ ふじのくに美農里[みのり]プロジェクト等、多様な主体が参画した農地・農業用施設

等の保全活動を支援します。

・ 一社一村しずおか運動やしずおか棚田・里地くらぶ等、農業者と地域内外の人々が共に

地域の将来を考えて行動する地域ぐるみの活動を支援します。

・ しずおか農山村サポーター「むらサポ」の情報発信・交流により、農村コミュニティの

再生に対する多様な主体の意識醸成を図ります。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

地域資源の保全活動25,650ha 26,550ha 27,450ha 28,350ha

「ふじのくに美しく品格のある邑づくり」による農地保全面積

イ 農村の持続的な発展に向けた行動計画の策定支援

・ 農村の持続的な発展に向けた指標を設定し、地域の活動状況の見える化を支援します。

・ 農村が自ら描く将来像の実現に向けた行動計画に基づく取組を支援します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

地域の活動状況等の見える化7地域 35地域 65地域

活動状況等を評価・分析した邑数

100地域

② 農村の地域資源の保全と活用

ア 土地改良施設の耐震化

・ 「静岡県地震・津波対策アクションプログラム2013」対象の土地改良施設362箇所のう

ち、耐震診断により対策が必要とされた基幹農業水利施設、農業用ため池、排水機場、

湖岸堤防を耐震化します。

2020(H32) 2021(H33)2018(H30) 2019(H31)

土地改良施設の耐震化

取組

230施設 240施設 270施設 300施設

耐震化した施設数

イ 農村地域の豪雨対策

・ 流域開発等により、排水機能が悪化している農村地域の湛水防除・排水路等の施設 70

施設を対象に、施設の更新整備等を実施します。

・ 河川部局及び庁内関係部局、市町等との施策連携により、効果的な総合治水対策を推進

します。

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139

取組

農村地域の豪雨対策

2020(H32)2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)

50地区

機能低下した農業用排水施設等の更新整備地区数

55地区 60地区 65地区

ウ 農業用ため池ハザードマップの作成支援

・ 「静岡県地震・津波対策アクションプログラム 2013」に位置付けられている、ため池

216箇所を対象に、市町の農業用ため池ハザードマップ作成を支援します。

・ 作成に参加する地域住民に対してハザードマップの必要性を周知します。

・ 作成主体の市町に対してハザードマップ作成の指導・支援を行います。

2020(H32)2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)

農業用ため池ハザードマップの作成支援

取組

50% 100% - -

農業用ため池ハザードマップ作成率

エ 農村の生活環境基盤整備

・ 農作業の生産性向上、生活の利便性向上や緊急避難路の機能を有する農道や集落道を整

備します。

・ 河川や湖沼など公共用水域の保全や生活環境の改善を図るため、農村地域の実情に配慮

した下水道、農業集落排水、合併処理浄化槽等の整備や適切な維持管理を促進します。

・ 民生の安定と農地の保全のため、地すべりの危険性がある区域を指定し、地すべりの発

生を助長・誘発する行為を制限するとともに、地すべり防止施設等を整備します。

2020(H32) 2021(H33)2018(H30) 2019(H31)取組

生活環境基盤の整備農道・集落道の整備

26km 32km 38km 42kmk

オ 鳥獣被害対策の推進

・ 市町の鳥獣被害対策実施隊の設置を促進するとともに、その活動を支援します。

・ 各地域の被害状況に即した対策に取り組めるよう指導・助言ができる静岡県鳥獣被害対

策総合アドバイザーを養成します。

・ 各市町の鳥獣被害防止特別対策措置法に基づく被害防止計画の実現に向けた交付金活用

を支援します。

・ 捕獲した個体の出口対策として、処理加工施設の整備に対する支援、衛生的な処理加工

技術の周知、消費者へのPRを行います。

・ 有害鳥獣の捕獲効率の高い装置など捕獲技術の開発を行います。

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140

衛生的な処理加工技術の周知

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

静岡県鳥獣被害対策総合アドバイザーの養成

研修会の開催

1回/年

鳥獣被害対策総合アドバイザー養成数

21人/年 21人/年 21人/年 21人/年

1回/年 1回/年 1回/年

③ 農山村地域の魅力を活かした交流拡大

ア 滞在型グリーン・ツーリズムの推進

・ 静岡県農林漁家民宿の開業、運営を支援します。

・ DMOと連携して、地域資源を生かした商品づくりと磨き上げを行い、国内外からの誘

客を促進します。

・ 滞在型グリーン・ツーリズムを進める指導者を育成し、地域ぐるみの取組(農泊地域)

を支援します。

・ 農山漁村地域への体験型教育旅行の誘致を促進します。

農林漁家民宿の開業支援

2021(H33)

滞在型グリーン・ツーリズムを進める指導者育成

取組 2018(H30) 2020(H32)2019(H31)

開業6軒/年

指導者研修等の開催

農林漁家民宿の開業軒数

開業6軒/年 開業6軒/年 開業6軒/年

25回/年 25回/年 25回/年 25回/年

イ 茶園景観など地域資源を活用した取組の推進

・ 地域農産物の魅力を伝える農業者の育成に取り組む地域を支援します。

・ 農業・農村・農産物に興味がある訪問者に、農業者が魅力を伝えることにより、地域、

産地のブランド力向上を図ります。

・ 中山間地域等直接支払事業により、農地面積の維持を図ります。

・ 健康志向への高まりなど都市住民の多様なニーズに対応する市民農園の開設を促進しま

す。

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中山間地域等直接支払制度協定締結の促進

地域農産物の魅力を伝える農業者の活動支援

2021(H33)

市民農園の開設支援

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

市民農園区画数

10,100区画

地域が受け入れた訪問者数

300人/年

協定締結面積

2,501ha

600人/年 1,000人/年 1,500人/年

2,501ha 2,501ha 2,501ha

10,200区画 10,300区画 10,500区画

ウ 農業遺産を活用した地域活性化

・ 世界農業遺産「静岡の茶草場農法」関連商品の価値や魅力のPRにより、農法実践地区

を活性化します。

・ 茶草場農法応援ボランティア受入支援により、茶草場農法維持の仕組みづくりに取り組

みます。

・ 多言語ホームページ等を活用して、「静岡わさび」の情報発信力の強化を図ります。

・ 地域住民等を対象とした研修会、生物多様性観察会等の開催支援により、わさび田に対

する保全意識を醸成します。

「静岡の茶草場農法」作業応援ボランティアの活用

「静岡わさび」ホームページ等を活用した情報発信

2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

わさび田の理解促進のための研修会等の開催支援

ボランティア受入人数

500人/年 530人/年 560人/年 600人/年

開催地区

2地区 2地区 2地区 2地区

アクセス数

24,000件/年 24,000件/年 24,000件/年 24,000件/年

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143

分 野 編【 森 林・林 業 編 】

基本方向1 森林資源の循環利用による林業の成長産業化 県内の木材生産量は、県産材の需要と供給を一体的に創造する「ふじのくに森林・林業再

生プロジェクト」に取り組んだ結果、平成22年を底にV字回復しましたが、ニーズに応じた

安定供給体制の確立が課題となっています。

このため、県産材の安定供給体制の確立や、ビジネス林業の定着、県産材製品の需要拡大に

より、森林資源の循環利用による林業の成長産業化を進めます。

(1) 県産材の安定供給体制の確立

≪現状・課題≫

① 低コスト生産システム

・木材生産量は、「ふじのくに森林・林業再生プロジェクト」に取り組んだ結果、19年ぶり

に 40 万㎥を超えましたが、低コストで安定して丸太を生産するシステムが定着しておら

ず、需要者のニーズに対し年間を通じて安定した丸太の供給ができていません。

② 主伐と再造林

・人工林は、林業の採算性の低下から主伐及び再造林面積が年々減少し、20年生以下の若齢

林が極端に少ない偏った林齢構成となっています。一方、植栽時期を選ばないコンテナ苗

や、成長が速いエリートツリー、設置費が安価な斜め張りシカ防護柵など、造林コストの

低下に向けた新たな技術が開発されています。

③ 県産材の流通

・製材工場や合板工場では、定時・定量な丸太の安定供給が求められています。そこで、丸

太供給協定の締結促進や原木選別評価士の養成支援などに取り組んだ結果、市場を介さず

に丸太を山から工場に直接運搬する「直送取引」が増加しています。しかし、合板用丸太

の供給量は、平成28年度時点で丸太供給協定の約7割に留まっています。

④ 森林認証材の供給

・県内には、全国4位を誇る約5万8,000haの森林認証林があり、約10万㎥の認証材が生産

されています。東京2020オリンピック・パラリンピックでは、持続可能性に配慮した材料

の調達コードが定められ、木材においては森林認証材がこれに合致するものとして明記さ

れました。これをきっかけに、国内における森林認証制度の認知度が大きく向上し、今後、

森林認証材の需要の拡大が見込まれています。

≪取組の方向≫

① 低コスト生産システム

・森林整備の集約化、林内路網の整備、高性能林業機械の導入などにより、低コスト生産シ

ステムの定着を促進します。

② 主伐と再造林

・低コスト主伐・再造林システムの確立により、主伐と再造林を促進します。

③ 県産材の流通

・木材生産、流通、加工に関わるすべての関係者が参加し、情報の共有化を行うプラットフ

ォームの構築により、県産材の流通の最適化を図ります。

④ 森林認証材の供給

・森林認証林の拡大により、森林認証材の安定供給体制を構築します。

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≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画成果指標

⽊材⽣産量 (2016 年) 41.5 万㎥

(毎年) 50 万m3 ○

再造林⾯積 (2016 年度) 88ha

(2021 年度) 500ha ○ 活

動指標

世界基準の認証取得森林⾯積 (2016 年度まで)累計58,285ha

(2021 年度まで) 累計70,000ha ○

≪主な取組≫

① 低コスト生産システムの定着

ア 森林施業の集約化の促進

・ 林業経営体※1 に対し、面的にまとまりを持った森林を対象にした森林経営計画の作

成を支援します。

・ 森林所有者などに対し、森林施業の実施に不可欠な森林所有境界の明確化や森林の

現況調査などの地域活動を支援します。

・ 小規模な森林所有者や不在村の森林所有者に対し、林業経営体への森林経営の長期

委託を促進します。

・ 大規模な森林所有者や自伐林家などに対し、自らが核となって周辺の森林を取りま

とめ、森林経営計画を作成するよう促します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

森林施業の集約化の促進

森林経営計画の作成支援境界の明確化等の地域活動の支援

※1 林業生産活動を行っている者(組織形態については問わない)。

イ 路網の整備と機械化の促進

・ 林道や林業専用道、森林作業道などを効果的に組み合わせ、林内路網のネットワー

ク化を促進します。

・ 地形・地質に応じた簡易で耐久性の高い森林作業道の作設を促進します。

・ 森林経営計画などに基づいて木材生産に取り組む林業経営体に対し、高性能林業機

械の導入を支援します。

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2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

路網の整備と機械化の促進

2021(H33)取組

林道等の整備による林内路網のネットワーク化

5,030㎞

高性能林業機械の導入支援

4,740㎞4,400㎞4,080㎞効率的な森林整備を実現する路網の延長(累計)

② 主伐と再造林の促進

ア 低コスト主伐・再造林システムの確立

・ 各地域に「低コスト主伐・再造林」の実証林を設置し、高性能林業機械を効果的に

使った伐採、全木集材、造材・山元仕分け、トラック運搬のシステム化を促進しま

す。

・ 実証林では、主伐に続き、コンテナ苗による低密度植栽と斜め張り防護柵などの設

置を一貫して行い、地拵えなどのコストの縮減を促進します。

・ 実証林の成果をまとめ、林業経営体を対象とした講習会を開催し、主伐・再造林に

対する意欲を喚起します。

・ 森林GISを活用して、労働生産性が向上しやすい緩傾斜地を抽出し、林業経営体

とともに森林所有者に主伐・再造林を働きかけ、施業地の集約化を促進します。

・ 主伐・再造林に意欲のある林業経営体に対して、高密度路網の整備と高性能林業機

械の導入を支援します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)2020(H32)

低コスト主伐・再造林システムの確立

低コスト主伐・再造林の実証

低コスト主伐・再造林箇所の抽出と集約化高密度路網の整備

低コスト主伐・再造林の実施

イ エリートツリー苗木の生産

・ 精英樹苗木とエリートツリー苗木を植栽した見本林を設置し、林業経営体に対し、

成長の違いを確認する講習会を開催します。

・ エリートツリー種子を早期に大量生産する技術開発を行います。

・ 西部農林事務所育種場に閉鎖型採種園を整備し、エリートツリーの種子を生産しま

す。

・ 苗木生産者に対し、コンテナ苗木の生産体制の構築を支援します。

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146

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

エリートツリー苗木の生産

99万粒 154万粒 154万粒

優良品種(エリートツリー)の種子の生産

採種園の造成

優良品種(エリートツリー)で発芽可能な種子の生産量

③ 県産材の流通の最適化

ア プラットフォームの構築

・ 森林資源の状況、木材生産の場所や時期などの供給情報と、需要者が希望する量や

納期、材質などの需要情報を、ICTを活用し一元的に管理するシステムを開発し

ます。

・ 木材生産、流通、加工に関わる全ての関係者に対し、プラットフォームへの参加を

促進します。

・ 静岡県森林組合連合会と連携し、木材需給コーディネーターや原木選別評価士など

の人材育成を支援します。

・ 需要者のニーズに応じて直送による丸太の供給に取り組む林業経営体に対し、丸太

の流通を効率化する施設整備を支援するとともに、全木集材とA材からD材まで※2

全ての活用を促進します。

プラットフォームの構築

取組 2021(H33)2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

木材需給共有システム(仮)の開発 プラットフォームの運用

原木選別評価士の育成支援中間土場などの整備支援

県森連と連携した原木供給コーディネーターの育成支援各地域の木材安定供給協議会等の活動支援

※2

区 分 A材 B材 C材 D材

形 状 通 直 小曲がり材 曲がり材 梢や根元ほか

主な用途 製 材 集成材、合板 チップ エネルギー

④ 森林認証材の安定供給

ア 森林認証林の拡大

・ 県営林において、地域の模範となるよう、森林認証の基準に基づき管理します。

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147

・ 森林認証推進協議会や認証管理団体が行う、森林認証の取得拡大に向けた説明会の

開催を支援します。

・ これから森林経営計画を策定する林業経営体に対し、森林経営計画の策定とあわせ

て、森林認証の取得を働きかけます。

・ 国有林や公有林での、森林認証の取得を関係機関に働きかけます。

・ 森林認証推進協議会が運用する、県内の森林認証林の管理状況を公開するポータル

サイトを支援します。

・ 消費者や企業に森林認証制度を普及し、森林認証製品の使用を促進します。

2021(H33)

森林認証林の拡大

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

認証管理団体等の活動支援、認証制度・認証材のPR

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148

(2) ビジネス林業の定着

≪現状・課題≫

① 林業経営体

・木材生産における労働生産性は、向上しつつあるものの平成28年度時点で3.8㎥/人日に

留まっています。また、死傷災害は、県内で年間40件以上発生しています。

② 森林技術者

・林業作業員数は、近年、横ばいで推移していますが、60歳以上の割合が4割近くを占めて

います。

・森林経営計画に基づいて伐倒・搬出などの木材生産を行うことができる森林技術者(林業

作業士相当)は、年間50万㎥の生産に要する最低限の人数を確保していますが、今後、退

職などによる人手不足が見込まれます。

≪取組の方向≫

① 林業経営体

・労働安全、労働生産性、就労環境の向上など、林業経営体の経営改革を支援します。

② 森林技術者

・林業への新規就業の促進、森林技術者の能力向上により、森林技術者の育成・確保を図り

ます。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画活動指標

⽊材⽣産の労働⽣産性 (2016 年度) 3.8m3/⼈⽇

(2021 年度) 5.6m3/⼈⽇ ○

≪主な取組≫

① 林業経営体の経営改革

ア 林業労働安全の向上

・ 林業・木材製造業労働災害防止協会静岡県支部と連携し、安全パトロールや安全講

習会の実施などにより、安全対策の徹底と安全装備の導入を促進します。

・ 静岡県林業労働力確保支援センター、静岡県森林組合連合会及び林災防静岡県支部

が行う、伐木造材における安全技術の習得などの研修会を支援します。

林業労働安全の向上

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

安全パトロールや安全講習会の実施

伐木造材における安全技術の習得などの研修会を支援

イ 労働生産性の向上

・ ビジネス林業を目指す林業経営体に対し、経営資源の最適化に向けた課題の整理と

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149

解決への取組を支援します。

・ ビジネス林業に取り組んでいる林業経営体に対し、更なる生産性の向上に向けたス

テップアップを支援します。

・ 林業経営体に対し、車両系(ハーベスタ又はプロセッサとフォワーダ)や架線系(タ

ワーヤーダとプロセッサ)の生産システムを、森林の立地条件に応じて適切に選択

するよう促します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

労働生産性の向上27事業体 38事業体 49事業体 60事業体

ビジネス林業の定着を図る事業体数(累計)

ウ 就労環境の向上

・ 改善計画の認定を通じて、林業経営体の雇用環境などの向上の取組を支援します。

・ 林業経営体の社会保障の充実や労働安全の向上に対する取組を支援します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

就労環境の向上林業経営体の雇用環境改善の取組を支援

② 森林技術者の育成・確保

ア 林業への新規就業の促進

・ 静岡県林業労働力確保支援センターと連携し、林業の仕事の内容や就業条件などを

情報提供するガイダンスや、林業体験会を開催します。

・ 林業経営体に対し、就業を希望する者の試用雇用を支援します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

林業への新規就業の促進

100人

林業への新規就業者数

100人 100人 100人

静岡県林業労働力確保支援センターの支援

イ 農林大学校における人材の育成

・ 森林・林業に関する幅広い知識を習得し、森林の多面的機能の向上と持続的な林業

経営に貢献できる人材を育成します。

・ 農林大学校学生に対し、林業への就業に向けた研修の費用を支援します。

・ 農林大学校を、森林・林業に関する幅広い専門的な知識と理論に裏付けられた高度

な実践力、課題対応能力を有する人材を育成する専門職大学に移行します。

農林大学校における人材の育成

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

専門職大学への移行準備 専門職大学の開学

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ウ 森林技術者などの能力向上

・ 木材生産などの林業技術を指導できる人材を育成します。

・ 技術者の林業技術と現場管理能力の習得を指導する全国森林組合連合会の県内での

取組を支援します。

・ 林業経営体の職員に対し、森林GISやオープンデータの活用と、効率的な木材生

産に必要な計画の作成を支援します(森林施業プランナー)。

・ 丈夫で簡易な路網を作設できるオペレーターや設計ができる技術者を育成します。

森林技術者などの能力向上

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

適正な森林管理を担う森林技術者数(累計)

500人 500人 500人 500人

林業技術・知識の習得を支援

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(3) 県産材製品の需要拡大

≪現状・課題≫

① 品質の確かな県産材製品

・木造軸組の住宅に使われる柱の6割、梁桁の9割が外国産材となっています。

・平成 22 年に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に基づ

き、県方針「“ふじのくに”公共建築物等木使い推進プラン」を策定しました。あわせて、

県内すべての市町において木材利用の方針が策定されたことから、各地の公共建築物で木

材利用が進み始めています。

・公共部門での県産材の利用を契機に、金融機関や店舗など民間の非住宅分野においても木

材を利用する機運が高まりつつあります。

② 県産材製品の販路

・本県では、平成 19 年をピークに人口が減少に転じており、県内の新設住宅着工戸数の伸

びは期待できない状況です。

・非住宅分野では、これまで木材利用が進んでいませんでしたが、「公共建築物等における

木材の利用の促進に関する法律」の施行や、東京 2020 オリンピック・パラリンピック関

連施設での利用を契機に木材利用の機運が高まっています。

・こうした中、供給側では新たなニーズに的確に対応できるよう、地域の製材工場のネット

ワーク化による供給体制の強化に取り組んでいます。

③ 製材・加工体制

・県産材の需要と供給に一体的に取り組む「ふじのくに森林・林業再生プロジェクト」で、

製材・加工施設の新設・拡充に取り組んだ結果、県内に 50 万㎥の丸太の受入れ体制が整

いました。中でも、平成 26 年度に合板工場が稼働したことで、B材の安定した需要を確

保できました。

・県内は製紙業が盛んな上、平成24年から「再生可能エネルギーの固定買取制度(FIT)」

が始まり、木質バイオマス発電所が稼働したことなどから、チップの原料となるC・D材

の需要は十分確保できています。

・A材から生産される製材品については、住宅の耐震性や製品の品質・性能に対する意識の

高まりにより、寸法安定性に優れ、強度が明確な製品が求められています。

・大規模な建築物や不特定多数の人が利用する建築物には、高い防・耐火性能が求められて

います。

≪取組の方向≫

① 品質の確かな県産材製品

・民間・公共部門で県産材製品の利用をさらに進めるなど、しずおか優良木材やJAS・

JIS製品を使用した、品質の確かな県産材製品の利用を拡大します。

② 県産材製品の販路

・ニーズを捉えた県産材製品の開発に加え、県外などへの県産材製品の品質と供給力のPR

により、県産材製品の販路拡大を図ります。

③ 製材・加工体制

・多様なニーズに応える製材・加工施設の整備により、県産材の製材・加工体制を拡充しま

す。

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≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画活動指標

公共部⾨の県産材利⽤量 (2016 年度) 20,641m3

(毎年度) 21,000m3 ○

≪主な取組≫

① 品質の確かな県産材製品の利用拡大

ア 住宅分野における利用拡大

・ しずおか優良木材やJAS・JIS製品を使用した住宅の新築・増改築、リフォー

ムを行う県民に対し、その費用の一部を支援します。

・ しずおか優良木材供給センターやしずおか木の家推進事業者に対し、消費者への情

報提供や見学会の実施を支援します。

・ 県産材を扱う製材工場などに対し、含水率や強度などの品質が表示された製品の取

扱いを拡大する取組を支援します。

・ 静岡県木材協同組合連合会と連携し、県産材証明制度の適正な運用を推進します。

取組

住宅分野における利用拡大

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)2018(H30)

品質の確かな県産材製品の利用促進

9.9万㎥ 10.3万㎥ 11.0万㎥10.7万㎥

品質の確かな県産材製品出荷量

イ 非住宅分野における利用拡大

・ 「“ふじのくに”公共建築物等木使い推進プラン」に基づき、公共施設整備(公共建

築物等、公共施設における工作物及び木質バイオマス利用)と公共土木工事におい

て、率先して森林認証材などの県産材製品の利用を推進します。

・ 県産材製品利用の模範となる優良建築物を、「ふじのくに木使い建築施設表彰」で表

彰します。

・ 有識者や建築・木材団体及び県で構成する「ふじのくに木使い推進会議」を開催し、

建築主と設計者に県産材利用を働きかけます。

・ 設計者が木材の特性などの知識の習得や県産材製品の流通状況などの情報を入手す

る「ふじのくに木使い建築カレッジ」を開催します。

非住宅分野における利用拡大

2018(H30) 2019(H31)取組 2020(H32) 2021(H33)

「木使い推進プラン」に基づく公共部門での率先利用

研修会等の開催、県産材を使用した建築物の表彰

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153

ウ 県民の理解醸成

・ 10月の「木使い推進月間」を中心に、「しずおか木使い県民運動」を推進します。

・ 県民に対し、県ホームページ「しずおか木使いネット」などにより県産材製品の情

報を発信します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

県民理解の醸成

「しずおか木使い県民運動」の推進「しずおか木使いネット」での情報発信

② 県産材製品の販路拡大

ア 県外などへ県産材製品をPR

・ 地域の製材工場ネットワークの広域的な連携を強化し、首都圏に向けた森林認証材

製品やJAS製品の供給体制を構築します。

・ 地域の製材工場ネットワークが行う、首都圏などで行う展示会への出展などを支援

します。

・ 木材販売業者などに対し、海外のニーズや展示会、輸出の先進事例などの情報を提

供します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

県外などへ県産材製品をPR

製材工場のネットワークの強化首都圏展示会への出展支援

イ ニーズを捉えた県産材製品の開発

・ 県産材を利用した外構材や家具・建具などの製品を開発します。

・ 製材・加工業者に対し、建築や土木用の部材などの新たな製品や技術の開発を促進

します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

ニーズを捉えた県産材製品の開発

県産材を利用した新たな製品や技術開発の促進

③ 県産材の製材・加工体制の拡充

ア 多様なニーズに応える製材・加工施設の整備

・ 地場の製材工場などに対し、木材乾燥機やグレーディングマシンなどの導入を支援

します。

・ 地場の製材工場などに対し、JASやしずおか優良木材の工場認定の取得を促進し

ます。

・ CLT(クロス・ラミネーティッド・ティンバー)や集成材などの高次加工施設、

ラミナ製材などの量産・低コスト加工施設の整備を促進します。

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2021(H33)

多様なニーズに応える製材・加工施設の整備促進

2020(H32)取組 2018(H30) 2019(H31)

製材・加工施設の整備の支援

JAS等の認定・認証の取得促進

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基本方向2 森林の多面的機能の維持・増進 森林は県土の保全や水源の涵養などの公益的機能を有しており、大規模地震や津波、山地災

害などの自然災害から、県民のかけがえのない生命、身体及び財産を守るため、森林を適正に

整備・保全する必要があります。

このため、森林の適正な整備・保全や、魅力と強みを生かした山村づくりにより、森林の多

面的機能の維持・増進を図ります。

(1) 森林の適正な整備

≪現状・課題≫

○ 森林整備

・森林の有する災害の防止や水源涵養などの公益的機能は、山村地域に限らず、すべての県民

が等しく恩恵を受けているものです。これらの機能の多くは、森林整備により維持向上が図

られており、林業生産活動が大きな役割を果たしています。しかし、林業の採算性の低下か

ら森林所有者の経営意欲が低下しています。

・地球温暖化防止に向けた森林吸収源対策として、森林整備の着実な実施が求められています。

≪取組の方向≫

○ 森林整備

・森林施業の集約化、林内路網の整備により、間伐などの森林整備を促進します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画成果指標

森林の多⾯的機能を持続的に発揮させる森林整備⾯積

(2013〜2016 年度)平均 10,426ha

(毎年度) 10,000ha ○

活動指標

森林経営計画認定⾯積 (2016 年度まで)累計76,639ha

(2021年度まで) 累計100,000ha ○

≪主な取組≫

① 間伐などの森林整備の促進

ア 森林施業の集約化の促進【再掲】

・ 林業経営体に対し、面的にまとまりを持った森林を対象にした森林経営計画の作成

を支援します。

・ 森林所有者などに対し、森林施業の実施に不可欠な森林所有境界の明確化や森林の

現況調査などの地域活動を支援します。

・ 小規模な森林所有者や不在村の森林所有者に対し、林業経営体への森林経営の長期

委託を促進します。

・ 大規模な森林所有者や自伐林家などに対し、自らが核となって周辺の森林を取りま

とめ、森林経営計画を作成するよう促します。

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取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

森林施業の集約化の促進

森林経営計画の作成支援境界の明確化等の地域活動の支援

イ 路網の整備

・ 林道や林業専用道、森林作業道を効果的に組み合わせ、林内路網のネットワーク化

を促進します。【再掲】

・ 地形・地質に応じた簡易で耐久性の高い森林作業道の作設を促進します。【再掲】

・ 林業経営体と建設業者の連携を促進し、お互いの得意分野を発揮した協力体制の構

築を支援します。

2021(H33)

路網の整備

取組 2018(H30) 2020(H32)2019(H31)

林道等の整備による林内路網のネットワーク化

5,030㎞4,740㎞4,400㎞4,080㎞

効率的な森林整備を実現する路網の延長(累計)

ウ 森林整備の着実な実施

・ 林業経営体に対し、森林経営計画に基づく、造林、下刈り、除伐、間伐などの森林

整備の実施を支援します。

・ スギ・ヒノキ人工林のうち生産適地でない箇所について、針広混交林や広葉樹林へ

の移行を図ります。

森林整備の着実な実施

2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

森林経営計画に基づく森林整備の実施を支援

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(2) 森林の適正な保全

≪現状・課題≫

① 森林の公益的機能の回復

・本県は、山地が海岸近くまで迫り平地が少ないことに加え、中央構造線や糸魚川-静岡構

造線をはじめとする多くの断層が通過していることから、地質がぜい弱で、山地災害の危

険性が高い特徴を有しています。また、近年の集中豪雨の頻発や台風の大型化により、大

規模な災害発生の危険性が高まっています。

・林業生産活動の停滞や野生動物の増加などにより、荒廃した人工林や放置された竹林が発

生しています。こうした荒廃森林の増加は、森林の公益的機能の低下を招き、渇水、洪水

や土砂崩壊など、下流域への直接的な被害が懸念されています。

・このことから、公益性が高いにもかかわらず、所有者による整備が困難で、緊急に整備を

行う必要がある森林を対象に、「森林(もり)づくり県民税」を充当して「森の力再生事業」

を行い、平成18年度から 10年間で、約 1万 2,000ha の森林整備を行いました。しかし、

新たに荒廃が進行したことから、引き続き10年間事業を継続することにしました。

・県内のニホンジカは、伊豆半島や富士山周辺を中心に個体数が増加しており、下層植生の

消失や単一化、踏み付けによる土壌の流失などが懸念されています。

・マツ材線虫病被害は、ピーク時に比べ大幅に減少しているものの、根絶には至っていませ

ん。

② 森林の公益的機能の向上

・県土の保全や水源涵養などの公益的機能の発揮が特に必要な森林について、保安林の指定

を進めた結果、保安林は森林面積の3分の1を占めています。

・本県の海岸線の約4割にあたる200㎞に海岸林が分布しています。海岸林の多くは、風害

や潮害、飛砂の防備のために、先人が造成したもので、後にその多くを保安林に指定し守

り育ててきました。

・平成 23 年に発生した東日本大震災では、海岸林が津波に対して一定の被害軽減効果を発

揮したことが確認されました。

③ 自然環境

・本県は、日本最高峰の富士山や 3,000m級の南アルプスから海抜0mの海岸まで、幅広い

標高差を有していることなどから、生育している植物相の豊かさは日本有数で、まさに「森

林(もり)の都」と言えます。また、そこには多くの動物が生息しており、県内で確認され

ている動植物は1万種類を超えています。

≪取組の方向≫

① 森林の公益的機能の回復

・山地災害発生箇所の早期復旧、荒廃森林の再生、森林病虫獣害対策などにより、森林の公

益的機能を回復します。

② 森林の公益的機能の向上

・保安林の適正な配備や森林の適切な利用により、森林の公益的機能の向上を図ります。

③ 自然環境

・自然環境の適正な管理と利用などにより、自然環境を保全します。

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≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

森の⼒再⽣⾯積 (2016 年度まで)累計13,413ha

(2021年度まで) 累計19,036ha ○

⼭地災害危険地区の整備地区数 (2016 年度まで)累計4,070 地区

(2021年度まで) 累計4,095 地区 ○

活動指標

ふじのくに森の防潮堤づくり(中東遠地域)の整備延⻑

(2016 年度まで)累計1,195m

(2021 年度まで) 累計12,000m

≪主な取組≫

① 森林の公益的機能の回復

ア 山地災害の早期復旧と被災の軽減

・ 緊急性や保全対象の重要性などを踏まえ、優先度を明確にして、山腹崩壊地、荒廃

渓流などの荒廃山地を計画的に整備します。

・ 台風や集中豪雨などにより被災した治山施設などを迅速に復旧します。

・ 山地災害危険地区情報の提供などにより、市町による監視や連絡体制の整備などを

支援します。

・ 「治山・保安林パトロール」により、治山施設や保安林などの状況を点検し、適正な

施設管理を推進するとともに、治山セミナーなどを通じて、地域住民に山地防災情

報を提供します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

山地災害の早期復旧と被災の軽減

山地災害危険地区情報の提供治山セミナーの開催

治山施設の計画的な整備被災した治山施設の迅速な復旧

イ 荒廃森林の再生

・ 森林所有者による整備が困難なために荒廃した人工林や、里山の放置された竹林や

広葉樹林などの整備を促進します。

・ モニタリングによる整備効果の測定、外部委員による評価、広報などにより、森林

づくり県民税の使途と事業効果の透明性を確保します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

荒廃森林の再生荒廃森林の整備(人工林再生整備、竹林・広葉樹再生整備)

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159

ウ 森林被害対策の実施

・ 三保松原など保全すべき松林について、市町や地域住民などと連携してマツ材線虫

病被害対策を徹底します。

・ ナラ枯れ被害に対し、市町や関係機関と連携した被害状況の把握、情報の共有化に

より、被害発見から早期の適切な防除・駆除対策を進めます。

・ 山火事や風害などの気象害に対する経営リスクを回避する森林保険への加入を促進

します。

2020(H32)

森林被害対策の実施

取組 2018(H30) 2019(H31) 2021(H33)

マツ材線虫病、ナラ枯れの防除・駆除

エ 野生鳥獣対策の実施

・ 鳥獣保護管理計画及び特定鳥獣保護管理計画に基づき、伊豆・富士地域のニホンジ

カやイノシシなど、生態系や農林業に影響を及ぼす野生動物の個体数調整や狩猟規

制の緩和などを実施します。

・ 静岡県鳥獣被害対策推進本部会議などで情報の共有化を図るとともに、試験研究の

成果などを現場に導入し、有害鳥獣の総合的効果的な被害防止対策を推進します。

・ 林業経営体に対し、ニホンジカによる幼齢木の食害や皮剥ぎを防ぐ防護柵の設置な

どを支援します。

2021(H33)

野生鳥獣対策の実施

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

狩猟・有害捕獲・管理捕獲の実施

10,500頭

伊豆・富士地域におけるニホンジカの推定生息

② 森林の公益的機能の向上

ア 保安林の適正な配備と機能の向上

・ 公益的機能を確保するうえで特に重要な森林を保安林として指定します。

・ 森林所有者自らの管理を促進するとともに、地域との協働管理や公的管理を進めま

す。

・ 公益的機能が低下している保安林に対し、適正な密度に改善する調整伐を行います。

・ 関係各市が行う海岸防災林の嵩上げと連携し、ふじのくに森の防潮堤づくりを推進

します。

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160

保安林の適正な配備と機能の向上

2021(H33)2020(H32)取組 2018(H30) 2019(H31)

ふじのくに森の防潮堤づくりの推進

保安林の計画的な指定と森林整備

86%85%84%83%

公益的機能を持続的に発揮している保安林の割合

イ 森林の適切な利用

・ 林地の開発に伴う災害及び水害の防止、水資源及び環境の保全を図る「林地開発許

可制度」を適切に運用します。

・ 違法な伐採や林地開発、不法投棄などに関する情報を地域と共有し、迅速な対応を

促進します。また、森林への不法投棄防止の自衛策を地域ぐるみで促進します。

森林の適切な利用

2020(H32) 2021(H33)2018(H30) 2019(H31)取組

伐採・造林届出、森林の開発許可制度の適切な運用

③ 自然環境の保全

ア 富士山の自然環境の保全

・ 富士山の環境負荷の軽減や豊かな自然環境の回復・保全に向けた取組、県民の自然

環境保全意識の高揚を図ります。

・ 世界文化遺産として必要な対策について、国、山梨県や関係市町などと連携して取

り組みます。

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30)

富士山の自然環境の保全

富士山の環境負荷の軽減、自然環境の回復・保全県民の自然環境保全意識の高揚

イ 自然環境の適正な管理と利用

・ 自然公園、自然環境保全地域の自然環境と利用状況を把握し、必要に応じて区域、

公園計画・保全計画の見直しを進めます。

・ 南アルプスでは、関係市町などとの連携により、高山植物をはじめとする動植物を

保護します。

・ 静岡悠久の森(県有林)を自然環境財として管理するとともに、県民や事業者など

の森づくり活動の場として活用します。

2021(H33)

自然環境の適正な管理と利用

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

公園計画・保全計画の見直しによる適正な区域管理の実施

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161

ウ 生物多様性の確保

・ ふじのくに生物多様性地域戦略の普及、啓発により、多様な野生動植物を育む豊か

な自然環境の後世への継承に向けた自発的な取組を促進します。

・ ふじのくに生物多様性地域戦略及び希少野生動植物保護条例に基づき、開発行為に

対する指導や希少野生動植物の保護・回復に取り組みます。

・ 特定外来生物に関する発見情報を収集し、関係機関と連携して駆除するとともに、

適切な対応を県民に周知します。

・ 野生動植物の生息・生育環境の保全又は創出に向けて、地域の特性に応じた森林の

管理を推進します。

・ 野生鳥獣に関する関係者の合意形成に努めた上で、鳥獣保護区の指定を行うととも

に、野生鳥獣の違法捕獲や無登録飼養の指導、取締りを行います。

2021(H33)

生物多様性の確保

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

「ふじのくに生物多様性地域戦略」に基づく生物多様性の保全

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162

(3) 魅力と強みを活かした山村づくり

≪現状・課題≫

① 特用林産物

・しいたけなどの特用林産物は、山村における貴重な収入源です。しかし、生産者の減少や、

福島第一原子力発電所事故に伴う風評被害による需要の低迷などの課題に直面しています。

② 都市と山村の交流

・山村には、豊富な森林資源や水資源、美しい景観、文化など、都市にはない多くの資源や魅

力を有しています。このような資源や魅力の多くは、山村に人が定住し、農林業生産活動や

集落で行われる行事などを通じて維持されています。

・山村特有の資源や魅力を活かし、森林経営にレクリエーション施設の運営を組み入れて6次

産業化することで、都市から山村に人を呼び込み、新たな就業機会の創出や所得の確保につ

なげている事業体や、企画力・デザイン力を活かして山村の魅力を発信することで、都市に

住む住民の理解者・協力者を増やしている事業体など、これまでにない新たな動きが見られ

ます。

≪取組の方向≫

① 特用林産物

・しいたけなど特用林産物の生産基盤とブランド力の向上により、安定供給と消費拡大を図り

ます。

② 都市と山村の交流

・多様な森林景観づくり、森林・山村が持つ地域資源の活用、生産・生活基盤の整備により、

都市と山村の交流を拡大します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画活動指標

効率的な森林整備を実現する路網の延⻑

(2016 年度まで)累計3,743 ㎞

(2021年度まで) 累計5,030 ㎞

≪主な取組≫

① 特用林産物の安定供給と消費拡大

ア 生産基盤の向上

・ 生産者に対し、栽培技術などの情報提供や指導、栽培施設の整備を支援します。

・ しいたけなどの生産に携わる後継者を育成、確保します。

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)取組 2018(H30)

生産基盤の向上しいたけ生産量

2,370t2,345t2,320t2,296t

イ ブランド力の向上

・ 県内外の消費者に対し、各種イベントを通じ、県産しいたけなどのおいしさを様々

な世代へ情報発信します。

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・ 生産者や関係団体と連携し、県産しいたけを使った新商品を開発し、観光業界や外

食産業への販路拡大に取り組みます。

・ 県産しいたけのしずおか農林水産物認証やGAP(Good Agricultural Practice)

取得を促進します。

2021(H33)

ブランド力の向上

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

県産しいたけを使った新商品の開発しずおか農林水産物認証やGAP(Good Agricultural Practice)の取得促進

② 都市と山村の交流

ア 多様な森林景観づくり

・ 世界文化遺産の富士山や三保松原、ジオパークのジオサイトなど、地域の自然や歴

史的・文化的景観と調和した森林整備を促進します。

2020(H32)

多様な森林景観づくり

2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31)

富士山や三保松原、ジオサイトなどの森林整備

イ 森林・山村資源の活用

・ 山村の住民などに対し、山村が有する風土、森林資源、景観などの地域資源の活用

を促進します。

・ 森林技術者などによる、森林・林業を経営の柱とする起業を促進します。

・ 都市の住民に対し、山村の有する地域資源を広く情報発信するとともに、自然ふれ

あい施設などの身近な自然を活用した多様な自然体験の機会の提供により、都市と

山村の相互交流を拡大します。

・ 竹の有効活用について、新たな技術開発による需要の創造と、これに応じた供給体

制づくりにより産業化に取り組んでいる事例を調査します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

森林・山村資源の活用地域資源の活用、都市と山村の相互交流の拡大

ウ 生産・生活基盤の整備

・ 林業就業者などが安心して働ける労働環境や快適な定住環境などの整備を支援しま

す。

・ 山村地域の道路網の一部となる林道の整備を推進します。

・ 森林経営計画に基づく計画的な林業生産活動を促進します。

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取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

生産・生活基盤の整備山村地域の道路網の整備の推進

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基本方向3 県民総参加による持続的で魅力的な森づくり活動の推進

多様な動植物が生息・生育する本県の美しく豊かな森林を、県民共有の財産として大切にす

る心を育む必要があります。

このため、自然とのふれあいの推進、県民参加による森づくり、森づくり活動や環境教育を

行う人材等の養成・確保、森林管理の合意形成により、県民の理解と参加を促進し、県民総参

加による持続的で魅力的な森づくり活動の推進に取り組みます。

(1) 県民の理解と参加の促進 ≪現状・課題≫

① 県民の理解

・豊かな自然とのふれあいは、森林との共生に対する理解を深めるのにとても有効ですが、

都市への人口の集中や生活様式の変化などにより、森林と人の関わりが薄れています。

・森林は、二酸化炭素の吸収や水源の涵養、土砂災害の防止、木材などの資源の提供などの

多面的機能を有し、県民全員の共有財産ですが、県民への周知が進んでいません。

② 森づくり活動

・森づくり活動に参加する個人や団体は増加傾向にありますが、森づくり活動は主にボラン

ティアで行われ、自立した活動を継続するための資機材の整備や活動資金が十分ではあり

ません。

③ 環境学習の指導者

・環境学習指導員など、地域で自主的・自発的に活動しリーダーとなる人材がいることで、

自然とふれあう機会の増加や、継続的な活動が可能になります。しかし、環境学習指導員

は、活動機会の減少や高齢化などの理由から、登録を更新しない人が増えています。

④ 合意形成

・多くの県民が、森林が抱えている課題や解決策、将来像などについて幅広く議論すること

で、美しく恵み豊かな森林の継承が自分たちの責務と認識し、積極的な参加を促すことが

できます。そこで、森林県民円卓会議の開催や森林情報のオープンデータ化などに取り組

んだ結果、森林・林業に対する県民の関心が高まりつつあります。

≪取組の方向≫

① 県民の理解

・森林との共生に関する広報や自然とのふれあいを推進することにより、県民の理解を促進

します。

② 森づくり活動

・森づくり活動への参加促進、森づくり団体の活動基盤の強化、企業の参加促進により、県

民参加による森づくりを推進します。

③ 環境学習の指導者

・環境教育の指導者などの養成により、森づくり活動や環境教育を行う人材を養成及び確保

します。

④ 合意形成

・森林管理に必要な情報の提供、森林管理の指針となる計画づくりの推進により、森林管理

の合意形成を図ります。

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≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画成果指標

森づくり県⺠⼤作戦参加者数 (2016 年度) 28,343 ⼈

(毎年度) 28,000 ⼈ ○

しずおか未来の森サポーター企業数 (2016 年度まで)累計119 社

(2021年度まで) 累計136 社 ○ 活

動指標 ⾃然ふれあい施設における⾃然体験

プログラム実施回数 (2016 年度)

159 回 (毎年度)

160 回 ○

≪主な取組≫

① 県民の理解の促進

ア 広報の推進

・ 森林・林業に関する情報を、県ホームページや広報誌などで発信します。

・ 森林との共生に関する県民や県の取組を、Facebook「ふじのくに森の都しずおか」

で発信します。

・ 市町や県民に対し、豊富な森林資源や美しい景観のほか、伝統や文化など森林が有

する魅力の発信を促進します。

広報の推進

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

県ホームページや広報誌、Facebookなどで発信

イ 自然とのふれあいの推進

・ 県民が、直接、森林とふれあうことができる場として、「県立森林公園」、「県民の森」

など自然ふれあい施設を適切に管理します。

・ 自然体験や環境学習の機会を求める県民に対して、自然ふれあい施設や里山などの

身近な自然を活用して、多様な自然体験プログラムを提供します。

・ 自然の活用と保護の大切さを体感する取組などをホームページなどで県民に情報発

信し自然体験や観察会などの機会を拡大します。

2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

自然とのふれあいの推進

自然ふれあい施設の適切な管理多様な自然体験プログラムの提供

② 県民参加による森づくりの推進

ア 森づくり活動への参加促進

・ 森づくり活動への参加機会の少ない一般県民に対し、地域住民や森づくり団体との

連携と協働による「森づくり県民大作戦」を実施し、誰もが気軽に森づくりに参加

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する機会を提供します。

・ 森づくり活動に役立つ情報を、県ホームページ「静岡森づくり情報」などで提供し

ます。

取組 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)2018(H30)

森づくり活動への参加促進森づくり県民大作戦の実施

イ 森づくり団体の基盤強化

・ 森づくり団体に対し、森づくりに関する安全技術の普及と研鑽の場の提供をします。

・ 公益財団法人静岡県グリーンバンクなどと連携し、森づくり団体の活動費や資機材

の支援を行うとともに、計画的な活動を促進します。

森づくり団体の基盤強化

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

森づくり団体の活動費や資機材の支援

ウ 企業の森づくり活動への参加促進

・ 環境意識の高い企業に対し、森づくりを行うフィールドの提供や、活動内容を提案

する「しずおか未来の森サポーター」制度の普及を図ります。

・ 「間伐に寄与する紙」の購入を通じて手軽に森林整備に貢献できる「ふじのくに森の

町内会」の普及を図ります。

・ しずおか未来の森サポーター企業の活動状況を、県ホームページや「企業の森づく

りCSR情報」などに取りまとめ、広く情報発信します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

企業の森づくり活動への参加促進

しずおか未来の森サポーター制度の情報発信

③ 森づくり活動や環境教育を行う人材等の養成及び確保

ア 環境教育の指導者などの養成

・ 環境教育の基礎的な知識や技能の習得を希望する県民を対象に、環境学習指導員養

成講座を開催します。

・ 経験の浅い環境学習指導員を対象に、実際に環境学習会を企画、実施する実践的な

OJT研修を行います。

・ 環境学習指導員に対し、指導員を必要とする団体や施設などの情報を提供し、継続

的な活動を支援します。

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2020(H32) 2021(H33)

環境教育の指導者などの養成

2019(H31)取組 2018(H30)

環境学習指導員の養成人数

17人17人17人17人

環境学習指導員の養成

④ 森林経営管理の合意形成

ア 森林経営管理に必要な情報の提供

・ 市町に対し、森林の土地情報を提供する林地台帳の整備と運用を支援します。

・ 林業経営体に対し、森林経営計画の作成や実行の基礎となる森林情報や地図情報な

どを、森林情報共有システムなどにより提供します。

・ オープンデータ化した森林情報の活用を促進します。

・ 意見交換会やタウンミーティングなどで、森林との共生に関する県民の意見を広く

聴取します。

・ 市町、林業経営体、製材・加工業者などからなる流域林業活性化センターが行う森

林資源の活用と理解の促進に係る取組を支援します。

・ 国有林と連携し、「ふじのくに静岡の森林・林業再生に関する覚書」に基づく、木材

の安定供給や森林の整備に関する検討及び調整を図ります。

森林管理に必要な情報の提供

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

森林情報共有システムにより発信した森林情報のアクセス数80,000件80,000件80,000件80,000件

森林情報や地図情報の提供と活用の促進

林地台帳の整備を支援 林地台帳の運用を支援

イ 森林経営管理の指針となる計画づくり

・ 地域森林計画の樹立を通じ、地域の特性に応じた森林管理の指針を示します。

・ 主伐や列状間伐など、森林整備の手法を検証します。

・ 市町に対する技術的な助言を通じ、地域の森林管理のマスタープランとなる市町村

森林整備計画の樹立を支援します。

・ 市町が主体となって実施する森林整備及びその促進に関する取組を支援します。

・ 林業経営体に対し、面的にまとまりを持った森林を対象にした森林経営計画の作成

を支援します。

・ 県民自らが地域の森林の将来像を描き、連携した取組の仕組みを考える森林県民円

卓会議の開催を支援します。

・ 地域住民、市町と県が協働により海岸防災林を守り育てていく「海岸防災林協働管理

計画」の策定と計画内容の充実を推進します。

・ 地域の意見を反映した治山事業の計画づくりを推進します。

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2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

森林経営管理の指針となる計画づくり

地域森林計画の樹立市町村森林整備計画の樹立支援森林県民円卓会議の開催支援

森林環境税(仮称)の実施体制づくりを支援 森林環境税(仮称)による取組の支援

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分 野 編【 ⽔ 産 業 編 】 基本方向 水産王国静岡の持続的発展の推進 本県は、変化に富んだ海岸線を有し豊かな漁場に恵まれ、沿岸から遠洋まで幅広い漁業が営ま

れているとともに、特色ある水産加工品が生産され、平成 28 年の漁業生産量は全国7位、水産加

工品生産量は全国3位となっています。

しかしながら、漁業生産量は長期横ばい傾向で、漁業就業者数、漁業経営体数、水産加工経営

体数は長期減少傾向にあります。このような中で、国内有数の水産県として本県水産業を持続的

に発展させていくためには、効果的な資源管理対策や就業者確保の対策を推進するとともに漁業

所得の向上につながる魚価向上対策を積極的に推進していくことが重要です。

このため、「生産・流通・消費の好循環を生み出す水産振興対策の推進」として、水産物の生産、

加工段階のみならず、流通、消費段階までを含めた総合的な水産振興対策を進めることにより本県

水産業全体の競争力強化を図ります。

また、「海・川の恵みの持続的な利用の確保」として、水産資源の適切な管理に向けた新たな仕

組みづくりや制度の改善などにより効果的な資源管理を推進していくとともに、計画的な種苗生産

の促進や放流支援により着実な水産資源の増殖の推進に取り組んでいきます。

そして、「次世代の漁業を担う人・組織づくり」として、全国唯一の高度漁業専門校である漁業

高等学園における継続的な入学者の確保と少人数・実践教育の実施により、質の高い漁業就業者の

増大を図ります。また、地域の中核的漁業者である漁業士の活動を支援します。

さらに、「水産資源の資源管理・資源増殖等を推進する先端的な研究開発の推進」により、水産

資源の的確な把握や漁場予測技術の開発等を推進していくとともに、将来を見据えた革新的な資源

増殖技術の開発の可能性を探っていきます。

(1) 生産・流通・消費の好循環を生み出す水産振興対策の推進

≪現状・課題≫

○ 漁業生産量は長期横ばい傾向で、短期間での増大傾向への転換が見込めない中、漁業所得の向

上につながる魚価を高める対策が求められています。

○ 食の安全安心に対する国内・海外の市場ニーズが高まる一方で、漁業関連施設の老朽化が進行

していることから、地域における水産業の拠点として高度な衛生管理に配慮した流通加工施設

等の整備が必要となっています。

≪取組の方向≫

○ 本県水産業全体の競争力強化とそれによる地域の活性化を図るため、水産物の高付加価値やブ

ランド化を推進する生産・加工段階の取組を引き続き推進するとともに、出荷された水産物が

市場に適正に評価される流通体制の整備や、消費者満足度の向上による需要拡大を目指したP

Rの推進等の流通、消費段階の取組を強化するなど、総合的な水産振興対策を進めます。

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≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画成果指標

1経営体当たり漁業⽣産額 (2015 年) 981 万円

(2021 年) 1,000 万円 ○

⽔産物の新たな流通体制構築・⾼付加価値化取組件数

(2017 年度) 5件

(毎年度) 5件 ○

漁協直営⾷堂集客者数 (2016 年度) 48 万⼈

(2021 年度) 50 万⼈ ○

活動指標

漁業施設整備数 (2016 年度) 11 施設

(毎年度) 8 施設

≪主な取組≫

① 水産業の6次産業化・県産水産物のブランド化の推進

・ 地場水産物の高鮮度処理や未利用魚を活用した新商品の開発など、地場水産物の潜在的な

価値を活かし、その魅力をさらに高めることを目指す漁業者や加工業者の取組を支援しま

す。

・ 県産水産物の他産地との差別化やブランド化を図るため、安全で高品質な水産物を供給す

る技術開発とともに、消費者ニーズに対応した商品開発や新たな加工製造技術の開発等に

取り組みます。

・ ブランド化の一層の推進を図るため、「しずおか食セレクション」や「ふじのくに新商品

セレクション」、「農林水産物認証」、「マリンエコラベル」等の認定に向けた取組を支援し

ます。

・ 調査研究の成果を早期実用化に結びつけられるよう、安全で高品質な魚を作る養殖技術の

確立・普及、駿河湾深層水の利活用促進に向けた研究・普及の推進等、研究部門と普及部

門とが一体となり水産業界を支援します。

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ブランド化の推進

研究と普及の一体的な業界支援

未利用魚の活用

商品開発支援・技術開発

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

水産物の高付加価値化

「しずおか食セレクション」、「ふじのくに新商品セレクション」等の認定支援

取組件数 年3件

漁獲・流通・加工の各段階における水産物の高付加価値化の取組支援

未利用水産物の有効利用

マッチング支援件数 年5件

オープンラボの利用促進(オープンラボ利用実績)

年5件 年10件 年10件 年10件

技術情報発表・技術提供

塩干品の品質向上技術開発

年365件

商品化技術・応用技術開発

鰹節くん煙技術開発

大型ニジマスのブランド化

② 水産物の新たな流通体制の構築

・ 従前の流通体制の課題を明らかにし、消費地のニーズに適応した流通手段の構築、販路拡

大につながる新規需要先の開拓を支援するとともに、国内・海外からの多数の観光客を取

り込む地場水産物の新たな流通体制の構築を図ります。

・ 人口の減少などにより水産物の国内消費が減少する一方、世界的な水産物需要が拡大して

いることから、海外への販路展開のため水産物の輸出を促進します。

・ 多様化・高度化する実需者や消費者ニーズに的確に対応する市場流通体制を整備するため、

産地市場の統廃合や業務運営の合理化を推進し、集荷力や価格形成力の向上等の適切な市

場機能の発揮を促進します。

・ 県産水産物に対する消費者の信頼を高めるため、市場検査、水産物検査や、漁協、流通・

加工業者等を対象とした食品表示や衛生管理の研修会を行い、安全・安心な水産物の提供

に取り組みます。

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水産物の新たな流通体制の

輸出促進

産地市場の再編促進

衛生・品質向上支援

2021(H33)

構築

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

新規流通経路・新規需要先の開拓

取組件数 年2件

水産加工施設等への国内HACCP義務化への対応

取組件数 年2件

新規流通体制構築の支援

産地市場の数

21市場 19市場

輸出ルートの構築支援、商談会やセミナーの開催支援

年5件

③ 地場水産物の消費拡大

・ 漁協直営食堂の運営支援や漁協の賑わいイベントの推進など産地と一体となった水産物の

消費拡大支援を行い、地場水産物の県内を含めた認知度の更なる向上を図ります。

・ 静岡県おさかな普及協議会と連携して、お魚ふれあい教室等を開催するとともに、情報発

信手法の改善や新しい魚食普及のための施策の導入を図るなど、消費者への魚食普及・啓

発を推進します。

取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

地場水産物の認知度向上

魚食普及の推進 静岡県おさかな普及協議会との連携

静岡おさかなアドバイザー等の活動による魚食普及教室 年5回

漁協直営食堂の運営支援、漁協イベントの推進・PR

漁協直営食堂の集客者数           50万人

④ 漁業を支える基盤整備

・ 地域における水産業の拠点として、高度な衛生管理に配慮した流通加工施設や賑わい施設

等の漁業を支える基盤整備を支援します。

・ 大型化する台風や低気圧等の災害、発生が危惧される東海、南海トラフ地震等の地震・津

波災害に対応するため、水産物流通機能の維持・確保の観点や、災害時の救援活動や物資

輸送等の観点から、大規模自然災害に備えた施設の対応力を強化します。

・ 安定した漁業活動の継続による地域水産業の活性化を図るため、施設の長寿命化対策を実

施し、漁港ストックを最大限活用するよう取り組みます。

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175

流通加工施設等の整備

漁港ストックの最大限の活用

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)2018(H30)取組

大規模自然災害に備えた対応力強化

第4次地震被害想定に対応した耐震強化岸壁の整備

長寿命化対策による漁港機能の維持・保全の推進

第4次地震被害想定に対する堤防等の整備・耐震化

4施設

施設整備

年8施設

8施設 12施設 16施設

0施設 2施設

50m 120m 280m 475m

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(2) 海・川の恵みの持続的な利用の確保

≪現状・課題≫

○ 水産資源を持続的に利用していくため、より効果的な資源管理対策や資源増殖対策を推進し

ていく必要があります。

≪取組の方向≫

○ 水産物の資源管理に向けた新たな仕組みづくりや制度の改善、計画的な種苗生産の促進や

放流の実施支援などにより、水産資源の効果的な管理と着実な増殖を推進します。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

⽔産物の効果的な資源管理に向けた新たな取組件数

(2016 年度) 3件

(毎年度) 3件 ○ 活

動指標

マダイ・ヒラメ放流尾数 (2013〜2016 年度)

マダイ 平均61.7 万尾 ヒラメ 平均25.3 万尾

(2021 年度) マダイ105 万尾 ヒラメ 32 万尾

≪主な取組≫

① より効果的な資源管理の推進

・ ウナギやアサリ、クロマグロなどの水産資源の適切な管理に向けた新たな仕組みづくりや

制度の改善などを通じて、より効果的な資源管理を推進します。

・ クロマグロなど漁獲可能量(TAC)制度の対象魚種については、国や他県との連携によ

る制度の適正・円滑な運用を図るとともに、その他の魚種も含め、「資源管理・収入安定

対策」を活用した漁業者による自主的資源管理を推進します。

・ ウナギについては、資源管理を適切に図る観点から、シラスウナギの平成 28、29 年漁期

に新設・強化した流通経路の透明化を図る制度や、内水面のウナギ採捕の禁止制度の周知

徹底を図るとともに、警察や海上保安庁との連携を強化して違反行為に対する取締りの徹

底を図ります。また、資源増殖の研究を進めるほか、漁協等が行う産卵に向かう親ウナギ

の買上放流事業について消費者の関心を高める取組を支援します。

・ アサリについては、砂利を詰めた袋網や被覆網等による稚貝の保護対策などの漁業者によ

る資源回復に向けた取組や、垂下式養殖技術を用いたブランド化などの取組を支援します。

・ 水産資源の維持・管理のため、漁業権・漁業許可、漁船・遊漁船登録などの法的規制を適

切に執行します。

・ 漁業秩序の維持のため、「天龍」と「あまぎ」の2隻の漁業取締船等による取締業務を計

画的に遂行します。また、海上保安庁や警察との連携を図ります。

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資源管理の推進

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

漁業秩序の維持

取組 2018(H30)

漁業取締の実施

より効果的な資源管理に向けた新たな仕組みづくり、制度改善

取組件数 年3件

ウナギ・アサリの資源回復に向けた取組への支援

「資源管理・収入安定対策」を活用した漁業者による自主的な資源管理の推進

漁業権・漁業許可等の法的規制の執行

② 水産資源の増殖の推進

・ 第7次栽培漁業基本計画に基づき、静岡県温水利用研究センターにおけるマダイ、ヒラメ

などの重要な魚種の計画的な種苗生産を図るとともに、安定的かつ効率的な生産に向けた

技術開発や新たな魚種の種苗生産・育成技術開発、漁業者による中間育成、放流等の支援

を行い、水産資源の着実な増殖を推進します。

・ 内水面における水産資源の維持・増大を図るため、第五種共同漁業権を免許された内水面

漁協に義務付けられた目標増殖量について、より適切な目標の設定を図るとともに、目標

の達成に向けた取組の適正な管理を行います。また、漁業権行使規則及び遊漁規則による

水産動物の採捕ルールの適正化を支援します。

・ 計画的かつ安定的な生産が可能な養殖業を推進するため、消費者ニーズの高い大型ニジマ

スの新品種開発などに取り組みます。

・ 養殖衛生管理講習会の開催等により安全・安心な養殖魚の生産を促すほか、養殖業者によ

る生産工程管理を促進します。

取組

安全・安心な養殖魚の生産

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

栽培漁業による沿岸水産資源の維持・増大

2018(H30)

内水面における水産資源の維持・増大

計画的かつ安定的な養殖業の推進

放流尾数 マダイ105万尾 ヒラメ 32万尾

第7次栽培漁業基本計画の推進

第8次栽培漁業基本計画の策定

目標増殖量の適切な設定及び適正な管理・水産動物の採捕ルールの適正化

養殖衛生管理講習会の開催等による品質管理体制の確立

大型ニジマスの新品種開発などの新たな技術開発

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③ 生産力の確保・向上に向けた漁場環境保全

・ 漁場整備計画に基づき、伊豆半島沿岸海域において魚礁等を設置します。

・ 海・川・湖は漁業の生産現場であることに加え、観光の振興や文化の涵養などにも資する

多くの魅力や機能があることから、漁業地域の有する多面的機能を発揮させるための環

境・生態系保全などの取組を推進します。

・ 磯焼け対策については、カジメ藻場におけるアワビ漁の復活を目指すとともに、サガラメ

藻場の回復を推進します。また、藻食性魚類の駆除、藻場の利活用方法の確立、アオサ駆

除などの取組や、漁場における油濁等の撤去を支援します。

・ 浜名湖貝毒監視連絡会を開催し、貝毒発生の監視や貝毒の検査体制を構築・確認し、計画

的な検査を継続します。

・ コイヘルペス等の疾病対策については、疾病対策・防疫体制の改善を随時行い、関係者を

対象とした研修会等を通して周知を図ります。

・ カワウ対策については、駆除を行う漁協を支援するとともに、より効果的な駆除手法を検

討・実施します。

沿岸域の漁場・増殖場の整備

内水面漁場環境の保全

2019(H31)2018(H30) 2020(H32) 2021(H33)

浜名湖における貝毒発生の監視

水産業・漁村の多面的機能の発揮

取組

磯焼け対策

浜名湖における貝毒発生監視

藻場復元、藻食性魚類駆除などへの支援

増殖場機能強化

魚礁設置事業

疾病対策とカワウ対策の推進

漁業者による環境保全活動などへの支援

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(3) 次世代の漁業を担う人・組織づくり

≪現状・課題≫

○ 漁業就業者については、長期減少傾向にあるとともに、高齢化も進行している中で、遠洋・

沖合の操業に必要な海技免許取得者の減少や、早期の離職などの問題も顕在化しており、次

世代を担う質の高い漁業就業者の確保、育成、定着に対する継続的な取組が必要となってい

ます。

○ 水産加工業や造船業等の水産関連産業の人手不足も深刻化していることから、これらの産業

の就業者確保に取り組む必要があります。

○ 地域を支える漁業の再生やそれによる地域の活性化のためには、地域の漁業の核となって他

の漁業者を牽引する漁業者や、漁協の経営力を強化することが必要です。

≪取組の方向≫

○ 漁業高等学園を核として本県水産業の更なる発展の基礎となる次世代を担う質の高い漁業就

業者の育成・確保を図るとともに、就業者の職場定着を促進するため、働きやすい職場づく

りを支援します。

○ 水産関連産業について、海外からの人材確保に向けた関連制度や、就業希望者と経営体をつな

ぐための求人に関する情報の収集や提供の強化を図ります。

○ 漁業士を中心とした漁業者の自主的な活動の促進や水産業制度資金の活用推進、漁協連携の促

進を通じて、地域の漁業の核となる漁業者の育成、漁協の経営力強化を図ります。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画成果指標

新規就業者数 (2016 年度) 78 ⼈

(毎年度) 75 ⼈以上

漁業⾼等学園卒業後の漁業就業者数

(2016 年度) 15 ⼈

(毎年度) 15 ⼈ ○ 活

動指標

新規漁業⼠の認定者数 (2017 年度) 7⼈

(毎年度) 4⼈

≪主な取組≫

① 質の高い漁業就業者の確保・育成・定着

・ 次世代を担う漁業就業者の確保に向け、全国唯一の高度漁業専門校である漁業高等学園の

入学者確保に向けた中高生に対する広報活動や社会人経験者向けの募集活動を強化すると

ともに、静岡県漁業就業者確保育成センターと関係機関との連携の強化を図ることにより、

効果的な雇用情報の収集・提供を行います。

・ 即戦力となる質の高い漁業就業者の育成に向け、漁業高等学園において、少人数、かつ、

実践重視の教育を継続的に実施し、漁業者に必要な各種資格の取得を促進します。

・ 漁業への就業希望者が、漁業高等学園での就学期間など、漁業収入を得られない期間の生

活をサポートするため、就職準備段階における資金を給付する次世代人材投資制度の利用

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180

を促進します。

・ 漁業就業者の定着率の向上を図るため、職場の環境改善の促進や就業者をサポートする体

制を充実させます。

・ 人材不足が深刻な中小の水産加工業や造船業の人材確保を支援するため、関係機関との連

携を強化して、各種の支援事業や外国人の雇用制度等についての積極的な情報収集、提供

に取り組みます。

質の高い漁業就業者の確保・育成・定着

2020(H32)2018(H30) 2021(H33)取組 2019(H31)

水産関連産業の人材確保を支援する各種事業等の情報収集、提供

漁業就業者確保育成センターによる漁業就業希望者の支援

漁業高等学園における後継者の養成

新規就業者数

年75人以上

卒業後の漁業就業者数 15人/年度

定着に向けた職場の環境改善の促進や就業者サポート体制の充実

② 漁業を営む経営体や漁協の経営力強化

・ 高い漁業技術と豊かな知識があり、漁村青年グループ等の中心で活動する漁業者や、先進

的経営者であるとともに後継者育成に指導的な役割を果たしている漁業者を、漁業士とし

て積極的に認定するとともに、漁業士会と定期的に協議を行い、その自主的な活動の促進

を図ります。

・ 経営体の発展に欠かせない多様性や新たな視点・発想を生み出す漁協女性部等の活動の支

援を通じて、水産業における女性の活躍を促進します。

・ 漁協の経営力強化のため、浜の活力再生プランや浜の活力再生広域プランにもとづく漁協

連携事業を推進するとともに、漁協合併を促進します。

・ 資本装備の高度化等に必要な資金を融資する漁業近代化資金や沿岸漁業改善資金などの水

産業制度資金の活用を促進するため、漁業者に直接PRする機会を積極的に設けるなど、

現場のニーズの的確な把握を図るとともに、利用案内パンフレットやホームページなどの

広報媒体を活用した周知を行います。

・ 不漁や自然災害等による損失を補償し、経営の安定に資する漁業共済制度の普及を推進す

るため、漁業共済組合が行う加入促進活動を支援するとともに、補償水準の向上を図る漁

業者の負担軽減策を講じます。

・ 地域の中核的組織である漁協の経営力強化等を図るため、県漁連などの関係団体と連携し、

経営の専門家を活用した経営の強化を図るとともに、経営不振漁協については経営改善計

画の着実な進捗を推進します。

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漁業を営む経営体や漁協の経営力強化

2021(H33)取組 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32)

新規漁業士の認定と漁業士会活動の支援

漁業士認定者数 年4人

漁協経営改善計画の促進

制度資金の活用促進と漁業共済制度の普及

漁協連携の推進

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(4) 水産資源の資源管理・資源増殖等を推進する先端的な研究開発の推進

≪現状・課題≫

○ 地球温暖化の進行等、漁場環境の急激な変化が進展していることから、水産資源の資源管理研

究の推進や漁海況予測の精度向上を図る必要があります。

○ 多くの重要魚種で天然資源の減少が著しいことを踏まえ、近年開発が進む新たな遺伝子解析技

術等を活用して、より効果的な水産資源の増殖技術を開発する必要があります。

≪取組の方向≫

○ 調査船や人工衛星などの先端技術やICTを活用し、関係研究機関とも連携して、環境や水産

資源の長期的な変化を高精度に把握・予測する研究に取り組みます。

○ 最新の遺伝子解析技術を活用した栽培漁業対象魚種の資源生態のより効果的な把握や、人工種

苗生産技術の開発を進めるとともに、海洋微生物等を活用した革新的な資源増殖技術の開発の

可能性を探ります。

≪数値目標≫

区分 指標名 現状値 ⽬標値 総合計画

⽔産物の⾼付加価値化に関する新たな技術開発件数【再掲】

(2014〜2017 年度)累計4 件

(2018〜2021 年度) 累計5 件

⽔産資源の資源管理に関する新たな技術開発件数【再掲】

(2014〜2017 年度)累計4 件

(2018〜2021 年度) 累計5 件

活動指標

⽔産物の⾼付加価値化実現件数 (6 次産業化商品の開発等)

(2016 年度) 3 件

(毎年度) 3件

≪主な取組≫

① 水産資源の資源管理・安定供給に資する技術開発

・ 資源管理研究を推進するため、卵や仔稚魚、海洋などの調査に基づき、他県や国等の水産

研究機関とも連携して、資源の現状を正確に把握する手法や、漁獲量をより正確に予測す

る手法の開発に取り組みます。

・ 調査船や人工衛星などの先端技術を活用した海洋環境研究を推進し、高精度な海況図を作

成・提供するとともに、沿岸から遠洋に至るカツオ等の漁場予測を目指します。

・ 的確な漁海況情報の把握やそれによる効率的な操業管理の推進に向けて、衛星情報や漁船

が保有する魚探データなどのビッグデータを、ICTにより有効活用するための研究開発

に取り組みます。

・ 調査取締船の代船建造を行い、効率的で高精度な調査を行う体制を整備します。

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水産資源の資源管理・安定供給に資する技術開発

2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)取組

調査取締船の代船建造

設計 建造

先端技術を活用した海洋環境研究の推進

資源管理研究の推進

沿岸魚種の資源量推定

沿岸域海況図の提供・高精度化

ICTを活用した漁況情報提供システムの構築、運用

② 先端的な資源増殖技術の開発

・ 効率的な資源増殖を推進するため、放流効果を高める技術の改善・開発を目的に、栽培漁

業対象魚種の資源生態などの基礎研究を、遺伝子解析技術などを用いて進め、その成果を

普及します。

・ キンメダイの資源増殖に資するため、人工種苗生産技術の開発と深層水などを活用した陸

上水槽での蓄養技術の開発を進めます。

・ 海洋微生物等を活用した飼料や飼育環境制御技術などの開発による革新的な資源増殖の可

能性を探ります。

2019(H31) 2020(H32) 2021(H33)

先端的な資源増殖技術の開発

取組 2018(H30)

資源生態研究の推進

キンメダイの人工種苗生産・蓄養技術開発

海洋微生物等を活用した飼料や飼育環境制御技術などの開発可能性の研究

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静岡県経済産業ビジョン2018~2021 数値目標一覧

就業支援編基本方向 活躍しやすい環境の整備と働き方改革

(1)県内産業の成長を担う人材の確保区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

県内出⾝⼤学⽣のUターン就職率

調査対象の県外⼤学(全国約350⼤学)における全就職者数のうち、県内企業に就職した県内出⾝の学⽣の割合(県雇⽤推進課調査)

(2016年度)39.1%

(2021年度)43.0%

障害者雇⽤率

⺠間企業において雇⽤されている障害者の割合(静岡労働局「障害者雇⽤状況報告集計結果」(6⽉1⽇時点))

(2017年度)1.97%

(2021年度)2.30%

静岡U・Ⅰターン就職サポートセンター新規登録者数(学⽣)

静岡U・Iターン就職サポートセンターを利⽤するために新規登録した学⽣の⼈数(県雇⽤推進課調査)

(2016年度)1,136⼈

(2021年度)1,800⼈

⼤学等との就職⽀援協定締結数

学⽣の県内での就職活動⽀援について、相互に連携・協⼒して取り組むために就職⽀援協定を締結した⼤学や短期⼤学などの数(県雇⽤推進課調査)

(2016年度)15校

(2021年度)30校

静岡U・Ⅰターン就職サポートセンター新規登録者数(社会⼈)

静岡U・Iターン就職サポートセンターを利⽤するために新規登録した社会⼈の⼈数(県雇⽤推進課調査)

(2016年度)196⼈

(2021年度)300⼈

ハローワークにおける65歳以上の⾼齢者の就職者数

ハローワークを通じて就職した65歳以上の⾼齢者の就職者数(静岡労働局「⾼齢者の雇⽤状況集計結果」)

(2016年度)2,954⼈

(2021年度)4,000⼈

障害者雇⽤推進コーディネーター⽀援による就職者数

障害者雇⽤推進コーディネーターの⽀援により就職した障害者の就職者数(県雇⽤推進課調査)

(2016年度)398⼈

(2021年度)500⼈

(2)高度な知識と技術を持つ人材の育成区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

成果指標

技術専⾨校修了⽣の就職率県⽴技術専⾨校の若年者コースを修了した者のうち就職希望者が就職した割合(県職業能⼒開発課調査)

(2016年度)100%

(2021年度)100%

県⽴技術専⾨校の在職者訓練受講者数

県⽴技術専⾨校において、在職者を対象に実施した職業訓練の受講者数(県職業能⼒開発課調査)

(2016年度)2,331⼈

(2021年度)3,400⼈

WAZAチャレンジ教室参加者数技能⼠がものづくり体験を指導する「WAZAチャレンジ教室」の参加者数(県職業能⼒開発課調査)

(2013〜2016年度)累計9,073⼈

(2018〜2021年度)累計9,600⼈

成果指標

活動指標

活動指標

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(3)誰もがいきいきと働ける環境づくり区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

⼀般労働者の年間総実労働時間⼀般労働者の年間総実労働時間(事業所規模5⼈以上)(厚⽣労働省「毎⽉勤労統計調査」)

(2016年)2,063時間

(2021年)2,033時間以下

障害者雇⽤率【再掲】

⺠間企業において雇⽤されている障害者の割合(静岡労働局「障害者雇⽤状況報告集計結果」(6⽉1⽇時点))

(2017年度)1.97%

(2021年度)2.30%

仕事と⼦育て(介護)の両⽴⽀援・職場環境づくりに取り組んでいる企業の割合

「職場環境づくりアンケート」において、「仕事と⼦育て(介護)の両⽴⽀援」と「職場環境づくり」の両⽅に取り組んでいると回答した企業の割合(県労働政策課調査)

(2017年度)76.6%

(2021年度)90%

⼥性役職者育成セミナー受講者数⼥性役職候補者を対象に実施する「⼥性役職者育成セミナー」の受講者数(県労働政策課調査)

(2017年度)104⼈

(2021年度)120⼈

ハローワークにおける65歳以上の⾼齢者の就職者数【再掲】

ハローワークを通じて就職した65歳以上の⾼齢者の就職者数(静岡労働局「⾼齢者の雇⽤状況集計結果」)

(2016年度)2,954⼈

(2021年度)4,000⼈

障害者雇⽤推進コーディネーター⽀援による就職者数【再掲】

障害者雇⽤推進コーディネーターの⽀援により就職した障害者の就職者数(県雇⽤推進課調査)

(2016年度)398⼈

(2021年度)500⼈

県⽴技術専⾨校の定住外国⼈向け職業訓練受講者数

県⽴技術専⾨校において、定住外国⼈を対象に実施した職業訓練の受講者数(県職業能⼒開発課調査)

(2016年度)17⼈

(2021年度)100⼈

労働時間の縮減・年次有給休暇の取得促進に取り組んでいる企業の割合

「職場環境づくりアンケート」において、「労働時間の縮減」と「年次有給休暇の取得促進」の両⽅に取り組んでいると回答した企業の割合(県労働政策課調査)

(2017年度)78.4%

(2021年度)90%

労働法セミナー受講者数労使・⼀般県⺠を対象に実施する「労働法セミナー」の受講者数(県労働政策課調査)

(2017年度)445⼈

(2021年度)450⼈

(4)郷土を担う子どもの「生きる道」としての仕事を学ぶ環境づくり区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

活動指標

WAZAチャレンジ教室参加者数【再掲】

技能⼠がものづくり体験を指導する「WAZAチャレンジ教室」の参加者数(県職業能⼒開発課調査)

(2013〜2016年度)累計9,073⼈

(2018〜2021年度)累計9,600⼈

活動指標

成果指標

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静岡県経済産業ビジョン2018~2021 数値目標一覧

産業革新編基本方向1 静岡県産業成長戦略の推進

(1)地域企業の事業活動の活発化区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

オープンイノベーション静岡の⽀援による中堅・中⼩企業等の新たな製品開発・販路開拓等件数

オープンイノベーション静岡の⽀援が寄与した、中堅・中⼩企業等が新たに⾏った製品開発や販路開拓、マッチングなどの件数(県産業成⻑戦略推進課調査)

―(2018〜2021年度)

累計40件○

中⼩企業の経営⾰新計画承認件数中⼩企業の経営⾰新計画の承認件数(県経営⽀援課調査)

(2013〜2016年度)累計1,713件

(2018〜2021年度)累計1,720件

オープンイノベーション静岡による中堅・中⼩企業等⽀援件数

アドバイザリー・ボードでの助⾔や専⽤Webサイトへの製品掲載など、オープンイノベーション静岡が実施した中堅・中⼩企業等への延べ⽀援件数(県産業成⻑戦略推進課調査)

(2016年度)38件

(2021年度)70件

地域経済牽引事業計画の承認件数

地域未来投資促進法に基づき、事業者が策定し、県が承認した地域経済牽引事業の事業計画の件数(県経済産業部政策監調査)

―(2018〜2021年度)

累計36件○

基本方向2 ふじのくにマーケティング戦略の推進

(1)市場と生産が結びついた「ふじのくにマーケティング戦略」の推進区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

県の海外市場開拓⽀援による県産農林⽔産物の新規輸出成約件数

海外市場において県が販路開拓⽀援の取組を⾏った輸出案件のうち、新規に成約に⾄った件数(県マーケティング課調査)

(2013〜2016年度)累計302件

(2018〜2021年度)累計360件

農業⽣産関連事業の年間販売⾦額

農業経営体または農協等による農産物の加⼯、農産物直売所、農家レストラン、農業経営体による観光農園・農家⺠宿の各年間販売⾦額の合計(農林⽔産省「6次産業化総合調査(農業)」)

(2015年度)1,062億円

(毎年度)1,100億円

輸出商談会・⾒本市等参加事業者数

県が⽀援する商談会・⾒本市等に参加した延べ事業者数(県マーケティング課調査)

(2013〜2016年度)累計504事業者

(2018〜2021年度)累計550事業者

⾸都圏における富⼠⼭しずおかマルシェでの県産品販売額

⾸都圏スーパーで県が主催した「富⼠⼭しずおかマルシェ」における県産農林⽔産物の販売額(県マーケティング課調査)

(2016年度)800万円

(2021年度)5,000万円

6次産業化等新規取組件数

6次産業化サポートセンターの⽀援で開発された商品数、六次産業化法等に基づく事業認定・承認数、農商⼯連携基⾦事業助成数、フーズ・サイエンスヒルズプロジェクト製品化数(県マーケティング課調査)

(2013〜2016年度)累計608件

(2018〜2021年度)累計640件

成果指標

活動指標

成果指標

活動指標

187

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基本方向3 静岡県の試験研究機関に係る基本戦略の推進

(1)本県産業の成長に貢献する「研究開発」区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

新成⻑戦略研究の成果の新たな実⽤化件数

新成⻑戦略研究の成果のうち、県試験研究機関外部評価委員会において、地域企業や⽣産者等で実⽤化されたと判断された件数(県研究開発課調査)

(2016年度)7件

(毎年度)8件

農林技術研究所におけるオープンイノベーションを活⽤した研究開発⽀援件数

⼤学や国の研究機関企業等と連携し、研究シーズと企業ニーズをマッチングして農林業者等に向けた技術の研究開発を⽀援した件数(県研究開発課調査)

(2016年度)0件

(2021年度)15件

研究成果の実⽤化件数(農林、畜産及び⼯業技術研究所の合計)

⼀般研究や共同、受託研究の成果のうち、地域企業や⽣産者等で実⽤化された件数(県研究開発課調査)

(2016年度)6件

(2018〜2021年度)累計33件

⼯業技術研究所における共同研究課題数

地域企業の技術等の研究開発を⽀援するために⾏う共同研究課題数(県研究開発課調査)

(2016年度)15件

(2021年度)16件

(2)中小企業や農林水産業の「競争力強化」のための「技術支援」区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

⼯業技術研究所の技術指導件数⼯業技術研究所が中⼩企業、⼩規模地域企業等に対して⾏った技術指導件数(県研究開発課調査)

(2016年度)28,027件

(2021年度)30,000件

⽔産物の⾼付加価値化に関する新たな技術開発件数

⽔産物の利⽤加⼯において、品質の⾼度化、独⾃の加⼯技術等の開発件数(県研究開発課調査)

(2014〜2017年度)累計4件

(2018〜2021年度)累計5件

(3)「安全」で「安心」な県民生活を着実に実現するための「調査研究」区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

活動指標

⽔産資源の資源管理に資関する新たな技術開発件数

⽔産資源の維持、回復を図るための増養殖研究による技術開発件数(県研究開発課調査)

(2014〜2017年度)累計4件

(2018〜2021年度)累計5件

活動指標

活動指標

188

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基本方向4 ふじのくにエネルギー総合戦略の推進

(1)地域資源の活用による多様な分散型エネルギーの導入拡大区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

地産エネルギー導⼊率

県内の最終エネルギー消費量に対する地産エネルギー(県内で⽣産された再⽣可能エネルギーや⼩規模⽕⼒発電など)の導⼊量の割合(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)16%

(2021年度)23%

地産エネルギーによるエネルギー⾃⽴化率

県内の⼆次エネルギー(電気、熱・蒸気)消費量に対する地産エネルギー導⼊量の割合(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)45%

(2021年度)52%

新エネルギー等導⼊量

県内の新エネルギー(太陽光や⾵⼒、バイオマスなどの10種類の発電と、熱利⽤エネルギー)等の導⼊量(天然ガスコージェネレーションを含む)の合計の原油換算(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)105.1万kℓ

(2021年度)159.1万kℓ

エネルギー消費効率(2012年度=100)

経済活動における省エネルギー化の状況を⽰す指標であり、2012年度の県内GDP当たりの県内エネルギー消費量(最終エネルギー消費量/GDP)を100としたときの各年度の数値(県エネルギー政策課調査)

(2014年度)95

(2021年度)85

太陽光発電の導⼊量県内の太陽光発電の導⼊量(経済産業省資源エネルギー庁公表資料)

(2016年度)152.0万kW

(2021年度)210万kW

太陽熱利⽤の導⼊量県内の太陽熱利⽤設備の導⼊量の原油換算(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)7.1万㎘

(2021年度)10.0万㎘

⾵⼒発電の導⼊量県内の⾵⼒発電の導⼊量(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)17.7万kW

(2021年度)20.0万kW

バイオマス(発電)の導⼊量県内のバイオマス発電の導⼊量(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)4.0万kW

(2021年度)6.0万kW

バイオマス(熱利⽤)の導⼊量県内のバイオマス熱利⽤設備の導⼊量の原油換算(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)5.4万㎘

(2021年度)6.0万㎘

中⼩⽔⼒発電の導⼊量県内の中⼩⽔⼒発電の導⼊量(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)1.2万kW

(2021年度)1.9万kW

温泉熱発電の導⼊量県内の温泉熱発電の導⼊量(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)3kW

(2021年度)400kW

天然ガスコージェネレーションの導⼊量

県内のガスコージェネレーションの導⼊量(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)49.0万kW

(2021年度)85万kW

⽔素ステーションの設置数県内の⽔素ステーションの設置数(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)2基

(2021年度)7基

成果指標

活動指標

189

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(2)建築物の省エネ、ライフスタイル・ビジネススタイルの変革区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

成果指標

エネルギー消費効率(2012年度=100)【再掲】

経済活動における省エネルギー化の状況を⽰す指標であり、2012年度の県内GDP当たりの県内エネルギー消費量(最終エネルギー消費量/GDP)を100としたときの各年度の数値(県エネルギー政策課調査)

(2014年度)95

(2021年度)85

省エネ診断の実施回数県が実施する事業所向け無料省エネ診断の実施回数(県環境政策課調査)

(2013〜2016年度)平均62回

(毎年度)65回

電気⾃動⾞⽤充電器設置数県内の電気⾃動⾞⽤充電器の設置数(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)907基

(2021年度)1,829基

(3)エネルギー産業の振興区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

地産エネルギー導⼊率【再掲】

県内の最終エネルギー消費量に対する地産エネルギー(県内で⽣産された再⽣可能エネルギーや⼩規模⽕⼒発電など)の導⼊量の割合(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)16%

(2021年度)23%

新エネルギー等導⼊量【再掲】

県内の新エネルギー(太陽光や⾵⼒、バイオマスなどの10種類の発電と、熱利⽤エネルギー)等の導⼊量(天然ガスコージェネレーションを含む)の合計の原油換算(県エネルギー政策課調査)

(2016年度)105.1万㎘

(2021年度)159.1万㎘

エネルギー消費効率(2012年度=100)【再掲】

経済活動における省エネルギー化の状況を⽰す指標であり、2012年度の県内GDP当たりの県内エネルギー消費量(最終エネルギー消費量/GDP)を100としたときの各年度の数値(県エネルギー政策課調査)

(2014年度)95

(2021年度)85

静岡版メタン発酵プラント導⼊か所数

事業所における静岡版メタン発酵プラント(⼩型メタン発酵プラント)の導⼊か所数(⼩型メタン発酵プラント事業化推進協議会公表資料)

(2016年度まで)0か所

(2021年度)3か所

エネルギー関連機器・部品の製品化数

産官学による(仮称)エネルギー産業創出協議会の⽀援により製品化した、エネルギー関連の機器・部品の製品化件数((仮称)エネルギー産業創出協議会公表資料)

-(2021年度)

6件○

活動指標

成果指標

活動指標

190

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静岡県経済産業ビジョン2018~2021 数値目標一覧

商工業編基本方向1 次世代産業の創出と展開

(1)静岡新産業集積クラスターの推進区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

製造業の従業者1⼈当たり付加価値額

従業者4⼈以上の製造業事業所の従業者1⼈当たりの付加価値額(従業者4〜29⼈の事業所は粗付加価値額)(経済産業省「⼯業統計調査」)

(2015年度)1,459万円

(2021年度)1,517万円

静岡新産業集積クラスター事業化件数

(2013〜2016年度)累計196件

(2018〜2021年度)累計226件

(うちファルマバレープロジェクト事業化件数)

(累計33件) (累計42件)

(うちフーズ・サイエンスヒルズプロジェクト事業化件数)

(累計119件) (累計120件)

(うちフォトンバレープロジェクト事業化件数)

(累計44件) (累計64件)

静岡新産業集積クラスターによる試作品開発⽀援件数

(2013〜2016年度)累計254件

(2018〜2021年度)累計279件

(うちファルマバレープロジェクトによる試作品開発⽀援件数)

(累計25件) (累計44件)

(うちフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトによる試作品開発⽀援件数)

(累計148件) (累計150件)

(うちフォトンバレープロジェクトによる試作品開発⽀援件数)

(累計81件) (累計85件)

静岡新産業集積クラスターによる⾼度産業⼈材育成数

(2013〜2016年度)累計384⼈

(2018〜2021年度)累計412⼈

(うちファルマバレープロジェクトによる⾼度産業⼈材の育成数)

(累計151⼈) (累計172⼈)

(うちフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトによる⾼度産業⼈材の育成数)

(累計98⼈) (累計104⼈)

(うちフォトンバレープロジェクトによる⾼度産業⼈材の育成数)

(累計135⼈) (累計136⼈)

ファルマバレー、フーズ・サイエンスヒルズ、フォトンバレーの各プロジェクトの推進機関が実施した試作品開発⽀援件数(県新産業集積課調査)

ファルマバレー、フーズ・サイエンスヒルズ、フォトンバレーの各プロジェクトの推進機関が実施する各種⼈材育成・養成講座の受講者数(県新産業集積課調査)

ファルマバレー、フーズ・サイエンスヒルズ、フォトンバレーの各プロジェクトにおける事業化件数(県新産業集積課調査)

成果指標

活動指標

191

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(2)新たな成長産業の育成区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

新成⻑分野の経営⾰新計画新規承認件数

新成⻑分野(環境、医療・福祉、ロボット、航空宇宙等)の経営⾰新計画の新規承認件数(県新産業集積課調査)

(2013〜2016年度)累計436件

(2018〜2021年度)累計440件

試作・実証試験助成制度等を活⽤した成⻑分野における製品化件数

県が実施する試作・実証実験助成制度や事業化推進助成制度などを活⽤した成⻑分野(環境、医療・福祉、ロボット、航空宇宙等)における製品化件数(県新産業集積課調査)

(2013〜2016年度)累計37件

(2018〜2021年度)累計40件

市町創業⽀援事業計画による⽀援を受けた創業者数

市町創業⽀援事業計画に基づき創業⽀援事業の⽀援を受けて創業した者の数(県商⼯振興課調査)

(2016年度)1,304⼈

(2021年度)1,555⼈

ヘルスケアサービス事業化件数ヘルスケア産業の新商品・新サービスの新規事業化開始件数、既存事業拡⼤件数(県商⼯振興課調査)

(2015〜2016年度)累計2件

(2018〜2021年度)累計8件

コーディネータ(CNF、航空宇宙等)の企業訪問件数

CNF、航空宇宙、次世代⾃動⾞コーディネータが実施した企業訪問件数(県商⼯振興課、新産業集積課調査)

(2014〜2016年度)平均252社

(毎年度)260社

新成⻑戦略研究の成果の新たな実⽤化件数【再掲】

新成⻑戦略研究の成果のうち、県試験研究機関外部評価委員会において、地域企業や⽣産者等で実⽤化されたと判断された件数(県研究開発課調査)

(2016年度)7件

(毎年度)8件

創業⽀援事業計画認定市町数

⺠間事業者と連携して策定する創業⽀援事業計画について、国から認定を受けた市町数(県商⼯振興課調査)

(2016年度)21市町

(2021年度)全市町(35市町)

静岡県ヘルスケア産業振興協議会の会員数

健康寿命延伸産業を創出することを⽬的に設置した「静岡県ヘルスケア産業振興協議会」の会員数(企業、⼤学、⾦融機関、市町等)(県商⼯振興課調査)

(2016年度まで)累計224社・団体

(2021年度まで)累計240社・団体

次世代産業創出に係る県制度融資等利⽤件数

中⼩企業向け県制度融資のうち、特別政策資⾦(開業パワーアップ資⾦と事業承継資⾦を除く)と、中堅・⼤企業向け産業成⻑促進資⾦の利⽤件数(県商⼯⾦融課調査)

(2016年度)326件

(2021年度)400件

特許流通アドバイザーによる知的財産の活⽤マッチング件数

特許流通アドバイザーによる、特許や商標などの知的財産の実施許諾者と実施権者との引き合わせ件数(県新産業集積課調査)

(2013〜2016年度)平均48件

(毎年度)50件

成果指標

活動指標

192

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(3)企業誘致・定着の推進や海外市場の取り込みによる企業の活性化区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

企業⽴地件数(製造業等の⼯場)

⼯場等を建設する⽬的で、1,000㎡以上の⽤地を取得した製造業等の企業の年間⽴地件数(経済産業省「⼯場⽴地動向調査」)

(2013〜2016年)累計232件

(2018〜2021年)累計260件

県外に本社を置く企業の⽴地件数(製造業等の⼯場)

⼯場等を建設する⽬的で、1,000㎡以上の⽤地を取得した、県外に本社を置く製造業等の企業の年間⽴地件数(経済産業省「⼯場⽴地動向調査」)

(2013〜2016年)累計41件

(2018〜2021年)累計48件

県外に本社を置く企業の県内への初進出件数(製造業等の⼯場)

⼯場等を建設する⽬的で、1,000㎡以上の⽤地を取得した、県外に本社を置く製造業等の企業の年間⽴地件数のうち、初めて県内へ進出した件数(県企業⽴地推進課調査)

(2013〜2016年)累計11件

(2018〜2021年)累計16件

県内本社企業の新規海外展開事業所数

県内本社企業が新規に海外展開した事業所数(県企業⽴地推進課調査)

(2013〜2016年度)累計184事業所

(2018〜2021年度)累計200事業所

県職員の企業誘致等に関する企業訪問件数

企業誘致・定着活動として実施した県職員による企業訪問件数(県企業⽴地推進課調査)

(2016年度)1,940件

(2021年度)2,000件

企業⽴地交渉件数(3か⽉以上継続して交渉した件数)

企業誘致・定着活動において、3か⽉以上継続して交渉している有望な企業⽴地案件の件数(県企業⽴地推進課調査)

(2015〜2016年度)平均62件

(2021年度)70件

海外展開⽀援事業利⽤件数

企業の海外展開を⽀援する「海外ビジネス⽀援事業」、「海外展開コンサルティング事業」、「海外派遣⼈材育成事業」の利⽤件数(県企業⽴地推進課調査)

(2013〜2016年度)累計805件

(2018〜2021年度)累計880件

海外経済ミッション受⼊れ件数県企業⽴地推進課で対応した海外経済ミッション(訪問団)の受⼊れ件数(県企業⽴地推進課調査)

(2013〜2016年度)累計51件

(2018〜2021年度)累計60件

基本方向2 富を支える地域産業の振興

(1)地域経済を牽引する企業の成長促進区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

成果指標

オープンイノベーション静岡の⽀援による中堅・中⼩企業等の新たな製品開発・販路開拓等件数【再掲】

オープンイノベーション静岡の⽀援が寄与した、中堅・中⼩企業等が新たに⾏った製品開発や販路開拓、マッチングなどの件数(県産業成⻑戦略推進課調査)

―(2018〜2021年度)

累計40件○

オープンイノベーション静岡による中堅・中⼩企業等⽀援件数【再掲】

アドバイザリー・ボードでの助⾔や専⽤Webサイトへの製品掲載など、オープンイノベーション静岡が実施した中堅・中⼩企業等への延べ⽀援件数(県産業成⻑戦略推進課調査)

(2016年度)38件

(2021年度)70件

地域経済牽引事業計画の承認件数【再掲】

地域未来投資促進法に基づき、事業者が策定し、県が承認した地域経済牽引事業の事業計画の件数(県経済産業部政策監調査)

―(2018〜2021年度)

累計36件○

成果指標

活動指標

活動指標

193

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(2)中小企業の経営力向上と経営基盤強化区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

中⼩企業の経営⾰新計画承認件数【再掲】

中⼩企業の経営⾰新計画の承認件数(県経営⽀援課調査)

(2013〜2016年度)累計1,713件

(2018〜2021年度)累計1,720件

主要な地場産業の全国シェア主要な地場産業(繊維、家具、紙・パルプ)の製造品出荷額の全国シェア率(経済産業省「⼯業統計調査」)

(2015 年)繊維 2.6 %家具 4.3%

紙・パルプ 11.2%

(2021年)繊維 3.0%家具 5.0%

紙・パルプ 12.0%

市町創業⽀援事業計画による⽀援を受けた創業者数【再掲】

市町創業⽀援事業計画に基づき創業⽀援事業の⽀援を受けて創業した者の数(県商⼯振興課調査)

(2016年度)1,304⼈

(2021年度)1,555⼈

新事業展開を⽬指す中⼩企業等の相談対応件数

県中⼩企業⽀援センター((公財)静岡県産業振興財団)と地域中⼩企業⽀援センター(商⼯会議所等)が⾏った、中⼩企業、⼩規模地域企業等の新事業展開に係る相談対応件数(県経営⽀援課調査)

(2016年度)3,464件

(2021年度)3,600件

事業協同組合の設置件数事業協同組合、企業組合、商店街振興組合などの設⽴件数(県経営⽀援課調査)

(2013〜2016年度)累計86件

(2018〜2021年度)累計90件

経営⾰新計画作成を⽀援した経営指導員の割合

経営⾰新計画の作成を⽀援した商⼯会・商⼯会議所の経営指導員の割合(県経営⽀援課調査)

(2016年度まで)58%

(2021年度まで)100%

⼯業技術研究所の技術指導件数【再掲】

⼯業技術研究所が中⼩企業、⼩規模地域企業等に対して⾏った技術指導件数(県研究開発課調査)

(2016年度)28,027件

(2021年度)30,000件

県の取引あっせんによる下請取引成約件数

(公財)静岡県産業振興財団に受発注の申出があった下請取引案件のうち、実際に成⽴した契約件数と商談会で成⽴した契約件数の合計(県地域産業課調査)

(2016年度)64件

(2021年度)70件

デザインマッチング事業への主要な地場産業の参加件数

デザインマッチング事業への主要な地場産業の参加件数(県地域産業課調査)

(2017年度)3件

(2018〜2021年度)累計15件

創業⽀援事業計画認定市町数【再掲】

⺠間事業者と連携して策定する創業⽀援事業計画について、国から認定を受けた市町数(県商⼯振興課調査)

(2016年度)21市町

(2021年度)全市町(35市町)

静岡県IoT活⽤研究会の会員数

IoT活⽤に関する情報提供や意⾒交換、交流の場として設置した「静岡県IoT活⽤研究会」の会員数(全業種)(県経営⽀援課調査)

(2016年度まで)累計188件

(2021年度まで)累計280件

事業承継診断実施件数県が中⼩企業に対して実施した事業承継診断の件数(県経営⽀援課調査)

(2016年度)-

(2021年度)3,000件

中⼩企業向け県制度融資(事業資⾦等)利⽤件数

中⼩企業向け県制度融資のうち、事業資⾦と特別政策資⾦(開業パワーアップ資⾦・事業承継資⾦)の利⽤件数(県商⼯⾦融課調査)

(2016年度)4,557件

(2021年度)5,000件

成果指標

活動指標

194

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県内の従業者50⼈以上の企業における事業継続計画(BCP)策定率

県内の従業者50⼈以上の製造業を中⼼とした事業所のうち、事業継続計画(BCP)を策定した事業所の割合(県商⼯振興課調査)

(2015年度)49%

(2021年度)65%

県内の従業者49⼈以下の企業における事業継続計画(BCP)策定率

県内の従業者49⼈以下の製造業を中⼼とした事業所のうち、事業継続計画(BCP)を策定した事業所の割合(県商⼯振興課調査)

(2015年度)27%

(2021年度)35%

静岡県BCP研究会会員企業・団体数

静岡県BCP研究会の加⼊会員数(県商⼯振興課調査)

(2016年度まで)累計219社・団体

(2021年度まで)累計244社・団体

(3)地域を支える魅力ある商業とサービス産業の振興区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

⼩売業(⼩規模事業所)の年間商品販売額(消費者⼀⼈当たり購⼊額)

⼩売業(⼩規模事業所)における消費⼈⼝(15〜64才)1⼈当たりの年間商品購⼊額(経済産業省「商業統計調査」及び県統計調査課「静岡県年齢別⼈⼝推計」)

(2014年度)228千円

(2021年度)250千円

県内デザイン業務の年間売上⾼県内のデザイン業の年間売上⾼(経済産業省「特定サービス産業実態調査」)

(2015年度)5,254百万円

(2021年度)7,000百万円

ヘルスケアサービス事業化件数【再掲】

ヘルスケア産業の新商品・新サービスの新規事業化開始件数、既存事業拡⼤件数(県商⼯振興課調査)

(2015〜2016年度)累計2件

(2018〜2021年度)累計8件

ふじのくに魅⼒ある個店WEBサイト閲覧回数

ふじのくに魅⼒ある個店WEBサイトの1か⽉当たりの閲覧回数(県地域産業課調査)

(2016年度)23,791回/⽉

(2021年度)50,000回/⽉

商業エリア活性化のためのセミナー及び研修会の参加市町数

商業エリア活性化のためのセミナー及び研修会の政令市を除く市町からの参加数(県地域産業課調査)

-(2021年度)

33市町(政令市を除く全市町)

デザイン相談窓⼝の相談対応件数

県のデザイン相談窓⼝(⼯業技術研究所・地域産業課)に寄せられた企業等からのデザインに関する相談対応件数(県地域産業課調査)

(2016年度)1,749件

(2021年度)2,000件

グッドデザインの応募製品等に県内デザイナーが関わった件数

「グッドデザインしずおか」に応募のあった製品等に、県内デザイナーが関わった件数(県地域産業課調査)

(2017年度)14件

(2021年度)20件

静岡県ヘルスケア産業振興協議会の会員数【再掲】

健康寿命延伸産業を創出することを⽬的に設置した「静岡県ヘルスケア産業振興協議会」の会員数(企業、⼤学、⾦融機関、市町等)(県商⼯振興課調査)

(2016年度まで)累計224社・団体

(2021年度まで)累計240社・団体

成果指標

活動指標

活動指標

195

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静岡県経済産業ビジョン2018~2021 数値目標一覧

農業・農村編基本方向1 AOI(アグリオープンイノベーション)プロジェクトの推進

(1)AOI(アグリオープンイノベーション)プロジェクトの推進区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

成果指標

AOIプロジェクト事業化件数

農業の⽣産性向上や関連産業のビジネス展開に向けた研究開発など、⺠間事業者等が主体となって実施するAOI(アグリオープンイノベーション)プロジェクトの事業化件数(県農業戦略課調査)

-(2018〜2021年度)

累計22件○

AOIフォーラム参画会員数

農業の⽣産性向上や関連産業のビジネス展開を促進するオープンイノベーションの「場」となるAOIフォーラムの参画会員数(法⼈・個⼈)(県農業戦略課調査)

-(2021年度)

200会員○

AI学習⽀援システム導⼊産地数栽培管理の⾼度化と技術継承の促進を図るAI学習⽀援システムが導⼊された産地数(県農芸振興課調査)

(2015年度)2産地(2021年度)

6産地

農業⽤ロボットの開発に係るマッチング件数

農業者等のニーズと製造業者のシーズをマッチングして、農業ロボット開発の事業化に着⼿した件数(県農業戦略課調査)

-(2021年度まで)

累計25件

基本方向2 多様な人々が活躍する世界水準の農芸品の生産力強化

(1)多彩な農芸品の生産拡大区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

農業産出額(2016年)2,266億円

(2021年)2,400億円

(販売農家1⼾当たり) (753万円/⼾) (953万円/⼾)

担い⼿への農地集積⾯積

担い⼿(認定農業者、認定新規就農者、基本構想⽔準到達者等)の利⽤集積(⾃⼰所有地、借⼊地、特定農作業住宅地)⾯積(農林⽔産省「担い⼿の農地利⽤集積状況調査」)

(2016年度)28,404ha

(2021年度)37,300ha

活動指標

成果指標

農業⽣産活動による最終⽣産物の総産出額(販売農家(経営耕地⾯積が30a以上または農産物販売⾦額が50万円以上の規模の農業を⾏う世帯)1⼾当たりの産出額)(農林⽔産省「⽣産農業所得統計」)

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⽔⽥における野菜作付⾯積⽔⽥における野菜の作付⾯積(農林⽔産省「農作物作付(栽培)延べ⾯積及び耕地利⽤率」)

(2015年度)2,080ha

(2021年度)2,300ha

全茶園に占める茶のビジネス経営体等が経営する茶園⾯積の割合

県の茶園⾯積のうち、茶のビジネス経営体及び候補経営体が経営する茶園⾯積の割合(県お茶振興課調査)

(2015年度)29%

(5,166ha/17,800ha)

(2021年度)39%

(6,276ha/16,300ha)

⾼度環境制御を導⼊した園芸施設整備

施設作物の⽣産性を⾼めるため、県が強い農業づくり交付⾦、産地パワーアップ事業、次世代施設園芸地域展開促進事業等により整備を⽀援した園芸施設の⾯積(県農芸振興課調査)

(2015年度)27ha

(2021年度)50ha

畜産クラスター事業等による⽣産施設整備件数

「畜産クラスター」の取組を推進するため、県が畜産クラスター事業や強い農業づくり交付⾦により整備を⽀援した⽣産施設や機械の件数(県畜産振興課調査)

(2017年度まで)累計4件

(2021年度)累計23件

GAP認証取得農場数

GLOBALG.A.P.、ASIAGAP、JGAP、しずおか農林⽔産物認証制度の認証を取得した農場数(重複除く)(県地域農業課調査)

(2016年度)3,207農場

(2021年度)4,500農場

(2)次代を担う農業経営体の育成区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

成果指標

ビジネス経営体販売額ビジネス経営体の1年間の農業及び農業関連事業販売額(県農業ビジネス課調査)

(2016年度)821億円

(2021年度)1,200億円

農業法⼈数農業・農業関連事業を経営する法⼈数(県農業ビジネス課調査)

(2016年度)788法⼈

(2021年度)1,000法⼈

新規農業就業者数

1年間に新たに農業経営を開始する者(⾃営就農、企業参⼊)及び農業経営に従事する者(雇⽤就農)の合計⼈数(県農業ビジネス課調査)

(2016年度)334⼈/年

(2021年度)340⼈/年

農業経営に参加する⼥性の⽐率認定農業者及び認定新規就農者のうち、⼥性及び夫婦で共同申請をしている者の割合(県農業ビジネス課調査)

(2016年度)4.7%

(2021年度)7.0%

活動指標

活動指標

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(3)農業の競争力強化と持続性を確保する基盤整備区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

成果指標

農地⾼度利⽤化⾯積

農業⽣産基盤の強化や農業⽔利施設の戦略的更新など、農地の⾼度利⽤化を促進する整備を実施した、あるいは実施している農地⾯積(県農地計画課調査)

(2016年度)8,249ha

(2021年度)13,000ha

⾼収益・低コスト化を可能とする農地基盤整備⾯積

野菜などの⾼収益作物導⼊による⾼収益化や⼤型農業機械導⼊等による低コスト化を可能とするため、県が基盤整備を実施した農地⾯積(県農地整備課調査)

(2016年度まで)累計2,443ha

(2021年度)累計3,700ha

基幹農業⽔利施設更新整備数

農業⽤⽔を安定供給するため、県が更新等が必要と判断した基幹農業⽔利施設のうち、更新・機能向上を図る整備に着⼿した施設数(県農地整備課調査)

-(2021年度)累計40施設

(4)市場と生産が結びついた「ふじのくにマーケティング戦略」の推進区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

県の海外市場開拓⽀援による県産農林⽔産物新規輸出成約件数【再掲】

海外市場において県が販路開拓⽀援の取組を⾏った輸出案件のうち、新規に成約に⾄った件数(県マーケティング課調査)

(2013〜2016年度)累計302件

(2018〜2021年度)累計360件

農業⽣産関連事業の年間販売⾦額【再掲】

農業経営体または農協等による農産物の加⼯、農産物直売所、農家レストラン、農業経営体による観光農園・農家⺠宿の各年間販売⾦額の合計(農林⽔産省「6次産業化総合調査(農業)」)

(2015年度)1,062億円

(毎年度)1,100億円

輸出商談会・⾒本市等参加事業者数【再掲】

県が⽀援する商談会・⾒本市等に参加した延べ事業者数(県マーケティング課調査)

(2013〜2016年度)累計504事業者

(2018〜2021年度)累計550事業者

⾸都圏における富⼠⼭しずおかマルシェでの県産品販売額【再掲】

⾸都圏スーパーで県が主催した「富⼠⼭しずおかマルシェ」における県産農林⽔産物の販売額(県マーケティング課調査)

(2016年度)800万円

(2021年度)5,000万円

6次産業化等新規取組件数【再掲】

6次産業化サポートセンターの⽀援で開発された商品数、六次産業化法等に基づく事業認定・承認数、農商⼯連携基⾦事業助成数、フーズ・サイエンスヒルズプロジェクト製品化数(県マーケティング課調査)

(2013〜2016年度)累計608件

(2018〜2021年度)累計640件

活動指標

成果指標

活動指標

198

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基本方向3 環境と調和し、人々を惹きつける都づくりと農山村の再生

(1)「食」、「茶」、「花」の都づくり区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

県産品を選んで購⼊する県⺠の割合

⾷品を購⼊する際に静岡県産の農林⽔産物や、それを活⽤した加⼯⾷品を選ぶと回答した県⺠の割合(県政インターネットモニターアンケート調査)

(2017年度)72%

(毎年度)75%以上

緑茶出荷額全国シェア本県の緑茶の出荷額の全国シェア(経済産業省「⼯業統計表」)

(2015年度)55.3%

(2021年度)60.0%

花き県内流通額

県内市場における花き流通⾦額と直売所における花き売上額(県農業戦略課調査、JA静岡中央会「県下JAファーマーズマーケット実態調査」)

(2015年度)114億円

(2021年度)120億円

「⾷の都」づくりに関する表彰数

「⾷の都」づくりに積極的に取り組む仕事⼈、企業・団体を表彰する2つの表彰制度(The 仕事⼈ of the year、ふじのくに⾷の都づくり貢献賞)の表彰数(県マーケティング課調査)

(2014〜2017年度)累計61個⼈・団体等

(2018〜2021年度)累計70個⼈・団体等

児童⽣徒の静岡茶愛飲に取り組んでいる学校の割合

⼩・中学校のアンケート等により把握した静岡茶の愛飲に取り組んでいる学校の割合(県教育委員会調査)

(2016年度)35.6%

(2021年度)100%

お花⾃慢の職場宣⾔実施事業所数

花や緑を⽤いて室内や屋外の装飾に取り組み、お花⾃慢の職場宣⾔を実施した事業所・団体等の数(県農芸振興課調査)

(2016年度)25件

(2021年度)累計150件

成果指標

活動指標

199

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(2)美しく活力のある農山村の創造区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

ふじのくに美しく品格のある⾢づくり参画者数

ふじのくに美農⾥プロジェクト、しずおか農⼭村サポーター「むらサポ」、しずおか棚⽥・⾥地クラブ、⼀社⼀村しずおか運動等の協働活動に参加した⼈数(重複除く実数)(県農地保全課調査)

(2016年度)63,955⼈

(2021年度)80,000⼈

⿃獣による農作物被害額各市町における、野⽣⿃獣による農作物への被害を集計した⾦額(県地域農業課調査)

(2016年度)383百万円

(2021年度)280百万円

農林漁家⺠宿延べ宿泊者数静岡県農林漁家⺠宿の延べ宿泊者数(県観光政策課調査)

(2016年度)1,180⼈/年

(2021年度)3,000⼈/年

「ふじのくに美しく品格のある⾢」登録数

県内全市町が会員である⾢づくり連合により、「ふじのくに美しく品格のある⾢」に登録された地域数(県農地保全課調査)

(2016年度)110⾢

(2021年度)160⾢

⼟地改良施設の耐震化率

重点的に耐震化を図る必要がある基幹農業⽔利施設、農業⽤ため池、排⽔機場、湖岸堤防等の⼟地改良施設(362箇所)のうち、耐震化を完了した施設の割合(県農地保全課調査)

(2016年度)58.8%

(213箇所)

(2021年度)83%

(300箇所)

農村地域の豪⾬対策実施地区数

農地・農業⽤施設、住宅・公共施設等の湛⽔被害を未然に防⽌するため、湛⽔防除事業やため池を活⽤した洪⽔調整等の豪⾬対策を完了した地区(県農地保全課調査)

(2016年度)41地区

(2021年度)65地区

⿃獣被害対策実施隊設置市町数

地域⾃らで有害捕獲活動や防護柵の設置などを実施する「⿃獣被害対策実施隊」を設置した市町数(県地域農業課調査)

(2016年度)2市町

(2021年度)21市町

地域農産物の魅⼒を伝える農業者を育成する地域数

地域内で地域農産物の魅⼒を伝える農業者を育成し、地域・産地のブランド⼒向上に取り組む地域数(県地域農業課調査)

-(2021年度)

5地域

「静岡の茶草場農法」茶関連商品販売数

世界農業遺産「静岡の茶草場農法」推進協議会が販売している、茶草場農法実践認定者が栽培する茶を使った商品にのみ貼付できる「⽣物多様性貢献度シール」の販売数(県お茶振興課調査)

(2016年度)701,335個

(2021年度)910,000個

成果指標

活動指標

200

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静岡県経済産業ビジョン2018~2021 数値目標一覧

森林・林業編基本方向1 森林資源の循環利用による林業の成長産業化

(1)県産材の安定供給体制の確立区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

成果指標

⽊材⽣産量県内の森林から⽣産された丸太の体積(県森林整備課調査)

(2016年)41.5万㎥

(毎年)50万m3

再造林⾯積主伐跡地への植栽や天然更新により再造林した森林の⾯積(県森林整備課調査)

(2016年度)88ha

(2021年度)500ha

世界基準の認証取得森林⾯積FSCまたはSGECの森林認証を取得した森林の⾯積(県森林計画課調査)

(2016年度まで)累計58,285ha

(2021年度まで)累計70,000ha

(2)ビジネス林業の定着区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

活動指標

⽊材⽣産の労働⽣産性森林において⽊材⽣産に従事する森林技術者⼀⼈・⼀⽇当たりの⽣産量(県林業振興課調査)

(2016年度)3.8m3/⼈⽇

(2021年度)5.6m3/⼈⽇

(3)県産材製品の需要拡大区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

活動指標

公共部⾨の県産材利⽤量県・市町が整備した公共施設・公共⼟⽊⼯事における県産材の利⽤量(県林業振興課調査)

(2016年度)20,641m3

(毎年度)21,000m3 ○

基本方向2 森林の多面的機能の維持・増進

(1)森林の適正な整備区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

成果指標

森林の多⾯的機能を持続的に発揮させる森林整備⾯積

森林の多⾯的機能が持続的に発揮される適切な状態に保つために整備(植栽、下刈、間伐など)を⾏った森林⾯積(県森林整備課調査)

(2013〜2016年度)平均 10,426ha

(毎年度)10,000ha

活動指標

森林経営計画認定⾯積計画的かつ効率的な森林施業を⾏うため、森林経営計画の認定を受けた森林⾯積(県森林計画課調査)

(2016年度まで)累計76,639ha

(2021年度まで)累計100,000ha

活動指標

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(2)森林の適正な保全区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

森の⼒再⽣⾯積森の⼒再⽣事業等により荒廃森林を再⽣した⾯積(県森林計画課調査)

(2016年度まで)累計13,413ha

(2021年度まで)累計19,036ha

⼭地災害危険地区の整備地区数⼭地災害危険地区における治⼭事業により整備した地区数(県森林保全課調査)

(2016年度まで)累計4,070地区

(2021年度まで)累計4,095地区

ふじのくに森の防潮堤づくり(中東遠地域)の整備延⻑

市が⾏う嵩上げと連携して⾏う海岸防災林の再整備延⻑(県森林保全課調査)

(2016年度まで)累計1,195m

(2021年度まで)累計12,000m

(3)魅力と強みを活かした山村づくり区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

活動指標

効率的な森林整備を実現する路網の延⻑

森林整備に使⽤する林道、林業専⽤道、作業道などの整備延⻑(県森林整備課調査)

(2016年度まで)累計3,743㎞

(2021年度まで)累計5,030㎞

基本方向3 県民総参加による持続的で魅力的な森づくり活動の推進

(1)県民の理解と参加の促進区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

成果指標

森づくり県⺠⼤作戦参加者数県が各地で開催する森づくり県⺠⼤作戦の参加者数(県環境ふれあい課調査)

(2016年度)28,343⼈

(毎年度)28,000⼈

しずおか未来の森サポーター企業数

しずおか未来の森サポーター制度により、社会貢献活動として、森林整備や、間伐に寄与する紙の購⼊に取り組むサポーターに加⼊した企業数(県環境ふれあい課調査)

(2016年度まで)累計119社

(2021年度まで)累計136社

⾃然ふれあい施設における⾃然体験プログラム実施回数

⾃然ふれあい施設(県⽴森林公園、県⺠の森)における指定管理者が実施する⾃然体験プログラムの実施回数(県環境ふれあい課調査)

(2016年度)159回

(毎年度)160回

活動指標

活動指標

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静岡県経済産業ビジョン2018~2021 数値目標一覧

水産業編基本方向 水産王国静岡の持続的発展の推進

(1)生産・流通・消費の好循環を生み出す水産振興対策の推進区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

成果指標

1経営体当たり漁業⽣産額

遠洋・沖合漁業のまぐろ類・かつおを除く海⾯漁業と海⾯養殖業における1経営体当たりの⽣産額(農林⽔産省「漁業・養殖業⽣産統計年報」及び「漁業センサス」)

(2015年)981万円

(2021年)1,000万円

⽔産物の新たな流通体制構築・⾼付加価値化取組件数

県が実施する「流通・消費段階」の地場⽔産物の新たな流通体制の構築と「⽣産・加⼯段階」の⽔産物の⾼付加価値化の取組件数(県⽔産振興課調査)

(2017年度)5件

(毎年度)5件

漁協直営⾷堂集客者数県内の漁業協同組合が直営する⾷堂の集客者数(県⽔産振興課調査)

(2016年度)48万⼈

(2021年度)50万⼈

漁業施設整備数

地域における⽔産業の拠点としての流通加⼯施設や賑わい施設、及び機械設備の整備数(県⽔産振興課調査)

(2016年度)11施設

(毎年度)8施設

(2)海・川の恵みの持続的な利用の確保区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

⽔産物の効果的な資源管理に向けた新たな取組件数

⽔産物のより効果的な資源管理に向けた新たな仕組みづくりや制度改善などの取組件数(県⽔産資源課調査)

(2016年度)3件

(毎年度)3件

マダイ・ヒラメ放流尾数⽔産資源の着実な増殖に向けて実施するマダイ・ヒラメの放流尾数(県⽔産資源課調査)

(2013〜2016年度)マダイ 平均61.7万尾ヒラメ 平均25.3万尾

(2021年度)マダイ105万尾ヒラメ 32万尾

(3)次世代の漁業を担う人・組織づくり区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

成果指標

新規就業者数新たに県内漁業に就業した⼈数(農林⽔産省「漁業センサス」)

(2016年度)78⼈

(毎年度)75⼈以上

漁業⾼等学園卒業後の漁業就業者数

漁業⾼等学園卒業者のうち、漁業に就業した⼈数(県⽔産振興課調査)

(2016年度)15⼈

(毎年度)15⼈

新規漁業⼠の認定者数新たに漁業⼠に認定された⼈数(県⽔産振興課調査)

(2017年度)7⼈

(毎年度)4⼈

活動指標

活動指標

活動指標

203

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(4)水産物の資源管理・資源増殖等を推進する先端的な研究開発の推進区分

指標名指標の説明

(出典、調査機関等)現状値 ⽬標値

総合計画

⽔産物の⾼付加価値化に関する新たな技術開発件数【再掲】

⽔産物の利⽤加⼯において、品質の⾼度化、独⾃の加⼯技術等の開発件数(県研究開発課調査)

(2014〜2017年度)累計4件

(2018〜2021年度)累計5件

⽔産資源の資源管理に関する新たな技術開発件数【再掲】

⽔産資源の維持、回復を図るための増養殖研究による技術開発件数(県研究開発課調査)

(2014〜2017年度)累計4件

(2018〜2021年度)累計5件

⽔産物の⾼付加価値化実現件数(6次産業化商品の開発等)

⽔産物の⾼付加価値化や新商品開発の取組件数(県⽔産振興課調査)

(2016年度)3件

(毎年度)3件

活動指標

204

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205

デ ー タ 編 Ⅰ 経済産業の概況

1 経済情勢

・輸出型産業の占めるウエイトが高い本県経済は、海外経済や為替相場の変動の

影響を大きく受けており、リーマンショックと東日本大震災の2度の落ち込み

を経験したものの、平成 29 年 12 月の鉱工業生産指数が 95.7(全国 106.3)、

平成 30 年1月の有効求人倍率が 1.61 倍(全国 1.59 倍)、平成 29 年7月~9

月期の名目経済成長率が 1.7%(全国 2.2%)、平成 29 年 12 月期の業況判断 DI

が 18%(全国 16%)、平成 28 年の本県の企業立地件数(製造業等)が全国第

1位(74 件)となるなど、復調の兆しも現れています。

・しかしながら、先行きについては、環太平洋連携協定(TPP)や経済連携協定

(EPA)/自由貿易協定(FTA)の拡大による自由で公正な経済活動を目指

す世界的な動きや、アジア新興国等の経済の先行き、欧米の政治経済情勢を巡

る不確実性、為替市場、消費税率の引き上げの影響等により、大きく変動する

可能性があります。

図表1 鉱工業生産指数(平成 22=100) 図表2 有効求人倍率(季節調整値)

85.0

90.0

95.0

100.0

105.0

110.0

H27/1⽉ 7⽉ H28/1⽉ 7⽉ H29/1⽉ 7⽉

静岡県 全国

0.90

1.00

1.10

1.20

1.30

1.40

1.50

1.60

1.70

H27/1⽉ H27/7⽉ H28/1⽉ H28/7⽉ H29/1⽉ H29/7⽉ H30/1⽉

全国 静岡県

資料:静岡県鉱工業生産動態調査(静岡県) 資料:最近の雇用情勢(静岡労働局)

図表3 名目経済成長率(前年同期比) 図表4 景況判断DI

-2.0

-1.0

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

H27/4-6 10-12 H28/4-6 10-12 H29/4-6

静岡県 全 国

0

4

8

12

16

20

H27/3⽉ 9⽉ H28/3⽉ 9⽉ H29/3⽉ 9⽉ H30/3⽉

全国 静岡県

資料:静岡県の四半期別GDP速報(静岡県) 資料:静岡県の企業短期経済観測調査(日本銀行静岡支店)

(予測)

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206

2 産業構造

・本県は、人口及び県内総生産の全国に占める割合がほぼ3%、全国順位は 10

位ですが、製造品出荷額等の全国シェアは 5.32%と高く、全国3位となってい

ます。また、1人当たりの県民所得の全国順位は3位となっています。

図表5 静岡県と全国の比較(平成 26 年)

項 ⽬ 単位 全 国 本 県 全国順位 全国⽐

⼈ ⼝ 千⼈ 127,095 3,700 10 位 2.91%

名⽬県(国)内総⽣産 億円 5,142,963 154,425 10 位 3.00%

製造品出荷額等 億円 2,999,173 159,669 3位 5.32%

1⼈当たりの県(国)⺠所得 千円 3,057 3,220 3 位 ―

資料:H27 国勢調査、H26 県民経済計算(内閣府)、H29 工業統計調査(速報)

・本県の産業3分類の名目県内総生産に占める割合は、1次産業 1.1%、2次産

業 44.8%、3次産業 54.1%となっており、全国と比較して2次産業の割合が大

きく、3次産業の割合が小さくなっています。

・産業分類別の名目県内総生産では、製造業が 39.0%(全国 20.8%)、卸売・小

売業が 8.7%(全国 14.7%)、サービス業が 18.4%(全国 22.1%)を占めてい

ます。全国と比較して、特に製造業の割合が高い一方、サービス業と卸売・小

売業の割合が低くなっています。

図表6 産業分類別の県(国)内総生産(名目)の割合

産業分類(3分類)別

1次1.1%

2次 27.4%

3次 71.5%

全 国

1次1.1%

2次 44.8%

3次 54.1%

静岡県

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207

産業分類(大分類)別

資料:H26 県民経済計算(内閣府)

・本県の産業分類別の名目県内総生産の推移をみると、製造業は回復の動きが見

られるものの、平成 18 年度から平成 26 年度の間に 13.8%減少しています。

また、全国では 5.1%増加しているサービス業においても、本県は 0.4%減と、

ほぼ横ばいの推移となっています。

図表7 産業分類別の県(国)内総生産(名目)の推移

0

1,000,000

2,000,000

3,000,000

4,000,000

5,000,000

6,000,000

7,000,000

農林⽔産業 鉱業製造業

建設業

電気・ガス・⽔道業

卸売・⼩売業

⾦融・保険業

不動産業運輸業

情報通信業

サービス業

H18 H22 H26

静岡県 (百万円)

静岡県

鉱業 0.0%

全 国

鉱業 0.1%農林⽔産業 1.1%

建設業6.5%

電気・ガス・⽔道業 2.7%

⾦融・保険業 5.1%

不動産業15.5%

運輸業5.4%

情報通信業6.0%

製造業

20.8%

卸売・⼩売業

14.7%

 サービス業

22.1%

農林⽔産業 1.1%

建設業 5.8%

電気・ガス・⽔道業 1.6%

⾦融・保険業 5.0%

不動産業12.3%

運輸業5.4%

情報通信業  2.7%

製造業

39.0%

 サービス業

18.4%

卸売・⼩売業

8.7%

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208

資料:H26 静岡県の県民経済計算(静岡県)、H26 国民経済計算(内閣府)

・本県の製造品出荷額等の産業分類別シェアをみると、出荷額では輸送用機械が

3兆 9,846 億円で も多くなっています。事業所数では食料品が 1,141 事業所

で も多く、従業者数では輸送用機械が 84,650 人で も多くなっています。

図表8 産業分類別の製造品出荷額等

輸送機械輸送機械 輸送機械

電気機械電気機械

化学⼯業化学⼯業

⾷料品

⾷料品

⾷料品

飲料・たばこ・飼料

⾦属製品

電気機械

飲料・たばこ・飼料

パルプ・紙・紙加⼯品

パルプ・紙・紙加⼯品

パルプ・紙・紙加⼯品

⽣産⽤機械

⽣産⽤機械⽣産⽤機械プラスチック製品

プラスチック製品

⾦属製品

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

事業所数 従業者数 製造品出荷額等

その他の製造業⽊材・⽊製品業務⽤機械電⼦部品・デバイスはん⽤機械情報通信機械⾦属製品⾮鉄⾦属プラスチック製品⽣産⽤機械パルプ・紙・紙加⼯品飲料・たばこ・飼料⾷料品化学⼯業電気機械輸送機械

資料:H29 工業統計(速報)

・産業分類別の就業者数は、製造業が 26.1%(全国 16.4%)、卸売・小売業が

17.6%(全国 19.6%)、サービス業が 31.5%(全国 35.6%)を占めていま

す。全国と比較して、製造業の割合が高く、サービス業、卸売・小売業、情

報通信業などの割合がやや低くなっています。

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

農林⽔産業 鉱業製造業

建設業

電気・ガス・⽔道業

卸売・⼩売業

⾦融・保険業

不動産業運輸業

情報通信業

サービス業

H18 H22 H26

全 国 (⼗億円)

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209

図表9 産業分類別の就業者数の割合

資料:H26 静岡県の県民経済計算(静岡県)、H26 国民経済計算(内閣府)

・産業分類別の就業者数の推移を見ると、本県、全国とも、製造業、建設業で就業者

が減少しています。一方、全国ではサービス業において 9.8%の増加がみられるも

のの、本県は減少(5.0%減)しています。

図表 10 産業分類別の就業者数の推移

資料:H26 静岡県の県民経済計算(静岡県)、H26 国民経済計算(内閣府)

鉱業 0.0%農林⽔産業 3.9%

建設業8.4%

電気・ガス・⽔道業 1.0%

⾦融・保険業 2.6%

不動産業 1.2%

運輸業 5.7%

情報通信業1.8% 卸売・⼩売業

17.6%

 サービス業

31.5%

製造業

26.1%

静岡県

鉱業 0.1%農林⽔産業 5.0%

建設業8.7%

電気・ガス・⽔道業 0.9%

⾦融・保険業 2.9%不動産業 1.8%

運輸業5.8%

情報通信業3.2%

卸売・⼩売業

19.6%

 サービス業

35.6%

製造業

16.4%

全 国

静岡県 (⼈)

0100,000200,000300,000400,000500,000600,000700,000

 農林⽔産業

 鉱 業

 製造業

建設業

電気・ガ

ス・⽔道業

 卸売・⼩

売業

  ⾦融・保

険業

 不 動

産 業

  運輸業

  情報通信業

サービス業

H18 H22 H26

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210

・本県の1人当たり県民所得は、長年にわたり全国平均を上回っていますが、平

成 20 年度から 21 年度にかけて大きく減少しました。

・その後は緩やかに回復しており、平成 26 年度の本県の1人当たり県民所得は

3,220 千円で全国第3位でしたが、雇用者一人当たりの県民雇用者報酬は 4,323

千円で全国第 24 位(全国平均 4,695 千円)に留まっています。

図表 11 1 人当たり県(国)民所得の推移

資料:H26 県民経済計算(内閣府)

0.75

0.80

0.85

0.90

0.95

1.00

1.05

H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

全 国静岡県

0.959

0.922

0

1,000

2,000

3,000

4,000

H13 H15 H17 H19 H21 H23 H25

全 国静岡県

3,220

3,057

(千円)

⾦額 平成 19 年=1.00

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

 農林⽔産業

 鉱業

 製造業

建設業

電気・ガ

ス・⽔道業

 卸売・⼩

売業

  ⾦融・保

険業

 不 動

産 業

  運輸業

  情報通信業

サービス業

H18 H22 H26全 国 (万⼈)

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211

図表 12 県民所得の都道府県比

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

東京都

愛知県

静岡県

栃⽊県

富⼭県

広島県

三重県

滋賀県

⼭⼝県

群⾺県

⼀⼈当たりの県⺠所得 雇⽤者⼀⼈当たりの県⺠雇⽤者報酬

資料:H26 県民経済計算(内閣府)

(千円)

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212

3 雇用構造

・労働者派遣法の規制緩和等により非正規雇用が拡大を続け、我が国の平成 29

年の全雇用者 5,810 万人のうち非正規雇用者は 2,036 万人(37.3%)となって

います。

図表 13 正規・非正規雇用者の推移 図表 14 非正規雇用者率の推移

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29

正規雇⽤者 ⾮正規雇⽤者

33.5

34.0

34.5

35.0

35.5

36.0

36.5

37.0

37.5

38.0

H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 資料:労働力調査(総務省) 資料:労働力調査(総務省)

・本県の労働力人口は、平成 18 年に 209 万人でしたが、その後減少を続け、平

成 24 年には 201 万人となっています。平成 25 年以降は緩やかな回復傾向にあ

り、平成 29 年には 204 万人となっています。

・完全失業率は、リーマンショック後の離職者の増加や、有効求人倍率の低下に

伴い平成 21 年には 4.1%まで増加しました。その後の様々な対策により有効求

人倍率は回復し、平成 29 年には 1.53 倍、完全失業率も 2.4%となっています。

図表 15 労働力人口の推移

1,950

1,980

2,010

2,040

2,070

2,100

H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0労働⼒⼈⼝ 完全失業率

資料:労働力調査(総務省)

・人口の男女・年齢別純移動率をみると、男性では 10 代後半が-0.04、20 代前半

が+0.09、女性では 10 代後半が-0.04、20 代前半が+0.05 となっており、男性に

比べて女性の 20 代前半の転入が少なく、転出超過が顕著になっています。これ

は、県外の大学等に進学した学生が、県内に就職する割合が低いことが原因と

考えられます。

(千⼈)

(万⼈) (%)

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213

図表 16 将来の男女・年齢別純移動率(2015→2020 年)

※純移動率:県内への転入超過数が県内人口に占める割合

-0.06

-0.04

-0.02

0.00

0.02

0.04

0.06

0.08

0.10

〜4 〜14 〜24 〜34 〜44 〜54 〜64 〜74 〜84

男性 ⼥性

資料:国立社会保障・人口問題研究所

「日本の地域別将来推計人口(H25.3 月推計)」

・農林業では就業者の高齢化により、担い手の減少が急速に進行し、産出額の減

少や荒廃農地の増加、手入れの行き届かない森林の増加などが進んでいます。

・水産業では就業者数は減少傾向にあり、農林業と同様に高齢化が進んでいます。

図表 17 農林水産業就業者数の推移

020,00040,00060,00080,000

100,000120,000140,000

H7 H12 H17 H22 H27 農業就業人口

資料:農林業センサス(農林水産省)

0

500

1,000

1,500

2,000

H2 H17 H22 H270

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

H5 H10 H15 H20 H25 林業専業労働者数 漁業就業者数

資料:農林業センサス(農林水産省) 資料:漁業センサス(農林水産省)

(⼈)

(⼈) (⼈)

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214

4 世界経済

・世界各国・地域の名目GDPは、2000 年から 2017 年までの間に全世界で 33.8

兆ドルから 79.3 兆ドルへ 45.5 兆ドル増加しました。米国が 9.1 兆ドル、EU

圏が 8.2 兆ドル、中国が 10.7 兆ドルそれぞれ増加している一方で、日本はほ

ぼ横ばいの推移となっています。

・国際通貨基金(IMF)は、2018 年の世界経済成長率を 3.6%と推定していま

す。

図表 18 各国・地域の名目GDPの推移

(10 億 U.S. ドル)

1990 1995 2000 2005 2010 2015 2016 2017⽇本 3,110 5,451 4,887 4,756 5,700 4,380 4,937 4,884アメリカ 5,980 7,664 10,285 13,094 14,964 18,121 18,624 19,362EU 7,381 9,603 8,914 14,432 17,004 16,371 16,448 17,113中国 399 737 1,215 2,309 6,066 11,226 11,232 11,938インド 327 367 477 834 1,708 2,090 2,264 2,439NIES 562 1,068 1,161 1,583 2,006 2,514 2,558 2,741ASEAN-5 329 612 519 809 1,664 2,041 2,142 2,296ロシア ー 337 279 821 1,638 1,366 1,283 1,469ブラジル 465 786 655 892 2,209 1,801 1,799 2,081その他 4,865 4,371 5,431 8,009 12,947 14,401 14,081 14,958世界計 23,418 30,996 33,823 47,539 65,906 74,311 75,368 79,281

※ NIES:香港、韓国、シンガポール、台湾

※ ASEAN-5:インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム

※ 推定値を含む

資料:IMF, World Economic Outlook Database, October 2017

・日本を除くアジアの消費規模は、2017 年の 19.4 兆ドルから 2022 年には 29.1

兆ドルと 1.5 倍に拡大し、我が国の 5.3 倍の規模になると予測され、米国、E

Uを大きく上回る「世界一の消費市場」となることが見込まれています。

図表 19 世界の消費規模の予測(名目 GDP)

05,000

10,00015,00020,00025,00030,00035,000

⽇本 アジア ⽶国 EU

2017年 2022年

資料:IMF, World Economic Outlook Database, October 2017

(10 億 U.S.ドル)

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215

・我が国企業の海外現地法人数は、他の地域が概ね横ばいで推移する中、アジア地

域では、平成 18 年の 9,671 社から平成 27 年には 16,831 社となり、約 1.7 倍に

増加しています。

図表 20 日本企業の地域別現地法人数

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

アフリカ

オセアニア

欧 州

中 東

アジア

中南⽶

北 ⽶

資料:海外事業活動基本調査(経済産業省)

・平成 29 年4月1日現在で海外に展開している県内企業の事業所等数は 1,280 か

所で、前回調査(平成 28 年4月1日現在)から 11 か所の減少となり、横ばいで

推移しています。

・展開地域別の事業所等数は、アジアが 983 か所と も多く、次いで北米が 139 か

所、ヨーロッパ 93 か所の順となっています。

図表 21 県内企業の国・地域別の展開状況(事業所数)

0

250

500

750

1,000

1,250

1,500

H25 H26 H27 H28 H29

中国 アジア(中国除く) 北⽶ 欧州 その他

資料:静岡県内企業海外展開状況調査(静岡県)

(社)

(社、か所)

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216

5 国内市場

・本県の年齢区分別人口の将来推計をみると、消費や生産の中心となる 15 歳か

ら 64 歳の生産年齢人口は、平成 22 年に 236 万人でしたが、平成 32 年には 207

万人、平成 52 年には 159 万人に減少することが予想されています。

・一方、65 歳以上の人口は、平成 22 年の 90 万人から 112 万人に増加すると推

計されています。

・今後は、少子化に伴う国内市場の収縮が起こる一方で、高齢化に伴う医療・健

康関連産業の需要増や、年金支給開始年齢引き上げに伴う「働く意欲のある高

年齢者」の増加が予想されます。

図表 22 年齢区分別将来推計人口の推計

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

H22 H27 H32 H37 H42 H47 H52

年少⼈⼝(14歳以下) ⽣産年齢⼈⼝(15〜64歳) ⽼年⼈⼝(65歳以上) 資料:国立社会保障・人口問題研究所

「日本の地域別将来推計人口(H25.3 月推計)」 ・平成 28 年度の本県への観光交流客数は、1 億 5,294 万人で前年度から約 360 万

人増加しました(+2.4%)。宿泊客数は 1,943 万人で前年度から約 44 万人減少

しました(-2.2%)。

・観光交流客数は、東日本大震災の影響などを受け、減少傾向にありましたが、平

成 24 年度から増加に転じ、平成 25 年度以降も4年連続の増加となっています。

図表 23 観光交流客数の推移(平成 28 年度) 図表 24 宿泊客数の推移(平成 28 年度)

125,000

130,000

135,000

140,000

145,000

150,000

155,000

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 16,500

17,000

17,500

18,000

18,500

19,000

19,500

20,000

20,500

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 資料:H28 静岡県観光交流の動向(静岡県) 資料:H28 静岡県観光交流の動向(静岡県)

(千⼈) (千⼈)

(千⼈)

(年度) (年度)

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217

・日本を訪れる外国人の数は近年増加が著しく、平成 25 年には 1,036 万人となり、

初めて 1,000 万人を超えました。平成 26 年以降も増加を続け、平成 28 年には、

2,404 万人まで増加しています。

・平成 28 年に本県に宿泊した外国人は延べ 157 万人で、全国第 10 位となっていま

す。

図表 25 訪日外国人旅行者数の推移(2016 年(平成 28 年))

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 資料:JNTO(日本政府観光局)

図表 26 都道府県別外国人延べ宿泊者数(2016 年(平成 28 年))

(万⼈)

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218

0 500 1,000 1,500

東京都

⼤阪府

北海道

京都府

沖縄県

千葉県

福岡県

愛知県

神奈川県

静岡県

⼭梨県

⻑野県

兵庫県

岐⾩県

広島県

⼤分県

⻑崎県

⽯川県

和歌⼭県

熊本県

(万⼈)

資料:宿泊旅行統計調査(観光庁)

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219

Ⅱ 雇⽤・就業環境の現状

1 雇用を取り巻く環境

<全国トップレベルにある就業率>

・本県の労働力人口は、平成25年以降増加に転じ、就業者数も平成24年から6年

連続で増加しています。就業率は、リーマンショック後に低下していましたが、

平成24年以降徐々に上昇しています。また、全国値を3ポイント以上上回って

おり、47都道府県の中でトップレベルにあります。(平成29年:2位)

(年平均) 年 平成20 21 22 23 24 25 26 27 28 29年

単位 (2008) (2009) (2010) (2011) (2012) (2013) (2014) (2015) (2016) (2017)

15歳以上の人口 千人 3,263 3,262 3,256 3,249 3,241 3,233 3,228 3,221 3,215 3,211

 全国順位 位 10 10 10 10 10 10 10 10 10 10

労働力人口 千人 2,062 2,046 2,025 2,009 2,006 2,017 2,020 2,026 2,034 2,041

 全国順位 位 10 10 10 10 10 10 10 10 10 10

就業者数 千人 2,002 1,961 1,946 1,937 1,939 1,953 1,965 1,973 1,984 1,992

 全国順位 位 10 10 10 10 10 10 10 10 10 10

就業率 % 61.4% 60.1% 59.8% 59.6% 59.8% 60.4% 60.9% 61.3% 61.7% 62.0%

 全国順位 位 2 4 4 5 2 3 3 3 3 2

 同全国 % 57.8% 56.9% 56.6% 56.5% 56.5% 56.9% 57.3% 57.6% 58.1% 58.8%

2,002千人1,961千人1,946千人1,937千人1,939千人1,953千人1,965千人1,973千人1,984千人1,992千人

61.4%

60.1% 59.8%59.6% 59.8%

60.4%60.9% 61.3%

61.7% 62.0%

57.8%56.9% 56.6% 56.5% 56.5%

56.9%57.3% 57.6%

58.1%58.8%

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

2,200

平成20 21 22 23 24 25 26 27 28 29年

(千人)

50.0%

52.0%

54.0%

56.0%

58.0%

60.0%

62.0%

64.0%

就業者数 千人

就業率 %

 同全国 %

<失業率は2%台で低下傾向>

・本県の完全失業率は、リーマンショック以降の急激な景気の後退に伴い、平成

21年には、4.1%にまで上昇していましたが、雇用環境の改善により、平成29

年には2.4%まで低下し、全国に比べて低い傾向にあります。

・一方、全国の年齢階層別の完全失業率を見ると、平成29年には15~24歳が4.6%、

25~34歳が3.7%であり、34歳以下の若年層の失業率が高くなっています。

図表 27 労働力関連指標(静岡県、全国(就業率))

資料:労働力調査(総務省)

図表 28 就業率と就業者数の推移

資料:労働力調査(総務省)

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220

2.6

3.0

4.13.9

3.63.3 3.2

2.7 2.62.5 2.4

3.94.0

5.1 5.1

4.6

4.34.0

3.63.4

3.12.8

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

5.5(%)

平成19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29年

静岡県

全 国

4.0

5.1 5.1

4.64.3

4.03.6

3.4 3.12.8

7.2

9.19.4

8.2 8.1

6.9

6.3 5.55.1

4.6

5.2

6.4 6.25.8

5.5 5.3

4.6 4.64.3

3.73.4

4.6 4.64.1 4.1

3.8 3.4

2.62.9

3.9 3.9 3.63.3 3.3

3.02.8

2.5 2.4

3.6

4.75.0

4.53.7

3.2 3.12.9

2.72.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

10.0(%)

平成20 21 22 23 24 25 26 27 28 29年

総数

15~24歳

25~34歳

35~44歳

45~54歳

55~64歳

図表 30 年齢階層別完全失業率の推移(全国)

図表 31 失業期間別完全失業者数(全国)

資料:労働力調査(総務省)

資料:労働力調査(総務省)

資料:労働力調査(総務省)

図表 29 完全失業率の推移(静岡県、全国)

Page 225: 静岡県経済産業ビジョン - Shizuoka Prefecture · 経済産業ビジョン策定後の本県を取り巻く社会経済情勢は、人口減少・少子高齢 ... ・ 「静岡県民の豊かな暮らしを支える食と農の基本条例」第9条に規定する基本計画

221

<高い有効求人倍率と職種のミスマッチ>

・本県の有効求人倍率は、リーマンショック以降低下し、全国値を下回っていま

したが、その後徐々に改善し、平成28年度には全国値と同値となりました。 ・業種別に見ると、「医療・福祉」における人手不足が顕著となっています。 ・ 職種別に見ると、「事務的職業」では求人不足となっている一方で、「福祉関連

の職業」では4倍を超える求人があり、人材不足の状況にあるなど、職種間に

おける「雇用のミスマッチ」が見られます。 ・製造業では、新成長産業など今後成長が見込まれる分野において、雇用創出や

人材育成を行っていく必要があります。

1.20

0.87

0.400.52

0.65

0.79

0.90

1.101.21

1.39

1.61

1.02

0.77

0.450.56

0.680.82

0.971.11

1.231.39 1.59

0.00

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

1.40

1.60(倍)

平成19 20 21 22 23 24 25 26 27 28年度 30年1月

静岡県

全国

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000(人)

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年

建設業製造業運輸業、郵便業卸・小売業宿泊業、飲食サービス業医療、福祉

z

資料:職業安定業務月報(静岡労働局)

資料:平成28年度職業安定行政年報、職業安定業務月報(静岡労働局)

図表 32 有効求人倍率の推移(静岡県、全国)

図表 33 主要産業別新規求人の推移(静岡県)

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222

3.09倍

2.00倍

0.62倍

3.17倍2.8倍

7.99倍

1.14倍

2.30倍

1.65倍

3.27倍

0.00倍

4.22倍

3.65倍

0

5

10

15

20

25

30

35

40

専門的

・技術的職業

管理的職業

事務的職業

販売

の職業

サービ

スの職業

保安

の職業

農林漁業

の職業

輸送

・機械運転

の職業

生産工程

の職業

IT関連職業合計

分類不能

の職業

福祉関連職業合計

(うち介護関係

(千人)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9(倍)

新規求職申込件数

新規求人数

新規求人倍率

<ものづくりを支える人材の高齢化と技能・技術の継承>

・本県は、製造品出荷額等が全国第4位(平成27年)のものづくり県であり、も

のづくりを支える製造業就業者は県内の就業者の1/4を占めています。

・全国的に製造業の就業者数は減少する一方であり、本県でも平成2年の国勢調

査以降、減少の一途をたどっています。

・また、製造業就業者の高齢化が急速に進むとともに、若者の製造業離れが進ん

でいます。

建設業

135,745人

(7.3%)

医療,福祉

194,190人(10.4%)

卸売業,

小売業 278,941人

(15.0%)

製造業 464,963人

( 24.9%)

宿泊業,飲食サービス業

109,851人

( 5.9%)

サービス業

(他に分類されないもの)

5.2%

運輸業,郵便業

(5.2%)

教育,学習支援業(4.1%)

生活関連サービス業,

娯楽業(3.6%)

農業,林業(3.6%)

その他

278,024人

(14.9%)

資料:平成28年度職業安定行政年報(静岡労働局)

図表 34 平成 28 年度職業別求人求職状況(静岡県)

平成 27 年

就業者数(静岡県)

総数 1,865,154 人

資料:H27国勢調査(総務省)

図表 35 就業者数に占める製造業就業者数の割合(静岡県)

Page 227: 静岡県経済産業ビジョン - Shizuoka Prefecture · 経済産業ビジョン策定後の本県を取り巻く社会経済情勢は、人口減少・少子高齢 ... ・ 「静岡県民の豊かな暮らしを支える食と農の基本条例」第9条に規定する基本計画

223

資料:H27国勢調査(総務省)

人数(人) 前回比(%) 人数(人) 前回比(%) 人数(人) 前回比(%)

全国の就業者数 61,505,973 ▲ 2.3 59,611,311 ▲ 3.1 58,919,036 ▲ 1.2

うち製造業 10,646,362 ▲ 12.9 9,626,184 ▲ 9.6 9,557,215 ▲ 0.7(製造業の占める割合) (17.3%) (16.1%) (16.2%)

静岡県内の就業者数 1,990,647 ▲ 1.1 1,897,194 ▲ 4.7 1,865,154 ▲ 1.7

うち製造業 519,170 ▲ 8.8 475,963 ▲ 8.3 464,463 ▲ 2.4(製造業の占める割合) (26.1%) (25.1%) (24.9%)

平成27年平成22年  

平成17年

25歳未満,32千人25歳未満,38千人25歳未満,43千人

25-59歳359千人

25-59歳370千人

25-59歳411千人

60歳以上74千人

60歳以上,68千人

60歳以上,64千人

15.9%

14.3%12.4%

464千人476千人519千人

0

100

200

300

400

500

600

平成17年 平成22年 平成27年

(千人)

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

14.0%

16.0%

18.0%

25歳未満 25-59歳 60歳以上 60歳以上の占める割合

2 学生・若者の就業環境

・県内の大学生等の就職内定率は、リーマンショック直後に大きく落ち込みまし

たがその後改善しています。

・企業規模別の大卒の求人倍率状況を見ると、5,000 人以上の企業が 0.39 倍であ

るのに対し、300 人未満の企業が 6.45 倍と、学生が大手企業への就職を志向す

る一方、中小企業では人材を確保できない「雇用のミスマッチ」が生じていま

す。

・さらに、新規学卒者の卒業3年以内の離職状況を見ると、約3割の人が離職し

ており、依然として早期離職率は高くなっています。

資料:H27国勢調査(総務省)

図表 36 就業者数とその中に占める製造業就業者数の推移(静岡県、全国)

図表 37 製造業就業者の年齢構成の推移(静岡県)

Page 228: 静岡県経済産業ビジョン - Shizuoka Prefecture · 経済産業ビジョン策定後の本県を取り巻く社会経済情勢は、人口減少・少子高齢 ... ・ 「静岡県民の豊かな暮らしを支える食と農の基本条例」第9条に規定する基本計画

224

資料:静岡労働局調べ

94.5

97.6 97.998.5 99.3 98.9 98.2

95.496.9

98.1 98.6 98.7 99.4 99.5 99.5

88.289.4

91.092.2

93.694.8 94.8

89.2

86.9

89.690.8

92.1

94.1 94.7 94.3

80

85

90

95

100

平成15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年 27年 28年 29年

各年3月卒

(%)

高校生

大学生

3.26

4.52

3.594.16

6.45

1.03 1.19 1.23 1.17 1.45

0.54 0.55 0.70 0.59 0.390.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00(倍)

平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年各年3月卒

300人未満

300~900人

1000~4999人

5000人以上

充足, 48.0% 未充足, 52.0%

未充足, 55.9%

未充足, 40.4%充足, 59.6%

充足, 44.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

平成29年3月卒

平成28年3月卒

平成27年3月卒

資料:第 34 回ワークス大卒求人倍率調査(2018 年卒)

(株式会社リクルートホールディングス)

図表 38 新規学卒者の就職内定率の推移(静岡県内 高校生、大学生、各年3月末)

図表 39 従業員規模別大 卒求人倍率(全国)

図表 40 県内企業の採用計画人数の充足状況(静岡県)

資料:静岡労働局調べ

資料:『静岡県における「新卒者実態調査」及び

「就職活動時の実態調査」集計結果報告』

(しずおか産学就職連絡会)

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225

計画人数を下回った理由(複数回答)

5.8%

7.7%

14.4%

17.3%

24.0%

30.8%

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

1

応募がなかった

応募数が少なかった

想像以上に内定辞退者が多かった

応募レベルに達する者がいなかった

もともと計画人数にこだわっていなかった

その他

大 学 卒

10.112.312.814.013.615.413.09.411.111.5

9.99.310.110.38.810.7

9.08.09.3

8.67.78.78.98.2

7.87.66.9

10.1

22.2

30.731.832.624.231.9

26.226.727.8

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

平成19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年 27年 28年

各年3月卒

(%) 3年目

2年目

1年目

高 校 卒

16.4 14.5 12.718.5 18.0 16.0 16.8 16.1 14.9 13.1

10.08.1 9.3

10.9 9.5 10.7 11.1 10.3 10.5

6.06.7 6.5

6.9 8.2 7.7 8.6 8.732.4

29.4 28.5

36.3 35.7 34.436.5 35.1

25.4

13.1

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

平成19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年 27年 28年

各年3月卒

(%) 3年目2年目1年目

資料:『静岡県における「新卒者実態調査」及び

「就職活動時の実態調査」集計結果報告』

(しずおか産学就職連絡会)

資料:静岡労働局職業安定課調べ

図表 42 新規学卒者の採用後3年間の離職率の推移(静岡県)

図表 41 計画人数を下回った理由(複数回答)

Page 230: 静岡県経済産業ビジョン - Shizuoka Prefecture · 経済産業ビジョン策定後の本県を取り巻く社会経済情勢は、人口減少・少子高齢 ... ・ 「静岡県民の豊かな暮らしを支える食と農の基本条例」第9条に規定する基本計画

226

3 障害のある人の就業環境

・平成30年4月から、精神障害のある人が障害者雇用率の算定基礎に加わり、民

間企業等における法定雇用率が2.2%に引き上げられます。平成29年6月1日現

在の県内民間企業における障害者雇用率は1.97%であり、前年から0.07ポイン

ト上昇し、過去最高を記録したものの、法定雇用率2.0%に達していません。法

定雇用率を達成している事業主の割合も52.9%と、約半数に留まっています。

・さらに平成33年4月までに法定雇用率は2.3%へ引き上げられます。

1.80%

1.86%1.90%

1.97%

1.65

1.72

1.35

1.48 1.491.50 1.511.55

1.63 1.641.64 1.641.641.65 1.651.61

1.591.56

1.53

1.471.52

1.571.60

1.63 1.651.68

1.61

1.97%

1.69

1.76

1.251.31

1.32 1.32 1.321.36

1.411.44 1.451.47 1.471.481.491.491.49

1.471.48

1.461.49

1.521.55

1.591.63

1.68

1.65

1.82%

1.88%1.92%

2.0%

1.6%

1.8%

1.20%

1.30%

1.40%

1.50%

1.60%

1.70%

1.80%

1.90%

2.00%

2.10%

昭和62 平成元 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29年

静岡県

全国

法定雇用率

44.7%

47.6%

49.4%

51.4%

52.9%

48.846.6

44.645.9

45.046.3

47.8

50.1

55.054.754.253.9

53.452.4

53.852.9

54.4

56.356.0

58.8

46.0

48.949.2

49.749.2 49.1

46.0

50.0%

48.8%

47.2%

42.7

46.8

53.0

51.551.6

52.2

51.851.951.4

50.4

50.650.550.2

50.1

44.744.343.7

42.542.541.742.1

43.443.844.9

45.547.0

45.3

40.0%

45.0%

50.0%

55.0%

60.0%

昭和62平成元 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29年

静岡県

全国

4 女性の就業状況

・女性の労働力率をグラフで表すと、結婚、出産期に当たる年代に一旦低下し、

育児が落ち着いた時期に再び上昇する、「M字カーブ」が見られますが、M字

の谷は年々浅くなっています。

資料:厚生労働省調べ

資料:厚生労働省調べ

法定雇用率

図表 43 民間企業における障害者雇用率(静岡県、全国)

図表 44 障害者法定雇用率達成企業の割合(静岡県、全国)

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227

・有業者数に占める女性の割合は増加し、総務省の「就業構造基本調査」(平成

24年)では、子育て世代にあたる25歳から44歳の無業者女性のうち、62%にあ

たる約8.2万人が就業を希望しています。

無業者の内訳 就業希望者

総数 有職者

(有業率) 無業者 求職者 ⾮求職者

⾮就業 希望者

29,500 52,400 ⼦育て世代 (25歳〜44歳)

460,800 328,800(71.4%)

132,100(就業希望者の 割合:62.0%)

50,200

63,300 114,500 15歳以上 県内全⼥性

1,651,500 839,400(50.8%) 812,100 (就業希望者の 割合:21.9%)

633,300

図表○○ 有業者数の推移(静岡県 女性)

資料:H24 年度就業構造基本調査(総務省)

(%)

839890867896

1,9472,043 2,0812,117

42.3% 42.4% 42.8% 43.1%

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

9年 14年 19年 24年

(千⼈)

40.0%

41.0%

42.0%

43.0%

44.0%

45.0%

46.0%

静岡県の⼥性有業者数 静岡県の総有業者数 有業者総数に占める⼥性割合

図表 46 有業者数の推移(静岡県 女性)

資料:H24 年度就業構造基本調査(総務省)

図表 45 年齢階層別女性の労働力率(静岡県、全国)

18.9

57.0

73.680.181.678.8

73.471.8

80.275.1

14.0 16.7

76.269.4

73.581.4

52.1

77.976.072.769.5

14.7

0.010.020.030.040.050.060.070.080.090.0

100.0

15〜19 20〜24 25〜29 30〜34 35〜39 40〜44 45〜49 50〜54 55〜59 60〜64 65以上(歳)

静岡県全国

資料:H27 国勢調査(総務省)

図表 47 子育て世代の就職希望者数(静岡県・女性)

平成

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228

5 高齢者の就業状況

・平成 12 年には約 66.6 万人であった本県の 65 歳以上の高齢者は、平成 32 年に

は約 109.2 万人になると予測されています。

・65 歳以上の新規求職者数は年々増加していますが、平成 28 年度の新規求職者

が 13,878 人であるのに対し、新規就職者は 2,954 人で、全体の約2割という

状況です。

392 424 463 524 519 447 421 438

684692661573502429355274

3,623 3,511

3,384 3,242

3,765 3,7123,7923,767 34.6%32.9%

31.6%30.1%

27.6%

23.8%

20.5%17.7%

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

平成12年 17年 22年 27年 32年 37年 42年 47年

(千人)

0

5

10

15

20

25

30

35

(%)

75歳以上⼈⼝65〜74歳⼈⼝総⼈⼝⾼齢化率

13,878

2,954

9,436 9,696 10,80312,122

13,70513,376

2,7282,4302,1401,7561,5791,398

21.3

14.816.3 16.3

18.217.7

19.9

0

10,000

20,000

30,000

平成22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度

(⼈)

0

5

10

15

20

25(%)

65歳以上新規求職65歳以上新規就職65歳以上就職率

図表 48 高齢化の状況と推計(静岡県)

資料:H27 国勢調査(総務省)、

日本の都道府県別将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所)

図表 49 65 歳以上の新規求職者・就職者数の推移

資料:職業安定行政年報 「高齢者の雇用状況」(静岡労働局)

将来推計→←実績

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229

6 外国人の就業状況 ・経済情勢の改善による人手不足などの影響を受けて、外国人労働者と外国人労

働者を雇用している事業所は年々増加しています。

・本県の平成 29 年 10 月末の外国人労働者数は 51,832 人で全国6位、外国人雇

用事業所数は 6,288 事業所で全国8位となっています。

5.7625.2596.6217.9496.2889.10312.60212.926

15.625

54.02

395

129

72 69

303139495256

0

20

40

60

東京 愛知 大阪 神奈川 埼玉 静岡 千葉 福岡 茨城 兵庫

(千所)

0

100

200

300

400

(千人)

事業所数

外国人労働者数

6,2885,755

5,2524,8604,653

46,574 51,832

40,37637,626 37,992

6,061 6,207 6,924

8,293

9,947

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

平成25年 26年 27年 28年 29年

(⼈)

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

(⼈、所)

事業所数 外国⼈労働者 技能実習

図表 50 都道府県別外国人雇用事業者数・労働者数

資料:外国人雇用状況(平成 29 年 10 月末現在)(厚生労働省)

図表 51 外国人労働者の現況

資料:外国人雇用状況(平成 29 年 10 月末現在)(厚生労働省)

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230

360.6

333.8

371.3

263.6

323.1

243.3

0 50 100 150 200 250 300 350 400

⼥性

男性

男⼥計

(千円)

静岡県全国

7 働き方改革の推進

・本県の年間総実労働時間は、全国を上回って推移しており、平成 28 年は 2,063

時間で、全国(2,024 時間)と比較して 39 時間長くなっています。

・その一方で、一般労働者の平均給与月額は全国よりも低くなっており、長時間

労働を抑制しながら、生産性の高い働き方へ転換を図る必要があります。

2,063

2,053

2,033 2,041

2,059

2,021

2,0242,0182,006

2,030

2,0212,026

2,000

2,020

2,040

2,060

2,080

平成23年 24年 25年 26年 27年 28年

(時間)

静岡県全国

図表 52 年間総実労働時間の推移(全国・静岡県)

資料:毎月勤労統計調査(厚生労働省)

図表 53 男女別 平均給与月額(全国・静岡県)

資料:H29 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)

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231

Ⅲ 商⼯業の現状 1 産業構造

<企業数、売上高、付加価値額>

・平成 28 年の県内の企業数は、127,574 企業で全国 10 位となっていますが、平

成 24 年と比較すると、7.3%減少しています。また、売上高、付加価値額はい

ずれも全国9位となっています。

<事業所数、従業者数>

・平成 28 年の本県の事業所数は 175,667 事業所、従業者数は 1,732,495 人で、

いずれも全国 10位となっています。平成 24年と比較すると、事業所数が 4.8%

減少、従業者数が 0.2%減少しています。

<開業・廃業の状況>

・本県の開業及び廃業の状況をみると、開業率は全国を下回り、廃業率は全国と

ほぼ同程度で推移しています。

・県内、全国とも、開業率はわずかながら上昇傾向にあります。廃業率は、平成

25 年に上がったものの、ほぼ同程度の値で推移しています。

企業等数、売上高及び付加価値額

平成 24 年 28 年増減率(%)

全国

順位

全国 順位

全国

順位

静岡県 137,654 127,574 ▲ 7.3 10 28,982,466 9 6,662,085 9

全 国 4,128,215 3,866,537 ▲ 6.3 - 1,603,463,825 - 294,794,928 -

売上高(百万円)

区分 企業等数

付加価値額

(百万円)

平成 24 年 28 年増減率

(%)全国

順位平成 24 年 28 年 増減率

(%) 全国

順位

静岡県 184,470 175,667 ▲ 4.8 10 1,736,157 1,732,495 ▲ 0.2 10

全 国 5,768,489 5,622,238 ▲ 2.5 - 55,837,252 57,439,652 2.9 -

区分 事業所数 従業者数

資料:平成 28 年経済センサス活動調査(速報)(総務省)

資料:平成 28 年経済センサス活動調査(速報)(総務省)

図表 54 企業等数、売上高及び付加価値額

図表 55 事業所数及び従業者数

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232

2 工業の状況

<鉱工業生産指数>

・鉱工業生産指数は、化学は好調が続いていますが、その他のはん用・生産用・

業務用機械、電気機械、輸送機械、パルプ・紙・紙加工品、食料品・たばこは

低い水準が続いています。総合では2年連続で前年を下回っており、平成 22

年から平成 28 年にかけて、減少傾向にあります。(平成 22 年:100、平成 28

年 89.5)

95.2

94.9

89.5

92.0

96.1

100

97.4

97.797.8

99

97

97.2 97.8

84

8688

90929496

98100

102

H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

静岡県

全国

図表 56 開・廃業率の推移(静岡県、全国:民営)

3

3.5

4

4.5

5

5.5

H23 H24 H25 H26 H27

開業率(静岡県) 開業率(全国)

廃業率(静岡県) 廃業率(全国)

資料:雇用保険事業年報(厚生労働省)

図表 57 鉱工業生産指数の推移(静岡県・全国:平成 22 年=100)

資料:静岡県鉱工業指数月報(静岡県)、鉱工業生産指数(経済産業省)

(%)

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233

年 H23 H24 H25 H26 H27 H28

鉱 工 業 96.1 97.4 94.9 95.2 92.0 89.5

はん用・生産用・業務用

機械工業 101.6 96.9 91.3 99.8 100.7 97.9

電気機械工業 89.3 90.2 91.0 94.7 91.2 95.1

輸送機械工業 90.6 98.5 93.4 93.1 83.9 73.7

化学工業 107.1 111.7 115.8 109.0 114.6 122.5

パルプ・紙・紙加工品工業 98.7 89.8 82.8 83.4 81.7 80.5

食料品・たばこ工業 99.6 94.3 92.2 88.6 88.7 85.1

・鉱工業生産指数について、主な業種分類の状況を見ると、「輸送機械工業」は、

4年連続で前年を下回っています。

93.193.4

73.7

83.990.6

100

98.5

100.198.8101.699.8

91.2

101.8

0

20

40

60

80

100

120

H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

静岡県

全国

資料:静岡県鉱工業指数月報(静岡県)

図表 58 鉱工業生産指数の内訳(平成 22 年=100) 原指数)

図表 59 輸送機械工業の生産指数の推移(平成 22 年=100.0)

資料:静岡県鉱工業指数月報(静岡県)、鉱工業生産指数(経済産業省)

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234

・「電気機械工業」は、2年ぶりに前年を上回っています。

94.7

91.0

95.1

91.289.3

100

90.2

100.1101103.2

101.299.9 98.2

80

85

90

95

100

105

H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

静岡県

全国

・「はん用・生産用・業務用機械工業」は、3年ぶりに前年を下回っています。

99.891.3

97.9100.7101.6

100

96.9

112.5113.8114.6

103.2

112.5106.5

0

20

40

60

80

100

120

140

H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

静岡県

全国

図表 60 電気機械工業の生産指数の推移(平成 22 年=100.0)

図表 61 はん用・生産用・業務用機械工業の生産指数の推移(平成 22 年=100.0)

資料:静岡県鉱工業指数月報(静岡県)、鉱工業生産指数(経済産業省)

資料:静岡県鉱工業指数月報(静岡県)、鉱工業生産指数(経済産業省)

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235

・「パルプ・紙・紙加工品工業」は、2年連続で前年を下回っています。

83.482.8 80.581.7

98.7

100

89.8

98.397.798.297.397.8 96.2

0

20

40

60

80

100

120

H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

静岡県

全国

・「食料品・たばこ工業」は、2年ぶりに前年を下回っています。

88.6

92.2

85.1

88.7

99.6100

94.3

96.696.596.897.8

95.6

97.7

75

80

85

90

95

100

105

H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

静岡県

全国

図表 62 パルプ・紙・紙加工品工業の生産指数の推移(平成 22 年=100.0)

図表 63 食料品・たばこ工業の生産指数の推移(平成 22 年=100.0)

資料:静岡県鉱工業指数月報(静岡県)、鉱工業生産指数(経済産業省)

資料:静岡県鉱工業指数月報(静岡県)、鉱工業生産指数(経済産業省)

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236

<製造品出荷額等>

・本県の平成 28 年の製造品出荷額等は、15 兆 9,669 億円となり、前年比マイナ

ス 2.7%と減少しましたが、全国順位は4位から3位に上昇しました。

平成 26 年 平成 27 年 平成 28 年 前年比(額) 前年比(%)

全 国 3,051,400 3,139,360 2,999,173 ▲140,187 ▲4.5%

静岡県 160,507 164,125 159,669 ▲4,456 ▲2.7%

157,077

100,000

120,000

140,000

160,000

180,000

200,000

220,000

H23 H24 H25 H26 H27 H28

156,991160,507 164,125 159,669

149,497

図表 64 製造品出荷額等の推移(従業員 4 名以上の事業所 単位:億円)

平成 29 年工業統計調査(速報)(経済産業省)

(億円)

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237

<企業立地件数>

・平成28年の本県の製造業等の企業立地件数は、74件(全国1位)で前年比34.5%

の増加、立地面積は 57 ヘクタール(全国5位)で、前年比 14.0%の増加となっ

ています。

・自動車関連等の企業の設備投資が堅調に推移する中で、新東名高速道路の延伸

の効果が見られました。

・県が市町と連携して進める内陸フロンティア推進区域において、工業団地等の

開発が進んでおり、3ha を超える大規模な用地取得の動きも出ています。

4336

2836

24

54 55 5360

8085

102

124

142

44 41 37

6555

74

5350

40

0

40

80

120

160

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29上 資料:工業立地動向調査(経済産業省)

<生産設備の保有期間>

・平成 24 年度における生産設備の保有期間の状況をみると、本県の製造業が保

有する、15 年以上経過している生産設備の割合は 46.8%で全国(41.4%)より

5.4%高く、設備の老朽化が進んでいることが推察されます。

製造業の生産設備の経過年数別割合

7.06 7.59

22.61

15.91

10.03 8.63

24.03

41.4

46.83

15.91

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

50.0

3年未満

(H22年以降)

3~5年未満

(H20~21年)

5~10年未満

(H15~19年)

10~15年未満

(H10~14年)

15年以上

(H9年~)

静岡県

全国

資料:生産設備保有期間等に関するアンケート調査(経済産業省)

図表 66 製造業の生産設備の経過年数別割合

図表 65 本県企業立地件数の推移

(%)

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238

<医薬品・医療機器生産額>

・平成 27 年の県内企業の医薬品・医療機器合計生産額は、8,250 億円(前年比

5.2%減)となっています。全国順位は平成 22 年から6年連続で1位となって

います。

・なお、国内全体の合計生産額は 8 兆 7,660 億円(前年比 2.2%増)となってい

ます。

792,772 797,291

741,733753,095

831,672

934,388

825,033

870,028

1,011,457

994,735 8,579,259

8,126,426 8,312,444

8,492,538

8,395,787

8,136,631

8,795,843 8,799,506 8,766,0138,871,951

700,000

800,000

900,000

1,000,000

18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年 27年

(百万円)

7,500,000

8,000,000

8,500,000

9,000,000

(百万円)静岡県計(左⽬盛り) 全国計(右⽬盛り)

資料:薬事工業生産動態統計年報(厚生労働省)

3 商業の状況

・経済産業省が実施した商業統計調査によれば、平成 26 年の県内卸売業、小売

業の販売額合計は9兆 4,518 億円で、10 年前と比較すると 12.1%、販売額ベー

スでは1兆 3,054 億円減少しています。

42,663 40,845 39,671 40,782 37,225

82,47671,819 67,901 69,764

57,293

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

H11 H14 H16 H19 H26

⼩売業販売額 卸売業販売額125,139112,664

107,572 110,54694,518

資料:商業統計調査(経済産業省)

図表 67 医薬品・医療機器の生産金額の推移

図表 68 卸売業・小売業販売額の推移

(億円)

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239

・平成 28 年の大型小売店販売額は 4,151 億円で、百貨店、スーパーともに前年

度を下回っており、総額でも前年度に比べて 98%と2年連続の減少となって

います。これはインターネット通販の利用増加等による販売額の低迷と考えら

れます。

845 831 816

3,542 3,420 3,335

0500

1,0001,5002,0002,5003,0003,5004,0004,5005,000

H26 H27 H28

百貨店販売額 スーパー販売額

4,251 4,1514,387

資料:大型小売店販売額の動向(関東経済産業局)

4 経営革新計画の承認件数の推移

・県内の経営革新計画承認件数は、平成 27 年度には 447 件(全国2位)、28 年

度は 539 件(全国3位)となっています。

経営革新計画の承認件数の推移

0

100

200

300

400

500

600

平成11年度 平成13年度 平成15年度 平成17年度 平成19年度 平成21年度 平成23年度 平成25年度 平成27年度

(件)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

(件)

静岡県(左目盛り) 全国計(右目盛り)

図表 70 経営革新計画の承認件数の推移

図表 69 県内大型小売店販売額の推移

(億円)

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240

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241

Ⅳ 農業・農村の現状

1 農業生産の現状

<農業産出額>

・本県の農業産出額は平成 28 年に 2,266 億円で全国 15 位となっており、平成 21

年以降は、微増となっています。

・土地生産性(耕地面積当たりの農業産出額)は全国平均よりも上位にあります

が、土地生産性が同程度の群馬県や長崎県は、10 年間に産出額が 10%以上増

加しているのに対して、本県は 16%の減少となっています。

2,086 2,123 2,119 2,114 2,138 2,154 2,204 2,266

0

1,000

2,000

3,000

H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

(億円) 図表 71 農業産出額(静岡県)

資料:生産農業所得統計(農林水産省)

図表 72 農業産出額と耕地面積(H27)

資料:生産農業所得統計、耕地及び作物面積統計(ともに農林水産省)に基づき、県農業戦略課で作成

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242

・産出額が直近 10 年間で増加した茨城県や群馬県では、野菜や畜産物の産出額

の増加が、農業産出額の増加に寄与しています。一方、本県は、畜産物の産出

額は増加、野菜の産出額は横ばいで、農業産出額全体では 312 億円の減少とな

っています。

(H27-H17)

茨 城 4,162 4,549 387 -244 396 -20 10 -29 208 8

群 ⾺ 2,200 2,550 350 -59 281 -5 -7 15 160 0

⿅児島 4,168 4,435 267 -62 125 -16 -41 -135 451 9

熊 本 3,102 3,348 246 -88 312 -55 3 -75 194 -21

千 葉 4,161 4,405 244 -198 96 -6 -22 -7 326 4

宮 崎 3,206 3,424 218 -90 151 26 -39 -92 271 -9

⻑ 崎 1,367 1,553 186 -47 158 -4 22 -22 55 -2

静 岡 2,516 2,204 -312 -42 4 28 -20 -280 93 -69

愛 知 3,275 3,063 -212 -88 -32 5 -155 -11 119 -1

全 国 85,119 87,979 2,860 -4,475 3,589 564 -514 -1,165 6,122 -111

産出額の伸び ⽶H17 H27 畜 産地 域 加⼯

農産物

主要品⽬の内訳

野 菜 果 実 花 き ⼯芸農作物

農業産出額

・野菜の産出額が増加している県は、各県の強みのある品目の伸びが顕著です。

一方、本県は、戦略的に強みのある品目を絞った生産拡大を図ることができて

いません。

(単位:億円)

図表 73 農業産出額の増減率と土地生産性

図表 74 農業産出額の伸び(H17-H27)

資料:生産農業所得統計(農林水産省)に基づき、県農業戦略課で作成

資料:生産農業所得統計、耕地及び作物面積統計(ともに農林水産省)に基づき、県農業戦略課で作成

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243

2 6次産業化の取組の現状

<農業生産関連事業の年間販売金額>

・農業生産関連事業の年間販売金額は、平成 22 年の調査開始以降、1,000 億円程

度で、横ばいで推移しています。

・項目別では、農産物加工が 62%、農産物直売所が 36%を占めています。

トマト たまねぎ レタス ねぎ キャベツ きゅうり メロン すいか いちご茨 城 30 3 47 61 40 0 -46 -6 10 396熊 本 207 4 10 -4 11 8 -17 -5 -11 312群 ⾺ -6 3 33 22 120 11 0 -2 -2 281⻑ 崎 21 20 29 5 5 8 0 -4 13 158宮 崎 21 1 -1 2 6 42 -22 -2 3 151⿅児島 -1 1 2 6 16 6 -2 -3 -5 125千 葉 9 0 3 43 -9 25 -12 -32 16 96静 岡 8 6 3 11 2 -2 -40 1 5 4愛 知 21 -3 -7 -3 -15 4 -11 -12 -20 -32全 国 570 358 321 286 249 207 -204 -63 -29 3,589

地 域産出額の増加が⼤きい品⽬ 産出額の減少が⼤きい品⽬ 野菜の産出

額の増加額

項⽬ H22 H23 H24 H25 H26 H27農産物加⼯ 662 622 646 648 633 655農産物直売所 366 339 384 398 372 381観光農園 17 19 17 20 19 20農家⺠宿 0 0 1 1 1 1農家レストラン 8 7 7 7 8 5合計 1,053 987 1,055 1,074 1,033 1,062

(単位:億円)

(単位:億円) 図表 75 野菜の産出額の増加額(H17-H27)

図表 76 農業生産関連事業の年間販売額(静岡県)

資料:6次産業化総合調査(農林水産省)

図表 77 農業生産関連事業の年間販売額内訳

資料:6次産業化総合調査(農林水産省)

資料:生産農業所得統計(農林水産省)に基づき、県農業戦略課で作成

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244

3 担い手の現状

<ビジネス経営体>

・ビジネス経営体数は 10 年間で 1.5 倍に増加しています。

・ビジネス経営体の販売金額は 10 年間で 1.9 倍に増加しています。

販売⾦額 H17 H22 H28 H28/H17ビジネス経営体数 266 328 403 1.52ビジネス経営体の販売⾦額(百万円) 44,304 64,911 82,096 1.85

<農業経営体>

・農業経営体数が 10 年間で3割減少する中で、販売金額5千万円以上の経営体

数は横ばいとなっています。

<新規就農者>

・新規就農者数は、増加傾向にあり、平成 23 年以降は、毎年 300 人以上が新た

に就農しています。

・過去 10 年間の傾向をみると、農家の後継者の就農は減少傾向にありますが、

新たに農業で起業する人や農業法人へ就職者が増加しており、平成27年には、

農業法人への就職者が 55%を占めています。

・なお、新規就農者を年齢別にみると、60 歳以上の割合が 79%となっており、

若手の人材確保が課題となっています。

新規就農者数

97 10282 77

42

92

50 4059 60 47

21 1232 44

55

52

58 8173 80

68

58 53 6572 121

86 158

186183 170

173

34

18 15 24

24

0

50

100

150

200

250

300

350

H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

農家後継者 自立就農者 法人等就職者 企業参入

176 167 179193

218230

300

325 330334 312

図表 78 ビジネス経営体

資料:県農業ビジネス課調べ

図表 79 販売金額別農業経営体数

資料:農林業センサス(農林水産省)

図表 80 新規就農者

資料:県農業ビジネス課調べ

販売⾦額 H17 H22 H27 H27/H171千万円未満 41,565 36,009 29,364 0.713千万円未満 4,782 3,343 2,999 0.633千万円以上 862 750 780 0.90うち5千万円以上 383 370 381 0.99合計 47,209 40,102 33,143 0.70

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245

<農業就業人口>

・販売農家における農業就業人口は、10 年間で4割減少しています。

・一方、雇用農業従事者は3倍に増加しています。ただし、最近は、全産業的な

人手不足により、期間雇用を中心に雇用の確保が困難になっています。

4 生産基盤の現状

<農地集積>

・優良農地面積(農振農用地区域内農地から荒廃農地を除いたもの)は、荒廃農

地の発生や宅地等への転用等に伴い、10 年間で約 2,000ha 減少しています。

・一方、担い手への農地集積面積は1割増加しています。

25,967 26,184 26,520 27,021 27,369 28,404

0

10,000

20,000

30,000

H23 H24 H25 H26 H27 H28

58,327 56,803 56,241

0

20,000

40,000

60,000

80,000

H18 H23 H28

図表 81 農業就業人口

資料:農林業センサス(農林水産省)

図表 82 優良農地面積

資料:農林水産省調べ

図表 83 農地集積面積

区分 H17 H22 H27 H27/H17農業就業⼈⼝ 93,890 70,867 57,322 0.61雇⽤農業従事者 2,525 3,995 7,082 2.80合計 96,415 74,862 64,404 0.67

資料:農林水産省調べ

(ha)

(ha)

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246

<農地の基盤整備>

・水田の約5割が効率的な営農が可能となる 30a程度以上の区画に整備されてい

ますが、全国平均を 17 ポイント下回っています。一方、畑の約8割に3m以上

の農道が整備され、また、茶やみかん等の樹園地の約3割に、農業用水を供給

する施設が整備されており、いずれも全国平均を上回っています。

・区画整理済みや農道が整備された水田、畑・樹園地面積は約 4.9 万 ha となって

います。

割合 割合 割合

① ② ③=②/① ⑥ ⑦ ⑧=⑦/⑥ ⑨ ⑩=⑨/⑥

全国 2,446,000 1,571,565 64.3% 2,050,000 1,554,627 75.8% 482,810 23.6%

関東一都九県 428,700 274,538 64.0% 369,400 206,116 55.8% 72,965 19.8%

静岡県 22,700 10,762 47.4% 45,200 37,858 83.8% 15,597 34 .5%

基礎的な基盤整備済み面積 4.9 万ha

田畑の基盤整備状況

(H26実績)

30a程度以上区画整理済み[ha]

末端農道整備済み[ha]畑地かんがい施設整備済み[ha]

畑面積[ha]

田面積[ha]

<基幹農業水利施設の老朽化>

・県が造成した基幹農業水利施設のうち、約7割が標準耐用年数を超過又は今後

10 年以内に超える状況であり、農業用水の安定供給に支障を及ぼす恐れがあり

ます。

資料:県農地整備課調べ

図表 84 田畑の基盤整備状況

図表 85 県造成基幹農業水利施設の老朽化の現状

(平成 28 年度末現在)

標準耐用年

数を超過46%

(433箇所)10年以内に

耐用年数を

超過21%

(197箇所)

その他33%

(310箇所)全940箇所

資料:農業基盤情報基礎調査(農林水産省 H29 年6月)

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247

<土地改良施設の耐震化>

・「静岡県地震・津波対策アクションプログラム 2013」に基づき、被災した場合

に経済活動、住民生活等への影響が大きい土地改良施設の耐震化や緊急避難路

の役割を担う農道整備を進めています。

アクション名 目標指標 H28 年度までの

完了実績

農業用施設の耐震化 362 箇所 213 箇所※

基幹農業水利施設

農業用ため池

排水機場

湖岸堤防

83 箇所

216 箇所

60 箇所

3 箇所

74 箇所

113 箇所

24 箇所

2 箇所

災害時に迂回路となる農道の改良 19 路線 点検 14 路線

対策 1 路線

※耐震診断により安全性が確認されたもの(対策不要)を含む。

<農村地域の豪雨対策>

・農地・農業用施設、住宅・公共施設等の湛水被害を未然に防止するため、排水

機場の改修等による豪雨対策を実施しています。

特に、床上浸水が頻発している流域・地域において、河川、都市計画、農業、

防災及び道路など治水対策に関係する各機関と地域住民が「豪雨災害対策アク

ションプラン」を策定し、具体的な対策に取り組んでいます。

流域・地域名※

①狩野川中流域、②大場川左岸下流域、③沼川・高橋川流域、

④和田川・小潤井川・伝法沢川流域、⑤江尾江川流域、⑥石脇

川・高草川流域、⑦小石川・黒石川流域、⑧袋井市中部、⑨今

ノ浦川流域、⑩浜松市南部(馬込川流域)

※策定中及び調整中も含む。

図表 86 土地改良施設の耐震化等の目標・実績

図表 87 豪雨対策アクションプランを策定する流域・地域一覧

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248

5 農村の現状

<高齢化、人口減少>

・農村の人口は直近 10 年間に約 10 万人減少、また、農村の高齢化率は 40%に達

する勢いであり、都市部に対して 20 年程度先行しています。

また、農家戸数9戸以下の農業集落は中山間地域に集中していましたが、近年

は都市的地域や平地農業地域においても増加しています。

農業生産の拡大と併せて、農村コミュニティの持続性を確保することが必要で

す。

図表 88 都市部・農村の人口と高齢化率

図表 89 農業地域類型別集落規模(農家戸数9戸以下)

資料:農林業センサス(農林水産省)に基づき県農地計画課が作成

資料:関係省庁の統計資料に基づき農地計画課が作成

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249

Ⅴ 森林・林業の現状 1 ふじのくに森林・林業再生プロジェクト5年間の取組

(1) 県産材の受入体制

・県産材の需要拡大として、大型合板工場の新たな整備や地域の製材工場の規模

拡大に取り組んだ結果、平成 26 年度末に県内に 50 万㎥の県産材の受入体制が

整いました。

図表 90 県内の丸太の加工能力量

区分 加⼯能⼒量(万m3)

A材(製材⽤) 27 B材(合板⽤) 13

C材(チップ⽤) 10 計 50

資料:県林業振興課調べ

(2) 森林経営計画

・森林所有者の大半が5ha 未満の零細所有で分散していることから、面的にまと

まりをもった効率的な森林施業の実施に向け、林業事業体や自伐林家に対して

森林経営計画の作成を支援した結果、森林経営計画の認定面積は7万 ha を超

えました。

図表 91 保有山林規模別林家数 図表 92 森林経営計画認定面積

資料:2015 農林業センサス(農林水産省) 資料:県森林計画課調べ

0.20.31.01.5

2.5

10.6

3.1

0

2

4

6

8

10

12

1〜3 3〜5 5〜10 10〜20 20〜50 50〜100 100〜

ha

千⼾

27.0

13.1

33.5

45.7

76.6

0

20

40

60

80

H24 H25 H26 H27 H28

千ha

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250

(3) 林内路網

・効率的な森林整備の基盤となる林内路網のネットワーク化に対して、林道の整

備と併せ、その支線としての林業専用道や森林作業道の整備に重点的に取り組

んだ結果、林内路網密度は 62m/ha になりました。

図表 93 林道の整備延長と林内路網密度

資料:県森林整備課調べ

(4) 高性能林業機械

・木材生産のコストを低減する高性能林業機械の導入に対して、その費用の一部

を支援した結果、造材と集材・運搬を組み合わせた高性能林業機械の導入セッ

ト数は 70 セットになりました。

図表 94 高性能林業機械の導入セット数 図表 95 高性能林業機械の導入イメージ

資料:県林業振興課調べ

3,1412,738 2,933

3,4313,743

52 57 624845

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

H24 H25 H26 H27 H28

km

0

50

100

150m/ha

路網延⻑ 林内路網密度

51

60 6166

70

0

20

40

60

80

H24 H25 H26 H27 H28

セット

又は

〔造材〕

〔集材・運搬〕

ハーベスタ

プロセッサ等

フォワーダ

スキッダ タワーヤーダ

スイングヤーダ

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251

(5) 人材育成

・林業作業員数は、平成7年の 1,334 人をピークに減少していましたが、「森林

の仕事ガイダンス(就業相談会)」や「林業就業支援講習」などに取り組んだ結

果、近年は横ばい傾向となり、60 歳以上の比率も低下しています。

また、林業作業員のうち、森林経営計画に基づき、伐倒・搬出等の木材生産を

行うことができる森林技術者(林業作業士相当)の数は、500 人を超えました。

図表 96 林業作業員数 図表 97 森林技術者(林業作業士相当)

資料:(公社)静岡県山林協会作業員台帳 資料:県林業振興課調べ

(6) 労働生産性

・経営改革に意欲的な事業体に対して、生産性の向上や工程管理の方法などを指

導する講師の派遣や、経営分析を行う研修の開催などに取り組んだ結果、需要

に応じた計画的な生産や、山元への還元を増やす生産性の向上、需要者への直

送取引を経営に取り入れる「ビジネス林業」に取り組む事業体は年々増加して

います。また、県内の林業事業体の木材生産における労働生産性は、3.8 ㎥/

人日(H28)となりました。

図表 98 ビジネス林業に取り組む事業体数 図表 99 木材生産における労働生産性

資料:県林業振興課調べ 資料:県林業振興課調べ

896995 944 978 969 970 946

4538

41 40 394040

0

250

500

750

1,000

H15 H20 H24 H25 H26 H27 H28

0

10

20

30

40

50%

林業作業員数 60歳以上の⽐率

421 447 483

378316

501

258

0

200

400

600

H17 H22 H24 H25 H26 H27 H28

19

8

2934

37

51

0

20

40

60

H23 H24 H25 H26 H27 H28

事業体

3.32.9

3.4 3.3 3.53.8

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

H18 H20 H22 H24 H26 H28

㎥/⼈⽇

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252

(7) 木材生産量

・県内の木材生産量は、平成 22 年に 25 万㎥まで減少しましたが、平成 24 年度

から県産材の需要と供給を一体的に創造する「ふじのくに森林・林業再生プロ

ジェクト」に取り組んだ結果、平成 28 年には 42 万㎥とV字回復しました。

図表 100 木材生産量

資料:県森林整備課調べ

(8) 木材の流通

・平成 27 年に県内で生産された木材(約 38 万㎥)のうち、約 31 万㎥が県内に出

荷されています。

用途別内訳は、約 21.2 万㎥が製材用、約 4.1 万㎥が合板用、約 5.2 万㎥がチッ

プ用となっています。

図表 101 県産木材の流通状況

資料:県林業振興課調べ

4238

3432

282531

39

46

0

20

40

60

H7 H12 H17 H22 H24 H25 H26 H27 H28

万㎥

県内出荷量 305 千m3

<⽤途別内訳> 製材⽤ 212 千m3(70%) 合板⽤ 41 千m3(13%)

チップ⽤ 52 千m3(17%)

⽊材⽣産量 378 千m3 県外出荷量 73 千m3

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253

(9) 民間・公共部門での県産材利用

・県では、平成 14 年度から「しずおか木

使い県民運動」の取組を開始し、県民

に県産材を使う意義や木の良さを普及

啓発しながら、県産材の需要拡大に取

り組んできました。また、平成 13 年度

から、全庁的な木材需要拡大庁内会議

を設置するとともに、平成 22 年に施行

された「公共建築物等における木材の

利用の促進に関する法律」に基づく、

県方針を策定するとともに、市町にお

いても木材利用の方針が策定され、各

地で木造による公共建築物の整備が進

み始めました。

(10) 森林認証林の面積と認証材の生産量

・森林認証は、世界基準の持続可能な森林管理が行われていることを第三者機関

が認証する制度で、県内では、意欲的な森林所有者や地域が中心となって、早

くから認証の取得が進み、その面積は全国4位の約5万8千 ha(森林面積の

12%)(H28)です。また、森林認証林から生産される認証材は約10万㎥(H28)で、

県内で生産される木材の約 24%を占めています。さらに、静岡県森林組合連合

会を中心とした業界団体が、連携して森林認証林の拡大に取り組んでおり、県

下全域に森林認証の取得・拡大の母体となる、認証管理団体が設立されました。

図表 103 県内の森林認証林の面積 図表 104 森林認証林から生産された木材

資料:県森林計画課調べ 資料:県森林計画課調べ

58,28554,839

51,869

37,196

8,9653,372884

0

20,000

40,000

60,000

15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28年度

ha

県産森林認証材 24%

10.1 万㎥

その他県産材 76%

県内の⽊材⽣産量41.5 万㎥

5,3227,384 7,319

5,122

16,83212,314

20,171

13,457

3,809

4,682

4,639

1,160

1,255

1,5722,0544,562

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

H14 H16 H18 H20 H22 H24 H26 H28

⼟⽊⼯事 施設整備

図表 102 公共部門における県産材利用

資料:県林業振興課調べ

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254

2 森林資源量

・民有林の約6割に当たる 24 万 ha が人工林で、そのうち約9割が製材などの原

料として利用可能な 41 年生以上に達し、本県の森林資源は成熟しています。

しかし、林業の採算性の低下から主伐・再造林は低調しており、20 年生以下の

若齢林が、全体の約2%に当たる 5,000ha 程度と極端に少なく、偏った林齢構

成となっています。

図表 105 スギ・ヒノキ林齢別面積 図表 106 民有林造林面積

(平成 28 年 3 月末現在、5 条森林「民有林」)

資料:県森林・林業統計要覧 資料:県森林・林業統計要覧

3 森林に対する国民の期待

・内閣府が実施した「森林と生活に関する世論調査」では、森林に期待する機能

は、「山崩れや洪水などの災害を防止する働き」、「地球温暖化防止に貢献する

働き」、「水資源を蓄える働き」の順となっており、森林の公益的機能の発揮に

対する期待が大きいことがうかがえます。

また、近年は木材生産への期待が高まってきています。

図表 107 国民が森林に期待する働き

資料:森林と生活に関する世論調査(内閣府)

05

10152025303540

5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 林齢

千ha

88102172229298

602

2,004

1,114

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

S50 S60 H7 H17 H22 H26 H27 H28

ha

20 年⽣以下 2%

41 年⽣以上 87%

1

2

3

4

5

6

7

8

9

S55 S61 H5 H11 H15 H19 H23 H27

⼭崩れ洪⽔防⽌

地球温暖化防⽌

⽔資源の蓄え

⽊材の⽣産

野⽣動物の⽣息の場

教育の森

安らぎの場

⼤気の浄化

特⽤林産物の⽣産

※複数回答による

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255

4 山地災害

(1) 豪雨の発生回数

・直近 10 年の時間 50 ㎜以上の豪雨の発生回数は、平成 23 年が最も多く、28 回

発生しました。

図表 108 静岡県における時間雨量 50 ㎜以上の降雨発生回数

資料:県河川企画課調べ

(2) 山地災害の発生箇所数と被害額

・山地災害の発生箇所数は、豪雨の発生回数と連動して増減し、最も豪雨の発生

回数が多かった平成 23 年は、100 件を超える山地災害が発生し、その被害額は

約 47 億円でした。

図表 109 山地災害の発生箇所数と被害額

資料:県森林保全課調べ

39.3

2.7

8.9

25.6

46.9

7.6

23.5

3.5 2.84.3

97

1132

54

118

24 11

84

17 70

100

200

300

19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

箇所

0.0

25.0

50.0億円

14

23

4

1517

22

13 13

2628

0

10

20

30

40

H19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

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256

(3) 治山事業工事費

・治山事業の工事費は、近年 40 億円前後で推移していましたが、平成 28 年度は

災害が少なかったことから、約 32 億円に留まっています。

図表 110 治山事業工事費の推移

資料:県森林・林業統計要覧

5 森林病害虫

・マツ材線虫病被害量は、薬剤の予防散

布や枯損した松の伐倒駆除などの対策

を行った結果、昭和 56 年のピーク時に

比べ大幅に減少したものの、近年は横

ばい傾向で根絶するには至っていませ

ん。

また、平成 22 年からカシノナガキクイ

ムシによる「ナラ枯れ」という森林病

虫害が発生しています。

図表 111 マツ材線虫病被害量

資料:県森林整備課調べ

020406080

100120140

44 48 52 56 60 元 5 9 13 17 21 25 26 27 28

千㎥

6,155

4,5074,939

6,153

3086 3,2364,0404,036

0

2,000

4,000

6,000

8,000

H17 22 23 24 25 26 27 28

百万円

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257

6 ニホンジカの推定生息数と捕獲数

・県内のニホンジカは、伊豆半島や富士山周辺を中心に個体数が大幅に増加して

おり、近年は富士川以西でも増加の傾向が見られます。ニホンジカの増加によ

り、植栽した苗木の食害等の林業被害だけでなく、下層植生の消失や単一化、

踏み付けによる土壌の流失等の自然環境への影響が懸念されています。そこで、

わな捕獲の普及や牧場の柵を囲いワナに見立てた一斉捕獲、誤作動を減らした

くくりわなの開発などに取り組んだ結果、ニホンジカの捕獲頭数は大幅に増加

しています。

図表 112 伊豆・富士地域のニホンジカの推定生息頭数 図表 113 ニホンジカの捕獲頭数

※推定⽣息頭数中央値 ± 標準誤差 資料:県自然保護課調べ

資料:県自然保護課調べ

7 しいたけ生産量と生産者戸数

・しいたけ生産量は、昭和 60 年をピークに大きく減少しましたが、生産資材の

導入支援などに取り組んだ結果、近年は 2,200t程度で横ばいになっています。

一方、生産者戸数は、後継者不足などから依然として減少傾向が続いています。

図表 114 しいたけ生産量と生産者戸数の推移

資料:県林業振興課調べ

19,414

16772

12,7859,538

9,0076,072

4,5675,397

0

5,000

10,000

15,000

20,000

H15 H17 H19 H21 H23 H25 H27 H28

3,452

5,671

6,086

2,207

5,031

7,295

2,2722,429

6,493

3513984907743,158

7,291 6,224

01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,000

S40 S50 S60 H7 H17 H22 H27 H28

01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,000

⼾⽣産量⽣産者⼾数

地域 H18 H21 H24 H27

21,000 22,000 18,000 24,000±8,000 ±11,000 ±6,000 ±8,000

10,000 17,000 18,000±6,000 ±12,000 ±7,000

伊⾖

富⼠ -

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258

8 県民の参加

(1) 自然ふれあい施設利用者数

・自然ふれあい施設の利用者数は、様々

な媒体を利用した情報の発信や、自然

体験プログラムの充実などに取り組み

ましたが、利用の中心はリピーターで、

ほぼ横ばいとなっています。

(2) 森づくり活動への参加者数

・森づくり活動への参加者数は、「森づくり県民大作戦」の通年開催への変更、

森づくり団体のイベント情報の発信などに取り組んだ結果、増加しています。

図表 116 森づくり県民大作戦参加者数

資料:県環境ふれあい課調べ

(3) 環境学習指導員の養成人数

・環境学習指導員の養成人数は、新

規の指導員を確保するため、県民

だよりによる広報のほか、大学や

社会教育施設にも呼びかけて養成

講座を開催し、ほぼ横ばいとなっ

ています。

181716

17

21

15

0

5

10

15

20

25

H23 H24 H25 H26 H27 H28

⼈ 図表117 環境学習指導養成講座で養成した人数

28,23028,343

26,66525,332

12,98314086

6,390

0

10,000

20,000

30,000

H12 H15 H18 H21 H24 H27 H28

図表 115 自然ふれあい施設利用者数

資料:県環境ふれあい課調べ

1,0911,0281,0441,042

1,0391,0431,0681,187

0

500

1,000

1,500

H13 H18 H23 H24 H25 H26 H27 H28

千⼈

資料:県環境政策課調べ

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259

Ⅵ ⽔産業の現状 1 世界の漁業・養殖業生産

<世界の漁業生産量>

・世界の漁業(養殖業を除く)の生産量は、1980 年代後半以降、頭打ちとなって

おり、平成 27 年は 9,377 万トンとなっています。国別では、中国の生産量が

1,785 万トンと最も多く、世界の 19%を占めています。また、我が国の生産量

(358 万トン)は世界の 3.8%を占めています。

・ 世界の漁獲量の上位を占める魚種をみると、ペルーカタクチイワシ(アンチョ

ビー)やマサバ等の多獲性浮魚類は、環境変動により資源水準が大幅な変動を

繰り返すことから、漁獲量も増減を繰り返しています。スケトウダラ及び大西

洋タラの漁獲量は回復傾向にありますが、ピーク時に比べると低水準となって

います。カツオ及びキハダの漁獲量は増加傾向で推移しています。

資料:(日本)漁業・養殖業生産統計(農林水産省)、(日本以外)Fishstat(Capture Production、Aquaclture Production)(FAO)

資料:Fishstat(Capture Production)(FAO)

図表 118 世界の漁業・養殖業生産量の推移

図表 119 世界の主要魚種の漁獲量の推移

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260

<世界の養殖生産量>

・平成 27 年における世界の養殖業生産量は 10,601 万トンで、平成 12 年から 27

年にかけて 154.1%増加し、漁業生産量と拮抗する規模となっています。国別

では、中国の生産量が 6,154 万トンと最も多く世界の 58%を占めています。我

が国の生産量(111 万トン)は世界の 1.0%を占めています。中国の養殖生産の

うち、海面養殖においてはコンブ等の海藻類が生産量の約5割を、また、内水

面養殖においてはコイ・フナ類が約6割を占めています。

・海面養殖においては工業用原料となる海藻類を多く生産するインドネシアやフ

ィリピン、サケ・マス類で大きなシェアを持つノルウェー、チリ等が生産量を

増加させています。一方、我が国及びEUの海面養殖業生産量は、2000 年代前

半以降横ばいから漸減傾向で推移しています。

・内水面においては、中国のほか、インド、インドネシア、ベトナム等がコイ・

フナ類等の魚類養殖で生産量を伸ばしています。

資料:Fishstat(Capture Production、Aquaclture Production)(FAO)

図表 120 世界の主要漁業国・地域の漁獲量の推移

資料:(日本)漁業・養殖業生産統計(農林水産省)、(日本以外)Fishstat(Capture Production)(FAO) 注:先進国及び発展途上国の別は国際連合による。

図表 121 世界の海面養殖業及び内水面養殖業生産量の推移

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261

2 水産物輸出入の動向

<水産物輸入の動向>

・我が国の水産物輸入量は、平成 13 年に過去最高の 382 万トンとなった後、平成

21 年にかけて国内消費の低下等を反映して減少傾向で推移しました。平成 28

年の輸入量は、前年から4%減の 238 万トンとなっています。

・輸入金額については、リーマンショックの影響を受けた平成 21 年以降増加して

きましたが、平成28年には、前年から7%減の1兆5,979億円となっています。

・主な輸入先は中国(18%)、米国(8.5%)、チリ(7.5%)となっています。

資料:Fishstat(Aquaclture Production)(FAO)

資料:(日本)漁業養殖業生産統計(農林水産省)、(日本以外)Fishstat(Aquaclture Production)」(FAO)

図表 122 世界の養殖業における主要魚種の生産量の推移

図表 123 世界の主要養殖国・地域の生産量の推移

図表 124 水産物輸入量・輸入金額の推移(左)と輸入金額の国別内訳(右)

資料:貿易統計(財務省)

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262

<水産物輸出の動向>

・我が国の水産物輸出は、平成23年に東京電力福島第一原発の事故による各国の

輸入規制や円高等の影響等により落ち込んだ後、平成25年以降は増加傾向で推

移してきました。

・しかしながら、平成28年には再び減少に転じ、輸出量は前年から3%減の54万

トン、輸出金額は4%減の2,640億円となっています。これは、主に平成26、

27年に2年連続でオホーツク海沿岸に来襲した爆弾低気圧の影響等により、輸

出の主力品目であるホタテガイの漁獲量が大幅に減少したことによるもので

す。

・ 国内の水産物市場が縮小する一方で、世界の水産物市場はアジアを中心に拡大

しており、世界市場に向けて我が国の高品質で安全な水産物を輸出していくこ

とは、販路拡大や漁業者の所得向上にもつながる重要な手段です。

・ このために、国では、輸出の取組の主役である農林漁業者のチャレンジや創意

工夫が一層引き出され、意欲的な取組が行われる側面から支援していくととも

に、外国の規制等に対しては政府として全力で対応していくこととしています。

・ 平成28年8月に閣議決定された「未来への投資を実現する経済対策」では、平

成31年に農林水産物・食品輸出額1兆円を達成することを目指すこととされて

おり、水産物についても、平成31年に輸出額を3,500億円とすることを目指し

ています。

・ 主な輸出の相手国は香港(30.3%)、中国 (16.0%)、米国 (13.2%)となってい

ます。

資料:貿易統計(財務省)

図表 125 水産物輸出量・輸出金額の推移(左)と輸出金額の国別内訳

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263

3 水産業・漁村を取り巻く国内情勢

<漁業生産>

・ 平成27年の国内漁業・養殖業生産量は、前年比2%減の496万トンでした。こ

れは主に主産地であるオホーツク海沿岸で爆弾低気圧の被害を受けたホタテ

ガイや、海流の影響により我が国沿岸に好漁場が形成されず資源量も減少して

いるサンマの漁獲量が減少したこと等の影響です。

・ 生産額は前年比6%増加の1兆5,916億円でした。これは主に、キハダ、メバ

チ、カツオ等の価格が上昇したこと、マイワシの漁獲量が増加したこと等の影

響です。

資料:漁業・養殖業生産統計(農林水産省)

図表 126 漁業・養殖業の生産量・生産額の推移

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264

<水産加工品>

・ 平成26年における水産加工業の出荷額は前年比2.5%増の3兆982億円でした。

・ 国内の食用魚介類の国内消費仕向量の6割が加工向けで、水産加工業は、水産

物の国内仕向け先として重要となっています。

・ 水産加工場の多くは、沿海市町村に立地し、水産加工業は漁村地域の基幹産業

となっています。

<担い手>

・ 漁業就業者数は減少が続いており、平成28年は前年から4%減少して、16万20

人、高齢化率(65歳以上の者の割合)は37.0%となっています。

・ 漁業の安全な操業の確保のために必要な海技士の資格を有する者が高齢化し

ており、その確保が漁業経営上の重要な課題となっています。

資料:工業統計(経済産業省)、経済センサス-活動調査(総務省)注:従業員数3人以下の事業所を除く。

資料:漁業センサス、漁業就業動向調査報告書(農林水産省)

図表 127 水産加工業の出荷額の推移

図表 128 漁業就業者数の推移

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265

<消費>

・ 魚介類の1人当たり年間消費量

は、平成28年度概算で過去最低

を更新しました。

4 静岡県水産業の現状

・本県水産業は、その変化に富んだ沿岸地形や海洋条件、また首都圏、中京圏に

挟まれる物流に有利な地理的条件などの背景により、海面漁業をはじめ、養殖

業や、水産加工業・流通業においても、特色ある多種多様な業態が発達してい

ます。

<漁業生産>

・ 海面漁業の生産量は昭和 62 年の 37 万トンをピークに近年は 20 万トン台で横

ばい傾向になっています。平成 28 年は前年より 11.3%減少し 18 万3千トン

で全国4位となっています。また、生産額も長期的に減少傾向にあり、近年は

500 億円台を増減して推移しています。平成 27 年は前年よりも 9.9%増加し

559 億 1,100 万円で全国3位となっています。

・ 本県は古くから遠洋漁業が盛んであり、遠洋かつお・まぐろまき網の漁獲量が

多くなっていますが、遠洋漁業は国際的な資源管理のための漁獲規制や、漁獲

競争の激化により、厳しい操業状況におかれています。

・ 沿岸沖合漁業では、近海かつお・まぐろまき網漁業、中・小型まき網、あじ・

さば棒受網、しらす船びき網、さくらえび船びき網の漁獲量が多くなっていま

す。漁獲量は資源量や海況変動など自然要因に大きく左右され、不安定です。

また、零細規模の経営体が大半を占めているため、近年における魚価の低迷は、

漁業経営に大きな影響を与えています。

・ 各浜では、浜の活力再生プランや浜の活力再生広域プランを策定し、水産業の

6次産業化、水産物の高付加価値化、中核的担い手の育成等に取り組み、競争

力の強化を図っています。

・ 内水面漁業における平成 28 年の生産量は前年と同量の1トンで、これはアユ

の天然種苗採捕量でした。

・ 海面養殖業における平成 28 年の生産量は前年より 13.5%減少し、2万3千ト

ンであり、平成 27 年の生産額は前年に比べて 0.04%減少し 22 億 8,600 万円

0

10

20

30

40

50

平成元 6 11 16 21 26

平成13年度40.2kg/人

(ピーク時)

平成28年度(概算値)24.6kg/人

0

10

20

30

40

50

平成元 6 11 16 21 26

平成13年度40.2kg/人

(ピーク時)

平成28年度(概算値)24.6kg/人

資料:平成 28 年度食料需給表(農林水産省)

図表 129 食用魚介類の 1 人当たり年間消費量の推移

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266

0

10

20

30

40

50

60

昭和50 昭和55 昭和60 平成2 平成7 平成12 平成17 平成22 平成270

200

400

600

800

1000

1200生産量 生産額(海面漁業)

で、生産量が 25 位、生産額が全国 24 位となっています。本県では主にマダイ、

マアジ、ノリ(ヒトエグサ)、カキの養殖が行われ、このうちマアジ養殖につ

いては、平成28年の生産量が432トン、平成27年の生産額が5億3千万円で、

ともに全国1位となっています。

・ 内水面養殖業における平成 28 年の生産量は前年より 4.4%減少し3万1千ト

ンでした。このうちニジマス養殖は1万1千トン(前年比 99%)で、前年に

引き続き全国1位となっています。また、ウナギ養殖は1万7千トン(前年比

90%)となっています。

・ 養殖業は技術開発と普及指導により生産量及び生産額の増大を図ってきまし

たが、近年は中国を中心とした新興国における飼料需要の拡大や養殖飼料の主

原料であるペルーのカタクチイワシの漁獲量の減少を背景に、飼料の高騰によ

り生産コストが増大し、苦しい経営状況におかれています。こうした中、新商

品開発や水産物の高付加価値化、観光と連携した取組により販売力の強化を図

っています。

<担い手>

・ 本県の漁業就業者数は減少傾向にあり、平成25年は5,750人で60歳以上の占め

る割合は45%と全国の42%を上回っています。

資料:漁業・養殖業生産統計(農林水産省)

図表 130 静岡県の漁業生産量・生産額の推移

漁業就業者数の推移

309

186941

1,709

2,605

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

S58 S63 H5 H10 H15 H20 H25

(男)60歳以上

(男)40~59歳

(男)25~39歳

(男)15~24歳

(女)

全国比較(H25)

5%13%3%

3%16%13%

30%29%

45% 42%

静岡 全国

(男)60歳以上

資料:2013 年漁業センサス(農林水産省)

図表 131 静岡県の漁業就業者数

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267

0

50

100

150

200

250

300

元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

千トン

・本県の漁業経営体数は平成25年には2,678経営体と長期減少傾向にある中、専

業経営体の比率が増加しており、近年の新規着業が専業中心であると推測され

ます。

<水産加工品>

・ 水産加工品生産量は、平成元年~5年には年間 25 万トンを超えていましたが、

それ以降は長期減少傾向にあり、平成 28 年の生産量(水産缶詰含む)は 14 万

6千トンとなっています。品目別には、冷凍食品が2万7千トン、ねり製品(か

まぼこ類)が2万7千トン、塩干・塩蔵・素干し・煮干し品が計2万7千トン、

節製品が1万6千トンとなっています。

・ 本県水産加工業は大半が小規模経営体で、9 人以下の経営体が全体の約6割

(H25 年)を占めています。

・ 水産加工業界は、3Kの劣悪な過酷な労働環境や低賃金などによる人手不足、

原魚の高騰、HACCP導入義務化に向けたソフト・ハード両面からの衛生管

理対策など多くの課題を抱えています。

・ さらに、消費者の生活様式や食生活が多様化してきており、またその変化が速

いため、消費者ニ―ズの的確かつ迅速な把握とそれに基づく新製品の開発も必

要となっています。

資料:水産加工品統計調査(農林水産省)

図表 133 静岡県の水産加工品生産量の推移

資料:2013 年漁業センサス(農林水産省)

図表 132 静岡県の漁業経営対数

120

220155

891454

951

7231,559 752

944

1,782

1,098

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

昭和63 平成5年 平成10年 平成15年 平成20年 平成25年

経営体

団体経営体 専業 第1種兼業 第2種兼業

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268

25.7

21.1

22.822.923.1

767

704 748

764

743

20

25

30

24 25 26 27 28 年

万トン

600

620

640

660

680

700

720

740

760

780

億円数量

金額

品 目 生産量

(トン)

全国シェア

(%)

全国

順位

塩干・塩蔵・素干し・煮干し 27,379 6.9 4

塩干品 19,648 12.6 2

煮干し品 5,722 10.2 1

塩蔵品 1,738 1.0 12

素干し品 271 2.4 5

くん製品 27 0.4 10

節製品 16,202 19.9 2

ねり製品(かまぼこ類) 27,296 5.3 6

冷凍食品・冷凍水産物 26,901 10.6 2

その他の食用加工品 12,955 3.4 8

水産缶詰 35,697 35.1 1

合 計 146,457 8.5 3

<水産流通>

・ 平成 28 年度の県内産地市場の取扱数量は 21 万1千トン、取扱金額は 743 億円

で、漁業生産量の約4割を占めるカツオの不漁等により取扱数量は前年の93%

となっています。

・ 近年の県内産地市場は、流通経路の多様化に伴う市場経由率の低下、取扱高の

伸び悩み、人件費の上昇などにより、経営が圧迫されています。また、消費者

に安全で安心な水産物を提供するために高度衛生管理への対応が求められて

います。

・ 平成 28 年度の県内消費地市場の取扱数量は6万1千トン、取扱金額は 538 億

円となっています。消費地市場は市場外流通の増加、市場間競争の激化、価格

形成力の弱体化等多くの課題を抱えています。

資料:水産加工品統計調査(農林水産省)、缶詰時報((公益)日本缶詰びん詰レトルト食品協会)

図表 134 水産加工品の品目別生産量(平成 28 年)

図表 135 静岡県の産地市場における水産物流通量の推移

資料:静岡県卸売市場関係資料

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269

Ⅶ エネルギーの現状

1 県内の現状

<エネルギーの地産地消の状況>

・平成 28 年度の新エネルギー等導入量は、平成 27 年度から 13%増加し、約 105

万 kl となりました。

・中でも、太陽光発電の導入量は、平成 27 年度から 28%増加して 152 万 kW に達

し、着実に導入が進んでいます。固定価格買取制度の導入により平成 25、26

年度は急速に増加する一方、平成 27 年度は平成 26 年度導入量の1/2と導入

の伸びが大きく鈍化しましたが、平成 28 年度は平成 27 年度の増加量を上回っ

ています。

0.00

20.00

40.00

60.00

80.00

100.00

120.00

H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

万㎘

0.00

2.00

4.00

6.00

8.00

10.00

12.00

14.00万㎘

導入量累計 単年度導入量

・新エネルギー等導入量に占める割合が一番大きいのはガスコージェネレーショ

ン(41%)であり、次いで太陽光発電(35%)となっています。

図表 137 新エネルギー等導入量の内訳

太陽光発電35.4%

風力発電7.5%

ガスコージェネレーション41.2%

太陽熱利用6.7%

バイオマス7.9%

温泉熱0.0%

中小水力発電1.3%

資料:県エネルギー政策課調べ

・中小水力発電、天然ガスコージェネレーションは、平成 28 年度に設備の新設

があり、導入量が拡大しました。

図表 136 新エネルギー等導入量の推移

資料:県エネルギー政策課調べ

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270

・新エネルギー等導入量に、需要地に近接したところで供給される中規模水力発

電や小規模火力発電等を加えた「地産エネルギー」の導入量は、新エネルギー

等の導入が拡大した結果、平成 27 年度から 15%増加し、平成 28 年度は 153 万

kl となりました。新エネルギーは地産エネルギー全体の4割を占めています。

・小規模火力は、平成 27 年度の導入はありませんでしたが、平成 28 年9月から

小規模石炭火力発電所(112,000kW)が稼働しています。

・地産エネルギー導入率(最終エネルギー消費量に対する地産エネルギー導入量

の割合)は、平成 28 年度 16%(暫定値)となり、平成 27 年度から2ポイント

上昇しました。また、新エネルギー等導入率(暫定値)は 11%となり、平成

27 年度から2ポイント上昇しました。

図表 138 地産エネルギー導入量の推移

H26 年度 H27 年度 H28 年度 設備容量

(万 kW)原油換算(万 kl)

設備容量(万 kW)

原油換算 (万 kl)

設備容量 (万 kW)

原油換算(万 kl)

太陽光発電 96.6 23.7 118.4 29.0 152.0 37.2太陽熱利⽤ - 7.0 - 7.0 - 7.1⾵⼒発電 14.2 6.3 17.7 7.9 17.7 7.9

発電 4.0 2.9 4.0 2.9 4.0 2.9バイオマス

熱利⽤ - 4.2 - 5.4 - 5.4中⼩⽔⼒発電 1.1 1.3 1.1 1.3 1.2 1.4

新エネルギ

計 - 44.7 - 53.5 - 61.9⽔⼒(1 千 kW〜3 万 kW) 16.0 19.6 16.0 19.7 16.3 20.0地熱、海洋再⽣可能エネルギーなど - - - - - - ⽕⼒(15 万 kW 未満) 17.6 10.0 17.6 10.0 29.9 17.1ガスコージェネレーション 40.8 35.8 45.2 39.6 49.0 43.3その他のコージェネレーション 11.8 10.3 11.9 10.4 11.9 10.4地産エネルギー計 120.4 133.2 152.6最終エネルギー消費量 1,002.2 ※(982.8) ※(982.8)地産エネルギー導⼊率 12% 14% 16%(参考)新エネルギー等導⼊率 8% 9% 11%

※平成 27・28 年度の最終エネルギー消費量は暫定値(平成 27 年度最終エネルギー消費量(暫定値)) 資料:県エネルギー政策課調べ

・地産エネルギーによるエネルギー自立化率(電力、熱・蒸気といった二次エネ

ルギー消費量に対する地産エネルギー導入量の割合)は、石油、石炭、ガスに

比べて二次エネルギーは備蓄が難しいことから、これらの需要を地産エネルギ

ーにより最大限賄うことが求められます。

・平成 28 年度のエネルギー自立化率(暫定値)は 45%となり、平成 27 年度から

6ポイント上昇しました。

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271

図表 139 地産エネルギー導入率・エネルギー自立化率の推移

(単位:原油換算 万 kl) H26 年度 H27 年度 H28 年度 地産エネルギー導⼊量 A=B+C 120.4 133.2 152.6

新エネルギー等導⼊量 B 80.5 93.1 105.1 中規模⽔⼒、⼩規模⽕⼒等 C 39.9 40.1 47.5

最終エネルギー消費量 D 1,002.2 982.8 982.8 うち電⼒、熱・蒸気 E 342.2 341.1 341.1 地産エネルギー導⼊率 A/D 12% 14% 16% エネルギー⾃⽴化率 A/E 35% 39% 45% (参考)新エネルギー等導⼊率 B/D 8% 9% 11%

資料:県エネルギー政策課調べ

・最終エネルギー消費量(平成 27 年度暫定値)は、産業、民生、運輸のすべて

の部門において前年度から減少し、982.8 万 kl(原油換算)でした。

・平成 17 年度を基準とする平成 27 年度の最終エネルギー消費量の削減率は

17.6%となり、過去最大の削減率でした。

図表 140 最終エネルギー消費量及び平成 17 年度比削減率の推移

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

万㎘-20%

-15%

-10%

-5%

0%

エネルギー消費量 H17年度比削減率

資料:都道府県別エネルギー消費統計(経済産業省資源エネルギー庁)

・ 県内の部門別の最終エネルギー消費量は、産業・民生・運輸のすべての部門

において平成 21 年度から 27 年度までの6年間で減少しており、全体で 7.0%

減少しました。平成 21 年度から 23 年度にかけてやや増加しましたが、23 年

度をピークに年々1~5%程度ずつ減少しています。全体の4割を占める産

業部門では、平成 21 年度から 27 年度にかけて 9.0%減少しています。

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272

図表 141 県内の最終エネルギー消費量

(単位:原油換算万 kl)

部⾨ H21年度 H22年度 H23年度 H24年度 H25年度 H26年度 H27年度※ 増減 (H27/H21)

産業 465.4 494.0 510.0 465.8 432.2 433.4 423.3 ▲9.0⺠⽣家庭 144.1 159.9 159.4 157.4 149.0 142.8 138.0 ▲4.2⺠⽣業務 188.2 175.7 179.3 174.2 183.4 178.8 178.4 ▲5.2運輸 258.8 259.6 256.0 261.8 255.7 247.2 243.1 ▲6.1合計 1,056.5 1,089.2 1,104.7 1,059.2 1,020.3 1,002.2 982.8 ▲7.0※H27 年度は暫定値

資料:都道府県別エネルギー消費統計(経済産業省資源エネルギー庁)

・最終エネルギー消費量は、平成 21 年度からの6年間で 7.0%削減されています

が、実質県内総生産は 15 兆 7,024 億円から 16 兆 4,097 億円と 4.5%増加して

います。

・平成 24 年度を 100 としたエネルギー消費効率(GDP当たりのエネルギー消

費量)は、平成 25 年度は改善したものの、その後は足踏みしています。

図表 142 エネルギー消費効率(最終エネルギー消費量/GDP)

H21年度 H22年度 H23年度 H24年度 H25年度 H26年度 H27年度※

最 終 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 A(万 kl)

1,056 1,089 1,104 1,059 1,020 1,002 982

実質県内総⽣産 B (億円)

157,024 165,918 170,138 168,772 172,466 167,300 164,097

エネルギー消費効率 A/B (H24 年度=100)

107 105 103 100 94 95 95

※H27 年度は暫定値 資料:県エネルギー政策課調べ

・県内のエコアクション 21 の認証事業所数は、平成 28 年度末現在で 991 事業所

であり、平成 18 年度以降、全国 1位を維持しています。

図表 143 エコアクション 21 認証・登録事業者数(上位3都府県及び全国平均の推移)

エコアクション21認証・登録事業者数(上位3都府県及び全国平均の推移)

138211

325

845 836 830

934 960 991

119

475 490 495

161 164 166

861861842

695

552

581

912907848

731

430

278

132

476446408362299

237168 160

155148130936947300

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

H18年

度末

H19年

度末

H20年

度末

H21年

度末

H22年

度末

H23年

度末

H24年

度末

H25年

度末

H26年

度末

H27年

度末

H28年

度末

東京都

静岡県

大阪府

全国平均

全国平均

大阪府

東京都

静岡県(件)

資料:県環境政策課調べ

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273

・ EV・PHVの県内の台数は、平成 22 年 12 月の 126 台から、平成 29 年3月

には 5,837 台に大幅増加しました。

・ また、県内のEV用の充電器も平成 22 年 12 月の 82 基から、平成 29 年3月

には 907 基と 11 倍に増加しています。

図表 144 次世代自動車・充電器の普及状況

普及実績 区 分 H22.12 H24.3 H25.3 H26.3 H27.3 H28.3 H29.3 ⾞ 両 512 台 1,833 台 3,143 台 4,229 台 5,274 台 6,277 台 6,799 台EV・PHV※ 126 台 944 台 2,095 台 3,171 台 4,245 台 5,046 台 5,837 台 電動⼆輪 386 台 889 台 1,048 台 1,058 台 1,029 台 1,231 台 962 台充電器 82 基 240 基 347 基 392 基 501 基 821 基 907 基

急 速 16 基 47 基 77 基 97 基 160 基 226 基 - 普 通 66 基 193 基 270 基 295 基 341 基 595 基 - ※EV:電気自動車、PHV:プラグインハイブリッド車

資料:県エネルギー政策課調べ