高速adcのinl及びdnlの測定 13 - maxim integrated · 2003. 8. 26. · アーティクル...

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アーティクル 適正なレイアウトと部品の選択によるEMIの抑制 3 高速ADCのINL及びDNLの測定 13 ニュープロダクト データコンバータ ナイキスト周波数でSFDR 73dBcの10ビット、80Msps、低電力ADC (MAX1444/46/48) 18 SOT23パッケージの低コスト、低電力DACファミリ (MAX5360~65, MAX5380~85) 18 光ファイバIC オーバロード+0dBの3.0V~5.5V、2.5Gbpsトランスインピーダンスアンプ (MAX3864) 18 アナログスイッチ/マルチプレクサ ±5Vアプリケーション用に最適化された低オン抵抗アナログスイッチ (MAX4675~79) 18 オン抵抗が3.5Ωの8:1及びデュアル4:1アナログマルチプレクサ (MAX4638/39) 19 アンプ及びコンパレータ 22kHzでPSRRが90dB以上のクリックレス/ポップレス (MAX4298) 19 ステレオヘッドホンドライバ 精度16ビットの180MHz、デュアル電源オペアンプ (MAX4430~33) 19 ファン速度レギュレータ ファン速度を監視・制御する超小型IC (MAX6650/51) 19 フィルタIC 省スペース、省電力のデュアル汎用スイッチトキャパシタフィルタ (MAX7490/91) 20 システム電源IC 最大28Vを供給するSOT23パッケージのLCDバイアス電源 (MAX1605/06) 20 μMAXパッケージの高電圧40V DC-DCステップダウンコントローラ (MAX1744/45) 20 同期整流器付の1MHz、低電圧ステップダウンレギュレータ (MAX1742/1842/43) 20 バッテリ管理IC 内部電源スイッチ付の1.5A Li+バッテリ充電器 (MAX1757/58) 21 精度0.7%の入力電流制限バッテリ充電器 (MAX1772) 21 ディスプレイドライバIC 輝度範囲の広いCCFLバックライトコントローラ (MAX1739/1839) 21 インタフェースIC 表面実装パッケージの絶縁RS-422/RS-485トランシーバ (MAX3157) 22 3V、1μAマルチプロトコルインタフェース (MAX3160/61/62) 22 出力パルススキューが250ps以下、SOT23のLVDS (MAX9110~13) 22 監視回路IC バッテリバックアップ付、SOT23パッケージの低電力μP監視回路 (MAX6361~64) 22 ワイヤレスIC 2.8V単一電源、セルラバンドリニアパワーアンプ (MAX2251) 23 完全デュアルバンド直交トランスミッタ (MAX2366/67/68) 23 IIP3可変、UCSPパッケージの低ノイズSiGeアンプ (MAX2374) 23 高リニアリティ、アプリケーションがフレキシブルな (MAX2645) 23 業界初の3.5GHz SiGe LNA Volume Forty-One

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アーティクル 適正なレイアウトと部品の選択によるEMIの抑制 3

高速ADCのINL及びDNLの測定 13

ニュープロダクト データコンバータ

• ナイキスト周波数でSFDR 73dBcの10ビット、80Msps、低電力ADC (MAX1444/46/48) 18• SOT23パッケージの低コスト、低電力DACファミリ (MAX5360~65,

MAX5380~85) 18光ファイバIC

• オーバロード+0dBの3.0V~5.5V、2.5Gbpsトランスインピーダンスアンプ (MAX3864) 18

アナログスイッチ/マルチプレクサ

• ±5Vアプリケーション用に最適化された低オン抵抗アナログスイッチ (MAX4675~79) 18• オン抵抗が3.5Ωの8:1及びデュアル4:1アナログマルチプレクサ (MAX4638/39) 19

アンプ及びコンパレータ

• 22kHzでPSRRが90dB以上のクリックレス/ポップレス (MAX4298) 19ステレオヘッドホンドライバ

• 精度16ビットの180MHz、デュアル電源オペアンプ (MAX4430~33) 19

ファン速度レギュレータ

• ファン速度を監視・制御する超小型IC (MAX6650/51) 19

フィルタIC

• 省スペース、省電力のデュアル汎用スイッチトキャパシタフィルタ (MAX7490/91) 20

システム電源IC

• 最大28Vを供給するSOT23パッケージのLCDバイアス電源 (MAX1605/06) 20• µMAXパッケージの高電圧40V DC-DCステップダウンコントローラ (MAX1744/45) 20• 同期整流器付の1MHz、低電圧ステップダウンレギュレータ (MAX1742/1842/43) 20

バッテリ管理IC

• 内部電源スイッチ付の1.5A Li+バッテリ充電器 (MAX1757/58) 21• 精度0.7%の入力電流制限バッテリ充電器 (MAX1772) 21

ディスプレイドライバIC

• 輝度範囲の広いCCFLバックライトコントローラ (MAX1739/1839) 21

インタフェースIC

• 表面実装パッケージの絶縁RS-422/RS-485トランシーバ (MAX3157) 22• 3V、1µAマルチプロトコルインタフェース (MAX3160/61/62) 22• 出力パルススキューが250ps以下、SOT23のLVDS (MAX9110~13) 22

監視回路IC

• バッテリバックアップ付、SOT23パッケージの低電力µP監視回路 (MAX6361~64) 22

ワイヤレスIC

• 2.8V単一電源、セルラバンドリニアパワーアンプ (MAX2251) 23• 完全デュアルバンド直交トランスミッタ (MAX2366/67/68) 23• IIP3可変、UCSPパッケージの低ノイズSiGeアンプ (MAX2374) 23• 高リニアリティ、アプリケーションがフレキシブルな (MAX2645) 23

業界初の3.5GHz SiGe LNA

Volume Forty-One

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適正なレイアウトと

部品の選択による

EMIの抑制

殆どの携帯機器はレギュレータやその他の電源を備えて

います。ソリグラフィICの小型化に伴う電源電圧の低下

により、携帯機器以外にもこの様な電源回路が必要に

なってきました。設計者の多くは十分に理解していない

ことですが、異なるタイプのレギュレータ及び電源の

長所短所の考慮により、バッテリ寿命、EMI/EMC規格へ

の適合、さらには設計中の製品の基本的な動作にまで

大きな影響が出てきます。以下の概説は電源における

電気的ノイズの発生と伝播を支配するメカニズムと物理的

原理を説明しています。

電圧レギュレータ

最も一般的な電力コンバータは電圧レギュレータです。

電圧レギュレータは所与の範囲で変動する電圧を受け

付け、変動しない出力電圧を生成します。レギュレータ

には、スイッチングタイプ及びその他(主にリニア及び

シャントタイプ)という2つの主要なタイプがあります。

リニア及びシャントタイプは、スイッチングレギュレータ

と違って出力電圧が入力電圧よりも低くなければならない

という制限があります。また、殆どのスイッチングレギュ

レータの効率はリニア又はシャントレギュレータに比べて

優れています。しかし、リニア/シャントタイプは

低ノイズかつシンプルであるため、スイッチングレギュ

レータに対して魅力的な代替方法となります。

電圧レギュレータの最もシンプルなタイプはシャント

レギュレータです。シャントレギュレータは抵抗を流れる

電流を調整することにより、入力電圧を安定化出力レベル

に落とします。ツェナーダイオードは同様の機能を持って

いますが、ツェナーは電力消費が大きく、負荷レギュ

レーション(負荷電流の変化に対する出力電圧の変化)が

劣っています。一部のシャントレギュレータは分圧器を

使ってレギュレーション電圧を設定できるようになって

いますが、このタイプはより複雑なレギュレータ又は

電源の中の構成ブロックとして登場するのが普通です。

一般に、シャントレギュレータは負荷電流の変動が少ない

低電力機器に適しています。しかし、能動パス素子(通常

はバイポーラトランジスタ)を加えることでシャントを

リニアレギュレータに変身させれば、この狭いアプリ

ケーション範囲を広げることが可能になります。

リニア電圧レギュレータ

リニア電圧レギュレータは能動パス素子(バイポーラ又は

MOSFET)を使って入力電圧を安定化出力電圧まで落とし

ます。過去10年間で、これらのデバイスは低ドロップ

アウト(LDO)タイプがよく使われるようになってきま

した。ドロップアウトとは、レギュレーションを維持する

のに必要な(入力と出力電圧間の)最小差のことです。

ドロップアウトが1VのものでもLDOと呼ばれることが

ありますが、通常は100mVから300mVのものを指し

ます。

リニアレギュレータの入力電流は出力電流とほぼ等しい

ため、効率(出力電力を入力電力で割ったもの)は出力/

入力電圧比の関数になります。このためドロップアウト

が小さければ効率が上がることになり、ドロップアウト

が重要になってきます。入力電圧が出力電圧よりも高い

場合、あるいは広範囲に変動する場合は高効率を達成する

ことが難しくなります。LDOレギュレータのもう1つの

機能は、スイッチングレギュレータで発生するノイズの

除去の役割を果たすことです(後述)。この役割において

は、LDOレギュレータのドロップアウトが小さければ

回路全体の効率が向上します。

スイッチングレギュレータ

リニア又はシャントレギュレータで性能的に不十分な

場合、設計者はスイッチングレギュレータを考慮しな

ければなりません。しかし、性能が改善される代わりに

サイズとコストがかさむ、電気的ノイズに弱い(さらに

それ自体がノイズを発生)、及び一般に複雑性が増すと

いう欠点が出てきます。

スイッチングレギュレータ又は電源から発生するノイズ

は、伝導又は輻射によって表れます。伝導されたエミッ

ションは電圧又は電流の形を取ります。そして、これらは

各々が同相又は差動モード伝導に分類されます。さらに

複雑なことに、接続ワイヤの有限のインピーダンスの

ために電圧伝導が電流伝導を生じたり、その逆も起こり

ます。また、差動モード伝導が同相伝導を生じたり、

その逆も起こります。

一般に、これらのエミッションのうちの1つ以上を低減

すると回路を最適化することができます。伝導された

エミッションは携帯機器よりも固定機器の方で重大な問題

となります。携帯機器は電池で動作するので、負荷と

ソースはエミッションを伝導する外部との接続が無いため

です。

スイッチングレギュレータにおけるノイズソースを理解

するには、まずその動作を理解する必要があります。

多くのタイプのスイッチングレギュレータについて説明

3

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することはこの小論の範囲を超えています。しかし、

一般にスイッチングレギュレータは能動素子(トランジ

スタ及びダイオード)を使って蓄積素子(インダクタ及び

コンデンサ)を通して電流を往復させることによりソース

電圧/電流を負荷電圧/電流に変換します。例えば、

MAX1653 DC-DCコンバータコントローラは標準的な

同期整流ステップダウンコンバータを形成します(図1)。

通常動作においては、この回路はハイサイドスイッチ

(N1)がオンの時に入力から出力に電流を伝導し、N1が

オフで同期整流器(N2)がオンの時にインダクタを通じて

連続的に伝導します。電流と電圧波形の1次近似(図2)に

おいては、全ての部品が理想的であるという不正確な

仮定をしています。

N1は一部の時間しかオンでないため、入力ソースと

入力コンデンサ(CIN)からみた電流は断続的になります。

CINはN1がオンの時に過剰な電流(IL - IINPUT)を供給し、

N1がオフの時に入力電流から電荷を蓄積します。CINが

無限大で等価直列抵抗(ESR)がゼロ、等価直列インダク

タンス(ESL)がゼロであれば、両端の電圧はこれらの

間欠的充電及び放電サイクルの間一定に留まります。

もちろん実際の電圧は各サイクルで変動します。電流

パルスはCINと入力ソースに分かれ、その分かれ方は

コンバータのスイッチング周波数又はそれより高周波数

における相対的なコンダクタンスによります。

これらの伝導放射エミッションを排除する1つの方法は

強引なアプローチです。つまり、低インピーダンスの

バイパスコンデンサを入力に接続することです。しかし、

もっと巧みな方法を用いればコストと基板面積を節約

することができます。これは、ソースとコンバータの間

にインピーダンスを追加することです(必要なDC電流が

流れるようにします)。最良のインピーダンスはインダ

クタですが、コンバータの入力インピーダンスがループ

クロスオーバ周波数まで低く維持されるようにして下さい

(殆どのDC-DCスイッチングコンバータのループクロス

オーバは10kHzと100kHzの間です)。さもないと、入力

電圧変動によって出力電圧が不安定になります。

出力コンデンサ(COUT)における電流リップルはCINのそれ

よりもずっと小さくなります。振幅が小さく、(入力

コンデンサと違って)電流が連続的であるために高調波

成分が少なくなっています。通常、コイルは1巻きごと

にワイヤ絶縁材で覆われているため、巻き線の各対が

小さなコンデンサを形成します。これらの直列な寄生

コンデンサを足し合せると、インダクタと並列に小さな

寄生コンデンサが形成され、COUT及び負荷への電流イン

パルスの伝導経路を提供します。ですから、スイッチング

ノード(LX)における電圧波形の断続エッジは高周波数

電流をCOUT

及び負荷に伝導し、通常は出力電圧上に

スパイクを生じます(エネルギーは20MHz~50MHzの

範囲です)。

このタイプのコンバータの負荷は多くの場合なんらかの

マイクロエレクトロニクスであるため伝導ノイズに弱い

ですが、幸いなことにこのコンバータの伝導ノイズは

入力よりも出力の方が抑制し易くなっています。入力の

場合、出力伝導ノイズは非常に低いインピーダンスの

バイパス又は2次フィルタリングによって抑制することが

できます。ただし、2次(ポスト)フィルタリングには注意

する必要があります。出力電圧が制御ループにおける

制御変数になっているため、出力フィルタはループ利得

に遅延又は位相(又は両方)を付加することになり、回路が

不安定になることがあります。高QのLCポストフィルタ

4

図1. このステップダウンスイッチングレギュレータは外部スイッチング

トランジスタ(N1)と同期整流器(N2)を備えています。

INPUT5V

OUTPUT3.3V

V+ VL

BST

DH

LX

DL

PGND

CSH

CSLGND

REF

SS

L

N1

N2

D

MAX1653

図2. 図1の回路によるこれらの波形は理想的な部品を使用していると

いう仮定に基づいています。

0

I(INPUT)660mA

I(CIN)0

0

-660mA

330mA

I(L)1.0A

I(COUT)0

0

5V

V(LX)

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をフィードバックポイントの後ろに配置すると、インダ

クタの抵抗が負荷レギュレーションを劣化させ、トラン

ジェント負荷電流によってリンギングが生じることが

あります。

その他のトポロジー

その他のスイッチングコンバータトポロジーもステップ

ダウンコンバータと似た問題を持っています。例えば、

ステップアップコンバータ(図3)はステップダウンコン

バータと基本的に同じ構造ですが、入力と出力が入れ

替わっています。ステップダウンコンバータの入力に

おける問題はステップアップコンバータの出力にもあて

はまり、またその逆も成り立ちます。

ステップダウンコンバータは、出力電圧が入力電圧より

も低くなければならないという制限があります。同様に、

ステップアップコンバータの出力電圧は入力電圧よりも

高い必要があります。この必要条件は、出力電圧が入力

電圧範囲内に収まる場合に問題になります。フライバック

コンバータトポロジーによってこの問題は解決します

(図4)。

入力と出力における電流がいずれも断続的であるため、

伝導エミッションの抑制が難しくなり、フライバックコン

バータのノイズ特性は一般にステップアップや

ステップダウンタイプに比べて劣ります。このコンバータ

の持つもう1つの問題は、各トランス巻き線の電流が

断続的であるということです。この断続性とトランスの

リークインダクタンスの相互作用によって高周波スパイク

が発生して他の回路に伝導することがあります。1次巻線

と2次巻線の物理的な分離によってこのリークインダク

タンスが生じます。従って、このリークインダクタンス

は空気中の磁場によって生じます(これは、コア内の磁場

が1次巻線と2次巻線の両方と結合するからです)。リーク

インダクタンスに起因するスパイクは磁場輻射を生じ

ます。

シングルエンドの1次インダクタンスコンバータ

(SEPIC)トポロジーも、入力と出力電圧の重なりの問題

を解決します。SEPICコンバータはフライバック回路と

似ていますが、トランスの1次巻線と2次巻線の間にコン

デンサが接続されています(図5)。このコンデンサは

フライバック電流がオフの時に1次巻線と2次巻線の電流

に経路を提供し、1次と2次の電流を連続的にすることに

よってフライバック回路を改善します。一方、フライ

バック回路でも入力又は出力容量を付加することによって

エミッションの問題を解決することが可能です。しかし、

伝導及び輻射ノイズが問題になりそうな場合には、SEPIC

回路の方がフライバックよりも好ましいといえます。

5

図3. このステップアップスイッチングレギュレータでは同期整流器は

ありませんが、その他の点ではステップダウンタイプの入力と

出力を入れ替えた形となっています。

VCCVL

REF

FREQ

GNDFB

PGND

CS+

EXT

OUTPUT

INPUT

MAX668

図4. フライバックレギュレータは、出力電圧の上下にまたがる

入力範囲に対してもレギュレーションを維持します。

VCCVL

REF

FREQ

GNDFB

PGND

CS+

EXT

OUTPUT

INPUT

MAX668

図5. SEPICはフライバックレギュレータに似ていますが、1次と2次

の電流が連続的であるためにノイズが小さくなっています。

VCCVL

REF

FREQ

GNDFB

PGND

CS+

EXT

OUTPUT

INPUT

MAX668

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リニアポストレギュレーション

出力ノイズを最小限に抑えなければならないアプリケー

ションにおいても、リニアレギュレータの使用による効率

の低下が許容されない場合があります。こうした場合に

はスイッチングレギュレータの後にリニアポストレギュ

レータを配置するとうまくいくことがあります。ポスト

レギュレータはスイッチングレギュレータが発生する

高周波ノイズを減衰して、リニアレギュレータのみの場合

に近いノイズ性能を実現します。殆どの電圧変換はスイッ

チングレギュレータで起こるため、リニアレギュレータ

のみの場合に比べて効率の損失はずっと少なくて済み

ます。

この方式は、入力及び出力電圧がオーバラップするアプリ

ケーションにおいてフライバック及びSEPICコンバータ

を置換えることもできます。ステップアップコンバータ

は入力が出力より低い時に動作し、リニアレギュレータ

は入力が出力より高い時に動作します。単一のIC内に

ステップアップコンバータとLDOリニアレギュレータを

組み合わせることができます(図6)。このデバイスは

ステップアップコンバータの出力電圧が常にLDO出力

電圧の300mV上になるようなトラックモードを内蔵して

います。この結果、LDOレギュレータは全ての条件に

おいてステップアップコンバータからのノイズを減衰する

ために十分な電源除去比(PSRR)とヘッドルーム(入力-

出力電圧)を維持することができます。

同相ノイズ

定義上、同相伝導は入力と出力の両方と同相になって

います。通常、これが問題になるのはアースグランドへの

経路を持っている固定機器の場合だけです。標準的な

同相フィルタ付のオフライン電源(図7)の場合、同相

ノイズの主なソースはMOSFETです。通常、MOSFET

は回路内の主要な電力消費素子であり、ヒートシンクを

必要とします。

TO-220デバイスの場合、ヒートシンクタブはMOSFET

ドレインに接続し、殆どの場合ヒートシンクはアース

グランドに電流を伝導します。MOSFETは絶縁され、

電気的にもヒートシンクから分離されているため、アース

グランドに対していくらかの容量を持っています。

MOSFETがオン、オフされる時に、急速に変化するドレ

イン電圧が寄生容量(CP1)を通じてアースグランドに

電流を流します。ACラインはアースグランドに対する

インピーダンスが小さいため、これらの同相電流はAC

入力からアースグランドに流れます。トランスもまた、

寄生容量(CP2A

、CP2B

)を通じて高周波電流をアイソ

レートされた1次及び2次巻線の間に流します。このため、

ノイズは入力だけでなく出力にも伝導されます。

図7において、同相伝導ノイズはノイズソース(電源)と

入力又は出力の間の同相ローパスフィルタによって減衰

されます。同相チョーク(CML1、CML2)は一般に単一の

コアの周りに図示の極性で巻かれます。電源を駆動する

ライン電流及び負荷電流はいずれも差動モード電流

(すなわち片方のラインから流れ込み、他方のラインから

流れ出る電流)です。2つの同相チョークを1つのコアに

巻くことにより、差動モード電流に起因する磁場がキャン

6

図7. この標準オフライン電源の同相フィルタは入力と出力の両側で共通のノイズを低減します。

FULLBRIDGE

RECTIFIER

PWMCONTROLLER

COMMON-MODE FILTER COMMON-MODE FILTER

DCOUTPUT

ACLINE

CP2A

CP2BCP1

CML1 CML2

図6. 入力範囲が出力電圧とオーバラップする場合の第3のオプション

として、このICはスイッチングレギュレータ(ステップアップ用)

とリニアレギュレータ(ステップダウン用)を組み合わせて

います。

LXPOUT

OUT

TRACK

FB

LDO

FBLDOGNDPGND

REF

INPUT

OUTPUT

MAX1706

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セルされて蓄積するエネルギーが非常に小さくなるため、

小さなコアを使用できます。

オフライン電源用に設計された多くの同相チョークは

巻線同士の間を物理的に分離しています。この構造は

差動モードインダクタンスを付加するため、伝導差動

モードノイズの低減に寄与します。コアが両方の巻線を

結合するため、差動モード電流と差動モードインダク

タンスに起因する電磁場はコアでなく、空気中に存在

します。このため、輻射エミッションが生成されることが

あります。

電源負荷における同相ノイズは電源からトランスの寄生

容量(CP2A、CP2B)を通じてACラインに伝導することが

あります。トランス内にファラデーシールド(1次と2次

の間のグランドプレーン)を設けると、このノイズを

低減することができます(図8)。このシールドは1次及び

2次とグランドの間にコンデンサを形成し、これらの

コンデンサは同相電流がトランスを通過しないように

グランドにシャントします。

伝導エミッションが電圧又は電流の形を取るように、輻射

エミッションは電界又は磁場の形を取ります。しかし、

その領域は導電体ではなく空間に存在するため、差動と

同相の区別がありません。電界は2つの電位の間に存在し、

磁場は空間を伝わる電流の周りに存在します。いずれの

場も、回路内に存在し得ます。なぜならコンデンサは

電界にエネルギーを保存し、インダクタ/トランスは磁場

の中にエネルギーを保存/結合するからです。

電界

電界は電位の異なる2つの表面又は体積の間に存在する

ため、デバイス内に発生した電界ノイズはデバイスを

グランドシールドで囲むことによって比較的簡単に閉じ

込めることができます。こうしたシールドは、CRT、

オシロスコープ、スイッチング電源等の変動する高電圧

を伴う機器一般で採用されています。もう1つよく使わ

れる方法は回路基板のグランドプレーンを使ったやり方

です。電界は表面同士の間の電位差に比例し、互いの

距離に反比例します。例えば、電界はソースとその近く

にある任意のグランドプレーンの間に存在します。複層

回路基板の場合、回路やトレースと大きな電位との間に

グランドプレーンを配置することによってシールドする

ことが可能です。

しかし、グランドプレーンを使用する時は高電圧ライン

に対する容量性負荷の発生に注意して下さい。コンデンサ

は電界の中にエネルギーを保存するため、導電体の近くに

グランドプレーンを配置するとその導電体とグランドの

間にコンデンサが形成されます。dV/dtの大きな信号が

導電体上を伝わると、大きな伝導電流がグランドに流れる

ため、輻射エミッションは抑制されても伝導エミッション

が悪化します。

電界エミッションが存在する時、最も怪しいのはシステム

内で最も高い電位です。電源及びスイッチングレギュ

レータの場合、スイッチングトランジスタと整流器に

注意して下さい。これらの素子は通常高い電位を持ち、

しかもヒートシンクのために大きな表面積を持っている

からです。表面実装デバイスもこの問題を持っている

場合があります。なぜなら表面実装デバイスはヒート

シンクのために回路基板の銅箔を多く必要とするから

です。この場合、面積の大きなヒートシンク表面と

グランド又は電源プレーンの間の容量にも注意して

下さい。

磁場

電界は比較的容易に閉じ込めることができますが、磁場

となると話が違ってきます。高いµの材質で回路を囲むと効果的なシールドになりますが、この方法は困難かつ

高価です。通常、磁場エミッションを抑制する最良の

方法はソースを抑えることです。これには、輻射磁場を

最小限に抑えるように設計されたインダクタ及びトランス

を選択する必要があります。同様に重要なのは、回路基板

レイアウト及び相互接続配線の構成を工夫して、特に

大電流経路の電流ループのサイズを最小限に抑えること

です。大電流ループは磁場を輻射するだけでなく、導電体

のインダクタンスを増やすため、高周波電流が流れる

ライン上で電圧スパイクが発生することがあります。

インダクタ

トランス又はインダクタの設計経験の少ない設計者は、

既成のトランス及びインダクタを選択しがちです。それ

でも、磁性に関する知識が少しあればアプリケーション

に最適の部品を選ぶことができます。

7

図8. 1次と2次の間にファラデーシールドを設けると、トランスの

巻線間寄生容量を通して伝導する同相ノイズを阻止することが

できます。

WITH FARADAYSHIELD

WITHOUT FARADAYSHIELD

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インダクタのエミッションを低減する上で重要なことは、

高いµの材質を使って磁場をコアの中に閉じ込め、周囲の空間に出さないことです。磁場は高いµの材質の中では

µに比例した高密度になっています。これは並列伝導の

場合とよく似ています。1mS導電体(抵抗1kΩ)と並列に

接続されたコンダクタンス1S(つまり抵抗1Ω)には、1mS

導電体の1000倍の電流が流れます。1000µ、1in2コアと1µ、1in2コアとでは、磁場密度は1000:1の比で分割されます。高いµの材質は大きなエネルギーを保存することができるため、小型インダクタの場合はエアギャップ付の

高いµのコアを使用する必要があります。

その理由を理解するには、図9を参照して下さい。B磁場

(X軸)はV x t/Nに比例します(Nは巻数)。H磁場(Y軸)は

N x iに比例します。従って、曲線の傾き(µに比例)はイン

ダクタンス(L= V[di/dt])にも比例します。このフェライト

(あるいは任意の高いµのコア)にギャップを付加すると、

この傾きが小さくなり、実効µが低下してその結果インダクタンスも低下します。インダクタンスは傾きの変化の

分だけ減少、最大電流は傾きの変化の分だけ増加し、飽和

B磁場は同じレベルに留まります。ですから、インダクタ

に保存される最大エネルギー(1/2 LI2)は増加します。

この増加は、インダクタに電圧を印加してBsatに達する

までの時間を測定することによっても理解できます。

コアに保存されるエネルギーは(V x i)dtを積分したもの

です。ギャップ付コアの場合は同じ電圧と時間に対して

電流が大きくなるため、それに対応する保存エネルギー

も大きくなります。

しかし、コアにギャップを付加するとインダクタの周囲

の空間の磁場輻射が増加します。例えばボビンコアは

大きなエアギャップを持っているために厄介な磁場発生

源となり、このため一部のノイズに敏感なアプリケー

ションにおいては避けられています。ボビンコア(ボビン

の形をしたフェライト)はギャップ付フェライトコアの

最もシンプルで安価なタイプの1つです。センターポスト

の周りにワイヤを巻いてインダクタを作ります。ワイヤを

コアの周りに直接巻くことができてワイヤの終端処理の

他に余分の作業がいらないため、低コストとなっています。

コアの底の金属で覆われた面でワイヤを終端処理して

インダクタを表面実装できるようにしたものがあります。

その他の表面実装部品においては、インダクタはワイヤが

終端処理されているセラミック又はプラスチックヘッダ

に取り付けられています。

一部のメーカはボビンコアの周りにフェライトシールド

を付けて磁場エミッションを低減しています。この方法

は効果がありますが、同時にギャップが減るのでコアに

保存できるエネルギーも減少します。フェライトそのもの

は殆どエネルギーを保存できないため、シールドとコア

の間に小さなギャップを残すのが普通ですが、このために

このタイプのインダクタは望ましくない磁場輻射がある

程度発生します。許容されるエミッションのレベルに

よっては、ボビンコアはコストとEMIの間の妥協点に

なりえます。

その他様々な形のコアもアプリケーションの必要条件に

従ってギャップを入れたり入れなかったりすることがで

きます。例えば、ポットコア、E-Iコア及びE-Eコアは

ギャップの付加が可能なセンターレッグ又はポストを

持っています(図10)。コアのセンターにギャップを付加

すると、センターは完全にコイルに囲まれているために

エアギャップからのエミッションの輻射を低減すること

ができます。これらのインダクタは通常高価になります。

なぜなら、コイルをコアと別に巻かなければならず、

コアをコイルの周りに実装することになるからです。

8

図9. フェライトコアにギャップを付けると、磁束がコアの外に強制的に拡がり、インダクタ又はトランスは周囲の磁場にエネルギーを保存することが

できるようになります。

UNGAPPED FERRITEHIGH µ

GAPPED FERRITELOWER µ

H N x i

B V x t

Hu Hg

Bsat

N

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輻射エミッションを低減するための最適なコアはおそらく

分散ギャップトロイドでしょう。このコアは充填材と

高いµの材質の粉末をドーナツ型のトロイドに押し固めて作ります。非磁性的充填材で互いに隔てられた金属粉末

の粒同士の間に小さなエアギャップがあるために、コア

全体に分散されたエアギャップが形成されます。コイル

は中心を通して、そしてコアの外側に巻かれます。この

ため、磁場はコイルの内部を通って円形に走ります。

コイルがトロイドの全周囲に巻かれている限り、磁場を

完全に囲むので外側はシールドされます。

標準的な分散ギャップ型トロイダルコアの損失はギャップ

付のフェライトよりも大きいことがあります。これは、

トロイド内の金属粒に渦電流が流れて発熱し、電源効率

を低下させるためです。また、コアのセンターを通して

巻かなければならないために巻き作業が高価になります。

これは機械で行うことができますが、従来のコイル巻き

機と比べて遅く、又、高価になります。

一部のフェライトトロイダルコアは個別のエアギャップを

持っています。このため磁場エミッションが分散ギャップ

コアよりも大きくなりますが、標準的なギャップ付トロ

イドは他の個別にギャップを設けたフェライトコアより

も磁場をよく閉じ込めるので損失が小さくなります。

コイルはギャップをシールドしてエミッションを低減し、

トロイドの形によって磁場をコア内部に閉じ込め易く

なっています。

トランス

トランスにはインダクタと共通した制限が多くあります。

これは、トランスも同じコアの周りに巻かれるからです。

しかし、トランスだけの問題もあります。実際のトランスの

性能を理想的なトランスの性能(巻数比に従って1次側の

電圧を2次側に結合)に近づけることは可能です。

等価トランス回路(図11)において、巻線間容量はCWA

及びCWB

としてモデル化されています。これらのパラ

メータに起因する主な問題は絶縁電源の同相エミッション

の問題です。スイッチング電源及びレギュレータの動作

周波数においては巻線容量CP及びC

Sは小さいので通常は

無視することができます。磁化インダクタンスLMは重要

です。これは、磁化電流が大きすぎるとトランスが飽和

するからです。インダクタの場合と同じく、飽和すると

トランスからの磁場エミッションが増加します。また、

飽和するとコア損失が大きくなり、温度が上昇し(熱的

暴走の恐れがあります)、巻線間の結合が劣化します。

リークインダクタンスは1つの巻線をリンクするけれども

他の巻線はリンクしない磁場によって生じます。一部の

結合されたインダクタとトランス(例えば前述の同相

チョーク)はこのパラメータが大きくなるように設計

されていますが、リークインダクタンスLLPとLLSは

スイッチング電源において最も問題の大きい寄生成分です。

2つの巻線を結合する磁束はそれらの巻線を一緒に結合

します。すべてのトランス巻線はコアの周囲にあります

から、リークインダクタンスはコアの外側、つまり空中

にあり、磁場エミッションを生じる可能性があります。

リークインダクタンスのもう1つの問題は、殆どのスイッ

チング電源で見られる電流の急変に伴って大きな電圧が

発生することです。こうした電圧はスイッチングトラン

ジスタや整流器にとって過剰なストレスになる可能性が

あります。損失性のスナッバー(通常は直列抵抗又は

コンデンサ)を使ってこの電圧スパイクのエネルギーを

損失させて抑制するということがよく行われます。一方、

9

図10. コアの様々な形状は、エネルギー保存、磁場エミッション及び

組み立て易さのトレードオフになります。いずれもギャップを

付加することが可能です。

BOBBINCORE

BOBBIN CORESHIELD

TOROID

POT CORE E-I CORE E-E CORE

図11. トランスの等価モデルの寄生成分によって理想的な挙動からの

ずれが生じます。

CWA

CWB

CSCPLM

LLP LLS

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一部のスイッチングデバイスは反復するなだれブレーク

ダウンに耐えるように設計されているため、外付スナッ

バーなしでこのエネルギーを損失させることができます。

トランスのリークインダクタンスは2次側を短絡して1次

側のインダクタンスを測定することにより求めることが

できます。この測定にはトランスを通して結合された

2次リークインダクタンスも含みますが、これも1次側の

電圧スパイクに寄与するので考慮する必要があります。

対応するスパイクエネルギーはE= 1/2 LI2として計算さ

れます。従って、リークインダクタンスのために失われ

る電力は各スパイクのエネルギーにスイッチング周波数

をかけたもの、すなわちP= 1/2 LI2fとなります。

トランスの必要条件は電源トポロジーに依存します。

ハーフブリッジ、フルブリッジ、プッシュ/プル又は

フォワードコンバータ等、トランスの両側でエネルギー

を直接結合するトポロジーは、飽和を防ぐために非常に

高い磁化インダクタンスを必要とします。これらの回路

においてはトランスの1次側と2次側が同時に電流を伝導

するため、トランスを通じてエネルギーが直接結合され

ます。コアには殆どエネルギーが保存されないため、

トランスは小さなもので済みます。これらのトランスは

通常フェライト等の高いµの材質のギャップなしのコア

に巻かれています。

他の電源トポロジーにおいては、トランスのコアにエネ

ルギーを保存する必要があります。フライバック回路の

トランスはスイッチングサイクルの前半で1次側にエネ

ルギーを蓄積します。サイクルの後半においては、エネ

ルギーは2次側を通じて回収され、出力に供給されます。

インダクタンスの場合と同じく、ギャップなしの高いµのコアはトランスにエネルギーを蓄積するのに不適切です。

コアには個別のギャップか、あるいは分散ギャップが

必要です。このため相当するギャップなしのコアに比べて

大型になりますが、インダクタを追加する必要がなくなる

のでコストとスペースを節約できます。

レイアウト

EMIの抑制には部品の選択が非常に重要です。しかし、

回路基板のレイアウトと相互接続も同様に重要です。

スイッチング電源にしばしば使用される高密度の多層

回路基板の場合は、回路の適正な動作と相互作用のために

特に部品配置が重要です。パワースイッチングは回路

基板トレースに大きなdV/dt及びdi/dt信号を生じる可能

性があります。重要な経路のレイアウトに特に注意する

ことで、コンパチビリティの問題と費用のかさむ回路

基板の改訂を防ぐことができます。

システム内の輻射エミッションと伝導エミッションの

区別は可能ですが、この区別は回路基板と配線内の干渉

を議論する場合にはあいまいになってきます。電界を

結合する隣接したトレース同士が寄生容量を通じて電流

を伝導することもあります。同様に、磁場によって結合

されるトレース同士はトランスのような挙動をします。

これらの相互作用は集中定数法又は電磁場理論によって

記述することが可能です。どちらのアプローチが良いか

は、どちらが相互作用をより正確に記述できるかに依存

します。

クロストーク

2つ以上の導電体が互いに近接していると、容量的に結合

するため、片方に大きな電圧変化があるとこの結合に

よって他方に電流が流れます。導電体のインピーダンスが

小さければ、結合による電流は小さな電圧しか発生しま

せん。容量は導電体同士の距離に反比例し、導電体の面積

に比例しますので、隣接する導電体の面積を小さくし、

距離を離すことによって伝導ノイズを最小限に抑える

ことができます。

導電体同士の間の結合を低減するもう1つの方法は

グランドプレーン又はシールドを付加することです。

グランドトレース(場合によっては電源バス又はその他の

低インピーダンスノード)を導電体同士の間に配置する

ことによって、互いにではなくグランドに結合させて

相互作用を防ぐことができます。しかし、ここで注意が

必要です。高速dV/dt変化が乗っているトレースが、

グランドへの高インピーダンス相互接続を持ったプレーン

の近くに配置されていると、この変化がグランドプレーン

に結合されます。そして今度はグランドプレーンから

敏感なラインにこの信号が結合されて、ノイズの問題を

かえって悪化させます。グランドプレーンに大きな電流

が流れていない場合は、細いワイヤでグランドに接続

したくなります。しかし、細いワイヤはインダクタンスが

大きいために、急変する電圧から見てグランドプレーン

が高インピーダンスに見えてしまうことがあります。

グランドプレーンが回路の敏感な部分にノイズを注入す

ることがないように気をつける必要があります。例えば、

入力及び出力バイパスコンデンサからしばしばグランド

プレーンに電流が流れ、高周波電流成分が敏感な回路に

影響することがあります。この問題を防ぐため、回路

基板にはしばしば電源グランドと信号グランドが別々に

設けられています。一点で接続されたこれらのプレーン

は、電源グランドで発生した電位により信号グランドに

注入されるノイズを最小限に抑えます。この方法は、

全ての部品を一点でグランドに接続するスターグランド

(全てのトレースはその点から星状パターンで接続)に

似ています。スターグランドは電源グランドと信号

グランドを別々にするのと同じ効果がありますが、多く

の部品がグランドに接続されている大型の複雑な回路

基板においては実際的でありません。

ノイズの中に敏感なノードがある場合、そのノードに

接続されているトレース及びワイヤは高電圧変化のある

10

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ノードから遠ざけて配線するべきです。それができない

場合は、良質のグランド又はシールドを付加して下さい。

そのノードに良質の容量性バイパスを施すことによって

もクロストークへの敏感性を低くすることができます。

ノードとグランドの間又はノードと電源バスの間に小さな

コンデンサを接続することで適切なバイパスを形成する

ことができます。

バイパスコンデンサを選択する時は、問題になりそうな

周波数範囲において低インピーダンスになるようにして

下さい。ESRとESLのために高周波数においてインピー

ダンスが予測よりも大きくなることがありますので、

バイパスアプリケーションにはESRとESLの小さなセラ

ミックコンデンサが向いています。セラミック誘電体も

性能に大きな影響を持っています。大容量コンデンサ

(例えばY5V)は電圧及び温度によって容量が大きく変化

することがあります。最大定格電圧において、これらの

セラミックでできたコンデンサはバイアスのない時に

比べて容量が僅か15%に減少することがあります。

もっと良質の誘電体を使った小さなコンデンサの方が、

バイアスと温度にあまり依存せずにクロストークを減衰

させられるので、殆どのケースでより良質で一定した

バイパスを提供します。

バイパスコンデンサの配置も重要です。高周波ノイズを

減衰させるためには、問題の信号をバイパスコンデンサ

に流す必要があります。図12aは、コンデンサと直列な

トレース長はESRとESLを増加させるため、高周波イン

ピーダンスが増加し、高周波バイパスにおけるコンデンサ

の効果を減少させてしまいます。図12bの改良レイアウト

は、トレースがコンデンサを通るように配線されている

ため、トレースの浮遊ESRとESLがバイパスコンデンサ

のフィルタ動作を劣化させることなく、むしろ高めて

います。

ノードによっては、バイパスを行うと周波数特性が変化

するのでバイパスをするべきでない場合があります。

その一例としてフィードバック抵抗分圧器を挙げることが

できます。殆どのスイッチング電源においては、エラー

アンプが許容するレベルまで抵抗性フィードバック分圧器

によって出力電圧を落とします。このフィードバック

ノードに大きなバイパスコンデンサを付加すると、その

ノードの抵抗との組み合わせでポールを形成します。

この分圧器は制御ループの一部であるため、このポール

はループ特性の一部になります。このポール周波数が

クロスオーバ周波数の1桁上よりも低い場合、その位相

又は利得のためにループ安定性に悪影響がでる場合が

あります。

インダクタンス

スイッチング電源内のいくつかの個所の電流は急速に

オン/オフされます。これらの電流経路の浮遊インダク

タンスにより大きなノイズ電圧が誘導され、それが結合

を通じて敏感な回路に入り込んだり、部品にストレスが

かかる場合があります。DC電流の流れているラインが

問題を起こすことは殆どありません。DCは電圧スパイク

を発生したり結合を通じてACを他のトレースに生じ

させることがないからです。例えば、インダクタと直列な

ラインは問題になりません。なぜなら、浮遊インダク

タンスはインダクタの値よりもずっと小さいからです。

大きな直列インダクタンスは電流が断続的になるのを

防ぎます。

回路が断続電流を生成する場合、その電流が大きなループ

を流れないようにして下さい。大きな電流ループは、

大きなインダクタンス値を生成するため、磁場輻射も

それに従って増加します。この注意事項は部品の配置にも

適用されます。なぜなら、電流は通常トランジスタ及び

ダイオード等の能動素子同士の間でスイッチングされる

からです。

図1のステップダウンコンバータを考えてみましょう。

ハイサイドMOSFETスイッチ(N1)がオンの時、電流は

入力、N1、インダクタ及び負荷を通って流れます。N1が

ターンオフすると、ダイオード(D)が電流を伝導し、この

状態は同期整流器(N2)がターンオンするまで続きます。

それから電流はN2を通じて流れ、この状態はN2がターン

オフするまで続きます。すると再びダイオードが電流を

伝導し、この状態はサイクルが再開するまで続きます。

ここで注意したいことは、インダクタと出力コンデンサ

を流れる電流は連続的であるため、大きなノイズ源には

ならないということです。N1、N2及びDが互いに離れて

いると、周囲の磁場はこれらの素子内の電流の急変に

応答して急速に変化します。発生する電圧は磁場の時間

変化(dΨ/dt)に比例するため、こうした磁場の急速な

変動により大きな電圧スパイクが発生することがあり

ます。

11

図12. バイパスの接続が安易(a)ですと、トレースインダクタンスと抵抗

がコンデンサに付加されます。寄生を考慮した接続(b)においては

トレースの寄生成分がコンデンサのフィルタ動作を増強します。

a. POOR BYPASSING b. BETTER BYPASSING

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入力ソースと出力負荷には高周波電流が流れることに

注意して下さい。これらの電流は入力及び出力バイパス

コンデンサを通すようにして下さい。さもないと入力

又は出力ライン(あるいはその両方)を通じてこれらの

電流が流れます(「同相ノイズ」の項を参照)。入力及び

出力バイパスコンデンサのインピーダンスは重要です。

これらのコンデンサは、入出力におけるインピーダンス

を小さく保つために十分なだけの大きさであることが

必要ですが、大きなコンデンサ(例えばタンタルや電解)

は小さなセラミックタイプに比べてESRとESLが大きく

なっています。このため、コンデンサのインピーダンスが

問題の周波数において十分に小さいことを確認しておく

必要があります。

別方法として、電解又はタンタルコンデンサと並列に

セラミックコンデンサを接続することができます。セラ

ミックコンデンサは高周波数においてインピーダンスが

小さいためです。しかし、殆どの場合この方法は複数の

電解又はタンタルコンデンサを並列に接続してESRと

ESLを減らす方法や複数のセラミックコンデンサを

使って全容量を増やす方法と比べて特に優れている訳

ではありません。

12

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高速ADCのINL及び

DNLの測定

最近になって、優れた静的及び動的性能を備えた高性能

アナログディジタルコンバータ(ADC)が発売されています。

読者の皆様は「こうした性能をどうやって測定したのだ

ろう?どんな測定器を使ったのだろう?」という疑問を

持たれるかもしれません。本記事では、ADCに重要な

精度パラメータのうちの2つ、すなわち積分非直線性

(INL)と微分非直線性(DNL)の試験技法について説明し

ます。

INLとDNLは、通信及び高速データ収集アプリケーション

に使用される高性能データコンバータの電気的特性の中

で最も重要なものとはいえませんが、高分解能画像処理

アプリケーションにおいて重要性を増しつつあります。

常にADCを扱っている設計者でない限り、これらのパラ

メータの正確な定義と重要性を忘れがちです。以下の

記事はそのための簡単な備忘録です。

INL及びDNLの定義

DNL誤差は実際のステップ幅と1LSBの理想値の間の差

として定義されます(図1a)。理想的なADCの場合、微分

非直線性DNL = 0LSBとなり、各アナログステップが

1LSBとなります(1LSB = VFSR/2

N、ここでVFSRはフル

スケール範囲、NはADCの分解能です)。そして、遷移値

は正確に1LSB毎になります。DNL誤差の仕様が1LSB

以下になっていると、ミッシングコードのない単調な

伝達関数が保証されます。ディジタル出力は入力信号と

共に増加して(又は一定に留まって)伝達曲線の傾きに

符号変化がない場合にADCの単調性が保証されます。

DNLは静的利得誤差が除去された後で決められます。

定義は次式です。

DNL = [(VD+1 - VD) / VLSB-IDEAL - 1]ここで、0 < D < 2

N- 2です。

VDはディジタル出力コードDに対応する物理的な値、Nは

ADCの分解能、VLSB-IDEALは2つの隣接するディジタル

コードの理想的な間隔です。数値化の影響以外のノイズと

スプリアス成分を加えた上で、DNL値が大きいと、信号

雑音比(SNR)及びスプリアスフリーダイナミックレンジ

(SFDR)の点でADCの動的性能が制限されます。

INL誤差は実際の伝達関数の直線からのずれをLSB単位

又はフルスケール(FSR)に対する百分率で表したもの

です。このため、INL誤差の大きさはこの直線の位置に

直接依存します。よく使われる定義は「最近似直線INL」

と「両端INL」の2つです(図1b)。

• 最近似直線INLは、オフセット(切片)と利得(傾き)誤差

及び伝達関数の位置についての情報を提供します。

これは、ADCの実際の伝達関数に最も近い近似形を

直線の形で与えます。この線の正確な位置ははっきりと

定義されませんが、このやり方は再現性が一番良く、

直線性の真の表現として使えます。

• 両端INLはコンバータの伝達関数の両端同士の間に

直線を通し、この直線の正確な位置を定義します。

ですから、NビットADCの直線はゼロ(全てゼロ)と

フルスケール(全て1)の出力によって定義されます。

一般に最近似直線法の方が良い結果を与えるのでこちらが

好まれます。INLは静的オフセット及び利得誤差が共に

補正された後で測定され、次式で表されます。

INL = [(VD - VZERO) / VLSB-IDEAL] - Dここで、0 < D < 2

N- 1です。

VDはディジタル出力コードDによって表されるアナログ

値、NはADCの分解能、VZEROは全部ゼロの出力コード

に対応する最小アナログ入力、そしてVLSB-IDEAL

は2つ

の隣接する出力コードの間の理想的な間隔です。

静的INLとDNLを測定するための

一般的なセットアップ

INLとDNLは疑似DC電圧ランプ又は低周波数サイン波を

入力にして測定することができます。シンプルなDC

(ランプ)テストにおいては、ロジックアナライザ、高精度

DAC(オプション)、テストされるデバイス(DUT)の入力

範囲を掃引するための高精度DCソース及びPC又はX-Y

プロッタへの制御インタフェースが使用されます。

セットアップが高精度DAC(DUTよりもさらに高精度)を

含む場合は、ADCの出力データを直接処理することに

よってロジックアナライザによりオフセット及び利得

誤差を監視することができます。高精度信号ソースは

ADCの入力範囲をゼロスケールからフルスケールへと

ゆっくりと掃引することによってDUTのテスト電圧を

生成します。ADC入力における各テスト電圧がDACに

よって復元されると、それがDC出力の対応するDCレベル

から差し引かれます。これによって生成される小さな

電圧差(VDIFF)はX-Yプロッタで表示することができ、

またINL及びDNL誤差の計算に使用されます。数値化

レベルの変化は微分非直線性を示し、VDIFFのゼロから

のずれは積分非直線性の存在を示します。

13

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積分アナログサーボループ

ADCの静的直線性パラメータを求めるためのもう1つの

方法(前述の方法と似ていますが、もっと複雑です)は

積分アナログサーボループです。この方法は速度よりも

高精度測定に焦点をおいたテストセットアップにおいて

採用されます。

標準的なアナログサーボループ(図2)は、積分器と2つの

電流ソースをADCの入力に接続した構成になっています。

片方のソースが強制的に積分器へ電流を流し込み、他方は

電流シンクの役割を果たします。ADC出力に接続された

ディジタル数値コンパレータが両方の電流ソースを制御

します。数値コンパレータの他方の入力はPCによって

制御されます。このPCはNビットコンバータの場合

(2N-1)個のテストコードを掃引します。

ループの周囲のフィードバックの極性が正しければ、

数値コンパレータに制御された電流ソースが与えられた

コード遷移の周囲でアナログ入力を「サーボ」します。

理想的には、この動作によりアナログ入力に小さな三角

波が生成されます。数値コンパレータはこれらのランプの

速度と方向の両方を制御します。積分器のランプ速度は

遷移に近づく時に速い必要がありますが、高精度ディジ

タルボルトメータ(DVM)で測定する時に重なった三角波

のピーク変位を小さくするには十分遅くする必要があり

ます。

MAX108のINL/DNLテスト用に、サーボループ基板が

2つのヘッダを通じて評価基板に接続されています(図3)。

片方のヘッダはMAX108の1次(又は補助)出力ポートと

数値コンパレータのラッチ可能な入力ポート(P)の間の

接続を確立します。他方のヘッダはサーボループ(数値

コンパレータのQポート)とコンピュータが発生したディジ

タルリファレンスコードの間の接続を保証します。

14

図1a. ミッシングコードがなくて伝達関数が単調であることを保証する

ためには、ADCのDNLが1LSB以下でなければなりません。

00000001

00000000

00000010

00000011

00000110

ANALOG INPUT

DIGITAL OUTPUT CODE

FIRST TRANSITION

11111111............

FULL-SCALE RANGE (FSR)

LAST TRANSITION

IDEAL CODE CENTER

0.5LSB

IDEAL 50%TRANSITION POINT

REALTRANSFERFUNCTIONWITHONEMISSINGCODE

IDEAL TRANSFERFUNCTION

EXAMPLE:PHYSICAL VALUE VDCORRESPONDS TODIGITAL OUTPUT CODE D

EXAMPLE:ADJACENT PHYSICAL VALUEVD+1 CORRESPONDS TO DIGITAL OUTPUT CODE D+1

IDEAL SPACINGBETWEEN TWOADJACENT CODESVLSB - IDEAL = 1LSB

CODE WIDTH = 2LSB

図1b. ADCの直線性特性を定義するために、最近似直線フィット及び

両端フィットという2つの方法があります。

ANALOG INPUT

DIGITAL OUTPUT CODE

BEST-STRAIGHT-LINE FIT

ACTUAL ADC TRANSFERFUNCTION BEFORE OFFSETAND GAIN CORRECTION

0000000100000000

000000100000001100000100000001010000011000000111

11111111

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

VOFFSET

IDEAL TRANSFERCURVE

ACTUAL ADC TRANSFER CURVEAFTER OFFSET AND GAIN CORRECTION

INL ERROR(BEST-STRAIGHT-LINE INL)

INL ERROR(ENDPOINT INL)

(LSB)

正しい遷移

遷移電圧は2つの隣接するコードを生成する確率が

等しい入力電圧として定義されます。(1対の隣接する

遷移の間の範囲にあるアナログ入力によって生成される

ディジタル出力コードに対応する)公称アナログ値は

この範囲の中点(50%ポイント)として定義されます。

遷移間隔のリミットが知られていれば、この50%

ポイントは簡単に計算できます。遷移間隔リミットを

測定し、その間隔を隣接するコードの各々が現れる

回数で割ることによって遷移ポイントを求めることが

できます。

伝達関数

理想的なADCの伝達関数は階段状になっていて、

各踏み板が特定のディジタル出力コードを表し、

各段差が隣接するコード間の遷移を表します。ADCの

性能パラメータを決めるには、これらの遷移に対応

する入力電圧を求める必要があります。この作業は、

高速コンバータで見られるノイズの大きな遷移により、

特に複雑なものとなり、最終結果に近くてゆっくりと

変化するようなディジタルコードの場合はさらに極端

です。

遷移は図1bに見られるようにシャープに定義される

訳ではなく、現実的には確率関数として表されます。

ゆっくりと増加する入力電圧が遷移を通過すると、

ADCは次の隣接するコードに変換するようになります。

定義上は、遷移はADCが両側のコードに等しい確率で

変換する入力電圧に一致します。

Page 14: 高速ADCのINL及びDNLの測定 13 - Maxim Integrated · 2003. 8. 26. · アーティクル 適正なレイアウトと部品の選択によるemiの抑制 3 高速adcのinl及びdnlの測定

このコンパレータからの完全にディコードされた決定が

コンパレータ出力P>QOUTに表れ、積分器の方に渡され

ます。コンパレータの各結果がスイッチのロジック入力を

独立に制御し、それに続くDUTの両入力のための積分器

を駆動するために必要な電圧ランプを生成します。この

アプローチには利点がありますが、いくつかの欠点も

あります。

• ノイズを最小限に抑えるために、三角ランプの

dV/dtは小さくする必要があります。この条件は

再現性の良い数値をもたらしますが、高精度測定の

ために長い積分時間を要します。

• 正と負のランプは50%ポイントになるように

マッチングさせる必要があり、低レベル三角波を

平均して希望のDCレベルを得る必要があります。

• 積分器の設計には充電コンデンサの注意深い選択が

必要です。コンデンサの「蓄積効果」に起因する誤差

を最小限に抑えるため、誘電吸収の小さな積分コン

デンサを推奨します。

• 精度は積分期間に比例し、セトリング時間に反比例

します。

アナログ積分サーボループに接続されたDVMによって

INL/DNL誤差対ディジタル出力コードが測定されます

(図4a、4b)。INL対ディジタル出力コードのプロットが

パラボラ又は弓形になるのは、偶数次高調波が主である

ことを示し、S形は奇数次高調波が主であることを示し

ます。

前述のアプローチの欠点をなくすために、サーボループ

の積分器部分をDUTのディジタル出力コードを捕捉する

Lビット逐次近似レジスタ(SAR)、LビットDAC及びシン

15

図2. アナログ積分サーボループの回路構成。

図3. MAX108EVKITとアナログ積分サーボループを用いて、このテストセットアップはMAX108のINL及びDNL特性を決定します。

N-BITADC

DUTRAMP dV

dtIC

=

INTEGRATOR

C

CLOCK

+

-

> <

N N

CODES UNDER TEST FROM PC

CURRENTSOURCES

SIGNAL LINES ‘>’ AND ‘<’ OF THE MAGNITUDECOMPARATOR DIRECTLY CONTROL THE CURRENTFLOW OF THE TWO CURRENT SOURCES.

ISINK

2N - 1

PRECISIONDVM

DIGITALMAGNITUDE

COMPARATOR

MAX108EVKIT

EXTERNAL 50Ω TERMINATIONTO GNDI

SERVO-LOOPCIRCUIT

HP8662/3ASINE-WAVE SOURCE

1.5GHz, +4dBm

POWERSUPPLIES

+5V ANALOG

CLK+CLK-

VIN+

VIN-

P

16 DATA

DREADY+

-5V ANALOG

+5V DIGITAL

+3.3V DIGITAL

HP16500CDATA ANALYSIS

SYSTEMGPIB

QOUT

PC

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プルな平均回路で置換えることができます。数値コンパ

レータとの組み合わせにより、この回路はSARタイプ

コンバータ構成(図5)を形成します。この構成においては、

数値コンパレータがDACを設定し、DACの出力を読み

取り、逐次近似を実行します。その間にDACはテスト

対象のNビットADCの入力に高分解能DCレベルを出力

します。この場合、ADCを1/8LSBまでトリミングして

可能な最良の伝達曲線を得るために、16ビットDACが

選択されています。

平均化回路の利点は、ノイズによって数値コンパレータが

トグルして不安定になる時に明確になります(これは数値

コンパレータが最終結果に近づいた時に起こります)。

2つの2分周カウンタが平均化回路に含まれています。

「リファレンス」カウンタは、2Mクロックサイクルの周期

を持っています。ここでMは周期(ひいてはテスト時間)

を左右する設定整数です。「データ」カウンタは数値コン

パレータ出力がハイの時にだけカウントしますが、その

周期は最初の2M -1サイクルの半分です。

データカウンタは、振幅カウンタ出力がハイの時にだけ

カウントします。リファレンスカウンタとデータカウンタ

が協力してハイとローの数を平均し、結果をフリップ

フロップに保存し、それをSARレジスタに伝えます。

この手順を(この場合)16回繰り返すことによって完全な

ディジタル出力コードワードを生成します。前述の方法

と同じように、この方法も利点と欠点を持っています。

• テストセットアップの入力電圧はディジタルで定義

されているため、結果を平均する時のサンプル数を

簡単に修正することができます。

• SARアプローチはDUTのアナログ入力におけるランプ

ではなくDCレベルを提供します。

• 欠点としては、フィードバックループの中のDACが

入力電圧分解能に制限を与えます。

INL及びDNLの動的テスト

ADCの動的非直線性にアクセスするために、入力にフル

スケールのサイン波を印加して、全フルパワー入力帯域幅

にわたってコンバータのSNRを測定することができます。

(数値化ノイズだけで歪みのない)理想的なNビットコン

バータの理論SNRは次式になります。

SNRdB = N x 6.02 + 1.76

この優れた数値の中にグリッチの影響、積分非直線性及び

サンプリング時間の不確定性が埋め込まれます。SNR

測定を一定周波数で、信号振幅の関数として行うことに

より、直線性に関する情報をさらに得ることができます。

例えばゼロからフルスケールまで、あるいはその逆方向

に全振幅範囲を掃引することにより、ソース振幅がコン

バータのフルスケールリミットに近づくにつれてソース

信号からのずれが大きくなります。これらのずれの原因

を決定するためには、(歪み及びクロックの不安定性を

除外してから)スペクトラムアナライザを使って数値化

誤差を周波数の関数として解析して下さい。

高速及び低速データコンバータの静的及び動的INLと

DNLをテストするためのアプローチはこの他にも多数

あります。本稿の目的は、シンプルではあるがスマートで

正確なツールと技法を使用して、強力な標準動作特性

(TOC)を生成するヒントを提供することです。

16

図4a. このプロットはアナログ積分サーボループで捕捉したMAX108

ADCの標準的なINLを示しています。

-0.5

-0.2

-0.3

-0.4

-0.1

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0 32 64 96 128 160 192 224 256

INTEGRAL NONLINEARITY vs. DIGITAL OUTPUT CODE

(LOW-FREQUENCY SERVO-LOOP DATA)

DIGITAL OUTPUT CODE

INL

(LSB

)

図4b. このプロットはアナログ積分サーボループで捕捉したMAX108

の標準的なDNLを示しています。

-0.5

-0.2

-0.3

-0.4

-0.1

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0 32 64 96 128 160 192 224 256

DIFFERENTIAL NONLINEARITY vs. DIGITAL OUTPUT CODE

(LOW-FREQUENCY SERVO-LOOP DATA)

DIGITAL OUTPUT CODE

DNL

(LSB

)

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SARコンバータ

SARコンバータは旧式の化学天秤のような動作を

します。片側には未知の入力サンプルが、反対側には

SAR/DAC構成によって生成された第1の錘(最上位

ビット、すなわちフルスケール出力の半分)が乗せられ

ます。未知の錘が1/2FSRよりも大きいと、この第1の

錘は天秤上に残り、1/4FSRがさらに加わります。

未知の値の方が小さければ、第1の錘は取り除かれて、

1/4FSRで置換えられます。

SARコンバータはこの手順をN回繰り返し、MSBから

LSBまで進むことで希望の出力コードを決定します。

NはSAR構成のDACの分解能で、各錘は1バイナリ

ビットを表します。

図5. 逐次近似とDAC構成によってアナログサーボループの積分器部分を置換えます。

N-BITADC

L-BITDAC

DIGITAL MAGNITUDE

COMPARATOR

>

N N

CODESUNDERTESTFROMPC

2N - 1

L L > N

CLOCKCLOCK

READ L BACK AFTEREND OF CONVERSION

SAR

EOC

DATA

SUCCESSIVEAPPROXIMATIONREGISTER

QS

R R

CLK

SRFLIP FLOP

DIVIDE-BY

2 M

DIVIDE-BY

2 M-1

RESET

RESET

CLOCK 1

‘1’

REFERENCE COUNTER COUNTSEVERY CLOCK PULSE

‘DATA’ COUNTER COUNTS WHEN‘>’ OUTPUT OF THE MAGNITUDECOMPARATOR IS A ‘1’.

DIGITAL AVERAGER

ENDOF

CONVERSION

参考文献

Johns, D.,and K. Martin. 1997. Analog

Integrated Circuit Design.

Plasche, R. van de. 1994. Integrated Analog-

to-Digital and Digital-to-Analog Converters.

Sanchez-Sinencio, E., and A. G. Andreou.

1999. Low-Voltage/Low-Power Integrated

Circuits and Systems --- Low Voltage Mixed-

Signal Circuits.

MAX108データシート、Rev.1、5/99. Maxim

Integrated Products.

MAX108EVKITデータシート、Rev.0、6/99.

Maxim Integrated Products.

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18

NEW PRODUCTS

SOT23パッケージの

低コスト低電力DAC

ファミリ

MAX5360~MAX5365及びMAX5380~

MAX5385ファミリは、超低電力6ビット

及び8ビット電圧出力DACです。これらの

製品は超小型SOT23パッケージで提供されて

おり、最大400kHz(又は10MHz)のクロック

レートに対応するシンプルな2線(MAX5360/

61/62及びMAX5380/81/82)(又は3線、

MAX5363/64/65及びMAX5383/84/85)

シリアルインタフェースを備えています。

+2.7V~+5.5V単一電源で動作し、レイル

トゥレイル®高精度内部アンプを備え、超低

消費電流(130µA typ)となっています。1µAのシャットダウンモードにより消費電力が

さらに低減されます。小型サイズ及び低電力

特性により、ポータブル及びバッテリ駆動

機器に適しています。高速モードのI2Cコン

パチブルシリアルインタフェース(MAX5360/

61/62及びMAX5380/81/82)により、

複数機器との通信時の相互接続の複雑性が

軽減されます。

各チップの内部には電流駆動DAC、抵抗性

及び容量性負荷を駆動する能力を備えたAB級

バッファアンプ、内部バンドギャップリファ

レンス(MA X 5 3 6 0 / 6 1 / 6 3 / 6 4及び

MAX5380/81/83/84のみ)及びDAC出力の

パワーアップグリッチを排除するマキシム

社独自のデグリッチ回路が含まれています。

内部パワーオンリセット回路により、パワー

アップ時に出力が0Vとなり、有効な書込みが

あるまでその状態に維持されることが保証

されます。MAX5362/63及びMAX5382/

85のリファレンスは電源入力から得るように

なっているため、出力ダイナミックレンジ

が非常に広くなっています(0V~VSUPPLY)。

MAX5360/61/63/64及びMAX5380/81/

83/84は外部リファレンスなしで電源と

独立した出力レベル及び高PSRR仕様を提供

します。全てのデバイスにおいて、直線性

は最大±1LSBとなっています。

価格はMAX5360~MAX5365が¥80から、

MAX5380~MAX5385が¥126から

(1,000個以上)となっています。

レイルトゥレイルは日本モトローラの登録商標です。

I2CはPhilips Corp.の商標です。

ナイキスト周波数で

SFDR 73dBcの

10ビット、80Msps、

低電力ADC

新しい低電力(3.0V)10ビットADCのファ

ミリは最大80Msps(MAX1448)、60Msps

(MAX1446)及び40Msps(MAX1444)の

広帯域の入力を数値化する能力を持ってい

ます。従来のこのレベルのADCと異なり、

MAX1448は僅か120mW(typ)の消費電力

でフルSNR 58.5dB、低THD -69dBc、

SFDR 73dBc(ナイキスト入力周波数40MHz)

といった性能を備えています。

これらのコンバータは2.7V~3.6Vアナ

ログ電源で動作し、低電力で広帯域幅、

良好な直線性及び優れた動的性能が必要と

される高速通信、イメージング及び計測器

アプリケーション用に意図されています。

インタフェースのオプションを拡張する

ため、独立のディジタル電源端子を使用した

1.7V~3.6V出力動作が可能です。スリース

テート出力がストレートオフセット/バイナリ

フォーマットでデータを提供します。

MAX1448の革新的な差動パイプライン

構造は入力電圧として2Vp-pを許容し、

差動及びシングルエンド両様の入力構成を

サポートします。完全差動入力T/Hアンプに

より、外付部品の必要性が最小限になり、

フルパワー帯域幅が400MHz以上となって

います。また、入力容量が小さいため(5pF)、

優れた動的性能が可能になっています。

MAX1448は、高精度2.048Vバンドギャップ

リファレンスも備えています。このリファ

レンスは外部リファレンス電圧によって

オーバライドすることができるフレキシブル

な構成のため、ACカップリングのアプリケー

ションにおいて正しいDCバイアスレベルを

保証します。

同じく優れた仕様を備えたピンコンパチ

ブルの低速バージョンとして、60Msps、

90mWのMAX1446及び40Msps、57mWの

MAX1444が入手可能です。シャットダウン

モードにより、アイドル期間中の消費電流

を5µAに低減できます。MAX1448は省

スペースの32ピンTQFPパッケージで提供

されており、温度範囲は拡張工業用(-40~

+85)のものが用意されています。価格は

¥1,030(1,000個以上)からとなってい

ます。MAX1448を含む評価キットも

¥14,630で提供されています。

オーバロード+0dBの

3.0V~5.5V、

2.5Gbpsトランス

インピーダンスアンプ

MAX3864は、オーバロード+0dBm、

3V~5.5Vのトランスインピーダンスアンプ

です。本製品は-24dBm~+0dBmの光ダイ

ナミックレンジを必要とする短距離~長距離

SDH/SONETアプリケーションに最適です。

MAX3864はチップサイズが0.76mm x

1.27mm(30mil x 50mil)と小さく、消費電力

が110mWと小さいため、TO-56ヘッダの

アプリケーションに最適です。1.9GHzの

帯域幅にわたってトランスインピーダンス

利得が2.5Ωであるため、2.488Gbps SDH/

SONET拡張温度アプリケーションに最適

です。

MAX3864はチップ又は8ピンSOPパッ

ケージで拡張工業用温度範囲のものが提供

されています。価格はMAX3864E/Dが

¥980から、MAX3864ESAが¥1,100から

(1,000個以上)となっています。設計時間

を短縮する評価キットが入手可能です。

±5Vアプリケーション用に最適化された

低オン抵抗アナログ

スイッチ

MAX4675~MAX4679は、±5Vバイ

ポーラ電源を備えた機器において正確な信号

スイッチング及び分配を行うための単極/

単投(SPST)CMOSアナログスイッチです。

アプリケーションとしては、xDSLモデム、

ATE及びデータ収集機器が挙げられます。

シングルスイッチMAX4675/4676はオン

抵抗が4Ω (m a x )、クワッドスイッチ

MAX4677/MAX4678/MAX4679はオン

抵抗が2Ω(max)となっています。いずれの

製品も±2.7V~±5.5Vデュアル電源又は

+2.7V~+5.5V単一電源で動作するため、

ポータブル機器に適しています。

MAX4675/MAX4676は6ピンSOT23

パッケージで提供されており、拡張工業用

温度範囲のものが用意されています。価格は

¥80(2,500個以上)からとなっています。

MAX4677/MAX4678/MAX4679は16ピン

TSSOPパッケージで提供されており、やはり

拡張温度範囲のものが用意されています。

価格は¥270(1,000個以上)からとなって

います。

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NEW PRODUCTS

オン抵抗が3.5Ωの8:1

及びデュアル4:1

アナログマルチ

プレクサ

MAX4638/MAX4639は、8:1/デュアル

4:1アナログマルチプレクサ又はデマルチ

プレクサとして使用可能なCMOS ICです。

各デバイスは1.8V~5V単一電源又は±2.5Vデュアル電源で動作します。5V単一電源

動作時の保証オン抵抗は3.5Ωです。その他

の特長としては、オフアイソレーション

-75dB、クロストーク(出力から各オフチャ

ネル)-85dB、tON18ns、tOFF 7ns、+25に

おける保証リーク電流0.25nA(max)等が

挙げられます。

全てのチャネルはブレーク・ビフォ・

メークスイッチングを保証しており、動作

範囲が1.8V~5.5Vとなっているためにバッ

テリ駆動のポータブル機器に最適です。各

チャネルが電源電圧範囲のアナログ信号に

対応し、双方向性動作となっています。全て

の制御入力はTTL/CMOSコンパチブルです。

チャネル選択は標準BCDフォーマットで

エンコードされており、イネーブル入力を

使用することによって複数のデバイスの

カスケード接続が可能です。

MAX4638/MAX4639は16ピンSOP及び

TSSOPパッケージで提供されています。価格

は¥170(1,000個以上)からとなっています。

22kHzでPSRRが

90dB以上のクリック

レス/ポップレス

ステレオヘッドホン

ドライバ

MAX4298は、基板スペースが貴重で

ディジタル電源のノイズが大きい過酷な環境

のために設計されたスピーカ/ヘッドホン

ドライバアンプです。特許取得の設計技法

により、電源電圧範囲の大きな出力電流を

供給しつつ、オーディオ信号帯域全域で非常

に高い電源除去比(PSRR)を達成しています。

本デバイスは、ノートブックヘッドホン等の

リモート負荷で終端処理される長いケーブル

を駆動する時にみられる大きな容量性負荷を

駆動できます。MAX4298はPC '99規格に

完全適合しています。

MAX4298は22kHzにおいて90dB以上の

PSRRを達成し、1.5VRMS信号を10kΩ負荷

に対して出力し(THD+Nが0.0008%)、

1.2VRMS信号を32Ωヘッドホンに出力

します(歪みは僅か0.02%)。MAX4298は

+4.5V~+5.5V単一電源で動作します。

MAX4298は省スペースの10ピンµMAX及び14ピンSOPパッケージで提供されており、

入手可能な最良のクリックレス/ポップレス

パワーアップ、パワーダウン、消音及び消音

解除能力を備えています。価格は¥110

(1,000個以上)からとなっています。

精度16ビットの

180MHz、デュアル

電源オペアンプ

シングルMAX4430/MAX4431及びデュ

アルMAX4432/MAX4433オペアンプは

広帯域幅、16ビットのセトリング時間37ns、

及び低ノイズ/低歪み動作という特長を備え

ています。MAX4430/MAX4432はユニティ

ゲイン安定になるように補償されており、

小信号-3dB帯域幅が180MHzとなってい

ます。MAX4431/MAX4433は閉ループ

利得+2以上用に補償されており、小信号

-3dB帯域幅が215MHzとなっています。

MAX4430~MAX4433オペアンプは回路

当たりの消費電流が僅か11mAですが、開

ループ利得125dBを達成しています。電圧

ノイズ密度は2.8nV/√Hzと低く、1MHzに

おいて100dB(4Vp-p)のSFDRを提供して

います。これらの特長により、これらの

オペアンプはモデム、高速14ビット及び16

ビットADCの駆動に最適となっています。

MAX4430~MAX4433は、最大60mAの

出力電流を供給し、4V以上の入力ダイナ

ミックレンジを持つADCを駆動するのに十分

な大きさの電圧スイングを備えています。

これらのデバイスの電圧フィードバック構造

は、従来なら電流フィードバックアンプを

必要とする多くのアプリケーションへの使用

を可能にしています。MAX4430/MAX4431

は省スペースの5ピンSOT23パッケージ、

MAX4432/MAX4433は8ピンµMAXパッ

ケージで提供されています。価格は¥280

(1,000個以上)からとなっています。

ファン速度を

監視・制御する

超小型IC

MAX6650/MAX6651は、タコメータを

内蔵した5V/12VブラシレスDCファンの速度

を制御・監視するシンプルな方法を提供する

ファンコントローラICです。MAX6650/

MAX6651はI2Cコンパチブル/SMBus

TM

インタ

フェースを通じて通信することにより、

ファンのタコメータ周波数(ファン速度に比例)

をシステムが選択・設定した値に強制的に

一致させます。本チップは外部MOSFET又は

バイポーラトランジスタによりファンの電圧

の低ノイズ、リニアレギュレーションを行って

ファン速度を制御します。

MAX6650は、ファンのタコメータ出力を

監視することによって単一のファンの速度を

制御します。MAX6651も単一のファンの

速度を制御しますが、最大4つのファンを

監視可能な余分のタコメータ入力を備えてい

ます。これらの入力により、これらのファン

が並列に動作している時には1つのユニット

として制御します。

いずれのデバイスも、ディジタル入力、

ディジタル出力及びハードウェアインタ

フェースの役割を果たす汎用入出力(GPIO)

ピンを備えています。これらのオープンドレ

インI/O端子は10mAをシンクすることが

できるため、LEDの駆動に使用できます。

ソフトウェア故障の場合、ファンを完全にオン

にするようにGPIOピンの1つを設定すること

も可能です。ファン速度を制御する他にも、

MAX6650/MAX6651はファンの挙動を監視

して、障害条件を検出した時にGPIOピンに

アラートを発生することができます。

省スペースの10ピンµMAXパッケージに

収められたMAX6650は、現在入手可能な

最小の集積化ファンコントローラです。

MAX6651は小型16ピンQSOPパッケージで

提供されています。価格はMAX6650が¥250、

MAX6651が¥280(1,000個以上)からと

なっています。

SMBusはIntel Corp.の商標です。

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NEW PRODUCTSµMAXパッケージの高電圧40V DC-DC

ステップダウン

コントローラ

MAX1744/MAX1745は、最大入力電圧

40Vで動作するステップダウンDC-DCコント

ローラです。出力としては、ピン選択の3.3V

又は5V(MAX1744)、あるいは可変1.25V~

18V(MAX1745)が可能です。これらのデバ

イスは外部PチャネルMOSFETを使用する

ことにより、50W以上の電力を出力すること

が可能です。小型10ピンµMAXパッケージ

に収められているため、高電圧、大電力

DC-DCステップダウン変換の省スペース性

をさらに一歩進めています。

MAX1744/MAX1745は、広範囲の出力

電流において90%以上の効率を達成する

マキシム社独自の電流制限制御方式を備えて

います。スイッチング周波数が高いため

(最大300kHz)、外付部品が非常に小さくて

済みます。自己消費電流は90µAと小さく、

シャットダウン中はさらに僅か4µAにまで

低減します。最大デューティサイクルが

100%であるため、最小のドロップアウト

電圧が可能です。

MAX1744/MAX1745は拡張工業用温度

範囲(-40~+85)のものが用意されて

います。価格は¥340(1,000個以上)からと

なっています。推奨外付部品を使用した

実装済みの評価キットは設計時間を短縮し

ます。

省スペース、省電力の

デュアル汎用スイッチト

キャパシタフィルタ

MAX7490/MAX7491は、2つの2次

スイッチトキャパシタビルディングブロック

を16ピンQSOPに内蔵しています。いずれの

フィルタブロックも全ての2次機能(バンド

パス、ローパス、ハイパス、ノッチ(バンド

リジェクト)、コンプレックスゼロ及びオール

パス機能)を生成する能力を持っています。

これらの機能の3つは同時に利用可能です。

MAX7490/MAX7491は優れた精度と安定性

を備えているため、高次フィルタ製造に通常

必要な複雑で高価な同調作業が排除されて

います。

これらのフィルタは+5V(MAX7490)又は

+2.7V(MAX7491)単一電源で動作し、消費

電流が僅か3.5mAですが、レイルトゥレイル

性能(電源電圧の0.2V以内)を達成しています。

シャットダウン中は自己消費電流が0.2µAに減少します。中心周波数は1Hz~40kHz

の範囲でクロック同調可能です(クロック対

コーナー比100:1)。クロックの手法として

は、外付コンデンサを使用したセルフ

クロック及び中心周波数を正確に制御する

ための外部クロックの2つの方法が可能

です。MAX7490/MAX7491のダブルサン

プリング構造により、サンプリング対コー

ナー周波数比が200:1になります。

MAX7490/MAX7491は16ピンQSOP

パッケージで提供されており、温度範囲は

民生用(0~+70)と拡張工業用(-40~

+85)のものが用意されています。価格は

¥270(1,000個以上)からとなっています。

同期整流器付の1MHz、

低電圧ステップダウン

レギュレータ

MAX1742/MAX1842/MAX1843は、

ノートブック及びサブノートブックコン

ピュータ用に高効率、低電圧出力を提供する

PWMステップダウンDC-DCコンバータです。

これらのコンバータは効率を高め、部品点数

を減らすために内部同期整流器を備えて

います。内部90mΩ PMOSスイッチ及び

70mΩ NMOS同期整流器スイッチは、最大

1Aの連続負荷電流を容易に供給することが

できます。最大電流スレッショルドは

最大28Vを供給する

SOT23パッケージの

LCDバイアス電源

MAX1605/MAX1606は、内部0.5A

スイッチを使用して最大30Vを供給する

ステップアップDC-DCコンバータです。

セルラ電話、電子手帳(PDA)、パームトップ

コンピュータ及びその他のハンドヘルド

ポータブル機器等のLCDバイアスアプリ

ケーションに使用できます。

MAX1605は超小型6ピンSOT23パッ

ケージで提供されています。MAX1606は

小型8ピンµMAXパッケージで提供されて

おり、シャットダウン中に出力を入力から

完全に切り離す内部スイッチも含んでいます。

いずれのデバイスも、ピークインダクタ

電流を500mA、250mA又は125mA(ユーザ

設定)に制限することによって出力リップル

と部品サイズを減らせるようになっています。

最大500kHzのスイッチング周波数により、

小型の表面実装部品を使用できます。いずれ

のデバイスも自己消費電流が18µAと小さく

なっています。+2.4V~+5.5VのVCC電源で

動作しますが、バッテリ電圧は0.8V~VOUT

の範囲が可能です。

MAX1605/MAX1606は拡張工業用温度

範囲(-40~+85)のものが用意されて

います。価格は¥190(MAX1605)及び¥220

(MAX1606)(1,000個以上)からとなって

います。推奨外付部品を使用した実装済み

の評価キットを入手して設計時間を短縮

できます。

MAX1742が1.3A、MAX1842が3.1A、

MAX1843が2.7Aとなっています。全ての

デバイスは95%という高効率を実現して

おり、+2.5V、+1.8V又は+1.5Vの固定

出力電圧又は+1.1V~VINの可変出力を提供

します。

電流モード、一定オフ時間PWM制御方式

には、軽負荷動作時に高効率を維持する

アイドルモードが含まれています。この方式

は最大1MHzまでのスイッチング周波数が

可能であるため、ユーザは効率、出力スイッ

チングノイズ、部品サイズ及びコストの間

のバランスを最適化することができます。

さらに、スタートアップ中のサージ電流を

制限する可変ソフトスタート、低ドロップ

アウト動作を可能にする100%デューティ

サイクルモード及び入力を出力から切断

して消費電流を1µA以下に低減する低電力

シャットダウンモードを備えています。

MAX1742/MAX1842は16ピンQSOP

パッケージで提供されており、温度範囲は

拡張工業用(-40~+85)のものが用意

されています。価格は¥460(1,000個以上)

からとなっています。MAX1843は28ピン

QFNパッケージで提供されており、価格は

¥480(1,000個以上)からとなっています。

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NEW PRODUCTS精度0.7%の

入力電流制限

バッテリ充電器

MAX1772は高集積化されたあらゆる種類

のバッテリに対応した充電器です。本製品を

使用すると高精度、高効率の充電器の製作が

シンプルになります。ユーザ設定又はハード

配線により、本製品はアナログ入力を使用

して充電電流及び電圧を制御します。同期

整流器付のバックトポロジーにより高効率が

達成されています。

ACアダプタのコストを低減し、負荷と

バッテリ充電器に同時に電流を供給する時

にアダプタが過負荷になるのを防ぐため、

MAX1772はACアダプタから引き出される

最大電流を設定できるようになっています。

MAX1772の出力により、バッテリ充電

電流、ACアダプタ電流及びアダプタの有無

を監視できます。MAX1772は直列2~4

セルのLi+電池を充電するために4Aを容易に

供給することができます。充電中、本製品

は自動的に電流のレギュレーションから

電圧のレギュレーションに遷移します。

MAX1772は省スペースの28ピンQSOP

パッケージで提供されており、温度範囲は

拡張工業用(-40~+85)のものが用意

されています。価格は¥620(1,000個以上)

からとなっています。

輝度範囲の広い

CCFLバックライト

コントローラ

MAX1739/MAX1839は、業界で性能

実証済みのRoyer発振器インバータ構造を

使用して冷陰極蛍光ランプ(CCFL)を駆動

するために最適化されたコントローラです。

Royer構造は、全入力範囲にわたってサイン

波に近い駆動波形を提供することにより、

CCF Lの寿命を最大限に延ばします。

MAX1739/MAX1839においては、高効率

を達成し、調光範囲を最大限に拡張し、

広い入力電圧範囲(4.6V~28V)で動作する

ようにこの構造が最適化されています。

これらのデバイスは、トランスのセンター

タップ電圧を監視・制限することにより

トランスへの電圧ストレスを最小限に抑え、

動作寿命の増加と設計条件の緩和を実現し

ています。本コントローラはまた、ランプ

切れ、バック短絡その他の障害条件に対する

保護も提供しています。

本コントローラは、ランプ電流を調整する

と同時にCCFLをオン/オフに「チョッピング」

することにより、50:1の調光範囲を達成して

います。このチョッピングにはディジタル

調整のパルス幅変調(DPWM)法によって

行われています。CCFLの輝度はアナログ

電圧の印加、又はSMBusコンパチブルの

2線インタフェース(MAX1739のみ)の使用

により制御できます。MAX1739/MAX1839

は外部ハイサイドNチャネルパワーMOSFET

及び2つのローサイドNチャネルパワー

MOSFETを駆動します(これらは全てRoyer

発振器に同期されています)。内部5.3V

リニアレギュレータがMOSFETドライバと

内部回路の大部分を駆動します。

MAX1739/MAX1839は省スペースの20

ピンQSOPパッケージで提供されています。

温度範囲は拡張工業用(-40~+85)の

ものが用意されています。価格は¥480

(1,000個以上)からとなっています。

内部電源スイッチ付の

1.5A Li+バッテリ

充電器

MAX1757/MAX1758は1~4セルのLi+

電池用のスタンドアロンバッテリ充電器です。

これらの製品は0.8%より高い精度でバッ

テリ電圧を安定化し、変換効率は最大90%

となっています。完全な内部状態マシンが

充電シーケンスを安全に制御します。これら

のステップダウン、スイッチモードDC-DC

コンバータは、内部ハイサイドNチャネル

FETパワースイッチを使用することにより

最大1.5Aの高精度充電電流を供給し、広い

入力電圧範囲にわたって高効率を維持します。

MAX1757の入力電圧リミットは14Vまで

(最大3セル)、MAX1758の入力リミットは

28Vまで(最大4セル)です。いずれのデバ

イスもデューティサイクルが98%である

ため、低電圧入力のアダプタを使用すること

が可能です。

これらのデバイスは2つのループを使用

して電圧設定点及び充電電流を制御し、電流

レギュレーション(急速充電中)と電圧レギュ

レーション(完全充電間近)の間で自動的に

遷移します。充電中にシステム負荷に電源を

供給するために、予備の制御ループが入力

ソースから引き出される全電流を監視します。

これにより、システム負荷が増加した時に

充電電流を減らして、入力電源が過負荷に

なることを防ぐため、安価なACアダプタを

使用できます。

可変タイムリミットに達すると、内蔵安全

タイマが自動的に充電を終了します。バッ

テリが熱過ぎたり冷た過ぎたりする時に充電

を防止できるように、バッテリ温度は外部

サーミスタによって連続的に監視されます。

MAX1757/MAX1758は、セル当たりの

バッテリ電圧が2.5V以下の死にかけのセル

を安全に予備充電します(急速充電を始める

にはバッテリ電圧がこのスレッショルドを

超える必要があります)。オープンドレイン

出力が外部LEDを駆動して急速充電、完全

充電及び障害条件を表示します。

MAX1757/MAX1758は省スペースの

28ピンSSOPパッケージで提供されており、

温度範囲は拡張工業用(-40~+85)の

ものが用意されています。価格は¥400

(MAX1757)及び¥440(MAX1758)(1,000

個以上)からとなっています。推奨外付部品

を使用した実装済みの評価キットは設計時間

を短縮します。

4µs/div

SWITCHING WAVEFORMS

VCSAV500mV/div

VCTAP10V/div

VDH20V/div

VDL5V/div

MAX

1739

/183

9 to

c08

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NEW PRODUCTS表面実装パッケージの

絶縁RS-422/RS-485

トランシーバ

MAX3157は、ノイズの大きな工業用

アプリケーション及び大規模ローカルエリア

ネットワークに最適なRS-422/RS-485

トランシーバです。±50Vの絶縁により、

データ伝送を中断したり従来のRS-485

デバイスを破壊するようなグランド差から

デバイスを保護します。MAX3157は光絶縁

トランシーバに対する低コスト、表面実装

構造の代替品です。外付部品を使用せずに

データの完全性を保証するため、本製品は

入力がオープン又は短絡、あるいはバスが

アイドル状態の時にロジックハイ出力レベル

を保証する真のフェイルセーフレシーバ入力

を備えています。

MAX3157は+5.0V単一電源で動作し、

25µAのシャットダウンモードを備えて

います。レシーバ位相とトランスミッタ位相

の制御ピンにより、ユーザは出力信号極性を

逆にした配線の間違いを補償できます。本

デバイスはピン選択式のハーフ又はフル

デュープレックス動作により、既存のRS-

422/RS-485ネットワークとのコンパチ

ビリティを拡張しています。MAX3157は

スルーレート制限によりEMIと反射を低減し、

最大250kbpsのデータ伝送が保証されて

います。

MAX3157は省スペースの28ピンSSOP

及びDIPパッケージで提供されており、

温度範囲は民生用と拡張工業用のものが

用意されています。価格は¥430(1,000個

以上)からとなっています。

出力パルススキューが

250ps以下、

SOT23のLVDS

MAX9110~MAX9113は、消費電力、

基板面積及び放射ノイズを最小限に抑える

必要のある高速アプリケーション用に設計

された低電圧差動信号(LVDS)ラインドライバ

及びレシーバです。マキシム社の初の汎用

LVDS製品であるMAX9110~MAX9113は、

入手可能なこの種の製品の中で最小のサイズ

と最小のパルススキュー(250ps)を実現して

います。これらのデバイスの優れた性能に

より、画像品質を高めるためにディザリング

及びグレースケールを採用しているものを

含め、プリンタ及びコピー機の画像処理分

解能と速度が大幅に向上します。低歪み

スイッチングにより500Mbpsを超えるデータ

レートが可能になっているため、これらの

製品はネットワーク及びテレコムアプリケー

ションにおける信号及びクロック分配に最適

です。

MAX9110/MAX9112はシングル及び

デュアルトランスミッタ、MAX9111/

MAX9113はシングル及びデュアルレシーバ

です。どのデバイスも+3.3V単一電源で動作

すると共に、EIA/TIA-644 LVDS規格に

適合し、LVDSの利点である低電力及び低

EMI特性を備えています(デュアルチャネル

MAX9112は消費電力が31mW、4つのデバ

イス全てが差動出力電圧スイング350mVと

なっています)。

こ れ らのデバイスは、 N a t i o n a l

Semiconductor DS90LV017/018/027/

028のピンコンパチブルなプラグインアップ

グレード製品です。いずれも標準8ピンSOP

パッケージ、及びスペースとプリント基板

コストを最小限にする必要のあるアプリケー

ション用に超小型8ピンSOT23パッケージ

(SOPの43%以下の面積)で提供されています。

価格はMAX9110/MAX9111が¥100、

MAX9112/MAX9113が¥220(1,000個

以上)からとなっています。

バッテリバックアップ付、

SOT23パッケージの

低電力µP監視回路MAX6361~MAX6364は、µPシステム

の電源監視及びバッテリ制御機能に必要な

部品点数と複雑性を低減する監視回路です。

これらの回路は、独立したIC又はディスク

リート部品を使用している代替方法と比べて

システム信頼性及び精度が改善されています。

MAX6361~MAX6364はµPリセット、

バックアップバッテリ切換え及び電源故障

警報等の機能を備えています。

これらの監視回路は最低+1.2Vの電源電圧

で動作します。出荷時設定のリセットスレッ

ショルド電圧は2.32V~4.63Vの範囲です。

これらのデバイスは、マニュアルリセット入力

(MAX6361)、ウォッチドッグタイマ入力

(MAX6362)、バッテリオン出力(MAX6363)

及び補助可変リセット入力(MAX6364)を

備えています。さらに、各製品タイプが3つ

のリセット出力バージョン(アクティブロー

プッシュ/プルリセット、アクティブローオー

プンドレインリセット、及びアクティブハイ

オープンドレインリセット)で提供されてい

ます。

MAX6361~MAX6364は小型6ピン

SOT23パッケージで提供されています。価格

は¥190(2,500個以上)からとなっています。

3V、1µAマルチプロトコル

インタフェース

MAX3160/MAX3161/MAX3162は、単一

チップでRS-232とRS-485/RS-422適合

性を備えた初の3V、1µAマルチプロトコル

ICです。シャットダウンモードにおいては、

レシーバをアクティブ状態に保ちつつ消費

電流を1µAまで低減します。ネットワーク、

POS及び工業用機器用に設計されたこれら

のICは、RS-232又はRS-485/RS-422規格

を使用して通信できるため、最終製品の機能を

拡張します。MAX3160は単一インタフェース

バス上のマルチプロトコル動作用に最適化

されています。MAX3161は、単一のUART

と独立のインタフェースバスを備えたアプリ

ケーションに適しています。MAX3162は、

RS-232とRS-485/RS-422の両方のプロ

トコルを必要とするプロトコルトランス

レータ等のアプリケーションに最適です。

MAX3160/MAX3161はRS-232又はRS-

485/RS-422動作をピン設定可能です。

MAX3162は、専用のRS-232及びRS-485/

RS-422 I/Oピンによって両方のプロトコルを

同時に使用するデータ伝送が可能になってい

ます。全てのデバイスが+3V~+5.5V単一電源

動作を可能にする低ドロップアウト出力段を

備えています。シャットダウンモードにおいて

は、RS-232レシーバ入力がアクティブ状態で

消費電流が1µAに低減します。MAX3160ファミリのその他の特長としては、ピン設定可能な

EMI低減用スルーレート制限機能、ピン設定

可能なハーフ又はフルデュープレックス動作

(MAX3160/MAX3161)、RS-232適合データ

レートを最大1Mbpsまで、RS-485/RS-422

データレートを最大10Mbpsまで可能にする

ピン設定可能なFAST動作、及び入力が短絡

又はオープンの時にロジックハイ出力を補償

するフェイルセーフレシーバ等が挙げられます。

全てのデバイスともに省スペースのSSOP

パッケージで提供されており、民生用及び拡張

工業用温度範囲のものが用意されています。

価格は¥680(1,000個以上)からとなってい

ます。

28-PIN SSOP

40% SMALLERTHAN COMPETITION

MAX

3157

7.9mm x 10.3mm

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NEW PRODUCTS

完全デュアルバンド

直交トランスミッタ

MAX2366は、セルラ電話用として最も

集積度が高く、構造的に進歩したデュアル

バンド、トリプルモードトランスミッタ

です。本製品は、差動I/Qベースバンド入力

を直交変調器とIF可変利得アンプ(VGA)に

よりIFにアップコンバートします。この信号

はさらに外付バンドパスフィルタに送られ、

SSBミキサとRF VGAによってRFにアップ

コンバートされます。この信号が内蔵PA

ドライバによって増幅されます。

本ICの基本的な機能ブロックはデュアル

IFシンセサイザ、デュアルRFシンセサイザ、

ローカル発振器(LO)バッファ及び3線プロ

グラマブルバスです。MAX2367はシングル

バンド、シングルモード(PCS)動作をサポート

し、MAX2368はシングルバンドのセルラ

デュアルモード動作をサポートします。電源

電圧範囲は2.7V~5.5Vです。

2つのIF電圧制御発振器(VCO)、2つのIF

ポート、2つのRF LO入力ポート、及び3つの

PAドライバ出力ポートを備えているため、

単一のレシーバIF周波数とスプリットバンド

PCSフィルタを使用して帯域外ノイズ性能を

最適化できます。SPITM

/QSPITM

/MICROWIRETM

コンパチブルの3線シリアルバスを使用して

データをロードすることにより、動作モード

を選択して下さい。PAドライバにより、

最大3つのRF SAWフィルタを排除すること

が可能になります。チャージポンプ電流、

サイドバンド除去、IF/RF利得平衡化、

スタンバイ及びシャットダウン機能もこの

シリアルインタフェースで制御されます。

MAX2366/MAX2367/MAX2368は48

ピンQFN露出パッドパッケージで提供されて

おり、温度範囲は拡張工業用(-40~+85)

のものが用意されています。価格は¥720

(1,000個以上)からとなっています。

SPI及びQSPIはMotorola, Inc.の商標です。

MICROWIREはNational Semiconductor Corp.の

商標です。

2.8V単一電源、

セルラバンド

リニアパワーアンプ

MAX2251は、2.8V~4.5V電源電圧で

動作するTDMA/AMPSデュアルモード電話

アプリケーション用に設計された低電圧

リニアパワーアンプ(PA)です。本製品は超

小型(2.06mm x 2.06mm)チップスケール

パッケージ(CSP)で提供されており、TDMA

動作において+30dBmを超えるリニアパワー

を供給します(標準効率41%)。内蔵シャット

ダウン機能により動作電流が1µA(typ)にまで低減するため、外部電源スイッチが不要です。

MAX2251はパワーディテクタを含んで

います。外部リファレンス電圧又はバイアス

回路を必要とせず、僅か数個の外付マッ

チング部品しか必要としません。外付バイ

アス抵抗の使用により、「安全マージン」の

ために電流を浪費することがなく、低出力

パワーレベルにおいて電流スロットルバック

を許容することにより、全てのパワーレベル

で可能な最高の効率を保証しています。周囲

温度-40~+85における利得変動は僅か

±0.9dBです。価格は¥240(1,000個以上)

からとなっています。

IIP3可変、

UCSPパッケージの

低ノイズSiGeアンプ

MAX2374は、シリコンゲルマニウム

(SiGe)、利得切換え可能、可変直線性の特性

を備えた低ノイズアンプ(LNA)です。セルラ

バンド及びCDMAアプリケーション用に設計

されています。また、TDMA及びPDA等の

高ダイナミックレンジの低ノイズアプリケー

ションにも適しています。本製品は相互変調

インターセプトポイント(IIP3)が高く、しかも

外付抵抗によって特定の必要条件のために

IIP3を調整することが可能です。

MAX2374の高利得モードはシステム感度

を最適化し、低利得モードはシステム直線性

を最適化します。小型サイズ、高利得及び

低ノイズ(NF 1.5dB)を実現するため、本LNA

は6つのハンダバンプ付の超小型ウルトラ

チップスケールパッケージ(UCSP)に収め

られています。本LNAは+2.7V~+5.5V

単一電源で動作し、消費電流は僅か8.5mA

ですが、入力IIP3として+6.2dBmを達成して

います。シャットダウンモードにおいては

消費電流が1µA以下に低減します。価格は

¥110(1,000個以上)からとなっています。

高リニアリティ、

アプリケーションが

フレキシブルな

業界初の3.5GHz

SiGe LNA

MAX2645は、3.4GHz~3.8GHzワイヤ

レスローカルループ、ワイヤレス広帯域アク

セス及びディジタルマイクロ波無線アプリ

ケーション用に最適化された業界初の

低ノイズアンプです。マキシム社の高度な

高周波数S i G eプロセスで製造された

MAX2645は、低NF、高利得、可変3次

インターセプトポイント(IP3)及びロジック

制御の利得ステップ機能といった特長を

備えています。これらの機能により、本製品

は第1段又は第2段レシーバLNA、トランス

ミッタ内のPAプリドライバ、又はLOバッファ

アンプとして最適となっています。

標準的なMAX2645の性能としては、僅か

9.2mAの消費電流で利得14.4dB、NF 2.3dB

及び入力IP3 +4dBmを実現しています。

利得ステップ機能は、LNA利得を24dB減少

させると共に入力IP3を+13dBmまで増やす

ことにより、高入力信号レベルにおける

レシーバフロントエンド性能を改善します。

このモードは、消費電流を僅か3mAに低減

します。IP3はチップ外のバイアス抵抗に

よって調整することも可能です。例えばPA

プリドライバとして使用する場合には、

アンプの入力IP3を13mAで+11.5dBm

(出力IP3は+26dBm)に調整できます。

電源電圧範囲は+3V~+5.5Vで、ロジック

制御シャットダウンにより消費電流が1µAに低減します。MAX2645は露出パドル付の

超小型10ピンµMAXパッケージで提供されています。価格は¥160(1,000個以上)からと

なっています。完全実装済みの評価キット

は設計時間を短縮することができます。

RBIAS

RFOUT

SHUTDOWNGAIN STEP

RFIN

VCC

MAX2645GND

BIAS

2645

3m m × 5 mm

10

-µMAX-EP