昭和62年9月20日 1051

Enterobacter cloacae による院内感染の細菌学的検討

岐阜大学医学部附属嫌気性菌実験施設

山 岡 一 清 渡辺 邦 友 上 野 一恵

大分医科大学第2内 科

那 須 勝

(昭和62年1月16日 受付)

(昭和62年3月18日 受理)

Key word: Enterobacter cloacae, Nosocomial infection, Epidemiologic marker

要 旨

1984年3月28日 か ら7月12日 の 間 に 某 病 院 のICU及 び 関 連 病 棟 の 入 院 患 者14名 よ り同 一 の 多 剤 耐 性

型 を 示 すEnterobacter cloacaeが 連 続 し て 分 離 され た.14症 例 中12症 例 は,ド レナ ー ジ あ る い は カ テ ー

テ ル が 留 置 さ れ て い た.こ れ ら14症 例 由 来 のE. cloacae14株 に つ い て 当 施 設 保 存 の 臨 床 分 離 株30株 を 対

照 と し,こ れ ま で 疫 学 的 マ ー カ ー と して 用 い られ て い る 生 物 型,Bacteriocin型,Antibiogram, plasmid

profile,菌 体 可 溶 性 蛋 白 のPAGE profileな どを 詳 細 に 検 討 した.

そ の 結 果,14菌 株 は,IDテ ス トEB-20(日 水)とAPI50CHE(API)を 用 い る 生 物 型 及 びTraubら

の 方 法 に よ るBacteriocin型 で は 全 く同 一 で あ った.し か し15薬 剤 〔ampicillin(ABPC), sulbenicillin

(SBPC), ticarcillin (TIPC), cefazolin (CEZ), cefmetazole (CMZ), cefmenoxime (CMX), cefotiam

(CTM), ceftizoxime (CZX), latamoxef (LMOX), tetracycline (TC), minocycline (MINO), rifampicin

(RFP), nalidixicacid (NA), sulfamethoxazole-trimethoprim (ST), gentamicin(GM)〕 を 用 い て

寒 天 平 板 希 釈 法 に よ るMIC値 か ら求 め たAntibiogram, TritonX-100を 用 い たminilysis法 に よ り調 整

し,0.8%agarose上 で 分 析 し たplasmid prome, W. E. C., Mooreら の方 法 に よ り分 析 し たPAGE profile

で は,菌 株 間 に 若 干 の 相 違 点 が 認 め られ た.

用 い ら れ た 全 て の マ ー カ ーを 組 み 合 わ せ て 分 類 した と こ ろ4型 に 分 類 で き,院 内 感 染 が 示 唆 さ れ た.

さ ら に簡 易 同 定 キ ッ トを 用 い た 生 物 型,Bacteriocin型,Antibiogram, plasmid profileの 検 査 に よ

り,院 内 感 染 を 解 析 で き る こ とが 示 唆 さ れ た.

はじめに

著者 らは,1984年3月28日 に全身の熱傷 にて

ICUに 入院 した患者の熱傷部皮膚感染巣より,こ

れまで当施設で分離されたことのなかった生物型

の多剤耐性のEnterobacter cloacaeを 分離した.

その後,こ の生物型のEcloaoaeがICUと 関連 し

た患者か ら連続 して分離 され院内感染が示唆され

た.

そ こで熱傷患者か ら分離 されたE. cloacaeと

同一の生物型を示すE. cloacaeが 分離 された症

例14例 について,そ のback groundの 解析および

それらの分離菌株の細菌学的,疫 学的検討を行 っ

た.

材料 と方法

対象および使用菌株:1984年3月 ～7月 までの

間にIDテ ス トEB-20(日 水)を 用いる同定によ

り,同 一生物型を示 したEcloacaeが 分離 された

14症例を対象 とし,こ れら由来の14株 を細菌学的

解析の主たる対象 とした.ま た1984年3月 以前に

当施設で臨床材料 から分離 されたEcloacaeの

保存菌株30株 も対照として用いた.

別刷請求先:(〒500)岐 阜市司町40番

岐阜大学医学部附属嫌気性菌実験施設

山岡 一清

1052 感染症学雑誌 第61巻 第9号

生 物 型:簡 易 同定 あ る い は 性 状 検 査 用 キ ッ トで

あ るIDテ ス トEB-20,API50CHE, API ZYM

(ア ス カ純 薬)を 用 い て 生 物 型 別 を 行 った.

いず れ の キ ッ トも24時 間 判 定 と した.

薬 剤 感 受 性:日 本 化 学 療 法 学 会 標 準 法 に基 づ く

寒 天 平 板 希 釈 法 を 行 った.接 種 菌 量 は,106cells/

mlと した1).使 用 薬 剤 は,ampicillin(ABPC),

sulbenicillin (SBPC), ticarcillin (TIPC), cef-

azolin(CEZ), cefmetazole(CMZ), cefmenoxime

(CMX), cefotiam(CTM), ceftizoxime(CZX),

latamoxef(LMOX), tetracycline(TC), minocy-

cline(MINO), rifampicin(RFP), nalidixic acid

(NA), sulfamethoxazole-trimethoprim(ST),

gentamicin(GM)の 合 計15薬 剤 を 使 用 した.い ず

れ も力 価 の 明 らか な 原 末 を用 い た.

Plasmid DNA profile: Triton X-100を 用 い る

minilysisに よ り調 整 したDNAを,0.8%agarose

上 で 電 気 泳 動 を 行 った2).

PAGE profile: Laemmliら のSDS systemに

よ り行 った3)4).

Bacteriocin型:Traubら に よ る方 法 で 共 同 研

究 者 の那 須 らに よ り行 わ れ た5)6).

成 績

1) 生 物 型 の 分 析

Table 1 Grouping by API 50 CHE

昭和62年9月20日 1053

IDテ ス トEB-20に よ るcode#に よ り44株 は1

～VIの6つ の 生 物 型 に分 類 され た .そ の 内 訳 は,

I型 が14株,II型 が11株,III型 が6株,IV型 が5

株,V型 が5株,VI型 が3株 で あ った.院 内 感 染

由来 の14株 は,す べ て1型 に 含 まれ て い た.IDテ

ス トEB-20に よ り分 け ら れ た6つ のgroupに つ

い て更 にAPI50CHE(24h判 定)に よ り詳 細 に

型 別 を 行 った(Table 1).

API50CHEの49の 基 質 の うちEcloacaeの1菌

株 に よ り異 な る反 応 を 呈 し た15の 基 質 即 ちGly-

cerol, D-Arabinose, D-Xylose,Adonitol, Dul-

citol, Inocitol, Arubtin, Esuclin, Salicin,

Maltose, Lactose, Amidon, Glycogen, L-Fucose

お よ びD-Arabitolに よ り44株 は29型 に 分 け られ

た.院 内感 染 由来 のgroupIに 属 す る14株 は 一 様

に1型 か2型 に 型 別 さ れ た .1型 と は,D-Ara-

binose, D-xylose, Adonitol, Salicin, Maltose,

Lactose, LFucose, D-Arabitolの8つ が 陽 性 の

株 で,2型 とは そ の うちSahcinの み が 陰 性 の 株

で あ った.ま た こ の よ うな生 物 型 の パ タ ー ンを 示

Table 2 Susceptibility of 44 E. cloacae isolates to 15 antimicrobials

Table 3 Susceptibility of 14 E. cloacae isolates to 15 antimicrobials

1054 感染症学雑誌 第61巻 第9号

す 株 は,IDテ ス トEB-20の 異 な るgroup II～VI

に は 全 く認 め られ な か った.

2) 薬 剤 感 受 性

E. cloacae44株 のABPC, SBPC, TIPC, CEZ,

CMZ, CMX, CTM, CZX, LMOX, TC, MINO,

RFP, NA,STお よ びGM15薬 剤 に 対 す る感 受

性 分 布 を み た(Table 2).又 院 内感 染 由来 株14株

の み の感 受 性 分 布 を(Table 3)に 示 した.こ れ ら

15薬 剤 中MIC分 布 が2峰 性 あ る い は3峰 性 を 示

した 薬 剤 の 中 か らTIPC, CMX, LMOX, NA,

ST, GM, TCの7薬 剤 を 選 び,そ れ ぞ れ に お い て

耐 性,感 性 のbreakpointを 決 定 して 各 菌 株 の 耐

性 型 を求 め た.

TIPCは25,CMX12.5,LMOX12.5,NA25,

ST12.5,TC100,GM3.13μg/ml以 上 を 耐 性 と

した.そ の 結 果 今 回供 試 し た44株 は,7剤 耐 性 の

a群,NAを 除 く6剤 耐 性 のa'群,TIPC, CMX,

LMOX, NAの4剤 耐 性 のb群,TIPC, CMX,

LMOXの3剤 耐 性 のc群,TIPC, CMXの2剤 耐

性 のd群,す べ て 感 受 性 のe群 の6群 に 分 類 され

た(Table4).院 内 感 染 由 来 の14株 は,a, a',b

の いず れ か の 薬 剤 感 受 性 パ タ ー ンを 示 した.こ の

よ うな4～7剤 耐 性Ecloacaeは 今 回 の 事 例 が

始 ま った1984年3月28日 以 前 の 株 に は全 く認 め ら

れ な か った.

3) Plasmid DNA profile

院 内 感 染 由 来 株 の14株 と対 照 と したEcoliV-

517のplasmid DNA promeを(Fig.1)に 示 した.

Fig. 1 Agarose gel electrophoresis of E. cloacae

plasmid DNA

Lane 1-14: E. cloacae isolates from 14 patients,

C: E. coli V-517

14菌 株 中#3,#5を 除 く12株 は す べ て 同 一 のprofile

を 示 した.こ のprofileを 示 す12株 をA型 と した.

#3,#5は12株 に は 認 め られ な いbandが 加 わ って

お り,こ れ をB型 と した.44株 のplaslnid DNA

profileを ま とめ て み る と,plaslnidを 保 有 す る も

の21株,plasmidを 保 有 し な い もの23株 で あ り,

plaslnidを 保 有 す る もの に は,A～Fの6型 に 区

別 さ れ院 内 感 染 由来 株 は,Aま た はBの い ず れ か

に分 類 され た(Table 5).

4) PAGE profile

院 内 感 染 由 来14株 の 菌 体 可 溶 性 蛋 白 のPAGE

profileは(Fig。2)に 示 した.14株 とも主 要band

Table 4 Grouping of 44 E. cloacae isolates by antibiogram

Note: r : TIPC, 25ƒÊg/ml; CMX, 12.5,ƒÊg/ml; LMOX, 12.5ƒÊg/ml; NA, 25ƒÊg/ml

ST, 12.5ƒÊg/ml; TC, 100ƒÊg/ml; GM, 3.13ƒÊg/ml;

i: NA, 12.5ƒÊg/ml

昭和62年9月20日 1055

Fig. 2 PAGE profile of soluble protein from E. cloacae isolates

Lane 1•`14: E. cloacae isolates from 14 patients

Table 5 Plasmid DNA analysis of 44 E. cloacae

isolates

に お い て は よ く一 致 して い た が1株(#5)に お い

て の み(Fig.2)に 示 すbandが1本 欠 如 し て い

た.

5) Bacteriocin型 別

共 同研 究 者 の那 須 ら に よ りお こ なわ れ た これ ら

院 内 感 染 由来 の14株 のBacteriocin型 は 全 て30型

で あ った.

考 察

Enrerobaeter spp.は,nosocornial infections

に お い て最 も重 要 な細 菌 の 一 つ で あ る5)～9).ま た,

Enterobacter spp.は,尿 路 感 染 症,外 科 創 傷 感 染

症,肺 炎,菌 血症 の原 因 菌 と して も重 要 で あ る.更

に,Enterobacter cloacaeは,熱 傷 創 にお い て 非 常

に 問 題 とな る細 菌 で あ る10).さ て 全 身 熱 傷 でICU

に 緊 急 入 院 し,約3週 間 の 治 療 を 受 け た が 死 亡 し

た患 者 の二 次 感 染 巣 か ら分 離 され たE. cloaeaeは,

過 去3年 間 の 当 施 設 の デ ー タ を さか の ぼ って 調 べ

て も 出 くわ した 事 の な い 新 し い 生 物 型 で あ った.

し か も この 菌 株 は多 剤 耐 性 で あ った.こ の よ う

な 多 剤 耐 性菌 は,少 な く と も こ こ3年 間 は 当 施 設

で 認 め られ て い な か った.こ の 新 しい 生 物 型 のE

cloacaeが 初 め て 出 現 し て か ら後,約4ヵ 月 の 間 に

14症 例 か ら,あ いつ い で これ と同 一 の生 物 型 で 多

剤 耐 性 のE. cloacaeが 分 離 さ れ た.こ のE

cloacae分 離 症 例 を 詳 細 に調 べ た 所,14例 は,ICU

入 院 患 者1例,ICUを 経 由 し てB病 棟 に 入 院 した

患 者 の5例,ICUを 経 由 す る こ とな く,B,Cお よ

びD病 棟 に入 院 した 患 者 の そ れ ぞ れ5,1お よ び

1例 か らな って い た.ま た第1例 目の 熱 傷 後 の二

次 感 染 例 を 除 く13例 は,す べ て ドレナ ー ジ また は

カ テ ー テ ル 使 用 の症 例 で あ った.

これ らの 事 実 は,病 院 に於 け る 明 らか な院 内感

染 の 勃 発 を 証 明 して い る.ま た 今 回 のE. cloacae

の蔓 延 に 医 療 従 事 者 あ る い は カ テ ー テ ル が 重 要 な

役 割 を 演 じ て い た こ とを示 唆 して い る.

さ て,あ る細 菌 に よる 院 内 感 染 を追 跡 調 査 す る

時 に 用 い られ る 疫 学 的 マ ー カ ー と して は,化 学 療

法 剤 と重 金 属 に 対 す る感 受 性,Biovar, Phagevar,

Serovar, Bacteriocin, Plasmid profileあ るい は

核 酸 の 相 同性,酵 素 産 生 性 の 分 析,marker pro-

1056 感染症学雑誌 第61巻 第9号

teinの 分 析 な どが あ る 11)～14).

特にE. cloacaeの 疫学的マーカーとしては,こ

れ ま で生 物 型,化 学 療 法 剤 に対 す る感 受 性

(Antibiogram),血 清型,Bacteriocin型 が用い ら

れてきた.

そ こで,今 回著者 らは このように比較的容易に

院内感染を推測することができた事例14症 例由来

のE. cloaoae 14菌株を用いて,す でに知 られてい

る幾つかの型別の疫学的マーカーとしての有用性

を検討 した.

簡易性状検査用キ ットAPI 50 CHEを 用いて

行わ れた 生物型 で は24h判 定 にお いて は若干

profileの異なる菌株 もあったが,48h判 定では同一p rofileを 示 し マ ー カ ー と し て の 有 用 性 を 示 し

た.薬 剤感受性では,14株 はいずれ も多剤耐性で

あったが,今 回の事例で もわか るように詳細な

MICの 検討では更に3つ の小グループに細分 さ

れた.あ とになって分離された株ほど,す なわち

時間の経過 と共により薬剤感受性に変化 していっ

た と考 え られ た.今 回 の院 内感 染 由来 のE.

cloacaeは いずれもplasmid DNAを 有 していた.

そのprofileに は,若 干の差異はみ られたものの

非常に酷似 していた.こ れ らの株に認め られた

plasmid DNA bandsと 薬剤耐性 との関係につい

ては,今 回は,追 究されなかった.

protein profileは,非 常 に よい 成 績 が み られ は

した が 手 技 の繁 雑 さや 時 間 の 消 費 の長 さ な ど問題

点 も多 くマ ー カ ー と し て は不 適 当 とお もわ れ た.

Bacteriocin型 は,14株 す べ て30型 で あ った.

Bauernfeindら は,E. cloaeae 134株 中96.3%が 型

別 可 能 で あ る こ と,ま た そ の型 の 分 離 後2ヵ 月 は

安 定 で あ る こ とを報 告 して い る15).ま た 那 須 ら は

このBacteriocin型 別 を も ち い て 大 分 医 科 大 学 病

院 の 入 院 患 者 由来 のE. doacae 150株 を 型 別 し,

本 法 の 疫 学 マ ー カ ー と して の 有 用 性 を示 唆 し て い

る が,そ の 有 用 性 は こ こで確 か め られ た.

さ て 以 上 の マ ー カ ー を総 合 した14症 例 由 来 の14

株 の細 菌 学 的 検 索 結 果 は,Table 6の よ うに ま と

め られ た.す なわ ち,ル ー チ ンの 腸 内細 菌 簡 易 同

定 キ ッ トで あ るIDテ ス トEB-20に よ る 生 物 型 と

一 濃 度デ ィスク法にもとず く薬剤感受性パターン

(Antibiogram)で は,全 く同一 と考 え られ た14株

は,Bacteriocin型 で も14株 が30型 と ま った く同

一 であ っ た.

そ の他 の マ ー カ ーで も,大 筋 で は 同一 と考 え ら

れ た が,細 部 で 若 干 の 差 異 が認 め られ た.

そ こで これ らの,わ ず か なAPI 50 CHE profile,

MICに も とず い たAntibiogram, Plasmid profile,

protein profileの 相 違 点 も考 慮 し て 分 類 した と こ

ろI, II, III, IVの4型 に 分 類 で きた.第1例,す な

Table 6 Properties of the Enterobacter cloacae isolates investigated

* ICU: Intensive Care Unit** PTCD: Percutaneous Transphepatic Cholangiographic dranage

*** IUC: Intra-urethral catheter

昭和62年9月20日 1057

わ ち熱 傷 患 者 か らの 分離 株 はI型 で あ った.そ の

後 こ のI型 は,第2,4,6,8お よ び13例 目か ら分

離 され て い る.I型 とPlasmid profileの み が 僅 か

に 異 な るII型 が,第3例 目か ら,ま た このII型 と

Antibiogramとprotein profileが 僅 か に 異 な る

III型が 第5例 目か ら分 離 され て い る.残 りの6例

(第7,9,10,11,12お よ び14例 目)か らは,I型

とAntibiogramの み が異 な るIV型 が 分離 され て い

る.I型 とIV型 の 差 は,Antibiogramに 認 め られ,

IV型 はI型 のST合 剤,GM, TC耐 性 が 脱 落 した

株 と見 る こ とが で きる.な ぜ な らEnterobacteria-

ceaeの これ らの耐 性 は,R因 子 に支 配 され て い る

こ とが 知 られ て い る か らで あ る16).

こ のoutbreakは,3月28日,初 め て 本 菌 が 分 離

され て か ら,約2ヵ 月後,当 時 最 も本 菌 の 分 離 例

が 多 か ったB病 棟 の 担 当 医 にE. cloaeaeに よ る

院 内 感 染 の勃 発 の 連 絡 を 行 い,カ テ ー テ ル の扱 い,

また と くに 消 毒 に対 す る注 意 を払 うよ う指 示 して

か ら約2ヵ 月 後 に お さま った.こ のoutbreakは,

非 常 に 特 異 な 生 物 型 と薬 剤 感 受 性 を 示 すE.

doaeaeで あ った が た め,ル ー チ ン の検 査 で 比 較 的

早 期 に認 識 され た が,こ の よ うに簡 単 に は認 識 出

来 な い場 合 が 多 い と考 え られ る の で,検 査 室 側 で

も,適 当 な疫 学 マ ー カ ーを 用 意 して病 院 内 感 染 の

コ ン トロー ル が 必 要 で あ る.

文 献

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1058 感染症学雑誌 第61巻 第9号

Bacteriological Analysis on an Outbreak of Hospital Infection

due to Enterobacter cloacae

Kazukiyo YAMAOKA, Kunitomo WATANABE & Kazue UENO

Institute of Anaerobic Bacteriology, Gifu University School of Medicine

Masaru NASU

Second Department of Internal Medicine, Medical College of Oita

During the period from March 28 to July 12 1985, a group of Enterobacter cloacae strains, whichshowed the same code number of the identificaiton kit (ID test EB-20: Nissui) and showed theresistance to many antibiotics, were isolated successively from a total of 14 inpatients in a communityhospital in Gifu city.

Twelve out of 14 patients had indewelling catheters or drainage for the treatment of underlyingdisease. A total of 14 isolates of E. cloacae were compared each other and with 30 strains which wereisolated previously in this hospital about the epidemiological markers such as biovar, bacteriocin type,antibiogram, agarose gel profile of plasmids and PAGE profile of soluble cellular proteins.

All the isolates from the outbreak was shown to have the same biovar and bacteriocin typeaccording to the commercial identification kits (ID test EB-20 and API 50 CHE) and the bacteriocintyping methods described by Traub and their associates, respectively.

The antibiogram, plasmid profile and soluble protein profile were shown to be slightly differentamong 14 isolates derived from this outbreak. When these isolates were analysed in details accordingto all the markers tested in this study, 14 isolates were demonstrated to be classified as 4 differentkinds of group.

This study suggested that the biotyping, bacteriocin typing, antibiogram and plasmid profile werevery useful to analyse the outbreak of nosocomial infections due to E. cloacae.