Bright Vision

ブロックチェーンの技術と動向

株式会社ブライトビジョン

http://brightvis.com/CC BY 4.0

技術トレンド調査

2018年3月

Bright Vision

ブロックチェーンの原理と技術

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Bright Vision

分散型台帳

2

データベース

通常（集中型）のデータベースシステム

アクセスマネージャ

正常なアクセス

不正なアクセス

データベース

コンセンサスアルゴリズム

データベース

コンセンサスアルゴリズム

データベース

コンセンサスアルゴリズム

データベース

コンセンサスアルゴリズム

分散型台帳

正常なアクセス

不正なアクセス

ノード ノード

ノード ノード

ブロックチェーンは分散型台帳の一つ。取引履歴を共有分散して、みんなで監視するので、

中央集権的な管理者が不要

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ブロックチェーンを実現する技術【ハッシュ】

➢ データを代表する値を数学的に計算する方法。実用上望ましい性質を持つ

➢ いろいろな用途に利用されている

• データの改ざんや間違いの検知

• パスワードなどの入力データが正しいかどうか検証

• データ検索や抽出の高速化

3

ハッシュとは、元データを要約した数値を求める手法です。

ハッシュとは、元データを要約した数値を

求める手法ですね。

データ1

データ2

ハッシュ関数

ハッシュ関数

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27e00579d9f7e98e591a03fcb0d9b85dee5c7bd7

ハッシュ値

ハッシュ値

元データが少しでも変わると、まったく違う値になる

元データの長さによらずハッシュ値

の長さは一定

ハッシュ値から元データを復元することは不可能

同じハッシュ値になる元データを作るのは難しい

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ブロックチェーンを実現する技術【公開鍵暗号】

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鍵のペアA,Bがあり、どちらかの鍵をつかって暗号化したデータは、もう一方の鍵を使ったときにだけ復号することができる

暗号通信

鍵B (秘密鍵)

鍵A (公開鍵)

(1) 受信者の公開鍵を送信者に渡す

(2) 公開鍵で暗号化したデータを送る

鍵Aで暗号化したデータ

受信者送信者

(3) 受信者は秘密鍵で暗号化されたデータを復号

電子署名

署名人 検証人

鍵B (秘密鍵)

署名

(3) 署名する文章（のハッシュ）を秘密鍵で暗号化したデータ(署名)を送る

鍵A (公開鍵)

(1) 署名人の公開鍵を登録しておく

認証局

(2) 署名人の公開鍵を取得

(4) 署名人の公開鍵で復号して、元文章(のハッシュ)と同一かどうかを検証

鍵Bで暗号化した文章(のハッシュ)

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ブロックチェーンとは

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前のブロックヘッダのハッシュ

ナンス

全トランザクションのハッシュ

トランザクション

トランザクション

トランザクション

：

ブロックヘッダ

ハッシュ

前のブロックヘッダのハッシュ

ナンス

全トランザクションのハッシュ

トランザクション

トランザクション

トランザクション

：

ハッシュ

前のブロックヘッダのハッシュ

ナンス

全トランザクションのハッシュ

トランザクション

トランザクション

トランザクション

：

ハッシュ

ハッシュ値が決められたターゲット値以下に

なるようなナンス値を探す（Mining）

チェーンが分岐した場合は最も長いチェーンを採用

あるデータを改ざんするには他のチェーンの生成速度を上回る速度で後ろのブロック

を生成する必要がある (51%攻撃)

取引（トランザクション）をまとめたブロックを、ハッシュを使ってチェーン状に繋げていき、改ざんができないようにする方法

※ 新しいブロックを生成したユーザーには報酬が与えられる⇒ マイニングのインセンティブになる

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ブロックチェーンの取引フロー

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ノード

(1) AさんからCさんへ100円の送金

1. ユーザーが近くのノードに取引(送金など)を

登録する（送信者の電子署名付き）

2. ノードは取引情報を全ノードに配信する

3. ノードは取引をある程度まとめてブロックを

作る (条件に合うナンスを探す)

4. ナンスが最も早く見つかったノードが、

そのブロック情報を全ノードに配信

（ブロック情報にはマイニング報酬が記載済み）

5. 他のノードは、そのブロック情報が正しいか

どうかを検証

6. ブロック情報が正しければ、そのブロック情報

をブロックチェーンに登録

(2) 取引情報を全ノードに配信

(3) 取引をまとめたブロックを作成（ナンスを探す）

(4) ブロック情報を配信

(5)(6) ブロック情報を検証して、登録

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スマートコントラクト

➢ スマートコントラクトの例：モノのレンタル

1. 借り手が保証金を預けたら、貸し手はモノの使用権を借り手に渡す

2. 借り手がモノを返却したら、貸し手は使用料を差し引いて保証金を借り手に返す

3. 借り手がモノを返却しなかったら、貸し手は保証金を没収する

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特定のトランザクションが起きた時に、ネットワーク上であらかじめ決められた処理（プログラム）を実行できる仕組み

ある状況がおきたときにどうするか（契約内容）をブロックチェーンに登録しておき、

その状況が起きたときに自動実行（契約履行）できる

• 契約内容がプログラムとして明確に記載されている

• ブロックチェーンに登録されており、途中で契約内容変更ができない

• 処理は自動的に行われるので、契約不履行がない

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コンセンサスアルゴリズムのいろいろ

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不正を防止して、ノード間での整合をとるコンセンサスアルゴリズムにも用途に合わせて種類がある

名称 内容 特徴 事例

PoW

(Proof of Works)

提供した計算量に応じて報酬が得られる

• 誰もが参加可能• ネットワーク維持コストが高い• マイナーが偏ると不正が可能 (51%攻撃)

• Bitcoin• Ethereum (現在)

• Litecoin

PoS

(Proof of Stake)

その通貨を持っている量に応じて報酬が得られる

• 誰もが参加可能• 維持コストが安い• 貧富の差が拡大する

• Ethereum (将来)

• Cardano

• NEO

PoI

(Proof of Importance)

残高、取引回数、取引量が多い人ほど報酬が得られる

• 誰もが参加可能• 維持コストが安い• PoSより貧富の差が拡大しにくい

• NEM

PoC

(Proof of Consensus)

あらかじめ信用された組織のみが承認作業が可能

• 信用された組織しか承認作業に参加できない• 維持コストが安い• 承認時間が短い

• Ripple

PBFT

(Practical Byzantine

Fault Tolerance)

特定ノード（コアノード）が多数決でブロックを生成する方式

• コンソーシアム型でよく使われる• 維持コストが安い• 決済完了が早期に決まる

• Hyperledger

Fabric

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ブロックチェーンの特徴

➢ 中央集権的な管理者が不要

➢ スケーリングが容易

➢ 耐障害性に優れる

➢ 改ざんや不正が実質不可能

➢ 取引相手を信用する必要がない

(ネットワークとアルゴリズムを信用)

➢ 取引コストが安いことが多い

➢ スマートコントラクトで取引を

自動化できる

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➢ 取引確定が遅い

➢ 大きなデータを扱うのが苦手

➢ 過去の全取引を保持する必要がある

➢ プライバシーを保つのが難しい

(暗号化、匿名化技術もある)

➢ ネットワーク維持に多大なコストが

かかる (特にPoWの場合)

➢ 修正やバージョンアップに参加者の

合意形成が必要

メリット デメリット

Bright Vision

ブロックチェーンの活用

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Bright Vision

ブロックチェーンの応用例

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http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160428003/20160428003-1.pdf

決済用途以外にもいろいろな活用が模索されている

経産省

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物品の貸し借り

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ブロックチェーンとスマートコントラクトを使って住居、自転車、物品などを自動的に貸し借りする

ドイツのスタートアップ Slock.itモノの貸し借りのプラットフォームを構築中

https://slock.it/usn.html

ポルシェがドアのロックや開錠、他人への貸し出しをブロックチェーンを利用して行う実証実験

https://japan.cnet.com/article/35115310/

Bright Vision

電力の売買 (マイクログリッド)

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https://www.slideshare.net/JohnLilic/transactive-grid

米国 LO3 ENERGY シンガポール Solar Bankers

http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/news/16/082408876/?ST=msb

太陽光発電などの再生可能エネルギーをマイクログリッドに接続して、スマートメーターとブロックチェーンでその地域で

電力を売買する実証実験が各地で進んでいる

Bright Vision

トレーサビリティ

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http://www.fleischwirtschaft.de/economy/news/China-IBM-and-

Walmart-use-blockchain-technology-to-track-pork-33638

ウォールマートが豚肉の生産加工から販売までをブロックチェーンで記録

EY partnersがイタリアでワインのトレーサビリティブロックチェーンで記録

（日本でも実証実験予定）

https://www.securingindustry.com/food-and-beverage/ey-partners-

with-ezlab-on-blockchain-wine-security-project/s104/a4014/

生産者、加工者、輸送者、販売者と多数の関係者が関与する食品や製品の偽造品対策に、改ざんができないブロックチェーンを活用

Bright Vision

所有権や著作権の登記

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Everledgerダイヤモンドの特徴をブロックチェーンで登記

https://www.altoros.com/blog/a-close-look-at-everledger-how-

blockchain-secures-luxury-goods/

KODAKOneデジタル写真をブロックチェーンで登記して販売

http://businessuiteonline.com/index.php/2018/01/11/kodak-uses-

blockchain-to-create-kodakone-platform-for-digital-photography-

with-own-digital-currency-kodakcoin/

盗難やコピーなどの不正利用を防ぐため、所有権や著作権をあらかじめ対象物の特徴と共にブロックチェーンに登記する

Bright Vision

個人情報の管理

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https://www.healthcare.digital/single-post/2017/10/02/Blockchain-

technology-in-healthcare

エストニア eHealth個人の医療情報を保存し、必要に応じて提供する

ソニー グローバルエデュケーション個人の学歴や学習履歴を保存、共有

https://blockchain.sonyged.com/

個人情報を暗号化してブロックチェーンに保存。データの共有や履歴の証明に利用する

Bright Vision

ネットサービスの分散アプリ化

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情報を蓄えたり共有するようなネットサービスもブロックチェーンを使って分散アプリ化(DAPPS)する動きがある

クラウドストレージ

クラウドソーシング

SNS

組織管理ツール動画共有

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政府、自治体

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https://angel.co/voatz/jobs

米スタートアップ Voatzブロックチェーンを利用した投票プラットフォーム

https://exonum.com/napr

ジョージア （グルジア）政府として土地取引と登記にブロックチェーンを利用

多数の組織や関係者が関与しても、不正や改ざんができないブロックチェーンで政府や自治体業務を管理

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ブロックチェーンに向くユースケース

➢ 多数の組織や個人間で、相互にやりとりが行われる場合

➢ やりとりと決済を自動的に行いたい場合

➢ 権利や履歴を記録して、改ざんなく保管したい場合

➢ 中央集権的な管理者が不正を行うことがあり、

それを防止したい場合

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ブロックチェーンの特徴を理解して

うまく長所を生かす用途に利用することがポイント

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株式会社ブライトビジョンでは、ブロックチェーンを使った

ビジネスのコンサルティングを行っています。

また、講演会やセミナーも承っております。

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