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企業報告ラボ Corporate Reporting Lab プログレス・レポート Progress Report 2016 12 月~2018 年5月

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企業報告ラボ

Corporate Reporting Lab

プログレス・レポート

Progress Report

2016 年 12 月~2018 年5月

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目次

Ⅰ.要旨

Ⅱ.活動と成果(2016.12-2018.5)

(1) 企画委員会

(2) コーポレート・ガバナンス対話の在り方分科会

Ⅲ.企業報告ラボ ~これまでの活動概要

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Ⅰ.要旨

2012 年7月、企業と投資家が、企業価値の向上に向けた対話や開示のあり方を検

討、調査、提案する場として、「企業報告ラボ(The Corporate Reporting Lab)」

が設立された。

本企業報告ラボ(以下、ラボ)は、(1)企業と投資家が集い、それぞれの認識の

違いを理解し、共通の理解や言葉を探ることで、より建設的な対話を促すとともに、

(2)日本市場に関心を持つ海外投資家を含む、内外の関係者とのネットワークを

構築や、日本からのメッセージを発信すること、を目的としている。

本ラボの運営は、メンバーからの提案を実現していく形で進められている。

2018 年5月現在、ラボの企画・戦略を策定する企画委員会において意見交換や運

営・プロジェクトの提案がなされ、特定の活動を行うサブグループとして、コーポ

レート・ガバナンス対話の在り方分科会等が設置されている。

本『プログレス・レポート』では、2016年 12月~2018年5月までのラボにおける

議論の過程と成果を紹介する。

II. .活動と成果(2016.12-2018.5)

(1) 企画委員会

1.目的

企画委員会は、主として企業のIR責任者や投資家(ファンド・マネージャー/議

決権行使担当者)によるメンバーと、関係組織や規制当局(日本取引所グループ、日

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本 IR 協議会、財務会計基準機構(FASF)、金融庁)がオブザーバーとして参加し、企

業報告ラボの活動に係る企画や全体の方向性・戦略に関する議論を行っている。

2.実績

2016 年 12月~2018年5月の間に、3回の企画委員会が開催された。各回の議題は

以下のとおり。

日時 議題

第 17回 2017年 2月 3日 (1)「丸井グループのサスティナブルな進化に向

けた革新と企業価値の向上」

加藤 浩嗣委員

株式会社丸井グループ 取締役上席執行役

員 経営企画部長 兼 IR部長 ESG推進担当

(2)今後に向けた提案

第 18回 2017年 7月 18 日 (1)中小型株企業の投資家とのコミュニケーショ

ンのあり方

藤﨑 哲也氏

亀田製菓株式会社 常務執行役員 海外事

業グループ北米統括

重田 盾子氏

サトーホールディングス株式会社 財務部

経営企画グループ(IR担当)課長

(2)委員等から最近の活動の紹介

第 19回 2018年 1月 16 日 (1)Non-GAAP 指標等に関する調査の報告及び質

疑・応答

(2)事業報告等と有価証券報告書の一体的開示の

ための取組について

【第 17 回企画委員会の概要】

① 株式会社丸井グループの加藤委員より、「丸井グループのサスティナブルな進化に

向けた革新と企業価値の向上」について、プレゼンテーションを頂いた。

メンバーとの間で、改革の原動力、対話・開示の取組、後継者の育成、ダイバーシ

ティ・人材登用の観点から質疑応答を行った。IR については、その活動で得た投資

家の声を社内に共有する取組についての質問が出された。同社においては、中期の経

営課題を議論する会議において IR 活動報告も行っており、会議の出席者を職位にか

かわらず立候補制にしたことでより会議が活性化したとの回答があった。

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② さらに、企業報告ラボの今後に向けた提案についてもメンバー間で議論がされた。

今後の検討課題として、メンバーからは、以下の様なコメントがあった。

(対話・エンゲージメント・議決権行使の在り方)

・ これからは、どういう理由で賛成、反対したか、今後、企業側に考えて欲しい対

応、投資判断とどういう風に結びついているのかが全部繋がった形で企業側に伝

える必要がある。(投資家)

・ 何を目的としてどういう話をしているのか、エンゲージメントの現状を把握する

のは大事。投資家と対話することで企業にとって役立っていることは何か。そこ

をしっかりと把握しておく必要がある。(企業)

(空売りアクティビストへの対応~普段からの開示・対話の重要性)

・ 空売りアクティビストが、海外の市場からはいなくなった一方で、日本に入って

きてしまっており、企業にとっては、対応の良し悪しで運命が分かれる状況にな

っている。企業に対して、普段から公明正大にやり、余計な心配をもたれないよ

うにするべきというメッセージを発信するのはどうか。(投資家)

(ESG への対応・考え方の整理)

・ ESG を企業の持続的成長の中で語っていくのに明確なスタンダードが無く、ESG

をかなり踏み込んでやっている企業でないと評価が得られないのが現状である。

そもそも ESG の定義もされていない。ESG のとらえ方は企業側も投資家側も異な

る。中長期的に企業価値を高めていくのに合わせ ESG をどう評価していくかを議

論できるとよい。(コンサル・その他)

(統合レポートなどの任意開示の在り方)

・ 統合報告に関しては、自由度はあっても読ませるものを作るのが大事。情報量が

多ければよいというのではなく、ロジカルでシンプルなものがよい。投資家と対

話することで統合報告書をより実質的なものにしていくのがよい。(コンサル・そ

の他)

・ 自由度が高いのはよい一方で、投資家が期待する最低限の情報が記載されている

ことも重要。(投資家)

(セルサイドアナリストの役割)

・ セルサイドアナリストの役割について問題意識を持っている。(企業)

・ バイサイドとセルサイドではミーティングでの話題も違う。株価形成においては

セルサイドの影響が大きく、無視はできない。(企業)

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【第 18 回企画委員会の概要】

① 亀田製菓株式会社の藤﨑氏、サトーホールディングス株式会社の重田氏より、中小

型株企業の投資家とのコミュニケーションのあり方について、プレゼンテーションを

頂いた。

メンバーからは、中小型株全体の課題として、中小型株のセルサイドアナリストが

減っていること、社外取締役を導入するのは難しいこと等のコメントがあった。

② また、委員等からの最近の活動の紹介として、一般社団法人日本 IR 協議会の佐藤

オブザーバーからは、日本 IR協議会が行った全上場企業に対する IR活動の実態調査

アンケートから見るフェア・ディスクロージャー・ルール対応の実態について、投資

家フォーラムの江口委員からは、投資家フォーラムの活動状況について、報告を頂い

た。

投資家のメンバーからは、以下の様なコメントがあった。

(フェア・ディスクロージャー・ルール)

・ FD ルールに関しては、会社のホームページでの公表でよくなったことから、開示

の定義が幅広く柔軟になり、進歩したと思っている。また現時点でも対話に特段

影響は感じない。あるとしても、アナリストに対して提供されていた月次の進捗

のデータに関するメールが取り止めになっているくらい。

・ また、FD ルールへの対応としては、対象となる情報の線引きが分からないから、

手前で言わないでおこうというのは安全でない。そもそも重要情報があるのに抱

えていること自体が危なく、抱えているなら公表したほうが FDルールに引っかか

るリスクが少ないという頭の切り替えをすべき。アメリカの会社もそのように管

理を行っている。

・ 投資家側にも、企業との対話の中で、話が FD ルール抵触/インサイダー情報入手

の方向にいかないよう事前に抑制することと、事後にも、抵触したかどうか疑義

が少しでもある場合にはコンプライアンス上の措置を取りつつ、企業と“公表し

ていない重要情報”であるのか確認し、適宜公表を促す役割についてしっかり浸

透させることが大事。

【第 19 回企画委員会の概要】

① 経済産業省企業会計室の平成 29 年度の調査事業の一環として、企業と投資者間の

対話を促進する上での Non-GAAP 指標をめぐる内外の現状について調査を行い、調査

の事務局の PwCあらた有限責任監査法人より、中間報告を行った。

メンバーからは、以下の様なコメントがあった。

(作成者側(企業)の立場)

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・ Non-GAAP指標を対外的に利用していない理由は、あまり詳細を開示すると、大勢

に影響を及ぼさない小規模の不調等についても必要以上の懸念をされるなど、会

社として見てほしい目線にならないこともあるため。

・ 業種によっては(企業秘密の開示につながるため)出せないということがある。

・ コア営業利益の定義が各社それぞれ異なるため、他社との比較はできない。社内

ではコア営業利益等の実態を表す数字を出しているが、他社との比較ができない

のであれば、混乱を防ぐため対外的に出すことに抵抗があると考えている。

・ 業績動向を把握する数値として有益と思うが、定義や計算式が統一されていない

ことや、その定義、計算式を開示していない企業もあることが課題であると考え

る。

・ 他社と比較をした際に、投資家は同じ定義と思っているものが実は異なる、とい

うことも発生していると考える。今回の流れに乗り、少なくとも各社が定義や計

算方法を掲載するよう働きかけられると良いと思う。

(利用者側(投資家)の立場)

・ ROIC の算出方法が企業によって異なるという点について ROIC 自体、定義を決め

ることが難しいので各企業が定義を開示するべきであると考える。総体としての

比較可能性を求めるのは難しいが、時系列比較や同業種内で多少比較ができるよ

うに、定義が近似していると良いのではないかと考える。

・ 日本においては、Non-GAAP指標が悪用されたケースはまだなく、現時点では問題

はないと考えている。性善説で今のところよいのではないか。

・ 現時点では、規制等をするよりは、より積極的な開示を肯定的にとらえて応援す

るようなメッセージを発信することが大事ではないかと考えている。

(まとめ)

・ 日本では、まだ米国ほどの論点はおそらく発生していない。ある程度定義化をし、

投資家との対話の手段として、いかに開示をしていくかという段階であると思わ

れる。

② 内閣官房、金融庁、法務省、経済産業省が共同で公表した「事業報告等と有価証券

報告書の一体的開示のための取組について」(以下、一部抜粋)について、経済産業

省及び金融庁から説明を行った。

メンバーからは、以下の様なコメントがあった。

・ 一体化によって少しでも企業の手間が省けて、その分、余裕時間でもって非財務

情報開示の拡充につながると良いと考えている。(企業)

・ 海外投資家から、日本企業の有価証券報告書(英文)を見たいという要望はよく

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もらっている。英語化は負担ではあるが、英語版が開示されるようになれば海外

投資家との対話が促進されるはずなので、一体化に期待している。(企業)

「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について」<抜粋>

平成29年12月28日

内 閣 官 房

金 融 庁

法 務 省

経 済 産 業 省

1.はじめに

(1)今般の取組の目的

中長期的な企業価値の向上を促すためには、実効的なコーポレートガバナンス改革に

向けた取組の一つとして、企業から投資家に対して投資判断に必要な情報が十分かつ公

平に提供され、投資家と企業が建設的な対話をしていくことが必要である。

その際、今後の成長分野の主役であるベンチャー企業や中堅・中小企業等、開示業務

に対して社内リソースを十分に割くことができない企業にとっても、取り組みやすい開

示となることも求められている。

このような、投資家側の利便性の向上及び企業側の業務負担の軽減も踏まえつつ、「未

来投資戦略 2017」(平成 29年6月9日閣議決定)(以下、「未来投資戦略」)に掲げられ

た「2019 年前半を目途とした、国際的に見て最も効果的かつ効率的な開示の実現」に

向け、事業報告等と有価証券報告書の一体的開示をより容易とするため、関係省庁は共

同して制度・省庁横断的な検討を行ってきたところである。

(2)目指すべき方向性

我が国においては、会社法に基づく事業報告及び計算書類(以下「事業報告等」)と、

金融商品取引法に基づく有価証券報告書という2本立ての開示が求められる制度とな

っている。そして、前者は、(定時株主総会の招集の通知に際して株主に提供されなけ

ればならないものであるため)定時株主総会前に作成される必要があり、後者は、実務

上、定時株主総会後に提出されることが多い。

こうした制度は、株主及び会社債権者への情報提供や株主総会に係る適正手続、有価

証券報告書による十分な情報開示、適時の情報開示の確保というそれぞれの要請に対応

できるよう構築された制度であり、企業実務も、そうした制度上の要請に各々の開示書

類で対応する形で定着してきたものである。

一方、諸外国においては、決算期末から株主総会開催日までの期間が日本の場合より

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長く、我が国の会社法と金融商品取引法がそれぞれ要請する開示内容に相当する内容を

開示する一つの書類を作成し、株主総会前に開示している企業が多い。

我が国においても、制度上は、会社法と金融商品取引法の両方の要請を満たす一つの

書類を作成して株主総会前に開示することは可能となっている一方、企業からは、類似

項目に関する両制度間の規定ぶりの相違やひな型の相違等により、実務レベルで企業が

効率的かつ安心して一つの書類で開示することができる環境が十分に醸成されている

とは言い難いという指摘がなされている。このため、中長期的には、投資家側の利便性

の向上及び企業側の業務負担の軽減を更に進める観点から、会社法と金融商品取引法の

両方の制度に基づく開示要件を満たした一体の書類が作成される方向性が指向される

ものの、実務ではその実現に向けた動きは必ずしも見られない。

こうした現状の下、諸外国と同様、一体の書類又は二つの書類の段階的若しくは同時

提出のいずれの方法による開示も容易に行うこと(すなわち事業報告等と有価証券報告

書の一体的開示)をより行いやすくするための環境整備を行うことが求められる。

上記の環境整備の一環として、当面、類似・関連する項目について、可能な範囲で共

通化を図ることとする。

<配布資料等>

第 17回企画委員会

<配布資料>

http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/kikakuiink

ai/170203.html

<議事概要>

http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/set.pdf

第 18回企画委員会

<配布資料>

http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/kikakuiink

ai/20170718.html

<議事概要>

http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/pdf/201707

18/set.pdf

第 19回企画委員会

<議事概要>

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http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/pdf/201801

16/20180116_gijiyoushi.pdf

<参考資料>

平成 29 年度産業経済研究委託事業「持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家の

対話の在り方及び企業会計・開示に関する調査研究」報告書(経済産業省ホームページ)

Non-GAAP指標をめぐる内外の現状について調査は、P.135~P.226

http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H29FY/000083.pdf

事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について(経済産業省ホームペ

ージ)

http://www.meti.go.jp/press/2017/12/20171228003/20171228003.html

「一体的開示をより行いやすくするための環境整備に向けた対応について」を踏まえた

取組について(金融庁ホームページ)

https://www.fsa.go.jp/news/30/20180330/20180330.html

「有価証券報告書の開示に関する事項」の公表(財務会計基準機構ホームページ)

https://www.asb.or.jp/jp/other/web_seminar/kaiji_20180330.html

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【企画委員会 参加メンバー】

座長: 野間 幹晴 一橋大学大学院国際企業戦略研究科 准教授

<企業>

・味の素

・エーザイ ・丸井グループ

・オムロン ・ユナイテッドアローズ

・オリックス ・ユニ・チャーム

・東京海上ホールディングス

・日産自動車

<投資家>

・コモンズ投信 ・フィデリティ投信

・投資家フォーラム ・ブラックロック・ジャパン

・ニッセイアセットマネジメント ・リム・アドバイザーズ

<オブザーバー>

・金融庁 ・日本 IR協議会

・財務会計基準機構(FASF) ・日本政策投資銀行 設備投資研究所

・東京証券取引所

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(2)コーポレート・ガバナンスの対話の在り方分科会

1.目的

コーポレート・ガバナンスの対話の在り方分科会は、各企業(事業会社)が開示と

対話を通じて海外投資家とどのように向き合うか、また、日本全体のコーポレート・

ガバナンスをどのように海外に発信するか等について、議論・調査・提言等を行うこ

とを目的としている。

2.実績

2017 年4月にコーポレート・ガバナンスの対話の在り方分科会が開催された。

日時 議題

第 10 回 2017年 4月 21 日 (1)コーポレート・ガバナンス・システムに関す

る実務指針(CGSガイドライン)について

(2)経営リーダー人材育成について

(3)ダイバーシティ 2.0 一歩先の競争戦略へ

【第 10 回分科会の概要】

① 経済産業省が公表した、企業価値向上を目的として企業が具体的に検討すべき事項

や取り組むべき事項を示す実務的な指針としての「CGS ガイドライン」、本指針に別

添されている「経営人材育成ガイドライン」及び「ダイバーシティ 2.0行動ガイドラ

イン」について、経済産業省から説明を行い、各ガイドラインの普及に向けた方策等

について議論が行われた。

メンバーからは、以下の様なコメントがあった。

(ガイドラインの内容及び普及策等について)

・ 企業サイドと話をすると、投資家との対話にばらつきがある。各ガイドラインは、

企業価値向上を目指す企業の経営陣にとって必要なものであると同時に、投資家

が企業に企業価値向上を働きかけていく上でも重要。(コンサル・その他)

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・ 各ガイドラインの中で求めているものを、コーポレートガバナンス報告書にも盛

り込むよう要請すれば、企業はガイドラインをもっと意識するようになると思う。

(投資家)

・ いずれのガイドラインについても、ガイドラインが企業の思考停止に繋がっては

ならない。企業がより理解し、実践しやすいようなものとすることが重要。(コン

サル・その他)

(社外取締役について)

・ 大きな企業であれば、社外役員を見つけてこれるが、中堅企業だと見つけられず、

結果として、属人的な繋がりの人だけとなり、ダイバーシティも確保しづらくな

ってしまう。中堅企業に対しては、社外役員の探し方のアドバイスが出来るとよ

いのではないか。(コンサル・その他)

・ 経営経験者を社外役員に、とはいっても、そうした社外役員が今の改革に向けて

良い視点でものを言えるかは人物次第のところが大きい。(投資家)

・ 社外取締役には、社内だけでは立ち行かなくなった時にロスカットのようなアク

ションを起こしてもらうことこそが重要。(投資家)

(経営人材・後継者育成について)

・ 会社の株主構成、歴史を見る必要。リーダー育成にしても、いろんなパターンが

あってもよい。内部育成や外部採用だけではない。創業家(株主)からリーダー

が出ることも良いと思うし、むしろそちらの方が社員のコミットメントも得やす

いと思う。(企業)

(役員報酬、相談役・顧問について)

・ 昨年、中期経営計画とともに中長期インセンティブ型の役員報酬プランを導入し

たが、これが中期経営計画の達成のインセンティブとして働いているかがよく分

からないと感じている。インセンティブ型報酬の導入効果を感じられるような対

応方法があれば紹介してもらえると有難い。(企業)

<配布資料等>

第 10回コーポレート・ガバナンス対話の在り方分科会

<配布資料>

http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/corporate/

170421.html

<議事概要>

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http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/pdf/201704

21/20170421_06.pdf

【コーポレート・ガバナンス対話の在り方分科会 参加メンバー】

座長:野間 幹晴 一橋大学大学院国際企業戦略研究科 准教授

<参加者>

・アムンディ・ジャパン

・EY総合研究所

・インスティテューショナルシェアホルダーサービシーズ

・エーザイ

・オムロン

・ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパン

・慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授 齋藤 卓爾

・ジェイ・ユーラス・アイアール株式会社

・資生堂

・新日鐵住金

・スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン

・大和住銀投信投資顧問

・投資家フォーラム

・日本監査役協会

・ブラックロック・ジャパン

<オブザーバー>

・金融庁

・東京証券取引所

・日本経済団体連合会

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III. .企業報告ラボ ~これまでの活動概要

2012 年7月、企業と投資家等が、企業価値の向上に向けた対話や開示のあり方を検

討、調査、提案する場として、「企業報告ラボ(The Corporate Reporting Lab)」が設

立された。

企業報告ラボは、以下の2つを大きな目的としている。

(1)企業と投資家が集い、それぞれの認識の違いを理解し、共通の理解や言葉を探る

ことで、より建設的な対話を促すこと

(2)日本市場に関心を持つ海外投資家を含む、内外の関係者とのネットワークを構築

するとともに、日本からのメッセージを発信すること

企業報告ラボでは、参加するメンバー自らがプロジェクトを提案し、それを実現する

形で活動を進めている。

「企画委員会」を中心にラボの進め方やプロジェクトが提案・実施されており、2012

年7月からこれまでの間、

①「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~特

別プロジェクト(伊藤レポート)」が 2014年6月に取りまとめられたとともに、

②以下の場が立ち上げられ、検討作業や調査プロジェクトを進めてきている。

1)投資家フィードバック調査作業部会

2)コーポレート・ガバナンス対話の在り方分科会

3)グッド/バッドプラクティス事例分析作業部会

4)投資家フォーラム作業部会

5)アセットオーナー実態調査作業部会

また、企業報告ラボでは、上記(2)の観点から、多くの資料や議事概要を英語およ

び日本語で公表しており、国際的な発信・対話を通じてフィードバックを得ながら、相

互理解を深めることを目指している。

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※メンバーは、企業、投資家、学者、関係組織・制度関係者(オブザーバー)で構成さ

れ、経済産業省と一般財団法人 企業活力研究所が事務局となっている。

(ご参考:企業報告ラボの活動と成果)

プログレス・レポー

ト 2012-2013

プログレス・レポー

ト 2013-2014

プログレス・レポー

ト 2014-2015

プログレス・レポー

ト 2015-2016

プログレス・レポー

ト 2016-2018

(1)企画委員会 (1)企画委員会 (1)企画委員会 (1)企画委員会 (1)企画委員会

(2)企業価値・IR 作

業部会

(2)持続的成長への

競争力とインセ

ンティブ~企業

と投資家の望ま

しい関係構築~

特別プロジェク

ト(伊藤レポー

ト)

(2)コーポレート・

ガバナンス対話

の在り方分科会

(2)コーポレート・

ガバナンス対話

の在り方分科会

(2)コーポレート・

ガバナンス対話

の在り方分科会

(3)コーポレート・

ガバナンスの対

話の在り方分科

(3)投資家フィード

バック調査作業

部会

(3)グッド/バッド

プラクティス事

例分析作業部会

(4)コーポレート・

ガバナンス企業

意識調査作業部

(4)コーポレート・

ガバナンス対話

の在り方分科会

(4)投資家フォーラ

ム作業部会

(5)グッド/バッド

プラクティス事

例分析作業部会

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(6)投資家フォーラ

ム作業部会

(7)アセットオーナ

ー実態調査作業

部会