iôÍ å Í ²hju§q z d ²hjw ° r{ - higashihiroshima · `om 7 u¹ Åt¢ u r t Ùm mh\quv ótz Ð...

2
420 私たちが支える、 私たちの未来。 本校は県内唯一の福祉科がある県立高校であり、福祉科の 生徒は福祉の道を歩む覚悟を持って入学し、日々学んでいま す。大学や自治体と三者で連携させていただくことで、生徒 の学びの場も広がっています。生徒には、卒業後、東広島市 の一員としても活躍してほしいと願っています。 市では、他市にはない福祉分野の人材育成教育機関である 黒瀬高校と広島国際大学がある強みを活かし「未来の東広島 人の発掘」と「学園都市力の発揮」を確実に進めるため、三 者で連携し、福祉人材の輩出と福祉の仕事の魅力を発信して いきたいと考えています。 この連携事業により、学生が授業以外でも福祉について考える 機会が増え、福祉の「やりがい」に改めて気付くようです。学生は、 市内でのボランティア活動にも積極的に参加しています。いろい ろな人と関わる中で、時に上手くいかなかったり、時に感謝され たり、この経験が学生自身の成長に繋がると感じます。 黒瀬高校校長 馬屋原 幸孝 広島国際大学学長 焼廣 益秀 市健康福祉部長 増田 泰二 福祉科がある高校は全国に93校あ ります。県立黒瀬高校は、その内で 県内唯一の高校です。村上さんはそ こで福祉について学ぶ3年生。黒瀬 高校では平成29年度から、生徒が広 島国際大学学生寮を利用できるよう になりました。 で「学ぶ人」 村上さんのクラスは19人。全員が福祉科 の学びを活かした進路に内定しています。 福祉科からは今年、全国高校生介護技術コン テストに出場し、奨励賞を受賞した生徒も。 2018.1 広報東広島 2018.1 広報東広島 5 4

Upload: others

Post on 20-Aug-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: IôÍ å Í ²hjU§Q z D ²hjw ° R{ - Higashihiroshima · `oM 7 U¹ Åt¢ U r t ÙM mh\qUV óTZ Ð \ - 6p Ë Ç²Zwª tæ ó t ¬ iwx Ï åÍwî U Ï Ë Ç²Zª , ì b h t Ö¶`h

 「福祉」とは一体何でしょ

うか。

 児童福祉、高齢者福祉、障

害者福祉…福祉と名がつくも

のはさまざまにありますが、

あえて一言で言うならば、私

たちの社会・生活をより豊か

に、より幸せにするもの、そ

のためになくてはならないも

の、それが福祉です。

 しかし実際は、福祉を求め

る声に対して、福祉を担う人

材が各所で不足しているとい

うのが福祉現場を取り巻く現

状です。

 福祉の現場への進路を避け

る理由に「忙しくて大変らし

いから…」とはよく聞かれま

す。しかし、本当に福祉現場

は大変なことばかりなので

しょうか。

 今月は、福祉の現場を目指

して勉強している、または現

場で今まさに働いている人た

ちの生の声を通して、実際の

福祉現場の様子と、そこに関

わる人たちの思いに迫ります。

問高齢者支援課

 ☎(082)420・0984

きっかけは

少しの興味から

 「福祉科のある高校に入ろ

うと思った最初のきっかけは、

興味があるからという程度の

ことでした」と村上さんは振

り返ります。「普通科だと何を

すればいいのかわからなかっ

たので、専門的なことを学べ

る高校を選びたいとは、もと

もと思っていました」。その中

で福祉を選んだのはお母さん

の影響があったからだそうで

す。村上さんのお母さんは昔、

ホームヘルパーとして働いて

いて、家に帰ってからは仕事

の話を聞くこともありました。

 「中には楽しいことはもち

ろん、大変なこともありまし

たが、それを含めて興味を

持ったんです」

 福祉科では座学・実技・実

習を織り交ぜたカリキュラム

が組まれています。実技の試

験前などは、友達同士で自主

練習をすることもあり、感想

を言ってくれる相手との練習

で、福祉で大切な「相手がど

ういう気持ちになるか」とい

うことを学ぶそうです。「ク

ラスの友達も、みんな積極的

 福祉分野の人材不足問題を解決するため、市では、福祉科が

ある黒瀬高校と医療福祉学部がある広島国際大学との間で、福

祉の人材育成に取り組む包括連携協定を結んでいます。

 「福祉のまち」ともいわれる黒瀬を中心として、多くの若者

が福祉の現場で活躍すべく学業に励んでいます。

で、時には放課後遅くまで練

習に集中していたということ

もありました」

学ぶうちに

どんどん楽しく

 黒瀬高校の実習では、いろ

いろな福祉施設へ行って、実

際の現場を体験します。「初

めて実習に行ったときは、当

時、人と話すことが苦手だっ

たこともあって緊張しました

し、何をすればいいかもわか

らず不安でした」と村上さ

んは思い返します。「しかし、

最終日に近づくにつれ、利用

者さんとの会話がはずんだり、

職員さんから作業に誘っても

らえるようになったりして、

どんどん楽しくなっていきま

した。3年になった今でも実

習に行って最初のころは大変

だと感じますが、今は人と話

すことも楽しく感じます」

 村上さんは、最初の実習先

の施設の利用者と介護職とが

作り出すアットホームな雰囲

気に魅かれ、高校卒業後はそ

の施設へ就職する道を選びま

した。これから福祉の現場で

働く村上さんに、福祉におい

て重要だと思うこと、そして、

これから働いていく中で大切

にしたいことを聞きました。

「福祉では、あくまで利用者

さんを主体におくことが重要

だと思います。私自身、利用

者さんがどうしたいかという

ことを大切にして、これから

も努めていきたいです」

私たちが支える、私たちの未来。

福祉現場で活躍する人材を育てる

東広島市・広島国際大学・黒瀬高校の

連携

 本校は県内唯一の福祉科がある県立高校であり、福祉科の生徒は福祉の道を歩む覚悟を持って入学し、日々学んでいます。大学や自治体と三者で連携させていただくことで、生徒の学びの場も広がっています。生徒には、卒業後、東広島市の一員としても活躍してほしいと願っています。

 市では、他市にはない福祉分野の人材育成教育機関である黒瀬高校と広島国際大学がある強みを活かし「未来の東広島人の発掘」と「学園都市力の発揮」を確実に進めるため、三者で連携し、福祉人材の輩出と福祉の仕事の魅力を発信していきたいと考えています。

 この連携事業により、学生が授業以外でも福祉について考える機会が増え、福祉の「やりがい」に改めて気付くようです。学生は、市内でのボランティア活動にも積極的に参加しています。いろいろな人と関わる中で、時に上手くいかなかったり、時に感謝されたり、この経験が学生自身の成長に繋がると感じます。

黒瀬高校校長馬屋原 幸孝

広島国際大学学長焼廣 益秀

市健康福祉部長増田 泰二

昔は人と話すのが苦手でした。

今はむしろ楽しく感じます。

黒瀬高校3年

上 遥さん

高校 福祉科がある高校は全国に93校あります。県立黒瀬高校は、その内で県内唯一の高校です。村上さんはそこで福祉について学ぶ3年生。黒瀬高校では平成29年度から、生徒が広島国際大学学生寮を利用できるようになりました。

で「学ぶ人」

▲�村上さんのクラスは19人。全員が福祉科の学びを活かした進路に内定しています。

▲�福祉科からは今年、全国高校生介護技術コンテストに出場し、奨励賞を受賞した生徒も。

2018.1 広報東広島 2018.1 広報東広島5 4

Page 2: IôÍ å Í ²hjU§Q z D ²hjw ° R{ - Higashihiroshima · `oM 7 U¹ Åt¢ U r t ÙM mh\qUV óTZ Ð \ - 6p Ë Ç²Zwª tæ ó t ¬ iwx Ï åÍwî U Ï Ë Ç²Zª , ì b h t Ö¶`h

人と関わっていきたい

 福祉現場を就職先として選

んだ理由を尋ねると「大変か

なという思いもありましたが、

それ以上にやりがいや楽しい

と思うことの方がたくさん

あったので」と答えた中村さ

ん。最初から福祉の道を目指

そうと思っていたわけではあ

りませんでした。「高校生の

時、自分には特にやりたいこ

とが無くて、保育士、栄養士

など人と関わるいろいろなこ

とをやってみたいなと思って

いました」。その際に先生か

ら、保育士ならそれら全部を

勉強できるんじゃないかと進

められました。「自分がもと

もと子ども好きだったという

た。「就職してすぐは利用者さ

んの顔と名前も一致しません

でしたし、信頼関係もできて

いなかったので、何を話して

いいのかわからず苦労しまし

た」。また、現場ではこれまで

学んできたことと勝手が違う

ことも多々あり、学ぶべきこ

とも多かったと言います。

温かい人たちと一緒に

 それでも、つらい仕事だと

は思わなかったそうです。「先

輩スタッフがわからないこと

は教えてくれましたし、優し

く接してくれて、一人じゃな

いんだと感じました。スタッ

フと利用者さんも家族のよう

に仲がいいので、温かい雰囲

気の中で、楽しく働けていま

す」。また、福祉現場で働い

ている高校の同級生と集まっ

たときなどは、仕事のしんど

いことよりも、むしろ楽しい

こと、面白かったことで話が

はずむそうです。

 働き始めてからのことを笑

顔で語る小石さんに、働いて

感じるこの仕事のやりがいを

聞きました。「利用者さんが

喜ぶ姿を見ることですね。体

操などをしているときや、外

(小石琴音さん)

働き始めて分かること

 「働き始める前は、しんどい

んじゃないか、体が持たない

んじゃないかという不安もあ

りました」そう語る小石さん

は介護老人保健施設で働き始

めて現在7カ月、黒瀬高校卒

業後、今の職場に就職しまし

こともあり、保育学を専攻す

ることにしたんです」と中村

さんは当時を思い出します。

深い関わりに魅かれて

 中村さんは現在就職に向け

て、保育士に加え、障害者を

サポートするため幅広い知識

や経験が必要な社会福祉士の

資格取得も目指して勉強して

います。当初、保育士の勉強

をするために入学した中村さ

んが、障害児向け施設を就職

先に選んだのは、3年次の実

習で障害児向けの施設に行っ

たことがきっかけ。先生や保

護者が子どもにより近い距離

感で接している様子が印象に

残りました。「今の進路を選

んだのは、そんな子ども一人

出にお連れしたときなどに、

利用者さんが楽しんでくれる

と、自分もうれしくなります」

(平田孝嗣さん)

生活に寄り添う仕事

 「利用者さんの日々の生活

に寄り添ってサポートし、そ

の人の暮らしの中にある喜怒

哀楽や思い出に立ち合うこと

ができる。そこがこの仕事の

楽しいところだと思います」

そう言ってほほ笑む平田さん

は、障害者向けの余暇活動支

援事業などを請け負うNPO

法人ソレイユを運営しており、

自身も現場で、福祉を必要と

する人たちと接しています。

 これまで第一線で働いてき

た平田さんに、福祉の仕事を

どう思うかと聞くと「福祉の

仕事が特別にしんどいことは

ないと思います」という答え

が返ってきました。「確かに、

福祉の現場で働いていると、

忙しいことや大変なことはあ

ります。利用者一人ひとりに

深く関わる分、気持ちの切り

替えや体力的なことで負担を

感じることもありますね」。し

かし、しんどさがあるのはど

の職業も同じではないか、そ

ひとりと一緒に喜んだり悲し

んだりする深い関わりを持て

るところに魅かれたからです

ね」

 中村さんのように、広島国

際大学では学生たちが、実習

やボランティア活動での人々

との関わりを通して、多くの

学びを得ています。

ガティブなイメージがひとり

歩きしているように思います。

福祉現場が人手不足というの

は確かです。だからこそ、福祉

現場という世界を、イメージに

とらわれないフラットな視点

で見て、福祉の世界で一緒に働

く選択をしてくれる人が増え

てくれればと思います」。その

ためにも「良ければ一度ソレイ

ユへ見学に来てみてほしい」と

平田さんは呼びかけます。

未来の私たちのために―

 

福祉を受けるのが私たちな

ら福祉を提供するのも私たち。

私たち一人ひとりが、福祉が

与えられるだけのものでない

ことを自覚しなければなりま

せん。あなたが人の幸せを思っ

て行動するならば、それもま

た一つの福祉です。未来の私

たちの幸せのために、今、こ

の時から行動してみませんか。

う平田さんは訴えます。

イメージにとらわれず

 

平田さんはさらにこう続け

ます。「自分がこれまでこの仕

事を続けてこられたのは、大変

なこと以上に楽しいことや、や

りがいがあったからです。今の

社会では、福祉現場に対するし

んどさばかりが注目されてネ

大学現場

 広島国際大学医療福祉学部では、保育学専攻、医療福祉学専攻、介護福祉学専攻の3つの専攻から選択して学ぶことができます。中村さんは保育学専攻の4年生。市内の障害児向け施設への就職を予定しています。

 保育施設、障害者介護施設、高齢者介護施設、福祉が幅広い意味を持つ言葉であるように、その現場もさまざまです。小石さんと平田さんが働く職場もその一つ。小石さんは高齢者介護施設で、平田さんは、障害福祉サービスを提供する事業所を運営する立場として、それぞれ福祉の現場を支え働いています。

で「繋がる人」を「支える人」

実際に人と関わることで、 教科書ではわからないことが

わかります。

利用者さん もスタッフも まるで家 族のような雰囲気で

働けています。

利用者さんの生活と 喜怒哀楽に寄り添える、

そういう楽しさがあります。

広島国際大学4年中 村 彩 花さん

介護老人保健施設 きさか小 石 琴 音さん(黒瀬高校福祉科卒業生)

NPO 法人ソレイユ理事長平 田 孝 嗣さん

(広島国際大学医療福祉学部卒業生)

▲�利用者と共にスポーツに興じる平田さん。楽しげな様子はまるで家族のよう。

▲�利用者と接する小石さん。常に優しく、笑顔を心がけています。

▲�市内行事では、青いジャケットの広国大生が運営を手伝う姿もよく見られます。

2018.1 広報東広島 2018.1 広報東広島7 6