日本人の生活時間・2005 - nhk4 april 2006...

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2 APRIL 2006 自宅にいた時間 01 3 30 2 30 1 30 0 調査では,次のような変更を行なった。 ○前回の 2000 年調査以来急速に普及したイ ンターネットの利用行動を明らかにする ために,2000 年調査では「趣味・娯楽・教養」 に含めていた自由行動としてのインター ネットを「趣味・娯楽・教養のインターネッ ト」として独立させた。 ○調査相手の負担を考慮し,全体の行動数 を増やさないようにするため,2000 年調 査では分けていた「雑誌・マンガ」と「本」 を合わせて「雑誌・マンガ・本」とした。 ○音声メディアのデジタル化などの動きを 受けて,「CD・テープ」の名称および定 義を変更して,「CD・MD・テープ」とした。 1. 2005 年国民生活時間調査のあらまし (1)調査の概要 国民生活時間調査は,人びとの 1 日の生活 を時間の面からとらえ,生活実態にそった放 送を行うのに役立てるために NHK が 1960 年から 5 年ごとに実施しているもので,今回 の 2005 年調査が 10 回目となる 1) 調査は,睡眠や仕事,テレビなど 28 に分 類した行動(表3 の小分類)と在宅状況につ いて,行なった時間(家にいた時間)を 2日 間にわたって,15分単位に記入してもらう ものである(調査票見本は図1。生活行動の ほか,付帯質問として,職業や休日制度など を尋ねている)。調査する行動は,1995年, 2000年と変更なく実施してきたが,今回の 図 1 調査票(一部) すいみんをとる (30 分以上) 02 洗面・入浴・着替えなどの身のまわりの用事 03 食事をする 04 通勤 (往復) 05 仕事をする 06 仕事上のつきあい 07 通学 (往復) 08 授業・学校の行事・部活動・クラブ活動 09 宿題・予習・復習・塾の勉強 10 炊事・掃除・洗濯をする 11 買い物をする 12 子どもの世話をする 13 その他の家事をする (片付け物・用事・病人の世話など) 14 日本人の生活時間・2005 ~睡眠の減少が止まり,自由時間の増加に歯止め~ 吉田理恵 / 中野佐知子 / 渡辺洋子

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2  APRIL 2006

自宅にいた時間 01

3時

午前

 

302時

 

301時

 

300時

午前

調査では,次のような変更を行なった。

○前回の 2000 年調査以来急速に普及したインターネットの利用行動を明らかにするために,2000 年調査では「趣味・娯楽・教養」に含めていた自由行動としてのインターネットを「趣味・娯楽・教養のインターネット」として独立させた。

○調査相手の負担を考慮し,全体の行動数を増やさないようにするため,2000 年調査では分けていた「雑誌・マンガ」と「本」を合わせて「雑誌・マンガ・本」とした。

○音声メディアのデジタル化などの動きを受けて,「CD・テープ」の名称および定義を変更して,「CD・MD・テープ」とした。

1. 2005 年国民生活時間調査のあらまし

(1)調査の概要

国民生活時間調査は,人びとの 1日の生活を時間の面からとらえ,生活実態にそった放送を行うのに役立てるために NHK が 1960年から 5年ごとに実施しているもので,今回の 2005年調査が 10回目となる 1)。

調査は,睡眠や仕事,テレビなど 28 に分類した行動(表3の小分類)と在宅状況について,行なった時間(家にいた時間)を 2日間にわたって,15分単位に記入してもらうものである(調査票見本は図1。生活行動のほか,付帯質問として,職業や休日制度などを尋ねている)。調査する行動は,1995年,2000年と変更なく実施してきたが,今回の

図1 調査票(一部)

すいみんをとる(30 分以上) 02洗面・入浴・着替えなどの身のまわりの用事 03食事をする 04通勤(往復) 05仕事をする 06仕事上のつきあい 07通学(往復) 08授業・学校の行事・部活動・クラブ活動 09宿題・予習・復習・塾の勉強 10炊事・掃除・洗濯をする 11買い物をする 12子どもの世話をする 13その他の家事をする(片付け物・用事・病人の世話など) 14

日本人の生活時間・2005~睡眠の減少が止まり,自由時間の増加に歯止め~

  吉田理恵 /中野佐知子/渡辺洋子

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3APRIL 2006

表1 調査概要

表 3 行動分類

指定サンプル数 調査有効数(率)月曜 3,600 2,175(60.4%)火曜 3,600 2,167(60.2%)水曜 3,600 2,180(60.6%)木曜 3,600 2,177(60.5%)金曜 3,600 2,142(59.5%)土曜 3,600 2,123(59.0%)日曜 3,600 2,157(59.9%)平日 18,000 10,841(60.2%)週 25,200 15,121(60.0%)

調査対象日 : 第 1 回 2005 年(平成 17 年)10 月 11 日(火),12 日(水) 第 2 回 13 日(木),14 日(金) 第 3 回 15 日(土),16 日(日) 第 4 回 17 日(月),18 日(火) 第 5 回 19 日(水),20 日(木) 第 6 回 21 日(金),22 日(土) 第 7 回 23 日(日),24 日(月)調査相手 : 全国 10 歳以上の国民 12,600 人(12 人× 150 地点× 7 回)調査方法 : 配付回収法(15 分刻みの時刻目盛り日記式)有効数・率 : 7,718 人(61.3%) 注) 1 曜日でも有効な回答のあった人

表 2 曜日別の指定サンプルと調査有効数

大分類 中分類 小分類 具体例

必需行動

睡 眠 睡 眠 30 分以上連続した睡眠,仮眠,昼寝食 事 食 事 朝食,昼食,夕食,夜食,給食

身のまわりの用事 身のまわりの用事 洗顔,トイレ,入浴,着替え,化粧,散髪療養・静養 療養・静養 医者に行く,治療を受ける,入院,療養中

拘束行動

仕事関連 仕 事 何らかの収入を得る行動,準備・片付け・移動なども含む仕事のつきあい 上司・同僚・部下との仕事上のつきあい,送別会

学 業 授業・学内の活動 授業,朝礼,掃除,学校行事,部活動,クラブ活動学校外の学習 自宅や学習塾での学習,宿題

家 事

炊事・掃除・洗濯 食事の支度・後片付け,掃除,洗濯・アイロンがけ買 い 物 食料品・衣料品・生活用品などの買い物

子どもの世話 授乳,子どもの相手,勉強をみる,送り迎え家庭雑事 整理・片付け,銀行・役所に行く,病人や老人の介護

通 勤 通 勤 自宅と職場・仕事場(田畑など)の往復通 学 通 学 自宅と学校の往復

社会参加 社会参加 PTA,地域の行事・会合への参加,冠婚葬祭,奉仕活動

自由行動

会話・交際 会話・交際 家族・友人・知人・親戚とのつきあい,おしゃべり,電話,電子メール

レジャー活動

スポーツ 体操,運動,各種スポーツ,ボール遊び行楽・散策 行楽地・繁華街へ行く,街をぶらぶら歩く,散歩,釣り

趣味・娯楽・教養 趣味・けいこごと・習いごと,鑑賞,観戦,遊び,ゲーム仕事以外のパソコン(インターネットは除く)

趣味・娯楽・教養のインターネット 趣味・娯楽・遊びとしてのインターネット,ホームページ作成

マスメディア接触

テ レ ビ BS,CS,CATV の視聴を含めるラ ジ オ新聞 朝刊・夕刊・業界紙・広報紙を読む

雑誌・マンガ・本 週刊誌・月刊誌・マンガ・本・カタログなどを読むCD・MD・テープ CD・MD・テープ・レコードなどラジオ以外で音楽を聞く

ビ デ オ ビデオ・ビデオディスク・DVD を見る,ビデオ録画は含めない休 息 休 息 休憩,おやつ,お茶,特に何もしていない状態

その他

その他・不明 そ の 他 上記のどれにもあてはまらない行動不 明 無記入

(1) 必需行動 個体を維持向上させるために行う必要不可欠性の高い行動。 睡眠,食事,身のまわりの用事,療養・静養,からなる。

(2) 拘束行動 家庭や社会を維持向上させるために行う義務性・拘束性の高い行動。 仕事,学業,家事,通勤・通学,社会参加,からなる。

(3) 自由行動 人間性を維持向上させるために行う自由裁量性の高い行動。 マスメディア接触,積極的活動であるレジャー活動,人と会うこと・話すことが中心の 会話・交際,心身を休めることが中心の休息,からなる。

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4  APRIL 2006

2005年調査は,10月11日(火)~24日(月)の間に 2日ずつ 7回,計14日間を調査対象日とし,層化2段階無作為抽出法によってサンプリングした全国10歳以上の国民1万2,600人を調査相手として行なった。1曜日でも有効な回答のあった人は 7,718人(61.3%)である(表1)。

今回は,すべての曜日を調査対象とした全曜日調査であり,各曜日別の集計も行なっているが,本報告では月~金の5曜日を合わせた平日と,土曜,日曜の分析を基本としている(曜日別の有効数は表2を参照)。また,層別の調査有効サンプル数,サンプル構成比は表4に掲載した。

(2)2000 年からの社会の動き今回の調査結果の背景となっていると考え

られる 2000年からの社会の動きをまとめると,以下のようになる。①高齢化の進行による国民全体に占める高

齢者の割合の増加2005年6月現在の人口推計値によると,

10歳以上人口に占める 60歳以上の割合は29.5% に達し,2000年国勢調査(25.9%)と比べて増加した。今回の調査においても,サンプル全体に占める 60歳以上の割合は 30.6%であり,2000年(同27.2%)と比べて,着実に増えている。このことは,前回調査時以上に高年層の結果の特徴が,国民全体の結果に反映されていることを意味している。②就労時間や雇用形態の多様化の進行少子高齢化の進行や景気の動向などを背景

に,人びとの働き方が多様化している。具体

表 4 調査有効サンプル実数・サンプル構成比

平 日 土 曜 日 曜実数 構成比 2000 年 実数 構成比 2000 年 実数 構成比 2000 年

国民全体 10,841 人 100.0% % 2,123 人 100.0% % 2,157 人 100.0% %

男 10 代 608 5.6 (7.1) 128 6.0 (6.9) 133 6.2 (6.8) 男 20 代 526 4.9 (5.5) 98 4.6 (6.2) 111 5.1 (6.2) 男 30 代 711 6.6 (6.5) 127 6.0 (6.3) 134 6.2 (6.3) 男 40 代 731 6.7 (6.7) 127 6.0 (7.9) 129 6.0 (8.0)男 50 代 969 8.9 (9.3) 204 9.6 (8.7) 202 9.4 (8.8)男 60 代 883 8.1 (7.9) 176 8.3 (6.8) 182 8.4 (6.6) 男 70 歳以上 749 6.9 (4.8) 161 7.6 (4.8) 178 8.3 (5.0) 女 10 代 576 5.3 (6.6) 124 5.8 (6.3) 125 5.8 (6.2) 女 20 代 576 5.3 (7.2) 131 6.2 (7.2) 110 5.1 (7.2) 女 30 代 924 8.5 (7.1) 142 6.7 (8.0) 159 7.4 (8.1)女 40 代 817 7.5 (7.1) 154 7.3 (8.2) 163 7.6 (8.2)女 50 代 1,086 10.0 (9.6) 227 10.7 (8.8) 207 9.6 (8.9)女 60 代 834 7.7 (7.0) 162 7.6 (6.9) 155 7.2 (6.9) 女 70 歳以上 851 7.8 (7.4) 162 7.6 (7.1) 169 7.8 (6.9)

農林漁業者 322 3.0 (2.1) 65 3.1 (2.7) 70 3.2 (2.7) 自営業者 839 7.7 (7.1) 153 7.2 (7.5) 158 7.3 (7.7)販売職・サービス職 1,284 11.8 (11.0) 237 11.2 (10.5) 228 10.6 (10.5) 技能職・作業職 1,373 12.7 (14.5) 255 12.0 (14.0) 262 12.1 (13.9) 事務職・技術職 1,601 14.8 (15.7) 313 14.7 (15.9) 316 14.6 (15.9)経営者・管理職 291 2.7 (3.3) 49 2.3 (2.7) 58 2.7 (2.8)専門職・自由業・その他 382 3.5 (3.7) 80 3.8 (3.5) 75 3.5 (3.6)主 婦 1,515 14.0 (13.2) 303 14.3 (13.8) 304 14.1 (13.7)無 職 1,716 15.8 (14.1) 341 16.1 (13.9) 350 16.2 (13.9)学 生 1,272 11.7 (14.1) 265 12.5 (14.3) 275 12.7 (14.2)

有職者

勤め人

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5APRIL 2006

的には,正規雇用者が減少し,派遣や契約社員,嘱託など,非正規雇用者が増加していること,短時間就労者が増加していることなどである 2)。このことが今回の結果の中でも,有職者の仕事時間をはじめ,それに付随するさまざまな生活行動に変化をもたらしている。③ 2002 年の公立学校の完全週 5 日制の実施公立の小学校・中学校・高校で,土曜日が

完全に休日となったため(2000年調査時は,隔週週5日制であった),在学中の児童・生徒を中心に土曜日の生活時間が大きく変わった。

このような社会の動きを踏まえたうえで,以下,行動別に結果を報告する。なお,本文中で使用した主な指標の定義は,次のとおりである。

①行為者率 :1日の中で,ある行動を 15分以上した人が

全体の中で占める割合。②行為者平均時間量 :ある行動を 15分以上した人に限った平均

時間量。③全員平均時間量 :その行動をしなかった人も含めた全員の平

均時間量3)。

2. 続く長時間労働,増える50・60 代男性の家事

はじめに,表3に示した大分類3行動のうち,家庭や社会を維持向上させるために行う義務性・拘束性の高い行動である「拘束行動」について紹介する。拘束行動に含まれるのは,仕事,家事,学業,通勤・通学などである。

(1)仕事まず,付帯質問の結果から週休制度につい

てみると,勤め人(職業分類のうち,販売職・サービス職,技能職・作業職,事務職・技術職,経営者・管理職をまとめたもの)では,1985年以降,毎週週休2日の人が増加し続け,今回47% とおよそ半数に至った。職業別にみると,特に事務職・技術職,経営者・管理職といういわゆるホワイトカラー層で多く,どちらも 66% が毎週週休2日となっている(表5)。

一方で,週休制度が決まっていない有職者(上記の勤め人と農林漁業者,自営業者,専門職・自由業・その他をまとめたもの)も増えている。もともと週休制度が決まっていない人は,農林漁業者で 70% 以上,自営業者と専門職・自由業・その他で 30% 以上と,これら勤め人以外の人は勤め人に比べて高かった。今回は,勤め人の中でも販売職・サービス職が前回(25%)から増加して31%となった。

休みの曜日に関しても,勤め人では土曜または日曜が休みである人が多数であることに

表 5 週休制度(職業別) 毎週週休2日 隔週週休2日 月 1 回週休 2 日 週休 1 日 決まっていない‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年

有 職 者 %32

%38

%39 18 16 10 3 2 2 20 17 18 20 21 23

勤 め 人 40 44 47 22 19 12 4 2 2 17 15 15 12 14 17 勤め人以外の

有職者 11 17 18 7 8 5 2 2 1 26 22 26 43 43 41

農林漁業者 2 2 3 2 1 1 1 1 1 5 6 7 79 81 74

自 営 業 者 8 12 13 8 8 7 2 2 1 40 34 40 34 37 32

販売職・サービス職 30 34 33 15 15 9 3 1 2 24 18 15 21 25 31

技能職・作業職 27 34 34 23 20 16 6 3 2 25 22 25 14 15 16

事務職・技術職 54 59 66 25 21 12 3 1 1 8 7 7 5 7 8

経営者・管理職 60 58 66 20 19 7 3 0 2 7 12 11 7 7 9 専門職・自由業・

その他 29 36 39 7 12 4 1 1 1 17 8 12 30 30 32 ※有職者とは,農林漁業者,自営業者,販売職・サービス職,技能職・作業職,事務職・技術職,

経営者・管理職,専門職・自由業・その他をまとめたもの。勤め人とは,販売職・サービス職,技能職・作業職,事務職・技術職,経営者・管理職をまとめたもの。(以下同様)

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6  APRIL 2006

は変わりはないが,その率が減り,休みの曜日が決まっていない人が増えている(表6)。特に販売職・サービス職では,他の職業に比べて平日が休みである人が多く,土曜や日曜で休みの人が少ないという特徴があるが,この特徴はそのままで,1995年以降,休みの曜日が決まっていない人が増加する傾向にある。

次に生活行動部分の結果から,実際に仕事をしている人の率(1日の行為者率)と時間量をみてみる。

平日に仕事をしている有職者は89%で,どの職業でも80%以上の人が働いている(表7)。土曜は61%,日曜は36%でどちらも農林漁業者(土

曜80%,日曜83%)や自営業(同86%,51%)で働いている人が多い。勤め人の中で,土曜や日曜に働いている人が多いのは販売職・サービス職で,土曜70%,日曜49%となっている。先に言及した販売職・サービス職で土曜や日曜に休みの人が少ないことが,このデータからもわかる。

有職者の仕事時間(仕事をしない人も含めた全員平均時間)は,平日7時間31分,土曜4時間38分,日曜2時間16分で,2000年と大きな変化はない。男勤め人を中心に 1995年から 2000年にかけて増えた有職者の平日の仕事時間は 2005年も変わらず,長時間のままである。

    表 6 休みの曜日(職業別) 

表 7 仕事の行為者率と時間量(平日・職業別)

平 日 平日 10 時間を超えて働いている人の割合行為者率 全員平均時間‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年

有職者 %90

%90

%89

時間 分7:22

時間 分7:34

時間 分7:31

%17

%21

%22

農林漁業者 90 88 87 5:56 5:26 6:03 8 7 11

自営業者 90 89 90 6:58 6:57 7:06 18 19 20

販売職・サービス職 83 82 83 6:33 6:25 6:43 17 18 20

技能職・作業職 93 93 91 7:45 8:13 7:58 16 22 23

事務職・技術職 94 95 92 8:02 8:22 8:15 19 23 26

経営者・管理職 95 95 97 8:32 8:23 8:45 25 27 34

専門職・自由業・その他 87 85 85 6:31 6:41 6:47 16 19 17

月 火 水 木 金 土 日 決まっていない‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年

有 職 者 %5

%5

%5 4 4 4 5 6 5 4 4 4 2 3 3 47 49 45 69 68 66 26 28 30

勤 め 人 5 5 5 4 4 4 5 6 6 4 4 4 3 3 3 57 57 54 77 75 72 19 22 25 勤め人以外の有職者 4 5 6 4 4 4 4 6 5 3 3 3 2 1 2 17 23 20 46 45 46 46 46 45

農林漁業者 0 0 1 1 2 1 1 2 0 0 0 0 1 1 0 4 9 5 11 9 11 81 83 82 自営業者 5 7 7 4 5 6 5 7 6 3 3 3 1 1 1 15 18 17 55 51 54 34 35 32

販売職・サービス職 12 11 10 11 9 9 11 12 10 8 9 8 6 7 6 32 29 29 50 46 44 33 39 44 技能職・作業職 4 3 3 2 2 3 3 3 4 2 2 3 2 3 2 51 51 47 80 78 77 19 22 23 事務職・技術職 3 3 3 2 3 2 3 4 4 2 3 3 2 2 2 77 77 75 89 89 87 12 13 14 経営者・管理職 2 2 3 1 3 1 4 3 2 2 2 2 1 1 1 77 76 75 87 87 87 11 11 11

専門職・自由業・その他 6 5 7 5 3 4 5 5 5 7 6 6 5 3 3 37 44 41 58 58 60 39 42 40 (複数回答)

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7APRIL 2006

また,平日10時間を超えて働く有職者の率は 22% で,やはり 1995年から 2000年にかけて増加したままである。

このように時間量の面では,2005年は2000年と変わりがないが,時刻別に仕事をしている人の率は,2000年と 2005年では様相が異なっている(図2)。

1985年から 1995年まで減少が続いていた有職者の平日の仕事時間が 2000年に増加に転じたのは,平日の午後5時30分~9時30分の時間帯,つまり残業時間にあたるところで仕事をする人が増えたためであった。

次に 2005年の結果をみると,1995年から2000年にかけて増えた時間帯の増加分はそのままで,さらに午後10時~10時30分,午前5時~8時という両端の時間帯の行為者率が増えており,逆にコアタイムといわれる午前11時30分~午後3時の行為者率が減少している。つまり,仕事をする時間帯が分散しているのである。

以上のように,2000年から続く長時間労働の状況は変わらず,働く時間帯が広がりをみせ,週休制度や休みの曜日が決まっていない人が増える傾向にある。「平日は 9時から 5時まで働き,土曜や日曜は休む」という典型的とされた働き方だけでなく,有職者の働き方は多様になってきているといえるだろう。

(2)学業次に,学業についてみてみる。学校で授業や学校行事,課外活動(「授業・

学内の活動」)をしている学生(ここでは小,中,高校生,大学(院)生,専修学校生,各種学校生をさす)の率は,平日93%,土曜32%,日曜16% である(表8)。前述したように,公立学校の完全週5日制の開始を反映して,土曜日の率が,2000年(67%)に比べほぼ半減した。一方で,家庭や塾など学校外で学習(「学校外の学習」)している学生の率は,平日と日曜でこの10年間で減少しており(平日:95年73% →05年65%,日曜:95年65% →05年58%),土曜日

図 2 仕事の 30 分ごとの平均行為者率(平日・有職者)

876543210 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 時0

10

20

30

40

50

60

70

80

’95 年’00 年’05 年

(%)

'05 年 3 3 3 2 2 2 2 2 2 3 3 4 5 6 9 16 35 53 67 71 73 76 76 73 30 31 65 69 73 74 71 73 71 70 56 48 37 31 24 20 16 13 10 9 8 7 5 5'00 年 3 3 3 2 2 2 2 2 2 2 2 3 4 5 7 13 33 53 69 73 74 77 77 75 31 32 68 73 75 76 72 75 73 71 56 47 37 30 24 20 16 13 10 8 6 6 5 4 '95 年 3 3 2 2 2 2 2 2 2 2 3 4 4 6 8 14 34 54 69 74 74 78 78 74 26 28 67 72 75 76 71 75 73 70 55 43 32 26 19 16 13 11 9 8 6 6 5 4

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8  APRIL 2006

はほぼ横ばいである(95年54% →05年56%)。では,土曜日に学校へ行かなくなった学生

は,その分勉強する時間量が減ってしまっているのだろうか。実は,平日の「授業・学内の活動」の時間量が,2000年と比べて増加しているのである(00年6時間→05年6時間28分)。文部科学省は,土曜日の休日化により実質的な授業時間の確保ができなくなる点を課題として認識し,必要に応じて学校側が時間割の見直しや長期休暇の短縮などができるよう学習指導要領を一部改正している4)。今回みら

れた平日の「授業・学内の活動」時間の増加は,この改正を受けて,学校側が土曜日の授業時間の減少分を平日の授業で補塡しているような動きを反映したものではないだろうか。

この点について,時刻別の行為者率でも確認しておきたい。図3は,平日と土曜の,学生の「授業・学内の活動」と「学校外の学習」の率の時刻別の動きを示したものである。まず土曜の午前中をみると,「授業・学内の活動」が 2000年より大幅に減少している一方で,「学校外の学習」が午前9時~午後0時30

図 3 授業・学内の活動と学校外の学習の 30 分ごとの平均行為者率(平日と土曜・学生)

0102030405060708090

8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

248 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 230102030405060708090

’00 年’05 年’00 年’05 年【平日】

授業・学内の活動

学校外の学習

’00 年’05 年’00 年’05 年

【土曜】

授業・学内の活動

学校外の学習

(%)

(%)

0102030405060708090

8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

248 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 230102030405060708090

’00 年’05 年’00 年’05 年【平日】

授業・学内の活動

学校外の学習

’00 年’05 年’00 年’05 年

【土曜】

授業・学内の活動

学校外の学習

(%)

(%)

表 8 学業の行為者率と時間量(3 曜日・学生)平  日 土  曜 日  曜

行為者率 全員平均時間 行為者率 全員平均時間 行為者率 全員平均時間‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年

%97

%95

%96

時間 分7:53

時間 分7:39

時間 分7:53 75 82 69 4:13 4:57 3:36 70 63 66 2:55 2:48 2:48

学生

学業

授業・学内の活動 94 93 93 6:04 6:00 6:28 52 67 32 2:32 3:21 1:49 15 15 16 0:46 0:48 1:03

学校外の学習 73 67 65 1:49 1:38 1:25 54 54 56 1:42 1:37 1:47 65 57 58 2:09 2:00 1:45

授業・学内

'05 年 36 72 83 85 85 85 86 84 59 36 57 76 81 77 69 57 42 32 25 18 12 7 5 4 3 3 1 1 1 1 0 0'00 年 34 75 84 84 85 84 84 80 57 29 50 72 75 71 63 47 35 25 17 13 9 5 4 3 2 2 1 1 1 1 0 0

学校外 '05 年 3 1 1 1 1 1 1 2 1 1 2 2 3 3 4 5 7 10 13 14 16 16 14 15 20 20 20 19 16 14 10 8'00 年 3 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 4 5 4 5 7 9 11 13 15 14 14 16 21 23 25 22 19 17 14 12

授業・学内

'05 年 12 19 26 27 27 27 26 26 18 14 17 16 16 16 14 12 10 9 5 4 3 3 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0'00 年 25 55 61 62 62 61 59 51 27 19 21 23 23 22 20 18 15 13 9 6 3 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 0

学校外 '05 年 2 3 7 9 10 15 16 15 9 7 10 12 13 12 13 14 12 12 13 12 9 9 11 11 15 13 10 12 13 13 10 7'00 年 2 2 3 4 5 5 7 7 4 4 6 6 10 9 10 10 12 12 14 13 12 10 10 11 17 16 17 16 14 11 9 8

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9APRIL 2006

分の間で増加している。しかし「授業・学内の活動」の減少分ほどは増加しておらず,土曜に学校に行かなくなった学生は,その時間を学業以外の活動にも振り向けている。また,平日では午後0時30分~6時30分と幅広い時間帯で「授業・学内の活動」が増加しており,学校で過ごす時間が長くなっていることを示している。「学校外の学習」は夜9時~9時30分と 11時~12時にかけて減少している。

(3)通勤・通学勤め人の通勤時間(平日の行為者平均時間

で,往復の合計時間)は 1時間18分(2000年は1時間17分)である。都市規模別にみると 5),東京圏で最も長く1時間42分となっている。図4は朝の勤め人の通勤を15分ごとの時刻別行為者率でみたものである。朝の通勤のピークは午前7時45分~8時だが,その前後も含めた 7時30分~8時30分にかけて 2000年より減少している。一方で,6時30分~7時15分で増加しており,通勤時間帯が早いほうに移行

している。これは,仕事をしている勤め人が朝早い時間帯で増えていることと呼応する。

また,学生の通学時間(通勤と同様,平日の行為者平均時間で往復の合計)は 1時間12分で,都市規模別にみると,東京圏1時間19分,大阪圏1時間24分と,大都市圏で長めである。通学についても,朝の時刻別行為者率をみてみると(図5),通学のピークは通勤と同様7時45分~8時だが,この時間帯の率は減少傾向にあり,その前後の 7時30分~45分と 8時30分~9時で 2000年より増加している。いわゆるオフピーク,通学時間帯の分散化がみられる。

(4)家事成人女性の家事時間は,平日では 1970年

から,土曜・日曜は 1975年から一貫して減少傾向にあった。ところが今回の調査では2000年と比べ,平日は 4時間19分から 4時間27分,土曜は 4時間44分から 4時間40分,日曜は 4時間36分から 4時間52分となり,一

図 4 朝の通勤の15 分ごとの行為者率(平日・勤め人)図 5 朝の通学の15 分ごとの行為者率(平日・学生)

'05 年 3 4 7 10 16 18 24 26 25 21 15 13 6 6 4 3'00 年 3 3 5 7 13 17 27 30 26 23 15 13 7 5 4 3'95 年 2 3 5 8 14 18 27 29 25 23 15 13 6 5 4 3

'05 年 1 1 2 5 13 20 34 39 37 22 11 8'00 年 0 1 2 5 10 17 29 42 39 24 7 4'95 年 0 1 2 5 9 16 30 40 38 26 10 6

0

10

20

30

40(%)

76時 8 9 10

’95 年’00 年’05 年

0

10

20

30

40

(%)

’95 年’00 年’05 年

76時 8 9

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10  APRIL 2006

貫して減り続けていた流れが変わった(図6)。成人女性の平日の家事時間(全員平均時間)

について,前回2000年までの長期的な傾向を年層別にみると(図7),層によってさまざまな動きをしている。40代以上では小幅な増減を繰り返し,大きな変化はない(図7では 40代のデータで代表させた)。30代では 1985年以降ゆるやかな減少傾向にあり,20代では1975年以降2000年まで一貫して減少を続けていた。これらをまとめて成人女性としてみると減少傾向が続いていたということになる。

今回は,どの年層でも特に大きく家事時間が減っているところはなかった。その中で特に注目したいのは,一貫して続いていた減少が止まった 20代女性である。今回も減少傾向が止まらなかったという対照的な動きをしている 30代女性と比較しながら詳しくみていく。

20・30代女性のこの違いは,両者を構成する要員の変化によって説明できる。図8 を み る と,30代 女 性 で は 2000年,

2005年と有職者が増加傾向にあり,逆に主婦が減少傾向にあることがわかる。一方20代女

図 8 職業別の内訳(20・30 代 女性)図 7 家事の時系列変化(平日・女 20 ~ 40 代・全員平均時間)

1995年

有職者

30代女性

主婦 無職 無回答

2000年

2005年

56 42 11

59 38 12

66 30 22

1995年

有職者

20代女性

主婦 無職 学生 無回答

2000年

2005年

68 10 1

71 11

1

2

3

67 13

19

14

14

2

5

(%)

(%)

時間

‘70 ‘75 ‘80 ‘85 ‘90 ‘95 ‘00 ‘05 年0:00

1:00

2:00

3:00

4:00

5:00

6:00

7:006:31

5:375:15

4:52

20 代女性30 代女性40 代女性

5:06 5:03

2:50

2:25 2:37

図 6 家事時間の時系列変化(3 曜日・成人男女別 全員平均時間)

0:00

1:00

2:00

3:00

4:00

5:00

6:00時間

‘70‘75‘80‘85‘90‘95‘00‘05 ‘70‘75‘80‘85‘90‘95‘00‘05 ‘70‘75‘80‘85‘90‘95‘00‘05 年

【平日】 【土曜】 【日曜】

成人女性

成人男性

0:32 0:36 0:46 0:581:01 1:12

1:19 1:21 1:35

4:324:19 4:27

4:51 4:44 4:40 4:34 4:36 4:52

注)生活時間調査は 1995 年に調査方式を変更した。1970 年~ 95 年(薄い記号)は旧方式、1995 年~ 2005 年(濃い記号)は現行の方式による。  1970 年からの長期的な変化の方向をみるために、両方式の結果を併記したが、数値そのものを直接比較することはできない(以下同様)。

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11APRIL 2006

性では,2000年から 2005年にかけて有職者が減少傾向にあり,主婦の割合は変わらない。

平日の家事時間には,有職女性と主婦の間で大きな差があり(表9),30代女性は家事時間の少ない有職者が増加したことによって,全体の家事時間が減ったといえる。20代女性では,家事時間の少ない有職者が減少したこと,20代主婦の家事時間自体が 9時間3分から 10時間12分に増加したことによって,全体の平均時間が増えたといえる。特に 20代の主婦では,家事のうち炊事・掃除・洗濯

(00年3時間5分→05年3時間41分)と子どもの世話(00年5時間28分→05年6時間21分)の時間量が増加傾向にある。

20代ほどではないが 50代・70代でも 2000年と比べて若干増加傾向がみられる。成人女性全体で家事時間の減少が止まったことについては,さまざまな要因が複合した結果だと

推測されるが,20代女性で家事時間の減少が止まったことも,ひとつの理由であるだろう。

次に成人男性についてみていく。成人女性の平日家事の行為者率90%,全員平均時間4時間27分に対し,成人男性では行為者率36%,全員平均時間46分となっている。男女差の大きい行動であるが,成人男性の家事時間は,微小ながら長期的に一貫して増加し続けている。その傾向は今回も続き,60代以上では家事をする人が平日で 50%を超えた(表9)。

従来は,成人男性の家事を内容別にみると,比較的多かったのは買い物や家庭雑事といった「お手伝い」的な周辺家事であった。

ところが今回,2000年との比較で,平日の行為者率・全員平均時間ともに増加したのは50・60代男性であるが,50代では炊事・掃除・洗濯(00年7% →05年13%,00年4分→05年9分)と買い物(同7% →13%,同5分→9分),

表 9 家事の行為者率と時間量(3 曜日・成人男女・主婦・有職女性・男女年層別)

平  日 土  曜 日 曜

行為者率 全員平均時間 行為者率 全員平均時間 行為者率 全員平均時間‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年

%91

%89

%90

時間 分4:32

時間 分4:19

時間 分4:27 92 91 91 4:51 4:44 4:40 90 91 92 4:34 4:36 4:52成人女性

成人男性 30 32 36 0:32 0:36 0:46 40 42 44 0:58 1:01 1:12 49 50 55 1:19 1:21 1:35

主  婦 99 99 100 7:24 7:12 7:02 99 98 99 7:00 6:36 6:30 98 98 98 6:06 5:52 5:52

有職女性 88 85 87 3:18 3:08 3:18 90 89 88 4:02 4:05 3:52 89 90 91 4:10 4:24 4:46

20 代 67 60 62 2:50 2:25 2:37 72 69 64 3:11 2:30 2:38 71 72 71 2:54 2:38 3:19

30 代 96 91 88 6:31 5:37 5:15 96 93 95 6:37 6:07 6:03 98 95 94 6:31 6:18 6:02

40 代 98 99 97 4:52 5:06 5:03 98 99 96 5:23 5:32 5:18 98 98 95 5:16 5:28 5:19

50 代 97 96 98 4:32 4:21 4:31 97 99 96 4:56 5:08 4:52 94 96 97 4:29 4:55 5:31

60 代 98 98 98 4:30 4:52 4:52 97 96 97 4:43 5:13 5:00 95 96 97 4:27 4:42 4:45

70 歳以上 89 87 89 3:20 3:37 3:42 87 87 93 3:27 3:33 3:55 80 84 91 3:02 3:09 3:37

20 代 26 29 23 0:22 0:26 0:22 33 33 35 0:42 0:36 1:00 41 42 40 0:58 1:03 1:13

30 代 32 30 32 0:32 0:24 0:36 49 42 46 1:19 1:07 1:16 57 56 66 1:55 1:28 2:23

40 代 24 32 28 0:22 0:30 0:25 40 43 46 0:55 1:05 1:26 51 56 56 1:24 1:48 1:54

50 代 24 19 27 0:24 0:17 0:35 37 39 44 0:54 1:01 1:08 51 51 56 1:12 1:16 1:31

60 代 36 38 50 0:49 0:56 1:13 42 51 43 0:58 1:15 1:08 49 50 53 1:19 1:18 1:19

70 歳以上 47 51 52 1:07 1:09 1:17 43 46 50 1:02 1:00 1:13 41 40 55 0:54 1:00 1:21

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12  APRIL 2006

60代では買い物(同18% →25%,同14分→19分)の行為者率・全員平均時間ともに増加している。50代男性で周辺家事だけでなく,炊事・掃除・洗濯という基幹家事が増えていることが,今までとは違った特徴である。

3. 平日にレジャーを楽しむ10 代と高年層

ここからは,個人の自由裁量性の高い自由行動についてみていく。まず,レジャー活動についてみてみよう。レジャー活動に属する行動項目は

図 9 レジャー活動(スポーツ,行楽・散策,趣味・娯楽・教養)の行為者率(平日・男女年層別)

図10 レジャー活動(スポーツ,行楽・散策,趣味・娯楽・教養)の行為者率(日曜・男女年層別)

(%)

【男】 【女】

10代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上0

5

10

15

20

25

30

35

40

4540

20

8

7

10 910

23

17

14

2931

11

7

16

11

4 57

14

17

22

20

108

17

18

12

13

311

13

24

1097

5

4

5

5

16

6

スポーツ

行楽・散策

趣味・娯楽・教養

(%)

【男】 【女】

10代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上0

5

10

15

20

25

30

35

40

45 44

34

23

12

23

12

28 29

20

15

24

28

19

8

30

15

4 36

21

22

29

24

10

5

17

21

25

16

4

25

1518

10

26

15

19

18

22

7

23

19

スポーツ

行楽・散策

趣味・娯楽・教養

表10 レジャー活動の行為者率と時間量(3 曜日・国民全体)平  日 土  曜 日  曜

行為者率 全員平均時間 行為者率 全員平均時間 行為者率 全員平均時間‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年

%7

%7

%8

時間 分0:07

時間 分0:08

時間 分0:08 8 8 9 0:13 0:11 0:14 10 9 10 0:17 0:15 0:20スポーツ

行楽・散策 13 12 14 0:15 0:14 0:17 21 22 19 0:41 0:38 0:32 28 26 24 1:01 0:54 0:47

趣味・娯楽・教養 ─ ─ 17 ─ ─ 0:25 ─ ─ 21 ─ ─ 0:41 ─ ─ 23 ─ ─ 0:48趣味・娯楽・教養の

インターネット ─ ─ 13 ─ ─ 0:13 ─ ─ 14 ─ ─ 0:18 ─ ─ 15 ─ ─ 0:20

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13APRIL 2006

スポーツ,行楽・散策,趣味・娯楽・教養,趣味・娯楽・教養のインターネットの4項目である。

(1)スポーツスポーツは,テニス・野球・サッカー・ゴ

ルフ・体操といった一般のスポーツ,ボール遊び,鉄棒・縄跳びなど小・中学生の身体を使った遊び,大学生の運動系のサークル活動などからなる。

国民全体のスポーツをしている人の率は,平日8%,土曜9%,日曜10% で(表10),スポーツをした人の平均時間(行為者平均時間)は平日1時間48分,土曜2時間40分,日曜3時間27分で,平日 < 土曜 < 日曜と長くなる。

男女年層別にみると(図9),平日は男女10代と 60代,男70歳以上で行為者率が 10% 以上と高めである。一方,休日の人が多い日曜をみると,男10代で行為者率が 20% を超えるほか,男20~50代でも,行為者率が平日より増える。一方で,女性の行為者率は平日とあまり変わらず低めである(図10)。

1995年からの変化をみると,国民全体では大きな変化はないが,男女年層別には,平日で男女60代,女70歳以上といった高年層で増加している(男60代:95年7% →05年14%,女60代 : 同6% →10%,女70歳以上 :同5% →8%)。平日に自由時間の多い高年層で,健康づくりなどの目的で運動に取り組む人が増えている様子がうかがえる。

(2)行楽・散策この行動は,屋外型のレジャー活動からな

る。具体的には,観光地・遊園地などへ行く,祭りの見物に行く,ハイキング,散歩,釣り,ドライブ,繁華街へ行く,ウインドウショッ

ピングをする,などである。国民全体で行楽・散策に出かける人の率は,

平日14% に対し,土曜19%,日曜24% と,やはり土曜,さらに日曜で高くなる(表10)。出かけた人の平均時間も,平日2時間,土曜2時間53分,日曜3時間18分と,日曜が最も長い。

男女年層別にみると(図9),平日では,男60代以上と女60代で行為者率が 20%を超えて高い。スポーツと同様,平日では主に高年層が屋外型レジャーを楽しんでいる。一方で日曜になると,ほとんどの年層で行為者率が 20%を超える(図10)。男女とも20・30代では全員平均時間が1時間を超え,長時間出歩いている。

時系列の変化をみると,土曜日は 2000年に比べ行為者率が減少した。また,日曜日も1995年からみると,行為者率・時間量とも減少傾向にある。今回の調査では,特に土曜の調査日に雨天の地域が多く,全体の 75%が「雨」または「一時雨」であった。雨天では,明らかに行楽・散策に出かける人が減少する

(土曜に「晴れ・曇り」だった人の行楽・散策の行為者率:20% に対し,「雨」だった人の行為者率:13%)。減少の背景はほかにも考えられようが,土曜日については,天候の影響が大きかったと考えていいだろう。

(3)趣味・娯楽・教養この行動も,趣味全般,けいこごと,習い

ごと,資格や免許をとるための勉強,映画・演劇・音楽・絵画の鑑賞,競馬・パチンコなどのかけごと,囲碁・将棋などの勝負ごと,子どもがするスポーツ以外の遊び全般,テレビゲームなど,含んでいる行動は多岐にわたる。2000年調査では,仕事以外のインターネット利用をこの行動に含めていたが,今回

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14  APRIL 2006

はインターネットを独立させた。このため,前回までの調査結果と時系列比較を行うには注意が必要であり,この報告では時系列比較の分析は行わない。

国民全体の行為者率は,平日17%に対し,土曜は 21%,日曜は 23%と,それぞれ 20%を超える(表10)。行為者の平均時間は平日2時間30分に対し,土曜3時間12分,日曜3時間32分と,やはり平日より土曜・日曜で長くなっている。

男女年層別にみると(図9),平日は男女10代で突出して多くの人が趣味・娯楽・教養をしている。これは,いわゆる子どもの遊びがこの行動に含まれているためである。このほか,男20代と70歳以上,女60代で行為者率が 20%を超えている。日曜になると,20~50代で平日より行為者率が増加する(図10)。また,男10・20代では全員平均時間も1時間を超えて長い。

(4)趣味・娯楽・教養のインターネット冒頭でも触れたように,今回調査から新た

に追加したインターネットについては,自由時間内の趣味や娯楽としてのインターネット利用行動に限定している。仕事や学業,家事

でのインターネット利用は,それぞれ「仕事」「学業」「家事」として記入してもらい,この行動項目には含まれない。また,電子メールの読み・書きや掲示板の書き込みなど,インターネット上でのコミュニケーションについては,2000年調査より「会話・交際」に含めているため,やはりこの項目に含まれない。この項目に含まれる行動は,具体的には,仕事や家事,学業以外の目的でのウェブの閲覧や検索,掲示板・ブログを読む,オンラインゲームやネットオークション,ホームページやブログの作成などである。

趣味・娯楽・教養のインターネットをする人は国民全体で平日13%,土曜14%,日曜15% である(表10)。行為者平均時間は,平日1時間38分,土曜2時間13分,日曜2時間11分で,平日と比べ土曜・日曜で長くなる。

平日の行為者率を男女年層別にみると,20代を中心に男女10~30代で行為者率が高い(表11)。このほか,男女40代や男60代以上でも行為者率が 1割を超えており,インターネットが幅広い年層で行われる余暇行動となっていることがうかがえる。また職業別

表11 インターネットの行為者率と時間量(3 曜日・男女年層別)平 日 土 曜 日 曜

行為者率 全員平均時間 行為者率 全員平均時間 行為者率 全員平均時間% 時間:分 % 時間:分 % 時間:分

10 代 18 0:18 20 0:29 20 0:2720 代 22 0:29 20 0:44 28 0:5130 代 18 0:20 21 0:45 29 0:4940 代 15 0:13 20 0:27 20 0:3350 代 9 0:08 14 0:13 16 0:1960 代 12 0:11 11 0:14 12 0:17

70 歳以上 10 0:13 9 0:10 6 0:07

10 代 17 0:16 25 0:32 22 0:1820 代 20 0:16 18 0:23 16 0:2430 代 17 0:14 17 0:17 20 0:2040 代 13 0:11 15 0:20 12 0:1550 代 8 0:07 9 0:04 11 0:1060 代 8 0:07 6 0:10 4 0:03

70 歳以上 6 0:07 3 0:03 4 0:05

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にみると,平日は事務職・技術職(行為者率16%)や専門職・自由業・その他(同17%),学生(同19%)で利用が多いが,主婦(同14%)や無職(同12%)でも1割以上の人が使っている。

土曜・日曜になると,男20~50代で平日より行為者率が増加し,行為者率の伸びとともに,時間量の伸びも目立つ。日曜日に最も利用が多い男20代の行為者平均時間は 3時間以上に達する。一方で,女性は時間量が少し増えるものの,行為者率は男性ほど増加しない。

また,平日のインターネットの利用時間(全員平均時間)を「ながら」・専念別にみてみると,他の行動との「ながら」での利用時間3分に対し,専念時間は 10分であり,およそ 1:3の割合で専念利用が多い。この比率は土曜・日曜でもほぼ同様である。ちなみにインターネットと「ながら」で行われている行動で最も多いのは「テレビ」である。また,平日の時間量を自宅内外別にみると,自宅内11分に対し,自宅外2分であり,余暇行動としてのインターネットは圧倒的に自宅で利用されていることがわかる。

最後に最もインターネットの利用の多い

男20代の時刻別行為者率の動きを示した(図11)。平日は仕事などで日中の率が低いが,夜7時以降から利用が増え始め,夜11時台が利用のピークとなる。土曜・日曜になると,日中の利用も増加し,ピークは土曜が夜10時台,日曜は夜9時台である。このピークのほかに,日曜の午前10~12時,午後1時台,午前0~2時(土曜深夜)など,さまざまな時間帯に一定の利用者がいる。

また,自由行動にはこのほか,会話・交際がある。会話・交際は,家族や友人・知人などとのつきあい,おしゃべり,電話での会話,電子メールなどを含むが,いずれも単独で行われた場合のみを集計しており,たとえば食事やテレビなど,他の行動と同時に行われた会話は集計されていない。このため,人びとの会話・交際行動のすべてを含むわけではないことに留意する必要があるが,国民全体の行為者率をみると,平日20%(95年27%),土曜・日曜22%(同30%),全員平均時間は平日20分(95年25分),土曜30分(同39分),日曜34分(同45分)である。1995年からみると,曜日を問わず,行為者率・時間量とも減少した。

図11 インターネットの 30 分ごとの平均行為者率(3 曜日・男 20 代)

平日 4 4 3 1 2 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 1 1 1 2 1 2 2 3 2 1 3 4 4 4 4 4 5 6 6 7土曜 2 2 1 1 2 0 0 0 1 1 1 2 3 2 1 1 1 2 2 3 2 3 1 2 1 3 4 5 4 4 6 4 5 4 4 5 4 5 4 3 3 3 6 7 8 7 6 4 日曜 5 5 4 5 3 3 0 1 1 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 3 5 5 5 5 2 3 5 6 4 4 2 3 4 4 4 3 4 5 5 5 6 9 10 9 8 8 5 7

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

(%)

時0

2

4

6

8

10

12

日曜土曜平日

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4. 高年層が支えるテレビ視聴

続いて,自由行動のもう 1 つの柱であるマスメディア接触についてみていく。

(1)テレビテレビの国民全体の行為者率は,表12の

ように各曜日とも 9割以上にのぼる。行為者率が 9割を超える行動は,後述する睡眠・食事など必需行動しかなく,テレビがきわめて日常性が高いメディアであることがわかる。テレビ視聴は,時間量の面でも,全員平均で平日3時間27分,土曜4時間3分,日曜4時間14分と,レジャー活動や他のメディア接触に比べ格段に長く,自由行動の中で別格的存在といえる。また,長期的な推移をみても,

各曜日とも 1995年に増加したまま長時間視聴が続いている(図12)。特に土曜は,5年前に比べ視聴時間がさらに増加した。土曜は前述のように,完全学校週5日制の実施で学生の午前の在宅率が大幅に増加したため,学生を中心に国民全体でも土曜午前8~11時台のテレビ視聴が増加し,ひいては 1日の視聴時間の増加につながった。

このように,テレビは国民全体では相変わらずよく見られているが,男女年層による視聴時間のバラつきが大きい(表13)。テレビを長時間見ているのは男女70歳以上で,1日の視聴時間は各曜日とも 5時間を超えている。一方,男女20代以下は曜日を問わず視聴時間が短い。特に男20代は,テレビを見る人の率が全年層の中で唯一8割を下回って

表12 各メディアの行為者率と時間量(3 曜日・国民全体)

図12 テレビ視聴時間の時系列変化(3 曜日・国民全体 全員平均時間)

平  日 土  曜 日  曜行為者率 全員平均時間 行為者率 全員平均時間 行為者率 全員平均時間

‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年

テレビ %92

%91

%90

時間 分3:19

時間 分3:25

時間 分3:27 92 91 91 3:40 3:38 4:03 92 92 90 4:03 4:13 4:14

ラジオ 17 15 15 0:26 0:21 0:23 15 14 13 0:24 0:21 0:18 13 12 12 0:17 0:18 0:18新聞 52 49 44 0:24 0:23 0:21 50 49 47 0:23 0:23 0:25 48 47 43 0:21 0:21 0:21

雑誌・マンガ・本 ─ ─ 18 ─ ─ 0:13 ─ ─ 19 ─ ─ 0:16 ─ ─ 21 ─ ─ 0:17ビデオ 7 7 8 0:06 0:06 0:08 10 9 10 0:09 0:09 0:10 11 10 11 0:10 0:10 0:12

CD・MD・テープ 11 11 9 0:10 0:10 0:09 12 11 11 0:13 0:11 0:12 12 11 10 0:13 0:10 0:12

時間

‘70‘75‘80‘85‘90‘95‘00‘05 ‘70‘75‘80‘85‘90‘95‘00‘05 ‘70‘75‘80‘85‘90‘95‘00‘05 年

【平日】 【土曜】 【日曜】

0:00

1:00

2:00

3:00

4:00

5:00

3:193:40

4:034:13

3:383:25

3:27

4:034:14

※「雑誌・マンガ・本」は,2005 年から行動分類を変更したため,2000 年以前のデータとの比較はできない

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おり,1日の中でテレビをまったく見ない人が他の年層に比べて多い。

また,表13で各年層の平日の視聴時間を2000年と比較すると,視聴時間がもともと長い女70歳以上ではさらに増加したのに対し,男40代や女10~30代の各層では逆に減少している。すなわち,国民全体としてみた場合の現在のテ

レビの長時間視聴は,視聴時間の長い70歳以上が支えているという側面が大きいのである。

テレビが 1日で最もよく見られている時間帯は,平日が夜7時30分~10時,土曜・日曜は夜7時~10時で,特に日曜夜8時台はテレビ視聴が国民全体の半数に達している(図13)。帰宅や就寝時刻などとのかね合いで,夜間のテレビ視聴のピークは男女年層によってやや時間差があるが,例えば平日夜9時台はほぼすべての層でテレビ視聴が 30%を超えており,まさに“ゴールデン・タイム”といえる。

「ながら」視聴および自宅外視聴についても簡単に紹介する。国民全体の「ながら」視聴は平日1時間16分で,テレビ視聴時間全体の 3分の 1強を占めている。一方,自宅外視聴は 13分(平日)と,現時点では自宅内での視聴が圧倒的に多い。「ながら」視聴・自宅外視聴とも,こうした特徴は 2000年とまったく変わらない。

表13 テレビの全員平均時間量(3 曜日・男女年層別)

図13 テレビの 30 分ごとの平均行為者率(3 曜日・国民全体)

平 日 土 曜 日 曜‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年

時間 分 時間 分 時間 分

10 代 2:12 2:02 2:06 2:55 2:50 3:27 3:34 3:28 2:5220 代 2:19 2:13 2:11 2:33 2:43 2:46 3:48 3:13 2:4530 代 2:29 2:27 2:15 3:18 3:08 2:56 4:07 3:58 3:3340 代 2:43 2:43 2:23 3:34 3:32 3:46 4:07 4:41 3:5950 代 3:01 2:42 2:56 3:46 3:46 4:07 4:44 4:48 5:0760 代 4:23 4:09 4:18 4:38 4:34 4:33 5:00 5:24 5:06

70 歳以上 5:10 5:34 5:22 5:20 4:56 5:52 5:59 5:17 6:27

10 代 2:11 2:27 2:12 2:54 2:49 2:46 3:06 3:36 3:0520 代 2:57 3:01 2:40 2:56 2:37 2:48 3:22 3:22 2:4530 代 3:16 3:05 2:45 3:00 3:09 3:15 3:14 3:09 3:1640 代 3:25 3:34 3:28 3:38 3:34 3:53 3:43 3:40 3:3550 代 4:06 4:08 3:53 4:08 3:58 4:09 3:51 4:16 3:5560 代 4:47 4:42 4:37 4:44 4:17 4:58 4:32 4:39 4:55

70 歳以上 5:08 5:04 5:29 5:10 5:07 5:45 5:13 5:40 5:47

平日 3 3 1 1 1 0 0 0 0 1 2 4 9 16 22 22 20 15 11 8 7 7 7 8 17 19 15 12 8 8 7 7 8 9 10 12 18 24 37 41 43 45 44 44 36 32 17 10土曜 4 3 2 2 1 1 0 0 0 0 1 2 7 12 20 23 24 19 15 14 11 11 11 12 19 23 19 17 11 11 11 11 12 13 14 15 23 30 41 45 47 49 47 48 38 35 21 14日曜 4 4 3 2 1 1 1 0 0 1 1 2 5 9 17 20 23 22 20 17 17 17 17 16 21 25 21 18 15 14 14 15 15 15 16 19 27 34 45 47 50 52 45 43 33 26 13 8

0

10

20

30

40

50

60

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

(%)

0

10

20

30

40

50

60

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

(%)

日曜土曜平日

日曜土曜平日

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(2)ラジオ表12のように,ラジオを聴いている人の

割合は各曜日とも 1割強で,この 10年でやや減少している。さらに長期的にみると(図15),国民全体ではラジオを聴く人は 1980年をピークに減少しており,1995年にいったん持ち直したものの,1980年の水準には戻っていない。

こうした全体傾向はもとより,ラジオの変化で最も顕著なのは,図14・図15に示したような聴取層の年層の変容 = 高齢化である。まず,この 10年間の男女年層別の行為者率の変化をみると(図14),50代以下の各層で一様に減少しており,結果として聴取層の高

齢化が進んだ。また図15をみると,16~19歳という年層は,1975年~80年はラジオを大変よく聴いていたのが,85年以降減少の一途を

辻辶

った(20代も同傾向)。逆に,60代をはじめとする高年層では漸増傾向にあり,ラジオ聴取の主役が 90年代以降,若者から高年層へと完全に入れ替わったことがわかる。

なお,ラジオ聴取の特徴である「ながら」聴取の多さ(平日平均で全聴取時間の約7割)や自宅外聴取の多さ(同様に全聴取時間の 4割弱)は,これまでと同様である。職業別にみて,平日の農林漁業者(全員平均時間57分)や自営業者(同47分)の聴取時間が長いのは,特に仕事をしながらの聴取が多いためである。

図14 ラジオの行為者率の1995 年~ 2005 年の変化(平日・男女年層別)

10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上0

10

20

30

15

11

18

23 24

2221

1616

19

14

10

9

4

10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上

12

7

13

24 25

19 18

14

21

22

14

10

12

6

(%)

(%)

【男】

10代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上

‘95 年

‘05 年

0

10

20

30

15

11

18

2324

22

21

1616

19

14

10

9

4

【女】

【男】

‘95年

‘05 年

【女】

10代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上

12

7

13

2425

1918

1424

21

22

14

10

12

6

図15 ラジオの行為者率の時系列変化(平日・国民全体・16 ~ 19 歳・60 代)(%)

‘70‘75‘80 ‘85‘90‘95‘00‘05 ‘70‘75‘80 ‘85‘90‘95‘00‘05 ‘70‘75‘80 ‘85‘90‘95‘00‘05年

【国民全体】 【16~19 歳】 【60 代】

0

10

20

30

40

1715 15

13

86

21 2124

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(3)新聞国民全体の新聞の行為者率は平日44%,土

曜47%,日曜43%,全員平均時間はどの曜日も20分強で,曜日差はあまりない(表12)。しかし,2000年と比べて,平日と日曜で行為者率が減少している。男女年層別に平日の行為者率をみてみると(図16),男60代以上では 7割以上の人が新聞を読んでいるのに対し,男女10代では1割にも満たないなど,年層差が非常に大きい。これは,若年層から始まった長期的に続く行為者率の減少に歯止めがかからないことによるもので6) ,2000年時点では,男50代以下,女40代以下で1995年より行為者率が下がったが,今回はこれらの年層に加えてさらに,男女60代や男70歳以上でも2000年より行為者率が下がった。若年層から始まった行為者率の減少が,今や中高年層にまで及んでいる。また,1995年からの減少幅の大きさでみると,特に男30~50代で落ち込みが大きい。さらに職業別にみると,自営業者(00年61% →05年51%),勤め人(00年49% →05年41%),主婦(00年68% →05年58%)などで平日の行為者率が大幅に減少している。社会の中核層で“新聞ばなれ”が進行している様子がうかがえる。

この現象を意識面でも裏づけるデータとして,同じく 2005年に実施した「日本人とテレビ・2005」調査の結果をみると7),この 5年で,< 報道 > の機能で「新聞」の評価が,男30・50・60代と男性の幅広い年代で低下しており,< 解説 > 機能でも男20・40代で評価が低下している。一方,これらの年代では同機能について「インターネット」の評価が高まりつつある8)。新聞の行為者率の低下が促された背景には,このようにインターネットが,ニュース・情報入手メディアとして,新聞など一部の既存メディアとしての役割を肩代わりしつつあることも考えなければいけないだろう。

(4)雑誌・マンガ・本2000年調査までは,「雑誌・マンガ」と「本」

を分けて調査していたが,今回では新聞以外の活字メディアを合わせて「雑誌・マンガ・本」として調査した。したがって,2000年までの「雑誌・マンガ」「本」と,今回の「雑誌・マンガ・本」は結果の直接の比較はできない。

国民全体で雑誌・マンガ・本を読む人は,平日18%,土曜19%,日曜21% である(表12)。読者に限った平均時間は平日は1時間9分であ

図16 新聞の行為者率の1995 年~ 2005 年の変化(平日・男女年層別)(%)

【男】 【女】

10代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上

‘95

‘00

‘05

0

10

20

30

40

50

60

70

80

32

31

21

55

6774 77

73

79 78

73

71

13

79

24

32

29

49

6066

67 69

6462

5151

5258

64

16

44

50

62

5658

41

42

2914

7

8

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20  APRIL 2006

るが,土曜・日曜は1時間20分強とやや長い。男女年層別のデータについて特徴的な点を

述べると,男女とも10代で行為者率が高い(男10代31%,女10代34%,いずれも平日)。平日ではこのほか,男20代と女20~40代で行為者率が 20% を超えている。「雑誌・マンガ」と「本」を分けて調査をしていた 2000年の結果では,前者は男女10代の行為者率が突出している一方(2000年の平日の行為者率 : 国民全体13% に対し,男10代30%,女10代26%),後者は大きな年層差がなかった。この結果から類推すると,今回の 10代の「雑誌・マンガ・

本」の行為者率の高さは,雑誌やマンガの読者が多いことによるものと考えられる。

(5)ビデオビデオや DVD を見る人は,平日8%,土曜

10%,日曜11% で(表12),視聴者に限った平均視聴時間(行為者平均時間)は,各曜日とも 1時間40分~2時間程度である。男女年層別にみると,視聴者が比較的多いのは男女とも 40代までであるが,平日を例にみると,特に女性で行為者率が高めである(図17)。

1995年からの変化をみると,平日に国民

図17 ビデオの行為者率の1995 年~ 2005 年の変化(平日・男女年層別) 

図18 CD・MD・テープの行為者率の1995 年~ 2005 年の変化(平日・男女年層別)(%)

【男】

10代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上

‘95

‘05

0

5

10

15

20

13

10

5

56

3

11

10

14

98

3

5

3

3

3

5

12

11

12

3

5

5

7

9

8

9

9

(%)

10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上0

5

10

15

20

13

10

5

56

3

11

10

14

9

8

3

5

3

3

35

12

11

12

3

5

5

79

8

9

9

【男】 【女】‘95

‘05

(%)

10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上

‘95

‘05

0

5

10

15

20

25

30

35

0

22

17

4

3

22

31

26

25

21

6

5

6

4

3

2

8

12

10

12

2

5

4

66

6

29

23(%)

10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上0

5

10

15

20

13

10

5

56

3

11

10

14

9

8

3

5

3

3

35

12

11

12

3

5

5

79

8

9

9

(%)

10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上

‘95

‘05

0

5

10

15

20

25

30

35

22

17

4

322

31

2625

21

6

5

6

432

8

12

10

12

2

5

4

66

6

29

23

(%)【男】

【男】

【男】 【女】

10代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上

‘95

‘05

0

5

10

15

20

13

10

5

56

3

11

10

14

98

3

5

3

3

3

5

12

11

12

3

5

5

7

9

8

9

9

‘95

‘05

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21APRIL 2006

全体でビデオを見る人は微増している。これは,男女40・50代,男70歳以上でビデオを見る人が増加したことによるもので,この結果,ビデオを見る人の率の年層による差は,10年前と比べて小さくなりつつある。

(6)CD・MD・テープCD・MD・テープなどラジオ以外の音声

系メディアを聴く人は,平日9%,土曜11%,日曜10%(表12)であり,行為者平均時間は平日1時間34分に対し,土曜・日曜は 2時間前後に達し,平日と比べて長めである。男女年層別にみると,男女とも 20代までの若年層の行為者率が突出して高い(図18)。

しかし,1995年からの変化をみると,平日は行為者率・時間量ともに微減している。日曜も行為者率が減少している。これは,利用が多い男女10・20代で,この 10年で行為者率が減少していることによるもので,特

に平日の落ち込みが大きい。一方で,男40・50代,女40代以上で漸増傾向にある。この結果,ビデオの視聴者と同様,CD・MD・テープを聴く人の率は,若年層と中・高年層の間で差が縮まりつつある。

2005年から携帯型の音楽再生機器の相次ぐ発売やインターネットによる音楽配信が急増する一方で,音楽 CD の生産枚数の減少が続くなど9) ,オーディオメディアは大きな転換期を迎えたと言われる。しかし今回の結果は,新しく登場したメディアが現段階では行為者率の全体的な増加には結びついていないことを示しているといえよう。

5. 減少が止まった睡眠時間

行動ごとの分析の最後に,必需行動(個体を維持向上させるために行う必要不可欠性の高い行動)のうち,睡眠と食事の結果を紹介

表14 睡眠時間(3 曜日・男女年層別・全員平均時間)

平日 土曜 日曜‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年

時間 分 時間 分 時間 分

10 代 7:53 7:51 7:53 8:29 8:13 8:59 9:14 9:10 9:01

20 代 7:21 7:20 7:17 7:52 8:02 7:26 8:27 8:14 8:36

30 代 7:12 6:57 7:04 7:51 7:45 7:17 8:31 8:21 8:16

40 代 7:19 7:11 7:06 7:40 7:25 7:28 8:12 8:07 8:13

50 代 7:22 7:16 7:09 7:44 7:35 7:36 8:13 8:06 7:56

60 代 7:54 7:48 7:41 8:03 7:37 7:59 8:21 8:02 8:06

70 歳以上 8:32 8:40 8:18 8:26 8:20 8:20 8:46 8:43 8:36

10 代 7:31 7:31 7:42 8:10 8:03 8:42 8:59 8:55 9:11

20 代 7:20 7:14 7:23 7:54 8:00 7:59 8:11 8:29 8:28

30 代 7:06 6:56 7:03 7:18 7:20 7:59 7:58 7:52 8:26

40 代 6:53 6:47 6:43 7:07 7:00 7:22 7:50 7:39 7:46

50 代 7:01 6:58 6:51 7:04 7:02 6:57 7:41 7:34 7:24

60 代 7:33 7:17 7:16 7:41 7:08 7:18 7:48 7:27 7:41

70 歳以上 8:23 8:07 8:09 8:15 8:07 8:11 8:43 8:06 8:26

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22  APRIL 2006

する。行動の性格上,行為者率は男女年層を問わずそれぞれ 100% に近い。

(1)睡眠国民1人あたりの睡眠時間は,平日7時間

22分,土曜7時間47分,日曜8時間14分で,平日 < 土曜 < 日曜の順に長くなる。層別にみると,平日の睡眠時間は男女70歳以上を筆頭に 10代と男60代で長く,逆に男女30~50代で短い(表14)。平日と土曜・日曜の関係では,10~40代は日曜の睡眠時間が平日より 1時間以上長く,いわば休日に寝だめをしているのに対し,50代以上は平日と土曜・日曜の差が比較的小さい。1週間を通し,1日の睡眠時間が最も短いのは女40・50代である。

この 5年間の睡眠時間の推移をみると,平日と日曜は変化がみられなかった。これまで平日は 1970年以降,日曜は 1980年以降一貫して減少傾向にあり(図19),「睡眠時間の減少」は生活時間の変化の特徴の 1 つだったが,今回この大きな流れが止まった。男女年層

別にみても,平日や日曜の睡眠時間が 2000年より減少したのは男70歳以上のみにとどまっており,「5年前と変わらない睡眠時間」はほぼすべての年層に共通した傾向である。

一方,土曜は,完全学校週5日制の実施で10代の睡眠時間が大幅に増え,その母親の年代にあたる女30・40代でも増加したため,国民全体でみても,土曜の睡眠時間は今回は一転して増加した。土曜の睡眠も,平日や日曜と同様,長期的には漸減傾向にあるが,土曜は社会的制度が大幅に変わった際(1995年 =職場の週休2日制の定着,今回 = 完全学校週5日制)に,その変化と連動する形で睡眠時間が増加している。ちなみに,土曜は朝7~9時に寝ている人が増え,“朝寝坊”化が著しい。

平日と日曜の時刻別の変化としては,表15・表16のように,5年前に比べ平日の“早起き”化と日曜夜の“早寝”化があげられる。平日の朝は,例えば 5時~6時30分は有職者

時 刻 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年

5:30 ~ 5:45 83 82 79

5:45 ~ 6:00 80 79 76

6:00 ~ 6:15 63 62 58

6:15 ~ 6:30 58 57 53

6:30 ~ 6:45 40 41 37

6:45 ~ 7:00 34 36 33

表15 平日朝の睡眠の15 分ごとの行為者率(国民全体)

時 刻 ‘95 年 ‘00 年 ‘05年

22:30 ~ 22:45 39 36 39

22:45 ~ 23:00 40 37 40

23:00 ~ 23:15 58 55 59

23:15 ~ 23:30 60 57 61

23:30 ~ 23:45 71 68 71

23:45 ~ 24:00 74 70 73

表16 日曜夜の睡眠の15 分ごとの行為者率(国民全体)

図 19 睡眠時間の時系列変化(3 曜日・国民全体 全員平均時間)

時間

‘70 ‘75 ‘80 ‘85 ‘90 ‘95 ‘00 ‘05

【平日】

【土曜】

【日曜】

7:00

8:00

9:00

8:18

7:45

7:27

8:09

7:38

7:23

8:14

7:47

7:22

時間

‘70 ‘75 ‘80 ‘85 ‘90 ‘95 ‘00 ‘05 年

【平日】

【土曜】

【日曜】

7:00

8:00

9:00

8:18

7:45

7:27

8:09

7:38

7:23

8:14

7:47

7:22

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23APRIL 2006

など,6時30分~7時30分は小・中学生などでそれぞれ睡眠の行為者率が減少して“早起き”化しており,いずれもこの時刻に仕事や通勤・通学が増えているのと連動している。また日曜夜間については,2000年に睡眠が減少した時間帯で 1995年並みに戻っており,

「日曜夜は翌日からの 1週間に備えて早く寝る」習慣が戻ったようだ。

(2)食事国民全体の食事時間は,平日1時間35分

(2000年1時間33分),土曜1時間43分(同1時間38分),日曜1時間43分(同1時間40分)で,各曜日とも 2000年に比べ微増した。長期的にみても,食事時間は一貫して増加傾向にある。男女年層別で食事時間が短いのは男10・20代,逆に長いのは男女60代以上で,この傾向は 2000年と同様である。

時刻別にみた 3食のピークは,朝食が 7時~7時30分(国民全体の行為者率22%),昼

食が 12時~12時30分(同44%),夕食が 7時~7時30分(同27%)で,昼食は 12時台に集中している。一方,朝食と夕食は昼食に比べ時間帯に幅がある。2000年との比較でも,朝は早めの時間帯(6時台),夜は遅めの時間帯(8時台)でそれぞれ微増しており,食事時間帯はやや広がる傾向にある。

6. 増加が止まった自由時間

ここまではそれぞれの行動ごとに結果をみてきたが,最後に「1日の時間配分」という観点から,行動を必需行動・拘束行動・自由行動・その他の 4 つに大きく分類し,生活時間の現状と変化を紹介する(行動の定義と該当する行動は 3 ページの表3を参照)。なお,この時間配分の集計では,4 つの行動の時間量を足し上げた時に 24時間となるよう,2 つ以上の行動にまたがる同時行動がある場合(例えば「食事をしながらのテレビ」など)は,必

表17 1日の時間配分(3 曜日・職業別 全員平均時間)

平 日 土 曜 日 曜

必 需 拘 束 自 由 必 需 拘 束 自 由 必 需 拘 束 自 由時間 分 時間 分 時間 分

国民全体2000 年 10:10 8:39 4:38 10:33 6:55 6:02 11:01 5:16 7:14

2005 年 10:12 8:36 4:41 10:44 6:30 6:15 11:09 5:16 7:02

有職者2000 年 9:45 10:13 3:33 10:19 7:47 5:27 10:49 5:45 6:58

2005 年 9:44 10:16 3:31 10:19 7:46 5:25 10:55 5:54 6:39

主 婦2000 年 10:27 7:19 5:40 10:34 7:00 5:48 10:58 6:18 6:17

2005 年 10:23 7:14 5:50 10:43 6:36 6:08 11:06 6:11 6:06

無 職2000 年 11:37 3:04 8:31 11:26 3:19 8:38 11:24 3:05 8:56

2005 年 11:42 3:12 8:28 11:41 3:11 8:32 11:34 2:53 8:57

学 生2000 年 10:06 9:16 4:08 10:36 6:44 6:11 11:31 4:32 7:32

2005 年 10:14 9:28 3:47 11:26 5:04 7:10 11:37 4:34 7:22

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需 > 拘束 > 自由 > その他の順に優先順位をつけて計算している(これまで述べてきた小分類や中分類の行動は,同時行動の場合,それぞれを計算に入れるので,合計すると 24時間を超える場合がある)。

まず曜日ごとの 1日の時間配分をみると(表17),国民全体では平日は 8時間30分余りを拘束行動に費やしている。一方,土曜と日曜は拘束行動が短くなり,その分,必需行動と自由行動が長くなる。職業別では,有職者は国民全体と同様,平日と土曜・日曜の差が大きいが,主婦と無職は曜日間の差があまりみられない。

同じ表17で 5年間の変化に着目すると,有職者や主婦,無職は 2000年と変化はない

が,学生は土曜の学業時間が大幅に減ったため,土曜の拘束時間が 6時間44分から 5時間4分へ減少した。この結果,国民全体でみても土曜の拘束時間は 5年前に比べ減少し,土曜の 1日の生活配分はより日曜に近づいた。

1日の時間配分の長期的な変化としては(図20),1970年以降,拘束行動が減少傾向にあり,その分,自由行動が増える,というのが各曜日に共通した大きな流れであった。さらに 1985年以降は,拘束時間の減少に加え,人々が睡眠を削る形で自由時間を増やす傾向が続いていた 10)。今回も,土曜については拘束行動が減った分,自由時間が若干増加している。しかし今回これまでと異なる特徴を示したのは,土曜・日曜の必需行動の増

図 20 1日の時間配分の時系列変化(3 曜日・国民全体 全員平均時間)

0

2

4

6

8

10

12

‘70‘75‘80‘85‘90‘95‘00‘05 ‘70‘75‘80‘85‘90‘95‘00‘05 ‘70‘75‘80‘85‘90‘95‘00‘05年

必需行動

拘束行動

自由行動

必需行動

拘束行動

自由行動

必需行動

拘束行動

自由行動

10:09

10:32 10:33

8:58

8:39

4:384:29

10:1010:12

10:4411:04 11:01 11:09

7:06 7:14 7:02

5:21 5:16 5:16

6:55

6:07

6:55

6:02

6:30

6:15

8:36

4:41

【平日】 【土曜】 【日曜】時間

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加である。特に日曜は,拘束時間は 2000年とまったく変わらなかったにもかかわらず,必需行動が増加し,逆に自由行動はやや減少した。つまり今回は,人々が拘束行動以外の時間を,自由行動から睡眠や食事などの必需行動,特に睡眠にシフトさせた形になっている。これまでの長期的な推移を鑑みると,今回の必需時間の増加は,時間配分の面で日本人の生活が 1 つの転換点を迎えたことを示唆しているのかもしれない。今回増加傾向に歯止めのかかった自由行動は,今後どのような推移を

辻辶

るのか。また,減少し続けてきた睡眠時間は,ほぼ生理的な限界に近づいたのか。今後の変化の方向性が注目される。

今回調査の概況は以上のとおりだが,今後,行動ごと・属性ごとなど各種の切り口から本誌上で稿を改めて詳細な分析を報告する予定である。その第一弾としては,今回簡単にしか触れられなかった自由行動の分析,特にレジャー活動とマスメディア接触について詳しく紹介することとしたい。(よしだ りえ/なかの さちこ/わたなべ ようこ)

注1)これまでの生活時間の長期的な変化については,

NHK 放送文化研究所編「日本人の生活時間・2000」(NHK 出版,2002 年)を参照されたい。また,前回 2000 年調査の結果の概要については,三矢惠子・中野佐知子「不況下で増加した有職者の仕事時間」『放送研究と調査』2001 年 4 月号を参照。

2)厚生労働省編「平成17年版労働経済白書」による。3)行為者率はその行動を行なった人の数を意味し,

行為者平均時間はその行動に費やした時間量を表す。また,全員平均時間はその行動を行なった人の数と時間量をかけ合わせた数値である。行為者率の少ない行動では全員平均時間の値はしばしば生活実感と合わないものとなる。

4)文部科学省編「平成16年度文部科学白書」による。

5)東京圏は,千代田区の旧都庁を中心とした半径50キロ圏で,かつ,第3次産業率が50%以上の市区町村。大阪圏は,大阪市を中心とした半径 50キロ圏で,かつ,第3次産業率が50%以上の市区町村。

6)若年層から始まった新聞の行為者率の減少については,1990 年調査の分析時から指摘され始めた。詳細は NHK 世論調査部編「図説日本人の生活時間 1990」(1992 年,NHK 出版)を参照。

7)「日本人とテレビ・2005」調査の概要・結果の詳細については,白石信子・原美和子・照井大輔「日本人とテレビ・2005」『放送研究と調査』2005年 8 月号を参照。

8)< 報道 > 機能で一番役に立つメディアが「新聞」と答えた人の率(2000 年→ 05 年):国民全体 24% → 18% 男 30 代 31% → 19%男 50 代 35% → 26% 男 60 代 30% → 19%また,< 解説 > 機能で一番役に立つメディアが

「新聞」と答えた人の率 :国民全体 41% → 35% 男 20 代 48% → 30%男 40 代 52% → 41%一方で,< 報道 > 機能で一番役に立つメディアが「インターネット」と答えた人の率 :国民全体 1% → 4% 男 20 代 2% → 14%男 30 代 2% → 10% 男 50 代 0% → 4%< 解説 > 機能で一番役に立つメディアが「インターネット」と答えた人の率 :国民全体 0% → 2% 男 20 代 1% → 6%男 30 代 1% → 6% 男 40 代 0% → 4%男 50 代 0% → 2%

9)CD の生産枚数は,2004 年 31,215 万枚で,1999年以降 6 年連続の前年割れとなっている(電通総研編「情報メディア白書 2006」)

10)「日本人の生活時間・2000」(NHK出版・2002年)の中で,睡眠の長期的動向として「1980年代に入ると,人々の間には,睡眠を惜しんで遊ぶ傾向が生じた」「1980年代に入ってレジャー活動の活発化に伴い全面化した睡眠時間の減少基調」という分析が行われている。詳細は同書122~126ページ。