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製造ボスト © 201 All rig 35924 売業者: ン・サイエン販売名 ァリチュード インヴァイブ 16 Boston Sci hts reserved. 44-001 EN Eu ィフィック U1 ientific Corpo . urope 2014-0 パン株式会デル番号 25, U128 W173 ration or its a 4 affiliates. RE V A V A REF I N REF CA P A EFERENCE A LITU D A LITU D F U125, U128 N VIVE F W173 ARDIAC RE ACEMAKER E GUIDE DE™ DE™ X 4 ESYNCHRO R 4 ONIZATION N THERAPY Y Boston Scientific 91139226-01B 2016-05

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製造販

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2016-05

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本マニュアルについて

対象となる読者(INTENDED AUDIENCE)

本説明書は、デバイスの植込みやフォローアップ手順の訓練を受けたまたは経験のある医療従事者用である。

この除細動機能なし植込み型両心室ペーシングパルスジェネレータ(CRT-P)の製品群は、心房および心室のペーシングとセンシング、心臓再同期療法(CRT)のほか、さまざまな診断を行う。

ZOOMVIEW ソフトウェアと関連して用いられる医師用テクニカルマニュアルは、パルスジェネレータの植込みに も重要な情報を提供することを目的とする。本リファレンスガイドでは、プログラム可能な機能および診断に関する詳細について説明する。

これらの文書は以下のページからダウンロードできる。www.bostonscientific-international.com/manuals

新規の機能と強化された機能(New or Enhanced Features)

これらのパルスジェネレータには、従来の弊社植込み型両心室ペーシングパルスジェネレータに対し、 新たに追加または強化された機能が含まれている。

以下のリストは、これらの機能の代表的な例を示したもので、包括的なリストではない。各機能の詳細については、本書に記載した機能別の説明を参照すること。

以下に記載する新規の機能または強化された機能は、VALITUDE に関するものである。

ユーザエクスペリエンス(User Experience)

• ポート識別子付き EasyView ヘッダ: ヘッダの可視性が向上した設計により、リード接続口が見やすくなり、容易に各接続口が識別できる。

• MICS Telemetry (MICS テレメトリ): 使用する RF テレメトリ帯は MICS(体内植込型医療用データ伝送)である。

徐脈治療(Brady Therapy)

• LV Quadripolar Devices (LV 4 極装置): IS4 左心室リードに対応する装置の場合は、17 のペーシング構成と 8 つのセンシング構成を使用できる。

患者の診断情報(Patient Diagnostics)

• 日常測定のためのプログラム可能な上限および下限リードインピーダンス: High Impedance Limit (上限インピーダンス)は 2000~3000Ωの範囲、Low Impedance Limit (下限インピーダンス)は200~500Ωの範囲でプログラム可能である。

• Snapshot (スナップショット): Snapshot ボタンを押して、あらゆる時点の ECG/EGM 表示の波形を大 6 個まで保存することができる。作動前 10 秒間および作動後 2 秒間の波形が保存される。

Pace Threshold (ペーシング閾値)テストの終了時に 10 秒間の波形が自動的に保存され、これも 6 個のスナップショットの 1 つと見なされる。

以下は、Boston Scientific またはその系列会社の商標である。EASYVIEW, INVIVE, LATITUDE, PaceSafe, QUICK NOTES, Safety Core, Smart Blanking, SmartDelay, VALITUDE, ZIP, ZOOM, ZOOMVIEW

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• Atrial Arrhythmia Report (心房性不整脈レポート):AT/AFのパーセント値(%)およびAT/AFのTotal Time (合計時間)カウンタを利用できる。AT/AF Burden (AT/AF 負荷)、RV Rate during AT/AF (AT/AF 中の RV レート)、Pacing Percent (ペーシング比率)、Heart Rate (心拍数)、Activity Level (活動レベル)、Respiratory Rate Trend (呼吸数トレンド)が示される。RV Rate during AT/AF についてはヒストグラムも利用できる。イントロゲーション、プログラミング、およびカウンタリセットの履歴は 1 年間収集される。Longest AT/AF ( 長 AT/AF)、Fastest RVS rate in AT/AF (AT/AF 中の速 RVS レート)、および直近エピソード情報も収集される。

• Post-Operative System Test (POST) (術後システムテスト): 事前に設定した植込み後の時点でデバイス/リードの自動チェックを実施し、システムテストを手動で実施することなく、システムが適切に機能していることを記録できる。

以下に記載する新規の機能または強化された機能は、INVIVE に関するものである。

ユーザエクスペリエンス(User Experience)

• ハードウェア: セットスクリューの数を減らし、ポートあたり 1 個にした。

• ZOOMVIEW プログラマソフトウェア: 弊社の徐脈用、頻拍用、および心不全用の装置全般にわたり一貫して新しいユーザインタフェースが使用されている。

• Indications-Based Programming (IBP) (適応に基づく設定): 患者の臨床的必要性と適応疾患に基づいてプログラミングパラメータを設定できる。

• USB 保存用デバイスをサポート: パルスジェネレータのデータは USB ペンドライブに保存および転送できる。

• レポートを PDF で作成できる。

頻拍検出(Tachy Detection)

• Ventricular Tachy EGM Storage (心室頻拍 EGM 保存)では、V>A 検出強化機能などの ICD ベースの頻拍検出方式が活用されている。

徐脈治療(Brady Therapy)

• 恒久的な非同期ぺーシングモードなどの新しい徐脈モードが利用可能になっている。

• PaceSafe RV Automatic Threshold (PaceSafe 右心室自動閾値): 21 時間ごとに心室閾値テストを自動的に実行し、2:1 の出力安全マージンを設定する。

• SmartDelay (スマートディレイ): 自己房室間隔の測定値を基にAV Delay (AVディレイ)の推奨値の設定をカスタマイズできる。

• Safety Core (セイフティコア): 回復不可能なエラー、または反復的なエラーが生じた場合に、安全構造を使用して基本的なペーシングを提供する。

• Electrocautery Protection (電気手術器からの保護): LRL で非同期ぺーシングを作動する。

感知(Sensing)

• Automatic gain control (AGC) (オートゲインコントロール): 心房および心室の両方で感度を動的に調節する。

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• Smart Blanking (スマートブランキング): 適切なクロスチャンバセンシングを促進する目的で、AGCセンシングと組み合わせて使用する。

患者の診断情報(Patient Diagnostics)

• 日常測定のためのプログラム可能な上限および下限リードインピーダンス: Low Impedance Limit (下限インピーダンス)は 200~500Ωの範囲でプログラムできる。

• Snapshot (スナップショット): Snapshot ボタンを押して、あらゆる時点の ECG/EGM 表示の波形を大 6 個まで保存することができる。作動前 10 秒間および作動後 2 秒間の波形が保存される。

Pace Threshold (ペーシング閾値)テストの終了時に 10 秒間の波形が自動的に保存され、これも 6 個のスナップショットの 1 つと見なされる。

• AT/AF の Total Time (合計時間)カウンタを利用できる。

• Trends (トレンド): 次のようなトレンドの拡張セットを提供する。

‒ Respiratory Rate (呼吸数)

‒ AP Scan (AP スキャン)

‒ AT/AF Burden (AT/AF 負荷) (エピソードの総数を含む)

‒ Events (イベント)

• Average V Rate in ATR (ATR時の平均Vレート): ATRエピソード中の平均心室レートを提供する。

• Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック): 利用可能なデータ記憶容量を増やして、各エピソードタイプにメモリを割り当てる。

• Lead Safety Switch (リードセイフティスイッチ): 診断情報を提供して、日付と LSS の原因となったインピーダンス値を示す。

本マニュアルに記載されている説明は、特に記載がない限りすべての装置に適用される。4 極装置以外の装置名に対する記述については、対応する 4 極装置にも適用される。「ICD」と記載されている場合はICD の全種類(ICD、CRT-D、S-ICD など)を含むものとする。

本書では、通常画面のレイアウトに慣れるため画面図を掲載している。パルスジェネレータをイントロゲートまたはプログラムするときに表示される実際の画面は、モデルやプログラムパラメータによって異なる。

LATITUDE NXT は医師にパルスジェネレータのデータを提供する遠隔監視システムである。これらのパルスジェネレータは LATITUDE NXT 対応設計である。

LATITUDE NXT は VALITUDE、および INVIVE で使用可能である。

付録にプログラム選択項目の全リストを示す("プログラム選択項目(PROGRAMMABLE OPTIONS)")。パルスジェネレータをイントロゲートまたはプログラムするときに表示される実際の数値は、モデルやプログラムパラメータによって異なる。

本書では以下の表記を使用する。

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PRM キー Programmer/Recorder/Monitor (プログラマ、PRM)キーの名称は大文字で表記している(例: PROGRAM、INTERROGATE)。

1., 2., 3. 規定の順序に従うべき指示には番号付きのリストを使用する。 • 黒丸を付したリストは、その内容が連続して起きるものでない場合に使用する。

本リファレンスガイドでは以下の頭字語を使用する。 A Atrial (心房) ABM Autonomic Balance Monitor (自律神経バランスモニタ) AF Atrial Fibrillation (心房細動) AFR Atrial Flutter Response (心房粗動応答) AGC Automatic Gain Control (オートゲインコントロール) APP Atrial Pacing Preference (心房ペーシングの優先) AT Atrial Tachycardia (心房頻拍) ATP Antitachycardia Pacing (抗頻拍ペーシング) ATR 心房頻拍応答(Atrial Tachy Response) AV Atrioventricular (房室) BiV Biventricular (両心室) BPEG British Pacing and Electrophysiology Group (イギリスペーシング電気生理学研究グループ) BTR Brady Tachy Response (徐脈頻拍応答) CHF Congestive Heart Failure (うっ血性心不全) CPR Cardiopulmonary Resuscitation (心肺蘇生法) CRT Cardiac Resynchronization Therapy (心臓再同期療法) CRT-D Cardiac Resynchronization Therapy Defibrillator (心臓再同期療法除細動器) CRT-P Cardiac Resynchronization Therapy Pacemaker (除細動機能なし植込み型両心室ペーシ

ングパルスジェネレータ) EAS Electronic Article Surveillance (電子商品監視装置) ECG Electrocardiogram (心電図) EF Ejection Fraction (駆出率) EGM Electrogram (電位図) EMI Electromagnetic Interference (電磁障害) EP Electrophysiology、Electrophysiologic (電気生理学) HRV Heart Rate Variability (心拍数変動) IBP Indications-Based Programming (適応に基づく設定) IC Industry Canada (カナダ産業省) ICD Implantable Cardioverter Defibrillator (植込み型除細動器) LRL Lower Rate Limit (下限レート) LV Left Ventricular (左心室) LVPP Left Ventricular Protection Period (左心室保護期間) LVRP Left Ventricular Refractory Period (左心室不応期) MI Myocardial Infarction (心筋梗塞) MICS Medical Implant Communication Service (体内植込型医療用データ伝送) MPR Maximum Pacing Rate ( 大ペーシングレート) MRI Magnetic Resonance Imaging (磁気共鳴画像法) MSR Maximum Sensor Rate ( 大センサレート) MTR Maximum Tracking Rate ( 大トラッキングレート) NASPE North American Society of Pacing and Electrophysiology (北米ペーシング電気生理学会) NSR Normal Sinus Rhythm (正常洞調律) NSVT Nonsustained Ventricular Tachycardia (非持続性心室頻拍) PAC Premature Atrial Contraction (心房性期外収縮) PAT Paroxysmal Atrial Tachycardia (発作性心房頻拍) PES Programmed Electrical Stimulation (プログラム電気刺激) PMT Pacemaker-Mediated Tachycardia (ペースメーカ起因性頻拍) POST Post-Operative System Test (術後システムテスト) PRM Programmer/Recorder/Monitor (プログラマ) PSA Pacing System Analyzer (ペーシングシステムアナライザ) PTM Patient Triggered Monitor (患者が始動するモニタ) PVARP Post-Ventricular Atrial Refractory Period (心室後心房不応期) PVC Premature Ventricular Contraction (心室性期外収縮)

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RADAR Radio Detection and Ranging (電波探知機、レーダー) RF Radio Frequency (無線) RRT Respiratory Rate Trend (呼吸数トレンド) RTTE Radio and Telecommunications Terminal Equipment (無線機器および電気通信端末機器) RV Right Ventricular (右心室) RVAT Right Ventricular Automatic Threshold (右心室自動閾値) RVRP Right Ventricular Refractory Period (右心室不応期) SBR Sudden Bradycardia Response (急激徐脈応答) SCD Sudden Cardiac Death (心臓突然死) SDANN Standard Deviation of Averaged Normal-to-Normal R-R intervals (平均された正常な R-R

間隔の標準偏差) S-ICD Subcutaneous Implantable Cardioverter Defibrillator (皮下植込み型除細動器) SVT Supraventricular Tachycardia (上室性頻拍) TARP Total Atrial Refractory Period (総心房不応期) TENS Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation (経皮的電気刺激装置) V Ventricular (心室) VF Ventricular Fibrillation (心室細動) VRP Ventricular Refractory Period (心室不応期) VRR Ventricular Rate Regulation (心室レート制御) VT Ventricular Tachycardia (心室頻拍)

本マニュアルは、英語版マニュアルを邦訳した取扱説明書です。製品に同梱されている添付文書が本邦における関連法規上の正式な文書となります。スペースの制約上、添付文書では詳細な取扱方法等を網羅できない等のため、製品をご使用になる前には本マニュアルをご熟読いただきますようお願い申し上げます。

本マニュアル内の注意事項に反して使用された場合には、弊社は製造責任その他の法的責任を負えなくなる場合があります。

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目次

プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) ........................................................... 1-1 第 1 章 ZOOM LATITUDEプログラミングシステム(ZOOM LATITUDE Programming System) ................................................. 1-2 ソフトウェアの用語とナビゲーション(Software Terminology and Navigation) ................................................................. 1-2

メイン画面(Main Screen) ...................................................................................................................................... 1-2 プログラマモードインジケータ(PRM Mode Indicator) ............................................................................................. 1-3 ECG/EGM表示(ECG/EGM Display) .................................................................................................................... 1-3 ツールバー(Toolbar) ............................................................................................................................................. 1-4 タブ(Tabs) ............................................................................................................................................................ 1-5 ボタン(Buttons) .................................................................................................................................................... 1-5 アイコン(Icons) ..................................................................................................................................................... 1-5 共通オブジェクト(Common Objects) ..................................................................................................................... 1-7 色使い(Use of Color) ........................................................................................................................................... 1-7

デモモード(Demonstration Mode) ................................................................................................................................ 1-7 パルスジェネレータとの交信(Communicating with the Pulse Generator) ..................................................................... 1-8

ZIPテレメトリ(ZIP Telemetry) ................................................................................................................................ 1-8 ワンドを使用したテレメトリセッションの開始(Starting a Wanded Telemetry Session) ............................................. 1-9 ZIPテレメトリセッションの開始(Starting a ZIP Telemetry Session) ......................................................................... 1-9 テレメトリセッションの終了(Ending a Telemetry Session) ...................................................................................... 1-9 ZIPテレメトリのセキュリティ(ZIP Telemetry Security) ............................................................................................. 1-9

適応に基づく設定(Indications-Based Programming (IBP)) ........................................................................................ 1-11 マニュアルプログラミング(Manual programming) ........................................................................................................ 1-13 治療の中止(DIVERT THERAPY)............................................................................................................................... 1-13 緊急用ペース(STAT PACE) ....................................................................................................................................... 1-14 データ管理(Data Management) ................................................................................................................................. 1-14

患者の情報(Patient Information) ........................................................................................................................ 1-14 データ保存(Data Storage) .................................................................................................................................. 1-15 デバイスメモリ(Device Memory) ......................................................................................................................... 1-16 印刷(Print) ......................................................................................................................................................... 1-16

セイフティモード(Safety Mode) ................................................................................................................................... 1-16 バックアップ用ペースメーカ(Backup Pacemaker) ................................................................................................ 1-16

ペーシング治療(PACING THERAPIES) ...................................................................................................................... 2-1 第 2 章 ペーシング治療(Pacing therapies) ............................................................................................................................... 2-2 デバイスのモード(Device Modes) ................................................................................................................................. 2-2

Electrocautery Protection (電気手術器からの保護)モード .................................................................................... 2-3 プログラミングの推奨事項(Device Programming Recommendations) ......................................................................... 2-3 CRTの維持(Maintaining CRT) ..................................................................................................................................... 2-5 基本パラメータ(Basic Parameters) ............................................................................................................................... 2-6

Brady (徐脈)モード(Brady Mode) ......................................................................................................................... 2-7 下限レート(Lower Rate Limit (LRL)) ................................................................................................................... 2-10

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大トラッキングレート(Maximum Tracking Rate (MTR)) .................................................................................... 2-10 大センサレート(Maximum Sensor Rate (MSR)) .............................................................................................. 2-12

ランナウェイ保護回路(Runaway Protection) ....................................................................................................... 2-13 心室ペーシング部位(Ventricular Pacing Chamber) ............................................................................................ 2-13 パルス幅(Pulse Width) ....................................................................................................................................... 2-14 振幅(Amplitude) ................................................................................................................................................. 2-15 PaceSafe ........................................................................................................................................................... 2-15 感度(Sensitivity) ................................................................................................................................................ 2-23

一時的徐脈ペーシング(Temporary Brady Pacing) ..................................................................................................... 2-27 レートアダプティブペーシングおよびセンサトレンディング(Rate Adaptive Pacing and Sensor Trending) ...................... 2-28

レートアダプティブペーシング(Rate Adaptive Pacing) .......................................................................................... 2-28 加速度センサ(Accelerometer) ............................................................................................................................ 2-28 センサトレンディング(Sensor Trending) ............................................................................................................... 2-33

心房頻拍応答(Atrial Tachy Response) ...................................................................................................................... 2-35 ATRモードスイッチ(ATR Mode Switch) ............................................................................................................... 2-35 心室レート制御(Ventricular Rate Regulation (VRR)) .......................................................................................... 2-38 両心室トリガ(Biventricular Trigger) ..................................................................................................................... 2-39 心房粗動応答(Atrial Flutter Response (AFR)) ................................................................................................... 2-39 PMTの停止(PMT Termination) .......................................................................................................................... 2-40 心房ペーシングの優先とProACt (Atrial Pacing Preference (APP) and ProACt) ................................................. 2-42

レートの強化(Rate Enhancements) ........................................................................................................................... 2-43 トラッキングの優先(Tracking Preference) ........................................................................................................... 2-43 レートヒステリシス(Rate Hysteresis) ................................................................................................................... 2-44 レートスムージング(Rate Smoothing) ................................................................................................................. 2-45 デュアルチャンバトラッキングモードのレートスムージングの例(Rate Smoothing Example Based on a Dual-Chamber Tracking Mode) ...................................................................................................................... 2-47 急激徐脈応答(Sudden Brady Response (SBR)) ............................................................................................... 2-48

リード極性(Lead Configuration) ................................................................................................................................. 2-50 心房情報の利用(Use of Atrial Information) ........................................................................................................ 2-51 左心室電極構成(Left Ventricular Electrode Configuration) ................................................................................ 2-52 リードセイフティスイッチ(Lead Safety Switch)...................................................................................................... 2-55

AVディレイ(AV Delay) ................................................................................................................................................ 2-56 ペース後AVディレイ(Paced AV Delay) ................................................................................................................ 2-57 センス後AV ディレイ(Sensed AV Delay) ............................................................................................................. 2-58 スマートディレイオプティマイゼーション(SmartDelay Optimization) ...................................................................... 2-59

不応期(Refractory) .................................................................................................................................................... 2-61 心房不応期 ― PVARP (A-Refractory - PVARP) ............................................................................................... 2-62 心房不応期 ― 同一チャンバ(A Refractory - same chamber) ............................................................................ 2-64 右心室不応期(RV-Refractory (RVRP)) .............................................................................................................. 2-64 左心室不応期(LV-Refractory (LVRP)) ................................................................................................................ 2-65 左心室保護期間(Left Ventricular Protection Period (LVPP)) .............................................................................. 2-65 クロスチャンバブランキング(Cross-Chamber Blanking) ...................................................................................... 2-66

ノイズレスポンス(NOISE RESPONSE) ...................................................................................................................... 2-71

システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) ................................................................................................................. 3-1 第 3 章 Summary (サマリ)ダイアログ(Summary Dialog) ........................................................................................................... 3-2 電池の状態(Battery Status) ......................................................................................................................................... 3-2

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リードのステータス(Leads Status) ................................................................................................................................ 3-6 術後システムテスト(POST) (Post-Operative System Test (POST)) ........................................................................... 3-10 リードテスト(Lead Tests) ............................................................................................................................................. 3-10

自己振幅テスト(Intrinsic Amplitude Test) ............................................................................................................ 3-11 リードインピーダンステスト(Lead Impedance Test) .............................................................................................. 3-11 ペーシング閾値テスト(Pace Threshold Test) ....................................................................................................... 3-12

患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) ................................................ 4-1 第 4 章 治療歴(Therapy History) ............................................................................................................................................. 4-2 不整脈ログブック(Arrhythmia Logbook) ....................................................................................................................... 4-2 スナップショット(Snapshot) ........................................................................................................................................... 4-8 ヒストグラム(Histograms) ............................................................................................................................................. 4-9 カウンタ(Counters) ....................................................................................................................................................... 4-9

心室頻拍カウンタ(Ventricular Tachy Counters) .................................................................................................... 4-9 徐脈/CRT カウンタ(Brady/CRT Counters)....................................................................................................... 4-10

心拍数変動(HRV) (Heart Rate Variability (HRV)) ...................................................................................................... 4-10 トレンド(Trends) ......................................................................................................................................................... 4-13 植込み後の機能(Post Implant Features) ................................................................................................................... 4-18

患者が始動するモニタ(PTM) (Patient Triggered Monitor (PTM)) ........................................................................ 4-18 マグネット機能(Magnet Feature) ........................................................................................................................ 4-20

電気生理学的検査(ELECTROPHYSIOLOGIC TESTING) .......................................................................................... 5-1 第 5 章 電気生理学的検査機能(EP Test Features) .................................................................................................................. 5-2

EPテスト画面(EP Test Screen) ............................................................................................................................ 5-2 誘発方法(Induction Methods) ...................................................................................................................................... 5-3

心房EPテスト中のバックアップ心室ペーシング(Backup Ventricular Pacing During Atrial EP Testing) ................... 5-3 プログラム電気刺激(PES) (Programmed Electrical Stimulation).......................................................................... 5-3 マニュアルバーストペーシング(Manual Burst Pacing) ........................................................................................... 5-4

プログラム選択項目(PROGRAMMABLE OPTIONS) .................................................................................................. 5-1 付録 A

医療機器の図記号(SYMBOLS ON PACKAGING) ..................................................................................................... B-1 付録 B 医療機器の図記号(Symbols on Packaging) ................................................................................................................ B-1

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1-1

プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) 第 1 章

本章では、以下の項目について説明されている。

• "ZOOM LATITUDE プログラミングシステム(ZOOM LATITUDE Programming System)" ページ 1-2

• "ソフトウェアの用語とナビゲーション(Software Terminology and Navigation)"ページ 1-2

• "デモモード(Demonstration Mode)"ページ 1-7

• "パルスジェネレータとの交信(Communicating with the Pulse Generator)"ページ 1-8

• "適応に基づく設定 (IBP) (Indications-Based Programming (IBP))"ページ 1-13

• "マニュアルプログラミング(Manual Programming)"ページ 1-15

• "治療の中止(DIVERT THERAPY)"ページ 1-15

• "緊急用ペース(STAT PACE)"ページ 1-16

• "データ管理(Data Management)"ページ 1-16

• "Safety (セイフティ)モード(Safety Mode)"ページ 1-18

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1-2 プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) ZOOM LATITUDE プログラミングシステム(ZOOM LATITUDE PROGRAMMING SYSTEM)

ZOOM LATITUDE プログラミングシステム(ZOOM LATITUDE PROGRAMMING SYSTEM)

ZOOM LATITUDE プログラミングシステムはパルスジェネレータと併用する外部機器であり、以下のものが含まれる。

• Model 3120 Programmer/Recorder/Monitor (プログラマ、PRM)

• Model 3140 ZOOM ワイヤレストランスミッタ

• Model 2869 ZOOMVIEW ソフトウェアアプリケーション

• Model 6577 テレメトリワンド

ZOOMVIEW ソフトウェアにより、高度な装置のプログラミングと患者のモニタリングが可能になる。ZOOMVIEW ソフトウェアは以下の目的で設計されたものである。

• 本装置のプログラミング能力を強化する。

• 患者と本装置のモニタリング性能を向上させる。

• プログラミングとモニタリングを単純かつ迅速に行えるようにする。

PRM システムを使用すると次のことができる。

• パルスジェネレータをイントロゲートする。

• パルスジェネレータのプログラムによりさまざまな治療オプションを提供する。

• パルスジェネレータの診断機能にアクセスする。

• 非侵襲的診断検査を行う。

• 治療履歴データにアクセスする。

• どの画面からでも ECG/EGM 表示の 12 秒間の波形を記録する。

• パルスジェネレータなしで双方向的なデモモードまたは患者データモードにアクセスする。

• パルスジェネレータの治療オプションおよび治療履歴データを含む患者データを印刷する。

• 患者データを保存する。

パルスジェネレータは次のいずれかの方法でプログラムすることができる。IBP を使用して自動的にプログラムする、または手動でプログラムする。

PRM または ZOOM ワイヤレストランスミッタの使用に関する詳細は、PRM のオペレーターズマニュアルまたは ZOOM ワイヤレストランスミッタのリファレンスガイドを参照すること。

ソフトウェアの用語とナビゲーション(SOFTWARE TERMINOLOGY AND NAVIGATION)

本項では PRM システムの概要を説明する。

メイン画面(Main Screen)

以下に PRM のメイン画面と構成要素の詳細を示す(図 1-1)。

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プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) ソフトウェアの用語とナビゲーション(SOFTWARE TERMINOLOGY AND NAVIGATION)

1-3

図 1-1. メイン画面(Main Screen)

プログラマモードインジケータ(PRM Mode Indicator)

画面上部の PRM Mode Indicator (プログラマモードインジケータ)に現在のプログラマのモードが表示される。

Patient (患者)—プログラマには本装置との交信によって得られたデータが表示されている。

Patient Data (患者データ)—プログラマには保存された患者データが表示されている。

Demo Mode (デモモード)—PRM はサンプルデータを表示し、デモモードで作動して いる。

ECG/EGM表示(ECG/EGM Display)

画面の ECG の領域にはシステムの性能を評価する際に有用な患者とパルスジェネレータの状態に関するリアルタイムの情報が表示される。次のタイプの波形を選択することができる。

• 体表 ECG は PRM に接続された体表リード電極から伝送され、パルスジェネレータをイントロゲートせずに表示することができる。

患者名 装置のモデル名PRM Mode Indicator (プログラマモードインジケータ)

ツールバー

タブ

ECG/EGM表示

装置のモデル番号

詳細ボタン

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1-4 プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) ソフトウェアの用語とナビゲーション(SOFTWARE TERMINOLOGY AND NAVIGATION)

• ペース/センス電極から伝送されたリアルタイム EGM はリードシステムの完全性を評価するために利用されることが多く、リードの破損、絶縁被覆の破れあるいはリードの移動など故障を確認するのに有用である。

リアルタイム EGM はパルスジェネレータをイントロゲートしたときにのみ表示することができる。ZIP テレメトリまたはワンドを使用したテレメトリに依存するため、RF 干渉の影響を受けやすい。著しい干渉によってリアルタイムEGMの中断または脱落が生じることがある("ZIPテレメトリのセキュリティ(ZIP Telemetry Security)")。

• いずれの画面からでもSnapshot (スナップショット)ボタンを押してあらゆる時点のECG/EGM表示の 12 秒間の波形を保存することができる。

注記: PRMが 15分間(情報読み込み時にパルスジェネレータがStorage (保管)モードの場合は 28分間)アイドル状態に置かれると、リアルタイムEGMの電源が切れる。PRMが表示するダイアログボックスでリアルタイム EGM を復帰させることができる。

注記: 左心室のリアルタイム EGM は、どの LV センシングの構成でも利用できる。

注記: テレメトリ干渉が見られる場合には、リアルタイム心内 EGM の波形およびマーカとリアルタイム体表 ECG の波形の位置がずれることがある。テレメトリリンクが改善されれば、心臓内 EGM の波形を選択し直すと再び初期化される。

Details(詳細)ボタンを選択して、ECG/EGM 画面を適度な大きさに拡大する。以下の選択項目が利用できる。

• Show Device Markers (本体のマーカを表示)—自己の心臓イベントおよび装置起因性イベントを検出し、センシング/ペーシングイベントなどの情報を示す注釈付イベントマーカを表示する。

• Enable Surface Filter (体表フィルタを有効)—体表 ECG のノイズを 小限にする。

• Display Pacing Spikes (ペーシングスパイクを表示)—検出されたペーシングスパイクと体表 ECG波形に注釈付マーカを表示する。

• Trace speed (走査速度)—走査速度を調整する(0、25 または 50mm/s)。速度を上げると、水平目盛りの時間が拡大する。

• Gain (ゲイン)—各チャネルの振幅/垂直目盛りを調整する(Auto (自動)、1、2、5、10 または20mm/mV)。ゲインが増加すると、信号の振幅が拡大する。

以下のステップにより注釈付イベントマーカの付いたリアルタイム EGM を印刷することができる。

1. PRM の印刷速度キーを 1 つ押す(例えば、速度キー25)。

2. 速度キー0 (ゼロ)を押すと印刷が中止される。

3. 紙送りキーを押すと 後に印刷された用紙が排出される。

EGMの印刷中に校正キーを押すと、注釈付マーカの定義を印刷することができる。以下のステップによりすべての注釈付マーカの解釈が記載されたレポートを印刷することもできる。

1. ツールバーの Reports (レポート)ボタンをクリックする。Reports ウィンドウが表示される。

2. Marker Legend (マーカの説明)チェックボックスを選択する。

3. Print (印刷)ボタンをクリックする。プリンタに Marker Legend Report (マーカ説明レポート)が送られる。

ツールバー(Toolbar)

ツールバーでは次の操作が実行できる。

• システムユーティリティの選択

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プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) ソフトウェアの用語とナビゲーション(SOFTWARE TERMINOLOGY AND NAVIGATION)

1-5

• レポートの作成

• パルスジェネレータのイントロゲーションとプログラミング

• プログラム中またはプログラム済みの変更の確認

• 注意警告事項の確認

• PRM セッションの終了

タブ(Tabs)

タブでは要約データの確認、装置の設定など PRM の作業を選択することができる。タブを選択すると、 関連する画面が表示される。画面の多くはさらにタブがあり、詳細な設定や情報を確認することができる。

ボタン(Buttons)

アプリケーション全体で画面とダイアログにはボタンがある。ボタンでは次のような作業を行うことが できる。

• 詳細な情報を得る。

• 設定の詳細を確認する。

• プログラマブル数値を設定する。

• 初期値をロードする。

ボタンを選択してメイン画面の前にウィンドウが開くと、ウィンドウの右上に Close (閉じる)ボタンが表示される。このボタンを押すとウィンドウを閉じたり、メイン画面に戻ったりすることができる。

アイコン(Icons)

アイコンを選択すると、作業が開始し、一覧またはオプションが表示され、あるいは表示された情報が変更される。

Details (詳細)—詳細な情報を表示するウィンドウが開く。

Patient (患者)—患者の詳細な情報を表示するウィンドウが開く。

Leads (リード)—リードの詳細を表示するウィンドウが開く。

Battery (電池)—パルスジェネレータの電池の詳細を表示するウィンドウが開く。

Check (選択済み)—オプションが選択されていることを示す。

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1-6 プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) ソフトウェアの用語とナビゲーション(SOFTWARE TERMINOLOGY AND NAVIGATION)

Event (イベント)—イベントが発生したことを示す。Events (イベント)タブで Trends (トレンド)の時系列を見ると、イベントがどこで発生してもイベントアイコンが表示される。 イベントアイコンを選択すると、該当するイベントの詳細が表示される。

Information (情報)—参考用として表示されている情報であることを示す。

アクションアイコン

Run (実行)—プログラマが操作を実行する。

Hold (保留)—プログラマが操作を一時停止する。

Continue (継続)—プログラマが操作を継続する。

Snapshot (スナップショット)—いずれの画面からでも、プログラマがECG/EGM表示の12 秒間の波形を保存する。

POST Complete (POST 完了)—Reports (レポート)ウィンドウが開き、Quick Notes (クイックノート)またはFollow-Up (フォローアップ)レポートにPOST情報を印刷できる。

スライダアイコン

水平スライダ—スライダオブジェクトをクリックし、左右にドラッグできることを示す。

垂直スライダ—スライダオブジェクトをクリックし、上下にドラッグできることを示す。

並べ替えアイコン

Sort Ascending (昇順で並べ替え)—テーブルカラムの並べ替えボタンが Ascending sort (昇順並べ替え)に選択されていることを示す。(例: 1、2、3、4、5)

Sort Descending (降順で並べ替え )—テーブルカラムの並べ替えボタンがDescending sort (降順並べ替え)に選択されていることを示す。(例: 5、4、3、2、1)

Increment (増加)および Decrement (減少)アイコン

Increment (増加)—値が増やせることを示す。

Decrement (減少)—値が減らせることを示す。

スクロールアイコン

Scroll Left (左にスクロール)—左にスクロールできることを示す。

Scroll Right (右にスクロール)—右にスクロールできることを示す。

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プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) デモモード(DEMONSTRATION MODE)

1-7

Scroll Up (上にスクロール)—上にスクロールできることを示す。

Scroll Down (下にスクロール)—下にスクロールできることを示す。

共通オブジェクト(Common Objects)

ステータスバー、スクロールバー、メニュー、ダイアログなどの共通オブジェクトは、アプリケーション全体で使用する。これらの機能は、ウェブブラウザなどのコンピュータアプリケーションのオブジェクトと同じである。

色使い(Use of Color)

ボタン、アイコン、その他のオブジェクトのほか、特定のタイプの情報が色と記号で強調表示されている。ユーザエクスペリエンスの一貫性を高め、プログラミングを単純化するため、使用する色と記号が規定されている。PRM 画面で色と記号がどのように使用されているかについては下表を参照すること (表 1-1)。

表 1-1. PRM の色の規定

色 意味 例 記号

赤色 警告状態を示す。 選択したパラメータ値は許容範囲を超えている。赤色の警告ボタンをクリックすると、修正方法に関する情報が記載されたParameter Interactions (パラメータの相互干渉)画面が開く。

装置および患者の診断情報を慎重に考慮する必要がある。

黄色 要注意状態を示す。 選択したパラメータ値は許容範囲内にあるが推奨値ではない。黄色の要注意ボタンをクリックすると、修正方法に関する情報が記載された Parameter Interactions (パラメータの相互干渉)画面が開く。

装置および患者の診断情報に注意を要する項目がある。

緑色 許容できる変更または状態を 示す。

選択したパラメータ値は許容範囲内にあるが、保留中である。

装置または患者の診断情報に注意を要するものはない。

白色 現在プログラムされている値を示す。

デモモード(DEMONSTRATION MODE)

PRM にはデモモードがあり、PRM を自己学習ツールとして使用することができる。このモードを選択すると、パルスジェネレータをイントロゲートすることなく PRM 画面のナビゲーションを練習することができる。デモモードを使うと、パルスジェネレータをイントロゲートまたはプログラムするときに表示される画面の順番を習熟することができる。デモモードを使用して、利用できる機能、パラメータ、情報を調べることもできる。

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1-8 プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) パルスジェネレータとの交信(COMMUNICATING WITH THE PULSE GENERATOR)

デモモードにアクセスするには、Select PG (パルスジェネレータを選択)画面で目的の PG を選択し、Select PG Mode (パルスジェネレータのモードを選択)ダイアログで Demo (デモ)を選択する。PRM がデモモードで作動している場合には、PRM Mode Indicator (プログラマモードインジケータ)に Demo Mode (デモモード)アイコンが表示される。PRM がデモモードのときにパルスジェネレータをプログラムすることはできない。デモモードを終了してからパルスジェネレータをイントロゲートまたはプログラムする。

パルスジェネレータとの交信(COMMUNICATING WITH THE PULSE GENERATOR)

PRM はテレメトリワンドを利用してパルスジェネレータと交信する。

PRM はワンドによる交信を開始した後、ワンドを使用しない ZIP テレメトリ(双方向 RF 交信)によって一部のパルスジェネレータモデルとインタフェースをとることができる。

次の場合にはテレメトリが必要になる。

• 次のような PRM システムからのコマンドを指令する。

‒ INTERROGATE (イントロゲート)

‒ PROGRAM (プログラム)

‒ STAT PACE (緊急用ペース)

‒ DIVERT THERAPY (治療の中止)

• パラメータ設定値を変更する。

• EP テストを実施する。

• 次のような診断テストを実施する。

‒ ペーシングインピーダンステスト

‒ ペーシング閾値テスト

‒ 自己振幅のテスト

ZIPテレメトリ(ZIP Telemetry)

ZIP テレメトリは VALITUDE で利用でき、送信周波数 402~405MHz で作動する。

ZIP テレメトリは、ワンドを使用しない双方向 RF 交信の方法で、PRM システムと RF 対応パルスジェネレータとの交信を可能にする。

• VALITUDEについては、ZOOMワイヤレストランスミッタをPRMに接続することでRF交信が有効になる。交信を開始する際には、ワンドを使用したテレメトリが必要になる。ZIP テレメトリを使用する準備ができると、ワンドを外してもよい旨を示すメッセージが PRM に表示される。それ以外の場合は、ワンドを使用したテレメトリが継続する。

ZIP テレメトリには、従来のワンドを使用したテレメトリに対し、次のような利点がある。

• データ伝送速度が速く、装置のイントロゲーションに要する時間が短い。

• 長距離(3m (10ft)以内)のデータ伝送により、植込み時にワンドを清潔野におく必要性が 小限になり、感染のリスクが軽減される。

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プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) パルスジェネレータとの交信(COMMUNICATING WITH THE PULSE GENERATOR)

1-9

• 植込み中はテレメトリ交信を継続することが可能であり、植込み中にパルスジェネレータの性能とリードの完全性をモニタリングすることができる。

• 装置を患者に合わせてプログラムしている間に、医師は手術処置を続行できる。

ZIP テレメトリの使用にかかわらず、ワンドを使用した交信も可能である。

ワンドを使用したテレメトリセッションの開始(Starting a Wanded Telemetry Session)

この手順に従って、ワンドを使用したテレメトリ交信セッションを開始する。

1. テレメトリワンドが PRM システムに接続され、セッションを通じて使用できることを確認する。

2. ワンドをパルスジェネレータの上方 6cm 以内に置く。

3. PRM を使用してパルスジェネレータをイントロゲートする。

4. 交信が必要な間はワンドの位置を保持する。

ZIPテレメトリセッションの開始(Starting a ZIP Telemetry Session)

この手順に従って、ZIP テレメトリ交信セッションを開始する。

1. VALITUDE については、ZOOM ワイヤレストランスミッタが USB ケーブルによって PRM に接続されていること、およびトランスミッタ上部の緑色のランプが点灯していること(トランスミッタの使用準備が整っていることを示す)を確認する。

2. ワンドを使用したテレメトリセッションを開始する。必要な場合にワンドを使用したテレメトリが利用できるよう、ワンドのコードがパルスジェネレータから届く範囲にあることを確認する。

3. テレメトリワンドがパルスジェネレータの近くから外しても良いことを示すメッセージが現れるか、PRM システムの ZIP テレメトリ LED が点灯するまで、テレメトリワンドの位置を保持する。

テレメトリセッションの終了(Ending a Telemetry Session)

End Session (セッションの終了)ボタンを選択してテレメトリセッションを終了し、スタートアップ画面に戻る。セッションを終了するか現在のセッションに戻ることができる。セッションを終了したら、PRM システムはパルスジェネレータとの交信をすべて終了する。

ZIPテレメトリのセキュリティ(ZIP Telemetry Security)

以下に示す ZIP テレメトリのセキュリティ情報は、送信周波数 402~405MHz で作動する装置に適用される。

パルスジェネレータには規格に準拠した低電力トランシーバが含まれる。パルスジェネレータは独自のZIP テレメトリプロトコルを用いる RF 信号によってのみイントロゲートまたはプログラムすることができる。パルスジェネレータは ZOOMVIEW システムと交信していることを確認してから RF信号に応答する。パルスジェネレータは個別に識別できる患者状態の情報を暗号化された形式で保存、伝送し、受信する。

次の条件をすべて満たすと ZIP テレメトリが可能になる。

• PRM 用の ZIP テレメトリが有効になっている。

• ZOOM ワイヤレストランスミッタが USB ケーブルを介して PRM に接続されている。

• ZOOMワイヤレストランスミッタの上部にあるインジケータライトが緑色であり、トランスミッタを使用する準備ができていることを示している。

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1-10 プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) パルスジェネレータとの交信(COMMUNICATING WITH THE PULSE GENERATOR)

• パルスジェネレータが PRM システムの範囲内にある。

• パルスジェネレータがExplant (摘出)に達していない。パルスジェネレータがExplantに達した後は、1.5 時間の ZIP テレメトリが可能である。

• パルスジェネレータの電池容量が低下していない。

国内の通信に関する規則に準拠するため、パルスジェネレータが 20°C~45°C(68°F~113°F)の通常の作動温度の範囲外にあるときは ZIP テレメトリを使用してはならない。

別個のセッションとして、同時に複数の PRM とパルスジェネレータの間での交信がサポートされる。RF交信を使用する他のセッションからの信号や他の RF 源からの干渉により、ZIP テレメトリ交信の干渉または中断が生じる場合がある。

注意: パルスジェネレータのイントロゲーションまたはプログラミング中にパルスジェネレータの周波数に近い周波数で作動する装置からの RF 信号によって ZIP テレメトリが中断されることがある。この RF干渉は干渉している装置と PRM、パルスジェネレータの距離を離すことによって低減することができる。

RF 干渉により一時的に ZIP テレメトリ交信が中断されることがある。RF 干渉が終了するか弱まると、PRM は通常再び ZIP 交信を確立する。RF 干渉が継続すると ZIP テレメトリ交信が中断されることがあるため、本システムは ZIP テレメトリが利用できないときにワンドを使用したテレメトリを利用するよう設計されている。

干渉のために ZIP テレメトリを使用できない場合、または ZOOM ワイヤレストランスミッタが接続されていないか、適切に機能していない場合、PRM との間でのワンドを使用したテレメトリ交信を確立できる。システムは ZIP テレメトリが利用できない旨を示すため、次のようなフィードバックを行う。

• PRM の ZIP テレメトリ LED が消える。

• ZOOM ワイヤレストランスミッタの緑色のインジケータライトが消える。

• イベントマーカまたは EGM (あるいは両方)が有効になっている場合、イベントマーカまたは EGM (あるいは両方)の伝送が中断される。

• コマンドまたは他の操作が要求されている場合、PRM はワンドをパルスジェネレータから届く範囲に置く必要がある旨を示す通知を表示する。

ZIP テレメトリの作動はワンドを使用したテレメトリと一致している。パルスジェネレータがプログラミングコマンド全体を受信し、確認しない限り、プログラミングステップを完了することはできない。

パルスジェネレータは ZIP テレメトリの中断により誤ってプログラムされることはない。ZIP テレメトリは、パルスジェネレータの周波数に近い周波数で作動し、パルスジェネレータと PRM の ZIP テレメトリリンクと競合するほど強い RF 信号によって中断することがある。著しい干渉によってリアルタイム EGM の中断または脱落が生じることがある。コマンドが中断されると、PRM はワンドをパルスジェネレータ上に置くよう指示するメッセージを表示する。このメッセージが繰り返し表示される場合は、断続的な干渉が生じていることを示している場合がある。このような状況は、PRM に接続された ZOOM ワイヤレストランスミッタの位置を変更するか、または標準のワンドを使用したテレメトリを使用することにより解決できる。この間、装置の機能または治療が中断されることはない。

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プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) 適応に基づく設定(INDICATIONS-BASED PROGRAMMING (IBP))

1-11

注記: ZIP テレメトリとワンドを使用したテレメトリの両方が使用されている場合(例えば、干渉が生じているために ZIP からワンド使用に切り替える場合)、可能な場合は、パルスジェネレータは ZIP テレメトリによりプログラマと交信する。ワンドを使用したテレメトリのみが必要な場合は、すべてのテレメトリにおいてワンドを使用するように Communication Mode (交信モード) (Utilities (ユーティリティ)ボタンからアクセス)を設定すること。

注記: 電池の寿命を節約するため、連続して 1 時間(またはイントロゲーション時に装置が Storage (保管)モードであった場合は 73 分間)にわたってパルスジェネレータが PRM との交信を完全に失った場合、ZIP テレメトリセッションは終了する。この時間が経過した後には、ワンドを使用したテレメトリを使用してパルスジェネレータとの交信を再確立する必要がある。

干渉を軽減するために考慮すること(Considerations for Reducing Interference)

干渉信号の発生源からの距離を離すと、ZIP テレメトリチャンネルが使用できる場合がある。

ZOOM ワイヤレストランスミッタを再配置すると、ZIP テレメトリの性能が向上することがある。ZIP テレメトリの性能が満足のいくものでない場合、ワンドを使用したテレメトリのオプションが利用できる。

環境やパルスジェネレータに対する PRM の方向に応じて、 長 3m (10ft)の距離で ZIP テレメトリ交信を維持することができる。 適な ZIP テレメトリ交信のため、ZOOM ワイヤレストランスミッタをパルスジェネレータから 3m (10ft)以内に設置し、ZOOM ワイヤレストランスミッタとパルスジェネレータ間の障害物を取り除く。

ZOOM ワイヤレストランスミッタを壁または金属性のものから 1m (3ft)以上離し、(植込む前に)パルスジェネレータが金属性のものに直接触れていないことを確認すると、信号の反射や遮断を軽減することができる。

テレメトリリンクが損なわれる場合があるため、ZOOM ワイヤレストランスミッタをモニタ、手術用高周波電気器具、または強力な磁界の近くに配置しないこと。

ZOOM ワイヤレストランスミッタとパルスジェネレータの間に障害物(例えば、機器、金属製家具、人や壁)がないことを確保することにより、信号品質が向上する場合がある。ZIP テレメトリ中に人や物体がZOOM ワイヤレストランスミッタとパルスジェネレータの間を瞬間的に移動すると、一時的に交信が中断されることがあるが、装置の機能や治療には影響しない。

ZIP テレメトリが確立された後イントロゲーションを完了するのに必要な時間を確認すると、干渉が存在するかどうかがわかる。ZIP テレメトリを使用したイントロゲーションに要する時間が 20 秒未満であれば、現在の環境には干渉が存在しないと考えられる。イントロゲーション時間が 20 秒を超える(あるいはEGM 脱落の間隔が短い)場合には、干渉が存在すると考えられる。

適応に基づく設定(INDICATIONS-BASED PROGRAMMING (IBP))

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

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1-12 プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) 適応に基づく設定(INDICATIONS-BASED PROGRAMMING (IBP))

IBP は患者の臨床的必要性と主な適応疾患に基づいて、プログラミングの参考設定を示すツールである。

IBP は医師の助言と症例研究を基に開発されたプログラミングに対する臨床的アプローチである。IBPの目的は、必要に応じてカスタマイズ可能な基本プログラミングの参考設定を示すことにより、患者の転帰を改善すること、および設定時間を短縮することである。IBPは、IBPのユーザインタフェースで確認した臨床状態で使用するための機能を体系的に示すもので、パルスジェネレータの能力を 大限に活かすことができる。

IBP はメインアプリケーション画面の Settings (設定)タブからアクセスできる(図 1-2)。

図 1-2. Indications-Based Programming (適応に基づく設定)画面

適応疾患は前の図に示すように大まかなカテゴリーにまとめられている。適応疾患の各カテゴリーの内容を以下に記載する。

• 洞結節

‒ Normal (通常)が選択されている場合には、自己心房イベントを許可し、CRT ペーシングを行う。

‒ Chronotropically Incompetent (変時性不全)が選択されている場合には、レートアダプティブCRT ペーシングを行う。

‒ Sick Sinus Syndrome (洞不全症候群)が選択されている場合には、心房ペーシングサポートと CRT ペーシングを行う。

‒ Neurovascular Syndromes (血管迷走神経症候群)が選択されている場合には、急激徐脈応答を行う。

• 房室結節

‒ ノミナル値の Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)および Sensed AV Delay (センス後AVディレイ)を使用する。SmartDelay optimization (スマートディレイオプティマイゼーション)機能を利用すれば AV Delay を調節することができる。

注記: 心房細動および洞結節の設定は、房室結節の設定の参考値に影響する場合がある。

• 心房性不整脈

‒ Paroxysmal/Persistent (発作性/持続性)が選択されている場合には、デュアルチャンバペーシングモードで ATR モードスイッチを使用して心房不整脈をトラッキングしないようにする。

‒ Permanent/Chronic AF (恒久的/慢性的心房細動)が選択されている場合には、レートアダプティブ CRT ペーシングを行い、心房センシングを Off に設定する。

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プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) マニュアルプログラミング(MANUAL PROGRAMMING)

1-13

患者の適切な適応疾患を選択した後、View Recommended Settings (参考設定値を表示)ボタンを選択してプログラミングの参考事項の要約を見る(図 1-3)。

注記: 必ず参考設定値を確認してからプログラムすること。View Recommended Settings ボタンを選択すると、選択した適応疾患ごとに参考設定値を確認することができる。参考設定値を確認してもプログラム中の(プログラム済みでない)パラメータ変更は上書きされない。参考設定値をプログラムまたは却下する前に確認しなければならない。参考設定値を却下する場合、プログラム中の設定はすべて元に戻る。参考設定値をプログラムする場合、プログラム中の設定変更は上書きされる。ただし、感度および治療出力は IBP とは無関係であるため上書きされない。

図 1-3. Proposed Settings Summary (推奨設定値の概要)画面

Proposed Settings Summary 画面には主なプログラミングの参考値が表示される。変更されたすべてのパラメータの詳細を確認するには、ツールバーの View Changes (変更を表示)ボタンを選択する。テレメトリ交信が維持されている間は、提案された設定内容をプログラムするか却下するかを選択することができる。

• プログラム—Program this Profile (このプロフィールをプログラム)ボタンを押して提案された設定内容を受け入れる。

• 拒否—Reject this Profile (このプロフィールを拒否)ボタンを押して提案された設定内容を却下する。この場合、IBP のメイン画面に戻り、変更は行われない。

マニュアルプログラミング(MANUAL PROGRAMMING)

スライダ、メニューなどのマニュアルプログラミングコントロールを使用すると、パルスジェネレータのプログラム設定値を個別に調節することができる。

マニュアルプログラミングコントロールは Settings Summary (設定の概要)タブにあり、Settings (設定)タブからアクセスするか、Summary (概要)タブのSettings Summaryボタンを選択する。マニュアルプログラミングの説明と方法については、本書のその他の機能の説明を参照すること。使用可能な設定の一覧は"プログラム選択項目(PROGRAMMABLE OPTIONS)"を参照すること。

治療の中止(DIVERT THERAPY)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

DIVERT THERAPY (治療の中止)キーを使用して、実行中の診断テストおよび Electrocautery Protection (電気手術器からの保護)モードを停止することができる(ワンドを使用したテレメトリを使用している場合には、治療の中止命令への割り込みが起きないように、中止機能が完了するまでテレメトリワンドの位置を保持する)。

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1-14 プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) 緊急用ペース(STAT PACE)

緊急用ペース(STAT PACE)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

緊急的な徐脈ペーシングが必要なときは STAT PACE (緊急用ペース)を使用することができる。STAT PACE は捕捉を確実にする目的で使用する。

1. セッションが終了している場合には、テレメトリワンドをパルスジェネレータから届く範囲に置く。

2. STAT PACE キーを押す。メッセージウィンドウが現れ STAT PACE 値を表示する。

3. STAT PACE キーを再び押す。STAT PACE が進行中であることを示すメッセージが現れ、続いてSTAT PACE 値が表示される。

4. メッセージ画面上の Close (閉じる)ボタンを選択する。

5. STAT PACE を停止するには、パルスジェネレータを再プログラムする。

注記: STAT PACE により、Electrocautery Protection モードは停止する。

注意: パルスジェネレータを STAT PACE 設定にプログラムした場合、再プログラミングしない限り、高出力の STAT PACE パラメータ値によるペーシングを継続する。STAT PACE を使用すると本装置の電池寿命は短縮する。

STAT PACE パラメータ値を以下に示す(表 1-2)。

表 1-2. STAT PACE (緊急用ペース)パラメータ値

パラメータ 値

Mode (モード) VVI

Lower Rate Limit (下限レート) 60min-1

Interval (間隔) 1000ms

Pacing Chamber (ペーシング部位) BiV

Amplitude (振幅) 7.5V

パルス幅 1.0ms

Paced Refractory (ペース後不応期) 250ms

Lead Configuration (Pace/Sense) (リードの極性(ペース/センス)) 単極

データ管理(DATA MANAGEMENT)

PRM システムでは患者とパルスジェネレータのデータを表示、印刷、保存または読み込むことができる。本項では、PRM のデータ管理機能について記載する。

患者の情報(Patient Information)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

患者に関する情報はパルスジェネレータのメモリに保存することができる。この情報にアクセスするには、Summary (概要)画面の Patient (患者)アイコンを選択する。この情報には次のようなものが含まれる。

• 患者および医師のデータ

• パルスジェネレータの製造番号

• 植込み日

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プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) データ管理(DATA MANAGEMENT)

1-15

• リードの極性 • 植込み時テストの測定値

この情報は、パルスジェネレータをイントロゲートし、PRM 画面で見るかレポートとして印刷することにより随時読み込むことができる。

注記: 患者の Sleep Schedule (睡眠スケジュール)に対して入力したデータは、AP Scan (AP スキャン)トレンドにおいて使用される。

データ保存(Data Storage)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

PRM システムでは PRM のハードドライブまたはフロッピーディスクにパルスジェネレータのデータを保存することができる。PRM に保存されたデータはリムーバブル USB ペンドライブに移すこともできる。

保存されたパルスジェネレータのデータには次のようなものが含まれる。

• 治療歴 • プログラムパラメータ値 • トレンディング値 • HRV • ヒストグラムペーシング/センシングカウンタ

Utilities (ユーティリティ)ボタンを選択して Data Storage (データ保存)タブを選択すると、次のオプションにアクセスすることができる。

• Read Disk (ディスクの読み取り)—フロッピーディスクから保存されたパルスジェネレータのデータを読み取ることができる。

• Save All (すべてを保存)—パルスジェネレータのデータをフロッピーディスク(ディスクを挿入しなければならない)またはプログラマのハードドライブ(フロッピーディスクが検出されない場合)に保存することができる。フロッピーディスクに保存されたデータは上記の Read Disk オプションを使って読み取ることができる。PRM に保存したデータは、PRM スタートアップ画面から読み込み、削除、またはUSBペンドライブへのエクスポートを行うことができる。レポートはPDF形式である。詳細については、PRM のオペレーターズマニュアルを参照すること。

注記: データが保存されている間、System Status (システムのステータス)画面の右側にデータの保存場所を示すメッセージが表示される。

パルスジェネレータのデータを保存し、読み込む際は次のことを考慮する。

• プログラマには患者記録が 大 400 件保存できる。パルスジェネレータをイントロゲートすると、プログラマはパルスジェネレータに既に記録があるか、新しい記録を作成する必要があるか評価する。新しい記録が必要でプログラマの記録容量が 400 件の場合、 も古い記録が削除され、新しい患者記録用のスペースが確保される。

• 複数の患者の検査を行う場合には、患者ごとに新しいセッションを開始すること。 • 弊社に PRM を返却する前にパルスジェネレータのすべてのデータをフロッピーディスクまたは

USB ペンドライブに保存すること。PRM を返却すると患者およびパルスジェネレータのデータはすべて消去される。

• 患者のプライバシーを保護するため、USB ペンドライブに移動する前にパルスジェネレータのデータは暗号化される。

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1-16 プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) セイフティモード(SAFETY MODE)

デバイスメモリ(Device Memory)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Device Memory (デバイスメモリ)ユーティリティでは、弊社の担当者が臨床上の目的や問題解決のために利用するパルスジェネレータのメモリデータを読み込み、保存し、印刷することができる。このユーティリティは弊社の担当者が指示した場合にのみ使用すること。装置のメモリデータが保存されたデジタルメディアには、セキュリティ保護された患者状態に関する情報が含まれるため、プライバシーおよびセキュリティ保護に関する方針および規則に従って取り扱うこと。

注記: 臨床医が使用するパルスジェネレータのデータにアクセスするには Data Storage (データ保存)タブを使う("データ保存(Data Storage)")。

印刷(Print)

内部プリンタを使用するか、外部プリンタに接続して PRM レポートを印刷することができる。レポートを印刷するには Reports (レポート)ボタンを選択する。次のカテゴリーから印刷したいレポートを選択する。

• フォローアップレポート

• エピソードレポート

• その他のレポート(装置の設定、患者のデータ、その他の情報など)

セイフティモード(SAFETY MODE)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

パルスジェネレータには専用の Safety Core (セイフティコア)ハードウェアが装備され、システムリセットの原因となるような回復不可能なエラー、または反復的なエラーが生じた場合に生命維持治療を行うことができる。このような種類のエラーは、マイクロプロセッサ、プログラムコード、システムメモリなど、パルスジェネレータの中央処理装置(CPU)における構成部品の完全性が失われたことを示唆するものである。Safety Core は使用するハードウェアを 小限に抑えた構成(単極リード構成)であるため、独立して作動し、上記の構成部品のバックアップとして機能する。

Safety Core では、通常のペーシング中にも装置の監視を行う。通常のペーシングが行われない場合、Safety Core は、エスケープペーシングを行い、システムリセットを開始する。

約 48 時間以内にリセットが 3 回行われると、パルスジェネレータは Safety (セイフティ)モードに戻る。 この場合は、パルスジェネレータの交換を検討する必要がある。以下の状態になる。

• Safety モードが有効の場合、PRM との交信に ZIP テレメトリは利用できない。ワンドを使用したテレメトリを使用する必要がある。

• Safety モードが有効になっているというアラートが、LATITUDE NXT により通知される。

• イントロゲーションを行うと、パルスジェネレータが Safety モードに入っていることを示し、弊社営業担当に連絡するよう指示する警告画面が現れる。

バックアップ用ペースメーカ(Backup Pacemaker)

Safety (セイフティ)モードでは、次のパラメータを使用して両心室ペーシングが行われる。

• Brady (徐脈)モード—VVI • LRL—72.5min-1

• Pulse Amplitude (パルス振幅)—5.0V

• Pulse Width (パルス幅)—1.0ms

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プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) セイフティモード(SAFETY MODE)

1-17

• RV Refractory Period (右心室不応期、RVRP)—250ms

• RV Sensitivity (RV 感度)—AGC 0.25mV

• RV lead configuration (RV リード構成)—単極

• Ventricular Pacing Chamber (心室ペーシングチャンバ)—BiV

• LV Offset (LV オフセット)—0ms

• LV lead configuration (LV リード構成)—単極(LVtip>>Can)

• Noise Response (ノイズレスポンス)—VOO

注記: Safety モードでは Magnet Response (マグネット応答)も無効になる。

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1-18 プログラマの使用方法(USING THE PROGRAMMER/RECORDER/MONITOR) セイフティモード(SAFETY MODE)

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2-1

ペーシング治療(PACING THERAPIES) 第 2 章

本章では、以下の項目について説明されている。

• "ペーシング治療(Pacing Therapies)"ページ 2-2

• "デバイスのモード(Device Modes)"ページ 2-2

• "プログラミングの推奨事項(Device Programming Recommendations)"ページ 2-3

• "CRT の維持(Maintaining CRT)"ページ 2-5

• "基本パラメータ(Basic Parameters)"ページ 2-6

• "一時的徐脈ペーシング(Temporary Brady Pacing)"ページ 2-30

• "レートアダプティブペーシングおよびセンサトレンディング(Rate Adaptive Pacing and Sensor Trending)"ページ 2-31

• "心房頻拍応答(Atrial Tachy Response)"ページ 2-46

• "レートの強化(Rate Enhancements)"ページ 2-54

• "リード極性(Lead Configuration)"ページ 2-61

• "AV ディレイ(AV Delay)"ページ 2-67

• "不応期(Refractory)"ページ 2-72

• "ノイズレスポンス(Noise Response)"ページ 2-82

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2-2 ペーシング治療(PACING THERAPIES) ペーシング治療(PACING THERAPIES)

ペーシング治療(PACING THERAPIES)

CRT-P は、心房および両心室のセンシングとペーシングを行うもので、アダプティブレート機能を有する。

本装置の頻拍検出機能とは、心周期ごとに感知していることを除いて徐脈ペーシング機能は独立した別の機能である。

パルスジェネレータは次の治療を行うことができる。

CRT

• 患者の自己心房レートがMTRより低く、プログラムされたAV Delay (AVディレイ)が自己の心内房室間隔より短い場合、本装置は心室収縮に同期させるためプログラムされた設定で心室にペーシングパルスを送る。

• 右心室リードと左心室リードを別々にプログラムできるため、心機能を回復するための手段として柔軟性が得られる。

注記: CRT および徐脈治療の判断について、心周期は右心室のセンシングおよびペーシングイベントにより決まるが、ペーシング部位を左心室のみに設定している場合には左心室のペーシングイベントによって決まる。装置のタイミングサイクルはすべて右心室によって決まるため、左心室のみのペーシングに設定している場合でも、右心室リードを植込む必要がある。左心室センシングイベントは不適切な左心室ペーシングを抑制し、タイミングサイクルを変えない。

注意: 両心室ペーシングが高い頻度で行われるようにするには、プログラムされたAV Delay (AVディレイ)の設定は患者の自己 PR 間隔より短くなければならない。

通常徐脈ペーシング(Normal Bradycardia Pacing)

• 自己心拍レートがプログラムされたペーシングレート(LRL)より下がると、プログラムされた設定でペーシングパルスを送る。

• アダプティブレートペーシングでは、患者の活動レベルまたは生理的要求の変化に応じてペーシングレートを適合させる。

この他の選択項目(Additional Options)

• Temporary Bradycardia Pacing (一時的徐脈ペーシング)—使用していた通常徐脈パラメータをパルスジェネレータのメモリに保存したまま別のペーシング治療を試験することができる("一時的徐脈ペーシング(Temporary Brady Pacing)")。

• STAT PACE (緊急用ペース)—PRM よりテレメトリ交信を用いて実行したときに高出力設定で緊急心室ペーシングを開始する("緊急用ペース(STAT PACE)")。

• Electrocautery Protection (電気手術器からの保護)—プログラマによるコマンドに従い、出力および LRL の設定に基づき非同期ペーシングを行う("Electrocautery Protection (電気手術器からの保護)モード")。

デバイスのモード(DEVICE MODES)

Storage (保管)モードが解除されると、以下のデバイスモードが利用できる。

• Brady Therapy Enabled (徐脈治療有効)—パルスジェネレータが通常のペーシング治療を行うことを示す。このモードは手動で選択できない。Brady (徐脈)モードが Off 以外にプログラムされていると、自動的に設定される。

• Brady Therapy Off (徐脈治療オフ)—パルスジェネレータが何も治療を行わないことを示す。このモードは手動で選択できない。Brady(徐脈)モードが Off にプログラムされていると、自動的に設定される。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) プログラミングの推奨事項(DEVICE PROGRAMMING RECOMMENDATIONS)

2-3

• Electrocautery Protection モード—プログラマによるコマンドに従い、出力および LRL の設定に基づき非同期ペーシングを行う。このモードは、Device Mode (デバイスのモード)ボタンから有効にする。

• Safety (セイフティ)モード—パルスジェネレータに回復不可能なエラーが生じると、自動的に有効になる。このモードは手動で選択できない("Safety (セイフティ)モード(Safety Mode)")。

Electrocautery Protection (電気手術器からの保護)モード

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Electrocautery Protection (電気手術器からの保護)モードでは、出力および LRL の設定に基づき非同期ペーシングを行う。頻拍性不整脈の検出は無効になる。

Electrocautery Protection が有効になっている場合、Brady (徐脈)モードは XOO モードに切り替わる(X は、プログラムされた Brady モードによって決まる)。これ以外のペーシングパラメータは、ペーシング出力も含め、プログラム設定値を維持する。Electrocautery Protection を有効にする前に Brady モードが Off になっていると、Electrocautery Protection 中、Brady モードは Off のままになる。いったん有効にした後は、Electrocautery Protection でテレメトリを維持する必要はない。

Electrocautery Protection をキャンセルすると、Brady モードが前のプログラム設定値に戻る。

Electrocautery Protection モードを有効にした後、PRM 画面上のメッセージを参照し、Electrocautery Protection が有効であることを確認する。

Electrocautery Protection が有効になっている場合、緊急用ペースを除き、コマンドによる治療、診断テスト、またはレポートのプリントは行われない。

Electrocautery Protection モード時のマグネットの使用は、ペーシングレートに影響を与えない。

Electrocautery Protection モードが有効になっている場合、プログラムされたモードが心室ペーシングモードである場合、LV Offset (LV オフセット)ゼロにて両心室ペーシングが行われる。

Electrocautery Protection モードを有効または無効にするには、次の手順を行う。

1. PRM 画面の 上段の Device Mode (デバイスのモード)ボタンを選択する。

2. Enable Electrocautery Protection (Electrocautery Protection を有効)のチェックボックスを選択する。

3. Apply Changes (変更を適用)ボタンを選択して Electrocautery Protection モードを有効にする。 ダイアログボックスが現れ Electrocautery Protection が有効であることを示す。

4. ダイアログボックスの Cancel Electrocautery Protection (Electrocautery Protection をキャンセル)ボタンを選択して、前にプログラムしたモードに戻す。Electrocautery Protection は、PRM 上のSTAT PACE (緊急用ペース)キーまたは DIVERT THERAPY (治療の中止)キーを押してキャンセルすることもできる。

プログラミングの推奨事項(DEVICE PROGRAMMING RECOMMENDATIONS)

至適な CRT が確実に行われるようにするためには、装置のパラメータを適切に設定することが重要である。患者特有の状態および治療の必要性とともに、以下のガイドラインを考慮に入れること。

注記: また、Indications-Based Programming (IBP) (適応に基づく設定)の使用を考慮する。IBP は患者の臨床的必要性と主な適応疾患に基づいて、プログラミングの参考設定を示すツールである ("適応に基づく設定(Indications-Based Programming (IBP))")。

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2-4 ペーシング治療(PACING THERAPIES) プログラミングの推奨事項(DEVICE PROGRAMMING RECOMMENDATIONS)

注意: 本装置は両心室または左心室ペーシング治療を行うためのものである。右心室のみのペーシングを行うようにプログラムした場合、心不全の治療には適応されない。心不全の治療を目的とした右心室のみのペーシングの臨床効果はまだ明らかにされていない。 Pacing mode (ペーシングモード)—デュアルチャンバトラッキングモード(VDD(R)または DDD(R))をプログラムする。アダプティブレートペーシングモードは、変時性不全を呈する患者および身体活動に応じてペーシングレートを上昇することで改善が得られる患者を対象としている("徐脈モード(Brady Mode)")。 Pacing chamber (ペーシング部位)—医学的判断により異なるペーシング部位の選択を指示しない限り、BiV (標準設定値)にプログラムする("心室ペーシング部位(Ventricular Pacing Chamber)")。 BiV Trigger (両心室トリガ)—On にプログラムし、該当する上限レートまで両心室ペーシングを行う。 LRL (下限レート)—徐脈を補整することができる適切なレートで、通常達する正常洞調律より低くプログラムする("下限レート(Lower Rate Limit (LRL))")。パルスジェネレータがVVI(R)モードにプログラムされている場合に、心房性頻拍性不整脈時に房室伝導があり、その結果両心室ペーシングが抑制された(CRT が消失した)場合、高い LRL をプログラミングして両心室ペーシングを増加させることを考慮する。 MTR ( 大トラッキングレート)—確実に1:1の房室同期が得られるよう十分高くプログラムする。医学的判断による指示がない限り、MTRは 130min-1

を推奨する(" 大トラッキングレート(Maximum Tracking Rate (MTR))")。 Pacing Output (ペーシング出力)—両心室の捕捉閾値を基に、一般的に安全マージンを考慮して少なくとも 2 倍の電圧値をプログラムする。PaceSafe を使用して、自動的に閾値を測定し、ペーシング出力を調節することができる("PaceSafe")。 Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)—Paced AV Delay は一貫した CRT が行われるよう患者ごとに設定する。Paced AV Delay を設定する方法はいくつかある。 • 自己 QRS 幅の評価 • 心エコー図 • 脈圧モニタリング • SmartDelay optimization (スマートディレイオプティマイゼーション)。AV Delay (AV ディレイ)の設定

を推奨する("スマートディレイオプティマイゼーション(SmartDelay Optimization)")。 Paced AV Delay (ペース後AVディレイ)の至適化はCRTの効果に著しく影響を与えることがあるため、Paced AV Delay の設定の違いによる血行動態への影響を確認するために心エコー図や脈圧モニタリングなどの使用を考慮すること。 心房ペーシングは心房間遅延を延長させることから、正常洞調律時と心房ペーシング時では CRT を至適化するため Paced AV Delay の設定を変える必要がある。 Sensed AV Delay (センス後 AV ディレイ)—Sensed AV Delayは心房センスイベントに続く AV Delayを短縮させるが、心房ペースイベント後はプログラムされた長い Paced AV Delay が使われる。DDD(R)モードにプログラムする場合は、心房センス時と心房ペーシング時の至適な Sensed AV Delay を決定するため、テストを行うことが推奨される。 Dynamic AV Delay (ダイナミック AV ディレイ)—Dynamic AV Delay は以下を基に自動的に設定される("ペース後 AV ディレイ(Paced AV Delay)")。 • Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)の 小値と 大値が等しい場合には、AV Delay (AV ディ

レイ)は固定値となる。 • Paced AV Delay の 小値が 大値より低い場合、AV Delay は Dynamic (ダイナミック)に設定さ

れる。 PVARP (心室後心房不応期)—PVARP を 280ms にプログラムする。房室伝導を有する心不全患者に対しては、自己房室間隔が長く、かつ長いPVARPがプログラムされた場合、MTRより下で心房トラッキング不全を惹起することがある。結果として両心室ペーシング(CRT)不全を生じる。MTR より下での心房トラッキング不全の発生が危惧される場合は Tracking Preference を On (標準設定値)にする ("心房不応期 - PVARP (A-Refractory - PVARP)")。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) CRT の維持(MAINTAINING CRT)

2-5

PVARP after PVC (PVC 後の PVARP)—PVARP after PVC は高レート時の PMT の発生を減らすため 400ms (標準設定値)にプログラムする。PMT の発生は他の要因による場合もある("PVC 後のPVARP (PVARP after PVC)")。

ATR (心房頻拍応答)—ATR を使用する場合、Entry Counts (開始カウント)および Exit Counts (終了カウント)はモードスイッチが適切かつ適時に行われるようプログラムする("Atrial Tachy Response (心房頻拍応答)")。

VRR (心室レート制御)およびBiV Trigger (BiVトリガ)によって心房性頻拍性不整脈中にCRTの頻度を高くすることが可能である。房室伝導のある心房性頻拍性不整脈発症中に、心室ペーシング率を上げCRT が 大限に行われるよう BiV Trigger は On にプログラムし、VRR は 大の設定で On にプログラムする。

PMT Termination (PMT の停止)—高いレートでの PMT を停止するには、On (標準設定値)にプログラムする("PMT Termination (PMT の停止)")。

LVPP (左心室保護期間)—左心室の受攻期にペーシングが行われないよう 400ms (標準設定値)にプログラムする("左心室保護期間(Left Ventricular Protection Period (LVPP))")。

Tracking Preference (トラッキングの優先)—心房レートがMTRより低いが近い場合には、CRTを実行するため On (標準設定値)にプログラムする。PVARP および患者の自己の心内房室間隔がプログラムされた MTR 間隔より長いときにこの機能を使用する("トラッキングの優先(Tracking Preference)")。

LV Lead Configuration (左心室リード構成)—IS-1 左心室リード接続口を備えた装置の場合、左心室リードの電極数によってプログラムする("左心室電極構成(Left Ventricular Electrode Configuration)")。

CRT の維持(MAINTAINING CRT)

ウェンケバッハ現象により一時的なCRT不全あるいは房室同期不全が起こることがある。また、心不全患者では CRT が行われなくなると症状が現れることがある。本装置をプログラムするときは以下のことを考慮すること。

MTR

MTR を超える速い心室応答を伴う心房の高レートは以下の状態を引き起こす。

• 完全な房室伝導を有する場合の一時的な CRT の抑制

• 2 度あるいは 3 度の房室ブロックが見られる場合のウェンケバッハ現象

正常洞調律が回復するとプログラムされた房室同期で CRT が行われる。

MTR は高い心房レート時に CRT が維持できる十分高い値にプログラムする。CRT を維持するため、以下のことも考慮する。

• レートの急激な変化を防止するため Rate Smoothing (レートスムージング)を使用する。

• SBR を使用して、レートの急激な下降に対する治療を行うことができる。

• VRR は房室伝導のある心房性不整脈中に心室ペーシング率を上げることで CRT を促進する。

• 上室性頻拍性不整脈(SVT)時には、CRT を維持するための医学的管理と高レートに伴う血行動態の低下から患者を救う必要がある。

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2-6 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

• 心房の高レートを医学的に管理すると MTR 以下に維持できる時間を 大限にし、一貫した CRTが確実に行われるようにすることができる。

AFR

AFR (心房粗動応答)は心室の受攻期もしくは心房ペーシングが受攻期にされることを防止するため、心房ペースイベントを遅らせたり抑制したりする。心房レートがプログラムされた AFR レートを超えると直ちにトラッキングを停止する。AFR レートが患者の洞調律より低く設定されている場合には、AV Delay (AV ディレイ)を変動させるため CRT の効果に影響を与える。

レートスムージング(Rate Smoothing)

Rate Smoothing Up (レートスムージング上昇)が On にプログラムされている場合、心房レートの上昇がプログラムされた Rate Smoothing Up のパーセンテージを超えたエピソードの間、CRT が損なわれる。房室ブロックを有する患者では、レートスムージングが心房レート上昇時の両心室ペーシングレートを制御する目的で AV Delay を設定値より延長させるため、このような事象が生じる。

VVI あるいは VVI 様作動に変換する機能

ATRはウェンケバッハ現象やCRTが一時的に行われなくなる原因になることがある。SVTイベントが解消し、正常洞調律が回復すると、プログラムされた房室同期で CRT が行われる。

VDD(R)にプログラムされ、洞調律が LRL を下回る患者では、心房イベントに CRT 同期は行われず、房室同期は失われる。LRL を低く設定するか、心室ペーシングに同期して心房ペーシングする(例えばDDD(R))モードなど医学的に適切な設定を行うことを考慮する。

STAT PACE (緊急用ペース)では、房室同期しない VVI モードで CRT が行われる。STAT PACE が中止されると、恒久的プログラム値に戻る。

基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

パルスジェネレータはパラメータをプログラムすることで、CRT により機械的な同期を促す。CRT に使用するプログラム選択項目には徐脈ペーシング治療に使用するものが含まれる。

LV への刺激は単極または双極 LV リードを使用して行う。本装置は心房ペーシングおよびセンシングを利用して房室伝導と CRT を調和させる。

Normal Settings (通常設定)には以下のものが含まれる。

• ペーシングパラメータ(一時的なペーシングパラメータとは独立してプログラムできる)

• ペーシングおよびセンシング

• リード

• レートアダプティブペーシングおよびセンサトレンディング

プログラミング範囲

プログラム可能なパラメータを持つ多くの機能が相互に作用するため、そのような機能全体でプログラム値の互換性が保たれる必要がある。ユーザが要求した値と既存のパラメータの互換性がない場合、プログラマ画面には、互換性がないことを知らせる警告が表示される。そして、選択が禁止されるか、 注意して処理を進めるようにメッセージが表示される("色使い(Use of Color)")。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

2-7

Brady (徐脈)モード(Brady Mode)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Brady (徐脈)モードには患者の治療を個別に設定するプログラム選択項目がある。

CRT モード

CRTの目的は両心室に連続的なペーシングを行うことである。CRTは心室ペーシングを行うモードでのみ遂行される。

両心室刺激が行われたときに CRT の有効性が 大になる。徐脈の既往もある患者には心房ペーシングとアダプティブレートモードが適している場合がある。

警告: 心房のみのモードでは CRT は行えないため、心不全患者に心房のみのモードは使用しない こと。

注記: CRT の安全性と有効性については VDD モードを使用した臨床研究で評価された。VDD 以外のペーシングモードにプログラミングするときは、医学的に慎重に判断する。

注記: 心房ペーシングは心房内伝導を延長させるので、右心房と左心房の収縮同期を逸脱させる可能性がある。心房ペーシングが CRT に与える影響についてはいまだ研究されていない。

DDD および DDDR

P 波および R 波のセンスがないときは、LRL (DDD)あるいはセンサ指示レート(DDDR)で、AV Delay (AV ディレイ)の間隔をおいて心房および心室にペーシングが行われる。P 波をセンスすると、心房ペーシングが抑制され、AV Delayが開始する。R 波センスによって心室ペーシングが抑制される場合を除き、AV Delay の終了時に心室ペーシングが行われる。

• 洞性徐脈を併発している心不全患者に適している。DDD(R)は LRLより高いレートで心房に同期した両心室ペーシングを行ったり、LRL またはセンサ指示レート(DDDR の場合)で房室順次両心室ペーシングを行ったりすることができる。

• 洞性徐脈がある患者や心房レートが LRL を下回る患者では、房室同期した CRT を行うため VDDモードよりも DDD モードの方が望ましい。

DDI および DDIR

P 波および R 波のセンスがないときは、LRL (DDI)あるいはセンサ指示レート(DDIR)で、AV Delay の間隔をおいて心房および心室にペーシングが行われる。P 波をセンスすると、心房ペーシングは抑制されるが、AV Delay は開始されない。

• 正常な洞活動を有する心不全患者には適していない。

• 自己洞調律がなく、徐脈頻脈症候群などの心房性頻拍性不整脈のエピソードが出現する可能性のある心不全患者には適している。

• 洞活動が休止したときに LRL (DDI)またはセンサ指示レート(DDIR の場合)で房室順次両心室ペーシングが行われる。

• 自己の心房活動が LRL より高く、R 波のセンスがない場合、LRL またはセンサ指示レートで心房に同期しない両心室ペーシングが行われる。

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2-8 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

VDD および VDDR

P 波および R 波のセンスがないときは、LRL (VDD)またはセンサ指示レート(VDDR)で心室ペーシングが行われる。P 波がセンスされると、AV Delay が開始する。R 波センスによって心室ペーシングが抑制されない限り、AV Delay の終了時に心室ペーシングが行われる。R 波のセンスまたは心室ペーシングイベントが発生すると、次の心室ペーシングのタイミングが決まる。

• VDD は、心房に同期した両心室ペーシングを行うが、心房をペーシングしないため、正常洞活動を有する心不全患者に適している。

• VDDRは房室同期を失う可能性が高いため、正常洞活動を有する心不全患者には適していない。

• VDDR は正常な洞活動時には心房と同期した両心室ペーシングが行われるが、センサの指示したレートが洞レートを超えたとき、センサ指示の心室ペーシングによって房室同期が失われることがある。

• 房室同期の消失は LRL の心室ペーシングで も生じやすいため、徐脈の補整としては低い LRLの設定を考慮する。

• LRL でペーシングが頻繁に発生することが予測されたり観察されたりするときは、LRL ペーシング時に房室同期が維持される DDD(R)モードへのプログラム設定を考慮する。

VVI および VVIR

VVI(R)モードでは、センシングおよびペーシングは心室のみで実施される。センシングイベントがないときは、LRL (VVI)またはセンサ指示レート(VVIR)で心室ペーシングが行われる。R 波のセンスまたは心室ペーシングイベントが発生すると、次の心室ペーシングのタイミングが決まる。

• 正常な洞活動を有する心不全患者では致命的となる場合がある。

• LRL またはセンサ指示レート(VVI(R)の場合)で両心室ペーシングを行うため、慢性的な心房性頻拍性不整脈を併発している心不全患者や、心房性頻拍性不整脈のエピソードに適応することができる。

• 心房性頻拍性不整脈時に房室伝導があり、その結果両心室ペーシングが抑制された(CRT が消失した)場合、高い LRL をプログラミングして両心室ペーシングを増加させるか、プログラムされていないのであれば VVI(R)にプログラミングするか、その両方を行うことを考慮する。

AAI および AAIR

AAI(R)モードでは、センシングおよびペーシングは心房のみで実施される。センシングイベントがないときは、LRL (AAI)またはセンサ指示レート(AAIR)で心房ペーシングが行われる。P 波のセンスまたは心房ペーシングイベントが発生すると、次の心房ペーシングのタイミングが決まる。

DOO

LRL で、AV Delay の間隔をおいて心房および心室に非同期でペーシングが行われる。自己イベントが発生しても、心房または心室でペーシングが抑制、あるいはトリガされることはない。

注記: DOO モードは、DDD(R)モードおよび DDI(R)モードのマグネットモードである。

• ノイズ環境が想定される場合、手術時にペーシング抑制の可能性を減少させる目的で使用されることがある。

注記: 推奨オプションは Electrocautery Protection モードである(利用可能な場合)。

• 正常な洞活動を有する心不全患者には適していない。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

2-9

• LRL でのみ房室順次両心室ペーシングが行われる。

• 自己の心房活動が LRL より高い場合、LRL で心房に同期しない両心室ペーシングが行われる。

VOO

LRL で、心室に非同期でペーシングが行われる。自己イベントが発生しても、心室ペーシングが抑制あるいはトリガされることはない。

注記: VOO モードは、VVI(R)モードおよび VDD(R)モードのマグネットモードである。

• 伝導電流源が存在する場合、手術時にペーシング抑制の可能性を減少させる目的で使用されることがある。

注記: 推奨オプションは Electrocautery Protection モードである(利用可能な場合)。

• LRL でのみ両心室ペーシングが行われる。

• 房室同期の消失および競合ペーシングの可能性が高くなるため、自己の活動を有する心不全患者には不適切である。

AOO

LRL で、心房に非同期でペーシングが行われる。自己イベントが発生しても、心房ペーシングが抑制あるいはトリガされることはない。

注記: AOO モードは、AAI(R)モードのマグネットモードである。

• 伝導電流源が存在する場合、手術時にペーシング抑制の可能性を減少させる目的で使用されることがある。

注記: 推奨オプションは Electrocautery Protection モードである(利用可能な場合)。

• 正常な洞活動を有する心不全患者では致命的となる場合がある。

Dual-Chamber Modes (デュアルチャンバモード)

次の状態では DDD(R)および VDD(R)モードは使用してはならない。

• 慢性の難治性心房頻拍性不整脈(心房細動あるいは心房粗動)を有する患者。トリガして心室ペーシングをする可能性がある。

• PMT を誘発する可能性のある遅い逆伝導があり、特定のパラメータ値を再プログラミングしても防げない場合。

Atrial Pacing Modes (心房ペーシングモード)

DDD(R)、DDI(R)、AAI(R)、DOO、および AOO モードでは、慢性の心房細動または心房粗動、あるいは電気的刺激に応答しない心房は、心房ペーシングが有効ではない場合がある。さらに臨床的に顕著な伝導障害が存在する場合、心房ペーシングは禁忌となる場合がある。

警告: 慢性の難治性心房性頻拍性不整脈の患者には心房トラッキングモードは使用してはならない。心房性不整脈にトラッキングして心室性頻拍性不整脈に至ることがある。

注意: デュアルチャンバペースメーカが AAI(R)にプログラムされている場合は、機能的 RV リードが存在することを確認する。機能的 RV リードがないときは、AAI(R)へのプログラミングがアンダーセンシングまたはオーバーセンシングになることがある。

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2-10 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

個々の設定に関する質問等は、弊社担当者に問い合わせること。

下限レート(Lower Rate Limit (LRL))

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

LRL は自己心拍が感知されなかったときに、パルスジェネレータがペーシングする 1 分間あたりのパルス数である。

心室がペーシングされている限り(または PVC が発生している場合)、インターバルは心室イベントから次の心室イベントまでの間で設定される。心室でイベントがセンスされると(例えば、AV Delay 終了前 に自己 AV 伝導があったとき)タイミングの基準は心室基準から修正された心房基準へと切り替わる (図 2-1)。自己 AV 伝導とプログラムされた AV Delay の差が次の V–A 間隔に適用されるため、このタイミングの基準の切り替えにより、正確なペーシングレートを維持することができる。

タイミングの移行過程(d = 初に自己 AV 伝導が出現したところで AV Delay(AV ディレイ)と AV 間隔の差が生じる。 d は次の V-A 間隔で加えられ、A–A 間隔に影響を与えることのないおだやかな移行を行う)。

図 2-1. LRL タイミングの移行

大トラッキングレート(Maximum Tracking Rate (MTR))

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

MTR は、プログラムされた AV Delay (AV ディレイ)内に心室イベントがセンスされないときに、不応期外にセンスされた心房イベントに、心室ペーシングレートを 1:1 で生じさせる 大レートである。MTR はDDD(R)および VDD(R)の心房同期ペーシングに適用される。

MTR をプログラムするときは以下のことを考慮すること。

• 患者の状態、年齢および健康状態

• 患者の洞結節機能

• 高い MTR は、狭心症あるいは心筋虚血症の既往患者には適していない。

AV AV

AV VAVA

VA VA

AVAV VA

AA AA

AA AAVA + d

d

V-VタイミングからA-Aタイミングへの移行

A-AタイミングからV-Vタイミングへの移行

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

2-11

注記: パルスジェネレータが DDDR または VDDR モードで作動しているとき、MSR および MTR は個別に別の数値にプログラムできる。

高レート域での現象

正常な房室伝導を有する心不全患者では、心房レートが MTR を超えると、両心室刺激(CRT)が遂行されないことがある。患者の自己房室間隔より AV Delay (AV ディレイ)が延長し、房室伝導があった場合、心室ペーシングが抑制される。房室ブロックと房室伝導の両状況では、至適ではない AV Delay の延長、または両心室ペーシングの喪失、あるいは双方いずれの理由であっても心房レートが MTR を超すとCRT が損なわれる。

患者の通常の心房レートが MTR を超える場合、プログラムされた AV Delay (AV ディレイ)で 1:1 心房同期した両心室ペーシングが確実に行われるよう、より高い MTR のプログラムを考慮する。より高いMTR の再プログラムが設定されている(AV Delay + PVARP = TARP) TARP により制限された場合、AV Delay を短くするより PVARP を短くして、CRT にとって不適切な AV Delay を回避する。

プログラムした LRL と MTR の間で心房レートを感知し、プログラムした AV Delay 間で心室イベントが感知されない場合は、1:1 で心室ペーシングが発生する。感知された心房レートが MTR を超すと、心室ペーシングレートがMTRを超さないようにウェンケバッハ現象が発生する。このウェンケバッハ現象は、P 波が PVARP 内に入り追跡されなくなるまで AV Delayが徐々に延長される現象と定義されている。その結果、パルスジェネレータは次に感知された P 波に同期して心室ペースを行うためときどき 1:1 のトラッキングが失われる。感知された心房レートが引き続き上昇して MTR を超すと、センスされた心房イベントに続く心室のペースイベントは少なくなり、その比率は結果的には 2:1(例えば 5: 4、4: 3、3: 2、そして 終的に 2:1)となる。

センシングウィンドウを 大限に広げることができるように、AV Delay と PVARP を適宜にプログラムする。Dynamic AV Delay (ダイナミック AV ディレイ)および Dynamic PVARP (ダイナミック PVARP)をプログラムすると、MTR 近くでのセンシングウィンドウを 大限に広げることができ、ウェンケバッハ現象を小限にできる。

高レートの心房トラッキングはプログラムされた MTR および総心房不応期(TARP) (AV Delay + PVARP = TARP)によって制限される。MTR でセンシングウィンドウが完全に閉じることを回避するために、PRM は、プログラムされた MTR 間隔より長い(ペーシングレートが低い)TARP 間隔を許可しない。

TARP 間隔がプログラムされた MTR 間隔より短い(ペーシングレートが高い)場合、心室ペーシングレートはパルスジェネレータのウェンケバッハ現象によって MTR に制限される。TARP 間隔がプログラムされた MTR 間隔と同間隔の場合、心房レートが MTR を超えたときに 2:1 ブロック現象が発現することがある。

センスされた心房レートが MTR より高いために生じる心室ペーシングレートの急激な変化(例えばウェンケバッハ現象、2:1 ブロック)は、以下のいずれかを実施することにより軽減または除外することが できる。

• AFR

• ATR

• APP/ProACt

• Rate Smoothing パラメータおよびセンサの入力

注記: 心房頻拍の検出とヒストグラムの更新のため、心房イベントは AV Delay および PVARP の期間を含めて全心周期にわたって検出される(心房ブランキング期間は除く)。

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2-12 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

心房レートが MTR を超えると、AV Delay はプログラム値より長くなり(AV')、不定期な P 波が心房不応期内に入りトラッキングされなくなるまで徐々に延長する(図 2-2)。P 波が心房不応期内に入るとパルスジェネレータは次にトラッキングされた P 波に心室ペーシングをトラッキングするため、一時的に 1:1 のトラッキングが失われる(ペースメーカウェンケバッハ)。

図 2-2. MTR におけるウェンケバッハ現象

高い心房レートにトラッキングしたときにもう1つの上限レート付近の作動(2:1ブロック)が生じることがある。このタイプの現象では、自己の心房イベントが PVARP 内に 1 つおきに入るためトラッキングされない(図 2-3)。その結果、心房と心室のイベントは 2:1 の割合になるか、心室ペーシングレートは急激に心房レートの 1/2に下がる。さらに速い心房レートでは、数個の心房イベントが TARP内に入り、3~4つおきに 1 個の P 波がパルスジェネレータにトラッキングされる。その結果、3:1 または 4:1 のブロックが 生じる。

P 波が 1 つおきに PVARP 間隔内に入りペースメーカの 2:1 ブロックを生じている。

図 2-3. ペースメーカの 2:1 ブロック

大センサレート(Maximum Sensor Rate (MSR))

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

MSR はレートアダプティブセンサによって制御される 大ペーシングレートである。

MSR をプログラムするときは以下のことを考慮すること。

• 患者の状態、年齢および健康状態

‒ 高レートでのアダプティブレートペーシングは、狭心症あるいは心筋虚血症の既往患者には適していない。

‒ も高いペーシングレートで患者が十分耐えられるかを評価したうえで、適切な MSR を選択する。

注記: パルスジェネレータが DDDR または VDDR モードで作動しているとき、MSR および MTR は個別に別の数値にプログラムできる。

MSR は MTR より高くも低くも同等にもプログラム可能である。MSR の設定が MTR より高いとき、センサレートが MTR を超えると、MTR を超えるペーシングが発生する。

感知された自己の心房活動に追従する場合に限りペーシングが MSR を超える(MTR より低くプログラムされたとき)。

AV PVARP AV PVARP AV’ PVARP AV PVARP AV’ PVARP

MTR MTR MTR MTR MTR

AV PVARP AV PVARP AV PVARP AV PVARP

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

2-13

注意: アダプティブレートペーシングの実施は不応期によって制限されない。長い不応期を高い 大センサレート(MSR)と併せてプログラムすると、この組み合わせによってセンシングウィンドウが非常に小さくなったり消滅したりするため、不応期の間に非同期ペーシングが起こることがある。センシングウィンドウを 適化するには、ダイナミック AV Delay またはダイナミック PVARP を使用する。固定値の AV Delay(AV ディレイ)を設定する際は、センシングによる結果を考慮すること。

パルスジェネレータは V–A 間隔を延長して自己伝導と A-A ペーシングレートを維持している。この延長は、AV Delay と自己の心室伝導の差を基に決定する。心房基準タイミングの修正(modified atrial-based timing)と称している(図 2-4)。

パルスジェネレータのタイミングアルゴリズムは心室の自己伝導を伴うMSRにおいて効果的なペーシングを行う。VA間隔を延長させることに

よって、心房ペースが高レート時に MSR を超えないようにしている。

図 2-4. VA 間隔の延長と MSR

ランナウェイ保護回路(Runaway Protection)

単一回路の故障によってペーシングレートが MTR/MSR を超えて上昇することがないようランナウェイ保護回路が設けられている。この機能はプログラム不可能で、パルスジェネレータの主要ペーシング回路とは独立して作動する。

ランナウェイ保護回路はペーシングレートが 205min-1を超えることを抑制する。

注記: ランナウェイ保護回路はランナウェイが絶対に起こらないことを保証するものではない。

PES および Manual Burst (マニュアルバースト)ペーシングの間は、高レートペーシングを行うためランナウェイ保護回路は一時的に作動しなくなる。

心室ペーシング部位(Ventricular Pacing Chamber)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Ventricular Pacing Chamber (心室ペーシング部位)の選択項目ではペーシングパルスを送る部位を選択することができる。

以下の選択項目が利用できる。

• RV Only (RV のみ)

• LV Only (LV のみ)

• BiV (RV および LV)—これを選択すると LV Offset (LV オフセット)が利用可能になる。

AV VA

AV + VA 強制的なVA延長

AV VA

AV + VA +延長

-1

AV 150ms (自己伝導)VA 200ms

ペーシング間隔 = AV + VA = 350ms

-1

AV 150ms (自己伝導)VA 200msVA延長50ms

ペーシング間隔 = AV + VA + VA延長 = 400ms

心房基準タイミングの修正を使用したペーシング

心房基準タイミングの修正を使用しないペーシング

150ms 200ms

150ms 250ms

MSR 400ms (150min [ppm])

MSR 400ms (150min [ppm])

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2-14 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

注記: 装置のタイミングサイクルはすべて右心室によって決まるため、左心室のみのペーシングに設定している場合でも、右心室リードを植込む必要がある。

IS-1 左心室リード接続口を備えた装置の場合、標準設定値の LV Electrode Configuration (左心室電極構成)は None (なし)である。その結果、BiV の標準設定値の Ventricular Pacing Chamber (心室ペーシング部位)設定と組み合わせた場合に、パラメータの相互干渉が発生する。これは、植込まれたLV リードに基づいて適切な LV Electrode Configuration (デュアルまたはシングル)が選択されるようにするためである。

IS4 左心室リード接続口を備えた装置の場合、LV Electrode Configuration (左心室電極構成)はQuadripolar (4 極)に自動的に設定される。

注意: 本装置は両心室または左心室ペーシング治療を行うためのものである。右心室のみのペーシングを行うようにプログラムした場合、心不全の治療には適応されない。心不全の治療を目的とした右心室のみのペーシングの臨床効果はまだ明らかにされていない。

LV Offset (LV オフセット)

Pacing Chamber (ペーシングチャンバ)を BiV に設定すると、LV Offset 機能が有効となり、左心室ペーシングパルスと右心室ペーシングパルス間の遅延時間を調整することができる。LV Offset はプログラミングの柔軟性強化によって、心室の機械的応答を調和させている。

上限レート付近で両心室ペーシングが発生すると、装置は高いペーシングレート(VALITUDE)とプログラムされた心室頻拍検出閾値に合わせて LV Offset (LV オフセット)を自動的に調節する。

図 2-5. LV ペースのプログラム値

注記: プログラムされた AV Delay (AV ディレイ)は RV タイミングに基づいているため、LV Offset (LV オフセット)の影響は受けない。

パルス幅(Pulse Width)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Pulse Width (パルス幅)はパルス間隔とも称され、ペーシング電極間に付加される出力パルスの持続時間を表す。

パルス幅をプログラムするときは以下のことを考慮すること。

• 各パルス幅は、心房/心室ごとに別個にプログラム可能である。

• パルス幅による閾値テストを実行する場合は、少なくとも 3 倍のパルス幅安全マージンを推奨 する。

– +AV Delay PVARP

心房センスまたはペース 右心室ペーシング

-100ms +100ms

LVペースのプログラム値

0ms

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

2-15

• 心臓に送られるエネルギは Pulse Width に直接比例するので、Pulse Width を 2 倍にするとエネルギも 2 倍になる。したがって、安全マージンを適切に保ち、パルス幅を短くプログラムすると電池寿命を長くできる。捕捉不全を防ぐため、パルス幅の恒久的プログラム値を 0.3ms より短くする場合は注意を要する(図 2-6)。

図 2-6. パルス波形

振幅(Amplitude)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

パルス振幅または出力パルスの電圧は、出力パルスの前縁(立上がり)で測定される(図 2-6)。

振幅をプログラムするときは以下のことを考慮すること。

• 各振幅は、心房/心室ごとに別個にプログラム可能である。

• Brady (徐脈)モードは、恒久的プログラミングまたは一時的プログラミングによって Off にプログラムすることができる。Amplitude (振幅)を Off にすると患者の自己調律をモニタすることができる。

• 心房/心室において捕捉閾値を基に少なくとも安全マージンとして 2 倍の電圧値を推奨する。PaceSafe を On にプログラムすると、自動的に安全マージンが適切に保たれ、電池寿命が伸びる可能性がある。

• 心臓に送出されるエネルギは振幅の 2 乗に比例する。つまり、振幅を 2 倍にプログラムするとエネルギは 4 倍となる。したがって、安全マージンを適切に保ち、Amplitude を小さくプログラムすると電池寿命を長くできる。

PaceSafe

PaceSafe 右心房自動閾値(PaceSafe Right Atrial Automatic Threshold (RAAT))

この機能は、VALITUDE で使用できる。

PaceSafe RAAT は、(閾値が 2.5V 以下の場合に)出力電圧を安全マージンの 2 倍に 適化することにより、心房ペーシング出力を動的に調節して心房を確実に捕捉するためのものである。RAAT は 0.4msで 0.2V~4.0V のペーシング閾値を測定し、出力は 0.4ms の固定パルス幅で 小 2.0V、 大 5.0V である。

注記: RAAT が正常に機能するには、機能する RV リードと双極心房リードが必要である。心房の Pace and Sense Lead Configuration (ペースおよびセンスリードの極性)が Unipolar (単極)にプログラムされている場合、Patient Information (患者の情報)画面で双極リードが存在することを示すことが重要である。

注記: RAATは、パルスジェネレータがDDD(R)およびDDI(R)モードあるいはDDI(R)のFallback Mode (フォールバックモード)のときにのみ利用できる。

パルス幅(ms)

振幅

(V)

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2-16 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

RAAT は、Atrial Amplitude (心房振幅)パラメータオプションの Auto (自動)を選択することで、プログラムできる。心房出力を Auto にプログラムすると、24 時間以内に成功したテスト結果が存在しなければ、Pulse Width (パルス幅)は自動的に 0.4ms に調節され、心房の電圧出力は初期値の 5.0V に設定 される。

注記: RAAT を On にする前に、この機能が想定どおりに作動することを確認するためコマンドによる心房自動閾値測定(Commanded Atrial Automatic Threshold Measurement)を行う。RAAT テストは単極で行われ、単極での閾値と双極での閾値が一致しない場合もある。双極の閾値が単極の閾値より0.5V を超えて高い場合は、Atrial Amplitude に固定値をプログラムするか、心房の Pace Lead Configuration (ペースリード極性)を Unipolar にプログラムすることを検討すること。

RAATは典型的なリード植込み基準と0.4msで0.2~4.0Vの心房閾値で作動するよう設計されている。

RAAT のアルゴリズムは心房ペーシング閾値を毎日測定し、電圧出力を調節する。テスト中に、RAATは Evoked レスポンス信号を測定して、各心房ペーシング出力が心房を捕捉していることを確認する。装置で十分な振幅を持った Evoked レスポンス信号を繰り返し測定することができない場合、"Low ER" (低 ER)または"Noise" (ノイズ)のメッセージが表示されることがあり、アルゴリズムはペーシング振幅の初期値 5.0V になる。このような場合には、心房ペーシング振幅を固定値に設定することを検討し、その後のフォローアップでは Commanded RAAT テストで再確認する。リードと組織の接触面のマチュレーションにより RAAT の性能が向上する可能性がある。

テストが成功した場合、Atrial Amplitude (心房振幅)は 後 7 回の成功した ambulatory test で測定された 高閾値の 2 倍に調整される(出力振幅は 2.0V と 5.0V の間)。閾値に対する概日周期の影響を考慮に入れ、適切な安全マージンを確保するために、7 回のテストを使用する。これにより、閾値の突然の上昇による出力の急増への対処も可能になる一方で、出力を低くするには一貫して低い閾値の測定が必要になる(つまり、1 回の低閾値の測定では出力の低下は生じない) (図 2-7)。

注記: 出力は安全マージンの 2 倍に設定され、RV ペーシングは心房ペーシングの直後に発生するため、心拍ごとの捕捉確認やバックアップ心房ペーシングは行われない。

固定の振幅とともに Daily Trend (日常のトレンド)が選択されている場合、自動心房閾値測定は、プログラムされた出力を変更せずに、21 時間ごとに行われる。

RAAT 機能は、さまざまなペーシングリード(高インピーダンス、低インピーダンス、タインド固定またはスクリューなど)と作動するよう設計されている。

図 2-7. RAAT ペーシング出力に対する閾値変動の影響

6.0

5.0

4.0

3.0

2.0

1.0

0.0

値(V

)

閾値

ペーシング出力閾値が1回高くなると、直ちにペーシング出力が上昇する

閾値が1回低くなっても、ペーシング出力は変化しない

テスト失敗4日目のリードアラート発生

5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

2-17

緊急時心房自動閾値測定(Ambulatory Atrial Automatic Threshold Measurement)

テストでは、Unipolar (単極)または Bipolar (双極)のどちらのペース/センスにリードがプログラムされている場合でも、RA 先端から缶(単極)のペーシングベクトルおよび RA リングから缶(単極)のセンシングベクトルを使用する。

RAATが Auto (自動)または Daily Trend (日常のトレンド)になっている場合、21 時間ごとに緊急時心房自動閾値測定を実施し、有効な測定が行われるように以下のパラメータが調整される。

• 心房ペーシング出力振幅の開始値は、現在の RAAT の出力になる。その Amplitude (振幅)値が不合格の場合または使用できる過去の結果がない場合、Amplitude の初期値は 4.0V となる。

• ペーシング振幅は、3.5V を上回る場合は 0.5V ごとに減少し、3.5V を下回る場合は 0.1V ごとに減少する。

• Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)は 85ms に固定される。

• Sensed AV Delay (センス後 AV ディレイ)は 55ms に固定される。

• ペーシングレートの初期値は、平均心房レート、LRL 指示レート、およびセンサ指示レートのうち一番速い値に設定される。

• 心房ペーシング回数が不十分な場合または融合が発生した場合、心房ペーシングレートは10min-1

刻みで上昇する(2 回目に上昇する)が、MTR、MSR、MPR、110min-1、または VT

Detection Rate (VT 検出レート)より 5min-1低い値のうち も低い値を超えることはない。

• LV Offset (LV オフセット)が負の値の場合、テスト中は 0 に設定される。

初期化ペースの後、パルスジェネレータは、閾値が決まるまで、心房出力を 3 ペースごとに下げる。特定の出力レベルで捕捉不全が 2 回発生すると、閾値は一貫した捕捉を示した前回の出力レベルとして宣言される。特定の出力レベルで心拍が 3 回捕捉されると、出力は次のレベルまで低下する。

注記: RAAT 中の捕捉不全が PMT を誘発しないようにするため(さらに、心房センスが多すぎるためにテストが途中で終了されないようにするため)、パルスジェネレータは PMT アルゴリズムを使用する。心房の心拍捕捉不全が起きた場合、その後の P 波のトラッキングを回避するため、その心室イベント後のPVARP は 500ms まで延長される。

日常テストが失敗すると、RAAT は前回決定された出力値に戻り、パルスジェネレータは 1 時間おきに 3回まで再試行する。テストが 4日間成功しない場合、リードのアラートが発生し、RAATはSuspension (一時停止)に入る。

右心房自動閾値の一時停止(Right Atrial Automatic Threshold Suspension)

4 日間連続で Auto モードの ambulatory test が失敗すると、RAAT は Suspension (一時停止)モードに入り、ペーシング出力は 0.4ms において 5.0V で作動する。閾値を評価するためにテストは毎日 3 回まで継続され、パルスジェネレータは、成功したテストで示された低い出力設定に調節される。

RAAT はさまざまなペースメーカリードと作動するように設計されているが、一部の患者ではリードの信号によって心房閾値を測定できない場合がある。このような場合、RAAT は 5.0V で Suspension モードで作動し続ける。Suspension モードが長時間持続される場合は、固定の心房出力をプログラムしてRAAT を Off にすることを推奨する。

コマンドによる心房自動閾値測定(Commanded Atrial Automatic Threshold Measurement)

自動閾値測定は、Threshold Tests (閾値テスト)画面で Test Type (テストの種類)として Auto Amplitude (自動振幅)を選択することで実行できる。テストが成功し、RAAT を On にプログラムすると、出力はテストで測定された閾値(2.0V~5.0V)の 2 倍に自動的に設定される。 後 7 回の成功した日常測定はクリアされ、新しい 7 回のテストサイクルの 初の成功テストとして 新のコマンドテスト結果が使用される。これは、古い ambulatory test データではなく 新のコマンドテスト結果に基づいて、直ちに出力が調整されるようにするためである。Brady Settings (徐脈の設定)画面でRAATアルゴリズムの実際の作動電圧を示す出力電圧を見れば、これを確認することができる。

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2-18 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

テストが成功しなかった場合、テストが成功しなかった理由を示すエラーコードが Threshold Tests 画面に表示され、出力が以前の設定レベルに戻る(表 2-1)。

注記: パルスジェネレータの植込み後の 初の心房閾値テストでは、Test Type フィールドは Auto にシードされる。Test Type フィールドのオプションから必要なテストの種類を選択し、必要に応じて他のプログラマブル数値を調節する。

注記: コマンドによるテストでは、機能する双極心房リードが必要となり、テストは AAI モードで実行される場合がある。

テスト結果とリードのアラート(Test Results and Lead Alerts)

成功した 新の ambulatory testの保存EGMは、Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック)に保存される("不整脈ログブック(Arrhythmia Logbook)")。結果の閾値については Daily Measurement (日常測定)画面を参照。必要に応じて、保存 EGM を確認すると、捕捉不全の発生場所を特定できる。

Daily Measurement 画面と Trends (トレンド)画面では、 大 12 か月分の Ambulatory Threshold Test結果と、テストのエラーコードおよびリードのアラートを確認できる。テスト失敗の理由の詳細情報を提供するため、エラーコードは、テストが失敗した日ごとに表示される。さらに、エラーコードは、コマンドによる自動閾値テストが成功しなかった場合は、Threshold Test (閾値テスト)画面にも表示される。閾値テストのエラーコードを以下に記載する(表 2-1)。

次の条件により Check Atrial Lead (心房リードの確認)アラートが発生する。

• RAAT が Daily Trend (日常のトレンド)モードで、ambulatory test 結果が直近の 4 日間連続で手動でプログラムされた固定の出力を超える場合、Threshold > Programmed Amplitude (閾値> プログラムされた振幅)が表示される。

• Auto (自動)または Daily Trend モードで、4 日間連続でテストが成功しなかった場合、Automatic Threshold Suspension (自動閾値の保留)が表示される。

表 2-1. 閾値テストのコード

コード 理由

N/R: device telem. (記録なし。デバイスのテレメトリ) ambulatory test 中にテレメトリが開始された。

N/R: comm. lost (記録なし。コミュニケータがなくなりま した)

コマンドによるテスト中にテレメトリが失われた。

N/R: no capture (記録なし。捕捉できません) コマンドによるテストの振幅の開始値で捕捉が得られなかった、またはambulatory test の捕捉が 4.0V を超える。

N/R: Mode Switch (記録なし。モードスイッチ) ATR モードスイッチが開始または停止した。

N/R: fusion events (記録なし。融合イベント) 発生した連続イベント数または全融合イベント数が多すぎた。

No Data Collected (データは収集されませんでした) ambulatory test で捕捉が失われずに 小ペーシング振幅に達したか、Autoも Daily Trend も On にされず ambulatory test の結果が得られない。

N/R: battery low (電池残量小) Battery Capacity Depleted (電池容量低下)が原因でテストがスキップ された。

N/R: Noise (ノイズ) センスチャンネルで連続して非常に多くのノイズが発生したか、Evokedレスポンスノイズサイクルが発生した。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

2-19

表 2-1. 閾値テストのコード(続き)

コード 理由

N/R: incompat. mode (記録なし。モードが適合しません) 不適合な Brady (徐脈)モードであった(VDI Fallback (VDI フォールバック)モード、Magnet (マグネット)モードなど)、または Lead Safety Switch (リードセイフティスイッチ)が発生した。

N/R: rate too high (記録なし。Rate が高すぎます) テスト開始時のレートが高すぎた、レート上昇でレートが高くなりすぎた、または 2 回を超えるレート上昇が必要となった。

N/R: user cancelled (記録なし。ユーザがキャンセルしました)

コマンドによるテストがユーザにより停止された。

N/R: intrinsic beats (記録なし。自己心拍) テスト中に非常に多くの心周期が発生した。

N/R: test delayed (記録なし。テストが遅延されました) テレメトリが有効であるため、VT エピソードが既に進行中であるため、またはElectrocautery Protection (電気手術器からの保護)モードであるために、テストが遅延されたか、本体が Storage (保管)モードの間に RAAT が On にされた。

N/R: respiration (記録なし。呼吸) 呼吸アーチファクトが高すぎた。

N/R: low ER (記録なし。低 ER) Evoked レスポンス信号を十分に評価できなかった。

Auto N/R (自動記録なし) コマンドによるテストで捕捉が失われずに 小ペーシング振幅に達したか、 コマンドによるテスト中にテレメトリが手動でキャンセルされた。

Invalid Failure Code (エラーコードが無効です) 予期せぬエラー

PaceSafe 右心室自動閾値(RVAT)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

PaceSafe RVAT は、出力電圧を(2.5V 以下の閾値で)安全マージンの 2 倍に 適化することにより、右心室ペーシング出力を調整して心室を確実に補捉するためのものである。RVAT は 0.4ms で 0.2V~3.0V のペーシング閾値を測定し、出力は 0.4ms の固定パルス幅で 小 2.0V、 大 5.0V である。

注記: RVAT は、DDD(R)、DDI(R)、VDD(R)、および VVI(R)モードで、あるいは VDI(R)および DDI(R)の Fallback (フォールバック)モードのときに利用できる。

RVAT は、Ventricular Amplitude (心室振幅)パラメータオプションの Auto (自動)を選択することで、Onにプログラムできる。3.5V より大きい固定振幅から始める場合は、Auto を選択する前に、3.5V の固定振幅をプログラムしておく。心室出力を Auto にプログラムすると、24 時間以内に成功したテスト結果が存在しなければ、パルス幅は自動的に 0.4ms に調節され、心室の電圧出力は初期値の 5.0V に設定される。

注記: RVAT を On にする前に、この機能が想定どおりに作動することを確認するため Commanded Ventricular Automatic Threshold Measurement を行う。

RVATは典型的なリード植込み基準で作動し、0.4msで 0.2~3.0Vの心室閾値を測定するよう設計されている。

RVAT のアルゴリズムは心室ペーシング閾値を毎日測定し、電圧出力を調節する。テスト中に、RVATは Evoked レスポンス信号を測定して、各心室ペーシング出力が心室を捕捉していることを確認する。

テストが成功した場合、Ventricular Amplitude (心室振幅)は 後 7 回の成功した ambulatory test で測定された 高閾値の 2 倍に 2.0V~5.0V の間で調整される。閾値に対する概日周期の影響を考慮に入れ、適切な安全マージンを確保するために、7 回のテストを使用する。これにより、閾値の突然の上昇による出力の急増への対処も可能になる一方で、出力を低くするには一貫して低い閾値の測定が必要になる(つまり、1 回の低閾値の測定では出力の低下は生じない) (図 2-8)。

注記: 出力は安全マージンとして 2 倍に設定されるため、心拍ごとの捕捉確認は行わない。

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2-20 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

固定の振幅とともに Daily Trend (日常のトレンド)が選択されている場合、自動心室閾値測定は、プログラムされた出力を変更せずに、21 時間ごとに行われる。

RVAT 機能は、さまざまなペーシングリード(高インピーダンス、低インピーダンス、タインドまたはスクリュー型固定など)と作動するよう設計されている。RVAT はペーシングおよびセンシングリードの極性とは独立しており、心室ペースとセンスリードの極性は単極にも双極にもプログラムすることができる。

図 2-8. RVAT ペーシング出力における閾値変化の影響

緊急時右心室自動閾値測定(Ambulatory Right Ventricular Automatic Threshold Measurement)

RVATがAuto (自動)またはDaily Trend (日常のトレンド)に設定されている場合、緊急時心室自動閾値測定を 21 時間ごとに実施する。

心房トラッキングモードでは、有効な測定値が得られるよう自動閾値測定は以下のパラメータを調節 する。

• Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)は 60ms に固定される。

• Sensed AV Delay (センス後 AV ディレイ)は 30ms に固定される。

• LV ペーシングは、RV のみの Evoked レスポンスを評価するために一時的に作動しなくなる。

• 心室ペーシング出力振幅の開始値は 3.5V になる。

• ペーシング振幅は 0.1V ごとに減少する。

• 初のペーシングパルス後には毎回、約 70ms 後に 5.0V のバックアップパルスが発せられる。

非トラッキングモードでは、有効な測定値が得られるよう自動閾値測定は以下のパラメータを調節する。

• Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)は 60ms に固定される。

• LV ペーシングは、RV のみの Evoked レスポンスを評価するために一時的に作動しなくなる。

• 心室ペーシング出力振幅の開始値は 3.5V になる。

• ペーシング振幅は 0.1V ごとに減少する。

• 初のペーシングパルス後には毎回、約 70ms 後に 5.0V のバックアップパルスが発せられる。

6.0

5.0

4.0

3.0

2.0

1.0

0.0

V値(V

)

閾値

ペーシング出力

5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70

閾値が1回高くなると、直ちにペーシング出力が上昇する

閾値が1回低くなっても、ペーシング出力は変化しない

テスト失敗4日目のリードアラート発生

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

2-21

• 心室ペーシングレートは現在のレート(ペーシングまたは自己)より 10min-1上昇し、MPR、MSR、

110min-1、または VT 検出レートより 5min-1

低い値のうちで 低の値までに抑えられる。

注記: 融合(ノイズ収縮と考えられる)が感知された場合、AV間隔とV–V間隔のいずれかまたは両方は、融合収縮と心室の捕捉とを識別するために次の心周期で延長される場合がある。

初期化ペースの後、パルスジェネレータは、閾値が決まるまで、心室出力を 3 ペースごとに下げる。融合または間欠的な捕捉不全が認められると、追加のペーシングパルスが発せられる。閾値は、一貫した捕捉を示した前回の出力レベルとして宣言される。

日常テストが失敗すると、RVAT は以前に決定された出力に戻り、本体は 1 時間ごとに 3 回まで再試行する。テストが 4 日間成功しない場合、リードのアラートが発生し、RVAT は Suspension (保留)に入る。

右心室自動閾値の保留(Right Ventricular Automatic Threshold Suspension)

4 日間連続で Auto モードの ambulatory test が失敗すると、RVAT は Suspension (一時停止)モードに入り、ペーシング出力は 0.4ms において 5.0V で作動する。閾値を評価するためにテストは毎日 3 回まで継続され、パルスジェネレータは、成功したテストで示された低い出力設定に調節される。

RVAT はさまざまなペースメーカリードと作動するように設計されているが、一部の患者ではリードの信号によって心室閾値を測定できない場合がある。このような場合、RVAT は 5.0V で Suspension モードで作動し続ける。Suspension モードが長時間持続される場合は、固定の心室出力をプログラムしてRVAT を Off にすることを推奨する。

コマンドによる右心室自動閾値測定(Commanded Right Ventricular Automatic Threshold Measurement)

自動閾値測定は、Threshold Tests (閾値テスト)画面で Test Type (テストの種類)として Auto Amplitude (自動振幅)を選択することで実行できる。現在プログラムされているペーシングリードの極性でテストが成功し、RVAT を On にプログラムすると、出力は、テストで測定された閾値(2.0~5.0V)の 2 倍に自動的に設定される。 後 7 回の成功した日常測定はクリアされ、新しい 7 回のテストサイクルの 初の成功テストとして 新のコマンドテスト結果が使用される(テストが現在プログラムされているペーシングリードの極性で実施された場合)。これにより、ambulatory test の古いデータではなく、コマンドによるテストの 新の結果に基づいて出力が即座に調節される。Brady Settings (Bradyの設定)画面で RVAT アルゴリズムの実際の作動電圧を示す出力電圧を見れば、これを確認することができる。

コマンドによるテスト中に心拍の捕捉不全が発生するたびに、 初のペースの約 70ms 後にバックアップペーシングが 5.0V で発せられる。

テストが失敗した場合、Threshold Tests 画面にはテストが成功しなかった理由が表示され、出力は以前に設定されたレベルに戻る(表 2-2)。

注記: パルスジェネレータの植込み後の 初の心室閾値テストでは、Test Type フィールドは Auto にシードされる。Test Type フィールドのオプションから必要なテストの種類を選択し、必要に応じて他のプログラマブル数値を調節する。

テスト結果とリードのアラート(Test Results and Lead Alerts)

成功した 新の ambulatory test の保存 EGM は、不整脈ログブックに保存される("Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック)")。結果の閾値については Daily Measurement (日常測定)画面を参照。必要に応じて、保存 EGM を確認すると、捕捉不全の発生場所を特定できる。

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2-22 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

Daily Measurement 画面と Trends (トレンド)画面では、 大 12 か月分の Ambulatory Threshold Test結果と、テストのエラーコードおよびリードのアラートを確認できる。テスト失敗の理由の詳細情報を提供するため、エラーコードは、テストが失敗した日ごとに表示される。さらに、エラーコードは、コマンドによる自動閾値テストが成功しなかった場合は、Threshold Test (閾値テスト)画面にも表示される。閾値テストのエラーコードを以下に記載する(表 2-2)。

次の条件により Check RV Lead (RV リードの確認)アラートが発生する。

• RVATがDaily Trend (日常のトレンド)モードで、ambulatory test結果が直近の 4日間連続で手動でプログラムされた固定の出力を超える場合、Threshold > Programmed Amplitude (閾値 > プログラムされた振幅)が表示される。

• Auto (自動)または Daily Trend モードで、4 日間連続でテストが成功しなかった場合、Automatic Threshold Suspension (自動閾値の保留)が表示される。

表 2-2. 閾値テストのエラーコード

コード 理由

N/R: device telem. (記録なし。デバイスのテレメトリ) ambulatory test 中にテレメトリが開始された。

N/R: comm. lost (記録なし。コミュニケータがなくなりました)

コマンドによるテスト中にテレメトリが失われた。

> 3.0 V コマンドによるテストまたは ambulatory test で 3.5~3.1V の閾値が測定された。

N/R: no capture (記録なし。捕捉できません) コマンドによるテストまたは ambulatory test の振幅の開始値で捕捉が得られなかった。

N/R: Mode Switch (記録なし。モードスイッチ) ATRが開始または停止された(ATRが既に作動していてテスト中に作動したままの場合、テストは失敗しない)。

No Data Collected (データは収集されませんでした) ambulatory test で捕捉が失われずに 小ペーシング振幅に達したか、Auto もDaily Trend も On にされず ambulatory test の結果が得られない。

N/R: battery low (電池残量低下) Battery Capacity Depleted (電池容量低下)が原因でテストがスキップされた。

N/R: Noise (ノイズ) センスチャンネルで連続して非常に多くのノイズが発生したか、Evoked レスポンスノイズサイクルが発生した。

N/R: incompat. mode (記録なし。モードが適合しません)

不適合な Brady (徐脈)モード(Magnet (マグネット)モード)のためにテストが失敗 した。

N/R: rate too high (記録なし。Rate が高すぎます) テストの開始時またはテスト中にレートが高すぎた。

N/R: user cancelled (記録なし。ユーザがキャンセルしました)

コマンドによるテストがユーザにより停止された。

N/R: intrinsic beats (記録なし。自己心拍) テスト中に非常に多くの心周期が発生した。

N/R: test delayed (記録なし。テストが遅延されま した)

テレメトリが有効であるため、VT エピソードが既に進行中であるため、またはElectrocautery Protection (電気手術器からの保護)モードであるために、テストが遅延されたか、本体が Storage (保管)モードの間に RVAT が On にされた。

N/R: respiration (記録なし。呼吸) 呼吸アーチファクトが高すぎた。

N/R: low ER (記録なし。低 ER) Evoked レスポンス信号を十分に評価できなかった。

Auto N/R (自動記録なし) コマンドによるテストで捕捉が失われずに 小ペーシング振幅に達したか、コマンドによるテスト中にテレメトリが手動でキャンセルされた。

Invalid Failure Code (エラーコードが無効です) 予期せぬエラー

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

2-23

感度(Sensitivity)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。 Sensitivity (感度)機能は AGC または Fixed Sensing (固定センシング)にプログラムできる。Sensitivity機能により、パルスジェネレータは、Fixed Sensitivity (固定感度)のプログラム値または AGC の自動的に高まる感度より大きい自己の心内信号を検出することができる。Sensitivity の値を調節すると、心房と心室のいずれかまたは両方のセンシングレンジが動いて感度が鈍く、あるいは鋭くなる。検出およびタイミングは、感知された心内信号を基に決定される。心房と心室の Sensitivity の値は別個にプログラム可能であるが、使用するセンシング方法のタイプ(AGC または Fixed)はすべてのチャンバで同じでなければならない。 • High Sensitivity (高感度・低プログラム値)。Sensitivity を高くプログラムすると、心臓の脱分極と

は関係のない信号も検出する場合がある(筋電位センシングなどのオーバーセンシング)。 • Low Sensitivity(低感度・高プログラム値)。Sensitivity を低くプログラムすると、心臓の脱分極の信

号を検出できない場合がある(アンダーセンシング)。 注意: Single-pass VDD リードにデュアルチャンバペースメーカを接続する場合、心房側電極が心房壁に接触していないことがある。この場合、脱分極信号の振幅測定値は比較的低く、心房感度をより高く設定する必要がある場合がある。 警告: 左心室用リードが心房付近で離脱すると、心房オーバーセンシングや左心室ペーシング抑制の原因となる。

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2-24 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

心房または心室で Sensitivity パラメータの調整が必要となった際は、常にオーバーセンシング/アンダーセンシングが発生しない範囲で自己の活動を適切に感知する設定を選択する。

調整により適切なセンシングが得られない場合、あるいは変更を行った後もオーバーセンシング/アンダーセンシングが認められる場合は、次のいずれかを検討する(個々の患者の特性を考慮に入れる こと)。

• Sensing Method (センシング方法)を Fixed から AGC、または AGC から Fixed に再プログラム する。

注記: 選択した Sensing Method は、すべてのチャンバに適用される。Sensing Method を変更するときは、すべてのチャンバでセンシングが適切であるか確認すること。

• AGC または Fixed の感度を再プログラムする。

• センシングリードの極性を評価する(単極対双極、または双極対単極)。

• 確認されたアンダーセンシングまたはオーバーセンシングを適切に解消するよう不応期またはクロスチャンバブランキング期間を再プログラムする。

• リードの位置を変更する。

• 新たなセンシングリードを植込む。

Sensitivity を変更した場合は、必ずパルスジェネレータのセンシングおよびペーシングが適切であるか評価すること。

注意: Sensitivity パラメータ調整またはセンシングリードの変更後、必ずセンシングが正しいかを確認すること。Sensitivity を 高値( 低感度)にすると、心臓の活動のアンダーセンシングを招くことがある。同様に、 低値( 高感度)にプログラムすると、心臓以外の信号のオーバーセンシングを招くことが ある。

単極センシング(Unipolar Sensing)

単極センシングにプログラムすると、心内信号はリードの先端とパルスジェネレータ本体の間で検出される。単極センシングでは、一般的に双極センシングより低い振幅の自己の心内信号を識別できる。しかし、単極は筋電位に対する感度も高くなる。双極では、先端とリング電極間の距離が比較的短い構造であるので、リード先端およびリング電極付近を起源とする信号に対する感度が 高となる。そのため、筋電位あるいは心臓の脱分極信号とは無関係なその他の信号に対するパルスジェネレータの感度は低くなる。

注記: ペースメーカが植込まれている患者またはリードが単極にプログラムされている患者には、AGCではなく Fixed Sensing (固定センシング)の使用を考慮する。

注記: ブランキング期間の作動は、選択されているリードの極性によって異なる。詳しくはクロスチャンバブランキングを参照("クロスチャンバブランキング(Cross-Chamber Blanking)")。

注意: 単極リード極性では、筋電位ノイズの振幅と発生率が、双極リード極性より高い。単極リード構成の患者で、胸筋を使う活動中に筋電位のオーバーセンシングが発生する場合は、Fixed Sensitivity (固定感度)にプログラムすることを推奨する。

オートゲインコントロール (Automatic Gain Control)

パルスジェネレータでは、心房と心室の両方で感度を自動的に調節するために、Automatic Gain Control (AGC)を使用できる。パルスジェネレータは各チャンバに独立した AGC 回路が設定できる。Sensing Method (センシング方法)を AGC に選択すると、すべてのチャンバに適用される。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

2-25

心臓信号の大きさとレートは大幅に変動する場合があるため、パルスジェネレータには次の機能が必要である。

• 自己心拍をレートや大きさに関係なく感知する。

• 変動する振幅信号を感知するよう調整できるが、異常な心拍には過剰反応しない。

• ペーシング心拍後の自己活動を感知する。

• T 波を無視する。

• ノイズを無視する。

AGC のプログラマブル数値は、ある心拍と次の心拍との間に達することができる 小感度値(下限)である。このプログラマブル数値は、心周期全体で固定されるのではなく、感度レベルは高い値(センスイベントの 大値またはペースイベントの固定値に基づく値)から開始され、プログラムされた下限まで下がる(図 2-9)。

Fixed Sensing (固定センシング)では、Fixed Sensitivity (固定感度)設定より下の信号振幅は、ペーシング中もセンシング中も感知されない。これに対して、AGC では通常、ペーシング中に(または低振幅信号がある場合に)、プログラムされた下限に達する。ただし、中振幅または高振幅信号が感知されると、AGC は通常、感度が低くなり、プログラムされた下限に達しない。

各チャンバ内の AGC 回路は、2 つのステップから成るプロセスで電位図信号を処理し、急激に変動する場合がある心臓信号のセンシングを 適化する。このプロセスを次の図に示す(図 2-9)。

• ステップ 1

1. AGC が、以前の信号ピークの移動平均を使用して、次のピークが発生しそうな検索領域を計算する。

‒ 前回の心拍がセンシング心拍の場合、その心拍は移動ピーク平均に組み込まれる。

‒ 前回の心拍がペーシング心拍の場合、ピーク平均は移動平均とペーシングピーク値を使用して計算される。ペーシングピーク値は設定によって次のように異なる。

‒ 標準設定値以上の感度設定では、固定値になる(初期値は RV では 4.8mV、LV では 8mV、RA では 2.4mV)。

‒ これより感度の低い設定では、これより高い値になり、プログラムされた AGC の下限を使用して計算される(例えば、RV の感度が も低い設定、つまり 高値の1.5mV にプログラムされている場合、ペーシングピーク値 = 12mV)。

次に、ピーク平均を使用して、領域の境界が 大と 小から決まる。

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2-26 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

• ステップ 2

2. AGC が、自己心拍のピークを感知する(または、上記のペーシング心拍のピークの計算値を使用する)。

3. 絶対不応期 + 15ms の間、感度レベルはピーク(または 大)に維持される。

4. ペースイベントの感知されたピークまたは計算されたピーク平均の 75%まで低下する(心室ペースイベントのみ)。

5. AGC は前のステップより 7/8 敏感になる。

6. センシング心拍ステップは RV と LV では 35ms で、心房では 25ms である。ペーシング心拍ステップはペーシング間隔に基づいて調整され、 小レベルで約 50ms のセンシングウィンドウになる。

7. 小(またはプログラムされた AGC の下限)に達する。

‒ 小の値の方が高い場合は、プログラムされた AGC の下限に達しない。

8. AGC は、新たな心拍が感知されるまで、またはペーシング間隔が終了してペースが送られるまで、 小(またはプログラムされた AGC の下限)のままになる。

注記: 感度レベルが下がって新たな心拍が感知されると、AGC はステップ 1 から再度繰り返す。

注記: 信号の振幅が信号発生時に有効な感度閾値より低い場合、その信号は感知されない。

図 2-9. AGC センシング

センス後イベント

ピーク

プログラムされたAGCの下限

絶対センシング限界(32mV)

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 一時的徐脈ペーシング(TEMPORARY BRADY PACING)

2-27

AGC センシングの使用時は、プログラム不可の Dynamic Noise Algorithm (ダイナミックノイズアルゴリズム)がレートチャンネルで有効になる。Dynamic Noise Algorithm は、持続するノイズを減少させるためのものである。Dynamic Noise Algorithm は、各チャンバに別々のノイズチャンネルを利用して、存在するベースラインの信号を持続的に測定し、感度下限を調節してノイズの影響を 小限に抑える。

このアルゴリズムでは、信号の特性(周波数とエネルギ)を使用して、信号をノイズとして分類する。持続するノイズが存在する場合、このアルゴリズムはその影響を 小限に抑え、筋電位のオーバーセンシングおよびそれに関連するペーシングの抑制を防ぐ。感知下限に影響を与えるノイズは心内EGMで確認できる場合があるが、センシング心拍としては表示されない。ただし、ノイズが重大な影響を与える場合は、下限が自己電位図より上のレベルまで上げられることがあり、プログラムされた Noise Response (ノイズレスポンス)の動作(非同期ペーシングまたはペーシングの抑制)が発生する("ノイズレスポンス(Noise Response)")。

注記: Dynamic Noise Algorithm (ダイナミックノイズアルゴリズム)は、AGC が自己活動とノイズを常に正確に区別することを保証するものではない。

固定センシング(Fixed Sensing)

Fixed Sensing (固定センシング)では、Sensitivity (感度)の値は AGC のようには自動的に調節されず、Dynamic Noise Algorithm (ダイナミックノイズアルゴリズム)は使用されない。持続するノイズが存在すると、プログラムされた Noise Response (ノイズレスポンス)の動作が行われる。つまり、非同期ペーシングまたはペーシングの抑制である("ノイズレスポンス(Noise Response)")。マニュアルでの感度設定は、外部からの信号をセンスせず、自己の心内信号のみを正確にセンスする値にプログラムする。振幅が Fixed Sensitivity (固定感度)設定より下の信号は感知されない。

警告: パルスジェネレータは、心房感度が0.15mVの固定値にプログラムされている場合またはいずれのチャンバでも単極リード極性で Fixed Sensitivity (固定感度)が 2.0mV 以下の場合、電磁障害を受けやすくなることがある。このような設定を必要とする患者のフォローアップスケジュールを決定するときは、この影響の受けやすさを考慮に入れること。

一時的徐脈ペーシング(TEMPORARY BRADY PACING)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

パルスジェネレータはプログラムされた Normal Settings (通常設定)と異なる一時ペーシングパラメータ値にプログラムできる。パルスジェネレータのメモリにプログラムされたNormal Settingsを保持しながら代替のペーシング治療による検査が可能である。Temporary (一時)機能を使用している間は、画面に表示されていない他の Bradycardia (徐脈)機能は無効になる。

この機能を利用するには、次の手順を行う。

1. Tests (テスト)タブの Temp Brady (一時的徐脈)タブを選択して Temporary パラメータを表示する。

2. 希望の数値を選ぶ。他のペーシング機能とは別の数値を選択できる。

注記: Temporary Brady (一時的徐脈)の相互干渉は、一時的ペーシングを行う前に修正する必要がある。

注記: Temporary Brady (一時的徐脈)モードとして Off を選択した場合は、一時ペーシングモードが有効な間、パルスジェネレータはセンシングとペーシングを行わない。

3. テレメトリ交信を確立し、Start (開始)ボタンを選択する。一時的数値でペーシングが始まる。ダイアログボックスに Temporary パラメータを使用中である旨が表示され、Stop (中止)ボタンが現れる。

注記: 頻拍性不整脈エピソードの進行中は一時ペーシングは開始できない。

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2-28 ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートアダプティブペーシングおよびセンサトレンディング(RATE ADAPTIVE PACING AND SENSOR TRENDING)

注記: Temporary 機能が停止されるまでに開始できる機能は Emergency therapy (緊急治療)だけで ある。

4. 一時ペーシングモードを停止するには、Stopボタンを選択する。一時ペーシングモードは、PRMから緊急治療を実行する場合、DIVERT THERAPY (治療の中止)キーを押した場合、またはテレメトリが失われた場合にも停止する。

一時ペーシングモードを一度停止すると、プログラムされている Normal 設定に戻る。

レートアダプティブペーシングおよびセンサトレンディング(RATE ADAPTIVE PACING AND SENSOR TRENDING)

レートアダプティブペーシング(Rate Adaptive Pacing)

レートアダプティブペーシングモード(モードの末尾がR)では、患者の活動レベルの変化の検出にセンサを使用しており、必要に応じてペーシングレートを上昇させることができる。レートアダプティブペーシングは変時性機能不全を呈し、身体活動と同時にペーシングレートが上昇することで改善が得られる患者に適応される。

注意: レートアダプティブペーシングを使用するときは、患者がペーシングレートの上昇に耐えられるか十分考慮すること。

Rate Adaptive (レートアダプティブ)パラメータをプログラムすると、活動レベルの上昇に応答してペーシングレートが上昇し、適切に低下する。

注記: 身体活動に自転車こぎのような、上半身での少ない動きが含まれると、中程度のペーシング応答が加速度センサから得られる。

注意: 心不全患者へのレートアダプティブペーシングの臨床上の有用性はまだ研究されていない。レートアダプティブペーシングは、患者に変時性不全など症状が生じた場合に、医学的判断に基づいて使用することが望ましい。心不全患者は速いセンサ駆動レートでは血行動態を損なうことがあるので、患者の状態によってはより穏やかな Rate Adaptive (レートアダプティブ)パラメータの設定を医師が望む場合もある。レートアダプティブペーシングは徐脈性不整脈状態を伴う心不全患者に有用である。心不全による変時性機能不全のみを呈する患者には推奨されない。

加速度センサ(Accelerometer)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Motion-Based Pacing (動きベースのペーシング)では、加速度センサを使用して、患者の身体活動に伴う動きを検出し、体動の強さに比例して電気信号を発する。パルスジェネレータは加速度センサに入力された値に基づき、運動から生じた患者のエネルギ消費量を推定し、その推定量分をレート増加に変換する。

パルスジェネレータは、集積回路の加速度センサによって体動を感知している。加速度センサは一般的な生理的身体活動の周波数範囲(1–10Hz)の動作に反応する。加速度センサは、センサ信号の周波数および振幅を評価する。

• 周波数は、早足で歩行しているときの毎分の歩数など、身体活動がどの程度の頻度で起きているかを示す。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートアダプティブペーシングおよびセンサトレンディング(RATE ADAPTIVE PACING AND SENSOR TRENDING)

2-29

• 振幅は、振動の力の強弱を示す(歩行中に力強く歩いたときなど)。

測定された加速度はアルゴリズムに従って下限レートを超すレートの上昇として置換される。

加速度センサはパルスジェネレータ本体の外装容器には接触していないので、外装容器にかかる圧力には反応しない。

加速度センサには On、Passive、および ATR Only (ATR のみ)の 3 通りの設定がある。パルスジェネレータを恒久的に非レートアダプティブモードにしても、ATR Fallback (ATR フォールバック)モードを加速度センサを使用したアダプティブレートモードにすることができる。この場合、加速度センササブメニューでは ATR Only と表示される。Passive を選択すると、加速度センサによるレート応答を行わないが、Sensor Trending (センサトレンディング)用のデータの収集は続ける。

次のプログラムパラメータによって、加速度センサの数値に対するパルスジェネレータの応答を制御 する。

• Response Factor (応答係数)

• Activity Threshold (活動閾値)

• Reaction Time (反応時間)

• Recovery Time (復帰時間)

Response Factor (応答係数) (加速度センサ) (Response Factor (Accelerometer))

Response Factor (応答係数) (加速度センサ)により、患者の LRL (下限レート)を超える各種活動レベルのペーシングレートの上昇が決定する(図 2-10)。

• High Response Factor (高い応答係数)—少ない運動でペーシングレートが MSR に到達する。

• Low Response Factor (低い応答係数)—ペーシングレートが MSR に到達するのに多くの運動を必要とする。

図 2-10. Response Factor (応答係数)とペーシングレート

到達するペーシングレートは検出された活動レベルあるいはプログラムされたMSRによって制限される。検出された活動レベルにおけるレートが MSR より低くかつ一定のレートであった場合、検出される活動レベルが上昇するとペーシングレートも上昇する(図 2-11)。定常状態時の応答はプログラムされたReaction Time (反応時間)、Recovery Time (復帰時間)とは無関係である。

16 14 12 10 8 6 4 2 1MSR

LRL

標準設定値

低 高

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2-30 ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートアダプティブペーシングおよびセンサトレンディング(RATE ADAPTIVE PACING AND SENSOR TRENDING)

この図は理論上の 2 段階の運動負荷試験における高い設定値および低い設定値の効果を示している。

図 2-11. 運動負荷試験における Response Factor (応答係数)

LRL 設定を上げたり下げたりした場合の応答はこの図の形状を変えず上下させた形となる。

Activity Threshold (活動閾値)

Activity Threshold (活動閾値)は体動と無関係な弱い信号(例えば呼吸による動き、心臓の鼓動など、あるいはパーキンソン病の振戦などの動き)によってレートが上昇するのを防止する。

Activity Threshold (活動閾値)はセンサ駆動によりペーシングレートが上昇する前に超えなければならない活動レベルを表す。活動レベルが Activity Threshold を超えるまでパルスジェネレータのペーシングレートは LRL より上昇しない。Activity Threshold の設定は、軽度の活動(歩行など)でもレートの上昇が得られるが、患者が活動していないときに不必要にペーシングレートの上昇をきたさないよう十分に高い値を選択する(図 2-12 および図 2-13)。

• 低閾値設定—少しの運動でペーシングレートが上昇する。

• 高閾値設定—ペーシングレートを上げるのに多くの運動を必要とする。

図 2-12. Activity Threshold (活動閾値)とレート応答

MSR

LRL

安静時 第1段階 第2段階 安静時

高応答設定

標準応答設定

低応答設定

Activity Threshold ( )

MSR

LRL低 高

低 中中低

中高

非常に高い

V-Lo

w

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートアダプティブペーシングおよびセンサトレンディング(RATE ADAPTIVE PACING AND SENSOR TRENDING)

2-31

この図は理論上の 2 段階の運動負荷試験における Activity Threshold の高い設定値および低い設定値の効果を示す。

図 2-13. 運動負荷試験における Activity Threshold (活動閾値)

反応時間

Reaction Time (反応時間)は、活動レベルの上昇が検出されたときにペーシングレートをどの程度早く必要なレベルまで上昇させるかを決定する。

Reaction Time はレートの上昇に必要な時間にのみ影響する。Reaction Time の設定値は、 高レベルの運動負荷に対してペーシングレートを LRL から MSR に到達させる時間である(図 2-14 および 図 2-15)。

• Short Reaction Time (短い反応時間): ペーシングレートが急速に上昇する。

• Long Reaction Time (長い反応時間): ペーシングレートが緩やかに上昇する。

図 2-14. Reaction Time (反応時間)とペーシングレート

図 2-15. 運動負荷試験における Reaction Time (反応時間)

Activity Threshold ( )MSR

LRL

安静時 第1段階 第2段階 安静時

低閾値設定

標準閾値設定

高閾値設定

(Reaction Slopes)MSR

LRL

0 10 20 30 40 50

短い

標準設定値

長い

Reaction Time ( )MSR

LRL

第2段階

短い

長い

安静時 第1段階 安静時

短い反応時間

標準反応時間

長い反応時間

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2-32 ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートアダプティブペーシングおよびセンサトレンディング(RATE ADAPTIVE PACING AND SENSOR TRENDING)

復帰時間

Recovery Time (復帰時間)により、患者の活動終了時にMSRからLRLまでレートを下げるのに要する時間を決める。患者の活動終了時に急激にペーシングレートが低下することを防止している(図 2-16 および図 2-17)。

• Short Recovery Time (短い復帰時間)—活動の低下あるいは終了時点からペーシングレートが急速に下がる。

• Long Recovery Time (長い復帰時間)—活動の低下あるいは終了時点からペーシングレートが緩やかに下がる。

15 段階の設定が可能であるが、偶数設定のみを示す。

図 2-16. Recovery Time (復帰時間)とペーシングレート

図に理論上の 2 段階の運動負荷試験に対する高い設定値および低い設定値の効果を示す。

図 2-17. 運動負荷試験における Recovery Time (復帰時間)

MSR

LRL616420 1412108

MSR

LRL

標準復帰時間

長い復帰時間

安静時 第1段階 第2段階 安静時

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートアダプティブペーシングおよびセンサトレンディング(RATE ADAPTIVE PACING AND SENSOR TRENDING)

2-33

センサトレンディング(Sensor Trending)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Sensor Trending (センサトレンディング)は検出された患者の活動レベルに対するパルスジェネレータのレートを図示し、運動負荷試験中に有用な情報を提供する。これにより、臨床医は、患者の実際の要求に応じてセンサ駆動ペーシングレートを適合させることができる。

Sensor Trending グラフおよび Sensor Trending Setup (センサトレンディング設定)パラメータは、Rate Adaptive Pacing (レートアダプティブペーシング)画面で確認できる。

Sensor Trendingグラフ(図2-20)から、軽度から中程度の運動で心拍数の範囲が固定されていることがわかる(80~100min-1)。この範囲は、通常歩行および影響の少ない運動時の目標心拍数の目安になり、また、変時性機能不全患者の識別に役立つ。

1 2 この範囲は、患者の年齢や運動の種類などの要因により、変動することがある

2。

図 2-20. 運動範囲が示された Sensor Trending グラフ

1. Scherr, J. et al., Associations between Borg's rating of perceived exertion and physiologic measures of

exercise intensity. Eur J. Appl Physiol, Vol. 113 (1): 147-155, 2013. 2. Newman et al., Walking Performance and Cardiovascular Response:Associations with Age and

Morbidity—The Health Aging and Body Composition Study. J. of Gerontology, Vol. 58A (8): 715-720, 2003.

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2-34 ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートアダプティブペーシングおよびセンサトレンディング(RATE ADAPTIVE PACING AND SENSOR TRENDING)

Setup (セットアップ)には以下の選択項目が含まれる。

• Recording Method (記録方式)—プログラム可能

‒ 30-Second Average (30 秒平均)。平均レートを 30 秒ごとに記録して図示する。

‒ Beat to Beat (心拍ごと)。各心拍のレートを記録して図示する。

注記: Beat to Beat は、廊下の歩行やこれより短い期間の活動を使用してセンサレートを手動で 適化する場合に推奨される。

‒ Off。トレンディングデータは収集されない。

• Duration (持続時間)—プログラム不可で、選択した Recording Method に基づく。

‒ Recording Method を Off または 30-Second Average に設定すると、Duration は約 25 時間になる。

‒ Recording Method (記録方式)を Beat to Beat (心拍ごと)に設定した場合––Duration (持続時間)は 75min-1

で約 40 分になる。

• Data Storage (データ保存)。プログラム可能:

‒ Continuous (連続的)。 新のデータのみ保存される。設定開始の確認から情報が読み取られるまで、古いデータから順に上書きされ連続的に記録される。データを読み取る直前までの期間のデータを見ることができる。

‒ Fixed (固定)。設定開始の確認から連続的に本装置の保存メモリが満たされるまでの期間が保存される。これにより設定開始から一定の期間のデータを見ることができる。

パルスジェネレータはレートおよびセンサのデータを収集し、保存する。次に、このデータは、記録時間中における患者の Actual Rate (実際のレート)および Sensor Replay (センサリプレー)として、PRM にグラフ形式で表示される。

Actual Rate (実際のレート) (黒い線)は活動時の患者の心拍数(ペーシングまたはセンシング)を示す。Sensor Replay (オレンジ色の線)は現在のセンサパラメータ設定によるセンサ駆動心拍数を示す。グラフの水平軸のスライダを動かすと、実際の心拍数とセンサ指示レートの心拍数が特定のデータポイントに対して表示される。また、特定のデータポイント(心拍ごとまたは 30 秒平均)で表示されている心房イベントが分類され、Actual Rate の横に表示される。イベントは Paced (ペーシング)、Sensed (センシング)、Sensed in ATR (ATR でのセンシング)のいずれかまたは複数として区分され、表示される。このイベントのタイプは、VVI(R)モードで心室イベントに影響を与える。

現在のセンサパラメータを調節し、運動負荷試験を繰り返さずにセンサレートの作動に対する変更の結果を見ることができる。

パルスジェネレータは、レートアダプティブモードと非レートアダプティブモードでデータを収集し、保存できる。非レートアダプティブモードでは、トレンディングは Passive (受動的)センサ設定で収集される。Passive に設定すると、センサデータを収集し、これを利用してセンサ駆動のレート応答なしでセンサを

適化することができる。ただし、センサ設定が Passive の場合、Sensor Replay データは、レート応答モードが選択されるまでグラフに表示されない。

ワンドを使用したテレメトリまたは RF テレメトリ交信中、パルスジェネレータは Sensor Trending データを記録する。

心拍数が完全にセンサ駆動の場合も、Actual Rate と Sensor Replay にわずかな違いが観察される場合がある。これは、それぞれがわずかに異なる方法で別々に計算されているためである。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 心房頻拍応答(ATRIAL TACHY RESPONSE)

2-35

トレンディングデータの使用(Working with Trending Data)

Sensor Trending (センサトレンディング)機能を利用するには、次の手順を行う。

1. 運動セッション後、Sensor Trending グラフに移動し、Interrogate (イントロゲート)を押してトレンディング情報を更新する。トレンディングデータは 初のイントロゲーションで読み取られる。患者が廊下を歩いている間にセッションがアクティブなままの場合は、Interrogate を再度押してトレンディング情報を更新する。

2. View (表示)ボタンを選択し、一度に表示されるデータの量を拡大または圧縮する。グラフの下部の開始および終了の日時は、グラフ上で表される時間を反映するように変更される。30-Second Average Recording Method (30 秒平均記録方式)には 1~25 時間の選択項目があり、Beat to Beat (心拍ごと)の Recording Method には 5~40 分の選択項目がある。

3. グラフに表示されるデータを調節する、または特定のデータポイントを表示するには、ウィンドウ下部の水平軸に沿ってスライダを動かす。

4. レートアダプティブのペーシングパラメータによりセンサの応答がどのように調整されるかを見るために、センサパラメータをグラフの右側に調節する(オレンジ色の線)。これらのパラメータまたはMSR と LRL (あるいは両方)を画面上で変更すると、アプリケーションによりグラフが変更されて、結果として得られる効果が示される。患者の心拍数が活動状態に見合っている場合には、センサの 適化は必要ない。

5. 患者の心拍数が運動に見合った範囲内に収まっている場合は、Program (プログラム)を選択 する。

注記: センサトレンディングの結果は Reports (レポート)タブからプリントできる。プログラマ画面に示されている現在のグラフに加えて、(現在プログラムされている) Present (現在)パラメータと(臨床医が調節した) Replay (リプレー)パラメータも記載される。

心房頻拍応答(ATRIAL TACHY RESPONSE)

ATRモードスイッチ(ATR Mode Switch)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

ATR は、病的な心房性不整脈に応答した MTR または上限レートでの作動(2:1 ブロックまたはウェンケバッハ)による心室ペーシングレートの合計時間を制限することを目的としている。

ATR は病的な心房頻拍によって抑制されている CRT の合計時間も制限する。

検出された心房活動が ATR Trigger Rate (ATR 開始レート)を超えると、パルスジェネレータは次のようにペーシングモードをトラッキングモードから非トラッキングモードに切り替える。

• DDD(R)から DDI(R)または VDI(R)

• VDD(R)から VDI(R)

ATR の作動例を示す(図 2-21)。

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2-36 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 心房頻拍応答(ATRIAL TACHY RESPONSE)

図 2-21. ATR の作動

注意: 患者に心房頻拍性不整脈の既往歴がある場合、ATRはOnに設定する。ATRモード変換が起こると、AV 同期が行われなくなるため、CRT 治療が損なわれる。

心不全患者に心房頻拍性不整脈のエピソードが起きると、AV 同期が中断するため、CRT が損なわれる。ATR は房室同期を復帰させることはできないが、MTR から ATR Fallback LRL、VRR レートあるいはセンサ指示レート(DDIR または VDIR)での両心室ぺーシングに速やかに切り換えることができる。ATR Duration (ATR持続時間)とATR Fallback Time (ATRフォールバック時間)を短くプログラムするとより速やかにモードが切り替えられ、より早く両心室ペーシングレートに下降する。

正常な房室伝導のある患者では、ATR エピソード時に自己心室レートになることがある。ATR エピソード中に、自己心室レートが両心室ペーシングレートを上回った場合、両心室ペーシングは抑制される。このような患者では VRR および BiV Trigger 機能を On にすることを考慮する。

注記: ATR では、恒久的にプログラムされた Ventricular Pacing Chamber (心室ペーシングチャンバ)に関係なく、ペーシング部位は常に両心室である。

注記: 心房感知ウィンドウを減少するパラメータ設定は、ATR 治療を抑制することがある。

ATR Trigger Rate (ATR 開始レート)

ATR Trigger Rate (ATR 開始レート)は、パルスジェネレータが心房頻拍を検出開始するときのレートである。

パルスジェネレータは心房ブランキング期間とノイズ防御期間以外の全ペーシングサイクルで心房イベントをモニタしている。心房イベントが Trigger Rate を超すと ATR 検出カウンタの数が増加し、心房イベントが Trigger Rate より下になるとカウンタは減少する。

ATR 検出カウンタがプログラム可能な Entry Count (開始カウント)に達すると、ATR Duration (ATR 持続時間)が始まる。ATR 検出カウンタがどの時点においてもプログラムされた Exit Count (終了カウント)からゼロに達すると、ATR Duration、フォールバックの両方またはいずれかは中止され、ATR アルゴリズムはリセットされる。イベントマーカには、ATR 検出カウンタの増加あるいは減少が示される。

ATRカウンタ

持続時間カウンタ

0 8 08

Exit Count(終了カウント) = 88心房周期 <ATR Trigger Rate(ATR開始レート)

N

Entry Count(開始カウント) = 88心房周期 >ATR Trigger Rate(ATR開始レート)

レート

MODE SWITCHING (モードスイッチング)

DDDRDDDR

ATR Trigger Rate(ATR開始レート) =

170min -1 (ppm)

MTR =120min -1 (ppm)

Atrial Rate (心房レート)

センサレート

ATR Fallback LRL (ATRフォールバックLRL) =

70min -1 (ppm)

LRL = 60min -1 (ppm)

Right VentricularRate (右心室レート)

AtrialTachycardia (心房頻拍)開始

Atrialtachycardia(心房頻拍)確認

ATR Duration(ATR持続時間)終了

心房頻拍終了 Atrialtachycardia(心房頻拍)終了の確認

RateSmoothing(レートスムージング)の適応

Rate Smoothingジ グ 適応

VDIR

検出 持続時間 フォールバック リセット

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 心房頻拍応答(ATRIAL TACHY RESPONSE)

2-37

ATR Duration (ATR 持続時間)

ATR Duration (ATR 持続時間)は、心房イベントが初期検出(開始カウント)合致後に引き続き評価されている期間の心室周期(Cycles)の数を決定するプログラマブル値である。この機能は短い非持続性 心房頻拍エピソードによってモードスイッチの発生を防止している。ATR Duration 中に ATR カウンタがゼロに到達すると、ATR アルゴリズムはリセットされ、モードスイッチは発生しない。

心房頻拍がプログラムされた ATR Duration の間継続すると、モードスイッチングし、Fallback Mode (フォールバックモード)と Fallback Time (フォールバック時間)が開始される。

開始カウント(Entry Count)

Entry Count (開始カウント)は 初の心房性不整脈検出期間を決める機能である。

設定値を小さくすると、 初の心房性不整脈の検出に必要な心房頻拍イベント回数が少なくなる。心房頻拍イベントの回数が設定した Entry Count と同じ値になると、ATR Duration が開始され、Exit Count (終了カウント)が有効になる。

注意: 短い ATR Duration とともに、開始カウントを少ない数値に設定するときは注意すること。早期の心房イベントが数回発生するだけで、ATR モードへのスイッチングが簡単に起きてしまう。例えば、開始カウントが2、ATR持続時間が0に設定されている場合、心房での速い間隔2拍で、モードが変換する。この場合、早期の心房イベントが連続して発生すると、モードスイッチが起きることがある。

終了カウント(Exit Count)

Exit Count (終了カウント)により、心房性不整脈が検出されなくなってからどの程度の期間内に ATR アルゴリズムを終了させるかを決める。

設定値を低くすると、心房性不整脈が停止した場合に短時間で心房トラッキングモードに戻る。心房イベントの回数が設定したExit Countと同じ値になると、ATR Duration、Fallbackのいずれかまたは両方が終了し、ATR アルゴリズムがリセットされる。ATR Exit Count は心房イベントが ATR Trigger Rate より低下するか、 後の心房イベントから 2 秒以上経過した後に心室イベントが発生したときに減少する。

注意: Exit Count を少ない値にプログラムする場合は注意すること。例えば Exit Count が 2 に設定されている場合、数拍の心房アンダーセンシングで、モード変換が終了してしまうことがある。

フォールバックモード(Fallback Mode)

Fallback Mode (フォールバックモード)は、ATR Duration が終了するとパルスジェネレータが自動的に切り換える非トラッキングペーシングモードである。

モードが切り替わった後は、徐々に心室ペーシングレートが下降する。この下降は Fallback Time のパラメータによって制御される。

注記: デュアルチャンバペーシングフォールバックモードは通常ペーシングモードがデュアルチャンバに設定されている場合にのみ利用できる。

注記: ATR Fallback (ATR フォールバック)モードは、恒久的 Brady (徐脈)モードが非レート応答の場合でもレート応答にプログラムできる。この条件では、センサパラメータが「ATR Only (ATR のみ)」を 示す。

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2-38 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 心房頻拍応答(ATRIAL TACHY RESPONSE)

フォールバック時間(Fallback Time)

Fallback Time (フォールバック時間)はフォールバックでペーシングレートが MTR から ATR Fallback LRL (ATR フォールバック LRL)に下降する速さを決める。ペーシングレートは、センサ指示レート、VRRレート、ATR Fallback LRL のうち も高いレートに下降する。

フォールバック中、以下の機能は無効になる。

• Rate Smoothing (レートスムージング)—フォールバックが ATR Fallback LRL、あるいはセンサ指示レートに到達するまでは作動しない。VRR が有効な場合、モードスイッチ中の Rate Smoothingは無効である。

• Rate Hysteresis (レートヒステリシス)

• APP/ProACt

• PVARP Extension (PVARP の延長)

フォールバック LRL(Fallback LRL)

ATR Fallback LRL は モードスイッチング中に到達する下限レートのプログラムパラメータである。ATR Fallback LRL は、恒久的 Brady パラメータの LRL より高くまたは低くプログラムすることができる。

レートは、センサ指示レート(該当する場合)、VRR レート(有効な場合)、ATR Fallback LRL のうち も高いレートに下降する。

ATR エピソードの終了(End of ATR Episode)

End of ATR Episode (ATR エピソードの終了)は、心房性不整脈が検出されなくなり、パルスジェネレータが房室同期作動に戻る時期を示す。

不整脈が停止するとATR Exit Count (ATR終了カウント)は設定値から0に向かって減少していく。ATR Exit Count が 0 に到達すると、ペーシングモードは自動的に設定されたトラッキングモードに切り替わり、房室同期作動が復帰する。

心室レート制御(Ventricular Rate Regulation (VRR))

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

VRR は断続的に伝導する心房性不整脈の発生時に心室ペーシングレートをやや上昇させることによりV-V 周期長の変動を少なくする機能である。さらに、VRR は伝導した心房不整脈発生時に CRT を維持する。

VRR アルゴリズムは現在の V-V 周期長と以前の VRR 指示によるペーシング間隔を加重して、VRR 指示のペーシング間隔を計算する。

• センシング間隔よりもペーシング間隔の方がより影響を与えるため、ペーシングイベントは VRR 指示レートを減少させる。

• センシング間隔では、VRR 指示レートが増加することもあるが、その影響は直前の履歴によって抑えられる。

• VRR 指示レートは、さらに LRL と VRR MPR によって制限されている。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 心房頻拍応答(ATRIAL TACHY RESPONSE)

2-39

VRRのプログラマブル数値はMin ( 小値)、Med (中央値)、およびMax ( 大値)である。プログラム範囲は次のようにレート制限の度合いに影響を与える。

• 高い設定値は低い設定値より CRT を増加させる(Max と Med)。

• 高い設定値は低い設定値より V-V の変動を減少させる。

• 低い設定値では V–V の変動範囲が広くなり、両心室ペーシング率が低くなる。

注記: VRR は心房性頻拍性不整脈発生時に CRT を増加させる可能性があるため、 大の設定で Onにプログラムし、心室ペーシング率を上げ、伝導した心房性頻拍性不整脈発生時にCRTが 大限に行われるようにする。

トラッキングモードで VRR が On にプログラムされている場合、VRR は ATR モードスイッチが作動しているときのみ有効である。心房性不整脈の終了後にトラッキングモードが再開すると、VRR は非作動になる。トラッキングモードで、Rate SmoothingとVRRがともにOnにプログラムされている場合、ATR時に VRR が有効なときは Rate Smoothing が非作動になり、ATR が終了すると再び作動する。

非トラッキングモードで On にプログラムされていると、VRR は常時作動し、VRR 指示ペーシングレートおよびスムージングされた平均値が心周期ごとに更新される。

Ventricular Rate Regulation Maximum Pacing Rate (VRR MPR) (心室レート制御 大ペーシングレート)

VRR MPR は VRR の 大ペーシングレートを制限する。

VRR は LRL と MPR の間で作動する。

両心室トリガ(Biventricular Trigger)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Biventricular Trigger (BiV Trigger) (両心室トリガ)は右心室センシングイベントの発生時に右/左心室の収縮を同期させる機能である。PVCをはじめ、右心室のセンスイベント直後に左心室/右心室をペーシングする。VRR 機能とともに使用すると、BiV Trigger は心房頻拍時の CRT の付加機能にもなる。

Biventricular Trigger は LRL と MPR の間で作動する。BiV Trigger の結果として生じるペーシングは、RVP-Trおよび LVP-Trと表示され、LV オフセットは適用されない。これらのトリガイベントは RVS およびLVP カウンタにカウントされる。

Biventricular Trigger は通常のペーシングおよび ATR Fallback で個別にプログラム可能である。

注記: パルスジェネレータが RV または LV のみにプログラムされている場合、BiV Trigger が有効になっていると、両心室のペーシングが実施される。

Biventricular Trigger Maximum Pacing Rate (MPR) (両心室トリガ 大ペーシングレート)

Biventricular Trigger MPR (両心室トリガ MPR)は Biventricular Trigger (両心室トリガ)が到達できる大ペーシングレートを制限する。

心房粗動応答(Atrial Flutter Response (AFR))

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

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2-40 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 心房頻拍応答(ATRIAL TACHY RESPONSE)

AFR (心房粗動応答)は次のように機能する。

• 心房のセンス後の受攻期にペーシングされることを防止する。不応期心房のセンスの直後に心房ペーシングが予定されていると、受攻期にペーシングされることがある。

• 心房レートが AFR Trigger Rate を超すと直ちに非トラッキングになる。

この非トラッキングの作動は心房イベントが AFR Trigger Rate を超え続けている間、継続される。

例: AFR を 170min-1にプログラムした場合、心房イベントが PVARP 内あるいは直前に開始した AFR

間隔内で検出されると、353ms (170min-1)のAFRウィンドウが開始する。AFR内で心房イベントが検出されると不応期内検出として区分され同期(Tracking)しない。心房トラッキングは PVARP および AFRウィンドウがともに終了した後にのみ実施される。AFR 内に入る予定の心房ペーシングは AFR ウィンドウが終了するまで遅延する。次に続く心室ペーシングまでの残り時間が 50ms より短い場合は、この周期の心房ペーシングは抑制される。

注記: この機能は、房室同期への影響により、プログラムされているAV Delay (AVディレイ)を無効にし、一時的に CRT の効果に影響を与える場合がある。

心室ペーシングは AFR によって影響を受けることはなく予定が変更されることもない。AFR Trigger Rate のプログラム値を広く設定することで、心房粗動が緩やかな場合でも適切にセンシングを行う。高レートの心房センスは AFR ウィンドウを連続的にトリガするため、VDI(R)フォールバックモードと類似した作動が効果的に生じる。

注記: 設定された AFR レート基準を満たす心房性不整脈では、AFR 機能は心室ペーシングレートを低下させることがある。

注記: AFR および ATR が有効で心房性不整脈が認められる場合には、直ちに非トラッキング心室ペーシングが起こるが、ATR Mode Switch (ATR モードスイッチ)に長い時間を要する場合がある。これは、ATR Duration (ATR 持続時間)機能は持続時間を満たしている心室サイクルを数えているのに対し、AFR 機能は早い心房性不整脈に対する心室ペーシング応答を遅延させる機能だからである。

PMTの停止(PMT Termination)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

PMT Termination (PMT の停止)はペースメーカ起因性頻拍(PMT)を検出し、停止させるための機能である。

心房細動、PVC、PAC、心房オーバーセンシング、心房捕捉不全など多くの理由で房室同期が失われることがある。房室同期が失われたときに逆行伝導路が存在する場合には、非同期拍動が心房に逆行伝導し、心房期外収縮をきたすことがある。DDD(R)および VDD(R)ペーシングモードでは、PVARP 後の逆行伝導 P 波が検出される場合がある。逆行伝導のセンシングとトラッキングを繰り返すことを PMTといい、これにより、MTR と同じ速さのトリガされた心室ペーシングレートが生じる場合がある。特定の不応期(PVARP after PVC など)をプログラムすると、逆行イベントをトラッキングする可能性を低減することができる。逆行伝導に対するパルスジェネレータの応答を制御するには、Rate Smoothing (レートスムージング)をプログラミングすることも有効である。

パルスジェネレータの逆行性伝導に対する応答が、デバイスの設定で制御されなかった場合、次の条件を満たせば、PMT Termination (PMT の停止) (On に設定されている場合)を利用して開始後 16 サイクル以内に PMT を検出し、終了させる。

• 心房センスイベント後の MTR で 16 回連続した心室ペーシングがカウントされた。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 心房頻拍応答(ATRIAL TACHY RESPONSE)

2-41

• MTR における 16 心室ペーシングイベント中の 2 拍目の V-A 間隔測定値の前後 32ms 以内に16V-A 間隔がすべて入る(ウェンケバッハ現象と PMT を区別するため)。

以上両方の条件を満たしたら、PMT を止めるため 1 心周期だけ PVARP が 500ms の固定値に設定される。両方の条件を満たしていない場合、パルスジェネレータは PMT の有無を確認するため連続する心室ペーシングの監視を続ける。

PMT Termination を On に設定すると、パルスジェネレータは PMT エピソードを Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック)に保存する。

注記: V-A 間隔の評価は真の PMT (安定した V-A 間隔)と洞性頻脈または通常の運動反応による高レート域での現象(通常は不安定な V-A 間隔)を識別する際に有用であるが、患者の自己心房レートがPMT 検出基準を満たしてしまう可能性がある。このような場合には、PMT Termination を On に設定するとアルゴリズムがこのリズムを PMT と判定し、16 回目のサイクルで PVARP を延長する。

注記: 逆行伝導時間は医学的状態の変化により患者の生涯にわたって変動する可能性があるため、必要に応じてプログラミングを変更する必要がある。

保存されている EGM に逆行伝導が認められる場合には、電位図を評価するか閾値テストを実施すると、心房ペーシングおよびセンシングが適切であることを確認することができる。保存されている EGM が見られない場合には、以下の手順に従い、PRM を利用して V-A 間隔を評価する。

1. Tests (テスト)画面の Temp Brady (一時的徐脈)タブを選択する。

2. 心房マーカ付きの適切な心房センシングモードをプログラムする(VDD、DDD、DDI)。

3. 大 PVARP を平均逆行伝導時間より短い値にプログラムする。

注記: 文献では平均逆行伝導時間は 235 ± 50ms (範囲 110~450ms)とされている。3

4. ペーシングが自己心房レートを上回るように LRL をプログラムする(例えば 90、100、110...)。

5. リアルタイム ECG の印刷を開始する。

6. Start ボタンを選択して一時パラメータを有効にする。

7. 指定した LRL 値のテストが終了したら、Stop (中止)ボタンを選択する。

8. リアルタイム ECG の印刷を中止する。

9. V-A伝導(VP後のAS)についてECG記録を評価する。逆行伝導を示唆する安定し、一貫した間隔を探す。

• 逆行伝導が確認されたら、逆行 V-A 間隔時間とプログラムされた不応期とを比較する。PVARP を適切な値にプログラムし、逆行イベントがトラッキングされないようにする。

• 逆行伝導が確認されなかった場合には、PMT エピソードは通常の高レート域での現象によるものと考えられる。ヒストグラムを確認してレートがどの程度の頻度で MTR になるかを調べ、(臨床的に適切であれば) MTR を高くする。

3. Furman S, Hayes D.L., Holmes D.R., A Practice of Cardiac Pacing. 3rd ed. Mount Kisco, New York: Futura

Publishing Co.; 1993:74-75.

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2-42 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 心房頻拍応答(ATRIAL TACHY RESPONSE)

10. 逆行伝導はさまざまなレートで発生するため、必要に応じて LRL 値を変えてこの手順を繰り返す。

心房ペーシングの優先とProACt (Atrial Pacing Preference (APP) and ProACt)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Atrial Pacing Preference (APP) (心房ペーシングの優先)と ProACt は、ペーシングレートを上昇させることにより心房ペーシングを促進する機能である。APP と ProACt は同じように機能するアルゴリズムを利用している。ただし、ProACtアルゴリズムは心房性期外収縮(PAC)に反応し、APPのアルゴリズムは心房性期外収縮以外に反応する。

APP と ProACt は心房性不整脈エピソードを減らすよう設計されている。

PAC の判定(PAC Determination)

パルスジェネレータは心房センシングイベント直前の 4 つの A–A 間隔の平均を計算することにより、PACの発生を判断する。A–A間隔の測定には心房ペーシングイベントおよび心房センシングイベントの両方を利用する(図 2-22)。心房センシングイベントが発生した場合は、直前の A–A 間隔が平均間隔の75%より短く(直前の 4 つの間隔で計算)、600ms より短いとき、PAC に分類される。心房ペーシングイベントは PAC に分類されない。

注記: ATR モードスイッチが行われているときは PAC の検出はされない。

注記: 平均間隔の計算に利用する A–A 間隔が 2000ms を超える場合、計算に利用する間隔は2000ms とする。

図 2-22. PAC の検出

心房ペーシングの優先(APP) (Atrial Pacing Preference (APP))

Atrial Pacing Preference (心房ペーシングの優先)は、PAC以外の不応期外心房センシングイベントが発生したときに心房ペーシングレートを上昇させることで心房ペーシングを促進するアルゴリズムである。

AS–VSイベントが発生すると、APPは次の心周期のA–A間隔を 10ms短縮し、心房ペーシングを確保されやすくする。AS–VP イベントが発生すると、APP は次の心周期の V–V 間隔を 10ms 短縮する。

また、連続して 4 心周期発生した場合は、V–A 間隔を 10ms 延長することにより、ペーシングレートを徐々に LRL に戻す。各心周期は以下のカテゴリのいずれかに分類される。

• 唯一の心房イベントとしての不応期心房センス

• 心房イベントなし

• PAC

心房センシング

平均間隔 = 380ms

A-A間隔

心房間隔の合計を計算。

心房センシングイベント後の現在の間隔は600msより短く、平均間隔の75%より短い。したがってPACに分類される。

400 380 360 380 247

2 14 3

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートの強化(RATE ENHANCEMENTS)

2-43

• 心房ペース

• 後の心房イベントが、少なくとも 1 つの PAC に続く不応期外心房センスである複数の心房イベント

この新しい V–A 間隔は、記載のとおり、自己心房イベントが検出されアルゴリズムによって A–A またはV–V 間隔が短縮されるか、再び V–A 間隔が 10ms 延長するまで使用する。

APP/ProACt が有効なときは SBR および Rate Hysteresis (レートヒステリシス)は無効である。また、ペーシングレートが APP/ProACt Max Pacing Rate (APP/ProACt 大ペーシングレート)以下の場合、Rate Smoothing Up (レートスムージング上昇)は無視される。APP/ProACt 作動の例を以下に示す (図 2-23)。

図 2-23. 心房ペーシングの優先

APPはDDI(R)およびDDD(R)モード時のみ使用できる。APP/ProACtペーシングレートはプログラム可能な APP/ProACt MPR によって制限される。

ProACt

PAC が認められる場合、心房ペーシングが起こる可能性を高めるため、ProACt はペーシングレートを上昇させる。

直前の心房イベントが PAC であった場合、ProACt のアルゴリズムは PAC の前の V-V 間隔の 75%を計算し、その計算したV-V間隔を次の周期の間隔として心房ペーシングを促進する。非PACセンシングあり、心房イベントなし、または心房ペースありの連続 4 心周期が発生した場合は、V–V 間隔を 10ms延長することにより、ペーシングレートを徐々に LRL に戻す。この新しい V–V 間隔は、記載のとおり、PAC が発生しアルゴリズムによって V–V 間隔が短縮されるか、再び V–V 間隔が 10ms 延長するまで使用する。

APP/ProACt Maximum Pacing Rate (MPR) (APP/ProACt 大ペーシングレート)

APP/ProACt 指示レートはプログラム可能な APP/ProACt Max Pacing Rate (MPR) (APP/ProACt大ペーシングレート)値によって制限される。

レートの強化(RATE ENHANCEMENTS)

トラッキングの優先(Tracking Preference)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Tracking Preference は PVARP に入った心房イベントを検出して、DDD(R)や VDD(R)モードでの心房に同期(Tracking)した心室ペーシングを保持する目的の機能である。この機能は MTR をわずかに下回る心房レートでの CRT を補助するが、それ以外では治療は抑制される。

洞レート

APP/ProACtレート

自己

APP/ProACt MPR間隔を10ms短縮する(ペーシングレートを上げる)。

自己レートが下降している。ペーシングレートが自己レートより高い。したがって間隔を10ms延長する(ペーシングレートを下げる)。

自己レートを検索する。自己心拍を感知しなかった。したがってペーシングレートを再び下げる。

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2-44 ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートの強化(RATE ENHANCEMENTS)

患者の長い自己房室心内伝導時間と長いPVARP が組合わさると心房イベントが PVARP に入ってしまう場合がある。PVARP内での心房センシングイベントに続いて、右心室イベントが2周期連続で感知されると、パルスジェネレータは正常な心房に同期した心室ペーシングが確立するまで PVARP を短縮する。PVARP は、A-Blank after RV-Sense (RV センス後の A ブランキング)クロスチャンバブランキング期間が終了した後で発生する心房イベントでトラッキングが発生するのに必要なだけ短縮される。心房トラッキングが再び確立されると、AV Delay (AV ディレイ)が延長され MTR の違反を防ぐ。短縮された PVARP は、プログラムされた AV Delay で心室ペーシングが発生するまで有効な状態に保持される。Tracking Preference を On にプログラミングすることで、PVARP と自己房室心内伝導時間の合計が MTR 間隔より長いと、通常は CRT が抑制されるレートである MTR 未満でも連続した CRT が遂行される。

Tracking Preference が心房レートに与える影響を以下に示す(図 2-24)。

注記: 心房レートの間隔がMTR間隔と同じか、あるいは大きいときTracking Preference (トラッキングの優先)は抑制される。これにより、潜在的に病的な心房レートおよび PMT のトラッキングが防止される。

図 2-24. PVARP に入った心房イベントの Tracking Preference (トラッキングの優先)

レートヒステリシス(Rate Hysteresis)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Rate Hysteresis (レートヒステリシス)によりペーシング刺激の回数を少なくし、ペースメーカの寿命を延長させることができる。この機能は DDD および AAI モードで利用可能であり、不応期外で心房イベントを 1 回検出すると始動する。

DDD および AAI モードではヒステリシスレートで心房ペーシングが 1 回発生した場合に終了する。DDDモードでは心房レートが MTR を超えた場合に終了する。

Rate Smoothing Down (レートスムージング下降)を有効にした場合、ヒステリシスレートでペーシングが行われるまで Rate Hysteresis (レートヒステリシス)は有効な状態に保持される。これにより、Rate Smoothing (レートスムージング)はヒステリシスレートへの移行を制御できる。

ヒステリシスオフセット(Hysteresis Offset)

パルスジェネレータが自己の心房活動を感知した場合には、Hysteresis Offset (ヒステリシスオフセット)を利用してエスケープレートを LRL 以下に下げる。

自己の心房活動が LRL を下回ると、Hysteresis Offset は LRL マイナス Hysteresis Offset に到達するまでペーシングを抑制する。結果として、患者は洞調律による期間が長くなる利点がある。

Search Hysteresis (サーチヒステリシス)

Search Hysteresis (サーチヒステリシス)機能を有効にした場合、パルスジェネレータにプログラムされた Hysteresis Offset の値だけ定期的にエスケープレートを下げ、LRL より低い心房自己活動があるか否かを調べる。プログラムされるサーチ周期の数は、サーチが行われる連続した心房ペーシングでなければならない。

心室センス

MTR

心室ペース

時間

心室ペース

レート

ペーシングレートがMTRに達し、心室イベントが感知される。

Tracking Preference (トラッキングの優先)がOnのときペーシング。Tracking PreferenceがOffのときはペーシングされない。

PVARP + 自己心内AV間隔

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートの強化(RATE ENHANCEMENTS)

2-45

例: レートが 70min-1およびサーチ間隔が 256 周期の場合、約 3.7 分ごとに自己の心房活動のサーチ

が行われる(256 ÷ 70 = 3.7)。

Search Hysteresis 機能の間、 大 8 心周期間は Hysteresis Offset の値だけペーシングレートが下がる。サーチ期間に自己活動がセンスされた場合は、心房ペースが Hysteresis Offset レートで発生するまで、ヒステリシスは作動状態を維持する。

サーチ中は Rate Smoothing は作動しない。8 周期のサーチ中に自己の心房活動が検出されない場合、ペーシングレートはLRLまで上昇する。Rate Smoothing Up (レートスムージング上昇)が作動中であれば、ペーシングレートの上昇が制御される。

レートスムージング(Rate Smoothing)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Rate Smoothing (レートスムージング)は心房レート、心室レートのいずれかまたは両方の変動に対するパルスジェネレータの反応を制御し、ペーシング間隔の急激な変化を防止する。Rate Smoothing は心房不整脈の発生および停止によるレートの変動を低減することが可能であり、ATR を強化する重要な機能である。

Rate Smoothing がプログラムされていない場合、急激かつ大幅な心房レートの上昇は同時に急激な心室ペーシングレートの上昇の原因となり、レートはプログラムされた MTR まで達する。心室ペーシングレートの大きな変動が生じるこれらのエピソードは患者にとって不快な症候となる。Rate Smoothingは、このような急激な変動およびそれに伴う症候(動悸、呼吸困難、眩暈など)を防止することができる。

正常伝導系では、レートの心周期ごとの変動は大きくない。しかし、以下のいずれかが存在するとペーシングレートはある心拍から次の心拍へ大幅に変化する。

• 洞停止または洞一時停止、洞房ブロック、徐脈頻脈症候群などの洞房疾患

• PAC、PVC のいずれかまたは両方

• ペースメーカウェンケバッハ

• 間欠的、短期間で自然に停止する上室性頻拍(SVT)、心房粗動/細動

• 逆伝導 P 波

• パルスジェネレータによる筋電位センス、EMI、クロストークなど

シングルチャンバモードでは、Rate Smoothing は次の間で作動する。

• VVI または AAI にプログラムされている場合は LRL と MPR の間

• VVIR または AAIR にプログラムされている場合は LRL と MSR の間

デュアルチャンバモードでは、Rate Smoothing は次の間で作動する。

• DDD(R)または VDD(R)にプログラムされている場合は LRL と MSR または MTR(いずれか大きい方)の間

• DDI にプログラムされている場合は LRL と MPR の間

• DDIR にプログラムされている場合は LRL と MSR の間

Rate Smoothing (レートスムージング)はヒステリシスが作動している場合(Search Hysteresis (サーチヒステリシス)中は除く)、ヒステリシスレートと LRL の間でも作動する。

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2-46 ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートの強化(RATE ENHANCEMENTS)

Rate Smoothing が On にプログラムされているとき、以下の場合は作動しない。

• Search Hysteresis の 8 心周期間中

• ATR Fallback 時、Fallback が ATR LRL、センサ指示レートあるいは VRR 間隔に達するまで

• VRR 中(作動中の場合)

• PMT Termination の作動時

• LRL のプログラム値を高くした直後

• 自己レートが MTR を超える場合

• Tracking Preference (トラッキングの優先)が有効になっている場合

• APP/ProACt が有効になっているとき、ペーシングレートが APP/ProACt Maximum Pacing Rate以下の場合、Rate Smoothing Up は適用されない。

注記: Sudden Brady Response (急激徐脈応答)が On の場合、Rate Smoothing は On にプログラムできない。

プログラマブル数値(Programmable Values)

Rate Smoothingの範囲は、右心室R-R間隔のパーセント値(3%-25%、3%ごと)で、以下の値を別々にプログラムできる。

• 上昇—Rate Smoothing Up (レートスムージング上昇)

• 下降—Rate Smoothing Down (レートスムージング下降)

• Off

パルスジェネレータは 新の R-R 間隔をメモリに保存している。R 波には自己の R 波およびペーシングされた R 波が含まれる。この R-R 間隔とプログラムされた Rate Smoothing (レートスムージング)の値に基づいて、心拍ごとにペーシングレートの変動を制限する。

患者の生理的な心周期間の変動を確認し、病的な周期変動を防止する Rate Smoothing パラメータ値をプログラム設定することが重要である。その値は患者の活動/運動の増加に応じた生理的な心周期の変動を可能とするものでなければならない。

レートスムージング上昇(Rate Smoothing Up)

Rate Smoothing Up (レートスムージング上昇)パラメータは自己あるいはセンサレートが上昇したときにペーシングレートの大幅な上昇を制御する。

注記: Rate Smoothing Up はプログラムされている AV Delay を一時的に変化させる。このことによりSmartDelay optimization (スマートディレイオプティマイゼーション)で設定された AV Delay の効果に影響を与える場合がある。

Rate Smoothing Up が On にプログラムされている場合、プログラム値を超える心房レートのエピソード時は CRT が行われない。

• 房室ブロックを有する患者では、Rate Smoothing が心房レート上昇時の両心室ペーシングを制御する際 AV Delay を設定値より延長させるため、このような現象が生じる。

• 正常な房室伝導を有する患者では、Rate Smoothing の間、両心室刺激(CRT)が 1 周期あるいは数周期の間抑制されることがあるが、これは延長された AV Delay の間に自己房室伝導が出現し、心室ペーシングが抑制されるためである。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートの強化(RATE ENHANCEMENTS)

2-47

Rate Smoothing Up (レートスムージング上昇)の効果は一時的なものであり、CRT への影響はわずかであるが、このパラメータを On にプログラムするときは、以下の参考事項を念頭におくこと。

• 患者特有の急激な心房レートの上昇に対してのみプログラムする。

• 数値が高いほどAV Delay延長への影響が少ないため、必要な治療ができる範囲で も高い数値を用いる。

レートスムージング下降(Rate Smoothing Down)

Rate Smoothing Down (レートスムージング下降)は自己あるいはセンサレートが下降したときにペーシングレートの大幅な下降を制御する。

Rate Smoothing Down (レートスムージング下降)を On にプログラムしても CRT の遂行には変化はない。しかし、DDD(R)モードで Rate Smoothing Down を On にプログラムすると、Rate Smoothing (レートスムージング)による下降中に心房ペーシングが行われる可能性を考慮することが重要である。至適なCRT のための AV Delay (AV ディレイ)は、自己の洞調律時と心房ペーシング時では異なることがある。

注記: Rate Smoothing Down (レートスムージング下降)を On、Rate Smoothing Up (レートスムージング上昇)をOffにプログラムした場合、速い自己心拍(例えばPVCなど)によってRate Smoothing Downがリセットされてエスケープレートが周期あたり 12%より速くならないように自動的に制御される。

Rate Smoothing Maximum Pacing Rate (MPR) (レートスムージング 大ペーシングレート)

Rate Smoothing Maximum Pacing Rate (レートスムージング 大ペーシングレート)は Rate Smoothing が到達できる 大ペーシングレートを制限する。

Rate Smoothing Down パラメータは、AAI、VVI または DDI では MPR のプログラムを必要とする。その場合、Rate Smoothing は MPR と LRL または Hysteresis Rate(該当する場合)の間でのみ使用される。

VVI(R)または DDI(R)モードで VRR と Rate Smoothing の両方が On にプログラムされている場合、VRR が優先される。

デュアルチャンバトラッキングモードのレートスムージングの例(Rate Smoothing Example Based on a Dual-Chamber Tracking Mode)

メモリに保存された 新の R–R 間隔とプログラムされた Rate Smoothing (レートスムージング)値に基づき、次の周期に心房と心室に 1つずつ同期ウィンドウが設定される。同期ウィンドウは次のように定義される。

Ventricular synchronization window (心室同期ウィンドウ): 直前の R–R 間隔 ± Rate Smoothing 値

Atrial synchronization window (心房同期ウィンドウ): (直前の R–R 間隔 ± Rate Smoothing 値) - AV Delay (AV ディレイ)

同期ウィンドウの計算方法を以下に説明する(図 2-25)。

• 直前の R-R 間隔 = 800ms

• AV Delay = 150ms

• Rate Smoothing Up = 9%

• Rate Smoothing Down = 6%

同期ウィンドウは次のように計算される。

心室同期ウィンドウ = 800 - 9%から 800 + 6% = 800ms – 72ms から 800ms + 48ms = 728ms から 848ms

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2-48 ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートの強化(RATE ENHANCEMENTS)

心房同期ウィンドウ = 心室同期ウィンドウ - AV Delay = 728ms - 150ms から 848ms - 150ms = 578ms から 698ms

どちらの同期ウィンドウも常に R-R 間隔の終了時(右心室イベント、Pacing Chamber (ペーシング部位)が LV Only (LV のみ)にプログラムされているときは左心室ペーシング)に始まる。

ペーシングが発生するときは常に適切な同期ウィンドウの中で行われる。

図 2-25. レートスムージング同期ウィンドウ

急激徐脈応答(Sudden Brady Response (SBR))

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Sudden Brady Response (急激徐脈応答) (SBR)は、自己の心房レートの突然の低下に対応するためにペーシングを高いレートで実施する機能である。

SBRはDDD(R)モードで利用できる。1分間(プログラム不可)にわたり心房で連続してセンスしていた直後、急激に心房レートが低下し、LRLあるいはセンサ指示レートでプログラムされているサイクル数心房ペーシングしたときに、SBR と判断される。ペーシングイベント前の心房レートの低下は 10min-1 (プログラム不可)以上である必要がある。

SBR アルゴリズムは平均心房レートを継続して監視し、平均心房レートは心周期ごとに更新される。平均心房レートは、心房レートの低下が 10min-1

以上であるかどうかを決定する際、または SBR 治療のレートを確定する際に利用される。

注記: Rate Smoothing と APP/ProACt のいずれか、または両方が有効な場合、Sudden Bradycardia Response (急激徐脈応答)は使用できない。

注記: ATR フォールバックの間、Sudden Brady Response が心房レートの低下に基づいて有効になることはない。

SBR Atrial Paces Before Therapy (治療前 SBR 心房ペーシング)

心房レートの低下が検出され、LRL あるいはセンサ指示レートでのペーシングが始まると、SBR Atrial Paces Before Therapy の基準が適用される。SBR 基準に適合するためには、心房ペーシングがプログラムで設定した期間数連続して発生する必要がある。このパラメータを使用して、治療を実施するまでに、レートが LRL またはセンサ指示レートに維持されるようにする。この間隔の途中で心房センスが生じた場合は、アルゴリズムがリセットされ、SBR 治療は適用されない。

SBR Atrial Pacing Rate Increase (SBR 心房ペーシングレートの上昇)

SBR Atrial Pacing Rate Increase (SBR 心房ペーシングレート上昇)は、レート低下前の患者の平均心房レートに、プログラム可能なプラスのオフセットを合計して計算する(図 2-26)。

R-R間隔 (800ms)

右心室イベント

心房スムージングウィンドウ

578ms

右心室スムージングウィンドウ

右心室イベント

心房イベント

Paced AV Delay(ペース後AVディレイ)(150ms)

心房イベント 650ms 698ms

728ms 800ms 848ms

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) レートの強化(RATE ENHANCEMENTS)

2-49

次のレートのいずれか高い方についてペーシングが DDD(R)モードで適用される。

• 直前の平均心房レート + SBR Atrial Pacing Rate Increase (MTR を超えない範囲)、または

• センサ指示レート(DDDR モードのみ)

図 2-26. Sudden Brady Response (急激徐脈応答)

SBR 治療持続時間(SBR Therapy Duration)

SBR Therapy Duration (SBR 治療持続時間)とは SBR ペーシング治療レートが適用されるプログラム可能な期間のことである。一度ペーシング治療が行われると、心房ペーシングレートは Rate Smoothing Down (レートスムージング下降)率12% (プログラム不可)が使用されて、LRLまたはセンサ指示レートまで下降する。

注記: SBR 治療持続時間中は、Rate Hysteresis (レートヒステリシス)は有効にならない。

注記: SBR Therapy Duration は、マニュアルまたは PaceSafe の閾値テストを実行すると、終了する。

安静時 SBR 抑制(SBR Inhibit During Rest)

SBR Inhibit During Rest (安静時 SBR 抑制)は、レートの自然低下(睡眠中)と病的な低下を区別できるよう設計されている。SBR Rate (SBR レート)および Duration (持続期間)基準に適合しているが、患者の現在の Respiratory Sensor (呼吸センサ)の測定値が Respiratory Sensor の比較値より低いときにSBR 治療を抑制することができる。SBR Inhibit During Rest (安静時 SBR 抑制)をプログラムで On にするには、Respiratory Sensor を On に設定しなければならない。Respiratory Sensor を有効にすると、パルスジェネレータは 1 週間にわたって 1 日ごと(7 日間周期のウィンドウ)に測定されたセンサベースラインの 低値を特定する。次に Respiratory Sensor の比較値を、1 週間のうち も低いベースライン値の 50%上に設定する。こうして算出された Respiratory Sensor の比較値が毎日更新され、患者のベースラインの長期的変動にアルゴリズムが適応される。SBR 心房レートおよび持続期間基準が適合した場合、現在の Respiratory Sensor 測定値は比較値と比較される。現在の Respiratory Sensor 測定値が比較値を超えないときは、SBR 治療は行われない(図 2-27)。現在の Respiratory Sensor 測定値が比較値に等しいとき、またはこれを上回るときは、SBR 治療が開始される(図 2-28)。

SBR Therapy Duration(SBR治療持続時間)

MTR

自己心房レート

時間

レート

LRLまたはセンサ指示レート

直前の平均自己心房レート +Atrial Pacing Rate Increase(心房ペーシングレート上昇)で行われたSBR治療

心房レートの下降を検出、Atrial Paces Before Therapy(治療前心房ペーシング)基準に適合

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2-50 ペーシング治療(PACING THERAPIES) リード極性(LEAD CONFIGURATION)

図 2-27. センサの比較により抑制される SBR 治療

図 2-28. センサの比較後に実行される SBR 治療

リード極性(LEAD CONFIGURATION)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

パルスジェネレータは以下に対して独立したプログラム可能なリード極性を設定できる。

• Atrium (心房)

• Right Ventricle (右心室)

• Left Ventricle (左心室)

心房、RV、および LV のリードは Unipolar (単極)と Bipolar (双極)のいずれか、または両方のペーシングとセンシングが設定できる。また心房リードは、心房センシングのリード極性を Off にした状態で、Bipolar または Unipolar のペーシングリード極性にプログラムすることができる。

入力インピーダンスはそれぞれのセンス/ペース電極間で>100KΩである。

デュアルチャンバペースメーカが AAI(R)にプログラムしてある場合、心室センシングリード極性を使用すると、VT 検出を容易にすることができる。このパラメータは、Ventricular Tachy EGM Storage (心室頻拍 EGM 保存)パラメータが Off に設定されていない限り、使用できる。

心房または心室のリード型式が Patient Information (患者の情報)画面で Unipolar に指定されていると、ペーシングとセンシングのいずれについても Bipolar の極性にプログラミングすることはできない。機能やプログラミング上のオプションによっては、Patient Informationまたは双極リード極性のいずれかで双極リードの識別が必要になる場合がある。したがって、Patient Information を入力せずに Unipolar にプログラミングすると、パラメータの相互干渉が生じることがある。

SBR心房レート基準に適合

SBRレート基準と適合したときの現在

のセンサ値

センサ比較値

SBR心房レート基準に適合

SBRレート基準と適合したときの現在

のセンサ値

センサ比較値

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) リード極性(LEAD CONFIGURATION)

2-51

注記: 植込み時に単極のペーシング極性が必要になる場合は、植込む前に極性を必ず Unipolar にプログラムする。

注意: 単極リードが植込まれている場合にリード極性を Bipolar にプログラムすると、ペーシングは行われない。

注記: 別に ICDが併用されている場合、ペースメーカのリード極性をUnipolarにプログラムするのは禁忌である。

ペーシング極性を Unipolar にプログラムすると、ペーシングパルスはリードの先端電極とペースメーカ本体の間で通電する。ペーシング極性をBipolarにプログラムすると、ペーシングパルスはリードの先端電極とリング電極の間で通電する。Unipolar のペーシング極性では、ECG 上にペーシングパルスが明瞭に表示されるため、分析しやすい。しかし、高出力での単極ペーシングでは、双極ペーシングよりも筋刺激が生じる可能性が高くなる。

センシングの極性を Unipolar にプログラムすると、心内信号はリードの先端とペースメーカ本体の間で検出される。Unipolarのセンシング極性では、一般的にBipolar極性より低い振幅の自己の心内信号を識別できる。しかし、Unipolar では筋電位に対する感度も高くなるため、ペースメーカ抑制の原因になることがある。センシングの極性を Bipolar にプログラムすると、先端電極とリング電極間の距離が比較的短くなるため、リードの先端とリング付近を起源とする信号に対する感度が 高になる。そのため、筋電位あるいは心臓の脱分極信号とは無関係なその他の信号に対するペースメーカの感度は低くなる。

注記: ブランキング期間の作動は、選択されているリードの極性によってわずかに異なる("クロスチャンバブランキング(Cross-Chamber Blanking)")。

心房情報の利用(Use of Atrial Information)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

デュアルチャンバまたはシングルチャンバ Brady モードでは、心房センシングを On または Off にプログラムすることができる。パルスジェネレータは、心房リードが植込まれているかどうかに関係なく心房センシングに応答する。

心房リードの情報が有用でない臨床的状況もある(例えば、慢性心房細動、心房リードの予期せぬ事象または移動、心房接続口にプラグが差し込まれている等)。

注意: 心房リードが植込まれていない(代わりに接続口にプラグが差し込まれている)か、心房リードが使われていないがヘッダに接続されたままの場合、装置のプログラミングは実際に使用されているリードのシリアルおよびタイプと一致している必要がある。

心房リードが使用されていない場合には、装置が適切に作動するよう以下のプログラミングが推奨 される。

• 心房ペーシングが行われないように、また、心房の情報を利用して徐脈ペーシングが行われないよう、Brady モードを VVI または VVI(R)にプログラムする。

• 心房センシングを抑制し、心房カウンタの増加を 小限に抑えるには、心房センシングのリード極性を Off にプログラムする。これにより V>A 検出強化機能が無効になる(頻拍イベントはすべて VT (V>A)と表示される)。

注意: 高心房レートのセンシングは装置の寿命に影響する。したがって、心房センシングモードから心房センシングモード以外へプログラムを変更すると、心房センスリード極性は Off にシードされる。

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2-52 ペーシング治療(PACING THERAPIES) リード極性(LEAD CONFIGURATION)

注意: DDI(R)またはDDD(R)のモードで心房センシングをOffにプログラムすると、行われる心房ペーシングはいずれも非同期になる。また、心房センシングを必要とする機能が想定どおりに動作しないことがある。

注記: 心房センシングのリード極性を Off にプログラムしているときは、心房 EP テストを行ってはなら ない。

• 心房の診断(例えば心房の振幅およびインピーダンスなど)を無効にするため、Atrial Intrinsic Amplitude (心房自己振幅)および Atrial Pace Impedance (心房ペーシングインピーダンス)の日常測定を Off にプログラムする。

• 退院後のフォローアップ中は、心房のリアルタイム EGM の選択を解除する。

心房リードを使用する場合には、これらのプログラミングの調整を見直し、心房リード使用時のプログラムにパルスジェネレータを設定すること。

左心室電極構成(Left Ventricular Electrode Configuration)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

LV Electrode Configuration (左心室電極構成)により、Lead Settings (リード設定)画面(Normal Settings (通常設定)画面からアクセス可能)を通じて左心室リードのペーシングおよびセンシングに対するプログラム選択項目が提供される。

注意: 左心室リードが適切に機能するためには、左心室冠状静脈の Lead Configuration (リード極性)を正しくプログラミングすることが必要不可欠である。Lead Configuration をプログラミングするときは、左心室リードの電極数に合わせること。LV センシングのエラー、LV ペーシング不全、無効な LV ペーシングが起こることがある。

IS-1 左心室リード接続口を備えた装置の場合は、次のプログラム選択項目を使用できる。

• Dual (デュアル)—双極の左心室リードが植込まれている場合。

• Single (シングル)—単極の左心室リードが植込まれている場合。

• None (使用せず)—左心室リードが植込まれていない場合。

注記: 標準設定値の LV Electrode Configuration (左心室電極構成)は None (なし)である。BiVの標準設定値の Ventricular Pacing Chamber (心室ペーシング部位)と組み合わせると、パラメータの相互干渉が発生する。これは、植込まれた左心室リードに基づいて、臨床医が適切な LV Electrode Configuration (デュアルまたはシングル)を選択できるようにするための動作である。

IS4 左心室リード接続口を備えた装置の場合、LV Electrode Configuration (左心室電極構成)はQuadripolar (4 極)に自動的に設定される。

パルスジェネレータは左心室リードと使用するためのものであるが、以下に記載するような左心室リードを使用しない臨床的状況もある。

• 左心室リードを留置することができず、一時的に左心室リードを使用しないことにした(使用していない左心室リードの接続口を塞ぐ)。

• 左心室リードが適切な位置から外れ、リードを植込み、接続したままにするが使用しないことに した。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) リード極性(LEAD CONFIGURATION)

2-53

パルスジェネレータは左心室リードの有無を検出することはできない。このため、左心室リードが使用されていない場合には、以下のプログラミングを調整すると、左心室の無関係な診断情報を報告せず、 左心室の情報(カウンタ、EGM、マーカ、間隔など)の保存を 小限にし、横隔膜刺激を 小限に抑え、装置の寿命を延長させることができる。

注記: この手順を違う順序で行うと、PRM が警告メッセージを表示し、特定の手順が行えなくなる場合がある。

1. Atrial Tachy Therapy Settings (心房頻拍治療の設定)画面の ATR セクションと Ventricular Regulation (心室制御)セクションで BiV Trigger (BiV トリガ)を Off にプログラムする。

2. LV Amplitude (LV 振幅)と LV Pulse Width (LV パルス幅)を 小値にプログラムする。

3. Ventricular Pacing Chamber (心室ペーシングチャンバ)を RV Only (RV のみ)にプログラムする。

4. LV センシングを OFF にする。

a. IS-1 左心室リード接続口を備えた装置の場合

i. LV Electrode Configuration (左心室電極構成)を Single (シングル)または Dual (デュアル)に変更する。

ii. LV Sense (LV センシング)を Off にプログラムする。

iii. LV Electrode Configuration を None (なし)にプログラムする。

b. IS4 左心室リード接続口を備えた装置の場合

i. LV Sense (LV センシング)選択画面で、Disable Sensing (センシングの無効化)チェックボックスを選択する。

ii. Accept (確定)ボタンを選択する。

iii. 装置をプログラムする。

5. LV Intrinsic Amplitude (左心室自己振幅)および LV Pace Impedance (左心室ペースインピーダンス)の日常リード測定を Off にする。

このプログラミングの順序に従えば、左心室ペーシングおよびセンシングは Off になり、以下のものが無効になる。

• LV electrograms (左心室電位図)

• LV markers (左心室マーカ)

• LV intervals (左心室間隔)

• LV Offset (LV オフセット)

• LV-Blank after A-Pace cross-chamber blanking period (LV-Blank after A-Pace クロスチャンバブランキング期間)

• SmartDelay optimization (スマートディレイオプティマイゼーション) (4 極装置以外の装置の場合)

• LV daily measurement (左心室日常測定)

注記: 一部の機能(ATR Mode Switch (ATR モードスイッチ)、Electrocautery Protection (電気手術器からの保護)モードなど)は(LV Lead Configuration (左心室リード構成)に関係なく)一時的に BiV ペーシングを利用し、カウンタ、電位図、マーカおよび間隔に左心室データを追加する。

Electrode Configuration (電極構成)に変更があった場合には、リードシステムのベースラインの測定値を確認し、至適に機能するようにすることが重要である。

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2-54 ペーシング治療(PACING THERAPIES) リード極性(LEAD CONFIGURATION)

プログラムされた選択項目は、プログラマの Leads Setting (リード設定)画面にある Electrode Configuration (電極構成)の図に反映される(図 2-29)。図はプログラマ画面上で動的に調整され、現在選択されている LV Pace (LV ペース)および LV Sense (LV センシング)の構成が反映される。

左図は左心室および右心室リードを植込んだ心臓である。右図はプログラマ画面のリードである。

図 2-29. 心臓の左心室リードおよび右心室リード

LV ペーシングおよびセンシングの構成(LV Pace and Sense Configurations)

左心室リードの複数のペーシングおよびセンシング構成の機能が利用可能であり、これによりペーシングまたはセンシングの極性の変更が可能になる。IS-1 左心室リード接続口を備えた装置の場合、双極の左心室リードが植込まれ、それに応じて Electrode Configuration (電極構成)が Dual (デュアル)にプログラムされている場合は、追加のプログラム選択項目が利用できる。さらに、LV Sense (LV センシング)の構成として Off を選択することにより、LV センシングを無効にすることができる。

以下に、プログラマの Leads Setting (リード設定)画面に表示されるペーシングとセンシングの構成の図を示す。

注記: LV リードの極性を LV tip>>RV または LV ring>>RV にプログラムするときは、右心室双極リードを Patient Information、または RV リード構成に表示しておく必要がある。

4 極装置(Quadripolar Devices)

VALITUDE X4については、17のペーシング構成と 8つのセンシング構成を使用できる。LV Sense (LVセンシング)および LV Pace (LV ペース)の選択項目内では、プログラム選択項目の表が表示される。

LV Pace (LV ペース)の構成では、陰極(負の(-)電極)と陽極(正の(+)電極)の間でペーシング刺激が伝送される。次の手順に従って、LV Pace の構成をプログラムする。

1. 表の左側に記載された Cathode (-) (陰極(-))を必要に応じて決定する。

2. 表の上部に記載された Anode (+) (陽極(+))を必要に応じて決定する。

3. 必要な Cathode と Anode の組み合わせと一致する表内の選択項目を選択する。

注意: LVRing4>>RV ペーシング極性を IS4-LLLL リードにプログラムすると、RV リングではなく LV チップが陽極として使用されることがある。この極性にプログラムする場合は、ペーシング閾値を評価し、心外膜刺激が存在しないようにする。

+

–心臓

RVチップ

RVリング

心房リード

LVリード

RVリード

LVペース

パルスジェネレータの外装容器

LVリング

LVチップ

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) リード極性(LEAD CONFIGURATION)

2-55

表の右側の図は動的に調整され、現在選択されている左心室の構成が反映される。例えば、LVTip 1 (LV チップ 1)を Cathode (陰極)として選択し、LVRing2 (LV リング 2)を Anode (陽極)として選択した場合は、この構成が、表の右側にある関連付けられた図に反映される(図 2-30)。

図 2-30. 4 極装置のペーシングリード構成画面

LV Sense (LV センシング)の構成については、Electrode 1 (電極 1)と Electrode 2 (電極 2)の間において患者の自己の心内信号がセンスされる。必要な Electrode 1 と Electrode 2 の組み合わせに対応するように、表の選択項目を選択する。表の右側の図は動的に調整され、現在選択されている左心室の構成が反映される。例えば、LVTip 1 (LV チップ 1)を Electrode 1 として選択し、LVRing 2 (LV リング 2)を Electrode 2 として選択した場合は、この構成が表の右側にある関連付けられた図に反映される (図 2-31)。さらに、Disable Sensing (センシングの無効化)を選択することにより、LV センシングを Offにすることができる。

図 2-31. 4 極装置のセンシングリード構成画面

左心室電位図(LV electrograms)

左心室のリアルタイム EGM を利用して左心室リードの性能を評価し、一部のプログラムパラメータ(AV Delay (AV ディレイ)、LV Offset など)を 適化することができる。

左心室 EGM および関連付けられた左心室イベントマーカは、すべてのセンシング構成において表示または印刷することができる。

リードセイフティスイッチ(Lead Safety Switch)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Lead Safety Switch (リードセイフティスイッチ)はペースメーカリードの完全性を監視し、リードインピーダンスが許容される値より高値あるいは低値を示したときに、ペーシングおよびセンシングのリード極性を Bipolar (双極)から Unipolar (単極)へ切り替える機能である。

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2-56 ペーシング治療(PACING THERAPIES) AV ディレイ(AV DELAY)

リードの完全性は、リードインピーダンスを測定することにより、1日1回監視されている。Safety Switch (セイフティスイッチ)機能は、Atrium (心房)、Right Ventricle (右心室)、または Left Ventricle (左心室)のいずれかで On にプログラムできる。

日常測定で測定されたインピーダンス値が、プログラムされた Low Impedance Limit (下限インピーダンス)以下または 2000Ω(またはプログラムされた High Impedance Limit (上限インピーダンス))以上の場合、該当する心房あるいは心室のペーシングおよびセンシングが自動的に Unipolar または LV tip>>Can に切り替わる。極性が切り替わると、手動で Bipolar にプログラムし直すまで Unipolar に保持される。

注記: Bipolarに再プログラムすると、リードの完全性の問題が原因でSafety Switchがトリガされ、予期しない動作を示すことがある。

Safety Switch が実行されると、プログラマの次の位置に情報が表示される。

• 初のイントロゲーション時の Summary (サマリ)ダイアログ

• Summary タブの Leads (リード)セクション

• Daily Measurement (日常測定)グラフ(カーソルの水平位置に依存しない)

• Lead Setting (リード設定)画面の Safety Switch Details (安全スイッチの詳細)ボタン

Safety Switch が実行された日付、および測定された範囲外のリードインピーダンス値が表示される。 また当該のリードに現在プログラムされているパラメータとして Unipolar を表示した状態で、Pace and Sense Lead Configuration (ペースおよびセンスリードの極性)の横に注意記号が表示される。

Safety Switch リードのアラートメッセージは、セッションが終了するまで PRM 画面に表示され、別のSafety Switch が生じない限り、以降のセッションでは表示されない。

リードの完全性と性能に関する以降のテストは、Lead Tests (リードテスト)画面で実行できる。テストは、リードの極性を手動で Bipolar にプログラムし直すまで Unipolar で行われる。

注意: 正常に機能しているリードのインピーダンスが、制限値付近であるが安定している場合、意図せず単極リード構成に切り替わることがないよう Lead Safety Switch を Off にするまたは、インピーダンス制限値の変更を検討すること。

注記: ある部位で日常リードインピーダンス測定を無効にすると、その部位のLead Safety Switch機能も無効になる。

警告: ICD 植込み患者では Lead Safety Switch を Off にプログラムすること。Lead Safety Switch により Unipolar ペーシングとなるので、ICD 植込み患者には禁忌である。

AV ディレイ(AV DELAY)

AV Delay (AV ディレイ)は、Ventricular Pacing Chamber (心室ペーシング部位)が BiV または RV Only (RV のみ)にプログラムされているときの右心房のペーシングまたはセンシングイベントから右心室ペーシングイベントまでのプログラム可能な期間をいう。

Pacing Chamber (ペーシング部位)が LV Only (LV のみ)にプログラムされている場合、AV Delay (AVディレイ)は心房のペーシングまたはセンシングイベントから左心室のペーシングイベントまでの期間を指す。

AV Delay (AVディレイ)は心臓の房室同期を維持できるように設計されている。右心室イベントが心房イベント後の AV Delay 間に発生しなかった場合は、パルスジェネレータは AV Delay 経過後、心室ペーシングパルスを出力する。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) AV ディレイ(AV DELAY)

2-57

AV Delay は以下のいずれかの動作、またはその両方にプログラムすることができる。

• Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)

• Sensed AV Delay (センス後 AV ディレイ)

注意: 両心室ペーシングが高い頻度で行われるようにするには、プログラムされたAV Delay (AVディレイ)の設定は患者の自己 PR 間隔より短くなければならない。

AV Delay (AV ディレイ)は DDD(R)、DDI(R)、DOO、または VDD(R)の各モードで適用される。

ペース後AVディレイ(Paced AV Delay)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)は心房ペーシング後の AV Delay (AV ディレイ)に相当する。

Paced AV Delayの設定は一貫したCRTが行われるよう患者ごとに設定する。Paced AV Delayを設定する方法はいくつかある。

• 自己 QRS 幅の評価

• 心エコー図評価

• 脈圧モニタリング

• SmartDelay optimization (スマートディレイオプティマイゼーション)

Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)の至適化は CRT の効果に大きな影響を与える場合があるため、Paced AV Delay の設定の違いが血行動態に反映される心エコー図や脈圧モニタリングなどの使用を考慮すること。

小AV Delayが 大AV Delayより低い場合には、現在のペーシングレートに応じてPaced AV Delayを増減させる。Dynamic AV Delay (ダイナミック AV ディレイ)は、心房レートが上昇している間、Paced AV DelayまたはSensed AV Delayを自動的に短縮させることにより、レートの変更に対してより生理的な応答が得られるようにする。これにより、上限レートでの大きなレート変化の発生を 小限にし、高レートでの 1:1 トラッキングを維持できる。

Dynamic AV Delay を使用する場合は、患者の心拍レートが上昇したときに有効な Paced AV Delay を評価し、CRT が有効であることを確認する。

パルスジェネレータは直前の A–A、または V–V 周期長(直前のイベントタイプに依存)と以下のプログラム値を基に直線関係を計算する。

• Minimum AV Delay ( 小 AV ディレイ)

• Maximum AV Delay ( 大 AV ディレイ)

• LRL

• MTR

• MSR

• MPR

PVC 後または直前の心周期が MTR によって制限されたときは、Dynamic AV Delay (ダイナミック AVディレイ)は調節されない。

心房レートがLRL、またはそれ以下のとき(例えばヒステリシスのとき)、Maximum AV Delayが使用される。心房レートが MTR、MSR、MPR、またはそれ以上のとき、プログラムされた Minimum AV Delay が使用される。

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2-58 ペーシング治療(PACING THERAPIES) AV ディレイ(AV DELAY)

心房レートが LRL と MTR、MSR、および MPR のいずれか高いレートとの間にあるとき、パルスジェネレータはレートとの比により Dynamic AV Delay (ダイナミック AV ディレイ)を決定する。

図 2-32. Dynamic AV Delay (ダイナミック AV ディレイ)

AV Delay (AV ディレイ)は固定値か次のような動的値にプログラムできる。

• Fixed AV Delay (固定 AV Delay)—Paced AV Delay の 小値と 大値が等しいとき。

• Dynamic AV Delay (ダイナミックAVディレイ)—Paced AV Delayの 小値と 大値が等しくないとき。

センス後AV ディレイ(Sensed AV Delay)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Sensed AV Delay (センス後 AV ディレイ)は心房センシングイベント後の AV Delay (AV ディレイ)に相当する。

Sensed AV Delay は Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)より短くも同等にもプログラムできる。 短い値にプログラムするとペース後心房イベントとセンス後心房イベントのタイミングの差が補われる(図 2-33)。

図 2-33. Sensed AV Delay (センス後 AV ディレイ)

Sensed AV Delay (センス後 AV ディレイ)が血行動態に与える効果は心房と心室間の適切なタイミングによって決まる。心房ペーシングは心房の電気的興奮を起こす。一方、心房センシングは自発の心房電気的興奮の開始後にのみ生じる。開始からセンシングまでに生じる遅延は、リードの位置と伝導に依存する。Sensed AV Delay が Paced AV Delay と同じ値にプログラムされている場合は、ペースした場合とセンスした場合では血行動態的な AV 間隔は異なる。

Dynamic AV Delay(ダイナミックAVディレイ)

MaximumAV Delay( 大AVディレイ)

Minimum AVDelay ( 小AVディレイ)

MTR Interval (MTR間隔)またはMSR Interval (MSR間隔)のいずれか短い方

LRL Interval(LRL間隔)

Hysteresis RateInterval (ヒステリシスレート間隔)

SAV

PAV

Ap As Vp

Ap = 心房ペーシングイベントAs = 心房センシングイベントVp = 心室ペーシングイベント

SAV = Sensed AV Delay(センス後AVディレイ) (As-Vpの間隔)PAV = Paced AV Delay(ペース後AVディレイ) (Ap-Vpの間隔)

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) AV ディレイ(AV DELAY)

2-59

両心室刺激(CRT)を行うためにDDD(R)モードを使用する場合、心房ペーシングにより心房間遅延が延長する場合があることから、正常洞調律時と心房ペーシング時では CRT を至適化するため Paced AV DelayとSensed AV Delayの設定を変える必要がある。延長した心房間遅延に対しては左心房の活動と両心室ペーシングとのタイミング関係を至適化するため、長い Paced AV Delay が必要になる。心房間遅延は、 長の P 波幅から推定することができる。

装置を DDD(R)にプログラムする場合は、心房センシング時と心房ペーシング時の至適 AV Delay を決定するため、テストを行うことが推奨される。至適 AV Delay が異なる場合には、Paced AV Delay とSensed AV Delay のパラメータ値を変える。

Paced AV Delay と同時に Sensed AV Delay を使用する—Fixed

Paced AV Delay を固定値にプログラムすると、Sensed AV Delay は、プログラムされた Sensed AV Delay 値に固定される。

Paced AV Delay と同時に Sensed AV Delay を使用する—Dynamic

Paced AV Delay を Dynamic (ダイナミック)にプログラムすると、Sensed AV Delay も Dynamic に設定される。

Dynamic Sensed AV Delay (ダイナミックセンス後 AV ディレイ)と Paced AV Delay は、心房レートに基づいている。代謝要求上昇の間にPR間隔が短くなるのを反映して、AV Delayは、LRL (またはヒステリシスレート)でプログラムされた値( 大)から、MTR、MSR、または MPR の高い方における Minimum AV Delay ( 小 AV ディレイ)と Maximum AV Delay ( 大 AV ディレイ)の比率で決まる値にまで、線形的に短縮される(図 2-34)。Dynamic AV Delay を使用している場合、Sensed AV Delay の 大値がPaced AV Delay の 大値より短くプログラムされていると、Sensed AV Delay の 小値は、Paced AV Delay の 小値よりも短くなる。

注記: Sensed AV Delay の 小値は VDD(R)モードでのみプログラムできる。

図 2-34. Dynamic AV Delay (ダイナミック AV ディレイ)と Sensed AV Delay (センス後 AV ディレイ)の関係

スマートディレイオプティマイゼーション(SmartDelay Optimization)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

SmartDelay optimization 機能は自己房室間隔の測定値を基にペース後およびセンス後 AV Delay をプログラムするための参考設定値を速やかに(2.5 分以内に)提示する。

Paced AV Delay (ペース後AVディレイ)

Sensed AV Delay (センス後AVディレイ)

MaximumPaced AV Delay

( 大ペース後AVディレイ)

Minimum PacedAV Delay

( 小ペース後AVディレイ)

MTR Interval (MTR間隔)またはMSR Interval (MSR間隔)のいずれか短い方

LRL Interval(LRL間隔)

Hysteresis RateInterval (ヒステリシスレート間隔)

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2-60 ペーシング治療(PACING THERAPIES) AV ディレイ(AV DELAY)

機能の目的は、収縮機能を 大限に引き出せるように、 適のタイミングで CRT を行うための AV Delay (AV ディレイ)を推奨することにある。

他の AV Delay (AV ディレイ)を至適化する方法と比較したこの機能の血行動態に関する臨床データから、SmartDelay optimization アルゴリズムが示した AV Delayにより、LV dP/dtmaxで個別に測定した総合的な収縮機能が 大化したことが示されている。LV dP/dtmaxは総合的な心室収縮機能およびポンプ効率の指標とされている。

SmartDelay optimization のテストでは、心房のセンシングおよびペーシングイベントに対する右心室および左心室の反応を評価し、以下の参考設定値を決める。

• Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)

• Sensed AV Delay (センス後 AV ディレイ)

• Pacing Chamber (ペーシング部位)

これらの参考設定値はパルスジェネレータを CRT 用にプログラムするときに使用することができる。PRM には SmartDelay が示すパラメータのほかに、以下のパラメータも表示される。

• LV Offset (LV オフセット) (該当する場合)は別個にプログラム可能な機能であり、手動で入力することができる。SmartDelay optimizationを作動させた後にLV Offsetを手動で調節する場合には、SmartDelay optimization をもう一度作動させるか、手動で AV Delay (AV ディレイ)を再プログラムして AV Delay を調節する必要がある。SmartDelay は次のように LV Offset を考慮している。

‒ SmartDelay は Paced AV Delay および Sensed AV Delay の参考設定値の決定においてプログラムされた LV Offsetを用いている。例えば、SmartDelayがAV Delay (心房イベントから始まり左心室ペーシングで終わる)の参考値を 150ms とし、プログラムされた LV Offset が-20ms の場合、AV Delay 機能は心房イベントから右心室ペーシングまでプログラムされているため、SmartDelay 機能は参考値を 170ms に調節する。

‒ SmartDelay は以下の場合を除いて、現在プログラムされている LV Offset を維持する。 (1) SmartDelay が十分な自己イベントを収集できない場合、LV Offset ゼロを含む標準設定値が示される。(2) SmartDelay がともにプログラム可能な 大 AV Delay である 300ms を超える AV Delay と LV Offset を示す場合、SmartDelay は LV Offset を下げることを推奨する。(3) 現在プログラムされている LV Offset が 0ms より大きい場合、LV Offset の参考値はゼロとなる。

注記: プログラムを変更する前に参考値が患者に適切であるか否かを判断することが重要である。

SmartDelay optimization 画面を以下に示す(図 2-35)。

図 2-35. SmartDelay optimization 画面

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 不応期(REFRACTORY)

2-61

テストが行われている間、SmartDelay optimization 機能は自動的に単極センシング構成に切り替わる。Start Test (テストを開始)を押すと、テストが自動的に実行される。SmartDelay optimization テストは以下の状況では実行されない。

• IS-1 左心室リード接続口を備えた装置の場合、LV Electrode Configuration (左心室電極構成)がNone (なし)にプログラムされている。

• ATR Mode Switch (ATR モードスイッチ)中

• パルスジェネレータの検出基準により頻拍エピソードが発生していると判断されたとき。

注記: テスト中に心房センシングイベントを収集している場合、40min-1でバックアップ DDD ペーシング

が行われる。

注記: 心房ペーシングイベントを収集している場合、一時的な LRL (SmartDelay optimization 画面から選択できる)でバックアップ DDD ペーシングが行われる。この一時的な LRL は通常 80min-1に設定されている。

注記: ペース後の AV 間隔を測定するため自己心房レートより一時的なペーシングの LRL を 10 から15min-1に上げる必要がある。

SmartDelay optimization (スマートディレイオプティマイゼーション)のテストを実行するには次の手順を行う。

1. Normal Settings (通常設定)画面で、Mode (モード)を選択する。

• DDD(R)モードでは Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)と Sensed AV Delay (センス後AV ディレイ)両方の参考値が表示される。

• VDD(R)モードでは AV Delay の推奨値は Sensed AV Delay の参考値であり、Paced AV Delay は該当しない。

モードを DDD(R)から VDD(R)または VDD(R)から DDD(R)に変更する場合には、SmartDelay optimization のテストを再度実行することが重要である。

2. SmartDelay optimization ボタンを選択する。

3. 一時的なペース後 LRL 値を入力するか、80min-1の初期設定値を使用する。

4. テスト中テレメトリ交信を維持する。

5. テストを開始する前に、患者にテスト中は動いたり話したりしないよう伝えること。

6. Start Test ボタンを押す。テストが進行中である旨を示す通知ウィンドウが現れる。テストを中止する必要があれば、Cancel Test (テストをキャンセル)ボタンを選択する。

注記: STAT PACE (緊急用ペース)、または DIVERT THERAPY (治療の中止)が選択されるとテストは自動的に中止される。

7. テストが完了すると、参考設定値が表示される。プログラミングを簡単にするため、Copy Suggested Settings (推奨設定値をコピー)ボタンを選択して参考設定値を Normal Brady and CRT Settings (通常の Brady と CRT の設定)画面に移す。

注記: テストが失敗すると、失敗の理由が示される。

不応期(REFRACTORY)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

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2-62 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 不応期(REFRACTORY)

不応期はペース後あるいはセンス後に、電気的活動の検出によってパルスジェネレータが抑制あるいはトリガを行わない期間である。不応期により、ペーシングパルスの後、パルスジェネレータのアーチファクトやEvokedレスポンスのオーバーセンシングが抑制(または防止)される。また不応期は単一でワイドな自己信号を適切に感知するのを促す一方、その他の自己脈シグナルアーチファクト(T 波、ファーフィールド R 波など)の感知を抑制する。

注記: 不応期の間、Rate Adaptive Pacing (レートアダプティブペーシング)は抑制されない。

心房不応期 ― PVARP (A-Refractory - PVARP)

PVARP はペーシングモードに応じて設定される。

• デュアルチャンバペースメーカが AAI(R)にプログラム—心房のセンシングまたはペーシングイベント後の時間間隔であり、その間、心房センシングイベントによる心房ペーシング抑制を行わない。

• デュアルチャンバモード DDD(R)、DDI(R)、VDD(R)—右心室のセンシングまたはペーシングイベント後の期間(またはPacing Chamber (ペーシング部位)が LV Only (LVのみ)に設定されているときは左心室ペーシング後の期間)であり、その間、心房イベントによる心房ペーシング抑制を行わず、トリガして心室ペーシングを実行することもない。Atrial Refractory (心房不応期)は、心室を起源とする逆行伝導興奮による心房へのトラッキングを防止している。

PVARP は、固定値、または直前の心周期に基づいて計算した動的値にプログラムできる。固定のPVARP 値をプログラムするには、 小値と 大値を同じ値にする。 小値が 大値より小さい場合、PVARP は、自動的に Dynamic (ダイナミック)に設定される。

房室伝導が完全であり、長い自己心内 AV 間隔および長い PVARP がプログラムされた心不全患者では、MTR より下で心房トラッキング不全を惹起することがあり、結果として CRT の両心室刺激(CRT)が行われなくなる場合がある。PVC 直後の PAC や P 波等の心房イベントは、PVARP 内に入るためトラッキングされない。これにより自己心室イベントの房室伝導が可能になり、PVARP が再開する。次の心房イベントが PVARP の外に出現しない限りトラッキングされず、房室伝導した別の心室イベントが出現すると、PVARP が再び開始される。このパターンは心房イベントが 終的に PVARP の外で感知されるまで続く(図 2-36)。

図 2-36. PVARP での心房センスイベント

MTR 未満で心房トラッキングが行われていないと思われる場合は、Tracking Preference (トラッキングの優先)を On にする。MTR 未満で引き続き CRT が損なわれ問題となったり、Tracking Preference を使用しない場合は、PVARP を短縮するよう再プログラミングすることを考慮する。

第 2 度または第 3 度房室ブロックを有する心不全患者の場合、長い Atrial Refractory (心房不応期)の期間と特定の AV Delay の組み合わせでは、プログラムされた MTR で突然の 2:1 ブロック現象が発生する。

DDD(R)および VDD(R)ペーシングモードでは、パルスジェネレータが心房で逆行伝導を検出し、トリガして MTR と同等の高レート心室ペーシングレートを生じることがある(例えば PMT など)。逆行伝導時間は患者の加齢、自律神経系の緊張の変化により患者の生涯にわたって変化する。植込み時にテストで逆行伝導が認められない場合でも、その後生じる可能性がある。このような問題は、通常、心房不応期を逆行伝導時間より長くプログラムすることで防止できる。

AV PVARP AV PVARP PR PVARP PR PVARP

PVARP PR PVARP

As Vp As Vp CVP )sA( Vs (As) Vs (As) Vs

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 不応期(REFRACTORY)

2-63

以下のプログラムは逆行伝導によるパルスジェネレータの応答の制御に有用である。

• PVARP after PVC (PVC 後の PVARP)

• PMT Termination (PMT の停止)

• Rate Smoothing (レートスムージング)

ダイナミック PVARP (Dynamic PVARP)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Dynamic PVARPとDynamic AV Delayをプログラムすると、高レート域におけるセンシングウィンドウも適化されるため、MTR を高く設定している場合でも、DDD(R)あるいは VDD(R)モードの高レート域で

の現象(2:1 ブロック現象、ペースメーカ性ウェンケバッハ現象)を顕著に減少させることができる。同時に、Dynamic PVARP は低レートでの PMT を減少させる。また、Dynamic PVARP は心房ペーシングの競合なども減少させる。

すると、パルスジェネレータは自動的に前の心周期の加重平均を使用して Dynamic PVARP を計算する。この結果、PVARPはレートの上昇に従い、直線的に短縮される。平均レートが、LRLとMTRまたは該当する上限レートとの間にあるとき、パルスジェネレータは次の図に示す直線関係で Dynamic PVARP を計算する(図 2-37)。これは、プログラムした Minimum PVARP ( 小 PVARP)、Maximum PVARP ( 大 PVARP)、LRL、MTR または該当する上限レートの設定値から計算される。

注意: Minimum PVARP ( 小 PVARP)を逆行性 V-A 伝導時間より短くプログラムすると、PMT が発生するリスクが高くなる可能性がある。

図 2-37. ダイナミック PVARP

Maximum PVARP ( 大 PVARP)

平均レートが LRL、またはそれ以下のとき(ヒステリシスなど)、Maximum PVARP が使用される。

Minimum PVARP ( 小 PVARP)

平均レートが MTR 間隔、またはそれ以上のとき、プログラムされた Minimum PVARP が使用される。

PVARP after PVC (PVC 後の PVARP)

PVARP after PVC は、PVC が原因で発生する場合がある逆行伝導による PMT を予防することを目的としている。

MTR Interval (MTR間隔)

LRL Interval(LRL間隔)

Dynamic PVARP(ダイナミックPVARP)

MaximumPVARP

( 大PVARP)

MinimumPVARP

( 小PVARP)

Hysteresis RateInterval (ヒステリシスレート)

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2-64 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 不応期(REFRACTORY)

先行する心房のセンスイベント(不応期または不応期外)を検出せずに、または心房ペーシングを行わずに右心室センスイベントを検出すると、心房不応期は自動的に 1 心周期だけプログラムされたPVARP after PVC の値により延長される。PVC を検出した後、タイミングサイクルは自動的にリセットされる。PVARP の延長は 2 回連続しては起こらない。

パルスジェネレータが次の追加状態にあるとき、PVARP は自動的に 1 心周期だけ PVARP after PVCの値に延長される。

• Atrial Flutter Response (心房粗動応答)によって心房ペースが抑制されたとき

• VDD(R)モードにおいて、心房センスが先行しない心室エスケープペーシングの後

• 本体を非心房トラッキングモードから心房トラッキングモードに移行したとき(ATR Fallback (ATRフォールバック)の終了、一時的非心房トラッキングモードから恒久的心房トラッキングモードへの移行など)

• 本体が、マグネットによる作動から心房トラッキングモードに復帰したとき

• 本体が、Electrocautery Protection (電気手術器からの保護)から心房トラッキングモードに復帰したとき

房室伝導を有する心不全患者では、心房周期長が自己心内房室伝導間隔(PR 間隔) + PVARP より短い場合、PVARP after PVC によって CRT が抑制されることがある。これが発生した場合は、PVARP after PVC とともに Tracking Preference (トラッキングの優先)を On にプログラムする。

心房不応期 ― 同一チャンバ(A Refractory - same chamber)

デュアルチャンバモード(Dual-chamber Modes)

心房不応期は心房ペースまたはセンスイベント後の間隔で、この間の追加の心房センスイベントはペース実行のタイミングには影響を与えない。

デュアルチャンバモードでは次の間隔はプログラムできない。

• 心房のセンスイベント後の Atrial Refractory (心房不応期)は 85ms

• DDD(R)および DDI(R)モードでの心房ペーシング後の Atrial Refractory (心房不応期)は 150ms

右心室不応期(RV-Refractory (RVRP))

プログラム可能な RVRP は右心室ペースイベント後の時間間隔、または LV Offset (LV オフセット)がゼロにプログラムされていないときに心室ペースイベントに先行する時間間隔で、この間の右心室センスイベントはペース実行のタイミングには影響を与えない。

また、135ms のプログラム不可能な不応期は右心室センスイベント後の時間間隔で、この間の追加の右心室センスイベントはペース実行のタイミングには影響を与えない。

VRP 内に入るイベントは検出や表示は行われず(ノイズウィンドウ内で発生しない限り)、タイミングサイクルには影響を与えない。

RVRP は心室センシングが可能なモードではすべて利用でき、固定した間隔またはダイナミックな間隔がプログラムできる(図 2-38)。

• Fixed (固定)—RVRPはLRLと該当する上限レート(MPR、MTRまたはMSR)の間のプログラムされた固定 RVRP 値のまま。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 不応期(REFRACTORY)

2-65

• Dynamic (ダイナミック)—RVRP は心室ペーシングが LRL から該当する上限レートに上昇するに従って短縮し、右心室センシングの期間が適切になる。

‒ Maximum ( 大)—ペーシングレートが LRL 以下(ヒステリシス)の場合に、RVRP としてプログラムされた Maximum VRP ( 大 VRP)が使用される。

‒ Minimum ( 小)—ペーシングレートが該当する上限レートに等しい場合に、RVRPとしてプログラムされた Minimum VRP ( 小 VRP)が使用される。

図 2-38. 心室レートと不応期の関係

適切なセンシングウィンドウが維持できるようにするため、以下の Refractory (不応期)の値(固定または動的)をプログラムすることを推奨する。

• シングルチャンバモード—LRL (ms)の 1/2 以下の長さ

• デュアルチャンバモード—該当する上限レート(ms)の 1/2 以下の長さ

RVRP が長いと心室のセンシングウィンドウは短くなる。

Ventricular Refractory Period (心室不応期)を PVARP より長くプログラムすると競合ペーシングを惹起することがある。例えば、Ventricular Refractory が PVARP より長いと、PVARP 後に心房イベントが正しくセンスされるが、心室の自己伝導は Ventricular Refractory Period と重なる。この場合、本体は心室脱分極を正しく検出せず、AV Delay (AV ディレイ)の完了時に心室ペーシングを行うので、ペーシングの競合が発生する。

左心室不応期(LV-Refractory (LVRP))

LVRP は左心室 T 波などのセンスまたはペースされた電気的イベントによって CRT が不適切に損なわれないようにする機能である。この機能を適切にプログラムすることにより、CRT を 大限に保持し、かつ患者の調律が心室性頻拍性不整脈へ亢進するリスクを軽減することができる。

患者への効果を 大限にするためには、CRT を連続して行う必要がある。ただし、治療を抑制する方が適切な場合もある。LVRP は左心室センスまたはペースイベント後の間隔、または LV Offset (LV オフセット)がゼロにプログラムされていないときに心室ペースイベントに先行する時間間隔であり、この間の左心室センスイベントは治療に影響を与えない。LVRP が長いと左心室のセンシングウィンドウは短くなる。

LVRP は左心室センシングが可能なモードではすべて利用できる。左心室の間隔は LRL と該当する上限レートの間のプログラムされた固定値のままとなる。

左心室での T 波オーバーセンシングにより、LV ペーシングが抑制されることがある。不適切な LV ペーシングの抑制を防ぐため、T 波が LVRP 内に含まれる長さにプログラムする。

左心室保護期間(Left Ventricular Protection Period (LVPP))

LVPP は、左心室 PVC 等により左心室の受攻期に予期しないペーシング刺激が発せられないように防止する機能である。この機能を適切にプログラムすることにより、CRT を 大限に保持し、かつ患者の調律が心室性頻拍性不整脈へ亢進するリスクを軽減することができる。

Dynamic VRP(ダイナミックVRP)が短縮される

センシングウィンドウが 適化される

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2-66 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 不応期(REFRACTORY)

患者への効果を 大限にするためには、CRT を連続して行う必要がある。ただし、治療を抑制する方が適切な場合もある。LVPP はペースまたはセンスされた左心室イベント後の期間であり、パルスジェネレータが左心室をペーシングしない期間である。LVPP はパルスジェネレータが左心室の受功期にペーシングするのを防ぐ。

注意: 長い LVPP を設定すると、左心室の 大ペーシングレートを減少し、高ペーシングレートでのCRT (心臓再同期療法)を抑制することがある。

注記: LVPP が LV Only (LV のみ)モードで抑制すると、徐脈の補正として右心室ペーシングが行わ れる。

LVPP は心室センシングおよび左心室ペーシングが可能なモードではすべて利用できる。

クロスチャンバブランキング(Cross-Chamber Blanking)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

クロスチャンバブランキング期間は、チャンバ内イベントの適切なセンシングを促進し、他のチャンバの活動(クロストーク、ファーフィールドセンシングなど)のオーバーセンシングを抑制する機能である。

クロスチャンバブランキング期間は隣接するチャンバのペーシングまたはセンシングイベントによって開始する。例えば、右心房にペーシングパルスが送られるたびに右心室でブランキング期間が開始する。これにより、右心室で心房ペーシングイベントが検出されることはない。

クロスチャンバブランキングは、Smart (スマート)が使用できる場合は Smart に、または固定値にプログラムすることができる。Smart Blanking (スマートブランキング)はクロスチャンバブランキング期間を短縮することで(ペーシングイベント後37.5ms、センシングイベント後15ms)チャンバ内イベントの適切なセンシングを促進し、Smart Blanking 期間終了時にセンシングの AGC 閾値を自動的に上げることでクロスチャンバイベントのオーバーセンシングを抑制する。

Smart Blanking によって AGC または Fixed Sensitivity (固定感度)の設定が変わることはない。

注記: Smart Blanking (スマートブランキング)期間開始時に同一チャンバブランキング期間または再起動するノイズウィンドウが有効な場合、Smart Blanking 期間は 85ms に延長される。例えば、RV センスが心房不応期内に発生すると、A-Blank after RV-Sense (RV センス後の A ブランキング)クロスチャンバブランキングは 85ms になる。

注意: Smart Blanking では、クロスチャンバアーチファクトが大きすぎる場合、クロスチャンバアーチファクトの検出を抑制できるほど感度を十分に調節することはできない。リードの配置、ペーシング出力、感度の設定など、クロスチャンバアーチファクトの大きさに影響する他の要因を考慮すること。

一部の状況では、ブランキング期間の標準値とプログラム選択項目は、クロスチャンバアーチファクトが検出されないようにするために、自動的に変更される。

• Sensing Method (センシング方法)を AGC に選択すると、Smart Blanking が標準設定になり(V-Blank after A-Pace (A ペーシング後の V ブランキング)を除く)、Fixed Blanking (固定ブランキング)も使用できる。

注記: AGC を単極心房センスリード極性で使用すると、Fixed 心房ブランキングが標準設定になるが、Smart Blanking も使用できる。

• Sensing Method を Fixed に選択すると、Fixed Blanking が標準設定になり、Smart Blanking はどのチャンバにも使用できなくなる。

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 不応期(REFRACTORY)

2-67

• Sensing Method を変更すると、ブランキング期間は、以前に再プログラムされていない限り、そのSensing Method に関連する標準値に自動的に転換される。Sensing Method のブランキング期間が以前に再プログラムされている場合は、期間は 後にプログラムされた値に転換される。

A ペース後の RV ブランキング(RV-Blank after A-Pace)

RV-Blank after A-Pace は、右心室イベントの適切なセンシングを促進し、心房ペーシング後のクロスチャンバイベントのオーバーセンシングを抑制するクロスチャンバブランキング期間である。

パルスジェネレータは心房ペーシング後に選択した期間右心室イベントに応答しない。

注記: Smart Blanking は RV-Blank after A-Pace (A ペース後の RV ブランキング)パラメータには使用できない。

ブランキングを調整する際は以下のことを考慮すること。

• ペースメーカが植込まれている患者で連続ペーシングを促進するには、長いブランキング期間のプログラミングによる心房ペーシングアーチファクトの心室オーバーセンシングが起こる可能性を少なくすることが望ましい。ただし、ブランキング期間を長くするとR波(RV-Blank after A-Paceクロスチャンバブランキング期間に起こった PVC など)のアンダーセンシングが起こる可能性が高く なる。

• ペースメーカに依存しておらず、心房ペーシングの割合が高く、PVC の頻度が高い患者では、PVC のアンダーセンシングが起こる可能性を少なくするためブランキング期間を短くすることが望ましい(心房ペーシングイベント後のクロスチャンバブランキング期間に起こった場合)。ただし、ブランキング期間を短くすると、心房ペーシングイベントの心室オーバーセンシングが起こる可能性が高くなる。

デュアルチャンバペーシングパラメータの特定のプログラムの組み合わせは、心室頻拍の検出を阻害することがある。例えば、デュアルチャンバペーシングが起こると、心房ペーシングによる不応期(RV-Blank after A-Pace)が原因となる右心室アンダーセンシングが起こることがある。特定の使用条件では、あるパターンの心房ペーシングと VT が検出されると、Brady Tachy Response (BTR) (徐脈頻拍応答)機能によって AV Delay (AV ディレイ)が自動的に調節され、疑われる VT を容易に確認することができる。VT が認められない場合には、AV Delay (AV ディレイ)はプログラムされた値に戻る。AV Delayの自動調節が行われるプログラミングでは、Parameter Interaction Attention (パラメータの相互干渉の警告)は表示されない。詳細については、弊社担当者に問い合わせること。

A ペース後の LV ブランキング(LV-Blank after A-Pace)

LV-Blank after A-Pace (Aペース後のLVブランキング)は、左心室イベントの適切なセンシングを促進し、心房ペーシング後のクロスチャンバイベントのオーバーセンシングを抑制するクロスチャンバブランキング期間である。パルスジェネレータは心房ペーシング後に選択した期間左心室イベントに応答しない。

LV-Blank after A-Pace (A ペース後の LV ブランキング)は、Fixed (固定)または Smart (スマート) (AGC Sensing Method (センシング方法)で使用可能)の値にプログラムすることができる。

Smart (スマート)にプログラムした場合、クロスチャンバ心房イベントを防御するため Smart Blanking 期間終了時にセンシングの AGC 閾値が自動的に上昇する。これにより、クロスチャンバブランキング期間に入った LV イベントのセンシングが促進される。Smart Blanking (スマートブランキング)によって、プログラムされた Sensitivity (感度)の設定が変わることはない。

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2-68 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 不応期(REFRACTORY)

V ペース後の A ブランキング(A-Blank after V-Pace)

A-Blank after V-Pace (V ペース後の A ブランキング)は、P 波の適切なセンシングを促進し、右心室または左心室ペーシング後のクロスチャンバイベントのオーバーセンシングを抑制するクロスチャンバブランキング期間である。

A-Blank after V-Pace は、Fixed (固定)または Smart (スマート) (AGC Sensing Method で使用可能)の値にプログラムすることができる。

Smart にプログラムした場合、クロスチャンバ心室イベントを防御するため Smart Blanking 期間終了時にセンシングの AGC 閾値が自動的に上昇する。これにより、クロスチャンバブランキング期間に入ったP 波のセンシングが促進される。Smart Blanking (スマートブランキング)によって、プログラムされたSensitivity (感度)の設定が変わることはない。

RV センス後の A ブランキング(A-Blank after RV-Sense)

A-Blank after RV-Sense (RV センス後の A ブランキング)は、P 波の適切なセンシングを促進し、右心室センシング後のクロスチャンバイベントのオーバーセンシングを抑制するクロスチャンバブランキング期間である。

A-Blank after RV-Senseは、Fixed (固定)またはSmart (スマート) (AGC Sensing Method (センシング方法)で使用可能)の値にプログラムすることができる。

Smart にプログラムした場合、クロスチャンバ右心室イベントを防御するため Smart Blanking 期間終了時にセンシングの AGC 閾値が自動的に上昇する。これにより、クロスチャンバブランキング期間に入った P 波のセンシングが促進される。Smart Blanking によって、プログラムされた Sensitivity (感度)の設定が変わることはない。

以下の図参照。

図 2-39. 不応期、デュアルチャンバペーシングモード、RV Only (RV のみ)

ECG

Atrial Channel(心房チャンネル)

RV Channel (RVチャンネル)

LV Channel (LVチャンネル)

Aセンス後RVセンス後

Aセンス後RVペース後

Aペース後RVセンス後LVセンス後

Aペース後RVペース後

心房ペースイベント後のAV Delay (プログラム可、150msの絶対不応期を含む)

心房センスイベント後のAV Delay (AVディレイ)(プログラム可、85msの絶対不応期を含む)

Atrial Refractory-PVARP (心房不応期-PVARP)(プログラム可、プログラム可能な心房クロスチャンバブランキング期間を含む)

V-A間隔(心房タイミングによって長さは変動する)

RV Sensed Refractory (右心室センス不応期) (135ms)

RV Refractory (右心室不応期)(プログラム可)

LV Refractory (左心室不応期)

Ventricular Cross Chamber Blank(心室クロスチャンバブランキング期間)(プログラム可)

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 不応期(REFRACTORY)

2-69

図 2-40. 不応期、デュアルチャンバペーシングモード、BiV

図 2-41. 不応期、デュアルチャンバペーシングモード、LV Only (LV のみ)

ECG

Atrial Channel (心房チャンネル)

RV Channel (RVチャンネル)

LV Channel (LVチャンネル)

Aセンス後RVセンス後

Aセンス後BiVペース後

Aペース後RVセンス後LVセンス後

Aペース後BiVペース後

心房ペースイベント後のAV Delay (プログラム可、150msの絶対不応期を含む)

心房センスイベント後のAV Delay (AVディレイ)(プログラム可、85msの絶対不応期を含む)

Atrial Refractory-PVARP (心房不応期-PVARP)(プログラム可、プログラム可能な心房クロスチャンバブランキング期間を含む)

V-A間隔(心房タイミングによって長さは変動する)

RV Sensed Refractory (右心室センス不応期) (135ms)

RV Refractory (右心室不応期)(プログラム可)

LV-Refractory (左心室不応期)(プログラム可)

Ventricular Cross Chamber Blank (心室クロスチャンバブランキング期間) (プログラム可)

ECG

Atrial Channel (心房チャンネル)

RV Channel (RVチャンネル)

LV Channel (LVチャンネル)

Aセンス後RVセンス後

Aセンス後LVペース後

Aペース後RVセンス後LVセンス後

Aペース後LVペース後

心房ペースイベント後のAV Delay (プログラム可、150msの絶対不応期を含む)

心房センスイベント後のAV Delay (AVディレイ)(プログラム可、85msの絶対不応期を含む)

Atrial Refractory-PVARP (心房不応期-PVARP)(プログラム可、プログラム可能な心房クロスチャンバブランキング期間を含む)

V-A間隔(心房タイミングによって長さは変動する)

RV Sensed Refractory (右心室センス不応期) (135ms)

RV Refractory (右心室不応期)(プログラム可)

LV-Refractory (左心室不応期)(プログラム可)

Ventricular Cross Chamber Blank (心室クロスチャンバブランキング期間) (プログラム可)

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2-70 ペーシング治療(PACING THERAPIES) 不応期(REFRACTORY)

図 2-42. 不応期、VVI ペーシングモード、RV および BiV

図 2-43. 不応期、VVI ペーシングモード、LV Only (LV のみ)

Aセンス後*RVペース後

Aセンス後*RVセンス後

Aセンス後*BiVペース後

ECG

Atrial Channel(心房チャンネル)

RV Channel (RVチャンネル)

LV Channel (LVチャンネル)

*パルスジェネレータの頻拍機能によってVVIペーシング中であっても右心房センスは行われている。

RV Sensed Refractory (右心室センス不応期) (135ms)

RV Refractory (右心室不応期) (プログラム可)

Atrial Sensed Refractory (心房センス不応期) (85ms)

Atrial Cross Chamber Blank(心房クロスチャンバブランキング期間) (プログラム可)

Aセンス後*RVペース後LVセンス後(Inh-LVP)

Aセンス後*RVセンス後

ECG

Atrial Channel (心房チャンネル)

RV Channel (RVチャンネル)

LV Channel (LVチャンネル)

Aセンス後*RVセンス後LVセンス後

Aセンス後*LVペース後

*パルスジェネレータの頻拍機能によってVVIペーシング中であっても右心房センスは行われている。

RV Sensed Refractory (右心室センス後不応期) (135ms)

RV Refractory (右心室不応期) (プログラム可)

Atrial Sensed Refractory (心房センス後不応期) (85ms)

Atrial Cross Chamber Blank(心房クロスチャンバブランキング期間) (プログラム可)

LV-Refractory (左心室不応期) (プログラム可)

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) ノイズレスポンス(NOISE RESPONSE)

2-71

図 2-44. 不応期、AAI ペーシングモード、DR

ノイズレスポンス(NOISE RESPONSE)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

ノイズウィンドウおよびブランキング期間は、クロスチャンバオーバーセンシングによるペーシングの抑制を防ぐ機能である。

Noise Response はノイズが存在するときにペーシングを行うかペーシングを抑制するかを選択できる機能である。

再起動する 40ms のノイズウィンドウは、各不応期および固定(smart ではない)クロスチャンバブランキング期間にある。ノイズウィンドウはセンスあるいはペースイベントから始まる。ノイズウィンドウ、不応期ともに心房、心室の各心周期で終了し、次のイベントを再開始する。ノイズが繰り返されると、ノイズウィンドウが再起動するため、ノイズウィンドウは延長され、不応期またはブランキング期間が影響を受 ける。

Noise Responseパラメータは Inhibit Pacing (ペーシングの抑制)または非同期モードにプログラムできる。使用できる非同期モードは恒久的 Brady (徐脈)モードに自動的に対応するものになる(すなわち、VVI 恒久的モードは VOO ノイズレスポンスになる)。Noise Response を非同期モードにプログラムすると、ノイズが連続した場合、ノイズウィンドウは延長されプログラムされたペーシング期間を超え、パルスジェネレータはプログラムされたペーシングレートでノイズが消失するまで非同期でペースを行う。Noise Response を Inhibit Pacing にプログラムし、持続するノイズが発生すると、ノイズのあるチャンバではノイズが消滅するまでペースが行われない。Inhibit Pacing モードは非同期ペーシングが不整脈を誘発させる可能性のある患者のためにプログラムできる。

以下の図参照。

図 2-45. 不応期とノイズウィンドウ、RV

ECG

Atrial Sensing (心房センシング)

Ventricular Sensing (心室センシング)

Aセンス後RVセンス後*

Aペース後RVセンス後*

センス後Atrial Refractory-PVARP (プログラム可、85ms絶対不応期含む)

Paced Atrial Refractory-PVARP (ペース後心房不応

Cross Chamber Blank (クロスチャンバブランキング期間) (プログラム可、心房および右心室)

RV Sensed Refractory

* パルスジェネレータの頻拍機能によってAAIペーシング中であっても右心室センスは行われている。

ECG

右心室センシング

右心室ペース後イベント

右心室センス後イベント

ノイズウィンドウ(40ms)

RV Refractory (右心室不応期):センス後 = プログラム不可能ペース後 = プログラム可能

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2-72 ペーシング治療(PACING THERAPIES) ノイズレスポンス(NOISE RESPONSE)

図 2-46. 不応期とノイズウィンドウ、LV

図 2-47. 不応期とノイズウィンドウ、RA

さらに、AGC Sensing (AGC センシング)の使用時は、プログラム不可の Dynamic Noise Algorithm (ダイナミックノイズアルゴリズム)がレートチャンネルで有効になる。

Dynamic Noise Algorithm は、別のノイズチャンネルを利用してベースラインのシグナルを持続的に測定し、センシングフロアを調節してノイズが検出されないようにする。このアルゴリズムは筋電位信号のオーバーセンシングとオーバーセンシングに関連した問題を防ぐ。

イベントマーカが交信されているときに、ペース後にノイズが 初にトリガされると、ノイズが生じているチャンバによってAS、RVS、またはLVSのマーカが表示される。ノイズウィンドウが340ms間再トリガされると、AN、RVN、または LVN のマーカが表示される。連続して再トリガされているときは AN、RVN、または LVN のマーカが頻繁に表示される。持続するノイズが原因で非同期ペーシングが発生すると、AP-Ns、RVP-Ns、または LVP-Ns のマーカが表示される。

注記: ペースメーカが植込まれている患者では、ノイズが存在する場合に Noise Response (ノイズレスポンス)を Inhibit Pacing (ペーシングの抑制)に設定するとペーシングが実行されないため、設定する際は注意する。

注記: ノイズが LV Only (LV のみ)モードを抑制すると、RV チャンネルにノイズがない場合、徐脈補助として RV ペーシングが行われる。

Noise Response (ノイズレスポンス)の例(Noise Response example)

固定ブランキング期間中にAV Delay (AVディレイ)の初期に起こるクロスチャンバセンシングがRVセンシング増幅器によって検出される場合があるが、ノイズ防御期間の延長以外の目的では、これへの応答は行われない。40ms のノイズ防御期間は、ノイズが検出されなくなるまで、 長で AV Delay の長さまで連続的にトリガされる。ノイズが AV Delay の間持続した場合、AV Delay タイマが終了すると、ペーシングパルスが送られ、ノイズによる心室の抑制を防ぐ。持続するノイズが存在する状況で心室ペーシングスパイクが送られると、心内電位図に VP-Ns のマーカが表示される(図 2-48)。

AV Delay (AV ディレイ)の終了前にノイズが消滅すると、装置は、40ms の再起可能ノイズ期間より後に発生する自己心拍をいつでも検出でき、新しい心周期を開始できる。

ECG

左心室センシング

左心室ペース後イベント

左心室センス後イベント

ノイズウィンドウ(40ms)LV-Refractory(左心室不応期)(プログラム可)

ECG

心房センシング

心房ペース後イベント

心房センス後イベント

ノイズウィンドウ(40ms)A-Refractory (心房不応期):センス後ペース後

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) ノイズレスポンス(NOISE RESPONSE)

2-73

図 2-48. ノイズレスポンス(固定ブランキング)

65ms40ms

40ms40ms

40ms40ms

40ms120ms

AP

体表電位図

プログラム可能なAペース後のVブランキング

40msの再起動するノイズウィンドウ

プログラム可能なAV Delay

AV Delay (AVディレイ)終了後もノイズが存在

ノイズが存在する場合に送られる心室ペース

ノイズ間隔はAV Delayの間延長される。

AV Delay終了時のVP-Ns注釈

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2-74 ペーシング治療(PACING THERAPIES) ノイズレスポンス(NOISE RESPONSE)

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3-1

システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) 第 3 章

本章では、以下の項目について説明されている。

• "Summary (サマリ)ダイアログ(Summary Dialog)"ページ 3-2

• "電池の状態(Battery Status)"ページ 3-2

• "リードのステータス(Leads Status)"ページ 3-6

• "術後システムテスト(POST) (Post-Operative System Test (POST))"ページ 3-10

• "リードテスト(Lead Tests)"ページ 3-10

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3-2 システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) SUMMARY (サマリ)ダイアログ(SUMMARY DIALOG)

SUMMARY (サマリ)ダイアログ(SUMMARY DIALOG)

イントロゲーション時に Summary ダイアログが表示される。これには Leads (リード)および POST 情報、Battery (電池)の状態の表示、摘出までのおおよその時間、前回のリセット以降のエピソードに関するEvents (イベント)の通知が含まれる。さらに、マグネットが検出された場合にはマグネットの通知が表示される。

図 3-1. Summary (サマリ)ダイアログ

ステータスを表す記号には OK、Attention (注意)または Warning (警告)がある("色使い(Use of Color)")。表示される可能性のあるメッセージは以下の項に記載する。

• Leads—"リードのステータス(Leads Status)"

• Battery—"電池の状態(Battery Status)"

• Events—"治療歴(Therapy History)"

Close (閉じる)ボタンを選択すると、アラート生成につながるイベントが新たに起こらない限り、次回のイントロゲーションでは Leads および Battery について Warning または Attention 記号は表示されない。履歴カウンタの Reset (リセット)ボタンが選択されるまで Events は引き続き表示される。

電池の状態(BATTERY STATUS)

パルスジェネレータは電池の容量および性能を自動的に監視する。電池の状態に関する情報はいくつかの画面に表示される。

• Summary (サマリ)ダイアログ—電池残量に関する基本的なステータスメッセージを表示する ("Summary ダイアログ(Summary Dialog)")。

• Summary タブ(メイン画面)—Summary ダイアログと同じ基本的なステータスメッセージとともに、電池状態ゲージを表示する("メイン画面(Main Screen)")。

• Battery Status Summary (電池の状態のサマリ)画面(Summary タブからアクセス)—電池残量および現在のマグネットレートに関する電池の状態の情報を表示する("電池の状態のサマリ画面(Battery Status Summary Screen)")。

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システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) 電池の状態(BATTERY STATUS)

3-3

• Battery Detail (電池の詳細)画面(Battery Status Summary 画面からアクセス)—電池の使用、 容量および性能に関する詳細な情報を表示する("電池の状態のサマリ画面(Battery Status Summary Screen)")。

電池の状態のサマリ画面(Battery Status Summary Screen)

Battery Status Summary (電池の状態のサマリ)画面には電池の容量および性能に関する以下の重要な情報が表示される。

Time Remaining (残り時間)

画面のこの項には次の項目を表示する。

• Battery status gauge (電池状態ゲージ)—摘出までの時間を視覚的に示す。

注記: 電池の状態はペースメーカ専用のマグネット(ペースメーカ表面で70ガウスより強い)を当てて調べることができる。マグネットを当てることで生じたペーシングレートにより、電池の状態が Battery Status Summary 画面に表示される。詳細は、以下の"マグネットレート(Magnet Rate)"を参照。

• Approximate time to explant (摘出までのおおよその時間)—パルスジェネレータが交換指標(EXPLANT)に到達するまでの予測期間を表示する。

この予測期間は消費した電池容量、電池残量、現在の設定での消費電力から算出される。

十分な使用履歴がない場合には、イントロゲーションごとに摘出までのおおよその時間が変わる場合がある。この変動は異常ではなく、パルスジェネレータが新しい情報を収集したときに起こるもので、より一定した予測年数を計算することができる。Explant までのおおよその時間は使用後数週間経過すると一定になる。変動の原因としては以下のようなものがある。

‒ ペーシング出力に影響を与える特定の徐脈機能をプログラムしている場合、摘出までのおおよその時間は再プログラムされた機能から予想される電力消費量を基に予測される。PRMはパルスジェネレータが次にイントロゲートされたときに、 新の使用履歴を基に再び摘出までのおおよその時間を表示する。新しいデータが収集されると、摘出までのおおよその時間は 初に予測された期間と近い値で一定になる。

‒ PRM は、植込み後数日間はモデルごとのデータを基に固定された摘出までのおおよその時間を表示する。十分な使用データが収集されると、装置ごとの予測値が計算され、表示される。

マグネットレート(Magnet Rate)

Magnet Response (マグネット応答)を Pace Async (非同期ペーシング)にプログラムすると、マグネットを置くことにより Brady (徐脈)モードから非同期モードに切り替わる。ペーシングレートは固定され、マグネットの AV Delay (AV ディレイ)は 100ms となる。

非同期ペーシングレートは、現在の電池の状態を反映し、Battery Status Summary (電池の状態のサマリ)画面に表示される。

More than One Year Remaining (残存期間 1 年超) 100min-1

One Year or Less Remaining (残存期間 1 年以下) 90min-1

Explant (摘出) 85min-1

Pace AsyncおよびMagnet Feature (マグネット機能)に関する詳細情報は別の項を参照("マグネット機能(Magnet Feature)")。

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3-4 システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) 電池の状態(BATTERY STATUS)

電池の詳細アイコン(Battery Detail icon)

このアイコンを選択すると Battery Detail Summary (電池の詳細サマリ)画面が表示される("電池の詳細サマリ画面(Battery Detail Summary Screen)")。

電池の状態の表示(Battery Status Indicators)

電池状態ゲージには以下の電池状態インジケータが表示される。表示された摘出までのおおよその時間はパルスジェネレータのプログラムパラメータに基づいて計算される。

One Year Remaining (残存期間 1 年)—パルスジェネレータの完全な機能は約 1 年残っている(摘出までのおおよその時間は 1 年)。

Explant (摘出)—電池がなくなりかけており、パルスジェネレータの交換を予定しなければならない。EXPLANT に達しても、現状で 100%のモニタおよびペーシングを 3 か月間行うのに十分な電池容量は残っている。EXPLANTに達した場合、ZIPテレメトリの使用可能時間は1.5時間である。ワンドを使用したテレメトリの使用を検討すること。

注記: 残り 1.5 時間の ZIP テレメトリが終了すると、LATITUDE アラートが生成される。

Battery Capacity Depleted (電池容量低下)—パルスジェネレータの機能が制限され、治療を保証することができない。Explant 状態に達してから 3 か月後にこの状態に到達する。速やかに装置の交換を予定しなければならない。イントロゲーションを行うと Limited Device Functionality (本体の機能が制限されています)画面が表示される(これ以外の画面はすべて無効になる)。この画面では電池の状態に関する情報が表示され、装置の残っている機能にアクセスすることができる。ZIP テレメトリは使用できない。

注記: LATITUDE アラートが生成され、それ以降は LATITUDE NXT を使用できなくなる。

本体が Battery Capacity Depleted 状態になると、機能は次のものに限定される。

• Brady (徐脈)モードは次のように変わる。

Battery Capacity Depletedが表示される前の Brady モード

Battery Capacity Depletedが表示された後の Brady モード

DDD(R)、DDI(R)、VDD(R)、VVI(R) VVI/BiV

AAI(R) AAI

Off Off

DOO、VOO VOO/BiV

AOO AOO

• Brady モードは Off にプログラムすることができる。これ以外のパラメータはプログラムできない。

• ワンドを使用したテレメトリのみ(RF テレメトリは無効)

• LRL は 50min-1

Battery Capacity Depleted 状態では、次の機能は無効になる。

• 日常測定のトレンド

• 徐脈強化機能(レート応答、Rate Smoothing (レートスムージング)など)

• PaceSafe 右心室自動閾値(出力は現在の出力値に固定される)

• PaceSafe 右心房自動閾値(出力は現在の出力値に固定される)

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システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) 電池の状態(BATTERY STATUS)

3-5

• Lead Safety Switch (リードセイフティスイッチ) (装置が Battery Capacity Depleted 状態に達しても、リードの極性はプログラムされた設定のままである)

• エピソード保存

• Diagnostic (診断)および EP Tests (EP テスト)

• リアルタイム EGM

• 加速度センサ

作動を継続するのに十分な電池容量がなくなると Storage (保管)モードになる。Storage モードでは、 どの機能も使用できない。

注記: 装置はプログラムパラメータと 新の使用履歴から摘出までのおおよその時間を予測する。 通常の電池の使用量を超えると、その後の摘出までのおおよその時間は予想より短くなる。

Battery Detail Summary (電池の詳細サマリ)画面(Battery Detail Summary)

Battery Detail Summary 画面にはパルスジェネレータの電池の状態について以下の情報が表示される(図 3-2)。

• Charge Remaining (電池残量) (アンペア時で測定)—パルスジェネレータのプログラムパラメータに基づく電池が消耗するまでの電池残量。

• Power Consumption (電力消費量) (マイクロワットで測定)—パルスジェネレータのプログラムパラメータに基づき使用する 1 日あたりの平均電力。電力消費量は摘出までのおおよその時間と電池状態ゲージの針の位置を決める計算に使用される。

• Power Consumption Percentage (電力消費率)—現在のプログラムパラメータでの電力消費量とパルスジェネレータの寿命を見積もるために使用する標準パラメータの電力消費量とを比較する。

次のパラメータ(ペーシング出力に影響を与える)のうちいずれかが再プログラムされると、Power Consumption と Power Consumption Percentage の値も変わる。

• 振幅

• パルス幅

• Brady (徐脈)モード

• LRL

• MSR

• PaceSafe

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3-6 システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) リードのステータス(LEADS STATUS)

図 3-2. 電池の詳細サマリ画面

リードのステータス(LEADS STATUS)

Daily Measurement(日常測定)

装置は次の測定を 21 時間ごとに行い、1 日 1 回報告する。

• Daily Intrinsic Amplitude measurement (日常自己振幅測定)。ペーシングモードに関係なく Daily Intrinsic Amplitude measurement (日常自己振幅測定)が可能なチャンバにおいて自己 P 波および R 波の振幅の測定を自動的に試みる。この測定は通常のペーシングに影響しない。正しい測定値を得るため、 大 255 心周期監視し、センシング信号を見つける。

• Daily lead (Pace Impedance) measurement (日常リード(ペースインピーダンス)測定)。

‒ ペースリード—ペーシングモードに関係なく、Daily Pace Impedance (日常ペースインピーダンス)テストが可能なチャンバにおいてペースリードインピーダンスの測定を自動的に試みる。リードインピーダンステストには、通常のペーシングまたはセンシングに影響を及ぼさないペーシング閾値以下の出力が使われる。

‒ VALITUDE では、High Impedance Limit (上限インピーダンス)は標準で 2000Ωに設定されており、2000~3000Ωの範囲で 250Ω刻みでプログラムできる。Low Impedance Limit (下限インピーダンス)は標準で 200Ωに設定されており、200~500Ωの範囲で 50Ω刻みでプログラムできる。

INVIVE では、High Impedance Limit が 2000Ωに固定されている。Low Impedance Limitは標準で 200Ωに設定されており、200~500Ωの範囲で 50Ω刻みでプログラムできる。

High Impedance LimitおよびLow Impedance Limitの値を選択する際には以下の点を考慮すること。

‒ 慢性期のリードの場合は、リードの過去のインピーダンス測定値、およびその他の電気的性能の指標(時間の経過に伴う安定性の変化など)

‒ 新たに植込まれたリードの場合は、開始時に測定されたインピーダンスの値

注記: 医師は、リードマチュレーションによる影響に応じて、フォローアップ試験で上限/下限インピーダンスを再プログラムすることができる。

‒ 患者のペーシング依存

‒ 使用されるリードの推奨インピーダンス範囲(利用可能な場合)

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システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) リードのステータス(LEADS STATUS)

3-7

• PaceSafe の日常閾値測定。PaceSafe が Auto (自動)または Daily Trend (日常のトレンド)にプログラムされている場合、PaceSafe がプログラムされているチャンバ内のペーシング閾値の測定を自動的に試みる。テストが容易に実施できるように、必要なパラメータが調整される。

リードの状態に関する基本情報は Summary (サマリ)画面に表示される。詳細な情報は Leads Status Summary (リードのステータスのサマリ)画面に図示される。この画面には Summary 画面のリードアイコンを選択するとアクセスできる(図 3-3)。

リードのステータスメッセージには次のようなものがある(表 3-1)。

• リードの測定値は範囲内である。

• Check Lead (メッセージにはどのリードか示される)—日常測定値が範囲を超えていることを示す。どの測定値が範囲を超えているか判断するには、該当するリードの日常測定結果を評価する。

注記: リードインピーダンス測定値が範囲を超えている場合、リードの設定が Unipolar (単極)に変更される場合がある("リードセイフティスイッチ(Lead Safety Switch)")。

注記: リードテストのエラーやリードのアラートの通知などの PaceSafe に固有のメッセージの詳細は別の項を参照("PaceSafe")。

表 3-1. リード測定結果の報告

リード測定 報告された値 範囲を超える測定値

心房ペーシングインピーダンス(Ω) 200~3000 低: ≤ プログラムされた Atrial Low Impedance Limit (心房下限インピーダンス) 高: ≥ 2000(または、プログラムされた Atrial High Impedance Limit (心房上限インピーダンス))

右心室ペーシングインピーダンス(Ω) 200~3000 低: ≤ プログラムされた Right Ventricular Low Impedance Limit (右心室下限インピーダンス) 高: ≥ 2000(または、プログラムされた Right Ventricular High Impedance Limit (右心室上限インピーダンス))

左心室ペーシングインピーダンス(Ω) 200~3000 低: ≤ プログラムされた Left Ventricular Low Impedance Limit (左心室下限インピーダンス) 高: ≥ 2000(または、プログラムされた Left Ventricular High Impedance Limit (左心室上限インピーダンス))

P 波振幅(mV) 0.1~25.0 低: ≤ 0.5 高: なし

R 波(RV)振幅(mV) 0.1~25.0 低: ≤ 3.0 高: なし

R 波(LV)振幅(mV) 0.1~25.0 低: ≤ 3.0 高: なし

Leads Status Summary 画面には該当するリードの日常測定に関する詳細のみが表示される (図 3-3)。

• グラフには過去 52 週間分の日常測定値が表示される。

• 各リードのデータを見るには画面上のタブを使う。特定の日常リード測定を有効または無効する、あるいは High Impedance Limit および Low Impedance Limit の値を設定するには、Setup (設定)タブを選択する。

注記: ある部位で日常リードインピーダンス測定を無効にすると、その部位の Lead Safety Switch機能も無効になる。

• 各データポイントは 1 日の日常測定値または POST の結果を表す。特定の日の結果を見るには、水平方向のスライダを対応するデータポイントまたはギャップまで動かす。

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3-8 システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) リードのステータス(LEADS STATUS)

• 測定値が範囲から外れる場合、対応する 大値または 小値にポイントがプロットされる。

• 有効な測定値を得ることができなかった場合は、ギャップが生じる。

• 画面の下に 新の日常測定値または POST の結果が表示される。

①タブを使って適切なリードを選択する ②選択した日の結果 ③直近の日の結果 ④測定結果に基づいて Y 軸を調整 ⑤水平方向のスライ

ダを使って特定の日のデータを見る

図 3-3. Leads Status (リードのステータス)サマリ画面

日常測定を予定された時間に 1 回以上行うことができなかった場合、1 時間間隔で 大 3 回再試行を行う。再試行を行っても日常測定の時期は変更されない。翌日の測定は 1 回目の測定から 21 時間後に行われる。

1 回目の測定と 3 回の再試行の後、または 24 時間経過後に有効な測定値が記録されない場合には、Invalid Data (データが無効です)または No Data Collected (データは収集されませんでした) (N/R)と記録される。

測定が 1 日に複数回行われた場合は、そのうちの 1 回のみが報告される。Amplitude (振幅)とImpedance (インピーダンス)については、測定値のうち 1 つが有効で 1 つが無効の場合、無効な方の測定値が報告される。測定値が両方とも有効な場合には、 新の測定値が報告される。Threshold (閾値)には、測定値のうち1つが有効で1つが無効の場合、有効な方の測定値が報告される。測定値が両方とも有効な場合には、高い方の測定値が報告される。

Summary 画面にリードのチェックが必要である旨が表示されているが、Intrinsic Amplitude (自己振幅)および Impedance のグラフに範囲を超える値またはギャップが表示されない場合、範囲を超える値が得られたテストは直近 24 時間以内に実施され、日常測定でまだ保存されていない。

表 3-2. Intrinsic Amplitude (自己振幅): Daily Measurement Conditions (日常測定の状態)、Programmer Display (プログラマディス

プレイ)、Graphical Representation (図表示)

状態 プログラマディスプレイ 図表示

範囲内の振幅測定値 測定値 プロットポイント

電極構成が Off/None にプログラムされて いる

No data collected (データは収集されませんでした)

ギャップ

テスト中のイベントはすべてペーシング Paced (ペーシング) ギャップ

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システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) リードのステータス(LEADS STATUS)

3-9

表 3-2. Intrinsic Amplitude (自己振幅): Daily Measurement Conditions (日常測定の状態)、Programmer Display (プログラマディス

プレイ)、Graphical Representation (図表示) (続き)

状態 プログラマディスプレイ 図表示

テスト中にノイズを検出 Noise (ノイズ) ギャップ

センシングイベントは PVC と定義 PVC ギャップ

センシングイベントは PAC と定義 PAC ギャップ

範囲を超える振幅測定値(mV) 0.1、0.2、...、0.5 (右心房リード)、注意アイコン付き 0.1、0.2、...、3.0 (心室リード)、注意アイコン付き

ポイントをプロット

< 0.1、注意アイコンを表示 対応する 小値でのプロットポイント

> 25、注意アイコン付き 対応する 大値でのプロットポイントa

a. 測定された値が 25mV を超えると、サマリ画面にアラートが表示されていない場合でもグラフに注意記号が表示される。

表 3-3. Lead Impedance (リードインピーダンス): Daily Measurement Conditions (日常測定の状態)、Programmer Display (プログラ

マディスプレイ)、Graphical Representation (図表示)

状態 プログラマディスプレイ 図表示

範囲内の振幅測定値 測定値 プロットポイント

電極構成が Off/None にプログラムされている

Invalid Data (データが無効です) ギャップ

テスト中にノイズを検出 Noise (ノイズ) ギャップ

範囲を超えるインピーダンス測定値(ペースリード) (Ω)

Pace High Impedance Limit (上限ペースインピーダンス)以上の測定値、注意アイコン付き Pace Low Impedance Limit (下限ペースインピーダンス)以下の測定値、注意アイコン付き

ポイントをプロット

> 大 Pace High Impedance Limit (上限ペースインピーダンス)、注意アイコン付き < 小 Pace Low Impedance Limit (下限ペースインピーダンス)、注意アイコン付き

対応する 小値または 大値でのプロットポイントa

a. このようなポイントを選択しても数値は表示されないが、数値が上限を超えているか下限を下回っているかはわかる。

表 3-4. PaceSafe Automatic Threshold (PaceSafe 自動閾値): 日常測定の状態、プログラマディスプレイ、図表示

状態 プログラマディスプレイ 図表示

機能が有効ではない No Data Collected (データは収集されませんでした)

ギャップ

テストの失敗または範囲を超える測定値 多様 ギャップ

注記: PaceSafe の閾値テストについてはエラーコードの一覧を参照("PaceSafe")。

以下の状況では Intrinsic Amplitude (自己振幅)およびLead Impedance (リードインピーダンス)の測定は試行されない。プログラマのディスプレイに No Data Collected または Invalid Data と表示され、図表示にはギャップが生じる。

• テレメトリが作動している。

• 電池が消耗している。

• LATITUDE のイントロゲーションを実行している。

• パルスジェネレータが Electrocautery Protection (電気手術器からの保護)モードになっている。

• マグネットがパルスジェネレータ上に置かれている(Magnet Response (マグネット応答)が Pace Async (非同期ペーシング)に設定されている場合)。

PaceSafe の測定が試行されない状況の詳細を参照("PaceSafe")。

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3-10 システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) 術後システムテスト(POST) (POST-OPERATIVE SYSTEM TEST (POST))

術後システムテスト(POST) (POST-OPERATIVE SYSTEM TEST (POST))

この機能は、VALITUDE で使用できる。

POST は、事前に設定した植込み後の時点でデバイス/リードの自動チェックを行う機能である。これにより、システムテストを手動で実施することなく、システムが適切に機能していることを記録でき、同日の退院が可能になる。臨床医は、リードの自動テストの結果を必要とするリード接続後の時間を選択することができる。標準設定のテスト結果時間に関する調節はいずれもリード接続前にプログラムしなければならない。

Intrinsic Amplitude (自己振幅)、Impedance (インピーダンス)、Pace Threshold (ペーシング閾値)の自動テストを有効にした場合、指定したテスト結果時間の 1 時間前にテストが試行される。リード接続から48時間は、イントロゲーション時に、テストのステータス(実行予定、進行中、完了)がSummary (サマリ)ダイアログおよび Summary 画面に表示される。テスト結果は Quick Notes (クイックノート)レポートおよび Follow-Up (フォローアップ)レポートに印刷することができる。

注記: 有効な測定値を得ることができるよう、ペーシングパラメータが一時的に調節される場合がある。

初の試行で有効な測定値が得られなかった場合、測定を可能にするため再試行される。再試行する必要がある場合、テストの完了が指定したテスト結果時間の 大 1 時間後になることがある。有効な測定値が得られなかった場合やレポートを印刷する前に日常測定が自動的に行われた場合は、日常測定の結果が記録される("リードのステータス(Leads Status)")。

リードテスト(LEAD TESTS)

以下のリードテストを実施することができる(図 3-4)。

• ペーシングインピーダンス

• 自己振幅

• ペーシング閾値

図 3-4. Lead Tests (リードテスト)画面

Lead Tests は以下のステップによりアクセスすることができる。

1. メイン画面の Tests (テスト)タブを選択する。

2. Tests (テスト)画面の Lead Tests (リードテスト)タブを選択する。

リードテストはすべて 3 通りのプロセスで実施することができる。

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システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) リードテスト(LEAD TESTS)

3-11

• Lead Tests 画面から—各心房、心室で同じリードテストを実施することができる。

• 目的の心房または心室ボタンを選択する––同じリードですべてのテストを実施することができる。

• Run All Tests (すべてのテストを実行)ボタンを選択する—Intrinsic Amplitude (自己振幅)テストおよび Lead Impedance (リードインピーダンス)テストが自動的に実行される、および Pace Threshold (ペーシング閾値)テストを実行することができる。

自己振幅テスト(Intrinsic Amplitude Test)

自己振幅テストでは各心房、心室の P 波および R 波の自己振幅を測定する。

自己振幅テストは次の手順で Lead Tests (リードテスト)画面から実施することができる。

1. テストを行う心房または心室の自己活動が現れるように、必要に応じてあらかじめ設定されている以下の数値を変更する。

• プログラムされた Normal Brady (通常徐脈)モード

• 30min-1での LRL (下限レート)

• 300ms での AV Delay (AV ディレイ)

2. Intrinsic Amplitude (自己振幅)ボタンを選択する。テスト中、ウィンドウにテストの進行状況が表示される。Intrinsic Amplitude ボタンを選択して押したままにすると、 長 10 秒間、またはボタンを離すまで測定が繰り返される。ウィンドウが閉じると、Intrinsic Amplitude ボタンを選択して同じテストを再度実施することができる。テストを中止するには、PRMのCancel (キャンセル)ボタンを選択するか DIVERT THERAPY (治療の中止)キーを押す。

3. テストが完了すると Current (現在)の測定結果として Intrinsic Amplitude 測定値が表示される(かっこは付かない)。同じセッション中に再度テストを行うと、Current の測定値が新しい測定結果で更新される。Previous Session (前回のセッション)の測定値(かっこ内に表示)は、このテストが実行された直近のセッションの測定結果である。

注記: 前回の測定結果はパルスジェネレータのメモリに保存され、 初にイントロゲートしたときに読み込まれ、Lead Tests 画面に表示される。測定値は Quick Notes レポートにも表示される。

リードインピーダンステスト(Lead Impedance Test)

リードインピーダンステストは時間の経過に伴うリードの完全性の変化を比較測定するために実施し、利用することができる。

リードの完全性に問題がある場合には、標準的なリードトラブルシューティングテストを実施し、リードシステムの完全性を評価する必要がある。

トラブルシューティングテストには次のようなものが含まれる。

• ポケット操作とアイソメトリックスのいずれか、または両方による電位図分析

• エックス線または透視画像の確認

• 侵襲的目視試験

(おそらくはEMIにより)有効な測定値が得られなかった場合は、NOISE (ノイズ)というテスト結果が報告される。

ペースリードインピーダンステストは次の手順で Lead Tests (リードテスト)画面から実施することができる。

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3-12 システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) リードテスト(LEAD TESTS)

1. 目的のリードインピーダンステストボタンを選択する。ボタンを選択して押したままにすると、 長10 秒間、またはボタンを離すまで測定が繰り返される。

2. テスト中はテストの進行が画面に表示される。画面が閉じると、目的のリードインピーダンステストボタンをもう一度選択して同じテストを実施することができる。テストを中止するには、PRM のCancel (キャンセル)ボタンを選択するか DIVERT THERAPY (治療の中止)キーを押す。

3. テストが完了すると Current (現在)の測定結果としてインピーダンス測定値が表示される(かっこは付かない)。同じセッション中に再度テストを行うと、Current の測定値が新しい測定結果で更新される。Previous Session (前回のセッション)の測定値(かっこ内に表示)は、このテストが実行された直近のセッションの測定結果である。

4. テスト結果が NOISE になった場合は以下の方法を試してみる。

• テストを繰り返す。

• テレメトリモードを切り替える。

• 電磁障害のその他の原因を取り除く。

注記: 前回の測定結果はパルスジェネレータのメモリに保存され、 初にイントロゲートしたときに読み込まれ、Lead Tests 画面に表示される。測定値は Quick Notes レポートにも表示される。

ペーシング閾値テスト(Pace Threshold Test)

Pace Threshold Test (ペーシング閾値テスト)では特定の心房または心室での捕捉に必要な 小出力を決定する。

心室/心房ペーシング振幅閾値テストは、手動でも自動でも実施できる。PaceSafe を Auto (自動)にプログラムした場合は、コマンドによる自動振幅テストの結果を使用して PaceSafe の出力レベルが調節される。

注記: 4 極装置では、左心室ペーシング振幅閾値テストは手動のみで実施できる。

心室および心房のパルス幅閾値テストを手動で行うには、Pace Threshold (ペーシング閾値)詳細画面の Pulse Width (パルス幅)オプションを選択する。

マニュアルペーシング閾値テスト(Manual Pace Threshold Test)

安全マージンを適切に保ち、電池寿命を維持するため、各心房、心室では捕捉閾値を基に、少なくとも2倍の電圧値または3倍のパルス幅を推奨する。テストは指定した開始値から始まり段階的に数値を下げていく(Amplitude(振幅)または Pulse Width(パルス幅))。数値の減少ごとに PRM はビープ音を発する。閾値テスト中に使用する数値はプログラム可能である。このパラメータはテスト中のみ有効である。

注記: Amplitude (振幅)および Pulse Width (パルス幅)の開始値は自動的に計算される。装置は保存されている前回測定した(テストするパラメータの)ペーシング閾値を読み出し、前回測定した閾値よりも3 段階上の数値に設定する。LRL はあらかじめ 90min-1

に設定されている。DDD モードでは、LRL はさらに MTR より下の 10min-1に制限される。

注記: DDD モードが選択されている場合は、指定した心房または心室テストを選択すると、ペーシング出力が選択した心房または心室でのみ減少する。

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システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) リードテスト(LEAD TESTS)

3-13

注意: 手動での左心室の閾値テスト中は右心室のバックアップペーシングは行われない。

注記: 心室テストが選択されているときは、選択した心室部位のペーシング出力だけが減少する。他の心室部位はペースされない。

テストが開始されると装置は指定された徐脈パラメータで作動する。テストが完了するまで、選択されたパラメータ(AmplitudeあるいはPulse Width)がプログラムされた周期数ごとに段階的に減少する。左心室ペーシングリード構成(VALITUDE)およびテスト中の数値を含むリアルタイム電位図および注釈付イベントマーカは、閾値テスト中も継続して使用可能である。テスト中の心房あるいは心室の表示は自動的に変わる。

閾値テスト進行中、プログラマは進行中のテストのテストパラメータをウィンドウに表示する。テストを一時停止にする、あるいは手動で数値を調整するには、画面の Hold (一時停止)ボタンを選択する。"+"あるいは"–"ボタンを選択してテスト中の数値をマニュアルで増加/減少させる。テストを継続するには、Continue (続行)ボタンを選択する。

次のいずれかが行われると、閾値テストが完了し、パラメータはすべて通常のプログラム値に戻る。

• PRM コマンドによりテストが終了させられた(例えば End Test (テストの終了)ボタンあるいはDIVERT THERAPY (治療の中止)キーが押された)。

• Amplitude あるいは Pulse Width が 小設定値まで到達して、プログラムされた数の周期が終了した。

• テレメトリ交信が中断された。

ペーシング閾値テストは次の手順で Lead Tests (リードテスト)画面から実施することができる。

1. テストする心房または心室を選ぶ。

2. Pace Threshold (ペーシング閾値)詳細ボタンを選択する。

3. テストの種類を選択する。

4. テストを実行する心房あるいは心室にペーシングが出力されるように、必要に応じて以下のパラメータ値を変更する。

• Mode (モード)

• LRL

• Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)

• Pacing Lead Configuration (ペーシングリード極性)

• 振幅

• パルス幅

• Cycles per Step (ステップごとの周期)

• LV Protection Period (左心室保護期) (左心室の閾値テストでのみプログラム可能)

DDD モードでは、Normal Brady (通常徐脈) MTR を用いる。

注記: 高ペーシングレートでは、長い LVPP は左心室ペーシングを抑制することがある。LVPP は、Pace Threshold Test (ペーシング閾値テスト)画面より、一時的にプログラムすることができる(例えば短い LVPP や Off)。

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3-14 システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) リードテスト(LEAD TESTS)

5. ECG モニタを注視しながら、捕捉が観察できなくなった時点で End Test (テストの終了)ボタンを選択するか DIVERT THERAPY キーを押してテストを中止する。 小の設定値でプログラムされた周期の数までテストが継続すると、テストは自動的に終了する。 終の閾値テスト値が表示される(テストが終了したときの数値の一段階上の数値)。(捕捉不全が起こる前の)10 秒間の波形が自動的に保存され、Snapshot (スナップショット)タブを選択して波形を表示し、分析することができる ("スナップショット(Snapshot)")。

注記: Threshold Test (閾値テスト)画面の Edit Today's Test (本日のテストを編集)ボタンを選択すると、閾値テストの結果を編集することができる。

6. テストが完了すると Current (現在)の測定結果として閾値測定値が表示される(かっこは付かない)。同じセッション中に再度テストを行うと、Current の測定値が新しい測定結果で更新される。Previous Session (前回のセッション)の測定値(かっこ内に表示)は、このテストが実行された直近のセッションの測定結果である。

7. 他にテストを行う場合は、必要に応じてパラメータの数値を変更し、再び開始する。新しいテスト結果が表示される。

注記: 前回の測定結果はパルスジェネレータのメモリに保存され、 初にイントロゲートしたときに読み込まれ、Lead Tests 画面および Leads Status (リードの状態)画面に表示される。測定値は Quick Notes レポートにも表示される。

コマンドによる自動ペーシング閾値テスト(Commanded Automatic Pace Threshold Test)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

コマンド自動閾値テストが手動テストと異なる点を以下に示す。

• コマンド自動閾値テストは Amplitude (振幅)に対しては実施できるが、Pulse Width (パルス幅)に対しては実施できない。

• 以下のパラメータが固定されている(手動テストではプログラム可能)。

‒ Paced AV Delay (ペース後 AV ディレイ)

‒ Pulse Width (パルス幅) (RAAT および RVAT)

‒ Cycles per step (ステップごとの周期)

‒ Pacing Lead Configuration (ペーシングリード極性) (RAAT)

注記: テストを実行する心房あるいは心室にペーシングが出力されるように、必要に応じてプログラム可能パラメータを変更する。

• 捕捉不全、融合、バックアップペーシング(バックアップペーシングが有効な場合)などの追加イベントマーカを使用できる。

• コマンド自動閾値テストは、いったん開始されると一時停止することができず、キャンセルしかできない。

• PaceSafe は、テストの完了を自動的に検出し、自動的にテストを停止する。

• テストは完了すると自動的に停止し、閾値が表示される。閾値は、一貫した捕捉が確認された前回の出力レベルである。(捕捉不全が起こる前の)10 秒間の波形が自動的に保存され、Snapshot (スナップショット)タブを選択して波形を表示し、分析することができる("スナップショット(Snapshot)")。

• テスト結果は編集できない。

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システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) リードテスト(LEAD TESTS)

3-15

注記: コマンド右心房自動閾値テスト中は、バックアップ心房ペーシングは行われない。

注記: 右心室ペーシングは、LV Offset (LV オフセット) -80ms が適用されるコマンド左心室自動閾値テスト中、バックアップとなる。

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3-16 システムの診断(SYSTEM DIAGNOSTICS) リードテスト(LEAD TESTS)

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4-1

患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 第 4 章

本章では、以下の項目について説明されている。

• "治療歴(Therapy History)"ページ 4-2

• "不整脈ログブック(Arrhythmia Logbook)"ページ 4-2

• "スナップショット(Snapshot)"ページ 4-8

• "ヒストグラム(Histograms)"ページ 4-9

• "カウンタ(Counters)"ページ 4-9

• "心拍数変動(HRV) (Heart Rate Variability (HRV))"ページ 4-10

• "トレンド(Trends)"ページ 4-13

• "植込み後の機能(Post Implant features)"ページ 4-18

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4-2 患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 治療歴(THERAPY HISTORY)

治療歴(THERAPY HISTORY)

パルスジェネレータは、患者の状態やパルスジェネレータプログラミングの有効性を評価する際に役立つデータを自動的に記録する。

PRM を使用して、治療歴データを多様に確認することができる。

• Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック)—検出された各エピソードの詳細情報が表示される ("Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック)")。

• Histograms (ヒストグラム)および Counters (カウンタ)—特定の記録期間におけるペーシング およびセンシングイベントの総数と比率が表示される("ヒストグラム(Histograms)"、"カウンタ(Counters)")。

• Heart Rate Variability (心拍数変動) (HRV)—24 時間内に収集された患者の自己心拍数の変動を測定する("心拍数変動(HRV)(Heart Rate Variability (HRV))")。

• Trends (トレンド)—患者、パルスジェネレータ、およびリードのデータを図表示する("トレンド(Trends)")。

注記: Summary (サマリ)ダイアログおよび Summary タブは前回のリセット以降に発生したイベントの優先順位を付けたリストを表示する。このリストには VT、SVT、Nonsustained (非持続性)、および ATR (48 時間以上持続した場合)エピソードのみが含まれる。

不整脈ログブック(ARRHYTHMIA LOGBOOK)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック)では、次のようなあらゆるタイプのエピソードに関する詳細な情報を見ることができる(図 4-1)。

• イベントの数、日付および時間

• イベントのタイプ

• イベントの詳細のサマリ

• イベントの持続時間(該当する場合)

• 注釈マーカ付き EGM

• Intervals (間隔)

注記: このデータにはすべての電極から得た情報が含まれる。本装置は治療歴データを圧縮し、 長14 分間の EGM データ(Patient Triggered Monitor (患者が始動するモニタ)を有効にした場合 10 分間)を保存する。ただし、実際の保存時間は圧縮されているデータによって異なる(例えば EGM のノイズまたは心室頻拍のエピソード)。

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患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 不整脈ログブック(ARRHYTHMIA LOGBOOK)

4-3

図 4-1. Arrhythmia Logbook 画面

通常の条件下でパルスジェネレータが保存するエピソードの優先順位、 大数、 小数はエピソードタイプによって異なる(表 4-1)。パルスジェネレータは、エピソードデータに割り当てられているメモリがいっぱいにならない限り、各エピソードタイプに認められている 大数までエピソードを保存する。エピソードタイプごとに 小エピソード数が決まっているため、メモリが一杯になった場合でも、優先順位が高いエピソードによって優先順位が低い少数のエピソードが上書きされることなく、すべてのエピソードタイプが表示される。

メモリがいっぱいになると、パルスジェネレータは保存されるエピソードタイプの優先順位を決め、以下のルールに従って保存されたエピソードを上書きする。

1. メモリがいっぱいになり、18 か月より古いエピソードがある場合には、( 小エピソード数が保存されているかどうかに関わらず)優先順位が も低いエピソードのうち も古いものが削除される(VALITUDE)。

2. メモリがいっぱいになり、エピソードタイプが 小保存エピソード数より多い場合には、優先順位がも低いエピソードのうち も古いものが削除される。この場合、その保存エピソード数が 小エピ

ソード数より少なければ優先順位の低いエピソードは削除されない。

3. メモリが一杯になり、 小保存エピソード数より多いエピソードタイプがない場合には、優先順位がも低いエピソードのうち も古いものが削除される。

4. エピソードタイプ内で 大エピソード数に達した場合は、そのタイプの も古いエピソードが削除される。

• 進行中のエピソードは、そのタイプが決まるまで 優先される。

注記: 治療歴データが保存されると、装置をイントロゲートすることなく随時アクセスできる。

表 4-1. エピソードの優先順位

エピソードタイプ 優先順位 大保存エピソード数

詳細なレポート付きの 小保存エピソー

ド数

詳細なレポート付きの 大保存エピソー

ド数

VT (V>A) 1 50 5 10

PTM (患者が始動するモニタ)

1 5 1 1

SVT (V≤A) 2 50 3 5

NonSustV (持続しなかった心室エピソード)

3 10 1 2

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4-4 患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 不整脈ログブック(ARRHYTHMIA LOGBOOK)

表 4-1. エピソードの優先順位(続き)

エピソードタイプ 優先順位 大保存エピソード数

詳細なレポート付きの 小保存エピソー

ド数

詳細なレポート付きの 大保存エピソー

ド数

RA Auto 3 1 1 1

RV Auto 3 1 1 1

LV Auto 4 1 1 1

ATR 4 10 1 3

PMT 4 5 1 3

SBR 4 10 1 3

APM RTa 4 1 1 1

a. Advanced Patient Management (高度な患者管理)リアルタイム(APM RT)イベントは LATITUDE コミュニケータによるフォローアップ

中に本パルスジェネレータに取り込まれ、保存された EGM を表示している。

次の手順で Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック)データを表示する。

1. Events (イベント)タブのArrhythmia Logbookを選択する。必要に応じて、パルスジェネレータが自動的にイントロゲートされ、 新のデータが表示される。保存されている患者データを表示することもできる("データ保存(Data Storage)")。

2. データを読み込んでいる間、プログラマはイントロゲーションの進行状況を示すウィンドウを表示する。保存データをすべて読み込む前に Cancel (キャンセル)ボタンを選択した場合には、情報は表示されない。

3. 表に表示するイベントの日付の範囲を調整するには、スライダと View (表示)ボタンを使用する。

4. 表のイベントの Details (詳細)ボタンを選択してイベントの詳細を表示する。Details ボタンが表示されているときに見られるイベントの詳細は、それぞれのエピソードを評価する際に有用である。Stored Event (保存されたイベント)画面が表示される。以下のタブを切り替えて、イベントに関する詳細情報を確認できる。

• Events Summary (イベントサマリ)

• EGM

• Intervals (間隔)

5. 項目見出しボタンを選択すれば、その項目を基準にしてイベントを並べ替えることができる。順序を逆にするには、項目見出しをもう一度選択する。

6. 特定のイベントを保存するには、そのイベントを選択し、Save (保存)ボタンを選択する。特定のイベントを印刷するには、そのイベントを選択し、ツールバーの Reports (レポート)を選択する。Selected Episodes Report (選択されたエピソードレポート)を選択し、Print (印刷)ボタンを押す。

注記: 「In Progress (進行中)」のエピソードは保存されない。エピソードはアプリケーションによって保存される前に終了していなければならない。

エピソードの詳細を見るには、Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック)画面で目的のエピソードの横にある Details ボタンを選択する。Stored Event 画面が表示される。Summary (サマリ)、EGM、Intervals (間隔)のタブを切り替えて参照することができる。

Events Summary (イベントサマリ)

Events Summary (イベントサマリ)画面では、Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック)で選択したエピソードのさらに詳細な情報が表示される。

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患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 不整脈ログブック(ARRHYTHMIA LOGBOOK)

4-5

概要データには以下の情報が含まれる。

• エピソード番号、日付、時刻、タイプ(例えば VT、SVT、PTM など)

• 平均心房および心室レート

• 持続時間

• ATR の平均心室レート(ATR イベントのみ。患者の心房性不整脈に対する心室応答が適切に制御されているかどうか判断するのに役立つ)

• PMT が始まった時の心房レート(PMT イベントのみ)

注釈マーカ付保存電位図

パルスジェネレータは以下のチャンネルで感知された注釈付電位図を保存することができる。

• RV ペース/センスリード

• 左心室ペース/センスリード

注記: LV 電位図は PTM エピソードに対してのみ保存される。LV マーカはエピソードのタイプに関係なく必ず保存される。

• 心房ペース/センスリード

• PaceSafe Evoked Response (ER) (PaceSafe Evoked レスポンス)

保存される注釈付電位図はエピソードタイプによって異なる。本項では、EGM は電位図と注釈付マーカの両方を指す。EGM の保存容量は EGM 信号の状態および心拍数によって変わる。エピソードに関連する保存 EGM データは、総容量が制限され、保存中の EGM が 4 分以上持続した場合削除される場合がある。

EGMの保存に割り当てられたメモリが容量を超すと、本装置は新しいEGMデータを保存するため古いEGM データセグメントを上書きする。EGM はエピソードの Onset (始まり)と End EGM Storage (EGM保存の終了)から成るセグメントに記録される。Onset セグメントの詳細な情報は左キャリパがそのセクションにあるときに見ることができる。

Episode Onset (エピソードの始まり)は、Event の宣言前の時間の EGM (秒単位で測定)をいう。

Onset には以下の情報が含まれる。

• イベントのタイプ

• Event 開始時の平均 RA レート

• Event 開始時の平均 RV レート

• ATR 時の平均 V レート(ATR エピソードのみ)

EGMデータを見るにはArrhythmia Logbook (不整脈ログブック)画面で目的のエピソードのDetails (詳細)ボタンを選択する。

次の手順で各エピソードの詳細を確認する。

1. EGM タブを選択する。

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4-6 患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 不整脈ログブック(ARRHYTHMIA LOGBOOK)

• 該当する電位図リソースの EGM 記録が表示される。各 EGM 記録にはエピソード中の EGMと対応する注釈付マーカが含まれる。青色の垂直線はセグメント(Onset (オンセット)、End (終了))の境界を示す。

注記: マーカの定義を見るには、PRM の Reports (レポート)ボタンを選択して Marker Legend Report (マーカ説明レポート)を表示する。

• 保存 EGM の別のセクションを表示するには、上部ディスプレイウィンドウ下のスライダを使用する。

• 必要に応じて走査 Speed (速度)を調整する(10、25、50、100mm/s)。速度を上げると、水平目盛りの時間が拡大する。

注記: 走査 Speed の調整は、画面上での確認のためのみのものであり、保存 EGM の印刷速度は 25mm/s に設定されている。

• 電子キャリパ(スライダバー)を使用して信号間の距離と時間および信号の振幅を測定する。

‒ 信号間の距離は、各キャリパを EGM 上の目的の位置まで動かして測定することができる。2 つのキャリパの間の時間(ms または s)が表示される。

‒ 信号の振幅は、左側のキャリパを目的の信号のピークまで動かして測定できる。信号値(mV)は EGM の左側に表示される。信号は、ベースラインからピークまでの正の値または負の値として測定される。振幅測定を簡単に行えるようにするために、必要に応じて走査 Speed や振幅のスケールを調整する。

• 波形表示の右側にある上下矢印ボタンを使って、必要に応じて各チャネルの振幅(垂直目盛り)を調整する(0.2、0.5、1、2、5mm/mV)。ゲインが増加すると、信号の振幅が拡大する。

2. Previous Event (前のイベント)あるいは Next Event (次のイベント)ボタンを選択して別のイベントの記録を表示させる。

3. エピソードレポート全体をプリントするには Print Event (イベントを印刷)ボタンを選択する。エピソードレポート全体を保存するには、Save (保存)ボタンを選択する。

Intervals (間隔)

パルスジェネレータはイベントマーカと関連するタイムスタンプを保存する。PRM はイベントマーカとタイムスタンプからイベントの間隔を導き出す。

次の手順でエピソードの間隔を見る。

1. Stored Event (保存されたイベント)画面の Intervals (間隔)タブを選択する。一画面ですべてのエピソードを見ることができないときはスクロールバーを用いて見る。

2. Previous Event (前のイベント)あるいは Next Event (次のイベント)ボタンを選択し、以前のあるいは 新のエピソードを表示させる。一度に 1 エピソードしか見ることはできない。

3. Print Event (イベントを印刷)ボタンを選択し、エピソード レポート全体をプリントする。

4. Save (保存)ボタンを選択し、エピソードレポート全体を保存する。

Ventricular Tachy EGM Storage (心室頻拍 EGM 保存)

Ventricular Tachy EGM Storage (心室頻拍EGM保存)機能は、患者の自己心室レートがプログラム可能閾値を超えた場合に Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック)エピソードを検出して保存する。Fastが連続して 3 拍検出されると、装置はエピソードの保存を開始する。それらは 終的に、VT (V>A)、SVT (V<A)、Nonsustained (非持続性)エピソードに分類される。パルスジェネレータは頻拍治療(例えばショックや ATP など)は行わない。

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患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 不整脈ログブック(ARRHYTHMIA LOGBOOK)

4-7

この機能はどの Brady (徐脈)モードでも利用できる。デュアルチャンバペースメーカが AAI(R)にプログラムしてある場合は、VT EGM Storage (心室頻拍 EGM 保存)パラメータが Off に設定されていない限り、VT 検出の心室センシングが心房センシングに加えて使用される。

頻拍 EGM は以下の条件で保存される。

1. エピソードの保存を開始するには、VT Detection Rate (VT 検出レート)を超えて Fast が連続して 3 拍検出される必要がある。エピソードの Onset (始まり) EGM セグメントは、3 拍目の Fast の 5 秒前に開始し、3 拍目の Fast の 10 秒後に停止する。

2. パルスジェネレータは、スライド検出窓を使用して Fastの 10 拍のうち 8 拍を監視する。検出窓は、直近に検出された 10 個の心室間隔である。新しい間隔が発生すると、窓がスライドしてその間隔を包含し、 も古い間隔が削除される。

3. Fast の 10 拍のうち 8 拍が検出されると、V-Epsd マーカが表示され、プログラム不可の 10 秒のDuration (持続時間)が開始される。

4. Duration 中に Fast の 10 拍のうち 6 拍が維持された場合は、持続する VT エピソードが宣言される。Duration 終了時に依然としてレートが速い場合は、パルスジェネレータが V>A 検出強化機能を適用し、エピソードが VT (V>A)であるか、それとも SVT (V≤A)であるかを特定する。

a. Duration 終了時に、パルスジェネレータが 新の 10 個の V–V 間隔と 新の 10 個の A–A間隔の平均を計算する。

注記: もし心房が10間隔に満たない場合でも、その心房間隔を用いて心房レートの平均を計算する。心室間隔は常に 10 個以上存在する。

b. これらの平均を比較する。平均心室レートが 10min-1であるか、平均心房レートより速い場合、

エピソードは VT と宣言される。それ以外の場合は、SVT と宣言される。

注記: パルスジェネレータは心房リードが植込まれているか否かに関係なく心房センシングに応答する。心房リードが植込まれていない場合、または適切にセンシングしていない場合は、心房センシングの Lead Configuration (リード極性)をOffにプログラムする("心房情報の利用(Use of Atrial Information)")。

5. Fast の 10 拍のうち 8 拍が検出されなかった場合、または Duration 中に Fast の 10 拍のうち 6 拍が維持されなかった場合は、非持続性エピソードが宣言される。このエピソードは NonSustV (持続しなかった心室エピソード)に分類される。

6. 以下の状況ではエピソード終了が宣言される。

• End of Episode (エピソード終了)タイマが終了した。Fastの10拍のうち8拍が検出されると、Fast が 10 拍のうちの 6 拍に満たない場合は常に、プログラム不可の 10 秒の End of Episode タイマが開始される。タイマがクリアされるのは、タイマが終了する前に再び Fast の10 拍のうち 8 拍が検出された場合だけである。タイマが終了すると、エピソード終了が宣言され、V-EpsdEnd (V-Epsd 終了)マーカが表示される。

• Fast の 10 拍のうち 8 拍が検出されなかったが、VT Detection Rate より下で Slow が連続して 10 拍検出された。この条件では、エピソード終了マーカは表示されない。

• EP テストが開始された。

• Ventricular Tachy EGM Storage (心室頻拍 EGM 保存)が再プログラムされた。

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4-8 患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) スナップショット(SNAPSHOT)

エピソードのEnd (終わり) EGMセグメントは、エピソード終了の 20秒前に開始し(Onset (始まり)とEndのセグメントが重なっている場合は 20 秒より短くなることがある)、エピソード終了時に停止する。

スナップショット(SNAPSHOT)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

ECG/EGM画面の12秒間の波形は、どの画面からでもSnapshot (スナップショット)ボタンを押すことでいつでも保存できる。波形は Pace Threshold Test (ペーシング閾値テスト)後にも自動的に保存される。保存された波形は、Snapshot タブを選択して表示および分析することができる。

ECG/EGM 画面で現在選択されている波形および注釈付マーカは、Snapshot ボタン選択前の 長 10秒間と選択後の 長2秒間が捕捉される。スナップショットがPace Threshold Test (ペーシング閾値テスト)中に自動的に保存される場合、テストの停止と同時に終了する 10 秒間が捕捉される。

注記: ECG/EGM 画面の波形が変更されたり、Snapshot ボタンの選択から 10 秒以内にセッションが開始した場合には、スナップショットは短縮する。

Snapshot は、現在のセッションについてのみ、 大 6 回分が時刻入りで PRM メモリに保存される。アプリケーションソフトウェアの終了または別の患者のイントロゲーションによってセッションが終了すると、データは消去される。1 つの PRM セッションに 6 つを超えるスナップショットが保存される場合、一番古いものが上書きされる。

以下のステップに従って、保存したスナップショットを表示する。

1. Events (イベント)タブから Snapshot (スナップショット)タブを選択する。

2. Previous Snapshot (前のスナップショット)あるいはNext Snapshot (次のスナップショット)ボタンを選択して、別の波形を表示する。

3. 保存 Snapshot の別のセクションを表示するには、上部ディスプレイウィンドウ下のスライダを使用する。

4. 必要に応じて Speed (速度)を調整する(10、25、50、100mm/s)。Speed を速めると、時間/水平方向の目盛り間隔が広くなる。

注記: 走査Speedの調整は、画面上での確認のためのみのものであり、保存したSnapshotの印刷速度は 25mm/s に設定されている。

5. 電子キャリパ(スライダバー)を使用して信号間の距離と時間および信号の振幅を測定する。

• 信号間の距離は、各キャリパをスナップショット上の目的の位置まで動かして測定することができる。2 つのキャリパの間の時間(ms または s)が表示される。

• 信号の振幅は、左側のキャリパを目的の信号のピークまで動かして測定できる。信号値(mV)はスナップショットの左側に表示される。信号は、ベースラインからピークまでの正の値または負の値として測定される。振幅測定を簡単に行えるようにするために、必要に応じて Speedや振幅のスケールを調整する。

6. 波形表示の右側にある上下矢印ボタンを使って、必要に応じて各チャネルの振幅(垂直目盛り)を調整する(0.2、0.5、1、2、5mm/mV)。ゲインが増加すると、信号の振幅が拡大する。

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患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) ヒストグラム(HISTOGRAMS)

4-9

7. 現在表示されているスナップショットを印刷するには、Print (印刷)ボタンを選択する。現在表示している Snapshot を保存するには、Save (保存)ボタンを選択する。保存されたすべてのスナップショット波形を保存するには、Save All Snapshots (すべてのスナップショットを保存)を選択する。

ヒストグラム(HISTOGRAMS)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Histograms (ヒストグラム)機能は、パルスジェネレータから情報を読み取り、心房または心室のペーシングおよびセンシングイベントの総数と比率(%)を表示する。

Histograms (ヒストグラム)データによって以下の臨床情報が得られる。

• 患者の心拍数の分布

• ペーシング心拍とセンシング心拍の比率がレートによってどのように変わるか。

• 心室がレート全体で心房のペーシングおよびセンシング心拍にどのように応答しているか。

• AT/AF イベント中の RV レート(VALITUDE)

表示された両心室のペーシングを合わせることで、ヒストグラムは CRT 実行の総計を確認するために使用することができる。心室のペーシングおよびセンシングイベントの比率(%)は、実行された BiV ペーシングの比率を示す。

次の手順で Histograms (ヒストグラム)画面にアクセスする。

1. Events (イベント)画面の Patient Diagnostic (患者の診断情報)タブを選択する。

2. 初の画面には前回カウンタがリセットされてからのペーシングおよびセンシングデータが表示される。

3. Details (詳細)ボタンを選択してデータの種類と時期を表示する。

4. Details (詳細)画面の Rate Counts (レートカウント)ボタンを選択して心房/心室ごとの心拍数および AT/AF イベント中の RV レートを確認する(VALITUDE)。

Patient Diagnostics (患者の診断情報)のDetails (詳細)画面のReset (リセット)ボタンを選択すると、すべてのヒストグラムをリセットすることができる。ヒストグラムデータは、PRM に保存し、Reports (レポート)タブから印刷できる。

カウンタ(COUNTERS)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

パルスジェネレータでは以下のカウンタが記録され、Patient Diagnostics 画面に表示される。

• Tachy (頻拍)

• Brady/CRT (通常徐脈/CRT)

心室頻拍カウンタ(Ventricular Tachy Counters)

Ventricular Episode Counters (心室エピソードカウンタ)に関する情報を見るには、Tachy Counters Details(頻拍カウンタ詳細)ボタンを選択する。カウンタにはそれぞれ前回リセットされてからのイベント数と総合計が表示される。Ventricular Episode Counters (心室エピソードカウンタ)には以下のデータが含まれる。

• Total Episodes (エピソードの合計)

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4-10 患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 心拍数変動(HRV) (HEART RATE VARIABILITY (HRV))

• VT Episodes (VT エピソード) (V>A)

• SVT Episodes (SVT エピソード) (V≤A)

• Nonsustained Episodes (非持続性エピソード)

徐脈/CRT カウンタ(Brady/CRT Counters)

徐脈/CRT カウンタ(Brady/CRT Counters)に関する情報を表示するには、Brady/CRT Counters Details (徐脈/CRT カウンタ詳細)ボタンを選択する。この画面には Brady/CRT (徐脈/CRT)エピソードカウンタが表示される。カウンタにはそれぞれ前回とその前にリセットされてからのイベント数が表示される。Brady/CRT カウンタには以下の詳細が含まれる。

• Percent of atrial paced (心房ペーシングの比率)

• 右心室ペーシングの比率

注記: BiVentricular Trigger (両心室トリガ)ペーシングの右心室ペーシングイベントは右心室センシングとしてカウントされる。

• Percent of LV paced (左心室ペーシングの比率)

• Intrinsic Promotion (自己促進)—Rate Hysteresis % Successful (レートヒステリシスの成功率)が含まれる。

• Atrial Arrhythmia (心房性不整脈)—AT/AF の時間の割合、AT/AF の Total Time (合計時間) (分、時間、または日)、Episodes by Duration (持続時間別のエピソード)、および Total PACs (PAC の合計)が含まれる。前回のリセット後に 1 回以上の ATR イベントが保存されている場合、Longest AT/AF ( 長 AT/AF)および Fastest RVS Rate in AT/AF (AT/AF 中の 速 RVS レート)のデータが Summary (サマリ)画面に表示され、レポートに印刷される(VALITUDE)。

注記: AT/AF のパーセント値(%)および AT/AF の Total Time は 長 1 年間にわたって記録され、表示される。

• Ventricular Counters (心室カウンタ)—Total PVC (総 PVC)と複数の PVC が含まれる。

Patient Diagnostics (患者の診断情報)のDetails (詳細)画面のReset (リセット)ボタンを選択すると、すべてのカウンタをリセットすることができる。カウンタデータは、PRM に保存し、Reports (レポート)タブから印刷できる。

心拍数変動(HRV) (HEART RATE VARIABILITY (HRV))

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Heart Rate Variability (HRV) (心拍数変動)は、24 時間内に収集された患者の自己心拍数の変動測定である。

この機能は心不全患者の臨床状態を評価するのに役立つ。

SDANNおよびHRV Footprintで測定されるHRVは、客観的な生理学的測定値で、死亡のリスクが高い心不全患者を特定することができる。具体的には、HRVの低下を急性心筋梗塞後の死亡リスクの予測因子として利用することができる。

1 正常なSDANN値は、127 ± 35msである。1高いSDANN値(心拍数

の変動が大きいことを示す)の上昇は、死亡リスクの低下に関連付けられている。2 3 4 また、HRV

Footprintが大きい場合は心拍数の変動が大きく、死亡のリスクが低い。2 3 4

1. Electrophysiology Task Force of the European Society of Cardiology and the North American Society of

Pacing and Electrophysiology. Circulation, 93:1043-1065, 1996. 2. F. R.Gilliam et al., Journal of Electrocardiology, 40:336-342, 2007. 3. F.R.Gilliam et al., PACE, 30:56-64, 2007. 4. J.P.Singh et al., Europace, 12:7–8, 2010.

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患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 心拍数変動(HRV) (HEART RATE VARIABILITY (HRV))

4-11

HRV モニタ機能は HRV 収集基準に合致する 24 時間の収集期間の自己心拍間隔データを利用して以下の情報を提示する(図 4-2)。

• 24 時間の収集期間が完了した日時。

• % of Time Used (使用時間の割合)—24 時間の収集期間中に有効な自己心拍があった時間を%で表示する。% of Time Usedが67%未満になった場合、その収集期間のデータは表示されない。

• HRV Footprint (HRV フットプリント)のプロット—HRV のプロットに使用されたグラフ表示部の%を示す。グラフ表示部は、24 時間における心拍数に対して変動の分布を「一目瞭然」で描写する。トレンドされた%は、グラフの footprint に基づいて標準化された数値である。

• 平均された正常なR-R 間隔の標準偏差(SDANN)—HRV の収集期間は、自己心拍間隔の 5 分区切りの 288 区分(24 時間)からなる。SDANN は、5 分区切りの 288 区分における自己心拍間隔の平均の標準偏差である。この測定値はトレンドでも利用できる。

• 現在の Normal Brady/CRT (通常徐脈/CRT)パラメータ—Mode (モード)、LRL、MTR、Sensed AV Delay (センス後 AV ディレイ)、および LV Offset (LV オフセット)を設定したペーシング部位のパラメータ。

• 平均心拍数を示す縦線のある現在と以前の収集期間における HRV プロット。HRV プロットは心周期ごとに心臓の変動を要約する。x 軸は心拍数の範囲、y 軸は ms 表示の心拍間隔変動を示す。配色は、特定の心拍数での心拍の頻度と心拍数変動の組み合わせを示す。

図 4-2. Heart Rate Variability(心拍数変動)の表示

HRV を使用する際は以下の情報を考慮に入れること。

• HRVの心周期(R-R間隔)は右心室のセンシングおよびペーシングイベントから測定される(Pacing Chamber (ペーシング部位)が LV Only (LV のみ)にプログラムされている場合は左心室ペーシングイベント)。

• ペーシングパラメータをプログラムすると、24 時間収集期間に取得したデータが無効になる。

• 本体は、画面の Reference (参照)部分の 1 組の数値と対応する HRV プロットだけを保存する。数値が Last Measured ( 新の測定)から Reference へコピーされると、古いデータは読み取りできない。

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4-12 患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 心拍数変動(HRV) (HEART RATE VARIABILITY (HRV))

• HRV 機能が 初に使用される場合、Reference は 初に有効な 24 時間収集期間からのデータを表示する。

次の手順で HRV を見る。

1. HRV モニタ画面にアクセスするには、Events (イベント)タブを選択する。

2. Events 画面の Patient Diagnostic タブを選択する。

3. Last Measured および Reference データを見るには Heart Rate Variability Details (心拍数変動の詳細)ボタンを選択する。

4. Last Measured HRV 測定値を Reference にコピーするには、Copy From Last to Reference (前回測定値を参照データにコピー)ボタンを選択する。

HRV モニタ画面は、画面の Last Measured 部分に直近 24 時間の収集期間に基づいた一連の測定値およびHRVプロットを表示する。以前に保存された収集期間の測定値を画面のReference部分に表示する。両方の収集期間を同時に見ることで、一定期間における患者の HRV 変化の傾向を示すデータを比較することができる。Last Measured の値を画面の Reference 部分に保存することにより、次回のセッション中に前回測定データを見ることができる。

HRV 収集基準

HRV データの計算には有効な洞調律の間隔のみが使用される。HRV に関しては、有効な HRV イベントのみを含む間隔を有効な間隔とする。

有効な HRV イベントを以下に記載する。

• MTR より遅い間隔の AS 後に VS

• プログラムされた AV Delay (AV ディレイ)で AS 後に VP

無効な HRV イベントを以下に記載する。

• AP/VS または AP/VP

• MTR より速い間隔の AS

• トラッキングされない VP イベント

• 連続した AS イベント(V イベントを伴わない)

• VP-Ns

• Rate Smoothing (レートスムージング)イベント(RVP↑など)

• PVC

さまざまな理由で HRV データが報告されない場合がある。 も多いのは以下の理由である。

• 24 時間の収集時間に有効な HRV イベントを含む時間が 67%未満(約 16 時間)。

• 24 時間以内に Brady (徐脈)パラメータがプログラムされた。

HRV データの記録例を示す(図 4-3)。この例では、Storage モードが解除された後に Brady Parameters がプログラムされたため、 初の収集期間の HRV データは無効となる。2 回目の 24 時間の収集期間の終了時に HRV データが計算され、報告される。以後の HRV データは Collection Period 5 (収集期間 5)が終了するまで報告されない。

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患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) トレンド(TRENDS)

4-13

図 4-3. HRV データ収集の例

トレンド(TRENDS)

トレンドは患者、ペースメーカ、およびリードのデータを図示する。このデータは患者の状態やプログラムパラメータの有効性を評価する際に有用である。下に記載がない限り、すべてのトレンドのデータは 24時間ごとに報告され、 長 1年間利用することができる。トレンドの多くで、収集期間に不十分なデータまたは無効なデータがある場合、"N/R"の値が報告される。

以下のトレンドが利用できる。

• Events (イベント)—Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック)に保存され、心房および心室のイベントを日付およびタイプ別に整理して表示する("Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック)")。このトレンドはエピソードが終了すると更新され、1 年以上前のデータを含む場合がある。

• Activity Level (活動レベル)—Percent of Day Active (日常活動率)によって表される、患者の日常活動の程度を表示する。

• AT/AF Burden (AT/AF負荷)—1日あたりのATRモードスイッチイベントの合計数およびATRモードスイッチに要する合計時間のトレンドを示す。

• RV Rate during AT/AF (AT/AF 中の RV レート) (VALITUDE)—ATR イベント中の患者の RV レートの Mean (平均)および Maximum ( 大値)のトレンドを表示する。Mean レートはペーシング心拍とセンシング心拍の両方を使用して計算され、Maximum レートはセンシング心拍の移動平均である。場合によっては、Mean レートが Maximum レートより大きいこともある。

• Pacing Percent (ペーシング比率) (VALITUDE)—心房/心室ごとのペーシングイベントの比率(%)を表示する。

• Respiratory Rate (呼吸数)—患者の 1 日の呼吸数の 小値、 大値、中央値のトレンドを表示する("呼吸数トレンド(Respiratory Rate Trend)")。

• AP Scan (AP スキャン)—パルスジェネレータが測定した設定された睡眠時間中 1 時間あたりの呼吸障害の平均回数のトレンドを表示する("AP スキャン(AP Scan)")。

無効 有効無効 無効有効

24時間の収集期間1

24時間の収集期間2

24時間の収集期間3

24時間の収集期間4

24時間の収集期間5

Collection Period 1 (収集期間1):無効なHRV、Brady (徐脈)パラメータ

の変更(プログラミング)が原因

Collection Period 2 (収集期間2):有効なHRV、67%超の収集基準に適合、HRVフットプリント作成

Collection Period 3 (収集期間3):無効なHRV、Bradyパラメータの変更

(プログラミング)が原因

Collection Period 4 (収集期間4):無効なHRV、1日間のうち67%

未満が有効

収集期間5:有効なHRV、67%超の

収集基準に適合

24時間の収集期間の開始

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4-14 患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) トレンド(TRENDS)

• Heart Rate (心拍数)—患者の 1 日の心拍数の 小値、 大値、平均値のトレンドを表示する。 この計算に使用する間隔は有効な洞調律の間隔でなければならない。

24 時間の収集期間の間隔および Heart Rate Trend データが有効であるかどうかは HRV 収集基準によって判断される("心拍数変動(HRV) (Heart Rate Variability (HRV))")。

• SDANN (平均された正常な R-R 間隔の標準偏差)—24 時間の収集期間(5 分区切りの 288 区分からなる)における自己心拍間隔の平均の標準偏差のトレンドを表示する。HRV 収集基準に合致する間隔のみが有効とされる。

正常なSDANN値は、127 ± 35msである。5

• HRV Footprint (HRV フットプリント)––HRV Footprint プロットに使用された%を示し、24 時間における心拍数に対して変動の分布を描く。トレンドされた%は、グラフの footprintに基づいて標準化された数値である。HRV の詳細情報を参照すること("心拍数変動(HRV) (Heart Rate Variability (HRV))")。

• ABM (自律神経バランスモニタ)––LF/HF比のトレンドを表示する。6 LF/HF比の標準範囲は、

1.5~2.0 である。5 ABMはR–R間隔の測定値を基に装置が行う計算で、LF/HF比の代替測定値と

して数学的に機能する。計算に利用する間隔はHRV収集基準により有効と判断された洞調律の間隔でなければならない。24 時間収集期間のHRVデータが無効な場合、その期間のABMは計算されず、"N/R"の数値が表示される。

• Lead Impedance (リードインピーダンス)および Amplitude (振幅)—1 日の自己振幅およびリードインピーダンス測定値のトレンドを表示する("リードのステータス(Leads Status)")。

• A Pace Threshold (心房ペーシング閾値)—毎日の右心房ペーシング閾値のトレンドを表示する。

• RV Pace Threshold (右心室ペーシング閾値)—毎日の右心室ペーシング閾値のトレンドを表示する。

次の手順で Trends (トレンド)にアクセスする。

1. Events (イベント)画面の Trends (トレンド)タブを選択する。

2. Select Trends (トレンドを選択)ボタンを選択し、目的のトレンドを指定する。以下のカテゴリから選択することができる。

• Heart Failure (心不全)—Heart Rate、SDANN、HRV Footprint (HRV フットプリント)のトレンドが含まれる。

• Atrial Arrhythmia (心房性不整脈)—AT/AF Burden、RV Rate during AT/AF、Respiratory Rate が含まれる(VALITUDE)。他のモデルでは、Atrial Arrhythmia カテゴリーに Events、Heart Rate、AT/AF Burden のトレンドが含まれる。

• Activity (活動)—Heart Rate、Activity Level、Respiratory Rate のトレンドが含まれる。

• Custom (カスタム)—各種のトレンドを選択して Trends 画面に表示させる情報をカスタマイズすることができる。

5. Electrophysiology Task Force of the European Society of Cardiology および North American Society of Pacing

and Electrophysiology。Circulation, 93:1043-1065, 1996. 6. 副交感神経の緊張は主に、スペクトル分析での高周波(HF)部分に反映される。低周波(LF)部分は交感神経と副交

感神経の両神経系に影響される。LF/HF 比は自立神経バランスの指標とされ、交感神経の変調を反映する。(出典: ACC/AHA Guidelines for Ambulatory Electrocardiography—Part III, JACC VOL. 34, No. 3, September 1999:912–48).

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患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) トレンド(TRENDS)

4-15

画面の表示は次の方法で見ることができる。

• View (表示)ボタンの希望の時間を選択し、トレンドデータの長さを選択する。

• ウィンドウ上部の水平方向のスライダバーを動かして開始日および終了日を調整する。左スクロールおよび右スクロールアイコンを使って日付を調整することもできる。

• グラフ上の垂直軸を動かすにはウィンドウ下部の水平方向のスライダバーを動かす。

トレンドデータの PRM への保存および印刷は Reports (レポート)タブから行うことができる。印刷したトレンドには、プログラミング、医療施設でのイントロゲーション、カウンタリセットなど、PRM と装置のやり取りの履歴が表示される(VALITUDE)。

呼吸数トレンド(Respiratory Rate Trend)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Respiratory Rate (呼吸数)トレンドは患者の 1 日の呼吸数の 小値、 大値、中央値のトレンドを表示する。このような日常測定値は 長 1 年間保存され、生理的データが縦断的に表示される。

注記: American College of Cardiology (ACC)/American Heart Association (AHA)のガイドラインでは、呼吸数など心臓病患者のバイタルサインを測定し、記録することを推奨している。7

Respiratory Rate トレンドデータが収集され、表示されるようにするには呼吸センサがにプログラムされていることを確認する(呼吸センサ(Respiratory Sensor)")。

特定の日の数値を見るには、水平方向のスライダをデータポイントまで動かす。Respiratory Rate トレンドで数値が計算され、プロットされるようにするには、少なくとも 16 時間のデータが収集されなければならない。十分なデータが収集されなかった場合には、データポイントがプロットされず、トレンドラインに途切れが生じる。この途切れは N/R と表示され、十分なデータが収集されなかったかデータがないことを示す。

AP スキャン(AP Scan)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

AP Scan (AP スキャン)は、パルスジェネレータが測定した設定された睡眠時間中 1 時間あたりの呼吸障害の平均回数のトレンドである。このトレンドは睡眠時無呼吸患者の診断を目的としたものではない。実際の診断には睡眠ポリグラムなど標準の外来での方法を用いる必要がある。この方法で得られたデータは、他の臨床情報と合わせて睡眠呼吸障害のリスクが高い患者における変化の追跡に利用することができる。

AP Scan機能は無呼吸および低呼吸を検出するために認められている外来での睡眠評価法をモデルにしている。

8 パルスジェネレータは呼吸信号の振幅が 26%以上低下し、10 秒以上持続した場合に睡眠障害イベントとみなす。睡眠中の呼吸障害イベントの合計数を設定された睡眠時間で割ると平均が求められる。この平均は 1 日 1 回トレンドにプロットされる。

7. ACC/AHA Heart Failure Clinical Data Standards. Circulation, Vol. 112 (12), September 20, 2005. 8. Meoli et al., Sleep, Vol. 24 (4), 469–470, 2001.

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4-16 患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) トレンド(TRENDS)

AP Scan を使用する際は以下のことを考慮すること。

• トレンドの解釈を容易にするため、1 時間あたり平均 32 回のイベントの閾値がグラフに表示される。この閾値は、重度無呼吸の臨床的閾値とのおおよその相関関係をみるためのものである。この閾値を超えるデータポイントは重度の睡眠呼吸障害の有無をさらに調べる必要があることを示す。

• 呼吸信号の振幅は、患者の体位、体動などの要因の影響を受けることがある。

• 次のような条件下では AP Scan トレンドの精度が低下する場合がある。

‒ 設定した睡眠時間の一部または全体を通して患者が眠っていない。

‒ 睡眠呼吸障害が軽度で、パルスジェネレータが正確に検出することができない。

‒ 呼吸信号の振幅が小さく、パルスジェネレータが呼吸障害イベントを検出しにくい。

‒ 患者が睡眠時無呼吸の治療(持続陽圧呼吸療法など)を受けている。

AP Scan を有効にするには、次の手順を行う。

1. 呼吸センサがにプログラムされていることを確認する(呼吸センサ(Respiratory Sensor)")。

2. 次の Sleep Schedule (睡眠スケジュール)パラメータをプログラムする(Patient Information (患者の情報)画面の General (一般)タブにある)。

• Sleep Start Time (睡眠開始時間)—患者が毎晩眠りに就く時間

• Sleep Duration (睡眠時間)—患者の毎晩の睡眠時間

注記: AP Scan を有効にするには、呼吸センサがにプログラムされていることを確認する。Sleep Schedule パラメータをプログラムしても、呼吸センサが Off であれば無効である。

データ収集中に患者が眠っている可能性を高めるため、パルスジェネレータは Sleep Start Time から 1 時間後までデータの収集を開始せず、Sleep Duration が終わると予測される 1 時間前にデータの収集を終了する。

例: Sleep Start Time を 22 時、Sleep Duration を 8 時間に設定した場合、パルスジェネレータは呼吸障害イベントの監視を 23 時に開始し、5 時に終了する。

特定の日の平均を見るには、水平方向のスライダをデータポイントまで動かす。AP Scan トレンドで平均が計算され、プロットされるようにするには、少なくとも 2 時間のデータが収集されなければならない。十分なデータが収集されなかった場合には、データポイントがプロットされず、トレンドラインに途切れが生じる。この途切れは N/R と表示され、十分なデータが収集されなかったかデータがないことを示す。

呼吸センサ(Respiratory Sensor)

呼吸センサは、VALITUDE、および INVIVEで使用できる。呼吸センサは胸郭インピーダンスを利用して呼吸関連のデータを収集し、Respiratory Rate (呼吸数)および AP Scan (AP スキャン)のトレンドを生成する。

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患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) トレンド(TRENDS)

4-17

注意: 呼吸器を使用する場合は呼吸センサを Off にプログラムすること。Off にプログラムしていない場合には、以下のことが発生する可能性がある。

• 誤解を招くおそれのある呼吸数のトレンディング情報

パルスジェネレータは約 50ms (20Hz)ごとに RA Ring 電極と缶(一次ベクトル)との間に計測用の励磁電流波形を生じさせる。この電極間に電流を流すことにより、胸郭に電場(呼吸で変調する)が生じる。胸郭インピーダンスは、吸気時は高く呼気時は低い。パルスジェネレータは RA Tip 電極と缶の間に生じる電圧変調を検出する。高度なフィルタリングにより、 大 65 回/分の呼吸数がサポートされる。

注意: 患者の体内に電流が入る医療機器、処置、治療、診断テストは、パルスジェネレータの機能に干渉する可能性がある。

• 体外式患者モニタ(呼吸監視装置、体表 ECG モニタ、血行動態モニタなど)はパルスジェネレータのインピーダンスを利用した診断(Respiratory Rate (呼吸数)トレンドなど)に干渉することがある。

Respiratory Sensor (呼吸センサ)ベースの診断との間で疑われる干渉を解決するには、パルスジェネレータの Respiratory Sensor を Off にプログラムして無効にする。

注記: 呼吸センサの信号によって心拍数が増加することはない。

センサをプログラムするときは以下のことを考慮すること。

• センサを有効にする前とした後のリアルタイムEGMを調べる。EGMでセンサの信号が観察されることがある。

注意: 呼吸センサの信号アーチファクトが EGM で認められるが、リードはそれ以外の点では適切に機能していることがわかっている場合には、オーバーセンシングを抑制するためセンサを Off にプログラムする。

• リードの完全性が損なわれた場合、または損なわれたと考えられる場合には、センサを Off にする。

以下の場合、パルスジェネレータはセンサを一時的に停止することがある。

• 過度の電気的ノイズレベル—パルスジェネレータは電気的ノイズのレベルを持続的に監視する。センサは、ノイズが過度の場合には一時的に停止し、ノイズが許容レベルまで減少すると On に戻る。

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4-18 患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 植込み後の機能(POST IMPLANT FEATURES)

• リードの完全性の消失—センサのリードインピーダンスは 1 時間ごとに評価される(リードの日常測定とは別)。いずれかのインピーダンスの測定値が範囲から外れている場合には次のことが起こる。

‒ パルスジェネレータは、RV Ring 電極から缶で駆動され、RV Tip 電極と缶の間で測定される二次ベクトルについてリードインピーダンスを評価する。このインピーダンスの測定値が範囲内にある場合、センサはこの二次ベクトルに戻る。いずれかのリードインピーダンスが二次ベクトルについても範囲から外れている場合には、以降 1 時間、センサは一時的に停止する。

注記: RA リードを使用しない場合は、二次ベクトルのみを利用できる。

‒ パルスジェネレータは引き続きリードインピーダンスを毎時間監視し、センサを一次ベクトルまたは二次ベクトルに戻すか、停止のままにするか判断する。リードインピーダンスの許容値は、チップから缶までのベクトルが 200~2000Ω、リングから缶までのベクトルが 100~1500Ωとなる。

Respiratory Sensor (呼吸センサ)をプログラムするには次の手順を行う。

1. Summary (サマリ)タブで Leads (リード)を選択する。

2. Setup (設定)ボタンを選択する。

3. Respiration-related Trends (呼吸関連トレンド)の必要なオプションを選択する。

植込み後の機能(POST IMPLANT FEATURES)

患者が始動するモニタ(PTM) (Patient Triggered Monitor (PTM))

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

Patient Triggered Monitor (患者が始動するモニタ)では、症状が認められたエピソード中に本デバイスにマグネットを置くと、患者が EGM、間隔および注釈付マーカデータの保存を開始することができる。マグネットを短時間、1 回のみ装置に置くように患者に指示する。

Patient Triggered Monitor を有効にするには、Magnet Response (マグネット応答)に Store EGM (EGM を保存)を選択する。この設定は Brady/CRT Settings (徐脈/CRT の設定)画面の Timing (タイミング)、Rate Enhancements (レートの強化)、Magnet (マグネット)、Noise (ノイズ)の項にある。

PTM が有効な場合、患者は 2 秒以上マグネットを装置の上に置くことでデータ保存を開始できる。装置はマグネット装着前の 長 2 分間とマグネット装着後の 長 1 分間のデータを保存する。保存されるデータには、エピソード番号、マグネット装着時のレート、マグネット装着の開始日時が含まれる。1 回のEGM が生成および保存された後に、PTM は無効になる。別の EGM を保存するには、プログラマを使用して PTM 機能を再度有効にしなければならない。60 日が経過した時点で患者がデータ保存をトリガしなかった場合、PTM は自動的に無効になる。

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患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 植込み後の機能(POST IMPLANT FEATURES)

4-19

データが保存されると、Arrhythmia Logbook (不整脈ログブック)に対応するエピソードタイプが PTM として記録される。

注意: Patient Triggered Monitor が有効になっている間には次のような状態が生じるため、使用する場合は注意すること。

• 非同期ペーシングなど、これ以外のすべてのマグネット機能が無効になる。マグネット機能はマグネットを置く位置が確定できない。

• 装置の電池寿命に影響する。電池寿命への影響を少なくするため、PTM では 1 つのエピソードの保存のみが可能であり、データ保存がトリガされない場合は、60 日後に PTM が自動的に無効になる。

• EGMが保存される(または60日間経過する)とPTMは無効になり、装置のMagnet Response (マグネット応答)は自動的に Pace Async (非同期ペーシング)に設定される。ただし、マグネットを使用した場合、マグネットを 3 秒間外してからパルスジェネレータの上に戻すまで、パルスジェネレータは非同期作動に戻らない。

Patient Triggered Monitor 機能は次の手順でプログラムする。

1. メイン画面の Settings (設定)タブから Settings Summary (設定の概要)を選択する。

2. Settings Summary タブから Brady Settings (徐脈の設定)を選択する。

3. Brady Settings から Timing、Rate Enhancements、Magnet、Noise を選択する。

4. Magnet Response を Store EGM にプログラムする。

5. 患者にマグネットを渡す前および Patient Triggered Monitor 機能を有効にする前に、患者がこの機能を作動させることができるかどうか調べること。この機能を意図せず始動させることを避けるため、患者が強力な磁場に近づかないように注意を喚起すること。

6. 患者の教育および機能の確認のため、Patient Triggered Monitor が有効になっているときに患者に EGM の保存を開始させることを検討する。Arrhythmia Logbook 画面でこの機能が有効になっていることを確認すること。

注記: 患者を帰宅させる前に Magnet Response が Store EGM にプログラムされていることを確認し、Patient Triggered Monitor が On になっていることを確認する。この機能を不注意に Pace Async の設定のままにしておくと、マグネットを置くことにより、非同期でぺーシングが行われることがある。

注記: Patient Triggered Monitor 機能がマグネットにより始動され、EGM が保存されるか、Store EGMを On にした日から 60 日経過すると、Magnet Response は自動的に Pace Async に設定される。

7. Patient Triggered Monitor を有効にできるのは 60 日間だけである。60 日以内にこの機能を無効にするには、Magnet Response を Store EGM 以外に設定し直す。Patient Triggered Monitor を有効にしてから 60 日が経過すると、自動的に無効になり、Magnet Response は Pace Async に戻る。この機能を再度有効にするには、上記の手順を繰り返す。

その他の情報については、弊社担当者に問い合わせること。

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4-20 患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 植込み後の機能(POST IMPLANT FEATURES)

マグネット機能(Magnet Feature)

この機能は、VALITUDE、および INVIVE で使用できる。

マグネットをパルスジェネレータ付近に置くと、マグネット機能により特定の機能を開始することができる(図 4-4)。

図 4-4. パルスジェネレータのマグネット機能を作動させるためのマグネットモデル 6860 の適切な位置

パルスジェネレータの Magnet Response (マグネット応答)の設定は、マグネットが検出されたときのパルスジェネレータの働きを制御するようプログラムすることができる。Magnet Response の設定はBrady Settings (徐脈の設定)画面の Timing (タイミング)、Rate Enhancements (レートの強化)、Magnet (マグネット)、Noise (ノイズ)の項にある。

以下の Magnet Response の設定が利用できる。

• Off—応答なし

• Store EGM (EGM を保存)—患者のモニタリングデータが保存される。

• Pace Async (非同期ペーシング)—現在の電池の状態を反映したレートで、ペーシングが非同期で行われる("Battery Status Summary (電池の状態のサマリ)画面")。

Off

Magnet ResponseをOffにプログラムしている場合には、マグネットを置いてもパルスジェネレータは反応しない。

Store EGM (EGM を保存)

Magnet Response を Store EGM にプログラムした場合にマグネットを置くと、Patient Triggered Monitor (患者が始動するモニタ)機能が有効になる("患者が始動するモニタ(PTM) (Patient Triggered Monitor (PTM))")。

非同期ペーシング(Pace Async)

Magnet Response を Pace Async にプログラムすると、マグネットを置くことによりパルスジェネレータは Brady (徐脈)モードから非同期モードに切り替わる。固定ペーシングレートは電池の状態を反映したもの("電池の状態のサマリ画面(Battery Status Summary Screen)")、マグネットの AV Delay (AV ディレイ)は 100ms となる。

3.0cm

マグネットをパルスジェネレータの上に図のように置く。

上面図

マグネット(モデル6860)

パルスジェネレータ

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患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 植込み後の機能(POST IMPLANT FEATURES)

4-21

Magnet Response を Off にプログラムすると、マグネットを置いた場合であっても非同期作動に転換されない。Magnet Response を Store EGM にプログラムすると、マグネットを 3 秒間外してからパルスジェネレータに戻すまでは、非同期作動に転換されない。

初期の Brady モードと、対応する Magnet モードを以下に記載する。

• Brady モード DDD、DDDR、DDI、および DDIR は Magnet モード DOO に切り替わる。

• Brady モード VDD、VDDR、VVI、および VVIR は Magnet モード VOO に切り替わる。

• Brady モード AAI および AAIR は、Magnet モード AOO に切り替わる。

Pace Async での Magnet Response 中の 3 番目のパルスは、プログラムされた Pulse Width (パルス幅)の 50%減になる。マグネットを置いた後 3 回目の心拍に捕捉不全が観察される場合は、安全マージンの再評価を検討する。

Pacing Chamber (ペーシング部位)は BiV に、LV Offset (LV オフセット)は 0ms に設定される。

マグネットの位置がパルスジェネレータの中央上にあり、ヘッダと平行方向にある限り、Magnet Response のままである。マグネットを外すと、パルスジェネレータはプログラムされているパラメータによって自動的に作動を始める。

注記: レートアダプティブペーシングがプログラムされている場合、マグネットの使用中はレートとペーシングが一時的に停止する。PaceSafe Right Ventricular Automatic Threshold (PaceSafe 右心室自動閾値)がプログラムされている場合、マグネットの使用中は、マグネットを置く前の出力レベルが維持される。

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4-22 患者の診断およびフォローアップ機能(PATIENT DIAGNOSTICS AND FOLLOW UP) 植込み後の機能(POST IMPLANT FEATURES)

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5-1

電気生理学的検査(ELECTROPHYSIOLOGIC TESTING) 第 5 章

本章では、以下の項目について説明されている。

• "電気生理学的検査機能(EP Test Features)"ページ 5-2

• "誘発方法(Induction Methods)"ページ 5-3

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5-2 電気生理学的検査(ELECTROPHYSIOLOGIC TESTING) 電気生理学的検査機能(EP TEST FEATURES)

電気生理学的検査機能(EP TEST FEATURES)

電気生理学的検査(EP テスト)機能は、非侵襲的に不整脈の誘発および停止を行うときに使用する。

警告: 術中および電気生理学的検査中は、常に体外式除細動装置を直ちに使用できるように準備しておくこと。誘発された心室性頻拍性不整脈は適時に治療されないと患者の救命が困難となり死亡につながることがある。

非侵襲的な不整脈の EP テスト機能を次に示す。

• プログラム電気刺激(PES)の誘発/停止

• Manual Burst (マニュアルバースト)ペーシングの誘発/停止

EPテスト画面(EP Test Screen)

テレメトリ交信が維持されていると、EP Test 画面にはパルスジェネレータのエピソード検出および徐脈ペーシング治療の経過がリアルタイムで表示される。

EP Test 画面を参照(図 5-1)。

図 5-1. EP Test 画面

画面には次の情報が表示される。

• 心室エピソードの状況—エピソードが起こっている場合、そのエピソードの持続時間が表示される(10 分を超える場合は > 10:00 m:s と表示される)。

• 心房エピソードの状況—エピソードが起こっている場合、そのエピソードの持続時間が表示される(100 分を超える場合は > 99:59 m:s と表示される)。

• 徐脈ペーシングの状況

EP Test 機能を使用するには次の手順で行う。

1. Tests (テスト)タブを選択し、EP Tests (EP テスト)タブを選択する。

2. テレメトリ交信を確立させる。EP テスト実行中はプログラマとパルスジェネレータ間のテレメトリ交信を確実に維持する。

3. 必要に応じて、Backup Pacing (バックアップペーシング)と EP Test Pacing Outputs (EP テストペーシング出力)を設定する。

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電気生理学的検査(ELECTROPHYSIOLOGIC TESTING) 誘発方法(INDUCTION METHODS)

5-3

誘発方法(INDUCTION METHODS)

EP Test (EP テスト)画面から実行できる EP テストの方法とその実行方法を以下に記載する。いかなる様式の誘発/停止であっても、パルスジェネレータはテストが停止するまで他の作動は行わない。そのときプログラムされているモードは有効であり、パルスジェネレータは通常の作動をする。

これらの方法を実行する際は以下の情報を考慮に入れること。

• 心室の PES は BiV である。

• 心室の Manual Burst (マニュアルバースト)は、RV のみである。

• 誘発中のペーシングパルスはプログラムされたEP Test (EPテスト)ペーシングパラメータで送られる。

心房EPテスト中のバックアップ心室ペーシング(Backup Ventricular Pacing During Atrial EP Testing)

心房 EP テスト(PES、Manual Burst (マニュアルバースト))中は、Normal Brady (通常徐脈)モードかどうかに関係なく、バックアップ両心室ペーシングが可能である。

注記: Backup Pacing (バックアップペーシング)は VOO モードで実行される。

EP Test Pacing (EP テストペーシング)ボタンを選択してバックアップペーシングパラメータをプログラムする。Backup Pacing (バックアップペーシング)パラメータは、恒久的ペーシングパラメータとは個別にプログラム可能である。Backup Pacing Mode (バックアップペーシングモード)をOffにプログラムすることで、Backup Pacing を無効にすることもできる。

プログラム電気刺激(PES) (Programmed Electrical Stimulation)

PES誘発では、 大30パルスの等間隔ペーシングパルス(S1)と、それに続く4パルスまでの早期刺激(S2–S5)を出力して、不整脈を誘発または停止させることができる。Drive パルスまたは S1 パルスは、心臓を自己レートよりわずかに速いレートで刺激し、捕捉させる。これにより、早期期外刺激のタイミングは心周期に正確に連結する(図 5-2)。

初の S1 パルスは、 後にセンシングあるいはペーシングされた心拍に連結して S1 Interval (S1 間隔)で出力される。パルスはすべて XOO モード(X は V または A)でプログラムされた EP Test (EP テスト)ペーシングパラメータで出力される。

心房の PES では、バックアップペーシングパラメータが利用できる。

図 5-2. PES 誘発連続パルス

600 400

カップリングインターバル

カップリングインターバル

ドライブパルス 期外刺激

S1 S1 S1 S1 S1 S2 S3

600 600 600 600 450

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5-4 電気生理学的検査(ELECTROPHYSIOLOGIC TESTING) 誘発方法(INDUCTION METHODS)

PES 誘発の実行

1. ペーシングを行うチャンバに応じて Atrium (心房)または Ventricle (心室)タブを選択する。

2. PES オプションを選択する。S1-S5 パルスと対応する頻回刺激の周期が表示される。

3. S1~S5 間隔の数値を選択する(図 5-3)。目的の S 間隔の数値ボックスを選択してボックスから数値を選択するか、(+)または(-)記号を使って数値ボックスの数値を変更することができる。

図 5-3. PES パルス誘発オプション

4. Enable (有効化)チェックボックスを選択する。

5. Induce (誘発)ボタンを選択すると(押しつづけてはならない)、一連のパルスが発せられる。プログラムされた数のS1パルスが出力されると次にプログラムされたS2–S5パルスが出力される。パルスは Off に設定されたパルスに達するまで順番に出力される(例えば、S1 と S2 を 600ms、S3 をOff に設定している場合、S3、S4 および S5 は出力されない)。誘発が開始されると、テレメトリ交信を中断するまで PES が実行される。テレメトリが作動している間に DIVERT THERAPY (治療の中止)キーを押すと誘発出力が停止する。

6. PES 誘発は連続パルスと期外刺激が出力されると完了し、同時にパルスジェネレータは自動的に検出を再開する。

注記: 別の誘発を開始する前に PES 誘発が完了していることを確認する。

注記: 現在検出中(およびエピソードとして宣言された)の不整脈を停止させる目的で PES が使用されたときは、不整脈停止の成功、不成功に関係なく、PES が命じられたときにエピソードは中止させられる。新しいエピソードは PES 誘発完了後に宣言される。PES はそれ自体、治療歴に記録されないが、これによる結果として、いくつかのエピソードが治療歴に数えられることになる。

注記: リアルタイム EGM と注釈付きイベントマーカは、テスト期間中はすべて表示されている。

マニュアルバーストペーシング(Manual Burst Pacing)

Manual Burst ペーシングは、チャンバに対して不整脈を誘発または停止する場合に使用する。ペーシングパラメータは、Manual Burst でプログラム可能である。

Manual Burst のぺーシングパルスは、XOO モード(X は V または A)で、プログラムされた EP Test (EPテスト)ペーシングパラメータで出力される。心房の Manual Burst では、バックアップペーシングパラメータが利用できる。

Manual Burst (マニュアルバースト)ペーシングの実行

1. ペーシングを行うチャンバに応じて Atrium (心房)または Ventricle (心室)タブを選択する。

2. Manual Burst オプションを選択する。

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電気生理学的検査(ELECTROPHYSIOLOGIC TESTING) 誘発方法(INDUCTION METHODS)

5-5

3. Burst Interval (バースト間隔)、Minimum ( 小間隔)、および Decrement (短縮)の数値を選択する。この数値は drive train の間隔の周期長である。

4. Enable (有効化)チェックボックスを選択する。

5. バーストを出力するには Hold for Burst (長押しでバースト)ボタンを選択し、押したままにする。

心室の Manual Burst は、Hold for Burst ボタンが押され、テレメトリリンクが維持されている間、 長 30 秒間出力される。

心房の Manual Burst は、Hold for Burst ボタンが押され、テレメトリリンクが維持されている間、 長 45 秒間出力される。

その間隔は 小間隔に達するまで短縮し続け、以後のパルスはすべて 小間隔で発せられる。

6. バーストの出力を止めるには Hold for Burst ボタンを離す。Hold for Burst ボタンは再び淡色に なる。

7. 追加の Manual Burst ペーシングを行うには、以上の手順を繰り返す。

注記: リアルタイム EGM と注釈付きイベントマーカは、テスト期間中はすべて表示されている。

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5-6 電気生理学的検査(ELECTROPHYSIOLOGIC TESTING) 誘発方法(INDUCTION METHODS)

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A-1

プログラム選択項目(PROGRAMMABLE OPTIONS)

付録 A 表 A-1. ZIP テレメトリの設定

パラメータ プログラマブル数値 標準設定値a Communication Mode (交信モード) ZIPテレメトリの使用を可能にする(限定的にワンド

を使用する必要がある)。すべてのテレメトリにワンドを使用。

ZIPテレメトリの使用を可能にする(限定的にワンドを使用する必要がある)。

a. PRM のスタートアップ画面にある Utilities (ユーティリティ)ボタンから Communication Mode (交信モード)を選択した場合、ZOOMVIEW Programmer ソフトウェアアプリケーション内での Nominal (標準)設定は、スタートアップ画面上で選択した値と一致する。

表 A-2. デバイスのモード

パラメータ プログラマブル数値 標準設定値 デバイスのモード Storage (保管)の終了、Electrocautery

Protection (電気手術器からの保護)を有効 Storage (保管)

表 A-3. ペーシング治療パラメータ(750Ω負荷を基準)

パラメータ プログラマブル数値 標準設定値 Mode (モード)a b d DDD(R)、DDI(R)、DOO、VDD(R)、VVI(R)、

VOO、AAI(R)、AOO、Off、 Temporary (一時): DDD、DDI、DOO、VDD、VVI、VOO、AAI、AOO、Off

DDD

Ventricular Pacing Chamber (心室ペーシングチャンバ)a d

RV Only、LV Only、BiV BiV

LV Offset (LVオフセット)a d (ms) -100、-90、…、100 0 (許容範囲 ± 5ms)

BiV Trigger (BiVトリガ)f Off、On Off

BiV Trigger/VRR Maximum Pacing Rate (両心室トリガ/VRR 大ペーシングレート)j (min-1)

50、55、…、185 130 (許容範囲 ± 5ms)

Lower Rate Limit (LRL) (下限レート)a c d (min-1) 30、35、…、185 45 (許容範囲 ± 5ms)

Maximum Tracking Rate (MTR) ( 大トラッキングレート)a d (min-1)

50、55、…、185 130 (許容範囲 ± 5ms)

Maximum Sensor Rate (MSR) ( 大センサレート)f (min-1)

50、55、…、185 130 (許容範囲 ± 5ms)

Pulse Amplitude (パルス振幅)a d e k (心房) (V)

Auto(自動)、0.1、0.2、…、3.5、4.0、…、5.0、Temporary (一時): 0.1、0.2、…、3.5、4.0、…、5.0

3.5 (許容範囲 ± 15%または100mVのいずれか大きい方)

Pulse Amplitude (パルス振幅)a d e (右室) (V)

Auto (自動)、0.1、0.2、…、3.5、4.0、…、7.5、Temporary (一時): 0.1、0.2、…、3.5、4.0、…、7.5

3.5 (許容範囲 ± 15%または100mVのいずれか大きい方)

Pulse Amplitude (パルス振幅)a d e k (左室) (V)

Auto(自動)、0.1、0.2、…、3.5、4.0、…、7.5、Temporary (一時): 0.1、0.2、…、3.5、4.0、…、7.5

3.5 (許容範囲 ± 15%または100mVのいずれか大きい方)

Pulse Amplitude Daily Trend (パルス振幅日常トレンド)g (PaceSafe機能を有するチャンバごとに別個にプログラム可能)

Disabled (無効)、Enabled (有効) Enabled (有効) (VALITUDE) Disabled (無効) (INVIVE)

Pulse Width (パルス幅)a d e h (心房、右心室、左心室) (ms)

0.1、0.2、…、2.0 0.4 (許容範囲< 1.8msで± 0.03ms、≥ 1.8msで± 0.08ms)

Accelerometer (加速度センサ)f On、Passive (受動的) Passive

Accelerometer Activity Threshold (加速度センサの活動閾値)

Very Low (非常に低い)、Low (低)、Medium Low (中低)、Medium (中)、Medium High (中高)、High (高)、Very High (非常に高い)

Medium

Accelerometer Reaction Time (加速度センサ反応時間) (秒)

10、20、…、50 30

Accelerometer Response Factor (加速度センサ応答係数)

1、2、…、16 8

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A-2 プログラム選択項目(PROGRAMMABLE OPTIONS)

表 A-3. ペーシング治療パラメータ(750Ω負荷を基準) (続き) パラメータ プログラマブル数値 標準設定値

Accelerometer Recovery Time (加速度センサ復帰時間) (min) 2、3、…、16 2

Patient's Age (患者の年齢)l ≤ 5、6–10、11–15、…、91–95、≥ 96 56–60

Patient's Gender(患者の性別)l Male (男性)、Female (女性) Male

Ventilatory Threshold (換気性閾値) (min-1) 30、35、...、185 115 (許容範囲 ± 5ms)

Ventilatory Threshold Response (換気性閾値応答) (%) Off、85、70、55 70

Respiration-related Trends (呼吸関連のトレンド)i Off、On On

Tracking Preference (トラッキングの優先)f Off、On On

Rate Hysteresis Hysteresis Offset (レートヒステリシスヒステリシスオフセット)f (min-1)

-80、-75、...、-5、Off Off (許容範囲± 5ms)

Rate Hysteresis Search Hysteresis (レートヒステリシスサーチヒステリシス)f (サイクル)

Off、256、512、1024、2048、4096 Off (許容範囲± 1サイ クル)

Rate Smoothing (Up, Down) (レートスムージング(上昇、下降))f (%) Off、3、6、9、12、15、18、21、25 Off (許容範囲± 1%)

Rate Smoothing Maximum Pacing Rate (レートスムージング大ペーシングレート) (min-1)

50、55、…、185 130 (許容範囲 ± 5ms)

Sudden Brady Response (SBR) (急激徐脈応答)f Off、On Off

SBR Atrial Paces Before Therapy (治療前SBR心房ペーシング) 1、2、…、8 3

SBR Atrial Pacing Rate Increase (SBR心房ペーシングレートの上昇) (min-1)

5、10、…、40 20

SBR Therapy Duration (SBR治療持続時間) (min) 1、2、…、15 2

SBR Inhibit During Rest (安静時SBR抑制) Off、On On

Atrial Pace/Sense Configuration (心房ペース/センスの 構成)a d

Unipolar (単極)、Bipolar (双極)、Bipolar/Unipolar (双極/単極)、Unipolar/Bipolar (単極/双極)、Unipolar/Off (単極/オフ)、Bipolar/Off (双極/オフ)

Bipolar

Right Ventricle Pace/Sense Configuration (右心室ペース/センスの構成)a d

Unipolar、Bipolar、Bipolar/Unipolar、Unipolar/Bipolar

Bipolar

Left Ventricular Electrode Configuration (左心室電極構成)a Dual (デュアル)、Single (シングル)、None (なし) None

Left Ventricular Electrode Configuration (左心室電極構成)a Quadripolar (4極) (プログラム不可) Quadripolar

Left Ventricular Pace Configuration (左心室ペーシング 構成)a d

Single (シングル)またはDual (デュアル): LVtip>>Can LVtip>>RV Dual Only (デュアルのみ): LVring>>Can LVring>>RV LVtip>>LVring LVring>>LVtip

Single: LVtip>>RV Dual: LVtip>>LVring

Left Ventricular Pace Configuration (左心室ペーシング 構成)a d

Quadripolar (4極): LVTip1>>LVRing2 LVTip1>>LVRing3 LVTip1>>LVRing4 LVTip1>>RV LVTip1>>Can LVRing2>>LVRing3 LVRing2>>LVRing4 LVRing2>>RV LVRing2>>Can LVRing3>>LVRing2 LVRing3>>LVRing4 LVRing3>>RV LVRing3>>Can LVRing4>>LVRing2 LVRing4>>LVRing3 LVRing4>>RV LVRing4>>Can

LVTip1>>LVRing2

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プログラム選択項目(PROGRAMMABLE OPTIONS)

A-3

表 A-3. ペーシング治療パラメータ(750Ω負荷を基準) (続き) パラメータ プログラマブル数値 標準設定値

Left Ventricular Sense Configuration (左心室センシング構成)a d

Single (シングル)またはDual (デュアル): LVtip>>Can LVtip>>RV Off Dual Only (デュアルのみ): LVring>>Can LVring>>RV LVtip>>LVring

Single (シングル): LVtip>>RV Dual: LVtip>>LVring

Left Ventricular Sense Configuration (左心室センシング構成)a d

Quadripolar (4極): LVTip1>>LVRing2 LVTip1>>LVRing3 LVTip1>>LVRing4 LVTip1>>RV LVTip1>>Can LVRing2>>LVRing3 LVRing2>>RV LVRing2>>Can Off (Disable Sensing (センシングの無効化))

LVTip1>>LVRing2

Safety Switch (セイフティスイッチ) (心房/心室ごとに別個にプログラム可能)

Off、On On

Maximum Paced AV Delay ( 大ペース後AVディレイ)a d (ms) 30、40、…、300 180 (許容範囲 ± 5ms)

Minimum Paced AV Delay ( 小ペース後AVディレイ)a d (ms) 30、40、…、300 180 (許容範囲 ± 5ms)

Maximum Sensed AV Delay ( 大センス後AVディレイ)a d (ms) 30、40、…、300 120 (許容範囲 ± 5ms)

Minimum Sensed AV Delay ( 小センス後AVディレイ)a d (ms) 30、40、…、300 120 (許容範囲 ± 5ms)

Maximum A-Refractory ( 大心房不応期) (PVARP)a d (ms) 150、160、…、500 280 (許容範囲 ± 5ms)

Minimum A-Refractory ( 小心房不応期) (PVARP)a d (ms) 150、160、…、500 240 (許容範囲 ± 5ms)

Maximum RV-Refractory ( 大右心室不応期) (RVRP)a d (ms)

150、160、…、500 250 (許容範囲 ± 5ms)

Minimum RV-Refractory ( 小右心室不応期) (RVRP)a d (ms)

150、160、…、500 230 (許容範囲 ± 5ms)

LV-Refractory (左心室不応期) (LVRP)a d (ms) 250、260、…、500 250 (許容範囲 ± 5ms)

LV Protection Period (左心室保護期) (LVPP)a (ms) 300、350、…、500 400 (許容範囲 ± 5ms)

PVARP after PVC (PVC後のPVARP)a (ms) Off、150、200、...、500 400 (許容範囲 ± 5ms)

A-Blank after V-Pace (Vペース後のAブランキング)a d m (ms) Smart (スマート)、85、105、125、150、175、200 125 (許容範囲 ± 5ms)

A-Blank after RV-Sense (RVセンス後のAブランキング)a d m (ms)

Smart (スマート)、45、65、85 45 (許容範囲 ± 5ms)

RV-Blank after A-Pace (Aペース後のRVブランキング)a d (ms)

45、65、85 65 (許容範囲 ± 5ms)

LV-Blank after A-Pace (Aペース後のLVブランキング)a d m (ms)

Smart (スマート)、45、65、85 65 (許容範囲 ± 5ms)

Noise Response (ノイズレスポンス)a AOO、VOO、DOO、Inhibit Pacing (ペーシングの抑制)

DDD(R)およびDDI(R)モードではDOO、VDD(R)およびVVI(R)モードではVOO、AAI(R)モードではAOO

Magnet Response (マグネット応答) Off、Store EGM (EGMを保存)、Pace Async (非同期ペーシング)

Pace Async

a. プログラムされた Normal Brady (通常徐脈)値は Temporary Brady (一時的徐脈)ペーシングの標準値として利用される。 b. 徐脈ペーシングのプログラマブル数値の後の NASPE/BPEG コードを参照。North American Society of Pacing and Electrophysiology (NASPE)および British

Pacing and Electrophysiology Group (BPEG)の識別コードは表の分類に基づいている。 c. 基本パルス間隔(basic pulse period)はペーシングレートおよびパルス間隔と同等である(ヒステリシスがないとき)。ランナウェイ保護回路は 205min-1

を超える徐脈ペーシングを抑制する。マグネットを当てるとペーシングレート(テストパルス間隔)に影響を与える場合がある。

d. Temporary Brady で個別にプログラム可能。 e. INVIVE の場合、20°C~43°C の間では数値は温度の変化による影響を受けない。VALITUDE の場合、20°C~45°C の間では数値は温度の変化による影響を

受けない。 f. この項目は Temporary Brady では無効である。 g. このパラメータは、Pulse Amplitude (パルス振幅)に Auto を選択すると自動的に有効になる。 h. Pulse Amplitude を Auto に設定する、または Pulse Amplitude Daily Trend を有効にすると、Pulse Width は 0.4ms に固定される。 i. この数値は Lead Setup (リード設定)画面にある。 j. BiV/VRR Maximum Pacing Rate (BiV/VRR 大ペーシングレート)は BiV Trigger (BiV トリガ)および VRR (心室レート制御)と同じ値であり、BiV MPR の値を変

更すると VRR MPR の値も変わる。 k. Auto は Pacesafe 機能を搭載したモデルで使用できる。 l. このパラメータは、Ventilatory Threshold Response (換気性閾値応答)の計算に使われる。 m. Smart は Sensing Method (センシング方法)として AGC が選択されている場合に利用できる。

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A-4 プログラム選択項目(PROGRAMMABLE OPTIONS)

表 A-4. NASPE/BPEG コードに基づく Brady(徐脈)モードの値 位置 I II III IV V

カテゴリ Chambers Paced (刺激部位)

Chamber(s) Sensed (感知部位)

Response to Sensing (応答様式)

Programmability (プログラム機能)、rate modulation (レート調整)

抗頻拍機能(Antitachyarrhythmia Functions)

記号 0-なし 0-なし 0-なし 0-なし 0-なし

A-心房 A-心房 T-トリガ P-シンプルプログラマブル P-ペーシング(抗頻拍)

V–心室 V–心室 I-抑制 M-マルチプログラマブル S-ショック

D–デュアル(A&V) D–デュアル(A&V) D–デュアル(T&I) C-コミュニケーティング D–デュアル(P&S)

R-レート調整

製造会社指定のみ S–シングル(AまたはV) S–シングル(AまたはV)

表 A-5. Sensor Trending (センサトレンディング) パラメータ プログラマブル数値 標準設定値

Recording Method (記録方式) Beat To Beat (心拍ごと)、Off、30 Second Average (30 秒平均)

30 Second Average (30 秒平均)

Data Storage (データ保存) Continuous (連続)、Fixed (固定) Continuous (連続)

表 A-6. Ventricular Tachy EGM Storage (心室頻拍 EGM 保存) パラメータ プログラマブル数値 標準設定値

Ventricular Tachy EGM Storage (心室頻拍 EGM保存)

Off、On On

VT Detection Rate (VT 検出レート)a (min-1) 90、95、…、210、220 160 (許容範囲 ± 5ms) a. VT Detection Rate は、Maximum Tracking Rate ( 大トラッキングレート)、Maximum Sensor Rate および Maximum Pacing Rate より 5min-1

以上、Lower Rate Limit より 15min-1

以上長くなければならない。

表 A-7. Atrial Tachy (心房頻拍)パラメータ パラメータ プログラマブル数値 標準設定値 ATR Mode Switch (ATR モードスイッチ)a Off、On On

ATR Trigger Rate (ATR 開始レート)a e (min-1) 100、110、...、300 170 (許容範囲 ± 5ms)

ATR Duration (ATR 持続時間)a (サイクル) 0、8、16、32、64、128、256、512、1024、2048 8 (許容範囲± 1 心周期)

ATR Entry Count (ATR 開始カウント)a (サイクル) 1、2、...、8 8

ATR Exit Count (ATR 終了カウント)a (サイクル) 1、2、...、8 8

ATR Fallback Mode (ATR フォールバックモード)f VDI、DDI、VDIR、DDIR DDI

ATR Fallback Time (ATR フォールバック時間)a (分:秒)

00:00、00:15、00:30、00:45、01:00、01:15、01:30、01:45、02:00

00:30

ATR Fallback LRL (ATR フォールバック LRL)a (min-1)

30、35、...、185 70 (許容範囲 ± 5ms)

ATR Ventricular Rate Regulation (VRR) (ATR 心室レート制御)a

Off、Min、Med、Max Min

ATR BiV Trigger (ATR BiV トリガ)a Off、On On

ATR Maximum Pacing Rate (MPR) (ATR 大ペーシングレート)a d (min-1)

50、55、...、185 130 (許容範囲 ± 5ms)

Atrial Flutter Response (心房粗動応答)b Off、On On

Atrial Flutter Response Trigger Rate (心房粗動応答開始レート)e (min-1)

100、110、...、300 170 (許容範囲 ± 5ms)

PMT Termination (PMT の停止)b Off、On On

Ventricular Rate Regulation (VRR) (心室レート 制御)b

Off、Min、Med、Max Off

BiV/VRR Maximum Pacing Rate (MPR) (BiV/VRR 大ペーシングレート)b c (min-1)

50、55、...、185 130 (許容範囲 ± 5ms)

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プログラム選択項目(PROGRAMMABLE OPTIONS)

A-5

表 A-7. Atrial Tachy (心房頻拍)パラメータ(続き) パラメータ プログラマブル数値 標準設定値 APP/ProACtb Off、On Off

APP/ProACt Max Pacing Rate (APP/ProACt 大ペーシングレート) (min-1)

50、55、...、185 80 (許容範囲 ± 5ms)

a. プログラムされた Normal Brady (通常徐脈)値は Temporary Brady (一時的徐脈)ペーシングの標準値として利用される。 b. この項目は Temporary Brady では無効になる。 c. BiV/VRR MPR は VRR および BiV Trigger と同じ値である。VRR のこのパラメータを変更すると、BiV Trigger の MPR 値も変更される。 d. ATR MPR は ATR VRR および ATR BiV Trigger と同じ値である。ATR VRR のこのパラメータを変更すると、ATR BiV Trigger の MPR 値も変更される。 e. ATR Trigger RateとAtrial Flutter Response Trigger Rateはリンクされている。このレートのいずれかが再プログラムされると、残りのレートは自動的に同じ値に

変更される。 f. Normal Brady ATR Fallback (通常徐脈 ATR フォールバック)モードが DDIR または DDI の場合、Temporary Brady ATR Fallback (一時的徐脈 ATR フォール

バック)モードは DDI になる。Normal Brady ATR Fallback (通常徐脈 ATR フォールバック)モードが VDIR または VDI の場合、Temporary Brady ATR Fallback (一時的徐脈 ATR フォールバック)モードは VDI となる。

表 A-8. Sensitivity (感度) パラメータa b プログラマブル数値 標準設定値

Sensing Method (センシング方法)c AGC、Fixed Fixed

Atrial Sensitivity (心房感度) (AGC) (mV) AGC 0.15、AGC 0.2、AGC 0.25、AGC 0.3、AGC 0.4、...、AGC 1.0、AGC 1.5

AGC 0.25

Right Ventricular Sensitivity (右心室感度) (AGC) (mV) AGC 0.15、AGC 0.2、AGC 0.25、AGC 0.3、AGC 0.4、...、AGC 1.0、AGC 1.5

AGC 0.6

Left Ventricular Sensitivity (左心室感度) (AGC) (mV) AGC 0.15、AGC 0.2、AGC 0.25、AGC 0.3、AGC 0.4、...、AGC 1.0、AGC 1.5

AGC 1.0

Atrial Sensitivity (心房感度) (Fixed) (mV) Fixed 0.15、Fixed 0.25、Fixed 0.5、Fixed 0.75、Fixed 1.0、Fixed 1.5、...、Fixed 8.0、Fixed 9.0、Fixed 10.0

Fixed 0.75

Right Ventricular Sensitivity (右心室感度) (Fixed) (mV) Fixed 0.25、Fixed 0.5、Fixed 0.75、Fixed 1.0、Fixed 1.5、...、Fixed 8.0、Fixed 9.0、Fixed 10.0

Fixed 2.5

Left Ventricular Sensitivity (左心室感度) (Fixed) (mV) Fixed 0.25、Fixed 0.5、Fixed 0.75、Fixed 1.0、Fixed 1.5、...、Fixed 8.0、Fixed 9.0、Fixed 10.0

Fixed 2.5

a. Temporary Brady で個別にプログラム可能。 b. プログラムされた Normal Brady (通常徐脈)値は Temporary Brady (一時的徐脈)ペーシングの標準値として利用される。 c. Sensing Method にプログラムされた値によって各チャンバで適用される値(AGC または Fixed)が決まる。

表 A-9. Daily Lead Measurements (日常リード測定) パラメータ プログラマブル数値 標準設定値 Atrial Intrinsic Amplitude (心房自己振幅) On、Off On

Right Ventricular Intrinsic Amplitude (右心室自己振幅) On、Off On

Left Ventricular Intrinsic Amplitude (左心室自己振幅) On、Off On

Atrial Pace Impedance (心房ペーシングインピーダンス) On、Off On

Right Ventricular Pace Impedance (右心室ペーシングインピーダンス) On、Off On

Left Ventricular Pace Impedance (左心室ペーシングインピーダンス) On、Off On

Atrial Low Impedance Limit (心房下限インピーダンス) (Ω) 200、250、...、500 200

Atrial High Impedance Limit (心房上限インピーダンス) (Ω) 2000、2250、...、3000 2000

Right Ventricular Low Impedance Limit (右心室下限インピーダンス) (Ω) 200、250、...、500 200

Right Ventricular High Impedance Limit (右心室上限インピーダンス) (Ω) 2000、2250、...、3000 2000

Left Ventricular Low Impedance Limit (左心室下限インピーダンス) (Ω) 200、250、...、500 200

Left Ventricular High Impedance Limit (左心室上限インピーダンス) (Ω) 2000、2250、...、3000 2000

Post-Operative System Test (術後システムテスト) (POST) (時間) Off、2、3、...、24 4

表 A-10. Backup EP Test (バックアップ EP テスト) パラメータ プログラマブル数値 標準設定値

Backup Pacing Mode (バックアップペーシングモード)a Off、On On

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A-6 プログラム選択項目(PROGRAMMABLE OPTIONS)

表 A-10. Backup EP Test (バックアップ EP テスト) (続き)

パラメータ プログラマブル数値 標準設定値

Backup Pacing Lower Rate Limit (バックアップペーシング下限レート)a b (min-1)

30、35、…、185 45 (許容範囲 ± 5ms)

Backup Pacing RV Refractory (バックアップペーシング右心室不応期)a b (ms)

150、160、…、500 250 (許容範囲 ± 5ms)

Backup Pacing Ventricular Pacing Chamber (バックアップペーシング心室ペーシング部位)a

BiV (プログラム不可) BiV

EP Test Pacing Outputs Atrial Amplitude (EPテストペーシング出力心房振幅) (心房でのテスト時) (V)

Off、0.1、0.2、…、3.5、4.0、…、5.0 5.0 (許容範囲 ± 15%または 100mV のいずれか大きい方)

EP Test Pacing Outputs RV Amplitude (EP テストペーシング出力右心室振幅) (V)

Off、0.1、0.2、…、3.5、4.0、…、7.5 7.5 (許容範囲 ± 15%または 100mV のいずれか大きい方)

EP Test Pacing Outputs LV Amplitude (EP テストペーシング出力左心室振幅) (V)

Off、0.1、0.2、…、3.5、4.0、…、7.5 7.5 (許容範囲 ± 15%または 100mV のいずれか大きい方)

EP Test Pacing Outputs Atrial Pulse Width (EP テストペーシング出力心房パルス幅) (心房でのテスト時) (ms)

0.1、0.2、…、2.0 1.0 (許容範囲< 1.8ms で± 0.03ms、≥ 1.8ms で± 0.08ms)

EP Test Pacing Outputs RV Pulse Width (EPテストペーシング出力右心室パルス幅) (ms)

0.1、0.2、…、2.0 1.0 (許容範囲< 1.8ms で± 0.03ms、≥ 1.8ms で± 0.08ms)

EP Test Pacing Outputs LV Pulse Width (EPテストペーシング出力左心室パルス幅) (ms)

0.1、0.2、…、2.0 1.0 (許容範囲< 1.8ms で± 0.03ms、≥ 1.8ms で± 0.08ms)

a. このパラメータはテストを心房で実施する場合だけ有効である。 b. プログラムされた Normal Brady (通常徐脈)値は標準値として利用される。

表 A-11. PES (Programmed Electrical Stimulation (プログラム電気刺激))

パラメータa プログラマブル数値 標準設定値

Number of S1 Intervals(pulses) (S1 間隔 (パルス)数)

1、2、...、30 8

S2 Decrement (S2 短縮) (ms) 0、10、...、50 0

S1 Interval (S1 間隔) (ms) 120、130、...、750 600 (許容範囲 ± 5ms)

S2 Interval (S2 間隔) (ms) Off、120、130、...、750 600 (許容範囲 ± 5ms)

S3 Interval (S3 間隔) (ms) Off、120、130、...、750 Off (許容範囲 ± 5ms)

S4 Interval (S4 間隔) (ms) Off、120、130、...、750 Off (許容範囲 ± 5ms)

S5 Interval (S5 間隔) (ms) Off、120、130、...、750 Off (許容範囲 ± 5ms)

a. プログラマのコマンドによって心房または心室に適用される。

表 A-12. Manual Burst Pacing (マニュアルバーストペーシング)

パラメータ a プログラマブル数値 標準設定値

Burst Interval (バースト間隔) (ms) 100、110、...、750 600 (許容範囲 ± 5ms)

Minimum Interval ( 小間隔) (ms) 100、110、...、750 200 (許容範囲 ± 5ms)

Decrement (短縮) (ms) 0、10、...、50 50 (許容範囲 ± 5ms)

a. 選択されたチャンバによって心房または心室に適用される。

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B-1

医療機器の図記号(SYMBOLS ON PACKAGING)

付録 B

医療機器の図記号(SYMBOLS ON PACKAGING)

以下の記号は、包装とラベルに使用されている(表 B-1)。

表 B-1. 医療機器の図記号

記号 概要

カタログ番号

同梱物

パルスジェネレータ

トルクレンチ

印刷物

製造番号

使用期限

ロット番号

製造日

エチレンオキサイドガス滅菌済

再滅菌禁止

再使用禁止

包装破損時使用不可

取扱説明書を参照のこと:

温度制限

CE マークの適合機器を示す

ここにテレメトリワンドを置く

ここを開ける

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B-2 医療機器の図記号(SYMBOLS ON PACKAGING)

表 B-1. 医療機器の図記号(続き)

記号 概要

欧州共同体での指定販売業者

製造業者

供給業者コードが記載された C-Tick マーク

オーストラリア販売業者住所

ペースメーカ RV

ペースメーカ RA、RV

CRT-P RA、RV、LV

コーティングなしの医療機器

RF テレメトリ

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インデックス(索引)

A ABM (Autonomic Balance Monitor) (自律神経バランスモニタ) 4-14 Adaptive-rate pacing (アダプティブレートペーシング) 2-28 AGC (オートゲインコントロール) 2-24 AP スキャン 4-15 Arrhythmia logbook (不整脈ログブック) 4-2

Ventricular Tachy EGM Storage (心室頻拍 EGM 保存) 4-6 イベントサマリ 4-4 エピソードの詳細 4-4 間隔 4-6 保存 EGM 4-5

ATR (心房頻拍応答) ATR エピソードの終了 2-38 LRL、フォールバック 2-38 PMT の停止 2-40 Ventricular rate regulation (心室レート制御) 2-38 開始カウント 2-37

大ペーシングレート 2-39 時間、フォールバック 2-38 持続時間 2-37 終了カウント 2-37 心房粗動応答 2-39 モード、フォールバック 2-37 モードスイッチ 2-35 両心室トリガ 2-39 レート閾値 2-36

ATR Trigger Rate (ATR 開始レート) 2-36 Atrial flutter response (AFR) (心房粗動応答) 2-39 Atrial overdrive (心房オーバードライブ) 2-42 Atrial pacing preference (APP) (心房ペーシングの優先) 2-42

大ペーシングレート 2-43 Atrial tachy (心房頻拍)

ATR モードスイッチ 4-46 PMT の停止 2-40 ProACt 2-53、2-43 心室レート制御 2-38 心房ペーシングの優先 2-42 心房粗動応答 2-39

ATR エピソードの終了 2-38 AV ディレイ 2-56

センス後 2-58 ペース後 2-57

A-ブランキング RV センス後 2-68 V ペース後 2-68

A ペース後の LV ブランキング 2-67 A ペース後の RV ブランキング 2-67

B Battery (電池)

Explant 状態 3-4 アイコン 1-5 指標 3-4 状態 3-2

Biventricular trigger (両心室トリガ) 2-39 大ペーシングレート 2-39

Brady Tachy Response (BTR) (徐脈頻拍応答(BTR)) 2-67 Burst (バースト)

ペーシング、マニュアルバースト 5-4

C Check (チェック)

アイコン 1-5 Continue (継続)

アイコン 1-6 Counter (カウンタ)

徐脈/CRT 4-10 心室 4-9 治療歴 4-9

D Data (データ)

USB 1-17 患者 1-16 ディスク 1-17 保存 1-17

Demonstration (デモ) プログラマ/レコーダ/モニタ(PRM)モード 1-3、1-7

Detail (詳細)アイコン 1-5 Device (デバイス)

プログラミングの推奨事項 2-3 メモリ 1-17

Diagnostic (診断) Patient triggered monitor (患者が始動するモニタ) 4-18 心拍数変動(HRV) 4-10 電池の状態 3-2 ヒストグラム 4-9 リードテスト 3-10

Disk (ディスク) データ 1-17 保存 1-17 読み取り 1-17

DIVERT THERAPY (治療の中止) 1-15 Duration (持続時間)

ATR (心房頻拍応答) 2-37 Dynamic Noise Algorithm (ダイナミックノイズアルゴリズム) 2-27、2-72

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E ECG (心電図)

体表 1-3 表示 1-3

EGM (電位図) 左心室(LV) 2-52 表示 1-3 リアルタイム 1-3

Electrocautery (電気手術器) モード 2-3

Electrode (電極)、リードの極性 2-50、2-52 Episode (エピソード)

ATR エピソードの終了 2-38 EP テスト 5-3 EP テスト(電気生理学的検査) 5-2

PES (プログラム電気刺激) 5-3 心房刺激中のバックアップ心室ペーシング 5-3 バーストペーシング、マニュアル 5-4 誘発 5-3

Event (イベント) アイコン 1-6 カウンタ 4-9 サマリ 4-4 治療歴 4-2

F Follow-up (フォローアップ)

リードの状態 3-6

H Heart failure (心不全) 2-3 Hold (保留)

アイコン 1-6 Hysteresis (ヒステリシス)、レート 2-55

I Icon (アイコン)

POST 完了 1-6 イベント 1-6 インジケータ 1-3 患者 1-5 患者の情報 1-15 継続 1-6 実行 1-6 詳細 1-5 情報 1-6 垂直スライダ 1-6 水平スライダ 1-6 スクロール 1-6 スナップショット 1-6 増加および減少 1-6 チェック 1-5

電池 1-5 並べ替え 1-6 プログラマ/レコーダ/モニタ(PRM)モード 保留 1-6 リード 1-5

Impedance test (インピーダンステスト)、リード 3-11 Implant (植込み)

後、情報 4-18 Increment (増加)および Decrement (減少)

アイコン 1-6 Induction (誘発)、EP テスト 5-3 Information (情報)

アイコン 1-6 植込み 1-15 患者 1-15 リード 1-15

Interrogate (イントロゲート) 1-9 Interval (間隔)

不整脈ログブック 4-6 Intrinsic Amplitude Test (自己振幅テスト) 3-11

L Lead (リード)

アイコン 1-5 インピーダンス 3-11 極性 2-50 自己振幅 3-11 テスト 3-10 日常測定 3-6 ペーシング閾値 3-12 リードの状態 3-6

Left Ventricular Protection Period (LVPP) (左心室保護期間) 2-65 Left ventricular refractory period (LVRP) (左心室不応期) 2-65 Logbook (ログブック) 4-2 LV オフセット 2-14

M Magnet (マグネット)

機能の設定 4-20 レート 3-3

Maintaining cardiac resynchronization therapy (心臓再同期療法の維持)

CRT の維持 2-5 Manual burst pacing (マニュアルバーストペーシング) 5-4 Maximum Pacing Rate ( 大ペーシングレート)

レートスムージング 2-47 MTR ( 大トラッキングレート) 2-5

N Noise (ノイズ)

Dynamic Noise Algorithm (ダイナミックノイズアルゴリ

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ズム) 2-27、2-72 応答 2-71

P Pace (ペース)

STAT PACE (緊急用ペース) 1-16 Pace Threshold Test (ペーシング閾値テスト) 3-12 PaceSafe

RAAT 2-15 RVAT 2-19

Pacing (ペーシング) ATR モードスイッチ 2-32 AV ディレイ 2-45 CRT (心臓再同期療法) 2-5 LV オフセット 2-14 PaceSafe RAAT 2-15 PaceSafe RVAT 2-19 Safety モードでのバックアップ用ペースメーカ 1-18 アダプティブレート 2-28 一時的 2-27 下限レート(LRL) 2-10 感度 2-23

大センサレート(MSR) 2-12 大トラッキングレート(MTR) 2-10

振幅 2-15 心房刺激中のバックアップ 5-3 スマートディレイオプティマイゼーション 2-59 センサ 2-33 チャンバ、心室 2-13 治療 2-2 適応に基づく設定(IBP) 1-13 ノイズレスポンス 2-71 バースト、マニュアル 5-4 パラメータ、基本 2-6 パルス幅 2-14 不応期 2-61 プログラミングの推奨事項 2-3 モード 2-7 ランナウェイ保護回路 2-13

Package (包装) 記号 B-1

Patient (患者) 情報アイコン 1-5

Patient triggered monitor (患者が始動するモニタ) 4-18 PES (プログラム電気刺激) 5-3 PMT (ペースメーカ起因性頻拍) POST (術後システムテスト) 3-10 Post implant information (植込み後の情報) 4-18

マグネット機能 4-20 POST 完了

アイコン 1-6 Premature atrial contraction (PAC) (心房性期外収縮) 2-42、2-43 Premature ventricular contraction (PVC) (心室性期外収

縮) 2-63 ProACt 2-43 Program (プログラム) 1-13 Protection (保護回路)

期間、左心室(LVPP) 2-65 ランナウェイ 2-13

PVARP (心室後心房不応期) 2-62 PVC (心室期外収縮)後 2-63 ダイナミック PVARP 2-63

PVC (心室期外収縮)後 2-63

R RAAT (右心房自動閾値) 2-15 Rate adaptive pacing (レートアダプティブペーシング) 2-28 Refractory (不応期)

PVC 後の PVARP 2-63 右心室(RVRP) 2-64 左心室(LVRP) 2-65 左心室保護期間 2-65 心房、心室後(PVARP) 2-62 心房、同一チャンバ 2-64 ブランキング 2-66

Refractory (不応期)、ペーシング 不応期 2-61

Report (レポート)、印刷 1-3、1-16 ECG/EGM 1-3

Response Factor (応答係数)、加速度センサ 2-29 Right ventricular refractory (RVRP) (右心室不応期) 2-64 RightRate ペーシング 2-32 Run (実行)

アイコン 1-6 RVAT (右心室自動閾値) 2-19

S Safety Core (セイフティコア) 1-18 Safety mode (セイフティモード) 1-18 Safety Switch (セイフティスイッチ) 2-55 SBR 2-48 Sorting (並べ替え)

アイコン 1-6 STAT PACE (緊急用ペース) 1-16 Stimulation (刺激)、PES 誘発 5-3 Stored EGM (保存 EGM)

Arrhythmia logbook (不整脈ログブック) 4-5 Sudden brady response (急激徐脈応答) 2-48

T Test (テスト)

EP (電気生理) 5-2 自己振幅 3-11 ペーシング閾値 3-12 リード 3-10

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リードインピーダンス 3-11 Therapy (治療)

ペーシング 2-2 Therapy history (治療歴) 4-2

Patient triggered monitor (患者が始動するモニタ) 4-18 カウンタ 4-9 心拍数変動(HRV) 4-10 ヒストグラム 4-9 不整脈ログブック 4-2

Threshold (閾値)、活動 2-30 Tracking preference (トラッキングの優先) 2-43 Trending (トレンディング)

センサ 2-33

U Upper Rate Behavior (高レート域での現象) 2-11 USB 1-17

V Ventricular Pacing Chamber (心室ペーシング部位) 2-13 Ventricular rate regulation (心室レート制御) 2-38

大ペーシングレート 2-39 Ventricular Tachy EGM Storage (心室頻拍EGM保存) 4-6

W Wenckebach (ウェンケバッハ) 2-5、2-45

Z ZIP テレメトリ 1-8

LED 1-9 干渉 1-12 作動温度 1-10、1-12 セキュリティ 1-9、1-11 セッション 1-9 無線(RF) 1-9 利点 1-8

ZOOM LATITUDE プログラミングシステム 構成要素 1-2

ZOOMVIEW ソフトウェアアプリケーション 1-2 色使い 1-7 画面とアイコン 1-2 目的 1-2

プログラマ/レコーダ/モニタ(PRM) 1-2 色使い 1-7 コントロール 1-2、1-14 ソフトウェアの用語 1-2 デモモード 1-7 モード 1-3

あ 赤色警告状態 1-7

アプリケーション画面 1-2

い 一時的

ペーシング 2-27 印刷

レポート 1-18

か 開始カウント 2-37 下限レート(LRL) 2-10 加速度センサ 2-28

応答係数 2-29 活動閾値 2-30 反応時間 2-31 復帰時間 2-32

活動閾値 2-30 画面、プログラマアプリケーション 1-2 患者の情報 1-16 感度 2-23

AGC (オートゲインコントロール) 2-24 固定センシング 2-27 単極センシング 2-24

き 黄色要注意状態 1-7 警告状態、赤 1-7

こ 交換インジケータ 3-4 交信、テレメトリ

無線(RF) 1-8

さ 大 センサレート(MSR) 2-12 トラッキングレート(MTR) 2-10 ペーシングレート 2-39、2-43

し システムテスト

術後 3-10 自動閾値

RAAT 2-15 RVAT 2-19

終了 テレメトリセッションの終了 1-9

終了カウント 2-37 術後

システムテスト 3-10

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心拍数変動(HRV) 4-10 振幅 2-15

自己テスト 3-11 心房

心房情報の利用 2-51 不応期、心室後心房(PVARP) 2-62 不応期、同一チャンバ 2-64

心房刺激中のバックアップ心室ペーシング、 心房頻拍応答(ATR)

モードスイッチ 2-35

す 垂直スライダ

アイコン 1-6 水平スライダ

アイコン 1-6 図記号

医療機器 B-1 スクロール

アイコン 1-6 スナップショット 4-8

アイコン 1-6 スマートディレイオプティマイゼーション 2-59

せ セキュリティ

ZIP テレメトリ 1-9、1-11 センサおよびトレンディング、ペーシング 2-33

SmartDelay optimization (スマートディレイオプティマイゼーション) 2-59 アダプティブレート 2-28 加速度センサ 2-28

大センサレート(MSR) 2-12

そ ソフトウェアの用語 1-2

た タイミング

PVC 後の PVARP 2-63 左心室保護期間(LVPP) 2-65 ブランキング 2-66

タイミング、ペーシング 2-61 タブ、ソフトウェア 1-5

つ ツールバー 1-4

て 停止 2-40 データの保存 1-17 データ読み取り 1-17 適応に基づく設定(IBP) 1-13 デバイスのモード 2-2 テレメトリ

ZIP 1-8 ZIP の開始 1-9 作動温度、ZIP 1-10、1-12 テレメトリセッションの終了 1-9 ワンド 1-8 ワンド使用 1-9

と トレンド 4-13

AP スキャン 4-15 呼吸数 4-15 呼吸センサ 4-16

に 日常測定 3-6

は パルスジェネレータ(PG)

交換インジケータ 3-4 メモリ 1-18

パルス振幅 2-15 パルス幅 2-14 反応時間 2-31

ひ ヒストグラム 4-9

ふ フォールバック、心房モードスイッチ

LRL 2-38 時間 2-38 モード 2-37

復帰時間 2-32 ブランキング 2-66

A ペース後の LV ブランキング 2-67 A ペース後の RV ブランキング 2-67 RV センス後の A ブランキング 2-68 V ペース後の A ブランキング 2-68

プリンタ 外部 1-18

プログラミングの推奨事項 1-13、1-15、2-3

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ほ ボタン、ソフトウェア 1-5

ま マニュアルプログラミング 1-15

む 無線(RF)

干渉 1-12 作動温度、テレメトリ 1-10、1-12 テレメトリ 1-8 テレメトリの開始 1-9

メモリ、デバイス 1-18

も モード

デモ 1-7 電気手術器 2-3 フォールバック ATR (心房頻拍応答) 2-37 プログラマ/レコーダ/モニタ(PRM) 1-3 ペーシング 2-7

よ 要注意状態、黄色 1-7

ら ランナウェイ保護回路 2-13

り リードセイフティスイッチ 2-55

れ レート

アダプティブ 2-28 下限レート(LRL) 2-10

大センサ 2-12 大トラッキング 2-10

マグネット 3-3 レート閾値、ATR 2-36 レートスムージング 2-45

下降 2-47 大ペーシングレート 2-47

上昇 2-46 レートの強化、ペーシング

Atrial pacing preference (APP) (心房ペーシングの優先) 2-42 ProACt 2-42、2-43 Tracking preference (トラッキングの優先) 2-43 レートスムージング 2-45 レートヒステリシス 2-44

レートヒステリシス 2-44 サーチヒステリシス 2-44 ヒステリシスオフセット 2-44

わ ワンド、テレメトリ 1-2、1-8、1-9

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MEMO

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