rieti letter9月号 表紙 ·...

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3 2019. 10 RIETI LETTER POCKETALK® FRECIOUS Slat Just do it SORACOM Air 使※本コーナーは、弊会ホームページでもご覧いただけます。 次号は、早稲田大学大学院教授の入山章栄氏にお願いいたします。 日本IBM基礎研究所を経て、2010年にア マゾンデータサービスジャパンにエバン ジェリストとして入社、AWS日本市場の 立ち上げを技術統括として牽引。2015年 株式会社ソラコムを創業。 IoTテクノロ ジーを柔軟かつセキュアに提供するIoT通 信プラットフォーム「SORACOM」を通 じて、テクノロジーによるビジネスイノ ベーション創出を目指す。東京大学工学系 大学院機械情報工学科修了。米国カーネ ギーメロン大学MBA(経営学修士)修了、 同大学MSE(ソフトウェア工学修士)修了。 Forbes JAPANが選ぶ「日本の起業家ラ ンキング2017」2位を受賞。 リレーエッセイ 今月のご執筆者に次号のご執筆者をご紹介いただいております。

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Page 1: RIETI LETTER9月号 表紙 · 一.クなチーム作りと運営を行っています。トアップのノウハウを取り入れたユニーを基に、シリコンバレーにおけるスター起こすために、前職アマゾン社での経験

3 2019. 10 RIETI LETTER

 

株式会社ソラコムは二〇一五年に創業

した、IoT向けの通信プラットフォーム

を提供するスタートアップです。二〇一九

年七月時点で、ソースネクスト社の七四

言語対応のAI翻訳機「PO

CKET

ALK

®

や富士山の銘水社のIoTウォーター

サーバー「FRECIO

US Slat

」など一万五

千以上のお客様にご利用頂いています。

 

テクノロジーを軸にイノベーションを

起こすために、前職アマゾン社での経験

を基に、シリコンバレーにおけるスター

トアップのノウハウを取り入れたユニー

クなチーム作りと運営を行っています。

一.�

ビジョンに共鳴し企業文化にフィッ

トするメンバーのみ採用

 

創業当初からビジョンとミッションを

定義し、面接においてもそのフィット感

を重視して採用しています。例えば、セ

ルフモチベートされ自律的、ITやテク

ノロジーへのアンテナが高くグローバル

展開への意欲が高いメンバーのみ採用し

ています。

二.全員がリーダー、定性的評価を重視

 

人事権をもつ管理職であるかどうかに

関わらず、全員がリーダーであるという

考え方で運営しています。評価も、定量

的評価よりも、定性的評価を重視してい

ます。一五個の行動規範を定めており、

例えばそのひとつ「Just do it

」であれば、

計算されたリスクをとりスピード感を重

視したかどうか、を評価しています。

三.あだ名で呼び合う

 

役職、年齢、入社時期で意見の壁をつく

らないように、全員がニックネームで呼び

合います。インターンの学生も社長の私を

kenと呼びます。また、あだ名は、Dan

やAndyなど、グローバルチームで通用

するニックネームにして、英語のネイティ

ブスピーカーのチェックをいれています。

四.満員電車に乗らない

 

イノベーションの会社であり全員優秀

なリーダーであることを前提に、仕事に

おいては、拘束時間ではなく最大限のパ

フォーマンス発揮することを重視してい

ます。フルフレックス、リモートワーク

を可能とし、例えば、多大なストレスが

かける満員電車には出来るだけ乗らない

で欲しい、とお願いしています。

五.開発をする前にプレスリリースを書く

 

新サービス開発の際には、仮想のプレ

スリリースを書きます。どの顧客に、ど

の課題を、何で解決するのか、値段や提

供方法等、検討すべきことがクリアにな

ります。じつはソラコムを起ち上げるきっ

かけになったのも、二〇一四年にソラコ

ムの仮想のプレスリリースを書いたのが

きっかけでした(笑)。

六.�

二週間のサイクルで計画・開発・テ

スト・リリースを行う

 

ソラコムの開発サイクルは二週間周期

で行っており、二週間のはじめに計画を

たて、日本・アメリカ・欧州など異なる

タイムゾーンで働く優秀なエンジニアが

自律分散して開発を行い、二週間の終わ

りに統合、テストをして発表します。

 

上記のような、日本ではあまり例をみ

ないユニークなやり方で、チーム作りと

運営を行ってきました。二〇一五年のサー

ビス開始以降、顧客のフィードバックを

ベースに一〇〇回以上の新機能発表を

行っています。また、SO

RACO

M A

ir

いうIoT

SIMを提供する通信サービ

スの他に、一五種類のイノベーティブな

サービスを提供し、一〇〇万回線以上の

IoT

SIMをお使い頂いています。

 

今後も「世界中のヒトとモノをつなげ共

鳴する社会へ」のビジョンを掲げ、日本発

のグローバルプラットフォームへと成長し、

世界中のスタートアップ、新規事業がイノ

ベーションを起こすのをサポートすることに

邁進します。

※本コーナーは、弊会ホームページでもご覧いただけます。

次号は、早稲田大学大学院教授の入山章栄氏にお願いいたします。

玉たまがわ川

 憲け

日本IBM基礎研究所を経て、2010年にアマゾンデータサービスジャパンにエバンジェリストとして入社、AWS日本市場の立ち上げを技術統括として牽引。2015年株式会社ソラコムを創業。IoTテクノロジーを柔軟かつセキュアに提供するIoT通信プラットフォーム「SORACOM」を通じて、テクノロジーによるビジネスイノベーション創出を目指す。東京大学工学系大学院機械情報工学科修了。米国カーネギーメロン大学MBA(経営学修士)修了、同大学MSE(ソフトウェア工学修士)修了。Forbes JAPANが選ぶ「日本の起業家ランキング2017」2位を受賞。

株式会社ソラコム 代表取締役社長

テクノロジー・スタートアップ

創業におけるチーム作りと運営

リレーエッセイ 今月のご執筆者に次号のご執筆者をご紹介いただいております。