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1 未来の成功へのルートを切り拓く、 新たな自動車エコシステム モビリティ・アズ・ ア・サービス

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未来の成功へのルートを切り拓く、 新たな自動車エコシステム

モビリティ・アズ・ア・サービス

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自動車業界での普及が加速するモビリティ・アズ・ア・サービス (MAAS)自動車業界では今、「モビリティー・アズ・ア・サービス(MaaS)」への急速なシフトが進行しています。こうした中、自動車メーカーはどうすればMaaSがもたらす機会を最大限に生かすことができるのでしょうか。本書では、アクセンチュアがまとめたMaaS市場に関するさまざまな知見をもとに、この新興市場で自動車メーカーが成功を収めるためのロードマップを提案します。

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自動車業界では今、「モビリティー・アズ・ア・サービス(MaaS)」への急速なシフトが進行しています。こうした中、自動車メーカーはどうすればMaaSがもたらす機会を最大限に生かすことができるのでしょうか。本書では、アクセンチュアがまとめたMaaS市場に関するさまざまな知見をもとに、この新興市場で自動車メーカーが成功を収めるためのロードマップを提案します。

アクセンチュアの調査では、自動車の製造/販売による収益の伸びは、2030年までに現在の収益

(約2兆ユーロ)をわずかに上回る程度にとどまることが予想されています。また、車両の販売からの利益にいたっては現在の額を若干下回り、およそ1,260億ユーロから1,220億ユーロにまで縮小することが明らかになっています。これに対して、モビリティ・サービスがもたらす収益は約1兆2,000億ユーロにまで急増し、その利益は2,200億ユーロに達する見通しです。

とりわけ自動運転技術の継続的な進化によって、今後10年間で世界のMaaS市場は著しく拡大することが予想されます(図1参照)。

ドイツのMaaS市場のサービスは、2027年までに個人の自動車利用の20%に浸透することが予想される。

100

80

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0 2000 2005 2010 2011—2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2029 2030 2035 2040—2050オールド・エコノミー デジタル・エコノミー パッセンジャー・エコノミー

1 出典:Statista & Bundesumweltamt 2017(2016年までのデータ、および2017年以降についてはAccenture Forecastのデータを使用)

SDVレベル2 (部分的な自動運転)

SDVレベル4 (自動運転を大部分で

利用)

コネクテッドカーを用いた共通型(P2Pの)カーシェアリング

オンライン・プラットフォーム・プロバイダーによるコンシューマ向けソリューション

AI(人工知 能)を用いたより高度なMaaSの登場

MaaSのメリットについての理解が浸透

自動運転車の普及によるMaaSのさらなる多様化

[%]ドイツにおける個人の自動車利用量1

SDVレベル1 (運転アシスト)

SDVレベル5(100%自動運転)

シェアリングしない自動車利用 MaaSの利用

SDVレベル3 (状況に即した自動運)

モビリティ・サービスの収益は、2030年までに約1兆2,000億ユーロに急増

SDV=自動運転車

図1

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新規参入者が主導するカーシェアリング/ライドヘイリング市場の拡大を背景に、自動車メーカーは急速に高まる顧客の期待に応えると同時に、顧客の期待のさらに先を行く新たなサービスを開発する必要があります。

新たに開発したサービスの収益性の確保も重要です。自動車メーカーが行った初期のカーシェアリング/ライドヘイリング実験の多くでは、十分な収益の見通しが立たなかったことからも、この状況は大きな改善課題です。

自動車メーカーは、コアビジネスである製造/販売と新たなサービスの統合を図る必要があります。スマートフォン・メーカーのAppleやAIを内蔵したハードウェアデバイス・メーカーのGoogleなど、他の業界のリーディングカンパニーを見ればわかる通り、ハードウェア、ソフトウェア、エコシステム間で適切なバランスが保たれたビジネスモデルの構築は成功の大きな鍵を握ります。

自動車メーカーが来るべき未来に備えるには新たに生まれつつある「パッセンジャー・エコノミー」がもたらす機会を100%生かすためには、自動車メーカーは以下の3つの重要課題に対処していかなければなりません。

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カーシェアリング

自動車メーカーはこれまで築き上げてきた強みを生かすことで、これらの課題に対処することができます。たとえば、自動車メーカーの得意とするの大量生産技術を生かして、MaaSをマスマーケットにシフトする自動運転車の生産を他社より優位に進めることができるでしょう。また自動車業界において、製品とサービス、ハードウェアとソフトウェアの重要な接点を担っているのもメーカーです。さらにメーカーならではのブランド力、流通網、カスタマーロイヤルティといった強みも、MaaSを大規模に展開して、それを維持し、成功のカギをつかむ上で役立つはずです。

とはいえ、これらの強みを本当の意味で生かすには、新しくかつ大胆な戦略を構築することが重要です。どの領域で、どのようなビジネスを展開するかについて、自動車メーカーの経営層は賢明な選択を下し、顧客のニーズやモビリティ・サービスへの期待を正確に予測しなければなりません。また、それらを迅速に実践していくことも大切です。俊敏性に優れた新規参入者たちがMaaSという新興市場を席巻して以来、すでに時間が経過してしまっています。そして新規参入があったことで、将来的なMaaS革命の基盤の構築につながるさまざまな変化もすでに起こってしまっています(図2参照)。

既存の自動車メーカーが開拓可能な新たなモビリティ・サービス市場図2

モビリティ・アズ・ア・サービス(MAAS)

どの領域で、どのようなビジネスを展開するかについて、自動車メーカーの幹部は賢明な選択を下し、顧客のニーズやモビリティ・サービスへの期待を正確に予測しなければなりません。

出典:アクセンチュア

自家用車のシェアリ

ング

サブスクリプションベースの自家

用車

乗り放題のカーシェアリ

ング

ライドシェアリング

ライドヘイリング

デマンド型交通サ

ービスレンタカー

共通型(P2Pの)カーシェアリ

ング

購入 カーリース

公共交通機関

AudiUnite Volvo Sixt Drive Now Bla Bla Car Gett Moia

ステーションベースのカーシェアリング

Drivy omni

自家用車 MAAS

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都市数で比較した各社のサービスシェア(800都市当たり)

新たなライバル、新たな期待UberやLyftといったライドシェアリング・サービスが開発した破壊的なビジネスモデルには、今や複数の追随者が現れています。またコネクテッドビークルの分野では、データドリブンのプラットフォームを提供する大手企業が自動車メーカーのライバルとして台頭しつつあり、さらなる市場拡大を狙っています。従来のレンタカー会社や公共交通機関でさえ、モビリティ・プロバイダーとしての実績や競争力(特にローカルレベルでの高い競争力)を生かし、都市部をはじめとするさまざまな市場へと手を広げつつあります。しかもこうした新興のサービス・プロバイダーは、自動車メーカーよりも一層巧みに顧客の期待に応えています(図3参照)。

現実問題として、自動車メーカーは彼らに大きく差をつけられようとしています。世界最大のカーシェアリング会社と言われている1のはダイムラーの子会社であるCar2Goであり、またフォルクスワーゲンの新規事業であるMoiaは2018年、ドイツ・ハンブルクでまったく新しいオンデマンド型オール電

図3

化シャトルバス・サービスの提供を開始する計画です。当面の間、公共のバスには運転手が配置されるものの、それ以外のあらゆる部分には自動運転技術が導入されるといいます2。これらは非常に興味深い取り組みではありますが、すでに市場でのポジションを確立しているモビリティ・サービス・プロバイダーやスタートアップが提供するカスタマーフレンドリーなサービスには到底及びません。また、こうした試みのほとんどは、自動車メーカーのビジネス全体に真の意味で統合されているとは言えず、収益性も乏しいのが実情です。

モビリティ・サービス市場は今、関連するすべてのシステムを効率的に管理することで新たな経済的価値を生み出せる市場へと変化しつつあり、またその社会的メリットが明確になるにつれ、市場に対する規制も厳しくなるはずです。こうした状況の中で、自動車メーカーにはステップアップできるチャンスがあります。

新たな戦略を策定する新たな自動車バリューチェーンの中で、自動車メーカーは自らの適切な立ち位置を見つける必要があります。当然ながら、こうした判断はバリューチェーンの各メンバーの目的やビジョン、コアコンピテンシー、市場における優位性の評価結果に基づいて行わなければなりません(図4参照)。

近年における自動車業界の投資活動を見てみると、大手企業がすでにバリューチェーンの劇的な 変化を予想していることがうかがえます。たとえばゼネラルモーターズでは、ライドシェアリングの分野で提携しているLyftとの協業を通じて、自動運転電気自動車の運用試験を計画しています3。ま た米自動車部品メーカーのDelphi(デルファイ)は先ごろ、自動運転テクノロジーの開発企業であるnuTonomy(ニュートノミー)の買収を発表しました4。

カーシェアリング

ライドヘイリング

689UBER LYFT

641

ZIPCAR

385CAR2GO

25DRIVE NOW

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出典:サービス・プロバイダー各社のウェブサイト

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とはいえ、現時点でも自動車メーカーが既存の資産を活用することによって効率性を向上させ、モビリティ・サービス分野での収益を拡大することは可能です。他の業界の試みを見ればわかるように、高品質な製品とプラットフォームベースの優れたエコシステムを統合したアプローチは1つの成功モデルだと言えます。たとえばAppleは、世界のスマートフォン市場において15%未満という市場占有率にもかかわらず、利益では市場全体の80%を占める圧倒的な地位を確立しています5。

自動車メーカーが、モビリティ・プラットフォーム)を活用し、たとえばカーシェアリング、ライドヘイリング、レンタカーなど、シームレスで広範囲かつ変幻自在なサービスに自動車製品を統合できれば、自社の中核的製品である自動車の価値を最大限に生かすことができます。あるいは、試走車を利用してサブスクリプションベースの自家用車オーナーを増やすことができれば、新車に乗りたいという顧客のニーズに応えることもできるでしょう。この他にも、新たなモビリティ・サービスに加え、短期

的な成長に欠かせない従来の自動車販売ビジネスの組み合わせは、顧客が真に求めるもの、つまり100%のフレキシビリティの提供を可能にするはずです。

さらに、コンシェルジュ/バーチャルアシスタント・サービス、パーキング、充電、燃料供給などの付加的なデジタル・サービスの提供は新たな収益源となり、またセンサーデータやユーザーデータの収益化により、新たに大きなプロフィット・プールを構築することも可能です。たとえば、旅行会社などの第三者とのパートナーシップを通じた社内外のデータ統合には収益化の大きなチャンスがあります。

図4

・リテーラーが顧客を店頭まで車で送迎・病院が患者を車で送迎・移動ホテルまたは移動バーとして自動車を利用・雇用主が従業員を職場まで車で送迎・消費者は最も重要なニーズを満たしてくれる企業から

モビリティ・サービスを購入・「Car」という言葉は30年後には使われなくなる新たなバリューチェーン

自動車市場の収益源 (ピラミッドと各層の大きさは参考/自動車メーカーの視点)

出典:アクセンチュア

現在 デジタル・エコノミー パッセンジャー・エコノミー2020 2030 2040

付加的なサービス/パッセンジャー・エコノミー・ビ

ジネス

オンデマンドのモビリティ・サ

ービス

オンデマンドのモビリティ・サ

ービス

付加的なサー

ビス

自動車販売

アフターサービス

自動車販売

アフターサー

ビス アフターサービス

自動車販売

主要サービスの一環としてモビリティ・サービスも提供

自動車販売

アフターサー

ビス

付加的なサービス/パッセンジャー・エコノミー・ビ

ジネス

オンデマンドのモビリティ・サービス

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パートナーシップを活用して自社の強みをさらに生かすモビリティ/デジタル市場は、今よりもさらに顧客中心のオープンなビジネス・アプローチを必要としています。そのため、自動車メーカーはモビリティやサービス、エクスペリエンスを前面に押し出し、あるいは中心に据えて、未来の顧客のニーズに応えていかなければならないでしょう。また、他社とのパートナーシップを通じて、未来のプラットフォームやエコシステムを最大限に活用することも大切です。

いかなる自動車メーカーも、競争に勝つために必要なすべての強みを短期間で身につけることは不可能です。それは業界の最大手や十分な準備が整っているメーカーについても同じことが言えます。だからこそ、自社の強みを補うことのできる別の強みを持った戦略的パートナーとの協働が不可欠なのです。たとえば、ダイムラーのモビリティ・プラットフォームであるMoovelは、ユーザーの目的地までの最適なルート、移動手段を教えるとともに、移動に使用するモビリティ・サービスも提供するもので、公共交通機関やレンタカー会社と連携して開発されています6。

デジタルにおける強みを備えたサプライヤーやスタートアップ、大手デジタル企業とのパートナーシップは、多くの場合、人工知能やITのセキュリティといった極めて専門性の高い分野において必須の能力を構築するための最適なアプローチとなります。こうしたパートナーシップは、プラットフォームやサービスを迅速に拡大するための唯一の方法であり、規模がモノを言うデジタルビジネスではもはや不可欠な施策だと言えます。

デジタルビジネスにおけるスケールメリットを生み出すためには、ライバル関係にある自動車メーカー同士のパートナーシップも必要であり、こうした動きはすでに具体化しつつあります。たとえばダイムラー、フォルクスワーゲン、BMWの3社は現在、複数のモバイル通信機器企業とパートナーシップを締結して、自動運転車向けのインフラ構築に共同で取り組んでいます7。中には単純に「大きなビジネスチャンスにつながる」という理由から生まれるパートナーシップもあるでしょう。たとえば自動車メーカーとデジタルメディア・プラットフォームのジョイントベンチャーなどは、車載音楽/動画ストリーミング・サービスの新たな市場を生むかもしれません。

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修理&メンテナンス

フリート・オペレーション

自社サービス・ブランド

カー・モビリティ・アグリゲー

ターマルチモーダル・モビリティ エコシステムカー・インテリ

ジェンス 自動車製造

新たなビジネスモデルの導入自動車メーカーはこれらの新興市場での競争に勝つために、新しいビジネスモデルを導入する必要があります。これにより、メーカーは既存の能力を強化すると同時に新たな能力を身につけ、両者を組み合わせて活用できるようになります。

その具体的な方法としては、5つのビジネスモデルが考えられます。これらのモデルはいずれも、収益の拡大をもたらす大きな可能性を秘めていますが、成功の鍵は既存のビジネス戦略を新たなビジネスモデルの中でどれだけ上手く応用できるかにかかっています(図5参照)。

未来に向けた5つの主なビジネスモデル図5

高級車メーカープレミアム/ラグジュアリー・ブランドを確立し、最高品質の自動車を製造/マーケティング/販売する

B2Bアセット・プロバイダーB2B顧客を主体とした高品質な自動運転車の販売にフォーカスする

フリート・オペレーター フリートを所有/運用する

カー・モビリティ・サービス・プロバイダー独自のカー・モビリティ・サービス(カーシェアリングやライドヘイリング)を提供する

フル・モビリティ・プロバイダーさまざまな移動手段を統合した包括的なMaaSを提供する

ビジ

ネス

モデ

メーカーの選択肢

自動車メーカーは、既存の能力を強化する新しいビジネスモデルを導入することが不可欠

出典:アクセンチュア 自動車メーカーが提供できる機能 自動車メーカーが潜在的な能力で提供できる機能

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1:高級車メーカー 「自分の車を持ちたい」と考える顧客で構成される、小規模ながらも持続的な市場の

ニーズに応えるビジネスモデル。ピュアプレイ・メーカーとしてのビジネスモデルで、プレミアム/ラグジュアリー・ブランドを確立して、最高品質の自動車を製造/マーケティング/販売するための能力が必要となります。

2:B2Bアセット・プロバイダー 「サービス専用」の新世代の自動運転車の製造/販売/アフターサービスの提供、ならびにフリート・プロバイダーへの供給を行うビジネスモデル。航空機メーカーによる航空会社向けの旅客機製造/販売ビジネスに似たモデルです。このアプローチを採用する自動車メーカーは、ブランド・マーケティング業務を切り離し、フレキシブルな生産能力を強化する必要があります。

3:フリート・オペレーター 最適な製品ライフサイクルをモットーに設計された包括的なフリートを構築/所有/運用することで、無駄を削減し、収益拡大を実現するビジネスモデル。サーキュラー・エコノミーの構築につながるビジネスモデルで、自動車をより効率的に活用することによって、モビリティ・サービスのコスト削減も期待できます。このモデルでは、モビリティ・サービスはフリート・オペレーションの一環としてエンドツーエンドで提供されるため、車両の生涯効率を高めるためにメーカー自身がサービスを「所有」する必要がありません。

4:カー・モビリティ・サービス・プロバイダー 基本的には既存のカーシェアリング・ビジネスの拡張版のビジネスモデルで、顧客との多くのインタラクションを通じて彼らに関する価値ある知見データを生成します。自動車メーカーがそれらの知見データを収益化するには、強力なパートナーと協働してロケーションベースの付加的なサービスを提供していく必要があり、これによりメーカーは新車販売の促進や車両の利用効率の改善を図ることができます。これは理想的な選択肢の1つと言えますが、このモデルで競争力を発揮するためにはブランドへの大規模な投資が必要になります。

5:包括的なモビリティ・プロバイダー さまざまな移動手段を統合して、包括的なMaaSを提供することにより、自動車メーカーがインターモーダル・エコシステムの中核で「モビリティ・アグリゲーター」として機能するモデルです。このモデルでは公共交通機関を含む複数のパートナーが、自動車メーカーのブランドに完全統合されます。このアプローチによって、メーカーはデータの取得源とその利用を大幅に拡大し、ユーザーとの接点をより一層強化することができます。ただし、このビジネスモデルを導入できるのは、各市場で1~2社に限られます。

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アクセンチュア・オートモーティブは、世界中の大手自動車メーカーやサプライヤーとの協働を通じて、メーカーおよびサプライヤーのビジネスのデジタル化を支援しています。本レポートは、それらの支援プログラムから得られた多くの知見、ならびにMaaS市場に関する独自の調査に基づいてまとめたものです。

自動運転の進化の度合いを評価するに当たっては、2017年11月6日時点で進行中の「ロボタクシー」「ロボバス」プロジェクトの数を調査しました(同日の時点で終了し、新たな試運転プログラムが発表されたものを除く)。調査の主な情報源は、新聞記事(記事検索サービスのFactivaを利用)、およびロボタクシーの主要メーカーの公式ウェブサイトです。

またMaaS市場の発展度合いの評価に当たっては、ハンブルクを拠点とするオンライン統計データ/市場調査/ビジネス・インテリジェンス・ポータルであるStatistaの2016年までのデータ、およびBundesumweltamt(ドイツ連邦環境局、2017)のデータを活用しました。本レポート内の予測は、『Shell Passenger Car Services for Germany to 2040』調査に記載されている未来のモーダル分割モデル、ならびにアクセンチュア独自のマーケットモデルに基づいています。アクセンチュア独自のマーケットモデルは、現在のMaaS市場バリアが解消される時期や、今後の市場の成長に影響をおよぼし得る要因に関する、複数の定性的仮定に基づいて構築されています。市場への影響要因としては、次世代の意識変化、ステータスもしくは個人の自由実現の手段としての自動車という概念、サービスの信頼度、サービスの顧客中心度合い、経済的メリット、規制環境、サービスの入手可能性、破壊的テクノロジーの進歩、新規市場参入者などを考慮しています。

本レポートについて

成功に向けてビジネスを拡張MaaS 市場の競争は過酷です。新規参入者が市場に殺到して、自身のポジションを確保しようと躍起になっている今、競争はますます激化することになるでしょう。中でも顧客データの取り合いは熾烈なものとなるはずです。それでもなお、MaaS市場での成功を決意した自動車メーカーには、こうした顧客獲得競争で勝利を収める可能性が大いにあります。

長期的な成功の鍵を握るのは「規模」であり、自動車メーカーは「規模」を活用できる最高のポジションをすでに確立しています。ただし規模を生かすためには、まずメーカーは自動車の設計/製造に関する既存の能力を強化すると同時に、モビリティ/デジタル・サービスを開発/テスト/展開する新たな能力を身につけることが不可欠となります。

自動車メーカーは今すぐにでも、ユーザーの視点に立ってモビリティ・サービスの開発に注力し、利益率を改善しながらこれらの成長の原動力を最適化していかなければなりません。そしてこれを怠るメーカーは、競争に出遅れることになります。その一方で、メーカーはすでに有利なスタートポジションに立っており、これを生かすことで既存のビジネスモデルを賢く見直し、大きな変革を成し遂げることができれば、勝者の1人となれるはずです。

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出典1 https://www.prnewswire.com/news-releases/car2go-brings-new-mercedes-benz-vehicles-

to-denver-300474437.html2 https://www.moia.io/3 fortune.com/2017/02/17/gm-lyft-chevy-bolt-fleet/4 http://www.nutonomy.com/press-release/delphi-reaches-agreement-to-acquire-nutonomy/5 https://www.electronicsweekly.com/news/business/apple-takes-83-smartphone-industry-

profit-15-unit-market-share-2017-06/6 http://www.businessinsider.de/daimler-moovel-uber-competitor-2017-10?r=US&IR=T7 http://fortune.com/2016/09/27/german-automakers-tech-firms-form-5g-telecoms-group/

アクセンチュアについて

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